JP2009132769A - 医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体 - Google Patents
医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】高級アルコールを含まずに極めて安全性が高く、かつ、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントを作製するのに有用である柔軟な医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を提供する。
【解決手段】医療用インプラント用途に用いるためのラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合体であって、ラクチドとε‐カプロラクトンとのモル比(ラクチド/ε‐カプロラクトン)が40/60〜60/40、重量平均分子量が100,000〜500,000以下であり、かつ、高級アルコール成分を含有せず、加熱溶融して成形体としたときの結晶に由来する融解エンタルピーが10J/g以下である医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体。
【選択図】 なし
【解決手段】医療用インプラント用途に用いるためのラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合体であって、ラクチドとε‐カプロラクトンとのモル比(ラクチド/ε‐カプロラクトン)が40/60〜60/40、重量平均分子量が100,000〜500,000以下であり、かつ、高級アルコール成分を含有せず、加熱溶融して成形体としたときの結晶に由来する融解エンタルピーが10J/g以下である医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体。
【選択図】 なし
Description
本発明は、高級アルコールを含まずに極めて安全性が高く、かつ、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントを作製するのに有用である柔軟な医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体に関する。
近年、高分子材料からなる医療用インプラントとして、ポリラクチド等の生体内分解吸収性高分子を用いることが多くなってきている。生体内分解吸収性高分子は、加水分解により徐々にその形状を失っていくことから、従来の非分解性の医療用インプラントのように再手術により取り出す必要もなく、患者に対する負担を大幅に軽減することができる。
上記生体内分解吸収性高分子としては、例えば、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン等の脂肪族ポリエステルのほか、ポリエステルエーテル(ポリ−1,4−ジオキサノン−2−オン、ポリ1,5−ジオキセパン−2−オン、エチレングリコール−上記脂肪族ポリエステルとの共重合体)、上記脂肪族ポリエステルとポリエステルエーテルとの共重合体、アミノ酸、ヒアルロン酸、アルギン酸、酸化セルロース等が挙げられる。なかでも、ラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合体は、比較的柔軟性にも優れることから、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントの材料として注目されている(例えば、特許文献1等)。
しかしながらラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体は、重合直後こそ高い柔軟性を有するものの、その後放置しているうちに次第に柔軟性を失ってしまうという問題点があった(以下、これを「自己硬化」ともいう)。とりわけ、医療用インプラントとして成形するためには、通常は加熱溶融して成形体を形成することになるが、加熱溶融後には著しく柔軟性を失ってしまう。
特許文献2には、自己硬化がほとんど進行しないラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体からなる生体吸収性高分子が記載されている。特許文献2に記載された発明は、共重合体中のラクチドとε−カプロラクトンの平均鎖長を調整することにより自己硬化を進行しにくくさせるというものであり、平均鎖長が共重合体製造時の反応温度により調整されること、及び、反応温度が140℃程度のときに最も自己硬化が進行しにくい平均鎖長となることが記載されている。
しかしながら、特許文献2においては、ラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体の重合時に重合開始剤として高級アルコールを用いることを前提として実験が行われているところ、高級アルコールは共重合体分子鎖末端を修飾して残留することから、医療用インプラントへの使用はためらわざるを得ないという問題点があった。
特表平6−501045号公報
特開2005−306999号公報
本発明は、高級アルコールを含まずに極めて安全性が高く、かつ、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントを作製するのに有用である柔軟な医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を提供することを目的とする。
本発明は、医療用インプラント用途に用いるためのラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合体であって、ラクチドとε‐カプロラクトンとのモル比(ラクチド/ε‐カプロラクトン)が40/60〜60/40、重量平均分子量が100,000〜500,000以下であり、かつ、高級アルコール成分を含有せず、加熱溶融して成形体としたときの結晶に由来する融解エンタルピーが10J/g以下である医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体である。
以下に本発明を詳述する。
以下に本発明を詳述する。
ラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体の重合時においては、ラクチドとε−カプロラクトンとの反応性の相違による偏った重合を回避し高重合度の共重合体を得るためには、重合開始剤として高級アルコールを添加することが必須であるというのが技術常識であった。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、130℃を超える高温で共重合反応を行う場合には、重合開始剤として高級アルコールを用いなくとも充分な重合度の共重合体が得られることを見出した。そして、重合開始剤として高級アルコールを用いずに130℃を超える高温で反応させて得た共重合体は、高級アルコールを含まないことから安全性が高いことに加え、加熱溶融して成形体とした後にも自己硬化が進まずに高い柔軟性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体(以下、単に「共重合体」ともいう)は、ラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合体である。
本発明の共重合体において、ラクチドとε‐カプロラクトンとのモル比(ラクチド/ε‐カプロラクトン)は、40/60〜60/40である。ラクチド又はε‐カプロラクトンのモル比率がそれぞれ60モル%よりも高くなると、結晶性が高くなって硬くなり、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントには用いることができない。より好ましくは45/55〜55/45である。
本発明の共重合体において、ラクチドとε‐カプロラクトンとのモル比(ラクチド/ε‐カプロラクトン)は、40/60〜60/40である。ラクチド又はε‐カプロラクトンのモル比率がそれぞれ60モル%よりも高くなると、結晶性が高くなって硬くなり、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントには用いることができない。より好ましくは45/55〜55/45である。
本発明の共重合体は、重量平均分子量の下限が100,000であり、上限が500,000である、100,000未満であると、充分な強度を有する成形体(医療用インプラント)が得られず、500,000を超えると溶融粘度が高く成形性に劣る。好ましい下限は、150,000、好ましい上限は450,000である。
本発明の共重合体は、高級アルコール成分を含有しないものである。高級アルコール成分を含有した場合には、その濃度によっては人体への影響が懸念され、医療用インプラントとしての使用が困難となる。
本発明の共重合体は、加熱溶融して成形体としたときの結晶に由来する融解エンタルピーが10J/g以下である。10J/gを超えると、結晶性が高くなって硬くなり、軟組織の変形・伸縮に追従できないといったコンプライアンス・ミスマッチングにより軟組織を損傷し炎症を誘発する等の問題が起こり得ることから、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントには用いることができない。
本願明細書において、結晶に由来する融解エンタルピーとは、示差走査熱量計(DSC)により生体内分解吸収性高分子を測定した際に観測される単位重量あたりの熱量を意味し、1stスキャン時の値を意味する。この融解エンタルピーの値が大きいほど、結晶性が高いといえる。
ラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体は、重合直後においては比較的容易に融解エンタルピーを10J/g以下、即ち低結晶状態とすることができる。しかしながら、該共重合体を用いて医療用インプラントを製造するためには、加熱溶融して成形体を形成することが必要となる。従来のラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体では、このような加工工程を経ることにより著しく結晶に由来する融解エンタルピーが上昇(即ち、結晶化)してしまい、柔軟性が失われていた。
本発明の共重合体は、加熱溶融工程を経てなお結晶に由来する融解エンタルピーが10J/g以下である、即ち、結晶に由来する融解エンタルピーの変化が極めて小さいことが特徴である。
ラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体は、重合直後においては比較的容易に融解エンタルピーを10J/g以下、即ち低結晶状態とすることができる。しかしながら、該共重合体を用いて医療用インプラントを製造するためには、加熱溶融して成形体を形成することが必要となる。従来のラクチドとε−カプロラクトンとの共重合体では、このような加工工程を経ることにより著しく結晶に由来する融解エンタルピーが上昇(即ち、結晶化)してしまい、柔軟性が失われていた。
本発明の共重合体は、加熱溶融工程を経てなお結晶に由来する融解エンタルピーが10J/g以下である、即ち、結晶に由来する融解エンタルピーの変化が極めて小さいことが特徴である。
本発明の共重合体の製造方法においては、従来公知のラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合時において、1)重合開始剤として高級アルコールを添加しない、2)重合温度を130℃を超える温度とする、ことが重要である。
高級アルコールを添加しないことにより、得られる共重合体を確実に高級アルコール成分を含有しないものとすることができる。従来の技術常識では、高級アルコールは必須成分と考えられていたが、反応温度を130℃を超える温度とすることにより、不都合は発生しない。更に、反応温度を130℃を超える温度とすることにより、結晶に由来する融解エンタルピーの変化が極めて小さい樹脂とすることができる。好ましい下限は135℃である。反応温度の上限については特に限定されないが、好ましい上限は170℃である。170℃を超えると、得られる共重合体に着色など好ましくない性状が現れることがある。
高級アルコールを添加しないことにより、得られる共重合体を確実に高級アルコール成分を含有しないものとすることができる。従来の技術常識では、高級アルコールは必須成分と考えられていたが、反応温度を130℃を超える温度とすることにより、不都合は発生しない。更に、反応温度を130℃を超える温度とすることにより、結晶に由来する融解エンタルピーの変化が極めて小さい樹脂とすることができる。好ましい下限は135℃である。反応温度の上限については特に限定されないが、好ましい上限は170℃である。170℃を超えると、得られる共重合体に着色など好ましくない性状が現れることがある。
ラクチドとε‐カプロラクトンは開環に必要な活性化エネルギーが大きく異なり、ラクチドの方がε‐カプロラクトンよりも開環に要する活性化エネルギーが低い。即ち、低温で重合するほどラクチドが先に重合しラクチドの連鎖長が長くなり結晶性が高くなる。一方、重合温度が高くなるほどラクチド及びε‐カプロラクトンの連鎖長が短く各モノマーがランダムに分子鎖内で配列することとなり結晶性を低下させることができる。反応温度を130℃を超える温度とすることにより、得られる共重合体の結晶性を低下させ、かつ、加熱溶融等の加工工程を経ても大きくは結晶化が進まないようにすることができる。
重合開始剤として高級アルコールを添加せず、かつ、反応温度を130℃を超える温度とする医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体の製造方法もまた、本発明の1つである。
重合開始剤として高級アルコールを添加せず、かつ、反応温度を130℃を超える温度とする医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体の製造方法もまた、本発明の1つである。
上記ラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合においては、重合触媒としてスズ、亜鉛、鉄、ニッケル、アルミニウム、カリウム、ナトリウム、チタン、アンチモン、ビスマス等の有機金属化合物又はこれらの塩を用いてもよい。なかでも、使用実績及び重合時の扱いの容易性の点からスズ化合物が好ましく、オクチル酸スズが反応速度及び安定性の点からより好ましい。
医療用インプラント用途に用いるためには、人体に有害な金属化合物をできる限り含有しないことが好ましい。例えばオクチル酸スズは生体に対する毒性が比較的低いことが知られているが、特に1ppm未満であればその影響は極めて小さいと考えられる。
上記ラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合において重合触媒を用いる場合には、重合後に共重合体から金属触媒を除去することが好ましい。
上記ラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合において重合触媒を用いる場合には、重合後に共重合体から金属触媒を除去することが好ましい。
上記金属触媒の除去方法としては特に限定されないが、例えば、触媒除去剤を用いる方法が簡便であり、かつ、効果的である。
上記触媒除去剤としては、有機酸とアルコールとから構成されるものが好適であり、なかでも有機酸として酢酸、アルコールとしてはイソプロパノールから構成されるものが安全性及び回収の容易さから好適である。ここで、有機酸とアルコールとの組成比は共重合体を溶解させない範囲で有機酸の割合が高いほうが効果的な触媒除去を可能とする。
具体的には、例えば、酢酸/イソプロパノール=15/85〜35/65(体積比)であるものが好適である。酢酸の濃度が15体積%未満であると、1ppm以下にまで触媒を除去できないことがあり、35体積%を超えると、共重合体が溶解してしまい回収が困難となることがある。
上記触媒除去剤としては、有機酸とアルコールとから構成されるものが好適であり、なかでも有機酸として酢酸、アルコールとしてはイソプロパノールから構成されるものが安全性及び回収の容易さから好適である。ここで、有機酸とアルコールとの組成比は共重合体を溶解させない範囲で有機酸の割合が高いほうが効果的な触媒除去を可能とする。
具体的には、例えば、酢酸/イソプロパノール=15/85〜35/65(体積比)であるものが好適である。酢酸の濃度が15体積%未満であると、1ppm以下にまで触媒を除去できないことがあり、35体積%を超えると、共重合体が溶解してしまい回収が困難となることがある。
本発明の共重合体は、加熱溶融等によりシート、発泡体、繊維状体等の種々の形状に加工することができ、このような加工工程を経てもほとんどその柔軟性を失うことがない。しかも、高級アルコールを含まずに極めて安全性が高い。
本発明の共重合体は、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントを作製するのに好適である。本発明の医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を用いてなる医療用インプラントもまた、本発明の1つである。
本発明の医療用インプラントの形態としては、例えば、フィルム、シート、発泡体、繊維構造物、成型物、又は、これらの複合物等が挙げられる。
本発明の医療用インプラントは、人工硬膜や人工血管の他にも、縫合糸、骨接合材、骨折用固定材、組織補填材、組織補強材、組織被覆材、組織再生用基材、組織補綴材、癒着防止材、人工弁、ステント、クリップ、繊維布、止血材、接着剤及びコーティング剤等としても好適である。
本発明の医療用インプラントの形態としては、例えば、フィルム、シート、発泡体、繊維構造物、成型物、又は、これらの複合物等が挙げられる。
本発明の医療用インプラントは、人工硬膜や人工血管の他にも、縫合糸、骨接合材、骨折用固定材、組織補填材、組織補強材、組織被覆材、組織再生用基材、組織補綴材、癒着防止材、人工弁、ステント、クリップ、繊維布、止血材、接着剤及びコーティング剤等としても好適である。
本発明によれば、高級アルコールを含まずに極めて安全性が高く、かつ、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントを作製するのに有用である柔軟な医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を提供することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
L−ラクチド1440g、ε−カプロラクトン1140g、オクチル酸スズ300ppm(スズ換算で78ppm)をセパラブルフラスコに入れ、減圧後窒素雰囲気下において135℃、7日間重合した。
得られた共重合体を触媒除去剤(酢酸/イソプロパノール=30/70v/v)で処理し、40℃で真空下乾燥することでラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
L−ラクチド1440g、ε−カプロラクトン1140g、オクチル酸スズ300ppm(スズ換算で78ppm)をセパラブルフラスコに入れ、減圧後窒素雰囲気下において135℃、7日間重合した。
得られた共重合体を触媒除去剤(酢酸/イソプロパノール=30/70v/v)で処理し、40℃で真空下乾燥することでラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
得られたラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を、押出し機により溶融成形を行い厚さ100μmのシート状に成形し、更に真空下70℃で12時間熱処理を行ってシートを得た。
(実施例2)
L−ラクチド1440g、ε−カプロラクトン1140g、2−エチルヘキサン酸スズ300ppm(スズ換算で78ppm)をセパラブルフラスコに入れ、減圧後窒素雰囲気下において140℃、7日間重合した。
得られた共重合体を酢酸のイソプロパノール溶液(酢酸/イソプロパノール=20/80v/v)で処理し、40℃で真空下乾燥することでラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
得られたラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、シートを得た。
L−ラクチド1440g、ε−カプロラクトン1140g、2−エチルヘキサン酸スズ300ppm(スズ換算で78ppm)をセパラブルフラスコに入れ、減圧後窒素雰囲気下において140℃、7日間重合した。
得られた共重合体を酢酸のイソプロパノール溶液(酢酸/イソプロパノール=20/80v/v)で処理し、40℃で真空下乾燥することでラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
得られたラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、シートを得た。
(比較例1)
L−ラクチド1440g、ε−カプロラクトン1140g、2−エチルヘキサン酸スズ300ppm(スズ換算で78ppm)をセパラブルフラスコに入れ、減圧後窒素雰囲気下において130℃、7日間重合した。
得られた共重合体を酢酸のイソプロパノール溶液(酢酸/イソプロパノール=30/70v/v)で処理し、40℃で真空下乾燥することでラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
得られたラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、シートを得た。
L−ラクチド1440g、ε−カプロラクトン1140g、2−エチルヘキサン酸スズ300ppm(スズ換算で78ppm)をセパラブルフラスコに入れ、減圧後窒素雰囲気下において130℃、7日間重合した。
得られた共重合体を酢酸のイソプロパノール溶液(酢酸/イソプロパノール=30/70v/v)で処理し、40℃で真空下乾燥することでラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を得た。
得られたラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を用いた以外は実施例1と同様にして、シートを得た。
(評価)
実施例1、2及び比較例1で得られたラクチド/ε−カプロラクトン共重合体及びシートについて以下の方法により評価した。
結果を表1に示した。
実施例1、2及び比較例1で得られたラクチド/ε−カプロラクトン共重合体及びシートについて以下の方法により評価した。
結果を表1に示した。
(1)重量平均分子量の測定
重合直後、触媒除去直後の共重合体及び成形直後のシートの重量平均分子量を、溶出液にクロロホルム(溶出速度1ml/min)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定を行い、ポリスチレンを基準物質とした換算分子量として求めた。
(2)融解エンタルピーの測定
重合直後、触媒除去直後の共重合体及び成形直後のシートの融解エンタルピーについて、DSC測定(昇温速度10℃/min)を行い結晶部に由来する融解エンタルピーを測定した。
重合直後、触媒除去直後の共重合体及び成形直後のシートの融解エンタルピーについて、DSC測定(昇温速度10℃/min)を行い結晶部に由来する融解エンタルピーを測定した。
(3)残存触媒量の測定
重合直後、触媒除去直後の共重合体及び成形直後のシートに残存する触媒量を、IPC発光分光分析により測定した。
重合直後、触媒除去直後の共重合体及び成形直後のシートに残存する触媒量を、IPC発光分光分析により測定した。
本発明によれば、高級アルコールを含まずに極めて安全性が高く、かつ、人工硬膜や人工血管等の柔軟性を求められる医療用インプラントを作製するのに有用である柔軟な医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を提供することができる。
Claims (4)
- 医療用インプラント用途に用いるためのラクチドとε‐カプロラクトンとの共重合体であって、
ラクチドとε‐カプロラクトンとのモル比(ラクチド/ε‐カプロラクトン)が40/60〜60/40、重量平均分子量が100,000〜500,000以下であり、かつ、高級アルコール成分を含有せず、
加熱溶融して成形体としたときの結晶に由来する融解エンタルピーが10J/g以下である
ことを特徴とする医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体。 - 請求項1記載の医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体を用いてなることを特徴とする医療用インプラント。
- 形態が、フィルム、シート、発泡体、繊維構造物、成型物、又は、これらの複合物であることを特徴とする請求項2記載の医療用インプラント。
- 重合開始剤として高級アルコールを添加せず、かつ、反応温度を130℃を超える温度とすることを特徴とする医療用インプラント用ラクチド/ε−カプロラクトン共重合体の製造方法。
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RU2010126481/15A RU2010126481A (ru) | 2007-11-29 | 2008-11-21 | Сополимер лактида/-капролактона для медицинского импланта, способ производства сополимера лактида/-капролактона для медицинского импланта, медицинского импланта и искусственной твердой мозговой оболочки |
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