JP2009113476A - 無機薄膜転写材及びその製造方法並びに無機薄膜付き成形品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仮支持体2上に、微粒子同士の間に空隙を有して吸着されている微粒子積層膜3を含む無機薄膜転写材1。仮支持体を(1)イオン性の表面電荷を有する微粒子の分散液または高分子電解質溶液からなるイオン性物質液に浸漬する工程と(2)上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する微粒子の分散液または上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する高分子電解質の溶液に浸漬する工程とを交互に行い、しかも微粒子の分散液への浸漬と高分子電解質溶液への浸漬を交互に行うことにより製造できる。
【選択図】図1
Description
そこで、交互積層法で形成した単層の微粒子膜(無機膜)を、粘着性の透明樹脂に付着させる、または溶融性のある透明樹脂と融着させ、接着させる方法(特許文献1参照)、または、基材上に交互積層法で形成した微粒子積層膜の上面に透明基板を付着させて、基材を取り除くことで、微粒子積層膜を転写することで光学機能材を作製する方法が提案されている。(特許文献2参照)
1. 仮支持体上に、微粒子同士の間に空隙を有して吸着されている微粒子積層膜を含む無機薄膜転写材。
2. 微粒子積層膜の空隙率が40%以上80%以下である項1記載の無機薄膜転写材。
3. 微粒子が、無機酸化物である項1又は2のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
4. 無機酸化物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物からなるものである項3記載の無機薄膜転写材。
5. 微粒子の平均一次粒子径が、2〜500nmの範囲内である、項1〜4のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
6. 微粒子が、表面または内部に空孔構造を有するものであることを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
7. 前記の微粒子積層膜が、無機微粒子と高分子電解質が交互に積層して得られ、微粒子間に空隙構造を有するものである項1〜6のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
8. 前記の微粒子積層膜は、屈折率が異なる微粒子積層膜が複数層積層された、多層膜からなることを特徴とする項1〜7のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
9. 無機薄膜が反射防止膜である項1〜8のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
10. 仮支持体を(1)イオン性の表面電荷を有する微粒子の分散液または高分子電解質溶液からなるイオン性物質液に浸漬する工程と(2)上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する微粒子の分散液または上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する高分子電解質の溶液に浸漬する工程とを交互に行い、しかも微粒子の分散液への浸漬と高分子電解質溶液への浸漬を交互に行うことにより仮支持体上に微粒子積層膜を形成することを特徴とする無機薄膜転写材の製造方法。
11. 浸漬する工程の各々のすぐ後にリンスする工程を含む項10記載の無機薄膜転写材の製造方法。
12. シート状の仮支持体がロール状に巻き取られているものを引き出し、(1)イオン性の表面電荷を有する微粒子の分散液または高分子電解質溶液からなるイオン性物質液に浸漬する工程と(2)上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する微粒子の分散液または上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する高分子電解質の溶液に浸漬する工程とを交互に行い、しかも微粒子の分散液への浸漬と高分子電解質溶液への浸漬を交互に行う工程を連続的に行うことによりシート状の仮支持体上に微粒子積層膜を形成することを特徴とする項10又は11のいずれかに記載の無機薄膜転写材の製造方法。
13. 微粒子積層膜の空隙率が40%以上80%以下である項10〜12のいずれかに記載の無機薄膜転写材の製造方法。
14. 無機薄膜が反射防止膜である項10〜13のいずれかに記載の無機薄膜転写材の製造方法。
15. 成形品の表面に微粒子積層膜を成形品の構成材料が微粒子間に入り込むように埋没させてなる無機薄膜付き成形品。
16. 成形体の表面が永久支持層である項15記載の無機薄膜付き成形品。
17. 永久支持層が、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂または活性エネルギー線硬化樹脂からなる項16項記載の無機薄膜付き成形品。
18. 微粒子が、無機酸化物である項15〜17のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品。
19. 無機酸化物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物からなるものである項18記載の無機薄膜付き成形品。
20. 微粒子の平均一次粒子径が、2〜500nmの範囲内である、項15〜19のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品。
21. 微粒子が、表面または内部に空孔構造を有するものであることを特徴とする、項15〜20のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品。
22. 成形体の表面に項1〜9のいずれかに記載の無機薄膜転写材の微粒子積層膜を転写することにより、前記成形体表面に微粒子積層膜を埋没させることを特徴とする無機薄膜付き成形品の製造法。
23. 成形体が、その表面に永久支持層を有するものである項22記載の無機薄膜付き成形品の製造法。
24. 永久支持層が、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂または活性エネルギー線硬化樹脂である項23記載の無機薄膜付き成形品の製造法。
25. 無機薄膜転写材を射出成形金型内に挟み込み、前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜側に溶融材料を射出することにより成形体を形成すると同時に、該成形体の表面に前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜を埋没させ、その後、仮支持体を剥離することを特徴とする項22記載の無機薄膜付き成形品の製造方法。
26. 無機薄膜転写材の微粒子積層膜側を成形体に重ねて熱圧着することにより、成形体の表面に前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜を埋没させ、その後、仮支持体を剥離することを特徴とする項22記載の無機薄膜付き成形品の製造方法。
27. 無機薄膜転写材の微粒子積層膜側を成形体上に形成した永久支持層に重ねて、加熱、圧着又は活性光線の照射を行うことにより、成形体上に形成した永久支持層の表面に前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜を埋没させ、その後、仮支持体を剥離することを特徴とする項23又は24のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品の製造方法。
これらのディスプレイにおいては、特に屋外で使用する場合の表示画面の視認性を高めるために、反射防止膜が必須となっており、従来よりもさらに優れた反射防止効果を持ち、耐久性にも優れた光学薄膜を各種ディスプレイの表面に設けることが必要とされている。本発明における無機薄膜は、このような反射防止膜として特に有用である。
例えば、ポリエステル、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の延伸又は未延伸の透明プラスチックフィルム等が挙げられる。
仮支持体を高分子電解質溶液(ポリカチオンまたはポリアニオン)と無機微粒子分散溶液に交互に浸し、微粒子積層膜を仮支持体に作製する。
仮支持体の表面電荷がマイナスであれば、はじめにカチオン性の溶液に浸漬する。逆に、仮支持体の表面電荷がプラスであれば、はじめにアニオン性の溶液に浸漬する。浸漬時間はポリマーや微粒子、積層したい膜厚によって適宜調整する。微粒子積層膜が、適当な膜厚になるまで、高分子電解質溶液と無機微粒子分散溶液への浸漬を交互に繰り返す。反対電荷を有する溶液又は分散液に浸漬する前に溶媒のみによる洗浄によって余剰の溶液を洗い流す工程(リンス工程)を経ることが好ましい。微粒子積層膜が、適当な膜厚になるまで、高分子電解質溶液と無機微粒子分散溶液への浸漬を交互に繰り返す。また、積層された高分子電解質や微粒子が膜を形成しているが、互いに静電的に吸着しているために、このリンス工程で剥離することはない。また、リンス工程は、反対電荷の溶液に、静電的に吸着していない高分子電解質または微粒子、言い換えれば、分子間力などの弱い結合によって吸着しており、脱離しやすいものを次の作業又は工程に持ち込むことを防ぐために、リンス工程は、行った方が好ましい。反対電荷を有する物質を次の作業又は工程に持ち込むことによって溶液内でカチオン、アニオンが混ざり、沈殿を起こすことがある。高分子電解質溶液への浸漬後にリンス工程を行うことによって、微粒子の間に入り込んだ余分の高分子電解質を取り除く効果がある。
高分子電解質の濃度及び無機微粒子の濃度は、それぞれ、0.00001重量%以上30重量%以下の範囲から適宜選択することが好ましく、0.001重量%以上20重量%以下がさらに好ましく、0.01重量%以上10重量%以下が特に好ましい。高分子電解質溶液及び無機微粒子分散液による浸漬時間は、それぞれ、1秒間以上120分間以下の間で適宜選択することが好ましく、10秒間以上300秒間以下の範囲であることがより好ましい。
形成された、微粒子積層膜の中に含まれる、高分子電解質の比率は、1重量%以下であり、微粒子間の空隙を埋めるものではない。
なお、射出成形金型は、樹脂成形品を製造する際に、通常使用されるものであれば、どのようなものでも利用することができる。
成形体表面の無機薄膜が転写される面は、それが固体状であっても、加熱や加圧により、流動、変形することで、微粒子積層膜が埋没することができればよい。成形体表面の無機薄膜が転写される面は、転写する温度での粘度が、1mP・s以上500,000mP・s以下の範囲であることが好ましい。
交互積層法で形成された微粒子積層膜は、どちらかといえば空隙率が高い方であるため、ある程度粘度の高い表面であっても、微粒子を埋没させやすい。
熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物などがあり、レドックス触媒としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の水溶性触媒及び過酸化物あるいは過硫酸塩と還元剤の組み合わせがある。
図2は、本発明の無機薄膜付き成形品の一例を示す断面図であり、この無機薄膜付き成形品4は、成形品の構成材料であるプラスチック5の表面付近に上記の微粒子積層膜(無機薄膜)3を埋没させて微粒子転写層6を形成したものである。この微粒子転写層6の微粒子間空隙には、成形品の構成材料であるプラスチック5が入り込んでおり、表面は、上記微粒子積層膜3と構成材料5が一体となって複合化していると言ってよい。
このように、成形品の表面に、無機薄膜を付与することができる。この際、本発明の転写材を使用することにより、溶融樹脂が金型内に射出されても熱により無機薄膜が変形することがなく、また、微粒子積層膜と成形体との密着性が高いため剥離することもなく、優れた無機薄膜を成形品の表面に形成することができる。
上記における効果の程度は、仮支持体3が容易に剥離でき、且つ剥離した際に無機薄膜や永久支持層8が仮支持体3に残らない条件とすることが好ましい。
例えば、重合性不飽和結合を含むモノマーである場合は、赤外線吸収スペクトルにおける、波数1630cm−1付近に観察される、エチレン性二重結合の吸収を観察することで算出できる。その強度の初期値と消失後の値を100と0に規格化することで、硬化途中の硬化率(部分硬化の硬化度)を算出することができる(「樹脂の硬化度・硬化挙動の測定と評価方法」サイエンスアンドテクノロジー社、2007年7月13日発刊)。
また、熱硬化型の場合は、DSC(示差走査熱分析)を用いて測定することができる。DSC(示差走査熱量測定法)は、測定温度範囲内で、発熱、吸熱の無い標準試料との温度差をたえず打ち消すように熱量を供給または除去するゼロ位法を測定原理とするものであり、測定装置が市販されておりそれを用いて測定できる。熱硬化型接着剤の反応は、発熱反応であり、一定の昇温速度で試料を昇温していくと、試料が反応し熱量が発生する。その発熱量をチャートに出力し、ベースラインを基準として発熱曲線とベースラインで囲まれた面積を求め、これを発熱量とする。室温から200℃まで5〜10℃/分の昇温速度で測定し、上記した発熱量を求める。これらは、全自動で行なうものもあり、それを使用すると容易に行なうことができる。つぎに、支持体に永久支持層を塗布し、乾燥して得た発熱量は、つぎのようにして求める。まず、25℃で真空乾燥器を用いて溶剤を乾燥させた未架橋・未硬化の永久支持層の全発熱量を測定し、これをA(J/g)とする。つぎに、塗工、乾燥した永久支持層の発熱量を測定し、これをBとする。永久支持層の硬化率C(%)(加熱、乾燥により発熱を終えた状態)は、つぎの数1で与えられる。
仮支持体上からの加圧及び加熱は、例えば、シリコンゴムロールを用いて行うことができる。この場合、シリコンゴムロール表面は15℃以上250℃以下程度の温度、1kg/cm2以上20kg/cm2以下程度の圧力が適当である。
図4において、401は連続的に成形された樹脂製のシートであり、411、412は該樹脂製シート401表面に永久支持層402をコーティングするためのコーティングヘッドである。永久支持層402(未硬化)がコーティングされた樹脂製シート401を、無機薄膜転写材421、422と接合し、プレスロール431、432によりプレス圧力を調整することで膜厚をコントロールしながら永久支持層402と無機薄膜転写材421、422とが接するようにして重ねる。前記永久支持層402は、活性光線の照射により硬化可能な樹脂からなり、無機薄膜転写材421、422は、該永久支持層402と接する面に微粒子積層膜が形成されている。無機薄膜転写材421、422が重ねられた樹脂製シート401を活性光線照射装置441、442により、活性光線の照射を行う。活性光線の照射量は、仮支持体3が容易に剥離でき、且つ剥離した際に無機薄膜や永久支持層8が仮支持体3に残らない条件とする。次いで、活性光線が照射量された樹脂製シート401から、プレスロール461、462を通じ、仮支持体451、452を剥離する。仮支持体451、452を剥がすことで得られた、無機薄膜付き成形品403に、活性光線照射装置471、472を用いて活性光線の照射を行い、永久支持層402の硬化度をすすめる。この時点で、永久支持層402の硬化率が74%以上になっていることが好ましい。このようにして、加工コストや生産性に優れた無機薄膜付き成形品を得ることができる。なお、永久支持層402は、加熱により硬化可能な樹脂でも良く、このとき、永久支持層402の硬化は加熱によって行なわれる。また、無機薄膜を形成する面が片面で良い場合は、片面にのみ永久支持体をコーティングして無機薄膜を形成しても良い。
片面に易接着層とよばれる極性基を付与された樹脂層があるPETフィルム(A4100、東洋紡績(株)製、屈折率1.65、100mm×100mm×125μm厚)を用いた。
微粒子として、BET法で測定した平均一次粒子径が7.5nmの数珠状シリカ微粒子を用いた。シリカ水分散液1.0重量%(スノーテックス(ST)OUP、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用い、PDDAを高分子電解質として用いた。溶液としては0.3重量%のPDDA水溶液と1.0重量%の微粒子分散液を調製した。微粒子分散液のpHは未調整で4であり、PDDA水溶液のpHは9に調製した。上記のPETフィルム(仮支持体)を、PDDA水溶液に1分間浸漬し、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(ア)、微粒子分散液に1分間浸漬した後、リンス用の超純水に3分間浸漬する工程(イ)をこの順に施した。この工程(ア)1回と工程(イ)1回を順に行うのを1サイクルとし、このサイクルを3回(微粒子交互積層回数)行い、仮支持体表面に微粒子積層膜を形成して、無機薄膜転写材を作製した。
この無機薄膜転写材における微粒子積層膜の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.27、95nm及び49%であった。
この微粒子積層膜の密着力を測るため、粘着テープ(No.31B、ポリエステル粘着テープ、日東電工(株)製)を貼り付けて、剥がしたところ、微粒子積層膜は、容易に仮支持体から剥離し、粘着テープ側に移った。
なお、この粘着テープのPETフィルムに対するピール強度は6N/19mm(3N/10mm)であった。ピール強度の測定方法は、テンシロン(定速伸張型引張試験機、(株)オリエンテック製、RTM−10、温度:室温、試験方法:T型剥離、剥離速度:0.2m/min)を用いて、剥離した時の荷重を剥離強度として評価したものである。
成形品として、上記のPETフィルムを用いた。また、永久支持層の材料として光硬化性のハードコート樹脂(日立化成工業(株)製、ヒタロイド7902)を用いた。このハードコート樹脂97重量部と光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン)3重量部とを混ぜた光硬化性樹脂を用いた。
上記成形品(PETフィルム)の易接着層がある面上にアプリケータを用いて光硬化性樹脂を厚さ30μmに塗工した。ついで、光硬化性樹脂の塗膜を有する成形品と上記の無機薄膜転写材とを光硬化性樹脂の塗膜面と易接着層のない面上に形成された微粒子積層膜とが向かい合わせになるように配置して、貼り合わせた。貼り合わせはロールラミネータ(ラミーコーポレーション社製LMP−350EX)を用いて、ロール荷重3kg/cm2、送り速度0.5m/min、温度20℃の条件で行なった。この温度における、ハードコート樹脂の粘度は、9,000mP・sであった(粘度は、E形粘度計(たとえば、東京計器(株)製TV−33が使用できる)により測定した、温度25℃における粘度。以下同様)。以上の工程は、紫外線が遮断された雰囲気下に行った。
この貼り合わせ物に紫外線露光装置(オーク(株)製、HMW−6N−4)を用いて2000mJ/cm2の紫外線を微粒子積層膜側から照射して光硬化性樹脂層を硬化させた。このときの硬化率は70%であった。
次いで、PETフィルム同士を剥離した。無機薄膜を形成していたPETフィルム(仮支持体)から微粒子積層膜が剥離していることを確認した。すなわち、微粒子積層膜はPETフィルム上の部分硬化した光硬化性樹脂層(ハードコート層)に転写されていた。光硬化性樹脂層(ハードコート層)の硬化率を高めるために、追加で3000mmJ/cm2の紫外線を微粒子積層膜側から照射した。このとき硬化率は74%であった。
このようにして、微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。この成形品において、微粒子積層膜が転写されて形成された層(以下、「微粒子転写層」という)は、ハードコート層の最表面に位置し、微粒子積層膜はハードコート層に埋没している。得られた微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)において、微粒子転写層の厚みは90nmであった。この微粒子転写層を含むハードコート層全体の厚みは10μmであった。
また、上記微粒子転写層の鉛筆硬度は4Hであった。また、耐スチールウール性は、「無傷」であった。また、追加の3000mmJ/cm2の紫外線を照射する前の微粒子転写層の鉛筆硬度は2Hであった。
微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は92%であった。また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)のハードコート層を形成していない面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、VT−196)を気泡が残らないように貼り付け、ハードコート層表面の表面反射率のスペクトルを瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)にて測定した。波長400〜800nmでの最小の表面反射率は3.6%であった。微粒子積層膜が転写されていないハードコート層のみの透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、上記の微粒子転写層は減反射膜として機能することがわかった。
この無機薄膜転写材を用い、実施例1に準じて、微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.7、80nm及び6%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率に比べて微粒子転写層の屈折率が増加しており、空隙に樹脂が充填されていることが分かる。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の微粒子転写層の鉛筆硬度は3Hであり、耐スチールウール性は「無傷」であった。
微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最小の透過率は86%であった。実施例1と同様にハードコート層表面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最大の表面反射率は9%であった。
この2種類の微粒子積層膜を有する無機薄膜転写材を用い、実施例1に準じて、微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。シリカ微粒子積層膜に基づく微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.49、95nm及び4%であり、酸化亜鉛微粒子積層膜に基づく微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.7、80nm及び6%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率に比べて微粒子転写層の屈折率が増加しており、空隙に樹脂が充填されていることが分かる。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の微粒子転写層の鉛筆硬度は3Hであり、耐スチールウール性は「無傷」であった。
微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.5%であった。実施例1と同様にハードコート層表面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.9%であった。微粒子積層膜が転写されていないハードコート層の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、本実施例における微粒子転写層は優れた反射防止膜として機能することがわかった。
この無機薄膜転写材を使用して成形品(永久支持層)への微粒子積層膜の転写工程において、ロールラミネータの送り速度を1.3m/minとしたこと以外は、実施例3に準じて行い、微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。微粒子転写層を含むハードコート層の厚みは20μmであった。シリカ微粒子積層膜に基づく微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.49、95nm及び4%であり、酸化亜鉛微粒子積層膜に基づく微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.7、80nm及び6%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率に比べて微粒子転写層の屈折率が増加しており、空隙に樹脂が充填されていることが分かる。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の微粒子転写層の鉛筆硬度は4Hであり、耐スチールウール性は「無傷」であった。
微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の透過スペクトルを実施例1と同様に測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.5%であった。実施例1と同様にハードコート層表面の表面反射スペクトルを測定したところ、波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.9%であった。微粒子積層膜が転写されていないハードコート層の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、本実施例における微粒子転写層は優れた反射防止膜として機能することがわかった。
得られた微粒子積層膜が転写された成形品において、微粒子転写層は、ハードコート層の最表面に位置し、微粒子積層膜はハードコート層に埋没していた。
上記微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、シリカ微粒子積層膜に基づく微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率は、1.49、95nm及び4%であり、酸化亜鉛微粒子積層膜に基づく微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率は、1.7、80nm及び6%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率に比べて微粒子転写層の屈折率が増加しており、空隙に樹脂が充填されていることが分かる。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の微粒子転写層の鉛筆硬度は3Hであり、耐スチールウール性は「無傷」であった。
上記の微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)の透過スペクトルを可視紫外分光光度計(日本分光(株)製、V−570)にて測定したところ、波長400〜800nmでの最大の透過率は94.5%であった。前記微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)のハードコート層を形成していない面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、VT−196)を気泡が残らないように貼り付け、ハードコート層表面の表面反射率のスペクトルを瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)にて測定した。波長400〜800nmでの最小の表面反射率は0.9%であった。微粒子積層膜が転写されていないハードコート層の透過率は91%、表面反射率は4.5%であることから、本実施例における微粒子転写層は優れた反射防止膜として機能することがわかった。
また、引き続き、実施例1と同様にして、微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。この微粒子積層膜が転写された成形品の微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.49、95nm及び4%であった。
転写前の微粒子積層膜の屈折率に比べて微粒子転写層の屈折率が増加しており、空隙に樹脂が充填されていることが分かる。また、上記微粒子転写層の鉛筆硬度は4Hであり、耐スチールウール性は、「無傷」であった。
さらに、引き続き、実施例1と同様にして微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。この微粒子積層膜が転写された成形品の微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.42、95nm及び2%であった。
転写前の微粒子積層膜の屈折率に比べて微粒子転写層の屈折率が増加しており、空隙に樹脂が充填されていることが分かる。また、上記微粒子転写層の鉛筆硬度は4Hであった。また、耐スチールウール性は、「無傷」であった。
1.PETフィルム
片面に易接着層とよばれる極
性基を付与された樹脂層があるPETフィルム(A4100、東洋紡績(株)製、屈折率1.65、100mm×100mm×125μm厚)を用いた(実施例1に同じ)。
2.無機薄膜転写材の作製(仮支持体上への微粒子積層膜の形成)
微粒子として、BET法で測定した平均一次粒子径が21.5nmの数珠状シリカ微粒子をイソプロパノール(IPA)に分散させたシリカ分散液(IPA−ST−PSM、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を微粒子分散液として用いた。微粒子分散液としては1.0重量%の微粒子分散液を調製した。この微粒子分散液99部に実施例1に準じて得た光硬化性樹脂2重量部を混ぜて微粒子−樹脂混合液を得た。この微粒子−樹脂混合液を上記PETフィルムの易接着層がない面上にアプリケータを用いて厚さ0.1μmに塗工した。塗膜を形成したPETフィルムを乾燥機(ヤマト科学製)により110℃で1時間の熱処理を行い、無機薄膜転写材を作製した。微粒子積層膜の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.47、0.1μm及び9%であった。
3.微粒子積層膜が転写された成形品の作製〔成形品(永久支持層)への微粒子積層膜の転写〕
上記の無機薄膜転写材を用いて、実施例1に準じて微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.5、0.1μm及び3%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率と膜厚、空隙率とはほとんど変化がなく、転写前から空隙が埋まっていたことがわかった。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)のハードコート層表面の鉛筆硬度試験を実施例1と同様に行った結果は2Hであった。
ハードコート層表面の耐スチールウール試験を実施例1と同様に行なった結果、表面に傷がついた。
比較例1と同じシリカ分散液(IPA−ST−PSM、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を使用し、この微粒子分散液99重量部に実施例1に準じて得た光硬化性樹脂1重量部を混ぜて微粒子−樹脂混合溶媒を得た。この微粒子−樹脂混合溶媒を用い、比較例1に準じて無機薄膜転写材を作製した。微粒子積層膜の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.44、0.1μm及び15%であった。
この無機薄膜転写材を用いて、実施例1に準じて微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.5、0.1μm及び3%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率と膜厚、空隙率と大きな変化は見られず、転写前から空隙が埋まっていることがわかった。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)のハードコート層表面の鉛筆硬度試験を実施例1と同様に行った結果は2Hであった。
ハードコート層表面の耐スチールウール試験を実施例1と同様に行なった結果、傷がついた。
微粒子として、BET法で測定した平均一次粒子径が21.5nmの球状シリカ微粒子をイソプロパノール(IPA)に分散させたシリカ分散液(IPA−ST、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を4.0重量%の微粒子分散液に調製した。微粒子−樹脂混合溶媒の代わりにこの微粒子分散液を用い、比較例1に準じて無機薄膜転写材を作製した。微粒子積層膜の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.34、0.13μm及び33%であった。
この無機薄膜転写材を用いて、実施例1に準じて微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.5、0.1μm及び3%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率と膜厚、空隙率と大きな変化は見られず、転写前から空隙が埋まっていることがわかった。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)のハードコート層表面の鉛筆硬度試験を実施例1と同様に行った結果は2Hであった。
ハードコート層表面の耐スチールウール試験を実施例1と同様に行なった結果、傷がついた。
微粒子として、BET法で測定した平均一次粒子径が21.5nmの球状シリカ微粒子をイソプロパノール(IPA)に分散させたシリカ分散液(IPA−ST、日産化学工業(株)製、シリカゾル)を5.0重量%の微粒子分散液に調製した。
微粒子−樹脂混合溶媒の代わりにこの微粒子分散液を用い、比較例1に準じて無機薄膜転写材を作製した。微粒子積層膜の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.32、0.13μm及び38%であった。
この無機薄膜転写材を用いて、実施例1に準じて微粒子積層膜が転写された成形品を作製した。微粒子転写層の屈折率、膜厚及び空隙率を測定したところ、それぞれ1.5、0.1μm及び3%であった。転写前の微粒子積層膜の屈折率と膜厚、空隙率と大きな変化は見られず、転写前から空隙が埋まっていることがわかった。
また、微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)のハードコート層表面の鉛筆硬度試験を実施例1と同様に行った結果は2Hであった。
ハードコート層表面の耐スチールウール試験を実施例1と同様に行なった結果、傷がついた。
(鉛筆硬度の測定)
鉛筆硬度は、JIS規格(JIS−K−5400−1990)に準拠して次のように測定した。
まず、試料に対して45°の角度で固定された鉛筆に、試料を押し付けた。鉛筆が試料に加える荷重は1.00±0.05kgとした。試料に付着した鉛筆の粉をエアーブローし、残った鉛筆の粉はプラスチック消しゴム(PE01、トンボ鉛筆製)を押し付けて取り除いた。膜表面にわずかに食い込むような傷が見えたときに、「擦り傷が付いた」と判別した。5回の試験で2回以上膜に擦り傷が認められた時の鉛筆の濃度記号を、その試料の鉛筆硬度とした。例えば、2Hの鉛筆で擦り傷が2回つき、Hの鉛筆で擦り傷が1回つく試料の鉛筆硬度はHである。
微粒子積層膜が転写された成形品(PETフィルム)のハードコート層表面をスチールウール(日本スチールウール社製、#0000)に300gの荷重をかけて、ストローク幅25mm、速度25mm/secで10回往復摩擦したあとの表面を目視で観察し、傷の有無を評価した。なお、スチールウールは約10mmφにまとめ、表面が均一になるように切断、摩擦して表面状態が均一になったものを使用した。
PETフィルム(A4100、東洋紡績(株)製、屈折率1.65、100mm×100mm×125μm厚)の裏面の反射を無視できるように、裏面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製)を気泡が残らないように貼り付け、瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)にて表面の反射スペクトルを測定し、反射率分光法及びカーブフィット法を組み合わせた解析プログラムにより屈折率を求めた。その結果、PETフィルムの屈折率nsubは波長400〜800nmでは1.70〜1.63であった。
実施例1に記述したように、微粒子転写層付き樹脂層が形成していない面に黒い粘着テープ(ニチバン(株)製、VT−196)を気泡が残らないように貼り付け、微粒子転写層付き樹脂層が形成された片面の表面反射率のスペクトルを瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)にて測定した。実施例1記載のシリカ微粒子転写層が最表面に位置する光硬化樹脂層の波長400〜800nmでの表面反射率の最小値は3.6%、実施例3記載の酸化亜鉛微粒子転写層が最表面に位置する光硬化樹脂層の波長400〜800nmでの表面反射率の最大値は9%であった。
反射率分光法及びカーブフィット法を組み合わせた瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)の解析プログラムにより、表面反射率のスペクトルから微粒子積層膜の屈折率と膜厚を求めた。
実施例1記載のシリカ微粒子積層膜が転写された微粒子転写層の屈折率は1.5、膜厚は95nmであり、実施例2記載の酸化亜鉛微粒子積層膜が転写された微粒子転写層の屈折率は1.7、膜厚は80nmであることがわかった。
本発明の微粒子積層膜では微粒子の間の隙間は、空気である。すなわち、走査型電子顕微鏡による表面及び、断面観察によって、孔が観測できることから、シリカ微粒子積層膜の見かけの屈折率がシリカより低い場合、屈折率を下げているのは、孔に存在する空気であることが分かる。この仮定から、微粒子積層膜中の空隙率ρ0は次式より求めることができる。
1種類目の微粒子積層膜を形成した時に瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)にて表面反射率スペクトルを測定し、1種類目の微粒子積層膜の屈折率と膜厚を求めた。2種類目の微粒子積層膜を形成した後に、瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)にて表面反射率スペクトルを測定し、1種類目の屈折率と膜厚を固定値として2種類目の微粒子積層膜の屈折率と膜厚を求めることができる。
2種類の微粒子積層膜を転写した微粒子転写層の表面反射率スペクトルを瞬間測光分光光度計(フィルメトリクス(株)製、F20)にて測定し、転写する前の2種類の微粒子積層膜のそれぞれの膜厚を固定値として、2種類の微粒子積層膜に基づくそれぞれの微粒子転写層の屈折率を求めることができる。
FT−IR(バイオラッド・ラボラトリー製、FT−IR、FTS−6000)に同社製赤外顕微システムUMA−500を装備し、測定モードは顕微全反射赤外吸収測定(分解能4cm−1、積算回数128回)で赤外吸収スペクトルの測定を行った。硬化前のハードコートにおいて、1635cm−1付近に、ビニル基のC=C伸縮振動バンド由来のピーク、1408cm−1付近に、ビニル基のC−H面内対称変角振動バンド由来のピーク、808cm−1付近に、ビニル基のC−H面外変角振動バンドに起因するピークを確認した。紫外線照射後のハードコートは、C=C伸縮振動バンド、C−H面内対称変角振動バンド、C−H面外変角振動バンドの各吸収強度が相対的に減少することを確認した。また、1724cm−1に観察されるC=O伸縮振動由来のピークを内部標準ピークとした。硬化度の算出式は、各波数位置のピークの面積強度を一定の波数範囲で積分した値を、A1724、A1635、A1408、A808とし、硬化前と後の積分値を(A1724)前、(A1724)後、(A1635)前、(A1635)後、(A1408)前、(A1408)後、(A808)前、(A808)後とし、下記式から算出した。尚、内部標準に用いたA1724の積分値は、波数範囲1650〜1780cm−1で求めた。
2:仮支持体
3:微粒子積層膜
4:無機薄膜付き成形品
5:プラスチック
6:微粒子転写層
7:成形品前駆体
8:樹脂成形品
9:永久支持層
401:連続的に成形された樹脂製シート
402:永久支持体
403:無機薄膜付き成形品
411、412:コーティングヘッド
421、422:無機薄膜転写材
431、432、461、462:プレスロール
441、442、471、472:活性光線照射装置
451、452:剥離した仮支持体
Claims (27)
- 仮支持体上に、微粒子同士の間に空隙を有して吸着されている微粒子積層膜を含む無機薄膜転写材。
- 微粒子積層膜の空隙率が40%以上80%以下である請求項1記載の無機薄膜転写材。
- 微粒子が、無機酸化物である請求項1又は2のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
- 無機酸化物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物からなるものである請求項3記載の無機薄膜転写材。
- 微粒子の平均一次粒子径が、2〜500nmの範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
- 微粒子が、表面または内部に空孔構造を有するものであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
- 前記の微粒子積層膜が、無機微粒子と高分子電解質が交互に積層して得られ、微粒子間に空隙構造を有するものである請求項1〜6のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
- 前記の微粒子積層膜は、屈折率が異なる微粒子積層膜が複数層積層された、多層膜からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
- 無機薄膜が反射防止膜である請求項1〜8のいずれかに記載の無機薄膜転写材。
- 仮支持体を(1)イオン性の表面電荷を有する微粒子の分散液または高分子電解質溶液からなるイオン性物質液に浸漬する工程と(2)上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する微粒子の分散液または上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する高分子電解質の溶液に浸漬する工程とを交互に行い、しかも微粒子の分散液への浸漬と高分子電解質溶液への浸漬を交互に行うことにより仮支持体上に微粒子積層膜を形成することを特徴とする無機薄膜転写材の製造方法。
- 浸漬する工程の各々のすぐ後にリンスする工程を含む請求項10記載の無機薄膜転写材の製造方法。
- シート状の仮支持体がロール状に巻き取られているものを引き出し、(1)イオン性の表面電荷を有する微粒子の分散液または高分子電解質溶液からなるイオン性物質液に浸漬する工程と(2)上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する微粒子の分散液または上記微粒子の表面電荷又は高分子電解質の電荷と反対符号の表面電荷又は電荷を有する高分子電解質の溶液に浸漬する工程とを交互に行い、しかも微粒子の分散液への浸漬と高分子電解質溶液への浸漬を交互に行う工程を連続的に行うことによりシート状の仮支持体上に微粒子積層膜を形成することを特徴とする請求項10又は11のいずれかに記載の無機薄膜転写材の製造方法。
- 微粒子積層膜の空隙率が40%以上80%以下である請求項10〜12のいずれかに記載の無機薄膜転写材の製造方法。
- 無機薄膜が反射防止膜である請求項10〜13のいずれかに記載の無機薄膜転写材の製造方法。
- 成形品の表面に微粒子積層膜を成形品の構成材料が微粒子間に入り込むように埋没させてなる無機薄膜付き成形品。
- 成形体の表面が永久支持層である請求項15記載の無機薄膜付き成形品。
- 永久支持層が、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂または活性エネルギー線硬化樹脂からなる請求項16項記載の無機薄膜付き成形品。
- 微粒子が、無機酸化物である請求項15〜17のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品。
- 無機酸化物が、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、ニオブ、亜鉛、錫、セリウム及びマグネシウムからなる群より選択される少なくとも一種の元素を含む酸化物からなるものである請求項18記載の無機薄膜付き成形品。
- 微粒子の平均一次粒子径が、2〜500nmの範囲内である、請求項15〜19のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品。
- 微粒子が、表面または内部に空孔構造を有するものであることを特徴とする、請求項15〜20のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品。
- 成形体の表面に請求項1〜9のいずれかに記載の無機薄膜転写材の微粒子積層膜を転写することにより、前記成形体表面に微粒子積層膜を埋没させることを特徴とする無機薄膜付き成形品の製造法。
- 成形体が、その表面に永久支持層を有するものである請求項22記載の無機薄膜付き成形品の製造法。
- 永久支持層が、熱可塑性樹脂、熱硬化樹脂または活性エネルギー線硬化樹脂である請求項23記載の無機薄膜付き成形品の製造法。
- 無機薄膜転写材を射出成形金型内に挟み込み、前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜側に溶融材料を射出することにより成形体を形成すると同時に、該成形体の表面に前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜を埋没させ、その後、仮支持体を剥離することを特徴とする請求項22記載の無機薄膜付き成形品の製造方法。
- 無機薄膜転写材の微粒子積層膜側を成形体に重ねて熱圧着することにより、成形体の表面に前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜を埋没させ、その後、仮支持体を剥離することを特徴とする請求項22記載の無機薄膜付き成形品の製造方法。
- 無機薄膜転写材の微粒子積層膜側を成形体上に形成した永久支持層に重ねて、加熱、圧着又は活性光線の照射を行うことにより、成形体上に形成した永久支持層の表面に前記無機薄膜転写材の微粒子積層膜を埋没させ、その後、仮支持体を剥離することを特徴とする請求項23又は24のいずれかに記載の無機薄膜付き成形品の製造方法。
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