以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の第1実施の形態に係る複写機を概略的に示す斜視図であり、図2は、図1の複写機の側面図であり、図3は、図1の複写機の原稿読取部が開いた状態を示す側面図であり、図4は、図1の複写機における原稿読取部と画像形成部との間に設けられたスライド部を説明するための図であり、図5は図1の複写機のロック機構を説明するための図4(a)に示すR−R断面図であり、図6は図5のロック機構における一方の係止部材の動作を説明するための図であり、図7は図5のロック機構における他方の係止部材の動作を説明するための図である。
図1及び図2に示すように、複写機1は、概して、シートに画像を形成する画像形成部であるプリンタ部3と、このプリンタ部3の上方に配置され、原稿画像を読み取る原稿読取部であるスキャナ5と、このスキャナ5の上方に配置され、スキャナ5の後述する原稿載置部5bに載置された原稿を覆う圧板(蓋部)7とを備えている。尚、本実施の形態としては、画像形成装置として複写機1を例示しているが、これに限定されず、画像形成装置としては、パソコン等から出力された画像データに対応した画像を形成するプリンタ、ファクシミリ或いはこれらと複写機との複合機であっても良いことは言うまでもない。
プリンタ部3は、シートを収納すると共に、この収納したシートを感光体ドラムに向けて給紙する給紙カセット4と、この給紙カセット4から給紙されたシートに対し、スキャナ5が読み取った原稿画像に対応する画像を形成する図示しない形成部と、給紙カセット4の上方に設けられ、上述した形成部によって画像が形成されたシートが排紙されてスタックされる排紙トレイ6とを備えている。排紙トレイ6に排紙されたシートは、複写機1の前面Aに形成された開口6aからユーザーによって取り出されるようになっている。
尚、形成部には、スキャナ5が読み取った原稿画像に対応する静電潜像を担持する像担持体である感光体ドラム、この感光体ドラムの外周面を一様に帯電する帯電装置、読取部が読み取った画像に対応する静電潜像を帯電装置によって帯電した感光体ドラムに形成する露光装置、感光体ドラムの静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置、感光体ドラムのトナー像をシートに転写する転写装置、シートに転写されたトナー像をシートに定着する定着装置等が配置されているが、本実施の形態ではその図示及びその詳細な説明は省略する。尚、プリンタ部3としては、上述したような静電複写方式の他に、インクジェット方式等の他の画像形成手段を用いるようにしても良いことは言うまでもない。
スキャナ5は、その上面5aに原稿が載置されるコンタクトガラス等の原稿載置部5bが形成されており、この原稿載置部5bに載置された原稿を、内蔵された読取部によって読み取り、この読み取った原稿画像データをプリンタ部3に出力するようになっている。
図3及び図4に示すように、スキャナ5とプリンタ部3との間には、スキャナ5をプリンタ部3に対して矢印Bで示す後方に水平にスライド移動させるためのスライド機構9が設けられており、スキャナ5を後方にスライドすることにより排紙トレイ6が露出して、この排紙トレイ6に排紙されたシートを取り易くすることができる。
このスライド機構9は、プリンタ部3の上面にスライド自在に取り付けられた板状のレール10と、このレール10のスライド量を規制する規制部材11とを備えている。図4(a)に示すように、レール10の後端部(図において左端部)には、スキャナ5の側面に形成された回動支点5Aを軸支する軸支部10aが設けられている。これにより、スキャナ5は、回動支点5Aを中心に、プリンタ部3の上方を覆う閉位置(図1および図2に示す位置)とプリンタ部3の上方を開放する開位置(図3に示す位置)とに回動自在になっている。本実施の形態では、スキャナ5が開位置にあるときには、プリンタ部3の上面3aの排紙トレイ6等が露出するため、紙詰まり処理、プリンタ部3へのインクやトナーの補給等が行えるようになっている。尚、図4(a)においては、圧板7の図示は省略している。
このスキャナ5のプリンタ部3に対する開き角度は、図示しないストッパ等によって、90度未満に規制されるようになっており、圧板7が過剰に回動して、複写機1の背面にある壁等に圧板7が衝突するのを防止でき、圧板7の損傷を防止することができる。
レール10の側面には、図4(b)に示すように、板状の切り欠き10bがレール10のスライド方向(矢印B参照)に沿って間隔をおいて形成されている。一方、規制部材11は、可撓性を有する金属や樹脂等によって構成されており、規制部材11の後端部には、切り欠き10bに係合可能なように凸状に折り曲げて形成された係合突起11aが形成されている。この規制部材11は、プリンタ部3の上面において、レール10の側方でかつ係合突起11aが切り欠き10bに係合可能な位置に固定されており、係合突起11aが切り欠き10bに係合することによって、レール10のスライド量(スライド位置)を段階的に規制(設定)できるようになっている。
尚、本実施の形態では、切り欠き10bと係合突起11aとの係合及び解除によって、レール10のスライド量を規制しているが、係合突起11aに代えてピニオンを設け、切り欠き10bに代えてピニオンが歯合するラックを設けるようにしても良く、この場合、スキャナ5のスライド量を無段階(任意の位置)に設定することができる。
また、スキャナ5の上面5aにおける後端部には、圧板7の側面に形成された回動支点7Aを軸支する軸支部5Bが設けられて、圧板7が、回動支点7Aを中心に、スキャナ5の原稿載置部5bを覆う閉位置(図1および図2に示す位置)と原稿載置部5bを開放する開位置(図6(a)に示す位置)とに回動自在となっている。この圧板7のスキャナ5に対する開き角度は、図示しないストッパ等によって、90度未満に規制されるようになっており、スキャナ5が過剰に回動して、開き方向にかかる荷重が必要以上に増大するのを防止することができる。
尚、図1において、符号12aは、ユーザー(使用者)がスキャナ5を開ける際に手を差し込むための凹状の取っ手であり、この取っ手12aは、スキャナ5の下面5eにおける前端部の中央に形成されている。また、図1において、符号12bは、ユーザー(使用者)が圧板7を開ける際に手を差し込むための取っ手であり、この取っ手12bは、スキャナ5の上面5aにおける前端部の中央に形成されている。本実施の形態では、スキャナ5に取っ手12a、12bを形成したが、スキャナ5または圧板7の何れか一方のみ、或いはスキャナ5または圧板7の両方に取っ手を形成するようにしても良いと共に、取っ手12a、12bの形成箇所を適宜変更することができることは言うまでもない。
図5に示すように、スキャナ5は、その内部に、圧板7の開位置への回動に連動してスキャナ5とプリンタ部3とをロックし、スキャナ5の開位置への回動に連動して圧板7とスキャナ5とをロックするロック機構13が配置されている。このロック機構13は、スキャナ5内において、左右方向(紙面を貫通する方向)に延びていると共にスキャナ5のスライド方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた一対の回動軸15、16にそれぞれ、回動自在に軸支された一対の係止部材17、19を備えている。
本実施の形態では、これらの係止部材17、19のうち、スキャナ5の後方側(図5において左側、以後、単に「後方側」という。)に位置する一方の係止部材17は、プリンタ部3に係止して、プリンタ部3とスキャナ5とをロックする係止位置(図6(b)に示す位置)と、この係止位置から離れて係止状態を解除する解除位置(図5に示す位置)とに回動自在となっている。また、スキャナ5の前方側(図5において右側、以後、単に「前方側」という。)に位置する他方の係止部材19は、圧板7に係止して、圧板7とスキャナ5とをロックする係止位置(図7(b)に示す位置)と、この係止位置から離れて係止状態を解除する解除位置(図5に示す位置)とに回動自在になっている。
一方の係止部材17は、回動軸15から前後方向に延びる基端部17aと、この基端部17aの後端部から上方に延びる上部17bと、基端部17aの前端部から下方に延びる下部17cとを有している。そして、これら上部17b及び下部17cの上下方向の長さは、基端部17aの前後方向の長さよりも長く形成されている。また、他方の係止部材19も同様に、回動軸16から前後に延びる基端部19aと、この基端部19aの前端部から上方に延びる上部19bと、基端部19aの後端部から下方に延びる下部19cとを有している。そして、これら上部19b及び下部19cの上下方向の長さは、基端部19aの前後方向の長さよりも長く形成されている。
一方の係止部材17の上部17bの上端部には、スキャナ5の上面5aに形成された開口5fから上方に突出した上突出部17dが形成されており、下部17cの下端部には、スキャナ5の下面5eに形成された開口5gから下方に突出した下爪17eが形成されている。また、他方の係止部材19の下部19cの下端部には、スキャナ5の下面5eに形成された開口5hから下方に突出した突出部19dが形成されており、上部19bの上端部には、スキャナ5の上面5aに形成された開口5iから上方に突出した上爪19eが形成されている。
一方の係止部材17において、下部17cは、この下部17cの後方側に位置する上部17bよりも長く形成されて、上部17bよりも重量の大きいバランスウェイトとされている。したがって、一方の係止部材17は下部17c側に偏心しており、この下部17cにより一方の係止部材17は、係止位置に向けて(図6(b)の矢印C参照)常時付勢されている。即ち、一方の係止部材17の下部17cは、係止部材17を係止位置に向けて常時付勢する付勢部としても機能するようになっている。
他方の係止部材19においては、下部19cは、この下部19cの後方側に位置する上部19bよりも重量の大きいバランスウェイトとされている。したがって、他方の係止部材19は下部19c側に偏心しており、この下部19cにより他方の係止部材19は、係止位置に向けて(図7(b)の矢印D参照)常時付勢されている。即ち、他方の係止部材19の上部19bは、係止部材19を係止位置に向けて常時付勢する付勢部としても機能するようになっている。
ここで、図5に示す閉位置にある圧板7の下面7aのうち、解除位置にある一方の係止部材17の上部17bにおける上端に対面する箇所は、この上部17bの上端を押圧して、一方の係止部材17を解除位置に保持する押圧面7bとされている。また、プリンタ部3の上面3aのうち、解除位置にある他方の係止部材19の下部19cの下端に対面する箇所は、この下部19cの下端を押圧して、他方の係止部材19を解除位置に保持する押圧面3bとされている。このように、本実施の形態では、上述の各押圧面3b、7bによって、各係止部材17、19を解除位置に保持する保持部を構成している。
また、図5に示す閉位置にある圧板7の下面7aのうち、解除位置にある他方の係止部材19の上爪19eに対応する箇所には、この上爪19eを収納する空間を有する上収納部21が形成されており、この上収納部21の内側には、上爪19eが係止するフック状の上係止部21aが形成されている。更に、プリンタ部3の上面3aのうち、解除位置にある一方の係止部材17の下爪17eに対応する箇所には、この下爪17eを収納する空間を有する下収納部23が形成されており、この下収納部23の内側には、下爪17eが係止するフック状の下係止部23aが形成されている。尚、各係止部21a、23aの形状は、フック状に限定されず、例えば、棒状等であっても良く、要は、各爪部17e、19eが係止可能な形状であれば良い。
このように、本実施の形態では、ロック機構13は、各係止部材17、19と、これらの各係止部材17、19に形成された付勢部である下部17c、19cと、圧板7及びプリンタ部3に形成された保持部である押圧面7b、3bと、圧板7及びプリンタ部3に形成され、各係止部材17、19の各爪17e、19eが係止する各係止部21a、23aとから構成されている。
次に、上述した構成に基づき、本実施の形態の作用を説明する。図5に示すように、圧板7及びスキャナ5が共に閉位置にあるときには、一方の係止部材17は、その上突出部17dの上端が圧板5の押圧面7bに押圧されて解除位置に保持されていると共に、他方の係止部材19は、その下突出部19dの下端がプリンタ部3の押圧面3bに押圧されて解除位置に保持されている。
この状態から、図6(a)に示すように、スキャナ5をプリンタ部3の後方にスライドさせてから、圧板7を開位置に向けて回動させて圧板7を開くと、図6(b)に示すように、一方の係止部材17に対する押圧面7bの押圧が解除されることにより、下部17c側に偏心している一方の係合部材17が、回動軸15を中心に矢印C方向に回動し、係止部材17の下爪17eがプリンタ部3の下係止部23aに係止する。これにより、プリンタ部3とスキャナ5とがロックされて、プリンタ部3に対してスキャナ5が開くのを防止する。
そして、開位置にある圧板7を閉位置に向けて回動させて閉じると、圧板7の押圧面7bが上突出部17dの上端を押圧することにより、図6(b)に示す係止位置にある一方の係止部材17が、下部17cによる付勢力に抗して、解除位置に向けて回動する。これにより、下爪17eが下係止部23aから外れて、プリンタ部3とスキャナ5とのロック状態が解除される。
一方、圧板7及びスキャナ5が共に閉位置にある状態から、図7(a)に示すように、スキャナ5をプリンタ部3の後方にスライドさせてから、スキャナ5を開位置に向けて回動させてスキャナ5を開くと、図7(b)に示すように、下突出部19dの下端に対する押圧面3bの押圧が解除されることにより、下部19c側に偏心している他方の係合部材19が、回動軸16を中心に矢印D方向に回動し、他方の係止部材19の上爪19eが圧板7の上係止部21aに係止する。これにより、圧板7とスキャナ5とがロックされて、スキャナ5に対して圧板7が開くのを防止する。
そして、開位置にあるスキャナ5を閉位置に向けて回動させて閉じると、プリンタ部3の押圧面3bが下突起部19dの下端を押圧することにより、図6(b)に示す係止位置にある一方の係止部材19が、下部19cによる付勢力に抗して、解除位置に向けて回動する。これにより、上爪19eが上係止部21aから外れて、圧板7とスキャナ5とのロック状態が解除される。
尚、スキャナ5をプリンタ部3の後方にスライドさせず、スキャナ5が図2に示す初期位置にある状態で、圧板7やスキャナ5を開いた場合であっても、プリンタ部3とスキャナ5とのロック及び圧板7とスキャナ5とのロックが行われるのは、言うまでもない。また、圧板7及びスキャナ5は、実際には、図6(a)及び図7(a)に示すように、それぞれの回動支点7A、5Aを中心に回動するが、図6(b)及び図7(b)においては、説明を容易にするため、圧板7がスキャナ5の上方に水平に離れた状態及びスキャナ5がプリンタ部3の上方に水平に離れた状態を図示している(後述する他の実施の形態に係る図9乃至12も同様に図示する)と共に、説明上、主要でない部分は省略して図示することとする。
以上説明したように、本実施の形態では、圧板7が開位置に回動したとき、これに連動してスキャナ5とプリンタ部3とをロックすると共に、スキャナ5が開位置に回動したとき、これに連動して圧板7とスキャナ5とをロックするロック機構13を設けているので、圧板7やスキャナ5を開けるだけで、圧板7とプリンタ部3とのロック動作またはプリンタ部3とスキャナ5とのロックが自動的に行われるため、開動作の前にロック操作を行う手間を省くことができる。
また、圧板7を開けた場合には、プリンタ部3とスキャナ5とがロックされるので、プリンタ部3に対するスキャナ5の衝突を防止することができ、スキャナ5を開いた場合には、圧板7とスキャナ5とがロックされるので、圧板7とスキャナ5との衝突を防止することができるので、衝突によるプリンタ部3、スキャナ5及び圧板7の損傷を防止することができる。
更に、圧板7のみを開けた場合においても、プリンタ部3とスキャナ5とがロックされるので、圧板7と共にスキャナ5がプリンタ部3から開くといった図8に示すような状態を防止することができる。これにより、開き方向における荷重が増大するのを防止することができるため、複写機1の転倒を防止することができる。この結果、複写機1の損傷や、転倒した複写機1に衝突した壁等の損傷を防止することができる。
次に、他の実施の形態を順次説明するが、その説明にあたり、上述と同様な構成要素には、同一の符号を付することによって、その説明を省略する。
図9は、第2実施の形態に係るロック機構を概略的に示す断面図である。図9(a)に示すように、スキャナ5の内部には、圧板7の開位置への回動に連動してスキャナ5とプリンタ部3とをロックし、スキャナ5の開位置への回動に連動して圧板7とスキャナ5とをロックするロック機構25が配置されている。このロック機構25は、スキャナ5内に設けられ、左右方向に延びた回動軸26に回動自在に軸支された単一の係止部材27を備えている。本実施の形態では、係止部材27は、プリンタ部3または圧板7に係止する係止位置(図9(b)及び(c)に示す位置)と、この係止位置から離れて係止状態を解除する解除位置(図9(a)に示す位置)とに回動自在となっている。
この係止部材27は、係止部材27が解除位置にあるときにおいて、回動軸26から上方に向けて延びると共に上端部に上爪27cが形成されている上部27aと、回動軸26から下方に抜けて延びると共に下端部に下爪27dが形成されている下部27bとを有しており、これらの上部27aと下部27bとは略同じ長さに設定されている。本実施の形態では、下部27bの回動軸26の寄りの部分には、係止部材27を矢印Dで示す係止位置に向けて常時付勢するバランスウェイト(付勢部)28が一体に形成されている。
また、上部27aの爪部27cは、スキャナ5の上面5aに形成された開口5jから上方に突出していると共に、その上面には斜面27eが形成されている。同様に下部27bの爪部27dは、スキャナ5の下面5eに形成された開口5Pから下方に突出していると共に、その下面には斜面27fが形成されている。
一方、図9(a)に示す閉位置にある圧板7の下面7aのうち、解除位置にある係止部材27の上爪27cに対応する箇所には、この上爪27cを収納する凹状の空間を有する上収納部29が形成されている。この上収納部29には、解除位置にある係止部材27の上爪27cが当接されて係止部材27を係止位置に保持するストッパ(上当接部)29aを有すると共に内径が上爪27cよりも大きい小径収納部29bと、この小径収納部29bの下方に設けられ、小径収納部29bよりも内径が大きいと共に、係止位置にある係止部材27の上爪27cが係止するフック状の上係止部29cが設けられた大径収納部29dとが形成されている。
更に、プリンタ部3の上面3aのうち、解除位置にある係止部材27の下爪27dに対応する箇所には、この下爪27dを収納する空間を有する凹状の下収納部31が形成されている。この下収納部31には、解除位置にある係止部材27の下爪27dが当接されて係止部材27を係止位置に保持するストッパ(下当接部)31aを有すると共に内径が下爪27dよりも大きい小径収納部31bと、この小径収納部31bの上方に設けられ、小径収納部31bよりも内径が大きいと共に、係止位置にある係止部材27の下爪27dが係止するフック状の下係止部31cが設けられた大径収納部31dとが形成されている。
このように、本実施の形態では、ロック機構25は、係止部材27と、係止部材27に形成された付勢部であるバランスウェイト28と、圧板7及びプリンタ部3に形成された保持部である各収納部29、31と、圧板7及びプリンタ部3に形成され、係止部材27の両端の各爪27c、27dが係止する各係止部29c、31cとから構成されている。
次に、上述した構成に基づき、本実施の形態の作用を説明する。図9(a)に示すように、圧板7及びスキャナ5が共に閉位置にあるときには、係止部材27の各爪27c、27dが各ストッパ29a、31aに当接されて解除位置に保持されている。
この状態から、図9(b)に示すように、圧板7を開位置に向けて回動させて圧板7を開くと、係止部材27の上爪27cとストッパ29aとの当接状態が解除されることにより、係合部材27が、バランスウェイト28の作用によって回動軸26を中心に矢印E方向に回動し、係止部材27の下爪27dがプリンタ部3の下係止部31cに係止する。これにより、プリンタ部3とスキャナ5とがロックされて、プリンタ部3に対してスキャナ5が開くのを防止する。
そして、図9(b)に示す開位置にある圧板7を閉位置に向けて回動させて閉じると、圧板7のストッパ29aが上爪27cの斜面27eを押圧することにより、係止位置にある係止部材27が、バランスウェイト28による付勢力に抗して、解除位置に向けて回動する。これにより、下爪27dが下係止部31cから外れて、プリンタ部3とスキャナ5とのロック状態が解除される。
一方、圧板7及びスキャナ5が共に閉位置にある状態から、図9(c)に示すように、スキャナ5を開位置に向けて回動させてスキャナ5を開くと、下爪27dがストッパ31aから離れることにより、係合部材19が、回動軸26を中心に矢印E方向に回動し、係止部材27の上爪27cが圧板7の上係止部29cに係止する。これにより、圧板7とスキャナ5とがロックされて、スキャナ5に対して圧板7が開くのを防止する。
そして、図9(c)に示す開位置にあるスキャナ5を閉位置に向けて回動させて閉じると、プリンタ部3のストッパ31aが下爪27dの斜面27fを押圧することにより、係止位置にある係止部材27が、バランスウェイト28による付勢力に抗して、解除位置に向けて回動する。これにより、上爪27cが上係止部29aから外れて、圧板7とスキャナ5とのロック状態が解除される。
この第2実施の形態では、上述した第1実施の形態と同様な効果を奏すると共に、単一の係止部材27を用いているので、一対の係止部材を用いる場合に比べて、製造コストの低減及び省スペース化を図ることができる。
図10は、第3実施の形態に係るロック機構を概略的に示す断面図である。図10(a)に示すように、スキャナ5は、その内部に、圧板7の開位置への回動に連動してスキャナ5とプリンタ部3とをロックし、スキャナ5の開位置への回動に連動して圧板7とスキャナ5とをロックするロック機構33が配置されている。このロック機構33は、スキャナ5内において、左右方向に延びていると共にスキャナ5のスライド方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた一対の回動軸35、36にそれぞれ、回動自在に軸支された一対の係止部材37、39を備えている。
本実施の形態では、これらの係止部材37、39のうち、後方側に位置する一方の係止部材37は、プリンタ部3の下収納部23の下係止部23aに係止して、プリンタ部3とスキャナ5とをロックする係止位置(図10(b)に示す位置)と、この係止位置から離れて係止状態を解除する解除位置(図10(a)に示す位置)とに回動自在となっている。また、スキャナ5の前方側に位置する他方の係止部材39は、圧板7の上収納部21の上係止部21aに係止して、圧板7とスキャナ5とをロックする係止位置(図10(c)に示す位置)と、この係止位置から離れて係止状態を解除する解除位置(図10(a)に示す位置)とに回動自在となっている。
一方の係止部材37は、回動軸35から上方に延びる上部37aと、回動軸35から下方に延びる下部37bと、回動軸35から前方に延びるバランスウェイト37cとを有しており、このバランスウェイト37cにより一方の係止部材37は、係止位置に向けて(図10(b)の矢印F参照)常時付勢されている。
解除位置にある一方の係止部材37の上部37aの上端は、スキャナ5の上面5a手前近傍まで延びていると共に、マグネット(磁石)40aが設けられている。また、圧板7の下面7aのうち、解除位置にある一方の係止部材37のマグネット40aと対向する箇所には、マグネット40aと互いに引き合う磁極(例えば、マグネット40aがS極であれば、N極)のマグネット41aが設けられており、これらのマグネット40a、41aの磁力によって、一方の係止部材37が係止位置に保持されるようになっている。一方、解除位置にある一方の係止部材37における下部37bの下端部には、スキャナ5の開口5gから下方に突出し、下係止部23aに係止する下爪37dが形成されている。
他方の係止部材39は、回動軸36から上方に延びる上部39aと、回動軸36から下方に延びる下部39bと、回動軸36から前方に延びるバランスウェイト39cとを有しており、このバランスウェイト39cにより他方の係止部材39は、係止位置に向けて(図10(c)の矢印G参照)常時付勢されている。
解除位置にある他方の係止部材39の上部39aの上端部には、スキャナ5の開口5iから上方に突出し、上係止部21aに係止する上爪39dが形成されている。一方、解除位置にある他方の係止部材39の下部39bの下端は、スキャナ5の下面5e手前近傍まで延びていると共に、マグネット40bが設けられている。また、プリンタ部3の上面3aのうち、解除位置にある他方の係止部材39のマグネット40bと対向する箇所には、マグネット40bと互いに引き合う磁極のマグネット41bが設けられており、これらのマグネット40b、41bの磁力によって、他方の係止部材39が係止位置に保持されるようになっている。
本実施の形態では、各マグネット40a、40b、41a、41bの着磁力は、バランスウェイト37c、39cによる付勢力よりも大きく設定されており、これによって、各係止部材37、39は解除位置に保持されるようになっている。したがって、図10(b)に示すように、圧板7を開けると、各マグネット40a、41aによる磁力が及ばなくなるため、一方の係止部材37はバランスウェイト37cの作用により、係止位置に向けて回動し、同様に、図10(c)に示すように、スキャナ5を開けると、各マグネット40b、41bによる磁力が及ばなくなって、他方の係止部材39が係止位置に向けて回動する。そして、圧板7を閉じると、各マグネット40a、41aの磁力によって一方の係止部材37が解除位置に向けて回動して解除位置に保持され、スキャナ5を閉じると、各マグネット40b、41bの磁力によって他方の係止部材39が解除位置に向けて回動して解除位置に保持される。
本実施の形態では、第1実施の形態と同様な作用効果を奏すると共に、マグネットの磁力によって各係止部材37、39を係止位置に保持することができるので、係止位置にある一方の係止部材37における上部37aの上端、及び他方の係止部材39における下部39bの下端を、スキャナ5内に収納することができる。この結果、係止位置にある各係止部材37、39の上部37aの上端や下部39bの下端がスキャナ5から露出しないため、係止位置にある各係止部材37、39を操作して係止状態を解除して不意にスキャナ5や圧板7が開いてしまうのを防止することができる。
尚、本実施の形態では、各係止部材37、39にマグネット40a、40bを設けたが、これに代えて、各係止部材37、39を鉄等の磁性体で構成して、この鉄等の係止部材37、39に作用するマグネット41a、41bにより各係止部材37、39を解除位置に保持するようにすることもできる。また、各係止部材37、39をマグネットで構成し、各マグネット41a、41bに代えて鉄板等の磁性体を設けて、各係止部材37、39を保持するようにしてもよく、これらのいずれの場合であっても、本実施の形態と同様な作用効果を奏する。
図11及び図12は、第4実施の形態に係るロック機構を概略的に示す断面図である。これらの図11及び図12に示すように、スキャナ5は、その内部に、圧板7の開位置への回動に連動してスキャナ5とプリンタ部3とをロックし、スキャナ5の開位置への回動に連動して圧板7とスキャナ5とをロックするロック機構43が配置されている。このロック機構43は、スキャナ5内において、左右方向に延びていると共にスキャナ5のスライド方向に沿って互いに間隔をあけて設けられた一対の回動軸45、46にそれぞれ、回動自在に軸支されていると共に左右方向に並ぶように配置された一対の係止部材47、49を備えている。
本実施の形態では、これらの係止部材47、49のうち、左側に位置する一方の係止部材47は、プリンタ部3の下収納部23の下係止部23aに係止して、プリンタ部3とスキャナ5とをロックする係止位置(図11(b)に示す位置)と、この係止位置から離れて係止状態を解除する解除位置(図11(a)に示す位置)とに回動自在となっている。また、スキャナ5の右側に位置する他方の係止部材49は、圧板7の上収納部21の上係止部21aに係止して、圧板7とスキャナ5とをロックする係止位置(図12(b)に示す位置)と、この係止位置から離れて係止状態を解除する解除位置(図12(a)に示す位置)とに回動自在となっている。
一方の係止部材47は、回動軸45から前後に延びた基端部47aと、この基端部47aの後側部47gから上方に延びた上部47bと、基端部47aの前側部47cにおける回動軸45寄りの箇所から下方に延びた下部47dとを有している。
解除位置にある一方の係止部材47における上部47bの上端部には、スキャナ5の開口5fから上方に突出して、圧板7の下面7aに形成された押圧面7bによって押圧されている上突出部47eが形成されている。また、解除位置にある一方の係止部材47における下部47cの下端部には、プリンタ部3aの下係止部23aに係止する下爪47fが形成されている。
一方の係止部材47の前側部47cの長さは、後側部47gよりも長く形成されて、後側部47gよりも重いバランスウェイトとされており、これにより、一方の係止部材47は前側部47c側に偏心しており、この前側部17cにより一方の係止部材47は、係止位置に向けて(図11(b)の矢印H参照)常時付勢されている。
他方の係止部材49は、回動軸46から前後に延びた基端部49aと、この基端部49aの後側部49gにおける回動軸46寄りの箇所から上方に延びた上部49bと、後側部49gの後端部から下方に延びた下部49dとを有している。
解除位置にある他方の係止部材49における上部49bの上端部には、圧板7の上係止部21aに係止する上爪49fが形成されている。また、係止位置にある他方の係止部材49における下部49dの下端部は、スキャナ5の開口5hから下方に突出して、プリンタ部3の上面3aに形成された押圧面3bによって押圧されている下突出部49eが形成されている。
また、他方の係止部材49の後側部49g及び49dの重量は、前端部49cよりも重く形成されたバランスウェイトとされており、これにより、他方の係止部材49は後側部49g側に偏心しており、この後側部49gにより他方の係止部材49は、係止位置に向けて(図12(b)の矢印I参照)常時付勢されている。
ここで、本実施の形態では、一方の係止部材47の前側部47cの前端部には、この前端部から下方に膨出した板状のシャッタ部47hが形成されており、他方の係止部材49の前側部49cの前端部には、この前端部から上方に膨出した板状のシャッタ部49hが形成されている。これらのシャッタ部47h、49hは、各押圧面3b、7bによる係止位置への保持状態から解除されて、各係止部材47、49が係止位置に回動したときに、図11(b)及び図12(b)に示すように、取っ手12a及び圧板7の前端の中央部に形成された凹状の取っ手12c内に突出して、取っ手12a、12cを塞ぐようになっている。
本実施の形態では、第1実施の形態と同様な作用効果を奏すると共に、スキャナ5が開いているときは、シャッタ部49hが取っ手12aを塞ぎ、圧板7が開いているときにはシャッタ部47hが取っ手12bを塞ぐので、スキャナ5が開いた状態で取っ手12aに手を差し入れて圧板7を強引に開けたり、圧板7が開いた状態で取っ手12cに手を差し入れてスキャナ5を強引に開けたりするのを防止することができる。この結果、強引な開動作に起因するロック機構43の破損を防止することができる。
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。
例えば、上記第1、第3及び第4実施の形態では、一対の回転軸によってそれぞれの係止部材を回動させるようにしていたが、これに代えて、図13に示すように、単一の回動軸51によって各係止部材53、55を回動自在に軸支するようにしても良い。この場合、上記第1、第3、及び第4実施の形態と同様な作用効果を奏すると共に、回動軸51の部品点数が減少して、製造コストの低減及びスキャナ5内に省スペース化を図ることができる。
尚、図13においては、各係止部材53、55は、左右に配置されており、各係止部材53、55の構成は以下のとおりである。すなわち、左側の一方の係止部材53は、回動軸51の前後に延びる基端部53aと、基端部53aの後端部から上方に延びると共に、その上端に圧板7の押圧面7bに押圧される上突出部53cが形成された上部53bと、基端部53aの前端部から下方に延びると共に、その下端に下係止部23aに係止する下爪53eが形成された下部53dとを有しており、基端部53aの前側部分が、基端部53aの後側部分よりも重量の大きいバランスウェイトとされて、係止部材53が矢印J方向に回動するようになっている。
また、右側の他方の係止部材55は、回動軸51の前後に延びる基端部55aと、基端部の前端部から上方に延びると共に、その上端に上係止部21aに係止する上爪55cが形成された上部55bと、基端部55aの後端部から下方に延びると共に、その下端にプリンタ部3の押圧面3bに押圧される下突出部55eが形成された下部55dとを有しており、基端部55aの後側部分が、基端部55aの前側部分よりも重量の大きいバランスウェイトとされて、係止部材55が矢印Q方向に回動するようになっている。
また、上記各実施の形態では、付勢部としてバランスウェイトを用い、このバランスウェイトによって係止部材を係止位置に向けて常時付勢していたが、これに代えて、図14及び図15に示すように、スプリング(付勢部)57、59によって、係止部材を係止位置に向けて常時付勢するようにしても良い。この場合、上記各実施の形態と同様な作用効果を奏すると共に、バランスウェイトを用いている係止部材においては、係止部材の自重及びスプリングの付勢力が合わさって、係止部材を係止位置に向けて常時付勢するため、係止部材を確実に係止位置に向けて回動させることができる。一方、スプリングを設けていることにより、バランスウェイトがなくても、係止部材を係止位置に向けて常時付勢することができるため、バランスウェイトを省略することができ、この場合にあっては、係止部材の小型化や設計の自由度の向上を図ることができる。
尚、図14は、第1実施の形態の係止部材17において、基端部17a前端から更に前方に延びる取り付け部17fを形成し、この取り付け部17fとスキャナ5の内面に形成した取り付け部5kとの間に、スプリング57を取り付けた変形例を示している。また、図15には、第2実施の形態の係止部材27において、回動軸26から前方に延びた取り付け部28aにスプリング59を取り付けた変形例を示している。
更に、付勢部としてのバランスウェイトに代えて、磁石を用いて係止部材を係止位置に常時付勢するようにしても良い(図16及び図17参照)。すなわち、係止部材に磁石を設けると共に、プリンタ部3内において係止部材の回動方向側に配置され、係止部材の磁石と引き合う磁極の磁石、及び、プリンタ部3内において係止部材の回動方向とは反対側に配置され、係止部材の磁石と反発する磁極の磁石の少なくとも一方を、プリンタ部3内に配置するようにしても良い。この場合であっても、上記各実施の形態と同様な作用効果を奏する。
尚、図16は、第1実施の形態における係止部材17の下爪17eの前端及び後端にそれぞれマグネット61、63を設け、プリンタ部3内におけるマグネット61に対向する位置にマグネット61と引き合う磁極のマグネット65をステー66に取り付けると共に(この場合、ステー66及びマグネット65が下係止部を形成する)、スキャナ5内におけるマグネット63に対向する位置にマグネット63と反発する磁極のマグネット67を配置した変形例を示している。
この図16では、マグネット61と65との引き合う力、及び、マグネット63、67の反発する力によって係止部材17を常時係止位置に向けて付勢しているが、マグネット61、65のみ、或いは、マグネット63、67のみを設けても、同様な作用効果を得ることは言うまでもない。尚、係止部材19の上爪19eも同様の構成とすることができ、この場合は、圧板7内にマグネットを設けるようにすれば良い。
また、図17は、第2実施の形態における係止部材27の上爪27cの前端及び後端にそれぞれ、マグネット69、71設け、下爪27dの前端及び後端にもそれぞれマグネット73、75を設け、マグネット69、75に対向する位置にそれぞれマグネット69、75に反発する磁極のマグネット77、83を配置し、マグネット71、73に対向する位置にそれぞれマグネット71、73に引き合う磁極のマグネット79、81を配置した変形例を示している。
また、上記各実施の形態では、蓋部として圧板7を用いていたが、これに代えて、図18に示すように、スキャナ5に原稿を搬送する自動原稿送り装置(ADF)83を蓋部として用いるようにしても良く、このような複写機1aであっても、上記各実施の形態と同様な作用効果を奏する。また、図18の複写機1aよりも排紙トレイ6の高さ寸法Yを大きくすると共に、スキャナ5を寸法Xだけ後方にずらして、シートの取り出し性や視認性を向上させた複写機1bを用いても良く、この場合であっても、上記各実施の形態と同様な作用効果を奏する。