JP2009073037A - インクジェットヘッドおよび、インクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高価なSOI基板を用いずに高精度で量産性に優れたピエゾインクジェットヘッドを製造する方法の提供。
【解決手段】 シリコン基板Aに圧力室、シリコン基板Bに連通部あるいは吐出ノズル、共通液室となる多孔質部分を陽極化成により形成した(あるいはさらにその部分を酸化した)後に2枚の基板を接合する。次いで基板A側を研磨薄化して振動板を形成し、さらにその上にピエゾアクチュエータを形成する。次いで吐出口やインク供給口を形成して前記多孔質部分まで貫通させ、多孔質部分をウェットエッチング等により除去して流路を貫通させ、インクジェットヘッドを得る。
【選択図】 図1

Description

本発明はインクジェット記録ヘッド、特により微細な液滴吐出に適したインクジェットヘッドに関する。
インクジェット式記録ヘッドは、プリンター等に用いられて広く普及しているが、近年高精細化への要求が高まるにつれ一層の微細化、高精度化が求められている。インクジェットヘッドの主な製法の1つとして、インクに吐出のための圧力を作用させるための複数の圧力室などを形成した部材(流路形成基板)に、複数の微細なノズル孔や、場合によっては圧力室とノズルを連通するノズル連通部などが形成されたノズル基板を貼り合わせることによってインクジェットヘッドの形成を行う方法を挙げる事ができる。この方法は、圧力室やノズル連通部の加工と、ノズルの加工をそれぞれ別に行った後に貼り合わせるため、各部材の加工に対する自由度の大きな製法であるということができる。従来、このような積層構造を有するインクジェットヘッドの材料として、種々のセラミックや金属、樹脂などが用いられてきているが、微細かつ高精度な加工に適した材料として、半導体作製用に普及しているSi基板を用いる方法が近年とみに注目を集めている。
例えば特許文献1には、流路形成基板として面方位が(110)であるSi基板を用いたインクジェットヘッドの例の記載がある。このインクジェットヘッドはSiのウェット異方性エッチングを利用して圧力室その他の、基板面に垂直な壁を持った流路を形成する方法であり、微細かつ高精度な加工が可能であるが、実際には基板面に対して斜めとなる(111)面が現れることもあり、得られる流路の形状はSiの結晶方位に制限されるもので自由度が小さい。
また、特許文献2には圧力室その他の流路を異方性ドライエッチングにより形成するインクジェットヘッドの製造方法の記載がある。この方法はフォトリソグラフィ等の手法と併せて用いることにより、微細・高精度かつ自由度の高い形状で流路を形成することのできる優れた方法と言える。また、特許文献3にはSOIウェハを用いて厚み精度の高い振動板を形成する手法の記載がある。これらの方法を組合わせることにより、高精度な形状を有するインクジェットヘッドの作製が可能となるが、高精細な印字に対する要求はますます強まり、インクジェットヘッドに対しては、より微小な液滴の吐出が望まれてきている。これらの方法を用いてインクジェットヘッドを形成する際にも、微小な液滴の吐出のためには圧力室の深さや、ノズルの長さをより小さくしてゆく必要があり、そのためには用いる基板の厚さを薄くしてゆく必要がある。こうして基板の厚さを薄くしていった時、強度低下による基板の破損の問題が大きくなってくる。また、真空装置を用いたドライエッチングでのシリコン深掘り加工を多用することは量産性を低下させ、高価なSOIウェハを用いることとも併せて製造コストを大きく引き上げる要因となる。
特許第3186321号公報 特開平9−248914号公報 特開平10−44406号公報
そこで本発明の目的は、高価なSOIウェハを用いる必要がなく、また、ドライエッチングによるシリコン深掘り加工の工程を用いる必要が無いか、あるいは用いたとしても一部だけにすることができ、かつ、圧力室の深さがウェハの厚みに依存しないためハンドリングが容易な比較的厚いウェハを用いることのできる、量産性に優れた高精細なインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明の目的は、以下のようなプロセスを用いたインクジェットヘッドの製造方法により達成される。
形態−1
1−1)流路形成基板となるシリコン基板Aの片側に陽極化成の手法を用いて後に圧力室となる部分の多孔質化を行う。
1−2)ノズル基板となるシリコン基板Bの片側にやはり陽極化成の手法により後に連通部となる部分の多孔質化を行う。
1−3)基板A、Bをそれぞれのパターンが対応するように接合する。場合によっては、接合前に夫々の基板の多孔質化した部分を熱酸化により酸化シリコンに変質させてから接合する。
1−4)接合された基板に対し、基板A側を研磨やスピンエッチング等の手法を用いて、後に振動板となる部分が残るように薄化する。基板B側に関しては、用いる基板Bの厚さによっては必ずしも薄化する必要はないが、基板Bとして厚い基板を用いる場合や、連通部の長さを短くしたい場合などには、後に連通部となる部分の底において、残ったシリコンの厚さが吐出ノズルの長さに対応した長さになるよう薄化する。
1−5)基板A側の圧力室に対応した部分にピエゾ素子を形成する。
1−6)基板B側から、ドライエッチやレーザーアブレージョン等の手法を用いて吐出口および吐出ノズルを形成する。また、やはりエッチングやレーザーアブレージョン等の方法でインク供給口の形成を行う。
1−7)吐出口とインク供給口から、ウェットエッチングの手法により、多孔質化した部分または酸化シリコンに変質させた部分の除去を行い、圧力室(同時に振動板)、連通部および吐出ノズルおよび吐出口等の流路部分を形成してインクジェットヘッドを得る。
以上のような工程を経て得られるインクジェットヘッドは、高価なSOIウェハを使用しなくても、陽極化成の条件を制御することによって深さ精度の高い圧力室や連通部を形成することができる。またシリコン基板Aは、形成する圧力室の深さに関係なく厚い基板を用いることができ、ハンドリングが容易である。
基板A、Bの接合は基板A、Bの接合は、例えばシリコン−シリコン、或いは酸化シリコン−酸化シリコン等の固層接合を好適な接合方法として挙げることができるが、いずれの接合方法を用いた場合にも接合時には基板に掘り込み等の凹凸がないため基板の損傷等が生じにくく、接合が容易という利点がある。さらに、接合後の基板Aの薄化であるが、通常のシリコンウェハの研磨手法を用いることが可能であり、基板A、B共その時点では掘り込みが無く、均一に荷重を加えることができるので薄化後の厚さ精度を高くすることができる。スピンエッチ等の手法を用いて薄化することも可能である。陽極化成により形成される多孔質部分の深さ精度が高いため、高い厚さ精度で薄化することにより後に振動板となる部分の厚さの精度、均一性もまた高くなる。また、2つの基板を接合した後に一方を薄化するため、基板Aが薄くなっても全体としての基板厚は比較的厚く、十分な強度を有するためハンドリングやプロセス流動に対して有利である。
吐出口および吐出ノズルの形成は、ドライエッチやレーザーアブレージョン等公知の方法を用いることができるのであるが、基板Bの厚さ精度と連通部を形成するための陽極化成の深さ精度から決定される吐出ノズルの長さは、やはり精度良く形成することができる。上記振動板の厚み精度や、吐出ノズルの長さ精度は、微細な液滴を吐出するための多ノズル高精細なインクジェットヘッドのための非常に重要な要素である。
加えて本発明のインクジェットヘッド製造方法においては、工程の終わりに近い段階においてウェットエッチにより流路となる部分が形成されるため、途中の工程で流路にゴミなどの入り込みが無く、流路詰まりの原因となるゴミ等に対して非常に強いプロセスであると言うことができる。
本発明の目的は、以下のような第2のプロセスでも達成することができる。
形態−2
2−1)シリコン基板Aの片側に陽極化成の手法を用いて後に圧力室となる部分の多孔質化を行う。
2−2)別のシリコン基板Bの片側に、やはり陽極化成によって後に吐出ノズルとなる部分の多孔質化を行う。
2−3)基板A、Bをそれぞれのパターンが対応するように接合する。場合によっては、接合前に夫々の基板の多孔質化した部分を熱酸化により酸化シリコンに変質させてから接合する。
2―4)接合された基板に対し、基板A側を研磨やスピンエッチング等の手法を用いて、後に振動板となる部分が残るように薄化する。
2−5)基板A側の圧力室に対応した部分にピエゾ素子を形成する。
2−6)2)で形成した吐出ノズルとなる部分の所定の位置で基板の切断を行って、切断面に吐出口となる部分を形成する。
2−7)吐出口と別途形成したインク供給口から、ウェットエッチングの手法により、多孔質化した部分または酸化シリコンに変質させた部分の除去を行い、圧力室(同時に振動板)、連通部および吐出ノズル等の流路部分を形成してインクジェットヘッドを得る。
形態−1のインクジェットヘッドが、吐出方向が基板面に対して略垂直ないわゆるサイドシューター型であるのに対し、形態−2のインクジェットヘッドでは、吐出方向が基板面にほぼ平行なエッジシューター型のインクジェットヘッドとなる。
前記形態−2では基板A側に圧力室、基板B側に吐出ノズルを形成しているが、そのバリエーションとしては、基板A側に2段階以上の陽極化成を行って圧力室、吐出ノズル、場合によっては共通液室の一部を形成しても構わない。さらに基板Bは単純な平滑面を有する基板でもよいし、やはり陽極化成やその他の手法によって共通液室となる部分を形成しても構わない。
形態−2に記載した製法によるインクジェットは、形態−1のインクジェットの長所に加え、さらに吐出ノズル、吐出口の形成にドライエッチング等の真空装置を用いる必要が無く量産性に優れ、また、基板Bの厚さに対してはさらに自由度が大きくなる。
本発明におけるインクジェットヘッドは、高価なSOIウェハを使用しなくても、陽極化成の条件を制御することによって深さ精度の高い圧力室や連通部を形成することができる。またシリコン基板Aは、形成する圧力室の深さに関係なく厚い基板を用いることができ、ハンドリングが容易である。
基板A、Bの接合は、例えばシリコン−シリコン、或いは酸化シリコン−酸化シリコン、金−金等の固層接合を好適な接合方法として挙げることができるが、いずれの接合方法を用いた場合にも接合時には基板に掘り込み等の凹凸がないため基板の損傷等が生じにくく、接合が容易という利点がある。さらに、接合後の基板の薄化に関しては、通常のシリコンウェハの研磨手法を用いることが可能であり、基板A、B共その時点では掘り込みが無く、均一に荷重を加えることができるので薄化後の厚さ精度を高くすることができる。スピンエッチ等の手法を用いて薄化することも可能である。陽極化成により形成される多孔質部分の深さ精度が高いため、高い厚さ精度で薄化することにより後に振動板となる部分の厚さの精度、均一性もまた高くなる。また、2つの基板を接合した後に一方を薄化するため、基板Aが薄くなっても全体としての基板厚は比較的厚く、十分な強度を有するためハンドリングやプロセス流動に対して有利である。
吐出口の形成は、形態−1の場合、ドライエッチやレーザーアブレージョン等公知の方法を用いることができるのであるが、基板Bの厚さ精度と連通部を形成するための陽極化成の深さ精度から決定される吐出ノズルの長さは、やはり精度良く形成することができる。上記振動板の厚み精度や、吐出ノズルの長さ精度は、微細な液滴を吐出するための多ノズル高精細なインクジェットヘッドのための非常に重要な要素である。
形態−2の場合には吐出ノズルも陽極化成で形成され、吐出口は切断時に形成されるため、さらに量産性が向上する。
加えて本発明のインクジェットヘッド製造方法においては、工程の終わりに近い段階においてウェットエッチにより流路となる部分が形成されるため、途中の工程で流路にゴミなどの入り込みが無く、流路詰まりの原因となるゴミ等に対して非常に強いプロセスであると言うことができる。
以下実施例に従って本発明をより詳細に説明する。
1)基板Aに対する陽極化成による圧力室となる部分の多孔質化(図1、図2)
基板Aとして直径150mm、厚さ625μm、p+型シリコン単結晶基板1Aを用い、その片面にスパッタリングによりクロムを密着層(5nm)とした金(0.1μm)を成膜する。その後フォトリソグラフィやエッチングの手法を用いて図1−aに示すようなインクジェットヘッドの圧力室の平面形に対応した陽極化成用マスク2Aを形成する。図1−b、図1−cは図1−aの夫々A−A’断面図、B−B’断面図である。
次いでフッ酸にアルコールを混合させた水溶液を化成液として用い、基板Aに陽極化成を行ってマスク開口部において深さが約80μmとなるまで多孔質化する (図2)。この多孔質化した部分3’は後に圧力室となる部分である。多孔質部分の多孔度(空隙率)や深さは陽極化成の際のフッ酸濃度、電流密度、通電時間等の条件により制御される。
2)基板Bに対する連通部および共通液室となる部分の多孔質化(図3、図4)
次に今度は基板Bとして直径150mm、厚さ200μmのp+型シリコン単結晶基板1Bを用い、1)と同様にその片側にクロムを密着層とした金を成膜し、やはりフォトリソグラフィやエッチングの手法を用いてインクジェットヘッドの連通部および共通液室平面形に対応した陽極化成マスク2B(図3)を形成する。
次いで、やはり1)と同様な陽極化成を行い、深さが約150μmに達する多孔質部分4’、5’を形成した。4’は後に連通部となる部分、5’は後に共通液室となる部分である。
3)基板A、Bの接合(図5)
陽極化成後の基板A、Bを十分洗浄、乾燥後に公知の基板接合装置を用い、夫々のパターンのアライメントを行いながら基板A(1A)、B(1B)の接合を行う。(図5)この接合に関しては、陽極化成マスクとしたクロムを下引きした金の層2A、2Bをそのまま金−金接合の接合層とすることができる。その場合には、金の表面を十分清浄化しておけば、基板を0.1〜5MPa程度圧力、常温〜300℃程度の温度で圧接するだけで接合が可能である。また、金やクロムの層をエッチングにより除去し、その後露出したシリコン表面を十分に清浄化してシリコン−シリコンの直接接合しても構わない。いずれにせよ、基板A、Bの接合方法としては金−金、シリコン−シリコン等の固層接合が望ましい接合方法である。
4)基板の薄化(図6)
接合後の基板の基板A(1A)の側を、シリコンウェハの研磨などに用いられる公知の研磨方法を用いて研磨し、薄化する。この時点で接合された基板A(1A)、B(1B)は、内部に空洞部を有さない(但し金の厚みに対応したごく薄い空隙層や、多孔質シリコン部分の微小な空孔は除く)ため、殆ど通常の1枚のシリコンウェハ同様な研磨が可能であり、従って公知の研磨方法を用いても、高い厚み精度や平面性が得られる。研磨量としては、1)で多孔質層を形成した部分の底から、後に振動板となる部分6の厚みを残すようにする。ここでは、振動板厚を5μmにするとすれば、最終的な接合した基板の厚さtが、
t=(基板Bの厚さ:200)+(基板Aの多孔質部分3’の深さ:80)
+(振動板厚さ:5)=285μm
となるように薄化すればよい。(図6)
先にも述べたとおり、基板A(1A)の多孔質部分の深さの均一性が高いため、振動板として残る部分6の厚さの均一性を出し易い。研磨により非多孔質部分が薄くなれば、多孔質部と非多孔質部との屈折率の違いを利用し、赤外線(〜可視光)を用いた非破壊・非接触の膜厚測定も可能なので、研磨の仕上段階において、振動板として残す非多孔質部分の厚みを測定しつつ、基板内でのその厚さ分布を小さくなるように研磨することも可能である。
また、本実施例では基板Bの初期厚さを200μmとしているが、これより一般的なシリコンウェハの厚みである600μm前後のものを用い、基板A、B接合後に基板B側の薄化を実施し、基板B側の厚みが200μmとなるように加工しても構わない。
5)研磨面へのピエゾ素子形成(図7)
4)で研磨・薄化した基板のA側に絶縁層・バリア層となる酸化シリコン層(500nm)をCVD法等により成膜し、ついで密着層のチタン(5nm)、下電極となる白金(300nm)を連続スパッタにより成膜、さらに圧電体であるPZT(3μm)をスパッタにより成膜後、酸素雰囲気中700℃で焼成する。その後さらに上電極となる白金(300nm)をスパッタにより成膜し、さらに酸素雰囲気中300℃で焼成する。ついで1)で形成した多孔質部分のパターンと対応するアライメントを行ってフォトリソグラフィとエッチングの手法により上電極およびPZTのパターニングを行い、図7に示すピエゾ素子7を形成する。
6)インク供給口、吐出口、吐出ノズルの形成(図8)
接合した基板のA側から、レーザーアブレージョンの手法により、2)で形成した基板Bの多孔質部分の内、共通液室となる部分5に到達するように1mmφの孔を形成し、インク供給口8とする。
続いて今度は接合した基板の基板B側に、2)で形成した多孔質部分のパターンに対応するアライメントを行ってフォトリソグラフィを行い、吐出口の平面パターンに対応するレジストマスクを形成する。ついで、いわゆるボッシュプロセスによるシリコン深掘りエッチングを行い、30μmφの孔を2)で形成した多孔質部のうち、連通孔となる部分4’に到達させる。この部分は最終的に吐出ノズル9および吐出口9”となる。(図8)
7)多孔質部分のエッチングによる流路の形成(図9)
次いで公知の方法により基板をインクジェットヘッドに対応したチップに切断し、その後インク供給口8から希フッ酸に過酸化水素、アルコールを混合したエッチャントを導入して多孔質シリコン部分3’、4’、5’をエッチングにより除去する。多孔質シリコンは比表面積が大きくて活性が高いため、十分に多孔度を大きくしておけば、非多孔質部分のシリコンに対し非常に大きなエッチング選択比を得ることができる。最終的にはインク供給口8から共通液室5、圧力室3、連通部4を経由して吐出口9”まで貫通した流路が形成される。
以上のような工程を経て、インクジェットヘッド10を得ることができる。
1)基板Aに対する圧力室となる部分の多孔質化および酸化(図11、図12)
実施例1と同様に基板A(11A)に陽極化成を行ってマスク開口部において深さが約80μmとなるまで多孔質化する。この時、多孔質化された部分の多孔度は80%以上であることが望ましい。その後マスク12Aをウェットエッチングにより除去し、十分に洗浄、乾燥してから、酸素雰囲気中で900℃程度まで加熱し、多孔質化した部分を全て酸化シリコンに変質させる(図12)。シリコンが酸化シリコンに変質する際体積膨張を伴うが、多孔度が80%以上であれば酸化シリコンに変質後も基板表面への盛り上がりが生じず、後の基板接合の際に望ましい。
また、図示はしていないが、後に共通液室にインクを供給するための供給口に対応する部分にも約1mmφのマスク開口部を設けておき、この部分も同時に多孔質化し、さらに酸化シリコンに変質させておく。
2)−1.基板Bに対する共通液室となる部分の多孔質化および酸化(図13、図14)
次に今度は基板Bとして直径150mm、厚さ625μmのp+型シリコン単結晶基板11Bを用い、片側にクロムを密着層とした金を成膜し、やはりフォトリソグラフィやエッチングの手法を用いてインクジェットヘッドの共通液室平面形に対応した陽極化成マスク12B(図13)を形成する。
次いで、やはりフッ酸+アルコール水溶液中にて陽極化成を行い、深さが約300μmに達する多孔質部分15’を形成した。15’は後に共通液室となる部分である。
2)−2.基板Bに対する吐出ノズルとなる部分の多孔質化および酸化(図15、図16)
続いて、今度はマスク12Bに再度フォトリソグラフィやエッチングを行って、インクジェットヘッドの吐出ノズル平面形に対応した幅30μmパターンの開口部を形成する(図15)。さらに基板Bに対して2度目の陽極化成を行い、吐出ノズルに対応したパターンの開口部に深さ30μmに達する多孔質部分19’を形成する。19’は後に吐出ノズルとなる部分である。次にマスク12Bをウェットエッチングにより除去し、十分に洗浄、乾燥を行った後に、1)と同様な酸素雰囲気中の加熱により多孔質部分19’、15’を全て酸化シリコンに変質させた(図16)。
3)基板A、Bの接合(図10、図17)
公知の基板接合装置を用い、基板A(11A)、B(11B)を夫々のパターンのアライメントを行いながら接合面を常温で密着させ、その後1200℃まで加熱して基板A(11A)とB(11B)の接合を行った。
4)基板Aの薄化(図18)
実施例1と同様にして接合後の基板A(11A)を薄化し、後に圧力室となる酸化シリコン部分13’の底に厚さ5μmの振動板16を形成する。
5)研磨面へのピエゾ素子形成(図19)
4)で薄化した基板のA側に実施例1の場合と同様に、絶縁層・バリア層となる酸化シリコン層(500nm)、密着層のチタン(5nm)、下電極となる白金(300nm)さらに圧電体であるPZT(3μm)を成膜・焼成し、さらに上電極となる白金(300nm)の成膜を行い、さらに1)で形成した後に圧力室となる酸化シリコン部分13’に対応したアライメントでパターニングを行ってピエゾ素子17を形成する。
また、やはりA側にフォトリソグラフィやエッチングの手法を用い、1)で形成した後に供給口となる酸化シリコン部分18’に対応する位置のシリコンを除去し、供給口となる部分の酸化シリコン18’を露出させる(図20)。
6)切断による吐出口形成
ついでダイシング等公知の方法で基板をチップに切断する。その際、図20の矢印で示す部分でダイシングにその後の研削を組み合わせた特に精密な切断を行い、断面に酸化シリコン部分19’を露出させる。酸化シリコン部分19’の切断面が吐出口19”となる。
7)酸化シリコン部分のエッチングによる流路形成(図21)
ピエゾ素子の部分を保護した状態で、インク供給口となる部分18’から、フッ酸とアルコールの混合液であるエッチャントを導入し、酸化シリコン部分18’、15’、13’19’をエッチングにより除去する。最終的にはインク供給口18から吐出口19”まで貫通した流路が形成され、このようにしていわゆるエッジシュータータイプのインクジェットヘッド20が完成する。
基板A 陽極化成マスクの形成圧力室パターン。 陽極化成による多孔質化後の基板A。 基板B 陽極化成マスクの形成連通部・共通液室パターン。 陽極化成による多孔質化後の基板B。 a)接合された基板A、B、b)接合された基板A、Bの断面図の平面図。 薄化後の基板A、Bの断面図。 研磨面へのピエゾ素子を形成(基板A、B断面図)。 インク供給口、吐出口、吐出ノズルの形成(基板A、B断面図)。 多孔質部分のエッチングによる流路の形成(基板A、B断面図)。 接合された基板A、Bの断面図。 基板A 陽極化成マスクの形成圧力室パターン。 陽極化成による多孔質化後さらにその部分を熱酸化した状態の基板A。 共通液室パターン陽極化成マスクの形成した状態の基板B。 共通液室となる部分を陽極化成により多孔質化した状態の基板B。 吐出ノズルパターン陽極化成マスクの形成した状態の基板B。 吐出ノズルパターンを陽極化成により多孔質化し、さらに共通液室となる部分とともに熱酸化した状態の基板B。 接合された基板A、Bの平面図。 基板A薄化後の基板A、B断面図。 研磨面へピエゾ素子を形成した状態の基板A、B断面図。 供給口となる部分の上のシリコンを除去した状態の基板A、B断面図。 酸化シリコンをエッチングして流路が形成された状態の基板A、B断面図。
符号の説明
1〜10 形態−1(実施例1)
1A 基板A
1B 基板B
2A 基板Aの陽極化成用マスク
2B 基板Bの陽極化成マスク
3’ 後に圧力室となる多孔質化された部分
3 圧力室
4’ 後に連通部となる多孔質化された部分
4 連通部
5’ 後に共通液室となる多孔質化された部分
5 共通液室
6 振動板
7 ピエゾ素子
8 インク供給口
9 吐出ノズル
10 インクジェットヘッド
11〜19 形態−2(実施例2)
11A 基板A
11B 基板B
12A 基板Aの陽極化成用マスク
12B 基板Bの陽極化成マスク
13’ 後に圧力室となる多孔質化されかつ酸化された部分
13 圧力室
15’ 後に共通液室となる多孔質化されかつ酸化された部分
15 共通液室
16 振動板
17 ピエゾ素子
18’ 後にインク供給口となる多孔質化されかつ酸化された部分
18 インク供給口
19’ 後に吐出ノズルとなる多孔質化されかつ酸化された部分
19 吐出ノズル
19” 吐出口
20 インクジェットヘッド

Claims (9)

  1. 1)シリコン基板Aの片側に陽極化成によって後に圧力室となる部分を多孔質化する工程
    2)別のシリコン基板Bの片側にやはり陽極化成によって後に連通部となる部分を多孔質化する工程
    3)A、B二つのシリコン基板を接合する工程
    4)接合後の基板を研磨やエッチングにより薄化する工程
    5)接合後の基板A側にピエゾ素子を形成する工程
    6)基板B側に吐出ノズルおよび吐出口を形成する工程
    7)その後エッチングにより多孔質部分を除去し、流路を連通させる工程
    を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  2. 1)シリコン基板Aの片側に陽極化成によって後に圧力室となる部分を多孔質化する工程
    2)別のシリコン基板Bの片側にやはり陽極化成によって後に吐出ノズルとなる部分を多孔質化する工程
    3)A、B二つのシリコン基板を接合する工程
    4)接合後の基板A側を研磨やエッチングにより薄化する工程
    5)薄化後の基板A側にピエゾ素子を形成する工程
    6)接合後の基板を切断することにより断面に吐出口となる部分を形成する工程
    7)その後エッチングにより多孔質部分を除去し、流路を連通させる工程を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  3. 1)シリコン基板Aの片側に2段階以上の陽極化成によって後に圧力室および吐出ノズルとなる部分を多孔質化する工程
    2)別のシリコン基板Bの片側にやはり陽極化成によって後に共通液室となる部分を多孔質化する工程
    3)A、B二つのシリコン基板を接合する工程
    4)薄化後の基板A側にピエゾ素子を形成する工程
    5)接合後の基板を切断することにより断面に吐出口となる部分を形成する工程
    6)その後エッチングにより多孔質部分を除去し、流路を連通させる工程を含むことを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。
  4. 前記陽極化成により形成した多孔質シリコン部分をさらに酸化シリコンに変質させる工程を含み、エッチングにより、多孔質シリコン部分を除去する代わりに酸化シリコン部分を除去することを特徴とした請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェットの製造方法。
  5. シリコン基板A、BがP+型の単結晶シリコンであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか記載のインクジェットの製造方法。
  6. 基板A、Bの接合が金−金接合である請求項1〜請求項5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  7. 基板A、Bの接合がシリコン−シリコン接合、シリコン−酸化シリコン接合、酸化シリコン−酸化シリコン接合のいずれかである請求項1〜請求項5のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかに記載のインクジェットヘッドの製造方法により製造されたインクジェットヘッド。
  9. 前記圧力室の内壁表面には、少なくとも10nm以上、周期500nm未満の凹凸を有することを特徴とする請求項8に記載のインクジェットヘッド。
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