JP2009113471A - 積層体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の積層体は、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂、着色剤、及び、沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤を含有し、着色剤及び発泡剤の含有量が、上記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層(発泡層)11と、この第1層11の少なくとも一面側に配され、厚さ2.5mm試験片に対しASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物からなる第2層(樹脂層)12とを備える。
【選択図】図1
Description
しかしながら、近年、軽量化、耐久性等に優れた建材用成形品を与える材料が求められており、例えば、樹脂及び発泡剤を含有する樹脂組成物からなる材料が検討されている。
1.(A)全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂、(B)着色剤、及び、(C)沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤を含有し、該着色剤(B)及び該発泡剤(C)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、それぞれ、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層と、該第1層の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる第2層とを備えることを特徴とする積層体。
2.上記第1層の表面が斑模様を呈している上記1に記載の積層体。
3.上記熱可塑性樹脂組成物[Y]が、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む上記1又は2に記載の積層体。
4.上記第1層の密度が、40〜500kg/m3である上記1乃至3のいずれかに記載の積層体。
5.フィルム又はシートである上記1乃至4のいずれかに記載の積層体。
6.木製製品の代替品として用いられる上記1乃至5のいずれかに記載の積層体。
7.上記1乃至6のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、上記熱可塑性樹脂(A)の5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の0〜50質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の20〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X1]、及び、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X2]を含む熱可塑性樹脂組成物[X]と、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]と、を共押出する工程を備えることを特徴とする積層体の製造方法。
8.上記組成物[X1]が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである上記7に記載の積層体の製造方法。
9.上記組成物[X1]に含有されるスチレン系樹脂をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分が、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位(芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位)75〜95質量%、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位(シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位)5〜25質量%、及び、他の化合物からなる単量体単位(他の化合物に由来する単量体単位)0〜20質量%により構成されている上記7又は8に記載の積層体の製造方法。
本発明の積層体において、第1層の発泡セルが均一であることから、形状安定性に優れ、均一色着色、斑模様着色が鮮明に着色でき、特に斑模様着色は一段と鮮明に着色することができる。また、第2層が、透明又は半透明であることから、第1層の発泡体の表面により付与されている質感を、第2層を通して、視認することができ、木製製品の代替品として、例えば、表示板等の土木・建設関連資材;車両用内外装関連資材;電気・電子部品;スポーツ用品;壁、床、枠、家具(机の引き出し、天板等)、化粧シート、間仕切り、ラティス、フェンス、雨樋、サイジングボード、カーポート、テラス、デッキ、浴室部材(カウンター、扉、エプロン、UB枠、窓枠、棚等)、台所部材(扉、仕切板、窓枠、棚等)等の住宅・事務所用内外装材等に好ましく用いることができる。
本発明の積層体の製造方法によれば、軽量であり、着色剤による均一色着色、斑模様着色等の着色が鮮明であり、歪みがなく、平滑性及び形状安定性に優れる積層体を効率よく得ることができる。
上記組成物[X1]が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである場合には、発泡倍率が2倍以上と高く軽量であり、着色された、好ましくは、斑模様等が付与された発泡体からなる層と、この層の少なくとも一面側に配された樹脂層とを備え、着色剤による均一色着色、斑模様着色等が鮮明であり、歪みがなく、平滑性を備えて外観性及び形状安定性に優れる積層体の形成に好適である。
本発明の積層体は、(A)全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂(以下、「成分(A)」ともいう。)、(B)着色剤(以下、「成分(B)」ともいう。)、及び、(C)沸点が−10℃〜55℃である発泡剤(以下、「成分(C)」ともいう。)を含有し、該着色剤(B)及び該発泡剤(C)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、それぞれ、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層(以下、「発泡層」ともいう。)と、この第1層(発泡層)の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる第2層(以下、「保護層」ともいう。)とを備えることを特徴とする。
この発泡層は、成分(A)、(B)及び(C)を所定の割合で含有する発泡体からなる層である。即ち、この発泡層は、均一な発泡セルが、成分(A)及び(B)を含む壁材に含まれてなる層である。発泡セルは、通常、成分(C)を含んでおり、互いに隣接している。
上記スチレン系(共)重合体(A11)が共重合体である場合、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位以外の他の単量体単位としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド系化合物、酸無水物、更には、ヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アミド基、カルボキシル基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系化合物等に由来する単量体単位が挙げられる。この他の単量体単位は、1種単独であるいは2種以上の組合せで含まれたものとすることができる。
上記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、必要に応じて、後述するゴム強化スチレン系樹脂(A12)の製造時に使用可能な連鎖移動剤、乳化剤等を用いることができる。
尚、上記ビニル系単量体(b1)及び上記ビニル系単量体(b2)において、構成成分及びその割合等が互いに同じであってよいし、異なってもよい。
尚、上記重合開始剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
尚、上記連鎖移動剤は、反応系に一括して、又は、連続的に添加することができる。
尚、上記スチレン系樹脂(A1)に、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)を2種以上含有させる場合には、各ラテックスから樹脂成分を単離した後、混合してもよいが、他の方法として、各樹脂成分をそれぞれ含むラテックスの混合物を凝固する等の方法がある。
グラフト率(質量%)={(y−x)/x}×100
(1)スチレン系(共)重合体(A11)の1種以上。
(2)ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の1種以上。
(3)スチレン系(共)重合体(A11)の1種以上と、ゴム強化スチレン系樹脂(A12)の1種以上との組合せ。
他の熱可塑性樹脂の使用量は、上記成分(A)を100質量%とした場合、通常、0〜95質量%、好ましくは0〜70質量%、より好ましくは0〜40質量%、更に好ましくは0〜20質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
他の熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂であれば、特に限定されず、ポリカーボネート樹脂(PC);ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の(メタ)アクリル酸エステル化合物の1種以上を用いた(共)重合体等のアクリル系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリアミド系樹脂(PA);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;オレフィン系樹脂;アイオノマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体等のエチレン系共重合体;ポリアセタール樹脂(POM);ポリアリレート樹脂;ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンサルファイド;ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;液晶ポリマー;イミド系樹脂;ケトン系樹脂;スルホン系樹脂;ウレタン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール;ポリビニルエーテル;ポリビニルブチラール;フェノキシ樹脂;感光性樹脂;バイオベースポリマー等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーが好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂が更に好ましい。
その平均重合度は、通常、500〜8,000である。
顔料としては、有機顔料及び無機顔料のいずれでもよい。
有機顔料としては、ペリノン系顔料;フタロシアニン系顔料;キナクリドン系顔料;パーマネントレッド、レーキレッド、ファーストイエロー等のアゾ系顔料;ニトロソ系顔料;ニトロ顔料等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン系顔料及びアゾ系顔料が好ましい。
無機顔料としては、酸化物、硫化物、炭酸塩、アルミン酸塩、クロム酸塩、金属粉、カーボンブラック等が挙げられる。
酸化物としては、Zn、Ti、Cd、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも1種の元素を含む化合物を用いることができ、例えば、亜鉛華等の酸化亜鉛系顔料;チタンホワイト、チタンイエロー等の酸化チタン系顔料;FeO、FeO(OH)、Fe2O3(べんがら)等の酸化鉄系顔料;CrO、Cr2O3、Cr2O3・2H2O等の酸化クロム系顔料;MnO、Mn2O3、MnO2等の酸化マンガン系顔料;CuO、Cu2O、CoO等の酸化コバルト系顔料;CoO・Al2O3、Fe(Fe,Cr)2O4、(Co,Fe)(Fe,Cr)2O4、Cu(Cr,Mn)2O4、(Cu,Fe,Mn)(Fe,Cr,Mn)2O4、(Fe,Zn)(Fe,Cr)2O4、(Fe,Zn)Fe2O4、Co(Al,Cr)2O4、Cr2O3:Fe2O3、(Ni,Co,Fe)(Fe,Cr)2O4等の複合酸化物系顔料が挙げられる。焼成系顔料を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、Fe、Cr、Mn、Cu、Co及びNiから選ばれた少なくとも2種の元素を含む化合物を用いると、低蓄熱性に優れた積層体を形成することができる。
硫化物としては、硫化鉄、硫化カドミウム等が挙げられる。
アルミン酸塩としては、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)等が挙げられる。
クロム酸塩としては、クロム酸鉛、クロム酸亜鉛等が挙げられる。
また、染料としては、複素環系染料;アンスラキノン系染料;アゾ系染料;ペリノン系染料;ローダミンレーキ等の塩素性染料系レーキ等が挙げられる。
尚、上記成分(C)が複数の成分を含む場合には、沸点(大気圧)の平均値が−10℃〜55℃であることが好ましい。
また、上記成分(C)は、酸素原子を含む化合物である石油エーテル、炭酸ガス、窒素ガス等を含んでもよい。他の成分の含有量は、上記成分(C)100質量%に対し、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは0〜5質量%である。
上記発泡助剤の含有量は、上記成分(C)100質量部に対して、通常、0.1〜2質量部である。
上記充填剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記熱安定剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
上記酸化防止剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
上記紫外線吸収剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.05〜2質量部である。
上記老化防止剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.01〜2質量部である。
低分子型帯電防止剤としては、アニオン系帯電防止剤;カチオン系帯電防止剤;非イオン系帯電防止剤;両性系帯電防止剤;錯化合物;アルコキシシラン、アルコキシチタン、アルコキシジルコニウム等の金属アルコキシド及びその誘導体;コーテッドシリカ、リン酸塩、リン酸エステル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、高分子型帯電防止剤としては、分子内にスルホン酸金属塩を有するビニル共重合体、アルキルスルホン酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、ベタイン等が挙げられる。更に、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を用いることもできる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記帯電防止剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記可塑剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.5〜5質量部である。
上記滑剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.2〜5質量部である。
有機系難燃剤としては、臭素化エポキシ系化合物、臭素化アルキルトリアジン化合物、臭素化ビスフェノール系エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノール系ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化架橋ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールシアヌレート樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル、デカブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモビスフェノールA及びそのオリゴマー等のハロゲン系難燃剤;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジクレジルフェニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェート、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステルやこれらを各種置換基で変性した化合物、各種の縮合型のリン酸エステル化合物、リン元素及び窒素元素を含むホスファゼン誘導体等のリン系難燃剤;ポリテトラフルオロエチレン、グアニジン塩、シリコーン系化合物、ホスファゼン系化合物等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
反応系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノールA、ジブロモフェノールグリシジルエーテル、臭素化芳香族トリアジン、トリブロモフェノール、テトラブロモフタレート、テトラクロロ無水フタル酸、ジブロモネオペンチルグリコール、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、クロレンド酸(ヘット酸)、無水クロレンド酸(無水ヘット酸)、臭素化フェノールグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、上記発泡層に難燃剤を含有させる場合には、難燃助剤を用いることが好ましい。この難燃助剤としては、三酸化二アンチモン、四酸化二アンチモン、五酸化二アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、酒石酸アンチモン等のアンチモン化合物や、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、水和アルミナ、酸化ジルコニウム、ポリリン酸アンモニウム、酸化スズ、酸化鉄等が挙げられる。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記抗菌剤の含有量は、上記成分(A)の量を100質量部とした場合に、通常、0.1〜5質量部である。
上記発泡層の表面は平滑であり、成分(B)による均一色着色、斑模様着色等が鮮明である。
また、上記発泡層の厚さは、通常、0.5〜25mm、好ましくは1〜25mm、より好ましくは1〜20mmである。
この保護層は、上記発泡層の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる層である。
また、上記保護層の厚さは、通常、0.01〜2mm、好ましくは0.02〜1mm、より好ましくは0.03〜0.9mm、更に好ましくは0.05〜0.9mmである。従って、上記保護層の全光線透過率が50%以上であれば、上記厚さにおいて透明又は略透明であるので、上記第1層(発泡層)の表面に発現している模様が、この保護層を通して鮮明に認識される。
尚、上記保護層は、上記発泡層の一面側のみにあってよいし(図1参照)、両面側にあってもよい(図2参照)。また、一面側の全面にあってよいし、一部にあってもよい。
上記ゴム質重合体(p)としては、ジエン系重合体及び非ジエン系重合体のいずれでもよく、ポリブタジエン及びその水素添加物、スチレン・ブタジエン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、アクリル系ゴム、ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテン−1・(非共役ジエン)共重合体等のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム等が挙げられる。これらのうち、ポリブタジエン及びその水素添加物、スチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体の水素添加物、アクリル系ゴム、及び、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムが好ましい。本発明の積層体が、耐光性、耐候性等の性能が要求される用途に用いられる場合は、上記の水素添加物、非ジエン系重合体を使用することが好ましい。
また、上記ゴム質重合体(p)の含有量が高いゴム強化樹脂を使用する場合には、例えば、スチレン系(共)重合体、メタクリル酸メチル系(共)重合体、他の樹脂等で希釈して使用される。従って、熱可塑性樹脂組成物[Y]がゴム強化樹脂を含む場合、熱可塑性樹脂組成物[Y]中のゴム質重合体(p)の含有量は、好ましくは3〜35質量%、より好ましくは5〜30質量%、更に好ましくは5〜25質量%である。上記ゴム質重合体(p)の含有量がこの範囲にあると、耐衝撃性及び剛性に優れる。
上記アクリル系樹脂は、好ましくはメタクリル酸メチルに由来する単位を20質量%以上含む(共)重合体である。
本発明の積層体は、上記発泡層及び上記保護層を備える。形状は、特に限定されず、面状(平面、曲面)、筒状等とすることができるが、フィルム又はシートであることが好ましい。
図1の積層体1は、発泡層11と、この発泡層11の図面で上側に配された保護層12とを備える。保護層12に接合している側の発泡層11の表面は、着色剤により、鮮明に着色された、及び/又は、鮮明に斑模様等の模様を発現した表面であることから、図面の上側から、積層体1を見ると、透明な保護層12を通して、上記模様等を容易に視認することができる。尚、発泡層11及び保護層12の厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm及び0.02〜2mmである。
図2の積層体1’は、発泡層11と、この発泡層11の両面側に配された保護層12a及び12bとを備える。この態様においても、積層体1’を両面側から見ると、透明な保護層12a及び12bを通して、それぞれ、上記模様等を容易に視認することができる。尚、発泡層11、保護層12a及び保護層12bの厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm、0.02〜2mm及び0.02〜2mmである。
図3における積層体1"が支持層15を備える場合には、発泡層11及び支持層15の厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm及び0.1〜5mmである。この支持層15は、樹脂(組成物)からなる層、他の有機材料からなる層、無機材料からなる層等とすることができる。
樹脂(組成物)は、熱可塑性樹脂(組成物)であってよいし、硬化樹脂(組成物)であってもよい。また、無機材料は、金属、合金、酸化物、炭化物、窒化物、金属塩等が挙げられる。
また、図3における積層体1"が接着層15を備える場合には、発泡層11及び接着層15の厚さは、通常、それぞれ、1〜25mm及び10〜100μmである。この接着層15を形成する接着剤組成物としては、公知のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂等を含む組成物を用いることができる。尚、上記接着層15の形成後、本発明の積層体をすぐに使用しない場合には、接着が発現しない状態としておく必要がある。また、接着層15の表面(図3の下方側)には、必要に応じて、剥離紙等を更に備えることができる(図示せず)。
尚、本発明の積層体は、接着性、密着性等を向上させるために、必要に応じて、上記発泡層及び上記保護層の間に中間層を備えることができる。
[1]アクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・α−メチルスチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、及び、アクリロニトリル・スチレン・N−フェニルマレイミド共重合体から選ばれた少なくとも1種のスチレン系(共)重合体(A11)のみよりなる熱可塑性樹脂と、着色剤と、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選ばれた少なくとも1種の発泡剤とを含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
[2]ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;ジエン系重合体の存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;アクリル系ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;アクリル系ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂;並びに、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの存在下、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステル化合物からなるビニル系単量体を重合して得られたゴム強化樹脂、から選ばれた少なくとも1種のゴム強化樹脂(A12)のみよりなる熱可塑性樹脂と、着色剤と、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選ばれた少なくとも1種の発泡剤とを含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
[3]上記態様[1]におけるスチレン系(共)重合体(A11)の1種以上と、上記態様[2]におけるゴム強化樹脂(A12)の1種以上とからなる熱可塑性樹脂と、着色剤と、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン及びイソペンタンから選ばれた少なくとも1種の発泡剤とを含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
[4]上記態様[1]〜[3]のいずれかにおいて、発泡層11を構成する熱可塑性樹脂が、更に、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂及びバイオベースポリマーから選ばれた少なくとも1種を含有し、且つ、表面が斑模様を呈している発泡層11、並びに、ゴム質重合体(p)の存在下、(メタ)アクリル酸エステル化合物を50質量%以上含むビニル系単量体(q)を重合して得られたゴム強化樹脂を含有する保護層12(又は、12a及び12b)、を備える積層体であって、保護層の表面側から、斑模様が視認される積層体
上記[1]〜[4]におけるゴム質重合体(p)として、好ましくはジエン系ゴム質重合体、ジエン系ゴム質重合体の水素添加物及びアクリル系ゴムである。
本発明の積層体の製造方法は、上記熱可塑性樹脂(A)の5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の0〜50質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の20〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X1]、及び、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X2]を含む熱可塑性樹脂組成物[X]と、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]と、を共押出する工程を備えることを特徴とする。
一方、上記組成物[X2]は、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂(以下、「樹脂(AX2)」という。)と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤(以下、「着色剤(BX2)」という。)と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤(以下、「発泡剤(CX2)」という。)とを含有する組成物である。尚、この組成物[X2]も、(1種のみからなる)均一組成のマスターバッチペレット等であってよいし、互いに組成の異なる2種以上のマスターバッチペレット等の混合物であってもよい。後者の場合は、組成物[X2]全体として、上記各成分が所定の含有割合を有するように、2種以上のマスターバッチペレット等の各組成が選択される。例えば、着色剤を少量に含有する樹脂組成物からなるマスターバッチペレット(M1)、及び、着色剤を多量に含有する樹脂組成物からなるマスターバッチペレット(M2)の混合物を組成物[X2]として用いることができる。この場合、マスターバッチペレット(M1)及びマスターバッチペレット(M2)によって、組成物[X2]の構成が満たされれば、マスターバッチペレット(M1)の組成は、組成物[X2]の構成を満たさなくてもよい。
上記組成物[X1]及び[X2]に含まれる各成分において、樹脂(AX1)及び樹脂(AX2)によって、上記熱可塑性樹脂(A)が構成され、着色剤(BX1)及び着色剤(BX2)によって、上記着色剤(B)が構成され、且つ、発泡剤(CX1)及び発泡剤(CX2)によって、上記発泡剤(C)が構成されるものとする。
また、上記組成物[X2]に含有される樹脂(AX2)も同様に、スチレン系樹脂(A1)のみであってよいし、他の熱可塑性樹脂のみであってよいし、スチレン系樹脂(A1)及び他の熱可塑性樹脂の組合せであってもよい。好ましくは、スチレン系樹脂(A1)のみ、並びに、スチレン系樹脂(A1)及び他の熱可塑性樹脂の併用である。尚、上記組成物[X1]及び[X2]において、他の熱可塑性樹脂のみを使用する場合には、組成物[X1]及び[X2]のいずれか一方に限られる。
上記組成物[X1]に含有される樹脂(AX1)、及び、上記組成物[X2]に含有される樹脂(AX2)の質量割合は、上記のように、それぞれ、5〜50質量%及び50〜95質量%であり、より好ましくは7〜45質量%及び55〜93質量%、更に好ましくは10〜40質量%及び60〜90質量%である。
尚、上記組成物[X1]が、スチレン系樹脂(A1)を含有する場合、このスチレン系樹脂(A1)をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分の構成は、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物に由来する単量体単位、シアン化ビニル化合物に由来する単量体単位、及び、他の化合物に由来する単量体単位が、それぞれ、好ましくは75〜95質量%、5〜25質量%及び0〜20質量%、より好ましくは80〜87質量%、13〜20質量%、及び、0〜7質量%である。この範囲とすることにより、着色性に優れた発泡層が得られ、外観性に優れる。
また、上記組成物[X1]に含有される発泡剤(CX1)、及び、上記組成物[X2]に含有される発泡剤(CX2)の質量割合は、上記のように、それぞれ、20〜100質量%及び0〜80質量%であり、より好ましくは50〜100質量%及び0〜50質量%、更に好ましくは70〜100質量%及び0〜30質量%である。
上記範囲で組成物[X1]及び[X2]を調製し、これらを混合してなる熱可塑性樹脂組成物[X]とすることにより、発泡倍率が2倍以上と高く、且つ、表面に、発泡セルが均一であり、成形外観性に優れる発泡層を容易に得ることができる。
本発明における発泡層の着色は、均一着色及び斑模様着色が挙げられている。均一着色は、着色剤(B)が均一に分散するような条件を、適宜、選択することで達成できる。他方、斑模様着色は、一部の着色剤(B)を分散しにくくする条件を、適宜、選択することで達成できる。後述する実施例では、斑模様着色の具体例を示しているが、3種のペレットを単に混合したペレット混合物を、直接、成形材料として、成形機に供給して成形品を製造した場合には、一部の着色剤(B)の分散不良により、斑模様に着色される。この着色剤分散不良を高める他の方法は、着色剤含有マスターバッチペレットで使用される樹脂として、溶融温度の高い樹脂を使用する方法、滑剤の使用量を多くする方法等が挙げられる。また、上記3種のペレット混合物を溶融混練し、それを成形材料として、成形機に供給して成形品を製造した場合には、ペレット混合物の溶融混練により着色剤が均一分散することで均一着色となる。
尚、上記の組成物[X1]及び[X2]は、必要に応じて、上記に例示した、発泡助剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、難燃剤、抗菌剤、防汚剤、蛍光増白剤、蛍光染料等の添加剤を含んでもよい。
その後、上記混練工程においては、上記溶融工程において用いた押出機が、あるいは、別途準備した、上記例示した押出機が用いられ、溶融状態の上記樹脂(AX1)中に、液化させた発泡剤(C)、又は、液化させた発泡剤(C)及び発泡助剤を供給し、通常、上記樹脂(AX1)の溶融温度以上で溶融混練する。
その後、冷却された線状体を適当な長さに切断することにより、所望の大きさの発泡剤含有マスターバッチペレットを製造することができる。
一方、上記溶融混合物の形状及び大きさも、特に限定されず、形状について、例えば、粉末状、球状、略球状、平板状(円形、角形等)、柱状(円柱、角柱等)、線状、不定形状等とすることができる。
下記の実施例及び比較例において用いる成分を示す。
以下に示す、スチレン系樹脂(A−1)〜(A−7)を用いた。
(1)スチレン系樹脂(A−1)
スチレン単位量79%、アクリロニトリル単位量21%のアクリロニトリル・スチレン共重合体である。重量平均分子量(Mw)は16万である。アセトンに可溶である。
(2)スチレン系樹脂(A−2)
スチレン単位量84%、アクリロニトリル単位量16%のアクリロニトリル・スチレン共重合体である。Mwは15万である。アセトンに可溶である。
(3)スチレン系樹脂(A−3)
スチレン単位量70%、アクリロニトリル単位量30%のアクリロニトリル・スチレン共重合体である。Mwは20万である。アセトンに可溶である。
体積平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴム粒子の存在下、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂である。このゴム強化樹脂のグラフト率は55%、ポリブタジエンゴムの含有量は51%、スチレン単位量は35%、アクリロニトリル単位量は14%である。
(5)スチレン系樹脂(A−5)
n−ブチルアクリレート単位量99%及びアリルメタクリレート単位量1%からなるアクリル系共重合ゴムの存在下に、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂である。このゴム強化樹脂のグラフト率は60%、アクリル系共重合ゴムの含有量は50.8%、スチレン単位量は36.4%、アクリロニトリル単位量は12.8%である。また、アセトニトリル可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.55dl/gである。
スチレン単位量21%、アクリロニトリル単位量7%及びメタクリル酸メチル単位量72%のアクリロニトリル・スチレン・メタクリル酸メチル共重合体である。アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。
(7)スチレン系樹脂(A−7)
α−メチルスチレン単位量73%及びアクリロニトリル単位量は27%のα−メチルスチレン・アクリロニトリル共重合体である。
(1)B−1
Fe及びCrの複合酸化物(商品名「フェローカラー42−703A」、日本フェロー社製)を用いた。黒色着色剤である。
(2)B−2
Fe及びMnの複合酸化物(商品名「フェローカラー42−350A」、日本フェロー社製)を用いた。黄色着色剤である。
(3)B−3
Cu、Cr及びMnの複合酸化物(商品名「フェローカラー42−303B」、日本フェロー社製)を用いた。茶色着色剤である。
ブタン(大気圧における沸点−0.5℃)を用いた。
1−4.化学発泡剤D
主成分が炭酸水素ナトリウムである吸熱分解型発泡剤(商品名「セルボンSC−P」、永和化成社製)を用いた。
1−5.滑剤E
ステアリン酸マグネシウムを用いた。
以下のように、発泡剤含有マスターバッチペレット及び着色剤含有マスターバッチペレットを調製し、発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を得た。
製造例1〔発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)の製造〕
シリンダー温度を170℃〜250℃に設定したスクリュー径40mm単軸押出機に、スチレン系樹脂(A−1)100部を供給してこれを溶融した。その後、発泡剤Cの4.5部を上記押出機シリンダー中間注入口から供給し、溶融混練した。
次いで、上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランド化させて、そのまま直接、水槽に導入した。水槽にて冷却後、長さ3mmに切断し、外径約2mmの発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)を得た。
[ブタン含有量測定方法]
発泡剤含有マスターバッチペレット約10gを、200℃のホットプレート上に載置し、5分間加熱し、加熱前後の質量を精秤し、その差をブタン含有量とした。
[発泡倍率]
発泡剤含有マスターバッチペレットの外形寸法から求めた、嵩体積、及び、樹脂の比重から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
尚、計算に用いた樹脂の比重は、アクリロニトリル・スチレン共重合体;1.08g/cm3である。
スチレン系樹脂(A−2)〜(A−3)及び発泡剤Cを、それぞれ、表1に示す割合で用いた以外は、製造例1と同様にして発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−2)〜(X1−3)を製造し、各種評価を行った。その結果を表1に示した。
また、発泡剤Cを含有しない、スチレン系樹脂(A−2)のみからなるマスターバッチペレット(X1−4)も同様にして製造した(製造例4、表1参照)。
製造例5〔着色剤含有マスターバッチペレット(X2−1)の製造〕
スチレン系樹脂(A−4)及び(A−6)を、それぞれ、30部及び70部と、着色剤(B−1)及び(B−2)を、それぞれ、0.07部及び0.03部と、滑剤Eの0.7部とを、ヘンシェルミキサーに投入し、2分間混合し、混合物を得た。その後、この混合物を、シリンダー温度170℃〜250℃に設定されたスクリュー径40mmの単軸押出機に供給し、溶融混練した。上記押出機の出口に配設した、5穴(2.5mmφ/穴)のダイを通して、ストランド化させて、そのまま直接、水槽に導入した。水槽にて冷却後、長さ3mmに切断し、外径約2mmの着色剤含有マスターバッチペレット(X2−1)を得た(表2参照)。
スチレン系樹脂(A−5)及び(A−6)を、それぞれ、30部及び70部と、着色剤(B−1)及び(B−2)を、それぞれ、0.07部及び0.03部と、滑剤Eの0.7部とを用いた以外は、製造例5と同様にして、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−2)を得た(表2参照)。
スチレン系樹脂(A−4)、(A−5)及び(A−7)を、それぞれ、4部、6部及び37部と、着色剤(B−1)、(B−2)及び(B−3)を、それぞれ、25部、2部及び25部と、滑剤Eの1部とを用いた以外は、製造例5と同様にして、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−3)を得た(表2参照)。
調製例1
発泡剤含有マスターバッチペレット(X1−1)25部、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−2)71部及び(X2−3)4部を、ヘンシェルミキサーに投入し、2分間混合して、実施例1のための発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を調製した(表3の「配合(部)」欄参照)。また、得られた発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物の組成を、即ち、熱可塑性樹脂Aを100部としたときの、着色剤B等の含有割合を、表3の「発泡層の組成(部)」欄に示した。
表3の「配合(部)」欄に記載の発泡剤含有マスターバッチペレット及び着色剤含有マスターバッチペレットを用い、調製例1と同様にして、実施例2〜7及び比較例2のための発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を調製した(表3参照)。
発泡剤Cを含有しないマスターバッチペレット(X1−4)24.05部、着色剤含有マスターバッチペレット(X2−2)71部及び化学発泡剤Dの0.95部を、ヘンシェルミキサーに投入し、2分間混合して、比較例1のための発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物を調製した(表3の「配合(部)」欄参照)。
(1)Y−1
n−ブチルアクリレート単位量60%と、ブタジエン単位量20%と、スチレン単位量19%と、アリルメタクリレート単位量1%とからなる共重合体であるアクリル系共重合ゴムの存在下に、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂組成物(Y−1)として用いた。このゴム強化樹脂のグラフト率は55%、アクリル系共重合ゴムの含有量は15%、メタクリル酸メチル単位量は56%、スチレン単位量は11%、アクリロニトリル単位量は7%である。また、アセトニトリル可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。このゴム強化樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、210℃で混練しペレット化した。この熱可塑性樹脂組成物(Y−1)の全光線透過率は、75%である。
(2)Y−2
体積平均粒子径280nm及びトルエン不溶分80%のポリブタジエンゴムの存在下に、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルを乳化重合して得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂組成物(Y−2)として用いた。このゴム強化樹脂のグラフト率は55%、ポリブタジエンゴムの含有量は20%、メタクリル酸メチル単位量は56%、スチレン単位量は18%、アクリロニトリル単位量は6%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。このゴム強化樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、210℃で混練しペレット化した。この熱可塑性樹脂組成物(Y−2)の全光線透過率は、88%である。
(3)Y−3
水添ブロック共重合体ゴム(JSR社製、商品名「ダイナロン4600P」)の存在下に、メタクリル酸メチル、スチレン及びアクリロニトリルを溶液重合して得られたゴム強化樹脂を熱可塑性樹脂組成物(Y−3)として用いた。このゴム強化樹脂のグラフト率は42%、水添ブロック共重合体ゴムの含有量は20%、メタクリル酸メチル単位量は57%、スチレン単位量は11.5%、アクリロニトリル単位量は11.5%である。また、アセトン可溶成分の極限粘度(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は0.5dl/gである。このゴム強化樹脂を、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、210℃で混練しペレット化した。この熱可塑性樹脂組成物(Y−3)の全光線透過率は、79%である。
(4)Y−4
平均重合度1050の塩化ビニル樹脂100部と、DIDP(ジイソデシルフタレート、可塑剤)32部と、エポキシ化大豆油(可塑剤)7部と、DOZ(ジオクチルアゼレート、可塑剤)と、液状Ba−Cd−Znの複合物(安定剤)3部と、ミネラルオイル(滑剤)0.25部とを混合することにより得られた熱可塑性樹脂組成物(Y−4)を用いた。この組成物の全光線透過率は、79%である。
実施例1
調製例1により得られた発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物100部と、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物(Y−1)100部とを用い、下記条件で共押出することにより、発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物により、斑模様に着色した発泡層(3mm厚)と、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物により、透明な保護層(0.2mm厚)とを備える、幅50mmの積層体(長尺状2層型積層シート)を得た(表3参照)。
<製造条件>
発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物は、スクリュー径40mmの単軸押出機を用い、スクリュー回転数を20rpm、溶融混練温度を200℃とし、引き取り速度を0.85m/分として、また、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物は、スクリュー径20mmの単軸押出機を用い、スクリュー回転数を30rpm、溶融混練温度を220℃とし、引き取り速度を0.85m/分として共押出し、積層体を得た。
表3に記載の発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物及び保護層形成用熱可塑性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして積層体(長尺状2層型積層シート)を得た(表3参照)。
尚、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物(Y−4)を用いた実施例7においては、溶融混練温度を200℃とした。
発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物として、発泡剤含有マスターバッチペレット及び着色剤含有マスターバッチペレットを用いる代わりに、以下の方法で得た発泡剤含有熱可塑性樹脂体(102.6部のうちの100部)を用い、更に、保護層形成用熱可塑性樹脂組成物(Y−1)の100部を用いて、実施例1と同様にして積層体(長尺状2層型積層シート)を得た。
まず、スチレン系樹脂(A−1)23部と、スチレン系樹脂(A−5)22.5部と、スチレン系樹脂(A−6)52.5部と、着色剤(B−1)1部と、着色剤(B−2)0.1部と、着色剤(B−3)1部と、滑剤Eの0.5部とを、ヘンシェルミキサーで混合し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用い、200℃で溶融した。その後、発泡剤Cの2部を、上記押出機後部の注入口から供給し、溶融混練することにより、発泡剤含有熱可塑性樹脂体(102.6部)を得た。
表3に記載の発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物及び保護層形成用熱可塑性樹脂組成物を用い、実施例1と同様にして積層体(長尺状2層型積層シート)を得た(表3参照)。
発泡層形成用熱可塑性樹脂組成物のみを用い、実施例1における製造条件により、発泡層のみからなる単層シートを得た。
(1)発泡層の発泡倍率
発泡層の外形寸法から求めた、嵩体積、及び、樹脂の比重から、質量計算値W1を算出し、このW1と、質量実測値W2との比を発泡倍率とした。
発泡倍率(倍) = W1/W2
得られた積層体の外観性について、着色性及び平滑性を目視観察した。
<着色性>
◎;保護層を通して、斑模様が鮮明に視認できた。
○;保護層を通して、斑模様の鮮明性が若干劣る。
△;保護層を通して、斑模様の鮮明性が少し劣る。
×;保護層を通して、斑模様の鮮明性が劣っていた。
<平滑性>
○;歪みのない2層型積層シートが得られ、その表面が滑らかであった。
△;歪みのない2層型積層シートが得られたが、その表面の一部に滑らかでない部分が見られた。
×;わずかに歪みのある2層型積層シートが得られ、保護層のない側の発泡層表面の一部に凹凸が見られた。
一方、比較例1は、本発明の範囲外の化学発泡剤を使用した例であり、斑模様着色性、平滑性が劣っていた。また、比較例2は、保護層を有しない、発泡層のみからなる単層シートであるが、実施例の積層体に比べると、斑模様着色性及び平滑性が劣っていた。このことは、保護層は、斑模様着色性及び平滑性の向上に寄与している。
11;第1層(発泡層)
12,12a及び12b;第2層(保護層)
15;支持層又は粘着層(接着層)
Claims (9)
- (A)全体を100質量%とした場合に、スチレン系樹脂を5〜100質量%含む熱可塑性樹脂、(B)着色剤、及び、(C)沸点が−10℃〜55℃である化合物を含む発泡剤を含有し、該着色剤(B)及び該発泡剤(C)の含有量が、上記熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、それぞれ、0.01〜15質量部及び0.1〜5質量部である発泡体からなる第1層と、該第1層の少なくとも一面側に配され、且つ、厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]からなる第2層とを備えることを特徴とする積層体。
- 上記第1層の表面が斑模様を呈している請求項1に記載の積層体。
- 上記熱可塑性樹脂組成物[Y]が、ゴム強化樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性エラストマー、アクリル系樹脂及び塩化ビニル系樹脂から選ばれた少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の積層体。
- 上記第1層の密度が、40〜500kg/m3である請求項1乃至3のいずれかに記載の積層体。
- フィルム又はシートである請求項1乃至4のいずれかに記載の積層体。
- 木製製品の代替品として用いられる請求項1乃至5のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の積層体の製造方法であって、
上記熱可塑性樹脂(A)の5〜50質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の0〜50質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の20〜100質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X1]、及び、上記熱可塑性樹脂(A)の50〜95質量%に相当する熱可塑性樹脂と、上記着色剤(B)の50〜100質量%に相当する着色剤と、上記発泡剤(C)の0〜80質量%に相当する発泡剤とを含有する組成物[X2]を含む熱可塑性樹脂組成物[X]と、
厚さ2.5mmの試験片に対して、ASTM D1003に準ずる全光線透過率が50%以上の熱可塑性樹脂組成物[Y]と、を共押出する工程を備えることを特徴とする積層体の製造方法。 - 上記組成物[X1]が、発泡倍率1.15以下の発泡剤含有マスターバッチである請求項7に記載の積層体の製造方法。
- 上記組成物[X1]に含有されるスチレン系樹脂をアセトン中に浸漬させて得られたアセトン可溶成分が、全体を100質量%とした場合に、芳香族ビニル化合物からなる単量体単位75〜95質量%、シアン化ビニル化合物からなる単量体単位5〜25質量%、及び、他の化合物からなる単量体単位0〜20質量%により構成されている請求項7又は8に記載の積層体の製造方法。
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