JP2009192191A - 熱交換器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属部材Aとこの金属部材Aに対して異種金属である金属部材Bとのろう付けにより形成される熱交換器であって、前記金属部材A及び前記金属部材Bが、互いの接触により各々の融点が低下する金属で構成され、前記金属部材A及び金属部材Bが、相互のろう付け接合部が接触した状態で熱処理によりろう付けされてなる熱交換器を提供する。
【選択図】図1
Description
また、熱交換器のその他の製造方法として、ステンレス鋼やニッケル基およびコバルト合金などで構成された交換器の部品を、耐食性に優れる各種のニッケルろう材を用いて接合し、一体化することも知られている。
さらに、ニッケルろう材として、粉末ニッケルろう材に、Ni、Cr、Ni−Cr合金、SUS(ステンレス鋼)のうち、選ばれた金属粉末を所定量添加することで、フィレット部内部の脆化相の連続した晶出を防止する技術も試みられている(特許文献1等)。
また、特許文献1記載のニッケルろう材、及びJISで規定されているニッケルろう材は、粉末状であるため、ろう付け接合部ごとに粉末ろう材を添付する作業が必要になるため、特殊な設備を必要とする他、ろう付けに多大な時間を費やし、製品の生産性が著しく低く、このために高コストとならざるを得ない。
やろう材の粉体も用いることがない。このため、熱交換器の材料コスト、組み立てコストを大幅に低減することができる。
図1は、互いに異種金属の金属板材同士のろう付けによって製造した熱交換器の一例を示す。図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る熱交換器は、金属部材Aと金属部材Bとで構成される。金属部材Aはろう付けの後は熱交換器のフィン材となり、金属部材Bは、ろう付けの後、熱交換器のプレートとなる。
波形の金属部材Aとプレート状の金属部材Bは、交互に重ね合わされた状態で、熱処理され、相互の接合部同士がろう付けにより一体化される。これにより、複数の金属部材Aと複数の金属部材Bを交互に重ね合せてろう付けした熱交換器の熱交換部が得られる。ろう付けの際に、金属部材Aと金属部材Bの界面に形成されるニッケル−チタンの想定される合金の融点の温度は942℃であり、ニッケル単体の融点は1455℃、チタン単体の融点の温度は1670℃であるので、この例では、金属部材A、すなわち、ニッケルの融点942℃とニッケル単体の融点1455℃の間の温度である、例えば、955℃の処理温度、すなわち、ろう付け温度で金属部材Aと金属部材Bとが熱処理され、相互の接合部をろう付けする。この方法は、固相−固相拡散によって接合する接合する方法とは異なって、ニッケルからなる金属部材Aと、チタンからなる金属部材Bとの合金界面に、一旦、液相を形成して接合する方法であるため、信頼性が高い。なお、ろう付けの温度(ろう付け温度)やろう付けの時間は、金属部材A、金属部材Bの材質、厚み、組み立て構造体である熱交換器の構造に対応して適宜、決定されるが、ろう付け温度は、金属部材Aと金属部材Bとのろう付け接合部に形成される合金の最も低い融点から100℃を超えない温度でなされるのが望ましい。それは、金属部材Aと金属部材Bとのろう付け接合部に形成さ
れる合金の最も低い融点から100℃を越えると金属部材Aおよび金属部材Bの溶融が著しく、基材としての金属部材Aおよび金属部材Bが貫通してしまうなどの不都合が生じるためである。
また、基材とろう材とをクラッドしたクラッドろう材を用いることがないので、大掛かりな製造設備が不要となり、また、ろう材のクラッドやろう材の粉体も用いることがないので材料コスト、組み立てコストを大幅に低減することができる。
さらに、これらの例において、金属部材A、金属部材Bを単一の材質の金属単体を用いた場合は組立後の製品の使用環境によって異種金属間の異種金属腐食(電食)が発生する虞があり、犠牲電極を設ける必要があるが、金属部材A、Bにそれぞれ合金を用いてろう付けした場合は、異種金属間の電位差が軽減されるので、異種金属間の異種金属腐食(電食)を抑制できるという効果がある。
図2は金属部材A又は金属部材Bの少なくとも一方又は両方に、板状ではなく、棒状又はワイヤ(条)を用いて形成した熱交換器の熱交換部を示す。
図2に示すように、この例では、フィンとなる金属部材Aがニッケル製のワイヤで、プレートとなる金属部材Bがチタン製の棒で形成している。熱交換部の製造の際は、前記したように、金属部材Aを、凹部2、凸部1を有する波型に折り曲げ成型され、この後に、フィンとしての金属部材Aとプレートとしての金属部材Bを交互に重ねた状態で、前記したろう付けによって相互の接合部がろう付される。なお、この実施の形態でも、金属部材Aと金属部材Bとは、前記したよう相互の接触により、融点が低下する異種金属材料により形成され、金属部材Aは折り曲げ成型の後に、ろう付けにより、金属部材Bに一体に接合される。
[実施例1]
[実施例2]
[実施例3]
[実施例4]
[実施例5]
[比較例1]
[比較例2]
理温度980℃で5分間、加熱した。
[比較例3]
実施例1と同様の方法で製作した金属部材A及び金属部材Bを熱処理温度1045℃で5分間加熱した。
[比較例4]
実施例3と同様の方法で製作した金属部材Aおよび金属部材Bを熱処理温度980℃で5分間加熱した。
[従来例1]
次に、厚さ0.3mmのSUS304の板を金属部材Aとしてこれをプレス加工によって、図1で説明した波型に成型し、その後、金属部材Aと金属部材Bであるクラッドろう材とを交互に重ねた状態で真空加熱炉に入れ、真空加熱炉を減圧状態として、処理温度1200℃で5分間、加熱した。
[従来例2]
ろう付け接合部の強度は、熱処理後の各組立材の一端部を万力で固定し、ろう付け接合部(ろう付け部)を含むもう一方の端部をプライヤにより引っ張ることによって評価した。
材料コストはニッケルやステンレス等、素材の価格だけでなく、例えば、クラッドろう材の場合には、圧延加工コスト、熱処理(ろう付け)に必要とするコストを考慮して評価した。
製造コストは、組み立てに使用する工程、例えば、粉末Niろう材の基材への塗布、乾燥工程にかかるコストなども考慮した。
また、二種の金属の溶融・混合、すなわち、合金化により、相互の接合部同士が完全に接合されるため、一体化した熱交換器の組立部品として取り扱うことができる。
また、実施例4に示すように、Al板(アルミニウム板)を金属部材Aとして用いた場合は、600℃の低温以下で接合が可能となるため、製造コストの低減が可能になる。
また、金属部材AにCu板を用い、金属部材BにNi板を用いた比較例2の場合は、同じく、金属部材Aと金属部材Bとの界面に液相が生じないため、固相−固相拡散反応による接合のみであるため、ろう付け接合部同士で十分な強度を得ることができず、評価を△とした。
比較例3、4では、NiとTi、CuとTiで形成される合金の最も低い温度942℃、875℃よりもそれぞれ100℃以上の温度でろう付けしたため、接合部で金属部材Aの金属と金属部材Bの金属が著しく反応し、基材としての金属部材Aおよび金属部材Bの厚さが部分的に減肉し、十分な強度を確保できなかった。
B 金属部材
1 凸部
2 凹部
Claims (11)
- 金属部材Aとこの金属部材Aに対して異種金属である金属部材Bとのろう付けにより形成される熱交換器であって、前記金属部材A及び前記金属部材Bが、互いの接触により各々の融点が低下する金属で構成され、前記金属部材A及び金属部材Bが、相互のろう付け接合部同士が互いに接触した状態で熱処理によりろう付けされてなる熱交換器。
- 前記熱処理が、前記ろう付けの際に、前記金属部材Aと前記金属部材Bとのろう付け接合部に形成される合金の最も低い融点以上で、かつ、金属部材A及び金属部材B両部材単体の融点未満の温度でなされる請求項1記載の熱交換器。
- 前記熱処理が、前記ろう付けの際に、前記金属部材Aと前記金属部材Bとのろう付け接合部に形成される合金の最も低い融点から100℃を超えない温度でなされる請求項2記載の熱交換器。
- 前記金属部材Aがニッケル又はニッケル合金から構成され、前記金属部材Bがチタン又はチタン合金から構成された請求項1〜請求項3いずれかに記載の熱交換器。
- 前記金属部材Aが銅又は銅合金から構成され、前記金属部材Bがチタン又はチタン合金から構成された請求項1〜請求項3いずれかに記載の熱交換器。
- 前記金属部材Aがアルミニウム又はアルミニウム合金から構成され、前記金属部材Bが銅又は銅合金から構成された請求項1〜請求項3いずれかに記載の熱交換器。
- 前記金属部材がチタン又はチタン合金から構成され、前記金属部材Bがステンレス鋼から構成された請求項1〜請求項3いずれかに記載の熱交換器。
- 前記金属部材Aが熱交換器のフィン材として用いられ、前記金属部材Bが熱交換器のプレートとして用いられ、前記金属部材Aの波型加工後に、前記金属部材Aと前記金属部材Bと交互に重ね合わされた状態で熱処理によりろう付けされてなる請求項1〜請求項7いずれかに記載の熱交換器。
- 金属部材Aとこの金属部材Aに対して異種金属である金属部材Bとをろう付けすることにより熱交換器を形成するようにした熱交換器の製造方法であって、金属部材A及び金属部材Bに、互いの接触により各々の融点が低下する金属を用い、前記金属部材A及び金属部材Bの相互のろう付け接合部同士を互いに接触させた状態で熱処理することにより、これら金属部材A及び金属部材B相互の接合部をろう付けするようにしたことを特徴とする熱交換器の製造方法。
- 前記熱処理が、前記ろう付けの際に、前記金属部材Aと前記金属部材Bとのろう付け接合部に形成される合金の最も低い融点以上で、かつ、金属部材A及び金属部材B両部材単体の融点未満の温度でなされる請求項9記載の熱交換器の製造方法。
- 前記熱処理が、前記ろう付けの際に、前記金属部材Aと前記金属部材Bとのろう付け接合部に形成される合金の最も低い融点から100℃を超えない温度でなされる請求項10記載の熱交換器の製造方法。
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