JP2009173741A - セルロース系樹脂組成物およびセルロース系樹脂フィルム - Google Patents

セルロース系樹脂組成物およびセルロース系樹脂フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】保留性の劣化を防止し、透湿性に優れたセルロース系樹脂組成物およびセルロース系樹脂フィルムを提供する。
【解決手段】セルロース系樹脂に、(A)ポリエステル系可塑剤を添加して得られるセルロース系樹脂組成物であって、前記(A)ポリエステル系可塑剤が、多塩基酸と、多価アルコールと、アルキル基により置換されてもよい安息香酸との反応により得られたものであるセルロース系樹脂組成物である。該セルロース系樹脂組成物から得られるセルロース系樹脂フィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース系樹脂組成物およびセルロース系樹脂フィルムに関し、詳しくは、偏光板、偏光板用保護フィルムに用いるのに適したセルロース系樹脂組成物およびセルロース系樹脂フィルムに関する。
セルロース系樹脂は、一般に他の合成樹脂に比較して強靭であり、透明性、艶、光沢に優れ、また、表面が滑らかで感触が良いという大きな特徴を有している。このため、セルロース系樹脂の用途は、例えば、シート、フィルム、電線被覆、玩具、医療用機器あるいは食品包装材等、非常に多岐にわたっている。
しかしながら、セルロース系樹脂は熱可塑性を有していないため、加工成形に際しては高温をかけて溶融するか、あるいは溶剤に溶解する必要があり、高温をかけて溶融する場合、同時に熱分解を起し着色するという問題があった。そこで、これを避けるために適当な可塑剤を配合してその軟化点を下げる必要があり、従来から、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、トルエンスルホンアミド、トリアセチン又はペンタエリスリトールテトラアセテート等が使用されてきた。
しかしながら、上記可塑剤は、セルロース系樹脂との相溶性、可塑化効率、非揮発性、熱及び光に対する安定性、非移行性、非抽出性、耐水性等の広範な性能を満足させ得るものはなく、セルロース系樹脂組成物の一層の用途拡大の妨げとなっているのが現状である。
そこで、特許文献1には、炭化水素環を有する可塑剤が提案され、また、特許文献2には、異なるアルキル基とアリール基を有する多価アルコールのエステル化合物が提案されているが、満足のいくものではなかった。
また、近年、ノートパソコン等の液晶を搭載した情報機器の薄型、軽量化に関する開発が進んでいる。それに伴って、液晶表示装置に用いられる偏光板用保護フィルムに対してますます薄膜化の要求が強くなっている。
一方、従来、偏光板用保護フィルムには、一般的にセルローストリアセテートフィルムが広く使用され、かかるセルローストリアセテートフィルムには、フィルムに柔軟性を向上し、透湿性を減少させる目的で、可塑剤が添加されていた。
しかしながら、上記セルローストリアセテートフィルムを単純に薄膜化すると、フィルムの透湿性が増大して十分に水分をカットすることができなくなり、偏光板にしたときに接着剤や偏光子が劣化することがあった。この対策として、薄膜化した分だけ可塑剤を増量することが考えられるが、可塑剤を単純に増量するだけでは透湿性の改良が十分ではなく、また、保留性の劣化等、新たな問題を引き起こすことが判明した。ここで、保留性の劣化とは、高温多湿の環境下で、可塑剤等の添加剤がフィルム外に析出や揮発すること等によりフィルムの質量が減量する性質をいう。従来のセルロースエステルフィルムでは、この保留性が悪く液晶画像表示装置の機能低下をきたしていた。
そこで、これらの欠陥を改良する技術として、特許文献3には、クエン酸エステルを用いることが提案され、特許文献4には、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールを用いることが提案されている。また、特許文献5には、グリセリドを用いることが提案され、特許文献6には、ジグリセリンエステルを用いることが提案されている。
特開昭53−40039号号公報 特開昭54−71141号公報 特開平11−92574号公報 特開平11−124445号公報 特開平11−246704号公報 特開2000−63560号公報
しかしながら、特許文献3〜6に記載のセルロース系樹脂組成物を使用することにより、光学的異方性が良好なセルロースエステルフィルムは得られるが、いずれも透湿性の改良効果が十分ではなく、また、保留性の劣化も見られた。
そこで本発明の目的は、保留性の劣化を防止し、透湿性に優れたセルロース系樹脂組成物およびセルロース系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、セルロース系樹脂に、アルキル基により置換されてもよい安息香酸をストッパーとして用いた特定のポリエステル系可塑剤を添加することによって、上記目的を達成し得ることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のセルロース系樹脂組成物は、セルロース系樹脂に、(A)ポリエステル系可塑剤を添加して得られるセルロース系樹脂組成物であって、前記(A)ポリエステル系可塑剤が、多塩基酸と、多価アルコールと、アルキル基により置換されてもよい安息香酸との反応により得られたものであることを特徴とするものである。
また、本発明のセルロース系樹脂組成物は、前記(A)ポリエステル系可塑剤の多塩基酸と多価アルコールとアルキル基により置換されてもよい安息香酸との質量比が、10〜80質量%、10〜80質量%および1〜50質量%であることが好ましく、前記セルロース系樹脂100質量部に対して、前記(A)ポリエステル系可塑剤が3〜50質量部添加されていることが好ましい。
さらに、本発明のセルロース系樹脂組成物は、前記セルロース系樹脂が、セルローストリアセテートであることが好ましい。
本発明のセルロース系樹脂フィルムは、前記セルロース系樹脂組成物から得られることを特徴とするものである。
本発明によれば、保留性の劣化を防止し、透湿性に優れたセルロース系樹脂組成物およびセルロース系樹脂フィルムを提供することが可能となった。
以下、本発明の実施の形態につき、具体的に説明する。
本発明に用いられるセルロース系樹脂は、特に限定されないが、セルロースの低級脂肪酸エステル(以下、「セルロースエステル」ということもある)であることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味し、セルロースの低級脂肪酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号公報、特開平8−231761号公報、米国特許第2,319,052号明細書等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを挙げることができる。上記セルロースの低級脂肪酸エステルの中でも、より好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルローストリアセテートである。
かかるセルローストリアセテートは、フィルム強度の観点から、重合度250〜400、平均酢化度(結合酢酸量)54.0〜62.5%のものが好ましく、平均酢化度58.0〜62.5%のものがさらに好ましい。
特に好ましいセルロースの低級脂肪酸エステルは、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、プロピオニル基またはブチリル基の置換度をYとした時、下記式(I)、
式(I) 2.6≦X+Y≦3.0
および(II)、
式(II) 0≦X≦2.5
を同時に満たすセルロースエステルである。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。
さらに、上記セルロースの低級脂肪酸エステルは、セルロースアセテートプロピオネートであることが特に好ましく、中でも1.9≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦0.9であることがより好ましい。これらのセルロースエステルは、公知の方法で合成することができる。
また、本発明において、セルロースエステルとしては、綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独であるいは混合して用いることができる。特に綿花リンター(以下、単にリンターということがある)から合成されたセルロースエステルを単独あるいは混合して用いることが好ましい。
本発明において、(A)ポリエステル系可塑剤は、多塩基酸、多価アルコールおよびアルキル基により置換されてもよい安息香酸から得られるものである。かかる多塩基酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸などの脂肪族二塩基酸を単独であるいは混合して用いられ、この他に、小割合のフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸などの芳香族多塩基酸あるいはブタントリカルボン酸、トリカルバリル酸、クエン酸などの脂肪族多塩基酸を用いることもできる。
また、本発明において、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどの脂肪族グリコールを単独であるいは混合して用いられ、この他に、小割合のグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコールを用いることもできる。
さらに、本発明において、アルキル基により置換されてもよい安息香酸は、安息香酸またはアルキル基で置換されている安息香酸であり、アルキル基としては、本発明の所望の効果が得られれば限定されないが、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。かかるアルキル基により置換されてもよい安息香酸としては、例えば、安息香酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、p−第三ブチル安息香酸、キシリル酸などが挙げられる。また、かかるアルキル基により置換されてもよい安息香酸はストッパーとして使用される。
上記(A)ポリエステル系可塑剤は、周知の方法により製造することができ、例えば、ジブチル錫オキサイド、テトラアルキルチタネートなどの触媒の存在下に、上記多塩基酸と、上記多価アルコールと、上記アルキル基により置換されてもよい安息香酸とを用いて製造できる。製造の際に用いられる上記各成分の比は、用いられる成分の種類および目的とするポリエステル系可塑剤の特性、分子量などにより変化するが、一般には、多塩基酸、特に脂肪族多塩基酸10〜80質量%、多価アルコール10〜80質量%およびアルキル基により置換されてもよい安息香酸1〜50質量%の比率で用いられる。
本発明に使用されるポリエステル系可塑剤としての好適例を、下記表1および2に具体的に例示する。表1中、AVは酸価、OHVは水酸基価、Mwは分子量、混合物の( )内はモル比を示す。また、表2中、( )内の数値は、表1記載のポリエステル系可塑剤の多塩基酸、多価アルコールおよびアルキル基により置換されてもよい安息香配の比率を示し、単位はすべて質量%である。
Figure 2009173741
Figure 2009173741
また、上記ポリエステル系可塑剤の酸価は1以下であることが好ましい。
本発明における上記ポリエステル系可塑剤の添加量は、セルロース系樹脂100質量部に対して3〜50質量部、好ましくは5〜30質量部である。上記ポリエステル系可塑剤の添加量が3質量部未満では柔軟性付与効果が得られないおそれがあり、50質量部を超えて使用した場合にはブリードを生じるおそれがあるため好ましくない。
また、本発明のセルロース系樹脂組成物には、さらに各種の添加剤、例えば、リン系抗酸化剤、フェノール系抗酸化剤または硫黄系抗酸化剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などを配合することもできる。
上記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスフィト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−n―ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイトなどが挙げられる。
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン]、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステルなどのジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)などのポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類などが挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−第三ブチル−4’−(2−メタクロイルオキシエトキシエトキシ)ベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−C7〜9混合アルコキシカルボニルエチルフェニル)トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステルなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどのシアノアクリレート類などが挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンなどが挙げられる。
その他、本発明のセルロース系樹脂組成物には、さらに必要に応じてその他添加剤、例えば、充填剤、着色剤、架橋剤、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性化剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤等を配合することができる。
本発明のセルロース系樹脂組成物は、種々の公知の加工法により種々用途に用いることができるが、特に、その有する特性から偏光板、偏光板保護フィルム等のセルロース系樹脂フィルムとして使用することが好ましい。
本発明のセルロース系樹脂フィルムは、上記セルロース系樹脂組成物から得られるものであり、一例として、セルロースエステルから得られるセルロースエステルフィルム(以下、「本発明のセルロースエステルフィルム」ということがある)の製造方法について説明する。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステルを溶剤に溶解させたドープ液を塗布、乾燥して行われる。ドープ液には必要に応じて各種添加剤を混合することができる。ドープ液中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは15〜25質量%である。
本発明のドープ液の調製に用いる溶剤は、単独でも併用でもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して用いることが生産効率の点で好ましく、良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が30〜2質量%である。本発明に用いられる良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独では膨潤するのみかあるいは溶解し得ないものを貧溶剤と定義する。そのため、セルロースの平均酢化度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えば、アセトンは、平均酢化度55%のセルロースエステルでは良溶剤になり、平均酢化度60%のセルロースエステルでは貧溶剤となってしまう。
上記説明から明らかなように良溶剤、貧溶剤はすべての場合に一義的に決まるものではないが、セルロース系樹脂としてセルローストリアセテートを使用する場合、良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、さらに、セルロースアセテートプロピオネートの場合はメチレンクロライド、アセトン、酢酸メチル等が挙げられ、貧溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
上記ドープ液を調整するときのセルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、撹拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。また、公知の冷却溶解法を用いてもよい。冷却溶解法を用いる場合には、良溶剤として酢酸メチル、アセトンを用いることができる。加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えば、ジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加した後の加熱温度は、使用溶剤の常圧での沸点以上で、かつ溶剤が沸騰しない範囲の温度が、セルロースエステルの溶解度の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70〜105℃がさらに好ましい。また、圧力は、設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾材を用いて濾過する。濾材としては、不要物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾材の目詰まりが発生しやすいという問題点が生じる。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲の濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材やステンレス等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
ドープ液の濾過は通常の方法で行うことができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾材前後の差圧(以下、濾圧ということがある)の上昇が小さく好ましい。好ましい濾過の温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃がさらに好ましい。濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6×10Pa以下であることが好ましく、1.2×10Pa以下であることがより好ましく、1.0×10Pa以下であることがさらに好ましい。
流延(キャスト)工程に用いる支持体は、無端ベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が好ましい。キャスト工程の支持体の温度は0℃〜溶剤の沸点未満の温度が好ましい。温度が高い方が乾燥速度を速くできるが、あまり高過ぎると発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜50℃であり、5〜30℃がさらに好ましい。支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水バットを支持体に接触させる方法がある。温水バットを用いる方が、熱の伝達が効率的に行われ、支持体の温度が一定になる時間が短く、好ましい。温風を用いる場合は、目的の温度よりも高い温度の風を使う必要がある。セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残存溶剤量は、10〜120%が好ましく、さらに好ましくは20〜40%または60〜120%であり、特に好ましくは20〜30%または70〜115%である。
本発明において、残留溶剤量は、下記式、
残留溶剤量=〔(加熱処理前のフィルム質量−加熱処理後のフィルム質量)/(加熱処理後のフィルム質量)〕×100(%)
で定義される。尚、残留溶剤量を測定する際の加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間加熱することをいう。また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムをさらに乾燥し、残留溶剤量を3質量%以下にすることが好ましく、さらに0.5質量%以下が好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、テンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式が採られる。
また、支持体より剥離した直後の残留溶剤量の多い間に、テンター方式で幅保持または延伸を行うことが、寸法安定性向上効果をより発揮するため好ましい。フィルムを乾燥させる手段は、特に制限なく、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行う。簡便さの点から熱風で行うのが好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、寸法安定性を良くするためには50〜140℃で行うことがさらに好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は、薄い方ができあがった偏光板が薄くなり、液晶ディスプレイの薄膜化が容易になるため好ましいが、薄過ぎると、透湿度が増大し、引き裂き強度等が不足する。これらを両立するセルロースエステルフィルムの膜厚は、10〜65μmが好ましく、20〜60μmがより好ましく、35〜50μmがさらに好ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムは、低い透湿性、高い寸法安定性等が得られることから、液晶表示用部材として好ましく用いることができる。液晶表示用部材とは液晶表示装置に使用される部材のことで、例えば、偏光板、偏光板用保護フィルム、位相差板、反射板、視野角向上フィルム、防眩フィルム、無反射フィルム、帯電防止フィルム等が挙げられる。本発明のセルロースエステルフィルムは、上記の中でも偏光板、偏光板用保護フィルムに好ましく用いられる。
偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明のセルロースエステルフィルムをアルカリ鹸化処理した後に、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ鹸化処理とは、水系接着剤の濡れを良くし、接着性を向上させるために、セルロースエステルフィルムを高温の強アルカリ液中に漬ける処理のことをいう。
上記セルロースエステルフィルムの面内方向におけるレターデーションRo(nm)は小さいほどよく、100nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましく、5nm以下であることがさらに好ましい。本発明のセルロースエステルフィルムを位相差フィルムとして用いる場合は、Ro(nm)は50〜1000nmのものが好ましく用いられる。レターデーションRoを求めるには、自動複屈折率計を用いてセルロースエステルフィルムを590nmの波長における3次元屈折率の測定を行い、遅相軸角θ及び屈折率Nx、Nyを求め、下記式、
Ro=(Nx−Ny)×d
に従って面内方向のレターデーションRoを算出する。式中、Nxはフィルムの製膜方向に平行な方向におけるフィルムの屈折率、Nyは製膜方向に垂直な方向におけるフィルムの屈折率、dはフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。
本発明のセルロースエステルフィルムを光学フィルムとして用いる場合、フィルムの製膜方向(長手方向に相当する)と、フィルムの遅相軸とのなす角度θが0°、+90°もしくは−90°に近いほど好ましい。特に偏光板保護フィルムとして用いる場合に、得られる偏光板の偏光度の向上に寄与する。ここで遅相軸とは、フィルム面内の屈折率が最も高くなる方向である。さらに、θ(ラジアン)(θはθをラジアン表示に換算したものである)と面内方向のレターデーションRが下記式、
p≦1−sin(2θ)・sin(πR/λ)
の関係にあることがより好ましい。pは、0.99900以上であることが好ましく、0.99990以上であることがより好ましく、0.99995以上であることがさらに好ましく、0.99999以上であることが特に好ましい。λは、Ro及びθを求めるための三次元屈折率測定の際の光の波長(nm)を表し、380〜650nmの範囲にある。λが590nmのときに上式を満たすことが好ましく、λが400nmのときに上式を満たすことがさらに好ましい。
以下実施例を示して本発明のセルロース系樹脂組成物を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1−1〜1−8および比較例1−1〜1−3
アセチルセルロース(酢化度61.5%、重合度260)をメチレンクロライド90質量部とメチルアルコール10質量部とからなる混合溶剤に撹拌しながら溶解し、濃度15%の溶液とした。これに、下記表3記載の可塑剤をアセチルセルロースに対して10質量%混合し、溶液を金属支持体上に流延し約0.1mmの厚さに製膜し、フィルムを作製した。なお、表3中、No.1〜8の可塑剤は、表1および2中のものであり、No.A〜Cの可塑剤は下記表4中の可塑剤である。また、表4中、( )内の数値は、ポリエステル系可塑剤の多塩基酸、多価アルコール、およびアルコールまたはカルボン酸の比率を示し、単位はすべて質量%である。
次いで、得られたフィルム(サンプル)を用いて、下記の種々の性能試験を行った。その結果を下記表3に併記する。
(ブリードの評価)
サンプルを10cm×10cmのサイズに裁断し、23℃、55%RHで1日放置後、80℃、90%RHの条件下で2週間放置し、さらに、23℃、55%RHで1日放置した後、サンプル表面のブリードを目視観察し、評価基準は、以下の三段階とした。
○;ブリードがないもの
△;若干のブリードが認められるもの
×;ブリードが激しいもの
(湿熱減量の評価)
加湿処理前後の質量増減を測定し、下記式、
湿熱減量(%)=〔(A−B)/A〕×100
により湿熱減量(%)を求めた。式中、Aは加湿処理前の質量、Bは加湿処理後の質量を示す。セルロース系樹脂組成物の物性や寸法の安定性からすると湿熱減量は1%未満が好ましい。
(透湿度の評価)
JIS Z 0208に記載の方法に従い透湿度を測定した。測定条件は25℃、90%RHである。接着剤や偏光子が水分で劣化するのを防ぐためには透湿度は300g/m以下が好ましく、200g/m以下がより好ましく、150g/m以下がさらに好ましい。
Figure 2009173741
Figure 2009173741
二塩基酸と多価アルコールのみから得られるポリエステル系可塑剤を使用した場合(比較例1−1)には、若干のブリードを生じ、透湿性の改善効果が不十分である。二塩基酸と多価アルコール及びモノアルコールから得られるポリエステル系可塑剤を使用した場合(比較例1−2)あるいは二塩基酸と多価アルコール及びモノカルボン酸から得られるポリエステル系可塑剤を使用した場合(比較例1−3)には、ブリードが大きく、透湿性の改善効果が不十分である。これに対し、二塩基酸、多価アルコール及びアルキル基により置換されてもよい安息香酸から得られるポリエステル系可塑剤を使用した場合(実施例1−1〜1−8)には、ブリードもなく湿熱減量も少なく保留性が良好で、透湿性の改善効果も優れたものが得られる。

Claims (5)

  1. セルロース系樹脂に、(A)ポリエステル系可塑剤を添加して得られるセルロース系樹脂組成物であって、前記(A)ポリエステル系可塑剤が、多塩基酸と、多価アルコールと、アルキル基により置換されてもよい安息香酸との反応により得られたものであることを特徴とするセルロース系樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリエステル系可塑剤の多塩基酸と多価アルコールとアルキル基により置換されてもよい安息香酸との質量比が、10〜80質量%、10〜80質量%および1〜50質量%である請求項1記載のセルロース系樹脂組成物。
  3. 前記セルロース系樹脂100質量部に対して、前記(A)ポリエステル系可塑剤が3〜50質量部添加されている請求項1または2記載のセルロース系樹脂組成物。
  4. 前記セルロース系樹脂が、セルローストリアセテートである請求項1〜3のうちいずれか一項記載のセルロース系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項記載のセルロース系樹脂組成物から得られることを特徴とするセルロース系樹脂フィルム。
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