JP2009061836A - 舵角可変式ステアリング装置 - Google Patents

舵角可変式ステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ステアリングホイールの操舵感の確保と振動の低減との両立を図れる舵角可変式ステアリング装置を、小型・簡素に構成する。
【解決手段】ステアリングホイールの回転に伴って回転する入力軸9と、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する出力軸10との間に波動歯車式変速機13を設ける。又、この波動歯車式変速機13を構成するウェーブジェネレータ23を、円筒状の回転筒11、プーリ21a、21b、無端ベルト22を介して、ステアリングコラム14の収納部15の外側に設けた電動モータ12により回転駆動自在とする。そして、上記回転筒11に、マスダンパである制振部材36を設ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、自動車の操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、一般的には前輪)に舵角を付与する為のステアリング装置のうち、ステアリングホイールの操作量と上記操舵輪に付与される舵角との関係を調節可能な、舵角可変式ステアリング装置の改良に関する。具体的には、ステアリングホイールの操舵感の確保と振動の低減との両立を図れる構造を、小型・簡素に構成するものである。
自動車用のステアリング装置は、例えば図10に示す様に構成されている。運転者がステアリングホイール1の操作に基づいてステアリングシャフト2を回転させると、この回転は、自在継手3と中間シャフト4とを介してステアリングギヤ5の入力軸6に伝達される。すると、このステアリングギヤ5は、この入力軸6の回転に伴って左右1対のタイロッド7、7を押し引きし、操舵輪に舵角を付与する。尚、図10に示した例では、電動モータ8により上記ステアリングシャフト2に、運転者が上記ステアリングホイール1に加えた力に応じた補助力を付与する、電動式パワーステアリング装置を組み込んでいる。
又、車両の走行状態や運転状態等に応じて、ステアリングホイール1の操舵量と上記舵角の変化量との関係を変化させる舵角可変式ステアリング装置に就いても、従来から知られ、一部で実施されている。この様な舵角可変式ステアリング装置として、例えば特許文献1〜4には、差動式の変速機をステアリング装置に組み込むと共に、この差動式の変速機の構成部材を電動モータ等の駆動源(一般的にはパワーステアリング装置を構成する為の駆動源とは別の駆動源)により回転駆動する事で、操舵量と舵角の変化量との関係を変化させる構造が記載されている。このうちの特許文献1、2に記載された構造の場合は、差動式の変速機として遊星歯車式変速機を用いている。又、上記特許文献3、4に記載された構造の場合は、差動式の変速機として波動歯車式変速機を用いている。
ところで、上述の様な舵角可変式ステアリング装置の場合、そのままでは、電動モータを回転させる際に生じるコギングトルク{ステータとロータとの間に作用する磁気的吸引力に基づく抵抗(トルクの回転ムラ)}や、差動式の変速機を構成する歯車同士の噛合に伴う振動が、ステアリングホイールに伝達される可能性がある。この様な振動は、ステアリングホイールの操作する運転者に違和感を与える等、好ましくない。一方、この様な振動を低減する為の構造として、例えば特許文献5〜9に記載された構造が知られている。このうちの特許文献5には、舵角可変式ステアリング装置を構成する舵角可変機構(アクチュエータ)の入力軸と操舵軸との間に、振動を吸収する為のダンパを設けた構造が記載されている。
又、特許文献6、7には、舵角可変式ステアリング装置を構成する波動歯車式変速機のウェーブジェネレータ(回転素子)とフレクスプライン(フレックススプライン、可撓性歯車)との間にゴム又はポリウレタン等の弾性部材(制振材)を設けた構造が記載されている。又、特許文献8には、波動歯車式変速機のウェーブジェネレータを回転駆動する為の電動モータの駆動軸に、例えばマスダンパ(所定の重量を有する錘を弾性部材により支持する事により構成したダンパ)等の制振部材を設けた構造が記載されている。更に、特許文献9には、遊星歯車式変速機の太陽歯車と共に回転する入力軸に、電圧の印加に基づき硬化する電気粘性流体により制動トルクを付与する事により、この入力軸に伝達される車輪からの逆入力に伴う振動を抑える構造が記載されている。
但し、上述の様な特許文献5〜9に記載された構造の場合、それぞれ次の様な不都合を生じる可能性がある。即ち、このうちの特許文献5〜7に記載された構造の場合は、ステアリングホールを介して入力される動力(回転力、操舵力)がゴム等の弾性部材(ダンパ)を介して伝達される為、このステアリングホイールの操作に関する剛性が小さくなる(ステアリングホイールの操作性が軟くなる、応答性が緩慢になる)可能性がある。又、このうちの特許文献5に記載された構造の場合は、この様に剛性が小さくなるだけでなく、弾性部材(ダンパ)を舵角可変機構と別に設ける分、構造が大型化し、これらを組み付ける為のステアリングコラムに必要とされる容積が大きくなる可能性がある。又、上記特許文献8に記載された構造の場合は、電動モータがステアリングシャフトと共に回転する為、ステアリングホイールに加わる慣性が大きくなる他、上記ステアリングシャフトの回転に拘らずこの電動モータに通電等する為のスパイラルケーブルやスリップリングが必要になり、構造が大型化、複雑化する可能性がある。又、上記特許文献9に記載された構造の場合は、電気粘性流体により制動トルクを付与する機構がステアリングホイールと直列に繋がっている為、制動トルク付与時にステアリングコラムの粘性が大きくなり、操舵感が重くなる可能性がある。
尚、後述する、本発明の舵角可変式ステアリング装置の実施の形態の第3例に組み込むボール式変速装置を記載した刊行物として、例えば特許文献10〜12がある。これら各特許文献には、ボール式変速装置の構造及び作用が詳しく記載されている。但し、これら各特許文献には、ボール式変速装置を舵角可変式ステアリング装置の舵角可変機構に使用する事に就いては記載されていない。勿論、ボール式変速装置を舵角可変式ステアリング装置に組み込む場合に、何れの部材を電動モータで回転駆動すれば良いかと言った点や、このボール式変速装置、延いては、舵角可変式ステアリング装置の振動を低減する為の構成に就いても、一切記載されていない。尚、特願2006−342045には、ボール式変速装置を組み込んだ舵角可変式ステアリング装置に関する発明が開示されている。
特開平10−287250号公報 特開2002−240729号公報 特開2000−211541号公報 特開2004−9981号公報 特開2004−148931号公報 特開2006−349091号公報 特開2006−29508号公報 特開2006−44534号公報 特開2003−34255号公報 特公平7−62495号公報 特許第2863529号公報 特開2003−172419号公報
本発明の舵角可変式ステアリング装置は、上述の様な事情に鑑みて、ステアリングホイールの操舵感の確保と、回転駆動手段(例えば電動モータ)や差動式の変速機(例えばボール式変速機、波動歯車式変速機、遊星歯車式変速機)で発生する振動の低減との両立を図れ、しかも、小型・簡素に構成できる構造を実現すべく発明したものである。
本発明の舵角可変式ステアリング装置は、第一の回転軸(例えば入力軸)と、第二の回転軸(例えば出力軸)と、差動式の変速機(例えばボール式変速機、波動歯車式変速機、遊星歯車式変速機)と、駆動部材(例えば回転筒)とを備える。
このうちの第一の回転軸は、ステアリングホイールの回転に伴って回転する。
又、上記第二の回転軸は、上記第一の回転軸と同心に設けられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する。
又、上記差動式の変速機は、上記第一、第二両回転軸同士の間に設けられ、これら第一、第二両回転軸同士を互いに回転力の伝達を可能に接続する。
又、上記駆動部材は、上記差動式の変速機を構成する回転要素(例えばボール式変速機の回転部材、波動歯車式変速機のウェーブジェネレータ、遊星歯車式変速機のキャリア)と共に回転し、回転駆動手段(例えば電動モータ)により回転駆動される。
そして、上記駆動部材の回転に伴う上記回転要素の回転に基づき、上記第一の回転軸の回転量と第二の回転軸の回転量との関係を変化させる事により、上記ステアリングホイールの操舵量と上記舵角の変化量との関係を変化させる。
特に、本発明の舵角可変式ステアリング装置に於いては、上記回転駆動手段を、(上記駆動部材の中心軸の径方向外側に、)固定の部材(ステアリングコラム、ハウジング等の車体に固定される部材)を介して支持する。又、これと共に、振動を減衰する為の制振部材(振動減衰部材)を、上記駆動部材に設ける。
尚、上記回転駆動手段を、(上記駆動部材の中心軸の径方向外側に、)上記固定の部材を介して支持する為に、例えば請求項2に記載した様に、上記駆動部材を中空状(例えば中空円筒状)に形成したものとする。そして、この駆動部材の径方向内側に、上記第一、第二両回転軸のうちの少なくとも一方の回転軸を、この駆動部材に対し相対回転自在に設ける。
又、上述の様な本発明の舵角可変式ステアリング装置を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した様に、上記回転駆動手段を電動モータとする。そして、この電動モータを構成するロータ(例えば永久磁石)を上記駆動部材の外周面に設けると共に、同じくステータ(例えば駆動コイル)をこのロータの周囲に位置する固定の部材(例えばステアリングコラム)の内側(内周面)に支持する事により、これら電動モータと駆動部材とを互いに同心に設ける。尚、上記電動モータを、上記駆動部材の中心軸の径方向外側に位置する上記固定の部材に、例えばこれら駆動部材と電動モータの回転軸とを互いに偏心させた状態で、或は、互いに捩れの位置関係とした状態で、支持する事もできる。この場合には、上記電動モータの回転軸と上記駆動部材とを、歯車やプーリ・無端ベルト{例えば歯付プーリ(タイミングプーリ)・歯付ベルト(タイミングベルト)}等の動力伝達部材を介して、動力の伝達を可能に接続する。
又、本発明の舵角可変式ステアリング装置を実施する場合に好ましくは、請求項4に記載した様に、上記制振部材を、上記駆動部材に設けたマスダンパとする。このマスダンパは、例えば鉄、銅等の金属材料により造られた所定の重量(重さ)を有する錘部材を、例えばゴムの如きエラストマー、或は、シリコンゲル等のゲル状の材料等の内部損失の大きな材質により造られた弾性部材(振動吸収部材)を介して、上記駆動部材に支持する事により構成する。例えば、この駆動部材の外周面に円環状(例えば円筒状)の上記弾性部材を設けると共に、この弾性部材の外周面に同じく円環状(例えば円筒状)の上記錘部材を設ける事により、上記マスダンパを構成する事ができる。
又、上述の様な本発明の舵角可変式ステアリング装置を実施する場合、請求項5に記載した様に、上記差動式の変速機をボール式変速機により構成する事ができる。このボール式変速機は、互いに軸方向に対向する1対の面に、サイクロイド波形状又はトロコイド波形状の案内溝をそれぞれ形成した第一、第二両回転部材と、これら第一、第二両回転部材の案内溝同士の間に挟持された複数個のボールとから成るものである。そして、前記駆動部材と共に回転する回転要素を、上記第一、第二両回転部材のうちの一方の回転部材とする。
又、上述の様なボール式変速機を用いる場合、請求項6に記載した様に、1対のボール式変速機、即ち、第一、第二両ボール式変速機を備えたものとする事ができる。この場合には、このうちの第一のボール式変速機を構成する第一の回転部材を、上記第一の回転軸と共に回転するものとする。又、上記第一のボール式変速機を構成する第二の回転部材と第二のボール式変速機を構成する第一の回転部材とを、軸方向両側面にそれぞれ案内溝を形成した回転伝達部材(例えば偏心プレート)により一体に構成したものとする。又、上記第二のボール式変速機を構成する第二の回転部材を、上記第二の回転軸と共に回転するものとする。そして、駆動部材の回転に基づき上記回転伝達部材を、上記第一、第二両回転軸に対し偏心回転(公転運動)させ、この回転伝達部材の偏心回転(公転運動)に基づき、上記第一の回転軸の回転量と上記第二の回転軸の回転量との関係を変化させる。
尚、この様な請求項6に記載した構成は、例えば特許文献12に記載されたボール式変速装置を、固定部を持たない差動機構として利用するものである。即ち、この特許文献12の図1に記載されたボール式変速装置の構成部材のうち、ハウジング11及び第一動力板12を上記第一の回転軸に対応させ、同じく出力軸21を上記第二の回転軸に対応させ、同じくクランク軸20を上記回転駆動手段(電動モータ)により回転駆動される上記駆動部材に対応させる。尚、この様なボール式変速装置を差動機構として利用する場合、例えば、特許文献10、11に記載された構造も利用可能である。この場合には、上記差動式の変速機を、1個のボール式変速機と、例えばオルダム継手等の偏心回転許容伝達手段とにより構成する。
この偏心回転許容伝達手段は、上記ボール式変速機を構成する第一、第二各回転部材のうちの一方の回転部材の公転運動に拘わらず、この一方の回転部材の自転運動を上記第一、第二各回転軸のうちの一方の回転軸に回転運動として伝達する(逆に言えば、一方の回転軸の回転運動を、一方の回転部材の公転運動に拘わらず、この一方の回転部材に自転運動として伝達する)ものである。具体的には、上記特許文献10の整動機構や上記特許文献11の修正手段が、上記偏心回転許容伝達手段に対応する。そして、この様な偏心回転許容伝達手段と1個のボール式変速機とにより差動式の変速機を構成する場合には、上記駆動部材の回転に基づき上記一方の回転部材を、上記第一、第二両回転軸に対し偏心回転(公転運動、振れ回り運動)させ、この一方の回転部材の偏心回転(公転回転)に基づき、上記第一の回転軸の回転量と上記第二の回転軸の回転量との関係を変化させる。
例えば特許文献10の図1〜4に記載された構造を利用する場合には、例えばケーシング1を第一の回転軸に対応させ、出力軸14を第二の回転軸に対応させ、入力部11を上記駆動部材に対応させ、整動機構30を偏心回転許容伝達手段に対応させる。又、例えば特許文献11の図1〜3に記載された構造を利用する場合には、例えば静止部材1を第一の回転軸に対応させ、出力軸9を第二の回転軸に対応させ、偏心軸10を上記駆動部材に対応させ、修正板3とスチールボールStにより構成される修正手段を偏心回転許容伝達手段に対応させる。尚、前述の請求項6に記載した構造は、第一、第二両ボール式変速機のうちの一方のボール式変速機が、上記偏心回転許容伝達手段としての役割を有しているとも言える{一方のボール式変速機が(減速機能も有する)偏心回転許容伝達手段に相当するとも言える}。
又、本発明の舵角可変式ステアリング装置を実施する場合、差動式の変速機を、上述の様なボール式変速機の他、請求項7に記載した様に、波動歯車式変速機により構成する事もできる。この波動歯車式変速機は、ウェーブジェネレータ(回転素子)と、サーキュラスプライン(剛性歯車)と、フレクスプライン(フレックススプライン、可撓性歯車)とを備える。
このうちのウェーブジェネレータは、中心軸に対し直交する仮想平面に関する断面の形状が楕円の周面を有するものである。
又、上記サーキュラスプラインは、ピッチ円を真円とし、上記ウェーブジェネレータと径方向に重畳する状態で、このウェーブジェネレータと同心に設けたものである。
又、上記フレクスプラインは、ピッチ円を上記ウェーブジェネレータの周面に倣った(相似形である)楕円とし、互いに対向する、このウェーブジェネレータの周面と上記サーキュラスプラインの周面との間に設けられ、これら両周面同士の径方向の隙間が最も小さくなる径方向反対側2個所位置で、上記サーキュラスプラインと噛合するものである。
そして、上記隙間が最も小さくなる上記径方向反対側2個所位置が、上記ウェーブジェネレータの回転に基づき回転方向に順次変化(移動)する事で、上記サーキュラスプラインと上記フレクスプラインとの噛合位置がこの回転方向に連続的に変化(移動)する。
この様な波動歯車式変速機により差動式の変速機を構成する場合には、前記駆動部材と共に回転する回転要素を、上記ウェーブジェネレータとする。
又、上述の様な波動歯車式変速機を用いる場合には、例えば、上記ウェーブジェネレータの外周面の、このウェーブジェネレータの中心軸に直交する仮想平面に関する断面の形状を楕円とする。そして、このウェーブジェネレータの径方向外側に設けた外歯歯車であるフレクスプラインと、このフレクスプラインの径方向外側に設けた内歯歯車であるサーキュラスプラインとを噛合させる。或は、上記ウェーブジェネレータの内周面の、このウェーブジェネレータの中心軸に対し直交する仮想平面に関する断面の形状を楕円とする。そして、このウェーブジェネレータの径方向内側に設けた内歯歯車であるフレクスプラインと、このフレクスプラインの径方向内側に設けた外歯歯車であるサーキュラスプラインとを噛合させる。
何れにしても、例えば請求項8に記載した様に、上記波動歯車式変速機を、第一の回転軸と共に回転する第一のサーキュラスプラインと、第二の回転軸と共に回転する第二のサーキュラスプラインと、これら第一、第二両サーキュラスプラインに噛合する1個のフレクスプラインとを備えたものとする事ができる。この場合には、上記第一のサーキュラスプラインの歯数と第二のサーキュラスプラインの歯数とを異ならせる事により、ウェーブジェネレータの回転に伴う、上記第一のサーキュラスプラインの回転量と第二のサーキュラスプラインの回転量とを異ならせ、上記第一の回転軸の回転量と上記第二の回転軸の回転量との関係を変化させる。
又、本発明の舵角可変式ステアリング装置を実施する場合、差動式の変速機を、前述の様なボール式変速機や上述の様な波動歯車式変速機の他、請求項9に記載した様に、遊星歯車式変速機により構成する事もできる。この遊星歯車式変速機は、太陽歯車とこの太陽歯車の周囲に配置したリング歯車との間に設けられ、この太陽歯車と同心に且つ回転自在に支持したキャリアに回転自在に支持された遊星歯車を、上記太陽歯車とリング歯車とにそれぞれ噛合させて成るものである。そして、上記第一の回転軸と共に回転する回転要素を上記太陽歯車とすると共に、上記第二の回転軸と共に回転する回転要素を上記リング歯車とし、前記駆動部材と共に回転する回転要素を上記キャリアとする。
上述の様に構成する本発明の舵角可変式ステアリング装置によれば、ステアリングホイールの操舵感の確保と、回転駆動手段(例えば電動モータ)や差動式の変速機(例えばボール式変速機、波動歯車式変速機、遊星歯車式変速機)で発生する振動の低減との両立を図れ、しかも、小型・簡素に構成できる。
先ず、振動の低減は、駆動部材に設けた制振部材により図れる。即ち、この制振部材により、この制振部材を設けた駆動部材を通じて、上記回転駆動手段や差動式の変速機から第一の回転軸を介してステアリングホイールに伝達される振動を低減(減衰)する事ができる。
又、このステアリングホイールの操舵感の確保は、上記回転駆動手段を固定の部材を介して支持する事と、上記制振部材を駆動部材に設ける事とにより図れる。即ち、上記回転駆動手段を固定の部材を介して支持する為、この回転駆動手段がステアリングホイールの回転に伴って回転しない。又、この回転駆動手段の回転駆動によって生じる上記制振部材の慣性力を、上記固定の部材により支持できる。この為、このステアリングホイールに加わる慣性が大きくなる事を防止できる。又、上記制振部材を駆動部材に設ける為、上記ステアリングホールを介して入力される動力(回転力、操舵力)がこの制振部材を介して伝達される事はない。即ち、この制振部材は、上記動力の伝達方向に関して直列に設置されてはいない。この為、上記ステアリングホイールの操作に関する剛性を確保できる。そして、この様に剛性が確保できる事と上記慣性が大きくなる事を防止できる事とが相俟って、上記操舵感を確保する事ができる。
又、小型・簡素に構成する事は、同じく、上記回転駆動手段を固定の部材を介して支持する事と、上記制振部材を駆動部材に設ける事とにより実現できる。即ち、上記回転駆動手段を固定の部材を介して支持する為、この回転駆動手段を構成する電動モータに通電等する為のスパイラルケーブルやスリップリングが必要なくなり、小型・簡素に構成できる。又、上記制振部材を駆動部材に設ける為、この制振部材を舵角可変機構と別に設ける構造に比べて小型に構成でき、この制振部材を含む装置全体をステアリングコラム内に収納し易くできる。そして、舵角可変式機構のハウジング部分(モータハウジング部分)に不可避的に生じる隙間(空きスペース)に、上記制振部材を配置する事で、上記ステアリングコラムの寸法(サイズ)を変更する事なく上記制振部材を効率良く配置できる。
又、請求項2に記載した構成を採用した場合には、回転駆動手段を固定の部材を介して支持する構造を、構成を複雑にする事なく、簡素に得られる。又、請求項3に記載した構成を採用した場合には、径方向寸法が嵩む事を防止できる。又、請求項4に記載した構成を採用した場合には、制振部材を小型、簡素に構成できる他、この制振部材であるマスダンパにより、ステアリングホイールに伝達される振動を十分に低減(減衰)できる。又、差動式の変速機としてボール式変速機(請求項5、6の場合)や波動歯車式変速機(請求項7、8の場合)を用いる場合には、大きな減速比を得られる構造を小型に構成できる。又、遊星歯車式変速機を用いる場合(請求項9の場合)には、安価に構成できる。尚、この様に遊星歯車式変速機を用いる場合には、減速比が1に近く、歯車の噛み合い数が少ない為、微振動は少ない。これに対して、上記ボール式変速機や波動歯車式変速機を用いる場合には、減速比が大きく、ボールや歯車の噛み合い数が多くなり、高周波の微振動が発生するが、小さなマスダンパによりこの微振動を抑える事ができる。この為、上記ボール式変速機や波動歯車式変速機を用いる場合には、上記遊星歯車式変速機を用いる場合に比べ、本発明の効果をより有効に得られる。
[実施の形態の第1例]
図1、2は、請求項1、2、4、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。本例の舵角可変式ステアリング装置は、特許請求の範囲に記載した第一の回転軸に相当する入力軸9と、同じく第二の回転軸に相当する出力軸10と、同じく駆動部材に相当する回転筒11と、同じく回転駆動手段に相当する電動モータ12と、同じく差動式の変速機に相当する波動歯車式変速機13とを備える。
このうちの入力軸9は、ステアリングホイール1(図10参照)の回転に伴って回転するもので、ステアリングコラム14の中間部に設けた収納部15の隔壁16に、転がり軸受17を介して回転自在に支持している。又、上記出力軸10は、回転に伴って操舵輪に舵角を付与するもので、上記ステアリングコラム14の中間部で上記収納部15に隣接する部分に、転がり軸受18を介して回転自在に支持している。尚、これら入力軸9並びに出力軸10は、互いに同心に配置されている。
又、上記回転筒11は、上記ステアリングコラム14の収納部15の外側に固定した上記電動モータ12により、回転駆動される。この様な本例の場合は、上記ステアリングコラム14(の収納部15)が、特許請求の範囲に記載した固定の部材に相当する。又、本例の場合、上記回転筒11を中空状に形成し、この回転筒11の径方向内側に、上記入力軸9を挿入(挿通)している。又、この入力軸9の外周面と上記回転筒11の内周面との間に、転がり軸受19を設け、これら回転筒11と入力軸9との相対回転を許容している。又、これら入力軸9並びに回転筒11の径方向外側に、上記電動モータ12の回転駆動軸20を、これら入力軸9並びに回転筒11と平行に設けている。そして、このうちの回転筒11と上記回転駆動軸20とに、それぞれプーリ21a、21bを設けると共に、これらプーリ21a、21b同士の間に無端ベルト22を掛け渡す事により、これら電動モータ12の回転駆動軸20と上記回転筒11との間で動力の伝達を自在としている。
尚、これら回転駆動軸20の回転速度と回転筒11の回転速度とは、例えば1:1に対応させる{伝達比、減速比を1にする}事が好ましい。又、上記無端ベルト22を歯付ベルト(タイミングベルト)とすると共に、上記各プーリ21a、21bも歯付きのもの(タイミングプーリ)とすれば、滑りを防止して、より信頼性を確保できる。又、上記電動モータ12の回転駆動軸20と上記回転筒11とを、上述の様なベルト伝達式に代えて、例えば歯車式の動力伝達機構により動力の伝達を自在に接続する事もできる。この場合に、この動力伝達機構をウォーム歯車式とすれば、上記電動モータ12を上記回転筒11(並びに入力軸9)に対し直角方向に設ける事ができる。
又、本例の舵角可変式ステアリング装置を構成する前記波動歯車式変速機13は、上記入力軸9と前記出力軸10との間に設けられ、これら入力軸9と出力軸10との間で互いに回転力の伝達を可能に接続している。この様な波動歯車式変速機13は、ウェーブジェネレータ23と、第一のサーキュラスプライン24と、第二のサーキュラスプライン25と、1個のフレクスプライン26とを備える。このうちのウェーブジェネレータ23は、前記回転筒11を介して上記電動モータ12により回転駆動されるもので、この回転筒11の先端部(図1の左端部)に直接形成されている。そして、中心軸に対し直交する仮想平面に関する、外周面の断面の形状を楕円としている。又、上記第一のサーキュラスプライン24は、上記入力軸9と共に回転するもので、ピッチ円を真円とした内歯歯車としている。本例の場合には、上記入力軸9の前端部(図1の左端部)で、上記回転筒11の前端面(図1の左端面)から前方(左方)に露出した部分に、径方向外方に突出する鍔部27を設け、この鍔部27の外周縁に、上記第一のサーキュラスプライン24を結合固定している。
又、上記第二のサーキュラスプライン25は、上記出力軸10と共に回転するもので、同じくピッチ円を真円とした内歯歯車としている。本例の場合は、上記出力軸10の後端部(図1の右端部)に、上記鍔部27よりも外径が大きい第二の鍔部28を設けると共に、この第二の鍔部28の外周縁から後方(図1の右方)に向け、上記鍔部27並びに上記第一のサーキュラスプライン24を跨ぐ状態で円筒部29を設けている。そして、この円筒部29の先端部(図1の右端部)に、上記第二のサーキュラスプライン25を結合している。従って、上記第一、第二両サーキュラスプライン24、25は、前後方向(図1の左右方向)に関して前方(図1の左方)に第一のサーキュラスプライン24が、同じく後方(図1の右方)に第二のサーキュラスプライン25が、それぞれ配置され、互いに軸方向に隣り合う。即ち、この状態で、上記入力軸9の前端部(図1の左端部)が、上記出力軸10の後端部(図1の右端部)に設けた上記円筒部29の径方向内側に、入れ子状に配置される。
又、上記第一、第二両サーキュラスプライン24、25の互いに対向する側面同士の間には、円輪板状の滑り軸受30を設け、これら第一、第二両サーキュラスプライン24、25同士の相対回転を円滑に行なえる様にしている。又、互いに対向する上記鍔部27並びに上記第二の鍔部28の側面同士の間にも、円板状(円輪板状でも可)の滑り軸受31を設けている。そして、この滑り軸受31と上記第二の鍔部28との間に断面波状の皿板ばね32を設け、上記鍔部27と第二の鍔部28との間に、互いに軸方向に離れる方向の軸力を付与している。そして、この軸力に基づいて、上記入力軸9と出力軸10との間に適度な摩擦力を与え、互いにがたついたり振動したりするのを防止している。
又、前記フレクスプライン26は、転がり軸受(ウェーブジェネレータ軸受)33を介して前記ウェーブジェネレータ23の周囲に、このウェーブジェネレータ23に対し相対回転自在に、且つ、このウェーブジェネレータ23の外周面の形状に応じた弾性変形を自在に設けられている。この様なフレクスプライン26は、ピッチ円を上記ウェーブジェネレータ23の外周面に倣った楕円とした外歯歯車としている。又、上記転がり軸受33は、上記ウェーブジェネレータ23と一体又は別体の内輪の外周面に設けた内輪軌道と、上記フレクスプライン26と一体又は別体の外輪の内周面に設けた外輪軌道との間に、複数個の転動体(図示の例の場合は玉)を配置して成る。
又、上記内輪軌道の断面(中心軸に対し直交する仮想平面に関する断面)の形状を、上記ウェーブジェネレータ23と同様の楕円とし、上記外輪並びに上記フレクスプライン26を、上記各転動体を介して楕円状に弾性変形させている(撓ませている)。そして、上記ウェーブジェネレータ23の外周面と上記第一、第二両サーキュラスプライン24、25の内周面との間の隙間が最も小さくなる径方向反対側2個所位置(ウェーブジェネレータ23の外周面のうちで長径に対応する部分)で、上記第一、第二両サーキュラスプライン24、25と上記フレクスプライン26とを噛合させている。尚、このフレクスプライン26の軸方向に関して前半部(図1の左半部)に上記第一のサーキュラスプライン24が、同じく後半部(図1の右半部)に上記第二のサーキュラスプライン25が、それぞれ噛合する。
上述の様に構成する波動歯車式変速機13の場合、上記ウェーブジェネレータ23(回転筒11)が回転すると、上記隙間が最も小さくなる上記径方向反対側2個所位置(ウェーブジェネレータ23の外周面のうちで長径に対応する部分)が、回転方向に順次変化(移動)する。そして、この変化(移動)に伴い、上記第一、第二両サーキュラスプライン24、25と上記フレクスプライン26との噛合位置が、回転方向に連続的に変化する(噛合位置が順次変化する)。本例の場合、この様なウェーブジェネレータ23の回転(噛合位置の変化)に基づく、上記第一、第二両サーキュラスプライン24、25同士の回転量を互いに異なる様にしている。この為に、本例の場合は、上記フレクスプライン26の歯数H26と上記第一のサーキュラスプライン24の歯数H24とを同じ(H26=H24=N)にすると共に、上記第二のサーキュラスプライン25の歯数H25をこのフレクスプライン26の歯数H26よりも多く(例えば2歯多く、H25=N+2)している。
従って、上記ウェーブジェネレータ23が1回転すると、上記第一のサーキュラスプライン24がそのままの状態を維持する(相対回転しない)のに対して、上記第二のサーキュラスプライン25が、歯数差である2歯分、即ち、2/N回転分、上記ウェーブジェネレータ23の回転方向とは逆方向に相対回転する。尚、この2/Nの逆数、即ち、N/2が、前記波動歯車式変速機13の減速比Kとなる(K=N/2)。又、この減速比Kは、上記第一のサーキュラスプライン24と共に回転する前記入力軸9が静止した状態で、上記第二のサーキュラスプライン25と共に回転する前記出力軸10が1回転する間の、上記ウェーブジェネレータ23と共に回転する前記回転筒11の回転数に対応する。ここで、前記ステアリングホイール1が操作され、上記入力軸9が回転する場合に、機構全体が回転すると考えれば、次の(1)式の関係が成り立つ。
K=(N11−N9 )/(N10−N9 ) −−− (1)
この(1)式中の符号N9 、N10、N11は、それぞれ入力軸9、出力軸10、回転筒11の回転数若しくは回転角度を表している。
一方、上記減速比Kは、上記第一、第二両サーキュラスプライン24、25並びにフレクスプライン26の歯数によって定まる、設計可能な定数である。従って、上記入力軸9の回転数若しくは回転角度N9 が定まれば、上記回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を適宜調節する事により、上記出力軸10の回転数若しくは回転角度N10を任意に調節できる事が分かる。即ち、上記回転筒11の回転に応じて、上記入力軸9と上記出力軸10との回転速度比(相対角)を自由に変更できる。
例えば、上記回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を、次の(2)式を満たす様に制御した場合に就いて考える。
11={K(k−1)+1}N9 −−− (2)
この(2)式を上記(1)式に代入する事で、次の(3)式を得られる。
10=k・N9 −−− (3)
この(3)式から明らかな通り、上記回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を上記(2)式の様に規制する事で、舵角比(伝達比)kの舵角可変式ステアリング装置を構成できる。その他にも、前記電動モータ12により上記回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を操作して、上記出力軸10の回転数若しくは回転角度N10を自由に制御する事ができる。更には、車両の横滑りやスピンを検知し、自動的に修正舵(カウンターステア)を与える操作も可能となる。
尚、本例の場合には、上記入力軸9及び上記回転筒11の回転数若しくは回転角度N9 、N11を計測する為に、入力側回転角センサ34、並びに、制御用回転角センサを設けている。このうちの入力側回転角センサ34は、上記ステアリングコラム14の中間部内周面のうちで上記収納部15から軸方向に外れた部分と上記入力軸9の外周面との間に設けている。本例の場合、この入力側回転角センサ34として、レゾルバを使用している。又、上記制御用回転角センサは、上記回転筒11を回転駆動する為の電動モータ12内に設け、この電動モータ12の回転駆動軸20の回転数若しくは回転角度を計測する事により、上記回転筒11の回転数若しくは回転角度N11を計測自在としている。尚、後述の図3に示す、実施の形態の第2例の様に、制御用回転角センサ35(図3参照)を、回転筒11aの外周面とステアリングコラム14aの収納部15aの内面との間に設ける事もできる。但し、本例の様に、制御用回転角センサを電動モータ12内に設ければ、ステアリングコラム14の収納部15の軸方向寸法の低減を図れる。
又、スペース等の都合で、上記入力側回転角センサ34を設置できず、上記入力軸9の回転数若しくは回転角度N9 を計測できない場合も考えられる。この様な場合には、前記出力軸10側に、この出力軸10の回転数若しくは回転角度N10を計測する為の角度センサ(図示せず)を設ける。そして、この回転数若しくは回転角度N10を使用して、上記(2)式の代わりに次の(4)式を利用して制御を行なえば、上記入力軸9の回転数若しくは回転角度N9 を計測した場合と同様に、上記(3)式の様な制御を行なえる。
11={K(1−1/k)+1/k}N10 −−− (4)
何れにしても、車速等の車両状態、運転状況等に応じて前記電動モータ12を回転駆動し、前記ウェーブジェネレータ23を所定方向に所定量回転させ、前記第一、第二両サーキュラスプライン24、25同士の間に、必要な相対回転(差動)を付与する。そして、この様な相対回転に基づき、上記入力軸9の回転量と上記出力軸10の回転量との関係を変化させ、ステアリングホイール1の操舵量と舵角の変化量との関係を変化させる。
更に、本例の場合は、前記回転筒11の中端部(図1の左端部)外周面(ウェーブジェネレータ23とプーリ21aとの間)に、振動を減衰する為の制振部材(振動減衰部材)36を設けている。本例の場合は、この制振部材36をマスダンパとしている。このマスダンパは、鉄、銅等の金属材料により造られた所定の重量(重さ)を有する錘部材37を、例えばゴムの如きエラストマー、或は、シリコンゲル等のゲル状の材料等により造られた弾性部材38を介して上記回転筒11に支持する事により構成している。本例の場合には、この回転筒11の外周面のうちで、前記波動歯車式変速機13(を構成するウェーブジェネレータ23)から軸方向に外れた部分に、円環状(例えば円筒状)の上記弾性部材38を設けると共に、この弾性部材38の外周面に同じく円環状(例えば円筒状)の上記錘部材37を設ける事により、上記マスダンパである上記制振部材36を構成している。そして、この様な制振部材(マスダンパ)36により、上記回転筒11を通じて、上記電動モータ12や上記波動歯車式変速機13から前記入力軸9を介してステアリングホイール1に伝達される振動を低減(減衰)している。
上述の様に構成する本例の舵角可変式ステアリング装置の場合には、上記ステアリングホイール1の操舵感の確保と、上記電動モータ12や波動歯車式変速機13で発生する振動の低減との両立を図れ、しかも、小型・簡素に構成できる。
先ず、振動の低減は、上記回転筒11に設けた上記制振部材36により図れる。即ち、この制振部材36により、この制振部材36を設けた上記回転筒11を通じて、上記電動モータ12や波動歯車式変速機13を介して上記ステアリングホイール1に伝達される振動を低減する事ができる。
又、このステアリングホイール1の操舵感の確保は、上記電動モータ12を固定の部材であるステアリングコラム14(の収納部15)を介して支持する事と、上記制振部材36を上記回転筒11に設ける事とにより図れる。即ち、上記電動モータ12を上記ステアリングコラム14(の収納部15)を介して支持する為、この電動モータ12がステアリングホイール1の回転に伴って回転する事はない。この為、このステアリングホイール1に加わる慣性が大きくなる事を防止できる。又、上記電動モータ12の回転駆動によって生じる上記制振部材36の慣性力も、上記ステアリングコラム14(の収納部15)により支持される為、操舵感に影響を及ぼさない。又、上記制振部材36を上記回転筒11に設ける為、上記ステアリングホイール1を介して入力される動力(回転力、操舵力)が、この制振部材36を介して伝達される事はない。尚、上記ステアリングホイール1は、入力軸9、鍔部27、第一のサーキュラスプライン24、フレクスプライン26、第二のサーキュラスプライン25、円筒部29、第二の鍔部28を介して、出力軸10と機械的に繋がっている。この為、このステアリングホイール1の操作に関する剛性を確保できる。そして、この様に剛性が確保できる事と上記慣性が大きくなる事を防止できる事とが相俟って、上記操舵感を良好にできる。
又、小型・簡素に構成する事は、同じく、上記電動モータ12を固定の部材であるステアリングコラム14(の収納部15)を介して支持する事と、上記制振部材36を上記回転筒11に設ける事とにより図れる。即ち、上記電動モータ12を上記ステアリングコラム14(の収納部15)を介して支持する為、この電動モータ12に通電等する為のスパイラルケーブルやスリップリングが必要なくなり、小型・簡素に構成できる。又、上記制振部材36を上記回転筒11に設ける為、この制振部材36を舵角可変機構と別に設ける構造に比べて小型に構成でき、この制振部材36を含む装置全体を上記ステアリングコラム14(の収納部15)内に収納し易くできる。又、本例の場合は、差動式の変速機として波動歯車式変速機13を使用している為、大きな減速比を得られる構造を小型に構成できる。
[実施の形態の第2例]
図3は、請求項1〜4、7、8に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。前述した実施の形態の第1例の場合が、ステアリングコラム14の中間部に設けた収納部15の外側に電動モータ12(図1参照)を固定しているのに対して、本例の場合には、電動モータ12aを、ステアリングコラム14aの中間部に設けた収納部15aの内側に設けている。この為に、本例の場合には、上記電動モータ12aを構成するロータ(例えば永久磁石)39を、回転筒11aの外周面に設けると共に、同じくステータ(例えば駆動コイル)40を、このロータ39の周囲、即ち、上記ステアリングコラム14aの収納部15aの内周面に設けている。この様な本例の場合、上記回転筒11aは、この回転筒11aの径方向外側に設けられた上記電動モータ12aにより、(歯車やプーリ、ベルト等の動力伝達部材を介する事なく)直接回転駆動される。この様に回転筒11aを直接回転駆動する場合には、前述の実施の形態の第1例の様なプーリ装置や歯車伝達装置を用いて回転駆動する場合に比べ、歯車やプーリ等のがたつきやこのがたつきに伴なう騒音等を防止できる。
尚、本例の場合は、上記回転筒11aの外周面で、他の部分よりも外径の大きい大径部41と、上記ステアリングコラム14aの収納部15aの内面との間に、制御用回転角センサ35を設けている。本例の場合、この制御用回転角センサ35として、レゾルバを使用している。そして、本例の場合には、この様な制御用回転角センサ35を設けると共に、上述の様に回転筒11aの外周面に、上記電動モータ12aを構成する上記ロータ39を設けている。この為、前述した実施の形態の第1例の構造(図1参照)に比べ、上記回転筒11a並びに上記ステアリングコラム14aの収納部15aの軸方向寸法が大きくなる可能性がある。但し、本例の場合は、上記第1例の構造の様に、ステアリングコラム14の収納部15の外側に電動モータ12(図1参照)を固定しない分、径方向に関する寸法を小さくできる。本例の構造を採用するか、上記第1例の構造を採用するかは、例えば設置スペースに応じて決定する。
その他の構成及び作用は、制振部材36の構成も含め、前述した第1例と同様である為、重複する説明は省略する。
[実施の形態の第3例]
図4〜7は、請求項1〜6に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、差動式の変速機として、ボール式変速機(第一、第二両ボール式変速機42、43)を用いている。即ち、本例の舵角可変式ステアリング装置は、特許請求の範囲に記載した第一の回転軸に相当する入力軸9aと、同じく第二の回転軸に相当する出力軸10aと、同じく駆動部材に相当する回転筒11bと、同じく回転駆動手段に相当する電動モータ12bと、上記第一、第二両ボール式変速機42、43とを備える。このうちの入力軸9aは、ステアリングコラム14bの内径側に転がり軸受44により回転自在に支持されたもので、ステアリングホイール1(図10参照)の回転に伴って回転する。又、上記出力軸10aは、その入力側端部(図4、5の右端部)を、上記ステアリングコラム14bの一端部(ステアリングホイール1を設ける側とは反対側の端部である、図4、5の左端部)に結合固定したハウジング45内に、上記入力軸9aと同心に、且つ、この入力軸9aに対する相対回転を自在に支持している。本例の場合は、上記ステアリングコラム14b並びにハウジング45が、特許請求の範囲に記載した固定の部材に相当する。
又、上記回転筒11bは、上記ハウジング45内で上記入力軸9aと上記出力軸10aとの間部分(径方向外側)に、これら入力軸9a及び出力軸10aと同心に、且つ、これら入力軸9a及び出力軸10aに対する相対回転を可能に支持されている。尚、上記回転筒11bがこれら入力軸9a及び出力軸10aと同心であるとは、この回転筒11bの外周面を基準とした状態である。本例の場合、この回転筒11bを、大径部46と小径部47とを段付部48により連続させる事で、断面クランク型で全体を段付円筒状に形成している。この様な回転筒11bは、上記小径部47を上記入力軸9aの外周面に、転がり軸受49により回転自在に支持する事で、この入力軸9a並びにこの入力軸9aを回転自在に支持する上記ステアリングコラム14bを介して、上記ハウジング45内に回転自在に支持している。
上述の様な回転筒11bは、上記ハウジング45内に設置した前記電動モータ12bにより、所望の方向に所望の回転速度で、回転駆動自在としている。この為に本例の場合には、上記回転筒11bの大径部46の外周面にロータ(例えば永久磁石)39を、上記固定の部材である上記ハウジング45の一部内面でこのロータ39と対向する部分にステータ(例えば駆動コイル)40を、それぞれ設けている。又、上記回転筒11bの小径部47の外周面と上記ハウジング45の内面との間に、制御用回転角センサ35を設けている。本例の場合、この制御用回転角センサ35として、レゾルバを使用している。この構成により、上記回転筒11bを、所望の方向に所望の回転速度で、この回転速度を適切に規制しつつ、回転駆動自在としている。
上述の様な回転筒11bを構成する、上記大径部46の径方向に関する肉厚は、図6に示す様に、円周方向に関して漸次変化させている。従って、この大径部46の内周面の中心軸β(図5、6)は、上記入力軸9a及び上記出力軸10aの中心軸α(図5、6)に対し偏心している。そして、この大径部46の内径側に偏心プレート50を、深溝型の玉軸受等の転がり軸受51により、回転自在に支持している。この様な構成により、上記偏心プレート50を、上記入力軸9a及び上記出力軸10aと平行で且つこれら両軸9a、10aに対し偏心した中心軸βを中心とする回転(自転)、並びに、この中心軸βの、上記入力軸9a及び上記出力軸10aの中心軸αを中心とした偏心回転(公転)を可能として、上記回転筒11bの内径側に支持している。尚、上記偏心プレート50は、後述する第一のボール式変速機42を構成する第二の回転部材と第二のボール式変速機43を構成する第一の回転部材とを一体に形成して成るものであり、特許請求の範囲に記載した回転伝達部材に相当する。
上述の様にして、上記大径部46の内径側に回転自在に支持した、上記偏心プレート50の軸方向両側面と上記入力軸9a及び上記出力軸10aとの間に、上記第一のボール式変速機42と第二のボール式変速機43とを、それぞれ設置している。そして、このうちの第一のボール式変速機42により、上記偏心プレート50から上記入力軸9aに、上記第二のボール式変速機43により、この偏心プレート50から上記出力軸10aに、それぞれ回転を減速しつつ伝達可能としている。但し、上記入力軸9aとこの出力軸10aとの間の回転速度比は、前記電動モータ12bにより上記偏心プレート50の回転方向及び回転速度を調節する事で、調節可能である。
上記両ボール式変速機42、43のうちの第一のボール式変速機42を構成する為、上記入力軸9aの先端部(図4、5の左端部)で前記ハウジング45内に位置する部分に取付フランジ部52を固設し、この取付フランジ部52に、第一の回転部材に相当する駆動リング53を結合固定している。この駆動リング53の内周面と、上記出力軸10aの基端部(図4、5の右端部)に形成した突出軸部54の外周面との間に転がり軸受55を設けて、上記駆動リング53と上記出力軸10aとの同心性を厳密に確保できる様にしている。更に本例の場合には、上記突出軸部54の先端部に螺合したナット56により、上記転がり軸受55を介して、上記駆動リング53と後述する鍔部57との間に、互いに近付く方向の力を付与している。又、上記駆動リング53の軸方向両端面のうち、上記偏心プレート50に対向する端面に、第一の回転軸側の案内溝(=第一のボール式変速機42を構成する第一の回転部材の案内溝)である入力軸側案内溝58を形成している。
又、上記偏心プレート50の軸方向両側面のうちでこの入力軸側案内溝58に対向する軸方向片側面部分に、回転伝達部材側の案内溝(=第一のボール式変速機42を構成する第二の回転部材の案内溝)である偏心プレート入力側案内溝59を形成している。これら両案内溝58、59のピッチ円直径は互いに同じである。又、上記入力軸側案内溝58のピッチ円の中心は、前記入力軸9aの中心軸α上に存在し、上記偏心プレート入力側案内溝59のピッチ円の中心は、上記偏心プレート50の回転(自転)中心軸β上に存在する。本例の場合には、図7の(a)に示す様に、上記入力軸側案内溝58をエピサイクロイド形状とし、上記偏心プレート入力側案内溝59をハイポサイクロイド形状としている。この偏心プレート入力側案内溝59の形状と上記入力軸側案内溝58の形状とは、互いに逆にしても良い。
何れにしても、エピサイクロイド形状の案内溝の波数が、ハイポサイクロイド形状の案内溝の波数よりも2個だけ少ない。本例の場合には、ハイポサイクロイド形状である上記偏心プレート入力側案内溝59の波数をNとし、エピサイクロイド形状である上記入力軸側案内溝58の波数を「N−2」としている。そして、上記偏心プレート入力側案内溝59と上記入力軸側案内溝58との間で、上記偏心プレート50の軸方向に関してこれら偏心プレート入力側案内溝59と入力軸側案内溝58とが重畳する部分に、「N−1」個の入力側ボール60、60を配置している。
又、前記第二のボール式変速機43を構成する為、前記出力軸10aの基端寄り部分の外周面に外向フランジ状の鍔部57を固設し、この鍔部57の軸方向両端面のうちで上記偏心プレート50に対向する端面に、第二の回転軸側の案内溝(=第二のボール式変速機43を構成する第二の回転部材の案内溝)である出力軸側案内溝61を形成している。又、上記偏心プレート50の軸方向両側面のうちでこの出力軸側案内溝61に対向する軸方向他側面部分に、回転伝達部材側の案内溝(=第二のボール式変速機43を構成する第一の回転部材の案内溝)である、偏心プレート出力側案内溝62を形成している。これら両案内溝61、62のピッチ円直径は互いに同じである。又、上記出力軸側案内溝61のピッチ円の中心は、上記出力軸10aの中心軸α上に存在し、上記偏心プレート出力側案内溝62のピッチ円の中心は、上記偏心プレート50の回転(自転)中心軸β上に存在する。本例の場合には、図7の(b)に示す様に、上記出力軸側案内溝61をエピサイクロイド形状とし、上記偏心プレート出力側案内溝62をハイポサイクロイド形状としている。この偏心プレート出力側案内溝62の形状と上記出力軸側案内溝61の形状とに就いても、互いに逆にしても良い。
何れにしても、エピサイクロイド形状の案内溝の波数が、ハイポサイクロイド形状の案内溝の波数よりも2個だけ少ない。本例の場合には、ハイポサイクロイド形状である上記偏心プレート出力側案内溝62の波数をMとし、エピサイクロイド形状である上記出力軸側案内溝61の波数を「M−2」としている。そして、上記偏心プレート出力側案内溝62と上記出力軸側案内溝61との間で、偏心プレート50の軸方向に関してこれら偏心プレート出力側案内溝62と出力軸側案内溝61とが重畳する部分に、「M−1」個の出力側ボール63、63を配置している。前記偏心プレート入力側案内溝59の波数Nと上記偏心プレート出力側案内溝62の波数Mとは、互いに異ならせている(N≠M)。上記各出力側ボール63、63と前記各入力側ボール60、60とには、前記ナット56の緊締に基づき、予圧を付与している。従って、上記各ボール60、63と上記各案内溝58、59、62、61との転がり接触部ががたつく事はない。
それぞれが上述の様な構成を有し、前記回転筒11bを介して組み合わされた、前記第一のボール式変速機42と前記第二のボール式変速機43とから成る差動式の変速機を備えた、本例の舵角可変式ステアリング装置の場合には、上記回転筒11bの回転制御によって、前記入力軸9aと前記出力軸10aとの回転速度比(相対角)を自由に変更できる。この様な本例の舵角可変式ステアリング装置の作用は、前述の特許文献12に記載されているボール式変速装置を、固定部を持たない差動機構に看做す事で説明できる。即ち、上記特許文献12のハウジング(11)及び第一動力板(12)を本例の構造の入力軸9aとし、この特許文献12の出力軸(21)を本例の構造の出力軸10aとし、この特許文献12のクランク軸(20)を本例の構造の回転筒11bと看做す事により、上記入力軸9aと上記出力軸10aとの間に相対角を生じさせる為の差動動作を説明できる。
例えば、前記ステアリングホイール1を保持して上記入力軸9aを固定した状態では、上記特許文献12に記載されたボール式変速装置と同様の動作を行なう。この状態での、上記出力軸10aが1回転する間での上記回転筒11bの回転数を、上記第一、第二両ボール式変速機42、43全体としての減速比Kとする。この減速比Kは、上記特許文敵12に記載されている様に、自由に設計する事ができる。一方、上記ステアリングホイール1が操作されて、上記入力軸9aが回転する場合は、機構全体が回転すると考えれば、前述の実施の形態の第1、2例の様な、波動歯車式変速機13(図1、2参照)を差動式の変速機として用いた場合と同様に、次の(1)式の関係が成り立つ。
K=(N11−N9 )/(N10−N9 ) −−− (1)
この(1)式中の符号N9 、N10、N11は、それぞれ入力軸9a、出力軸10a、回転筒11bの回転数若しくは回転角度を表している。
一方、上記減速比Kは、前記各案内溝58、59、62、61の波数によって定まる、設計可能な定数である。これらの事を考慮すれば、上記入力軸9aの回転数若しくは回転角度N9 が定まれば、上記回転筒11bの回転数若しくは回転角度N11を適宜調節する事により、上記出力軸10aの回転数若しくは回転角度N10を任意に調節できる事が分かる。即ち、本例の舵角可変式ステアリング装置の場合も、前述の実施の形態の第1、2例で示した構造の場合と同様に、上記入力軸9aと上記出力軸10aとの回転速度比(相対角)を自由に変更できる構造となっている。
本例の場合に就いても、上記回転筒11bの回転数若しくは回転角度N11を、次の(2)式の様に設定した場合に就いて考える。
11={K(k−1)+1}N9 −−− (2)
この(2)式を上記(1)式に代入する事で、本例の場合も、次の(3)式を得られる。
10=k・N9 −−− (3)
この(3)式から明らかな通り、本例の構造の場合も、上記回転筒11bの回転数若しくは回転角度N11を上記(2)式の様に規制する事で、舵角比kの舵角可変式ステアリング装置となる。又、前記電動モータ12bにより上記回転筒11bの回転数若しくは回転角度N11を操作して、上記出力軸10aの回転数若しくは回転角度N10を自由に制御する事ができる。更には、車両の横滑りやスピンを検知し、自動的に修正舵(カウンターステア)を与える操作も可能となる。
尚、本例の場合も、前述した様に、上記回転筒11bの回転数若しくは回転角度N11を、前記制御用回転角センサ35により計測可能としている。又、本例の場合は、前記出力軸10a側に、この出力軸10aの回転数若しくは回転角度N10を計測する為の出力側回転角センサ64を設けている。本例の場合、この出力側回転角センサ64として、上記制御用回転角センサ35と同様に、レゾルバを使用している。この様に出力側回転角センサ64により上記出力軸10aの回転数若しくは回転角度N10を計測する場合には、上記(2)式の代わりに次の(4)式を利用して制御を行なう。
11={K(1−1/k)+1/k}N10−−− (4)
尚、本例の舵角可変式ステアリング装置を構成する変速機(第一、第二両ボール式変速機42、43により構成される変速機)は、前述した特許文献12に記載されたボール式変速装置の構造を基本としている。但し、特許文献12に記載されたボール式変速装置の構造をそのまま使用したのでは、この特許文献12に記載されたボール式変速装置を構成するクランク軸を電動モータで回転させ、しかも回転角度を制御する為に、この電動モータ自身もボール式変速装置と共に回転させなければならなくなる。この様な場合には、スパイラルケーブル等の、高価で信頼性確保が難しい部品を必要とするだけでなく、構造が複雑化、大型化する。これに対して本例の場合には、上記舵角比kを変化させる為の部材として、外径側から偏心回転を制御可能な前記回転筒11bを採用し、前記電動モータ12bのステータ40を固定可能な構成としている。即ち、円筒状の駆動部材である上記回転筒11bの径方向内側に、上記入力軸9a並びに出力軸10aを回転自在に支持する事により、上記電動モータ12bを固定の部分である前記ハウジング45に支持している。そして、この様な構成により、上記スパイラルケーブル等の、高価で信頼性確保が難しい部品を使用する必要がなく、簡素、小型で安価に構成でき、しかも信頼性を確保し易い構造を実現している。
更に、本例の場合は、前述した実施の形態の第1、2例と同様に、上記回転筒11bの一端部(図4、5の左端部)外周面に、振動を減衰する為の制振部材(振動減衰部材)36を設けている。本例の場合も、この制振部材36をマスダンパ{例えば鉄、銅等の金属材料により造られた所定の重量(重さ)を有する錘部材37を、例えばゴムの如きエラストマー、或は、シリコンゲル等のゲル状の材料等により造られた弾性部材38を介して上記回転筒11aに支持する事により構成したもの}としている。そして、この様な制振部材(マスダンパ)36により、上記回転筒11bを通じて、上記電動モータ12bや第一、第二両ボール式変速機42、43から前記入力軸9aを介してステアリングホイール1に伝達される振動を低減(減衰)している。
上述の様に構成する本例の舵角可変式ステアリング装置の場合も、上記ステアリングホイール1の操舵感の確保と、上記電動モータ12bや第一、第二両ボール式変速機42、43で発生する振動の低減との両立を図れ、しかも、小型・簡素に構成できる。
先ず、振動の低減は、上記回転筒11bに設けた上記制振部材36により図れる。即ち、この制振部材36により、この制振部材36を設けた上記回転筒11bを通じて、上記電動モータ12bや第一、第二両ボール式変速機42、43を介して上記ステアリングホイール1に伝達される振動を低減する事ができる。
又、このステアリングホイール1の操舵感の確保は、上記電動モータ12bを固定の部材であるハウジング45を介して支持する事と、上記制振部材36を上記回転筒11bに設ける事とにより図れる。即ち、上記電動モータ12bのステータ40を上記ハウジング45を介して支持する為、この電動モータ12bのステータ40がステアリングホイール1の回転に伴って回転する事はない。この為、このステアリングホイール1に加わる慣性が大きくなる事を防止できる。又、上記電動モータ12bの回転駆動によって生じる上記制振部材36の慣性力が、上記ステータ40を介して上記ハウジング45により支持される為、操舵感に影響を及ぼさない。又、上記制振部材36を上記回転筒11bに設ける為、上記ステアリングホイール1を介して入力される動力(回転力、操舵力)が、この制振部材36を介して伝達される事はない。尚、上記ステアリングホイール1は、駆動リング53、偏心プレート50、鍔部57及びボール60、63を介して、出力軸10aと機械的に繋がっている。この為、このステアリングホイール1の操作に関する剛性を確保できる。そして、この様に剛性が確保できる事と上記慣性が大きくなる事を防止できる事とが相俟って、上記操舵感を良好にできる。
又、小型・簡素に構成する事は、同じく、上記電動モータ12bを固定の部材であるハウジング45を介して支持する事と、上記制振部材36を上記回転筒11bに設ける事とにより図れる。即ち、上記電動モータ12bを上記ハウジング45を介して支持する為、前述した様にこの電動モータ12bに通電等する為のスパイラルケーブルやスリップリングが必要なくなり、小型・簡素に構成できる。又、上記制振部材36を上記回転筒11bに設ける為、この制振部材36を舵角可変機構と別に設ける構造に比べて小型に構成でき、この制振部材36を含む装置全体をステアリングコラム14bのハウジング45内に収納し易くできる。又、本例の場合は、差動式の変速機としてボール式変速機(1対のボール式変速機42、43)を使用している為、大きな減速比を得られる構造を小型に構成できる。
尚、本発明者は、図8(a)に模式的に示した従来構造と、同図(b)に模式的に示した本例の構造とのそれぞれで、ステアリングホイール1に加わる(ステアリングホイール1の回転速度を速くする事に対し抵抗となる)トルクTh を計算した。尚、このうちの図8(a)に模式的に示した従来構造は、例えば特許文献8に記載された構造に対応するもので、円筒状の入力軸9bの内面に電動モータ12cを構成するステータ40を固定しており、このステータ40がステアリングホイール1と共に回転する。又、上記電動モータ12cを構成するロータ39(を支持する駆動部材)に、制振部材36を設けている。一方、本例の構造を示した図8(b)の模式図では、本例の構造を、円筒状の入力軸9aの内側(に設けた駆動部材)に、ロータ39並びに制振部材36を配置し、ハウジング45に設けたステータ40の磁力が、上記入力軸9aを透過(透磁)する様な構造として描いている。尚、この図8の(b)に示した構造は、前述の図4〜7に示した本例の構造、即ち、ステータ40をハウジング45に設けると共に、円筒状の回転筒11bにロータ39並びに制振部材36を設け、この回転筒11bの内側に入力軸9a並びに出力軸10aを設けた構造と等価である。
又、上記トルクの計算は、入力軸9a、9bと出力軸10aとの間の変速比rを変化させる状況で、上記ステアリングホイール1にトルクTh を運転者の操舵力として与え、このステアリングホイール1の回転角θh を加速させる事を前提として行なった。尚、上記変速比rは、0.5〜2程度の間で変化する。又、各式の記号の意味は、下記の通りである。又、下記の「変速機42、43の減速比g 」は、第一、第二両ボール式変速機42、43全体としての減速比に対応するが、例えば前述した波動歯車式変速機13(図1〜3参照)等の他の変速機を用いる場合には、その変速機の減速比に対応する。
Th:ステアリングホイール1のトルク
Tm:電動モータ12b、12cのトルク
Tmr :ロータ39から変速機42、43に加わるトルク
Tg:変速機42、43から入力軸9a、9bに加わるトルク
To:出力軸10aのトルク
Jh:ステアリングホイール1の慣性
Ji:入力軸9a、9bの慣性
Jr:ロータ39の慣性
Js:ステータ40の慣性
Jmd :制振部材(マスダンパ)36の慣性
Jo:出力軸10aの慣性
J :出力先65(出力軸10aよりも車輪側の回転部材)の慣性
θh :ステアリングホイール1の回転角
θm :ロータ39の回転角
θo :出力軸10aの回転角
g :変速機42、43の減速比
r :入力軸9a、9bと出力軸10aとの間の変速比
先ず、図8(a)に模式的に示した従来の構造の関係式は、次の(5)式〜(11)式で表せる。尚、各部の剛性並びに制振部材(マスダンパ)36の減衰は無視している。
Figure 2009061836
そして、これら(5)式〜(11)式を整理すると、下記の(12)式を得られる。
Figure 2009061836
この様な(12)式から明らかな様に、従来構造の場合は、ステータ40が入力軸9bに固定されている(ステアリングホイール1と共にステータ40が回転する)為、制振部材(マスダンパ)36の慣性Jmd がステアリングホイール1のトルクThに影響する事が分かる。又、変速機42、43の減速比gは30〜200程度と大きな値である為、上記制振部材(マスダンパ)36の慣性Jmd の変化量が小さい場合でも、この制振部材(マスダンパ)36の慣性Jmd が、上記ステアリングホイール1のトルクThに大きく影響を及ぼす。又、入力軸9bと出力軸10aの変速比rを変化させた場合、上記減速比gが大きい為、上記ステアリングホイール1のトルクThの変化量が大きくなり易い。
一方、図8(b)に模式的に示した本例の構造の関係式は、次の(13)式〜(19)式で表せる。
Figure 2009061836
そして、これら(13)式〜(19)式を整理すると、下記の(20)式を得られる。
Figure 2009061836
この様な(20)式から明らかな様に、本例の場合は、ステータ40がハウジング45に設けられている(固定されている)為、ステアリングホイール1のトルクThに制振部材(マスダンパ)36の慣性Jmd が関係しない。即ち、ロータ39と共に回転する駆動部材(回転筒11b)に、制振部材(マスダンパ)36等の慣性が付加された場合でも、ステアリングホイール1のトルクThに影響を与えない(その影響をステアリングコラム14bのハウジング45により支承できる)。この為、例え大きな(重い)制振部材(マスダンパ)36を取り付けたとしても、上記ステアリングホイール1のトルクThに影響を与える事なく、振動の低減(減衰)を図れる。
尚、本例の場合は、図4に示す様に、舵角可変式ステアリング装置に電動パワーステアリング装置を組み合わせた構造としている。この電動パワーステアリング装置を構成する操舵力補助装置66は、この操舵力補助装置66の入力軸となる前記出力軸10aと、この操舵力補助装置66の出力軸となる操舵力補助装置側出力軸67と、トーションバー68と、操舵力補助装置用電動モータ69と、操舵力補助装置用減速機70と、トルク検出手段71と、図示しない制御器とを備える。又、このうちのトルク検出手段71は、上記出力軸10aの回転角度(トーションバー68のステアリングホイール1側の回転角度)を計測する為の前記出力側回転角センサ64と、上記操舵力補助装置側出力軸67の回転角度{トーションバー68の中間シャフト4(図10参照)側の回転角度}を計測する為の操舵力補助装置用回転角センサ72とにより構成している。尚、この操舵力補助装置用回転角センサ72も、上記出力側回転角センサ64と同様に、レゾルバを使用している。又、本例の場合には、舵角可変式ステアリング装置を構成する為の上記出力側回転角センサ64に、上記操舵力補助装置66のトルク検出手段71を構成する為の回転角センサ(トーションバー68のステアリングホイール1側の回転角度を検出する為の回転角センサ)としての機能も併せ持たせている(回転角センサ64を共用している)。この為、使用する回転角センサが少なく済む面からも、ステアリングコラム14b全体として小型に構成できる。
そして、上記トーションバー68の弾性変形(捻れ)に伴う、上記出力軸10aと上記操舵力補助装置側出力軸67との間の相対回転量(相対変位量)を上記両センサ64、72により検出し、この相対回転量と相関関係を有する、上記出力軸10aに加わるトルクの方向と大きさとを算出自在としている。上記制御器は、この様に検出(算出)されるトルクの方向及び大きさと、他のセンサにより検出される車速等の他の状態量とに応じて、上記操舵力補助装置用電動モータ69に駆動の為の信号を送り、所定の方向に所定の大きさで補助動力を発生させる。尚、本例の場合は、上記トルク検出手段71を、舵角可変式ステアリング装置よりも車輪側に設けている為、この舵角可変式ステアリング装置を構成する電動モータ12bから付加されるトルク(付加トルク)も検出する事になる。この為、この付加トルクをキャンセルする為の演算機能を、上記制御器に持たせる事が好ましい。尚、この付加トルクによる上記トーションバー68の捩れの影響は、例えば上記電動モータ12bへの通電量に基づいて求める事ができる。
[実施の形態の第4例]
図9は、請求項1〜4、9に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、差動式の変速機として、遊星歯車式変速機73を用いている。即ち、本例の場合は、特許請求の範囲に記載した第一の回転軸に相当する入力軸9cと、同じく第二の回転軸に相当する出力軸10bと、同じく駆動部材に相当する回転筒11cと、同じく回転駆動手段に相当する電動モータ12bと、上記遊星歯車式変速機73とを備える。そして、上記回転筒11cを中空円筒状に形成すると共に、この回転筒11cの径方向内側に、上記入力軸9cをこの回転筒11cに対し相対回転自在に設けている。又、これと共に、上記電動モータ12bを構成するロータ39を上記回転筒11cの外周面に設けると共に、同じくステータ40を、特許請求の範囲に記載した固定の部材に相当するステアリングコラム14cの内側に支持する事により、これら電動モータ12bと回転筒11cとを互いに同心に設けている。
又、上記遊星歯車式変速機73は、太陽歯車74とこの太陽歯車74の周囲に配置したリング歯車75との間に設けられ、この太陽歯車74と同心に且つ回転自在に支持したキャリア76に回転自在に支持された複数の遊星歯車77、77を、上記太陽歯車74と上記リング歯車75とにそれぞれ噛合させて成る。又、このうちの太陽歯車74を上記入力軸9cに、上記リング歯車75を上記出力軸10bに、上記キャリア76を上記回転筒11cに、それぞれ結合させている。そして、このキャリア76と共に回転する回転筒11cの回転数若しくは回転角度を適宜調節する事により、上記太陽歯車74と共に回転する入力軸9cと上記リング歯車75と共に回転する出力軸10bとの回転速度比(相対角)を自由に変更できる様にしている。
この様な本例の場合も、上記回転筒11cの外周面に、振動を減衰する為の制振部材(振動減衰部材)36を設けている。この様な制振部材36は、前述した実施の形態の第1〜3例と同様のものとしている。
その他、舵角を変化させる作用は、前述した特許文献1に記載された従来構造と同様であり、振動を低減させる事に就いての構成及び作用は、前述した実施の形態の第1〜3例と同様である為、重複する説明は省略する。
本発明を実施する場合に、入力軸(第一の回転軸)と出力軸(第二の回転軸)とを、図示の実施の形態の各例の場合と逆にする事もできる。又、必要に応じて、駆動部材である回転筒の回転を強制的に停止させたままにする為のロック機構を設ける事もできる。
本発明の実施の形態の第1例を示す要部断面図。 一部を省略して示す、図1のA−A断面に相当する図。 本発明の実施の形態の第2例を示す要部断面図。 同第3例を示す断面図。 図4のB部拡大図。 図5のC−C断面に相当する図。 (a)は、第一のボール式変速機を構成する、入力軸側案内溝と偏心プレート入力側案内溝と複数個の入力側ボールとの関係を、(b)は、第二のボール式変速機を構成する、出力軸側案内溝と偏心プレート出力側案内溝と複数個の出力側ボールとの関係を、それぞれ図4〜5の左右方向から見た状態で示す模式図。 ステアリングホイールに加わるトルクを算出する為の模式図で、(a)は従来構造を、(b)は本発明に対応する構造を、それぞれ示している。 本発明の実施の形態の第4例を示す要部略断面図。 ステアリング装置の1例を示す部分切断側面図。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 自在継手
4 中間シャフト
5 ステアリングギヤ
6 入力軸
7 タイロッド
8 電動モータ
9、9a、9b、9c 入力軸
10、10a、10b 出力軸
11、11a、11b、11c 回転筒
12、12a、12b、12c 電動モータ
13 波動歯車式変速機
14、14a、14b、14c ステアリングコラム
15、15a 収納部
16 隔壁
17 転がり軸受
18 転がり軸受
19 転がり軸受
20 回転駆動軸
21a、21b プーリ
22 無端ベルト
23 ウェーブジェネレータ
24 第一のサーキュラスプライン
25 第二のサーキュラスプライン
26 フレクスプライン
27 鍔部
28 第二の鍔部
29 円筒部
30 滑り軸受
31 滑り軸受
32 皿板ばね
33 転がり軸受
34 入力側回転角センサ
35 制御用回転角センサ
36 制振部材
37 錘部材
38 弾性部材
39 ロータ
40 ステータ
41 大径部
42 第一のボール式変速機
43 第二のボール式変速機
44 転がり軸受
45 ハウジング
46 大径部
47 小径部
48 段付部
49 転がり軸受
50 偏心プレート
51 転がり軸受
52 取付フランジ部
53 駆動リング
54 突出軸部
55 転がり軸受
56 ナット
57 鍔部
58 入力軸側案内溝
59 偏心プレート入力側案内溝
60 入力側ボール
61 出力軸側案内溝
62 偏心プレート出力側案内溝
63 出力側ボール
64 出力側回転角センサ
65 出力先
66 操舵力補助装置
67 操舵力補助装置側出力軸
68 トーションバー
69 操舵力補助装置用電動モータ
70 操舵力補助装置用減速機
71 トルク検出手段
72 操舵力補助装置用回転角センサ
73 遊星歯車式変速機
74 太陽歯車
75 リング歯車
76 キャリア
77 遊星歯車

Claims (9)

  1. ステアリングホイールの回転に伴って回転する第一の回転軸と、この第一の回転軸と同心に設けられ、回転に伴って操舵輪に舵角を付与する第二の回転軸と、これら第一、第二両回転軸同士の間に設けられ、これら第一、第二両回転軸同士を互いに回転力の伝達を可能に接続する差動式の変速機と、この変速機を構成する回転要素と共に回転し、回転駆動手段により回転駆動される駆動部材とを備え、この駆動部材の回転に伴う上記回転要素の回転に基づき、上記第一の回転軸の回転量と第二の回転軸の回転量との関係を変化させる事により、上記ステアリングホイールの操舵量と上記舵角の変化量との関係を変化させる舵角可変式ステアリング装置に於いて、上記回転駆動手段を、固定の部材を介して支持すると共に、振動を減衰する為の制振部材を、上記駆動部材に設けた事を特徴とする舵角可変式ステアリング装置。
  2. 駆動部材は、中空状に形成されたもので、この駆動部材の径方向内側に、上記第一、第二両回転軸のうちの少なくとも一方の回転軸を、この駆動部材に対し相対回転自在に設けた、請求項1に記載した舵角可変式ステアリング装置。
  3. 回転駆動手段は電動モータであり、この電動モータを構成するロータを駆動部材の外周面に設けると共に、同じくステータをこのロータの周囲に位置する固定の部材の内側に支持する事により、これら電動モータと駆動部材とを互いに同心に設けた、請求項1〜2のうちの何れか1項に記載した舵角可変式ステアリング装置。
  4. 制振部材が、駆動部材に設けたマスダンパであり、このマスダンパは、所定の重量を有する錘部材を弾性部材を介して上記駆動部材に支持する事により構成したものである、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した舵角可変式ステアリング装置。
  5. 差動式の変速機はボール式変速機により構成したものであり、このボール式変速機は、互いに軸方向に対向する1対の面に、サイクロイド波形状又はトロコイド波形状の案内溝をそれぞれ形成した第一、第二両回転部材と、これら第一、第二両回転部材の案内溝同士の間に挟持された複数個のボールとから成るものであり、駆動部材と共に回転する回転要素を、上記第一、第二両回転部材のうちの一方の回転部材とした、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した舵角可変式ステアリング装置。
  6. 第一、第二両ボール式変速機を備え、このうちの第一のボール式変速機を構成する第一の回転部材は、第一の回転軸と共に回転するものであり、上記第一のボール式変速機を構成する第二の回転部材と上記第二のボール式変速機を構成する第一の回転部材とは、軸方向両側面にそれぞれ案内溝を形成した回転伝達部材により互いに一体に形成したものであり、上記第二のボール式変速機を構成する第二の回転部材は、第二の回転軸と共に回転するものであり、駆動部材の回転に基づき上記回転伝達部材を上記第一、第二両回転軸に対し偏心回転させ、この回転伝達部材の偏心回転に基づき、上記第一の回転軸の回転量と上記第二の回転軸の回転量との関係を変化させる、請求項5に記載した舵角可変式ステアリング装置。
  7. 差動式の変速機は波動歯車式変速機により構成したものであり、この波動歯車式変速機は、中心軸に対し直交する仮想平面に関する断面の形状が楕円の周面を有するウェーブジェネレータと、ピッチ円を真円とし、このウェーブジェネレータと径方向に重畳する状態で、このウェーブジェネレータと同心に設けられたサーキュラスプラインと、ピッチ円を上記ウェーブジェネレータの周面に倣った楕円とし、互いに対向する、このウェーブジェネレータの周面と上記サーキュラスプラインの周面との間に設けられ、これら両周面同士の径方向の隙間が最も小さくなる径方向反対側2個所位置で、上記サーキュラスプラインと噛合するフレクスプラインとを備え、上記隙間が最も小さくなる上記径方向反対側2個所位置が、上記ウェーブジェネレータの回転に基づき回転方向に順次変化する事で、上記サーキュラスプラインと上記フレクスプラインとの噛合位置がこの回転方向に連続的に変化するものであり、駆動部材と共に回転する回転要素を上記ウェーブジェネレータとした、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した舵角可変式ステアリング装置。
  8. 波動歯車式変速機は、第一の回転軸と共に回転する第一のサーキュラスプラインと、第二の回転軸と共に回転する第二のサーキュラスプラインと、これら第一、第二両サーキュラスプラインに噛合する1個のフレクスプラインとを備えたものであり、上記第一のサーキュラスプラインの歯数と第二のサーキュラスプラインの歯数とを異ならせる事により、ウェーブジェネレータの回転に伴う、上記第一のサーキュラスプラインの回転量と第二のサーキュラスプラインの回転量とを異ならせ、上記第一の回転軸の回転量と上記第二の回転軸の回転量との関係を変化させる、請求項7に記載した舵角可変式ステアリング装置。
  9. 差動式の変速機は遊星歯車式変速機により構成したものであり、この遊星歯車式変速機は、太陽歯車とこの太陽歯車の周囲に配置したリング歯車との間に設けられ、この太陽歯車と同心に且つ回転自在に支持したキャリアに回転自在に支持された遊星歯車を、上記太陽歯車と上記リング歯車とにそれぞれ噛合させて成るものであり、第一の回転軸と共に回転する回転要素を上記太陽歯車とすると共に、第二の回転軸と共に回転する回転要素を上記リング歯車とし、駆動部材と共に回転する回転要素を上記キャリアとした、請求項1〜4のうちの何れか1項に記載した舵角可変式ステアリング装置。
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