JP2009207430A - 複合膜とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ミクロンサイズの対象物分離に適した孔径均一性の高い孔群と高い開孔率を有する多孔薄膜が不織布と一体化された複合膜であり、各種細胞の不織布中、さらには不織布側の多孔薄膜表面への導入が容易なことで、セパレート型の細胞培養基材や複数種細胞の細胞共培養用の膜として有用な複合膜の提供。
【解決手段】
有機高分子化合物を含んでなる少なくとも一枚の多孔薄膜と、これに隣接する少なくとも一枚の不織布とを含んでなる複合膜であって、多孔薄膜を構成する有機高分子化合物が不織布中に侵入しており、多孔薄膜は特定の開孔率、平均孔直径、孔直径の標準偏差σd、孔の貫通割合、平均膜厚、内部構造を有し、また不織布は平均繊維径7〜30μmの少なくとも1種の細繊維と、平均繊維径0.5〜5μmの少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する複合膜。
【選択図】図4

Description

本発明は、ミクロンサイズの孔径を高い孔径均一性と高開孔率にて有する多孔薄膜が、不織布と一体化されたことでミクロンサイズの対象物分離、特に白血球、赤血球、血小板に代表される血液細胞、バイオテクノロジーや医療・医薬用途等で扱われる培養細胞、バクテリア、酵母等の分離・回収、さらに細胞培養や複数種の細胞の効果的な接着型の共培養を可能とする、実用的膜強度を有した複合膜に関する。
特に本発明の複合膜は、不織布が多孔薄膜の支持体として機能するだけでなく細胞の効果的な3次元足場としても機能し、しかも多孔薄膜が不織布からの細胞移動(漏出)を物理的に阻止する機能、および薄膜両面での2種の細胞の効果的な接着型の共培養が可能となる薄さを有しているため、優れた細胞培養基材または細胞共培養用の膜として有用となる。
高分子溶液からの溶媒揮発過程において潜熱が奪われることにより高分子溶液上に凝縮生成する微小水滴が鋳型となり、最終的に数μmオーダーの直径の貫通孔を、高い孔径均一性及び高い開孔率にて有する多孔薄膜(いわゆるハニカム構造薄膜)が、種々の高分子素材を用いて作成できることが開示されている(例えば非特許文献1参照)。この薄膜は、高い孔径均一性と高い開孔率に加え、膜厚みが貫通孔の直径とほぼ同様の薄さであり、隣接する孔が膜内部でも連結することで膜平面方向にも連通しているという特徴を有する。このため効果的かつ効率的な細胞分離用フィルター(又はプレフィルター)として、また表面孔形状の規則性を活かした2次元細胞培養基材としての展開が期待されている。
このような多孔薄膜は、有機高分子化合物を疎水性有機溶媒に溶解した希薄溶液を、ガラスやプラスチック板のような平滑な固体基板上にキャストした後、高湿度空気を吹き付けて溶媒を蒸発させることで基板上に形成させることができる。しかし多孔薄膜を細胞分離フィルターや、異種細胞の培養を膜の表裏にて接着可能かつ物理的にセパレートした状態で行う細胞共培養として用いるためには、膜を基材より剥がし取る必要がある。ところが、得られる多孔薄膜の強度は非常に低いため基材からの剥離が容易ではない。さらにうまく剥離できたとしても、薄膜単独での取り扱いは低強度ゆえ非常に困難であり、膜カートリッジなどの組立て部材として用いることは実質的に困難である。
このような課題を克服する方法として、特許文献1には、多孔薄膜を、平均気孔径が1μm以上の支持多孔膜と一体化成膜して実用的な機械的強度を付与した複合多孔膜が開示されている。この複合多孔膜は、有機高分子化合物を溶解した疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体(特に水が好ましい)を支持多孔膜中に充填した状態で、この支持多孔膜上に該疎水性有機溶媒溶液をキャストし、次いで、膜近傍の相対湿度が20〜100%の環境下で疎水性有機溶媒を蒸発させて多孔薄膜を形成し、最後に支持多孔膜に充填した液体(水)を除去することで製造することができる。この結果、多孔薄膜が支持多孔膜と一体化されることで、多孔薄膜の特徴と、実用的なハンドリング性や加工性を兼ね備えた優れた膜材料が簡易なプロセスで製造可能となる。
この複合多孔膜は実用的強度を有するため、これを構造部材として膜カートリッジ等に組み込むことも可能になる。例えば特許文献1に開示されているように、フィルターカートリッジの処理血球浮遊液入口側に白血球を吸着捕捉しうる複数枚の不織布を配置し、出口側にこの複合多孔膜が配置されるように両者を積層充填することで、除去効率の高い白血球除去フィルター装置を製造することができる。またこの複合多孔膜は、細胞培養液中で互いに異なる細胞群を相互に接触可能な状態で仕切って細胞を共培養する細胞培養用隔膜としても効果を発揮する。さらに、この細胞培養用隔膜をガラスやプラスチック製の筒状体(チューブ状物)の1つの端面に接着させて一体化したカップ型培養容器と、カップ型培養容器および細胞培養液を内部に入れる容器を組み合わせることで細胞共培養装置を製造することもできる。
複合多孔膜を構成する支持多孔膜として、不織布、三次元網状連通孔を有する多孔質体(多孔質膜)、織布や編布、メッシュ類などを用いることができる。しかし、特にこの複合多孔膜を上記のような細胞分離フィルターや細胞培養基材に用いる場合、支持多孔膜には種々の大きさの細胞(数μm〜数十μm)を含む細胞浮遊液の透過性(細胞通過性)や、細胞浮遊液を吸収させることによる細胞の支持多孔膜への導入とそれら導入細胞の3次元的な保持機能に優れることが要求されるため、細胞サイズに応じた比較的大きな孔径(数μm〜数十μm程度)や空隙率の設計が容易な多孔質材料であることが好ましい。不織布はこのような構造設計の幅が広いため、支持多孔膜として特に好ましいと言える。
不織布を用いて複合多孔膜を製造する場合、不織布の繊維径や平均孔径が小さく、空隙率も低いものほど不織布表面のミクロな平滑性が向上するため、不織布上に成膜一体化される多孔薄膜のアンジュレーションが抑えられ、膜破れのないきれいな薄膜を製造することができる。そのような複合膜形成に優れた不織布としては、メルトブロー法によって得られる微細短繊維不織布(繊維径は1〜3μm程度)をカレンダー処理したものが挙げられる。
ところが一般にメルトブロー法による微細短繊維不織布は、繊維長が短いため繊維の絡み合いが弱く、目付け(単位面積あたりの繊維量、g/m)を高くして不織布強度を保持する必要がある。そのため短繊維不織布製品は比較的厚いものが多く、孔径や空隙率も相対的に小さくなってしまう。従って微細短繊維不織布を用いた複合多孔膜を細胞分離フィルターや細胞共培養用の膜に用いる場合、赤血球などの無核で変形能の高い細胞は不織布内を通過する(または導入する)ことができるが、白血球系細胞やその他の有核の培養細胞等は変形能が小さくサイズも比較的大きいためそれが困難となり、不織布表面付近での細胞の目詰まりが生じやすい。従って、特に複合多孔膜を細胞共培養用の膜として用いる場合などのように、種々の細胞の不織布中への導入や、それら導入細胞を保持するためには比較的高い空隙率と大きな孔径を有し、しかも厚みが小さい事が必要であるが、微細短繊維でそのような不織布を製造することは困難である。
これに対しスパンボンド法で得られるような長繊維不織布は、繊維の絡み合いが大きいため少ない目付け量でも不織布強度は高く、薄くて、比較的大きな孔径と大きな空隙率を有する製品の製造が容易であり、種々の細胞浮遊液の透過性や細胞導入が容易となる。ところがこのような長繊維不織布を構成する繊維の直径は、一般的に多孔薄膜の膜厚よりもかなり大きいため、複合多孔膜を製造する際、不織布表面に一体成膜(接着成膜)された多孔薄膜は激しいアンジュレーションを生じて膜面に亀裂が生じ、膜破れのないきれいな複合多孔膜を得ることができないのである。
すなわち多孔薄膜と不織布を一体化した膜破れのない複合多孔膜を製造しようとする場合、使用可能な不織布が制限されるため、特に細胞培養用途(細胞培養用基材や細胞共培養用の膜)への複合多孔膜の幅広い応用が制限されていた。
以上の現状から、種々のサイズの細胞を含む細胞浮遊液の透過性や、細胞の導入および保持が容易であり、しかも多孔薄膜の膜破れがない良好な形状の複合多孔膜、およびその製造方法が望まれていた。
Thin Solid Films,327−329,854(1998). WO2005/014149A1パンフレット
本発明の課題は、多孔薄膜と不織布が一体化した複合膜およびその製造方法に関する。具体的には、様々な大きさの細胞を含む細胞浮遊液の透過性や、不織布内部への細胞導入性と導入された細胞の3次元保持性に優れることで、特に細胞培養基材や細胞共培養用の膜として有用であり、しかも多孔薄膜の膜破れのない良好な形状の複合膜およびその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明を完成させるに至った。
本発明者は、多孔薄膜をスパンボンド長繊維不織布上に形成させて得られた、膜破れの激しい複合多孔膜を電子顕微鏡で解析したところ、不織布の繊維径がハニカム構造膜の厚みに比べて大きくなると(多孔薄膜の厚みが一般的に3〜5μm程度であるのに対し長繊維不織布の繊維径は約15μm)、繊維径による不織布表面のミクロな凹凸が激しくなる結果、不織布表面に一体成膜(接着成膜)された多孔薄膜は激しいアンジュレーションを生じて膜面(特に繊維に沿った部分)に亀裂が生じてきれいな複合多孔膜を得ることができないことに気づいた。また繊維密度が低く不織布表面の繊維間距離が比較的大きいため、不織布表面で多孔薄膜のアンジュレーション(沈み込み)を抑制することができないため、これもきれいな多孔薄膜の製造を妨げる原因になると考えられた。
そこで種々の不織布を用いた複合膜製造検討を実施したところ、驚くべきことに繊維径の大きな長繊維と繊維径の小さな微細短繊維からなる不織布を用いると、繊維目付け量や繊維密度が低く、平均流量孔径が大きくても、不織布上に膜破れのない多孔薄膜が容易に形成され、しかも得られた複合膜は、不織布中への種々のサイズの細胞を含む細胞浮遊液の透過性、および細胞導入性と細胞保持性に優れ、同時に複合膜強度も十分なため膜カートリッジなどの組立て部材として用いることも可能であることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)平均繊維径7〜30μmの少なくとも1種の細繊維と、平均繊維径0.5〜5μmの少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する不織布の少なくとも一方の面上に、開孔率が10〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)は0≦σd/D≦0.6であって、且つ、多孔薄膜内部にて隣接する孔が連通している構造を有する有機高分子化合物から形成された多孔薄膜が積層され、多孔薄膜を構成する有機高分子化合物が不織布中に侵入していることを特徴とする複合膜。
(2)多孔薄膜の平均孔直径D(μm)に対する平均膜厚T(μm)の比が0.05≦T/D≦2である(1)記載の複合膜。
(3)多孔薄膜の平均膜厚T(μm)が0.1≦T≦30であり、その標準偏差σt(μm)が0≦σt/T≦0.5である(1)又は(2)に記載の複合膜。
(4)多孔薄膜の開孔率が15〜80%である(1)〜(3)のいずれか一に記載の複合膜。
(5)多孔薄膜が有する貫通孔の割合が20%以上である請求項(1)〜(4)のいずれか一に記載の複合膜。
(6)不織布を構成する平均繊維径7〜30μmの細繊維が長繊維であり、平均繊維径0.5〜5μmの微細繊維が短繊維である(1)〜(5)のいずれか一に記載の複合膜。
(7)不織布の平均流量孔径が1μm以上である(1)〜(6)のいずれか一項に記載の複合膜。
(8)不織布の平均流量孔径が1〜100μmである(1)〜(7)のいずれか一に記載の複合膜。
(9)細胞培養液中で、互いに異なる細胞群を相互に接触可能な状態で仕切って、細胞を共培養するために用いられる、(1)〜(8)のいずれか一に記載の複合膜。
(10)(1)〜(8)のいずれか一に記載の複合膜により細胞培養液を仕切り、細胞培養液中で互いに異なる細胞群を相互に接触可能な状態としたことを特徴とする細胞共培養装置。
(11)平均繊維径7〜30μmの少なくとも1種の細繊維と、平均繊維径0.5〜5μmの少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する不織布に、有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体を保持させ、該不織布上に有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液をキャストし、次いで、膜近傍の相対湿度が20〜100%の環境下で疎水性有機溶媒を蒸発させて該有機高分子化合物を主成分として含んでなる多孔薄膜を不織布上に成膜する工程を含む(1)〜(8)のいずれか一に記載の複合膜の製造方法。
(12)不織布を構成する平均繊維径7〜30μmの細繊維が長繊維であり、平均繊維径0.5〜5μmの微細繊維が短繊維である(11)に記載の製造方法。
(13)有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体が水である(11)又は(12)に記載の製造方法。
(14)細胞培養液中に(1)〜(8)のいずれか一項に記載の複合膜を配置して、少なくとも2つの培養領域を設け、少なくとも2つの隣接する培養領域に、互いに異なる細胞群をそれぞれ導入して細胞を共培養することを含む細胞共培養方法。
本発明の複合膜は不織布内の細胞通過性が良好なため、不織布側から細胞懸濁液を通液することで容易に各種細胞群を不織布内部、さらには不織布側の多孔薄膜表面もしくはその近傍まで導入することができる。しかも複合膜の製造時に多孔薄膜の膜破れが発生しないため良好な形状での多孔薄膜の一体化成膜が可能となり、多孔薄膜と不織布の特徴を兼ね備えた有用な膜材料を提供することができる。具体的には、不織布領域に導入された細胞の移動や漏出を多孔薄膜面で物理的に阻止することができるので、培養後の培養液中からの細胞除去が容易なセパレート型細胞培養基材として効果を発揮する。また多孔薄膜の薄膜特性を活かし、多孔薄膜にて互いに異なる細胞群を相互に接触可能な状態で仕切って、細胞を共培養することができ、しかも実用的な機械的強度を有した細胞共培養用の膜として有効に使用することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の複合膜は、有機高分子化合物を含んでなる少なくとも1枚の多孔薄膜と、これに隣接する少なくとも一枚の不織布とを含んでなる。
本発明の複合膜は、多孔薄膜と不織布が積層し、かつ、接着した構造(多孔薄膜が部分的に不織布に侵入した構造)を有している。例えば、多孔薄膜1枚と不織布1枚が複合化された2層構造(すなわち、「多孔薄膜/不織布」の構造)、不織布の両面が多孔薄膜である3層サンドイッチ構造(「多孔薄膜/不織布/多孔薄膜」の構造)、等の構造が挙げられる。複合膜は、不織布が2枚の多孔薄膜によって挟まれた構造の場合は、それぞれの多孔薄膜の平均孔直径や開孔率等の物性、又は多孔薄膜を構成する物質等は同一であっても、異なっていてもよい。ただし、1枚の多孔薄膜と1枚の不織布からなる構造が、製造も容易であり使い勝手もよい。
本発明の複合膜の膜厚は、厚すぎると種々の形態への加工特性が低下し、濾過速度が低下する可能性もあるため、その膜厚は5mm以下が好ましく、3mm以下がより好ましく、1mm以下が最も好ましい。一方、薄すぎると取り扱い性や加工性が低下するので、その膜厚は1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が最も好ましい。
まず、複合膜を構成する多孔薄膜について説明する。
多孔薄膜が有する孔を、多孔薄膜平面に対して垂直な方向から見た時の孔の形状は、特に外力(例えば、複合膜自体を一軸方向に引っ張る等)を加えない限り基本的に円形である。又、孔の形状は疎水性有機溶媒溶液の組成や製造条件(例えばガスの吹き付けの強さ等)、不織布との接着状態によって若干変形して楕円状になったりすることもある。本発明における円形とは、完全な真円の他に、このような楕円状も含む。特に繊維と接着した部分の孔は変形している。
多孔薄膜の膜平面を顕微鏡写真により観察した場合、多孔薄膜の開孔率は10〜80%、平均孔直径D(μm)は0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)は0≦σd/D≦0.6であって、多孔薄膜内部にて隣接する孔が連通している。また、多孔薄膜が有する孔の貫通孔の割合が20%以上であり、多孔薄膜の平均膜厚T(μm)が0.05≦T/D≦2であることが好ましい。逆に、開孔率、D、σd、貫通孔の割合、T、膜内部構造を、実験的に規定できないものは、本発明の多孔薄膜の範囲外である。例えば不織布や、主に相分離法にて得られる3次元網状に連通孔を有する多孔質体は、実施例に記載の方法ではこれらを規定することが困難であるので、本発明にいう多孔薄膜とは明らかに異なる。
多孔薄膜の膜平面の開孔率は10〜80%であり、好ましくは15〜70%、より好ましくは20〜60%、最も好ましくは25〜50%である。開孔率が10%未満であると、濾過速度が遅くなったり、多孔薄膜の両面に存在する細胞間接着の効率が低くなったりする。また、80%を超えると、多孔薄膜の強度が著しく低下するため、多孔薄膜の破損(破れ、亀裂)などの原因となる。
平均孔直径D(μm)の値は、0.5≦D≦20、好ましくは1≦D≦15、より好ましくは1≦D≦10、最も好ましくは1≦D≦5である。Dが20μmを超えると、一般的なミクロンサイズの細胞のサイズ分離は困難となるし、多孔薄膜両側面に存在する細胞をコンタミの起こらないように隔てて培養することが難しい。Dが0.5μmより小さいと細胞分離フィルターとして用いる場合は濾過時間が長くなるし、細胞共培養に用いる場合は細胞間の接着効率が低くなる。
孔直径の標準偏差σd(μm)は、0≦σd/D≦0.6であり、好ましくは、0≦σd/D≦0.5、より好ましくは0≦σd/D≦0.4、最も好ましくは0≦σd/D≦0.3である。σd/Dが0.6を超えると、孔直径の大きさの分布が広くなり、分離対象物質の効率的な分離、更には精密なサイズ分離性能が不十分となる。
本発明の複合膜は、多孔薄膜に隣接する不織布面の少なくとも一部において、多孔薄膜を構成する有機高分子化合物が不織布中に侵入していることを特徴とする。複合膜における多孔薄膜の表面を電子顕微鏡で観察すると、多孔薄膜が不織布の繊維間空隙や繊維交絡部分に侵入した結果、孔形状が乱れたり、孔が多孔薄膜の不織布側面において閉塞したりしている状態(非貫通構造)を観察することができ、この構造の存在によって多孔薄膜と不織布の高い接着性が発現する。
すなわち本発明の複合膜においては、多孔薄膜を構成する有機高分子化合物が不織布の一部に侵入しているため、その侵入部分において、不織布を構成する繊維の一部が多孔薄膜の孔貫通性を低下させて孔が閉塞してしまう結果(その状態は図4にて観察される)、多孔薄膜が有する孔の全てが貫通した状態となることは極めて稀である。
本発明の複合膜においては、多孔薄膜が有する貫通孔の割合は20%以上であり、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上、最も好ましくは50%以上である。貫通孔の割合が20%未満であると、濾過速度や隔てられた異なる細胞間の接触効率が低下する。なお多孔薄膜の貫通孔の割合は、成膜条件(例えばキャストする疎水性有機溶媒溶液の濃度やキャスト量、溶媒の種類等)によっても影響を受ける。
本発明において、多孔薄膜の「貫通孔」とは、多孔薄膜側からの複合膜平面の顕微鏡観察(主に電子顕微鏡観察)によって、孔の反対側の不織布構造(多孔薄膜に接着していない繊維もしくは繊維間の空隙)が、その孔を通して観察可能なものをいう。
本発明において「貫通孔の割合」とは、多孔薄膜側からの膜平面の電子顕微鏡写真から観察される孔数に対する貫通孔数の100分率をいう。例えば、「貫通孔の割合が40%」とは、10個の孔があれば、その中の4個が「貫通孔」であり、他の6個は例えば不織布繊維に密着した状態のため閉塞した状態であることを意味する。
多孔薄膜の平均膜厚T(μm)は、複合膜の断面を顕微鏡(主に電子顕微鏡)により観察した場合に測定することが可能であり、その値は、好ましくは0.1≦T≦30であり、より好ましくは0.1≦T≦20、さらに好ましくは0.5≦T≦10、最も好ましくは0.8≦T≦10である。Tが0.1未満であると、膜強度が著しく低下するため使用時における膜破れの原因となり易い。また、Tが30を超えると多孔薄膜で隔てられた異なる細胞間の接触が困難になるし、また必然的に孔径も大きくなり一般的なミクロンサイズの細胞等の分離が困難となる。また、平均孔直径Dとの関係においては0.05≦T/D≦2であることが好ましい。
膜厚の標準偏差σt(μm)は、0≦σt/T≦0.5であり、好ましくは、0≦σt/T≦0.4、より好ましくは0≦σt/T≦0.3である。σt/Tが0.5を超えると、膜厚の分布が広くなり、隔てられた異なる細胞間の接触が困難な個所が生じ、接触効率が低下する。
多孔薄膜の有する孔は膜内部にて隣接する孔と連通していることが特徴である。孔は膜内部にて球状に膨らんだ孔構造であることが、細胞間接着や濾過速度において好ましい。膜内部にて隣接する孔が連通していれば、濾過膜や細胞共培養の膜として使用する場合、いわゆる照射エッチング膜(一般的にニュークリポアやアイソポア等の名称で知られる膜材料)のような独立した円筒状の孔構造と比較すると多孔薄膜内部における流体の濾過抵抗は著しく小さくなり、高い濾過効率を得ることが可能となり、使い勝手がよい。また、不織布と複合化した際に、不織布繊維の一部が孔の貫通性を阻害するような場合でも、孔が膜平面方向にも連通しているので、不織布により貫通性を阻害されたような孔でも濾過に寄与することが可能である。なお連通部が多いほど流体の濾過抵抗が小さくなるので好ましく、その連通した構造は膜厚と同様に、複合膜の断面を顕微鏡(主に電子顕微鏡)により観察することが可能である。
このような、膜内部にて隣接する孔が連通した膜構造の製造方法は特に限定されるものではないが、後述するような水滴を鋳型とした製膜方法で作られる多孔薄膜内部では、隣接する孔が連通している部分が多く見られるので、この製膜技術を本発明の複合膜の製造に好ましく応用することができる。
多孔薄膜を形成する有機高分子化合物としては、用いる疎水性有機溶媒に溶解するものであれば制限されない。例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシ酢酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペートなどのポリエステル類、ポリウレタン類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリビニルアセタール類、ポリアミド類、ポリスチレン類、ポリスルホン類、セルロース誘導体、ポリフェニレンエーテル類、ポリエーテルスルホン類、ポリカーボネート類、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体などの単独素材、これらから選ばれる2種以上のポリマーアロイやブレンド物、又は上記ポリマーを形成するモノマーの共重合体などが挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
次に、不織布について説明する。
本発明の複合膜を構成する不織布は、少なくとも1種の細繊維と、少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する。
細繊維とは、平均繊維径が7〜30μmであるものをいい、不織布全体の機械的強度保持と多孔薄膜の良好な一体成膜性の観点から、10〜25μmが好ましく、13〜20μmが特に好ましい。細繊維の繊維径が7μmより小さいと不織布あるいは複合膜全体の機械的強度が不十分となり扱いが困難になる。一方、繊維径が30μmよりも大きいと多孔薄膜と接着する面積が多くなることで孔の貫通性を著しく阻害する場合があり、また不織布表面に一体成膜(接着成膜)された多孔薄膜が、不織布表面の繊維径に起因するミクロな凹凸によって激しいアンジュレーションを生じ、膜面(特に繊維に沿った部分)に亀裂が生じて膜破れが発生しやすくなる。細繊維は、長繊維でも短繊維でも構わないが、細繊維が比較的少ない目付け量にて不織布、さらには複合膜の機械的強度を主体となって担うことになるため、長繊維であることが好ましい。
一方、微細繊維とは、平均繊維径が0.5〜5μmであるものをいい、1〜5μmが好ましく、1〜3μmが特に好ましい。微細繊維の繊維径が0.5μmより小さいと繊維強度が弱く切れやすくなるため、成膜中や複合膜使用時に繊維屑が発生することがあり用途によっては好ましくない場合がある。また微細繊維の繊維径が5μmよりも大きいと、細繊維の繊維径に近くなるため、微細繊維の導入の意義が薄れてしまう。さらに細繊維と微細繊維が絡みにくくなるため、両繊維が交絡して混和した構造が不十分となり、繊維の複合化効果が十分に発現されなくなってしまう。微細繊維は長繊維であっても短繊維であっても構わないが、細繊維との交絡や細繊維領域への進入が起こりやすいことが好ましいので、短繊維であることが好ましい。
不織布を構成する細繊維と微細繊維の総重量における、微細繊維の重量割合(wt%)は特に限定されないが、1〜50wt%が好ましく、5〜40wt%がより好ましく、10〜30wt%が特に好ましい。1wt%未満であると微細繊維の導入効果が発揮できない。50%を超えると不織布の機械的強度が低下する。
不織布における細繊維と微細繊維が交絡して混和した構造とは、細繊維にて形成される不織布層中に微細繊維が進入した構造であり、そのような構造の存在は光学顕微鏡(特に実体顕微鏡)や電子顕微鏡にて確認することができる。細繊維層への微細繊維の進入の程度は、本発明の効果が得られるのであれば特に限定はされないが、細繊維層の隙間を微細繊維が均等に埋めた、微細繊維が細繊維層へ十分進入した構造が特に好ましい。
細繊維層に微細繊維が進入した構造の不織布は、種々の方法によって得ることが可能である。例えば、スパンボンド法によって製造された細繊維不織布(長繊維不織布)とメルトブロー法によって製造された微細繊維不織布(短繊維不織布)を重ね、熱エンボスロールを用いる熱圧着法にて積層する方法が挙げられる。ただし、このような方法では細繊維層への微細繊維の進入が不十分となりやすい。これに対し、WO2004/094136号パンフレットに記載の方法、すなわちスパンボンド長繊維不織布の製造プロセスにおいて、移動する捕集体面上に溶融紡糸された多数本の連続長繊維からなる堆積長繊維ウエブに、直接メルトブロー微細繊維を吹き付けることを基本とする方法を用いると、微細繊維の進入が良好な不織布が得られる。具体的には、移動捕集体面上に溶融紡糸された多数本の連続長繊維からなる第一の堆積長繊維ウエブ(SW1)の全面に、メルトブロー微細繊維ウエブ(MW)が直接吹き付け形成され、更にこのMW層全面に同じく多数本の連続長繊維からなる第二の堆積長繊維ウエブ(SW2)を堆積すると、全体としてシート状SMSウエブ積層体が形成され、MW層がサンドイッチ状で熱圧着される工程の間に一体化されることでメルトブロー微細短繊維が全面で高度にスパンボンド細長繊維層に進入した不織布構造が得られるが、このような不織布は本発明において特に好ましい構造である。
不織布は、多孔薄膜を支持・補強し、複合膜に充分な機械的強度を付与する機能を担うが、複合膜を細胞共培養用の膜として用いる場合は、機械的強度付与だけでなく培養細胞の足場としての機能も考慮する必要があるので、様々な大きさの細胞を含む細胞浮遊液の透過性や、不織布内部への細胞導入性と導入された細胞の3次元保持性に適した孔径を有することが好ましい。したがって不織布の平均流量孔径は、1μm以上が好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。平均流量孔径が1μm未満であると、不織布内部、さらには不織布側の多孔薄膜面もしくはその近傍への細胞導入が困難となり多孔薄膜を介した効果的な細胞共培養ができない場合が発生する。平均流量孔径が100μmを超えると、多孔薄膜の支持が不十分となるため多孔薄膜が破れやすくなるし、細胞の3次元保持や足場としての機能が発揮できなくなる。
不織布の厚みは、厚すぎると濾過速度の低下、細胞導入性の低下(不織布内の細胞通過性の低下)、および膜カートリッジなどの組立て部材として必要とされる加工性の低下に繋がる場合がある。従って厚みは好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは1mm以下、最も好ましくは0.5mm以下である。不織布が薄すぎると、多孔薄膜の支持体としての役割を果たせなくなる場合があるので、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、最も好ましくは10μm以上である。
不織布に用いられる素材は特に限定されない。例えば、天然繊維、合成高分子繊維、および再生高分子繊維等の有機高分子繊維からなる不織布や、ガラス繊維に代表される無機繊維からなる不織布、さらに有機高分子繊維と無機繊維が複合された複合不織布などが挙げられるが、孔径や目付けのバリエーションが豊富であり、加工性にも優れる有機高分子不織布は特に好ましく用いることができる。
有機高分子不織布を構成する高分子材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリウレタン類、6−ナイロンや6,6−ナイロンに代表されるポリアミド類、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリスチレン類、ポリスルホン類、ポリエーテルスルホン類、セルロース及びセルロース誘導体類、ポリフェニレンエーテル類、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、エチレンビニルアルコール共重合体等、及びこれらを構成するモノマーの共重合体、更には上記高分子の1種又は2種以上のアロイ、ブレンド材料等が挙げられるが、上記の例に限定されるものではない。
不織布の目付量は、多すぎると多孔薄膜の貫通性を阻害する場合や、濾過速度が低下する場合、不織布中への細胞の導入が困難な場合がある。少なすぎると多孔薄膜の支持・補強が充分にできない場合や、複合膜として充分な強度を達成できない場合がある。従って、不織布の目付量は、好ましくは5〜250g/m、より好ましくは10〜150g/m、更に好ましくは10〜100g/mである。
次に、本発明の複合膜の製造方法について説明する。
多孔薄膜と不織布の複合化方法として、1)多孔薄膜と不織布を別途準備し、それぞれを接着する方法、2)不織布上に多孔薄膜を形成して、接着と膜形成を同時に行う方法等が挙げられる。特に2)の方法で製造された複合膜は、多孔薄膜の膜破れも起こりにくく、強度や透過速度を低下させることなく、簡便に複合化された膜を製造することが可能である。
本発明の複合膜の製造方法は、(a)有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体を不織布に保持させ、(b)該不織布上に有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液をキャストし、次いで(c)液面近傍の相対湿度が20〜100%の環境下で疎水性有機溶媒を蒸発させて有機高分子化合物を主成分として含んでなる多孔薄膜を不織布上に成膜する工程を含む。
本発明で用いる「有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液」とは、不織布上に成膜する多孔薄膜の主成分となる有機高分子化合物を疎水性有機溶媒に溶解させた溶液である。その溶液濃度は0.01〜30wt%が好ましく、0.03〜15wt%がより好ましく、0.04〜5wt%が最も好ましい。濃度が0.01wt%未満であると多孔薄膜の孔規則性が低下する場合があり、また膜強度が低下する場合もある。一方、濃度が30wt%を超えると、規則的な孔構造を形成しにくくなる場合がある上、貫通孔を形成するためには「有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液」の不織布上へのキャスト量を著しく少なくした上で、しかも均等に流延しなくてはならないので、成膜技術上の困難度が極めて高くなるため好ましくない。
「疎水性有機溶媒」とは、水と任意の割合で相溶しない(均一化しない)有機溶媒であって、多孔薄膜を形成する有機高分子化合物を溶解する溶媒であれば限定されない。ただし、相対湿度20〜100%において溶媒を蒸発させるので、蒸発除去が比較的容易にできる揮発性が高い疎水性溶媒が好ましい。このような溶媒として、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等の塩化物又はフッ化物といったハロゲン系有機溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、メチルイソブチルケトン等の非水溶性ケトン系溶媒等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。中でもクロロホルム、ジクロロメタン、トルエンが好ましく、特にクロロホルムやジクロロメタンは溶解できる有機高分子化合物の種類が多く、蒸発除去もさせやすいのでより好ましい。
本発明の製造方法によると、まず(a)有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体を不織布に保持させることが必要である。疎水性有機溶媒溶液を不織布上にキャストする場合、疎水性有機溶媒溶液が不織布中に入り込むと、不織布表層のみに多孔薄膜を形成することはできない。このような溶液の浸入を防ぐため、疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体を予め不織布に保持させて、不織布を該液体で満たしておく。その結果、多孔薄膜を薄く平滑に不織布上に形成することができ、最終的に有機高分子化合物が不織布の空隙を閉塞させることもない。
「疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体」(以下、「相溶しない液体」とも言う)とは、該溶液と任意の量にて混ぜ合わせても均質な溶液にならず、かつ、多孔薄膜の主成分となる有機高分子化合物をほとんど溶解しない液体のことをいう。相溶しない液体は、用いられる疎水性有機溶媒の種類に応じて選択されるので限定されるものではないが、多孔薄膜を成膜後、乾燥や洗浄によって容易に不織布内部から除去できるものが好ましい。
充填する液体が、鋳型となる水滴と親和性が高ければ多孔薄膜が貫通孔を形成しやすいので、例えば水や、塩化ナトリウム等の各種塩類を含む水溶液、ポリエチレングリコール等の水溶性液状ポリマー、又はそれらの水溶液等が、上記相溶しない液体として好ましい。工業的に取り扱うには単純な組成のものが好ましく、水がとりわけ好ましい。なお相溶しない液体は、有機高分子化合物を溶解しないことが要求されるものの、疎水性有機溶媒溶液と該液体が成膜時に接したときに、疎水性有機溶媒溶液中の有機高分子化合物が該液体に実質上殆ど移動することがなければ、該液体は、有機高分子化合物をわずかに溶解するものであってもよい。
疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体を不織布に保持させる方法としては、不織布を予め該液体に充分浸漬する方法(この浸漬時に超音波照射を施せば不織布内部に更に効果的に該液体を保持させることができる)、不織布に直接該液体を垂らして染み込ませる方法、該液体を噴霧状にて充分に吹き付けて保持させる方法などあるが、浸漬法が確実なため好ましい。
次に(b)該不織布上に有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液をキャストする。キャストする方法は、不織布上に均一かつ、完全に溶液が流延される方法であればよく、限定されない。溶液の粘度が低い場合には、水平を保った不織布上に流し込めばよい。粘度が高い場合には、ブレードコーター等を用いて均一に流延する。
疎水性有機溶媒溶液には、該溶液に溶解する物質であれば、多孔薄膜の成膜安定性向上、強度向上、表面改質(例えば親水性付与)、靭性付与などの目的で、その他の添加剤を加えても構わない。特に孔の鋳型となる微小水滴と疎水性有機溶媒の界面を安定化させることで成膜安定性(孔径均一性)を向上させるために両親媒性化合物を加えることは好ましい。例えば、Mater.Sci.Eng.,C8−9巻,495ページ(1999年)に記載されたビスヘキサデシルアンモニウムブロミドをはじめとする両親媒性化合物の1種又は2種以上を加えると、多孔薄膜の成膜安定性、孔サイズや孔形状均一性が高くなるので好ましく、特に下記構造式(I)のポリアクリルアミド系両親媒性化合物は好ましい両親媒性化合物として挙げられる。
両親媒性化合物を疎水性有機溶媒溶液に加える場合、有機高分子化合物と両親媒性化合物の組成比(有機高分子化合物/両親媒性化合物(wt/wt))は限定されないが、好ましくは99/1〜50/50(wt/wt)の範囲内である。99/1よりも両親媒性化合物が少ないと均一な多孔薄膜が形成されにくくなり、50/50よりも両親媒性化合物が多いと多孔薄膜の力学強度が低下し膜破れを起こしやすくなる。
続いて、(c)不織布上にキャストした疎水性有機溶媒溶液に、液面近傍の相対湿度が20〜100%の環境下で疎水性有機溶媒を蒸発させ、その過程でハニカム状の孔構造を有する多孔薄膜を形成させる。
疎水性有機溶媒を蒸発させる方法としては、液面近傍(成膜中の液面から垂直方向に約2cm離れた位置)の相対湿度が20〜100%に設定されているならばどのような方法を用いてもよく、例えば、成膜周辺環境の温度を上昇させる方法、成膜環境の気圧を適度に低下する方法、適当なガスを液面に緩やかに吹き付ける方法などが挙げられる。中でもガスを液面に吹き付ける方法は、蒸発した疎水性有機溶媒の拡散を促進することで安定した微小水滴の形成が起こり良好な膜形成が可能となるし、装置も簡便となるので好ましい方法である。
ガスを緩やかに液面に吹き付けて疎水性有機溶媒を蒸発させる場合、疎水性有機溶媒を効果的に蒸発させることができれば、ガスの種類は特に限定されない。ただし、成膜の過程において、多孔薄膜、不織布及び疎水性有機溶媒溶液に対して化学的に不活性であり、人体に対して無害であるものが好ましい。具体的なガスとしては空気、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴン等やそれらの混合ガスが挙げられ、コストパフォーマンスを考慮すれば空気が好ましい。
ガスを疎水性有機溶媒溶液に吹き付ける方法としては、供給ガス側にポンプを設置して適当なノズルからガスを供給して吹き付ける方法、逆に密閉タイプの恒温恒室ボックス等を用いる場合には、ボックス内を減圧して外部から該ガスを吸入し、適当なノズルを経由して疎水性有機溶媒溶液に吹き付ける方法などが用いられる。
疎水性有機溶媒を蒸発させる際には、膜近傍の相対湿度が20〜100%の環境下で行うが、好ましくは30〜90%、より好ましくは35〜80%である。相対湿度が20%未満の場合、孔を形成するための鋳型となる水滴の成長が不十分になるため、ハニカム状の均一な孔構造が形成されにくくなり、また孔の貫通性も悪くなる。
「膜近傍の相対湿度が20〜100%の環境下」とは、恒温恒湿ボックス内等の成膜環境全体の相対湿度を調整することにより設定してもよいし、ガスを吹き付ける方法の場合には、吹き付けるガスの相対湿度を調整することによって設定することができる。
多孔薄膜が形成された後、不織布に保持させた液体は、そのまま乾燥除去するか、一旦アルコールなどの適切な溶剤に浸漬して液体を置換除去し、乾燥することで複合膜が得られる。
本発明の製造方法において用いられる不織布や得られる複合膜には、透水性向上、選択的官能基の導入による分離性能向上、生体物質等の付着性の抑制などといった製造プロセス上又は使用上の種々の要請に応じて、様々な公知の表面改質を施すことができる。
特に本発明において好ましく使用される複合膜の製造方法、すなわち不織布に水を保持させて多孔薄膜を成膜する場合、不織布の疎水性が強いと不織布内部に均一に水を保持させることができず、多孔薄膜を形成させるための疎水性有機溶媒溶液が不織布内部に染み込み、そのため、該疎水性有機溶媒溶液を不織布上に平滑に保持し難くなり、所望の形態の複合膜製造が困難になる場合がある。この場合には、不織布に親水化処理を施し、保水性を上げておくことが好ましい。
すなわち上記のような製造上の理由に基づき予め不織布に親水性を付与する場合、又は得られる複合膜の実使用上における性能向上(透液性向上、タンパク非吸着性向上など)のため親水性を付与する場合、必要に応じて公知の親水化処理を施しても構わない。
親水化処理の具体的な方法としては、(a)複合膜や不織布の表面に元来存在する官能基に高分子反応によって目的の親水性官能基等を導入する方法、(b)複合膜や不織布に電子線やγ線を照射してラジカルを発生させ、これに目的の親水性官能基を有するモノマーを作用させてグラフト重合する方法、(c)複合膜や不織布表面に必要な開始剤基を導入した後、必要に応じて触媒等を加えて行う種々のリビング重合法(例えばリビングラジカル重合法やリビングアニオン重合法)にて目的の官能基を有するモノマーをグラフト重合する方法、(d)複合膜や不織布表面に浸漬法やスプレー法を用いて目的の官能基を有するポリマーをコーティングする方法等が挙げられる。特に(d)のコーティング法は、コーティング用ポリマーの合成反応時において導入したい官能基の種類や量、重合連鎖分布等も容易に設計できるし、更にコーティングプロセス自体も簡便で、生産性も高くなるので好ましい。コーティング剤やコーティング方法の詳細は、WO2005/014149A1パンフレットの記載に従えば良い。
本発明の複合膜の製造方法によれば、多孔薄膜が不織布表面にて形成される過程において、多孔薄膜が不織布の微細な表面凹凸に沿って繊維に接着し、また多孔薄膜が繊維交絡部にも浸入するため、不織布と多孔薄膜との強固な接着状態を実現することが可能となる。これに対し、一旦ガラスのような固体基板上にて多孔薄膜を成膜して、それを剥がして、単に不織布に重ね合わせて押し付けただけでは、多孔薄膜と不織布は接着されていないので、例えば、引っ張ることによって両者にずれが生じて簡単に多孔薄膜に破損が発生する。
次に細胞共培養について説明する。
本発明の複合膜は、細胞培養液中で、互いに異なる細胞群を相互に接触可能な状態で仕切って、細胞を共培養するために用いることができる。具体的には、2種の細胞は複合膜の多孔薄膜によって物理的にセパレートされることで細胞混合や融合が抑制されるが、多孔薄膜の孔を介して両者は接触することができる。その結果、共培養後の有用細胞の単離が容易となるという特徴を有する。また不織布側に存在する細胞は、不織布が3次元培養空間を提供し、接着性細胞の足場としても機能しうるので、特に接着性細胞の長期培養には有効となる。
本発明において「細胞の共培養」とは、単に2種類以上の細胞群を1つの培養液中で同時に増殖させるだけでなく、互いに異なる細胞群が相互に接触することによって、少なくとも1種類の細胞の増殖及び/又は分化誘導を促進する場合、少なくとも1種類の細胞の未分化状態を維持しながら増殖させる場合等も含むものとする。
本発明の複合膜を用いて2種の細胞の共培養を行うには、まず複合膜における不織布側の多孔薄膜表面またはその近傍に第1の細胞を導入する必要がある。細胞導入の方法は限定されないが、例えば第1の細胞(多孔薄膜の孔径よりも大きく捕捉可能なサイズであるもの)の必要数を含む細胞懸濁液を、複合膜の不織布面から多孔薄膜側に通液する方法が挙げられる。通液することで液体成分の大部分は透過排出され、細胞のみが不織布側の多孔薄膜表面またはその近傍に導入、捕捉される。液体成分が容易に排出されない場合には、排出側(多孔薄膜側)を減圧するか、導入側(不織布側)を加圧すればよい。または排出側の多孔薄膜に吸水体(吸水シート等)を接触させておくと、簡単に液体成分の排出を加速することができる。次に第1の細胞を導入した複合膜を、第2の細胞(同じくサイズ的に多孔薄膜の孔を通り抜けないもの)を含む細胞培養液中に配置することで共培養を行うことができる。第1の細胞と第2の細胞を効率よく接触させるためには、第2の細胞を含む培養液に接する多孔薄膜の面積が大きいことが好ましい。必要な共培養期間が終了したら、第1または第2のどちらかの細胞(有用細胞)を取り出す。ただし第1の細胞は不織布中に存在するため回収が容易ではない。従って、培養後に回収が必要な有用細胞は、第2の細胞もしくは第2の細胞から誘導されたものであることが好ましい。培養期間や培養条件(温度、培地の種類、添加因子等)は、細胞種や組み合わせ、目的によって異なるため、目的に応じた選定が必要となる。
なお細胞共培養を行う際、複合膜の不織布側に、さらに1枚以上の不織布を重ねても良い。不織布を重ねることで、不織布側に導入された第1の細胞の3次元培養領域が大きくなる。この場合、重ねる不織布は複合膜を構成する不織布と同じであっても異なっていても構わない。
不織布の両面が多孔薄膜である3層サンドイッチ構造の複合膜の場合は、膜切断面から不織布中に細胞を導入することにより、支持細胞を閉じ込めた複合膜とすることができ、1枚のシートで細胞培養(共培養)を行うことができる。
本発明の複合膜にて共培養される細胞種は特に限定されないが、互いに異なる細胞群が相互に接触することによって、少なくとも1種類の細胞の増殖及び/又は分化誘導を促進する細胞の組み合わせ、また少なくとも1種類の細胞の未分化状態を維持しながら増殖させる組み合わせが好ましい。
特に再生医療において有用な細胞を増幅、または分化誘導によって大量に取得する場合に用いられる細胞の組み合わせが好ましい。例えば、造血幹細胞を特定の支持細胞群(マウス骨髄由来ストローマ細胞群等)と接着共培養することによって、造血幹細胞を未分化な状態で増幅させることができることが知られているので、「造血幹細胞とマウス骨髄由来ストローマ細胞群」の組み合わせが例示される。この場合、増幅させた有用な造血幹細胞の回収が本複合膜の使用によって非常に容易となる。従って、増幅した造血幹細胞から必要な血液細胞を自由に製造する、いわゆる「血液製造工場」を目指した技術開発において利用されることが期待される。さらに骨髄や臍帯血に含まれる間葉系幹細胞や、胚性幹細胞(ES細胞;Embryonic Stem Cell)、人工多能性幹細胞(iPS細胞;Induced Pluripotent Stem Cell)に代表される万能細胞を、細胞共培養法によって各種臓器特異的前駆細胞へ誘導する際にも、本発明の複合膜を用いれば、誘導された有用細胞の分離回収が容易であることから、効果的に使用されることが期待される。また胚性幹細胞の未分化維持には、特定のフィーダー細胞との接着共培養が有効であるが、細胞使用時に胚性幹細胞をフィーダー細胞から単離することは容易ではない。この場合にも、本複合膜は胚性幹細胞の未分化維持における共培養膜として効果的に使用でき、特に培養細胞の量が多い場合に有効となる。
本発明の複合膜は、実用的な機械的強度を有するので、種々の形態への加工が可能であり、種々の使用方法が可能となる。例えば同じ大きさの四角形に切断した2枚の複合膜を、内側を不織布にして重ね合わせて3辺をヒートシールして得られる袋状のシートを細胞培養液中に1枚配置すれば(袋の開口部は液面より上に出すか、封じておく)、袋状共培養シートの内部と外部(袋の内部と外部)に多孔薄膜で隔てられた2つの隣接する培養領域が得られるので、内部と外部の2つの培養領域にて細胞を共培養することができる。同様に2枚の袋状隔膜シートを培養液中に配置すれば、多孔薄膜にて隔てられた培養領域が3つ得られ、3枚装入すれば4つの培養領域が得られる。従って、1種の培養液中にて、3種以上の細胞の共培養も可能となる。
本発明の細胞共培養装置は、本発明の複合膜を含んでなるものであり、種々の部材と組み合わせて製造することができる。
例えば複合膜を、ガラスやプラスチック製の筒状体の1つの端面に接着させて一体化したカップ型容器と、該カップ型容器と培養液を内部に入れることが可能な容器を組み合わせたものが細胞共培養装置の基本構造となる。筒状体の形態や大きさは特に限定されないが、例えば図1や図2のような形態が挙げられる。1つの端面への複合膜の接着は、複合膜の不織布側からでも多孔薄膜側からでも良く、用途や目的に応じて選択される。既述のように不織布側から複合膜中へ細胞導入を行う場合は、不織布面を筒状体に接着した形態が使いやすい。
また培養系へのコンタミネーションを防ぐため、外気と遮断した形で共培養を行う場合には、カップ型容器と、該カップ型容器と培養液を内部に入れることが可能な容器は一体化させておく必要がある。例えば図3に示したような基本ユニットの出入り口を配管等で接続することでクローズドタイプの共培養装置とすることができる。図3の基本ユニットは細胞1の導入口(1)、培養液と細胞2の導入口(2)、細胞取り出し口(3)、複合膜(4)、培養液容器(5)、カップ型容器(6)、フレキシブルハウジング(7)からなるが、必要に応じて新たな導入口等を付設することは可能である。フレキシブルハウジング(7)は気密性が保たれているが、柔らかいため細胞1と2を各パーツへ導入後、カップ型容器(6)を培養液容器(5)の底面まで降ろすことが可能な構造になっており、これによって細胞1と2の接触効率を上げることができる。
本発明の複合膜や細胞共培養装置に対して、細胞培養の目的に応じて親水化処理等の表面改質を施してもよい。
細胞培養用途における複合膜の表面改質は、主に細胞接着性の抑制や、逆に細胞接着性の付与、タンパク非吸着性の発現等を目的として行われる。表面改質をコーティング法にて行う場合には、コーティング用ポリマーとして公知の合成親水性ポリマーや、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカン等、ゼラチン、レクチン、ポリリジン等の従来公知の天然ポリマーの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明で用いられる測定方法は以下の通りである。
(1)複合膜を構成する多孔薄膜の平均孔直径D、孔直径の標準偏差σd、開孔率、及び貫通孔の割合
多孔薄膜の平均孔直径D、孔直径の標準偏差σd、開孔率及び貫通孔の割合は、多孔薄膜の膜平面に対する垂直方向からの光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡写真を撮影した上で、得られる平面像(写真)にて観測される多孔薄膜の孔群(貫通孔と非貫通孔をあわせたもの)を解析することで算出される。
具体的には、得られた複合膜をその中心付近から1辺6.7cmの正方形サンプルに打ち抜き、その中心(点A)、及び4つの四隅をB’、C’、D’、E’とし、それら4つの点と点Aとの4つの中点をそれぞれB、C、D、Eとする。A〜Eの5点の近傍を走査型電子顕微鏡写真(日立製作所製S−3000N)を多孔薄膜が接着した側の膜面の垂直方向から撮影する(1000〜3000倍)。
こうして得られた5枚の写真を画像解析ソフト(Image−Pro Plus(Media Cybernetics社製、Version 4.0 for Windows(登録商標))にそれぞれ取り込む。各写真において約200個の孔を含んだ画像範囲を無作為に選択した後、写真全体の中の孔領域を自動識別可能な状態までコントラストを調整して、平均孔直径を自動計算する。なお孔形状の多くは真円ではないため、長径と短径の平均値から各孔の孔直径が算出され、これが平均化される。得られた5つの平均孔直径をさらに平均して「平均孔直径D」を算出する。なお、画像解析ソフトによるコントラスト自動調整だけで孔領域を自動識別させることができない場合は、予め画像解析ソフトに取り込む写真の孔部分を黒く塗りつぶしておくなどの手動作業を行う必要がある。
孔直径の標準偏差σdとは、上記の「平均孔直径D」を規定した5つの画像範囲におけるそれぞれの孔直径の標準偏差を更に平均化した値である。「開孔率」は、同じ画像範囲において得られた5つの開孔率を平均化したものである。いずれも上記の画像解析によって算出できる。
貫通孔の割合は、上記のD、σd及び開孔率を算出したそれぞれの5つの画像領域において、各写真に含まれる全孔数(貫通孔と非貫通孔をあわせたもの)をN1、そのうち貫通している状態の孔数をN2とすると、両者を数えてN2/N1×100(%)の値を計算し、それら5つの平均値として算出する。
(2)複合膜を構成する多孔薄膜の平均膜厚T、膜厚の標準偏差σtの測定方法、及び孔の断面構造観察
膜断面観察が可能なように凍結割断処理(複合膜をエタノールに浸漬して液体窒素にて凍結後、割断する)した複合膜を、走査型電子顕微鏡用の円盤状試料台に両面テープ等を用いて緩やかに不織布側にて接着固定して白金蒸着する(蒸着膜厚は約12nmになるように設定)。これを走査型電子顕微鏡(日立製作所製S−3000N)で、膜の真横方向(膜平面方向)から観察し、複合膜を構成する多孔薄膜の平均膜厚Tおよび膜厚の標準偏差σtを測定する。
具体的には、上述(1)の平均孔直径Dを算出する際に選んだ、A〜Eの5点近傍の断面を走査型顕微鏡で観察しながら、その画像におけるスケールを用いて、50μm間隔で多孔薄膜厚を算出する。5点それぞれにおいて、約10点膜厚を測定して平均膜厚を計算する。次いで、5点の平均膜厚の値を平均化して、「平均膜厚T」を算出する。さらにこれらのデータを用いて膜厚の標準偏差σtを算出する。
(3)不織布の平均流量孔径の測定
平均流量孔径は、ASTM E1294−89に準拠し、パームポロメーター(PMI(Porous Materials,Inc.)社製)を用いてハーフドライ法により求めた。浸液は同じくPMI社製SILWICK(表面張力19.1dyn/cm)を用いた。
(4)不織布の平均繊維径の測定
複合膜を構成する不織布、または複合膜の製造に用いる不織布を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス製VT−8000)を用いて観察し、細繊維および微細繊維の直径を各30点ずつ測定し、平均値を算出して平均繊維径の値とした。
以下に本発明を、実施例及び比較例に基づき詳細に説明する。ただし、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
実施例1
1)不織布
不織布は、WO2004/094136A1パンフレットに記載された実施例1〜4と同様の条件で製造されたスパンボンド長繊維ウエブ/メルトブロー短繊維ウエブ/スパンボンド長繊維ウエブからなる3層積層ウエブを、フラットロールに通して熱圧着して得たポリエチレンテレフタレート製3層積層不織布を用いた。この不織布は、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察することで、平均繊維径15μmの長繊維(細繊維)と平均繊維径1.6μmの短繊維(微細繊維)が交絡して混和した構造を観察することができる。不織布の平均流量孔径は10.4μm、総目付け量20g/m(不織布1m当たりの繊維重量)、厚み0.034mmであり、細繊維と微細繊維の総重量における、細繊維の重量割合(wt%)は17wt%である。
2)不織布の親水化(コーティング)
2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と2−(N、N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAMA)をランダム共重合したコポリマー(HEMA/DMAMA=97/3(モル比))の0.2wt%エタノール溶液を調製し、これをコーティング溶液とした。不織布をコーティング溶液に浸漬時間が5秒になるように連続的に浸漬した後、ニップロールに挟んで通過させて余分なコーティング溶液を除去し、乾燥してコーティングした不織布を得た。上記コポリマーの合成は、WO2005/014149A1パンフレットの実施例1の1−1に記載した方法に従った。
3)複合膜の製造
クロロホルムを溶媒として、ポリスルホン(PSU:テイジンアコモエンジニアリングプラスチックス製 UDEL P−3500)とポリアクリルアミド系両親媒性ポリマー(既述の化学式(I))を溶質とする1.0g/Lの疎水性有機溶媒溶液を調製した。PSU/ポリアクリルアミド系両親媒性ポリマーは重量比で9/1であった。化学式(1)のポリアクリルアミド系両親媒性ポリマーの合成は、WO2005/014149A1パンフレットの実施例1の2に記載した方法に従った。この両親媒性ポリマーは、ユニットmとユニットnのモル比がm/n=4/1のランダムコポリマーである。
2)で準備したコーティング不織布を一辺16cmの正方形に切り、ビーカー中にて純水に浸漬し、超音波洗浄器で5分間脱気しながら十分に水を保持させた。この水を充分保持した不織布(含水不織布)をビーカーから取り出してガラス板上に置き、更に一辺15cmの正方形を打ち抜いた厚さ1mmの金属枠を、金属枠の打ち抜き部全面から該含水不織布が露出するように不織布上に重ねて配置し、ガラス板、含水不織布、金属枠を重ねた状態にしてクリップで固定した。
この含水不織布が露出した金属枠の打ち抜き部に、準備しておいたPSUとポリアクリルアミド系両親媒性ポリマーを含むクロロホルム溶液を、静かに14cm流し入れ、室温25℃、相対湿度40%の恒温恒湿室中にて、溶液表面に相対湿度60%の空気を6リットル/分で吹き付けクロロホルム除去を行って、含水不織布上にPSUを主成分とする多孔薄膜を形成させた。続いて金属枠をはずし、室温で不織布を風乾し、複合膜を得た。 得られた複合膜の膜厚は35μmであり、多孔薄膜の開孔率は45%、平均孔直径Dは3.8μm、σd/Dは0.20、貫通孔の割合は68%、多孔薄膜の平均膜厚Tは3.0μm、σt/Tは0.20であった。
複合膜の表面を、多孔薄膜側から撮影した走査型電子顕微鏡写真を図4に示す。太い繊維が平均繊維径15μmの長繊維、細い繊維が平均繊維径1.6μmの微細短繊維である。多孔薄膜に膜破れは見られず、多孔薄膜の孔を通して不織布の構造を観察することができる。多孔薄膜には、不織布繊維が侵入(接着)し、その結果、孔が閉塞している状態も観察することができる。
また多孔薄膜近傍の複合膜断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真を図5に示す。多孔薄膜の孔は膜内部で膨らんだ球状貫通孔構造であり、互いに隣接する孔が膜面方向に互いに連通していることも観察できる。
4)複合膜への細胞導入性の評価
製造した複合膜を13mmφの円形状に切り抜き、ガラス製リング(旭テクノグラス株式会社製、クローニングリング、内径10mm、外径12mm、高さ10mm)の1つの端面に、複合膜の不織布面にて接着してカップ型容器を作成した。接着剤にはポリマー濃度17%のPSUのクロロホルム溶液を用いた。
このカップ型容器を、複合膜を下にして吸水性シート(例えばセルロース製不織布)の上に置き、カップ内の複合膜上に細胞懸濁液(細胞培養液(GIBCO社製、D−MEM)にモデル細胞としてヒト子宮頚部腺癌細胞(ATCC番号:CCL−2)が1×10個/100μLとなるように加えたもの)の1mLを滴下した。殆どの培養液が複合膜を通過して吸水シートに吸収された後、引き続いて同様に5%のグルタルアルデヒドを5mL通液し、複合膜を乾燥した。
乾燥後、複合膜を走査型電子顕微鏡で観察すると、殆どの細胞が不織布を通過して不織布側の多孔薄膜面またはその近傍に到達していることが分かった。
以上の結果、本発明の複合膜は不織布内の細胞通過性が良好なため、不織布側から細胞懸濁液を通液することで第1の細胞を不織布内部、さらには不織布側の多孔薄膜表面もしくはその近傍まで容易に導入することができ、しかも多孔薄膜の膜破れもないため導入細胞の移動(漏出)を多孔薄膜面で物理的に阻止することができることが明らかとなった。
この状態の複合膜を、第2の細胞を含む細胞懸濁液に浸漬すれば第1と第2の細胞の接触型共培養が可能となる。従って本発明の複合膜は、細胞培養液中で、互いに異なる細胞群を多孔薄膜にて相互に接触可能な状態で仕切って、細胞を共培養するために用いられる細胞共培養用の膜として有効に使用することができることが分かる。さらに3次元培養足場として機能する不織布中にて1種の細胞を培養する場合でも、不織布領域からの細胞の移動や漏出を多孔薄膜で物理的に阻止できるので、培養後の培養液中からの細胞除去が容易なセパレート型細胞培養基材としても効果を発揮する。
比較例1
1)不織布
不織布として単一繊維からなるスパンボンド長繊維不織布を用いた。具体的には、実施例1の3層積層ウエブ製造工程において、メルトブロー短繊維の積層工程を省くことで製造した単層スパンボンド長繊維ウエブを、フラットロールに通して熱圧着して得たポリエチレンテレフタレート製単層不織布である。この不織布は、平均繊維径15μmの長繊維のみからなる。不織布の平均流量孔径は10.5μm、総目付け量20g/m(不織布1m当たりの繊維重量)、厚み0.040mmである。
2)複合膜の製造
実施例1の2)および3)と同様の手法で複合膜の製造を行った。
ところが製造した複合膜の多孔薄膜部位を走査型電子顕微鏡で観察すると、多孔薄膜は繊維にて部分的に支えられているが、繊維のない領域(繊維間の空隙)では多孔薄膜が不織布内部に深く垂れ下がった(入り込んだ)ような状態になっており、その垂れ下がりに多孔薄膜が耐えられず膜が裂けてしまっている状態が多く観察された。
3)複合膜への細胞導入性の評価
実施例1の4)と同様の手法で細胞導入性の評価を行った。
評価終了後の複合膜を走査型電子顕微鏡で観察すると、不織布中や多孔薄膜面には細胞が殆ど存在しないことが分かった。多孔薄膜の裂け目から細胞が培養液と共に吸水性シートに漏出してしまったことが分かった。
以上の結果、細繊維のみからなる不織布を用いて複合膜を製造すると、膜破れのない多孔薄膜を一体成膜できないため、細胞の導入性(通過性)は良好であるが、細胞共培養用の膜やセパレート型細胞培養基材として用いることはできない。
比較例2
1)不織布
不織布として単一繊維からなるメルトブロー短繊維不織布を用いた。具体的には平均繊維径が1.6μm、平均流量孔径が6.4μm、目付け量40g/m(不織布1m当たりの繊維重量)、厚み0.2mmのポリエチレンテレフタレート不織布(旭化成(株)製;マイクロウエブ)である。
2)複合膜の製造
実施例1の2)および3)と同様の手法で複合膜の製造を行った。
製造した複合膜の多孔薄膜部位を走査型電子顕微鏡で観察すると、使用したメルトブロー短繊維不織布は繊維密度が比較的高く、繊維径も小さいため多孔薄膜の形成が比較的フラットに仕上がり膜破れも発生していない良好な形状を示した。
3)複合膜への細胞導入性の評価
実施例1の4)と同様の手法で細胞導入性の評価を行った。
本評価における細胞懸濁液の透過には、実施例1や比較例1に比べてかなりの時間を要した。評価終了後の複合膜を走査型電子顕微鏡で観察すると、多孔薄膜面近傍や不織布中に存在する細胞は少なく、細胞懸濁液導入側の不織布表面付近に殆どの細胞が捕捉され、不織布表面が細胞にて閉塞した状態であることが分かった。
以上の結果、微細繊維のみからなる不織布を用いて複合膜を製造すると、膜破れのない多孔薄膜を良好に一体化成膜できるが、不織布中、さらには不織布側の多孔薄膜表面もしくはその近傍への細胞導入効率が非常に悪いため、細胞共培養用の膜材料やセパレート型細胞培養基材には適さないことが分かった。
本発明の複合膜は、特に細胞共培養用の膜材料として、再生医療分野での有用な臓器特異的幹細胞や前駆細胞の大量取得技術の発展に大きく寄与すると考えられる。また造血幹細胞を未分化のまま大量に増殖できる可能性があるため、輸血分野の抜本的改革(培養血液細胞を用いるクリーンな輸血)において非常に効果的に利用されることが期待される。
また本発明の複合膜は、共培養に限らず、細胞の単独培養用基材としても有効である。例えば本複合膜を用いれば、3次元培養足場として機能する不織布中にて細胞を3次元培養できると同時に、これらの細胞が不織布領域から脱離・漏出することを多孔薄膜で物理的に阻止できるので、培養終了後に細胞から産生された有用化学物質(多孔薄膜を通過可能)を含む培養液から細胞除去が極めて容易なセパレート型細胞培養基材としても効果を発揮する。
さらに本発明の複合膜は、均一性の高い直径数μm〜十数μmの孔および高い開孔率を有する多孔薄膜を有し、しかも不織布により膜全体として実用的な機械的強度を兼ね備えている。従ってμmオーダーの対象物、例えば、血液細胞や各種培養細胞、細菌類、酵母類などの濾過分離や回収におけるメインフィルター、プレフィルター、又はファイナルフィルターとして広く使用することが可能である。
具体的には、抗体医薬等に代表される高付加価値医薬品、食品、栄養剤などを製造するバイオプロセス領域における、バッチ式や循環式での細胞分離フィルターとして使用することが可能となる。
医療領域においては、全血製剤、赤血球製剤、血小板製剤、血漿製剤などに対する白血球除去フィルターとして複合膜単独でも、又は従来のフィルター濾材と組み合わせて使用することも可能である。また各種血液製剤等からの赤血球分離フィルターや血小板分離フィルターとして用いることができる。さらに全血からの効果的な血漿分離フィルターとしても使用可能である。その他、末梢血、臍帯血、骨髄を始めとする造血幹細胞ソースからの有核細胞回収フィルター、単核球回収フィルター、造血幹細胞回収用フィルター、または各種臓器の再生医療分野における有用細胞の分離フィルターとして使用することも可能である。また非経口的に電解質溶液、薬剤、栄養剤などを静脈投与する際に、混入異物(細菌や微粒子物質)を除去するためのIVフィルターとしても使用可能である。
検査・診断領域では、微量の血液から検査・診断用の有核細胞(白血球系細胞)を取得するための小型フィルターとして使用することもできる。
カップ型容器を構成する筒状体の一態様を示した模式図である。 カップ型容器を構成する筒状体の一態様を示した模式図である。 クローズドタイプ共培養装置の基本ユニットの一態様を示した模式図である。 実施例1で得られた複合膜の多孔薄膜側表面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた複合膜の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1 細胞1の導入口
2 培養液と細胞2の導入口
3 細胞取り出し口
4 複合膜
5 培養液容器
6 カップ型容器
7 フレキシブルハウジング

Claims (14)

  1. 平均繊維径7〜30μmの少なくとも1種の細繊維と、平均繊維径0.5〜5μmの少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する不織布の少なくとも一方の面上に、開孔率が10〜80%、平均孔直径D(μm)が0.5≦D≦20、孔直径の標準偏差σd(μm)は0≦σd/D≦0.6であって、且つ、多孔薄膜内部にて隣接する孔が連通している構造を有する有機高分子化合物から形成された多孔薄膜が積層され、多孔薄膜を構成する有機高分子化合物が不織布中に侵入していることを特徴とする複合膜。
  2. 多孔薄膜の平均孔直径D(μm)に対する平均膜厚T(μm)の比が0.05≦T/D≦2である請求項1記載の複合膜。
  3. 多孔薄膜の平均膜厚T(μm)が0.1≦T≦30であり、その標準偏差σt(μm)が0≦σt/T≦0.5である請求項1又は2に記載の複合膜。
  4. 多孔薄膜の開孔率が15〜80%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合膜。
  5. 多孔薄膜が有する貫通孔の割合が20%以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合膜。
  6. 不織布を構成する平均繊維径7〜30μmの細繊維が長繊維であり、平均繊維径0.5〜5μmの微細繊維が短繊維である請求項1〜5のいずれか一項に記載の複合膜。
  7. 不織布の平均流量孔径が1μm以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の複合膜。
  8. 不織布の平均流量孔径が1〜100μmである請求項1〜7のいずれか一項に記載の複合膜。
  9. 細胞培養液中で、互いに異なる細胞群を相互に接触可能な状態で仕切って、細胞を共培養するために用いられる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合膜。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合膜により細胞培養液を仕切り、細胞培養液中で互いに異なる細胞群を相互に接触可能な状態としたことを特徴とする細胞共培養装置。
  11. 平均繊維径7〜30μmの少なくとも1種の細繊維と、平均繊維径0.5〜5μmの少なくとも1種の微細繊維が交絡して混和した構造を有する不織布に、有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体を保持させ、該不織布上に有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液をキャストし、次いで、膜近傍の相対湿度が20〜100%の環境下で疎水性有機溶媒を蒸発させて該有機高分子化合物を主成分として含んでなる多孔薄膜を不織布上に成膜する工程を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合膜の製造方法。
  12. 不織布を構成する平均繊維径7〜30μmの細繊維が長繊維であり、平均繊維径0.5〜5μmの微細繊維が短繊維である請求項11に記載の製造方法。
  13. 有機高分子化合物の疎水性有機溶媒溶液と相溶しない液体が水である請求項11又は12に記載の製造方法。
  14. 細胞培養液中に請求項1〜8のいずれか一項に記載の複合膜を配置して、少なくとも2つの培養領域を設け、少なくとも2つの隣接する培養領域に、互いに異なる細胞群をそれぞれ導入して細胞を共培養することを含む細胞共培養方法。
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