JP2009037253A - 平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)水に不溶かつアルカリ水溶液に可溶なポリウレタン樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)光熱変換剤、及び、(D)(C)光熱変換剤が吸収する事できる波長の光のヒートモード露光によりラジカルを生成する化合物を含有し、ヒートモード露光により画像記録可能であることを特徴とする。(A)ポリウレタン樹脂は、下記一般式(2)で表されるジイソシアネート化合物と一般式(3)で表されるジオール化合物との反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするものが好ましい。
OCN−X0−NCO (2)
HO−Y0−OH (3)
【選択図】なし
Description
前述の赤外線領域に発光領域を持つ赤外線レーザーを露光光源として使用する、赤外線レーザ用ネガ型平版印刷版材料は、赤外線吸収剤と、光又は熱によりラジカルを発生する重合開始剤と、重合性化合物とを含む感光層を有する平版印刷版材料である。
このような光又は熱による重合系の記録層を有する印刷版としては、特開平8−108621号、特開平9−34110号の各公報に記載されるような光重合性或いは熱重合性組成物を感光層として用いる技術が知られている。これらの感光層は高感度画像形成性に優れているものの、支持体として、親水化処理された基板を用いた場合、感光層と支持体との界面における密着性が低く、耐刷性に劣るという問題があった。
また、感度を向上させるため、高出力の赤外線レーザを用いることも検討されているが、レーザー走査時に感光層のアブレーションが発生し光学系を汚染するといった問題もあった。
即ち、本発明のヒートモード対応ネガ型平版印刷版原版は、支持体上に、(A)カルボキシル基を有し、水に不溶かつアルカリ水溶液に可溶なポリウレタン樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料である光熱変換剤、(D)(C)光熱変換剤が吸収する事ができる波長の光のヒートモード露光によりラジカルを生成する化合物、および(E)(C)とは異なる着色剤を含有し、ヒートモード露光により画像記録可能な感光層を備えることを特徴とする。
無論、フォントモード露光では後続反応種の拡散の影響で似た様な現象が起こる場合もあるが基本的には、このようなことは起こらない。
即ち、感光材料の特性として見た場合、フォントモードでは露光パワー密度(w/cm2)(=単位時間当たりのエネルギー密度)に対し感光材料の固有感度(画像形成に必要な反応のためのエネルギー量)は一定となるが、ヒートモードでは露光パワー密度に対し感光材料の固有感度が上昇することになる。従って、実際に画像記録材料として実用上、必要な生産性を維持できる程度の露光時間を固定すると、各モードを比較した場合、フォントモード露光では通常は約0.1mJ/cm2程度の高感度化が達成できるもののどんな少ない露光量でも反応が起こるため、未露光部での低露光カブリの問題が生じ易い。これに対し、ヒートモード露光ではある一定以上の露光量でないと反応が起こらず、また感光材料の熱安定性との関係から通常は50mJ/cm2程度が必要となるが、低露光カブリの問題が回避される。
そして、事実上ヒートモード露光では感光材料の版面での露光パワー密度が5000w/cm2以上が必要であり、好ましくは10000w/cm2以上が必要となる。但し、ここでは詳しく述べなかったが5.0×105/cm2以上の高パワー密度レーザーを利用するとアブレーションが起こり、光源を汚す等の問題から好ましくない。
また、ポリウレタン樹脂は、被膜形成性に優れるため、塗膜形成後の膜中溶存酸素量が低く、更に外部からの酸素遮断性が高いため、ラジカル重合性化合物の酸素による重合阻害が抑制される。そのため、重合により高硬化度な皮膜となるため、平版印刷版原版の感光層に使用した場合、形成された画像部は充分に硬化されており、高耐刷な印刷版を形成することができる。
さらに、本発明に用いられるポリウレタン樹脂は極性基であるウレタン基を主鎖に、且つカルボキシル基を有するため、例えば水のような高極性の媒体に対しての親和性に優れる。そのため、通常、画像記録材料に使用されるアルカリ可溶性樹脂であるアクリル樹脂等と比較し、水分散性に優れ、平版印刷版原版に使用した場合、ランニング適性上問題となる現像カスが発生しにくいという利点をも有する。
本発明のネガ型平版印刷版原版は、支持体上に、(A)カルボキシル基を有し、水に不溶かつアルカリ水溶液に可溶なポリウレタン樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料である光熱変換剤、(D)(C)光熱変換剤が吸収する事ができる波長の光のヒートモード露光によりラジカルを生成する化合物、および(E)(C)とは異なる着色剤を含有し、ヒートモード露光により画像記録可能な感光層を備えることを特徴とする。以下に、本発明の平版印刷版原版に使用しうる各化合物について、順次説明する。
本発明のヒートモード対応ネガ型平版印刷版原版の感光層に必須成分として使用される特定ポリウレタン樹脂は、下記一般式(2)で表されるジイソシアネート化合物の少なくとも1種と一般式(3)で表されるジオール化合物の少なくとも1種との反応生成物で表される構造単位を基本骨格とするポリウレタン樹脂である。
HO−Y0−OH (3)
(式中、X0、Y0は2価の有機残基を表す。)
前記一般式(4)で示されるジイソシアネート化合物としては、具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートの二量体、2,6−トリレンジレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル −4,4’−ジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート化合物;
ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等のような脂肪族ジイソシアネート化合物;
イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4(または2,6)ジイソシアネート、1,3−(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等のような脂環族ジイソシアネート化合物;
1,3−ブチレングリコール1モルとトリレンジイソシアネート2モルとの付加体等のようなジオールとジイソシアネートとの反応物であるジイソシアネート化合物;等が挙げられる。
ジオール化合物としては、広くは、ポリエーテルジオール化合物、ポリエステルジオール化合物、ポリカーボネートジオール化合物等が挙げられる。
ポリエーテルジオール化合物としては、下記式(5)、(6)、(7)、(8)、(9)で表される化合物、及び、末端に水酸基を有するエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム共重合体が挙げられる。
すなわち、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジ−1,2−プロピレングリコール、トリ−1,2−プロピレングリコール、テトラ−1,2−プロピレングリコール、ヘキサ−1,2−プロピレングリコール、ジ−1,3−プロピレングリコール、トリ−1,3−プロピレングリコール、テトラ−1,3−プロピレングリコール、ジ−1,3−ブチレングリコール、トリ−1,3−ブチレングリコール、ヘキサ−1,3−ブチレングリコール、重量平均分子量1000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1500のポリエチレングリコール、重量平均分子量2000のポリエチレングリコール、重量平均分子量3000のポリエチレングリコール、重量平均分子量7500のポリエチレングリコール、重量平均分子量400のポリプロピレングリコール、重量平均分子量700のポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量2000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量3000のポリプロピレングリコール、重量平均分子量4000のポリプロピレングリコール等である。
三洋化成工業(株)製、(商品名)PTMG650,PTMG1000,PTMG2000,PTMG3000等。
三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールPE−61,ニューポールPE−62,ニューポールPE−64,ニューポールPE−68,ニューポールPE−71,ニューポールPE−74,ニューポールPE−75,ニューポールPE−78,ニューポールPE−108,ニューポールPE−128,ニューポールPE−61等。
三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポールBPE−20、ニューポールBPE−20F、ニューポールBPE−20NK、ニューポールBPE−20T、ニューポールBPE−20G、ニューポールBPE−40、ニューポールBPE−60、ニューポールBPE−100、ニューポールBPE−180、ニューポールBPE−2P、ニューポールBPE−23P、ニューポールBPE−3P、ニューポールBPE−5P等。
三洋化成工業(株)製、(商品名)ニューポール50HB−100、ニューポール50HB−260、ニューポール50HB−400、ニューポール50HB−660、ニューポール50HB−2000、ニューポール50HB−5100等。
Arは置換基を有していてもよい三価の芳香族炭化水素基を示し、好ましくは炭素数6〜15個の芳香族基を示す。
式(13)、(14)または(15)で示されるカルボキシル基を有するジオール化合物としては具体的には以下に示すものが含まれる。
すなわち、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)酪酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸、N,N−ジヒドロキシエチルグリシン、N,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−カルボキシ−プロピオンアミド等である。
すなわち、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−べンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−[3,3’−(アルキルホスホリルジフェニレン)−ビス(イミノカルボニル)]ジフタル酸二無水物、
a)テトラカルボン酸二無水物をジオール化合物で開環させて得られたアルコール末端の化合物と、ジイソシアネート化合物とを反応させる方法。
b)ジイソシアネート化合物をジオール化合物過剰の条件下で反応させ得られたアルコール末端のウレタン化合物と、テトラカルボン酸二無水物とを反応させる方法。
すなわち、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−ビス−β−ヒドロキシエトキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールFのプロピレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体、水添ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加体、ヒドロキノンジヒドロキシエチルエーテル、p−キシリレングリコール、ジヒドロキシエチルスルホン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−2,4−トリレンジカルバメート、2,4−トリレン−ビス(2−ヒドロキシエチルカルバミド)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−m−キシリレンジカルバメート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソフタレート等が挙げられる。
またさらに、特定ポリウレタン樹脂の合成には、カルボキシル基を有せず、イソシアネートと反応しない他の置換基を有してもよい、その他のジオール化合物を併用することもできる。
このようなジオール化合物としては、以下に示すものが含まれる。
HO−L14−CO−O−L13−OH (20)
すなわち、式(21)としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ぺンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール等、式(22)としては、下記に示す化合物等である。
HO−L16−CO−NH−L15−OH (24)
HO−Ar2−L17−OH (26)
すなわち、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノン、4−メチルカテコール、4−t−ブチルカテコール、4−アセチルカテコール、3−メトキシカテコール、4−フェニルカテコール、4−メチルレゾルシン、4−エチルレゾルシン、4−t−ブチルレゾルシン、4−へキシルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、4−ベンジルレゾルシン、4−アセチルレゾルシン、4−カルボメトキシレゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン、t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−t−アミルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、テトラクロロハイドロキノン、メチルカルボアミノハイドロキノン、メチルウレイドハイドロキノン、メチルチオハイドロキノン、ベンゾノルボルネン−3,6−ジオール、ビスフェノールA、
下記式(27)、式(28)または式(29)に示すジオール化合物も好適に使用できる。
以下の一般式(30)、(31)、(32)で示されるハロゲン化合物のヒドロキシ基を必要に応じて保護した後、式(33)で表されるMichaelis−Arbuzov反応によりホスホネートエステル化し、さらに必要により臭化水素等により加水分解することにより合成が行われる。
すなわち、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルシロキサン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジン、4−アミノ−2,2−6,6−テトラメチルピペリジン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、リジン、L―シスチン、イソホロンジアミン等のような脂肪族ジアミン化合物;
2−アミノイミダゾール、3−アミノトリアゾール、5−アミノ−lH−テトラゾール、4−アミノピラゾール、2−アミノベンズイミダゾール、2−アミノ−5−カルボキシートリアゾール、2,4−ジアミノ−6−メチル−S−トリアジン、2,6−ジアミノピリジン、L−ヒスチジン、DL−トリプトファン、アデニン等のような複素環アミン化合物;
式(37)または(38)で示されるジオール化合物。具体的には以下に示すものが挙げられる。
かかる特定ポリウレタン樹脂は、カルボキシル基を有するポリウレタン樹脂であり、その含有量は、カルボキシル基が0.4meq/g以上含まれていることが好ましく、より好ましくは、0.4〜3.5meq/gの範囲である。
また、特定ポリウレタン樹脂の分子量としては、好ましくは重量平均分子量で1000以上であり、より好ましくは、10000〜30万の範囲である。
本発明に使用されるラジカル重合性化合物は、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有するラジカル重合性化合物であり、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定無く用いる事ができる。
これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。
モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルまたはアミド類と、単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類およびチオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
CH2=C(R41)COOCH2CH(R42)OH
(ただし、R41およびR42は、HまたはCH3を示す。)
感光層中のラジカル重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましくない相分離が生じたり、画像記録層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、記録層成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、ラジカル重合性化合物の好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80重量%、好ましくは20〜75重量%である。
ラジカル重合性化合物の使用法は、所望の特性から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
本発明の平版印刷版原版の感光層は、ヒートモード露光、代表的には、赤外線を発するレーザにより、記録を行なうことから、光熱変換剤を用いることが必須である。光熱変換剤は、所定の波長の光を吸収し、熱に変換する機能を有している。この際発生した熱により、(D)成分、即ちこの(C)光熱変換剤が吸収し得る波長の光のヒートモード露光によりラジカルを生成する化合物が分解し、ラジカルを発生する。本発明において使用される光熱変換剤は吸収した光を熱に変換する機能を有するものであって、書き込みに使用される赤外線レーザの波長、即ち、波長760nmから1200nmに吸収極大を有する、所謂、赤外線吸収剤として知られる染料が用いられる。
ヒートモード露光によりラジカルを生成する化合物(以下、適宜ラジカル開始剤と称する)は、前記(C)光熱変換剤と組み合わせて用い、光熱変換剤が吸収し得る波長の光、例えば、赤外線レーザを照射した際にその光又は熱或いはその双方のエネルギーによりラジカルを発生し、(B)重合性の不飽和基を有するラジカル重合性化合物の重合を開始、促進させる化合物を指す。ここで、「ヒートモード露光」とは、前記本発明における定義に従うものとする。
ラジカル開始剤としては、公知の光重合開始剤、熱重合開始剤などを選択して使用することができ、例えば、オニウム塩、トリハロメチル基を有するトリアジン化合物、過酸化物、アゾ系重合開始剤、アジド化合物、キノンジアジドなどが挙げられるが、オニウム塩が高感度であり、好ましい。
本発明において用いられるラジカル開始剤は、極大吸収波長が400nm以下であることが好ましく、さらに360nm以下であることが好ましい。このように吸収波長を紫外線領域にすることにより、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で実施することができる。
本発明の平版印刷版原版の感光層には、可視光域に大きな吸収を持ち、(C)とは異なる着色剤を画像の着色剤として使用する。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料も好適に用いることができる。
上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の感光層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
本発明の平版印刷版原版は、通常、露光を大気中で行うため、光重合性組成物を含む画像記録層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましく、この様な保護層に望まれる特性としては、酸素等の低分子化合物の透過性が低く、露光に用いる光の透過性が良好で、記録層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できることであり、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような比較的結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いることが一般的である。
本発明の画像記録材料においては、皮膜形成樹脂として、塗膜形成後の膜中溶存酸素量が低く、更に外部からの酸素遮断性が高い前記特定のポリウレタン樹脂を用いているため、酸素などの重合阻害による画像形成性の低下を抑制しうるという利点を有するため、必ずしもこのような保護層を備えなくてもよいが、さらに外部からの酸素遮断性を高め、画像形成性、特に、画像強度を高める目的で上記保護層を備えてもよい。
本発明の平版印刷版原版を形成する場合に使用される支持体としては、寸度的に安定な板状物であれば特に制限はなく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)等が挙げられる。これらは、樹脂フィルムや金属板などの単一成分のシートであっても、2以上の材料の積層体であってもよく、例えば、上記のごとき金属がラミネート、若しくは蒸着された紙やプラスチックフィルム、異種のプラスチックフィルム同志の積層シート等が含まれる。
前記アルミニウム板の厚みは、およそ0.1〜0.6mm程度、好ましくは0.15〜0.4mm、特に好ましくは0.2〜0.3mmである。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸又は硝酸電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。
このように粗面化されたアルミニウム板は、所望により、アルカリエッチング処理、中和処理を経て、表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理を施すことができる。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、蓚酸、クロム酸或いはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。
陽極酸化皮膜の量は1.0g/m2 以上が好適であるが、より好ましくは2.0〜6.0g/m2 の範囲である。陽極酸化被膜が1.0g/m2 未満であると耐刷性が不十分であったり、平版印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」が生じ易くなる。
尚、このような陽極酸化処理は平板印刷版の支持体の印刷に用いる面に施されるが、電気力線の裏回りにより、裏面にも0.01〜3g/m2 の陽極酸化被膜が形成されるのが一般的である。
これらの中で、本発明において特に好ましい親水化処理は珪酸塩処理である。珪酸塩処理について、以下に説明する。
珪酸塩処理により、アルミニウム板表面上の親水性が一層改善されるため、印刷の際、インクが非画像部に付着しにくくなり、汚れ性能が向上する。
これらの被覆層のうち、Si(OCH3 )4 、Si(OC2 H5 )4 、Si(OC3 H7 )4 、Si(OC4 H9 )4 などの珪素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから与られる金属酸化物の被覆層が耐現像性に優れており特に好ましい。
これらのアルカリ剤は単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。
また、実質的に未使用の処理液で処理するいわゆる使い捨て処理方式も適用できる。
整面液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥重量)が適当である。
(合成例1;ポリウレタン樹脂1)
コンデンサー、撹拌機を備えた500mlの3つ口丸底フラスコに2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸8.2g(0.05モル)、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル7.8g(0.05モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した。これに、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート20.0g(0.08モル)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート3.4g(0.02モル)、ジブチル錫ジラウリレート0.lgを添加し、100℃にて、8時間加熱撹拌した。その後、N,N−ジメチルホルムアミド100mlおよびメチルアルコール200mlにて希釈した。反応溶液を水3リットル中に撹拌しながら投入し、白色のポリマーを析出させた。このポリマーを濾別し、水で洗浄後、真空下乾燥させることにより32gのポリマーを得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて分子量を測定したところ、重量平均分子量(ポリスチレン標準)で110,000であった。更に滴定により、カルボキシル基含有量(酸価)を測定したところ、1.33meq/gであった。
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸10.3g(0.077モル)、ポリプロピレングリコール(重量平均分子量1000)23.0g(0.023モル)をN,N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解した。これに4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート20.0g(0.08モル)、ヘキサメチエレンジイソシアネート3.4g(0.02モル)を用い、合成例1と同様にして反応、後処理を行った。白色のポリマー80gを得た。GPCにより分子量を測定したところ重量平均(ポリスチレン標準)で100,000であった。また滴定により、カルボキシル基含有量(酸価)を測定したところ1.35meq/gであった。
[支持体の作成]
99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti 0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。
まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。
下記感光層塗布液(P−1)を調製し、上記のようにして得られたアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して感光層を形成し、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。
なお、実施例に使用したアルカリ可溶性樹脂は前記合成例により得られた特定ポリウレタン樹脂(A)であり、比較例に使用したアルカリ可溶性樹脂P−1〔下記表には「ポリマー(P−1)」と記載〕は、ベンジリメタクリレート/メタクリル酸共重合体(重合モル比=80/20、重量平均分子量100,000の高分子化合物)である。
・アルカリ可溶性樹脂 (表6に記載の化合物、表6に記載の量)
・ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート(B) 1.00g
・赤外線吸収剤「IR−6」(C) 0.08g
・ヨードニウム塩「I−1」(D) 0.30g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.0lg
(メガファックF−176,大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
得られた前記各平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力6.5W、外面ドラム回転数81rpm、版面エネルギー188mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。露光後、版上のアブレーションの有無を目視にて評価した。結果を前記表6に併記した。
表6に明らかな様に、本発明の画像記録材料を感光層として用いた実施例の平版印刷版は露光時にアブレーションが生じることなく、記録を行うことができた。
下記感光層塗布液(P−2)を調製し、上記アルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。比較例2におけるアルカリ可溶性樹脂は、比較例1で用いたものと同様のポリマー(P−1)である。
<感光層塗布液(P−2)>
・アルカリ可溶性樹脂 (表7に記載の化合物、表7に記載の量)
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B) 1.00g
・赤外線吸収剤「IR−6」(C) 0.08g
・ヨードニウム塩「I−1」(D) 0.30g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−176,大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光した。
[現像処理]
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイルム(株)製DN−3Cの1:1水希釈液を用いた。現像欲浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製FN−6の1:1水希釈液を用いた。
次に、小森コーポレーション(株)製印刷機リスロンを用いて印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを目視にて測定し、耐刷性を評価した。結果を前記表7に併記する。
表7の結果より、本発明の画像記録材料を感光層として用いた実施例の平版印刷版は、公知の水不溶、且つ、アルカリ可溶性樹脂を用いた比較例2に比べ、優れた耐刷性を達成していることがわかる。
実施例1において感光層塗布液の組成を下記の組成に変更する以外は同様にして平版印刷版原版を得て、実施例1と同様の条件でレーザ走査露光、現像処理を行って印刷版を得た。その印刷版を実施例1と同様に印刷し、感度、耐刷性及び汚れ性を評価した。また、得られた平版印刷版原版を、それぞれ60℃で3日間保存、及び、45℃、湿度75%RHで3日間保存して強制経時させた後、前記と同様の印刷を行ない、結果を表8に示す。
・ポリウレタン樹脂(A) (表8に記載の化合物、表8に記載の量)
・ラジカル重合性化合物(B) (表8に記載の化合物、表8に記載の量)
・赤外線吸収剤「IR−6」(C) 0.08g
・ヨードニウム塩「I−1」(D) 0.30g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−176,大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
[支持体の作成]
厚さ0.30mmのアルミニウム版をナイロンブラシと400メッシュのパミストンの水懸濁波とを用いその表面を砂目立てした後、水でよく洗浄した。10重量%水酸化ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20重量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA=12.7Vの条件下で正弦波の交番波形電流を用いて1重量%硝酸水溶液中で160クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.6μm(Ra表示)であった。引き続いて30重量%の硫酸水溶液中に浸漬し55℃で2分間デスマットした後、20重量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化被膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。
次に下記の手順によりSG法の液状組成物(ゾル液)を調整した。
<ゾル液組成物>
・メタノール 130g
・水 20g
・85重量%リン酸 16g
・テトラエトキシシラン 50g
・3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン 60g
上記ゾル液組成物を混合し、撹拌した。約5分で発熱が認められた。60分間反応させた後、内容物を別の容器へ移し、メタノール3000gを加えることにより、ゾル液を得た。
このように処理されたアルミニウム支持体上に、下記に示す組成の感光層塗布液(P−4)を上記の下塗り済みのアルミニウム支持体にワイヤーバーを用いて塗布し、温風式乾燥装置にて115℃で45秒間乾燥して平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は1.2〜1.3g/m2の範囲内であった。比較例3で用いたアルカリ可溶性樹脂〔下記表には「高分子化合物(P−2)」と記載〕は以下に「P−2」として示す共重合体である。
・アルカリ可溶性樹脂 (表9に記載の化合物、表9に記載の量)
・ラジカル重合性化合物(B) (表9に記載の化合物、表9に記載の量)
・赤外線吸収剤「IR−1」(C) 0.08g
・ヨードニウム塩「I−2」(D) 0.30g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−176,大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
得られた平版印刷版原版を、マルチチャンネルレーザヘッドを搭載した富士写真フイルム(株)製Luxel T−9000CTPにて、ビーム1本当たりの出力250mW、外面ドラム回転数800rpm、解像度2400dpiの条件で露光した。
[現像処理]
露光後、富士写真フイルム(株)製自動現像機スタブロン900Nを用い現像処理した。現像液は、仕込み液、補充液ともに富士写真フイルム(株)製DP−4の1:8水希釈液を用いた。現像欲浴の温度は30℃とした。また、フィニッシャーは、富士写真フイルム(株)製GU−7の1:2水希釈液を用いた。
次に、ハイデルベルクSOR一KZ印刷機を用いて印刷した。この際、どれだけの枚数が充分なインキ濃度を保って印刷できるかを計測し、耐刷性を評価した。また、得られた印刷物について非画像部の汚れ性を目視にて評価した。結果を表9に示す。
表9より、本発明の画像記録材料を感光層として用いた平版印刷版は、非画像部の汚れもなく、耐刷性に優れていることがわかった。
[下塗り層の形成]
実施例1〜5に用いたアルミニウム支持体に下記下塗り液をワイヤーバーにて塗布し、温風式乾燥装置を用いて90℃で30秒間乾燥した。乾燥後の被覆量は10mg/m2であった。
・エチルメタクリレートと2−アクリルアミド−2−メチル
−1−プロパンスルホン酸ナトリウム塩のモル比75:15
の共重合体 0.lg
・2−アミノエチルホスホン酸 0.1g
・メタノール 50g
・イオン交換水 50g
・アルカリ可溶性樹脂 (表10に記載の化合物、表10に記載の量)
・ラジカル重合性化合物(B) (表10に記載の化合物、表10に記載の量)
・赤外線吸収剤「IR−1」(C) 0.08g
・ヨードニウム塩「I−1」(D) 0.30g
・ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸 0.04g
・フッ素系界面活性剤 0.01g
(メガファックF−176,大日本インキ化学工業(株)製)
・メチルエチルケトン 9.0g
・メタノール 10.0g
・1−メトキシ−2−プロパノール 8.0g
表10より、本発明の画像記録材料を感光層として用いた平版印刷版は、耐刷性に優れていることがわかった。
次に実施例6〜10と同様にして、アルミニウム支持体上に感光層を形成し、さらにポリビニルアルコール(ケン化度86.5〜89モル%、重合度1000)の3重量%の水溶液を乾燥塗布重量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥させ、感光層上に保護層を形成してなる平版印刷版原版を得た。
得られた平版印刷版原版を、実施例6〜10と同様の条件で、露光、現像処理を行って得た印刷版により、同様の条件で印刷して耐刷性の評価を行った。結果を表11に示す。
Claims (5)
- 支持体上に、(A)カルボキシル基を有し、水に不溶かつアルカリ水溶液に可溶なポリウレタン樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料である光熱変換剤、(D)(C)光熱変換剤が吸収する事ができる波長の光のヒートモード露光によりラジカルを生成する化合物、および(E)(C)とは異なる着色剤を含有し、ヒートモード露光により画像記録可能な感光層を備えることを特徴とするヒートモード対応ネガ型平版印刷版原版。
- 前記(A)カルボキシル基を有し、水に不溶かつアルカリ水溶液に可溶なポリウレタン樹脂が、側鎖に炭素・炭素の二重結合を有することを特徴とする請求項1に記載のヒートモード対応ネガ型平版印刷版原版。
- 前記(C)波長760nmから1200nmに吸収極大を有する染料である光熱変換剤が、シアニン色素であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヒートモード対応ネガ型平版印刷版原版。
- 前記シアニン色素が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする請求項3に記載のヒートモード対応ネガ型平版印刷版原版。
一般式(I)中、X1は、ハロゲン原子、またはX2−L1を示す。ここで、X2は酸素原子または、硫黄原子を示し、L1は、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示す。R1およびR2は、それぞれ独立に、炭素原子数1〜12の炭化水素基を示し、R1とR2とは互いに結合し、5員環または6員環を形成していてもよい。Ar1、Ar2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基を示す。Y1、Y2は、それぞれ同じでも異なっていても良く、硫黄原子または炭素原子数12個以下のジアルキルメチレン基を示す。R3、R4は、それぞれ同じでも異なっていても良く、置換基を有していても良い炭素原子数20個以下の炭化水素基を示す。R5、R6、R7およびR8は、それぞれ同じでも異なっていても良く、水素原子または炭素原子数12個以下の炭化水素基を示す。Z1−は、対アニオンを示す。ただし、R1〜R8のいずれかにスルホ基が置換されている場合は、Z1−は必要ない。 - 前記(D)(C)光熱変換剤が吸収する事のできる波長の光のヒートモード露光によりラジカルを生成する化合物が、オニウム塩であることを特徴とする請求項1から請求項4に記載のヒートモード対応ネガ型平版印刷版原版。
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