JP2014224962A - リタデーション上昇剤 - Google Patents

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JP2014224962A JP2013163398A JP2013163398A JP2014224962A JP 2014224962 A JP2014224962 A JP 2014224962A JP 2013163398 A JP2013163398 A JP 2013163398A JP 2013163398 A JP2013163398 A JP 2013163398A JP 2014224962 A JP2014224962 A JP 2014224962A
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Masashi Harada
原田  昌史
聖 村上
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聖 村上
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Abstract

【課題】相溶性に優れ、かつセルロース系樹脂に配合することにより厚み方向の位相差を正の方向に調整することができ、しかも大きなリタデーションを付与し得るリタデーション上昇剤、該リタデーション上昇剤を含有するセルロース系樹脂組成物、該セルロース系樹脂組成物から得られる優れた光学特性を有するフィルムを提供する。
【解決手段】特定のウレア誘導体からなるリタデーション上昇剤である。また、セルロース系樹脂100質量部に対し、このリタデーション上昇剤を0.1〜30質量部、または、該リタデーション上昇剤とポリエステル化合物を、配合してなるセルロース系樹脂組成物である。さらに、該セルロース系樹脂組成物から得られる優れた光学特性を有するフィルムである。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムに使用されるリタデーション上昇剤、それを含有するセルロース系樹脂組成物、及び該セルロース系樹脂組成物から得られるフィルムに関する。
これまで、セルロースアシレート、ポリカーボネート、ポリオレフィン等の樹脂フィルムが主に液晶表示装置用光学補償フィルムに用いられてきている。その中でも、セルロースアシレートフィルムは偏光子に用いられるポリビニルアルコールへの貼合性が優れていることから広く用いられている。
しかし、セルロースエステルフィルムはそのままでは光学補償フィルムに必須なリタデーション(複屈折性)が十分ではないため、セルロースエステルフィルムにリタデーションを付与するさまざまな検討がなされてきている。更に、近年は液晶テレビのさらなる視野角拡大や薄膜化のために、より大きなリタデーションが求められている。
樹脂フィルムのリタデーションを増加させるため、リタデーション上昇剤を添加する方法が知られているが、これまでのリタデーション上昇剤では多量添加が必要となりブリードアウトなどの問題が発生するため、実用化が困難であった。また、セルロースの総アシル基置換度を低下させる方法なども提案されているが、吸湿性が増加したりするなどの問題があった。
そのような状況下、近年、実用化に向けて特定のリタデーション上昇剤を添加する方法が提案されている。例えば、特許文献1では、特定の芳香族化合物からなるリタデーション向上剤を含有するセルロースエステルフィルムからなる位相差板が提案されている。また、特許文献2では、カルバミン酸エステル化合物がリタデーション調整剤として提案されている。
特許第4605908号公報 特開2006−317813号公報
しかしながら、特許文献1における特定の芳香族化合物からなるリタデーション上昇剤を含有するセルロースエステルフィルムは相溶性が不十分なため、光学特性向上効果が不十分であった。また、特許文献2における、カルバミン酸エステルのリタデーション調整剤としての使用は、光学補償用塗工膜の厚み位相差を負の方向に調整するためのものである。
従って、本発明の目的は、相溶性に優れ、かつセルロース系樹脂に配合することにより厚み方向の位相差を正の方向に調整することができ、しかも大きなリタデーションを付与し得るリタデーション上昇剤を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、該リタデーション上昇剤を含有するセルロース系樹脂組成物を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、該セルロース系樹脂組成物から得られる優れた光学特性を有するフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物をリタデーション上昇剤とすることにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリタデーション上昇剤は、下記一般式(1)で表されるウレア誘導体化合物からなることを特徴とするものである。
Figure 2014224962
((1)式中、nは0または1を表し、Zは酸素原子、硫黄原子またはNHを表す。R〜R、R又はRは各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルカノイルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシアルキレンオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルキレンオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルキルカルボニルオキシアルキレンオキシ基を表し、R〜R、R又はRで表される基のうち隣り合う2個の基が連結してそれぞれ結合する炭素原子とともに5員環または6員環を形成していてもよく、この5員環、6員環は置換基を有していてもよい。Rで表される二価の有機基としてはアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはこれらの組み合わせた基が挙げられ、それぞれ置換基を有していてもよい。)
本発明のリタデーション上昇剤は、下記一般式(2)で表されるウレア誘導体化合物からなることが好ましい。
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
((2)式中、Zは酸素原子、硫黄原子またはNHを表す。R及びRは各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜R17は各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、上記一般式(3)〜(6)のいずれかで表される置換基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルカノイルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシアルキレンオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルキレンオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルキルカルボニルオキシアルキレンオキシ基を表し、R、R又はR〜R17で表される基のうち隣り合う2個の基が連結してそれぞれ結合する炭素原子とともに5員環または6員環を形成していてもよく、この5員環、6員環は置換基を有していてもよい。)
また、本発明のセルロース系樹脂組成物は、セルロース系樹脂100質量部に対し、上記リタデーション上昇剤を0.1〜30質量部配合してなることを特徴とするものである。
本発明のセルロース系樹脂組成物は、さらに、セルロース系樹脂100質量部に対し、下記(7)〜(9)のいずれか1種以上のポリエステル化合物(セルロースエステルではない)を1〜30質量部含むことが好ましい。
(7)多価アルコールと多価カルボン酸からなるポリエステル化合物
(8)多価アルコールとモノカルボン酸からなるポリエステル化合物
(9)多価カルボン酸とモノアルコールからなるポリエステル化合物
本発明のセルロース系樹脂組成物において、セルロース系樹脂が、セルロースアシレートであることが好ましい。
さらに、本発明のフィルムは、上記セルロース系樹脂組成物を成形してなることを特徴とするものである。
尚、本発明において光学特性に優れているとは、大きなリタデーションが付与されていることを意味し、このリタデーションは一般にはフィルムの厚み方向のリタデーション値(Rth)によって把握することが可能である。 Rthは下記式で定義される値である。Rth={(nx+ny)/2−nz}×d[式中,nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)を表す。] これらリタデーション値、Rthは、例えば、KOBRA−WR(王子計測機器(株)製)やRETS−100(大塚電子(株)製)などの自動複屈折率計を用いて測定することができる。
本発明によれば、優れた光学特性を有し、即ち大きなリタデーションが付与され、液晶表示装置、特にVAモードの液晶セルを用いるVA型液晶表示装置用の位相差フィルムとして好適に使用される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられるセルロース系樹脂としては、いずれの種類のものであってもよいが、セルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは、炭素数が6以下の脂肪酸を意味する。セルロースの低級脂肪酸エステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート等や、特開平10−45804号公報、特開平8−231761号公報、米国特許第2,319,052号明細書等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを挙げることができる。
本発明のリタデーション上昇剤は、上記一般式(1)、好ましくは上記一般式(2)で表されるウレア誘導体化合物である。これら式中、R〜R、R〜R17がとり得るハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第二ブチル、第三ブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシなどが挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセン−1−イル、フェナントレン−1−イル等が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の例としては、上記アリール基に対応したものが挙げられ、具体的には、フェノキシ、ナフトキシ等が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基の例としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル等が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数5〜12のシクロアルキル基の例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、4−メチルシクロヘキシル等が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数2〜10のアルカノイルオキシ基の例としては、前記アルキル基に対応したアルカノイルオキシ基が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数2〜20のアルコキシアルキレンオキシ基の例としては、前記アルコキシ基及びアルキル基に対応したアルコキシアルキレンオキシ基が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有してもよい炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基の例としては、前記アルキル基に対応したアルコキシカルボニル基が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルキレンオキシ基の例としては、前記アルコキシ基及びアルキル基に対応したアルコキシカルボニルアルキレンオキシ基が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17がとり得る、置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルキルカルボニルオキシアルキレンオキシ基の例としては、前記アルキル基及びアルキレンオキシに対応したアルキルカルボニルアルキレンオキシ基が挙げられる。
また、一般式(1)及び(2)において、R〜R、R〜R17で示される基のうち隣り合う2個の基は連結してそれぞれが結合する炭素原子とともに5員環または6員環を形成してもよい。5員環の例としては、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等が挙げられる。6員環の例としては、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピペラジン環、ピペリジン環、モルフォリン環、ピラジン環、ピロン環、ピロリジン環等が挙げられる。5員環および6員環は置換基を有してもよい。
前記一般式(1)において、Rで表される二価の有機基としてはアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはこれらを組み合わせた基が挙げられ、それぞれ置換基を有していてもよい。具体的にはメチレン、エチレン、プロピレン、シクロヘキシレン、フェニレン等が挙げられる。
以下に本発明のリタデーション上昇剤の具体例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
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これらウレア誘導体は単独で用いても二種類以上を混合物として用いてもよい。また、これらウレア誘導体の使用量は、セルロース系樹脂100質量部に対し、0.1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。この使用量が0.1質量部未満ではその効果が十分に発揮されず、一方、30質量部を超えて使用した場合には、ブリードを生じるため、好ましくない。
本発明のセルロース系樹脂組成物には、可塑剤を任意に使用することができる。可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレートなどのフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどのアジペート系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのホスフェート系可塑剤;多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどと、二塩基酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などとを用い、必要により一価アルコール、モノカルボン酸(酢酸、芳香族酸など)をストッパーに使用したポリエステル系可塑剤;その他、テトラヒドロフタル酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、ビフェニレンポリカルボン酸系可塑剤、多価アルコールの芳香族酸エステル系可塑剤(トリメチロールプロパンのトリベンゾエート等)などが挙げられる。
本発明のセルロース系樹脂組成物は、セルロース系樹脂100質量部に対し、下記(7)〜(9)のいずれか1種以上のポリエステル化合物(セルロースエステルではない)を1〜30質量部含むことが好ましい。
(7)多価アルコールと多価カルボン酸からなるポリエステル化合物
(8)多価アルコールとモノカルボン酸からなるポリエステル化合物
(9)多価カルボン酸とモノアルコールからなるポリエステル化合物
以下に本発明で用いられる上記(7)の多価アルコールと多価カルボン酸からなるポリエステル化合物として、一般式(7)で表される化合物を例示するが、ポリエステル化合物はこれらに限定されるものではない。混合物のカッコ内の数字はモル比を表す。また、これらポリエステル化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
Figure 2014224962
化合物No.7−1:多価アルコール成分Gとして、エチレングリコール(50)及び1,2−プロピレングリコール(50)と、多価カルボン酸成分Aとして、コハク酸(50)及びテレフタル酸(50)、末端Eがアセチル基からなるn’=5のポリエステル化合物。
化合物No.7−2:多価アルコール成分Gとして、1,2−プロピレングリコールと、多価カルボン酸成分Aとして、2,6−ナフタレンジカルボン酸、末端Eが水素からなるn’=2のポリエステル化合物。
化合物No.7−3:多価アルコール成分Gとして、エチレングリコールと、多価カルボン酸成分Aとして、アジピン酸、末端Eがアセチル基からなるn’=10のポリエステル化合物。
化合物No.7−4:多価アルコール成分Gとして、1,2−プロピレングリコールと、多価カルボン酸成分Aとして、テレフタル酸、末端Eがトルイル基からなるn’=5のポリエステル化合物。
以下に、上記(8)の多価アルコールとモノカルボン酸からなるポリエステル化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。また、これらポリエステル化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
以下に、上記(9)の多価カルボン酸とモノアルコールからなるポリエステル化合物を例示するが、これらに限定されるものではない。また、これらポリエステル化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
これらポリエステル化合物の使用量は、セルロース系樹脂100質量部に対し、1〜30質量部、好ましくは1〜20質量部である。この使用量が1質量部未満ではその効果が十分に発揮されず、一方、30質量部を超えて配合した場合には、ブリードを生じるため好ましくない。
また、本発明のセルロース系樹脂組成物には、さらに各種の添加剤、例えば、リン系、フェノール系または硫黄系抗酸化剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などを配合することもできる。
上記リン系抗酸化剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−n―ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオール・ジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニルホスホナイトなどが挙げられる。
上記フェノール系抗酸化剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル・3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン]、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]などが挙げられる。
上記硫黄系抗酸化剤としては、例えば、チオジプロピオン酸のジラウリル、ジミリスチル、ミリスチルステアリル、ジステアリルエステルなどのジアルキルチオジプロピオネート類およびペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)などのポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類などが挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−第三ブチル−4’−(2−メタクリロイルオキシエトキシエトキシ)ベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)などの2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−ドデシル−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−C7〜9混合アルコキシカルボニルエチルフェニル)トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3、5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステルなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−アクリロイルオキシエトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−(2−(2−エチルヘキサノイルオキシ)エチルオキシ)フェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−(2−オクタノイルオキシエチル)フェニル)−1,3,5−トリアジンなどの2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2,4−ジ第三アミルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリドなどの置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、テトラキス(α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリロイルオキシメチル)メタンなどのシアノアクリレート類などが挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクトキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ビス(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/ジブロモエタン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル]−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、1,6,11−トリス[2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ−s−トリアジン−6−イルアミノ]ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、ビス(1−ウンデシルオキシー2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネートなどが挙げられる。
その他、本発明には、さらに必要に応じてその他の添加剤、例えば、充填剤、着色剤、架橋剤、帯電防止剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、蛍光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性化剤、離型剤、顔料、加工助剤、酸化防止剤、光安定剤、発泡剤等を配合することができる。
本発明におけるウレア誘導体の合成方法としては、任意の縮合反応で合成可能であり、例えば、酸ハロゲン化合物と対応するアルコールやアミン、ヒドラジン等から得ることが可能である。但し、上記の方法による化合物の合成方法に何ら制限を受けるものではない。
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明するが、以下の方法により限定されるものではない。本発明のフィルムの製造法は、セルロース系樹脂を溶剤に溶解させたドープ液を塗布、乾燥して行われる。ドープ液には必要に応じて各種添加剤を混合することができる。ドープ液中のセルロース系樹脂の濃度は、濃い方が支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロース系樹脂の濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これ等を両立する濃度としては、10〜30質量%が好ましく、更に好ましくは15〜25質量%である。
本発明に係るドープ液の調製に用いる溶剤は、1種単独でもよく、2種以上の併用でもよいが、セルロース系樹脂の良溶剤と貧溶剤とを混合して用いることが生産効率の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が30〜2質量%である。本発明に用いられる良溶剤、貧溶剤については、使用するセルロース系樹脂を単独で溶解するものを良溶剤、単独では膨潤するのみかあるいは溶解し得ないものを貧溶剤と定義する。そのため、セルロース系樹脂の平均酢化度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えば、アセトンは、平均酢化度55%のセルロース系樹脂では良溶剤になり、平均酢化度60%のセルロース系樹脂では貧溶剤となってしまう。このように、良溶剤、貧溶剤はすべての場合に一義的に決まるものではない。本発明において好ましいセルロース系樹脂であるセルローストリアセテートの場合には、良溶剤としては、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類が挙げられ、また、セルロースアセテートプロピオネートの場合には、メチレンクロライド、アセトン、酢酸メチル等が挙げられる。一方、これらの場合、貧溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
上記ドープ液を調製するときのセルロース系樹脂の溶解方法としては、一般的な方法を用いることができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱し、撹拌しながら溶解する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止することができるため、好ましい。また、セルロース系樹脂を貧溶剤と混合し、湿潤あるいは膨潤させた後、さらに良溶剤と混合して溶解する方法も好ましく用いられる。さらに、公知の冷却溶解法を用いてもよい。冷却溶解法を用いる場合には、良溶剤として酢酸メチル、アセトンを用いることができる。加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱による溶剤の蒸気圧の上昇によって行ってもよい。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えば、ジャケットタイプのものは温度コントロールが容易であるため、好ましい。
溶剤を添加した後の加熱温度は、使用溶剤の常圧での沸点以上で、かつ溶剤が沸騰しない範囲の温度が、セルロース系樹脂の溶解度の観点から好ましい。加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり、生産性が悪くなる。好ましい加熱温度の範囲は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70〜105℃が更に好ましい。また、圧力は、設定温度で溶剤が沸騰しないように調整する。加熱後は、得られたセルロース系樹脂溶液を濾紙等の適当な濾材を用いて濾過する。濾材としては、不要物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾材の目詰まりが発生しやすいという問題点が生じる。このため、絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲の濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材が更に好ましい。濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、例えば、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材やステンレス等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく、好ましい。
ドープ液の濾過は通常の方法で行うことができるが、加圧下で、溶剤の常圧での沸点以上でかつ溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾材前後の差圧(以下、濾圧ということがある)の上昇が小さく、好ましい。好ましい濾過の温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃が更に好ましい。濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6×10Pa以下であることが好ましく、1.2×10Pa以下であることがより好ましく、1.0×10Pa以下であることが更に好ましい。
流延(キャスト)工程に用いる支持体は、無端ベルト状もしくはドラム状のステンレスを鏡面仕上げした支持体が好ましい。キャスト工程の支持体の温度は0℃から溶剤の沸点未満の温度までが好ましい。温度が高い方が乾燥速度を速くできるが、あまり高過ぎると発泡し、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜50℃であり、5〜30℃が更に好ましい。支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水バットを支持体に接触させる方法がある。これらの方法のうち、温水バットを用いる方法が、熱の伝達が効率的に行われ、支持体の温度が一定になる時間が短くなるため、好ましい。温風を用いる場合は、目的の温度よりも高い温度の風を使う必要がある。セルロース系樹脂フィルムが良好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残存溶剤量は、10〜120質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜120質量%であり、特に好ましくは20〜30質量%または70〜115質量%である。
本発明においては、残留溶剤量は下記式で定義される。
残留溶剤量=〔(加熱処理前のフィルム質量−加熱処理後のフィルム質量)/(加熱処理後のフィルム質量)〕×100(%)
尚、残留溶剤量を測定する際の加熱処理とは、フィルムを115℃で1時間加熱することをいう。また、セルロース系樹脂フィルムの乾燥工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾燥し、残留溶剤量を3質量%以下にすることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。フィルム乾燥工程では一般にロール懸垂方式か、テンター方式でフィルムを搬送しながら乾燥する方式を採ることができる。
支持体より剥離した直後の残留溶剤量の多い間に、テンター方式で幅保持または延伸を行うことが、寸法安定性向上効果をより発揮するため、好ましい。フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができる。簡便さの点では、熱風で行うことが好ましい。この場合、乾燥温度は40〜150℃の範囲で段階的に高くしていくことが好ましく、寸法安定性を良くするためには50〜140℃で行うことが更に好ましい。
延伸光学補償フィルムとしての膜厚は、薄い方が液晶ディスプレイの薄膜化が容易になるため好ましいが、薄過ぎると、透湿度が増大し、引き裂き強度等が不足する。これ等を両立するセルロース系樹脂フィルムの膜厚としては、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によりなんら制限を受けるものではない。表中の配合量の単位は質量部とする。
≪実施例1〜8、比較例1〜4≫
セルローストリアセテートを100質量部(酢化度61.5%、重合度260)及び下記の表1〜表3記載の添加剤を同表記載の質量部で、メチレンクロライド400質量部とメチルアルコール100質量部とからなる混合溶剤に撹拌しながら均一に溶解させ、各種ドープ液を調製した。次いで、得られたドープ液をガラス板上に約80μmになるように流延し、室温で16時間乾燥させた後、50℃で1時間乾燥させ、さらに120℃で1時間乾燥させ、各種評価フィルムを得た。得られたフィルムの膜厚はいずれも約80μmであった。
<リタデーション測定方法>
得られたフィルムについて、下記式に従い自動複屈折率計RETS−100(大塚電子(株)製)を用いて、25℃、相対湿度60%環境下、波長590nmにおける厚み方向のリタデーション(Rth)を測定した。Rth={(nx+ny)/2−nz}×d[式中,nxはフィルム面内の屈折率が最も大きい方向の屈折率、nyはnxに直角な方向でのフィルム面内の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率、dはフィルムの厚み(nm)を表す。]
<耐ブリード性の評価方法>
得られたフィルムを30mm×40mmの大きさに切り取り、温度85℃、相対湿度90%の恒温恒湿中に120時間放置した。その後フィルム表面を目視で観察し、ブリードの有無を以下の評価基準にて確認した。○:ブリード物が観察されなかった。×:ブリード物が観察された。得られた評価結果を下記の表1〜表3に示す。
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
*1:リタデーション上昇剤無添加
*2:トリフェニルホスフェート
*3:トリアジン系リタデーション上昇剤
Figure 2014224962
Figure 2014224962
Figure 2014224962
上記表1〜表5から明らかなように、本発明のリタデーション上昇剤を使用したいずれの実施例も公知のリタデーション上昇剤を使用した比較例3、4と比較してリタデーション(Rth)の値が大きく、また、汎用改質剤であるトリフェニルホスフェートを使用した比較例2と比較しても優れた光学特性を示すことがわかる。さらに、ポリエステル化合物と併用することによっても、優れた光学特性を有することが明らかである。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるウレア誘導体化合物からなることを特徴とするリタデーション上昇剤。
    Figure 2014224962
    ((1)式中、nは0または1を表し、Zは酸素原子、硫黄原子またはNHを表す。R〜R、R又はRは各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミド基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数7〜20のアリールアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルカノイルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシアルキレンオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルキレンオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルキルカルボニルオキシアルキレンオキシ基を表し、R〜R、R又はRで表される基のうち隣り合う2個の基が連結してそれぞれ結合する炭素原子とともに5員環または6員環を形成していてもよく、この5員環、6員環は置換基を有していてもよい。Rで表される二価の有機基としてはアルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、またはこれらの組み合わせた基が挙げられ、それぞれ置換基を有していてもよい。)
  2. 下記一般式(2)で表されるウレア誘導体化合物からなる請求項1記載のリタデーション上昇剤。
    Figure 2014224962
    Figure 2014224962
    Figure 2014224962
    ((2)式中、Zは酸素原子、硫黄原子またはNHを表す。R及びRは各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜20のアリール基を表し、R〜R17は各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アミド基、上記一般式(3)〜(6)のいずれかで表される置換基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数5〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルカノイルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルコキシアルキレンオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルコキシカルボニルアルキレンオキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数3〜21のアルキルカルボニルオキシアルキレンオキシ基を表し、R、R又はR〜R17で表される基のうち隣り合う2個の基が連結してそれぞれ結合する炭素原子とともに5員環または6員環を形成していてもよく、この5員環、6員環は置換基を有していてもよい。)
  3. 上記一般式(1)又は(2)で表されるR又はRが水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である請求項1又は2記載のリタデーション上昇剤。
  4. セルロース系樹脂100質量部に対し、請求項1〜3のいずれか一項記載のリタデーション上昇剤を0.1〜30質量部配合してなることを特徴とするセルロース系樹脂組成物。
  5. さらに、セルロース系樹脂100質量部に対し、下記(7)〜(9)のいずれか1種以上のポリエステル化合物(セルロースエステルではない)を1〜30質量部含む請求項4記載のセルロース系樹脂組成物。
    (7)多価アルコールと多価カルボン酸からなるポリエステル化合物
    (8)多価アルコールとモノカルボン酸からなるポリエステル化合物
    (9)多価カルボン酸とモノアルコールからなるポリエステル化合物
  6. セルロース系樹脂がセルロースアシレートである請求項4または5記載のセルロース系樹脂組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれか一項記載のセルロース系樹脂組成物を成形してなることを特徴とするフィルム。
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