JP5728435B2 - 発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物及び発泡成形体 - Google Patents
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Description
このような発泡体は、例えば、押出機により溶融させたポリオレフィン系樹脂に、各種発泡剤を加圧下にて混練した後、押出機先端に取り付けられたダイスより、大気圧下に押出発泡することにより得られる。
しかしながら、従来の発泡体では、生じるガス分圧を有する個々の気泡(以下、セルという場合もある。)を、溶融樹脂中に保持させておくことが困難であり、個々のセルが破裂して連続気泡を生じやすくなるという問題があった。
例えば、超高分子量成分を添加して溶融張力を高める方法が提案されているが、一般に溶融張力の高い樹脂を用いると、セルの保持力は上昇するものの、粘度が高すぎて、添加する発泡剤の量に見合った発泡倍率が得られず、また、押出機での負荷が大きくなり、高生産性を維持しようとする場合には押出機にかかる負荷が増大し、押出成形性が低下する、更にはせん断発熱により樹脂の温度が上がってしまい、セルの成長が冷却により抑制できず、連続気泡となってしまうという問題があった。
例えば特許文献5では、発泡シュリンクラベル用フィルムに好適な樹脂材料として、曲げ弾性率が400MPa以下でキシレン可溶分が25〜80質量%の軟質ポリプロピレン系樹脂に、高溶融張力ポリプロピレン樹脂を配合した樹脂組成物が提案され、その溶融張力を確保する高溶融張力ポリプロピレン樹脂として、230℃でのメルトフローレート(MFR)と230℃での溶融張力(MT)とが、11.32×MFR−0.7854≦MT の式を満たす高溶融張力ポリプロピレン樹脂を用いる発明が開示されている。そして、その高溶融張力ポリプロピレン樹脂の好ましい具体例としては、前記特許文献1に記載の電子線架橋を行ったプロピレン系樹脂を挙げている。
また、特許文献6に記載の多段重合にて製造するポリプロピレンブロック共重合体は、極限粘度が7g/dlをこえる高分子量成分を20重量%以上添加することを必要としているが、樹脂全体の粘度が大きくなってしまい、気泡の成長を阻害してしまうため、必ずしも満足のいくものではない。
本発明は、以下の発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物及び発泡成形体を提供する。
直鎖状ポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A)):
下記(A1−1)〜(A1−3)を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(A1))1重量%以上20重量%未満、プロピレン単独重合体(成分(A2))99〜80重量%からなり、両成分を逐次重合法によって重合して得られ、メルトフローレート(2.16kg、230℃)が5〜20g/10分である直鎖状ポリプロピレン系樹脂組成物。
(A1−1)α−オレフィン含量が30〜85重量%(ただし、成分(A1)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)
(A1−2)固有粘度ηが5〜20dl/g
(A1−3)Mw/Mnが5〜15
プロピレン系ランダムブロック共重合体(成分(B)):
下記(B−1)〜(B−3)を満たす、メタロセン触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体。
(B−1)JIS K7171による曲げ弾性率が400MPa以下
(B−2)メルトフローレート(2.16kg、230℃)が5〜20g/10分
(B−3)Mw/Mnが3以下
[3]上記[1]または[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物に発泡剤を添加し、押出発泡成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[4]熱可塑性樹脂からなる非発泡層を共押出してなる上記[3]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[5]ポリプロピレン系樹脂発泡成形体が、スリットダイもしくはサーキュラーダイから押出して成形されたシート状物である上記[3]または[4]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
[6]上記[5]に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート状物を熱成型してなるポリプロピレン系樹脂発泡熱成形品。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物は、上記した直鎖状ポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A))及び上記したプロピレン系ランダムブロック共重合体(成分(B))から少なくともなり、成分(A)と(B)の合計100重量%基準で、成分(A)を25〜75重量%、成分(B)を75〜25重量%含有することを特徴とする。
以下、各成分に関して、詳細に説明する。
本発明で使用する直鎖状ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「成分(A)」ともいう。)は、以下の成分(A1)及び(A2)からなる。
成分(A1)は、下記(A1−1)〜(A1−3)を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(以下、「成分(A1)」ともいう。)である。
(A1−1)α−オレフィン含量が30〜85重量%(ただし、成分(A1)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)
(A1−2)固有粘度ηが5〜20dl/g
(A1−3)Mw/Mnが5〜15
成分(A1)は、成分(A1)を構成するモノマーの全量を100重量%とした場合のα−オレフィン含量が30〜85重量%である。
ここで、α−オレフィンとは、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、ノネン、デケン、1−メチルブテン、1−メチルペンテンなどの炭素数12以内のアルケンをいい、中でもエチレンが好ましい。α−オレフィンの含有量は、30重量%以上85重量%以下であるが、好ましくは40〜60重量%である。成分(A)は、発泡気泡の成長を抑制する、すなわち連立気泡率を低くさせるのに効果的であり、また発泡成形体の耐衝撃性、粘度調整、容器成形時の延展性などを確保することができるが、α−オレフィンの含有量が30重量%より少ないと、プロピレン系ランダムブロック共重合体(以下、成分(B)ともいう。)との相溶性が向上し、発泡気泡の成長を抑制する効果が低減する。また、70重量%より多いと、成分(B)との相溶性が逆に悪化しすぎてしまい、成分(A)、成分(B)間の界面強度が弱くなり、発泡気泡の成長を抑制する効果が低減する。
成分(A1)のα−オレフィン含量は、好ましくは40〜60重量%である。
成分(A1)は、その固有粘度ηが5〜20dl/gであることが必要であり、好ましくは10〜20dl/gである。これは、プロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(A1))が気泡成長を抑制するため、分子量が大きい方が気泡隔壁の伸張変形を抑える効果が高いためである。ただし、大きすぎると気泡の成長を妨げてしまう。
Mw/Mnは、プロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(A1))の分子量分布の広さを表す指標であり、5〜15であることが必要であり、好ましくは13〜15である。これは、プロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(A1))が気泡成長を抑制するため、分子量分布が広いほうが効率的に気泡隔壁の伸張変形を抑えられるためである。5未満ではその効果が発現しにくくなり、15を超えると工業的な製造が困難になる。
成分(A1)と成分(A2)の比率に関して、プロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(A1))は、上記したように、発泡気泡の成長を抑制する効果、良好な機械物性等を維持するために最適な範囲が必要であり、1重量%以上20重量%未満であることが必要で、好ましくは3〜10重量%(成分(A2)が97〜90重量%)である。1重量%より少ないと発泡気泡の成長を抑制する効果が低減し、材料の剛性は上がるが耐衝撃性が低下し、20重量%以上であると剛性が不足し、樹脂全体の粘度が上昇してしまい、気泡核の形成が少なくなり、気泡成長が阻害され、発泡倍率が低下する。
本発明に使用するポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A))の製造法は、上記特性を有している限り、特に限定されるものではなく、公知の方法、条件の中から適宜に選択される。
プロピレンの重合触媒としては、通常、高立体規則性触媒が用いられる。例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56―100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照。)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、同63−43915号、同63−83116号の各公報参照。)等を例示することができる。
プロピレン単独重合体成分(成分(A2))の重合は、プロピレンの一段重合であっても、逐次重合であってもかまわない。直鎖状プロピレン重合体部分の逐次重合法としては、以下に示す工程(1)と工程(2)による二段重合法を、好ましく例示することができる。
プロピレンを、分子量調節剤としての水素の存在下で重合する。分子量が大きすぎる重合体の生成を抑制するためである。水素は、直鎖状プロピレン重合体部分のMFRが150g/10分以上になるように、添加される。水素濃度としては、全モノマー量に対して通常0.1〜40モル%の範囲から選択される。また、重合温度は通常40〜90℃、圧力は通常0.1〜5MPaの範囲から選択される。この工程(1)で得られる重合体の量は、通常全重合量の80〜99重量%となるように調整される。工程(1)で製造される重合体の量が80重量%未満であると、工程(2)で製造される高分子量のプロピレン重合体が多くなり過ぎ、成形性を損なう。
工程(1)で生成した直鎖状プロピレン重合体部分と比べ、高分子量のプロピレン重合体を重合するために、なるべく低濃度の水素雰囲気下もしくは、実質上水素の存在しない状態で重合することが好ましい。重合は、工程(1)で生成したプロピレン重合体及び触媒の存在下、引き続いて行われる。重合温度は、通常40〜90℃、圧力は通常0.1〜5MPaの範囲から選択される。この工程(2)で得られる重合体の量は、通常、全重合量の1〜20重量%となるように、調整される。工程(1)及び工程(2)を結合して、結果として得られる重合体全体の物性値を前述した範囲に調整できれば、いかなる組み合わせを採用してもよい。
1.使用する分析装置
・クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(以下、「CFC」と略す。)
・フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR、パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。
・ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段のGPCカラムは、昭和電工製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
サンプル濃度:4mg/mL
注入量:0.4mL
結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温する。
分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は40、100、140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
溶出時溶媒流速:1mL/分
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。
なお、検出器:MCT、分解能:8cm−1、測定間隔:0.2分(12秒)、一測定当たりの積算回数:15回である。
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度をクロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。具体的な手法は上に記載したものと同じである。
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定等によりエチレン含有量が既知となっているエチレン−プロピレンラバー(EPR)及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A))のプロピレン−エチレン共重合体(成分(A1))(以下、「EP」と記載)含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/B100+W140×A140/B140・・(I)
ここで、W40、W100、W140は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100、A140は、W40、W100、W140に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100、B140は、各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、A140、B40、B100、B140の求め方は後述する。
(I)式右辺の第一項は、フラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEPの量を算出する項である。フラクション1がEPのみを含み、プロピレン重合体成分(PP)を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEP含有量に寄与するが、フラクション1にはEP由来の成分のほかに少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EP成分由来の量を算出する。例えばフラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるEPのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はEP由来、残りの1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作はフラクション1の重量%(W40)からEPの寄与を算出することを意味する。右辺第二項以後も同様であり、各々のフラクションについて、EPの寄与を算出して加え合わせたものがEP含有量となる。
(2)フラクション1の微分分子量分布曲線におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2および3については、ゴム部分が40℃ですべて溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明ではB100=B140=100と定義する。B40、B100、B140は各フラクションに含まれるEPのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由はフラクションに混在するPPとEPを完全に分離・分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果をうまく説明することができることがわかった。また、B100、B140はエチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるEPの量がフラクション1に含まれるEPの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、ともに100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=B140=100として解析を行うこととしている。
EP含有量(重量%)=W40×A40/B40+W100×A100/100+W140×A140/100・・(II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないEP含有量(重量%)を示し、第二項と第三項の和であるW100×A100/100+W140×A140/100は結晶性を持つEP含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40、A100、A140は、次のようにして求める。
また、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和が平均エチレン含有量A40となる。
CFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えばEPの大部分、もしくはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分およびアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えばEP中、エチレン及び/またはプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えばPP中特に結晶性の高い成分、およびEP中の極端に分子量が高くかつエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140に含まれるEP成分は極めて少量であり実質的には無視できる。
但し、[EP]は先に求めたEP含有量(重量%)である。
EPのうち、結晶性を持たない部分のエチレン含有量(重量%)は、ゴム部分の溶出がほとんど40℃以下で完了することから、B40の値をもって近似する。
しかしながら、上述のクロス分別法とFT−IRの組み合わせによる分析方法では、成分(A1)のエチレン含量が15wt%を下回り、成分(A2)との結晶性に大きな差がなくなり、温度による分別が充分に行うことが出来ないような場合では、正確な分析が難しくなる。このような場合は、逐次重合の途中で成分(A1)を抜き取っておき、その分子量(コモノマーを共重合する場合にはコモノマー含量も測定する)を測定し、さらにマテリアルバランスによる計算や逐次重合途中での重量の直接秤量等によって成分(A1)と成分(A2)成分の量比を決定し、さらに逐次重合終了時のポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A))全体のα−オレフィン含量を測定することで、以下の重量の単純な加成則を使用することで成分(A1)のコモノマー含量を求めることが好ましい。コモノマーとしてエチレンを使用する場合、以下の式によってエチレン含量を求めることができる。
成分(A1)のエチレン含量=
[成分(A)全体のエチレン含量−{成分(A1)のエチレン含量×成分(A1)の重量分率/100}]/{成分(A2)の重量分率/100}
成分(A1)と成分(A2)の量比については、成分(A1)と成分(A2)の平均分子量がある程度異なるものを製造する場合には、逐次重合終了後の全体のGPC測定を行って、得られる多峰性の分子量分布曲線を市販のデータ解析ソフトウェア等を用いてピーク分離し、その重量比を計算することで求めることも可能である。
成分(A1)の固有粘度=[成分(A)全体の固有粘度−{成分(A2)の固有粘度×成分(A2)成分の重量分率/100}]/{成分(A1)の重量分率/100}
11.32×MFR−0.7854≦MT の関係は満たさず、逆に、その好ましい態様として、11.32×MFR−0.7854>MT の関係を満たす。
ここで、MFRはJIS K7210に従う230℃でのメルトフローレートであり、MTはJIS K7210に従う溶融張力(MT)である。
本発明で使用するプロピレン系ランダムブロック共重合体(成分(B))(以下、「成分(B)」ともいう。)は、以下の条件(B−1)〜(B−3)を満たす、メタロセン触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体である。
(B−1)JIS K7171による曲げ弾性率が400MPa以下
(B−2)メルトフローレート(2.16kg、230℃)が5〜20g/10分
(B−3)Mw/Mnが3以下
成分(B)は発泡体全体に柔軟性を付与するための成分であるために、JIS K7171による曲げ弾性率が400MPa以下であることを必要とする。曲げ弾性率が400MPaを超えると、柔軟性が悪くなり、発泡体全体の柔軟性が乏しくなる。曲げ弾性率は好ましくは390MPa以下、より好ましくは380MPa以下であり、また、その下限は100MPa以上である。
成分(B)は、成分(A)と混合して、発泡体を形成するために使用されるので、成分(A)が有する押出発泡適性を損なうものであってはならない。そのために、メルトフローレート(MFR:2.16kg、230℃)が5〜20g/10分の範囲にあることが必要である。
MFRが5g/10分より低いと、押出時の樹脂温度が剪断発熱により上昇してしまい、ダイス等から押出された発泡体の温度が上昇してしまい、気泡の成長を抑制することが出来ず、また溶融状態から固化状態までに要する冷却時間も長くかかってしまい、良好な発泡体を得ることが出来ない。また、MFRが20g/10分より高いと、樹脂組成物全体の粘度が低下してしまい、気泡の成長を抑制することが出来ず、好な発泡体を得ることが出来ない。
成分(B)のMFRは、好ましくは5.5〜20g/10分である。
また、成分(B)は、押出発泡適性を維持するためには、GPCから求められる分子量分布において、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが3以下であることが好ましい。Mw/Mnが3以下である場合、樹脂を押出す際の樹脂圧力が高く保つことが可能で有り、結果良好な発泡状態を得ることが可能となる。
Mw/Mnは、好ましくは2〜3である。
これらの特性を満たす材料としては、日本ポリプロ社製のメタロセン触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体である商品名「ウェルネクス(登録商標)RFG4VA」、「ウェルネクスRFX4V」、「ウェルネクスRMG02VC」などが好ましく例示される。
ここで、柔軟性の目安としては、発泡倍率が3倍程度で、JIS K7171に従って測定を行った値が、TD方向で300MPa以下、更には200MPa以下が好ましい。なぜならば、柔軟性を付与するためのプロピレン系ランダムブロック共重合体(成分(B))を使用しない場合、その弾性率は概ねTD方向で400〜500MPa以上となるため、プロピレン系ランダムブロック共重合体を添加した場合の効果としてTD方向で300MPa以下が妥当と考えられる。発泡倍率があがるとその値は更に低下する。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物は、上記成分(A)及び成分(B)の発泡特性を補完する目的で、さらにプロピレン単独重合体又はプロピレン−α−オレフィン共重合体(以下、成分(C)ともいう。)を含有することが好ましい。
成分(C)は、下記(C−1)と(C−2)を満たす直鎖状の、プロピレン単独重合体又はプロピレン−α−オレフィン共重合体のいずれかから選ばれる。
(C−1)メルトフローレート(2.16kg、230℃)が2〜5g/10分
(C−2)Mw/Mnが10以上
成分(C)のメルトフローレート(MFR:2.16kg、230℃)は2〜5g/10分であることが好ましい。MFRが2g/10分より低いと、押出時の樹脂温度が剪断発熱により上昇してしまい、ダイス等から押出された発泡体の温度が上昇してしまい、気泡の成長を抑制することが出来ず、また溶融状態から固化状態までに要する冷却時間も長くかかってしまい、良好な発泡体を得ることが出来にくい。また、MFRが5g/10分より高いと、気泡を最適な状態で維持する特性が失われるのみならず、樹脂全体の粘度が低下してしまい、気泡の成長を抑制することが出来にくく、良好な発泡体を得ることが出来にくい。
成分(C)は、気泡を最適な状態で維持する特性として、Mw/Mnが10以上であることが好ましい。Mw/Mnが10g/10分以上の場合、成分(C)に含まれる高分子量成分が適度に絡み合いを形成し、気泡の抑制効果を発現する。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物において、このようなプロピレン単独重合体又はプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(C))を配合する場合は、前記成分(A)及び成分(B)100重量部に対し、5〜35重量部であることが好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。5重量部より少ないと、気泡を最適な状態で維持する特性が発現しにくく、35重量部を超えると、添加される高分子量成分の絡み合いが強くなり、気泡の成長を阻害してしまい、結果として良好な発泡状態を維持できにくくなる。
これらの特性を有する材料として、バゼル社製の商品名「Higran RS1684」などが挙げられる。
本発明の発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物を用いて、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を得るためには、押出機内で該樹脂組成物に発泡剤を添加して溶融混練する方法を用いるのが好ましい。成分(A)、成分(B)、必要により成分(C)を混合する方法としては、それぞれの材料を単純に混合して成形機の原料供給ホッパーに投入するドライブレンド法、もしくは、全て、乃至はいずれかの材料を事前に溶融混錬して成形機の原料供給ホッパーに投入する方法のどちらでも選択できる。
充填材の種類として、無機系、有機系の充填材があるが、無機系の充填材としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、ガラスビーズ、ベントナイト、ガラスフレーク、ガラス繊維、カーボンファイバー、アルミニウム粉、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸カルシウム、ハイドロタルサイト、炭素繊維、軽石粉、雲母、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウムなどが挙げられ、有機系の充填材としてはPMMAビーズ、セルロース繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、籾殻、木粉、紙粉、でんぷん、おから、タピオカ粉末、米粉、ケナフ繊維などが上げられる。
これらでは、無機系の充填材が物性向上、ハンドリング、臭気、価格の面からも好ましく、更にはタルク、炭酸カルシウムが物性向上、価格、臭気の面から更に好ましい。
また、平滑な外観、容器成型などの2次成型性を付与するためには、ポリプロピレン系樹脂発泡シートと、熱可塑性樹脂又はその組成物からなる非発泡層とを共押出することが好ましい。共押出方法としては公知の方法が用いられるが、一例としてダイス内で積層するマルチマニホールド方式や、ダイスに流入させる直前に積層するフィードブロック方式(コンバイニングアダプター方式)等を挙げることができる。
特に、非発泡層には、機械物性の向上の観点から充填材を添加することが好ましい。添加量としては、ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物100重量部に対し、100重量部以下の充填剤を含むことが好ましい。100重量部を超えると、共押出成形時、非発泡層の剪断発熱が発泡層に影響して冷却が追いつかず、結果として発泡層の発泡状態、連続気泡率気泡サイズに影響を与えやすい。
(1)MFR(単位:g/10分):
JIS K6921−2附属書に準拠し測定した。条件は、温度230℃、荷重21.18Nの条件にて測定を行った。
(2)成分(A)の固有粘度、分子量分布、エチレン−α−オレフィン含有量、エチレン−α−オレフィン中のα−オレフィン含有量の測定方法(単位:wt%):
前述した方法に準じて行った。
(3)曲げ弾性率(単位:MPa):
JIS K7171に従って測定した。シートサンプルはTD方向にてサンプルを切り出して測定した。
(4)連続気泡率(単位:%)と独立気泡率(単位:%):
ASTM D2856−87に準拠して測定した。測定装置としてエアーピクノメーター(東芝ベックマン製、型式930)を用いた。
赤外検出器を装備したゲルパーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)装置(ミリポア社製150C)を用いて重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。測定条件は、移動相溶媒としてオルソジクロロベンゼンを、標準物質として、Mn:18,000、Mw:52,200の高密度ポリエチレンを使用し、カラムおよび試料注入部の設定温度を140℃として測定した。
(6)溶融張力(MT、単位:g):
東洋精機社製キャピラリーレオーメータを用い、バレル温度230℃、ダイ内径2.095mm、長さ8mmを用い、ピストン速度10mm/分(剪断速度13.22sec−1、ストランドの引取速度4m/分、予熱10分にて、ストランドを押出し、引き取っているストランドにかかる荷重を測定の平均値を求めて溶融張力値とした。
[直鎖状ポリプロピレ系樹脂組成物:成分(A)]
直鎖状ポリプロピレ系樹脂組成物として、以下の直鎖状ポリプロピレ系樹脂組成物(材料A−1)〜(材料A−7)を使用した。このうち、(材料A−1)〜(材料A−3)は成分(A)としての規定を満たし、一方、(材料A−4)〜(材料A−7)は成分(A)としての規定を満たさないポリプロピレ系樹脂組成物である。
固体触媒成分(c)の製造
充分に窒素置換した内容積50リットルの攪拌機付槽に、脱水および脱酸素したn−ヘプタン、20リットルを導入し、次いでMgCl2を10モル、Ti(O−n−C4H9)4を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を12リットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5リットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5リットルにSiCl45モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
次いで前記攪拌機付槽へn−ヘプタン2.5リットル導入し、フタル酸クロライド0.3モルを混合して、70℃、30分間で導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl42リットルを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体触媒成分(c)を製造するための固体成分(c1)を得た。この固体成分のチタン含量は2.0重量%であった。
次いで、窒素置換した前記攪拌機付槽にn−ヘプタンを8リットル、上記で合成した固体成分(c1)を400グラム導入し、成分(c2)としてSiCl40.6リットルを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに成分(c3)として(CH2=CH)Si(CH3)30.54モル、成分(c4)として(t−C4H9)(CH3)Si(OCH3)20.27モルおよび成分(c5)としてAl(C2H5)31.5モルを順次導入して30℃で2時間接触させた。
接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(c)390gを得た。このもののチタン含量は、1.8重量%であった。
内容積400リットルの攪拌機付きステンレス鋼製オートクレーブをプロピレンガスで充分に置換し、重合溶媒として脱水及び脱酸素したn−ヘプタン120リットルを入れた。次に温度70℃の条件下、トリエチルアルミニウム30g、水素12リットル、および前記固体触媒成分(c)を10g加えた。
オートクレーブを内温75℃に昇温した後、プロピレンを20.7Kg/Hr、水素を20.6L/Hrで供給。200分後にプロピレン、水素の供給を停止した。プロピレン、水素の供給の間、器内の圧力は徐々に上昇し、最終的に0.46MPaGまで上昇。その後、残重合を行い、器内の圧力が0.35MPaになった時点で、反応器内のガスを0.03MPaGまでパージしプロピレン単独重合体を得た(前段重合工程)。
得られた直鎖状のポリプロピレン系樹脂組成物は、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が6.6重量%、α−オレフィンとしてエチレンの44.7重量%、固有粘度ηが14.8dl/g、重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)が13.3、プロピレン単独重合体部分の全体に対する割合が93.4重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR(230℃、2.16kg荷重)が12g/10分であった。
以下、得られたポリプロピレン系樹脂組成物を「材料A−1」という。
材料A−1の評価結果を表1に示す。
実施例1における製造条件を調整し、チーグラー系触媒で重合された、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が8.1重量%、α−オレフィンとしてエチレンの46.3重量%、固有粘度ηが9.9dl/g、Mw/Mnが6.3、プロピレン単独重合体の部分の全体に対する割合が91.9重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が9g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物(材料A−2)のペレットを得た。
材料A−2の評価結果を表1に示す。
材料A−3として、チーグラー系触媒で重合された、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が13.1重量%、α−オレフィンとしてエチレンの81.3重量%、固有粘度ηが7.5dl/g、重量平均分子量と数平均分子量の比Mw/Mnが8.4、プロピレン単独重合体の部分の全体に対する割合が86.9重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が8g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた。
材料A−3の評価結果を表1に示す。
材料A−4として、チーグラー系触媒で重合された、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が14.7重量%、α−オレフィンとしてエチレンの46.1重量%、固有粘度ηが3.8dl/g、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが4.7、プロピレン単独重合体の部分の全体に対する割合が85.3重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が10g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた。
材料A−4の評価結果を表1に示す。
材料A−5として、チーグラー系触媒で重合された、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が13.9重量%、α−オレフィンとしてエチレンの78.9重量%、固有粘度ηが9.8dl/g、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが7.3、プロピレン単独重合体の部分の全体に対する割合が86.1重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が1.5g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた。
材料A−5の評価結果を表1に示す。
材料A−6として、チーグラー系触媒で重合された、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が10.1重量%、α−オレフィンとしてエチレンの88.8重量%、固有粘度ηが10.08dl/g、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが18.4、プロピレン単独重合体の部分の全体に対する割合が89.9重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が2.7g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた。
材料A−6の評価結果を表1に示す。
材料A−7として、チーグラー系触媒で重合された、プロピレン−α−オレフィン共重合体部分の全体に対する割合が23.0重量%、α−オレフィンとしてエチレンの64.2重量%、固有粘度ηが7.22dl/g、重量平均分子量と数平均分子量の比、Mw/Mnが5.1、プロピレン単独重合体の部分の全体に対する割合が77重量%、ポリプロピレン系樹脂組成物部分のMFR(230℃、2.16kg荷重)が1.2g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物を用いた。
材料A−7の評価結果を表1に示す。
プロピレン系ランダムブロック共重合体として、以下のプロピレン系ランダムブロック共重合体(材料B−1)〜(材料B−5)を使用した。このうち、(材料B−1)〜(材料B−2)は成分(B)としての規定を満たし、一方、(材料B−3)〜(材料B−5)は成分(B)としての規定を満たさない重合体である。
日本ポリプロ社製商品名「ウェルネクスRFX4V」
メタロセン触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体
MFR=6g/10分、Mw/Mn=2.4、曲げ弾性率=220MPa
材料B−2:
日本ポリプロ社製商品名「ウェルネクスRMG02VC」
メタロセン触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体
MFR=20g/10分、Mw/Mn=2.5、曲げ弾性率=350MPa
材料B−3:
バゼル社製商品名「Adflex Q100F」
チーグラー触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体
MFR=0.6g/10分、Mw/Mn=5.0、曲げ弾性率=80MPa
材料B−4:
日本ポリプロ社製商品名「ノバテックPP MA2」
チーグラー触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体
MFR=16g/10分、Mw/Mn=5.4、曲げ弾性率=1550MPa
材料B−5:
日本ポリプロ社製商品名「ノバテックPP MA1B」
チーグラー触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体
MFR=25g/10分、Mw/Mn=5.9、曲げ弾性率=1500MPa
プロピレン単独重合体又はプロピレン−α−オレフィン共重合体として、以下の(材料C−1)〜(材料C−3)を使用した。
材料C−1:
バゼル社製商品名「Higran RS1684」
チーグラー触媒によるプロピレン−エチレン共重合体
MFR=3g/10分、Mw/Mn=11.12
材料C−2:
日本ポリプロ社製商品名「ノバテックFY5」
チーグラー触媒によるプロピレン単独重合体
MFR=3.5g/10分、Mw/Mn=5.02
材料C−3:
日本ポリプロ社製商品名「ノバテックEA9BT」
チーグラー触媒によるプロピレン単独重合体
MFR=0.5g/10分、Mw/Mn=8.76
押出シートの評価は、以下のようにして製造した非発泡層/発泡層/非発泡層の2種3層で行った。
発泡層として、後記表に記載の各成分(A)、成分(B)、成分(C)を後記表に記載の量比(重量部)で配合した混合物100重量部に対し、発泡核剤としてクラリアント社製発泡剤商品名「CF40E」(重曹、クエン酸系化学発泡剤)を0.5重量部ドライブレンドで混ぜた。発泡層は、押出機として65φmm(プラ技研社製押出機、スクリュー先端温度180℃)を用いて、押出量約60kg/時間で押出した。押出機前半においてまず溶融混錬可塑化を行い、次いで押出機中間部分にて炭酸ガス定量供給装置(昭和炭酸社製)より、時間当たり0.23kgで炭酸ガスを注入し、更に押出機の残存部分で炭酸ガスを可塑化樹脂中に混錬することにより、炭酸ガスを均一に分散させた発泡剤含有樹脂組成物を押し出した。
その後、そのシートを用いて、発泡倍率、連続気泡率、独立気泡率を観察した。
なお、添加する炭酸ガス量は最低2.5倍の範囲が得られる程度のガス量であるため、これらの範囲を下回る場合、膨らみにくい材料、すなわち発泡に適さない材料と判断できる。
上記で得られた各々のシートを用い、浅野研究所製真空圧空成形装置を用い、上下ヒーター温度380℃にて、タテ22cm、ヨコ22cm、深さ5cmの円形容器を真空圧空成形し、容器成形性と容器外観を、目視にて評価し、以下の基準で判定した。
容器成型性:
○:成型時の垂れ下がりや、加熱時の破膜等、問題なく成型できた。
△:垂れ下がりが多少あるが、加熱時の破膜は起こらず、成型は可能であった。
×:垂れ下がりが大きい、ないしは加熱時の破膜が生じ、成型が不可能であった。
○:容器の外観に凹凸、ブリッジ等は生じず、肉厚の維持も適当で良好な容器が得られた。
△:ブリッジ等が多少生じる、容器の外観の凹凸がやや生じる、肉厚の維持がやや不足だが、使用可能な容器が得られた。
×:ブリッジ等が生じる、容器の外観の凹凸が激しい、肉厚の維持が不十分な容器が得られた。
以上の評価結果を、以下の表2以下に示す。
Claims (6)
- 下記の直鎖状ポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A))及び下記のプロピレン系ランダムブロック共重合体(成分(B))から少なくともなり、成分(A)及び(B)の合計100重量%基準で、成分(A)を25〜75重量%、成分(B)を75〜25重量%含有することを特徴とする発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物。
直鎖状ポリプロピレン系樹脂組成物(成分(A)):
下記(A1−1)〜(A1−3)を満たすプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(A1))1重量%以上20重量%未満、プロピレン単独重合体(成分(A2))99〜80重量%からなり、両成分を逐次重合法によって重合して得られ、メルトフローレート(2.16kg、230℃)が5〜20g/10分である直鎖状ポリプロピレン系樹脂組成物。
(A1−1)α−オレフィン含量が30〜85重量%(ただし、成分(A1)を構成するモノマーの全量を100重量%とする。)
(A1−2)固有粘度ηが5〜20dl/g
(A1−3)Mw/Mnが5〜15
プロピレン系ランダムブロック共重合体(成分(B)):
下記(B−1)〜(B−3)を満たす、メタロセン触媒により逐次重合されたプロピレン系ランダムブロック共重合体。
(B−1)JIS K7171による曲げ弾性率が400MPa以下
(B−2)メルトフローレート(2.16kg、230℃)が5〜20g/10分
(B−3)Mw/Mnが3以下 - さらに、メルトフローレート(2.16kg、230℃)が2〜5g/10分、分子量分布Mw/Mnが10以上である直鎖状の、プロピレン単独重合体又はプロピレン−α−オレフィン共重合体(成分(C))を、前記成分(A)及び成分(B)100重量部に対し、5〜35重量部を含有する請求項1に記載の発泡成形用ポリプロピレン系熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物に発泡剤を添加し、押出発泡成形してなるポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
- 熱可塑性樹脂からなる非発泡層を共押出してなる請求項3に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
- ポリプロピレン系樹脂発泡成形体が、スリットダイもしくはサーキュラーダイから押出して成形されたシート状物である請求項3または4に記載のポリプロピレン系樹脂発泡成形体。
- 請求項5に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート状物を熱成型してなるポリプロピレン系樹脂発泡熱成形品。
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