以下、本発明の実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置について、図面を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の構造を示す分解斜視図である。ガラス製の前面板21上には、1対の走査電極22と維持電極23とからなる表示電極対24を互いに平行に複数形成している。そして走査電極22と維持電極23とを覆うように誘電体層25を形成し、その誘電体層25上に保護層26を形成している。
また、保護層26は、放電セルにおける放電開始電圧を下げるために、パネルの材料として使用実績があり、ネオン(Ne)およびキセノン(Xe)ガスを封入した場合に2次電子放出係数が大きく耐久性に優れたMgOを主成分とする材料で形成している。
背面板31上にはデータ電極32を互いに平行に複数形成し、データ電極32を覆うように誘電体層33を形成し、さらにその上に井桁状の隔壁34を形成している。そして、隔壁34の側面および誘電体層33上には赤色(R)、緑色(G)および青色(B)の各色に発光する蛍光体層35を設けている。
これら前面板21と背面板31とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対24とデータ電極32とが立体交差するように対向配置し、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着している。そして、内部の放電空間には、ネオンとキセノンの混合ガスを放電ガスとして封入している。なお、本実施の形態では、発光効率を向上させるためにキセノン分圧を約10%とした放電ガスを用いている。放電空間は隔壁34によって複数の区画に仕切られており、表示電極対24とデータ電極32とが交差する部分に放電セルが形成されている。そして各放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線でR、GおよびBの各色の蛍光体を励起発光させることにより画像のカラー表示を行っている。
なお、パネル10の構造は上述したものに限られるわけではなく、例えばストライプ状の隔壁を備えたものであってもよい。また、放電ガスの混合比率も上述した数値に限られるわけではなく、その他の混合比率であってもよい。
図2は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向に長いn本の走査電極SC1〜SCn(図1の走査電極22)およびn本の維持電極SU1〜SUn(図1の維持電極23)が配列され、列方向に長い(3×m)本(以下、3×m=m’として略記する)のデータ電極D1〜Dm’(図1のデータ電極32)が配列されている。そして、1対の走査電極SCi(i=1〜n)および維持電極SUiと1つのデータ電極Dj(j=1〜m’)とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm’×n個形成されている。
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作の概要について説明する。本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置は、1フィールド期間を複数のサブフィールドに分割し、サブフィールド毎に各放電セルの発光・非発光を制御することによって階調表示を行う。
図3は、本発明の実施の形態1におけるサブフィールド構成を示す概略波形図である。なお、図3は、1フィールド期間の駆動波形の概略を示したものであり、駆動電圧波形の詳細は後述する。
本実施の形態では、1フィールド期間を複数のサブフィールド、例えば、1フィールドを10のサブフィールド(第1SF、第2SF、・・・、第10SF)に分割した上で、発光させるサブフィールドの組み合わせによって階調表示を行うサブフィールド法によりパネル10を駆動する。各サブフィールドは、それぞれ初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する。書込み期間では、後に続く維持期間において発光させるべき放電セルに選択的に書込みパルス電圧を印加して書込み放電を発生させ、選択的に壁電荷を形成する。そして、維持期間では、維持パルスを表示電極対24に交互に印加して、書込み放電を発生させた放電セルで維持放電を発生させ、対応する放電セルの蛍光体層35を発光させることにより画像表示を行う。
このサブフィールド法では、1フィールド期間内に生じさせる維持放電の回数が多いほど表示セル(画像の表示に用いる放電セルのこと)はより明るく発光しているように見えるという原理を利用し、維持期間における維持パルスのパルス数を制御して、表示画像の明るさを制御することができる。
例えば、1フィールドを構成する第1SFから第10SFまでの基準の維持パルス数(以下、「輝度重み」と呼称する)がそれぞれ(1、2、3、6、11、18、30、44、60、80)であれば、第1SFから第10SFまでの維持パルス数をそれぞれ2倍(以下、この維持パルス数に乗じる比例定数のことを「輝度倍率」と呼称する)の(2、4、6、12、22、36、60、88、120、160)にし、または輝度倍率3倍の(3、6、9、18、33、54、90、132、180、240)にすると、それぞれ発光輝度を2倍、3倍と変化させることができる。このように、本実施の形態では、輝度倍率を変化させることによって維持期間における発光の回数を制御し、画面の明るさを調整している。
なお、本実施の形態は、サブフィールド数や各サブフィールドの輝度重みが上記の値に限定されるものではなく、また、画像信号等にもとづいてサブフィールド構成を切換える構成であってもよい。
また、本実施の形態では、輝度倍率を、画像の平均的な明るさ(APL:Average Picture Level)に応じて変化させる構成としている。
図4は、本発明の実施の形態1におけるAPLと輝度倍率の関係を示す概略図である。
本実施の形態では、図4に示すように、APL100%の画像を表示するときの維持パルスの輝度倍率を1倍とし、APL20%以下の画像を表示するときの輝度倍率を5倍にし、APL100%の画像表示からAPL20%の画像表示に至るまで輝度倍率を1倍から5倍へと徐々に大きくしている。なお、本実施の形態では、このときの輝度倍率1倍から5倍までを120段階に分けて行っている。
このように、表示する画像のAPLが低くなるにつれて輝度倍率を大きくしているのは、APLが低い場合に輝度倍率を上げることで、暗い画像をより明るく表示することが可能となるからである。
また、APLが高い画像は全体的に輝度値の高い画像となるため、仮に輝度倍率を大きくしてピーク輝度を上げても全体的に明るくなるだけで画像のダイナミックさはそれほど大きくは変わらない。さらに、APLが高い画像でピーク輝度をさらに上げるとその分消費電力が増大するといった問題も生じる。一方、APLが低い画像では、全体的に輝度値が低くかったり、また、全体的に輝度値が低い中に一部輝度値の高い領域が存在するような画像であることが多いため、ピーク輝度を上げることで暗い部分と明るい部分との輝度差をさらに大きくすることができ、よりダイナミックな迫力のある画像を表示することが可能となる。
すなわち、図4に示すようにAPLに応じて輝度倍率を変化させることで、消費電力を抑えつつ、ダイナミックで迫力のある画像を表示することが可能となる。
なお、ここでは輝度倍率の最大値を5倍としているが、これは、輝度重みと維持パルスのパルス幅および維持期間に割り当てることのできる時間長との関係において上限値を定めているに過ぎず、何らこの数値に限定されるものではない。輝度倍率の最大値および輝度倍率とAPLとの関係は、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に応じて最適に設定すればよい。
次に、駆動電圧波形の詳細について説明する。図5は、本発明の実施の形態1におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。図5には、2つのサブフィールドの駆動電圧波形、すなわち全セル初期化動作を行うサブフィールドと、選択初期化動作を行うサブフィールドとを示している。また、以下における走査電極SCi、維持電極SUi、データ電極Dkは、各電極の中から画像データにもとづき選択された電極を表す。
まず、全セル初期化動作を行う第1SFについて説明する。
第1SFの初期化期間前半部では、データ電極D1〜Dm’、維持電極SU1〜SUnにそれぞれ0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下の電圧Vi1から、放電開始電圧を超える電圧Vi2に向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。
この傾斜波形電圧が上昇する間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dm’との間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極D1〜Dm’上部および維持電極SU1〜SUn上部には正の壁電圧が蓄積される。この電極上部の壁電圧とは、電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
初期化期間後半部では、維持電極SU1〜SUnには正の電圧Ve1を印加し、データ電極D1〜Dm’には0(V)を印加し、走査電極SC1〜SCnには、維持電極SU1〜SUnに対して放電開始電圧以下となる電圧Vi3から放電開始電圧を超える電圧Vi4に向かって緩やかに下降する傾斜波形電圧を印加する。この間に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUn、データ電極D1〜Dm’との間でそれぞれ微弱な初期化放電が持続して起こる。そして、走査電極SC1〜SCn上部の負の壁電圧および維持電極SU1〜SUn上部の正の壁電圧が弱められ、データ電極D1〜Dm’上部の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。こうして、全ての放電セルに対して初期化放電を行う全セル初期化動作が終了する。
なお、図5の第2SFの初期化期間に示したように、初期化期間の前半部を省略した駆動電圧波形を各電極に印加してもよい。この初期化動作では直前のサブフィールドの維持期間で維持放電を起こした放電セルでは微弱な初期化放電が発生し、直前のサブフィールドで維持放電を起こさなかった放電セルについては放電することはなく、前のサブフィールドの初期化期間終了時における壁電荷がそのまま保たれる。このように前半部を省略した初期化動作は、直前のサブフィールドの維持期間で維持動作を行った放電セルに対して初期化放電を行う選択初期化動作となる。また、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルに対して選択的に初期化放電を行うことで、階調表示に関係しない発光を極力減らしコントラスト比を向上させることができる。
続く書込み期間では、まず維持電極SU1〜SUnに電圧Ve2を、走査電極SC1〜SCnに電圧Vcを印加する。
そして、1行目の走査電極SC1に負の走査パルス電圧Vaを印加するとともに、データ電極D1〜Dm’のうち1行目に発光させるべき放電セルのデータ電極Dk(k=1〜m’)に正の書込みパルス電圧Vdを印加する。これにより、データ電極Dkと走査電極SC1との間に放電が発生し、この放電を引き金にして、データ電極Dkと交差する領域にある維持電極SU1と走査電極SC1との間に放電が発生する。こうして、発光させるべき放電セルに書込み放電が起こり、走査電極SC1上に正の壁電圧が蓄積され、維持電極SU1上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極Dk上にも負の壁電圧が蓄積される。
一方、書込みパルス電圧Vdを印加しなかったデータ電極D1〜Dm’と走査電極SC1との交差部には書込み放電は発生しない。以上の書込み動作をn行目の放電セルに至るまで行い、書込み期間が終了する。
続く維持期間では、まず走査電極SC1〜SCnに正の維持パルス電圧Vsを印加するとともに維持電極SU1〜SUnに0(V)を印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極SCiと維持電極SUiとの間に維持放電が起こり、このとき発生した紫外線により蛍光体層35が発光する。そして走査電極SCi上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極SUi上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極Dk上にも正の壁電圧が蓄積される。書込み期間において書込み放電が起きなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間の終了時における壁電圧が保たれる。
続いて、走査電極SC1〜SCnには0(V)を、維持電極SU1〜SUnには維持パルス電圧Vsをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは再び維持放電が起こり、維持電極SUi上に負の壁電圧が蓄積され走査電極SCi上に正の壁電圧が蓄積される。以降同様に、走査電極SC1〜SCnと維持電極SU1〜SUnとに交互に輝度重みに輝度倍率を乗じた数の維持パルスを印加し、表示電極対24の電極間に電位差を与えることにより、書込み期間において書込み放電を起こした放電セルで維持放電が継続して行われる。
そして、維持期間の最後には、走査電極SC1〜SCnに、0(V)から電圧Versに向かって緩やかに上昇する傾斜波形電圧を印加する。これにより、微弱な消去放電を持続して発生させ、データ電極Dk上の正の壁電圧を残したまま、走査電極SCiおよび維持電極SUi上の壁電圧の一部または全部を消去している。
続くサブフィールドの動作は、維持期間の維持パルスの数を除いて上述の動作とほぼ同様であるため説明を省略する。以上が、本実施の形態におけるパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形の概要である。
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置の構成について説明する。図6は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置の回路ブロック図である。プラズマディスプレイ装置1は、パネル10、画像信号処理回路41、データ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43、維持電極駆動回路44、タイミング発生回路45および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を備えている。
画像信号処理部である画像信号処理回路41は、入力された画像信号sigをパネル10の画素数に応じた画像データに変換する。例えば、プラズマディスプレイ装置1を通常の横置きで使用する場合には、画像信号処理回路41は、入力画像信号sigにもとづく画像データ(例えば、画像信号sigが、いわゆる525pのフォーマットであれば、行方向720画素×列方向480画素)からパネル10の表示画素数にもとづくマトリクス状の画像データ(例えば、行方向1920画素×列方向1080画素の画像データ)を生成する。また、本実施の形態においては、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにして使用することが可能であるが、プラズマディスプレイ装置1を縦置きで使用する場合には、画像信号処理回路41は、入力画像信号にもとづく画像データから所定の領域の画像データを一旦切り出し、切り出した画像データをパネル10の表示画素数に応じて拡大した後、拡大した画像データを90度回転させる。これら一連の処理の詳細は後述する。なお、R、G、Bの3つの放電セルで1つの表示画素が構成されるため、1つの画像データは、1つの表示画素を構成するR、G、B各放電セルのサブフィールド毎の発光・非発光に関する情報を有する。
また、画像信号処理回路41はAPL検出部47を有し、APL検出部47は、入力された映像信号の輝度値を1フィールド期間または1フレーム期間にわたって累積する等の一般に知られた手法を用いることによって画像の平均的な明るさを表すAPLを検出する。また、画像信号処理回路41は、検出されたAPLにもとづき図4に示した輝度倍率の算出を行う。
タイミング発生回路45は水平同期信号H、垂直同期信号Vおよび画像信号処理回路41から出力される輝度倍率をもとにして各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。
なお、本実施の形態においては、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにして使用することが可能であり、また、縦置きにしたプラズマディスプレイ装置1を3台並べて設置することで、1枚の画像を3分割して拡大表示するマルチ画面を構成することが可能である。そして、タイミング発生回路45は、プラズマディスプレイ装置1の設置方向に応じたタイミング信号をデータ電極駆動回路42、走査電極駆動回路43および維持電極駆動回路44に出力する。
データ電極駆動回路42はサブフィールド毎の画像データを各データ電極D1〜Dm’に対応する信号に変換し各データ電極D1〜Dm’を駆動する。
走査電極駆動回路43は、初期化期間において走査電極SC1〜SCnに印加する初期化波形電圧を発生するための初期化波形発生部(図示せず)、維持期間において走査電極SC1〜SCnに印加する維持パルスを発生するための維持パルス発生部(図示せず)、書込み期間において走査電極SC1〜SCnに印加する走査パルス電圧を発生するための走査パルス発生部(図示せず)を有し、タイミング信号にもとづいて各走査電極SC1〜SCnをそれぞれ駆動する。維持電極駆動回路44は、維持パルス発生部(図示せず)および電圧Ve1、電圧Ve2を発生するための回路を備え、タイミング信号にもとづいて維持電極SU1〜SUnを駆動する。
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置1を縦置きするときの構成について説明する。
図7は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置を縦置きにしたときの画像表示の一例を示す概略図である。なお、図7で横置きにしたパネル10に示した2本の破線は、画面を3分割にする構成を分かりやすく示すための補助線であり、実際の表示画面には表示されない。
図7に示すように、本実施の形態では、プラズマディスプレイ装置1を横置きにしたときに表示される通常の画像を列方向(図面中、縦方向)に3分割し、そのうちの1つ、例えば3分割した画像の中央の画像を、縦置きにしたプラズマディスプレイ装置1に拡大表示することができる。
上述したように、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにして使用する場合、縦置きされたプラズマディスプレイ装置1に表示するための画像として、撮影時にカメラを90度回転させる等して縦長にした画像をあらかじめ準備する必要があった。
しかし、本実施の形態では、通常の横長の画像を3分割し、そのうちの1つを抜き出して拡大表示することができるので、縦置き用として撮影された専用の画像だけでなく、図7に示すように、通常の横長の画像であっても縦置きしたプラズマディスプレイ装置1に表示して使用することができる。
図8は、本発明の実施の形態1における縦置きにしたプラズマディスプレイ装置を3台並べて設置したときの画像表示の一例を示す概略図である。
図8に示すように、本実施の形態では、縦置きにしたプラズマディスプレイ装置を3台並べて設置するとともに、横置きにしたときに表示される通常の画像を列方向(図面中、縦方向)に3分割し、それぞれの画像を、縦置きにした3台のプラズマディスプレイ装置1のそれぞれに拡大表示することも可能である。これにより、3台並べて縦置きしたプラズマディスプレイ装置で、1枚の画像を3分割して拡大表示するマルチ画面を構成することができる。
次に、本実施の形態におけるプラズマディスプレイ装置を縦置きにするときの動作について説明する。
図9は、本発明の実施の形態1におけるプラズマディスプレイ装置1の動作ステップの一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、設置者は、まず、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにするか横置きにするかを選択する(S1)。この設定は、例えば、プラズマディスプレイ装置1をリモート操作するために使用する、いわゆるリモートコントローラーを用いて行うことができ、より具体的な一例としては、リモートコントローラーを用いて、プラズマディスプレイ装置1の各種設定を行うメニュー画面から設置方向の選択を行う設置方向設定画面を開き、縦置きにするかどうかを設定することにより行うことができる(図示せず)。このとき、プラズマディスプレイ装置1における初期設定を横置きにしておくことで、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにするときだけこの設定を行えば済むようにもできる。
ステップS1において、横置きの設定がなされた(ステップS1でのNo)場合には、プラズマディスプレイ装置1は、入力画像信号をそのままパネル10に表示する通常動作を行う(S2)。
ステップS1において縦置きの設定がなされた(ステップS1でのYes)場合には、続いて、画像の切り出しを行うか否かの選択を行う(S3)。例えば、縦置きにされたプラズマディスプレイ装置1のために用意された縦長の専用画像を表示する場合には、画像の切り出しは行わず(ステップS3でのNo)、ステップS2に移って入力画像信号をそのままパネル10に表示する通常動作を行う。
ステップS3において画像の切り出しを行う選択がなされた(ステップS3でのYes)場合には、引き続き、図7に示した列方向に3分割した画像のうちの、どの画像をパネル10に表示するかの選択を行う(S4)。この設定は、例えば、ステップS1と同様にリモートコントローラーを用いて行うことができ、より具体的な一例としては、リモートコントローラーを用いて、プラズマディスプレイ装置1の各種設定を行うメニュー画面から表示画像の選択を行う表示画像選択画面を開き、例えば、「右、中央、左」と表示されたうちのいずれかを選択することにより行うことができる(図示せず)。このとき、プラズマディスプレイ装置1における初期設定を「中央」にしておけば、3分割された画像の右端または左端の画像を選択するときだけこの設定を行えば済むようにもできる。
続いて、プラズマディスプレイ装置1を単体で使用するのか、複数台(ここでは、3台)並べてマルチ画面を構成するのかの選択を行う(S5)。
続いて、入力画像信号sigにもとづき生成された画像データから、ステップS4において選択された画像に相当する画像データの切り出しを行い、パネル10の表示画素数に応じた拡大処理を行う。さらに、拡大処理された画像データの90度回転を行い、縦置きされたプラズマディスプレイ装置1の上下方向と、表示される画像の上下方向とをあわせる(S6)。この、画像データの切り出し、拡大および90度回転の一連の処理は、画像信号処理回路41が有する半導体記憶素子(例えば、RAM:Random Access Memory、図示せず)への画像データの書き込み/読み出しを制御することで行うことができるが、その詳細は後述する。なお、本実施の形態では、いわゆるRAM等の半導体記憶素子を用いて画像データの処理を行う構成を説明したが、例えば磁気記憶装置、光記憶装置等を用いる構成としてもよい。
続いて、目地のオン/オフの設定を行う(S7)。この目地とは、縦置きにしたプラズマディスプレイ装置1を3台並べてマルチ画面を構成するときに、隣接するプラズマディスプレイ装置1の継ぎ目(パネルの外枠等の画像を表示できない部分が互いに隣接するところ)にあたる画像のことを表す。図10は、本発明の実施の形態1における目地設定のオン/オフを説明するための概略図である。例えば、目地設定をオンにすると、図10の上図に示すように、隣接するプラズマディスプレイ装置1の継ぎ目にあたる画像を表示せず、これにより画像の一部に欠損が生じるが、マルチ画面における自然な画像表示を行うことができる。また、目地設定をオフにすると、図10の下図に示すように、隣接するプラズマディスプレイ装置1の継ぎ目にかかわらず、各プラズマディスプレイ装置1のそれぞれが割り当てられた分割画像の全てを表示し、これにより隣接するプラズマディスプレイ装置1の継ぎ目の部分で画像の間延びが生じるが、表示画像に欠損は生じない。
なお、目地設定がオンされるのはマルチ画面を構成したときのみと見なすこともできるので、ステップS7で目地設定がオンされたときは、ステップS5における設定を自動的にマルチ画面とするように構成してもかまわない。
続いて、表示画像の明るさやコントラスト、色合い、色の濃さ、あるいはエッジ強調等の画質調整を行う(図9のS8)。このとき、プラズマディスプレイ装置1を3台並べてマルチ画面を構成する場合には、3台のプラズマディスプレイ装置1で互いに表示画像の画質が揃うように調整する。
続いて、表示画像の表示位置や表示サイズに関する微調整を行い(図9のS9)、一連の処理は終了する。このとき、プラズマディスプレイ装置1を3台並べてマルチ画面を構成する場合には、3台のプラズマディスプレイ装置で互いに表示画像の位置が揃うように調整する。なお、ステップS8およびステップS9における各設定は、例えば、ステップS1と同様にリモートコントローラーを用い、プラズマディスプレイ装置1の各種設定を行うメニュー画面から表示画像の画質調整を行う設定画面、あるいは、表示画像の位置調整、サイズ調整を行う設定画面を開いて行うことができる。
なお、上述したリモートコントローラーを用いて行う各設定は、例えば、それらの処理を行うように記述されたプログラムをプラズマディスプレイ装置1に内臓されたマイクロコンピュータ(図示せず)上で動作させることで実現することができる。
また、上述したリモートコントローラーを用いて各設定を行う構成は単なる一例であって、必ずしもこの構成に限定されるものではなく、例えば、プラズマディスプレイ装置1が備えるスイッチ等を用いて行う構成であってもよい。
なお、上述の各ステップにおいて行った各設定は、その設定内容を上述のマイクロコンピュータが備える記憶装置(例えば、半導体記憶素子等。図示せず)に記憶させ、次回のプラズマディスプレイ装置1への電源投入時にその記憶内容を読み出して自動的に再設定するように構成することで、上述の一連の設定を繰り返す手間を省くことができる。
なお、ここには示していないが、ステップS1において縦置きの設定がなされた場合に、プラズマディスプレイ装置1の筐体内部の熱を放熱するためのファン(図示せず)の回転速度を制御するように構成することもできる。パネル10の駆動で生じる熱によってプラズマディスプレイ装置1の筐体内部に発生する対流は、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにしたときと横置きにしたときとで変化するため、ファンによる放熱の効果にも変化が生じる。しかし、設置方向に応じてファンの回転速度を制御することで放熱の効果を高めることが可能となる。
図11は、本発明の実施の形態1における画像信号処理回路41の内部構成の一例を示す回路ブロック図である。
画像信号処理回路41は、APL検出部47、設置方向選択部50、画像分割部51、表示画像選択部52、最大値検出部53、単体/マルチ設定部54、輝度倍率設定部57、表示画像切り出し部60、拡大部61、90度回転部62、変換部64、セレクター55、セレクター56、セレクター63および画像データを書き込み/読み出しするための半導体記憶素子(図示せず)を備えている。
設置方向選択部50は、プラズマディスプレイ装置1の各種設定を行うメニュー画面において設置方向設定画面を開き、設置者が、例えばリモートコントローラーを用いて、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにするのか、横置きにするのかを設定できるようにする。そして、設置者による設定結果にもとづき、セレクター56、セレクター63の切換えを行う。なお、設置方向選択部50における初期設定を横置きにしておけば、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにするときだけこの設定を行えばよい。
画像分割部51は、入力画像信号を列方向に3分割(図7の上図に示した、図面における縦方向への3分割のこと。ここでは、便宜上、3分割した画像をそれぞれ、「右画像」、「中央画像」、「左画像」と呼称する)する。
表示画像選択部52は、上述したメニュー画面において表示画像選択画面を開き、設置者が、例えばリモートコントローラーを用いて、表示画像を「右画像」にするのか、または「中央画像」にするのか、または「左画像」にするのかを設定できるようにする。そして、設置者による設定結果にもとづき、画像分割部51において分割された画像のうちの1つを選択する。なお、表示画像選択部52における初期設定を「中央画像」にしておけば、表示画像を「右画像」または「左画像」にするときだけこの設定を行えばよい。
APL検出部47は、画像分割部51において3分割された各画像のAPL、表示画像選択部52において選択された画像のAPL、および入力画像信号のAPLをそれぞれ検出する。なお、APL検出部47は、1つのAPL検出部47を時分割使用して各APLを検出するように構成してもよく、あるいは、必要な数だけAPL検出部47を設ける構成としてもよい。
最大値検出部53は、画像分割部51において3分割された各画像から検出されたAPLのうちの最大値を検出する。
単体/マルチ設定部54は、プラズマディスプレイ装置1の各種設定を行うメニュー画面において単体使用かマルチ画面構成かを設定する設定画面を開き、設置者が、例えばリモートコントローラーを用いて、プラズマディスプレイ装置1を単体で使用するのか、3台並べてマルチ画面を構成するのかを設定できるようにする。そして、設置者による設定結果にもとづき、セレクター55の切換えを行う。なお、単体/マルチ設定部54における初期設定を単体使用にしておけば、プラズマディスプレイ装置1を3台並べてマルチ画面を構成するときだけこの設定を行えばよい。
セレクター55は、単体/マルチ設定部54における設定結果にもとづき、後段への出力を切換える。具体的には、単体/マルチ設定部54においてプラズマディスプレイ装置1の単体使用が設定されたときは、表示画像選択部52において選択された画像から検出されたAPLを出力し、単体/マルチ設定部54においてマルチ画面の構成が設定されたときは、最大値検出部53において検出されたAPLを出力する。
セレクター56は、設置方向選択部50における設定結果にもとづき、後段、すなわち輝度倍率設定部57への出力を切換える。具体的には、設置方向選択部50においてプラズマディスプレイ装置1の横置きが設定されたときは、入力画像信号から検出されたAPLを出力し、設置方向選択部50においてプラズマディスプレイ装置1の縦置きが設定されたときは、セレクター55から出力されるAPLを出力する。
輝度倍率設定部57は、セレクター56から出力されるAPLにもとづき輝度倍率を算出する。この輝度倍率の算出には、例えば、あらかじめAPLと輝度倍率とを対応付けた変換表(例えば、図4に示した関係)を作成し、入力されたAPLにもとづきその変換表を参照するといった方法を用いることができる。
ここで、縦置きにした3台のプラズマディスプレイ装置1を用いてマルチ画面を構成するときに、表示される画像の明るさにもとづき輝度倍率を設定すると、画像によっては各プラズマディスプレイ装置1の輝度倍率が互いに異なる値となり、明るさにばらつきがでてしまう。あるいは、入力画像信号のAPLに応じて輝度倍率を算出し、各プラズマディスプレイ装置1を一様にその輝度倍率に設定すると、画像によっては(例えば、ウインドウパタン等の、APLは低いが一部が明るい画像)、表示画像が十分に明るい画像であるにもかかわらず、高い輝度倍率に設定されてしまうプラズマディスプレイ装置1が発生する。しかし、本実施の形態においては、上述した構成とすることで、マルチ画面を構成するときに、3分割された画像のうちの最も明るい画像にあわせて各プラズマディスプレイ装置1の輝度倍率が設定されるので、上述したような問題の発生を防止することができる。
続いて画像データの処理を行う回路ブロックを説明する。なお、画像データの処理を分かりやすく示すため、ここでは表示画像の概略図面を併用して説明する。図12は、本発明の実施の形態1における画像データの処理を概略的に示す図である。
表示画像切り出し部60は、入力画像信号にもとづく画像データから、表示画像選択部52において選択された画像、すなわち、「右画像」または「中央画像」または「左画像」のいずれかを切り出す(図12には、一例として、中央画像を切り出す様子を示す)。
拡大部61は、図12にも示すように、表示画像切り出し部60で切り出された画像データをパネル10の表示画素数に応じた画像データ(例えば、行方向1080画素×列方向1920画素の画像データ)に拡大する。
90度回転部62は、図12にも示すように、行方向に配列された画像データを列方向に、列方向に配列された画像データを行方向にそれぞれ再配列(例えば、行方向1920画素×列方向1080画素の画像データ)して画像データを90度回転する。これにより、表示画像を90度回転させることができる。
変換部64は、入力画像信号をパネル10の表示画素数に応じた画像データ(例えば、行方向1920画素×列方向1080画素の画像データ)に変換する。
セレクター63は、設置方向選択部50における設定結果にもとづき、出力画像データを切換える。具体的には、設置方向選択部50においてプラズマディスプレイ装置1の横置きが設定されたときは、変換部64から出力される画像データを出力し、設置方向選択部50においてプラズマディスプレイ装置1の縦置きが設定されたときは、90度回転部62から出力されるAPLを出力する。
なお、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにして使用する場合であっても、縦長の専用の画像を表示する場合には、表示画像の切り出し、拡大、90度回転は不要なので、設置方向選択部50は、セレクター56からは入力画像信号から検出されたAPLを出力させるように、セレクター63からは変換部64から出力される画像データを出力させるように構成しておくことが望ましい。
なお、上述した画像の切り出しや設置方向、単体使用/マルチ画面等に関する各設定は、上述したマイクロコンピュータ(図示せず)が備える記憶装置に記憶させ、次回のプラズマディスプレイ装置1への電源投入時にその記憶内容を読み出して自動設定するように構成することが望ましい。
なお、表示画像切り出し部60、拡大部61、90度回転部62における各処理は、一般にRAMと呼ばれる、アドレス制御により任意にデータの書き込み/読み出しができる半導体記憶素子(図示せず)を用いて行う(以下、画像信号の処理に用いるRAMを「画像メモリ」と略記する)。次に、画像データの切り出し、拡大、90度回転の各動作時における画像メモリの制御について説明する。
図13は、本発明の実施の形態1における1フレーム期間の画像信号と画像メモリへの書き込み範囲を示した概略図である。
図13に示すように、本実施の形態においては、入力画像信号の1水平同期期間における画素数をH_TOTAL、1垂直同期期間における水平同期期間数(以下、「ライン数」と呼称する)をV_TOTALとし、画像信号の有効表示領域(有効な画像情報が存在する領域のこと。図面中、白抜きで示す)にもとづき画像メモリに書き込む1水平同期期間の画素数Aおよび1垂直同期期間のライン数Bを決定する。
図14は、本発明の実施の形態1における有効表示領域における画像データの画像メモリへの書き込みを概略的に示す図である。
上述したように、本実施の形態においては、有効表示領域の1水平同期期間の画素数をA、1垂直同期期間のライン数をBとしているので、行方向(図面中、横方向)にA個、列方向(図面中、縦方向)にB個、すなわち、(1,1)から(A,B)までのA×B個のマトリクス状に配列された画像データが画像メモリに書き込まれる。
次に、入力画像信号にもとづく画像データを3分割し、表示画像選択部52において選択された画像、すなわち、「右画像」または「中央画像」または「左画像」のいずれかを切り出す動作について説明する。
図15は、本発明の実施の形態1における3分割して切り出した画像データの画像メモリへの書き込みを概略的に示す図である。なお、ここでは、一例として、「中央画像」を切り出す様子を示す。
例えば、表示画像選択部52において「中央画像」の切り出しが選択されると、画像メモリに書き込まれた(1,1)から(A,B)までのA×B個の画像データのうち、1行目の画像データとして、(A/3+1,1)から(2×A/3,1)までのA/3個の画像データが読み出され、画像メモリの他の領域または別の画像メモリに書き込まれる。続いて、2行目の画像データとして(A/3+1,2)から(2×A/3,2)までのA/3個の画像データが、同様にB行目の(A/3+1,B)から(2×A/3,B)に至るまでの画像データが順次読み出され、画像メモリの他の領域または別の画像メモリに書き込まれる。このようにして、入力画像信号にもとづく画像データのうち「中央画像」にあたる画像データが切り出される(図面中、斜線で示す領域)。また、表示画像選択部52において「右画像」または「左画像」が選択された場合にも、同様の動作で「右画像」または「左画像」にあたる画像データが切り出される。
次に、切り出した画像データをパネル10の表示画素数に応じた画像データに拡大する動作について説明する。
図16は、本発明の実施の形態1における切り出した画像データの拡大を概略的に示す図である。
本実施の形態では、図16に示すように、切り出した画像データ(ここでは、A/3画素×B画素)をパネル10の画素数(ここでは、n画素×m画素)にあわせて拡大する。したがって、行方向にはn×3/A倍の拡大を、列方向には、m/B倍の拡大を行う。
図17は、本発明の実施の形態1における切り出した画像データの行方向の拡大を概略的に示す図である。
図17に示すように、切り出した画像データをパネル10の画素数にあわせて行方向に拡大する場合、画像メモリから読み出した画像データをn×3/A倍にすればよいので、同一画像データを所定の回数(例えば、3〜4回)繰り返して読み出し、拡大率に応じた最適な補間フィルタ(例えば、LPF:Low Pass Filter等)をかける。こうして、隣接する画像データ間の変化を滑らかにし、かつ読み出したA/3個の画像データをn個の画像データに拡大することができる。
図18は、本発明の実施の形態1における切り出した画像データの列方向の拡大を概略的に示す図である。
図18に示すように、切り出した画像データをパネル10の画素数にあわせて列方向に拡大する場合、画像メモリから読み出した画像データのライン数をm/B倍にすればよいので、同一画像データをライン単位で所定の回数(例えば、3〜4回)繰り返して読み出し、拡大率に応じた最適な垂直補間フィルタ(例えば、LPF等)をかける。こうして、列方向に隣接する画像データ間の変化を滑らかにし、かつ読み出したB行の画像データをm行の画像データに拡大することができる。
図19は、本発明の実施の形態1における拡大された画像データの画像メモリへの書き込みを概略的に示す図である。
図18に示したように、A×Bの画像データから切り出されたA/3×Bの画像データは、パネル10の画素数にあわせて拡大され、(1,1)から(n,m)までのn×m個の画像データとなって、画像メモリに書き込まれる。
次に、パネル10の画素数にあわせて拡大した画像データを90度回転させる動作について説明する。
図20は、本発明の実施の形態1における拡大した画像データの90度回転を概略的に示す図である。
本実施の形態では、図20に示すように、パネル10の画素数にあわせて拡大した画像データ(ここでは、n画素×m画素)を、行方向に配列された画像データを列方向に、列方向に配列された画像データを行方向にそれぞれ再配列し、画像データを90度回転させる。
図21は、本発明の実施の形態1における拡大した画像データの画像メモリへの書き込みを概略的に示す図であり、図22は、本発明の実施の形態1における拡大した画像データの画像メモリからの読み出しを概略的に示す図であり、図23は、本発明の実施の形態1における90度回転させた画像データを概略的に示す図である。
本実施の形態では、図21に示すように、パネル10の画素数にあわせて拡大した画像データ(ここでは、n画素×m画素)を、1行目の(1,1)〜(n,1)からm行目の(1,m)〜(n,m)に至るまで、図面中、矢印で示すように順次画像メモリに書き込む。具体的には、1行目の最初の列(1,1)の画像データから最終列(n,1)の画像データまでを順次書き込んだ後、続いて2行目の画像データを同様の順番で書き込み、以降3行目からm行目までの画像データを同様の順番で順次書き込んでいく。
続いて、本実施の形態では、図22に示すように、画像メモリに書き込まれた画像データを、1列目の(1,m)〜(1,1)からn列目の(n,m)〜(n,1)に至るまで、図面中、矢印で示すように、順次画像メモリから読み出す。具体的には、1列目の最終行(1,m)の画像データから1行目(1,1)の画像データまで順次読み出した後、続いて2列目の画像データを同様の順番、すなわち最終行から1行目に向かって読み出し、以降3列目からn列目までの画像データを同様の順番で順次読み出していく。
こうして、パネル10の画素数にあわせて拡大したm行n列の画像データは、図23に示すように、n行m列の画像データに変換され、これにより、表示画像を90度回転させることができる。
なお、本実施の形態では、マルチ画面において目地設定をオンしたときに、画像メモリへの書き込み範囲を制限することで、画像の非表示領域を設定し、隣接するプラズマディスプレイ装置1の継ぎ目にあたる画像を表示しないようにしている。
図24は、本発明の実施の形態1における目地設定をオンしたときの画像データの画像メモリへの書き込み範囲を概略的に示す図である。なお、ここでは、画像メモリに書き込む範囲を斜線で示し、画像メモリに書き込まない領域は白抜きで示す。
本実施の形態では、目地設定をオンしたときに、画像メモリに書き込まない領域を、3分割した画像の境界線からそれぞれ均一の幅でとるのではなく、図24に示すように、「左画像」と「中央画像」との境界においては2:1の比率で、「中央画像」と「右画像」との境界においては1:2の比率でとっている。
仮に、画像メモリに書き込まない領域を、3分割した画像の境界線からそれぞれ均一の幅で設定して画像の非表示領域を設定すると、例えば、画像を分割するときの境界線から所定の幅で設定される画像の非表示領域における画像のデータ量をQとした場合、「左画像」および「右画像」における非表示領域の画像データ量はQであるのに対し、「中央画像」における非表示領域の画像データ量は2Qとなってしまい、その分、表示する画像データ量が少なくなってしまう。また、非表示領域の画像データ量の差をあらかじめ見込んで境界線の位置を設定すると、目地設定をオフしたときに、「左画像」および「右画像」と「中央画像」とで、表示する画像データ量に差が発生してしまう。あるいは、表示する画像データ量を等しくするために、目地設定のオン時とオフ時とで、境界線の位置を移動させなければならなくなる。
しかし、本実施の形態では、図24に示すように、「左画像」と「中央画像」との境界においては2:1の比率で、「中央画像」と「右画像」との境界においては1:2の比率で画像メモリに書き込まない領域を設けて画像の非表示領域を設定しているので、画像を3分割する際の境界線の位置を目地設定によって移動させることなく、かつ、目地設定のオン/オフによらずに、「中央画像」、「右画像」、「左画像」のそれぞれで画像メモリへの書き込み範囲(図面中、横方向の幅)を互いに等しくすることが可能となる。すなわち、3台のプラズマディスプレイ装置を並べてマルチ画面を構成し、かつ目地設定をオンしたときに、左端のプラズマディスプレイ装置、右端のプラズマディスプレイ装置および中央のプラズマディスプレイ装置のそれぞれで、画像メモリに書き込む画像データの書き込み範囲を互いに等しくすることができ、マルチ画面を構成する各プラズマディスプレイ装置間で、表示する画像の画像データ量を互いに等しくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態では、通常の画像信号を3分割して切り出し、切り出した画像データをパネル10の画素数に応じて拡大して90度回転させることにより、プラズマディスプレイ装置1を縦置きにして使用する場合に、アスペクト比を縦長にした専用の画像だけでなく通常の横長の画像をも使用することが可能となる。さらに、設置方向の設定や表示画像の選択、目地設定のオン/オフ等の各設定をリモートコントローラーを用いて行えるので、プラズマディスプレイ装置1を縦置きする際の各設定を容易に行うことができる。さらに、縦置きしたプラズマディスプレイ装置1を3台並べることで容易にマルチ画面を構成することができ、また、各プラズマディスプレイ装置1の輝度倍率を、表示画像の最も明るいプラズマディスプレイ装置1における輝度倍率にあわせることができるので、画面の明るさにばらつきがでることを防止することが可能となる。
なお、本実施の形態では、画像分割部51において入力画像信号を列方向に3分割し、3台のプラズマディスプレイ装置により3画面のマルチ画面を構成する例を説明した。このように画像を3分割する構成では、画像の中央部分に位置し、視聴者の注視部分を表示する頻度が比較的多いと思われる「中央画像」を、縦置きした1台のプラズマディスプレイ装置に表示することができ、また、マルチ画面構成時には、画面の中央部分にプラズマディスプレイ装置間の継ぎ目や、目地による欠損が発生しないという利点がある。しかし、本発明は、何らこの構成に限定されるものではなく、1画面をさらに多くの領域に分割し、より大きなマルチ画面を構成する構成としてもよい。例えば、1画面を列方向にN分割、行方向にM分割の、N×Mの領域に分割し、N×M台のプラズマディスプレイ装置を用いてN×M画面のマルチ画面を構成することもできる。なお、この場合は、各領域の画素数は、行方向の画素数がA/N画素、列方向の画素数がB/M画素となるので、分割した画像データを行方向にn×N/A倍、列方向にm×M/B倍し、行方向にn画素、列方向にm画素の画像データに拡大する。
図25は、本発明の実施の形態1におけるマルチ画面構成の他の例を示した図である。例えば、図25の上図に示すように、入力画像信号を12分割し、分割した各画像を図25の下図に示すように12台のプラズマディスプレイ装置でそれぞれ表示することにより12画面のマルチ画面を構成することもできる。このような構成であっても、上述の3分割時と同様に、アスペクト比を16:9に近い値に保ったまま、マルチ画面を構成することができる。なお、この場合は、1画面を列方向に6分割、行方向に2分割にするので、各領域の画素数は、行方向の画素数がA/6画素、列方向の画素数がB/2画素となる。したがって、この画像データを画像メモリに書き込んだ後、行方向にn×6/A倍、列方向にm×2/B倍になるように各画像データをそれぞれ所定回数繰り返して画像メモリから読み出すとともに読み出した画像データに補間フィルタをかけることで、行方向にn画素、列方向にm画素の画像データに拡大する。さらに、行方向に配列された画像データを列方向に、列方向に配列された画像データを行方向にそれぞれ再配列することで表示画像を90度回転させることができ、縦置きにしたパネルに表示することができる。
なお、本実施の形態では、図22に示したように、画像メモリに書き込まれた画像データを、1列目の最終行(1,m)の画像データから1行目(1,1)の画像データまで順次読み出した後、続いて2列目の画像データを同様の順番、すなわち最終行から1行目に向かって読み出し、以降3列目からn列目までの画像データも同様の順番で順次読み出していく構成を説明した。これにより、図23に示したように、(図面における)左の辺が、(図面における)上の辺になるように画像データを90度回転させることができる。この場合、プラズマディスプレイ装置1を設置するときには、図12に示したように、パネル10の(図面における)左端が(図面における)下側になるように縦置きすることで、画像の上下の向きが正常になる。
しかし、画像メモリに書き込まれた画像データの読み出しの順番を変えることで、パネル10の(図面における)右端が(図面における)下側になるようにプラズマディスプレイ装置1を縦置きしたときに画像の上下の向きが正常になるように、画像データを90度回転させることも可能である。図26は、本発明の実施の形態1における画像データの画像メモリからの読み出しの他の例を概略的に示す図であり、図27は、本発明の実施の形態1における90度回転させた画像データの他の例を概略的に示す図である。例えば、図26に示すように、n列目の1行目(n,1)の画像データから最終行(n,m)の画像データまで順次読み出した後、続いて(n−1)列目の画像データを同様の順番、すなわち1行目から最終行に向かって読み出し、以降(n−2)列目から1列目までの画像データを同様の順番で順次読み出していく。こうすることで、図27に示すように、(図面における)右の辺が、(図面における)上の辺になるように画像データを90度回転させることができる。そして、この場合には、プラズマディスプレイ装置1を設置するときに、パネル10の右端が下側になるように縦置きすることで、画像の上下の向きが正常になる(図示せず)。
なお、本実施の形態では、図24に示すように、目地設定をオンしたときに、「左画像」と「中央画像」との境界においては2:1の比率で、「中央画像」と「右画像」との境界においては1:2の比率で、画像メモリに書き込まない領域を設ける構成を説明した。しかし、画像メモリに書き込まない領域を設ける代わりに、選択された画像領域の全画像データを一旦画像メモリに書き込み、画像メモリから画像データを読み出す際に、上述の画像メモリに書き込まない領域に相当する領域を読み出さないようにすることで、同様の効果を得ることができる。また、目地設定をオンしたときの、画像メモリに書き込まない領域または画像メモリから読み出さない領域に関する構成は、1画面を3分割する構成に限定されるものではなく、1画面を3つ以上の領域に分割する構成において有効である。
(実施の形態2)
近年、画像のさらなる高精細化にともない、単位時間に処理しなければならない信号の量も飛躍的に増大してきている。そのため、画像信号の処理に、例えば数百MHzといった、周波数の非常に高いクロック信号(信号処理をデジタル的に行う際に、各処理回路の動作において同期を取るために用いる矩形波形信号のこと)を用いなければならなくなってきている。しかしながら、クロック信号の周波数が高くなると、信号処理の際に発生する熱や、消費電力を増大させるといった問題が発生するため、できるだけ低い周波数のクロック信号で信号処理が行えるように回路を構成することが望ましい。
そこで、実施の形態2では、画像データを90度回転させる際に、複数の画像メモリを用いて画像データの処理を行い、その処理に用いるクロック信号の周波数を下げる構成について説明する。
図28、図29、図30は、本発明の実施の形態2における画像データを90度回転させる際の画像メモリの動作を示す概略図である。
なお、図28、図29、図30では、画像データの処理の様子を分かりやすく示すために、奇数列の画像データに網掛けをしている。また、本実施の形態では、2つの画像メモリ、すなわち第1の画像メモリと第2の画像メモリとを用いる構成を説明するが、図28では、第1の画像メモリ、第2の画像メモリともに、1行目の領域のみを示している。また、A×Bの画像データから切り出されたA/3×Bの画像データをパネル10の画素数にあわせて(1,1)から(n,m)までのn×m個の画像データに拡大するまでの一連の処理は、実施の形態1において図19までに示した一連の処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、本実施の形態では、画像データを処理するために用いる基本のクロック信号の周波数を「CK1」と表す。そして、以下の説明においては、基本のクロック信号よりも周波数を低く(ここでは、CK1の約1/2に)設定し、90度回転のための画像メモリの制御に用いるクロック信号の周波数を「CK2」と表す。
本実施の形態では、容量は比較的大きいが周波数の低いクロック信号で書き込み、読み出しを行う第1の画像メモリ、第2の画像メモリと、画像メモリへの書き込みまたは読み出しの際の一時的なデータ保存に用い、周波数の高いクロック信号で書き込み、読み出しができるが比較的容量の少ないバッファメモリとを用いて、画像データの90度回転を行う構成を説明する。具体的には、第1の画像メモリ、第2の画像メモリは、周波数CK2のクロック信号で書き込み/読み出しを行い、少なくとも画像データの1/2の容量を持つものとする。また、バッファメモリは、周波数CKのクロック信号で書き込み/読み出しを行い、少なくとも画像データの1行分(n画素分)の容量を持つものとし、ここでは、それを2つ用いるものとする。
まず、パネル10の画素数にあわせて(1,1)から(n,m)までのm行n列に拡大された画像データのうち、1行目の(1,1)から(n,1)までの画像データをひとつ目のバッファメモリに書き込む。引き続き、2行目の(1,2)から(n,2)までの画像データをふたつ目のバッファメモリに書き込む。これらの処理には、周波数CKのクロック信号を用いる。
次に、ひとつ目のバッファメモリに書き込まれた(1,1)から(n,1)までの画像データを読み出し、第1の画像メモリに書き込む。このとき、同時に、ふたつ目のバッファメモリに書き込まれた(1,2)から(n,2)までの画像データを読み出し、第2の画像メモリに書き込む。これらの処理には、周波数をCK2にしたクロック信号を用いているため、ひとつ目のバッファメモリに書き込まれた(1,1)から(n,1)までの画像データを第1の画像メモリに書き込んでしまうまでの時間(以下、この時間の長さを「T」と略記する)は、(1,1)から(n,1)までの画像データをひとつ目のバッファメモリに書き込んでしまうまでの時間の約2倍、すなわち約2Tの時間がかかる。
しかし、ひとつ目のバッファメモリに書き込まれた(1,1)から(n,1)までの画像データを第1の画像メモリに書き込む動作と、ふたつ目のバッファメモリに書き込まれた(1,2)から(n,2)までの画像データを第2の画像メモリに書き込む動作とを同時に行っているので、(1,1)から(n,2)までの画像データを第1の画像メモリおよび第2の画像メモリのそれぞれに書き込む動作を、実質的に約2Tの時間で終了させることができる。
一方、(1,1)から(n,1)までの画像データをひとつ目のバッファメモリに書き込んだ後、(1,2)から(n,2)までの画像データをふたつ目のバッファメモリに書き込むまでの時間も約2Tであるので、一連の処理に必要な一定の遅延は発生するが、その遅延を増大させることなく、周波数CK2のクロック信号で、(1,1)から(n,2)までの画像データを第1の画像メモリおよび第2の画像メモリに書き込むことができる。
以上の動作を順次行い、m行目までの画像データを第1の画像メモリおよび第2の画像メモリに書き込む。これにより、図29に示すように、第1の画像メモリには奇数行の画像データが、第2の画像メモリには偶数行の画像データが書き込まれる。
次に、図29に矢印で示すように、第1の画像メモリに書き込まれた画像データを、1列目の最終行(1,m−1)の画像データから1行目(1,1)の画像データまで順次読み出す。それとほぼ同時に、第2の画像メモリに書き込まれた画像データを、1列目の最終行(1,m)の画像データから1行目(1,2)の画像データまで順次読み出す。これらの処理は、周波数をCK2にしたクロック信号を用いて行っている。
そして、図29に示すように、第1の画像メモリから読み出した画像データと第2の画像メモリから読み出した画像データとを、例えば、周波数CKのクロック信号で切換え動作が可能な2入力1出力のセレクター等を用いて、合成する。このとき、第2の画像メモリから読み出された画像データが先にセレクターから出力されるように調整する。
これらの処理を、図30に示すように、2列目からn列目まで同様の順番で順次行っていく。これにより、m行n列の画像データを、図23に示したものと同様の、n行m列の画像データに変換することができ、表示画像を90度回転させることができる。
具体的な一例としては、例えば、本実施の形態では、1080iと呼ばれる高精細な画像信号を処理する際には、周波数CKを約300MHzにしたクロック信号を基本のクロック信号として用いている。これは、74.25MHzのデジタル信号を、いわゆるI/P変換(インターレース方式の信号をプログレッシブ方式の信号に変換すること)により148.5MHzのデジタル信号にし、この148.5MHzのデジタル信号を処理するために、基本のクロック信号の周波数を、148.5MHzの2倍にしているためである。そして、本実施の形態においては、上述した構成とすることで、周波数CK2を、周波数CKの約1/2の約162MHzにしたクロック信号を用いて、第1の画像メモリ、第2の画像メモリにおける書き込み/読み出しを行っている。
なお、本実施の形態では、第1の画像メモリおよび第2の画像メモリへの書き込み時にバッファメモリを用いる構成を説明したが、第1の画像メモリおよび第2の画像メモリからの読み出し時にバッファメモリを用いる構成とすることもできる。
図31、図32は、本発明の実施の形態2における画像データを90度回転させる際の画像メモリの動作の他の例を示す概略図である。
なお、図31、図32では、画像データの処理の様子を分かりやすく示すために、奇数列の画像データに網掛けをしている。
まず、パネル10の画素数にあわせて(1,1)から(n,m)まで拡大された画像データのうち、1行目の1列目(1,1)の画像データを第1の画像メモリに書き込む。次に、1行目の2列目(1,2)の画像データを第2の画像メモリに書き込む。続いて、1行目の3列目(1,3)の画像データを第1の画像メモリに書き込み、次に、1行目の4列目(1,4)の画像データを第2の画像メモリに書き込む。このように、奇数列の画像データを第1の画像メモリに書き込み、偶数列の画像データを第2の画像メモリに書き込んでいく。
このとき、この処理には、周波数をCK2にしたクロック信号を用いる。そのため、ひとつの画像データを画像メモリに書き込むのに必要な時間は、周波数CKのクロックの約2クロック分、すなわち、元の画像データの約2画素分の処理時間に相当するが、奇数列の画像データと偶数列の画像データとを第1の画像メモリと第2の画像メモリとに交互に書き込んでいるため、一連の処理に必要な一定の遅延は発生するが、その遅延を増大させることなく、周波数CK2のクロック信号で、画像データを第1の画像メモリおよび第2の画像メモリに書き込んでいくことができる。
次に、図32に矢印で示すように、第1の画像メモリに書き込まれた画像データを、1列目の最終行(1,m)の画像データから1行目(1,1)の画像データまで順次読み出し、ひとつ目のバッファメモリに書き込む。それとほぼ同時に、第2の画像メモリに書き込まれた画像データを、1列目の最終行(2,m)の画像データから1行目(2,1)の画像データまで順次読み出し、ふたつ目のバッファメモリに書き込む。このとき、この処理には、周波数をCK2にしたクロック信号を用いる。
次に、ひとつ目のバッファメモリに書き込まれた画像データを順次読み出し、読み出しが終了した後、引き続きふたつ目のバッファメモリに書き込まれた画像データを順次読み出す。このとき、この処理には、周波数をCKにしたクロック信号を用いる。
ここで、画像メモリに書き込まれた画像データを順次読み出し、バッファメモリに書き込む動作にかかる時間、すなわち、周波数をCK2にしたクロック信号を用い、1列分の画像データをバッファメモリに書き込んでしまうまでの時間を2T’とする。
このとき、第1の画像メモリ書き込まれた画像データを順次読み出し、ひとつ目のバッファメモリに書き込む動作と、第2の画像メモリ書き込まれた画像データを順次読み出し、ふたつ目のバッファメモリに書き込む動作とを同時に行っているので、2列分の画像データをバッファメモリに書き込んでしまう動作を実質的に2T’の時間で終了させることができる。
一方、ひとつ目のバッファメモリに書き込んだ画像データを周波数CKのクロック信号で読み出す時間は、2T’の約半分、すなわち、約T’なので、ひとつ目のバッファメモリに書き込んだ画像データを周波数CKのクロック信号で読み出した後、ふたつ目のバッファメモリに書き込んだ画像データを周波数CKのクロック信号で読み出すまでの時間は約2T’となり、一連の処理に必要な一定の遅延は発生するが、その遅延を増大させることなく、処理を進めることができる。
これらの処理を、図32に示すように、第1の画像メモリ、第2の画像メモリともに2列目から最終列まで同様の順番で順次行っていく。これにより、m行n列の画像データを、図23に示したものと同様の、n行m列の画像データに変換することができ、表示画像を90度回転させることができる。
以上、説明したように、本実施の形態によれば、第1の画像メモリ、第2の画像メモリおよびバッファメモリを用いることで、一連の処理に必要な一定の遅延は発生するが、その遅延を増大させることなく、周波数CK2のクロック信号で、画像データの90度回転を行うことができる。
なお、上述した各動作は、処理に破綻を生じない範囲で各動作を並列に行う構成、例えば、バッファメモリに書き込みを行いながら同時に読み出しを行う等の構成としてもよい。
なお、本実施の形態では、少なくとも画像データの1行分(n画素分)の容量を持つバッファメモリを2つ用いる構成を説明したが、少なくとも画像データの2行分(2×n画素分)の容量をもち、同時に2つのデータを読み出しまたは書き込みできるものをバッファメモリとして用いることもできる。また、データの書き込み処理をデータの読み出し処理が追い越さないように、書き込み/読み出しを制御すれば、必ずしもバッファメモリの容量を画像データの2行分(2×n画素分)の容量にする必要はなく、画像データの2行分(2×n画素分)よりも少ない容量のバッファメモリで上述と同様の処理を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、上述と同様の手法を用いることで、3個以上の画像メモリおよび画像メモリと同数のバッファメモリを用い、使用するクロック信号の周波数をさらに低くすることも可能である。ただし、制御のしやすさ等の観点から、用いる画像メモリは偶数個とすることが望ましい。
なお、本発明の実施の形態における、選択画像の切り出し、拡大、90度回転に関する構成は、実施の形態1の図12に示した順番に何ら限定されるものではなく、同様の効果が得られる範囲で、どのような順番で実施されてもよい。
なお、本発明の実施の形態では、画像メモリにRAMを用いる構成を説明したが、例えば、いわゆるFIFO(First In First Out)等の半導体記憶素子を用いることも可能である。また、半導体記憶素子に何ら限定されるものではなく、任意に書き込み/読み出しが可能な磁気記憶装置や光記憶装置等を用いる構成であってもよい。
なお、本発明の実施の形態において説明した各動作は、各動作を実行する専用のLSIを用いて行ってもよく、同様の動作をするように記述されたプログラムをマイクロコンピュータで実行させるようにしてもよい。あるいは、専用のLSIとマイクロコンピュータとを共同させるように構成してもよい。
なお、本発明の実施の形態において示した具体的な各数値は、実験に用いた表示電極対数1080対の50インチのパネルにもとづき設定したものであって、単に実施の形態の一例を示したものに過ぎない。本発明はこれらの数値に何ら限定されるものではなく、パネルの特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に応じて最適な値に設定することが望ましい。また、これらの各数値は、上述した効果を得られる範囲でのばらつきを許容するものとする。