JP2009126140A - 発泡成型品 - Google Patents

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利光 長谷川
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Abstract

【課題】容器強度、断熱性、軽量性、寸法安定性を改善した発泡成型品を提供する。
【解決手段】発泡倍率が1.1倍〜5倍、連続気泡率が15%以下にて発泡させて得られる発泡層(C層)の両面に、充填材3〜60重量%とポリオレフィン系樹脂97〜40重量%とからなる樹脂複合材料を成形して得られる複合材層(B層)がそれぞれ積層され、さらにその両面に、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1〜50g/10分のプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂材料を成形して得られる非発泡層(A層)がそれぞれ積層された3種5層構造を有する発泡積層シートであって、発泡積層シート断面を占めるA層の比率が0.01〜15%、B層の比率が4.99〜80%、C層の比率が19.99〜95%であり、発泡積層シートの比重が0.1〜1.0g/cm3からなる発泡積層シートを、加熱半溶融後、両面真空成形法により付型することを特徴とする発泡成型品。
【選択図】図1

Description

本発明は、発泡成型品に関し、より詳しくは、容器強度、断熱性、軽量性、寸法安定性を大きく改善した発泡成型品に関する。
オレフィン系樹脂発泡シートは、軽量で且つ耐熱性や耐衝撃性に優れることから、自動車内装の芯材、建材、文具、食品容器等の用途に広く用いられている。
このような発泡シートは、例えば、押出機により溶融させたオレフィン系樹脂に各種発泡剤を加圧下にて混練した後、押出機先端に取り付けられたダイスより大気圧下に押出発泡することにより得られる。
しかしながら、従来の発泡シートでは、生じるガス分圧を有する個々の気泡(以下、セルと言う場合もある。)を、溶融樹脂中に保持させておくことが困難であり、個々のセルが破裂して連続気泡を生じやすくなるという問題があった。
特に、多層構成の場合、発泡層の両面に積層された非発泡層の存在のために、発泡層の冷却が遅くなってしまい、連続気泡が多くなってしまう傾向があった。連続気泡が多くなると、得られる発泡シートの耐熱性や、耐衝撃性の機械的強度が低下する上、容器成型や超音波シールなどの2次加工、において、不具合が生じる。具体的には、容器成型の場合は、発泡シートを再度加熱し半溶融状態で、金型にて付型するが、その再加熱時に、連続気泡が多いと、気泡が再度膨張し、破泡して容器の表面に凹凸が発生したり、穴あきが発生したりする。特に、特許文献1のような両面真空成型法では、両面からの真空引きに追随可能な程度に、発泡シート原反を加熱する必要があり、また、気泡の膨張による厚みの増加を利用するために、発泡シート原反において、より微細で独立した気泡の調整が必要である。
両面真空成型法は、発泡シートを最終的に成型品の形状に付型するプロセスにおいて、発泡成型体の特性である断熱性、保温性の機能を大幅に維持向上させると同時に、一般的な成型法である真空成形、真空圧空成形などで付型された成型品に比べ、気泡構造をハニカム構造の類似構造に制御できるため、成型品の強度向上という特徴も付与することが出来るという利点を有しているため、両面真空成型法に適した発泡シートの開発が切望されている。
両面真空成型法に関する発明として、特許文献2〜4などが提案されているが、これらは、用いる発泡シートの気泡形状が微細で独立した気泡が得られるポリスチレンを主眼としたものであり、ポリプロピレンを用いた気泡形状が微細で独立した気泡を有する発泡シートについては検討がされていない。ポリプロピレンを用いた発泡シートを両面真空成型法に応用する発明としては、特許文献1に記載があるものの、単に、両面真空成型法でもポリプロピレンを用いた発泡シートが使用できることが示されているに過ぎず、両面真空成型法においては、どのようなポリプロピレンを用いると優れた成型品が得られるかという材料設計は示されていない。両面真空成形においては、用いる発泡シート原反の気泡構造が2次成型時の2次発泡性能、セル形状などに大きく影響を与える。特許文献1に記載のあるポリプロピレンを用いた発泡シートでは、両面真空成型法において、微細で独立した気泡構造を有する成型品が得られないのが現状であった。
両面真空成型法に適したポリプロピレンを用いた発泡シートとしては、微細な気泡構造を持つ、連続気泡が少ない(独立気泡性に優れた)発泡シートを用いることが有効であり、用いるポリプロピレンの溶融張力を高くしてセルの保持力を高める様々な手段が実用的である。そして、高溶融張力を特徴としたポリプロピレン系樹脂、例えば電子線架橋を行ったプロピレン系樹脂(特許文献5参照)、過酸化物などを用いて架橋処理したプロピレン系樹脂(特許文献6参照)が提案されている。ところが、これら架橋方法による溶融張力向上は、発泡シート成形時の耳部分や、容器成型後の不要部分を再度発泡シート成形に戻すときに、溶融物性の低下が著しく、コスト面でも非常に不利であり、また架橋しているために、押出安定性や、過酸化物による臭気の面からも満足いくものではなかった。
また、超高分子量成分を添加して溶融張力を高める方法(特許文献7参照)が提案されているが、一般に溶融張力の高い樹脂を用いると、セルの保持力は上昇するものの、粘度が高すぎて、添加する発泡剤の量に見合った発泡倍率が得られず、また、押出機での負荷が大きくなり、高生産性を維持しようとする場合には押出機にかかる負荷が増大し、押出成形性が低下する、更にはせん断発熱により樹脂の温度が高くなってしまい、セルの成長が冷却により抑制できず、連続気泡となってしまうという問題がある。
このように、微細な気泡構造を持ち、連続気泡が極めて少ない、両面真空成型法に適したポリプロピレンを用いた発泡シートが得られていないのが現状であり、両面真空成型法に最適な発泡シートを得るための材料設計が強く求められている。
特開2000−280334号公報 特開平4−332623号公報 特開平8−52796号公報 特許第3142443号 特表平5−506875号公報 特開2005−146122号公報 特開平11−181178号公報
本発明は、このような事情のもとでなされたものであり、独立気泡性及び押出成形性に優れ、しかも軽量且つ高剛性、寸法安定性、リサイクル性に優れた発泡積層シートを用い両面真空成型法にて成形された成型品を提供することである。
本発明者らは、上記従来技術の問題点につき鋭意検討した結果、まず、特定の構成を有するプロピレン系樹脂組成物と発泡剤とからなる発泡層(C層)の上に、特定の構成を有するポリオレフィン系樹脂と充填材とからなる複合材層(B層)および特定の構成を有するプロピレン系樹脂からなる非発泡層(A層)とを特定の層比率で積層することにより、独立気泡性に優れた発泡積層シートを得た後、次に、それを用いて両面真空成形を行うことにより更に軽量かつ剛性のある成型品が成型できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、下記C層の両面に、下記B層がそれぞれ積層され、さらにその両面に、下記A層がそれぞれ積層された3種5層構造を有する発泡積層シートであって、発泡積層シート断面を占めるA層の比率が0.01〜15%、B層の比率が4.99〜80%、C層の比率が19.99〜95%であり、発泡積層シートの比重が0.1〜1.0g/cmからなる発泡積層シートを、加熱半溶融後、両面真空成形法により付型することを特徴とする発泡成型品が提供される。
A層:MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1〜50g/10分のプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂材料を成形して得られる非発泡層、B層:充填材3〜60重量%とポリオレフィン系樹脂97〜40重量%とからなる樹脂複合材料を成形して得られる複合材層、C層:下記成分A、BおよびCからなり、成分Bと成分Cとの総量100重量部(内、成分Bは5〜30重量部、成分Cは95〜70重量部)に対し、成分Aが0.01〜5.0重量部含有されているプロピレン系樹脂組成物と発泡剤を含む発泡樹脂材料を、発泡倍率が1.1倍〜5倍、連続気泡率が15%以下にて発泡させて得られる発泡層。
成分A:エチレン単独重合体又はエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体であって、少なくとも135℃のテトラリンで測定した固有粘度[ηE]が15〜100dl/gの範囲の高分子量ポリエチレン、成分B:プロピレン含有量0〜50重量%とαオレフィン含有量50〜100重量%とからなり、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が0.0001〜1g/10分であるプロピレン−αオレフィン(共)重合体、成分C:MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1g/10分以上であるプロピレン単独重合体。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、C層に用いられるプロピレン系樹脂組成物が、チタン含有オレフィン重合用触媒に高分子量ポリエチレン(成分A)を担持させて得られた予備活性触媒成分の存在下、ポリプロピレン単独重合体(成分C)を製造する第1重合工程でプロピレン単独重合体を製造し、引き続く第2重合工程でプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)を製造することによって得られたものであることを特徴とする発泡成型品が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、充填材が、タルク及び/又は炭酸カルシウムであることを特徴とする発泡成型品が提供される。
さらに、本発明の第4の発明によれば、第1または2の発明において、発泡成型品の厚みが、発泡積層シートの厚みに対して、0.8〜3倍であることを特徴とする発泡成型品が提供される。
本発明の発泡成型品は、独立気泡性及び積層押出成形性に優れ、軽量且つ高剛性、寸法安定性、リサイクル性に優れた発泡積層シートを用いて、両面真空成形を行うことにより得られるので、更に軽量かつ剛性のある成型品となる。
得られた発泡成型品は、抜き刃などで発泡成型品の形に抜かれ、そのまま発泡成型品として用いることができ、必要に応じて更に穴あけ加工、溶着加工など、更には塗装やコーティングなどの表面処理加工を施すことで、多種多様の発泡成型品に仕上げることができる。
得られた発泡成型品は、食品や産業資材の包装材、自動車の内装、外層部品や工業部品など、軽量性が要求されかつ、剛性、耐熱性、寸法安定性、外観の良さなどが要求される用途に利用できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の発泡成型品は、発泡層(C層)の両面に、複合材層(B層)がそれぞれ積層され、さらにその両面に、非発泡層(A層)がそれぞれ積層された3種5層構造を有する発泡積層シートであって、発泡積層シート断面を占めるA層の比率が0.01〜15%、B層の比率が4.99〜80%、C層の比率が19.99〜95%であり、発泡積層シートの比重が0.1〜1.0g/cmからなる発泡積層シートを、加熱半溶融後、両面真空成形法により付型することを特徴とする。すなわち、本発明の発泡成型品は、発泡層(C層)の両面に、複合材層(B層)がそれぞれ積層され、さらにその両面に、非発泡層(A層)がそれぞれ積層された3種5層構造を有する積層シートを用いることによって得ることができる。
(1)発泡層(C層)
本発明において、発泡層は、成分A、BおよびCからなり、成分Bと成分Cとの総量100重量部(内、成分Bは5〜30重量部、成分Cは95〜70重量部)に対し、成分Aが0.01〜5.0重量部含有されているプロピレン系樹脂組成物と発泡剤よりなる、発泡倍率が1.1倍〜5倍、連続気泡率が15%以下のものである。
該プロピレン系樹脂組成物を発泡層に用いることにより、独立気泡性及び積層押出成形性に優れ、軽量且つ高剛性、寸法安定性、リサイクル性に優れた発泡成型品を得ることができる。
また、本発明に用いられる該プロピレン系樹脂組成物は、電子線架橋、有機過酸化物等による方法で後処理架橋工程を行っていないため、後処理架橋工程を行ったプロピレン系樹脂組成物のような、加工時の熱履歴、せん断履歴などによる材料物性変化が大きくならず、例えば、トリム部分、容器を打ち抜いた後のスケルトンを再利用する場合に、本来有していた発泡に必要な物性が得られなくなるようなことがない。ここで、スケルトンとは、得られた積層シートを両面真空成型法により成型品の形に付型し、成型品部分を切り抜いた後に残る部分のことである。
(発泡層樹脂成分)
発泡層の主成分であるプロピレン系樹脂組成物は、下記成分A、成分Bおよび成分Cからなる。
成分A:エチレン単独重合体又はエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体であって、少なくとも135℃のテトラリンで測定した固有粘度[ηE]が15〜100dl/gの範囲の高分子量ポリエチレンを、成分Bと成分Cとの総量100重量部に対し0.01〜5.0重量部、
成分B:プロピレン含有量0〜50重量%とαオレフィン含有量50〜100重量%とからなり、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が0.0001〜1g/10分であるプロピレン−αオレフィン共重合体5〜30重量%、
成分C:MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1g/10分以上であるプロピレン単独重合体95重量%〜70重量%。
発泡層に用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分Aは、エチレン単独重合体又はエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体であり、少なくとも135℃のテトラリンで測定した固有粘度[ηE]が15〜100dl/gの範囲の高分子量ポリエチレンである。このような非常に高分子量の成分を添加することによって、セルの成長を抑制(連立気泡率を低く抑える)ことができる。該固有粘度[ηE]は、15〜100dl/gの範囲であり、15〜50dl/gの範囲が好ましく、17〜50dl/gの範囲がさらに好ましい。固有粘度[ηE]が、100dl/gより高いと、逆にセルが膨らみにくくなってしまい、15dl/gより低いと気泡の抑制効果が出ない。
また、成分Aの含有量は、成分Bと成分Cとの総量100重量部に対し、0.01〜5.0重量部の範囲であり、0.02〜2.0重量部の範囲が好ましく、0.05〜1.0重量範囲がさらに好ましい。含有量が、5.0重量部を大きく超えると、気泡が膨らみにくくなってしまい、0.01重量部を大きく下回ると気泡の抑制効果が出なくなる。
また、成分Aの極限粘度[ηE]を15〜100dl/gの範囲とするには、高分子量化の効率上の理由から、エチレン単独重合体であるか、もしくは、共重合体の重量基準で、エチレン単位を50重量%以上含有するエチレンと炭素数3〜12のオレフィンとのエチレン−オレフィン共重合体であることが望ましく、エチレン単独重合体、もしくは、共重合体の重量基準で、エチレン単位を70重量%以上含有するエチレンと炭素数3〜12のオレフィンとのエチレン−オレフィン共重合体であることが好ましく、エチレン単独重合体、もしくは、共重合体の重量基準でエチレン単位を90重量%以上含有するエチレンと炭素数3〜12のオレフィンとのエチレン−オレフィン共重合体であることがさらに好ましい。
成分Aがエチレン−オレフィン共重合体である場合、エチレンと共重合させる炭素数3〜12のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらのオレフィンを2種以上使用してもよい。
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分Bは、αオレフィン単独重合体またはプロピレン−αオレフィン共重合体である。プロピレン−αオレフィン共重合体を用いる場合は、プロピレンの含有量は、50重量%以下、好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは40〜50重量%であるとよい。成分Bは、発泡気泡の成長を抑制し、連立気泡率を低くさせるのに効果的であり、発泡積層シートの耐衝撃性、粘度調整、容器成形時の延展性などを確保することができるが、プロピレンの含有量が50重量%より著しく多いと、成分Cとの相溶性が向上し、発泡気泡の成長を抑制する効果が低減する。
ここで、αオレフィンとは、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、ノネン、デケン、1−メチルブテン、1−メチルペンテンなどの炭素数12以内のアルケンを言い、中でもエチレンが好ましい。
また、成分BのMFR(温度230℃、荷重21.18N)は、0.0001〜1g/10分、好ましくは0.0001〜0.1g/10分、更に好ましくは0.0001〜0.01g/10分である。0.0001g/10分を下回ると、発泡気泡の成長が妨げられ、1g/10分より大きいと、気泡の抑制効果がなく、また耐衝撃性が劣る。
成分Bの含有量は、成分Bと成分Cの総和100重量%中、5〜30重量%の範囲であり、好ましくは7〜20重量%、更に好ましくは13〜18重量%である。成分Bの含有量が5重量%より少ないと発泡気泡の成長の抑制効果が働かず、微細な気泡が得られない、一方、成分Bの含有量が30重量%より多いと発泡気泡の成長が妨げられ、必要な発泡倍率が得られない。
本発明で用いられるプロピレン系樹脂組成物を構成する成分Cは、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1g/10分以上、好ましくは2g/10分以上、更に好ましくは5g/10分以上であるプロピレン単独重合体である。成分CのMFRが1g/10分より小さい場合、発泡層を得る際に粘度が高くなってしまい、添加する発泡剤の量に対する発泡倍率が得られなくなる。
成分Cの含有量は、成分Bと成分Cの総和100重量%中、95重量%〜70重量%であって、好ましくは95〜80重量%である。95重量%より多いと、発泡気泡を抑制する効果が小さくなり、連続気泡率が高くなってしまう。また、70重量%より少ないと、添加する発泡剤の量に対する発泡倍率が得られなくなる。
前記高分子量ポリエチレン(成分A)は、その1種のみを、プロピレン−αオレフィン(共)重合体(成分B)およびプロピレン単独重合体(成分C)と混合しても良く、また、その組成の異なる2種以上をプロピレン−αオレフィン(共)重合体(成分B)およびプロピレン単独重合体(成分C)と混合しても良い。
また、プロピレン系樹脂組成物の製造方法としては、高分子量ポリエチレン(成分A)、プロピレン−αオレフィン(共)重合体(成分B)、プロピレン単独重合体(成分C)をブレンダー等で物理混合する方法、また、溶融混練する方法、高分子量ポリエチレン(成分A)を予備活性化後、プロピレン単独重合体(成分C)引き続きプロピレン−αオレフィン(共)重合体(成分B)を連続して製造する方法をとり、化学的に混合する方法等がある。樹脂組成物の高溶融張力の付与、発泡性能、発泡体がより高い独立気泡率を有するという点から連続して製造する方法、すなわち高分子量ポリエチレン(成分A)を予備活性化した後に製造する方法が望ましい。
高分子量ポリエチレン(成分A)を物理混合する場合、高分子量ポリエチレン(成分A)の製造方法は、上記の物性を満足するものであれば特に制限されず、ラジカル重合法、触媒重合法等が挙げられる。触媒重合の場合、重合触媒としては、チタン系触媒、バナジウム系触媒、クロム系触媒、メタロセン系触媒、フェノキシイミン系触媒のいずれを用いても製造することができる。
高分子量ポリエチレン(成分A)としては、市販品を用いても良く、例えば、日本ポリエチレン(株)製 カーネル、三井化学(株)製 タフマーPシリーズやタフマーAシリーズ、JSR(株)製 EPシリーズやEBMシリーズが例示できるほか、直鎖状低密度ポリエチレンもこの範疇にはいる。
また、高分子量ポリエチレン(成分A)は、2種類以上のエチレン(共)重合体の混合物からなってもよい。
本発明においては、予備活性触媒成分として、固体触媒に高分子量ポリエチレン(成分A)が担持された触媒成分を用い、第1重合工程として、特定の物性を有するプロピレン単独重合体(成分C)を製造し、引き続く第2重合工程として、特定の物性を有するプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)を連続して製造する方法を用いることが好ましい。これにより得られたプロピレン系樹脂組成物が、成分Aが均一に分散しやすく、該樹脂組成物より得られる発泡積層シートがより高い独立気泡率を有するからである。また、既存の重合プロセスに利用できるために、通常のポレオレフィン生産と同等の生産性を維持することが可能である。以下、具体的な重合方法および好適に使用できる触媒について詳細に述べる。
この様なプロピレン樹脂組成物の製造方法において、使用する固体触媒成分としては、チタン化合物を含む遷移金属化合物触媒成分を主成分とする触媒成分のいずれをも使用することができ、中でも工業生産上、チタン含有固体成分(I)が好適に使用される。
本発明において、チタン含有固体成分(I)としては、チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須成分として含有するものである。ここで、「必須成分として含有する」という事は、挙示の三成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で任意の成分を任意の形態で含んでも良いという事を示すものである。チタン、マグネシウム、ハロゲンを必須成分として含有する固体成分自体は公知のものでる。
上記チタンとしては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。チタンの価数に関しては、4価、3価、2価、0価の任意の価数を持つチタン化合物を用いることが出来るが、好ましくは4価および3価のチタン化合物、更に好ましくは4価のチタン化合物を用いる事が望ましい。
4価のチタン化合物の具体例としては、四塩化チタンに代表されるハロゲン化チタン化合物類、テトラブトキシチタンに代表されるアルコキシチタン化合物類、テトラブトキシチタンダイマー(BuO)Ti−O−Ti(OBu)に代表されるTi−O−Ti結合を有するアルコキシチタンの縮合化合物類、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライドに代表される有機金属チタン化合物類、などを挙げることが出来る。
好ましい4価のチタン化合物としては、一般式Ti(OR)4−p(ここで、Rは炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10程度のものであり、Xはハロゲンを示し、pは0≦p≦4である。)で表される化合物が挙げられる。中でもハロゲンを含む4価のチタン化合物がより好ましい。具体的にはTiCl等が挙げられる。
上記マグネシウムとしては、任意のものを用いることが出来る。代表的な例としては、特開平3−234707号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、塩化マグネシウムに代表されるハロゲン化マグネシウム化合物類、ジエトキシマグネシウムに代表されるアルコキシマグネシウム化合物類、金属マグネシウム、酸化マグネシウムに代表されるオキシマグネシウム化合物類、水酸化マグネシウムに代表されるヒドロキシマグネシウム化合物類等が挙げられる。
上記ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素、及びそれらの混合物を用いる事が出来る。この中で塩素が特に好ましい。
ハロゲンは、上記のチタン化合物類及び/又はマグネシウム化合物から供給されるのが一般的であるが、その他の化合物より供給することも出来る。代表的な例としては、四塩化ケイ素に代表されるハロゲン化ケイ素化合物類、塩化アルミニウムに代表されるハロゲン化アルミニウム化合物類などを挙げることが出来る。これらの化合物は単独で用いるだけでなく、併用する事も可能である。この中で、四塩化ケイ素が特に好ましい。
チタン含有固体成分(I)は、任意成分として電子供与体を含有しても良い。電子供与体の代表的な例としては、特開2004−124090号公報に開示されている化合物を挙げることが出来る。一般的には、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体(エステル、酸無水物、酸ハライド、アミド)化合物類、エーテル化合物類、ケトン化合物類、アルデヒド化合物類、アルコール化合物類、アミン化合物類などを用いることが望ましい。
チタン化合物類の使用量は、マグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(チタン化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.0001〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.01〜10の範囲内が望ましい。マグネシウム化合物類及びチタン化合物類以外にハロゲンを使用する場合は、その使用量はマグネシウム化合物類及びチタン化合物類の各々がハロゲンを含むか含まないかに関わらず、マグネシウム化合物類の使用量に対してモル比(ハロゲン化合物のモル数/マグネシウム化合物のモル数)で、好ましくは0.01〜1,000の範囲内であり、特に好ましくは0.1〜100の範囲内が望ましい。
次に、プロピレン系樹脂組成物の各製造工程について具体的に例示する。
本発明に係る成分A、B、Cよりなるプロピレン系樹脂組成物の製造方法において、高分子量ポリエチレン(成分A)は、プロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)およびプロピレン単独重合体(成分C)の製造に先立って、オレフィン重合用触媒の存在下に、エチレン単独またはα−オレフィンモノマーとを重合して、エチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体を製造する予備活性化工程を行って製造されるのが好ましい。
高分子量ポリエチレン(成分A)の製造工程である予備活性化工程についての具体例は、以下の通りである。
予備活性化触媒として、高分子量ポリエチレン(成分A)を、チタン含有固体成分(I)に担持したものを用いる。チタン含有固体成分(I)1g当たり0.01〜2,000g、好ましくは0.05〜1,000g、さらに好ましくは0.1〜500gの割合で生成するような条件で行う限り、特に制限はないが、通常、−40〜40℃、好ましくは−40〜30℃、さらに好ましくは−40〜20℃程度の比較的低温度下において、0.1〜5MPa、好ましくは0.2〜5MPa、特に好ましくは0.3〜5MPaの圧力下で、1分〜24時間、好ましくは5分〜18時間、特に10分〜12時間かけて実施されることが好ましい。予備活性化は、水素の存在下で実施してもよいが、極限粘度が15〜100dl/gの高分子量ポリエチレン(成分A)を得るためには、水素を用いないほうが望ましい。モノマーの供給方法は、モノマーを反応槽に定速的にあるいは定圧状態若しくは一定濃度になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備活性化の前工程で、ポリプロピレンを担持させる予備重合を行うことが更に好ましい。前工程を行わないことでパウダーBD、粉体特性が低下する。予備重合および予備活性化は、例えば、チタン含有固体触媒成分(I)中のチタン原子1モルに対して有機アルミニウム化合物(II)を0.01〜100モル、好ましくは0.1〜50モル、およびチタン原子1モルに対して有機ケイ素化合物(III)を0〜50モル、好ましくは0〜20モル組み合わせてなるオレフィン重合用触媒に、極限粘度が15dl/gより小さいポリプロピレンを、チタン含有固体触媒成分(I)1g当たり0.01〜100g担持させることによって行う。
予備重合および予備活性化は、たとえば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、他にガソリン留分や水素化ディーゼル油留分等の不活性溶媒、オレフィン自身を溶媒とした液相中で行うことができ、また溶媒を用いずに気相中で行うことも可能である。溶媒使用量が多すぎると、大きな反応容器を必要とするばかりでなく、効率的な重合反応速度の制御および維持が困難となる。また、予備重合後にヘキサン、ヘプタン等の不活性溶媒で洗浄を行う事も出来る。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
さらに、触媒、不活性溶媒の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
予備重合および予備活性化において、有機アルミニウム化合物(II)の使用量が少なすぎると重合反応速度が遅くなりすぎる恐れがある。また、その使用量が多すぎると、重合反応速度の改善効果が頭打ちとなるほか、また、最終的に得られるプロピレン重合体組成物中に有機アルミニウム化合物(II)の残渣が多くなる恐れがある。また、電子供与体(III)の使用量が多すぎると、重合反応速度が低下する恐れがある。得られたチタン含有固体成分(I)は、更に有機金属化合物(II)と組み合わせて、オレフィン重合用触媒として使用することができる。有機アルミニウム化合物(II)としては、特開2004−124090号公報に開示された化合物等を用いることが出来る。一般的には、下記一般式(1)にて表される化合物を用いることが望ましい。
AlX(OR …(1)
(一般式(1)中、Rは炭化水素基を表す。Xはハロゲン若しくは水素を表す。Rは炭化水素基若しくはAlによる架橋基を表す。a≧1、0≦b≦2、0≦c≦2、a+b+c=3である。)
一般式(1)中、Rは炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜8、特に好ましくは炭素数1〜6のものを用いることが望ましい。Rの具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基などを挙げることが出来る。この中で、メチル基、エチル基、イソブチル基が最も好ましい。
一般式(1)中、Xはハロゲン若しくは水素である。Xとして用いる事の出来るハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、沃素などを例示することが出来る。この中で、塩素が特に好ましい。
一般式(1)中、Rは炭化水素基若しくはAlによる架橋基である。また、有機アルミニウム化合物としてメチルアルモキサンに代表されるアルモキサン化合物類を用いることも可能である。
有機アルミニウム化合物(II)として用いる事の出来る化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、メチルアルモキサンなどを挙げることが出来る。中でも、トリエチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
有機アルミニウム化合物(II)は、単独の化合物を用いるだけでなく、複数の化合物を併用することもできる。
得られた予備活性化触媒は、必要に応じて、新たに有機アルミニウム化合物(II)および電子供与対(III)と組み合わせることで、オレフィン重合体の生成速度および/または立体規則性を制御する。新たに加える有機アルミニウム化合物(II)は、既述の有機アルミニウム化合物(II)と同様のものを使用することができる。また、有機アルミニウム化合物(II)および電子供与体(III)は、これらの化合物を単独であるいは2種以上を混合して用いることもできる。
電子供与体(III)として用いることの出来る化合物の例としては、たとえば、エーテル類、アルコール類、エステル類、アルデヒド類、脂肪酸類、ケトン類、ニトリル類、アミン類、アミド類、尿素およびチオ尿素類、イソシアネート類、アゾ化合物、ホスフィン類、ホスファイト類、ホスフィナイト類、硫化水素およびチオエーテル類、ネオアルコール類、シラノール類などの分子中に酸素、窒素、硫黄、燐のいずれかの原子を有する有機化合物および分子中にSi−O−C結合を有する有機ケイ素化合物などが挙げられる。
本発明の成分A、成分B、成分Cよりなるプロピレン系樹脂組成物は、高分子量ポリエチレン(成分A)が担持された予備活性化触媒を用い、少なくとも第1重合工程および第2重合工程の2段階の重合工程を経てなるポリプロピレン系ブロック(共)重合体である。該樹脂組成物を用いることにより、独立気泡性及び押出成形性に優れ、しかも軽量且つ高剛性、寸法安定性、リサイクル性に優れた発泡積層シートを得ることができる。すなわち、第1重合工程で、プロピレン単独重合体からなる成分Cをポリプロピレン系ブロック(共)重合体の重量基準で95重量%〜70重量%の範囲で製造したのち、引き続く第2重合工程で、プロピレン−αオレフィン(共)重合体からなる成分Bをポリプロピレン系ブロック(共)重合体の重量基準で5〜30重量%の範囲で製造して得られる。成分Bの含有量が、95重量%より多い場合は独立気泡率が低下し、70重量%より少ない場合は発泡倍率の低下を引き起こし、発泡性能が低下するため好ましくない。
なお、成分Cと成分Bの重量比を調節するには、プロピレン単独重合体を製造する第1重合工程とプロピレン−αオレフィン(共)重合体を製造する第2重合工程の製造量比を制御することより可能である。重合温度や滞留時間を変化させる事により両者の製造量比を制御出来る事は、当業者には良く知られた事である。
本発明において、成分Bおよび成分Cを製造するポリプロピレン系ブロック(共)重合体の製造プロセスとしては、公知のオレフィン重合プロセスが使用可能であり、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、他にガソリン留分や水素化ディーゼル油留分等の不活性溶媒中で、オレフィンの重合を実施するスラリー重合法、オレフィン自身を溶媒として用いるバルク重合法、オレフィンの重合を気相中で実施する気相重合法、さらに重合して生成するポリオレフィンが液状である液相重合法、あるいはこれらのプロセスの2以上を組み合わせた重合プロセスを使用することができる。
上記のいずれの重合プロセスを使用する場合にも、ポリプロピレン系ブロック(共)重合体の製造は、重合温度が20〜120℃、好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜100℃の温度下で、重合圧力が0.1〜5MPa、好ましくは0.3〜5MPaの圧力下で、連続式、半連続式、若しくはバッチ式で、重合時間が5分間〜24時間の条件で実施される。上記の条件を採用することによって、ポリプロピレン系ブロック(共)重合体は、高効率かつ制御された反応速度で好適に製造される。また、公知のオレフィン重合方法と同様に、第1、第2重合工程ともに重合時に水素を用いることにより、得られるポリプロピレン系ブロック(共)重合体の分子量を調整することができる。
本発明に用いられるプロピレン系樹脂組成物において、第1重合工程終了後の成分CのMFRが1g/10min以上、および第2重合工程終了後の成分BのMFRが0.0001〜1g/10minを充足するのが好ましい。
成分BのMFRが0.0001g/10minより低いと、気泡の成長が妨げられ、成分BのMFRが1g/10minより大きいと、気泡の抑制効果がなく、耐衝撃性が劣る。また、成分CのMFRが1g/10minより低いと、気泡の成長が妨げられる。これら成分Bと成分CのMFRの調整は、各工程における水素供給量を調整することにより容易に行うことができる。
(発泡剤)
本発明におけるC層を構成する発泡剤としては、例えば、無機系発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤が用いられ、これらは混合して用いることができる。無機系発泡剤としては、例えば、二酸化炭素、空気、窒素、水等が挙げられる。揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素類及び環式脂肪族炭化水素類が、モノクロロジフロロメタン、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。分解型発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、P,P′−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、クエン酸、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。
(補助添加成分)
本発明におけるC層には、前記プロピレン系樹脂組成物と前記発泡剤との他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、ポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤、充填剤、難燃剤等を配合することができる。
また、70重量%を上限として、本発明に用いられる積層シートを得る際に発生する耳ロス、スケルトンなどの粉砕、もしくは改質材として必要に応じてスチレン系などのエラストマー、石油樹脂やシクロオレフィン系樹脂など、ポリエチレンワックスや石油ワックス、エチレン−酢ビ共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、PET、PS、ABSなどの異なる樹脂を、本発明の目的を阻害しない範囲で配合することも出来る。
(発泡樹脂材料)
本発明におけるC層には、プロピレン系樹脂組成物、発泡剤、及び必要によって補助添加成分を含む発泡樹脂材料が用いられる。
該発泡樹脂材料は、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1〜30g/10minであることが好ましく、1g/10g/10min以下では粘度が高すぎるため気泡の成長が妨げられ効率的に発泡倍率があがらず、30g/10min以上では特に押出成形ではサギング等が発生し、成形できない。MFRをこの範囲内に調節するために、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール等との共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを混合しても良い。
特に、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などはポリエチレン系、ポリプロピレン系樹脂製シートのロスの有効活用、好ましくは本発明における積層シート生産中に発生する耳ロス、成型品を生産した後の成型品を打ち抜いたあとのスケルトンを発泡層に戻すことになり、本発明に用いられるプロピレン系樹脂組成物が、電子線架橋、過酸化物による架橋等の後架橋処理を行っていないため、メルトテンションの低下が少なく、効果的である。補助添加成分の添加量としては、70重量%以下、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは2〜30重量%であると良い。
また、該発泡樹脂材料は、190℃におけるメルトテンション(MTという場合もある。)が5〜30gであることが好ましく、7〜20gが特に好ましい。メルトテンションが5g未満では、セルの保持性が弱いため、セルが破裂してガス抜けが起こり、均一微細なセルを有する比較的高い発泡倍率(例えば1.5倍以上)の発泡体が得られ難くなる恐れがある。一方、30gより大きい場合は、溶融張力が高すぎ、発泡そのものを抑制してしまう恐れがある。
ここで、MTの測定は、東洋精機製作所製のキャピログラフを用いて、シリンダー温度190℃、オリフィスL/D=8.1/2.095(mm)、ピストンスピード20mm/分、引取速度314m/分の条件下で行い、定常時の張力をMT値(単位:g)とした。MTの調整は、成分A、B、Cの含有量、分子量を適宜調整することにより容易に行なうことができる。
本発明で用いられるC層は、該発泡樹脂材料を、発泡倍率が1.1倍〜5倍、連続気泡率が15%以下となるように発泡させた発泡層である。
該発泡樹脂材料を発泡させるには、押出機内で該プロピレン系樹脂組成物に発泡剤を添加して溶融混練する方法を用いるのが好ましい。該プロピレン系樹脂組成物への発泡剤の添加量は、発泡剤の種類や設備、運転条件、製品の発泡倍率等によって適宜選択される。
発泡の状態は、連続気泡率、独立気泡率の値で表すことがひとつの指標となる。特に、発泡積層シートを両面真空成型法にて2次加工する際には、C層の連続気泡率は15%以下、好ましくは10%以下とする。連続気泡率が15%より大きいと、2次加熱の際にセルの膨張が表面に影響を与えるほど大きくなり、成型品の外観に影響を与える。
(2)複合材層(B層)
本発明の発泡成型品におけるB層は、充填材3〜60重量%とポリオレフィン系樹脂97〜40重量%とからなる樹脂複合材料を成形して得られる複合材層である。
充填材が3重量%未満では、剛性向上等製品の物性が不足し、充填材が60重量%を超えると、複合材層の押出負荷が大きくなり、また押出時のせん断発熱などの影響が発泡層にも影響を与えるため、良好な発泡積層シートが得られなくなる。充填材は5〜35重量%が好ましい。
該樹脂複合材料のMFR(温度230℃、荷重49.0N)は、0.1〜50g/minが好ましく、0.3g/min〜15g/minが更に好ましく、0.5g/min〜10g/minが特に好ましい。MFRが0.1g/min未満の場合、押出時の発熱が大きくなり、発泡層の押出温度に影響を与え、微細な気泡が得られなくなる恐れがあり、また、MFRが50g/minより大きい場合には、ダイスから押出した後、冷却ロールまでの間でのシートの保持力がなくなってしまいシート成形が困難になる、両面真空成型時の加熱時の垂れ下がりが大きくなってしまい、成型が出来ないなどの不具合が生じる恐れがある。
該樹脂複合材料に使用されるポリオレフィン系樹脂とは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン乃至は炭素数4以上のαオレフィン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン乃至は炭素数4以上のαオレフィン−プロピレンブロックコポリマー、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴムなどが挙げられる。特にA層、C層との親和性、共押出し特性から、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、プロピレンエチレンブロックコポリマー、プロピレンエチレンランダムコポリマー、及びこれらの混合物が好ましく、更に好ましくは、押出し時の発熱を抑える、両面真空成型時の加熱垂れ下がりを防止する意味からホモポリプロピレン、プロピレンエチレンブロックコポリマー、プロピレンエチレンランダムコポリマー、高密度ポリエチレン及びこれらの混合物が良い。
該樹脂複合材料に使用される充填材としては、無機系、有機系の充填材があるが、無機系の充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、ガラスビーズ、ベントナイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、カーボンファイバー、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、炭素繊維、軽石粉、雲母、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどが挙げられる。また、有機系の充填材としてはPMMAビーズ、セルロース繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、籾殻、木粉、おから、タピオカ粉末、米粉、ケナフ繊維などが挙げられる。これらのうち、物性向上、ハンドリング、臭気、価格の面から無機系の充填材が好ましく、更にはタルク、炭酸カルシウム、及びそれらの併用が物性向上、価格、臭気の面から好ましい。また、充填剤の表面改質などは任意に行うことが出来る。
このような充填材は、自動車部品などの工業、産業用部品としての用途のみならず、食品容器などの生活用途においても、曲げ強度、耐衝撃強度、耐熱性、寸法変化率などの物性を高次元で両立させるために有効である。
また、該樹脂複合材料には、必要に応じて一般的にポリオレフィンに用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤、難燃剤等を配合することができる。
また、50重量%を上限として、本発明の発泡積層シートを得る際に発生する耳ロス、スケルトンなどの粉砕、もしくは改質材として必要に応じてスチレン系などのエラストマー、石油樹脂やシクロオレフィン系樹脂など、ポリエチレンワックスや石油ワックス、エチレン−酢ビ共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体、PET、PS、ABSなどの異なる樹脂を、本発明の目的を阻害しない範囲で配合することも出来る。
(3)非発泡層(A層)
本発明の発泡成型品において、A層は、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1〜50g/10分のプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂材料を成形して得られる非発泡層である。
本発明の発泡成型品における非発泡層は、光沢や表面平滑性、シボ転写などの美しい外観の保持、後工程でのラミフィルム等の接着のみならず、ヒートシール性、剛性の向上、両面真空成型時における易成型性、シボ加工された金型表面のシボ転写性、共押出の場合の焼け防止などにも有益である。
かかる非発泡層は、ポリオレフィン系樹脂により得られる。ここでポリオレフィン系樹脂とは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ホモポリプロピレン、エチレン乃至は炭素数4以上のαオレフィン−プロピレンランダムコポリマー、エチレン乃至は炭素数4以上のαオレフィン−プロピレンブロックコポリマー、エチレン−酢ビ共重合体、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。しかし、B層との接着が良いという点で、ポリプロピレン系樹脂を基本として構成されることが好ましい。また、これらは2種類以上の混合物からなってもよい。
ヒートシール性、ラミ接着性などを改良するためにはメタロセン触媒により重合されたプロピレン−エチレン乃至は炭素数4以上のαオレフィンとのランダムコポリマー、ブロックコポリマー、もしくはメタロセン触媒により重合されたエチレン単独重合体、乃至エチレン−炭素数3以上のαオレフィンコポリマー、及び/又はターポリマーなど、更にはそのブレンド物が好ましい。
非発泡層におけるプロピレン系樹脂は、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1〜50g/minをみたすことが必要であり、好ましくは1.5〜25g/min、更に好ましくは2〜20g/minである。1g/min未満では、非発泡層の流動性が悪いため、ダイスの外側に樹脂が流れにくく、ダイスの幅方向に均一な層構成で樹脂を押出すことが困難になり、50g/minを超えると逆に流動性が良すぎ、同様にシート幅方向の一部にしかのらないという弊害が起こる。
また、これらの流動特性を保持する限りにおいて、他の樹脂、例えばポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンービニルアルコール共重合体、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、石油樹脂、テルペン樹脂、インデン、クマロン樹脂、ロジン系樹脂、及びそれらの水添系樹脂、SBR、SEBSなどのスチレン系ゴムを必要に応じて含んでも良い。また、一般に配合される添加剤、例えば酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、分散剤、核剤、着色剤、腐食防止剤等を目的に応じて適宜添加されていてもよい。
(4)発泡積層シート
本発明に用いられる発泡積層シートは、前記C層の両面に、前記B層がそれぞれ積層され、さらにその両面に、前記A層がそれぞれ積層された3種5層構造を基本とする発泡積層シートである。
本発明の目的を阻害しない範囲で、C層とB層の間、B層とA層との間、及びC層の中間に他の層が積層されていてもよく、接着剤層などが存在していても良い。A層の外層には、他の層が積層されていてもよく、表面処理が施されていてもよい。例えば、ポリオレフィン系接着樹脂層を介したエチレン−ビニルアルコール共重合体などの酸素バリア樹脂の積層部分をC層とB層の間に配し酸素遮蔽機能を付与する、A層の外側に接着層を介してポリエステル樹脂層を配し保香性を付与する、柄などが印刷されたポリオレフィン系多層フィルムをA層の外側に接着し、加飾を施す、などの利用法が挙げられる。さらに、両側のA層どうしは、必ずしも同じ材料で得られていなくても良く、同じ厚みでなくても良い。両側のB層どうしも同様である。
本発明に用いられる発泡積層シートは、発泡積層シート断面を占めるA層の比率が0.01〜15%、B層の比率が4.99〜80%、C層の比率が19.99〜95%である。好ましくは、A層の比率が0.1〜10%、B層の比率が9.9〜70%、C層の比率が29.9〜90%であると良い。この際、層比率は、発泡積層シートを垂直に切断した時の各層厚みの比率を言う。
A層の比率が0.01%を下回ると、光沢や表面平滑性などの美しい外観の保持、後工程でのラミフィルム等の接着のみならず、ヒートシール性、剛性の向上、容器成型などの2次成型時における易成型性、共押出の場合の焼け防止などの特徴がなくなってしまい、15%を上回ると、剛性向上や軽量性などA層、B層で付与できる性能を低減してしまう。また、B層の層比率が4.99%を下回ると充分な剛性が得られなくなり、逆に、80%を上回ると、得られる発泡積層シートの軽量化が損なわれる上、B層の押出温度がC層の押出温度に与える影響が大きくなり、発泡セルの連続気泡率が大きくなり、後の2次成形に悪影響を与える。また、C層の層比率が19.99%を下回ると軽量化が損なわれ、95%を上回ると、剛性が損なわれる。
本発明に用いられる発泡積層シートは、発泡積層シートの比重が0.1〜1.0g/cm3、好ましくは0.3〜0.9g/cm、更に好ましくは0.4〜0.8g/cmからなる発泡積層シートである。発泡積層シートの比重が1.0g/cmを超えると、発泡させた軽量化のメリットがなくなり、0.1g/cm未満では上記に記載の独立気泡率性が得られず、両面真空成型時の成型性が保てない。
(5)発泡積層シートの製造方法
本発明の発泡成型品に用いられる発泡積層シートは、任意の積層方法にて積層できるが、各A層、各B層およびC層の全ての層を一度に共押出しする事によって得る方法が、コスト面、溶剤などを使わないという環境面から好ましい。
本発明において発泡積層シートを共押出しによって得る方法(以下、共押出法という。)は、各層用に割り当てられた押出機により、各A層、各B層およびC層をダイスより押し出す直前に、これらの層を溶融状態で積層する方法であればいずれの手法を用いてもよい。例えば、押出機で溶融混練された後、ダイス内で積層するマルチマニホールド方式や、ダイスに流入させる直前に積層するフィードブロック方式(コンバイニングアダプター方式)等を挙げることができる。各押出機はタンデム型でもシングル型でも可能であり、必要に応じてギヤポンプなどの押出安定のための補助装置が設置されてもかまわない。
ダイスの形状は、T型ダイス、コートハンガー型、環状ダイスのいずれをも使用できる。次いで、ダイスより押出された発泡積層シートは、公知の方法、例えばポリシングロール、エアーナイフ、マンドレルなどにより冷却固化され、その後巻き取り機にて巻き取られるか、もしくは裁断機にて所定の寸法にカットされる。冷却固化後の後処理に関しては、特に制限は無く、例えばコロナ処理、火炎処理、フレーム処理、プラズマ処理などの極性基付与処理工程、コーターロールによる帯電防止剤などのコーティング処理工程、フィルム貼合、印刷、塗装などが使用可能である。
特に、フィルム貼合は、両面真空成型時前に貼合する熱成形前ラミ法、発泡積層シート成形時の冷却時に貼合する熱ラミ法、いったん発泡積層シートを冷却した後、再度加熱ロールなどで加温して貼合する方法などがあるが、いずれの公知の方法によっても貼合することができる。
貼り合わせるフィルムの種類も、CPPフィルム、BOPPフィルム、PETフィルム及びそれらの印刷フィルム、EVOHなどを積層したバリアフィルムなど、特に限定はないが、ポリオレフィン系と接着しやすい、貼合面にポリオレフィン系樹脂を配したフィルム、又は塩素化ポリプロピレンや低分子量のポリオレフィンを混合したインク、接着剤などを塗布したフィルムを用いることが好ましい。
(6)発泡成型品(両面真空成型法による製造)
本発明の発泡成型品は、上記発泡積層シートを、加熱半溶融後、両面真空成形法により付型することにより得られる。発泡成型品の厚みは、発泡積層シートの厚みに対して、0.8〜3倍であることが好ましい。
発泡成型品を両面真空成型法により製造するには、具体的には、雄雌対になった形状の金型を用い、その雄雌金型のクリアランスが最終的に所望の成型品厚みに調整される。そのクリアランスは、原反シートに対して0.8倍〜3倍、好ましくは0.9倍〜2倍、更に好ましくは0.9倍〜1.7倍である。一般的に真空成型、真空圧空成型、プレス成型などでは、初期の原反に対して成型品の厚みは高くて0.7倍程度である。ところが、0.8倍未満であると、既存の成型法と変わりなく、両面真空成型法の特徴が見出せない、またそれ以上では、付型時に発泡セルが追随できず、スの入った発泡構造になり、強度などの機械物性が保持できない、もしくは、引き残しが生じてしまい、金型再現性が悪くなる等の悪影響が起こる。尚、金型への追随性を保持するためには、雌雄両金型を加熱することが好ましく、加熱温度は、30℃以上かつ使用材料の融点以下が好ましく、40℃以上かつ表面層樹脂の融点以下に加熱すると尚好ましい。一般的に温度設定は、オス型の金型温度>メス型の金型温度 のバランスで調整される。これはオス型に先ず原反シートが接触するために、シートの温度が過冷却になり金型追随性が低下するのを防ぐためである。
次いで、エルスタインヒーターやセラミックヒーター、近赤外線ヒーターなどで加熱された原反は、雌雄金型の間に挿入され、雌雄両金型を型締めし、両面から真空引きすることにより、両方の負圧にて金型形状を雌雄両面から転写される。金型の一例を挙げると、図1のように雌雄の金型にて容器形状に付型するデザインや、図2のように自動車内装材や産業資材に最適な、上下ボード状になるように加工された一対の金型を用いるデザインなど多様なデザインが考えられる。金型表面はディンプル形状、皮シボなどの形状にシボ加工することも可能である。
得られた発泡成型品は、抜き刃などで発泡成型品の形に抜かれ、そのまま発泡成型品として用いられ、必要に応じて更に穴あけ加工、溶着加工など、更には塗装やコーティングなどの表面処理加工を施すことで、目的の発泡成型品に仕上がる。
得られた発泡成型品は、食品や産業資材の包装材、自動車の内装、外層部品や工業部品など、軽量性が要求され、かつ剛性、耐熱性、寸法安定性、外観の良さなどが要求される多様な用途に利用される。
以下、本発明の実施例によって、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(測定項目)
MFR(単位:g/10min):JIS−K6921−2附属書に準拠し測定した。条件は、温度230℃、荷重21.18Nと温度230℃、荷重49.0N(5kg荷重)の2条件にて測定を行った。
連続気泡率(単位:%)と独立気泡率(単位:%):測定装置としてエアーピクノメーター(東芝ベックマン製、型式930)を用いて、空気比重を測定し、多層による非発泡層の体積を除外し、以下の式により連続気泡率、独立気泡率を測定した。
連続気泡率=(見掛発泡層体積−測定値)×100/見掛発泡層体積
独立気泡率=(測定値−発泡層重量/0.9)/見掛発泡層体積×100
連続気泡率の数値が小さいほど両面真空成型性が良好であることを意味し、独立気泡率の数値が大きいほど両面真空成型性が悪化することを意味する。
シート成形性:発泡積層シートを成形する際、問題なく成形できたものを ○ と評価し、発泡積層シートを成形する際、各層材料の粘度バランスの不良による肌荒れ、ダイスのリップでの目やに等の堆積が発生したものを × と評価した。
外観:得られた発泡積層シートに、光沢ムラ、スジ、荒れが無いものを ○ と評価し、光沢ムラ、スジ、荒れを目視で確認できたものを × と評価した。
容器成形性:両面真空成型装置(浅野研究所社製)を用いて成型品を得る際、問題なく成型できるか、または、条件調整を施せば、金型をほぼ再現できるものを ○ と評価し、条件調整を施しても、金型を再現できなかったものを × と評価した。尚、仕様金型は図1の金型を用いた。
成型品外観:得られた成型品に問題のないものを ○ と評価し、穴あき、金型再現性がなされていない、などの問題を有していたものを × と評価した。
(実施例1)
(1)チタン含有固体成分の調製
撹拌機付きステンレス製反応器中において、デカン37.5リットル、無水塩化マグネシウム7.14kg、および2−エチル−1−ヘキサノール35.1リットルを混合し、撹拌しながら140℃に4時間加熱して均一な溶液とした。この均一溶液中に無水フタル酸1.67kgを添加し、さらに130℃にて1時間撹拌して、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解した。得られた均一溶液を室温(23℃)に冷却した後、この均一溶液を−20℃に保持した四塩化チタン200リットル中に3時間かけて全量滴下した。滴下後、4時間かけて110℃に昇温して、110℃に達したところでフタル酸ジ−i−ブチル5.03リットルを添加し、2時間110℃にて撹拌保持して反応を行った。2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、固体部を275リットルの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃で2時間、反応を持続した。反応終了後、再び熱濾過により固体部を採取し、n−ヘキサンにて、洗浄液中に遊離のチタンが検出されなくなるまで充分洗浄した。続いて、濾過により溶媒を分離し、固体部を減圧乾燥してチタン2.4重量%を含有するチタン含有担持型触媒成分(遷移金属化合物触媒成分)を得た。
(2)予備活性化触媒の調製
内容積30リットルの傾斜羽根付きステンレス製反応器を窒素ガスで置換後、n−ヘキサン20リットル、トリエチルアルミニウム40ミリモル、および前項で調製したチタン含有担持型触媒成分80g(チタン原子換算で40ミリモル)を添加した後、15℃でプロピレン420gを120分間供給して予備重合を行った。反応時間終了後、未反応のプロピレンを反応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換した。別途、同一の条件で行った予備重合後に生成したポリマーを分析した結果、チタン含有担持型触媒成分1g当たり、2.2gのポリプロピレン(W0P)が生成し、このポリプロピレンの固有粘度[η]は2.8dl/gであった。
次いで、反応器内の温度を−3℃に保持しながら、反応器内の圧力を0.59MPaに維持するようにエチレンを反応器に連続的に6時間供給して、予備活性化を行った。反応時間終了後、未反応のエチレンを反応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換して、予備活性化触媒のスラリーを得た。予備活性化後に生成していた重合体の生成量(W0T)は、チタン含有固体触媒成分1g当たり75.2gであり、かつ、この重合体の固有粘度[η0T]は30.4dl/gであった。
エチレンによる予備活性化で得られたチタン含有担持型触媒成分1g当たりに含有されている高分子量ポリエチレン(成分A)の生成量(W)は、予備活性化処理後に生成していたチタン含有担持型触媒成分1g当たりの重合体の生成量(W0T)と予備重合後のチタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリプロピレン(W0P)との差として次式で求められる。
=W0T−W0P
また、エチレンによる予備活性化で生成した高分子量ポリエチレン(成分A)の固有粘度[η]は、予備重合で生成したポリプロピレンの固有粘度[η0P]、および予備重合工程に引き続く予備活性化工程終了後に生成していた重合体の固有粘度[η0T]から次式により求められる。
[η]=([η0T]× W0T−[η0P]× W0P)/(W0T−W0P
上記の式に従って、エチレンによる予備活性化で生成したエチレン重合体(A)量は、チタン含有担持型触媒成分1g当たり73.0g、その固有粘度[η]は32.4dl/gと算出された。
(3)第1重合工程
内容積500リットルの撹拌機付き、ステンレス製重合器を窒素置換した後、n−ヘキサン300リットル、トリエチルアルミニウム1.56モル、ジイソプロピルジメトキシシラン156ミリモル、および上記で得た予備活性化触媒を20g(ただし、前記(2)予備活性化触媒の調整により得られたポリマーの重量は含めない。)投入した。引き続いて、水素250リットルを重合器内に導入し、重合温度70℃、重合器内の気相部圧力を1.0MPaに保持しながらプロピレンを連続的に1.5時間供給して、プロピレン単独重合体(成分C)の製造(第1重合工程)を実施した。重合終了後、重合器内の温度を30℃まで冷却した後、水素と未反応プロピレンを放出した。次いで、重合スラリーの一部を抜き出して測定した結果、メルトフローレート(MFR)は20g/10minであり、予備活性化で生成した高分子量ポリエチレン(成分A)の含有率は1.12重量%であった。
(4)第2重合工程
重合器内温度を60℃に昇温後、エチレン8.6kg、およびプロピレン24kg、水素2Lを2時間連続して供給し、プロピレン−αオレフィン共重合体の製造(第2重合工程)を実施した。重合終了後、重合器内の温度を30℃まで冷却して、水素と未反応のエチレンおよびプロピレンを放出した。次いで、メタノール50リットルを重合器内に導入し、触媒失活反応を60℃にて30分間実施した。更に20重量%の苛性ソーダ水溶液0.7リットルを加え、20分間攪拌した後、純水100リットルを加えて、20分間攪拌した。水層を抜き出した後に、再度300リットルの純水を加え、20分間攪拌して水層を抜き出した。ついでヘキサンスラリーを抜き出し、濾過、乾燥した。乾燥後のパウダー収量は16.2kgであった。第2重合工程で得られたプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)の分析結果は、表1に示したとおり、αオレフィン含有量が59重量%、MFRが0.001g/10minであった。また、本発明で言う「プロピレン−αオレフィン共重合体」の生成量は、第2重合工程終了後の重合体の生成量から、予備重合で得られたポリプロピレンと予備活性化で得られた高分子量ポリエチレン(成分A)の生成量を差し引くことにより算出した。
上記方法にて得られたプロピレン系樹脂組成物を200℃に設定した押出機により造粒を行い、MFRが0.9g/10minのペレットを得た。これは、成分Bと成分Cとの総量100重量部(内、成分Bは15重量部、成分Cは85重量部)に対し、成分Aが1重量部含有されていることになる。
(5)発泡積層シートの成形
得られたペレット100重量部に対し、発泡剤としてクラリアント社製発泡剤 CF40E(重曹、クエン酸系化学発泡剤)を3.5重量部ドライブレンドで混ぜ、C層の樹脂材料を得た。また、A層の原料としてプロピレンエチレンブロック共重合体(日本ポリプロ社製 ノバテックPP EC7 MFR=1.5g/10minを用いた。また、B層の原料としてはポリオレフィン系タルクマスターバッチ(ノバテックPP TX1447MB タルク含有量60重量%)を50重量%、プロピレンエチレンブロック共重合体(EC7)50重量%をドライブレンドしたものを用いた。これは、MFRが1.0g/10minであり、タルク含有量は30重量%となる。
次に、多層シート成形機で上記材料を押出し、その後ポリシングロールで冷却固化を行い、巻き取ることによって、厚さ830μmのC層の両側に厚さ各100μmのB層、そのB層の両側に厚さ各5μmのA層が積層されるように発泡多層シートの成形を行った。多層シート成形機は、発泡層(C層)を成形する押出機として65φmm(スクリュー先端温度180℃)、非発泡層(A層)を成形する押出機として40φmm(スクリュー先端温度200℃)、複合材層(B層)を成形する押出機として90φmm(スクリュー先端温度210℃)の押出機がそれぞれ、A層/B層/C層/B層/A層の層構成に配されるようフィードブロック、及びセレクター(設定温度180℃)にて流路調整した機構を備え、750mm幅のTダイ(設定温度180℃)を備えた装置を用いた。
(6)両面真空成型法による発泡成型品の製造
この発泡多層シートの厚み比率は、表1に示すとおり、A層1.0%、B層19.2%、C層79.8%となる。シートの比重、C層発泡倍率、連続気泡率の結果は、表1に示すとおり、0.6g/cm、1.5倍、4%であった。続いて、そのシートを用い、両面真空成型装置を用い、上下ヒーター温度380℃にて、図1に記載の金型を用いて、雌雄金型クリアランスを1600μm(原反シートの1.44倍)に調整し、成型品を作成した。成型品成形性、外観の評価結果は表1に示すとおり、合格(○)であった。
得られた両面真空成型品は、本発明の構成を全て満足しているため、発泡積層シートが独立気泡性及び押出成形性に優れ、しかも軽量且つ高剛性、寸法安定性、リサイクル性に優れた発泡積層シートであり、それを用いた両面真空成型品も成形性および外観に優れたものであった。
(実施例2)
実施例1において、表1に記載の層構成になるように押出機の回転数を調整し、その他は実施例1と同様に評価を行った。厚さ715μmのC層に、厚さ55μmと60μmのB層、そのB層の両側に厚さ各3μmのA層が積層された発泡多層シートが得られた。この発泡多層シートの厚み比率は、表1に示すとおり、A層0.7%、B層13.8%、C層85.5%となる。シートの比重、C層発泡倍率、連続気泡率の結果は、表1に示すとおり、0.45g/cm、2.73倍、9.7%であった。結果を表1に示すとおり、得られた両面真空成型品は本発明の構成を全て満足しているものであったため、成型性および外観に優れたものであった
(実施例3)
A層の原料としてプロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製 ノバテックPP FY6C MFR=2.4g/10minを用い、また、B層の原料としてはポリオレフィン系タルクマスターバッチ(ノバテックPP TX1447MB タルク含有量60重量%)を50重量%、プロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製 ノバテックPP EA9 MFR0.5g/10min)50重量%をドライブレンドしたもの(MFR=4.2g/10min)を用い、C層の原料として実施例1に用いた重合体にプロピレン−エチレンランダムコポリマー(ノバテックPP EG6D)を20重量%加え、さらに層比率を変えた以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。厚さ840μmのC層の両側に厚さ各120μmのB層、そのB層の両側に厚さ各10μmのA層が積層されるように発泡多層シートの成形を行った。この発泡多層シートの厚み比率は、表1に示すとおり、A層1.8%、B層21.8%、C層76.4%となる。シートの比重、C層発泡倍率、連続気泡率の結果は、表1に示すとおり、0.82g/cm、1.26倍、14.2%であった。その結果を表1に示すとおり、得られた両面真空成型品は本発明の構成を全て満足しているものであったため、成型性および外観に優れたものであった。
(実施例4)
実施例1において両面真空成型金型のクリアランスを2500μmとした以外、同様の方法にて成型品を得た。得られた両面真空成型品は、発泡積層シートが本発明の構成を全て満足しているものであったため、表1に示すとおり、実施例1と同様に、成型性および外観に優れたものであった。
(実施例5)
実施例1に準拠し、第1重合工程を行い、メルトフローレート(MFR)21.2g/10minの成分Cを得た。この時の予備活性化で生成した高分子量ポリエチレン(成分A)の含有率は1.19重量%であった。
次に、第2重合工程においてエチレン6.2kg、およびプロピレン15kg、水素2Lを2時間連続して供給した以外は、実施例1に準拠し、成分Bを得た。乾燥後のパウダー収量は、16.8kgであった。第2重合工程で得られたプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)の分析結果を表1に示した。
上記方法にて得られたプロピレン系樹脂組成物(これは、成分Bと成分Cとの総量100重量部(内、成分Bは9重量部、成分Cは91重量部)に対し、成分Aが1重量部含有されている。)を200℃に設定した押出機により造粒を行い、MFRが3.5g/10minのペレットを得た。
実施例2によって得られたペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。厚さ800μmのC層の両側に厚さ各100μmのB層、そのB層の両側に厚さ各5μmのA層が積層されるように発泡多層シートの成形を行った。この発泡多層シートの厚み比率は、表1に示すとおり、A層1.0%、B層19.8%、C層79.2%となる。シートの比重、C層発泡倍率、連続気泡率の結果は、表1に示すとおり、0.43g/cm、3.2倍、9.7%であった。
得られた両面真空成型品は、本発明の構成を全て満足しているものであったため、成型性および外観に優れたものであった。
(実施例6)
実施例1で用いた多層発泡シートを用いて、雌雄金型クリアランスを3500μm(原反シートの3.36倍)に調整した以外同様に実験を行った。実施例1と同様に、シート成型性、外観は良好であったが、このクリアランスでは雌雄両面金型からの真空引きによる付型にシートが対応できず、得られた成型品は金型の形状を完全には再現できなかった。
(比較例1)
実施例1に準拠し第1重合工程を行った後、重合器内の温度を30℃まで冷却して、水素と未反応のプロピレンを放出した。次いで、メタノール50リットルを重合器内に導入し、触媒失活反応を60℃にて30分間実施した。更に20重量%の苛性ソーダ水溶液0.7リットルを加え、20分間攪拌した後、純水100リットルを加えて、20分間攪拌した。水層を抜き出した後に、再度300リットルの純水を加え、20分間攪拌して水層を抜き出した。ついでヘキサンスラリーを抜き出し、濾過、乾燥し、引き続く第2重合工程を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法で成分Cを得た。乾燥後のパウダー収量は14.0kgであった。得られたパウダーを測定した結果、成分Cのメルトフローレート(MFR)は20.2g/10minであり、予備活性化で生成した高分子量ポリエチレン(成分A)の含有率は1.10重量%であることがわかった。その分析結果を表1に示す。
上記方法にて得られた成分Bが存在しないプロピレン系樹脂組成物を200℃に設定した押出機により造粒を行い、MFRが0.9g/10minのペレットを得た。
比較例1によって得られたペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。その結果を表2に示す。
得られた発泡多層シートは、成分Bが存在しないプロピレン系樹脂組成物を用いたために、実施例1とは異なり、連続気泡率が高く、両面真空成型時の加熱に耐えることができず、つぶれ、穴あきなどが発生していた。
(比較例2)
チタン含有触媒調製、プロピレンによる予備重合の終了後、引き続くエチレンによる予備活性化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の方法によって、第1重合工程の終了後、重合器1内で生成したプロピレン重合体の一部を抜き出して測定した値が、メルトフローレート(MFR)19.8g/10minの成分Cを得た。引き続く第2重合工程により、プロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)を得た。乾燥したパウダーの収量は16.5kgであった。成分Bの分析結果を表1に示す。
上記方法にて得られた成分Aが存在しないプロピレン系樹脂組成物を200℃に設定した押出機により造粒を行い、MFRが3.5g/10minのペレットを得た。
比較例2によって得られたペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。その結果を表2に示す。
得られた発泡多層シートは、成分Aが存在しないプロピレン系樹脂組成物を用いたことにより、実施例1とは異なり、発泡層の気泡保持力が弱いため、シート成形段階で破泡による外観不良が起こり、結果両面真空成型品の外観も穴あき等が発生した。
(比較例3)
A層の材料をプロピレン単独重合体(日本ポリプロ社製 ノバテックPP EA9 MFR0.5g/10min)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。その結果を表2に示す。A層のプロピレン単独重合体のMFRが小さかったために、発泡多層シートには、光沢ムラ、流動ムラによる模様が発生し、成型品にもそのムラ、模様が残ってしまい外観不良となった。
(比較例4)
予備活性化触媒の調整において、反応器内の温度を40℃に保持しながら、反応器内の圧力を0.59MPaに維持するようにエチレンを反応器に連続的に3時間供給して、予備活性化を行う以外は実施例1に準拠してプロピレン系樹脂組成物を得た。
第1重合工程終了後の重合スラリーの一部を抜き出して測定したメルトフローレート(MFR)は19.8g/10minであり、予備活性化で生成した高分子量ポリエチレン(成分A)の含有率は1.10重量%であった。
引き続く第2重合工程により成分Bを得た。乾燥後のパウダーの収量は16.3kgであった。第2重合工程で得られたプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)の分析結果を表1に示す。
上記方法にて得られたプロピレン系樹脂組成物を200℃に設定した押出機により造粒を行い、MFRが3.0g/10minのペレットを得た。
比較例4によって得られたペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた容器を得た。その結果を表2に示す。
得られた発泡積層シートは、高分子量ポリエチレン(成分A)に本発明で特定する[ηE]の範囲を下回るものを用いたため、気泡の抑制効果が少ないために連続気泡率が高くなった。また、該シートを用いて得られた容器の成形性および外観も不良であった。
(比較例5)
第2重合工程において、水素50Lを2時間連続して供給し、プロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)の製造を行った以外は実施例1に準拠してプロピレン系樹脂組成物を得た。
第1重合工程終了後の重合スラリーの一部を抜き出して測定したメルトフローレート(MFR)は20.3g/10minであり、予備活性化で生成した高分子量ポリエチレン(成分A)の含有率は1.13重量%であった。
引き続く第2重合工程により成分Bを得た。乾燥後のパウダーの収量は15.8kgであった。第2重合工程で得られたプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)の分析結果を表1に示す。
上記方法にて得られたプロピレン系樹脂組成物を200℃に設定した押出機により造粒を行い、MFRが6.0g/10minのペレットを得た。
比較例5によって得られたペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。その結果を表2に示す。
得られた発泡積層シートは、プロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)に本発明で特定するMFRの範囲を上回るものを用いたため、気泡の抑制効果が弱く、シート成形時に部分的に気泡が膨らみすぎて破泡して、肌荒れが起こった、また、該シートは連続気泡率も高いものであった。また、該シートを用いて得られた両面真空成型品の外観も不良であった。
(比較例6)
第1重合工程において、水素40Lを重合器内に導入した以外は実施例1に準拠してプロピレン系樹脂組成物を得た。
第1重合工程終了後の重合スラリーの一部を抜き出して測定したメルトフローレート(MFR)は0.8g/10minであり、予備活性化で生成した高分子量ポリエチレン(成分A)の含有率は1.24重量%であった。
引き続く第2重合工程により成分Bを得た。乾燥後のパウダーの収量は14.2kgであった。第2重合工程で得られたプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)の分析結果を表1に示す。
上記方法にて得られたプロピレン系樹脂組成物を200℃に設定した押出機により造粒を行い、MFRが0.01g/10minのペレットを得た。
比較例6によって得られたペレットを用いた以外は、実施例1と同様の方法によって、発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。その結果を表2に示す。
得られた発泡積層シートは、プロピレン単独重合体(成分C)に本発明で特定するMFRの範囲を下回るものを用いたため、C層の溶融粘度が低下し過ぎ、発泡の成長が妨げられるために、3倍発泡相当の発泡剤添加に対して、実質的に2倍程度にしか膨らまず、また、残ガスの影響により連続気泡率の高いものであった。さらに、各層の粘度バランスが悪く、シート成形時に流れムラ様の肌荒れを生じた。また、該シートを用いて得られた両面真空成型品の外観も不良であった。
(比較例7)
B層を積層せず、発泡剤を2.5部、A層とC層の層比率が12.5:87.5になるように押出機回転数を調整し、得られる発泡多層シートの比重を実施例2と同等となるよう成形した以外は、実施例1と同様の方法によって、2種3層の発泡多層シートおよびそれを用いた容器を得た。その結果を表2に示す。発泡多層シートの成形性、外観は良好であったが、B層を積層しなかったために、両面真空成型時の加熱に耐えられず、気泡が加熱により破泡して、また加熱時の垂れ下がりも大きく、得られた成型品の外観は不良であった。
(比較例8)
A層を積層せず、B層とC層との層比率が15:85になるように押出機回転数を調整し、得られる発泡多層シートの比重を実施例1と同等となるよう成形した以外は、実施例1と同様の方法によって、2種3層の発泡多層シートおよびそれを用いた両面真空成型品を得た。その結果を表2に示す。A層を積層しなかったために、発泡多層シート成形時に目やにが発生し、発泡多層シートおよび両面真空成型品の外観にコンタミ、スジ等の外観不良が確認された。
(比較例9)
実施例1と同様の材料、配合にて、発泡層(C層)を成形する押出機として65φmm(スクリュー先端温度180℃)、非発泡層(A層)を成形する押出機として40φmm(スクリュー先端温度200℃)、複合材層(B層)を成形する押出機として90φmm(スクリュー先端温度210℃)の押出機がそれぞれ、A層/B層/C層/B層/A層の層構成に配されるようフィードブロック、及びセレクター(設定温度180℃)にて流路調整した機構を備え、C層を押出す押出機のシリンダーに液化炭酸ガスをC層発泡倍率が5.5倍相当になるように流量を調整しながら注入し、750mm幅のTダイ(設定温度180℃)を備えた多層シート成形機を用い、上記材料を押出し、その後ポリシングロールで冷却固化を行い、巻き取ることによって発泡多層シートの成形を行った。シートの発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率、外観の結果を表2に示す。続いて、そのシートを用い、両面真空成型装置を用い、上下ヒーター温度380℃にて、図1に記載の金型を用いて、雌雄金型クリアランスを3500μm(原反シートの1.69倍)に調整し、成型品を作成した。成型品成形性、外観の評価結果を表1に示す。
得られた両面真空成型品は、発泡積層シートの発泡倍率を5.5倍、連続気泡率23.5%としたが、ともに本発明の範囲よりも高かったため、両面真空成型時の加熱に堪えられず、破泡が生じ、外観が不良であった。
Figure 2009126140
Figure 2009126140
以上のように、実施例によれば、得られた本発明の両面真空成型品は、独立気泡性及び押出成形性に優れ、しかも軽量且つ高剛性、寸法安定性、リサイクル性に優れた発泡積層シートを用いているので、付型性および外観、物性にも優れたものとなり、食品用容器、産業用梱包材などの包装資材のみならず、自動車内装材、産業部材、建材等の部材として極めて有用なものとなることが分かる。
これに対して、比較例では、発泡積層シートの構成が、本発明のいずれかの条件を満たさないために、シート成形性、付型性および外観のいずれかが悪化してしまうことが分かる。
本発明の発泡成型品を成型するために用いられる金型の一例を示す説明図である。 本発明の発泡成型品を成型するために用いられる金型の他の一例を示す説明図である。

Claims (4)

  1. 下記C層の両面に、下記B層がそれぞれ積層され、さらにその両面に、下記A層がそれぞれ積層された3種5層構造を有する発泡積層シートであって、
    発泡積層シート断面を占めるA層の比率が0.01〜15%、B層の比率が4.99〜80%、C層の比率が19.99〜95%であり、発泡積層シートの比重が0.1〜1.0g/cmからなる発泡積層シートを、加熱半溶融後、両面真空成形法により付型することを特徴とする発泡成型品。
    A層:MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1〜50g/10分のプロピレン系樹脂を主成分とする樹脂材料を成形して得られる非発泡層、
    B層:充填材3〜60重量%とポリオレフィン系樹脂97〜40重量%とからなる樹脂複合材料を成形して得られる複合材層、
    C層:下記成分A、BおよびCからなり、成分Bと成分Cとの総量100重量部(内、成分Bは5〜30重量部、成分Cは95〜70重量部)に対し、成分Aが0.01〜5.0重量部含有されているプロピレン系樹脂組成物と発泡剤を含む発泡樹脂材料を、発泡倍率が1.1倍〜5倍、連続気泡率が15%以下にて発泡させて得られる発泡層。
    成分A:エチレン単独重合体又はエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体であって、少なくとも135℃のテトラリンで測定した固有粘度[ηE]が15〜100dl/gの範囲の高分子量ポリエチレン、
    成分B:プロピレン含有量0〜50重量%とαオレフィン含有量50〜100重量%とからなり、MFR(温度230℃、荷重21.18N)が0.0001〜1g/10分であるプロピレン−αオレフィン(共)重合体、
    成分C:MFR(温度230℃、荷重21.18N)が1g/10分以上であるプロピレン単独重合体。
  2. C層に用いられるプロピレン系樹脂組成物が、チタン含有オレフィン重合用触媒に高分子量ポリエチレン(成分A)を担持させて得られた予備活性触媒成分の存在下、ポリプロピレン単独重合体(成分C)を製造する第1重合工程でプロピレン単独重合体を製造し、引き続く第2重合工程でプロピレン−αオレフィン共重合体(成分B)を製造することによって得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の発泡成型品。
  3. 充填材が、タルク及び/又は炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の発泡成型品。
  4. 発泡成型品の厚みが、発泡積層シートの厚みに対して、0.8〜3倍であることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡成型品
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