JP2009018685A - 作業車両 - Google Patents

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Fumihiro Egawa
史洋 江川
Keiichi Hayashi
惠一 林
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Abstract

【課題】ミッションケースに、前記エンジンの動力を作業部に伝達するPTO軸と、前記PTO軸への動力伝達を継断するPTOクラッチとを備える作業車両において、作業部に噛み込んだ石等の異物を簡単且つ確実に除去して、噛み込み解除作業を効率的に実行できるようにする。
【解決手段】PTO軸に作用する回転トルクからPTO軸に過負荷がかかっているか否かを検出するPTOトルクセンサ136と、PTOトルクセンサ136の検出情報に基づいてPTO軸の正転駆動と逆転駆動とを切り換える制御を実行するコントローラ130とを備える。コントローラ130は、正転駆動中のPTO軸に過負荷が作用している状態で、逆転切換機構からの動力にてPTO軸を逆転駆動させ、逆転駆動に移行したPTO軸に対する過負荷が解消したとき、PTO軸を元の正転駆動状態に復帰させるように制御する。
【選択図】図9

Description

本発明は、農作業用のトラクタ又は土木作業用のホイルローダ等のような作業車両に関するものである。
従来から、作業車両としてのトラクタにおいては、エンジンから動力が伝達されるミッションケースに、走行出力用の走行変速機構と、左右の車輪に動力を伝達する差動ギヤ機構と、PTO軸出力用のPTO変速機構とを備えている。PTO軸は、エンジンの動力を作業部に伝達するためのものであり、ミッションケースから外向きに突出している。エンジンからミッションケース内に入力された動力は、走行変速機構及び差動ギヤ機構を介して左右の車輪に伝達されると共に、PTO変速機構を介してPTO軸に伝達される。
この種のトラクタの中には、ミッションケース内に逆転PTO機構を備えているものがある(例えば特許文献1参照)。逆転PTO機構は、走行変速機構の駆動方向(回転方向)に関係なく、PTO軸の出力を独立的に逆転させるためのものである。この場合、逆転PTO機構の作用にて独立的にPTO軸を逆転駆動させることが可能なため、例えば作業部に石等の異物を噛み込んだ際に、走行機体を後進させなくても、噛み込んだ異物を除去できるという利点がある。
特開2002−127776号公報
本願発明は、特許文献1の技術的思想を更に発展させ、作業部に噛み込んだ石等の異物を簡単且つ確実に除去して、噛み込み解除作業を効率的に実行できる作業車両を提供することを技術的課題とするものである。
この技術的課題を達成するため、請求項1の発明に係る作業車両は、走行機体に搭載されたエンジンから動力が伝達されるミッションケースに、前記エンジンの動力を作業部に伝達するPTO軸と、前記PTO軸への動力伝達を継断するPTOクラッチと、前記PTO軸の出力を変速するPTO変速機構と、前記PTO軸を逆転駆動させるための逆転切換機構とを備えており、正転駆動中の前記PTO軸に過負荷が作用している状態では、前記逆転切換機構からの動力にて前記PTO軸が逆転駆動するように構成されているというものである。
請求項2の発明は、請求項1に記載した作業車両において、前記逆転駆動に移行した前記PTO軸に対する過負荷が解消したときは、前記PTO軸が元の正転駆動状態に復帰するように構成されているというものである。
請求項3の発明は、請求項2に記載した作業車両において、前記PTO軸に作用する回転トルクから前記PTO軸に過負荷がかかっているか否かを検出するトルク検出手段と、前記トルク検出手段の検出情報に基づいて前記PTO軸の正転駆動と逆転駆動とを切り換える制御を実行する制御手段とを備えているというものである。
本願発明によると、正転駆動中のPTO軸に過負荷が作用している状態では、逆転切換機構からの動力にて前記PTO軸が逆転駆動するように構成されているから、例えば作業部に石等の異物を噛み込んだときに、自動的に前記PTO軸が逆転駆動することになるから、走行機体を後進させたり前記逆転切換機構を機能させるための操作手段を手動操作したりしなくても、その場で異物の噛み込みを自動的に解除でき、噛み込み解除作業が簡単になるという効果を奏する。
特に請求項2の発明を採用すると、前記逆転駆動に移行した前記PTO軸に対する過負荷が解消したときは、前記PTO軸が元の正転駆動状態に復帰するように構成されているから、異物の噛み込みを解除した後も、前記逆転切換機構を機能させるための操作手段を手動操作することなく、前記PTO軸を正転駆動させる通常作業の状態に自動的に復帰できる。従って、オペレータの操作負担を軽減できるという効果を奏する。
以下に、本願発明を作業車両としてのトラクタに適用した実施形態を図面(図1〜図10)に基づいて説明する。図1はトラクタの左側面図、図2はキャビン内部の平面図、図3は動力伝達系のスケルトン図、図4はミッションケース後部の側面断面図、図5はPTO変速機構が低速の状態を示す説明図、図6はPTO変速機構が高速の状態を示す説明図、図7はPTO変速機構が中立の状態を示す説明図、図8はPTO変速機構が中立で且つ逆転クラッチ入りの状態を示す説明図、図9は油圧回路及びコントローラの機能ブロック図、図10はPTO逆転自動制御のフローチャートである。
(1).トラクタの概要
まず始めに、図1及び図2を参照しながら、トラクタ1の概要について説明する。
実施形態におけるトラクタ1の走行機体2は、走行部としての左右一対の前車輪3と同じく左右一対の後車輪4とで支持されている。走行機体2の前部に搭載されたディーゼル式エンジン5にて前車輪3及び後車輪4を駆動することにより、トラクタ1は前後進走行するように構成されている。エンジン5はボンネット6にて覆われている。走行機体2の上面にはキャビン7(操縦部)が設置され、該キャビン7の内部には、操縦座席8と、かじ取りすることによって前車輪3の操向方向を左右に動かすようにした操縦ハンドル9(丸ハンドル)とが配置されている。キャビン7の外側部には、オペレータが乗降するステップ10が設けられ、該ステップ10より内側で且つキャビン7の底部より下側には、エンジン5に燃料を供給する燃料タンク11が設けられている。
図1及び図2に示すように、キャビン7内の操縦ハンドル9は、操縦座席8の前方に位置する操縦コラム100上に配置されている。操縦コラム100の左側には、走行機体2の進行方向を前進と後進とに切り換え操作するための前後進切換レバー101と、エンジン5からの動力を継断する油圧クラッチ(図示せず)を切り操作するためのクラッチペダル102とが配置されている。操縦コラム100の右側には、走行機体2を制動操作するための左右一対のブレーキペダル103が配置されている。キャビン7内の床板104のうち操縦コラム100の右側(ブレーキペダル103の近傍)には、エンジン回転数を増減速させるためのアクセルペダル105が配置されている。
操縦座席8の左右両側にはサイドコラム106,107が設けられている。左サイドコラム106上には、後述する油圧式無段変速機20の出力及び回転数を作業状態に応じて所定範囲に設定保持するための副変速レバー108と、後述するPTO軸18の出力を複数段(実施形態では正転2段)及び中立に切り換え操作するPTO変速操作手段としてのPTO変速レバー109とが前後傾動操作可能に配置されている。副変速レバー108の前方には、ブレーキペダル103を踏み込み位置に保持するための駐車ブレーキレバー110が配置されている。PTO変速レバー109の後方であって、操縦座席8における背もたれ8aの後方一側寄り部位に、後述するPTO軸18の逆転駆動操作を実行するPTO逆転操作手段としてのPTO逆転レバー111がPTO変速レバー109とは別個に配置されている。実施形態のPTO逆転レバー111は縦軸112回りに前後回動操作可能に構成されている。
右サイドコラム107上には、走行機体2の前進、停止、後退及びその車速を無段階に変更操作するための主変速レバー113や、走行機体2の後方に配置されるポテトハーベスタ等の作業部(図示せず)の高さ位置を手動にて変更調節するための作業部調節レバー114等が配置されている。
一方、図1に示すように、走行機体2は、フロントバンパ12及び前車軸ケース(図示せず)を有するエンジンフレーム13と、エンジンフレーム13の後部にボルトにて取り外し可能に固定された左右の機体フレーム14を備えている。機体フレーム14の後部には、エンジン5からの動力を適宜変速して前車輪3、後車輪4及び後述するPTO軸18に伝達するためのミッションケース15が搭載されている。後車輪4は、ミッションケース15の外側面から外向きに突出するように装着された後車軸ケース(図示せず)を介して取り付けられている。左右の後車輪4の上方は、機体フレーム14に固定されたフェンダ16にて覆われている。
ミッションケース15の後部上面には、ポテトハーベスタ等の作業部を昇降動させるための油圧式昇降機構17が着脱可能に取り付けられている。詳細は図示していないが、作業部はミッションケース15の後部に3点リンク機構を介して連結される。ミッションケース15の後面には、作業部にPTO駆動力を伝達するためのPTO軸18が後ろ向きに突設されている。
(2).トラクタの動力伝達系
次に、図3を参照しながら、トラクタ1の動力伝達系について説明する。
実施形態のトラクタ1においては、エンジン5の動力が油圧式無段変速機20を介してミッションケース15に伝達され、ミッションケース15から前車輪3、後車輪4及びPTO軸18に分配するように構成されている。油圧式無段変速機20は、容量可変型の油圧ポンプ21と油圧モータ22とを備えている。油圧ポンプ21における回転斜板(図示せず)の傾斜角度を変更調節して、油圧モータ22への作動油の吐出方向及び吐出量を変更することにより、油圧モータ22から突出したモータ出力軸24の回転方向及び回転数が任意に調節される構成になっている。なお、実施形態の油圧式無段変速機20は、ミッションケース15に隣接して設けられるか、又は、ミッションケース15に外付けされている。
油圧式無段変速機20は、エンジン5から突出して油圧ポンプ21を貫通したポンプ出力軸23経由の動力伝達経路と、油圧モータ22から突出したモータ出力軸24経由の動力伝達経路との2つの経路を有している。実施形態の油圧式無段変速機20は、ポンプ出力軸23経由の回転動力とモータ出力軸24経由の回転動力とからなる合成動力によって、前車輪3及び後車輪4を回転駆動させる油圧・機械式駆動モード(HMTモード)と、モータ出力軸24経由の回転動力だけで前車輪3及び後車輪4を回転駆動させる油圧式駆動モード(HSTモード)とを切り換えて実行し得るように構成されている。
HMTモードの場合は、ミッションケース15内にある伝動切換機構25にて、ポンプ出力軸23経由の回転動力とモータ出力軸24経由の回転動力とが合成され、当該合成動力が伝動切換機構25から中間軸26に伝達される。HSTモードの場合は、モータ出力軸24経由の回転動力のみが伝動切換機構25を介して中間軸26に伝達される。
いずれのモードの場合も、中間軸26に伝達された回転動力は、副変速機構27を介して前車輪3側と後車輪4側とに分岐される。前車輪3側では、副変速機構27から前輪増速機構28、前後両端に自在継手を有する推進軸29及びフロントアクスル機構30を経由して、左右の前車輪3を回転可能に支持する前輪出力軸31に動力伝達される。後車輪4側においては、副変速機構27から後輪デフ機構32を介して、左右の後車輪4を回転可能に支持する後輪出力軸33に動力伝達される。なお、中間軸26、副変速機構27、前輪増速機構28及び後輪デフ機構32等は、前述した伝動切換機構25と同様に、ミッションケース15内に収容されている。
(3).PTO駆動系の概略
次に、図3〜図8を参照しながら、PTO駆動系の概略について説明する。
ポンプ出力軸23の回転動力は、選択中のモードに関係なく、動力伝達継断用のPTOクラッチ39を介して、ミッションケース15内の後部に配置されたPTO変速機構40に伝達される。図4に示すように、実施形態では、PTOクラッチ39として湿式多板クラッチを採用している。なお、ポンプ出力軸23の動力の一部は、ポンプ出力軸23のうちPTOクラッチ39よりも上流側から、伝達ギヤ機構38(図3及び図4参照)を介して油圧式昇降機構17のチャージポンプ(図示せず)に分岐して伝達される。
PTO変速機構40は、PTO軸18の出力を複数段(実施形態では正転2段)及び中立に変速するためのものであり、ポンプ出力軸23にPTOクラッチ39を介して同心状に連結されたPTO推進軸41と、PTO推進軸41と平行状に延びるPTO軸18に被嵌された低速ギヤ44、高速ギヤ45及び中立兼逆転ギヤ46とを備えている。
詳細については後述するが、PTO変速レバー109を中立以外の位置(低速側又は高速側)に変速操作すると、PTOクラッチ油圧電磁弁123(図9参照)の切換駆動にて、アクチュエータ手段としてのPTOクラッチシリンダ122(図3及び図9参照)が作動し、PTOクラッチ39が動力接続状態になる。これにより、ポンプ出力軸23とPTO推進軸41とが一体回転するように連結され、ポンプ出力軸23からPTO推進軸41に向けて回転動力が伝達される結果、PTO軸18が正転方向に回転駆動するように構成されている(図5及び図6参照)。また、実施形態では、PTO変速レバー109を中立側に操作すると共に、PTO逆転レバー111を逆転入り操作すると、PTOクラッチ油圧電磁弁123の連続的な切換駆動にてPTOクラッチシリンダ122が伸縮作動する結果、PTOクラッチ39の入り切り作動が繰り返され、当該繰り返しの作用にてPTO軸18が間欠的(小刻み)に逆転駆動する構成になっている。
PTO推進軸41には、PTO軸18の低速ギヤ44に常時噛み合う低速入力ギヤ42と、PTO軸18の高速ギヤ45に常時噛み合う高速入力ギヤ43とが一体的に固着されている。これらギヤ42,44(又は43,45)の噛み合いによって、PTO推進軸41はPTO軸18に動力伝達可能に連結されている。
低速ギヤ44及び高速ギヤ45は、PTO軸18の正転駆動力を変速する正転変速ギヤ手段に相当するものであり、中立兼逆転ギヤ46は、逆転切換機構51からの回転動力を受け取る減速ギヤ手段に相当するものである。実施形態では、PTO軸18の突出端側に低速ギヤ44が位置し、基端側に高速ギヤ45が位置している。そして、低速ギヤ44と高速ギヤ45との間に中立兼逆転ギヤ46が位置している。
PTO軸18には、変速スライダ47を相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能にスプライン嵌合させている。この変速スライダ47の作用にて、低速ギヤ44、高速ギヤ45及び中立兼逆転ギヤ46はPTO軸18に択一的に連結される。変速スライダ47には、PTO推進軸41やPTO軸18と平行状に配置されたシフタ軸49に沿ってスライド移動可能な変速シフトフォーク48を係合させている。変速シフトフォーク48は、PTO変速リンク機構50を介してキャビン7内のPTO変速レバー109に連動連結されている。
PTO変速レバー109の変速操作にて変速シフトフォーク48をシフタ軸49に沿ってスライド移動させ、変速スライダ47をPTO軸18に沿ってスライド移動させることにより、択一的に選択されたギヤ44〜46のいずれかがPTO軸18に連結される。低速ギヤ44が選択された低速駆動状態、又は高速ギヤ45が選択された高速駆動状態のときは、低速又は高速の正転方向の回転動力(正転駆動力)がPTO推進軸41からPTO軸18に伝達され、PTO軸18が正転方向に回転駆動する(図5及び図6参照)。中立兼逆転ギヤ46にはPTO推進軸41から直接動力伝達できないので、中立兼逆転ギヤ46が選択された中立状態のときは、後述する逆転切換機構51からの回転動力が中立兼逆転ギヤ46に伝達されない限り、PTO軸18に回転動力が伝達されず、駆動停止状態になる(図4及び図7参照)。
ミッションケース15内のうちPTO軸18の下方には、PTO推進軸41の回転動力を利用してPTO軸18を逆転駆動させるための逆転切換機構51が配置されている。逆転切換機構51は、PTO軸18の基端部に取り付けられた逆転クラッチ52と、PTO推進軸41やPTO軸18と平行状に配置されたカウンタ軸53とを備えている。
逆転クラッチ52は、カウンタ軸53への動力伝達を継断するためのものであり、PTO軸18の基端部に、相対回転可能で且つ軸線方向にスライド可能に被嵌されている。実施形態では、逆転クラッチ52として噛み合い式のドグクラッチを採用している。逆転クラッチ52の外周前端部には、クラッチギヤ54が一体的に形成されている。クラッチギヤ54は、PTO軸18とカウンタ軸53との間にある中継軸57に回転可能に軸支された中継ギヤ58と常時噛み合っている。
逆転クラッチ52を後方にスライド移動させた入り状態のとき(図8参照)は、逆転クラッチ52が高速ギヤ45に一体回転するように連結される。逆転クラッチ52を前方にスライド移動させた切り状態のとき(図4〜図7参照)は、両者52,45の連結が解除される。また、逆転クラッチ52には、前述のシフタ軸49に沿ってスライド移動可能な逆転シフトフォーク55を係合させている。逆転シフトフォーク55は、PTO逆転リンク機構56を介してキャビン7内のPTO逆転レバー111に連動連結されている。
カウンタ軸53には、大径で歯数の多い逆転入力ギヤ59と、小径で歯数の少ない逆転出力ギヤ60とが固着されている。逆転入力ギヤ59は中継軸57の中継ギヤ58に常時噛み合っており、逆転出力ギヤ60はPTO軸18の中立兼逆転ギヤ46に常時噛み合っている。
この場合、PTO変速機構40が中立状態であれば、逆転切換機構51からの回転動力にてPTO軸18が逆転駆動可能になる。実施形態においては、PTO変速機構40が中立状態で且つ逆転クラッチ52が入り状態のときに、逆転切換機構51からの回転動力にて中立兼逆転ギヤ46を回転駆動させることによって、PTO軸18が逆転駆動する構成になっている。
すなわち、PTO逆転レバー111の逆転入り操作にて逆転シフトフォーク55をシフタ軸49に沿ってスライド移動させ、逆転クラッチ52をPTO軸18に沿って後方にスライド移動させると、逆転クラッチ52は入り状態になり、逆転クラッチ52と高速ギヤ45とが一体回転するように連結される。
このとき、PTO変速レバー109を中立側に操作して、変速スライダ47にて中立兼逆転ギヤ46が選択されていれば(PTO変速機構40が中立状態であれば)、高速ギヤ45はPTO軸18に対して自由回転可能な状態になる一方、中立兼逆転ギヤ46とPTO軸18とが一体回転するように連結される。そうすると、PTOクラッチ39よりも下流側にあるPTO推進軸41の回転動力は、高速入力ギヤ43から高速ギヤ45及びクラッチギヤ54と中継ギヤ58とを介して、カウンタ軸53の逆転入力ギヤ59に伝達され、カウンタ軸53の逆転出力ギヤ60から中立兼逆転ギヤ46を介して、PTO軸18に逆転方向の回転動力(逆転駆動力)として伝達される。その結果、PTO軸18が逆転方向に回転駆動する(図8参照)。実施形態では、このときのPTO軸18の逆転速度が、低速での正転速度(PTO軸18が低速にて正転方向に回転駆動するときの速度)よりも更に遅くなるように設定されている。
なお、PTO変速レバー109を中立以外(低速側又は高速側)に変速操作すると共に、PTO逆転レバー111を逆転入り操作した場合は、中立兼逆転ギヤ46がPTO軸18に対して自由回転可能な状態になるので、逆転切換機構51を経由した回転動力がPTO軸18に伝達されることはない。特に実施形態では、変速シフトフォーク48と逆転シフトフォーク55とが共通のシフタ軸49に沿ってスライド移動し、高速状態での変速シフトフォーク48のスライド位置(図6参照)と、入り状態での逆転シフトフォーク55のスライド位置(図8参照)とが一部重複するように設定されている。このため、PTO変速レバー109を高速側に変速操作すると共に、PTO逆転レバー111を逆転入り操作しようとしても、シフトフォーク48,55同士が互いにかち合うことになり、変速スライダ47と逆転クラッチ52との両方を同時に、高速ギヤ45に連結する事態は生じない。
(4).PTO駆動系を構成する各部の詳細構造
次に、図4〜図8を参照しながら、PTO変速機構40を中心に、PTO駆動系を構成する各部の詳細構造について説明する。
図4に示すように、PTO推進軸41は、ミッションケース15内の後部上側に設けられた玉軸受61,62にて回転可能に軸支されている。PTO推進軸41の低速入力ギヤ42は、PTO軸18の低速ギヤ44に対応してPTO推進軸41の後部側に位置している。高速入力ギヤ43は、PTO軸18の高速ギヤ45に対応してPTO推進軸41の前部側に位置している。
PTO軸18は、PTO推進軸41と平行状な姿勢でミッションケース15の後面に形成された軸穴63を貫通しており、ミッションケース15内の後部中央付近に設けられた玉軸受64,65にて回転可能に軸支されている。PTO軸18には、突出端側(後ろ側、図4〜図8では右側)から基端側(前側)に向かって順に、低速ギヤ44、中立兼逆転ギヤ46、高速ギヤ45、逆転クラッチ52が取り付けられている。
図5〜図8に示すように、低速ギヤ44及び高速ギヤ45は、それぞれ対応する玉軸受66,67を介してPTO軸18に回転可能に軸支されている。高速ギヤ45の後面側に一体形成された後ろボス部68には玉軸受69が被嵌されており、当該後ろボス部68に被嵌された玉軸受69にて中立兼逆転ギヤ46が回転可能に軸支されている。逆転クラッチ52はころ軸受70を介してPTO軸18に回転可能に軸支されている。
低速ギヤ44の前面側に一体形成された前ボス部71の外周前端部には、複数個の低速用係合突起72が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。中立兼逆転ギヤ46の後面側に一体形成された後ろボス部73は、高速ギヤ45の後ろボス部68よりも更に後方に突出しており、中立兼逆転ギヤ46における後ろボス部73の内周後端部には、複数個の中立用係合突起74が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。高速ギヤ45における後ろボス部68の内周後端部にも、複数個の高速用係合突起75が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。
高速ギヤ45の前面側に一体形成された前ボス部76の内周前端部には、複数個の逆転用係合突起77が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている一方、逆転クラッチ52の外周後端部には、高速ギヤ45の逆転用係合突起77に係合可能な複数個の逆転用係合爪78が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。
PTO軸18の外周のうち低速ギヤ44と中立兼逆転ギヤ46との間は、スプライン溝を有する前後一対のスプライン部81,82になっており、当該スプライン部81,82に、スプライン穴を有する変速スライダ47が相対回転不能で且つ軸線方向にスライド可能に被嵌されている。
変速スライダ47の内周後端部には、低速ギヤ44の低速用係合突起72と前後両スプライン部81,82とに係合可能な複数個の後ろ係合爪83が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。また、変速スライダ47の内周中央部には、前後両スプライン部81,82に係合可能な複数個の中央係合爪84が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。更に、変速スライダ47の内周前端部には、高速ギヤ45の高速用係合突起75と前スプライン部81とに係合可能な複数個の前係合爪85が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。変速スライダ47の外周前端部には、中立兼逆転ギヤ46の中立用係合突起74に係合可能な複数個の外周係合爪86が円周方向に沿って適宜間隔にて形成されている。
中継ギヤ58を回転可能に軸支する中継軸57は、ミッションケース15内の中仕切り壁に、後ろ向きに突出するようにして固定されている。カウンタ軸53は、ミッションケース15内の後部下側に設けられた玉軸受87,88にて回転可能に軸支されている。カウンタ軸53の逆転入力ギヤ59は、中継軸57の中継ギヤ58に対応してカウンタ軸53の前部側に位置している。逆転出力ギヤ60は、PTO軸18の中立兼逆転ギヤ46に対応してカウンタ軸53の後部側に位置している。
以下に、PTO変速機構40の切換動作について説明する。図5に示すように、PTO逆転レバー111の逆転切り操作により高速ギヤ45の逆転用係合突起77と逆転クラッチ52の逆転用係合爪78との係合を解除した状態で、PTO変速レバー109を低速側に変速操作すると、変速スライダ47がPTO軸18に沿って後方に移動して、低速ギヤ44の低速用係合突起72と変速スライダ47の後ろ係合爪83とが係合すると共に、PTO軸18の後ろスプライン部82と変速スライダ47の中央係合爪84とが係合する。その結果、PTO軸18が低速にて正転方向に回転駆動する。
図6に示すように、PTO逆転レバー111を逆転切り操作した状態で、PTO変速レバー109を高速側に変速操作すると、変速スライダ47がPTO軸18に沿って前方に移動して、高速ギヤ45の高速用係合突起75と変速スライダ47の前係合爪85とが係合すると共に、PTO軸18の後ろスプライン部82と変速スライダ47の中央及び後ろ係合爪84,83とが係合する。その結果、PTO軸18が高速にて正転方向に回転駆動する。
図7に示すように、PTO逆転レバー111を逆転切り操作した状態で、PTO変速レバー109を中立側に操作すると、変速スライダ47がPTO軸18に沿って移動して、中立兼逆転ギヤ46の中立用係合突起74と変速スライダ47の外周係合爪86とが係合すると共に、PTO軸18の後ろスプライン部82と変速スライダ47の前及び中央係合爪85,84とが係合する。その結果、PTO軸18が駆動停止状態になる。
図8に示すように、PTO変速レバー109を中立側に操作した状態で、PTO逆転レバー111を逆転入り操作すると、逆転クラッチ52がPTO軸18に沿って後方に移動して、高速ギヤ45の逆転用係合突起77と逆転クラッチ52の逆転用係合爪78とが係合する。その結果、PTO軸18が低速正転駆動時よりも更に遅い速度で逆転方向に回転駆動する。
以上の構成によると、走行機体2に搭載されたエンジン5から回転動力が伝達されるミッションケース15内のうちPTO軸18の近傍に、PTOクラッチ39よりも下流側から分岐した回転動力を伝達可能な逆転切換機構51を備えており、PTO変速機構40が中立状態のときは、逆転切換機構51からの動力にてPTO軸18が逆転駆動し得るように構成されている。
PTO軸18の近傍は、ミッションケース15の内部の中でもスペースを確保し易い箇所であるから、このような箇所にPTO軸18を逆転駆動させるための逆転切換機構51を備えることにより、PTOクラッチ39よりも上流側の動力伝達経路(例えば伝動切換機構25や副変速機構27等)の構造を複雑化することなく、PTO軸18の独立的な逆転駆動に対応する構成を簡単に実現できる。このため、ミッションケース15の小型・軽量化、ひいては製造コスト抑制に貢献できる。
また、実施形態では、PTO軸18上に、PTO推進軸41から逆転切換機構51に向けての回転動力の伝達を継断するための逆転クラッチ52と、PTO軸18の出力を変速するPTO変速機構40とが配置されており、PTO変速機構40における正転変速ギヤ手段を構成する高速ギヤ45と逆転切換機構51とが、逆転クラッチ52を介して動力継断可能に連結されているので、PTO関連の機構がPTO軸18及びその近傍にまとまることになり、PTOクラッチ39からPTO軸18への動力伝達経路をコンパクトに構成できる。この点も、ミッションケース15の小型・軽量化、ひいては製造コスト抑制の一助になる。
更に、PTO変速機構40が中立状態で且つ逆転クラッチ52が入り状態のときに、逆転切換機構51からの回転動力にて減速ギヤ手段としての中立兼逆転ギヤ46を駆動させることによって、PTO軸18が逆転駆動するように構成されている。この構成から分かるように、PTO出力用のファイナルギヤである中立兼逆転ギヤ46と逆転切換機構51とが別々に存在するから、PTO軸18近傍のスペースを有効利用して中立兼逆転ギヤ46を大径に(歯数を多く)することが可能であり、大きな減速比で減速された逆転駆動力を簡単に得られる。
その上、PTO軸18を逆転駆動させるための構成として、PTO変速機構40を構成する中立兼逆転ギヤ46を利用しているから、PTO変速機構40が低速又は高速駆動状態である限り、PTO軸18が逆転方向に回転駆動することはない。従って、PTOクラッチ39からPTO軸18への動力伝達経路のコンパクト化に寄与するだけでなく、PTO軸18の誤作動を確実に防止できる。
ところで、PTO軸18を逆転駆動させる操作を実行する機会はまれであり、かかる操作に関しては、操作性向上よりも誤操作防止に重点を置いて設計すべきと考えられる。この点、PTO軸18の正転変速操作と逆転駆動操作とを1つの操作手段で実行できる構成を採用した場合は、オペレータが前記1つの操作手段を誤操作して、不要なときにPTO軸18を逆転駆動させる可能性は否定できない。
これに対して実施形態では、PTO変速機構40を変速操作するPTO変速操作手段としてのPTO変速レバー109とは別個に、PTO軸18の逆転駆動操作を実行するPTO逆転操作手段としてのPTO逆転レバー111を備えているから、オペレータは、PTO変速機構40の変速操作(PTO軸18の正転変速操作)と、PTO軸18の逆転駆動操作とを、それぞれ異なるレバー109,111の操作にて実行しなければならない。このため、PTO軸18を回転駆動させたい方向と逆向きに回転駆動させるような誤操作を著しく防止又は低減でき、PTO軸18駆動時の安全性が向上する。
しかも、通常あまり操作することのないPTO逆転レバー111がPTO変速レバー109の後方に配置されているので、通常作業の際に、PTO逆転レバー111の存在が邪魔にならず、誤操作防止の点で高い効果を発揮するのである。
(5).PTO軸の逆転駆動を間欠的に実行するための構成
次に、図9及び図10を参照しながら、PTO軸18の逆転駆動を間欠的に実行するための構成について説明する。
図9に示すように、トラクタ1の油圧回路120は、エンジン5の回転力にて作動する作業用油圧ポンプ121を備えている。この場合、ミッションケース15が作業油タンクとしても利用されていて、ミッションケース15内部の作動油が作業用油圧ポンプ121に供給される。一方、図3及び図9に示すように、ポンプ出力軸23とPTO推進軸41とを動力継断可能に連結するPTOクラッチ39には、アクチュエータ手段としての単動ばね付きタイプのPTOクラッチシリンダ122が取り付けられている。
作業用油圧ポンプ121とPTOクラッチシリンダ122とは、3ポート2位置切換型のPTOクラッチ油圧電磁弁123を介して接続されている。PTOクラッチ油圧電磁弁123は、制御手段としてのコントローラ130に電気的に接続された電磁ソレノイド124を有している。PTOクラッチ油圧電磁弁123は、原則としてPTO変速レバー109の変速操作に対応した電磁ソレノイド124の励磁によって、PTOクラッチシリンダ122への作動油供給状態とPTOクラッチシリンダ122からの作動油排出状態とに切換駆動するように構成されている。
PTO変速レバー109の変速操作にてPTOクラッチ油圧電磁弁123を自動的に切換作動させると、PTOクラッチシリンダ122が伸縮作動して、PTOクラッチ39が入り切り作動する。その結果、ポンプ出力軸23からPTO推進軸41への動力伝達が接続状態又は遮断状態に選択的に切り換えられることになる。
実施形態において、PTO変速レバー109を中立側に操作すると共に、PTO逆転レバー111を逆転入り操作した場合は、前述の通り、中立兼逆転ギヤ46とPTO軸18とが一体回転するように連結されると共に、逆転クラッチ52が入り作動して、逆転クラッチ52と高速ギヤ45とが一体回転するように連結される。その結果、PTO推進軸41の回転動力が、高速入力ギヤ43から高速ギヤ45及びクラッチギヤ54と中継ギヤ58とを介して、カウンタ軸53の逆転入力ギヤ59に伝達され、カウンタ軸53の逆転出力ギヤ60から中立兼逆転ギヤ46を介して、PTO軸18に逆転方向の回転動力(逆転駆動力)として伝達される。
このとき、PTOクラッチ油圧電磁弁123は、電磁ソレノイド124の励磁にて前述した各状態(作動油供給状態と作動油排出状態)に交互に切り換えられ、PTOクラッチシリンダ122が伸縮作動を繰り返す。このため、PTOクラッチ39の入り切り作動が強制的に繰り返され、当該繰り返しの作用にてPTO軸18の逆転駆動が間欠的(小刻み)に実行されるのである。
このように構成すると、PTO変速レバー109を中立側に操作すると共に、PTO逆転レバー111を逆転入り操作した状態では、逆転切換機構51からの動力にてPTO軸18が間欠的に逆転駆動することになるから、例えば作業部に石等の異物を噛み込んだときに、走行機体2を後進させたりしなくても、その場で異物の噛み込みを解除できる。しかも、PTO軸18の逆転駆動は間欠的(小刻み)なインチング駆動であるから、異物の噛み込みを効率よく且つ確実に解除できる。
また、実施形態のPTOクラッチ39は、湿式多板クラッチであり且つこれを入り切り作動させるアクチュエータ手段としてのPTOクラッチシリンダ122を備えており、逆転クラッチ52が入り状態のときに、PTOクラッチシリンダ122によるPTOクラッチ39の入り切り作動を繰り返すことによって、PTO軸18が間欠的に逆転駆動するように構成されているから、例えばPTOクラッチ39としてドグクラッチを用いた場合に比べて噛み合わせショックを軽減でき、PTO軸18の間欠的な逆転駆動をスムーズに実行できるのである。
走行機体2に搭載された制御手段としてのコントローラ130は、後述するPTO変速ポジションセンサ134やPTO逆転入りセンサ135の検出情報に基づいて、PTOクラッチ39の入り切り制御を実行できると共に、トルク検出手段としてのPTOトルクセンサ136(詳細は後述する)の検出情報に基づいて、PTO逆転自動制御(PTO軸18の正転駆動と逆転駆動とを切り換える制御)を実行するものである。コントローラ130は、各種演算処理や制御を実行するCPU131のほか、制御プログラムやデータを記憶させる記憶手段としてのPROM132、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM133、及び、センサやアクチュエータ等とデータのやり取りをするための入出力インターフェイス等を備えている。
コントローラ130の入力インターフェイスには、PTO変速レバー109の操作位置を検出するPTO変速ポジションセンサ134、PTO逆転レバー111が入り操作状態か否かを検出するリミットスイッチ式のPTO逆転入りセンサ135、及び、PTO軸18の回転トルクを検出するトルク検出手段としてのPTOトルクセンサ136等が電気手的に接続されている。コントローラ130の出力インターフェイスには、前述したPTOクラッチ油圧電磁弁123の電磁ソレノイド124のほか、PTO変速レバー109を動力にて各操作位置まで移動させるPTO変速電動モータ138に対するPTO変速駆動回路137、及び、PTO逆転レバー111を動力にて入り切りの操作位置まで移動させるPTO逆転電動モータ140に対するPTO変速駆動回路139等が接続されている。
PTOトルクセンサ136は、PTO軸18に作用する回転トルクTRから、作業部に石等の異物を噛み込んでいるか否かを検出するためのものである。実施形態のPTOトルクセンサ136は、ミッションケース15の後面に形成された軸穴63の箇所に、PTO軸18に関連付けて配置されている。PTO変速電動モータ138は、PTO変速レバー109を動力にて各操作位置に移動させることによって、変速スライダ47のスライド移動を制御するものである。また、PTO逆転電動モータ140は、PTO逆転レバー111を動力にて入り切りの操作位置まで移動させることによって、逆転クラッチ52のスライド移動を制御するものである。
なお、PTO変速電動モータ138に代えて、変速スライダ47を直接スライド移動させるアクチュエータを採用したり、PTO逆転電動モータ140に代えて、逆転クラッチ52を直接スライド移動させるアクチュエータを採用したりしてもよい。
以下に、図10のフローチャートを参照しながら、コントローラ130によるPTO逆転自動制御(PTO軸18の正転駆動と逆転駆動とを切り換える制御)の一例について説明する。ここで、後述するPTO軸間欠逆転制御を実行する基準(しきい値)になる正転設定トルクTR0+や、その後のPTO軸正転復帰制御を実行する基準(しきい値)になる逆転設定トルクTR0−に関するデータは、コントローラ130のPROM132等に記憶させることで予め設定されている。実施形態では、PTO軸18における正転方向の回転トルクTRの符号が正(プラス)に、逆転方向の回転トルクTRの符号が負(マイナス)になるように設定されている。
まず、PTO逆転自動制御のスタートに続いて、PTO変速ポジションセンサ134の検出値と、PTO逆転入りセンサ135の検出値と、PTOトルクセンサ136の検出値TRとを読み込み(ステップS1)、次いで、PTO変速ポジションセンサ134の検出値に基づいて、PTO変速レバー109が中立以外(低速側又は高速側)の操作状態か否かを判別すると共に、PTO逆転入りセンサ135の検出値に基づいて、PTO逆転レバー111が切り状態か否かを判別する(ステップS2)。
PTO変速レバー109が中立状態にあるか、又はPTO逆転レバー111が入り状態にあると判断されたときは(S2:NO)、トラクタ1がPTO軸18を正転駆動させる通常作業の状態にないことを意味しているので、そのままリターンする。PTO変速レバー109が中立以外の操作状態にあり且つPTO逆転レバー111が切り状態にあると判断されたときは(S2:YES)、トラクタ1がPTO軸18を正転駆動させる通常作業の状態にあることを意味しているので、次いで、ステップS1にて読み込まれたPTOトルクセンサ130の検出値TRが予め設定された正転設定トルクTR0+(正転方向の設定トルク)以上であるか否かを判別する(ステップS3)。
PTOトルクセンサ130の検出値TRが正転設定トルクTR0+より小さいと判断されたときは(S3:NO)、PTO軸18に作用する負荷が小さく、通常作業に支障がない状態であるから、ステップS1に戻る。PTOトルクセンサ130の検出値TRが正転設定トルクTR0+以上であると判断されたときは(S6:YES)、例えば石等の異物を作業部に噛み込んだといった理由で、PTO軸18ひいてはエンジン5に大きな負荷がかかっている状態(過負荷状態)である。このような状態で通常作業を続行すると、エンジン5が過負荷で停止する(エンジンストップする)おそれがある。
そこで、この場合はPTO軸間欠逆転制御を実行する(ステップS4)。PTO軸間欠逆転制御においては、まず、PTO変速電動モータ138の駆動にてPTO変速レバー109を中立側に移動させ、中立兼逆転ギヤ46とPTO軸18とを一体回転するように連結すると共に、PTO逆転電動モータ140の駆動にてPTO逆転レバー111を逆転入り側に移動させ、逆転クラッチ52と高速ギヤ45とを一体回転するように連結する。そして、PTOクラッチ油圧電磁弁123の連続的な切換駆動にてPTOクラッチシリンダ122が伸縮作動する結果、PTOクラッチ39の入り切り作動が繰り返され、当該繰り返しの作用にてPTO軸18が間欠的に逆転駆動するのである。
このように、正転駆動中のPTO軸18に作用する回転トルクTRが予め設定された正転設定トルクTR0+以上であるとき、すなわち正転駆動中のPTO軸18に過負荷がかかったときは、逆転切換機構51からの動力にてPTO軸18が逆転駆動するという構成を採用すると、例えば作業部に石等の異物を噛み込んだときに、自動的にPTO軸18が逆転駆動することになるから、走行機体2を後進させたりPTO逆転レバー111を手動操作したりしなくても、その場で異物の噛み込みを自動的に解除でき、噛み込み解除作業がより一層簡単になる。しかも、実施形態では、PTO軸18が間欠的に逆転駆動する(インチング駆動する)から、作業部における異物の噛み込み解除を効率よく且つ確実に行える。
ステップS4におけるPTO軸間欠逆転制御の後は、再びPTOトルクセンサ136の検出値TRを読み込む(ステップS5)。このときの検出値TRの符号は、PTO軸18が逆転駆動している関係で、負(マイナス)になっている。次いで、ステップS5にて読み込まれたPTOトルクセンサ130の検出値TRが予め設定された逆転設定トルクTR0−(逆転方向の設定トルク)以上であるか否かを判別する(ステップS6)。
PTOトルクセンサ130の検出値TRが逆転設定トルクTR0−より小さいと判断されたときは(S6:NO)、PTO軸18の回転駆動は逆向きになったものの、過負荷状態のまま(異物の噛み込みを解除できていない状態)であることを意味しているので、ステップS4のPTO軸間欠逆転制御に戻る。すなわち、PTO軸18に作用する過負荷を解消するまで(異物の噛み込みを解除するまで)、PTO軸18の間欠逆転駆動が実行されるのである。
PTOトルクセンサ130の検出値TRが逆転設定トルクTR0−であると判断されたときは(S6:YES)、異物の噛み込みが解消されてPTO軸18に作用する負荷が十分に低下し、通常作業に支障がない状態になったことを意味しているので、次いで、PTO軸正転復帰制御を実行する(ステップS7)。
PTO軸正転復帰制御においては、まず、PTO変速電動モータ138の駆動にてPTO変速レバー109を元の操作位置(低速側又は高速側)に移動させ、低速ギヤ44又は高速ギヤ45とPTO軸18とを一体回転するように連結すると共に、PTO逆転電動モータ140の駆動にてPTO逆転レバー111を逆転切り側に移動させ、逆転クラッチ52と高速ギヤ45との連結を解除する。そして、PTOクラッチ油圧電磁弁123の切換駆動にてPTOクラッチシリンダ122を伸長作動させ、PTOクラッチ39を入り作動させる(動力接続状態にする)。その結果、ポンプ出力軸23からPTO推進軸41を介してPTO軸18に正転方向の回転動力が伝達され、PTO軸18が元の正転駆動状態に復帰するのである。ステップS7におけるPTO軸正転復帰制御の後は、ステップS1に戻る。
このように制御すると、逆転駆動中のPTO軸18に作用する回転トルクTRが予め設定された逆転設定トルクTR0−以上であるとき、すなわち逆転駆動に移行したPTO軸18に対する過負荷が解消したときは、PTO軸18が元の正転駆動状態に自動的に復帰することになるから、異物の噛み込みを解除した後も、PTO逆転レバー111を手動操作することなく、通常作業の状態に復帰でき、オペレータの操作負担を軽減できる。
(6).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば本願発明はトラクタに限らず、田植機やコンバイン等の農作業機や、ホイルローダ等の特殊作業用車両にも適用可能である。また、PTO変速操作手段やPTO逆転操作手段は、レバータイプに限らず、ボタンタイプ(スイッチタイプ)であってもよい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
トラクタの左側面図である。 キャビン内部の平面図である。 動力伝達系のスケルトン図である。 ミッションケース後部の側面断面図である。 PTO変速機構が低速の状態を示す説明図である。 PTO変速機構が高速の状態を示す説明図である。 PTO変速機構が中立の状態を示す説明図である。 PTO変速機構が中立で且つ逆転クラッチ入りの状態を示す説明図である。 油圧回路及びコントローラの機能ブロック図である。 PTO逆転自動制御のフローチャートである。
符号の説明
1 トラクタ
2 走行機体
3 前車輪
4 後車輪
5 エンジン
7 キャビン
17 油圧式昇降機構
18 PTO軸
20 油圧式無段変速機
39 PTOクラッチ
40 PTO変速機構
41 PTO推進軸
44 低速ギヤ
45 高速ギヤ
46 中立兼逆転ギヤ
47 変速スライダ
51 逆転切換機構
52 逆転クラッチ
53 カウンタ軸
54 クラッチギヤ
109 PTO変速レバー
111 PTO逆転レバー
122 PTOクラッチシリンダ
123 PTOクラッチ油圧電磁弁
130 コントローラ
136 PTOトルクセンサ

Claims (3)

  1. 走行機体に搭載されたエンジンから動力が伝達されるミッションケースに、前記エンジンの動力を作業部に伝達するPTO軸と、前記PTO軸への動力伝達を継断するPTOクラッチと、前記PTO軸の出力を変速するPTO変速機構と、前記PTO軸を逆転駆動させるための逆転切換機構とを備えており、
    正転駆動中の前記PTO軸に過負荷が作用している状態では、前記逆転切換機構からの動力にて前記PTO軸が逆転駆動するように構成されている、
    作業車両。
  2. 前記逆転駆動に移行した前記PTO軸に対する過負荷が解消したときは、前記PTO軸が元の正転駆動状態に復帰するように構成されている、
    請求項1に記載した作業車両。
  3. 前記PTO軸に作用する回転トルクから前記PTO軸に過負荷がかかっているか否かを検出するトルク検出手段と、前記トルク検出手段の検出情報に基づいて前記PTO軸の正転駆動と逆転駆動とを切り換える制御を実行する制御手段とを備えている、
    請求項2に記載した作業車両。
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