JP2009097896A - ドライブシャフトの軸トルク測定装置および測定方法 - Google Patents

ドライブシャフトの軸トルク測定装置および測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的な遊びに左右されないで、正確に軸トルクを検出できるドライブシャフトの軸トルク測定装置および測定方法を提供する。
【解決手段】ドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、他端側の等速ジョイントの外輪を介して連結される車輪用軸受の回転側部材とにセンサターゲットを設ける。各センサターゲットに対向して、センサターゲットの回転を検出するセンサを設け、出力比較によりドライブシャフトの軸トルクを求める。各センサの出力の差分を求める差分算出手段を設け、差分と自動車の運転状態とから、センサターゲットの部材間に存在する機械的な遊びの大きさを推定する機械的遊び推定手段を設ける。その推定値に基づき、差分算出手段により求められる差分を補正するデータ補正手段を設け、この補正された差分からドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求める軸トルク演算手段を設ける。
【選択図】図2

Description

この発明は、自動車のエンジンの動力を車輪に伝達する役目を持っている駆動輪車軸、すなわちドライブシャフトにおいて、その軸トルクを測定する装置、その軸トルク測定装置を搭載したドライブシャフト、車輪駆動用ユニット、および軸トルク測定方法に関する。このようなドライブシャフトとしては、前輪駆動車の前輪軸、後輪駆動車の後車軸、全輪駆動車の全車軸が該当する。
独立懸架方式のサスペンションを採用する自動車のドライブシャフトでは、サスペンションの動きに追随しながら駆動力を伝達する必要がある。このため、ドライブシャフトの一端は等速ジョイントを介してディファレンシャルと連結され、他端は等速ジョイントを介して車軸(アクスル)と連結される。このようにしてドライブシャフトはエンジンの動力を車輪まで伝える駆動系統に組み込まれ、エンジンの動力は最終的にドライブシャフトによって車輪に伝えられる。
また、最近の自動車はあらゆる部分に電子制御技術が導入されており、アンチロックブレーキシステム(ABS)、トラクションコントロールシステム(TCS)、ノンスリップデフ(LSD)、などの走行制御では車輪速信号が利用されている。このため、通常、ドライブシャフトのアウトボード側(アクスル側)にABS(アンチロックブレーキシステム)制御用のパルサーリングが設けられ、車輪の回転に伴い歯車状のパルサーリングが回転すると、それに近接して車体側に設置された電磁ピックアップに車輪回転数に比例した周波数のパルスが発生するようになっている。
特許文献1において、両端に等速ジョイントを具備した自動車のドライブシャフトであって、各等速ジョイントすなわちインボード側、アウトボード側のそれぞれの等速ジョイントの外輪にパルサーリングを取り付け、両パルサーリングによって発生する回転信号を検出し、ドライブシャフトに生じたねじれに対応する回転信号の位相差を演算処理して軸トルクを求めるドライブシャフトの軸トルク測定方法が示されている。
また、求めた軸トルク信号に基づいてエンジンの出力を制御することにより、過大トルクの発生を防止し、この過大トルクの発生防止によってドライブシャフトの軸径および等速ジョイントのサイズダウンによる軽量化を図ることが開示されている。
また、特許文献2においては、両端が等速ジョイントを介して自動車の駆動系統に接続されるドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、前記ドライブシャフトが等速ジョイントを介して連結される車輪用軸受の回転側部材であるハブとにエンコーダをそれぞれ取り付けると共に、これら各エンコーダに対向して、各エンコーダの回転を検出するセンサを設け、これらセンサが出力する回転信号の位相差からドライブシャフトのねじれ量を測定して軸トルクを求めるものが開示されている。
特開平7−63628号公報 特開2004−069332号公報
しかし、上記した特許文献1や特許文献2に開示されている技術のように、ドライブシャフトの両端間、あるいは車輪用軸受の回転側部材とデファレンシャル側の等速ジョイントとの間に生じるねじれ角から、ドライブシャフトの軸トルクを推定する構成の場合、等速ジョイント内部や、車輪用軸受のハブと等速ジョイントとのスプライン結合部で生じる機械的な遊びのため、正確な軸トルクを算出するのが難しい。また、このような機械的な遊びは摩耗とともに増大するため、初期に固定値を記憶しておいたとしても、前記摩耗による変化に追従できず、検出精度を確保するのは困難である。
この発明の目的は、機械的な遊びの存在に左右されないで、正確に軸トルクを検出できるドライブシャフトの軸トルク測定装置、軸トルク測定装置付きドライブシャフト、軸トルク測定装置付き車輪駆動用ユニット、およびドライブシャフトの軸トルク測定方法を提供することである。
この発明のドライブシャフトの軸トルク測定装置は、両端にて等速ジョイントを介して自動車の駆動系統に接続されるドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、前記ドライブシャフトにおける他端側の等速ジョイントの外輪またはこの等速ジョイントを介して連結される車輪用軸受の回転側部材とにセンサターゲットを設けると共に、これら各センサターゲットに対向して、各センサターゲットの回転を検出するセンサを設け、これらのセンサの出力比較によりドライブシャフトの軸トルクを求めるドライブシャフトの軸トルク測定装置であって、前記各センサの出力の差分を求める差分算出手段と、この差分算出手段により求められる差分と自動車の運転状態とから前記各センサターゲットが設けられる部材間に存在する機械的な遊びの大きさを推定する機械的遊び推定手段と、この機械的遊び推定手段による推定値に基づき、前記差分算出手段により求められる差分を補正するデータ補正手段と、このデータ補正手段により補正された差分からドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求める軸トルク演算手段とを設けたことを特徴とする。
この構成によると、差分算出手段により求められる2つの回転検出装置の出力の差分と、自動車の運転状態とに基づいて、機械的な遊びの大きさを機械的遊び推定手段で推定し、その推定値に基づいて前記差分をデータ補正手段で補正し、その補正された差分値に基づき軸トルク演算手段によりドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求めるので、等速ジョイントの内部等に生じる機械的な遊びに左右されないで、軸トルクを正確に検出できる。なお、前記機械的遊び推定手段による推定については、例えば、入力と推定値との関係を設定したテーブルや演算式等の関係設定手段を設けておき、入力を前記関係設定手段と照合することで推定値を得る。
この発明において、前記機械的遊び推定手段には、自動車の運転状態を示す信号として、車両速度、アクセル開度、ブレーキ状態、クラッチや減速機の状態を示す信号のうち、少なくともいずれか1つの信号が入力されて前記推定に用いるものとしても良い。これら車両速度、アクセル開度、ブレーキ状態、クラッチや減速機の状態を示す信号等がわかると、機械的遊び推定手段は、自動車がアイドリング状態にあるか、あるいは駆動トルクが印加されている状態にあるかを判断可能であり、より正確な軸トルクの検出が行える。
この発明において、前記機械的遊び推定手段は、軸トルクが印加されていない運転状態にある期間を推定し、その期間におけるドライブシャフトのねじれ角の分布を統計処理して、その出現頻度および出現領域を算出することで、機械的な遊びにより前記差分算出手段により求められる差分に生じるヒステリシス成分の大きさを推定するものとしても良い。これにより、より正確な軸トルクの推定が行える。
この発明において、前記各センサは磁気センサであり前記各センサターゲットはその設置部材と同心に設けられた磁気エンコーダであって、前記磁気センサは、前記磁気エンコーダの磁極ピッチ内で互いにずれた位置に配置された複数のセンサ素子を有し、sin および cosの2相の信号出力を得られるものであって、磁極内における位置を逓倍して検出するものであっても良い。
この構成の場合、磁気エンコーダの磁極内の位置をより細かく検出でき、より高分解能な回転角度を検出できる。
この発明において、前記各センサは磁気センサであり前記各センサターゲットはその設置部材と同じ心に設けられた磁気エンコーダであって、前記磁気センサは、前記磁気エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセンサ素子が並ぶラインセンサで構成され、sin および cosの2相の信号出力を演算によって生成して、磁極内における位置を逓倍して検出するものであっても良い。
この構成の場合、磁界パターンの歪みやノイズの影響が低減されて、より高い精度で磁気エンコーダの位相を検出することが可能である。これにより、十分大きい磁極ピッチの磁気エンコーダを使用しても、数倍〜数十倍の分解能で磁気エンコーダの位相を検出することが可能であるため、小さなトルクによるわずかなドライブシャフトのねじれ角をも検出することができる。
この発明において、前記各センサは前記センサターゲットの絶対回転角度を検出するものであっても良い。
パルス信号による位相差測定の方式では時間差によって位相差を検出するので、検出のための時間が必要である。これに対して、この構成では、2つセンサが出力する絶対回転角度から角度差を演算してドライブシャフトのねじれ量を測定するので、即座に軸トルクを求めることができる。電源をオンしたときに既に軸トルクが印加されている状態にあっても、そのときの軸トルクを求めることができる。これにより、静止状態や、ドライブシャフトの一端側が停止状態あるいは極端に回転速度が低い場合でも、正確に軸トルクを検出できる。
この発明において、前記各センサターゲットは、その設置部材と同心に設けられ互いに磁極数が異なる複数の磁気エンコーダからなり、前記各センサは、前記複数の磁気エンコーダの磁界をそれぞれ検出する複数の磁気センサを有し、これらの各磁気センサは磁気エンコーダの磁極内における位置の情報を検出する機能を有したものであり、前記各磁気センサの検出した磁界信号の位相差を求める位相差検出手段と、この検出した位相差に基づいて前記センサターゲットの絶対回転角度を算出する角度算出手段とを有するものであっても良い。
この構成の場合、回転検出装置をバーニヤ式絶対角度検出装置としているので、磁気エンコーダの磁極ピッチを通常のABSセンサなどと同等(1〜3mm程度の極幅)に保ちながら、磁極数の数倍〜数十倍の高分解能で回転検出が可能になり、センサギャップなど取付け公差を従来と同等(例えば0.5〜2mm程度のセンサギャップ)に保ちながら、自動車のような過酷な使用環境でも高分解能を得ることができる。したがって、わずかな回転ずれをも検出することが可能となり、両回転検出装置の検出する絶対回転角度の差から微小な軸トルクをも検出することが可能となる。
この発明において、前記磁気センサは、前記磁気エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセンサ素子が並ぶラインセンサで構成され、sin および cosの2相の信号出力を演算によって生成して、磁極内における位置を逓倍して検出するものであっても良い。この構成の場合、磁界パターンの歪みやノイズの影響が低減されて、より高い精度で磁気エンコーダの位相を検出することが可能である。これにより、十分大きい磁極ピッチの磁気エンコーダを使用しても、数倍〜数十倍の分解能で磁気エンコーダの位相を検出することが可能であるため、小さなトルクによるわずかなドライブシャフトのねじれ角をも検出することができる。
この発明において、前記各センサの磁気センサ、位相差検出手段、および角度算出手段を互いに一体化されたセンサモジュールとしても良い。この構成の場合、部品点数の低減、磁気センサ位置精度の向上、製造コストの低減、組立コストの低減、信号ノイズ低減による検出精度の向上などのメリットが得られ、小型で低コストのセンサとすることができる。
この発明において、前記センサモジュールが半導体チップに集積されたものであっても良い。この構成の場合、センサモジュールの実装スペースが小さくて済む。その結果、例えば車輪用軸受に設けるセンサの場合、車輪用軸受へのコンパクトな実装が可能となる。
この発明の軸トルク測定装置付きドライブシャフトは、この発明の上記いずれかの構成の軸トルク測定装置をドライブシャフトに搭載したものである。
この構成によると、等速ジョイントの内部で生じる機械的な遊びに左右されないで、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になる。これにより、ドライブシャフトの軽量化が可能になる。
この発明の軸トルク測定装置付き車輪駆動用ユニットは、この発明の上記いずれかの構成の軸トルク測定装置を、車輪用軸受およびドライブシャフトを備える車輪駆動用ユニットに搭載したものである。
この構成によると、等速ジョイントの内部や、車輪用軸受の回転側部材と等速ジョイントとのスプライン結合部で生じる機械的なガタに左右されないで、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になる。これにより、車輪駆動用ユニットの軽量化が可能になる。
この発明のドライブシャフトの軸トルク測定方法は、両端にて等速ジョイントを介して自動車の駆動系統に接続されるドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、前記ドライブシャフトにおける他端側の等速ジョイントの外輪またはこの等速ジョイントを介して連結される車輪用軸受の回転側部材とにセンサターゲットを設けると共に、これら各センサターゲットに対向して、各センサターゲットの回転を検出するセンサを設け、これらのセンサの出力比較によりドライブシャフトの軸トルクを求めるドライブシャフトの軸トルク測定方法であって、前記各センサの出力の差分を求め、その差分と自動車の運転状態とから前記各センサターゲットが設けられる部材間に存在する機械的な遊びの大きさを推定し、その推定値に基づき、前記各センサの出力の差分を補正し、その補正された差分からドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求めることを特徴とする。
この軸トルク測定方法によると、等速ジョイントの内部や、車輪用軸受の回転側部材と等速ジョイントとのスプライン結合部等に生じる機械的な遊びに左右されないで、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になる。
この発明のドライブシャフトの軸トルク測定装置は、両端にて等速ジョイントを介して自動車の駆動系統に接続されるドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、前記ドライブシャフトにおける他端側の等速ジョイントの外輪またはこの等速ジョイントを介して連結される車輪用軸受の回転側部材とにセンサターゲットを設けると共に、これら各センサターゲットに対向して、各センサターゲットの回転を検出するセンサを設け、これらのセンサの出力比較によりドライブシャフトの軸トルクを求めるドライブシャフトの軸トルク測定装置であって、前記各センサの出力の差分を求める差分算出手段と、この差分算出手段により求められる差分と自動車の運転状態とから前記各センサターゲットが設けられる部材間に存在する機械的な遊びの大きさを推定する機械的遊び推定手段と、この機械的遊び推定手段による推定値に基づき、前記差分算出手段により求められる差分を補正するデータ補正手段と、このデータ補正手段により補正された差分からドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求める軸トルク演算手段とを設けたため、機械的な遊びの存在に左右されないで、正確に軸トルクを検出できる。
この発明の軸トルク測定装置付きドライブシャフトは、この発明の軸トルク測定装置をドライブシャフトに搭載したものであるため、等速ジョイントの内部で生じる機械的な遊びに左右されないで、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になり、これにより、ドライブシャフトの軽量化が可能になる。
この発明の軸トルク測定装置付き車輪駆動用ユニットは、この発明の軸トルク測定装置を、車輪用軸受およびドライブシャフトを備える車輪駆動用ユニットに搭載したものであるため、等速ジョイントの内部や、車輪用軸受の回転側部材と等速ジョイントのスプライン結合部で生じる機械的な遊びに左右されないで、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になり、これにより、車輪駆動用ユニットの軽量化が可能になる。
この発明の軸トルク測定方法は、両端にて等速ジョイントを介して自動車の駆動系統に接続されるドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、前記ドライブシャフトにおける他端側の等速ジョイントの外輪またはこの等速ジョイントを介して連結される車輪用軸受の回転側部材とにセンサターゲットを設けると共に、これら各センサターゲットに対向して、各センサターゲットの回転を検出するセンサを設け、これらのセンサの出力比較によりドライブシャフトの軸トルクを求めるドライブシャフトの軸トルク測定方法であって、前記各センサの出力の差分を求め、その差分と自動車の運転状態とから前記各センサターゲットが設けられる部材間に存在する機械的な遊びの大きさを推定し、その推定値に基づき、前記各センサの出力の差分を補正し、その補正された差分からドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求めるものであるため、等速ジョイントの内部や、車輪用軸受の回転側部材と等速ジョイントとのスプライン結合部等に生じる機械的な遊びに左右されないで、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になる。
この発明の一実施形態を、図1ないし図11と共に説明する。図1に示すように、ドライブシャフト1は両端にて等速ジョイント2,3を介して駆動系統に接続される。この明細書において、ドライブシャフト1を車両に取り付けた状態で車両幅方向の外側寄りとなる側(同図の左側)をアウトボード側と呼び、車両幅方向の中央側となる側(同図の右側)をインボード側と呼ぶ。図示する実施形態の場合、ドライブシャフト1のインボード側はトリポート型スライド式等速ジョイント2によりディファレンシャル(図示せず)と連結され、アウトボード側はバーフィールド型固定式等速ジョイント3によりアクスル(図示せず)と連結される。
なお、ドライブシャフト1の両端の等速ジョイントは、図示例のような組合せに限られない。例えば、前輪駆動車の前輪軸すなわち駆動輪前車軸の場合、前輪が操舵されるため、車輪側となるアウトボード側の等速ジョイント3は大きな作動角と共に等速性が要求される。この要求を満たすため、アウトボード側の等速ジョイント3にはバーフィールド型固定式継手(ゼッパ型固定式継手)、トリポード型固定式等速ジョイントなどが用いられる。車体側となるインボード側の等速ジョイント2にはサスペンションの動きを許容する作動角が要求される。この作動角は車輪側等速ジョイント3ほど大きくないが、サスペンションの動きに伴う車体の長さ変化を可能にする必要がある。このためインボード側等速ジョイント2にはバーフィールド型スライド式継手、トリポート型スライド式継手、クロスグローブ型継手などが用いられる。独立懸架方式の駆動輪後車軸は舵取り機能が不要で大きな作動角を必要としないためカルダン継手が使用される場合もある。
アウトボード側の等速ジョイント3の外輪3aには、ABS(アンチロックブレーキシステム)制御用としても利用されるセンサターゲット5が取り付けられている。インボード側の等速ジョイント2の外輪2aにも同種のセンサターゲット4が取り付けられている。車体40側には、これらのセンサターゲット4,5に近接する位置に、複数(ここでは2つ)の磁気センサ11A,11B(図3)等からなるセンサユニット6,7が設置される。前記センサターゲット4とセンサユニット6とで第1の回転検出装置8が構成され、センサターゲット4の回転位置に対応する絶対回転角度を出力する。また、前記センサターゲット5とセンサユニット7とで第2の回転検出装置9が構成され、センサターゲット5の回転位置に対応する絶対回転角度を出力する。このように、各等速ジョイント2,3の外輪2,3aに設けられるセンサターゲット4,5に対して非接触の状態で、対応するセンサユニット6,7をドライブシャフト1の外周側に配置することにより、ドライブシャフト1に対して前記各回転検出装置8,9をコンパクトに搭載することができる。
図3に概略構成を示すように、センサターゲット4は、前記等速ジョイント2の外輪2aに、その軸心Oに対して同心のリング状に設けられた複数(ここでは2つ)の磁気エンコーダ4A,4Bからなる。このセンサターゲット4に対応する前記センサユニット6の2つの磁気センサ11A,11Bは、図3の例では前記各磁気エンコーダ4A,4Bに対して微小のギャップを介してそれぞれ径方向(ラジアル方向)に対向するように、車体40側に設けられる。
同様に、センサターゲット5も、前記等速ジョイント3の外輪3aに、その軸心Oに対して同心のリング状に設けられた複数(ここでは2つ)の磁気エンコーダ5A,5Bからなる。このセンサターゲット5に対応する前記センサユニット7の2つの磁気センサ11A,11Bも、各磁気エンコーダ5A,5Bに対して微小のギャップを介してそれぞれラジアル方向に対向するように、車体40側に設けられる。ここでは、磁気センサ11Aが磁気エンコーダ4A(5A)に対向し、磁気センサ11Bが磁気エンコーダ4B(5B)に対向する。
磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)は、複数の磁極対(磁極Sと磁極Nの1組)を周方向に等ピッチで着磁させたリング状の磁性部材であり、ラジアルタイプである図3の例では、その外周面に磁極対が着磁されている。これら2つの磁気エンーダ4A,4B(5A,5B)の磁極対の数は互いに異ならせてある。
磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の他の例として、図4に示すように、リング状の磁性部材の軸方向端面に複数の磁極対を周方向に等ピッチで並ぶように着磁させたアキシアルタイプのものを用いても良い。この例では、2つの磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)を、内外周に隣接するように配置している。アキシアルタイプの磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の場合、その着磁面に対向する軸方向に向けて各磁気センサ11A,11Bが配置される。
磁気センサ11A,11Bは、対応する磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁極対の数よりも高い分解能で磁極検出できる機能、つまり磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁極の範囲内における位置の情報を検出する機能を有するものとされる。この機能を満たすために、例えば磁気センサ11Aとして、対応する磁気エンコーダ4A(5A)の1磁極対のピッチλを1周期とするとき、図5のように構成しても良い。すなわち、90度位相差(λ/4)となるように磁極の並び方向に離して配置したホール素子などの2つの磁気センサ素子11A1,11A2を用い、これら2つの磁気センサ素子11A1,11A2により得られる2相の信号(sinφ,cosφ) から磁極内位相 (φ=tan-1(sinφ/cos φ))を逓倍して算出するものとしても良い。他方の磁気センサ11Bについても同様である。なお、図5の波形図は、磁気エンコーダ4A(5A)の磁極の配列を磁界強度に換算して示したものである。
磁気センサ11A,11Bをこのような構成とすると、磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁界分布をオン・オフ信号としてではなく、アナログ電圧による正弦波状の信号として磁極内の位置をより細かく検出でき、より高い精度で磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の位相を検出することが可能である。この場合、磁気ノイズの影響を低減するため、前記2つの磁気センサ素子11A1,11A2を差動構成として、より安定した信号を得るように構成しても良い。
磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁極内における位置の情報を検出する機能を有する磁気センサ11A,11Bの他の例として、図6(B)に示すようなラインセンサを用いても良い。すなわち、例えば磁気センサ11Aとして、対応する磁気エンコーダ4A,(5A)の磁極の並び方向に沿って磁気センサ素子11aが並ぶラインセンサ11AA,11ABを用いる。なお、図6(A)は、磁気エンコーダ4A(5A)における1磁極の区間を磁界強度に換算して波形図で示したものである。この場合、磁気センサ11Aの第1のラインセンサ11AAは、図6(A)における180度の位相区間のうち90度の位相区間に対応付けて配置し、第2のラインセンサ11ABは残りの90度の位相区間に対応付けて配置する。このような配置構成により、第1のラインセンサ11AAの検出信号を加算回路31で加算した信号S1と、第2のラインセンサ11ABの検出信号を加算回路32で加算した信号S2を別の加算回路33で加算することで、図6(C)に示すような磁界信号に応じたsin 信号を得る。また、信号S1と、インバータ35を介した信号S2をさらに別の加算回路34で加算することで、図6(C)に示すような磁界信号に応じた cos信号を得る。このようにして得られた2相の出力信号から、磁極内における位置を検出する。
磁気センサ11A,11Bをこのようにラインセンサで構成した場合、磁界パターンの歪みやノイズの影響が低減されて、より高い精度で磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の位相を検出することが可能である。この場合、十分大きい磁極ピッチの磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)を使用しても、数倍〜数十倍の分解能で磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の位相を検出することが可能であるため、小さなトルクによるわずかなドライブシャフト1のねじれ角をも検出することができる。
回転検出装置8(9)の構成例を示す図3において、センサユニット6(7)を構成する磁気センサ11A,11Bは位相差検出手段12に接続される。位相差検出手段12は、各磁気センサ11A,11Bの検出した磁界信号の位相差を求める手段であり、その後段に角度算出手段13が接続される。角度算出手段13は、位相差検出手段12の検出した位相差に基づいて磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の絶対角度を算出する手段である。
また、前記各回転検出装置8,9において、前記磁気センサ11A,11B、位相差検出手段12、および角度算出手段13を、例えば図4の例で示すように、センサモジュール24として一体化しても良い。このように構成した場合、部品点数の低減、磁気センサ11A,11Bの互いの位置精度の向上、製造コストの低減、組立コストの低減、信号ノイズ低減による検出精度の向上などのメリットが得られ、小型で低コストの回転検出装置8,9とすることができる。センサモジュール24は1つの半導体チップに集積しても良い。このように構成すると、センサモジュール24の実装スペースが小さくて済む。その結果、ドライブシャフト1へのコンパクトな実装が可能となる。
図2はこのドライブシャフトの軸トルク測定装置の概略構成を示す。同図における角度算出部14,15は、図3における位相差検出手段12と角度算出手段13とを含む機能部である。
各回転検出装置8,9による絶対角度検出の概略動作を、図7および図8を参照して以下に説明する。図3において、2つの磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁極対の数をPとP+nとすると、両磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の間では1回転あたり磁極対にしてn個分の位相差があるので、これら磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)に対応する磁気センサ11A,11Bの検出信号の位相は、360/n度回転するごとに一致する。
図7(A),(B)には両磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁極のパターン例を示し、図8(C),(D)にはこれら磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)に対応する磁気センサ11A,11Bの検出信号の波形図を示す。この場合、磁気エンコーダ4A(5A)の3磁極対に対して、磁気エンコーダ4B(5B)の2磁極対が対応しており、この区間内での絶対位置を検出することができる。図7(E)は、図7(C),(D)の検出信号に基づき、図3の位相差検出手段12より求められる位相差の出力信号の波形図を示す。
なお、図8は、各磁気センサ11A,11Bによる検出位相と位相差の波形図を示す。すなわち、図8(A),(B)には両磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁極のパターン例を示し、図8(C),(D)には対応する磁気センサ11A,11Bの検出位相の波形図を示し、図8(E)には位相差検出手段12より出力される位相差信号の波形図を示す。
図9は、前記各回転検出装置8,9における絶対角度検出回路の構成例を示す。図7(C),(D)に示したような各磁気センサ11A,11Bの検出信号に基づき、それぞれ対応する位相検出回路23A,23Bは、図8(C),(D)に示したような検出位相信号を出力する。位相差検出手段12は、これらの検出位相信号に基づき、図8(E)に示したような位相差信号を出力する。その次段に設けられた角度算出手段13は、位相差検出手段12で求められた位相差を、予め設定された計算パラメータにしたがって絶対角度へ換算する処理を行う。
図2の構成において、差分算出手段16は、前記各回転検出装置8,9の検出した絶対回転角度の差分を求める手段である。データ補正手段17は、前記差分算出手段16により求められる差分を補正する手段である。このデータ補正手段17による補正処理の詳細を、図10および図11を参照して以下に説明する。
図1のドライブシャフト1において、両端の等速ジョイント2,3の内部には機械的な遊びが存在する。この機械的な遊びや摩擦により、ドライブシャフト1に印加される軸トルクとねじれ角(差分算出手段16で求められる絶対回転角度の差分)は比例せず、図10に示すようにヒステリシスを伴う非線形な関係となる。このため、前記差分算出手段16で差分として求められるドライブシャフト1のねじれ角から、そのまま軸トルクを算出すると、検出誤差が大きくなってしまう。また、前記等速ジョイント2,3の内部での機械的な遊びは、摩耗などによって徐々に変化するため、図10にD1,D2で示すような機械的遊びの角度値も徐々に変化してしまう。一方、軸トルクが印加された状態における図10のグラフの傾きは変化しない。図11には、ある運転状態における軸トルク(図11(A))と検出角度差(図11(B))の例を波形図として示す。
そこで、図10にD1,D2で示す機械的なヒステリシスの大きさを、自動車の運転状態と、検出された角度差のデータとから推定することで、差分算出手段16で求められる前記差分値を補正すれば、機械的遊びに起因する検出精度の低下を解消することができる。図2におけるコントローラ21は、前記データ補正手段17や、後述する軸トルク演算手段18および初期角度保持手段20の処理を制御する手段であり、このコントローラ21は、前記自動車の運転状態と検出された角度差のデータから機械的なヒステリシスの大きさを推定する機械的遊び推定手段22を有する。この機械的遊び推定手段22による推定は、例えば、入力と推定値との関係を設定したテーブルや演算式等の関係設定手段(図示せず)を設けておき、入力を前記関係設定手段と照合することで推定値を得る処理とする。上記関係設定手段には、予め実験やシミュレーション等で適切な関係を得て設定しておけば良い。
この機械的遊び推定手段22には、車両速度、アクセル開度、ブレーキ状態、クラッチや減速機の状態など、自動車の運転状態を示す信号が、車体側の車両走行制御装置から入力される。この入力により、機械的遊び推定手段22は、自動車がアイドリング状態にあるか、あるいは駆動トルクが印加されている状態にあるか等を判断し、推定に用いる。
アイドリング状態のように駆動トルクが印加されていない状態、または非常に小さなトルク状態では、図10のグラフにおけるD1からD2の範囲でねじれ角が容易に変化する。図11(A)のように軸トルクT1が印加されるとドライブシャフト1にねじれが発生し、図11(B)のようにD1を超えたねじれ角が印加された軸トルクに相当する。また、入力軸トルクがT2に変化すると、ねじれ角はD1〜D2をスキップして逆方向に変化し、図11(B)においてD2を超えた分が印加された軸トルクT2に相当する。再び入力軸トルクがなくなると、図10においてD1からD2の範囲で容易に変化する状態になる。
そこで、コントローラ21の機械的遊び推定手段22は、データ補正手段17と共に、運転状態から軸トルクが印加されていないと判断された期間における検出ねじれ角の動きをモニタし、その出現頻度と出力範囲からD1,D2の値の推定する。D1,D2の値はは機械的な遊びなどによって決まるため、それほど急激・頻繁に変化するものではない。したがって、長期間にわたってデータの傾向を分析することにより、推定値の精度を高めることが可能である。データ補正手段17は、推定されたD1,D2の値を用いて、図10の軸トルク−ねじれ角の関係を求めることで、この関係から差分算出手段16で求められる前記差分値(ねじれ角)を正確な値に補正することができる。
図2における軸トルク演算手段18は、前記データ補正手段17で補正された差分値からドライブシャフト1のねじれ量を測定し、そのねじれ量から軸トルクを演算する手段である。出力回路19は、前記軸トルク演算手段18で求められた軸トルクを外部に出力する手段である。初期角度差保持手段20は、ドライブシャフト1に軸トルクが印加されていない状態で前記各回転検出装置8,9の検出する絶対回転角度の初期角度差を保持する手段である。前記差分算出手段16は、求めた絶対回転角度の差分を前記初期角度差保持手段20の保持する初期角度差だけ差し引く補正を行う。
上記構成の軸トルク測定装置を用いた軸トルク測定方法を説明する。
自動車の急発進、急加速時においては、駆動系統に発生する軸トルクは大きく、四輪および二輪車の駆動系統の中でクラッチ部を除く最も剛性の低いところはドライブシャフト1である。そのため、ドライブシャフト1はねじられる。このねじり角度を、前記各回転検出装置8,9が検出する絶対回転角度の差分から測定し、軸トルクを求める。
2つの回転検出装置8,9は、それらの設置位置での絶対回転角度を検出できるため、各回転検出装置8,9からは直接角度データが得られる。各回転検出装置8,9におけるセンサユニット6,7からの出力は、図2に示すABZ信号のようなパルス信号であっても良く、電源オン直後の角度はデータで取得し、その回転を開始してからはパルス信号をカウントする方式としても良い。
各回転検出装置8,9は絶対角度で回転を検出できる構成であるため、電源をオンしたときに既に軸トルクが印加されている状態にあっても、そのときの軸トルクを検出することができる。したがって、例えば自動車のスタート時にエンジントルクがタイヤを通じて路面に伝わる状態の検出も可能になり、高度なエンジン制御、クラッチ制御などにより、運転しやすさ、安全性の向上が可能となる。
また、回転検出装置8,9がパルス信号を出力し、そのパルス信号をカウントすることで角度を算出する方式のものであれば、一度でも誤カウントすると角度差が積算されて残ってしまうため、トルクオフセット値になってしまうが、絶対角度を検出するこの軸トルク測定装置では常に角度差が更新されて得られるので、上記した問題は生じない。
また、パルス信号による位相差測定の方式では時間差によって位相差を検出するので、検出のための時間が必要であるが、絶対回転角度から角度差を演算するこの軸トルク測定装置の場合、即座に軸トルクを求めることができ、車両制御に悪影響を及ぼす検出時間遅れがない。
また、図2の構成では、ドライブシャフト1に軸トルクが印加されていない状態で前記各回転検出装置8,9の検出する絶対回転角度の初期角度差を保持する初期角度差保持手段20を設け、前記差分算出手段16で求められる絶対回転角度の差分(データ補正手段17で補正済みの値)を前記初期角度差保持手段20の保持する初期角度差だけ差し引く補正を行うようにしているので、ドライブシャフト1の回転・静止に関わらず、ドライブシャフト1のねじれを正確に検出することが可能になる。
また、回転検出装置8,9は、バーニヤ式絶対角度検出装置であるため、磁気エンコーダ4A,4B(5A,5B)の磁極ピッチを通常のABSセンサなどと同等(1〜3mm程度の極幅)に保ちながら、磁極数の数倍〜数十倍の高分解能で回転検出が可能になる。このため、センサギャップなど取付け公差を従来と同等(例えば0.5〜2mm程度のセンサギャップ)に保ちながら、自動車のような過酷な使用環境でも高分解能を得ることができる。したがって、わずかな回転ずれをも検出することが可能となり、両回転検出装置8,9の検出する絶対回転角度の差から微小な軸トルクをも検出することができる。
また、回転検出装置8,9の内部には、逓倍前の2相の信号が存在するので、この信号によって回転方向を判別することができ、正負のどちらの方向の軸トルクをも検出することが可能となる。また、坂道での運転における微小な前進や後戻りなども、回転方向と共に軸トルクを検出することができるので、条件に応じた最適なブレーキ制御やトルク制御により、車両の運転しやすさを向上させることが可能となる。
とくに、この軸トルク測定方法では、2つの回転検出装置8,9の出力(絶対回転角度)の差分を差分算出手段16で求め、その差分と自動車の運転状態とに基づいて2つの等速ジョイント2,3間に存在する機械的な遊びの大きさを機械的遊び推定手段22で推定し、その推定値に基づいて前記差分をデータ補正手段17で補正し、その補正された差分値に基づき軸トルク演算手段18によりドライブシャフト1のねじれ角を測定して軸トルクを求めるようにしているので、等速ジョイント2,3の内部等に生じる機械的な遊びに左右されないで、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になる。これにより、ドライブシャフト1の軽量化にも貢献することができる。
図12ないし図16はこの発明の他の実施形態を示す。この実施形態の場合も、図1に示すドライブシャフト1の両端の等速ジョイント2,3に回転検出装置8,9が設置される。ここでは、各センサターゲット4,5は、例えば図14(A),(B)に半部断面図および斜視図で示すように、周面の円周方向に複数の磁極対を等配位置に並べて着磁させたリング状の1つの磁気エンコーダからなり、等速ジョイント外輪2a,3aに対して同心となるように取り付けられる。各センサユニット6,7は、図13に示すように1つの磁気センサ11と逓倍回路25とを有する。図14のセンサターゲット4,5の場合、センサユニット6,7の磁気センサ11は、センサターゲット(磁気エンコーダ)4,5の磁極N,Sを直接検出できるように、その周面に対向するように外径側に配置される。
図14のセンサターゲット(磁気エンコーダ)4,5の構成例はラジアルタイプであるが、図15(A),(B)に半部断面図および斜視図で示すアキシアルタイプのものであっても良い。図15の構成例では、例えば断面をL字形としたリング状のバックメタル10の円筒部10aの一端から外径側に延びるフランジ部10bの側面の円周方向に、複数の磁極対を等配位置に並べて着磁させていて、前記等速ジョイント外輪2a(3a)に前記バックメタル10の円筒部10aを嵌合させることで、等速ジョイント外輪2a(3a)に対して同心となるように取り付けられる。この場合、磁気センサ11は、センサターゲット(磁気エンコーダ)4,5の着磁面に対向するように軸方向に向けて配置される。 なお、センサターゲット4,5としては、前記した磁気エンコーダのほか、歯車状の磁性体からなるパルサーリングを用いても良い。
図12はこの実施形態のドライブシャフトの軸トルク測定装置の概略構成を示し、図13は回転検出装置8,9の概略構成を示す。回転検出装置8,9は、上記したように前記センサターゲット4,5と、これらセンサターゲット4,5に対向して配置されるセンサユニット6,7とでなる。各センサユニット6,7は、対向する各センサターゲット4,5の回転を直接検出する1つの磁気センサ11と、この磁気センサ11が出力する回転信号を逓倍して高分解能な回転パルスを生成する逓倍回路25とを有する。
この実施形態の場合も、磁気センサ11は、対応するセンサターゲット(磁気エンコーダ)4,5の磁極対よりも高い分解能で磁気検出できる機能、つまりセンサターゲト4,5の磁極の範囲内における位置の情報を検出する機能を有するものとされる。この機能を満たすために、例えば磁気センサ11として、先の実施形態で説明した図5の構成例のものや、図6のようなラインセンサが用いられる。図5の構成例とした磁気センサ11の場合、図13における逓倍回路25は、センサターゲット(磁気エンコーダ)4,5の磁極内における逓倍位置情報として回転パルスを出力する。図6のラインセンサからなる磁気センサ11の場合、得られた2相の出力信号sin ,cos を、例えば図16に示す構成の逓倍回路25で処理することにより、前記磁極内における逓倍位置情報として回転パルスを得る。
図16の逓倍回路25は、信号発生手段41と、扇形検出手段42と、マルチプレクサ手段43と、微細内挿手段44とを備える。
信号発生手段41は、前記磁気センサ11の出力である2相の信号sin,cos から、同一の振幅A0 と同一の平均値C0 とを有し、mをn以下の正の整数、iを1〜2m-1の正の整数として、相継いで互いに2π/2m-1 ずつ位相がずれた、2m-1個の信号si を生成する手段である。
扇形発生手段42は、2m 個の等しい扇形Pi を定義するようにコード化された、m個のディジタル信号bn-m+1 ,bn-m+2 ,……,bn-1 ,bn を発生する、2m-1個の信号si によって区切られた2m 個の扇形Pi を検出する手段である。
マルチプレクサ手段43は、上記扇形発生手段42から発生するm個の上記ディジタル信号bn-m+1 ,bn-m+2 ,……,bn-1 ,bn によって制御され、上記信号発生手段41から生成される2m-1 個の上記信号si を処理して、振幅が一連の2m-1個の上記信号si の上記平均値C0 と第1のしきい値L1 との間にある部分によって構成される一方の信号Aと、振幅が一連の2m-1 個の上記信号si の上記第1のしきい値L1 とこのしきい値よりも高い第2のしきい値L2 との間にある部分によって構成される他方の信号Bとを生成するアナログの手段である。
微細内挿手段44は、所望の分解能を得るために、角度2π/2m の2m 個の上記扇形Pi の各々を角度2π/2n の2n-m 個の同じサブ扇形に細分するようにコード化された、(n−m)個のディジタル信号b1 ,b2 ,……,b n-m-1,bn-m を生成するために、2m 個の扇形Pi の各々において、上記マルチプレクサ手段43から生成される上記一方の信号Aと上記他方の信号Bとを微細内挿する手段である。
この逓倍回路25によって、磁気センサ11で得られた2相の信号sin,cos が、逓倍信号である(n−m)個のディジタル信号b1 ,b2 ,……,b n-m-1,bn-m (ここではb1 ,b2 ,……,b8 ,b9 )の回転パルスに逓倍される。
図12の構成において、回転パルス差分算出手段26は、前記各センサユニット6,7の逓倍回路25が生成する回転パルスを計数して、これらの計数値の差分を求める手段である。この回転パルス差分算出手段26は、第1の回転検出装置8側の逓倍回路25が生成する回転パルスを計数する第1のカウンタ27と、第2の回転検出装置9側の逓倍回路25が生成する回転パルスを計数する第2のカウンタ28と、これら両カウンタ27,28の計数値の差分を算出する角度差算出手段16とを備える。
データ補正回路17、軸トルク演算手段18、出力回路19、コントローラ21の機械的遊び推定手段22は、先の実施形態の場合と同様の機能部であり、ここではその説明を省略する。
コントローラ21は、前記機械的遊び推定手段22のほか、オフセットキャンセル手段29と、計数値リセット手段30とを有する。オフセットキャンセル手段29は、前記回転パルス差分算出手段26により求められた回転パルスの差分と、自動車の走行制御装置から送られてくる運転状態を示す所定のデータとから、前記軸トルク演算手段18により求められる軸トルクに含まれる定常オフセット分をキャンセルする手段である。計数値リセット手段30は、前記回転パルス差分算出手段26におけるカウンタ27,28が計数する計数値を、軸トルクの印加されていない運転状態においてリセットする手段である。
上記構成の軸トルク測定装置を用いた軸トルク測定方法を説明する。
図12の各回転検出器8,9では、図13のように、各センサターゲット4,5の回転位置を磁気センサ11で検出し、この磁気センサ11が出力する回転信号を逓倍回路25で逓倍して高分解能な回転パルスを生成する。すなわち、センサターゲット4,5をそれぞれ1つの磁気エンコーダで構成したこの実施形態の場合にも、磁気センサ11と逓倍回路25とでなるセンサユニット6,7(図13)は、センサターゲット(磁気エンコーダ)4,5の磁極数の数倍〜数十倍の回転パルスを生成する逓倍機能を備えている。これにより、ドライブシャフト1の回転を高分解能に検出することができる。この場合、各センサユニット6,7の逓倍回路25のうち、いずれか1つの逓倍回路25の生成する回転パルスは、互いに90°位相の異なるA相およびB相の2つのパルス信号であっても良い。これら2相の信号によって回転方向を判別することができるため、正負のどちらの方向の軸トルクをも検出することが可能となる。また、坂道での運転における微小な前進や後戻りなども、回転方向と共に軸トルクを検出することができるので、条件に応じた最適なブレーキ制御やトルク制御により、車両の運転しやすさを向上させることが可能となる。
前記回転検出器8,9からの出力である回転パルスは、それぞれカウンタ27,28で計数されて、それぞれの角度計数値に保持される。この場合、回転パルスが上記したAB相信号のような位相差信号であれば、正負の回転方向のどちらにも対応できるため、より都合が良い。角度差算出手段16は、各カウンタ27,28に保持されている計数値の差を算出する。データ補正手段17は、先の実施形態の場合と同様に、コントローラ21の機械的遊び推定手段22で推定される機械的遊びの大きさに基づき、前記差分算出手段16により求められる差分値を補正する。軸トルク演算手段17は、補正された回転パルスの差分値からドライブシャフト1のねじれ量を測定し、予め設定されたパラメータにしたがって前記ねじれ量に対応する軸トルクを演算する。得られた軸トルク値は、出力回路18によって、電圧値、電流値、PWM信号、あるいはCANバスなどの通信インタフェースを通じたデータ形式として外部に出力される。
このように、各回転検出器8,9から出力される回転パルスから演算して軸トルクを求めるので、信号位相差を検出する方法では不可能であった、ホイールの片方が停止している状態での軸トルク検出も可能である。
2つの回転検出装置8,9の各センサユニット6,7は互いに異なる分解能であっても良い。この場合、図12の2つのカウンタ27,28は異なる速度で変化することになるので、各計数値の差分を求める前に、両者の公倍数になるように各計数値に定数を掛け算し、変化速度を同じになるようにしてやれば良い。
このように回転パルスを計数し、ドライブシャフト1の現在回転角度を計数値として保持する方法においては、機械的な遊びによって計数値に定常オフセットが発生したり、ノイズによる誤カウントによって両カウンタ27,28の計数値がずれたりして、軸トルク演算に誤差が生じることがある。そこで、この実施形態では、コントローラ21におけるオフセットキャンセル手段29が、軸トルク演算手段18のトルク出力値すなわち角度差をモニタしながら、例えば車両走行制御装置から別途与えられる運転状態に関するデータ(加減速状態、エンジン回転数など)に応じたフィルタ処理を行なって定常オフセット分を抽出して、軸トルク演算手段18での演算処理においてオフセットを除去する。これにより、機械的遊びなどによって発生するオフセットの影響を低減して、正確な軸トルクを検出することができる。
また、この実施形態では、コントローラ21における計数値リセット手段30が、軸トルクの印加されていない運転状態のタイミングで、定期的にカウンタ27,28をリセットする処理を行う。このほか、カウンタ27,28に積算された誤カウント値をリセットするようにしても良い。これにより、カウンタ27,28に積算されたノイズの影響などを除去して、正確な軸トルクを検出することができる。なお、回転検出器8,9から出力される回転パルスが、ABZ信号のようにインデックス信号Zを備えている場合には、ノイズなどによる誤カウントは1回転に1回リセットされるため、前記計数値キャンセル手段30からリセット指令を出さなくても良い。
このように、このドライブシャフトの軸トルク測定方法によると、ドライブシャフト1の微小なねじれ角を高分解能に検出でき、機械的な遊びに起因する検出精度の低下も解消できるため、軸トルクを正確に検出でき、最適な印加トルクをタイヤに供給するような車両走行制御も可能になる。これにより、ドライブシャフト1の軽量化にも貢献できる。また、回転パルスを計数する検出方式のため、2つのセンサターゲット4,6のうち一方が止まっていても検出することができる。したがって、例えば自動車のスタート時にエンジントルクがタイヤを通じて路面に伝わる状態の検出も可能になり、高度なエンジン制御、クラッチ制御などにより、運転しやすさ、安全性の向上が可能となる。
図17ないし図19は、この発明のさらに他の実施形態を示す。図17は、ドライブシャフト1および車輪用軸受50を備える自動車の車輪駆動用ユニットであって、ドライブシャフト1は両端にて等速ジョイント2,3を介して駆動系統に接続される。この実施形態の場合、ドライブシャフト1のインボード側はトリポート型スライド式等速ジョイント2によりディファレンシャル(図示せず)と連結され、アウトボード側はバーフィールド型固定式等速ジョイント3により車輪用軸受50の内方部材52に連結される。
図18は、図17における車輪用軸受50側の部分を拡大して示す縦断面図である。この車輪用軸受50は、外方部材51 と内方部材52の間に複列の転動体53を介在させ、車体に対して車輪を回転自在に支持するものである。
外方部材51は固定側の部材であり、内方部材52は回転側の部材である。各列の転動体53は、各列毎に保持器54に保持されており、外方部材51の内周に形成された複列の転走面55と、内方部材52の外周に形成された複列の転走面56との間に介在する。この車輪用軸受50は、複列のアンギュラ玉軸受型とされ、両列の転走面55,55,56,56は、互いに接触角が背面合わせとなるように形成されている。
図18の例は、いわゆる第4世代型とした例であり、内方部材52が、ハブ輪57と等速ジョイント3の外輪3aとで構成される。
等速ジョイント3は、その外輪3aの球形内面と内輪3bの球形外面とに、軸方向に沿う軌道溝をそれぞれ複数形成し、対向する軌道溝間にトルク伝達ボール83を介在させたものである。トルク伝達ボール83は保持器84に保持される。内輪3bはドライブシャフト1に嵌合させる。等速ジョイント3の外輪3aは、カップ部3aaの外底面から中空軸状のステム部3abが突出する。このステム部3abを車輪用軸受50のハブ輪57内に挿入し、拡径加締によりハブ輪57と一体結合している。ハブ輪57および等速ジョイント3の外輪3aに、内方部材52の各列の転走面56が形成される。等速ジョイント3の外輪3aのカップ部3aaの開口とドライブシャフト1の外周との間には、蛇腹状のブーツ87が被せてある。
ハブ輪57は、アウトボード側の端部近傍の外周に車輪取付フランジ57bを有し、車輪取付フランジ57bにホイールおよびブレーキロータ(いずれも図示せず)が重ね状態で、ハブボルト59によって取り付けられる。ハブボルト59は、車輪取付フランジ57bに設けられたボルト取付孔に圧入されている。外方部材51は、全体が一体の部材からなり、外周に車体取付フランジ51bを有している。外方部材51は、車体取付フランジ51bのボルト孔60に挿通されたナックルボルトにより、懸架装置のナックル(図示せず)に取り付けられる。
外方部材51と内方部材52間の軸受空間の両端は、接触シールなどからなる密封装置61,62によって密封されている。
車輪用軸受50の回転側の部材である内方部材52の外周面には、先の実施形態で説明したセンサターゲット5が取り付けられている。また、図17のように、ドライブシャフト1のインボード側の等速ジョイント2の外輪2aにも同種のセンサターゲット4が取り付けられている。このセンサターゲット4に近接した車体40側の所定位置には、センサユニット6が設置される。このセンサユニット6と前記センサターゲット4とで第1の回転検出装置8が構成され、センサターゲット4の回転位置に対応する絶対回転角度を出力する。車輪用軸受50の内方部材52の外周面に取り付けられた前記センサターゲット5に近接した位置、つまり車輪用軸受50の外方部材51にもセンサユニット7が設置される。このセンサユニット7と前記センサターゲット5とで第2の回転検出装置9が構成され、センサターゲット5の回転位置に対応する絶対回転角度を出力する。このように、等速ジョイント2の外輪2aおよび車輪用軸受50の内方部材52に取り付けられるセンサターゲット4,5に対して非接触の状態で、対応するセンサユニット6,7を前記外輪2aおよび内方部材52の外周側に配置することにより、車輪駆動用ユニットに対して前記各回転検出装置8,9をコンパクトに搭載することができる。
なお、センサターゲット4が等速ジョイント2の外輪2aに取り付けられるインボード側の回転検出装置8については、取付位置をデフケース内の軸受部など、等速ジョイント2が結合されている駆動部品の回転を検出できる位置に設けても良い。例えば、軸受に回転センサを内蔵したものであっても良い。これらの回転検出装置8,9の詳細な構成については言及しないが、図1〜図11に示す実施形態の場合のバーニヤ式絶対角度検出装置であっても、図11〜図16に示す実施形態の場合の構成であっても良い。
車輪用軸受50に設けられる回転検出装置9のセンサユニット7は、図18のように、外方部材51に、両転動体列53,53間で径方向に貫通させたセンサ取付孔63に挿通して取り付けられる。センサターゲット5がラジアルタイプである場合、センサユニット7の先端に配置される磁気センサが、センサターゲット5に対して径方向にギャップを介して対向させられる。センサターゲット5がアキシアルタイプである場合、図19のように、センサユニット7の先端に配置される磁気センサが、前記センサターゲット5に対して軸方向にギャップを介して対向させられる。この場合、センサターゲット5が例えば図15の構成例の磁気エンコーダである場合、そのバックメタル10の円筒部10aを内方部材52に嵌合させることで、内方部材52に対して同心となるように取り付けられる。前記センサ取付孔63は、例えば断面形状が円形の貫通孔である。センサ取付孔63の内面とセンサユニット7との間は、Oリング等の接触シールや、接着剤等で密封する。その他の構成は、図1〜図11に示す実施形態の場合や、図11〜図16に示す実施形態の場合と同様である。
この実施形態の軸トルク測定装置では、ドライブシャフト1におけるインボード側の等速ジョイント2と、アウトボード側の車輪用軸受50との間に生じるねじれ角から、ドライブシャフト1に印加される軸トルクを求めることができる。
この発明の一実施形態にかかるドライブシャフトの軸トルク測定装置を適用するドライブシャフトおよび等速ジョイントの縦断面図である。 軸トルク測定装置の概略構成を示すブロック図である。 同軸トルク測定装置における回転検出装置の概略構成を示すブロック図である。 同軸トルク測定装置におけるセンサターゲットの他の構成例を示す半部正面図である。 同軸トルク測定装置における磁気センサの一構成例の説明図である。 同軸トルク測定装置における磁気センサの他の構成例の説明図である。 磁気センサの検出信号および位相差検出手段の出力信号の波形図である。 各磁気センサの検出信号の位相と両検出信号の位相差を示す波形図である。 回転検出装置の絶対角度検出回路の一構成例を示すブロック図である。 軸トルクとねじれ角の関係を示すグラフである。 (A)は軸トルクの変化を示す波形図、(B)はねじれ角の変化を示す波形図である。 この発明の他の実施形態におけるドライブシャフトの軸トルク測定装置の概略構成を示すブロック図である。 同軸トルク測定装置における回転検出装置の概略構成を示すブロック図である。 (A)は同軸トルク測定装置におけるセンサターゲットの一構成例を示す半部断面図、(B)は同センサターゲットの斜視図である。 (A)は同軸トルク測定装置におけるセンサターゲットの他の構成例を示す半部断面図、(B)は同センサターゲットの斜視図である。 同軸トルク測定装置における逓倍回路の一構成例を示すブロック図である。 この発明のドライブシャフトの軸トルク測定装置を適用する車輪駆動用ユニットの縦断面図である。 同車輪用軸受ユニットにおける車輪用軸受側部分の拡大断面図である。 同車輪用軸受側部分の他の構成例を示す拡大断面図である。
符号の説明
1…ドライブシャフト
2,3…等速ジョイント
2a…等速ジョイントの外輪
4,5…センサターゲット
4A,4B,5A,5B…磁気エンコーダ
6,7…センサユニット
8,9…回転検出装置
11,11A,11B…磁気センサ
11A1,11A2…磁気センサ素子
11a…センサ素子
11AA,11AB…ラインセンサ
12…位相差検出手段
13…角度算出手段
16…差分算出手段
17…データ補正手段
18…軸トルク演算手段
22…機械的遊び推定手段
24…センサモジュール
25…逓倍回路
50…車輪用軸受
52…内方部材(回転側部材)

Claims (13)

  1. 両端にて等速ジョイントを介して自動車の駆動系統に接続されるドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、前記ドライブシャフトにおける他端側の等速ジョイントの外輪またはこの等速ジョイントを介して連結される車輪用軸受の回転側部材とにセンサターゲットを設けると共に、これら各センサターゲットに対向して、各センサターゲットの回転を検出するセンサを設け、これらのセンサの出力比較によりドライブシャフトの軸トルクを求めるドライブシャフトの軸トルク測定装置であって、
    前記各センサの出力の差分を求める差分算出手段と、この差分算出手段により求められる差分と自動車の運転状態とから前記各センサターゲットが設けられる部材間に存在する機械的な遊びの大きさを推定する機械的遊び推定手段と、この機械的遊び推定手段による推定値に基づき、前記差分算出手段により求められる差分を補正するデータ補正手段と、このデータ補正手段により補正された差分からドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求める軸トルク演算手段とを設けたことを特徴とするドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  2. 請求項1において、前記機械的遊び推定手段には、自動車の運転状態を示す信号として、車両速度、アクセル開度、ブレーキ状態、クラッチや減速機の状態を示す信号のうち、少なくともいずれか1つの信号が入力されて前記推定に用いるものとしたドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記機械的遊び推定手段は、軸トルクが印加されていない運転状態にある期間を推定し、その期間におけるドライブシャフトのねじれ角の分布を統計処理して、その出現頻度および出現領域を算出することで、機械的な遊びにより前記差分算出手段により求められる差分に生じるヒステリシス成分の大きさを推定するものとしたドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記各センサは磁気センサであり前記各センサターゲットはその設置部材と同心に設けられた磁気エンコーダであって、前記磁気センサは、前記磁気エンコーダの磁極ピッチ内で互いにずれた位置に配置された複数のセンサ素子を有し、sin および cosの2相の信号出力を得られるものであって、磁極内における位置を逓倍して検出するものであるドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記各センサは磁気センサであり前記各センサターゲットはその設置部材と同心に設けられた磁気エンコーダであって、前記磁気センサは、前記磁気エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセンサ素子が並ぶラインセンサで構成され、sin および cosの2相の信号出力を演算によって生成して、磁極内における位置を逓倍して検出するものであるドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  6. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記各センサは前記センサターゲットの絶対回転角度を検出するものであるドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  7. 請求項6において、前記各センサターゲットは、その設置部材と同心に設けられ互いに磁極数が異なる複数の磁気エンコーダからなり、前記各センサは、前記複数の磁気エンコーダの磁界をそれぞれ検出する複数の磁気センサを有し、これらの各磁気センサは磁気エンコーダの磁極内における位置の情報を検出する機能を有したものであり、前記各磁気センサの検出した磁界信号の位相差を求める位相差検出手段と、この検出した位相差に基づいて前記センサターゲットの絶対回転角度を算出する角度算出手段とを有するドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  8. 請求項7において、前記磁気センサは、前記磁気エンコーダの磁極の並び方向に沿ってセンサ素子が並ぶラインセンサで構成され、sin および cosの2相の信号出力を演算によって生成して、磁極内における位置を逓倍して検出するものであるドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  9. 請求項7または請求項8において、前記各センサの磁気センサ、位相差検出手段、および角度算出手段を互いに一体化されたセンサモジュールとしたドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  10. 請求項9において、前記センサモジュールが半導体チップに集積されたものであるドライブシャフトの軸トルク測定装置。
  11. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の軸トルク測定装置を、ドライブシャフトに搭載した軸トルク測定装置付きドライブシャフト。
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の軸トルク測定装置を、車輪用軸受およびドライブシャフトを備える車輪駆動用ユニットに搭載した軸トルク測定装置付き車輪駆動用ユニット。
  13. 両端にて等速ジョイントを介して自動車の駆動系統に接続されるドライブシャフトにおけるディファレンシャル側の等速ジョイントの外輪と、前記ドライブシャフトにおける他端側の等速ジョイントの外輪またはこの等速ジョイントを介して連結される車輪用軸受の回転側部材とにセンサターゲットを設けると共に、これら各センサターゲットに対向して、各センサターゲットの回転を検出するセンサを設け、これらのセンサの出力比較によりドライブシャフトの軸トルクを求めるドライブシャフトの軸トルク測定方法であって、
    前記各センサの出力の差分を求め、その差分と自動車の運転状態とから前記各センサターゲットが設けられる部材間に存在する機械的な遊びの大きさを推定し、その推定値に基づき、前記各センサの出力の差分を補正し、その補正された差分からドライブシャフトのねじれ角を測定して軸トルクを求めることを特徴とするドライブシャフトの軸トルク測定方法。
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