JP2009085125A - 密閉型圧縮機 - Google Patents

密閉型圧縮機 Download PDF

Info

Publication number
JP2009085125A
JP2009085125A JP2007257325A JP2007257325A JP2009085125A JP 2009085125 A JP2009085125 A JP 2009085125A JP 2007257325 A JP2007257325 A JP 2007257325A JP 2007257325 A JP2007257325 A JP 2007257325A JP 2009085125 A JP2009085125 A JP 2009085125A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thrust
sliding
lubricating oil
sliding surface
hermetic compressor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007257325A
Other languages
English (en)
Inventor
Ichiro Kita
一朗 喜多
Takanori Ishida
貴規 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2007257325A priority Critical patent/JP2009085125A/ja
Publication of JP2009085125A publication Critical patent/JP2009085125A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C17/00Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement
    • F16C17/04Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement for axial load only
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/02Parts of sliding-contact bearings
    • F16C33/04Brasses; Bushes; Linings
    • F16C33/06Sliding surface mainly made of metal
    • F16C33/10Construction relative to lubrication
    • F16C33/1025Construction relative to lubrication with liquid, e.g. oil, as lubricant
    • F16C33/1045Details of supply of the liquid to the bearing

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Compressor (AREA)

Abstract

【課題】摺動損失が小さく高効率でかつ高信頼性の密閉型圧縮機を提供する。
【解決手段】密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、圧縮要素は、回転子が固定されるとともに、一端が潤滑油中に連通し圧縮要素に潤滑油を供給する給油機構を備えたクランクシャフトと、クランクシャフトの主軸部を軸支することで片持ち軸受を形成した軸受部と、略円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロック105と、圧縮室内を往復動するピストンとを備え、クランクシャフトや回転子の重力方向の荷重を支持するスラスト摺動部に、非摺動部となるスラスト非摺動面152を偏在させたもので、摺動面の面積が減るため、摺動損失を低減ができる。また、潤滑油がスラスト非摺動面152から、スラスト摺動面151に供給されやすくなり、摩耗が低減し、高効率で信頼性の高い密閉型圧縮機を提供できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、主に家庭用冷蔵庫等に用いられる密閉型圧縮機に関するものである。
近年、家庭用冷蔵庫等において、省エネルギーの観点から、高効率化を図った密閉型圧縮機の要望が高まっている。また、高効率とともに、信頼性が高く、生産性の良い密閉型圧縮機の要望も大きい。
従来の密閉型圧縮機としては、スラスト摺動部の潤滑特性の向上を目的としたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下図面を参照しながら従来の密閉型圧縮機について説明する。
図18は、従来の密閉型圧縮機の縦断面図であり図19は、従来の密閉型圧縮機のスラスト摺動部の要部断面図である。
密閉型圧縮機1は、密閉容器2内に電動要素3と圧縮要素4をシリンダブロック5にて一体化したコンプレッサユニット6を収納している。シリンダブロック5の軸受部8にてクランクシャフト7を軸支し、上端のフランジ9から突出した偏芯軸10には、コネクティングロッド11の大端部11aが連結され、小端部11bには、ピストンピン12を介して圧縮室13内で摺動するピストン14が連結されている。
フランジ9の下端面は、シャフトスラスト面15となっている。また、軸受部8の上端面は、軸受部スラスト面16となっており、シャフトスラスト面15と軸受部スラスト面16とでスラスト摺動部17を構成している。
密閉容器2の底部には、潤滑油20が貯留されており、クランクシャフト7の下端に設けられた、クランクシャフト7より小径の給油コーン19が潤滑油20中に開口している。
クランクシャフト7の内部にはシャフト内給油通路23が設けられ、また偏芯軸10の内部には偏芯通路18が設けられており、給油コーン19、シャフト内給油通路23、偏芯通路18等で、給油機構24が構成されている。
クランクシャフト7のフランジ9に設けられた給油経路25は、フランジ9の上端面からシャフトスラスト面15に連通しており、軸受部スラスト面16の内周側には、テーパー部21が設けられている。
また、電動要素3は、回転子26と固定子27で構成している。
以上のように構成された密閉型圧縮機において、以下その動作を説明する。
電動要素3の固定子27に通電がなされると、回転子26と回転子26が固着されているクランクシャフト7が回転する。クランクシャフト7の偏芯軸10の回転は、コネクティングロッド11により往復運動に変換され、小端部11bとピストンピン12を介してピストン14がシリンダブロック5の圧縮室13内を往復運動し、圧縮室13の容積が拡大、縮小されることにより冷媒ガスの吸入、圧縮が行われる。
クランクシャフト7や電動要素3の回転子26等の自重や、ピストン14が受ける圧力により、コネクティングロッド11と偏芯軸10を介してスラスト摺動部17に作用する荷重を支えている。
次に、スラスト摺動部17などの各摺動部への潤滑油の供給について説明する。
クランクシャフト7に設けられた給油コーン19から吸い上げられた潤滑油20は、シャフト内給油通路23等の給油機構24を介して、軸受部スラスト面16の内部に設けられたテーパー部21に貯えられる。
テーパー部21に貯えられた潤滑油20の一部は、偏芯軸10の上部及び側面に設けられた孔(図示せず)から密閉容器2内に排出され、コネクティングロッド11やピストン14などに飛散して供給され、残りの潤滑油20はスラスト摺動部17に供給される。
また、クランクシャフト7のフランジ9に飛散して降りかかった潤滑油20は、給油経路25を通ってスラスト摺動部17に到達する。
以上のように、クランクシャフト7の回転にともなって、潤滑油20がスラスト摺動部17に供給される。
特開2001−295766号公報
しかしながら、上記従来のような構成は、シャフトスラスト面15と軸受部スラスト面16の摺動で発生する損失を低減するために、シャフトスラスト面15や、軸受部スラスト面16の遠心方向の幅を狭くし摺動面積を低減しようとすると面圧が上がってスラスト面の摩耗が増大し、特に圧縮室13内の圧力が高い上死点近傍において、反圧縮室13側のスラスト摺動部17に多大な面圧が作用するため、反圧縮室13側のシャフトスラスト面15や軸受部スラスト面16の摩耗が多くなるといった課題を有しており、摺動損失を低減しながら、かつ信頼性を確保することが困難であるという課題を有している。
本発明は、上記課題を解決するもので、スラスト摺動部で発生する損失を低減するとともに、圧縮荷重やクランクシャフト等の荷重により増大する摩耗を抑制し、摺動損失を低減することで高効率化を図るとともに、スラスト摺動部17の摩耗を低減することで信頼性も十分に確保できる密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の圧縮機は、密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、圧縮要素は、回転子が固定されるとともに、一端が潤滑油中に連通し圧縮要素に潤滑油を供給する給油機構を備えたクランクシャフトと、クランクシャフトの主軸部を軸支することで片持ち軸受を形成した軸受部と、略円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロックと、圧縮室内を往復動するピストンとを備え、クランクシャフトや回転子の重力方向の荷重を支持するスラスト摺動部に、非摺動部となるスラスト非摺動面を偏在させたものであり、スラスト摺動面の総面積が減少し、摺動損失を低減することができるとともに、潤滑油がスラスト非摺動面からスラスト摺動面に供給されやすくなり、さらにスラスト摺動面に作用する荷重を適切に分配することができるので、スラスト摺動面における摺動損失の低減効果と摩耗の低減効果の両低減効果を備えるという作用を有する。
本発明の密閉型圧縮機は、スラスト摺動部において、スラスト荷重を適切に分配できるよう偏在させるとともに摺動面積を減少させることができるため、摺動損失の減少による高効率化と摩耗低減による信頼性の向上の両立が可能な密閉型圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項1に記載の発明は、密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は、前記回転子が固定されるとともに、一端が前記潤滑油中に連通し前記圧縮要素に前記潤滑油を供給する給油機構を備えたクランクシャフトと、前記クランクシャフトの主軸部を軸支することで片持ち軸受を形成した軸受部と、略円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内を往復動するピストンとを備え、前記クランクシャフトや前記回転子の重力方向の荷重を支持するスラスト摺動部に、非摺動部となるスラスト非摺動面を偏在させたもので、スラスト摺動面が受ける荷重を適切に分配できるよう偏在させるとともに摺動面積を減少させることができるので、スラスト摺動部における摺動損失の低減効果と摩耗の低減効果の両立を図ることができ、摺動損失の減少による高効率化と摩耗低減による信頼性の向上の両立が可能な密閉型圧縮機を提供することができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、スラスト摺動部は、摺動部であるスラスト摺動面とスラスト非摺動面とを円周方向に交互に配置したもので、スラスト摺動部の半径方向の摺動部幅を狭くして摺動面積を低減した場合、円周方向の摺動としては線接触に近づいて摩耗が加速されて信頼性が低下するが、円周方向にスラスト摺動面とスラスト非摺動面を交互に配置してスラスト摺動部の摺動面積を低減することで、円周方向の摺動としては線接触に近づくことなく面接触を保つことができるので、請求項1に記載の発明の効果に加えてさらに、信頼性を確保しながら、摺動損失の低減による高効率化を図ることができる。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、ピストンが上死点近傍にあるときに、スラスト摺動部において、主軸部の軸中心に対して反圧縮室側よりも圧縮室側により多くのスラスト非摺動面を設けたもので、ピストンが上死点近傍にある場合、圧縮負荷によりクランクシャフトが軸受とのクリアランス内で傾くとともに、クランクシャフトが撓むために、スラスト摺動部において、圧縮側と比べて反圧縮室側の摺動面により大きな荷重が作用するが、反圧縮側において非摺動面は少なく摺動面が多くなるように摺動面が偏在しているので、請求項1または2に記載の発明の効果に加えてさらに、大きな荷重が作用する反圧縮室側(負荷側)の面圧が軽減されて摩耗が減り、信頼性を確保するとともに摺動損失を低減し、高効率で且つ高い信頼性を確保することができる。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、スラスト非摺動面は、クランクシャフトに備えた給油機構と連通したもので、給油機構からスラスト非摺動面へ潤滑油が潤沢に供給され、ひいてはスラスト摺動部への潤滑油の供給が安定して行われるので、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明の効果に加えてさらに、スラスト摺動部の潤滑状態を良好に維持することができ、高い信頼性を確保することができる。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、スラスト摺動面とスラスト非摺動面との段差が10μmから0.2mmの範囲であるもので、スラスト非摺動面に供給され排出された潤滑油の一部がスラスト摺動面を確実に供給されて潤滑することができ、さらに残りの潤滑油は、クランクシャフトの偏芯部を通ってコネクティングロッドや偏芯部の上端から密閉容器内面、シリンダブロック、ピストン等に供給されるので、各摺動部に適切に潤滑油を分配し供給することができるため、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えてさらに、スラスト摺動部のみならず各摺動部の潤滑状態を良好に維持することができ、高い信頼性を確保することができる。
さらに、段差が10μから0.1mmの範囲では、プレス加工により段差を設けることが可能であり、段差が0.05mmから0.2mmの範囲では、鋳抜きにより段差を形成することが可能であるので、非常に簡便な方法で非摺動面の形成を行うことが可能であり、高い生産性が得られる。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、給油機構から潤滑油が供給される潤滑油溜め部をシリンダブロックに形成するとともに、スラスト摺動部の少なくとも一部が前記潤滑油溜め部で囲われているもので、潤滑油溜め部に潤滑油が溜められるため、潤滑油溜め部で囲われたスラスト摺動部の少なくとも一部が常に潤滑油に浸漬されているので、スラスト摺動部での潤滑油の枯渇が発生することを防止することができるとともに、スラスト摺動部が潤滑油で冷却され局所的な温度上昇も発生しにくくなり、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えてさらに、スラスト摺動部の潤滑状態を良好に維持することができ、低粘度の潤滑油を使用しても十分高い信頼性を確保することができる。
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、固定子に対して回転子の軸心方向の位置をずらし、前記回転子に生じる磁気吸引力でクランクシャフトや前記回転子の重力方向の荷重の少なくとも一部を支持するもので、回転子と固定子との間で磁気吸引力が作用し、クランクシャフトに固着された回転子に鉛直上方に引き上げる力が作用するため、スラスト摺動部に作用する荷重が軽減され、スラスト摺動部に作用する面圧が減少するため、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明の効果に加えてさらに、信頼性を確保するとともに摺動損失を低減し、高効率で且つ高い信頼性を確保することができる。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明において、スラスト摺動部の縁部に、C面取り、R面取り、または傾斜したクラウニングを形成したもので、C面取り、R面取り、または傾斜したクラウニングにより、スラスト非摺動面からスラスト摺動面へ潤滑油をスムーズで確実に供給することができ、請求項1から7のいずれか一項に記載の発明の効果に加えてさらに、スラスト摺動面の潤滑状態が安定し、信頼性を確保するとともに摺動損失を低減することができる。
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明において、スラスト摺動面に、潤滑油を貯留する保油部を凹設したもので、圧縮機の起動初期などで、潤滑油がスラスト摺動面に到達する迄の間も、凹部に保持された潤滑油によりスラスト摺動面の潤滑が確保され、請求項1から8のいずれか一項に記載の発明の効果に加えてさらに、起動初期等の過酷な状態においても摩耗発生が低減され、信頼性を確保することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態の密閉型圧縮機におけるシリンダブロックの下面図、図3は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部拡大図、図4は、図3のA−A線における断面図、図5は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図、図6は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図である。
また図7は、同実施の形態における圧縮機入力の特性図、図8は、同実施の形態における圧縮機入力および最大摩耗量の特性図、図9は、同実施の形態の密閉型圧縮機における給油量の特性図である。
図1から図6において、密閉型圧縮機は、密閉容器102内に電動要素103と圧縮要素104をシリンダブロック105にて一体化したコンプレッサユニット106とを収納している。
シリンダブロック105の軸受部108にてクランクシャフト107を軸支し、上端のフランジ109から突出した偏芯軸110には、コネクティングロッド111の大端部111aが連結され、小端部111bには、ピストンピン112を介して圧縮室113内で摺動するピストン114が連結されている。
フランジ109の下端面は、シャフトスラスト面115となっている。また、軸受部108の上端面は、軸受部スラスト面116となっており、シャフトスラスト面115と軸受部スラスト面116とでスラスト摺動部117を構成している。
密閉容器102の底部には、潤滑油120が貯留されており、クランクシャフト107の下端に設けられた、クランクシャフト107より小径の給油コーン119が潤滑油120中に開口している。
クランクシャフト107の内部にはシャフト内給油通路123が設けられ、また偏芯軸110の内部には偏芯通路118が設けられており、給油コーン119、シャフト内給油通路123、偏芯通路118等で、給油機構124が構成されている。また、軸受部スラスト面116の内周側には、テーパー部121が設けられている。
回転子126は、クランクシャフト7の主軸部140に圧入や焼嵌めなどの方法によって固着されている。固定子127は、巻線141に通電されることによって回転磁界を発生し、回転子126を回転させる。
クランクシャフト107と回転子126等の重量は、シャフトスラスト面115と軸受部スラスト面116からなるスラスト摺動部117で受けている。
スラスト摺動部117は、円周方向に交互に配置したスラスト摺動面151とスラスト非摺動面152とから形成されている。本実施の形態では、スラスト非摺動面152は、軸受部スラスト面116側に形成されている。スラスト非摺動面152は主軸部140の軸中心に対し、圧縮室113側が多くなるように形成している。また、スラスト非摺動面152は、クランクシャフト107に備えた給油機構124と螺旋溝155の上端部156で連通している。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
固定子127の巻線141に通電がなされると、回転磁界の発生によって回転子126、クランクシャフト107が回転する。クランクシャフト107の回転により、偏芯軸110の偏芯運動は、コネクティングロッド111を介して直線運動に変換され、ピストン114が圧縮室113内で冷媒ガスの吸入、圧縮を行う。
クランクシャフト107は、スラスト摺動部117でクランクシャフト107と回転子126等の重量を受ける。
また、ピストン114が上死点へ向かう圧縮時は、特に上死点近傍で、ピストン114が冷媒ガスの大きな圧力を受けるが、この圧力は、最終的に、クランクシャフト107の主軸部140が、軸受部108の接触部との間で受けるとともに、スラスト摺動部117が受けることになる。
スラスト摺動部117が受ける荷重は、クランクシャフト107の主軸部140が軸受部108とのクリアランス内で偏芯軸110側が反圧縮室113側に傾くことから、主軸部140の軸中心に対し、反圧縮室113側の方により大きな荷重が作用することになる。
スラスト摺動部117は、クランクシャフト107や回転子126の重量を支持することによる荷重とピストン114が受ける冷媒ガスの圧力による荷重を受けており、スラスト摺動部117で摺動損失が発生する。
この摺動損失を小さくするためには、スラスト摺動部117の面積を少なくすれば良いが、スラスト摺動部117の半径方向の幅を小さくすることで面積を減少すると、スラスト摺動部117は線接触に近づく。
このとき、冷媒ガスの圧力によりかかる荷重は、非常に細い幅のスラスト摺動部117が受けることになり、面圧が非常に高くなってしまう。また、スラスト摺動部117の幅が細くなることによって、油膜も形成されにくくなり、部分的な油膜切れを起すことで、より線接触状態に近くなってしまう。
しかし、本実施の形態の構成のスラスト摺動部117は、円周方向にスラスト摺動面151とスラスト非摺動面152を交互に形成しているので、半径方向の幅は広くすることができ、線接触状態とはならない。
また、スラスト非摺動面152が円周方向に複数個あるので、スラスト非摺動面152に流れ出た潤滑油120がよりスラスト摺動面151に供給されやすくなり油膜形成が容易となるので、より線接触になることを防止することができ、スラスト摺動部117の油膜切れを軽減することができる。
さらに、スラスト非摺動面152は、軸受部108の軸芯を通る平面160に対して、圧縮室113側のスラスト非摺動面152を反圧縮室113側のスラスト非摺動面152より多く設けて偏在させているので、反圧縮室113側のスラスト摺動面151は、十分面積広く保つことができ、ピストン114が冷媒ガスを圧縮することにより発生する反圧縮室113側のスラスト荷重を低い面圧で受けることができ、摺動損失の低減による高効率化と信頼性の確保を両立することができる。
図7は、スラスト非摺動面152を設けない状態、すなわちスラスト摺動面151の面積比率が100%の状態から、同一のシリンダブロック105に加工を追加することによって、図3に示すような仕様で、スラスト非摺動面152を段階的に設け、最大60%のスラスト非摺動面152、すなわちスラスト摺動面151の面積比率が40%の状態まで変化させ、圧縮機の能力の実測結果との関係を示したスラスト摺動面積比率に対する圧縮機入力の特性図である。
なお、実測した圧縮機の能力には若干のばらつきがあったため、能力が一定となるように入力を換算しグラフ化している。
図7よりわかるように、スラスト摺動面151の減少とともに摺動損失は低下するために圧縮機入力が低下し、スラスト摺動面積比率で約50%までは減少していく結果が得られている。
図8は、図3に示すような仕様で、スラスト非摺動面152とスラスト摺動面151の比率をそれぞれ50%と一定とし、その上で、スラスト非摺動面152の形成を反圧縮室113側と圧縮室113側を同じ50%とした場合から、圧縮室113側のスラスト非摺動面152の比率を80%にまで増やして試作し、実測した圧縮機入力との関係を実線(近似線)で示すとともに、信頼性試験条件でのスラスト摺動面151の最大摩耗量の計測結果から、最大摩耗量を点線(近似線)で示した特性図である。
図8より、スラスト非摺動面152を、圧縮室113側に70%前後形成することによって、スラスト摺動面151の摩耗量を最小化することができ、また、圧縮機入力で評価できる摺動損失は、スラスト非摺動面152を、圧縮室113側に65%前後形成することによって、最小化することが確認できる。
圧縮機入力の最小化と摩耗量低減の両立の観点から見ると、スラスト非摺動面152を、圧縮室113側に55%から75%の範囲、より最適には、65から70%形成することが入力損失低減による高効率化とスラスト摺動面151の摩耗量低減による信頼性の向上の観点から最適である。
次に、スラスト摺動面151への給油と、クランクシャフト107の偏芯軸110、コネクティングロッド111、ピストン114などの各摺動部への給油と、スラスト非摺動面152の深さの関係について説明する。
図9は、スラスト摺動面151に対するスラスト非摺動面152の深さと、各部位の潤滑油120の給油量を示した特性図である。
各部位とは、スラスト摺動部117からの流出量と、クランクシャフト107の偏芯軸110とコネクティングロッド111の隙間およびコネクティングロッド111内部の給油孔(図示していない)からの流出量と、偏芯軸110の上端からの流出量である。
スラスト摺動部117から流出する潤滑油120は、スラスト摺動部117の潤滑やシリンダブロック105の冷却などに用いられ、コネクティングロッド111と偏芯軸110の隙間から流出する潤滑油120は、コネクティングロッド111と偏芯軸110の潤滑に用いられ、偏芯軸110の上端から流出する潤滑油120は、シリンダブロック105の圧縮室113とピストン114の潤滑や冷却に用いられ、潤滑向上による損失や摩耗の低減、冷却による性能や信頼性の向上に用いられる。
スラスト摺動部117やピストン114周辺に供給される潤滑油120は、およそ30ml/分以上あればよいことが発明者等の検討でわかっており、検討結果からすると、スラスト非摺動面152の深さは、10μmから0.2mmに設定するのが適切である。
例えば、ピストン114や圧縮室113周辺を重点的に冷却したい場合は、前記した範囲内で、スラスト摺動部117からの流出を減少させるためにスラスト非摺動面152の深さを浅くすればよい。
また、スラスト非摺動面152の深さの適正値は、その加工方法とも関連する。
スラスト非摺動面152の段差(深さ)が10μmから0.1mmの範囲では、スラスト非摺動面152をプレスすることによってスラスト非摺動面152を形成する方法が容易である。
スラスト非摺動面152の段差(深さ)が0.05mmから0.2mmの範囲では、スラスト非摺動面152に鋳物やアルミ合金などの製造段階で適切な段差を形成しておき、スラスト摺動面151の仕上げ加工を行う際に、0.05mmから0.2mmの範囲に加工する方法が容易である。
いずれの方法もスラスト非摺動面152を形成するための特別な加工工数を必要としないので生産性が非常に良い。
次に、スラスト摺動部117への給油について説明する。
前述したようにクランクシャフト107には、下方から、給油コーン119、シャフト内給油通路123、螺旋溝155、偏芯通路118等からなる給油機構124が形成されており、螺旋溝155の上端部156は、テーパー部121を介してスラスト非摺動面152と連通しており、導かれた潤滑油120は、スラスト非摺動面152から流出する。
スラスト非摺動面152に供給された潤滑油120は、スラスト摺動部117の回転によって、スラスト摺動面151に連続的に安定して供給され、スラスト摺動面151の油膜形成が安定し、信頼性が向上する。
次に、スラスト摺動部117への給油を更に安定させる仕様について説明する。
特に、摺動損失を低減する観点から、低粘度の潤滑油120を使う場合、低粘度になるほど、潤滑油120は蒸発しやすくなり、各摺動部での部分的な金属接触によって発生する局部的温度上昇によって蒸発し、局部的な潤滑油120の枯渇が起こる可能性も高くなる。
また、潤滑油120の供給が不足してスラスト摺動部117の冷却が不足すると、スラスト摺動部117の温度が上がり、潤滑油120の粘度が下がりすぎることによる摺動潤滑の弊害も起こる可能性もある。
これらの課題に対して、シリンダブロック105に、スラスト摺動部117のスラスト摺動面151の近傍まで潤滑油120が溜まるように潤滑油溜め部165を形成することで、常に潤滑油溜め部165に潤滑油120が保持されて、スラスト摺動部117に常に潤滑油120が供給されるとともに、スラスト摺動部117が冷却される。
また、スラスト摺動部117のスラスト非摺動面152は、常に潤滑油120で満たされているので、スラスト摺動面151への潤滑油120の供給も安定する。
また、前述したように、スラスト非摺動面152の段差を小さくし、スラスト摺動部117からの給油量(潤滑油120の流出量)を少なくした場合でも、潤滑油120は、安定して確保され、摺動損失の低減による高効率化と信頼性の向上効果が得られる。
また、潤滑油溜め部165は、シリンダブロック105の鋳造時に形成すればよいので、生産性が非常に良い。
また、スラスト摺動部117を構成するスラスト摺動面151の縁部に面取り部170を形成しているため、スラスト非摺動面152からスラスト摺動面151への潤滑油120の供給は、よりスムーズになるので、スラスト摺動面151の潤滑状態はより安定し、摺動損失の低減効果と信頼性の向上をより向上することができる。
以上のように、本実施の形態1による密閉型圧縮機は、摺動損失の低減による高効率化が達成できるとともに、スラスト摺動面の摩耗が少なく信頼性が高く、さらに生産性も非常に良い。
尚、本実施の形態1では、スラスト非摺動面152を軸受部スラスト面116に形成したが、シャフトスラスト面115に同様な思想のもとにスラスト非摺動面152を形成したり、また軸受部スラスト面116とシャフトスラスト面115の両面に同様な思想の基にスラスト非摺動面152を形成したりしても同様な効果が得られる。
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図、図11は、同実施の形態の密閉型圧縮機におけるシリンダブロックの下面図、図12は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部拡大図、図13は、同実施の形態における密閉型圧縮機の縦断面図、図14は、同実施の形態における磁気推力と圧縮機入力を示す特性図である。
図10から図14において、密閉型圧縮機は、密閉容器202内に電動要素203と圧縮要素204をシリンダブロック205にて一体化したコンプレッサユニット206とを収納している。
シリンダブロック205の軸受部208にてクランクシャフト207を軸支し、上端のフランジ209から突出した偏芯軸210には、コネクティングロッド211の大端部211aが連結され、小端部211bには、ピストンピン212を介して圧縮室213内で摺動するピストン214が連結されている。
フランジ209の下端面は、シャフトスラスト面215となっている。また、軸受部208の上端面は、軸受部スラスト面216となっており、シャフトスラスト面215と軸受部スラスト面216とでスラスト摺動部217を構成している。
密閉容器202の底部には、潤滑油220が貯留されており、クランクシャフト207の下端に設けられた、クランクシャフト207より小径の給油コーン219が潤滑油220中に開口している。
クランクシャフト207の内部にはシャフト内給油通路(図示せず)が設けられ、また偏芯軸210の内部には偏芯通路218が設けられており、給油コーン219、シャフト内給油通路(図示せず)、偏芯通路218等で、給油機構224が構成されている。
回転子226は、クランクシャフト207の主軸部240に圧入や焼嵌めなどの方法によって固着されている。固定子227は、巻線241に通電されることによって回転磁界を発生し、回転子226を回転させる。クランクシャフト207と回転子226等の重量は、シャフトスラスト面215と軸受部スラスト面216からなるスラスト摺動部217で受けている。
スラスト摺動部217は、円周方向に交互に配置したスラスト摺動面251とスラスト非摺動面252とから形成されている。本実施の形態では、スラスト非摺動面252は、軸受部スラスト面216側に形成されている。スラスト非摺動面252は主軸部240の軸中心に対し、圧縮室213側が多くなるように形成している。また、スラスト非摺動面252は、クランクシャフト207に備えた給油機構224と螺旋溝255の上端部で連通している。
図13において、270は固定子227の磁気中心線を示し、271は回転子226の磁気中心線を示している。
高さ方向の寸法Hは、固定子227の磁気中心線270と回転子226の磁気中心線271との差であり、寸法Hだけ回転子226の磁気中心が固定子227よりも鉛直方向(スラスト荷重の作用方向)の下方にある。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
固定子227の巻線241に通電がなされると、回転磁界の発生によって回転子226、クランクシャフト207が回転する。クランクシャフト207の回転により、偏芯軸210の偏芯運動は、コネクティングロッド211を介して直線運動に変換され、ピストン214が圧縮室213内で冷媒ガスの吸入、圧縮を行う。
クランクシャフト207は、スラスト摺動部217でクランクシャフト207と回転子226等の重量を受ける。
また、ピストン214が上死点へ向かう圧縮時は、特に上死点近傍で、ピストン214が冷媒ガスの大きな圧力を受けるが、この圧力は、最終的に、クランクシャフト207の主軸部240が、軸受部208の接触部との間で受けるとともに、スラスト摺動部217が受けることになる。
スラスト摺動部217が受ける荷重は、クランクシャフト207の主軸部240が軸受部208とのクリアランス内で偏芯軸210側が反圧縮室213側に傾くことから、主軸部240の軸中心に対し、反圧縮室213側の方により大きな荷重が作用することになる。
スラスト摺動部217は、クランクシャフト207や回転子226の重量を支持することによる荷重とピストン214が受ける冷媒ガスの圧力による荷重を受けており、スラスト摺動面217で摺動損失が発生する。
この摺動損失を小さくするためには、スラスト摺動部217の面積を少なくすれば良いが、スラスト摺動部217の遠心方向の幅を小さくすることで面積を減少すると、スラスト摺動部217は線接触に近づく。
このとき、冷媒ガスの圧力によりかかる荷重は、非常に細い幅のスラスト摺動部217が受けることになり、面圧が非常に高くなってしまう。また、スラスト摺動部217の幅が細くなることによって、油膜も形成されにくくなり、部分的な油膜切れを起すことで、より線接触状態に近くなってしまう。
しかし、本実施の形態の構成のスラスト摺動部217は、円周方向にスラスト摺動面251とスラスト非摺動面252を交互に形成しているので、半径方向の幅は広くすることができ、線接触状態とはならない。
また、スラスト非摺動面252が円周方向に複数個あるので、スラスト非摺動面252に流れ出た潤滑油220がよりスラスト摺動面251に供給されやすくなり油膜形成が容易となるので、より線接触になることを防止することができ、スラスト摺動部217の油膜切れを軽減することができる。
さらに、スラスト非摺動面252は、軸受部208の軸芯を通る平面260に対して、圧縮室213側のスラスト非摺動面252を反圧縮室213側のスラスト非摺動面252より多く設けて偏在させているので、反圧縮室213側のスラスト摺動面251は、十分面積を広く保つことができ、ピストン214が冷媒ガスを圧縮することにより発生する反圧縮室213側のスラスト荷重を低い面圧で受けることができ、摺動損失の低減による高効率化と信頼性の確保を両立することができる。
回転子226の磁気中心線271は、固定子227の磁気中心線270よりも鉛直下方に約0.5mmから2mmの範囲(寸法H)となるように構成しており、回転子226には、固定子227から鉛直上方の力が作用している。
図14は、回転子226の磁気中心線271と固定子227の磁気中心線270とのずれ(寸法H)を横軸とし、縦軸には、回転子226の磁気中心線271と固定子227の磁気中心線270とのずれによる理論計算による磁気推力(重力方向を正)と、発明者等の実測結果に基づく密閉型圧縮機の入力を縦軸にとり、磁気中心のずれと理論推力、入力の関係を示したグラフである。
なお、寸法Hは、回転子226の磁気中心線が固定子227の磁気中心線より鉛直上方にある場合を正としている。
この磁気による推力が負である場合、回転子226やクランクシャフト207の重力を支える力として作用することになる。
また、密閉型圧縮機の入力の実測には、図12に示す仕様のスラスト摺動部217を用いており、スラスト摺動面251とスラスト非摺動面252の面積比率は同じ50%、全スラスト非摺動面252の面積に対する圧縮室213側のスラスト非摺動面252の面積比率は65%、スラスト非摺動面252の深さは、0.05mmに設定している。
図14からわかるように、寸法Hが、−0.5mm以下の範囲で、大きな入力低減効果が得られている。
但し、図示していないが、−2mm以下にした場合、磁気中心がずれるために、電動要素203の効率の悪化が起こり、逆に入力が増加することがわかっており、−2mmから−0.5mmの範囲に設定することが望ましい。
以上のように、スラスト摺動部217において、スラスト摺動面251とスラスト非摺動面252とを偏在させて形成する上に、さらに回転子226の軸心方向の位置をずらすことで回転子226に磁気推力(磁気吸引力)を作用させ、この磁気推力によって回転子226やクランクシャフト207の重力等の重力方向の荷重の一部を支持することができる。
そのため、スラスト摺動部217の摺動面に作用する荷重を低減でき、圧縮機の入力低減効果による効率向上が得られるとともに、スラスト摺動部217の信頼性も向上させることができる。
また、回転子226と固定子227の磁気中心をずらすことは、部品の追加も無く容易に行うことができ、生産性も良い。
(実施の形態3)
図15は、本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図、図16は、同実施の形態の密閉型圧縮機におけるシリンダブロックの下面図、図17は、同実施の形態における密閉型圧縮機の要部拡大図である。
尚、図17中に示す矢印は、軸受部スラスト面316と相対するシャフトスラスト面315の回転方向を示している。
図15から図17において、密閉型圧縮機は、密閉容器302内に電動要素303と圧縮要素304をシリンダブロック305にて一体化したコンプレッサユニット306とを収納している。
シリンダブロック305の軸受部308にてクランクシャフト307を軸支し、上端のフランジ309から突出した偏芯軸310には、コネクティングロッド311の大端部311aが連結され、小端部311bには、ピストンピン312を介して圧縮室313内で摺動するピストン314が連結されている。
フランジ309の下端面は、シャフトスラスト面315となっている。また、軸受部308の上端面は、軸受部スラスト面316となっており、シャフトスラスト面315と軸受部スラスト面316とでスラスト摺動部317を構成している。
密閉容器302の底部には、潤滑油320が貯留されており、クランクシャフト307の下端に設けられた、クランクシャフト307より小径の給油コーン319が潤滑油320中に開口している。
クランクシャフト307の内部にはシャフト内給油通路(図示せず)が設けられ、また偏芯軸310の内部には偏芯通路318が設けられており、給油コーン319、シャフト内給油通路(図示せず)、偏芯通路318等で、給油機構324が構成されている。
回転子326は、クランクシャフト307の主軸部340に圧入や焼嵌めなどの方法によって固着されている。固定子327は、巻線341に通電されることによって回転磁界を発生し、回転子326を回転させる。クランクシャフト307と回転子326等の重量は、シャフトスラスト面315と軸受部スラスト面316からなるスラスト摺動部317で受けている。
スラスト摺動部317は、円周方向に交互に配置したスラスト摺動面351とスラスト非摺動面352とから形成されている。本実施の形態では、スラスト非摺動面352は、軸受部スラスト面316側に形成されている。スラスト非摺動面352は主軸部340の軸中心に対し、圧縮室313側が多くなるように形成している。また、スラスト非摺動面352は、クランクシャフト307に備えた給油機構324と螺旋溝355の上端部で連通している。
スラスト摺動面351には、凹設した保油部361が形成されており、保油部361は導入溝363と溜め部362とを備えている。
保油部361の導入溝363は、摺動する相手部材であるシャフトスラスト面315の反回転方向に開口するとともに溜め部362に連通している。
また、保油部361はプレス加工などにより形成され、深さは、10μmから0.1mmの範囲で形成されている。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下その動作を説明する。
固定子327の巻線341に通電がなされると、回転磁界の発生によって回転子326、クランクシャフト307が回転する。クランクシャフト307の回転により、偏芯軸310の偏芯運動は、コネクティングロッド311を介して直線運動に変換され、ピストン314が圧縮室313内で冷媒ガスの吸入、圧縮を行う。
クランクシャフト307は、スラスト摺動部317でクランクシャフト307と回転子326等の重量を受ける。
また、ピストン314が上死点へ向かう圧縮時は、特に上死点近傍で、ピストン314が冷媒ガスの大きな圧力を受けるが、この圧力は、最終的に、クランクシャフト307の主軸部340が、軸受部308の接触部との間で受けるとともに、スラスト摺動部317が受けることになる。
スラスト摺動部317が受ける荷重は、クランクシャフト307の主軸部340が軸受部308とのクリアランス内で偏芯軸310側が反圧縮室313側に傾くことから、主軸部340の軸中心に対し、反圧縮室313側の方により大きな荷重がかかることになる。
スラスト摺動部317は、クランクシャフト307や回転子326の重量を支持することによる荷重とピストン314が受ける冷媒ガスの圧力による荷重を受けており、スラスト摺動面317で摺動損失が発生する。
この摺動損失を小さくするためには、スラスト摺動部317の面積を少なくすれば良いが、スラスト摺動部317の遠心方向の幅を小さくすることで面積を減少すると、スラスト摺動部317は線接触に近づく。
このとき、冷媒ガスの圧力によりかかる荷重は、非常に細い幅のスラスト摺動部317が受けることになり、面圧が非常に高くなってしまう。また、スラスト摺動部317の幅が細くなることによって、油膜も形成されにくくなり、部分的な油膜切れを起すことで、より線接触状態に近くになってしまう。
しかし、本実施の形態の構成のスラスト摺動部317は、円周方向にスラスト摺動面351とスラスト非摺動面352を交互に形成しているので、半径方向の幅は広くすることができ、線接触とはならない。
また、スラスト非摺動面352が円周方向に複数個あるので、スラスト非摺動面352に流れ出た潤滑油320がよりスラスト摺動面351に供給されやすくなり油膜形成が容易となるので、より線接触になることを防止することができ、スラスト摺動部317の油膜切れを軽減することができる。
さらに、スラスト非摺動面352は、軸受部308の軸芯を通る平面360に対して、圧縮室313側のスラスト非摺動面352を反圧縮室313側のスラスト非摺動面352より多く設けて偏在させているので、反圧縮室313側のスラスト摺動面351は、十分面積を広く保つことができ、ピストン314が冷媒ガスを圧縮することにより発生する反圧縮室313側のスラスト荷重を低い面圧で受けることができ、摺動損失の低減による高効率化と信頼性の確保を両立することができる。
また、スラスト摺動面351を潤滑する潤滑油は、クランクシャフト307の回転にともなって粘性抵抗により回転方向に流動する。スラスト摺動面351には、摺動する相手部材であるシャフトスラスト面315の反回転方向に開口する導入溝363があるため、潤滑油320は、導入溝363から溜め部362へと流れ込み、溜め部362に保油される。
これにより、スラスト摺動面352の保油部361に常に潤滑油320が保持され、特に密閉型圧縮機の起動初期などで、クランクシャフト307の給油機構324により密閉容器302の底面の潤滑油320がスラスト摺動面351に到達する迄の間も、溜め部362に保持された潤滑油320により、スラスト摺動面351の潤滑が確保され、起動初期の過酷な状態においても摩耗発生が低減され、信頼性を確保することができる。
なお、導入溝363と溜め部362とを備えた保油部361は、スラスト摺動面351の面積を大きく減少させ程度に設けることで、スラスト摺動面351においてスラスト荷重に対する面圧が大きく増大することはない。
以上のように、本発明にかかる圧縮機は、高効率化と高信頼性の両立を図れるので、エアーコンディショナー、冷凍冷蔵装置等に用いられる密閉型圧縮機にも適用できる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態の密閉型圧縮機におけるシリンダブロックの下面図 同実施の形態における密閉型圧縮機の要部拡大図 図3のA−A線における断面図 同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図 同実施の形態における密閉型圧縮機の要部断面図 同実施の形態の密閉型圧縮機における圧縮機入力の特性図 同実施の形態の密閉型圧縮機における圧縮機入力および最大摩耗量の特性図 同実施の形態の密閉型圧縮機における給油量の特性図 本発明の実施の形態2における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態の密閉型圧縮機におけるシリンダブロックの下面図 同実施の形態における密閉型圧縮機の要部拡大図 同実施の形態における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態の密閉型圧縮機における磁気推力と圧縮機入力を示す特性図 本発明の実施の形態3における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態の密閉型圧縮機におけるシリンダブロックの下面図 同実施の形態における密閉型圧縮機の要部拡大図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 従来の密閉型圧縮機のスラスト摺動部の要部断面図
符号の説明
102,202,302 密閉容器
103,203,303 電動要素
104,204,304 圧縮要素
105,205,305 シリンダブロック
107,207,307 クランクシャフト
108,208,308 軸受部
113,213,313 圧縮室
114,214,314 ピストン
117,217,317 スラスト摺動部
120,220,320 潤滑油
124,224,324 給油機構
126,226,326 回転子
127,227,327 固定子
140,240,340 主軸部
151,251,351 スラスト摺動面
152,252,352 スラスト非摺動面
165 潤滑油溜め部
361 保油部

Claims (9)

  1. 密閉容器内に潤滑油を貯溜するとともに、固定子と回転子を備えた電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素は、前記回転子が固定されるとともに、一端が前記潤滑油中に連通し前記圧縮要素に前記潤滑油を供給する給油機構を備えたクランクシャフトと、前記クランクシャフトの主軸部を軸支することで片持ち軸受を形成した軸受部と、略円筒形の圧縮室を備えたシリンダブロックと、前記圧縮室内を往復動するピストンとを備え、前記クランクシャフトや前記回転子の重力方向の荷重を支持するスラスト摺動部に、非摺動部となるスラスト非摺動面を偏在させた密閉型圧縮機。
  2. スラスト摺動部は、摺動部であるスラスト摺動面とスラスト非摺動面とを円周方向に交互に配置した請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. ピストンが上死点位置近傍にあるときに、スラスト摺動部において、主軸部の軸中心に対して反圧縮室側よりも圧縮室側により多くのスラスト非摺動面を設けた請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
  4. スラスト非摺動面は、クランクシャフトに備えた給油機構と連通した請求項1から3のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  5. スラスト摺動面とスラスト非摺動面との段差が10μmから0.2mmの範囲である請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  6. 給油機構から潤滑油が供給される潤滑油溜め部をシリンダブロックに形成するとともに、スラスト摺動部の少なくとも一部が前記潤滑油溜め部で囲われている請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  7. 固定子に対して回転子の軸心方向の位置をずらし、前記回転子に生じる磁気吸引力でクランクシャフトや前記回転子の重力方向の荷重の少なくとも一部を支持する請求項1から6のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  8. スラスト摺動部の縁部に、C面取り、R面取り、または傾斜したクラウニングを形成した請求項1から7のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  9. スラスト摺動面に、潤滑油を貯留する保油部を凹設した請求項1から8のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
JP2007257325A 2007-10-01 2007-10-01 密閉型圧縮機 Pending JP2009085125A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007257325A JP2009085125A (ja) 2007-10-01 2007-10-01 密閉型圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007257325A JP2009085125A (ja) 2007-10-01 2007-10-01 密閉型圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009085125A true JP2009085125A (ja) 2009-04-23

Family

ID=40658846

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007257325A Pending JP2009085125A (ja) 2007-10-01 2007-10-01 密閉型圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009085125A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010255556A (ja) * 2009-04-27 2010-11-11 Panasonic Corp 密閉型圧縮機および冷凍装置
EP2299116A1 (en) * 2009-09-17 2011-03-23 Panasonic Corporation Compressor and refrigerator
CN102454577A (zh) * 2010-10-14 2012-05-16 松下电器产业株式会社 压缩机
CN105545709A (zh) * 2016-01-28 2016-05-04 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 气缸座、往复式压缩机和冰箱
CN106041649A (zh) * 2015-04-08 2016-10-26 三菱电机株式会社 磨削加工方法以及磨削装置

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010255556A (ja) * 2009-04-27 2010-11-11 Panasonic Corp 密閉型圧縮機および冷凍装置
EP2299116A1 (en) * 2009-09-17 2011-03-23 Panasonic Corporation Compressor and refrigerator
WO2011033373A3 (en) * 2009-09-17 2011-11-10 Panasonic Corporation Compressor and refrigerator
CN102454577A (zh) * 2010-10-14 2012-05-16 松下电器产业株式会社 压缩机
US9074591B2 (en) 2010-10-14 2015-07-07 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Compressor cylinder block and cylinder head distortion prevention
CN106041649A (zh) * 2015-04-08 2016-10-26 三菱电机株式会社 磨削加工方法以及磨削装置
CN106041649B (zh) * 2015-04-08 2018-11-16 三菱电机株式会社 磨削加工方法以及磨削装置
CN105545709A (zh) * 2016-01-28 2016-05-04 珠海格力节能环保制冷技术研究中心有限公司 气缸座、往复式压缩机和冰箱

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5870255B2 (ja) 密閉型圧縮機及び冷凍装置
WO2011052195A1 (ja) 密閉型圧縮機
EP1740833A1 (en) Axial bearing arrangement in a hermetic compressor
JP2009085125A (ja) 密閉型圧縮機
JP6134903B2 (ja) 容積型圧縮機
JP2016205134A (ja) 密閉型圧縮機
JP5612628B2 (ja) 密閉型圧縮機
JP6184648B1 (ja) 軸受ユニット及び圧縮機
JP2009068386A (ja) 密閉型圧縮機
JP2009215894A (ja) 密閉型圧縮機
JP3819360B2 (ja) 容積型オイルポンプ
JP2009167954A (ja) 密閉型圧縮機
US20120100021A1 (en) Hermetic compressor
JP2013241848A (ja) 密閉型圧縮機および該密閉型圧縮機を備える冷蔵庫
JP2014156803A (ja) 密閉型圧縮機及びこれを用いた冷蔵庫
JP5353445B2 (ja) 密閉型圧縮機および冷凍冷蔵装置
JP2005264740A (ja) 密閉型圧縮機
JP2014163299A (ja) 密閉型圧縮機及びこれを用いた冷蔵庫
KR101454244B1 (ko) 왕복동식 압축기 및 이를 적용한 냉동기기
KR100771594B1 (ko) 냉응용기용 압축기의 크랭크샤프트
KR20180100880A (ko) 왕복동식 압축기
WO2016139735A1 (ja) ロータリ圧縮機
JP2013050075A (ja) 密閉型圧縮機
KR101410751B1 (ko) 밀폐형 압축기
JP2018025142A (ja) 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置