以下、本発明が適用された記録再生装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明が適用された記録再生装置1は、図1及び図2に示すように、略矩形状に形成された装置本体2を有し、この装置本体2に集音マイク及び音声情報を記憶するICチップが内蔵されたいわゆるICレコーダである。この記録再生装置1は、ユーザによって片手で把持され、装置本体2の主面部2aや側面部2bに配設された操作釦群4が操作されることによって音声情報を録音し、また装置本体2の下面部2cに設けられたヘッドホンジャック5にヘッドホンのプラグを差し込むことにより、音声情報が出力される。
また、本発明が適用された記録再生装置1は、装置本体2の上方に撮像レンズ及び撮像素子が内蔵されたカメラユニット6と、画像情報及び文字情報が表示される液晶モニタ7とを備え、図2に示すように、装置本体2の長手方向にスライド可能に組み込まれた可動ブロック3を備える。そして記録再生装置1は、可動ブロック3のカメラユニット6を用いて録音と同時に、静止画を撮像することができ、ある音声情報を録音した時の状態を当該音声と関連付けて記録しておくことができる。この撮像画面は、液晶モニタ7に表示されることにより後に撮像時の音声情報を検索、再生する際のインデックスとして用いることができる。
このような記録再生装置1の装置本体2は、図3に示すように、上下ハーフ10,11と、この上下ハーフ10,11に挟持され装置本体2の側面部2bを構成する外装フレーム12とを備える。また、装置本体2は、各種電子機器が実装され、また各種電子回路が形成された配線基板群13と、これら配線基板群13が組み付けられているメインフレーム14及びサブフレーム15を有し、このメインフレーム14に上下ハーフ10,11及び外装フレーム12が接続されている。
上下ハーフ10,11は、略矩形状に成形された金属板からなり、中央部分が平坦化されるとともに外周部に傾斜面が形成されている。この上下ハーフ10,11は、外装フレーム12、メインフレーム14及び配線基板群13とネジ止めされるためのネジ孔が設けられた接続片16が複数立設されている。また上ハーフ10は、略中央部に録音釦や後述するカメラユニット6を操作するシャッタ釦を外方に臨ませる開口部17が穿設され、また上方には後述する液晶モニタ7の一部又は全部を外方に臨ませる方形の切欠き部18が形成されている。
この上下ハーフ10,11に挟持される外装フレーム12は、略U字状に折り曲げ成型された金属板からなり、上下ハーフ10,11に挟持されることにより装置本体2の側面部2b及び下面部2cを構成するものであり、ユーザによる装置本体2の把持部となる。この外装フレーム12は、側面部2bに装置本体2の操作釦群4を外方に臨ませる操作釦用開口部19が形成されている。
また外装フレーム12は、下面部2cの中央部にヘッドホンジャック5を外方に臨ませるヘッドホン用開口部20aが形成され、下面部2cと側面部2bとのコーナ部に装置本体2を携帯するためのストラップが取り付けられるストラップ用開口部20bが形成されている。すなわち、装置本体2にヘッドホンと携帯用ストラップが同時に装着されたときにも、ヘッドホン用開口部20aとストラップ用開口部20bとが装置本体2の下面部2cの略中央とコーナ部とに離間して形成されているため、それぞれ絡み合うことが防止され装置本体2の取り扱いが容易となる。また、装置本体2の下面部2cにヘッドホン用開口部20a及びストラップ用開口部20bとが形成されることにより、首からストラップをかけて記録再生装置1を携帯している状態で、主面部2aを操作者側に向けて装置本体2を把持すると、録音釦8aやシャッタ釦8b等の操作釦群4に自然と指が位置されるため、装置本体2の把持動作と連動して録音又は撮像操作を行うことができ、操作を急いで録音や撮像を行うときにも容易に対応することができる。なお外装フレーム12は、メインフレーム14や配線基板群13とネジ止めされるネジ孔が設けられた接続片が立設されている。また、外装フレーム12の下面部2cにはヘッドホンジャック5と並んでマイクジャック40が設けられている。
装置本体2の内部空間に組み付けられるメインフレーム14は、例えばマグネシウムダイキャストによる金属フレームであり、上下ハーフ10,11及び外装フレーム12が内部からネジ止めされている。またメインフレーム14は、後述する可動ブロック3をスライド可能に係合するシャーシ21がネジ止めされている。
このメインフレーム14及びサブフレーム15に組み付けられる配線基板群13は、CPUや集音マイク、操作釦群4等が実装されたメイン基板や、カメラユニット6を駆動制御するカメラユニット用基板、液晶モニタ7とを駆動制御させるLCD基板等を備える。これら配線基板群13は、可動ブロック3に設けられたカメラユニット6や液晶モニタ7とフレキシブル配線板を介して接続されている。
これら配線基板群13に設けられた操作釦群4は、図1に示すように、主に装置本体2の主面部2a及び側面部2bに臨まされる。このうち装置本体2の主面部2aには、音声情報の録音を開始する録音釦8aと、カメラユニット6による画像記録を行うシャッタ釦8bとが配設されている。これら録音釦8a及びシャッタ釦8bは、装置本体2の主面2aに配設されることにより、ユーザが把持したときに指が自然と位置され、急な録音、撮像のタイミングにも容易に対応することができる。
また、装置本体2の側面部2bには、早送りや早戻し、スキップ等を行う多方向スイッチ9aや、操作停止釦9b、音量調節釦9c等が設けられている。このうち、多方向スイッチ9aは、図4に示すように、4方向への傾斜操作及びプッシュ操作可能なステム101と、ステム101を傾斜操作及びプッシュ操作自在に支持する図示しない支持機構及び端子が内蔵されたハウジング102と、ステム101を被覆する合成樹脂製のキートップ103とを備える。そして、多方向スイッチ9aは、キートップ103上よりステム101が傾斜操作又はプッシュ操作されることにより早送りや早戻し、液晶モニタ7の表示切り換え等の操作を行うことができる。
このような記録再生装置1は、装置本体2の側面部2bに設けられることにより、装置本体2をユーザが把持したときに指が自然と位置されるとともに、多方向スイッチ9aを用いることによりキートップ103の傾斜又はプッシュ操作によって複数の操作を行うことができ、操作のための指の動作ストロークを小さくしてユーザの使い勝手が向上されている。
次いで、メインフレーム14に接続されるシャーシ21と、このシャーシ21を介して接続される可動ブロック3について説明する。先ず、シャーシ21は、可動ブロック3を装置本体2の長手方向にスライド自在に係合させるものであり、図5及び図6に示すように、相対向する側壁部22,23と、この側壁部22,23の間に架け渡される連結部24とを有し略コ字状に形成されている。各側壁部22,23は、可動ブロック3側に設けられた摺動板30が摺動されるものであり、これら摺動板30のスライドをガイドするスライドガイド溝25と、摺動板30側に設けられたスライドガイド溝31に係合する円盤状のコロ26が回転自在に設けられている。また側壁部22,23は、上縁部及び下縁部に摺動板30の摺動方向に沿って摺動板30を支持する上下支持壁27,28が形成されている。
このシャーシ21は、装置本体2に組み込まれたときに側壁部22,23が装置本体2の長手方向に亘って装置本体2の主面部2a側から背面部2d側に湾曲して形成され、側壁部22,23に形成されているスライドガイド溝25も同様に湾曲して形成されている。このスライドガイド溝25は、可動ブロック3を装置本体2内にスライドさせる下端側の曲率が大きく形成されている。したがって、可動ブロック3が装置本体2内にスライドされると、可動ブロック3は回動支点が装置本体2の背面部2d側に移動するような円弧を描くようにスライドされる。これにより装置本体2は、可動ブロック3の液晶モニタ7等の構成部材が装置本体2の背面部2d側に傾斜して収納され、主面部2aとの間に録音釦8a及びシャッタ釦8b、これらの操作回路が形成された配線基板等の操作部材の配置スペースを確保することができる。詳しくは後述する。
また、側壁部22,23に設けられたコロ26は、側壁部22,23にビス29によって回転自在に接続されている。このコロ26が摺動板30に形成されたスライドガイド溝31を転動することにより、シャーシ21と摺動板30とのスライドをスムーズに行うことができる。
シャーシ21にスライド自在に係合された摺動板30は、可動ブロック3と接続されることにより、可動ブロック3を装置本体2に対して上下方向にスライドさせるものである。この摺動板30は、矩形板状に形成された金属板からなり、シャーシ21の側壁部22,23に対応して一対設けられている。摺動板30にはシャーシ21の側壁部22,23に回転自在に形成されたコロ26が転動するスライドガイド溝31と、シャーシ21の側壁部22,23に形成されたスライドガイド溝25を転動するコロ32を備える。スライドガイド溝31は、シャーシ21の側壁部22,23に形成されたスライドガイド溝25と同一の曲率で湾曲されている。また、コロ32は、ビス33によって回転自在に摺動板30に接続されている。
また摺動板30には、相対向する内側面部30aに、一対の摺動板30を連結する連結板34を係合する係合凹部35が形成されている。係合凹部35には、連結板34の長手方向の両端部より突設された係合突部36が係合される。
摺動板30を連結する連結板34は、長手方向の略中間部に、摺動板30のスライド方向に延設されたガイド部37が形成されている。ガイド部37は長手方向に亘って摺動板30のスライドをガイドするガイド溝38が設けられ、このガイド溝38を介してガイドピン39が移動自在に挿通されてシャーシ21の連結部24と連結されている。また、連結板34は、ガイド部37を挟んだ両側に、捻りコイルバネ42の一端が係止される係止孔41が穿設されている。係止孔41には捻りコイルバネ42の一端に形成された環状の係止部42aを挿通したビス43が挿通されている。この捻りコイルバネ42は、他端に形成された環状の係止部42bが、シャーシ21の連結部24の両側に穿設された係止孔24aにビス44によって係止されている。捻りコイルバネ42は、摺動板30及び連結板34のスライド位置に応じて付勢方向が反転し、可動ブロック3を装置本体2の上方に突出させ、また装置本体2内に収納させる。
以上のようなシャーシ21及び一対の摺動板30は、シャーシ21の側壁部22,23に設けられた上下支持壁27,28間に摺動板30が支持されるとともに、シャーシ21形成されたスライドガイド溝25に摺動板30に形成されたコロ32が転動自在に係合し、且つ、摺動板30に形成されたスライドガイド溝31にシャーシ21に形成されたコロ26が転動自在に係合される。これにより摺動板30及び一対の摺動板30間に連結された連結板34は、コロ32がスライドガイド溝25にガイドされてスライド可能とされる。このとき、摺動板30に形成されたスライドガイド溝31にシャーシ21に形成されたコロ26が転動することにより摺動摩擦が殆どなくなり、抵抗感なくスライドされる。なお、摺動板30は、連結板34のガイド部37に形成されたガイド溝38を、シャーシ21の連結部24に挿通されたガイドピン39が移動することによっても、スライドをガイドされる。
この摺動板30及び連結板34には、可動ブロック3が接続され、摺動板30がシャーシ21をスライドすることにより摺動板30を装置本体2の長手方向に亘ってスライドさせる。この可動ブロック3は、図7に示すように、円筒形のユニット本体に撮像レンズ及び撮像素子が内蔵されたカメラユニット6と、カメラユニット6を回転自在に支持する回転支持機構50と、カメラユニット6を支持するとともに撮像レンズを保護するカバー部材51と、録音、再生等に必要な情報や画像等を表示する液晶モニタ7と、液晶モニタ7を保護する液晶保護カバー52と、液晶モニタ7のカバーガラス53と、カメラユニット6及び液晶モニタ7が取り付けられる可動シャーシ54と、カメラユニット6及び液晶モニタ7の駆動回路等が形成された配線基板55と、可動ブロック3の背面側を覆う化粧板56とを備える。
カメラユニット6は、図7乃至図9に示すように、円筒形状のユニット本体61内に画像情報を取り込む撮像レンズ62と、撮像レンズ62より取り込まれた画像を電気信号に変換するCCD素子やCMOSセンサ等の図示しない撮像素子と、撮像素子を配線基板55等に形成された駆動回路に接続するフレキシブル配線基板63とを有する。ユニット本体61は、外周面に撮像レンズ62を外方に臨ませるレンズ開口64が形成され、回転支持機構50に左右両側面65,66を支持されることにより、このレンズ開口64を外周面の周回り方向である図7中矢印R方向及び反矢印R方向に所定の回転角度内において回転可能とされている。なお、レンズ開口64及び撮像レンズ62は、ユニット本体61の外周面の一側面側に偏倚した位置に設けることにより、ユニット本体61を回転操作するユーザの指がレンズ開口64に直接触れることによる撮像レンズ62への汚れの付着を防止することができる。またユニット本体61の左右両側面65,66は、回転支持機構50の支持ピン76が挿通される挿通孔65a、66aが中央部に形成されている。また、右側面66は、回転支持機構50のクリック板71に係止される係止凹部67が形成されている。
係るカメラユニット6は、回転支持機構50に回転自在に支持されることにより、外周面の周回り方向に回転可能とされ、外周面にユーザの指が掛けられることにより回転操作される。具体的に、カメラユニット6は、撮像時にはレンズ開口64が外方に臨むように回転されて画像が取り込まれ、カメラユニット6の不使用時にはユニット本体61の下側に設けられたカバー部材51の内側へレンズ開口64が回転されて撮像レンズ62を保護することができる。なお、ユニット本体61の外周面には、レンズ開口64と離間した例えば反対側の面にユーザの指を掛ける指掛け凹部や小さな凹凸からなる指掛け部を形成し、カメラユニット6を回転しやすくするようにしてもよい。
また、カメラユニット6は、ユニット本体61が回転されると後述する回転支持機構50によって回転角度が検出され、この回転角度に応じて装置本体2の操作モードが変更される。
回転支持機構50は、カメラユニット6を回転自在に支持するとともに、ユニット本体61の回転角度を検出し、回転角度に応じた操作モードの変更の切り換えと、この回転角度に応じてクリック感を与えて装置本体2の操作モードの変更を感覚的に実行させるためのものである。この回転支持機構50は、図7乃至図9に示すように、カメラユニット6のユニット本体61とともに回転されるクリック板71と、クリック板71にクリック感を与える板バネ72と、後述する可動シャーシと接続される固定板73と、回転角度を検出し操作モードの変更スイッチを操作する操作カム部材74と、操作カム部材74によって操作される検出スイッチ部材75と、これら各部材を挿通しユニット本体61に軸支させるとともにユニット本体61を回転可能に支持する支持ピン76とを備える。
クリック板71は、中央部に支持ピン76の挿通孔71aが形成された略円形板状の金属板からなる。クリック板71は、外周面に、ユニット本体61の右側面66に形成された係止凹部67に係止される係止片81が折り曲げ形成され、この係止片81が係止凹部67に係止されることにより、ユニット本体61とともに回転される。また、クリック板71は、ユニット本体61と反対側に板バネ72に形成された突部84が係合するクリック孔82が所定箇所に複数穿設されている。したがって、クリック板71は、ユニット本体61とともに回転されると、回転角度に応じて装置本体2の操作モードが変更されると共に、この回転角度に応じて穿設されたクリック孔82に板バネ72の突部84が係止しクリック感を与えることができる。回転角度に対応した操作モードの変更については後述する。
板バネ72は、弾性を有する円形の金属板からなり、クリック板71と対向する面にクリック孔82に係止される突部84が形成されている。また、板バネ72は、外周部に固定板73に形成された係止溝87と係止される係止片85が固定板73側に折り曲げ形成されている。板バネ72は、固定板73に係止されることにより、固定板73を介して可動シャーシ54と接続され、カメラユニット6の回転によっても回転されない。したがって、カメラユニット6とともに回転されるクリック板71のクリック孔82を突部84が係止されることにより、カメラユニット6の回転角度に応じてクリック感を与えることができる。
板バネ72が係止される固定板73は、中央部に支持ピン76の挿通孔77が形成された円形の金属板の一部より可動シャーシ54側に接続片86が延設されている。固定板73は、略円形の外周部に、板バネ72より突出された係止片85が係止される係止溝87が形成されている。また、固定板73は、接続片86が可動シャーシ54にネジ止めされることにより固定されている。この接続片86にはカメラユニット6の回転角度を検出し、装置本体2の操作モードを変換する検出スイッチ部材75が接続されている。
この検出スイッチ部材75のスイッチ操作を行う操作カム部材74は、中央に支持ピン76が挿通される挿通孔88が形成された略円筒形をなし、該挿通孔88の一端側及び他端側に外周方向の所定範囲に亘って第1のカム89と第2のカム90とが設けられている。第1、第2のカム89,90は、それぞれ検出スイッチ部材75に形成された第1のスイッチ91と第2のスイッチ92に対応し、操作カム部材74がカメラユニット6の回転にともなって回転されると、回転角に応じて検出スイッチ部材75の第1、第2のスイッチ91,92を押圧して操作モードの変換を実行させる。これら第1、第2のカム89,90は、外周方向における形成範囲を調整することによって、検出スイッチ部材75の操作タイミングを調整することができる。また、操作カム部材74は、カメラユニット6側が上記固定板73及び板バネ72の各挿通孔内を挿通してクリック板71に係合されている。したがって操作カム部材74は、カメラユニット6のユニット本体61が回転操作されると、クリック板71とともに回転される。
ユニット本体61を回転可能に支持する支持ピン76は、クリック板71、板バネ72、固定板73、操作カム部材74に形成された挿通孔を挿通し、ユニット本体61の右側面66に形成された挿通孔66aに挿通する。この支持ピン76は、例えば周囲にネジ山が切れられたセルフタップが用いられる。なお、ユニット本体61の左側面65にも、中央に挿通孔が形成された円盤状の化粧板93が支持ピン94によって接続されている。
この回転支持機構50に支持されたカメラユニット6を保護するカバー部材51は、カメラユニット6のユニット本体61及びユニット本体61内に設けられた撮像レンズ62を保護するものであり、断面略U字状に形成された金属板の底部中央を方形状に切り欠かれた形状をなし、この切欠き部は切り欠きの開放端側よりユニット本体61が周回り方向に回転操作可能に配設される配設部95とされる。この配設部95は、ユニット本体61の幅よりもやや大きな幅を有しユニット本体61の外周面を所定の回転角に亘って外方に臨ます第1の開口部97と、配設部95に配設されたユニット本体61の左右両側面65,66を支持する回転支持機構50が組み付けられる第2の開口部98とを有する。
また、配設部95の開放端と反対側には、配設部95に配設されたユニット本体61がカバー部材51の内方へ落ち込むことを防止するとともに不使用時における撮像レンズ62をカバー部材51の内方へ臨ませて保護する開口支持部96とが形成されている。この開口支持部96は、ユニット本体61の径よりも短い幅を有し、ユニット本体61の外周部の下部を開口支持部96からカバー部材51の内方に入り込ませるとともに、ユニット本体61が操作者によって下方に押圧されたときユニット本体61の外周に当接し、カバー部材51の内方に落ち込むことを防止する。
この開口支持部96に支持されることにより、配設部95に配設されたユニット本体61は、回転操作される際に第1の開口部97より臨む外周部を押圧されたときにも、カバー部材51の内方へ落ち込む事態が防止される。また、ユニット本体61は、カメラユニット6の不使用時には撮像レンズ62を開口支持部96よりカバー部材51の内方へ回転させることにより、撮像レンズ62を外方へ露出させることなく、塵埃等の付着やレンズ表面へのキズ等から保護することができる。
なお、配設部95はユニット本体61の左右両側面65,66の外側にアーチ部99,100が架け渡されている。これらアーチ部99,100により、ユニット本体61は、左右両側面を支持する回転支持機構50がアーチ部99,100の下方に位置され、カバー部材51の上方への抜け止めも図られている。
回転支持機構50の固定板73の接続片86と接続される可動シャーシ54には、装置本体2側に組み付けられたシャーシ21に支持された摺動板30と、この摺動板30及び連結板34に接続された液晶モニタ7と、液晶モニタ7を保護する液晶保護カバー52と、カメラユニット6及び液晶モニタ7の駆動回路等が形成された配線基板55と、可動ブロック3の背面側を覆う化粧板56が接続されている。また液晶モニタ7にはモニタ部を保護するカバーガラス53が貼着されている。
以上のように構成される可動ブロック3は、液晶モニタ7と接続された摺動板30が、シャーシ21のスライドガイド溝25をスライドすることにより、図1に示す装置本体2内の収納位置と、図2に示す装置本体2の上方の突出位置とに亘って移動される。そして、記録再生装置1は、可動ブロック3が図1に示す収納位置にあるときは、通常の音声録音や再生操作が行われる。このとき装置本体2の主面部2aには、図10(a)に示すように、切欠き部18より液晶モニタ7の上縁部7aが臨まされている。液晶モニタ7の上縁部7aには、録音又は再生時間やメモリ残量等の録音や再生に必要な情報が表示される。
また、上述したように、可動ブロック3と係合されたシャーシ21のスライドガイド溝25は、装置本体2の長手方向に亘って装置本体2の主面部2aから背面部2d側に湾曲する円弧状に形成され、係るスライドガイド溝25を摺動板30がスライドすることにより、この摺動板30と接続された可動ブロック3も主面部2aから背面部2d側にかけて円弧状に回動されながらスライドされる。具体的に、このスライドガイド溝25は、可動ブロック3が図11に示す装置本体2内の収納位置にスライドされるときに、可動ブロック3の回動支点が背面2d側にやや移動するような円弧状に形成されている。したがって、可動ブロック3は、装置本体2の収納位置にスライドされると、装置本体2の主面部2aから背面部2dにかけて深く傾斜するため、可動ブロック3の液晶モニタ7と装置本体2の主面部2aを構成する上ハーフ10との間にスペースを形成することができる。そして、本発明が適用された記録再生装置1は、この可動ブロック3の液晶モニタ7と装置本体2の上ハーフ10との間に設けたスペースに、録音を開始する録音釦8aやカメラユニット6を操作するシャッタ釦8b及びこれらを駆動させる回路が形成された配線基板を配設することができる。
そして、音声録音中等に当該録音中の音声情報に関する画像情報を取り込む場合には、可動ブロック3が図2及び図12に示す突出位置に回動され、装置本体2の主面部2aに液晶モニタ7の全体が現れる。ユーザは、液晶モニタ7に表示される撮像レンズ62に取り込まれた画像を見ながらカバー部材51の第1の開口部97よりカメラユニット6のユニット本体61を回転操作してアングル調整を行ったのち、撮像を行う。
このとき、記録再生装置1は、可動ブロック3が、図2及び図12に示す装置本体2の上方の突出位置に回動された場合に、液晶モニタ7近傍にシャッタ釦8bが位置されているため、ユーザは装置本体2を把持した手の親指を用いて可動ブロック3を上方にスライドさせユニット本体61を回転操作するとともに、この親指を素早くシャッタ釦8bに位置させることができ、液晶モニタ7によって撮像画面を確認しながらシャッタ釦8bをも確認でき素早いシャッタ操作を行うことができる。
また液晶モニタ7は、図10(b)に示すように、可動ブロック3が装置本体2内に収納されていたときに上縁部7aに表示されていた音声情報の録音や再生等に必要な情報が、下縁部7bに移動し表示され、主に撮像用のモニタとして使用可能となる。すなわち、記録再生装置1は、可動ブロック3が装置本体2内の収納位置にスライドされ、液晶モニタ7の一部のみが現れている場合には、録音機能のみが用いられることから、これに必要な情報を液晶モニタ7の必要最小限の表示領域に表示し、可動ブロック3が装置本体2の上方の突出位置にスライドされ、液晶モニタ7の全体が現れると録音機能に加えて撮像機能をも用いられることから、これに連動して該液晶モニタ7の表示内容を音声録音及び音声再生に適した情報から映像撮影、映像再生に適した情報を、最適な表示領域に表示させる。したがって、記録再生装置1は、録音機能に加えて撮像機能をも有し、かかる多機能化に応じて装置本体2の形態が変化すると、これに連動して、当該機能に最適な表示領域に最適な情報を表示させることができ、表示切り換え釦等の設置、操作等を行う必要がなく操作性、利便性を向上させることができる。
具体的には、文字情報が液晶モニタ7の上縁部7aから下縁部7bに移動するとともに、モニタ全体には撮像レンズ62に取り込まれた映像が表示される。また、操作釦群4を操作することによって文字情報を消去させることもできる。その後、記録再生装置1は、主面部2aの液晶モニタ7の下方に設けられたシャッタ釦8b等の操作部が操作されて、画像情報を撮像する。撮像された画像情報は、音声情報を再生する際に液晶モニタ7に一覧表示されるインデックスとして用いられ、ユーザは簡単に撮像時の音声情報を選択、再生することができ、また当該音声を録音したときの話者やその周囲の状況を確認することができる。
また記録再生装置1は、カメラユニット6のユニット本体61が回転されると、この回転角度に応じて回転支持機構50がユーザにクリック感を与えるとともに、回転角度に応じた操作モードの変更を行う。具体的に、記録再生装置1は、図13(a)及び図14(a)に示すユニット本体61内に設けられた撮像レンズ62がカバー部材51の真下に向けられた基準位置(回転角度0°)にあるホールドオンポジションと、図13(b)及び図14(b)に示す撮像レンズ62が基準位置から回転されるがカバー部材51の開口支持部96からは現れていない位置(例えば回転角度24°)にあるホールドオフポジションと、図13(c)及び図14(c)に示す撮像レンズ62がカバー部材51の開口支持部96から外方に臨まされた位置(例えば回転角度70°)にあるカメラオンポジションと、図13(d)及び図14(d)に示す撮像レンズ62が略正面に向けられた位置(例えば回転角度95°)にあるホームポジションと、図13(e)及び図14(e)に示す撮像レンズ62が操作者側に回転された位置(例えば回転角度220°)にある反転ポジションと、図13(f)及び図14(f)に示すユニット本体61の回転限界となる位置(例えば回転角度270°)にあるストップポジションとの各ポジションに応じて操作モードの変更を行う。
ユニット本体61とともに回転される回転支持機構50のクリック板71は、上述したように固定板73に係止され回転が規制されている板バネ72に突設された突部84に乗り越えられるクリック孔82が複数形成されている。このクリック孔82は、図14(a)に示すように、ユニット本体61がホールドオンポジションに回転されたときに、板バネ72の突部84が係止される位置に形成された第1のクリック孔82aと、図14(b)に示すように、ユニット本体61がホールドオフポジションに回転されたときに、板バネ72の突部84が係止される位置に形成された第2のクリック孔82bと、図14(d)に示すように、ユニット本体61がホームポジションに回転されたときに、板バネ72の突部84が係止される位置に形成された第3のクリック孔82cと、図14(f)に示すように、ユニット本体61がストップポジションに回転されたときに、板バネ72の突部84が係止される位置に形成された第4のクリック孔82dとを備える。
ユーザは第1〜第4のクリック孔82a〜82dが突部84に係止されることによりクリック感を得ることができ、ユニット本体61がホールドオンポジション、ホールドオフポジション、ホームポジション及びストップポジションに回転されたことがわかる。
また、クリック板71は、ホールドオンポジション及びホールドオフポジションに対応した第1、第2のクリック孔82a,82bが、ホームポジション及びストップポジションに対応した第3、第4のクリック孔82c,82dよりも大径に形成されている。これにより、クリック板71は、ユニット本体61がホールドオンポジション及びホールドオフポジションに回転されたときには、ホームポジション及びストップポジションに回転されたときに比して大きなクリック感を与えることができ、ユーザに対してより確実にユニット本体61がホールドオンポジション及びホールドオフポジションまで回転されたことを認識させることができる。
次いで、ユニット本体61が各ポジションに回転されたときの操作モードの変更について説明する。ホールドオンポジションでは、装置本体2の操作釦群4の操作が無効とされ、誤操作が防止される。また、録音や再生時にユニット本体61をホールドオンポジションに回転させると、録音や再生をし続ける。ホールドオフポジションでは、装置本体2の操作釦群4の内、シャッタ釦8b以外が有効とされ、音声情報の録音や再生を行うことができる。カメラオンポジションからホームポジションにかけては撮像レンズ62がカバー部材51の第1の開口部97から外方に臨まされ、液晶モニタ7に撮像レンズ62に取り込まれた画像が表示されると共にシャッタ釦8bを含めて全ての操作釦群4の操作が有効とされる。反転ポジションからストップポジションにかけては、操作者側に撮像レンズ62が回転されることから、液晶モニタ7に表示される画像を反転させて、操作者から見たときに上下が逆さまに表示されることを防止する。
このようなユニット本体61にクリック感を与え操作モードの変換を行う装置本体2は、ユニット本体61と共に回転される操作カム部材74によって固定板73に接続された操作スイッチ部材75の第1、第2のスイッチ91,92の押圧操作を行い、図15及び図16に示すように、第1、第2のスイッチ91,92の押圧状況をマイクロコンピュータにより検出することによって操作モードを変更する。具体的には、図17(a)及び図18(a)に示すように、ユニット本体61がホールドオンポジションに回転されたとき、検出スイッチ部材75は、操作カム部材74の第1、第2のカム89、90がいずれも、第1、第2のスイッチ91、92に当接されずOPENとされる。装置本体2は、検出スイッチ部材75の第1、第2のスイッチ91、92がいずれもOPENであることから、ユニット本体61がホールドオンポジションに位置されていることを検出し、操作釦群4の操作を無効にさせる。
次いで、図17(b)及び図18(b)に示すように、ユニット本体61が図13中矢印R方向へ回転されホールドオフポジションとされると、検出スイッチ部材75は、操作カム部材74の第1のカム89が第1のスイッチ91と当接されてCLOSEとなり、第2のカム90が第2のスイッチ92と当接されずOPENとなる。装置本体2は、検出スイッチ部材75の第1のスイッチ91がCLOSE、第2のスイッチ92がOPENであることから、ユニット本体61がホールドオフポジションに位置されていることを検出し、操作釦群4のシャッタ釦8b以外の操作を有効とする。
次いで、図17(c)(d)及び図18(c)(d)に示すように、ユニット本体61が図13中矢印R方向へ回転されカメラオンポジションから反転ポジションの直前までの領域に位置されると、操作カム部材74の第1、第2のカム89,90が第1、第2のスイッチ91,92と当接されいずれもCLOSEとなる。装置本体2は、検出スイッチ部材75の第1、第2のスイッチ91,92のいずれもがCLOSEとされていることから、ユニット本体61がカメラオンポジションから反転ポジションの直前までの領域に回転されていることを検出し、液晶モニタ7に撮像レンズ62に取り込まれた画像を正転表示すると共にシャッタ釦8bを含めて全ての操作釦群4の操作を有効とする。
次いで、図17(e)及び図18(e)に示すように、ユニット本体61が図13中矢印R方向へ回転され反転ポジションとされると、検出スイッチ部材75は、操作カム部材74の第1のカム89が第1のスイッチ91と当接されずOPENとなり、第2のカム90が第2のスイッチ92と当接されCLOSEとなる。装置本体2は検出スイッチ部材75の第1のスイッチ91がOPEN、第2のスイッチ92がCLOSEであることから、ユニット本体61が反転ポジションまで回転されたことを検出し、液晶モニタ7に表示される画像を反転させて、操作者から見たときに上下が逆さまに表示されることを防止する。
次いで、図17(f)及び図18(f)に示すように、ユニット本体61が図13中矢印R方向へ回転されストップポジションとされたときにも、検出スイッチ部材75は、操作カム部材74の第1のカム89が第1のスイッチ91と当接されずOPENの状態が維持され、第2のカム90が第2のスイッチ92と当接されCLOSEの状態が維持される。なお、このとき、第4のクリック孔82dに突部84が係止するとともに、詳細を省略するストッパ機構によってユニット本体61の図13中矢印R方向への回転が規制される。
その後、ユニット本体61が図13中反矢印R方向へ回転されカメラオンポジションを越えてホールドオフポジションまで戻されると、ホールドオンポジションから略40°程度の位置でカメラユニット6の動作が停止され、液晶モニタ7より映像が消える。
このように、記録再生装置1では、ユニット本体61に形成された撮像レンズ62の回転操作と連動して装置本体2の操作モードが変更されるため、操作者による操作モード変換の誤操作を防止することができる。また、ユニット本体61の回転角度に適した装置本体2の撮影モードされることにより、ユニット本体61の操作を感覚的に行うことができる。
以下にこのような記録再生装置1の組み立て工程について説明する。先ず、可動ブロック3の可動シャーシ54に液晶モニタ7及び配線基板55を接続する。また、カバー部材51には第1の開口部97側から配設部95にカメラユニット6のユニット本体61が挿入され、次いで、第2の開口部98側から回転支持部材50が組み付けられる。
また、シャーシ21に摺動板30がスライド可能に係合されると共に、この摺動板30に液晶モニタ7が取り付けられる。液晶モニタ7にはカバーガラス53が貼着される。そして、可動シャーシ54に、シャーシ21に係合された摺動板30に接続された液晶モニタ7と、液晶保護カバー52と、配線基板55と、化粧板56と取り付け、次いで、回転支持部材50の固定板73と可動シャーシ54とを接続する。
次いで、可動シャーシ54をスライド自在に支持するシャーシ21をメインフレーム14に接続する。なお、メインフレーム14は、予め音声情報が入力されるマイク等が実装された配線基板群13が接続されている。その後、装置本体2を構成する上下ハーフ10,11及び外装フレーム12で、メインフレーム14を囲むように接続し記録再生装置1が完成される。
このように記録再生装置1は、カバー部材51の第1の開口部97側から配設部95にカメラユニット6のユニット本体61が挿入され、次いで、第2の開口部98側から回転支持部材50が組み付けられる。このように、記録再生装置1は、ユニット本体61の径よりも小径の開口支持部96が形成されたカバー部材51の先端側である第1の開口部97側からユニット本体61が組み込まれ、回転支持機構50によってユニット本体61の抜け止めが図られる。したがって、装置本体2は、上下ハーフ10,11の組み付け工程とは別にカメラユニット6を可動ブロック3に組み付けることができ、カメラユニット6の脱落を防止するとともに製作、設計上の自由度を増すことができ、利便性を向上させることができる。
なお、本発明が適用された記録再生装置1においては、上記ホールドオンポジション、ホールドオフポジション、カメラオンポジション、ホームポジション、反転ポジション、及びストップポジションとなるカメラユニット6のユニット本体61の回転角度は例示であり、適宜変更して用いることができる。
1 記録再生装置、2 装置本体、3 可動ブロック、4 操作釦群、5 ヘッドホンジャック、6 カメラユニット、7 液晶モニタ、8a 録音釦、8b シャッタ釦、9a 多方向性スイッチ、10 上ハーフ、11 下ハーフ、12 外装フレーム、14 メインフレーム、20 ストラップ用開口部、21 シャーシ、25 スライドガイド溝、26 コロ、30 摺動板、31 スライドガイド溝、32 コロ、34 連結板、50 回転支持機構、51 カバー部材、52 液晶保護カバー、53 カバーガラス、54 可動シャーシ、55 配線基板、56 化粧板、61 ユニット本体、62 撮像レンズ、71 クリック板、72 板バネ、73 固定板、74 操作カム部材、75 検出スイッチ部材、76 支持ピン、82 クリック孔、89 第1のカム、90 第2のカム、91 第1のスイッチ、92 第2のスイッチ、96 開口支持部、101 ステム、102 ハウジング、103 キートップ