JP3054451B2 - 加水分解性樹脂組成物 - Google Patents

加水分解性樹脂組成物

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JP3054451B2 JP3044691A JP4469191A JP3054451B2 JP 3054451 B2 JP3054451 B2 JP 3054451B2 JP 3044691 A JP3044691 A JP 3044691A JP 4469191 A JP4469191 A JP 4469191A JP 3054451 B2 JP3054451 B2 JP 3054451B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主として医療用材料とし
て用いられる、柔軟性が改良された加水分解性樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、医療分野において、一定期間生体
内にて機能を果たした後に分解されて吸収される、加水
分解性(生体吸収性)材料が使われるようになってきて
いる。
【0003】生体吸収性材料としては、ポリ乳酸、ポリ
グリコール酸、ポリジオキサノン、トリメチレンカーボ
ネート重合体、ポリカプロラクトンおよびこれらの共重
合体等の加水分解性樹脂、ポリ3−ヒドロキシブチレー
ト、ポリ3−ヒドロキシバリレート、キチン、キトサン
等の酵素分解性樹脂が提案されている。
【0004】これらの内で、ポリ乳酸、ポリグリコール
酸およびグリコール酸−乳酸共重合体は、生体内で容易
に加水分解され、その分解生成物は最終的には炭酸ガス
と水とに代謝され体外へ排出される興味ある生体吸収性
材料である。ポリグリコール酸は生体吸収性の外科用縫
合糸として、また、グリコール酸−乳酸共重合体は徐放
性薬剤のマトリックス用基材としてすでに実用化されて
いる。
【0005】最近特に、加水分解性を有するフィルム材
料の提供が望まれている。例えば、特開昭60−238
3号公報には、生体分解吸収性高分子をフィルム状に加
工し、生体組織どうしの癒着防止材または癒着による疾
患の治療材として用いることが開示されている。該公報
に記載された発明で用いられる生体分解吸収性高分子と
して、ポリ乳酸、グリコール酸−乳酸共重合体および乳
酸−ε−カプロラクトン共重合体が開示されている。
【0006】しかしながら、これらの高分子は高強度を
有するフィルムを形成できるが、いずれも硬度が高く、
ごわごわした感触があり、生体内の特に柔組織に適用す
る医療材料としては不適当である。
【0007】本発明者らの知見によれば、生体内の柔組
織に適用するフィルムは少なくともその引張タンジェン
トモジュラスが100kgf/mm2以下であることが
必要であり、好ましくは50kgf/m 2 下、さら
に好ましくは10kgf/mm2以下の柔らかいフィル
ムである。
【0008】この要求に対し、例えばL−乳酸の単独重
合体(クロロホルム中、25℃における溶液固有粘度=
2.2からなるフィルムの引張タンジェントモジュラス
は約180kgf/mm2であり、DL−乳酸50モル%
とグリコール酸50モル%との共重合体(クロロホルム
中、25℃における溶液固有粘度=0.5)からなるフ
ィルムの引張タンジェントモジュラスは約120kgf
/mm2である。
【0009】しかしながら、該公報(特開昭60ー23
83号公報)には生体内の特に柔組織へ使用するのに適
当な柔軟なフィルム及びその製造方法に関する開示がな
い。
【0010】PCT国際出願WO90/0521号公
報には、ポリ乳酸(重合度150以上、20000以
下)が、ラクチド、乳酸オリゴマー、ラクチドオリゴマ
ーおよびこれらの混合物から選ばれた可塑剤により可塑
化された樹脂組成物が自然環境下で生分解されることが
開示されている。さらに詳しくは、好ましい可塑剤量
は、それがラクチドモノマーである場合、5〜40重量
%、乳酸、乳酸オリゴマー、ラクチドオリゴマーの場
合、2〜60重量%であり、未配向の樹脂組成物の引張
強度が300〜20000psi(0.2〜14.1k
gf/mm2)、伸 び50〜1000%、引張タンジェン
トモジュラス20000〜250000psi(14.
1〜175.8kgf/mm2)であることが示されてい
る。
【0011】本発明者らが追試を行ったところ、重合反
応により得られた生成物に上記可塑剤を15重量%加え
ても、樹脂組成物の引張タンジェントモジュラスを10
kgf/mm2以下にすることは困難である。さらに柔軟
性を向上させるために上記可塑剤を15重量%以上添加
して混合した場合は、樹脂組成物からなるフィルムの表
面に可塑剤が析出してごわごわしたり、極端に強度が低
下してフィルム形成能を失ったりしてしまい、医用材料
として例えば生体内の柔組織に適用するには不適当であ
る。その原因は、該公報に開示される樹脂組成物が、ポ
リ乳酸を主成分とするため、比較的結晶性に富むため可
塑化されにくいものと推定される。
【0012】また、該公報に開示される樹脂組成物は、
その主たる用途がポリスチレン等の汎用性樹脂の代替用
とされている。具体的には分解性を有する包装用のフィ
ルム等であるため、その分解速度は比較的低いものを目
的としている。
【0013】該発明の樹脂組成物は乳酸単位を中心とす
るポリマー、オリゴマーおよびモノマーであり、自然環
境下においておよそ半年ないし1年で加水分解され、消
滅するものである。
【0014】一方、生体医療に用いられる材料に要求さ
れる加水分解性は、それが使用される生体内部位、使用
方法により多種多様である。
【0015】例えば、接骨用プレート等に用いられるポ
リ乳酸は、半年〜1年で加水分解され、外科手術用縫合
糸に用いられるポリグリコール酸は、約1月で加水分解
され、また、除放性薬剤の基材に用いられる乳酸−グリ
コール酸共重合体は、数週間で加水分解されるといわれ
ている。
【0016】上記公報に開示される樹脂組成物の加水分
解速度を高くするために、該組成物中のポリマーの重合
度(分子量)を低くする方法が考えられる。しかし、そ
の場合組成物の強度が低下することとなるし、また、重
合度の調節のみによって数週間で加水分解される程度に
まで加水分解性を高めることは不可能である。
【0017】従って、この理由からも該公報に開示され
る樹脂組成物は、生体内で加水分解速度の高いものを必
要とする用途に適用することができない欠点を有する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上記問
題を解決し、柔軟性に富み、かつ、生体内での分解速度
の高い医療用材料として有用な加水分解性樹脂組成物を
提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定の共重合体
組成をもつグリコール酸−乳酸共重合体が原料であるモ
ノマーあるいはオリゴマー類により可塑化され柔軟性を
示し、また、得られる樹脂組成物の加水分解性も良好で
あることを見出し本発明に到達した。
【0020】なわち、本発明は分子の繰り返し構造が
グリコール酸単位20〜80モル%、乳酸単位80〜2
0モル%からなるグリコール酸−乳酸共重合体100重
量部と、グリコール酸オリゴマー(重合度1〜30)、
乳酸オリゴマー(重合度1〜30)、グリコール酸−乳
酸コオリゴマー(重合度2〜30)、グリコリドおよび
ラクチドからなる群から選ばれた1種またはそれ以上の
低分子量物質8〜20重量部とからなり、その引張タン
ジェントモジュラスが1〜100kgf/mm2である
柔軟性が改良された加水分解性樹脂組成物である。
【0021】以下、本発明について詳しく説明する。
【0022】本発明の樹脂組成物の主成分である、分子
の繰り返し構造としてグリコール酸単位を20〜80モ
ル%、乳酸単位を80〜20モル%を有する共重合体
は、グリコール酸と乳酸との脱水重縮合により得ること
もできるが、好ましくはグリコリドとラクチドとの開環
共重合により合成される。
【0023】グリコリドおよびラクチドは、それぞれグ
リコール酸および乳酸の脱水重縮合反応、およびそれに
続く熱分解反応により容易に調製される環状二量体であ
る。
【0024】ラクチドには、D−乳酸の環状二量体であ
るD−ラクチド、L−乳酸の環状二量体であるL−ラク
チド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソラク
チド、およびD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混
合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれの
ラクチドも用いることができる。
【0025】また、本発明においては、モノマーとして
用いるグリコリドやラクチドに加えて、他のラクトン類
を併用して重合を行うこともできる。
【0026】併用できる他のラクトン類としては、例え
ば、β−プロピオラクトン、β−ブ チロラクトン、β
−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラ
クトン、p−ジオキサノン、3−メチル−1,4−ジオ
キサン−2,5−ジオン等が挙げられる。これらのラク
トン類を用いる場合その添加量は、主原料であるグリコ
リドおよびラクチドの合計量に対し、20モル%以下が
好ましい。
【0027】グリコリドとラクチドを共重合させて、短
時間で高分子量の共重合体を得るためには触媒を用いる
のが好ましい。このような重合触媒としては、この重合
反応に触媒効果を示す各種のものが使用できる。例え
ば、オクタン酸第一スズ、四塩化スズ、塩化亜鉛、四塩
化チタン、塩化鉄、三フッ化ホウ素エーテル錯体、塩化
アルミニウム、三フッ化アンチモン、酸化鉛等の主とし
て多価金属を含む化合物が挙げられ、中でもスズ化合物
または亜鉛化合物が好ましく使用される。スズ化合物の
中ではオクタン酸第一スズが特に好ましい。これらの触
媒の使用量には特に制限はないが通常は、モノマーに対
し0.001〜0.5重量%である。
【0028】また、重合の際には、公知の連鎖増大剤を
用いることができる。連鎖増大剤としては、ラウリルア
ルコール等のアルコール類、乳酸やグリコール酸等のヒ
ドロキシ酸類等が好ましく用いられる。連鎖増大剤の共
存により、重合速度が大きくなるため短時間で重合体を
得ることができ、また、連鎖増大剤の量を加減すること
により重合体の分子量を調節することもできる。通常の
添加量は、モノマーに対し0.001〜0.5重量%で
ある。
【0029】共重合反応には溶媒を用いても用いなくて
もよいが、溶融状態での塊状重合が好ましい。
【0030】重合温度は、溶融塊状重合の場合には原則
的にはモノマーであるグリコリドとラクチドの融点以上
の温度であればよく、クロロホルム、ジクロロエタン等
の溶媒を用いる溶液重合の場合には融点以下の温度で重
合が可能である。溶融塊状重合の場合に通常好ましく行
われる重合温度は、120〜250℃の範囲である。2
0℃を越えると生成ポリマーの分解が起こるので好ま
しくない。
【0031】これらの共重合体の分子量は特に限定され
ないが、強度が要求される医療用材料、例えば、生体組
織どうしの癒着防止材または癒着による疾患の治療材と
して用いる場合は、10,000〜百万程度が好まし
い。しかし、徐放性薬剤用基材等、強度が要求されない
材料として用いる場合はおよそ数百〜10,000程度
の分子量であれば良い。百万を越えると加工性が低下し
たり、溶融粘度が上昇する等して重合反応の操作性が低
下するので好ましくない。
【0032】発明の分解性樹脂組成物の主成分である
グリコール酸−乳酸共重合体は、分子の繰り返し構造と
してグリコール酸単位を20〜80モル%、乳酸単位を
80〜20モル%を有することに特徴があるが、好まし
くはグリコール酸単位30〜70モル%、乳酸単位70
〜30モル%である。グリコール酸単位が20モル%以
下、あるいは80モル%以上であると、低分子量物質に
よる可塑化効果が小さくなり、好ましくない。得られる
共重合体の結晶性が高くなるため可塑化効果が減少する
ものと推定される。
【0033】共重合体の組成は、モノマーであるグリコ
リドおよびラクチドの仕込組成により調節することがで
きる。例えば、分子の繰り返し構造がグリコール酸単位
が50モル%、乳酸単位が50%からなる共重合体を得
る場合は、原料として用いるグリコリドおよびラクチド
の量は、それぞれ40〜50モル%、50〜60モル%
の範囲とすればよい。
【0034】本発明の樹脂組成物は上記共重合体と、グ
リコール酸オリゴマー(重合度1〜30)、乳酸オリゴ
マー(重合度1〜30)、グリコール酸−乳酸コオリゴ
マー(重合度2〜30)、グリコリド、ラクチドからな
る群より選ばれた1種またはそれ以上の低分子量物質と
の混合物である。
【0035】上記のオリゴマーは、乳酸および/または
グリコール酸を加熱脱水縮合することにより容易に調製
できる。通常の場合、この方法で得られるオリゴマー、
コオリゴマーの重合度は1〜30程度である。また、グ
リコリドやラクチドを水、グリコール酸、乳酸の存在下
で加熱することによっても調製することができる。
【0036】上記低分子量物質が混在し好ましくはさら
に加熱されることにより共重合体は効果的に可塑化さ
れ、得られる樹脂組成物は柔軟性をおびる。低分子量物
質の量は、共重合体100重量部に対して3〜40重量
部、好ましくは8〜20重量部である。3重量部以下で
は十分な柔軟性を得ることが困難であり、40重量部以
上では柔らかくなりすぎてフィルム等に成形することが
困難である。
【0037】上記共重合体と低分子量物質とを混合、可
塑化する方法は、グリコリドとラクチドとの共重合反
応を行い、未反応のグリコリドとラクチドを残存させた
状態で反応を停止する方法、グリコリドとラクチドと
の共重合反応を完結させた後、所定量の該低分子量物質
を混合、好ましくは加熱する方法がある。また、と
の方法を併用してもよい。
【0038】の方法では未反応のグリコリドとラクチ
ドが共重合体と微視的によく混合し、良好な可塑化効果
を示す。モノマー(グリコリドとラクチド)を、触媒の
存在下、場合によっては連鎖増大剤の共存下、120〜
250℃の温度範囲に加熱し、共重合反応を開始した
後、所望の転化率に到達した時点で反応を停止する。
【0039】生成した樹脂組成物中の共重合体と残存モ
ノマーの量を、ガスクロマトグラフィーによる分析ある
いは熱重量分析により定量し、予め所望の組成比を得る
反応条件および停止条件を設定する。
【0040】例えば、分子の繰り返し構造がグリコール
酸単位50モル%および乳酸単位50モル%からなる共
重合体100重量部に対し、グリコリドおよびラクチド
を合計重量で20重量部を含有する組成物を得る場合
は、モノマーとしてグリコリドおよびラクチドをそれぞ
れ100モル部用いて共重合反応し、転化率が80重量
%に達した時点で反応を停止し、得られた反応生成物を
加熱し可塑化させればよい。
【0041】の方法では、共重合反応により得られた
共重合体を、例えば、クロロホルム等の溶媒に溶解させ
るか、ガラス転移点以上に加熱溶融させ、所定量の可塑
剤(グリコール酸オリゴマー、乳酸オリゴマー、グリコ
ール酸−乳酸コオリゴマー、グリコリド、ラクチド)を
添加、混合し可塑化させる。この方法は可塑剤量を容易
に調節できる利点がある。溶媒を用いた場合は、溶媒を
蒸発・除去する際あるいは除去した後に混合物を50〜
150℃程度に加熱することが好ましい。
【0042】前記、国際出願WO90−0521号公
報には、ポリ乳酸に可塑剤を追加混合する方法が開示さ
れているが、該方法ではポリ乳酸に対し15重量%以上
の可塑剤を混合すると、特に組成物をフィルムに成形し
た場合、表面に可塑剤が析出したり結晶化したりして好
ましくない。これに対し、本発明の樹脂組成物の場合、
可塑剤を15重量%混合しても可塑剤の析出は認められ
ない。
【0043】本発明の樹脂組成物は優れた柔軟性を有
し、医療用材料、特に加水分解性のフィルム材料、例え
ば、一時的な生体間の隔膜、癒着防止膜、人口血管等の
生体医療用材料として好適である。
【0044】加水分解性の医用材料は、その使用用途の
性格上、使用される生体部位、使用方法等により多様な
加水分解性を要求される。本発明の樹脂組成物は、共重
合体組成や共重合体の分子量を調節することにより、加
水分解により消滅するまでの期間が数週間から1年まで
の多様な加水分解性をもつ医療用材料となる。また、徐
放性薬剤の基材用材料としても用いられる。
【0045】
【実施例】以下、実施例および比較例により本発明の方
法を具体的に説明する。なお、実施例中の各物性評価は
以下の方法により行った。
【0046】残存モノマー量 重合反応停止後、反応生成物をヘキサフルオロイソプロ
パノール(以降、HFIPと記す)または塩化メチレン
に溶解して濃度既知の溶液とし、ガスクロマトグラフィ
ーにて残存モノマー量を定量した。
【0047】共重合体の平均分子量 共重合体をHFIPに溶解し、ゲルパーミエイションク
ロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量
(以降、Mwと記す)を測定した。
【0048】オリゴマー類の平均重合度 オリゴマーをTHFまたはクロロホルムに溶解し、GP
Cにて重合度分布を測定し算出した。
【0049】引張強度試験 樹脂組成物をクロロホルムに溶解し(濃度5重量%)、
テフロン製フラットシャーレ上にキャストした。室温に
てゆっくり蒸発させ、溶液の流動性がなくなり始めた時
点で加熱し、80℃で3時間保ちながら減圧乾燥するこ
とによりフィルムを得た。幅10mm、長さ50mmのフィ
ルム状試験片を作成し、引張試験機を用いて、チャック
幅20mm、引張速度50mm/minで測定した。
【0050】加水分解性試験 樹脂組成物よりフィルム状試験片を作成し、これを37
℃のリン酸緩衝溶液(pH7.3)中に2週間浸漬し、
加水分解を行った。加水分解前後のフィルムの重量平均
分子量の減少率により加水分解性を評価した。
【0051】調製例1 試験管に入れたL−ラクチド7.2gに87%乳酸水溶
液4.0gを加え、100℃にて加熱した。冷却したと
ころ常温で粘りのある透明の液体が得られた。平均重合
度は2.9であった。以降オリゴマー1と記す。
【0052】調製例2 3リットルガラス製反応容器に90%DL−乳酸水溶液
1100gおよび70%グリコール酸水溶液100gと
を入れ、攪拌しながら加熱した。150℃に達した時点
で系をゆっくり30mmHgまで減圧にし、水分や揮発
分を除去しながら4時間反応させた。反応生成物を冷却
したところ、約860gの乳酸−グリコール酸コオリゴ
マーが得られた。平均重合度は約3.3であった。以降
オリゴマー2と記す。
【0053】実施例1〜4 ガラス製重合管にモノマーとしてラクチド(以降LTD
と記す)およびグリコリド(以降GLDと記す)、触媒
としてオクタン酸第一スズをそれぞれ〔表1〕に示す量
仕込んだ。この重合管に脱気コックを取付け、数時間脱
気乾燥した後コックを閉じ重合管を真空に保ちつつ熔封
した。〔表1〕に示す温度に所定時間保ち共重合反応さ
せ、反応生成物として樹脂組成物を得た。重合反応後の
樹脂組成物中の共重合体のMwおよび残存モノマー量を
測定し、その結果を〔表1〕に示す。
【0054】得られた樹脂組成物をクロロホルムに溶解
し、〔表1〕に示す可塑剤をそこへ添加した。そのまま
テフロン製フラットシャーレ上にキャストし、室温にて
溶媒を蒸発させてフィルムを作成した。さらに減圧(3
mmHg)下、50℃にて24時間乾燥し、フィルムの赤
外線吸収スペクトルの測定によりフィルム中に残存する
溶媒がないことを確認した。
【0055】得られたフィルムの引張試験の結果を〔表
1〕に示す。いずれのフィルムも良好な柔軟性を有し、
かつ、伸び性に富んでいた。
【0056】また、いずれのフィルムも生体内と類似の
環境下において高い加水分解性を示し、分子量が減少し
た。結果を〔表2〕に示す。すなわち、これらのフィル
ムは生体内の柔組織等、例えば移植用材料あるいは癒着
防止材料として適用するのには好適である。
【0057】実施例5 実施例1における重合反応の際、反応途中(14時間)
で反応系から一部反応混合物をサンプリングした。残存
モノマー量の測定結果を〔表1〕に示す。この樹脂組成
物をクロロホルムに溶解し、可塑剤を追加することなし
にシャーレ上にキャストしてフィルムを作成した。生体
内の柔組織に適用するための充分な柔軟性を有してい
る。
【0058】比較例1〜4 実施例1〜4と同様にして得られた反応生成物に可塑剤
を添加しないでフィルムを作成した。可塑剤を添加した
ものに比べ明らかに柔軟性が劣っていた。生体内の柔組
織に適用するのには適さないフィルムである。結果を
〔表1〕に示す。 比較例5〜7 L−ラクチド(L−LTD)とDL−ラクチド(DL−
LTD)とをモル比9:1でガラス製重合管に仕込み、
〔表1〕に示す条件で共重合させた。得られた反応生成
物に〔表1〕に示す可塑剤を添加して、クロロホルムに
溶解し実施例1と同様にしてフィルムを作成した。得ら
れたフィルムは、生体内の柔組織に使用する材料として
は満足すべき柔軟性を示さなかった。結果を〔表1〕に
示す。また、加水分解速度も低く、高い加水分解速度を
要求される用途には不適当であった。結果を〔表2〕に
示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】本発明により良好な柔軟性と加水分解性
を有する加水分解性樹脂組成物が提供される。
【0062】本発明の樹脂組成物は良好な柔軟性と幅広
い加水分解性を有するため、生体内で加水分解速度の高
いものを必要とする医療用材料に適用できる。
【0063】例えば、一時的な生体隔離材料、癒着防止
材料、人工血管等の医療用材料および徐放性薬剤用基材
等に好適に用いることができ、産業上極めて有用であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 国際公開90/1521(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/06 - 63/08 C08L 67/04 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子の繰り返し構造がグリコール酸単位
    20〜80モル%、乳酸単位80〜20モル%からなる
    グリコール酸−乳酸共重合体 100重量部と、グリコ
    ール酸オリゴマー(重合度1〜30)、乳酸オリゴマー
    (重合度1〜30)、グリコール酸−乳酸コオリゴマー
    (重合度2〜30)、グリコリドおよびラクチドからな
    る群から選ばれた1種またはそれ以上の低分子量物質8
    〜20重量部とからなり、その引張タンジェントモジュ
    ラスが1〜100kgf/mm2である柔軟性が改良され
    た加水分解性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の加水分解性樹脂組成物か
    らつくられる生体医療用材料。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の加水分解性樹脂組成物か
    らつくられる除放性薬剤用基材。
JP3044691A 1991-03-11 1991-03-11 加水分解性樹脂組成物 Expired - Lifetime JP3054451B2 (ja)

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