JP2009150998A - 防眩フィルム、防眩性偏光板および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけの発生による視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現し、また、機械的強度にも優れた防眩フィルム、ならびにそれを用いた防眩性偏光板および画像表示装置を提供する。
【解決手段】表面に第1の微細凹凸形状を有する樹脂基材フィルムと、樹脂基材フィルムの第1の微細凹凸形状を有する表面上に積層された、表面に第2の微細凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、樹脂基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率との差が0.06以上である防眩フィルム、当該防眩フィルムを用いた防眩性偏光板、画像表示装置。
【選択図】図1
【解決手段】表面に第1の微細凹凸形状を有する樹脂基材フィルムと、樹脂基材フィルムの第1の微細凹凸形状を有する表面上に積層された、表面に第2の微細凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、樹脂基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率との差が0.06以上である防眩フィルム、当該防眩フィルムを用いた防眩性偏光板、画像表示装置。
【選択図】図1
Description
本発明は、優れた防眩性能を示しながら白ちゃけが発生せず、画像表示装置に適用したときにギラツキが発生することなく、高いコントラストを発現し、良好な視認性を与える防眩(アンチグレア)フィルム、ならびに当該防眩フィルムを用いた防眩性偏光板および画像表示装置に関するものである。
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの画像表示装置は、その表示面に外光が写り込むと視認性が著しく損なわれてしまう。従来、このような外光の映り込みを防止するために、画質を重視するテレビやパーソナルコンピュータ、外光の強い屋外で使用されるビデオカメラ、デジタルカメラ、反射光を利用して表示を行なう携帯電話などにおいては、画像表示装置の表面に外光の映り込みを防止する機能フィルムが設けられている。この機能フィルムには、光学多層膜による干渉を利用した無反射処理技術、表面に微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させて映り込み像をぼかす防眩処理技術などが一般的に適用されている。特に、後者の微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させる技術は、比較的安価に製造することができるため、大型モニタやパーソナルコンピュータなどの用途に広く用いられている。
このような防眩フィルムは従来、たとえば、フィラーを分散させた樹脂溶液を基材シート上に塗布し、塗布膜厚を調製してフィラーを塗布膜表面に露出させることでランダムな凹凸を基材シート上に形成する方法などにより製造されている。しかしながら、このようなフィラーを分散させることにより製造された防眩フィルムは、樹脂溶液中のフィラーの分散状態、塗布状態などによって凹凸の配置、形状が左右されてしまうため、意図したとおりの凹凸を得ることが困難であり、ヘイズが低いものでは十分な防眩性能が得られないという問題があった。さらに、このような従来の防眩フィルムを画像表示装置の表面に配置した場合、散乱光によって表示面全体が白っぽくなり、表示が濁った色になる、いわゆる白ちゃけが発生しやすいという問題があった。
また、画像表示装置が高精細化した場合には、画像表示装置の画素と防眩フィルムの表面凹凸形状とが干渉し、結果として輝度分布が発生して見にくくなる、いわゆるギラツキ現象が発生しやすいという問題があった。ギラツキを解消するために、バインダ樹脂と分散フィラーとの間に屈折率差を設けて光を散乱させる試みもあるが、そのような防眩フィルムを画像表示装置に適用した場合には、散乱光によって黒表示の輝度が上がり、結果としてコントラストが低下して視認性を著しく低下させるという問題があった。また、このようなフィラーにより表面凹凸形状が形成された防眩フィルムでは、入射光を散乱させるための表面凹凸形状と、主に光の内部散乱を担う領域とを同時に形成することになるため、分散粒子の粒子径、濃度、屈折率、分散性をバランスさせて設計しなければならず、さらに、製造上、精密な制御が必要となるが、事実上このような設計および制御は困難であった。このような複雑な設計および制御を回避する試みとして、たとえば特開2007−101912号公報(特許文献1)には、光の内部散乱機能を有する樹脂層の形成と表面凹凸形状の形成とを分離して行なうことが開示されている。しかしながら、特許文献1に開示されたような粒子を樹脂溶液に分散させて塗布する方法では、乾燥工程中などに予期せぬ凝集などが起こりやすいという問題があった。
一方、フィラーを含有させずに、透明樹脂層の表面に形成された微細な凹凸だけで防眩性を発現させる試みもある。たとえば特開2002−189106号公報(特許文献2)の請求項1〜6、段落0043〜0046には、エンボス鋳型と透明樹脂フィルムとの間に電離放射線硬化性樹脂を挟んだ状態で当該電離放射線硬化性樹脂を硬化させて、三次元10点平均粗さ、および、三次元粗さ基準面上における隣接する凸部同士の平均距離が、それぞれ所定値を満足する微細な凹凸を形成することにより、透明樹脂フィルム上に、当該表面凹凸を有する電離放射線硬化性樹脂層の硬化物層が積層された防眩フィルムが開示されている。
またたとえば特開2006−53371号公報(特許文献3)には、研磨された金属の表面に微粒子をぶつけることにより凹凸を形成し、その凹凸面に無電解ニッケルメッキを施して金型とし、該金型の凹凸面を透明樹脂フィルムに転写し、次いで凹凸面が転写された透明樹脂フィルムを金型から剥がす防眩フィルムの製造方法およびそれによって製造された防眩フィルムが開示されている。
特開2007−101912号公報
特開2002−189106号公報
特開2006−53371号公報
本発明は、かかる現状に鑑みなされたものであり、その目的は、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけの発生による視認性の低下が防止され、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生せずに高いコントラストを発現し、また、機械的強度にも優れた防眩(アンチグレア)フィルムを提供し、さらには、その防眩フィルムを適用した防眩性偏光板および画像表示装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、表面に微細な凹凸形状を有する樹脂基材フィルムの表面上に、表面に微細な凹凸形状を有し、樹脂基材フィルムとの屈折率差が0.06以上であるハードコート層を形成して防眩フィルムとすれば、結果として、ギラツキが十分に防止されるとともに、画像表示装置に適用したときにコントラストがほとんど低下しない防眩フィルムが得られることを見出した。本発明は、かかる知見に基づき、さらに種々の検討を加えて完成されたものであり、以下のとおりである。
本発明の防眩フィルムは、表面に第1の微細凹凸形状を有する樹脂基材フィルムと、樹脂基材フィルムの第1の微細凹凸形状を有する表面上に積層された、表面に第2の微細凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、樹脂基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率との差が0.06以上であることを特徴とする。
本発明の防眩フィルムは、内部ヘイズが5〜30%であり、表面ヘイズが0.5〜15%であることが好ましい。
本発明の防眩フィルムは、樹脂基材フィルムの厚みが20〜100μmであり、ハードコート層の厚みが2〜20μmであることが好ましい。
本発明の防眩フィルムにおいて、樹脂基材フィルムは一軸延伸または二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムで構成されていることが好ましい。
本発明の防眩フィルムは、樹脂基材フィルム側から入射角20゜で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(20)が0.0001〜0.001%であり、樹脂基材フィルム側から入射角30°で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(30)が0.00004〜0.0002%であることが、好ましい。
また本発明の防眩フィルムは、ハードコート層側から入射角30゜で光を入射したときに、反射角30゜の反射率R(30)が0.05〜2%であり、反射角40゜の反射率R(40)が0.0001〜0.005%であり、反射角50゜の反射率R(50)が0.00001〜0.0005%であることが、好ましい。
本発明の防眩フィルムは、ハードコート層の第2の微細凹凸形状を有する表面上に形成された低反射膜をさらに備えることが好ましい。
本発明は、上述した本発明の防眩フィルムと、当該防眩フィルムの樹脂基材フィルム側に配置されて貼り合わされた偏光フィルムとを備える防眩性偏光板についても提供する。
本発明はまた、上述した本発明の防眩フィルムまたは本発明の防眩性偏光板を備える画像表示装置であって、防眩フィルムまたは防眩性偏光板が、ハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置されている画像表示装置についても提供する。
本発明の防眩フィルムは、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけの発生による視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現し得る。かかる本発明の防眩フィルムと偏光フィルムとを組み合わせた防眩性偏光板も、同様の効果を発現する。さらに、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を用いることで、防眩性能が高く、視認性に優れる上に、パネルの強度が補強され、パネルの反りを防止できる画像表示装置を提供することができる。
図1は、本発明の好ましい一例の防眩フィルム1を模式的に示す断面図である。本発明の防眩フィルム1は、図1に示す例のように、樹脂基材フィルム2と、当該樹脂基材フィルム2とは屈折率の異なるハードコート層(防眩層)3とが積層された構造を基本的に備える。本発明の防眩フィルム1において、樹脂基材フィルム2には、その表面に微細な凹凸形状(第1の微細凹凸形状2a)が形成されており、また、ハードコート層3は樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aを有する表面上に積層され、その表面には微細な凹凸形状(第2の微細凹凸形状3a)が形成されている。
本発明の防眩フィルム1によれば、樹脂基材フィルム2と当該樹脂基材フィルム2上に積層されたハードコート層3との界面が、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aに起因する凹凸形状を有し、かつ、樹脂基材フィルム2とハードコート層3の屈折率が異なっている。このため、防眩フィルム1に垂直に入射された光は、樹脂基材フィルム2とハードコート層3の界面で屈折し、これによって防眩フィルム1としての内部ヘイズが発生する。ここで、この樹脂基材フィルム2とハードコート層3との界面によって生じるヘイズのことを防眩フィルム1の「界面ヘイズ」と呼ぶことにする。
本発明の防眩フィルム1は、樹脂基材フィルム2の屈折率とハードコート層3の屈折率との差が0.06以上、好ましくは0.1以上である。樹脂基材フィルム2とハードコート層3との屈折率差が0.06未満である場合には、十分な界面ヘイズを得るのが困難となる。本発明によれば、上述した樹脂基材フィルム2と当該樹脂基材フィルム2上に積層されたハードコート層3との積層構造において、樹脂基材フィルム2の屈折率とハードコート層3の屈折率との差を0.06以上とすることで、優れた防眩性能を示しながら、白ちゃけの発生による視認性の低下が防止され、また、高精細の画像表示装置の表面に配置したときに、ギラツキを発生させずに高いコントラストを発現し得る防眩フィルム1を提供することができる。樹脂基材フィルム2とハードコート層3との屈折率差の上限については特に制限されないが、屈折率差が大きすぎると界面での反射率が増加し、光の利用効率が下がるため、好ましくは0.2以下である。なお、本発明の防眩フィルムにおける樹脂基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率との差は、たとえば、防眩フィルムを所定の屈折率を示す標準屈折液に浸し、防眩フィルムの断面を顕微鏡で観察した際に、標準屈折液と樹脂基材フィルムとの界面、ならびに、標準屈折液とハードコート層との界面が最も不明瞭となる標準屈折液を調べることによって、樹脂基材フィルムの屈折率およびハードコート層の屈折率がそれぞれ得られ、得られたそれぞれの屈折率の差を求めることによって確認することができる。
ここで、本発明における「微細凹凸形状」とは、凸状または凹状の微細な起伏がランダムかつ連続的に複数形成された形状を指すが、樹脂基材フィルム2の表面が有する微細凹凸形状(第1の微細凹凸形状)は、後述するハードコート層3の表面が有する微細凹凸形状(第2の微細凹凸形状)とは、断面曲線における算術平均高さPaおよび最大断面高さPtの好ましい範囲が異なり、互いに区別される。
本発明における樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aは、その断面曲線において、算術平均高さPaが好ましくは0.1〜1μm(より好ましくは0.3〜0.7μm)であり、かつ、最大断面高さPtが好ましくは1〜5μm(より好ましくは2〜4μm)である。樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aの算術平均高さPaが0.1μm未満である場合には、防眩フィルムを作成した際に十分な界面ヘイズを得るのが困難となる虞があるためであり、また、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aの算術平均高さPaが1μmを超える場合には、防眩フィルムの内部ヘイズが大きくなり、画像表示装置に適用した際に、結果として画面が暗くなり、視認性が損なわれる傾向にあるためである。また、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aの最大断面高さPtが1μm未満である場合には、上述した算術平均高さPaが0.1μm未満である場合と同様に、これを用いた防眩フィルムにおいて十分な界面ヘイズを得るのが困難となる虞があるためであり、また、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aの最大断面高さPtが5μmを超える場合には、防眩フィルムの内部ヘイズが大きくなり、画像表示装置に適用したときに、結果として画面が暗くなり、視認性が損なわれる傾向にあるためである。
本発明におけるハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aは、その断面曲線において、算術平均高さPaが好ましくは0.05〜0.2μm(より好ましくは0.07〜0.15μm)であり、かつ、最大断面高さPtが好ましくは0.2〜1μm(より好ましくは0.5〜0.8μm)である。ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aの算術平均高さPaが0.05μm未満である場合には、防眩フィルムとして十分な防眩性を示さなくなる虞があるためであり、また、ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aの算術平均高さPaが0.2μmを超える場合には、防眩フィルムの表面ヘイズが大きくなり、画像表示装置に適用したときに、白ちゃけが発生し、視認性が損なわれる傾向にあるためである。また、ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aの最大断面高さPtが0.2μm未満である場合には、上述した算術平均高さPaが0.05μm未満である場合と同様に、これを用いた防眩フィルムにおいて十分な防眩性を示すのが困難となる虞があるためであり、また、ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aの最大断面高さPtが1μmを超える場合には、防眩フィルムの表面ヘイズが大きくなり、画像表示装置に適用したときに、白ちゃけが発生し、視認性が損なわれる傾向にあるためである。
なお、上述した本発明における樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aおよびハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aのそれぞれの算術平均高さPaおよび最大断面高さPtは、JIS B 0601の規定に準拠し、市販の一般的な接触式表面粗さ計を用いて測定することができる。また、共焦点顕微鏡、干渉顕微鏡、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)などの装置により表面形状を測定し、その表面形状の三次元情報から計算により求めることも可能である。なお、三次元情報から計算する場合には、十分な基準長さを確保するために、200μm×200μm以上の領域を3点以上測定し、その平均値をもって測定値とすることが好ましい。
本発明の防眩フィルム1は、内部ヘイズが5〜30%の範囲内であることが好ましく、10〜20%の範囲内であることがより好ましい。防眩フィルム1の内部ヘイズを5%以上にすることにより、ギラツキを解消することができ、また防眩フィルム1の内部ヘイズを10%以上とすることにより、より効果的にギラツキを解消することができる。また、防眩フィルム1の内部ヘイズが30%を超える場合には、画像表示装置に適用したときに、結果として画面が暗くなり、視認性が損なわれる傾向にある。十分な明るさを確保するためには、防眩フィルム1の内部ヘイズを20%以下とすることが好ましい。なお、本発明の防眩フィルム1において、内部ヘイズは近似的には樹脂基材フィルムの内部ヘイズ、界面ヘイズ、およびハードコート層の内部ヘイズの足し合わせとなるが、後で述べるように、樹脂基材フィルムの内部ヘイズおよびハードコート層の内部ヘイズは、画像表示装置に適用したときのコントラストを低下させる虞があるため、ギラツキ防止のための内部ヘイズは、主に上述した樹脂基材フィルムとハードコート層との界面における界面ヘイズによって得られることが好ましい。このような観点から、樹脂基材フィルム2の内部ヘイズおよびハードコート層3の内部ヘイズはそれぞれ2%以下であることが好ましく、それぞれ1%以下であることがより好ましい。
ここで、本発明の防眩フィルムの内部ヘイズは次のようにして測定される。まず、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aを有する表面に、樹脂基材フィルム2に隣接する側とは反対側の表面に第2の微細凹凸形状3aを有するハードコート層3を形成した積層体を作製し、樹脂基材フィルム2側が接合面となるように、当該積層体とガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合する。次に、ハードコート層3の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、第2の微細凹凸形状3aに起因する表面ヘイズが表面凹凸上に貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、防眩フィルムの内部ヘイズ(樹脂基材フィルムの内部ヘイズ、界面ヘイズ、およびハードコート層の内部ヘイズの和)とみなすことができる。
本発明の防眩フィルム1はまた、表面ヘイズが0.5〜15%の範囲内であることが好ましく、1〜5%の範囲内であることがより好ましい。防眩フィルム1の表面ヘイズが0.5%未満である場合には、十分な防眩性を示さない虞があるためであり、15%を超える場合には、白ちゃけが発生する虞があるためである。白ちゃけの発生をより効果的に抑える観点からは、表面ヘイズは5%以下であることが好ましい。
ここで、防眩フィルムの表面ヘイズは、次のようにして測定される。まず、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aを有する表面に、樹脂基材フィルム2に隣接する側とは反対側の表面に第2の微細凹凸形状3aを有するハードコート層3を形成した積層体を作製し、樹脂基材フィルム2側が接合面となるように、当該積層体とガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合する。この状態でJIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。このようにして測定されたヘイズは、防眩フィルムの全体のヘイズとなる。この全体ヘイズと上述した方法にて測定された内部ヘイズとから、防眩フィルムの表面ヘイズは、下記式(1)より求められる。
表面ヘイズ=全体のヘイズ−内部ヘイズ (1)
本発明の防眩フィルム1は、樹脂基材フィルム2側から入射角20゜で光を入射したときにハードコート層3側法線方向で観測される相対散乱光強度T(20)が0.0001〜0.001%の値を示し、樹脂基材フィルム2側から入射角30°で光を入射したときにハードコート層3側法線方向で観測される相対散乱光強度T(30)が0.00004〜0.0002%の値を示すことが好ましい。ここで、図2は、樹脂基材フィルム2側(ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aを有する側とは反対側)から光を入射し、ハードコート層3側(第2の微細凹凸形状3aを有する側)法線方向における散乱光強度を測定するときの、光の入射方向と透過散乱光強度測定方向とを模式的に示した斜視図である。図2に示されるように、防眩フィルム1の樹脂基材フィルム2側で法線11に対しある角度φ(入射角とする)を成して入射した光12に対し、ハードコート層3の法線11方向に透過する透過散乱光13の強度を測定し、その透過散乱光強度を光源の光強度で除した値を相対散乱光強度T(φ)とする。すなわち、防眩フィルム1の樹脂基材フィルム2側で法線11に対し20°の角度を成すようにして光12を入射したときに、ハードコート層3側法線11方向で観測される透過散乱光13の強度を光源の光強度で除した値がT(20)であり、防眩フィルム1の樹脂基材フィルム2側で法線11から30°の角度で光12を入射したときに、ハードコート層3側法線11方向で観測される透過散乱光13の強度を光源の光強度で除した値がT(30)である。なお、光12は、樹脂基材フィルム2側から入射される方向と防眩フィルムの法線11とが同一平面(図2における平面14)上となるように入射される。
本発明の防眩フィルム1は、樹脂基材フィルム2側から入射角20゜で光を入射したときにハードコート層3側法線方向で観測される相対散乱光強度T(20)が0.0001〜0.001%の値を示し、樹脂基材フィルム2側から入射角30°で光を入射したときにハードコート層3側法線方向で観測される相対散乱光強度T(30)が0.00004〜0.0002%の値を示すことが好ましい。ここで、図2は、樹脂基材フィルム2側(ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aを有する側とは反対側)から光を入射し、ハードコート層3側(第2の微細凹凸形状3aを有する側)法線方向における散乱光強度を測定するときの、光の入射方向と透過散乱光強度測定方向とを模式的に示した斜視図である。図2に示されるように、防眩フィルム1の樹脂基材フィルム2側で法線11に対しある角度φ(入射角とする)を成して入射した光12に対し、ハードコート層3の法線11方向に透過する透過散乱光13の強度を測定し、その透過散乱光強度を光源の光強度で除した値を相対散乱光強度T(φ)とする。すなわち、防眩フィルム1の樹脂基材フィルム2側で法線11に対し20°の角度を成すようにして光12を入射したときに、ハードコート層3側法線11方向で観測される透過散乱光13の強度を光源の光強度で除した値がT(20)であり、防眩フィルム1の樹脂基材フィルム2側で法線11から30°の角度で光12を入射したときに、ハードコート層3側法線11方向で観測される透過散乱光13の強度を光源の光強度で除した値がT(30)である。なお、光12は、樹脂基材フィルム2側から入射される方向と防眩フィルムの法線11とが同一平面(図2における平面14)上となるように入射される。
本発明の防眩フィルム1において、樹脂基材フィルム側から入射角20゜で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(20)が0.0001%未満である場合には、散乱効果が低く、高精細な画像表示装置に適用したときにギラツキが発生する虞があり、また、0.001%を超える場合には、画像表示装置に適用した際に、散乱光によって黒表示時の輝度が上昇し、コントラストを低下させる虞がある。また本発明の防眩フィルム1において、樹脂基材フィルム側から入射角30°で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(30)が0.00004%未満である場合には、散乱効果が低く、高精細な画像表示装置に適用したときにギラツキが発生する虞があり、また、0.0002%を超える場合には、画像表示装置に適用したときに、散乱光によって黒表示時の輝度が上昇し、コントラストを低下させる虞がある。なお、防眩フィルムを自発光型ではない液晶ディスプレイに適用したときには、黒表示時の光漏れに起因する散乱による輝度上昇効果が大きいため、相対散乱光強度T(20)およびT(30)が上記好ましい範囲を上回ると、特にコントラストを顕著に低下させ、視認性を損なう結果となる虞がある。
図3は、図2に示したように、本発明の防眩フィルム1の樹脂基材フィルム2側からの入射角φを変えて測定される相対散乱光強度(対数目盛)を入射角φに対してプロットした一例を示すグラフであり、縦軸は相対散乱光強度(%)、横軸は入射角φ(°)である。このような入射角と相対散乱光強度との関係を表すグラフ、またはそれから読み取られる入射角ごとの相対散乱光強度を、透過散乱プロファイルと呼ぶことがある。このグラフに示されるように、相対散乱光強度は入射角0゜でピークを示し、入射される光12の法線11方向に対して成す角度が大きくなるほど、散乱光強度は低下する傾向にある。なお、入射角のプラス(+)とマイナス(−)は、法線11方向(0°)を中心に、入射される光12の方向と法線11を含む平面14内での入射光の傾きによって定まるものである。したがって、透過散乱プロファイルは、入射角0°を中心に、左右対称に現れるのが通例である。図3に示す透過散乱プロファイルの例では、0°入射のときの相対散乱光強度T(0)が約14%でピークを示し、20°入射のときの相対散乱光強度T(20)が約0.0007%、30°入射のときの相対散乱光強度T(30)が約0.00019%となっている。
防眩フィルムの相対散乱光強度を測定するにあたっては、0.001%以下の相対散乱光強度を精度良く測定することが必要であるため、ダイナミックレンジの広い検出器の使用が有効である。このような検出器としては、たとえば、市販の光パワーメーターなどを用いることができ、この光パワーメーターの検出器前にアパーチャーを設け、防眩フィルムを見込む角度が2°になるようにした変角光度計を用いて測定を行うことができる。入射光には380〜780nmの可視光線を用いることができ、測定用光源としては、ハロゲンランプなどの光源から出た光をコリメートしたものを用いてもよいし、レーザーなどの単色光源で平行度の高いものを用いてもよい。また、フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて、凹凸面が表面となるようにガラス基板に貼合してから測定に供することが好ましい。
上記に鑑み、本発明の防眩フィルムにおける相対散乱光強度T(20)およびT(30)は、まず、防眩フィルム1を、ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aが表面となるようにガラス基板に貼合し、そのガラス面側でフィルム法線に対して所定の角度傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射した際の、防眩フィルムの第2の微細凹凸形状3aを有する側でフィルム法線方向の透過散乱光強度として測定することができる。透過散乱光強度の測定には、T(20)およびT(30)のいずれについても3292 03 オプティカルパワーセンサー(横河電機(株)製)および3292 オプティカルパワーメーター(横河電機(株)製)を好適に用いることができる。
図4は、相対散乱光強度T(20)とコントラストとの関係を示すグラフであり、縦軸はコントラスト、横軸は相対散乱光強度T(20)(%)である。また図5は、相対散乱光強度T(30)とコントラストとの関係を示すグラフであり、縦軸はコントラスト、横軸は相対散乱光強度T(30)(%)である。図4および図5から明らかなように、相対散乱光強度T(20)が0.001%を超えるか、または、相対散乱光強度T(30)が0.0002%を超える場合には、コントラストが10%以上低下し、視認性を損なう傾向にあることが分かる。なお、コントラストは次の手順で測定した。まず、市販の液晶テレビ(LC−42GX1W、シャープ(株)製)から背面側および表示面側の偏光板を剥離し、それらオリジナル偏光板の代わりに、背面側および表示面側とも、偏光板(スミカラン SRDB31E、住友化学(株)製)を、それぞれの吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と一致するように粘着剤を介して貼合し、さらに表示面側偏光板の上には、種々の散乱光強度を示す防眩フィルムを凹凸面が表面となるように粘着剤を介して貼合した。次に、こうして得られた液晶テレビを暗室内で起動し、輝度計(BM5A型、(株)トプコン製)を用いて、黒表示状態および白表示状態における輝度を測定し、コントラストを算出した。ここでコントラストは、黒表示状態の輝度に対する白表示状態の輝度の比で表される。
また、本発明の防眩フィルムは、ハードコート層3側から入射角30゜で光を入射したときに、反射角30゜の反射率R(30)が0.05〜2%であり、反射角40゜の反射率R(40)が0.0001〜0.005%であり、そして反射角50゜の反射率R(50)が0.00001〜0.0005%であることが好ましい。反射率R(30)、反射率R(40)および反射率R(50)を上記範囲内とすることにより、優れた防眩性能を示しつつ、白ちゃけの発生がより効果的に抑制された防眩フィルムを実現できる。
ここで、図6は、反射率を求めるときの防眩フィルムに対するハードコート層側からの光の入射方向と反射方向とを模式的に示す斜視図である。図6を参照して説明すると、たとえば、防眩フィルム1のハードコート層3側で法線11方向に対し30°の角度を成して入射した光21に対し、反射角30°の方向(すなわち、正反射方向)への反射光22の反射率(正反射率)をR(30)とする。また、任意の反射角θで反射した光23のうち、θ=40°の反射光の反射率、θ=50°の反射光の反射率をそれぞれ、R(40)、R(50)とする。なお、反射率を測定するときの反射光の方向(正反射方向および反射角θで反射した光の反射方向)は、入射した光21の方向と法線11とを含む平面14内とする。
本発明の防眩フィルム1において、上述した反射率R(30)が2%を超える場合には、十分な防眩機能が得られず、視認性が低下する傾向にある。一方、上述した反射率R(30)があまり小さすぎても、白ちゃけが発生する傾向を示すことから、0.05%以上であるのが好ましい。また本発明の防眩フィルム1において、十分な防眩性能を得るためには、上述した反射率R(30)は1.5%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましい。また、本発明の防眩フィルム1において、上述した反射率R(40)が0.005%を超えるか、または、上述した反射率R(50)が0.0005%を超える場合には、防眩フィルムに白ちゃけが発生してしまい、視認性が低下する傾向にある。すなわち、たとえば、表示装置の最前面に防眩フィルムを設置した状態で表示面に黒を表示した場合でも、周囲からの光を拾って表示面が全体的に白くなる白ちゃけが発生してしまう傾向にある。そのため、本発明の防眩フィルム1における反射率R(40)および反射率R(50)はあまり大きくならないようにするのが好ましい。一方、これらの角度における反射率があまり小さすぎても、十分な防眩性を示さなくなることから、反射率R(40)は一般に0.0001%以上であるのが好ましく、反射率R(50)は一般に0.00001%以上であるのが好ましい。反射率R(50)は、より好ましくは0.0001%以下である。
図7は、図6に示したように、本発明の防眩フィルム1のハードコート層3側で法線11方向に対し30゜の角度を成して入射した光21に対し、法線11方向に対し反射角θを成して反射した光23の、反射角θと反射率との関係をプロットした一例を示すグラフであり、縦軸は反射率(%)(対数目盛)、横軸は反射角θ(°)である。このような反射角と反射率の関係を表すグラフ、またはそれから読み取られる反射角毎の反射率を、反射プロファイルと呼ぶことがある。このグラフに示すように、反射率R(30)は30゜で入射した光21に対する反射率のピークであり、正反射方向から角度がずれるほど反射率は低下する傾向にある。図7に示す反射プロファイルの例では、反射率R(30)が約0.5%、反射率R(40)が約0.002%、そして反射率R(50)が約0.0001%となっている。
防眩フィルム1の反射率を測定するにあたっては、相対散乱光強度と同様に0.001%以下の反射率を精度良く測定することが必要である。そこで、ダイナミックレンジの広い検出器の使用が有効である。このような検出器としては、たとえば、市販の光パワーメーターなどを用いることができ、この光パワーメーターの検出器前にアパーチャーを設け、防眩フィルムを見込む角度が2°になるようにした変角光度計を用いて測定を行なうことができる。入射光としては、380〜780nmの可視光線を用いることができ、測定用光源としては、ハロゲンランプなどの光源から出た光をコリメートしたものを用いてもよいし、レーザーなどの単色光源で平行度の高いものを用いてもよい。裏面が平滑で透明な防眩フィルムの場合は、防眩フィルム裏面からの反射が測定値に影響を及ぼすことがあるため、たとえば、黒色のアクリル樹脂板に防眩フィルムの平滑面を粘着剤または水やグリセリンなどの液体を用いて光学密着させることにより、防眩フィルム最表面の反射率のみが測定できるようにするのが好ましい。
上記に鑑み、本発明において規定する反射率R(30)、R(40)およびR(50)は、防眩フィルム1の第2の微細凹凸形状3aを有する側に、フィルム法線に対して30゜傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、フィルム法線と光入射方向とを含む平面内における反射率の角度変化を測定するようにする。反射率の測定には、反射率R(30)、R(40)およびR(50)のいずれについても、3292 03 オプティカルパワーセンサー(横河電機(株)製)および3292 オプティカルパワーメーター(横河電機(株)製)を好適に用いることができる。
本発明の防眩フィルム1における樹脂基材フィルム2は、光学的に実質透明な樹脂を用いて好適に構成することができる。ここで、光学的に実質透明な樹脂としては、たとえばトリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリカーボネート、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。中でも、透明性、耐候性、機械的強度に優れ、屈折率も高いポリエチレンテレフタレートフィルムにて樹脂基材フィルム2が構成されていることが好ましい。
本発明における基材樹脂フィルム2として好適に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されていることが好ましい。延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムは、機械的性質、耐溶剤性、耐スクラッチ性、コストなどに優れたフィルムであり、このようなポリエチレンテレフタレートフィルムを樹脂基材フィルムとして用いた防眩フィルムは、機械的強度などに優れるとともに、厚みの低減を図ることができる。
ここで、本発明において、ポリエチレンテレフタレートフィルムを構成するポリエチレンテレフタレートとは、繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレートで構成される樹脂である。他の共重合成分としては、イソフタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニール、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ジカルボキシシクロヘキサンなどのジカルボン酸成分、たとえばプロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのジオール成分が挙げられる。これらのジカルボン酸成分やグリコール成分は、必要により2種以上を組み合わせて使用することができる。また上記ジカルボン酸成分やグリコール成分と共に、p−オキシ安息香酸などのオキシカルボン酸を併用することも可能である。このような他の共重合成分は、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有するジカルボン酸成分および/またはジオール成分を含んでいてもよい。
ポリエチレンテレフタレートの製造法としては、テレフタル酸とエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸および/または他のジオール)とを直接反応させるいわゆる直接重合法、テレフタル酸のジメチルエステルとエチレングリコール(ならびに必要に応じて他のジカルボン酸のジメチルエステルおよび/または他のジオール)とをエステル交換反応させるいわゆるエステル交換反応などの任意の製造法を適用することができる。
また、ポリエチレンテレフタレートには、必要に応じて公知の添加剤を含有させてもよい。ただし、光学用途においては透明性が必要とされるため、添加剤の添加量は最小限にとどめておくことが好ましい。公知の添加剤としては、たとえば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを挙げることができる。耐光剤としては紫外線吸収剤も含まれ、たとえば、紫外線吸収剤の例としては、2,2’−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールのようなベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−クロロベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンのような2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線吸収剤;p−tert−ブチルフェニルサリチル酸エステル、p−オクチルフェニルサリチル酸エステルのようなサリチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤などが挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。紫外線吸収剤が含まれる場合、その量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上であり、また好ましくは2重量%以下である。
上記原料樹脂をフィルム状に成形し、一軸延伸処理もしくは二軸延伸処理を施すことにより、延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを作製することができる。延伸処理を行なうことにより、機械的強度の高いポリエチレンテレフタレートフィルムを得ることができる。延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムの作製方法は任意であり、特に限定されるものではないが、例えば一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとしては、上記原料樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向フィルムを、ガラス転移温度以上の温度においてテンターで横延伸後、熱固定処理を施す方法を挙げることができる。また、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムでは、上記原料樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向フィルムを、ガラス転移温度以上の温度においてテンターで縦延伸後、熱固定処理を施し、次いで横延伸後、熱固定処理を施す方法を挙げることができる。この場合、延伸温度は80〜130℃、好ましくは90〜120℃であり、延伸倍率は2.5〜6倍、好ましくは3〜5.5倍である。延伸倍率が低いと、ポリエチレンテレフタレートフィルムが十分な透明性を示さない傾向にある。
また、配向主軸の歪みを低減するために、延伸後熱固定処理を行なう前に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを弛緩処理することが望ましい。弛緩処理時の温度は90〜200℃、好ましくは120〜180℃である。弛緩量は、延伸条件によって異なり、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの、150℃における熱収縮率が2%以下になるように弛緩量および弛緩処理時の温度を設定することが好ましい。
熱固定処理温度は180〜250℃とすることができ、好ましくは200〜245℃である。熱固定処理においては、まず定長で熱固定処理を行なった後、配向主軸の歪みが低減され、耐熱性などの強度を向上させるために、さらに幅方向の弛緩処理を行なうことが好ましい。この場合の弛緩量は、弛緩処理後のポリエチレンテレフタレートフィルムの、150℃における熱収縮率が1〜10%となるように調整されることが好ましく、より好ましくは2〜5%である。
本発明における基材樹脂フィルムとして好適に用いられるポリエチレンテレフタレートフィルムの配向主軸の歪み(延伸軸に対するズレ)の最大値は、10度以下、好ましくは8度以下、さらに好ましくは5度以下である。配向主軸の最大値が10度より大きいと、液晶表示画面に貼合したときに色付不良が大きくなる傾向にある。なお、ポリエチレンテレフタレートフィルムの配向主軸の歪みの最大値は、たとえば、位相差フィルム検査装置RETSシステム(大塚電子株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明における基材樹脂フィルム2は、その厚みは特に制限されないが、20〜100μmの範囲内であることが好ましく、30〜50μmの範囲内であることが好ましい。基材樹脂フィルム2の厚みが20μm未満である場合には、ハンドリングしにくい(取り扱い性に劣る)傾向にあり、また基材樹脂フィルム2の厚みが100μmを超える場合には、薄肉化のメリットが薄れる傾向にある。
また本発明における基材樹脂フィルム2は、面内位相差値R0が1000nm以上であることが好ましく、より好ましくは3000nm以上である。面内位相差値R0が1000nm未満であると、正面からの色つきが目立つ傾向にある。なお、基材樹脂フィルム2の面内位相差値R0は、下記式(2)で表される。
R0=(na−nb)×d (2)
(上記式(2)中、naは基材樹脂フィルム2の面内遅相軸方向の屈折率、nbは基材樹脂フィルム2面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率、dは基材樹脂フィルム2の厚みである。)
本発明における基材樹脂フィルム2の一方側または両側には、各種の易接着処理が施されていてもよい。易接着処理は特に限定されるものではなく、従来公知の処理、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理、溶剤処理などが挙げられる。
(上記式(2)中、naは基材樹脂フィルム2の面内遅相軸方向の屈折率、nbは基材樹脂フィルム2面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率、dは基材樹脂フィルム2の厚みである。)
本発明における基材樹脂フィルム2の一方側または両側には、各種の易接着処理が施されていてもよい。易接着処理は特に限定されるものではなく、従来公知の処理、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー処理、溶剤処理などが挙げられる。
基材樹脂フィルム2の表面に上述した第1の微細凹凸形状2aを形成する方法としては、従来公知の方法を用いることが出来る。たとえば、ポリエチレンテレフタレート原料樹脂を溶融押出成形する際に、ポリエチレンテレフタレートフィルムの少なくとも一方側を微細凹凸形状を有するロールまたはベルトに接触させて凹凸形状を付与する方法、ポリエチレンテレフタレート原料樹脂中に微粒子を添加し、溶融押し出し成形時に表面に微粒子による凹凸形状を形成させる方法、ポリエチレンテレフタレートフィルムを凹凸形状を有する金型で適当な温度でプレスまたは圧着した後、剥離することにより、金型表面の凹凸形状をフィルム表面に転写する方法、サンドブラスト法、ショットブラスト法、液体ホーニング法などの噴射加工法によって微粒子をぶつけて微細凹凸形状を形成する方法などを用いることができる。
本発明の防眩フィルム1におけるハードコート層3は、上述した樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aを有する表面上に積層されるものであり、従来公知の方法で形成することが出来る。ハードコート層3の表面ヘイズは、防眩フィルム1の表面ヘイズとなるため、0.5〜15%の範囲内であることが好ましい。ハードコート層3の表面ヘイズが15%を上回る場合は白ちゃけが発生するため好ましくない。より効果的に白ちゃけの発生を抑えるためには、ハードコート層3の表面ヘイズは5%以下であることが好ましい。ただし、ハードコート層3の表面ヘイズが0.5%を下回る場合には十分な防眩性を示さないことから好ましくない。このハードコート層3の表面ヘイズは上記した方法で測定されるものである。
また、ハードコート層3の内部ヘイズは2%以下であることが好ましく、実質的に0%であることがより好ましい。ハードコート層3の内部ヘイズは、一般的にハードコート層3の表面の第2の微細凹凸形状3aを形成するための微粒子などに起因して発生するものであるが、微粒子による散乱は、樹脂基材フィルム2とハードコート層3との界面による光の屈折による散乱よりも広角側の散乱光強度を上昇させる傾向があり、結果として、画像表示装置に適用したときにコントラストを低下させる傾向にある。よってハードコート層3の内部ヘイズは2%以下であることが好ましい。
ここで、ハードコート層3の内部ヘイズは、次のようにして測定される。すなわち、まず、ハードコート層3をヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルム上に形成した後、トリアセチルセルロースフィルム側が接合面となるように、防眩フィルムとガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、次に、ハードコート層3の第2の微細凹凸形状3aを有する表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、JIS K 7136に準拠してヘイズを測定する。当該ヘイズは、第2の微細凹凸形状3aに起因する表面ヘイズが、当該第2の微細凹凸形状3aを有する表面上に貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、ハードコート層3の内部ヘイズとみなすことができる。
本発明における樹脂基材フィルム2に延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する場合には、防眩フィルム1の全体のヘイズH(%)と透過鮮明度Tc(%)とは以下の関係式(3)を満たすことが好ましい。
Tc≦8H (3)
本発明の防眩フィルム1におけるヘイズH(%)と透過鮮明度Tc(%)とが上記関係式(3)を満たさない場合には、当該防眩フィルム1を画像表示装置に配置した際に延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの位相差に起因する色ムラが観察されるようになる。本発明の防眩フィルムは、色ムラの抑制という観点からは、上記透過鮮明度の下限については特に制限されないが、液晶表示装置の視認性の観点から30%以上であることが好ましい。なお、防眩フィルムの透過鮮明度Tc(%)を本発明の関係式(3)を満たすように低下させるためには、たとえば、ハードコート層3の表面の第2の微細凹凸形状3aの周期を大きくすればよいことが知られている。
本発明の防眩フィルム1におけるヘイズH(%)と透過鮮明度Tc(%)とが上記関係式(3)を満たさない場合には、当該防眩フィルム1を画像表示装置に配置した際に延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの位相差に起因する色ムラが観察されるようになる。本発明の防眩フィルムは、色ムラの抑制という観点からは、上記透過鮮明度の下限については特に制限されないが、液晶表示装置の視認性の観点から30%以上であることが好ましい。なお、防眩フィルムの透過鮮明度Tc(%)を本発明の関係式(3)を満たすように低下させるためには、たとえば、ハードコート層3の表面の第2の微細凹凸形状3aの周期を大きくすればよいことが知られている。
なお、本発明の防眩フィルム1の透過鮮明度Tc(%)は次のようにして測定される。すなわち、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aを有する表面に、樹脂基材フィルム2に隣接する側とは反対側の表面に第2の微細凹凸形状3aを有するハードコート層3を形成した積層体を作製し、樹脂基材フィルム2側が接合面となるように、該積層体とガラス基板とを、透明粘着剤を用いて貼合し、JIS K 7105に規定される方法で測定する。この規格では、像鮮明度の測定に用いる光学くしとして、暗部と明部の幅の比が1:1で、その幅が0.125mm、0.5mm、1.0mmおよび2.0mmの4種類が規定されている。本発明においては、これら4種類の光学くしを用いて測定された像鮮明度の和をもって透過鮮明度Tc(%)と呼ぶものであり、この定義による場合の透過鮮明度Tc(%)の最大値は400%である。
上述した光学特性を満たす第2の微細凹凸形状3aを表面に有するハードコート層3の作製方法としては、特に制限されず、従来公知の方法を用いることが出来る。たとえば、フィラーを分散させた透光性樹脂(ハードコート樹脂)の溶液を樹脂基材フィルム上に塗布し、塗布膜厚を調整してフィラーを塗布膜表面に露出させることでランダムな凹凸を形成する方法や上述した特開2006−53371号公報(特許文献3)に開示されるエンボス法などを挙げることができる。また、後述するように、樹脂基材フィルム2の表面の第1の微細凹凸形状2aを利用して、ハードコート層3の表面の第2の微細凹凸形状3aを形成する方法も用いることができる。
フィラーを分散させた樹脂溶液を樹脂基材フィルム2上に塗布することによってハードコート層3を形成する場合のフィラーとしては、特に制限されず、従来公知の粒子を用いることが出来る。たとえば、無機微粒子としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウなどの無機微粒子、およびこれら無機微粒子に脂肪酸などで表面処理を施したものなどを代表的なものとして挙げることができる。また、有機微粒子としては、メラミンビーズ(屈折率:1.57)、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率:1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率:1.50〜1.59)、ポリカーボネートビーズ(屈折率:1.55)、ポリエチレンビーズ(屈折率:1.53)、ポリ塩化ビニルビーズ(屈折率:1.46)、シリコーン樹脂ビーズ(屈折率:1.46)などの樹脂微粒子を代表的なものとして挙げることができる。
フィラーを分散させた樹脂溶液を樹脂基材フィルム2上に塗布することによってハードコート層3を形成する場合には、ハードコート層3の表面ヘイズを0.5〜15%とし、内部ヘイズを2%以下とするためには、フィラーの屈折率とハードコート層3の基材となる透光性樹脂(ハードコート樹脂)の屈折率の比をほぼ1とするか、可視光の波長よりも小さい(100nm以下程度)無定形シリカ一次粒子からなる多孔質シリカ二次粒子をハードコート樹脂中に分散させることによって第2の微細凹凸形状3aを形成すればよい。前者の方法を用いる場合には、ハードコート樹脂が1.50前後の屈折率を示すことが多いので、ポリメタクリル酸メチルビーズ(屈折率:1.49)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体樹脂ビーズ(屈折率:1.50〜1.59)、ポリエチレンビーズ(屈折率:1.53)などを適宜選択して用いればよい。
ハードコート層3を形成するフィラーとしてシリカ系微粒子を用いる際には、重量平均粒子径が1〜5μmであり、透光性樹脂100重量部に対して1〜10重量部の範囲内でハードコート層3に含有されることが好ましい。シリカ系微粒子の重量平均粒子径が1μm未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなる傾向があり、シリカ系微粒子の重量平均粒子径が5μmを超える場合には表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムに白ちゃけが発生して視認性が低下する傾向がある。また、シリカ系微粒子の添加量が透光性樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなったり、表面の第2の微細凹凸形状3aが疎となり質感が低下する傾向があり、また、シリカ系微粒子の添加量が透光性樹脂100重量部に対して10重量部を超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルム1に白ちゃけが発生して視認性が低下する傾向がある。また、ハードコート層3の膜厚は必要な表面ヘイズが得られるように適宜調整し得るものであるが、一般的にはシリカ系微粒子の重量平均粒子径に対して85%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。ハードコート層3の膜厚がシリカ系微粒子の重量平均粒子径の85%を下回る場合には表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムに白ちゃけが発生して視認性が低下する傾向がある。
ハードコート層3を形成する有機微粒子として透光性を有する樹脂微粒子を用いる場合には、重量平均粒子径が2〜10μmであり、透光性樹脂100重量部に対して1〜40重量部の範囲内でハードコート層3に含有されることが好ましい。樹脂微粒子の重量平均粒子径が2μm未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなる傾向があり、樹脂微粒子の重量平均粒子径が10μmを超える場合には表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムに白ちゃけが発生して視認性が低下する傾向がある。また、樹脂微粒子の添加量が透光性樹脂100重量部に対して1重量部未満である場合には、十分な防眩性を示さなくなったり、表面の第2の微細凹凸形状3aが疎となり質感が低下する傾向があり、透光性樹脂100重量部に対して40重量部を超える場合には、表面ヘイズが大きくなり、結果として、画像表示装置に適用したときに、画面が暗くなり、視認性が損なわれる傾向にある。また、ハードコート層3の膜厚は必要な表面ヘイズが得られるように適宜調整し得るものであるが、一般的には樹脂微粒子の重量平均粒子径に対して85%以上であることが好ましく、より好ましくは100%以上である。ハードコート層3の膜厚が樹脂微粒子の重量平均粒子径の85%を下回る場合には表面ヘイズが大きくなり、結果として、防眩フィルムに白ちゃけが発生して視認性が低下する傾向がある。
フィラーを分散させる透光性樹脂(ハードコート樹脂)としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などを用いることができるが、生産性、硬度などの観点から紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。紫外線硬化性樹脂としては、市販されているものを用いることができる。たとえば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートなどの多官能アクリレートの単独または2種以上と、光重合開始剤との混合物を、紫外線硬化性樹脂とすることができる。光重合開始剤としては、たとえばイルガキュアー 907(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー 184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、ルシリン TPO(BASF社製)などの市販品を好適に用いることができる。このような紫外線硬化性樹脂を用いた場合、紫外線硬化性樹脂にフィラーを分散した後、該樹脂組成物を樹脂基材フィルムに塗布し、紫外線を照射することにより、透光性樹脂中にフィラーが分散された、ハードコート層3を形成することができる。
また、エンボス法により、表面に第2の微細凹凸形状3aを有するハードコート層3を形成する場合には、上述した特開2006−53371号公報(特許文献3)などに開示されているように、微細凹凸形状が形成された金型を用いて、金型の形状をハードコート層に転写すればよい。金型形状のフィルムへの転写は、エンボスにより行なうことが好ましく、エンボスとしては、紫外線硬化性樹脂を用いるUVエンボス法が好ましい。
UVエンボス法では、樹脂基材フィルムの表面に紫外線硬化性樹脂層を形成し、その紫外線硬化性樹脂層を金型の凹凸面に押し付けながら硬化させることで、金型の凹凸面が紫外線硬化性樹脂層に転写される。具体的には、樹脂基材フィルム上に紫外線硬化性樹脂を塗工し、塗工した紫外線硬化性樹脂を金型の凹凸面に密着させた状態で、樹脂基材フィルム側から紫外線を照射して紫外線硬化性樹脂を硬化させ、次に、硬化後の紫外線硬化性樹脂層が形成された樹脂基材フィルムを金型から剥離することにより、金型の形状を紫外線硬化性樹脂に転写する。紫外線硬化性樹脂の種類は特に制限されない。また、紫外線硬化性樹脂の代わりに、光開始剤を適宜選定することにより、紫外線より波長の長い可視光で硬化が可能な可視光硬化性樹脂を用いてもよい。
フィラーを分散させた樹脂溶液を樹脂基材フィルム上に塗布し、塗布膜厚を調整してフィラーを塗布膜表面に露出させることでランダムな微細凹凸形状を形成する方法、もしくはエンボス法を使用せずに、図8に示す例の防眩フィルム1’のように、樹脂基材フィルム2の表面の第1の微細凹凸形状2aを利用して、ハードコート層3’の表面の第2の微細凹凸形状3a’を形成するようにしてもよい。すなわち、樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aを有する表面上に紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂などを樹脂基材フィルム2の第1の微細凹凸形状2aが完全に埋没しないように適切な膜厚で塗布した後、硬化させることによって、図8に示す例の防眩フィルム1’のように、表面に第2の微細凹凸形状3a’を有するハードコート層3’を形成することが出来る。所定の第2の微細凹凸形状3a’をハードコート層3’の表面に形成するためには、塗工時の塗液の粘度と膜厚を調整すれば良い。
本発明におけるハードコート層の厚みは特に制限されないが、2〜20μmの範囲内であることが好ましい。ハードコート層の厚みが2μm未満であると、十分な硬度が得られず、傷付きやすくなる傾向にあり、また、ハードコート層の厚みが20μmより厚くなると、割れやすくなったり、ハードコート層の硬化収縮によりフィルムがカールして生産性が低下したりする傾向がある。
本発明の防眩フィルムは、その最表面、すなわちハードコート層の第2の微細凹凸形状を有する側に低反射膜を有していてもよい。ここで、「低反射」とは、たとえば、分光測色計で測定された反射色をYxy表色系で表したときの反射率Yが4%以下(好適には3%以下)であるような性質を指す。ここで、反射色の測定には、たとえば、分光測色計CM−700d(コニカミノルタセンシング(株)製)などを用いることができる。本発明の防眩フィルムは、低反射膜がない状態でも十分な防眩機能を発揮するが、最表面に低反射膜を設けることにより、防眩性をさらに向上させることができる。低反射膜は、ハードコート層の上に、それよりも屈折率の低い低屈折率材料の層を設けることにより形成できる。そのような低屈折率材料として、具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化アルミニウム(AlF3)、氷晶石(3NaF・AlF3またはNa3AlF6)などの無機材料微粒子を、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂などに含有させた無機系低反射材料、フッ素系またはシリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などの有機低反射材料を挙げることができる。
本発明の防眩フィルムは、防眩性能が高く、視認性に優れる上に、パネルの強度が補強され、パネルの反りを防止することができるため、画像表示装置に装着したときに視認性および機械的強度に優れたものとなる。画像表示装置が液晶ディスプレイである場合には、本発明の防眩フィルムを偏光板に適用することができる。すなわち、偏光板は一般に、ヨウ素または二色性染料が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムの少なくとも一方側に保護フィルムが貼合された形のものが多いが、その一方の保護フィルムを本発明の防眩フィルムで構成する。本発明は、このように、上述した本発明の防眩フィルムと、当該防眩フィルムの樹脂基材フィルム側に配置されて貼り合わされた偏光フィルムとを備える防眩性偏光板についても提供するものである。
本発明の防眩性偏光板において、偏光フィルムの他方側(本発明の防眩フィルムが貼り合わされていない側)は、何も積層されていない状態でもよいし、別の保護フィルムまたは光学フィルムが積層されていてもよいし、また液晶セルに貼合するための粘着剤層が形成されていてもよい。また、偏光フィルムの少なくとも一方側に保護フィルムが貼合された偏光板の当該保護フィルム上に、本発明の防眩フィルムを樹脂基材フィルム側で貼合して、防眩性偏光板とすることもできる。さらに、少なくとも一方側に保護フィルムが貼合された偏光板において、当該保護フィルムとして樹脂基材フィルムを偏光フィルムに貼合した後、樹脂基材フィルム上に上記ハードコート層を形成することにより、防眩性偏光板とすることもできる。
本発明はさらに、上述した本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示素子と組み合わせた画像表示装置についても提供する。ここで、画像表示素子は、上下基板間に液晶が封入された液晶セルを備え、電圧印加により液晶の配向状態を変化させて画像の表示を行なう液晶パネルが代表的であるが、その他、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなど、公知の各種ディスプレイに対しても、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を適用することができる。
本発明の画像表示装置においては、防眩フィルムは、画像表示素子よりも視認側に配置される。この際、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、防眩フィルムの第2の微細凹凸形状を有する側、すなわちハードコート層側が外側(視認側)となるように配置される。防眩フィルムまたは防眩性偏光板は、画像表示素子の表面に直接貼合してもよいし、液晶パネルを画像表示手段とする場合は、たとえば上述のように、偏光フィルムを介して液晶パネルの表面に貼合することもできる。このように、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を備える画像表示装置は、防眩フィルムの有する表面の第2の微細凹凸形状により入射光を散乱して映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与える。
また、本発明の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を画像表示装置に適用した場合には、従来の防眩フィルムまたは防眩性偏光板を用いた場合よりもパネルの強度が補強され、パネルの反りを防止することができる。また、樹脂基材フィルムとして延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる場合でも、当該延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが有する位相差に起因する、斜め方向から観察したときの色ムラも観察されない。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ない限り重量基準である。また、以下の例における防眩フィルムの評価方法は、次のとおりである。
(1)防眩フィルムの光学特性の測定
(1−1)ヘイズ
防眩フィルムのヘイズは、防眩フィルムを光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、該ガラス基板に貼合された防眩フィルムについて、JIS K 7136に準拠したヘイズメーターHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。また、内部ヘイズはハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠して測定した。表面ヘイズは、上記式(1)に基づいて算出した。
(1−1)ヘイズ
防眩フィルムのヘイズは、防眩フィルムを光学的に透明な粘着剤を用いてガラス基板に貼合し、該ガラス基板に貼合された防眩フィルムについて、JIS K 7136に準拠したヘイズメーターHM−150型((株)村上色彩技術研究所製)を用いて測定した。また、内部ヘイズはハードコート層の凹凸表面に、ヘイズがほぼ0であるトリアセチルセルロースフィルムをグリセリンを用いて貼合し、再度JIS K 7136に準拠して測定した。表面ヘイズは、上記式(1)に基づいて算出した。
(1−2)透過散乱プロファイル
防眩フィルムを、第2の微細凹凸形状が表面となるようガラス基板に貼合し、そのガラス面側でフィルム法線に対して所定の角度傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、防眩フィルムの第2の微細凹凸形状を有する表面側でフィルム法線方向の透過散乱光強度を測定した。透過散乱光強度の測定には、いずれも3292 03 オプティカルパワーセンサー(横河電機(株)製)および3292 オプティカルパワーメーター(横河電機(株)製)を用いた。
防眩フィルムを、第2の微細凹凸形状が表面となるようガラス基板に貼合し、そのガラス面側でフィルム法線に対して所定の角度傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、防眩フィルムの第2の微細凹凸形状を有する表面側でフィルム法線方向の透過散乱光強度を測定した。透過散乱光強度の測定には、いずれも3292 03 オプティカルパワーセンサー(横河電機(株)製)および3292 オプティカルパワーメーター(横河電機(株)製)を用いた。
(1−3)透過鮮明度
JIS K 7105に準拠した写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機(株)製)を用いて、防眩フィルムの透過鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて第2の微細凹凸形状が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。この状態でガラス側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.125mm、0.5mm、1.0および2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である。この場合の透過鮮明度の最大値は400%となる。
JIS K 7105に準拠した写像性測定器ICM−1DP(スガ試験機(株)製)を用いて、防眩フィルムの透過鮮明度を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて第2の微細凹凸形状が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。この状態でガラス側から光を入射させ、測定を行なった。ここでの測定値は、暗部と明部との幅がそれぞれ0.125mm、0.5mm、1.0および2.0mmである4種類の光学くしを用いて測定された値の合計値である。この場合の透過鮮明度の最大値は400%となる。
(1−4)反射プロファイル
防眩フィルムの第2の微細凹凸形状に、フィルム法線に対して30゜傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、フィルム法線と照射方向を含む平面内における反射率の角度変化の測定を行なった。反射率の測定には、いずれも3292 03 オプティカルパワーセンサー(横河電機(株)製)および3292 オプティカルパワーメーター(横河電機(株)製)を用いた。
防眩フィルムの第2の微細凹凸形状に、フィルム法線に対して30゜傾斜した方向から、He−Neレーザーからの平行光を照射し、フィルム法線と照射方向を含む平面内における反射率の角度変化の測定を行なった。反射率の測定には、いずれも3292 03 オプティカルパワーセンサー(横河電機(株)製)および3292 オプティカルパワーメーター(横河電機(株)製)を用いた。
(2)樹脂基材フィルムおよび防眩フィルムの表面形状の測定
共焦点顕微鏡PLμ2300(Sensofar社製)を用いて、樹脂基材フィルムおよび防眩フィルムの表面形状を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて第2の微細凹凸形状が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。測定の際、対物レンズの倍率は50倍とした。当該測定データをもとに、JIS B 0601に準拠した計算により、断面曲線における算術平均高さPaおよび最大断面高さPtを求めた。
共焦点顕微鏡PLμ2300(Sensofar社製)を用いて、樹脂基材フィルムおよび防眩フィルムの表面形状を測定した。この場合も、サンプルの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて第2の微細凹凸形状が表面となるようにガラス基板に貼合してから、測定に供した。測定の際、対物レンズの倍率は50倍とした。当該測定データをもとに、JIS B 0601に準拠した計算により、断面曲線における算術平均高さPaおよび最大断面高さPtを求めた。
(3)防眩フィルムの防眩性能の評価
(3−1)映り込みおよび白ちゃけの目視評価
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、第2の微細凹凸形状が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で第2の微細凹凸形状を有する側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無および白ちゃけ発生の程度を目視で評価した。映り込みおよび白ちゃけは、それぞれ1〜3の3段階で次の基準により評価した。
(3−1)映り込みおよび白ちゃけの目視評価
防眩フィルムの裏面からの反射を防止するために、第2の微細凹凸形状が表面となるように黒色アクリル樹脂板に防眩フィルムを貼合し、蛍光灯のついた明るい室内で第2の微細凹凸形状を有する側から目視で観察し、蛍光灯の映り込みの有無および白ちゃけ発生の程度を目視で評価した。映り込みおよび白ちゃけは、それぞれ1〜3の3段階で次の基準により評価した。
〔映り込み〕
1:映り込みが観察されない。
1:映り込みが観察されない。
2:映り込みが少し観察される。
3:映り込みが明瞭に観察される。
3:映り込みが明瞭に観察される。
〔白ちゃけ〕
1:白ちゃけの発生が観察されない。
1:白ちゃけの発生が観察されない。
2:白ちゃけの発生が少し観察される。
3:白ちゃけの発生が明瞭に観察される。
3:白ちゃけの発生が明瞭に観察される。
(3−2)ギラツキの評価
ギラツキは、以下の方法で評価した。すなわち、まず図9に平面図で示すようなユニットセルのパターンを有するフォトマスクを用意した。図9において、ユニットセル40は、透明な基板上に、線幅10μmでカギ形のクロム遮光パターン41が形成され、そのクロム遮光パターン41の形成されていない部分が開口部42となっている。ここでは、ユニットセル40の寸法が254μm×84μm(図中の縦×横)、したがって開口部42の寸法が244μm×74μm(図の縦×横)のものを用いた。図示するユニットセル40が縦横に多数並んで、フォトマスクを形成する。
ギラツキは、以下の方法で評価した。すなわち、まず図9に平面図で示すようなユニットセルのパターンを有するフォトマスクを用意した。図9において、ユニットセル40は、透明な基板上に、線幅10μmでカギ形のクロム遮光パターン41が形成され、そのクロム遮光パターン41の形成されていない部分が開口部42となっている。ここでは、ユニットセル40の寸法が254μm×84μm(図中の縦×横)、したがって開口部42の寸法が244μm×74μm(図の縦×横)のものを用いた。図示するユニットセル40が縦横に多数並んで、フォトマスクを形成する。
そして、図10に模式的な断面図で示すように、フォトマスク43のクロム遮光パターン41を上にしてライトボックス45に置き、ガラス板47に粘着剤で防眩フィルム51をその凹凸面が表面となるように貼合したサンプルをフォトマスク43上に置く。ライトボックス45の中には、光源46が配置されている。この状態で、サンプルから約30cm離れた位置49で目視観察した。ギラツキの程度は1〜3の3段階で次の基準により評価した。
〔ギラツキ〕
1:ギラツキが認められない。
1:ギラツキが認められない。
2:ごくわずかにギラツキが観察される。
3:ひどくギラツキが観察される。
3:ひどくギラツキが観察される。
<実施例1>
(A)エンボス用金型の作製
直径200mmの鉄ロール(JISによるSTKM13A)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚さは約200μmであった。その銅めっき表面を鏡面研磨し、さらにその研磨面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−B125(東ソー(株)製、平均粒径:125μm)を、ビーズ使用量6g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下「ブラスト量」とする)、ブラスト圧力0.05MPa、ビーズを噴射するノズルから金属表面までの距離(ブラスト距離)600mmでブラストした後、さらにそのブラストされた面に、先と同じブラスト装置を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト量3g/cm2、ブラスト圧力0.05MPa、ブラスト距離450mmでブラストして表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つき銅めっき鉄ロールに対し、塩化第二銅水溶液を用いてエッチングを行なった。その際のエッチング量は3μmとなるように設定した。その後、クロムめっき加工を行ない、金属金型を作製した。このとき、クロムめっき厚みが4μmとなるように設定した。得られた金型は、表面のビッカース硬度が1000であった。
(A)エンボス用金型の作製
直径200mmの鉄ロール(JISによるSTKM13A)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚さは約200μmであった。その銅めっき表面を鏡面研磨し、さらにその研磨面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−B125(東ソー(株)製、平均粒径:125μm)を、ビーズ使用量6g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下「ブラスト量」とする)、ブラスト圧力0.05MPa、ビーズを噴射するノズルから金属表面までの距離(ブラスト距離)600mmでブラストした後、さらにそのブラストされた面に、先と同じブラスト装置を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト量3g/cm2、ブラスト圧力0.05MPa、ブラスト距離450mmでブラストして表面に凹凸をつけた。得られた凹凸つき銅めっき鉄ロールに対し、塩化第二銅水溶液を用いてエッチングを行なった。その際のエッチング量は3μmとなるように設定した。その後、クロムめっき加工を行ない、金属金型を作製した。このとき、クロムめっき厚みが4μmとなるように設定した。得られた金型は、表面のビッカース硬度が1000であった。
(B)樹脂基材フィルムの作製
一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:40μm、屈折率:1.66)上に、ブラスト装置(新東ブレーター(株)製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−B30(東ソー(株)製)、平均粒径:30μm)を、ビーズ使用量40g/cm2(フィルムの表面積1cm2あたりの使用量)、ブラスト圧力0.9MPa、ビーズを噴射するノズルからフィルム表面までの距離200mmでブラストして、表面に微細凹凸形状(第1の微細凹凸形状)を作製した。
一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:40μm、屈折率:1.66)上に、ブラスト装置(新東ブレーター(株)製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−B30(東ソー(株)製)、平均粒径:30μm)を、ビーズ使用量40g/cm2(フィルムの表面積1cm2あたりの使用量)、ブラスト圧力0.9MPa、ビーズを噴射するノズルからフィルム表面までの距離200mmでブラストして、表面に微細凹凸形状(第1の微細凹凸形状)を作製した。
(C)防眩フィルムの作製
以下の各成分が酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されている紫外線硬化性樹脂組成物を用意した。
以下の各成分が酢酸エチルに固形分濃度60%で溶解されている紫外線硬化性樹脂組成物を用意した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 60部
多官能ウレタン化アクリレート 40部
(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物)
次に、この紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、光重合開始剤であるルシリン TPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加して塗布液を調製した。この紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率は1.53であった。
多官能ウレタン化アクリレート 40部
(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物)
次に、この紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、光重合開始剤であるルシリン TPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加して塗布液を調製した。この紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物の屈折率は1.53であった。
この塗布液を、上記の方法で形成した一軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの第1の微細凹凸形状を有する表面上に、乾燥後の塗布厚みが5μmとなるように塗布し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。乾燥後のフィルムを、上で作製した金属金型の凹凸面に、紫外線硬化性樹脂組成物層が金型側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態で樹脂基材フィルム側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させた。この後、樹脂基材フィルムを硬化樹脂ごと金型から剥離して、表面に凹凸を有するハードコート層(硬化樹脂)と樹脂基材フィルムとの積層体からなる防眩フィルムを得た。
得られた防眩フィルムの光学特性および表面形状を上記した方法で測定した。光学特性評価結果については表2に記載し、表面形状および防眩性評価結果については表3に記載した。なお、表2に示される実施例1の防眩フィルムの透過鮮明度の内訳は、次のとおりである。
透過鮮明度
0.125mm光学くし: 74.0%
0.5mm光学くし : 73.7%
1.0mm光学くし : 73.3%
2.0mm光学くし : 75.6%
合計 296.6%
<実施例2、3>
エンボス金型の作製条件を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを作成し、光学特性を評価した。光学特性評価結果については表2に記載し、表面形状および防眩性評価結果については表3に記載した。
0.125mm光学くし: 74.0%
0.5mm光学くし : 73.7%
1.0mm光学くし : 73.3%
2.0mm光学くし : 75.6%
合計 296.6%
<実施例2、3>
エンボス金型の作製条件を表1のように変更した以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを作成し、光学特性を評価した。光学特性評価結果については表2に記載し、表面形状および防眩性評価結果については表3に記載した。
<比較例1>
樹脂基材フィルムをトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.49)に変更したこと以外は実施例1と同様にして評価した。光学特性評価結果については表2に記載し、表面形状および防眩性評価結果については表3に記載した。
樹脂基材フィルムをトリアセチルセルロースフィルム(屈折率:1.49)に変更したこと以外は実施例1と同様にして評価した。光学特性評価結果については表2に記載し、表面形状および防眩性評価結果については表3に記載した。
<比較例2>
樹脂基材フィルムへのブラスト加工を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを作成し、光学特性を評価した。光学特性評価結果については表2に記載し、表面形状および防眩性評価結果については表3に記載した。
樹脂基材フィルムへのブラスト加工を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして防眩フィルムを作成し、光学特性を評価した。光学特性評価結果については表2に記載し、表面形状および防眩性評価結果については表3に記載した。
表1〜3に示されるように、本発明の防眩フィルム(実施例1〜3)は、優れた防眩性能を示しながら、機械的強度も高く、画像表示装置に配置した際にもギラツキが発生しない優れたものであることが分かった。ただし、実施例3ではR(30)、R(40)、R(50)の値および表面ヘイズの値が本発明の好ましい範囲上回っていたために白ちゃけが発生していた。また、実施例2ではR(40)の値が本発明の好ましい範囲をわずかに上回っていたために、少し白ちゃけが発生していた。比較例1では樹脂基材フィルムとハードコート層の屈折率差が本発明の範囲を下回っていたために、十分な内部ヘイズが発現せず、ギラツキが発生していた。また、樹脂基材フィルムの表面が平坦な比較例2では内部ヘイズが殆ど発生しなかったために、ギラツキが酷く発生していた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の防眩フィルムを、液晶パネル、プラズマディスプレイパネル、CRTディスプレイ、有機ELディスプレイなどの各種ディスプレイに対し、その防眩フィルムが画像表示素子よりも視認側となるように配置することで、白ちゃけを発生させることなく、映り込み像をぼかすことができ、優れた視認性を与えるものとなる。また、機械的強度も高いためにパネルの反りなども効果的に抑えることが出来る。
1,1’,51 防眩フィルム、2 樹脂基材フィルム、2a 第1の微細凹凸形状、3,3’ ハードコート層、3a,3a’ 第2の微細凹凸形状、11 防眩フィルムの法線、12 防眩フィルムの法線方向に対しφの角度を成して入射する光、13 透過散乱光、14 入射光方向と防眩フィルムの法線とを含む平面、21 防眩フィルムの法線方向に対し30°の角度を成して入射する光、22 正反射方向における反射光、23 反射角θで反射した光、40 フォトマスクのユニットセル、41 フォトマスクのクロム遮光パターン、42 フォトマスクの開口部、43 フォトマスク、45 ライトボックス、47 ガラス板、46 光源、49 ギラツキの観察位置。
Claims (10)
- 表面に第1の微細凹凸形状を有する樹脂基材フィルムと、樹脂基材フィルムの第1の微細凹凸形状を有する表面上に積層された、表面に第2の微細凹凸形状を有するハードコート層とを備える防眩フィルムであって、樹脂基材フィルムの屈折率とハードコート層の屈折率との差が0.06以上である、防眩フィルム。
- 内部ヘイズが5〜30%であり、表面ヘイズが0.5〜15%である、請求項1に記載の防眩フィルム。
- 樹脂基材フィルムの厚みが20〜100μmであり、ハードコート層の厚みが2〜20μmである、請求項1または2に記載の防眩フィルム。
- 樹脂基材フィルムが一軸延伸または二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムで構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の防眩フィルム。
- 樹脂基材フィルム側から入射角20゜で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(20)が0.0001〜0.001%であり、
樹脂基材フィルム側から入射角30°で光を入射したときのハードコート層側法線方向における相対散乱光強度T(30)が0.00004〜0.0002%である、請求項1〜4のいずれかに記載の防眩フィルム。 - ハードコート層側から入射角30゜で光を入射したときに、
反射角30゜の反射率R(30)が0.05〜2%であり、
反射角40゜の反射率R(40)が0.0001〜0.005%であり、
反射角50゜の反射率R(50)が0.00001〜0.0005%である、請求項1〜5のいずれかに記載の防眩フィルム。 - ハードコート層の第2の微細凹凸形状を有する表面上に形成された低反射膜をさらに備える、請求項1〜6のいずれかに記載の防眩フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の防眩フィルムと、当該防眩フィルムの樹脂基材フィルム側に配置されて貼り合わされた偏光フィルムとを備える、防眩性偏光板。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の防眩フィルムと画像表示素子とを備える画像表示装置であって、
防眩フィルムが、ハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置されている、画像表示装置。 - 請求項8に記載の防眩性偏光板と画像表示素子とを備える画像表示装置であって、
防眩性偏光板が、防眩フィルムのハードコート層側を外側にして画像表示素子の視認側に配置されている、画像表示装置。
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