JP2009074083A - 粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】炭素数9〜30の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)/これと共重合可能な他のビニル系モノマー(B)が重量比で100/0〜10/90であるアクリル系モノマーの単独重合体また共重合体からなる、重量平均分子量が80万以上、分子量1,000以下の成分の含有量が10重量%未満であるアクリル系ポリマーを主剤としたことを特徴とする粘着剤組成物、特に、ポリオレフィン系被着体用である上記構成の粘着剤組成物。
【選択図】なし
Description
また、アクリル酸n−ブチルやアクリル酸2−エチルヘキシルなどのモノマーと炭素数12〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとを共重合させたアクリル系ポリマーを主剤としたものも知られている(特許文献2)。
本発明は、このような事情に照らし、ポリオレフィンなどからなる低エネルギー表面の被着体に対して良好な接着強度を示す、接着特性の改善されたアクリル系の粘着剤組成物とこれを用いた粘着シートを得ることを課題とする。
また、本発明は、基材またはセパレータ上に上記構成の粘着剤組成物からなる層を有することを特徴とする粘着シートに係るものである。
また、本発明において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルを意味するものである。また、本明細書では、(メタ)アクリレートと表現することもあるが、これはアクリレートおよび/またはメタクリレートを意味するものである。
また、この粘着剤組成物とその粘着シートは、上記のアクリル系モノマーと共に、改質モノマーとしてカルボキシル基などの官能基を有するモノマーを用いて、架橋処理が可能なものとしたり、ガラスや金属などの極性材料からなる被着体に対する親和力を向上させたり、凝集力を向上させたりすることもできる。
さらに、この粘着剤組成物とその粘着シートは、低分子量成分の含有量の少ないため、有害臭気などの問題を生じず、しかも従来のような粘着付与樹脂を使用しなくても優れた接着特性が得られるため、粘着付与樹脂を含ませたときの着色の問題が少なく、透明性に優れ、また低温接着性や高温時の接着保持性にも優れるという利点を備えている。また、100μm以下、特に50μm以下という薄層の粘着剤層を形成することが可能であり、このような薄層の粘着剤層で上記優れた接着特性を発揮させることができる。
このため、本発明の粘着剤組成物とその粘着シートは、自動車、家電製品などの様々な用途に用いられているポリオレフィン系部材を被着体とする接合材料として有利に利用することができ、また前記ガラスや金属などの極性材料からなる被着体をはじめとした種々の材質からなる被着体に対しても利用できるものである。
上記(A):(B)の重量比は、100/0〜10/90であり、好ましくは100/0〜20/80、特に好ましくは100/0〜30/70である。
炭素数9〜30の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)がこれと共重合可能な他のビニル系モノマー(B)に対して10/90より少ないと、ポリオレフィン系被着体への接着性を改善するのが難しい。
このようなモノマーの具体例としては、イソノニル(メタ)アクリレート、分岐ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどを挙げられる。特にイソステアリルアクリレートの使用が好ましい。これらは単独でまた組み合わせて使用することができる。
このようなモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アルキル基がエチル、プロピル、ブチル、へキシルなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、シロキサン基含有(メタ)アクリル酸化合物、共重合性ビニル化合物などが挙げられる。
これらのモノマーは、接着性の調節や凝集力・耐熱性を向上させるための架橋反応用などとして、必要により、適宜使用することができる。また、これらのモノマーは、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
このようなアクリル系ポリマーを生成するには、溶液重合、乳化重合、塊状重合などの公知のラジカル重合法を用いればよい。(A)モノマーのモノマー全体中の使用割合に応じていずれかの重合法を適宜選択する。また、この重合後に、再沈法や塩析または凍結/融解を含む処理などの適宜の精製処理を施すことができる。
一方、(A)モノマーの使用量が、モノマー全体中20重量%を超えるようになると、溶液重合や塊状重合を採用すると、炭素数9〜30の長鎖のアルキル基による立体的な重合阻害や希釈効果による重合性の低下により、重合速度が遅くかつ重合率やポリマー分子量も上がらず、未反応モノマーが残存しやすくなる。
しかし、乳化重合、つまり水系溶媒中で水分散重合させる、いわゆるエマルジョン重合を採用すると、上記の問題を解決できる。乳化重合ではこの重合方法の速い重合速度と高い重合度、重合率により、好ましいポリマーが得られやすい。乳化重合後のアクリル系ポリマーは、粘着剤として使用するにあたり、これをそのままエマルジョン液として塗工することも可能であるし、残存する乳化剤により耐湿耐水接着性が低下するのを防ぐため、凍結や塩析などでポリマーを取り出し、乳化剤などの低分子量成分を除去したポリマーとし、有機溶剤に再溶解して塗工することもできる。
重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの重合開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。全体としての使用量は、モノマー全量100重量部あたり、0.005〜1重量部とするのが好ましく、0.02〜0.6重量部とするのがより好ましい。
これらの重合溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。塗工時には、重合溶媒をそのまま用いることができるほか、粘着剤層を均一に塗布できるように重合溶媒以外の1種以上の溶媒を新たに加えてもよい。
水系溶媒には、保護コロイドとして、ポリビニルアルコール、カルボニル変性のメチルセルロース(CMC)などを、アクリル系モノマー100重量部に対して、10重量部以下の割合で使用することができる。
重合温度と時間は、アクリル系モノマーの重合性と水溶性ラジカル重合開始剤の分解温度および時間により決められるが、通常の重合温度は30〜90℃、好ましくは40〜80℃である。また重合時間は、通常3〜12時間である。
また、上記の水溶性無機過酸化物や水溶性有機過酸化物と還元性物質、例えば亜硫酸ナトリウム、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノ安息香酸、Lアスコルビン酸などを組み合わせたレドックス開始剤として使用してもよい。
これらの水溶性ラジカル重合開始剤の使用量としては、アクリル系モノマー100重量部に対して、通常0.001〜1.0重量部である。
このような連鎖移動剤には、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどが用いられる。
これらの連鎖移動剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。全体としての使用量は、アクリル系モノマー100重量部に対して、0.1重量部以下、好ましくは0.001〜0.1重量部である。
上記ふたつの方法では、乳化剤として、各方法に応じた適宜のものを使用するのが望ましい。これらの乳化剤について、以下に説明する。また、後者の方法において、塩析などによりポリマーを取り出す精製処理の方法について、説明する。
このような乳化剤には、ノニオン、アニオンなどの乳化剤がある。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンーポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などである。これらは単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これら乳化剤の使用量は、アクリル系モノマー100重量部あたり、通常0.1〜10重量部とするのが好ましく、重合安定性や機械的安定性、粘着特性から、特に0.3〜3重量部とするのがより好ましい。
このような乳化剤には、アルケニル琥珀酸塩、リン酸エステル塩などが用いられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルケニル琥珀酸ジカリウム(花王ラテムルASK)などの塩析用界面活性剤の使用が好ましい。これらの乳化剤の使用量はアクリル系モノマー100重量部あたり、通常0.1〜10重量部である。
具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
取り出したポリマーを水洗、脱水、乾燥することにより、再沈ポリマーを得ることができる。また、必要により、メチルアルコールやエチルアルコールのような吸水性の有機溶剤で精製や再沈をすることにより、残存するモノマーや乳化剤および分子量が1,000以下の低分子量のポリマーを除去できるので、より好ましい。
このように精製処理して得られるアクリル系ポリマーを加熱押し出機で薄層に基材上に押し出したり、このポリマーをトルエンや酢酸エチル、ヘプタンなどの可溶性の有機溶剤に溶解することにより、アクリル系ポリマー溶液が得られる。
なお、エマルジョン液としてそのまま塗工する場合は、エマルジョン粒子内にゲル分が発生していても特に問題はない。この場合は、便宜的にゲル分量を1,000万の分子量分として、計算することにする。
重量平均分子量が80万より小さいと、凝集力が小さくなり耐久性に乏しくなる傾向がある。一方、析出して溶剤に再溶解して用いる場合は、作業性の観点より、重量平均分子量は300万以下であるのが好ましい。分子量が1,000以下の成分が10重量%以上となると接着性、特に接着保持性が低下してくるため、好ましくない。
分析装置:東ソー製(HLC−8120GPC)
カラム:東ソー製(G7000HXL−H+GMHXL−H+GMHXL)
カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm、計90cm
カラム温度:40℃、
流速:0.8mL/分
溶離液:THF溶液
濃度:約0.1重量%
注入量:100μL
検出器:示差屈折計(RI)
標準試料:ポリスチレン
データ処理装置:東ソー製(GPC−8020)
このような粘着性付与樹脂としては、公知のものをいずれも使用できる。その代表例として、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、炭素数が通常5〜9の石油系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、クマロン系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂が好ましく用いられる。粘着性付与樹脂の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部あたり、100重量部以下が適当である。
また、充填剤として、平均粒径が5〜200μmの中空微粒子を添加したり、重合前のアクリル系モノマーなどの重合成分に対してガスを撹拌混合した状態で重合を行うなどにより粘着剤組成物の体積を増加させるようにしてもよい。
なお、紫外線照射などによる架橋方式とする場合、アクリル系ポリマー中に(メタ)アクリロイル基やエポキシ基などの感光性官能基を有する改質モノマー成分を共重合させる方法などを採ることもできる。
被着体や基材またはセパレータ上に粘着剤組成物を塗工する際には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ナイフコートなどの公知の各種の塗工方法が用いられる。
架橋された粘着剤層のゲル分率は、40〜90重量%であるのが好ましく、45〜85重量%であるのがより好ましく、50〜80重量%であるのがさらに好ましい。ゲル分率が40重量%より小さいと、耐久性に劣る傾向があり、90重量%を超えると、応力緩和性に劣る傾向がある。ゲル分率を上記のように設定するには、使用する架橋剤の添加量を調整するなど、架橋処理の条件を適宜選択すればよい。その際、架橋反応の調整を目的として、エージング処理を行うようにしてもよい。
これら基材の表面には、その材質に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、易接着層の形成などの下地処理や、帯電防止層の形成などを行ってもよい。
また、セパレータには、上記の基材と同様のプラスチックフィルムの表面をシリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などの剥離処理剤で剥離処理したものや、このような剥離処理を施さないポリプロピレンフィルムなど、各種のものを使用できる。
このような各種の粘着シートにおいて、粘着剤層の厚さは、用途目的に応じて適宜選択することができる。通常は2〜500μm、好ましくは5〜100μmとするのがよい。このような薄層の粘着剤層も容易に形成可能である。
また、本発明の粘着剤組成物とその粘着シートは、上記のポリオレフィン系被着体用のほか、各種材質の被着体に対しても利用でき、包装材、マスキング材、電気絶縁材、表面保護材、防食材、接着材などとして応用することができる。
<アクリル系ポリマー1の調製>
撹拌装置付きの300mlのフラスコに、水100部にアルケニル琥珀酸ジカリウム3部を溶解し、つぎにイソステアリルアクリレート45部、n−ブチルアクリレート50部、アクリロニトリル5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.05部、ラウリルメルカプタン0.005部からなる混合モノマーを分散した乳化モノマー液を仕込み、窒素置換しつつ十分に撹拌した。
そこに、水溶性のアゾ系開始剤2,2′−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕0.02部をメタノールと水で溶解した開始剤液を添加した。これを45〜60℃で8時間、さらに過硫酸カリウム0.02部に水1.0部を加えて溶かした開始剤液を加えて50〜60℃で3時間保つことにより、重合エマルジョンを得た。
ステンレス製バットに、上記の重合エマルジョンを深さ3mmとして−30℃の冷凍庫に1昼夜おいたのちに取り出し、室温に戻すことにより、薄葉体状のポリマーを得た。これを流水中に3日間浸漬しつつ揉み洗いした。その後、メタノール中に24時間浸漬し、凍結乾操機にて減圧乾燥し、トルエンと酢酸エチルの等重量溶液に溶解して固形分濃度10重量%のアクリル系ポリマー1の溶液を調製した。アクリル系ポリマー1の重量平均分子量は165万であった。
<アクリル系ポリマー2の調製>
イソステアリルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート70部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.05部、ラウリルメルカプタン0.005部からなる混合モノマーに変更した以外は、参考例1と同様にして、アクリル系ポリマー2の溶液を調製した。アクリル系ポリマー2の重量平均分子量は182万であった。
<アクリル系ポリマー3の調製>
イソステアリルアクリレート100部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1部、ラウリルメルカプタン0.005部からなる混合モノマーに変更した以外は、参考例1と同様にして、アクリル系ポリマー3の溶液を調製した。アクリル系ポリマー3の重量平均分子量は128万であった。
<アクリル系ポリマー4の調製>
イソミリスチルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート70部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.05部、ラウリルメルカプタン0.005部からなる混合モノマーに変更した以外は、参考例1と同様にして、アクリル系ポリマー4の溶液を調製した。アクリル系ポリマー4の重量平均分子量は195万であった。
<アクリル系ポリマー5の調製>
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、イソステアリルアクリレート20部、n−ブチルアクリレート75部、メチルメタクリレート5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部からなるモノマー液と、重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.1部と、重合溶媒として酢酸エチル50部を仕込み、十分に窒素置換したのち、窒素気流下で撹拌しながら粘度増加に対して酢酸エチル300部を徐々に添加しつつ約55℃で10時間重合反応を行った。
その後、メタノールを加えて重合ポリマーを再沈析出し、減圧乾燥したポリマーを酢酸エチルに溶解してポリマー濃度が10重量%のアクリル系ポリマー5の溶液を調製した。アクリル系ポリマー5の重量平均分子量は105万であった。
<アクリル系ポリマー6の調製>
撹拌装置付きの300mlのフラスコに、水100部に共重合性のノニオン系乳化剤(HLB5.4)3部を溶解し、つぎにイソステアリルアクリレート45部、n−ブチルアクリレート50部、メチルメタクリレート5部、アクリル酸1部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.05部からなる混合モノマーを分散したる乳化モノマー液を仕込み、窒素置換しつつ十分に撹拌した。
その後、過硫酸カリウム0.05部に水2.0部を加えて溶かした開始剤液を添加した。これを50〜65℃で8時間、さらに過硫酸カリウム0.02部に水1.0部を加えて溶かした開始剤液を加えて60〜70℃で3時間保ったのちに、80メッシュのナイロン紗でろ過することにより、アクリル系ポリマー6の重合体エマルジョンを得た。
この重合体エマルジョンの乾燥後のアクリル系ポリマー6はトルエン不溶分を36重量%含んでいた。可溶分の分子量は88万であった。この全ポリマーの分子量は、1,000×0.36+88×0.64から、416万とした。
<アクリル系ポリマー7の調製>
n−ブチルアクリレート100部、4−ヒドロキシブチルアクリレート0.1部、ラウリルメルカプタン0.01部からなる混合モノマーに変更した以外は、参考例1と同様にして、アクリル系ポリマー7の溶液を調製した。アクリル系ポリマー7の重量平均分子量は206万であった。
<アクリル系ポリマー8の調製>
n−ステアリルアクリレート30部、n−ブチルアクリレート70部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.05部、ラウリルメルカプタン0.005部からなる混合モノマーに変更した以外は、参考例1と同様にして、アクリル系ポリマー8の溶液を調製した。アクリル系ポリマー8の重量平均分子量は171万であった。
<アクリル系ポリマー9の調製>
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、イソステアリルアクルート45部、n−ブチルアクリレート50部、アクリロニトリル5部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.1部からなるモノマー液と、重合開始剤として2,2′−アゾビスイソブチロニトリル0.2部と、重合溶媒としてトルエン100部を仕込み、十分に窒素置換したのち、窒素気流下で撹拌しながら粘度増加に対してトルエン200部を徐々に添加しつつ約65℃で10時間重合反応を行った。
その後、メタノールを加えて再沈析出したポリマー分と、メタノール混合上澄み液を、それぞれ、エバボレーターで濃縮、乾燥して、ポリマー分9Aと低分子ポリマー分9Bを得た。
ポリマー分9Aを酢酸エチルに溶解してポリマー濃度が30重量%のアクリル系ポリマー9の溶液を調製した。なお、ポリマー分9Aおよび低分子ポリマー分9Bの重量平均分子量はそれぞれ45万および1.3万であった。
<アクリル系ポリマー10の調製)
アクリル系ポリマー1の溶液(固形分10重量%):参考例9の低分子ポリマー分9B(固体)を、ポリマー固形分が4:1の重量比になるように、160:4の重量比で混合して、アクリル系ポリマー10の溶液を調製した。アクリル系ポリマー10の重量平均分子量は133万で、分子量が1,000以下の成分が20重量%であった。
なお、ポリマーの分子量特性は、測定ポリマーをTHF溶液とし、本文詳記のGPCにより、ポリマーの重量平均分子量Mwを測定し、また測定ポリマーの分子量が1,000以下の面積からその含有量を測定した。
<粘着剤組成物1の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液に、その固形分100部あたり、トリメチロールプロパン1モルにへキサメチレンジイソシアネート3モルを付加した3官能イソシアネート化合物0.5部を加え、均一に混合撹拌して、粘着剤組成物1を調製した。
<粘着テープ1の作製>
上記の粘着剤組成物1を、コロナ処理を施した厚さ25μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、80℃で3分間加熱して、乾燥後の厚さが30μmの粘着剤層を形成した。これをシリコーンで剥離処理したクラフト紙に貼り合わせ、50℃で3日間硬化したのち、10mm幅に切断して、粘着テープ1とした。
<粘着剤組成物2の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー2の溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物2を調製した。
<粘着テープ2の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物2に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ2を作製した。
<粘着剤組成物3の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー3の溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物3を調製した。
<粘着テープ3の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物3に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ3を作製した。
<粘着剤組成物4の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー4の溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物4を調製した。
<粘着テープ4の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物4に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ4を作製した。
<粘着剤組成物5の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー5の溶液に変更し、かつ3官能イソシアネート化合物の使用量を0.5部から1部に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物5を調製した。
<粘着テープ5の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物5に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ5を作製した。
<粘着剤組成物6の調製>
アクリル系ポリマー6の重合体エマルジョンに、アンモニア水を加え、混合撹拌して、pH9の粘着剤組成物6を調製した。
<粘着テープ6の作製)
上記の粘着剤組成物6を、コロナ処理を施した厚さ25μmのポリプロピレンフィルムの片面に塗布し、80℃で15分間加熱して、乾燥後の厚さが30μmの粘着剤層を形成した。これをシリコーンで剥離処理したクラフト紙に貼り合わせ、50℃で3日間硬化したのち、10mm幅に切断して、粘着テープ6とした。
<粘着剤組成物7の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー7の溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物7を調製した。
<粘着テープ7の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物7に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ7を作製した。
<粘着剤組成物8の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー8の溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物8を調製した。
<粘着テープ8の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物8に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ8を作製した。
<粘着剤組成物9の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー9の溶液に変更し、かつ3官能イソシアネート化合物の使用量を0.5部から3部に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物9を調製した。
<粘着テープ9の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物9に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ9を作製した。
<粘着剤組成物10の調製>
アクリル系ポリマー1の溶液を、アクリル系ポリマー10の溶液に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物10を調製した。
<粘着テープ10の作製)
粘着剤組成物1を、上記の粘着剤組成物10に変更した以外は、実施例1と同様にして、粘着テープ10を作製した。
架橋反応(硬化)させた直後の粘着剤層を約0.1gとり、これを秤量して重量(W1 )を求め、これを微孔性ポリテトラフルオロエチレン膜に包んで(膜重量W2 )、約50mlのトルエン中に23℃下で2日間浸漬したのち、可溶分を抽出した。
その後、上記の粘着剤層を膜と一緒に取り出し、これを120℃で2時間乾燥し、全体の重量(W3 )を測定した。これらの測定値から、下記の式にしたがって、粘着剤層のゲル分率(重量%)を求めた。
ゲル分率(重量%)=〔(W3 −W2 )/W1 〕×100
粘着テープから幅10mm,長さ100mmの大きさの試料片を作製し、これをポリプロピレン板上に23℃下重さ2kgのローラー1往復にて貼り合わせ、同温度でテンシロン型剥離試験機により300mm/分の剥離速度で剥離接着力を測定した。
粘着テープから幅10mm,長さ100mmの大きさの試料片を作製し、これをポリプロピレン板上に貼り付け部の長さが50mmになるように重さ2kgのローラー2往復にて貼り合わせたのち、23℃で24時間放置後、40℃中でポリプロピレン板の両端を支持して片方のテープ端に10gの荷重を取り付け、下垂した状態で放置し、60分後の剥がれ距離を測定した。
また、この性能に加え、実施例1〜6の各粘着テープは、粘着剤組成物中に粘着付与樹脂を含んでいないため、着色も少なく透明性に優れ、かつ低高温接着性にも優れていた。このため、自動車、家電製品など様々な用途において使用されているポリオレフィンを接合するために最適な粘着製品を提供できるものである。
Claims (3)
- 炭素数9〜30の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(A)/これと共重合可能な他のビニル系モノマー(B)が重量比で100/0〜10/90であるアクリル系モノマーの単独重合体また共重合体からなる、重量平均分子量が80万以上、分子量1,000以下の成分の含有量が10重量%未満であるアクリル系ポリマーを主剤としたことを特徴とする粘着剤組成物。
- ポリオレフィン系被着体用である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 基材またはセパレータ上に請求項1または2に記載の粘着剤組成物からなる層を有することを特徴とする粘着シート。
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