JP2009169409A - 防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置 - Google Patents

防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置 Download PDF

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【課題】優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置に配置したとき、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現する防眩フィルムならびにそれを適用した防眩性偏光板および画像表示装置を提供する。
【解決手段】樹脂基材フィルム101aと、その表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層102aとを備える防眩フィルムであって、樹脂基材フィルム101aは、透明樹脂からなる透明樹脂層103aと、透明バインダ樹脂およびそれとは異なる屈折率を有する微粒子105aを含有する光拡散層104aとを含む多層構造を有する。ここで、樹脂基材フィルム101aの内部ヘイズは5%以上30%以下である。また、ハードコート層102aは、透光性微粒子106aが分散された透光性樹脂からなり、その表面ヘイズは0.5%以上15%以下であり、内部ヘイズは2%以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、優れた防眩性能を示しながら白ちゃけず、画像表示装置に適用したときにギラツキが発生することなく、高いコントラストを発現し、良好な視認性を与える防眩(アンチグレア)フィルム、ならびに当該防眩フィルムを用いた防眩性偏光板および画像表示装置に関するものである。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ等の画像表示装置は、その表示面に外光が映り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。従来、このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラやデジタルカメラ、反射光を利用して表示を行なう携帯電話等においては、画像表示装置の表面に外光の映り込みを防止するフィルム層が設けられている。このフィルム層には、光学多層膜による干渉を利用した無反射処理技術や表面に微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させて映り込み像をぼかす防眩処理技術が一般的に用いられている。特に、後者の微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させる技術は、比較的安価に製造することができるため、大型モニタやパーソナルコンピュータ等の用途に広く用いられている。
このような防眩フィルムは従来、たとえば、フィラーを分散させた樹脂溶液を基材シート上に塗布し、塗布膜厚を調整してフィラーを塗布膜表面に露出させることでランダムな凹凸を基材シート上に形成する方法などにより製造されている。また、フィラーを含有させずに、透明樹脂層の表面に形成された微細な凹凸だけで防眩性を発現させる試みもある。たとえば、特許文献1(請求項1〜6、段落0043〜0046)には、エンボス鋳型と透明樹脂フィルムとの間に電離放射線硬化性樹脂を挟んだ状態で当該電離放射線硬化性樹脂を硬化させて、三次元10点平均粗さ、および、三次元粗さ基準面上における隣接する凸部同士の平均距離が、それぞれ所定値を満足する微細な凹凸を形成することにより、透明樹脂フィルム上に、当該表面凹凸を有する電離放射線硬化性樹脂層の硬化物層が積層された防眩フィルムが開示されている。しかし、このような従来の防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合、散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる白ちゃけが発生しやすいという問題があった。
また、画像表示装置が高精細化した場合には、画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状が干渉し、結果として輝度分布が発生して見にくくなる、いわゆるギラツキ現象が発生しやすいという問題があった。ギラツキを解消するために、バインダ樹脂と分散フィラーとの間に屈折率差を設けて光を散乱させる試みもあるが、そのような防眩フィルムを画像表示装置に適用した場合には、散乱光によって黒表示の輝度が上がり、結果としてコントラストが低下して視認性を著しく低下させるという問題があった。また、このようなフィラーにより表面凹凸形状が形成された防眩フィルムでは、入射光を散乱させるための表面凹凸形状と、主に光の内部散乱を担う領域とを同時に形成することになるため、分散粒子の粒子径、濃度、屈折率、分散性をバランスさせて設計した上に、製造上、精密な制御が必要であるが、事実上このような設計および制御は困難であった。このような複雑な設計および制御を回避する試みとして、光の内部散乱機能を有する樹脂層の形成と表面凹凸形状の形成とを分離して行なうことが特許文献2に開示されているが、粒子を樹脂溶液に分散させて塗布する方法では、乾燥工程中などに予期せぬ凝集などが起こりやすいという問題があった。
特開2002−189106号公報 特開2007−101912号公報
本発明は、かかる現状に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現する防眩フィルムを提供し、さらには、その防眩フィルムを適用した防眩性偏光板および画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、基材となる樹脂フィルムを少なくとも2層以上の多層構造から構成し、かつ、当該樹脂基材フィルムを構成する層のうち少なくとも1層にバインダ樹脂の屈折率とは異なる屈折率を有する微粒子を含有させた樹脂フィルムを用い、この樹脂フィルム上に、極めて小さい内部ヘイズを有し、表面に微細凹凸形状を有するハードコート層を形成すれば、光の内部散乱の制御と表面凹凸形状の付与を完全に分離することが可能であり、結果として、ギラツキが十分に防止されるとともに、画像表示装置に適用したときにコントラストがほとんど低下しない防眩フィルムが得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに種々の検討を加えて完成されたものである。
すなわち、本発明による防眩フィルムは、樹脂基材フィルムと、該樹脂基材フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、樹脂基材フィルムは、透明樹脂からなる少なくとも1つの透明樹脂層と、透明バインダ樹脂および該透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層とを含む多層構造を有する。ここで、上記樹脂基材フィルムの内部ヘイズは5%以上30%以下である。また、上記ハードコート層は、少なくとも1種の透光性微粒子が分散された透光性樹脂からなり、該ハードコート層の表面ヘイズは0.5%以上15%以下であり、内部ヘイズは2%以下である。
本発明の防眩フィルムにおいて、樹脂基材フィルムの内部ヘイズは10%以上25%以下であり、微細凹凸形状を有するハードコート層の表面ヘイズは0.5%以上5%以下であることが好ましい。
本発明の防眩フィルムを構成するハードコート層は、シリカ系微粒子が分散された透光性樹脂、または、樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなることが好ましい。シリカ系微粒子の重量平均粒子径は、1μm以上5μm以下であることが好ましく、また、透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下の範囲内で含有されることが好ましい。樹脂微粒子を用いる場合、透光性樹脂の屈折率と樹脂微粒子との屈折率の差は、0.01以下であることが好ましい。樹脂微粒子の重量平均粒子径は、2μm以上10μm以下であることが好ましく、また、透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下の範囲内で含有されることが好ましい。
本発明の1つの好ましい実施形態において、樹脂基材フィルムは、1つの透明樹脂層と、該透明樹脂層表面上に積層された1つの光拡散層との2層構造を有する。この場合において、ハードコート層は、光拡散層における、透明樹脂層側とは反対側の表面上に配置される。
また、本発明の別の好ましい実施形態において、樹脂基材フィルムは、2つの透明樹脂層と、該2つの透明樹脂層の間に配置される光拡散層との3層構造を有する。
樹脂基材フィルムの厚みは30μm以上250μm以下であり、微細凹凸形状を有するハードコート層の厚みは2μm以上20μm以下であることが好ましい。また、透明樹脂層を構成する透明樹脂および光拡散層を構成する透明バインダ樹脂は、いずれもアクリル系樹脂であることが好ましい。
光拡散層に含有される微粒子は、重量平均粒子径が4μm以上20μm以下であり、同じく光拡散層に含有される透明バインダ樹脂との屈折率差が0.01以上0.02未満である樹脂粒子であり、該樹脂粒子は、透明バインダ樹脂100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下の範囲内で含有されることが好ましい。
また、本発明の防眩フィルムにおいては、樹脂基材フィルム側から入射角20゜で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(20)が0.0001%以上0.0006%以下であり、樹脂基材フィルム側から入射角30°で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(30)が0.00004%以上0.0002%以下であることが好ましい。また、ハードコート層側から入射角30゜で光を入射したときに、反射角30゜の反射率R(30)が0.05%以上2%以下であり、反射角40゜の反射率R(40)が0.0001%以上0.005%以下であり、反射角50゜の反射率R(50)が0.00001%以上0.0005%以下であることが好ましい。
本発明の防眩フィルムは、ハードコート層の凹凸表面上に、低反射膜をさらに有していてもよい。
また本発明により、上記いずれかに記載の防眩フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせてなる防眩性偏光板であって、該偏光フィルムは、防眩フィルムの樹脂基材フィルム側に配置される防眩性偏光板が提供される。
本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、液晶表示素子やプラズマディスプレイパネルなどの画像表示素子と組み合わせて、画像表示装置とすることができる。すなわち、本発明によれば、上記いずれかに記載の防眩フィルムまたは上記防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、防眩フィルムまたは防眩性偏光板が、そのハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置される画像表示装置が提供される。
本発明の防眩フィルムは、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現し得る。かかる本発明の防眩フィルムを偏光フィルムと組み合わせた防眩性偏光板も、同様の効果を発現する。そして、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を配置した画像表示装置は、防眩性能が高く、視認性に優れたものとなる。
<防眩フィルム>
図1は、本発明の防眩フィルムの好ましい例を示す断面模式図である。図1(a)に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム101aと、樹脂基材フィルム101a表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層102aとを備える。ハードコート層102aは、透光性樹脂中に透光性微粒子106aが分散されてなる。樹脂基材フィルム101aは、2つの透明樹脂層103aと、これら2つの透明樹脂層103aの間に配置される光拡散層104aとの3層構造からなる。光拡散層104aには、光拡散層104aの基材となる透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子105aが分散されている。図1(b)に示される防眩フィルムは、樹脂基材フィルム101bと、樹脂基材フィルム101b表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層102bとを備える。ハードコート層102bは、透光性樹脂中に透光性微粒子106bが分散されてなる。樹脂基材フィルム101bは、1つの透明樹脂層103bと、透明樹脂層103b表面上に積層された1つの光拡散層104bとの2層構造を有する。ハードコート層102bは、光拡散層104bにおける、透明樹脂層103b側とは反対側の表面上に配置される。また、光拡散層104bには、光拡散層104bの基材となる透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子105bが分散されている。
上記好ましい例によって示されるように、本発明の防眩フィルムは、樹脂基材フィルムと、該樹脂基材フィルム表面上に積層された、微細な凹凸表面を有するハードコート層とを備えており、かつ内部散乱機能を樹脂基材フィルムに持たせる一方、ハードコート層から内部散乱機能を無くすかまたはほぼ無くし、主に表面反射特性のみを付与した構成としている。かかる構成により、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御することが可能となり、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけによる視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現する防眩フィルムを容易に得ることができる。以下、樹脂基材フィルムおよびハードコート層について詳細に説明する。
(樹脂基材フィルム)
樹脂基材フィルムは、透明樹脂からなる少なくとも1つの透明樹脂層と、透明バインダ樹脂および該透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層とを含む多層構造を有しており、その内部ヘイズは5%以上30%以下とされる。ここで、樹脂基材フィルムの「内部ヘイズ」とは、樹脂基材フィルムの一方の面を光学的に透明な粘着剤またはグリセリンを用いてガラス基板に貼合し、続いてもう一方の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを光学的に透明な粘着剤またはグリセリンを用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に示される方法に準拠して測定されたヘイズと定義される。このように、ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムとで挟持されることにより、樹脂基材フィルムの反りが防止されるとともに、樹脂基材フィルム表面形状に起因するヘイズが考慮されなくなるため、樹脂基材フィルムの内部ヘイズが測定されることとなる。
樹脂基材フィルムの内部ヘイズは、5%以上であり、好ましくは10%以上である。内部ヘイズを5%以上にすることにより、ギラツキを解消することができ、10%以上とすることにより、より効果的にギラツキを解消することができる。また、樹脂基材フィルムの内部ヘイズは30%以下である。樹脂基材フィルムのヘイズが30%を上回ると、画像表示装置に適用したときに、結果として画面が暗くなり、視認性が損なわれる傾向にある。十分な明るさを確保するためには、内部ヘイズを25%以下とすることが好ましく、20%以下とすることがより好ましい。なお、後で詳細を説明するように、本発明の防眩フィルムでは、散乱によるギラツキ防止能を樹脂基材フィルムに持たせているため、微細凹凸形状を有するハードコート層の内部ヘイズは、本質的には不必要であり、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御するためには、実質的にゼロとすることが好ましい。
樹脂基材フィルムを構成する透明樹脂層に用いられる透明樹脂および光拡散層に用いられる透明バインダ樹脂には、実質的に光学的に透明な樹脂を用いる。そのような樹脂の例として、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂などを挙げることができる。透明樹脂層を構成する透明樹脂と光拡散層に用いられる透明バインダ樹脂とは、同じであってもよいし、異なる材料であってもよい。このような樹脂の中でも、透明性や耐候性に優れ、表面硬度も高いアクリル系樹脂を用いることが好ましい。ここで、本発明においてアクリル系樹脂とは、メタクリル樹脂および必要に応じて添加される添加剤等を混合し、溶融混練して得られた材料のことを意味する。
上記メタクリル樹脂とは、メタクリル酸エステルを主体とする重合体である。メタクリル樹脂は、1種類のメタクリル酸エステルの単独重合体であってもよいし、メタクリル酸エステルと他のメタクリル酸エステルやアクリル酸エステル等との共重合体であってもよい。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸アルキルが挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜4程度である。また、メタクリル酸エステルと共重合し得るアクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルが好ましく、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8程度である。これらの他、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも1個有する化合物であるスチレンのような芳香族ビニル化合物や、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等を共重合体中に含んでいてもよい。
アクリル系樹脂は、フィルムの耐衝撃性や製膜性の点で、アクリルゴム粒子を含有することが好ましい。アクリル系樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。アクリルゴム粒子の量の上限は臨界的ではないが、アクリルゴム粒子の量があまり多いと、フィルムの表面硬度が低下し、またフィルムに表面処理を施す場合、表面処理剤中の有機溶剤に対する耐溶剤性が低下する。したがって、アクリル系樹脂に含まれ得るアクリルゴム粒子の量は、80重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以下である。
上記アクリルゴム粒子は、アクリル酸エステルを主体とする弾性重合体を必須成分とする粒子であり、実質的にこの弾性重合体のみからなる単層構造のものであってもよいし、この弾性重合体を1つの層とする多層構造のものであってもよい。この弾性重合体として、具体的には、アクリル酸アルキル50〜99.9重量%と、これと共重合可能な他のビニル系単量体を少なくとも1種類0〜49.9重量%と、共重合性の架橋性単量体0.1〜10重量%とからなる単量体の重合により得られる架橋弾性共重合体が、好ましく用いられる。
上記アクリル酸アルキルとしては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等が挙げられ、そのアルキル基の炭素数は通常1〜8程度である。また、上記アクリル酸アルキルと共重合可能な他のビニル系単量体としては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を1個有する化合物を挙げることができ、より具体的には、メタクリル酸メチルのようなメタクリル酸エステル、スチレンのような芳香族ビニル化合物、アクリロニトリルのようなビニルシアン化合物等が挙げられる。また、上記共重合性の架橋性単量体としては、分子内に重合性炭素−炭素二重結合を少なくとも2個有する架橋性の化合物を挙げることができ、より具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートやブタンジオールジ(メタ)アクリレートのような多価アルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリルや(メタ)アクリル酸メタリルのような(メタ)アクリル酸のアルケニルエステル、ジビニルベンゼン等が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとはメタクリレートまたはアクリレートをいい、(メタ)アクリル酸とはメタクリル酸またはアクリル酸をいう。
また、フィルムの加工性が良好であることから、光拡散層を構成する透明バインダ樹脂として、ポリカーボネート系樹脂も好ましく用いられる。ここで、ポリカーボネート系樹脂とは、芳香族ポリカーボネートを指す。ポリカーボネート系樹脂は、たとえば、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮合法または溶融エステル交換法により反応させる方法;カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させる方法;および、環状カーボネート化合物の開環重合法により重合させる方法などに得ることができる。
上記二価フェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエステル等が挙げられる。これらの二価フェノールは、単独または2種以上を混合して使用することができる。
なかでも、ビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンからなる群より選ばれた少なくとも1種の二価フェノールより得られる単独重合体または共重合体が好ましく、特に、ビスフェノールAの単独重合体、ならびに、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンとビスフェノールA、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパンおよびα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼンから選択される少なくとも1種の二価フェノールとの共重合体が好ましく使用される。
上記カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
透明樹脂層に用いられる透明樹脂および光拡散層に用いられる透明バインダ樹脂には、通常の添加剤、たとえば、紫外線吸収剤、有機系染料、顔料、無機系色素、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤等を含有させてもよい。中でも紫外線吸収剤は、耐候性を高めるうえで好ましく用いられる。紫外線吸収剤の例としては、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのような2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤;p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。アクリル系樹脂に紫外線吸収剤が含まれる場合、その量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、また好ましくは2重量%以下である。
光拡散層に分散される微粒子は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、硝子、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の無機粒子、およびこれら無機粒子に脂肪酸等で表面処理を施したものなどの無機系粒子であってもよいが、無機系粒子は、一般的に粒度分布が大きく、透明バインダ樹脂中で十分に分散しにくく、また、透明バインダ樹脂との屈折率差が大きいため光透過性を低下させやすい傾向にあることから、樹脂粒子を用いることが好ましい。当該微粒子の屈折率は、光拡散機能を付与するために、透明バインダ樹脂の屈折率とは異なる値を有していることが必要であり、両者の屈折率差は、0.01以上であるのが好ましい。また、適当な内部ヘイズ値を確保するためには、この屈折率差をあまり大きくしない方が好ましく、たとえば、両者の屈折率差は、0.02未満であるのが好ましい。微粒子の屈折率は、用いられる透明バインダ樹脂の種類等を考慮して適宜選択されるが、上記したような透明バインダ樹脂を用いる場合、微粒子の屈折率は、1.43以上1.6以下の範囲から選択することが好ましい。透明バインダ樹脂に上記アクリル系樹脂を用いる場合には、アクリル系樹脂の屈折率が一般的に1.49程度であることから、微粒子の屈折率は、1.47〜1.51程度の範囲から、上記の条件を満たすように選択することが好ましい。また、透明バインダ樹脂にポリカーボネート系樹脂を用いる場合には、ポリカーボネート系樹脂の屈折率が1.58程度であることから、微粒子の屈折率は1.56〜1.6程度の範囲から、上記の条件を満たすように選択することが好ましい。
上記微粒子は、散乱の等方性、均一性を考慮すると、球形またはほぼ球形であることが好ましい。また、表面に微細な凹凸があるような形状および無定形である粒子は、粒径より小さい表面の微細凹凸などの構造に起因して予期せぬ散乱が発生する可能性があるため、好ましくない。微粒子の重量平均粒子径は、4μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは5μm以上12μm以下である。微粒子の重量平均粒子径が4μmを下回る場合には、広角側の散乱光強度が上昇し、結果として、画像表示装置に適用したときにコントラストを低下させる傾向にある。また、その重量平均粒子径が20μmを上回る場合には、要求する散乱効果が得られない場合があり、あるいは要求する散乱効果を得るためには樹脂基材フィルムを厚くする必要が生じ得る。
好ましく用いられる微粒子の具体的な例を挙げれば、球形またはほぼ球形の樹脂ビーズであり、かかる好適な樹脂ビーズとしては、たとえば、メラミンビーズ(屈折率1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率1.59)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率1.46)などを挙げることができる。
光拡散層において上記微粒子は、透明バインダ樹脂100重量部に対して、5重量部以上20重量部以下含有されることが好ましい。微粒子の含有量が5重量部未満であると、均一で十分な内部散乱が得られず、防眩フィルムとしたときにギラツキが発生する傾向にある。また、微粒子の含有量が20重量部を超えると、内部散乱が大きくなり、結果としてヘイズが高くなって、画像表示装置に適用したときに画面が暗くなり、視認性が損なわれる上に、広角側の散乱光強度も上昇し、画像表示装置に適用したときにコントラストを低下させる傾向にある。
樹脂基材フィルムの厚みは30μm以上250μm以下であることが好ましく、より好ましくは、40μm以上170μm以下である。樹脂基材フィルムの厚みが30μm未満である場合には、本発明で要求する十分な散乱特性を得ることが難しいことがある。また、樹脂基材フィルムの厚みが250μmを上回ることは最近の画像表示装置の薄型化への要求およびコスト等の観点から好ましくない。防眩フィルム全体の厚みを薄くする観点からは、150μm以下、さらには120μm以下とするのがより好ましい。透明樹脂層の厚みは、特に制限されないが、たとえば10μm以上50μm以下とすることができ、好ましくは15μm以上40μm以下である。また、光拡散層の厚みは、特に制限されないが、たとえば20μm以上150μm以下とすることができ、好ましくは30μm以上90μm以下である。
光拡散層を形成するために用いられる樹脂組成物は、上記透明バインダ樹脂(たとえばメタクリル樹脂、アクリルゴム粒子およびその他添加剤など)と上記微粒子とを混合し、溶融混練することにより得ることができる。
透明樹脂層を構成する透明樹脂および光拡散層を構成する上記微粒子を含有する樹脂組成物から、本発明に用いる樹脂基材フィルムを得るための方法としては、たとえば、フィードブロックを用いる方法、マルチマニホールドダイを用いる方法等、一般に知られる種々の方法を用いることができる。中でも、たとえばフィードブロックを介して積層し、Tダイから多層溶融押出成形し、得られる積層フィルム状物の少なくとも片面をロールまたはベルトに接触させて製膜する方法は、表面性状の良好なフィルムが得られる点で好ましい。とりわけ、樹脂基材フィルムの表面平滑性および表面光沢性を向上させる観点からは、上記多層溶融押出成形して得られる積層フィルム状物の両面をロール表面またはベルト表面に接触させてフィルム化する方法が好ましい。この際に用いるロールまたはベルトにおいて、透明樹脂層を構成する透明樹脂と接するロール表面またはベルト表面は、フィルム表面への平滑性付与のために、その表面が鏡面となっているものが好ましい。
樹脂基材フィルムは、図1(a)に示されるように、2つの透明樹脂層によって光拡散層が挟持された3層構造とすることができ、あるいは図1(b)に示されるように、透明樹脂層とその上に積層された光拡散層とからなる2層構造とすることもできる。これらのなかでは、図1(a)に示されるような3層構造とすることが好ましい。2層構造である場合には、樹脂基材フィルムのいずれかの面に光拡散層表面が露出することになり、表面の平滑性が悪化し、ハードコート層の微細凹凸形状に予期せぬ影響を与えたり、または、画像表示装置に貼り合わせて使用する際に貼合気泡などの不都合が発生したりする可能性あるためである。また、光拡散層の表面が露出しないように、透明樹脂層と光拡散層とを交互に配置して3層以上の積層体からなる樹脂基材フィルムを得ることも可能であるが、コスト等に鑑みると、3層構造とすることが好ましい。
(ハードコート層)
本発明の防眩フィルムに用いられる、表面に微細凹凸形状を有するハードコート層は、上記樹脂基材フィルム表面上に積層されるものであり、少なくとも1種の透光性微粒子が分散された透光性樹脂(ハードコート樹脂)からなる。本発明において、ハードコート層の表面ヘイズは、0.5%以上15%以下とされ、内部ヘイズは2%以下とされる。ここで、ハードコート層の表面ヘイズおよび内部ヘイズは、次のようにして測定される。すなわち、まず、該ハードコート層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、ハードコート層全体のヘイズに相当する。次に、ハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、表面凹凸に起因する表面ヘイズが表面凹凸上に貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、ハードコート層の「内部ヘイズ」とみなすことができる。したがって、ハードコート層の「表面ヘイズ」は、下記式(1)より求められる。
表面ヘイズ=全体のヘイズ−内部ヘイズ (1)
上記したように、本発明においては、内部散乱特性と反射特性とを独立に制御するために、内部散乱特性が主に樹脂基材フィルムに付与されることから、ハードコート層の内部ヘイズは2%以下である。ハードコート層の内部ヘイズを実質的に0%とした場合、ハードコート層の全体ヘイズは、実質、表面ヘイズのみからなる。ハードコート層の表面ヘイズは、白ちゃけを抑制する観点から、15%以下とされ、より効果的に白ちゃけを抑えるためには5%以下であることが好ましい。ただし、0.5%を下回る場合には十分な防眩性を示さないことから好ましくない。
本発明において、上記した光学特性を満たす表面凹凸が付与されたハードコート層は、少なくとも1種の透光性微粒子および透光性樹脂を用いて形成される。より具体的には、このようなハードコート層は、たとえば、フィラーとしての透光性微粒子を分散させた透光性樹脂溶液を樹脂基材フィルム上に塗布し、塗布膜厚を調整して、透光性微粒子の部分が凸となるようにすることで形成できる。なお、本発明において、「透光性」とは、物質内部での散乱の有無を問わず、光がほぼ透過できることを意味する。
ハードコート層に分散される透光性微粒子としては、ハードコート層の内部ヘイズを2%以下とするために、シリカ系微粒子または樹脂微粒子を用いることが好ましい。シリカ系微粒子の好ましい一例としては、一次粒子の粒径が可視光の波長よりも小さい(100nm以下程度)無定形シリカがある程度凝集している多孔質シリカ二次粒子を挙げることができる。このような多孔質シリカ粒子としては、市販されている「サイリシア」、「サイロホービック」(いずれも富士シリシア化学(株)製)などを好適に用いることができる。
シリカ系微粒子の重量平均粒子径(上述のとおり、二次粒子となった状態のもの)は、1μm以上5μm以下であることが好ましく、2μm以上4μm以下であることがより好ましい。重量平均粒子径が1μm未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなる傾向があり、重量平均粒子径が5μmを超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
また、シリカ系微粒子は、透光性樹脂100重量部に対して1重量部以上5重量部以下の範囲内でハードコート層に含有されることが好ましい。より好ましくは、透光性樹脂100重量部に対して2重量部以上5重量部以下の範囲内で含有される。シリカ系微粒子の含有量が1重量部未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなったり、表面凹凸が疎となって質感が低下したりする傾向がある。また、シリカ系微粒子の含有量が5重量部を超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
ハードコート層を形成する透光性微粒子として樹脂微粒子を用いる場合には、ハードコート層の内部ヘイズを2%以下とするために、樹脂微粒子の屈折率とハードコート層の基材となる透光性樹脂(ハードコート樹脂)の屈折率の差が0.01以下となるような樹脂微粒子を選択することが好ましい。透光性樹脂は、1.50前後の屈折率を示す樹脂から選択されることが多いことから、上記屈折率差が0.01以下となるような樹脂微粒子としては、たとえば、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率1.50〜1.59)、ポリエチレンビーズ(屈折率1.53)などを挙げることができる。
樹脂微粒子の重量平均粒子径は、2μm以上10μm以下であることが好ましく、4μm以上8μm以下であることがより好ましい。重量平均粒子径が2μm未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなる傾向があり、重量平均粒子径が10μmを超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
また、樹脂微粒子は、透光性樹脂100重量部に対して1重量部以上15重量部以下の範囲内でハードコート層に含有されることが好ましい。より好ましくは、透光性樹脂100重量部に対して3重量部以上10重量部以下の範囲内で含有される。樹脂微粒子の含有量が1重量部未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなったり、表面凹凸が疎となって質感が低下したりする傾向がある。また、樹脂微粒子の含有量が15重量部を超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
透光性微粒子を分散させる透光性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性、硬度などの観点から紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。紫外線硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができる。たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレートの単独または2種以上と、「イルガキュアー 907」、「イルガキュアー 184」(以上、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、「ルシリン TPO」(BASF社製)等の光重合開始剤との混合物を、紫外線硬化性樹脂とすることができる。たとえば紫外線硬化性樹脂を用いた場合においては、紫外線硬化性樹脂に透光性微粒子を分散した後、該樹脂組成物を樹脂基材フィルム上に塗布し、紫外線を照射することにより、透光性樹脂(ハードコート樹脂)中に透光性微粒子が分散された、ハードコート層を形成することができる。
ハードコート層の厚みは、表面ヘイズが上記範囲内となるように適宜調整し得るものであるが、2μm以上20μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みが2μm未満であると、十分な硬度が得られず、傷付きやすくなる傾向にあり、また、20μmより厚くなると、割れやすくなったり、ハードコート層の硬化収縮により防眩フィルムがカールして生産性が低下したりする傾向がある。また、ハードコート層の厚みは、一般的には、分散される透光性微粒子の重量平均粒子径に対して85%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。ハードコート層の厚みが透光性微粒子の重量平均粒子径の85%を下回る場合には表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムが白ちゃけて視認性が低下する傾向がある。
以上のような樹脂基材フィルムとハードコート層との積層体である本発明の防眩フィルムは、樹脂基材フィルム側から入射角20゜で光を入射したときにハードコート層側法線方向で観測される相対散乱光強度T(20)が0.0001%以上0.0006%以下の値を示し、樹脂基材フィルム側から入射角30°で光を入射したときにハードコート層側法線方向で観測される相対散乱光強度T(30)が0.00004%以上0.0002%以下の値を示すことが好ましい。ここで、樹脂基材フィルム側から入射角20゜で光を入射したとき、および入射角30°で光を入射したときの、ハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(20)およびT(30)について説明する。
図2は、樹脂基材フィルム側(ハードコート層の凹凸面とは反対側)から光を入射し、ハードコート層側(凹凸面側)法線方向における散乱光強度を測定するときの、光の入射方向と透過散乱光強度測定方向とを模式的に示した斜視図である。図2を参照して、防眩フィルム201の樹脂基材フィルム側で法線202からある角度φ(入射角とする)で入射した光203に対し、ハードコート層側の法線202方向に透過する透過散乱光204の強度を測定し、その透過散乱光強度を光源の光強度で除した値を相対散乱光強度T(φ)とする。すなわち、防眩フィルム201の樹脂基材フィルム側で法線202から20°の角度で光203を入射したときに、ハードコート層側法線202方向で観測される透過散乱光204の強度を光源の光強度で除した値がT(20)であり、防眩フィルム201の樹脂基材フィルム側で法線202から30°の角度で光203を入射したときに、ハードコート層側法線202方向で観測される透過散乱光204の強度を光源の光強度で除した値がT(30)である。なお、光203は、樹脂基材フィルム側から入射される光203の方向と防眩フィルムの法線202とが同一平面(図2における平面209)上となるように入射される。
20°入射のときの相対散乱光強度T(20)が0.0006%を上回る場合には、この防眩フィルムを画像表示装置に適用したときに、散乱光によって黒表示時の輝度が上昇し、コントラストを低下させる。また、20°入射のときの相対散乱光強度T(20)が0.0001%を下回る場合には、散乱効果が低く、高精細な画像表示装置に適用したときにギラツキが発生する。同様に、30°入射のときの相対散乱光強度T(30)が0.0002%を上回る場合にも、この防眩フィルムを画像表示装置に適用したときに、散乱光によって黒表示時の輝度が上昇し、コントラストを低下させる。また、30°入射のときの相対散乱光強度T(30)が0.00004%を下回る場合にも、散乱効果が低く、高精細な画像表示装置に適用したときにギラツキが発生する。特に、防眩フィルムを自発光型ではない液晶ディスプレイに適用したときには、黒表示時の光漏れに起因する散乱による輝度上昇効果が大きいため、相対散乱光強度T(20)およびT(30)が上記好ましい範囲を上回ると、コントラストを顕著に低下させ、視認性を損なう結果となる。
図3は、本発明の防眩フィルム(図2における防眩フィルム201)の樹脂基材フィルム側からの入射角φを変えて測定される相対散乱光強度(対数目盛)を入射角φに対してプロットしたグラフの一例である。このような入射角と相対散乱光強度との関係を表すグラフ、またはそれから読み取られる入射角毎の相対散乱光強度を、透過散乱プロファイルと呼ぶことがある。このグラフに示されるように、相対散乱光強度は入射角0゜でピークを示し、入射される光203の法線方向からの角度が大きくなるほど、散乱光強度は低下する傾向にある。なお、入射角のプラス(+)とマイナス(−)は、法線方向(0°)を中心に、入射される光203の方向と法線202を含む平面209内での入射光の傾きによって定まるものである。したがって、透過散乱プロファイルは、入射角0°を中心に、左右対称に現れるのが通例である。図3に示す透過散乱プロファイルの例では、0°入射のときの相対散乱光強度T(0)が約15%でピークを示し、20°入射のときの相対散乱光強度T(20)が約0.0003%、30°入射のときの相対散乱光強度T(30)が約0.00006%となっている。
防眩フィルムの相対散乱光強度を測定するにあたっては、0.001%以下の相対散乱光強度を精度良く測定することが必要である。そこで、ダイナミックレンジの広い検出器の使用が有効である。このような検出器としては、たとえば、市販の光パワーメーターなどを用いることができ、この光パワーメーターの検出器前にアパーチャーを設け、防眩フィルムを見込む角度が2°になるようにした変角光度計を用いて測定を行なうことができる。入射光には380〜780nmの可視光線を用いることができ、測定用光源としては、ハロゲンランプ等の光源から出た光をコリメートしたものを用いてもよいし、レーザーなどの単色光源で平行度の高いものを用いてもよい。また、防眩フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて、凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから測定に供することが好ましい。
上記に鑑み、本発明において規定する相対散乱光強度T(20)およびT(30)は、次のようにして測定される。防眩フィルムを、その凹凸面が表面となるようガラス基板に貼合し、そのガラス面側でフィルム法線に対して所定の角度傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、防眩フィルム凹凸面側でフィルム法線方向の透過散乱光強度を測定する。透過散乱光強度の測定には、T(20)およびT(30)のいずれについても横河電機(株)製の「3292 03 オプティカルパワーセンサー」および「3292 オプティカルパワーメーター」を用いる。
図4は、相対散乱光強度T(20)およびT(30)と、コントラストとの関係を示す図である。図4から明らかなように相対散乱光強度T(20)が0.0006%を超えるかまたはT(30)が0.0002%を超えると、コントラストが10%以上低下し、視認性を損なう傾向にあることがわかる。なお、コントラストは次の手順で測定した。まず、市販の液晶テレビ(シャープ(株)製の「LC−42GX1W」)から背面側および表示面側の偏光板を剥離し、それらオリジナル偏光板の代わりに、背面側および表示面側とも、住友化学(株)製の偏光板「スミカラン SRDB31E」を、それぞれの吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と一致するように粘着剤を介して貼合し、さらに表示面側偏光板の上には、種々の散乱光強度を示す本発明に係る防眩フィルムと同様の構成を有する防眩フィルムを凹凸面が表面となるように粘着剤を介して貼合した。次に、こうして得られた液晶テレビを暗室内で起動し、(株)トプコン製の輝度計「BM5A」型を用いて、黒表示状態および白表示状態における輝度を測定し、コントラストを算出した。ここでコントラストは、黒表示状態の輝度に対する白表示状態の輝度の比で表される。
また、本発明の防眩フィルムは、ハードコート層側から入射角30゜で光を入射したときに、反射角30゜の反射率R(30)が0.05%以上2%以下であり、反射角40゜の反射率R(40)が0.0001%以上0.005%以下であり、そして反射角50゜の反射率R(50)が0.00001%以上0.0005%以下であることが好ましい。反射率R(30)、反射率R(40)および反射率R(50)を上記範囲内とすることにより、優れた防眩性能を示しつつ、白ちゃけがより効果的に抑制された防眩フィルムが提供される。
ここで、ハードコート層側から入射角30°で光を入射したときの角度毎の反射率について説明する。図5は、反射率を求めるときの防眩フィルムに対するハードコート層側からの光の入射方向と反射方向とを模式的に示した斜視図である。図5を参照して、防眩フィルム501のハードコート層側で法線502から30°の角度で入射した光505に対し、反射角30°の方向、すなわち、正反射方向506への反射光の反射率(つまり正反射率)をR(30)とする。また、任意の反射角θで反射した光507のうち、θ=40°の反射光の反射率、θ=50°の反射光の反射率をそれぞれ、R(40)、R(50)とする。なお、反射率を測定するときの反射光の方向(正反射方向506および反射角θで反射した光507の反射方向)は、入射した光505の方向と法線502とを含む平面509内とする。
正反射率R(30)が2%を超えると、十分な防眩機能が得られず、視認性が低下する傾向にある。一方、正反射率R(30)があまり小さすぎても、白ちゃけが発生する傾向を示すことから、0.05%以上であるのが好ましい。正反射率R(30)は、1.5%以下、とりわけ0.7%以下であるのがより好ましい。また、R(40)が0.005%を上回るか、またはR(50)が0.0005%を上回ると、防眩フィルムに白ちゃけが発生してしまい、視認性が低下する傾向にある。すなわち、たとえば、表示装置の最前面に防眩フィルムを設置した状態で表示面に黒を表示した場合でも、周囲からの光を拾って表示面が全体的に白くなる白ちゃけが発生してしまう傾向にある。そのため、R(40)およびR(50)はあまり大きくならないようにするのが好ましい。一方、これらの角度における反射率があまり小さすぎても、十分な防眩性を示さなくなることから、R(40)は一般に0.0001%以上であるのが好ましく、R(50)は一般に0.00001%以上であるのが好ましい。R(50)は、より好ましくは0.0001%以下である。
図6は、本発明の防眩フィルム(図5における防眩フィルム501)のハードコート層側で法線502から30゜の角度で入射した光505に対する反射角θで反射した光507の、反射角θと反射率(反射率は対数目盛)との関係をプロットしたグラフの一例である。このような反射角と反射率の関係を表すグラフ、またはそれから読み取られる反射角毎の反射率を、反射プロファイルと呼ぶことがある。このグラフに示す如く、正反射率R(30)は30゜で入射した光505に対する反射率のピークであり、正反射方向から角度がずれるほど反射率は低下する傾向にある。図6に示す反射プロファイルの例では、正反射率R(30)が約0.4%、R(40)が約0.001%、そしてR(50)が約0.00003%となっている。
防眩フィルムの反射率を測定するにあたっては、相対散乱光強度と同様に0.001%以下の反射率を精度良く測定することが必要である。そこで、ダイナミックレンジの広い検出器の使用が有効である。このような検出器としては、たとえば、市販の光パワーメーターなどを用いることができ、この光パワーメーターの検出器前にアパーチャーを設け、防眩フィルムを見込む角度が2°になるようにした変角光度計を用いて測定を行なうことができる。入射光としては、380〜780nmの可視光線を用いることができ、測定用光源としては、ハロゲンランプ等の光源から出た光をコリメートしたものを用いてもよいし、レーザーなどの単色光源で平行度の高いものを用いてもよい。裏面が平滑で透明な防眩フィルムの場合は、防眩フィルム裏面からの反射が測定値に影響を及ぼすことがあるため、たとえば、黒色のアクリル樹脂板に防眩フィルムの平滑面を粘着剤または水やグリセリン等の液体を用いて光学密着させることにより、防眩フィルム最表面の反射率のみが測定できるようにするのが好ましい。
上記に鑑み、本発明において規定する反射率R(30)、R(40)およびR(50)は、次のようにして測定される。防眩フィルムの凹凸面に、フィルム法線に対して30゜傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、フィルム法線と光入射方向とを含む平面内における反射率の角度変化の測定を行なう。反射率の測定には、いずれも横河電機(株)製の「3292 03 オプティカルパワーセンサー」および「3292 オプティカルパワーメーター」を用いる。
本発明の防眩フィルムは、その最表面、すなわちハードコート層の凹凸面側に低反射膜を有していてもよい。低反射膜がない状態でも、十分な防眩機能を発揮するが、最表面に低反射膜を設けることにより、防眩性をさらに向上させることができる。低反射膜は、ハードコート層の上に、それよりも屈折率の低い低屈折率材料の層を設けることにより形成できる。そのような低屈折率材料として、具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、氷晶石(3NaF・AlF3またはNa3AlF6)等の無機材料微粒子を、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料;フッ素系またはシリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等の有機系低反射材料を挙げることができる。
<防眩性偏光板>
本発明の防眩フィルムは、防眩効果に優れ、白ちゃけも有効に防止され、ギラツキの発生およびコントラストの低下を効果的に抑制できるため、画像表示装置に装着したときに視認性に優れたものとなる。画像表示装置が液晶ディスプレイである場合には、この防眩フィルムを偏光板に適用することができる。すなわち、偏光板は一般に、ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された形のものが多いが、その一方の保護フィルムを本発明の防眩フィルムで構成する。偏光フィルムと、本発明の防眩フィルムとを、その防眩フィルムの樹脂基材フィルム側で貼り合わせることにより、防眩性偏光板とすることができる。この場合、偏光フィルムの他方の面は、何も積層されていない状態でもよいし、別の保護フィルムまたは光学フィルムが積層されていてもよいし、また液晶セルに貼合するための粘着剤層が形成されていてもよい。また、偏光フィルムの少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板の当該保護フィルム上に、本発明の防眩フィルムをその樹脂基材フィルム側で貼合して、防眩性偏光板とすることもできる。さらに、少なくとも片面に保護フィルムが貼合された偏光板において、当該保護フィルムとして上記樹脂基材フィルムを偏光フィルムに貼合した後、樹脂基材フィルム上に上記ハードコート層を形成することにより、防眩性偏光板とすることもできる。
<画像表示装置>
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示素子と組み合わせたものである。ここで、画像表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行なう液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を適用することができる。本発明の画像表示装置においては、防眩フィルムは、画像表示素子よりも視認側に配置される。この際、防眩フィルムの凹凸面、すなわちハードコート層側が外側(視認側)となるように配置される。防眩フィルムは、画像表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを画像表示素子とする場合は、たとえば先述のように、偏光フィルムを介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。このように、本発明の防眩フィルムを備えた画像表示装置は、防眩フィルムの有する表面の凹凸により入射光を散乱して映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与える。
また、本発明の防眩フィルムは、高精細の画像表示装置に適用した場合でも、従来の防眩フィルムに見られたようなギラツキが発生することもなく、十分な映り込み防止、白ちゃけの防止、ギラツキの抑制、コントラストの低下抑制という性能を兼備したものとなる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り重量基準である。また、以下の例における防眩フィルムの評価方法は、次のとおりである。
(1)防眩フィルムの光学特性の測定
(1−1)ヘイズ
2つの透明樹脂層によって光拡散層が挟持された3層構造の樹脂基材フィルム(樹脂基材フィルム(A)、(B)、(E))または透明樹脂層からなる単層構造の樹脂基材フィルム(樹脂基材フィルム(D))の内部ヘイズは、樹脂基材フィルムの一方の面を光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、続いてもう一方の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムを光学的に透明な粘着剤を用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定した。透明樹脂層とその上に積層された光拡散層とからなる2層構造の樹脂基材フィルム(樹脂基材フィルム(C))の内部ヘイズは、樹脂基材フィルムの透明樹脂層側の面を光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、続いて光拡散層側の面にヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、該ガラス基板とトリアセチルセルロースフィルムで挟持された樹脂基材フィルムについて、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて測定した。また、ハードコート層に関しては、まず、ハードコート層をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、該積層フィルムとガラス基板とを、光学的に透明な粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7136に準拠した(株)村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」型を用いて全体のヘイズを測定した。次に、ハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠して、内部ヘイズを測定した。表面ヘイズは、上記式(1)に基づいて算出した。
(1−2)透過散乱プロファイル
防眩フィルムを、その凹凸面が表面となるようガラス基板に貼合し、そのガラス面側でフィルム法線に対して所定の角度傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、防眩フィルム凹凸面側でフィルム法線方向の透過散乱光強度を測定した。透過散乱光強度の測定には、いずれも横河電機(株)製の「3292 03 オプティカルパワーセンサー」および「3292 オプティカルパワーメーター」を用いた。
(1−3)反射プロファイル
防眩フィルムの凹凸面に、フィルム法線に対して30゜傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、フィルム法線と照射方向を含む平面内における反射率の角度変化の測定を行なった。反射率の測定には、いずれも横河電機(株)製の「3292 03 オプティカルパワーセンサー」および「3292 オプティカルパワーメーター」を用いた。
(1−4)透過鮮明度
JIS K 7105に準拠したスガ試験機(株)製の写像性測定器「ICM−1DP」を用いて、防眩フィルムの透過鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。この状態でガラス側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である。この場合の透過鮮明度の最大値は400%となる。
(1−5)反射鮮明度
上と同じ写像性測定器「ICM−1DP」を用いて、防眩フィルムの反射鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。また、裏面ガラス面からの反射を防止するために、防眩フィルムを貼ったガラス板のガラス面に2mm厚みの黒色アクリル樹脂板を水で密着させて貼り付け、この状態でサンプル(防眩フィルム)側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.5mm、1.0mmおよび2.0mmである3種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である(最大値300%)。
(2)防眩フィルムの表面形状の測定
Sensofar社製の共焦点顕微鏡「PLμ2300」を用いて、防眩フィルムの表面形状を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。測定の際、対物レンズの倍率は50倍とした。当該測定データをもとに、JIS B 0601に準拠した計算により、断面曲線における算術平均高さPa、最大断面高さPt、および平均長さPSmを求めた。
(3)防眩フィルムの防眩性能の評価
(3−1)映り込みおよび白ちゃけの目視評価
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、凹凸面が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で凹凸面側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無および白ちゃけの程度を目視で評価した。映り込み、および白ちゃけは、それぞれ1〜3の3段階で次の基準により評価した。
(a)映り込み; 1:映り込みが観察されない。2:映り込みが少し観察される。3:映り込みが明瞭に観察される。
(b)白ちゃけ; 1:白ちゃけが観察されない。2:白ちゃけが少し観察される。3:白ちゃけが明瞭に観察される。
(3−2)ギラツキの評価
ギラツキは、以下の方法で評価した。すなわち、まず図7に平面図で示すようなユニットセルのパターンを有するフォトマスクを用意した。この図において、ユニットセル700は、透明な基板上に、線幅10μmでカギ形のクロム遮光パターン701が形成され、そのクロム遮光パターン701の形成されていない部分が開口部702となっている。ここでは、ユニットセルの寸法が254μm×84μm(図の縦×横)、したがって開口部702の寸法が244μm×74μm(図の縦×横)のものを用いた。図示するユニットセルが縦横に多数並んで、フォトマスクを形成する。
そして、図8に模式的な断面図で示すように、フォトマスク703のクロム遮光パターン701を上にしてライトボックス705に置き、ガラス板707に粘着剤で防眩フィルム801をその凹凸面が表面となるように貼合したサンプルをフォトマスク703上に置く。ライトボックス705の中には、光源706が配置されている。この状態で、サンプルから約30cm離れた位置709で目視観察した。ギラツキの程度は1〜3の3段階で次の基準により評価した。
ギラツキ; 1:ギラツキが認められない。2:ごくわずかにギラツキが観察される。3:ひどくギラツキが観察される。
<実施例1>
(i)樹脂基材フィルムの作製
メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率1.49)70重量部にアクリルゴム粒子を30重量部含有させたアクリル系樹脂組成物、ならびにメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.505、重量平均粒子径8μm)を、該アクリル系樹脂組成物100重量部に対してビーズが15重量部となるようにヘンシェルミキサーで混合した後、第1の押出機(スクリュー径65mm、一軸、ベント付き(東芝機械(株)製))にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。また、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率1.49)70重量部にアクリルゴム粒子を30重量部含有させたアクリル系樹脂組成物を第2の押出機(スクリュー径45mm、一軸、ベント付き(日立造船(株)製))にて溶融混練し、フィードブロックに供給した。第1の押出機からフィードブロックに供給される樹脂が光拡散層(中間層)となり、第2の押出機からフィードブロックに供給される樹脂が透明樹脂層(表層:両面)となるように、265℃で共押出成形を行ない、85℃に設定したロールユニットを介して、厚さ120μm(中間層72μm、表層24μm×2)の3層からなる樹脂基材フィルムを作製した。これを、樹脂基材フィルム(A)とする。
(ii)微細凹凸を有するハードコート層の形成
以下の各成分が酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されており、硬化後に1.53の屈折率を示す紫外線硬化性樹脂組成物を用意した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物) 40部
次に、この紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、多孔質シリカ粒子「サイリシア310P」(商品名、重量平均粒子径2.7μm)を4重量部、光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加し、固形分率が60%になるように酢酸エチルで希釈して塗布液を調製した。
この塗布液を、上記樹脂基材フィルム(A)上に、乾燥後の塗布厚みが4μmとなるように塗布し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。乾燥後のフィルムの紫外線硬化性樹脂組成物層側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、表面に凹凸を有するハードコート層(厚み3.7μm)と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルムを得た。
<実施例2>
ハードコート層の厚みを6.9μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを作製した。
<実施例3>
まず、中間層である光拡散層の厚みを50μmとし、光拡散層の両側に積層される透明樹脂層をそれぞれ15μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして3層からなる樹脂基材フィルム(B)を得た(厚み80μm)。次に、ハードコート層の厚みを6.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂基材フィルム(B)上にハードコート層を形成し、防眩フィルムを得た。
<実施例4>
まず、実施例1と同じ樹脂組成物を用い、同様の手順により、透明樹脂層(厚み30μm)上に光拡散層(厚み50μm)が積層された2層構造の樹脂基材フィルム(C)を得た(厚み80μm)。次に、ハードコート層の厚みを6.7μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂基材フィルム(C)の光拡散層上にハードコート層を形成し、防眩フィルムを得た。
<実施例5>
ハードコート層の厚みを2.5μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを作製した。
<実施例6>
ハードコート層の厚みを2.6μmとしたこと以外は、実施例3と同様にして防眩フィルムを作製した。
<実施例7>
ハードコート層の厚みを2.8μmとしたこと以外は、実施例4と同様にして防眩フィルムを作製した。
<比較例1〜3>
まず、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率1.49)70重量部にアクリルゴム粒子を30重量部含有させたアクリル系樹脂組成物を用い、押出成形によりフィルム状に成形し、単層構造である厚み80μmの樹脂基材フィルム(D)を得た。樹脂基材フィルム(D)は、微粒子を含有しておらず、その内部ヘイズは、実質的にゼロである。次に、ハードコート層の厚みをそれぞれ3.5μm(比較例1)、6.9μm(比較例2)、2.4μm(比較例3)としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂基材フィルム(D)上にハードコート層を形成し、防眩フィルムを作製した。
<比較例4〜6>
ハードコート層の厚みをそれぞれ2.1μm(比較例4)、2.2μm(比較例5)、2.2μm(比較例6)としたこと以外は、それぞれ実施例2〜4と同様にして樹脂基材フィルム上にハードコート層を形成し、防眩フィルムを作製した。
<比較例7〜9>
まず、光拡散層を構成する樹脂組成物として、メタクリル酸メチル/アクリル酸メチル=96/4(重量比)の共重合体(屈折率1.49)70重量部、アクリルゴム粒子30重量部およびメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズ(屈折率1.510、重量平均粒子径4μm)15重量部からなるアクリル系樹脂組成物を用い、実施例1と同様の手順により、厚さ80μm(光拡散層(中間層)50μm、透明樹脂層(表層:両面)15μm×2)の3層からなる樹脂基材フィルム(E)を得た。次に、ハードコート層の厚みをそれぞれ6.5μm(比較例7)、2.6μm(比較例8)、2.2μm(比較例9)としたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂基材フィルム(E)上にハードコート層を形成し、防眩フィルムを作製した。
実施例1〜4の防眩フィルムについての散乱光強度測定により得られた散乱光強度の角度依存性(透過散乱プロファイルのグラフ)を図9に、反射率測定により得られた反射光の角度依存性(反射プロファイルのグラフ)を図10にそれぞれ示す。同様に、図11、図12はそれぞれ、実施例5〜7の防眩フィルムについての透過散乱プロファイルのグラフ、反射プロファイルのグラフである。また、図13、図14はそれぞれ、比較例1〜3の防眩フィルムについての透過散乱プロファイルのグラフ、反射プロファイルのグラフである。さらに、図15、図16はそれぞれ、比較例4〜6の防眩フィルムについての透過散乱プロファイルのグラフ、反射プロファイルのグラフである。そして、図17、図18はそれぞれ、比較例7〜9の防眩フィルムについての透過散乱プロファイルのグラフ、反射プロファイルのグラフである。
また、上記実施例1〜7および比較例1〜8の防眩フィルムについての、(I)樹脂基材フィルムの構成および光拡散層に添加された微粒子の性状等、(II)ハードコート層の性状等、(III)光学特性、ならびに(IV)防眩性能を、それぞれ表1〜4にまとめた。なお、表3に示される実施例1の防眩フィルムの透過鮮明度および反射鮮明度の内訳は、次のとおりである。
透過鮮明度 反射鮮明度
0.125mm光学くし: 7.6% −
0.5mm光学くし : 16.0% 2.7%
1.0mm光学くし : 31.2% 3.5%
2.0mm光学くし : 56.1% 16.4%
合計 110.9% 22.6%
Figure 2009169409
Figure 2009169409
Figure 2009169409
Figure 2009169409
表2〜4に示されるように、本発明の防眩フィルム(実施例1〜7)は、優れた防眩性能を示しながら、ギラツキや白ちゃけが発生せず、画像表示装置に適用したときにコントラスト低下の原因となる相対散乱光強度T(20)およびT(30)も十分に低い良好な散乱特性を示した。これに対し、比較例1〜3の防眩フィルムは、表面形状がそれぞれ実施例1、2、5と同等であるため、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけが発生しなかったものの、樹脂基材フィルムが内部ヘイズを有しないことに起因して、ギラツキの抑制が不十分である。比較例4〜6の防眩フィルムにおいては、ハードコート層の厚さが添加微粒子の重量平均粒子径よりもかなり小さいため、ハードコート層の表面ヘイズが高い値を示し、白ちゃけが発生した。比較例7および8の防眩フィルムは、表面形状がそれぞれ実施例2および5と同等であるため、優れた防眩性能を示しながら、ギラツキや白ちゃけが発生しなかったものの、樹脂基材フィルムの内部ヘイズが極めて高く、相対散乱光強度T(20)およびT(30)の値が高くなり、画像表示装置に適用したときにコントラストが低下する。比較例9の防眩フィルムは、表面形状が比較例4〜6と同等であるため、ハードコート層の表面ヘイズが高い値を示して白ちゃけが発生した。また、樹脂基材フィルムの内部ヘイズが極めて高いため、相対散乱光強度T(20)およびT(30)の値が高くなり、画像表示装置に適用したときにコントラストが低下する。
<実施例8〜10、比較例10〜11>
透光性微粒子として、多孔質シリカ粒子の代わりに、重量平均粒子径6μm、屈折率1.53のメタクリル酸メチル/スチレン共重合体ビーズを紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して5重量部用いて、表5に示される樹脂基材フィルム上に、表5に示される厚みでハードコート層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして防眩フィルムを作製した。
実施例8〜10の防眩フィルムについての散乱光強度測定により得られた散乱光強度の角度依存性(透過散乱プロファイルのグラフ)を図19に、反射率測定により得られた反射光の角度依存性(反射プロファイルのグラフ)を図20にそれぞれ示す。また、比較例10および11の防眩フィルムについての散乱光強度測定により得られた散乱光強度の角度依存性(透過散乱プロファイルのグラフ)を図21に、反射率測定により得られた反射光の角度依存性(反射プロファイルのグラフ)を図22にそれぞれ示す。
また、上記実施例8〜10ならびに比較例10および11の防眩フィルムについての、(V)ハードコート層の性状等、(VI)光学特性、ならびに(VII)防眩性能を、それぞれ表5〜7にまとめた。
Figure 2009169409
Figure 2009169409
Figure 2009169409
表5〜7に示されるように、本発明の防眩フィルム(実施例8〜10)は、優れた防眩性能を示しながら、ギラツキや白ちゃけが発生せず、画像表示装置に適用したときにコントラスト低下の原因となる相対散乱光強度T(20)およびT(30)も、十分に低い良好な散乱特性を示した。これに対し、比較例10の防眩フィルムは、表面形状が実施例8〜10と同等であるため、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけが発生しなかったものの、樹脂基材フィルムが内部ヘイズを有しないことに起因して、ギラツキの抑制が不十分である。また、比較例11の防眩フィルムは、表面形状が実施例8〜10と同等であるため、優れた防眩性能を示しながら、ギラツキや白ちゃけが発生しなかったものの、樹脂基材フィルムの内部ヘイズが極めて高いため、相対散乱光強度T(20)およびT(30)の値が高くなり、画像表示装置に適用したときにコントラストが低下する。
以上の結果から、実施例で用いた樹脂基材フィルム上に、透光性微粒子を分散させた樹脂溶液を、反射特性が適切なものとなるように設計、塗布してハードコート層を形成すれば、ギラツキや白ちゃけが発生せず、画像表示装置に適用したときにコントラスト低下の原因となる相対散乱光強度T(20)およびT(30)も十分に低い良好な散乱特性を示すものとなることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の防眩フィルムを、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなどの各種ディスプレイに対し、その防眩フィルムが画像表示素子よりも視認側となるように配置することで、白ちゃけおよびギラツキを発生させることなく、映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与えるものとなる。
本発明の防眩フィルムの好ましい例を示す断面模式図である。 防眩フィルムの樹脂基材フィルム側から光を入射してハードコート層側法線方向で観測される散乱光強度を測定するときの、光の入射方向と透過散乱光強度測定方向とを模式的に示す斜視図である。 本発明の防眩フィルムを用い、入射角φを変えて測定される相対散乱光強度(対数目盛)を入射角に対してプロットしたグラフの一例である。 相対散乱光強度T(20)およびT(30)と、コントラストとの関係を示す図である。 反射率を求めるときのハードコート層側からの光の入射方向と反射方向とを模式的に示す斜視図である。 本発明の防眩フィルムの法線から30°の角度で入射した光に対する反射光の反射角と反射率(反射率は対数目盛)との関係をプロットしたグラフの一例である。 ギラツキ評価用パターンのユニットセルを示す平面図である。 ギラツキ評価時の状態を示す断面模式図である。 実施例1〜4で得られた防眩フィルムの透過散乱プロファイルを表すグラフである。 実施例1〜4で得られた防眩フィルムの反射プロファイルを表すグラフである。 実施例5〜7で得られた防眩フィルムの透過散乱プロファイルを表すグラフである。 実施例5〜7で得られた防眩フィルムの反射プロファイルを表すグラフである。 比較例1〜3で得られた防眩フィルムの透過散乱プロファイルを表すグラフである。 比較例1〜3で得られた防眩フィルムの反射プロファイルを表すグラフである。 比較例4〜6で得られた防眩フィルムの透過散乱プロファイルを表すグラフである。 比較例4〜6で得られた防眩フィルムの反射プロファイルを表すグラフである。 比較例7〜9で得られた防眩フィルムの透過散乱プロファイルを表すグラフである。 比較例7〜9で得られた防眩フィルムの反射プロファイルを表すグラフである。 実施例8〜10で得られた防眩フィルムの透過散乱プロファイルを表すグラフである。 実施例8〜10で得られた防眩フィルムの反射プロファイルを表すグラフである。 比較例10および11で得られた防眩フィルムの透過散乱プロファイルを表すグラフである。 比較例10および11で得られた防眩フィルムの反射プロファイルを表すグラフである。
符号の説明
101a,101b 樹脂基材フィルム、102a,102b ハードコート層、103a,103b 透明樹脂層、104a,104b 光拡散層、105a,105b 微粒子、106a,106b 透光性微粒子、201,501,801 防眩フィルム、202,502 防眩フィルムの法線、203 法線からφの角度で入射される光、204 法線方向に透過された透過散乱光、209,509 入射光方向と防眩フィルムの法線とを含む平面、505 30°の角度で入射される光、506 正反射方向、507 反射角θで反射した光、700 フォトマスクのユニットセル、701 フォトマスクのクロム遮光パターン、702 フォトマスクの開口部、703 フォトマスク、705 ライトボックス、706 光源、707 ガラス板、709 ギラツキの観察位置。

Claims (10)

  1. 樹脂基材フィルムと、前記樹脂基材フィルム表面上に積層された、表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、
    前記樹脂基材フィルムは、透明樹脂からなる少なくとも1つの透明樹脂層と、透明バインダ樹脂および前記透明バインダ樹脂とは異なる屈折率を有する微粒子を含有する少なくとも1つの光拡散層とを含む多層構造を有し、
    ここで、前記樹脂基材フィルムの内部ヘイズは5%以上30%以下であり、
    前記ハードコート層は、少なくとも1種の透光性微粒子が分散された透光性樹脂からなり、
    前記ハードコート層の表面ヘイズは0.5%以上15%以下であり、内部ヘイズは2%以下である防眩フィルム。
  2. 前記樹脂基材フィルムの内部ヘイズは、10%以上25%以下であり、
    前記ハードコート層の表面ヘイズは、0.5%以上5%以下である請求項1に記載の防眩フィルム。
  3. 前記ハードコート層は、シリカ系微粒子が分散された透光性樹脂からなる請求項1または2に記載の防眩フィルム。
  4. 前記シリカ系微粒子は、その重量平均粒子径が1μm以上5μm以下であり、前記透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上5重量部以下の範囲内で含有される請求項3に記載の防眩フィルム。
  5. 前記ハードコート層は、樹脂微粒子が分散された透光性樹脂からなる請求項1または2に記載の防眩フィルム。
  6. 前記透光性樹脂の屈折率と前記樹脂微粒子との屈折率の差は、0.01以下である請求項5に記載の防眩フィルム。
  7. 前記樹脂微粒子は、その重量平均粒子径が2μm以上10μm以下であり、前記透光性樹脂100重量部に対して、1重量部以上15重量部以下の範囲内で含有される請求項5または6に記載の防眩フィルム。
  8. 前記ハードコート層の凹凸表面上に、低反射膜をさらに有する請求項1〜7のいずれかに記載の防眩フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムと偏光フィルムとを貼り合わせてなる防眩性偏光板であって、
    前記偏光フィルムは、前記防眩フィルムの前記樹脂基材フィルム側に配置される防眩性偏光板。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の防眩フィルムまたは請求項9に記載の防眩性偏光板と、画像表示素子とを備え、
    前記防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、そのハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置される画像表示装置。
JP2008319725A 2007-12-17 2008-12-16 防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置 Withdrawn JP2009169409A (ja)

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