JP2008514240A - 生体分子のインビトロ合成用の供給バッファー、系、及び方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は生命工学の分野に関する。特に本発明は、生体分子(例えば核酸及びポリペプチド)を合成、精製、標識及び/又は検出するためのインビトロの系に関する。
インビトロタンパク質合成(IVPS)はとりわけ、タンパク合成において、インビボ又は細胞系でのタンパク質産生に使用される細胞の維持に必要とされる余分なタンパク質の産生を伴わずに、目的タンパク質を特異的に産生するという点で優位性を発揮する。細胞がタンパク質工場として用いられるとき、細胞は所望のタンパク質の産生に加え、他の必要な分子も産生する。それには不要なタンパク質が含まれるが、細胞を維持するためには必要なものである。
インビトロタンパク質合成の分野の特許には、以下のリストに挙げられるものが含まれるが、それらに限定されるものではない。このリストは、同等技術の広範囲にわたる再調査を目的とせず、またこれらの特許文献リストのいずれも、その文書が実際に同等技術であることを承認するものでもない。
米国特許第5,478,730号(Alakhovら、「Method of preparing polypeptides in cell−free translation system.」)。
米国特許第5,665,563号、第5,492,817号、及び第5,324,637号(Becklerら、「Coupled transcription and translation in eukaryotic cell−free extract.」)。
米国特許第6,337,191号(Swartzら、「In vitro Protein Synthesis using Glycolytic Intermediates as an Energy Source.」)。
米国特許第6,518,058号(Biryukovら、「Method of preparing polypeptides in cell−free system and device for its realization.」)。
米国特許第6,670,173号(Schelsら、「Bioreaction module for biochemical reactions.」)。
米国特許第6,783,957号(Biryukovら、「Method for synthesis of polypeptides in cell−free systems.」)。
米国特許出願第2002/0168706号(Chatterjeeら、2002年11月14日公開、「Improved in vitro synthesis system.」)。
米国特許第6,168,931号(Swartzら、2002年1月8日登録、「In vitro macromolecule biosynthesis methods using exogenous amino acids and a novel ATP regeneration system.」)。
米国特許第6,548,276号(Swartzら、2003年4月15日登録、「Enhanced in vitro synthesis of active proteins containing disulfide bonds.」)。
米国特許出願第2004/0110135号(Nemetzら、2004年6月10日公開、「Method for producing linear DNA fragments for the in vitro expression of proteins.」)。
米国特許出願第2004/0209321号(Swartzら、2004年10月21日公開、「Methods of in vitro protein synthesis.」)。
米国特許出願第2004/0214292号(Motodaら、2004年10月28日公開、「Method of producing template DNA and method of producing protein in cell−free protein synthesis system using the same.」)。
米国特許出願第2004/0259081号(Watzeleら、2004年12月23日公開、「Method for protein expression starting from stabilized linear short DNA in cell−free in vitro transcription/translation systems with exonuclease−containing lysates or in a cellular system containing exonucleases.」)。
米国特許出願第2005/0009013号(2005年1月13日公開)、米国特許出願第2005/0032078号(2005年2月10日公開)、Rothschildら、「Methods for the detection, analysis and isolation of nascent proteins.」。
米国特許出願第2005/0032086号(Sakanyanら、2005年2月10日公開、「Methods of RNA and protein synthesis.」)。
PCT特許出願国際公開公報第00/55353号(Swartzら、2000年3月15日、「In vitro macromolecule biosynthesis methods using exogenous amino acids and a novel ATP regeneration system.」)。
これらの特許及び特許出願の全ては、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
本発明は、生体分子のインビトロ合成(例えばインビトロタンパク質合成(IVPS))に関する。本発明は、IVPSに用いる組成物、方法、クローニング及び発現ベクター、並びにキットを提供する。
以下の記載において、組換え核酸技術で使用される多くの用語が広範囲に利用される。本明細書と請求項の明確かつ一貫した理解を可能にするため、この種の用語に与えられる範囲を含めて、以下のように定義する。
本発明における「アミノ酸」とは、アミノ基(−NΗ2)及びカルボキシル基(−COOH)を含む有機化合物である。
*表中のコドンは、mRNA上に存在するときの態様である。DNA分子における対応するコドンは、RNA配列のあらゆるウラシル(U)ヌクレオチドをチミジン(T)ヌクレオチドに置換したものである。
本願において、ヒ素含有分子とは、一つ以上のヒ素原子を含むあらゆる化学物質を指す。好適なヒ素含有分子は、特定のアミノ酸配列と結合する。好適な特定のアミノ酸配列はC−C−X−X−C−C(「C」はシステインを表し、「X」はシステイン以外の任意のアミノ酸を表す)である。二ヒ素(二つのヒ素原子)化合物及び四ヒ素(四つのヒ素原子)化合物の両化合物は、ヒ素含有化合物である。四ヒ素分子は、単体ヒ素及び二ヒ素のいずれかによる分子である。
本発明において、二ヒ素分子とは、二つ以上のヒ素原子を含むあらゆる化学物質を指す。好適な二ヒ素分子は、特殊なアミノ酸配列と結合する。好適な特異的なアミノ酸配列はC−C−X−X−C−C(「C」はシステインを表し、「X」はシステイン以外の任意のアミノ酸を表す)である。米国特許出願公開第2005/017065号(二ヒ素分子に関する全ての開示内容が、本明細書に参照により組み入れられる)を参照。
二ヒ素分子の代わりに、又はそれと組み合わせて使用する他の分子には、限定されないが、四ヒ素分子が含まれる。四ヒ素分子は、Tsienらの米国特許第6,054,271号において開示される化学式を有する二つの二ヒ素分子を含む(本明細書において四ヒ素分子に関する全ての開示内容が参照により組み入れられる)。例えば、二つの二ヒ素分子は、連結基で相互に連結される。
抽出物は、細胞溶解液若しくは浸出液、又はそれらのフラクションである。例えば、細胞抽出物は、溶解液中に含まれる他の細胞構成要素を遠心分離、濾過、選択的沈殿、選択的免疫沈降反応、クロマトグラフィー又は他の方法によって分離して得た、溶解液の一部であってもよい。例えば、IVPS用の細胞抽出物の通常の調製方法には、細胞可溶化物を遠心分離して膜及び他の不溶性の構成物を溶解液のペレットとし、上清(IVPS系に使用される抽出物)を取り出すことが含まれる。用語「細胞抽出物」及び「IVPS抽出物」にはまた、タンパク質又は核酸合成に必要又は要求される構成要素に関し、細胞可溶化物又は浸出液に似せて調製した構成要素の混合物が含まれる。IVPS抽出物は、タンパク合成反応において細胞可溶化物又は浸出物(又はそのフラクション)を模倣又は改善する、及び/又は核酸の鋳型からの合成に使用する構成要素を提供する、構成要素の混合物であってもよい。この種の混合物は、当業者にとり自明であろうが、部分的な抽出物又はそのフラクションの回収、及び/又は任意の数の個々の構成要素の混合によっても調製できる。後者は、天然由来でも、又はインビトロで合成されたものでもよい。
本発明において「含まない」の用語は、所与の物質又は構成要素が存在しないことを指す。本発明においては、ある物質が組成物中に、v/v、w/v又はw/wにおいて、1%未満又は約1%、好ましくは0.1%未満又は約0.1%、最も好ましくは0.01%未満又は約0.01%の濃度で存在する場合、その組成物はその物質を含まないという。
本発明において、ある物質が最も好ましくは25%未満又は約25%、好ましくは10%未満又は約10%、最も好ましくは5%未満又は約5%、最も好ましくは1.1%未満又は約1.1%である場合、組成物はその物質を実質的に含まないという。
「検出可能に標識された」及び「標識された」の用語は、本発明において交換して使用可能であり、分子(例えば核酸分子、タンパク質、ヌクレオチド、アミノ酸など)が、他の部分又は分子であって、様々な検出手段(例えば測定機器、目視、写真撮影、X線撮影など)によって検出されうるシグナルを生じるものを付加されている状態を指す。この種の状態においては、分子は、共有結合又はイオン結合、凝集、アフィニティーカップリング(例えば一次及び/又は二次抗体の使用を含み、そのいずれも検出可能な標識を含みうる)などを含む、様々な任意の公知技術によって、シグナルを生じさせる分子又は部分(「標識」又は「検出可能な標識」)を付加(又は「標識」)されてもよい。本発明における、標識又は検出可能に標識された分子の調製に用いられる、検出可能な標識として適切なものには、例えば放射性同位元素標識、蛍光標識、化学発光標識、生物発光標識、酵素標識及び当業者に公知の他のものが含まれる。
「遺伝子」の用語は、本発明において、ポリペプチド、タンパク質又は非翻訳RNA(例えばrRNA、tRNA、アンチセンスRNA)の発現に必要な情報を含む核酸を意味する。遺伝子がタンパク質をコードするときは、プロモーター及び構造遺伝子のオープンリーディングフレーム配列(ORF)、並びにタンパク質発現に関係する他の配列を含む。遺伝子が非翻訳RNAをコードするときは、プロモーター及び非翻訳RNAをコードする核酸を含む。
「目的遺伝子」の用語は、任意の目的(例えば疾患の治療、改良された特性の付与、宿主細胞における目的タンパク質の発現、リボザイムの発現など)のために、それを操作することが望ましいと当業者が考える、あらゆるヌクレオチド配列(例えばRNA又はDNA)を指す。この種のヌクレオチド配列は、限定されないが、構造遺伝子(例えばリポーター遺伝子、選択標識遺伝子、腫瘍遺伝子、薬剤耐性遺伝子、生育因子など)のコーディング配列、並びにmRNA又はタンパク質をコードしないノンコーディング制御配列(例えばプロモーター配列、ポリアデニル化配列、ターミネーター配列、エンハンサー配列など)が挙げられる。
本発明における「宿主」の用語は、複製可能な発現ベクター、クローニングベクター又は任意の核酸分子の取り込み先となる、あらゆる原核生物又は真核生物(例えば哺乳類、昆虫、酵母、植物、鳥類、動物など)を指す。核酸分子は、制限されないが、目的配列、転写制御配列(例えばプロモーター、エンハンサー、阻止物質など)及び/又は複製開始点を含んでもよい。本発明における「宿主」、「宿主細胞」、「組換え宿主」及び「組換え宿主細胞」の用語は、相互に交換して使用できる。この種の宿主に関しては、例えばSambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory」(Cold Spring Harbor,New York)を参照のこと。
本発明において「インビトロ」の用語は、細胞又は有機体の外の系を指し、しばしば無細胞系のことを指すこともある。インビボの系は、基本的に完全な細胞であって、懸濁液又は、他の細胞若しくは固体に結合若しくは接触しているものに関する。インビトロの系は、操作がより容易であるという利点が存在する。構成要素を細胞内部に届けることがなく、細胞機能の維持にとって適切でない操作も可能である。一方、インビトロの系では破壊した細胞又は各種構成要素が使用されるため、所望の機能を発揮させることができ、またそれにより細胞の空間的関係が失われる。インビトロの系の調製時、おそらく所望の活性を左右するであろう構成要素が、廃棄される細胞残渣と共に除去されうる。すなわちインビトロの系は操作が簡便で、インビボの系とは異なる機能を発揮しうる。
「インビトロ転写」(IVT)及び「無細胞転写」の用語は、本発明において交換可能に使用され、RNAからのタンパク質合成を含まない、DNAからRNAへの無細胞合成の任意の方法を指す。好適なRNAは、タンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)である。
「インビトロ転写−翻訳」(IVTT)、「無細胞転写−翻訳」、「DNA鋳型からのインビトロタンパク質合成」及び「無細胞でのDNA鋳型からのタンパク質合成」の用語は、本発明において相互に交換可能に使用され、あらゆる無細胞におけるDNAからのmRNA合成(転写)及びmRNAからのタンパク質合成(翻訳)方法を指す。
「インビトロタンパク質合成」(IVPS)、「インビトロ翻訳」、「無細胞翻訳」、「RNA鋳型からのインビトロタンパク質合成」「無細胞のRNA鋳型からのタンパク合成」及び「無細胞タンパク合成」の用語は、本発明において交換可能に使用され、あらゆるタンパク質の無細胞合成方法を指す。転写及び転写の結合を含むIVTTは、IVPSの非限定的な一例である。
本発明において、「IVPS適合の」及び「IVPSに適合した」の用語は、IVPS抽出物又はインビトロでのポリペプチドの産生に使用可能な系を指す。
本発明において「キット化された」の用語は、キットの形態に調製された組成物を指すために用いられる。キットは一つ以上の試薬、一つ以上の装置又は一つ以上の補給物を含む構成要素の集合体であってよく、そのキットの組成物のうち二つ以上が、プロトコル又は一般方法と同一又は異なる工程で使用されうる。任意に、上記の組成物は、一つ以上の個別容器(例えばチューブ、バイアル、バブルパック、ブリスターパックなど)中に分注した状態で、好ましくは、直接又は間接的なユーザー向け取扱説明書を添えて、例えば箱、ラック、枠箱、パッケージなどの簡便な包装形態で一緒に梱包してもよい。しかしながら、場合によりキットの一つ以上の構成要素を別に梱包してもよい。
本発明における「核酸分子」の用語は、任意の長さの一連なりのヌクレオチド(リボNTP、dNTP、ddNTP又はそれらの組み合わせ)を指す。核酸分子は、完全長ポリペプチド若しくはその任意の長さの断片をコードしてよく、又はノンコーディングであってよい。本発明において「核酸分子」及び「ポリヌクレオチド」の用語は交換して使用でき、一本鎖(ss)及び二本鎖(ds)RNA、DNA及びRNA:DNAハイブリッドを含んでもよい。
本発明において、「ポリメラーゼ」は、既存の鋳型核酸を使用して核酸の合成反応を触媒する酵素を指す。例えば、DNAポリメラーゼ(DNA→DNA反応を触媒)、RNAポリメラーゼ(DNA→RNA)及び逆転写酵素(RNA→DNA)が含まれる。
本発明における「ポリペプチド」の用語は、任意の長さの一連のアミノ酸を指す。「ペプチド」、「オリゴペプチド」又は「タンパク質」の用語は、本発明において「ポリペプチド」の用語と交換して使用できる。
本発明において、「プロモーター」、「プロモーター要素」又は「プロモーター配列」の用語は、目的のヌクレオチド配列に連結されたときに、目的のヌクレオチド配列のmRNAの転写を制御できるDNA配列を指す。プロモーターは、必須ではないが典型的には、そのmRNA転写制御の目的となるヌクレオチド配列の5’側(すなわち上流)に位置し、RNAポリメラーゼ及び転写開始に関与する他の転写制御因子に対する特異的な結合部位を提供する。プロモーターは、構成的でも、又は制御可能であってもよい。プロモーターに関して「構成的」の用語が使用されるときは、そのプロモーターが刺激(例えば熱ショック、化学物質など)の非存在下でも、制御可能に連結された核酸の転写を誘導できることを意味する。対照的に、「制御可能な」プロモーターとは、刺激(例えば熱ショック、化学物質など)が存在する場合に、制御可能に連結された核酸の転写のレベルを、刺激の非存在下における、制御可能に連結された核酸の転写のレベルと異なるレベルにしうるものを指す。
本発明において、目的タンパク質、POI及び「所望のタンパク質」の用語は、試験対象のポリペプチド、又は、その発現が本発明において開示される方法を実施する者により要求されるポリペプチドを指す。目的タンパク質は、その同系の目的遺伝子(GOI)によりコードされる。POIの相同性は公知でも公知でなくてもよい。POIは、オープンリーディングフレームにてコードされるポリペプチドであってよい。
本発明において「可溶化試薬」及び「可溶化剤」の用語は、第二の、疎水性化合物が溶媒(典型的には水)に残留又は溶解するのを助長するあらゆる化合物を指す。
本発明において、特に明記しない限り、「転写」の用語はDNA鋳型からのRNA合成を指す。
本発明において、特に明記しない限り、「翻訳」の用語は、mRNA鋳型からのポリペプチドの合成を指す。
本発明において、「ベクター」の用語には、例えばプラスミド、バクテリオファージ、トランスポゾン、コスミド、染色体、ウイルス、ビリオンなどが含まれ、適当な調節要素と関係するときに複製可能で、細胞間で遺伝子配列を転移できる、任意の遺伝的因子のことを指す。ベクターは、形質転換細胞の識別の用に適する標識を含んでよい。例えば、標識はテトラサイクリン耐性又はアンピシリン耐性を与えるものでもよい。ベクターのタイプには、クローニング用及び発現用のベクターが含まれる。
本発明において「クローニングベクター」の用語は、宿主細胞において独立して複製可能であり、一つ又は少数の制限エンドヌクレアーゼ認識部位及び/又は部位特異的組換え部位の存在を特徴とするプラスミド又はバクテリオファージDNA又は他のDNA配列を指す。外来DNA断片はこれらの部位でベクターに連結され、断片の複製及びクローニングが可能となる。
本発明における「発現ベクター」の用語は、そこにクローニングされた遺伝子を発現できるベクターを指す。この種の発現は、宿主細胞の形質変換の後、又はIVPS系において生じうる。クローニングされたDNAは、通常一つ以上の制御配列(例えばプロモーター、リプレッサー結合部位、ターミネーター、エンハンサーなど)と、制御可能に連結される。プロモーター配列は構成的なものでも、誘導及び/又は抑制可能なものでもよい。
インビトロタンパク質合成(IVPS)
総論
精製されたmRNA転写物、又は、インビトロ合成反応の間にDNAから転写されたmRNAからのインビトロタンパク質合成をサポートする、細胞抽出物を開発した。この種のタンパク合成系は、本明細書において「IVPS系」と称され、IVPSとは「インビトロ(In vitro)でのタンパク質(Protein)合成(Synthesis)」の頭字語である。
鋳型核酸は、他の鋳型核酸又はタンパク質の直接合成に関与する核酸分子である。鋳型は、多数のヌクレオチドサブユニットから構成される分子で、ヌクレオチドサブユニットの長さやタイプにおいて変化しうる。DNA及びRNA(例えばmRNA)は、タンパク質及び核酸合成の鋳型として使用可能な核酸種である。DNA鋳型の転写により、前記鋳型の全部又は一部と相補的なRNA鋳型が形成される。RNA鋳型の翻訳により、その鋳型の全部又は一部がコードするタンパク質又はペプチドが産生される。すなわち、合成反応における鋳型とは、所望のタンパク質を直接又は間接的にコードする核酸の一つ以上の種である。
一般的に、IVPS抽出物に含まれるtRNA分子は、抽出物の調製に用いる給源細胞に由来する。しかしながら、本発明は、内因性のtRNAを欠失したIVPS抽出物を提供する。上記のtRNA欠失のIVPS反応はtRNA分子の添加によって制御され、それは合成物でも他の生物由来でもよい。更に、変異tRNAは、非天然アミノ酸を特殊な目的に使用するタンパク質に取り込むために使用されうる。
一般に、IVPS抽出物に含まれるアミノ酸の少なくとも幾つかは、抽出物の調製に用いる給源細胞に由来する。しかしながら、本発明は、内因性のアミノ酸を実質的に欠失したIVPS抽出物を提供する。IVPS反応は更にアミノ酸の添加によっても制御可能であり、それは合成物でも他の生物由来のものでもよい。
タンパク質及び核酸の合成は、一般にエネルギー源を必要とする。この種の合成をサポートするのに充分なエネルギー源を提供することが、本発明の特徴である。エネルギーは、転写を開始しmRNAを産生する(例えばDNA鋳型を使用し翻訳を誘導するとき、例えばGTP形態の高エネルギー−リン酸が使用される)のに必要とされる。リボソームによる一つ一つのコドンにおける各反応(三つのヌクレオチドが一つのアミノ酸に対応)の際、更にGTPのGDPへの加水分解が必要となる。ATPも一般的に必要とされる。タンパク合成においてアミノ酸が重合するためには、最初に活性化される必要がある。活性化には、二つの高エネルギーリン酸結合の加水分解が必要となる。すなわち、アミノ酸モノマーは、Mg2+、tRNA及びATPの存在により反応し、アミノアシル−tRNA、AMP及び無機ピロリン酸(PPi)を形成する。すなわち、高エネルギーリン酸結合からの顕著な量のエネルギーが、タンパク質及び/又は核酸合成の進行に必要となる。
鋳型を保持し、合成過程の寿命を最大化するのが望ましい。本発明の合成系には、鋳型を保持する構成要素を添加してもよい。鋳型の酵素的な、化学的な、又はその他の分解を防止することにより、鋳型を保持できる。ゆえに、本発明の合成系では、物質合成を改善するために抽出物に工夫を加えてもよい。抽出物がタンパク質及び/又は核酸を産生する活性を有する酵素を含むときは、これらの酵素の抑制により、系におけるより効果的な合成が実現される。すなわち、少なくとも一つの酵素阻害剤を含むインビトロ合成系は、本発明の実施態様である。ヌクレアーゼ及びホスファターゼ阻害剤の使用は、タンパク質及び/又は核酸合成効率の向上にとって有利である。また、合成反応に使用する化合物を無駄に消費する酵素を阻害することで、合成効率を改善してもよい。抽出物に存在する特異的な酵素、例えば多くの公知のヌクレアーゼ、ポリメラーゼ又はホスファターゼに対する一つ以上の阻害剤を選択でき、それを使用することで、合成効率が有利に改善されうる。
IVPSの構成成分及び/又はポリペプチド産物の可溶化を助長する物質を、IVPS系に添加してもよい。幾つかの本発明の態様において、一つ以上の脂質、表面活性剤(surfactant)又は界面活性剤(detergent)を、IVPS抽出物、IVPS反応系又は供給溶液又はその他に添加する。一つ以上の脂質、一つ以上の表面活性剤又は一つ以上の界面活性剤又はそれらの任意の組み合わせをIVPS反応に添加し、系におけるタンパク質の収量、可溶性タンパク質の収量又は活性型タンパク質の産生を改善することができる。いかなる特定の機構に限定されるものではないが、脂質、表面活性剤及び/又は界面活性剤は、タンパク質又はIVPS抽出物の構成要素の溶解性を改善しうる。好適な脂質にはリン脂質が含まれ、本明細書において以下に開示されている。表面活性剤には、界面活性剤でない表面活性剤であるスルホベタインを含むあらゆる表面活性剤が含まれるが、それに限定されない。好適な表面活性剤は、非イオン系及び両性イオン系の表面活性剤であり、本明細書において以下に更に記載されている。
一般に、IVPS反応の幾つかの構成要素(例えばリボソーム、tRNA、翻訳因子及び補因子)は、給源生物から調製されたIVPS抽出物の形で調製される。限定されないが、原核細胞、真核細胞、細胞器官及びウイルスを含む任意のタイプの給源生物が、IVPS系のための給源生物として使用可能である(例えばPelhamら、European Journal Of Biochemistry,67:247,1976を参照)。原核生物の系では、同時又は「共役」による転写及び翻訳が可能である点で有利である。
幾つかの実施態様において、本発明は、一つ以上のExpressway(商標)IVPSシステム(Invitrogen、Carlsbad、CA)、又はそのアッセイ使用に関する。Expressway(商標)システムは、限定されるものではないが以下のものを含む。
ExpresswayTM In vitro Protein Synthesis System Manual、Version C、2003年4月11日(www.invitrogen.com/content/sfs/manuals/expressway_man.pdf参照)。
ExpresswayTM Linear Expression System Manual、Version A、2003年9月26日(www.invitrogen.com/content/sfs/manuals/expresswaylinear_man.pdf参照)。
ExpresswayTM Linear Expression System with TOPO(registered trademark) Tools Technology、Version A、2003年9月26日(www.invitrogen.com/content/sfs/manuals/expresswaylinearwithTOPO(registered trademark)tools_man.pdf参照)。
Expressway Plus Expression System Manual、Version A、2003年9月26日(www.invitrogen.com/content/sfs/manuals/expresswayplus_man.pdf参照)。
Expressway Plus Expression System with Lumio Technology Manual、Version B、2004年2月27日(www.invitrogen.com/content/sfs/manuals/expresswayplus_lumio_man.pdf参照)。
幾つかの態様において、本発明は、供給溶液、並びに供給溶液の調製及び使用方法に関する。供給溶液とは、反応開始後、インビトロタンパク質合成(IVPS)反応に添加される溶液である。すなわち、供給溶液が存在しない場合でも反応が進行するという点では、供給溶液はIVPSに必須の構成要素ではない。供給溶液は、IVPS反応の進行中に添加され、系において産生されるタンパク質の収量、可溶性タンパク質の収量又は活性タンパク質の収量の一つ以上を向上させる。
バッチ反応においては、合成の初速度が速く、やがて減速し、約3時間後に最終的に停止する。アミノ酸が取り込まれ又は代謝されると、反応混合物の組成が変化し、またエネルギー源が代謝されると反応抑制性の遊離リン酸が生じる。例えばKawarsakiら、Anal.Biochem.226:320,1995、Patnaikら、BioTechniques 24:862,1998及びKigawaら、J.Biochem.,110:166,1991を参照されたい。
IVPS反応は、一定時間経過後に「供給溶液」(別名「供給バッファー」)として新鮮な構成要素を供給することで延長でき、それにより反応抑制性の副産物が希釈されるという望ましい効果も奏される。しかしながら一方では、転写及び/又は翻訳因子の過度な希釈により、IVPS系の活性減少又は損失となりうる。
より高密度の反応混合物が供給溶液によって積層され、構成要素は受動拡散で交換される。反応速度は、反応器の「非振とう」のために遅い。例えばSawasakiら、2 FEBS Lett 514:102,2002を参照。
反応チャンバーが一つ以上の透析膜によって供給溶液と隔離されており、基質及び副産物の連続的な交換が可能である。例えばEndoら、J.Biotechnol.25:221,1992;及びSpirinら、Science 24:1162,1988を参照。
(a)バッファー(10〜500mM、好ましくは10〜100mM)、
(b)10〜500mM(好ましくは60〜120mM)の酢酸アンモニウムを含む、一つ以上の塩、
(c)一つ以上の還元剤、
(d)少なくとも四つのアミノ酸、及び
(e)一つ以上のエネルギー源及び/又は補因子。
本発明の幾つかの態様において、一つ以上の脂質、表面活性剤又は界面活性剤が、IVPS細胞抽出物又はIVPS反応混合物に添加される。一つ以上の脂質、表面活性剤又は界面活性剤により、幾つかのタンパク質(例えば膜タンパク質)の溶解性又は活性が向上する。IVPS系における、一つ以上の脂質及び一つ以上の表面活性剤、一つ以上の脂質及び一つ以上の界面活性剤、一つ以上の表面活性剤及び一つ以上の界面活性剤、並びに、一つ以上の脂質及び一つ以上の表面活性剤及び一つ以上の界面活性剤、の組み合わせの使用が含まれると解される。
1−ブタンスルホン酸ナトリウム、1−デカンスルホン酸ナトリウム、1−ドデカンスルホン酸ナトリウム、1−ヘプタンスルホン酸ナトリウム、1−ノナンスルホン酸ナトリウム、1−プロパンスルホン酸ナトリウム一水和物、及び2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウム、
コール酸ナトリウム水和物、胆汁酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサンスルホン酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム、ペンタンスルホン酸ナトリウム、及びタウロコール酸ナトリウム、
タウロケノデオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム一水和物、タウロヒオデオキシコール(Taurohyodeoxycholic)酸ナトリウム塩水和物、タウロリトコール酸3−硫酸二ナトリウム塩、及びタウロウルソデオキシコール酸ナトリウム塩、
並びに、ケノデオキシコール酸、コール酸(雄牛又は羊胆汁)、デヒドロコール酸、デオキシコール酸メチルエステル、ジギトニン、ジギトキシゲニン、N,N−ジメチルドデシルアミン N−オキシド、ドキュセートナトリウム塩、N−ラウロイルザルコシンナトリウム塩、ドデシル硫酸リチウム、Niaproof4(Type4)、1−オクタンスルホン酸ナトリウム塩、Trizma(登録商標)ドデシル硫酸、及びウルソデオキシコール酸、が含まれる。
Span(登録商標)系界面活性剤、例えば、限定されないがSpan(登録商標)20、Span(登録商標)40、Span(登録商標)60、Span(登録商標)65、Span(登録商標)80、及びSpan(登録商標)85、
Triton系界面活性剤、例えば、限定されないがTriton CF−21、Triton CF−32、Triton DF−12、Triton DF−16、Triton GR−5M、Triton QS−15、Triton QS−44、Triton X−100、Triton X−102、Triton X−15、Triton X−151、Triton X−200、Triton X−207、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−114、Triton(登録商標)X−165、Triton(登録商標)X−305、Triton(登録商標)X−405、Triton(登録商標)X−45、及びTriton(登録商標)X−705、
Tergitol系界面活性剤、例えば、限定されないが、Tergitol(Type 15−S−12)、Tergitol(Type 15−S−30)、Tergitol(Type 15−S−5)、Tergitol(Type 15−S−7)、Tergitol(Type 15−S−9)、Tergitol(Type NP−10)、Tergitol(Type NP−4)、Tergitol(Type NP−40)、Tergitol(Type NP−7)、Tergitol(Type NP−9)、Tergitol(Type TMN−10)、及びTergitol(Type TMN−6)、
TWEEN(登録商標)系界面活性剤、例えば、限定されないが、TWEEN(登録商標)20、TWEEN(登録商標)21、TWEEN(登録商標)40、TWEEN(登録商標)60、TWEEN(登録商標)61、TWEEN(登録商標)65、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)80、TWEEN(登録商標)81、及びTWEEN(登録商標)85、
Mega系の界面活性剤、例えば、限定されないが、Mega−8及びMega−10、
N−ドデカノイル−N−メチルグルカミン、n−デシル a−D−グルコピラノシド、デシル β−D−マルトピラノシド、n−ドデカノイル−N−メチルグルカミド、n−ドデシル a−D−マルトシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、及びn−ヘキサデシル−β−D−マルトシド、
ヘプタエチレングリコールモノデシルエーテル、ヘプタエチレングリコールモノドデシルエーテル、及びヘプタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、
ヘキサエチレングリコールモノドデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ヘキサエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、及びヘキサエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、
オクタエチレングリコールモノデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、オクタエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、及びオクタエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、オクチル−b−D−グルコピラノシド、
ペンタエチレングリコールモノデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノオクタデシルエーテル、及びペンタエチレングリコールモノオクチルエーテル、
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリエチレングリコールエーテルW−1、
ポリオキシエチレン10トリデシルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン100、ポリオキシエチレン20イソヘキサデシルエーテル、及びポリオキシエチレン20オレイルエーテル、
ステアリン酸ポリオキシエチレン40、ステアリン酸ポリオキシエチレン50、ステアリン酸ポリオキシエチレン8、ポリオキシエチレンビス(イミダゾリルカルボニル)、及びポリオキシエチレン25、
テトラエチレングリコールモノデシルエーテル、テトラエチレングリコールモノドデシルエーテル、及びテトラエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、
トリエチレングリコールモノデシルエーテル、トリエチレングリコールモノドデシルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル、トリエチレングリコールモノオクチルエーテル、及びトリエチレングリコールモノテトラデシルエーテル、
ホスフィンオキシド(例えばAPO−9、APO−10、APO−12)、
並びに、ビス(ポリエチレングリコールビス[イビダゾリルカルボニル])、Cremophor(登録商標)EL、デカエチレングリコールモノドデシルエーテル、チロキサポール、及びn−ウンデシル−β−D−グルコピラノシド、Igepal CA−630、メチル−6−O−(N−ヘプチルカルバモイル)−a−D−グルコピラノシド、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル、N−ノナノイル−N−メチルグルカミン、NP−40、ステアリン酸プロピレングリコール、サポニン(例えばキラヤ樹皮からのサポニン)、及びテトラデシル−b−D−マルトシド、が含まれる。
並びに、BigCHAP、CHAPS、CHAPSO、ジメチル−ドデシルアミン、DDMAU、ラウリルジメチルアミンオキシド(LADAO、LDAO)、及びN−ドデシル−N,N−ジメチルグリシン、が含まれる。
本発明はまた、NMRに用いる同位体標識タンパク質の標識方法を提供する。上記方法には、インビトロタンパク質合成系において少なくとも一つの同位元素で標識されたアミノ酸を含むタンパク質の合成が含まれ、そこでは供給溶液が反応開始後1時間までにインビトロ翻訳反応に添加される。上記方法には、好ましくは、IVPS反応の前に、少なくとも一度のバッファー交換を伴う少なくとも8時間の透析がなされた細胞抽出物の使用が含まれる。より好ましくは、細胞抽出物はIVPS反応の前に少なくとも2時間の透析、それに続く少なくとも8時間の透析がなされ、最も好ましくは、細胞抽出物はIVPS反応の前に少なくとも2時間の透析、それに続く少なくとも12時間の透析がなされる。
本発明は、幾つかの態様において、クローニング用及び発現用ベクター及びその宿主に関する。本明細書において用いられるTOPO(登録商標)クローニングシステムは、公開された米国特許出願2003/0022179号(Chesnutら、2003年1月30日に公開、「Methods and reagents for molecular cloning」)に記載されており、そのTOPO(登録商標)クローニングシステム及び方法に関する全ての開示内容が本明細書に参照により組み入れられる。
インビトロ合成用のキットもまた、本発明を特徴づけるものである。このキットには、本発明の実施に試用する試薬又は構成要素を任意の数又は組み合わせで含めることができる。本発明のキットは、好ましくは、本発明の一つ以上の構成要素であって、例えば、細胞抽出物、IVPS反応バッファー、供給溶液、酵素、阻害剤、アミノ酸混合物又は一つ以上のアミノ酸又はその誘導体、一つ以上のポリメラーゼ、一つ以上の補因子、一つ以上のバッファー又は緩衝塩、一つ以上のエネルギー源、一つ以上の鋳型核酸、キットの分析の効率若しくは目的物(例えば核酸及びタンパク質)の生成を測定する一つ以上の試薬、並びに、本発明の方法を実施するための、又は、本発明のキット及び/若しくはその構成要素の使用上の指示書又はプロトコル、からなる群から選択される一つ以上の要素を含む。本発明のキットには、上記の構成要素の一つ以上を任意の数の別々の容器、チューブ、バイアルなどに含めることができ、又は、この種の構成要素を上記容器中で様々に組み合わせてもよい。
実施例1
供給溶液の組成
代表的な溶液は、
(a)バッファー(最終濃度10〜100mM)、
(b)一種以上の塩、
(c)一種以上の還元剤、
(d)一種以上のエネルギー源及び/又は補因子、
(e)少なくとも4種のアミノ酸、及び
(f)酢酸アンモニウムを含有する。
反応のpHを維持するためにHEPESバッファーを添加した。供給溶液のpHは、pH8.0(反応初めは7.6)に上昇した。HEPESバッファーは、インビトロ合成反応系での最終濃度が20〜80mMとなるよう含有させるのが好ましく、その場合、典型的な供給溶液は、HEPESの最終反応濃度が57.5mMとなる。供給溶液としてバッファーを単独で添加しても収量が上昇しなかったが、おそらくタンパク質のフォールディングを適切にすることによる、合成産物の活性を僅かな刺激効果が見られた。
2mM CaCl2の存在を除き、初めの反応液中の塩と同一となるように供給溶液に塩を含め、イオン強度を維持した。カルシウムの添加により、収量が約10%上昇した。
ジチオスレイトール(DTT)を還元剤として用いた。
試験した解糖系中間体は、ホスホエノールピルビン酸、アセチルリン酸、グルコース−6−リン酸(Glu−6−P)、フルクトース−6−リン酸、及び3−ホスホグリセリン酸単独、又はそれらの組み合わせである。最適な解糖系中間体の総濃度は、20mM〜60mM(合成反応における最終濃度)であると見出された。
NAD又はNADHを溶液中に添加し、アッセイにおける最終濃度を0.1〜1mMとした。
アミノ酸を供給溶液中に添加し、最終濃度を1.25mMとした。5mMまでのアミノ酸の最終濃度は有害ではなかった。供給溶液中に添加されたアミノ酸は、バッファー単独の添加と比較し、収量を30%まで上昇させ(表4)、これは分解又は劣化したアミノ酸の幾らかが、新鮮なアミノ酸と交換されたことによるものと考えられる。反応開始時のアミノ酸濃度は、各アミノ酸で1.25mMであり(1.5mMで添加したメチオニン及びシステインを除く)、このアミノ酸濃度の上昇は当初、収量における同様の刺激効果を生じさせなかった。したがって、後における補充が重要であると示唆された。この時点での供給溶液は、1.5mMで存在するメチオニン及びシステインを除き、1.25mMの各アミノ酸が含まれている。
供給溶液中の様々な成分による収量及び活性
標準的な50μL Expressway(商標)Plus(Invitrogen、Carlsbad、CA)反応系を構築し、原則的に製造業者の指示に従い37℃でインキュベートした。反応系には、大腸菌のRNaseA欠損変異体の抽出液600〜800μg、2.5μg/mL Gamタンパク質、820U T7酵素、20U RNaseOut、1mM アミノ酸(メチオニンを除く)、1.5mMメチオニン、及び0.5〜1μg鋳型DNA(環状及び直鎖のいずれか)を含む1×IVPSバッファー(58mM Hepes(pH7.6)、1.7mM DTT、1.2mM ATP、0.88mM UTP、0.88mM CTP、0.88mM GTP、34μg/mL フォリン酸、30mM アセチルリン酸、230mM グルタミン酸カリウム、12mM 酢酸マグネシウム、80mM NH4OAc、0.65mM cAMP、30mM ホスホエノールピルビン酸、2% ポリエチレングリコール)を添加した。エッペンドルフサーモミキサーを使用し1.5〜2mL微量遠心管内で、30℃又は37℃のいずれかにて2〜6時間緩やかに振とう(1000〜1400rpm)し、反応を進行させた。反応時間全体に亘り、異なる時間間隔において、反応液に1/2量(初めの反応液の容量に対する)の供給バッファーを供給した。
LacZ及びGFPの発現に与える、供給時間及び供給量の効果
標準的な50μL Expressway(商標)Plusの反応系を、実施例1に記載の通り構成し、37℃でインキュベートした。指示通りの時点で供給バッファーを添加した。単回供給の場合は供給溶液を1容量(50μL)添加し、二回供給の場合は供給溶液2容量(各25μL)を添加した。[35S]メチオニンの取り込みに基づき、タンパク質の総収量を算出した。発光アッセイによりLacZ活性を測定し、これを相対発光単位(RLU)として示した。GFP活性をその蛍光(励起:395nm、放射:509nm)により測定し、これを相対蛍光単位(RFU)として示した。
mg単位のタンパク質合成
以下のヒトORFを、Gateway技術(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国特許第5,888,732号及び米国特許第6,277,608号を参照、両方のGatewayクローニング技術、方法、及びベクター系に関する全開示内容が参照により本明細書に組み入れられる)を使用して、pEXP1又はpEXP3内に、またTOPO(登録商標)TAクローニング(Invitrogen、Carlsbad、CA、米国特許第5,851,808号及び米国特許第6,828,093号、両方のTOPO(登録商標)クローニング技術、方法、及びベクター系に関する全開示内容が参照により本明細書に組み入れられる)によりpEXP5−NT/TOPO(登録商標)(配列番号:38)及びpEXP5−CT/TOPO(登録商標)(配列番号:41)にクローニングした:脳クレアチンキナーゼB鎖(CKB、Invitrogenカタログ#IOH5211、Ganbank NM001823)、主要組織適合性複合体、クラスII、DOα、HLA−DO−α、(HLA−DOA、Invitrogenカタログ#IOH10959、クレアチンキナーゼに類似した、筋(CKM、Invitrogenカタログ#IOH7287、Ganbank NM001823)、カルモジュリン様3(CALML3、Invitrogenカタログ#IOH22362、Ganbank NM005185)、及びインターロイキン24(IL24、Invitrogenカタログ#IOH9846、Ganbank BC009681)。
細菌細胞からのIVPS抽出物
以下のプロトコルを用いて、大腸菌を含む細菌株から、S30抽出物を調製した。
大腸菌K12 A19細胞を、セレローズ(Cerelose)(5g/L)を添加した50L緩衝2×YT(トリプトン 16g/L、酵母エキス 10g/L、塩化ナトリウム 5g/L、無水第二リン酸ナトリウムNa2HPO4 5.68g/L、無水第一リン酸ナトリウムNa2HPO4 2.64g)培地中で増殖させた。細胞を、回転盤(一般に、250rpm)上にて、37℃で、OD590が約3.0〜約5.0の範囲に到達するまで(通常約6〜約8時間)培養した。細胞を更に新鮮な培地中に播種し、その際、初期OD590が約0.05〜約0.10であった。その後、37℃、250rpm、50slpm、5psiにて、OD590約3.0〜約3.5となるまで培養した。細胞をSorvall GS3型ローターに移し、5000×gで15分間遠心分離した。必要に応じて上清を吸引除去した(細胞ペーストは、次の工程に進む前に、好ましくは5日間又はそれ以下の期間−80℃で保存してもよい)。
細胞溶解に先立ち、細胞をS30バッファー+6mM β−メルカプトエタノールで洗浄した。S30バッファー、6mM β−メルカプトエタノールを細胞に添加し、細胞ペーストが溶解するまで、25mLピペットで「破砕、撹拌」した。S30バッファーは、10mMトリス、14mM酢酸マグネシウム及び60mM酢酸カリウム(pH8.2)である。懸濁液をRC3B遠心分離機にて4,500rpmで20分間回転させた。上清をデカントし、洗浄を繰り返した。
(最初の通過OD590/初めのOD590(上記参照))×100=未溶解率(%)
100−未溶解率(%)=溶解効率(%)
上清の容量を測定した。10×プレインキュベーションミックスを上清に添加し(2回の溶解後遠心分離後)て1×最終濃度とし、溶解物を37℃で150分間インキュベートした。プレインキュベーションミックスは、使用直前に、その成分を以下の順序で添加し調製した。調製後、氷上に静置した。
73mM トリス−酢酸、22℃にてpH8.2
10μM アミノ酸ミックス
1.1mM ジチオスレイトール(DTT)
2.3mM 酢酸マグネシウム
21mM ホスホエノールピルビン酸
60mM 酢酸カリウム
3.3mM ATP
126U/mL ピルビン酸キナーゼ
異なる界面活性剤を用いて調製したIVPS抽出物を使用した、可溶性タンパク質の収量の比較
細菌細胞ペレットを、界面活性剤を添加しない、又は以下の界面活性剤の一つを添加したS30バッファーに再懸濁したことを除き、上記実施例に記載の要領にてS30抽出物を調製した:0.09%Brij35、0.1%ドデシルマルトシド、0.1%Triton X−100、又は0.3%CHAPS。全ての界面活性剤を、CMCの濃度以上の濃度で使用した。次いで、再懸濁した細胞をC5 Emulsiflex内で溶解した。溶解した細胞を上述のように遠心分離し、上清を1/10容量の翻訳ミックス及びピルビン酸キナーゼと共にプレインキュベートした。次いで、抽出物を、S30バッファー(界面活性剤無添加)により、一晩で二度の交換を伴う透析を行った。
界面活性剤で抽出した細胞膜をインビトロ翻訳系へ添加することによる効果
翻訳に使用される細胞抽出物から細胞膜を分離する前に一種又は二種以上の表面活性剤又は界面活性剤による細胞又は細胞溶解物の処理が、タンパク質合成の収量又は活性に有利な効果を与えるか否かを解析するため、「アッドバック(add back)」実験を行った。以下の実験において、細胞を溶解し、界面活性剤の不在下で、細胞抽出物を(遠心分離を用い)調製した。界面活性剤で溶解した細胞ペレット抽出物を用いて溶解させた細胞ペレットを別に抽出し、そのペレット抽出物の一部を、IVTT反応に使用するS30抽出物にアッドバックすることにより、界面活性剤を用いて調製した細胞ペレットの画分から抽出できる成分が、果たしてインビトロ翻訳に有利な効果を与えるかを解析した。
15N標識細胞フリーアミノ酸のインビトロで発現したタンパク質への取り込み
15Nで標識したSUMOタンパク質(配列番号:1、米国特許第6,872,343号、SUMOタンパク質及び核酸配列、並びにそれらの使用に関する全開示内容が参照により本明細書に組み入れられる)を精製し、質量分析法により試験して15Nの取り込みの程度を測定した。理想的には、目的タンパク質は、非標識アミノ酸を全く有さない必要があり、NMR等の用途には均質な標識タンパク質が望ましい。図4に、対照(非標識)SUMOタンパク質と、15N標識したSUMOタンパク質を質量分析で検出した際の比較実験の結果を示す。上記結果は、いかなる天然の非標識アミノ酸を排除する、15N標識アミノ酸の完全又はほぼ完全な取り込みを示す。
SUMO及びヒトORFカルモジュリン様3タンパク質(CALML3)を、pEXP5−NT/TOPO(登録商標)TAベクター内にクローニングし、均一に標識した10mg/mLのNアミノ酸を含有する5mL Expressway(商標)NMR反応で発現させた。SUMO及びCALML3タンパク質を、上記のように合成及び精製した。最終反応物を結合バッファーで1:1に希釈し、Ni−NTA樹脂上で精製し、精製プロファイルをクマシー染色した4〜12%NuPAGE(登録商標)ゲル上で分析した。ピーク画分を回収し、質量分析の前に透析した。最終的な回収物は、約4mgのSUMO及び4.5mgの精製CALML3であった。
各IVTT反応において、以下の成分を添加し、30℃で4時間インキュベートした。大腸菌S30 20mL、2.5×IVPS NMRバッファー(145mM HEPES−KOH(pH7.6)、4.25mM DTT、3.0mM ATP、2.2mM UTP、2.2mM CTP、2.2mM GTP、85μg/mL フォリン酸、75mM アセチルリン酸、575mM 酢酸カリウム、30mM 酢酸マグネシウム、200mM NH4OAc、1.625mM cAMP、75mM PEP、5% PEG(バッファー中にアミノ酸存在せず))20mL、T7 RNAポリメラーゼ1mL、RNaseOUT(商標)0.5mL、5mLの100mg/mL 15N標識細胞フリーアミノ酸(反応物中の最終濃度は10mg/mL)、DNA 1mg、35S−メチオニン 0.5mL、更にヌクレアーゼフリーH2Oで50mLとした。50mLの供給バッファー(25mL 2×供給バッファー、0.5mL 35Sメチオニン、5mLの100mg/mL 15N標識細胞フリーアミノ酸、ヌクレアーゼフリーH2Oで50mLとした)を、各反応物に30分後に添加した。4時間目の終わりに、5mLの反応物をTCA沈殿し、タンパク質の収量を測定した。非標識タンパク質発現においては、標識したアミノ酸を非標識アミノ酸(最終反応物中1mM)で代替し、上記のIVTT反応を実施した。
取り込みパーセンテージの計算式:
取り込み=標識時ピーク強度/(対照ピーク強度+標識時ピーク強度)
標識ペプチドに対する15Nアルギニンの取り込み(%)=100/(25+100)=80%
IVPSバッファー中の一成分、グルタミン酸カリウムは、タンパク質の高発現を補助する。系内のグルタミン酸カリウムは、反応液中に遊離グルタミン酸を放出する。グルタミン酸は、グルタミン及びアスパラギン酸の前駆体である。この化合物の存在により、タンパク質の13C/15Nアスパラギン酸、13C/15Nアスパラギン、13C/15Nグルタミン酸又は13C/15Nグルタミンによる標識が困難となる。この問題を克服するため、本発明者等は、タンパク質収量を低下させない、グルタミン酸カリウムの代替化合物を数々試験した。本発明者が試験した化合物のほとんどは、タンパク質収量を有意に低下させるものであった。酢酸カリウムは、グルタミン酸カリウムを置換する一選択肢であったが、タンパク質収量はグルタミン酸カリウムよりも50%低かった。
二種のSUMOペプチドについて、グルタミン酸カリウムベースのバッファーを使用した際の、安定な同位体の該ペプチドへの取り込みの程度を試験した。
SUMO47−54ペプチド(質量ピーク965.4)は、そのアミノ酸配列:Arg−Leu−Met−Glu−Ala(配列番号:2)内に一つのGlu残基を含む。
SUMO72−109ペプチド(質量ピーク4229.1)は、そのアミノ酸配列:Ile−Gln−Ala−Asp−Gln−Thr−Pro−Glu−Asp−Leu−Asp−Met−Glu−Asp−Asn−Asp−Ile−Ile−Glu−Ala−His−Arg−Glu−Gln−Ile−Gly−Gly−Pro−Gly−Gly−Gly−Ser−His−His−His−His−His−His(配列番号:3)内に、三つのGln残基を含む。
CALML3ペプチドについて、酢酸カリウムベースの組成物を使用した際の、安定な同位体の該ペプチドへの取り込みの程度を試験した。
47−54CALML3ペプチド(質量ピーク965.5242)は、そのアミノ酸配列:Gly−Cys−Ile−Thr−Thr−Arg−Glu−Leu(配列番号:4)内に一つのGlu残基を含む。
CALML3 56−64ペプチド(質量ピーク1063.521)は、そのアミノ酸配列:Thr−Val−Met−Arg−Ser−Leu−Gly−Gln−Asn(配列番号:6)内に一つのGln残基を含む。
標識効率を評価するために、SUMO及びCALML3タンパク質の双方を、数種の15N標識アミノ酸で標識した。短時間透析したS30(2時間透析したS30)を用いて、15Nアスパラギン、15Nグリシン、15Nチロシン、15Nグルタミン及び15Nグルタミン酸(Cambridge Isotope Laboratory)を使用してSumoタンパク質を合成し、取り込みにを評価した。取り込みは、同位体比測定器(ChemSW)分析によれば、各々0%、65%、65%、0%及び0%であった。Sumoのペプチド65−71(Phe−Leu−Tyr−Asp−Gly−Ile−Arg、配列番号:7)を用いて、標識の効率性を比較した。非標識ペプチドは、883.59Daの質量を有する。非標識ペプチドは、一つのグリシン及び一つのチロシンを有する。以上より、標識したペプチドの質量は、884.59Daであると想定される。MSデータは、いずれかのアミノ酸で標識したペプチドの両方に関して、質量ピーク884.5Daを示す。グルタミン酸カリウムを含有するIVPSバッファーを使用して、タンパク質合成を行った。
N末端タンパク質融合のためのベクター作成
IVPSによるタンパク質の発現及び精製用に、数種のベクターを形成した。全構築物をDNAシークエンシングにより確認した。この実施例では、目的のクローニングタンパク質のアミノ末端に、一種又は二種以上の目的の融合タンパク質要素が融合されているベクターの作成について説明する。
*これらのオリゴヌクレオチドは、Integrated DNA Technologiesから、5’−リン酸化及びHPLC精製済みのものを購入した。
pEXP−NT/TOPO(登録商標)を使用したTOPO(登録商標)クローニング
pEXP5−NT/TOPO(登録商標)ベクターを使用した、TOPO(登録商標)クローニングの一般的な工程図を図10に示す。pEXP5−NT/TOPO(登録商標)ベクターを用いたTOPO(登録商標)クローニングの幾つかの実施例を、以下に示す。
プラスミドpEXP5−NT/TOPO(登録商標)(100μg)を、50℃で16時間、最終液量500μLにて、100Uの制限酵素BfuA1(NEB)で完全に消化した。80μLの4M LiCl及び1mLのエタノールを添加し、DNAをエタノール沈殿した。この混合液を−80℃で10分間インキュベートし、4℃で30分間遠心分離した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、100μLの無菌水に再懸濁した。
ベクターのTOPO(登録商標)TAクローニングの性能を評価するため、lacZαペプチドをレポーターとしてコードするDNA断片を使用した。この断片のベクター内へのクローニングが成功すると、X−galプレート上にTOP10形質転換細胞の青色コロニーを生成する一方、他の構築物では白色コロニーを生成する。充填DNAを用いた一回のTOPO(登録商標)反応により、2,712コロニーを生成し、そのうち44(1.6%)のみが白色であった。ほぼ全て(98.4%)のコロニーが青色であり、これはすなわち、これらがlacZを発現し、非常に効率的で正確にクローニングされたことを示す。
C末端タンパク質融合用のベクター作製
IVPSによるタンパク質の発現及び精製用に、数種のベクターを構築した。全ての構築物をDNAシークエンシングで確認した。この実施例では、目的のクローニングタンパク質のカルボキシル末端側で、一種又は二種以上の所望の融合タンパク質要素と融合されるベクターの作製について説明する。ベクターは終止コドンを含むクローニングにより完全長の目的の天然タンパク質を生成する選択肢を研究者に与え、又は終止コドンを含ませずにクローニングした場合、C末端Hisタグは、目的タンパク質と8つの追加アミノ酸(KGHHHHHH、配列番号:41)とを含む融合タンパク質の一部として発現されると想定される。
pEXP5−CT/TOPO(登録商標)を使用したTOPO(登録商標)クローニング
pEXP5−CT/TOPO(登録商標)ベクターを使用したTOPO(登録商標)クローニングの一般的な工程を図12に示す。pEXP5−CT/TOPO(登録商標)ベクターを使用したTOPO(登録商標)クローニングの数個の実施例を以下に示す。
プラスミドpEXP5−CT/TOPO(登録商標)(100μg)を、500UのEcoRI(NEB)を用い、400μLにて、NEBバッファー3中で2時間消化させ、直鎖状にした。次いで、500UのBsaI(NEB)を用い、反応物に制限酵素を補充し、50℃で4時間インキュベートしてベクターを消化した。3M酢酸ナトリウム40μL、及びエタノール880μLを添加しDNAをエタノール沈殿した。混合物を−80℃で10分間インキュベートし、4℃で30分間遠心分離した。ペレットを70%エタノールで洗浄し、68μLのTEに再懸濁した。大きい断片をイソプロパノール沈殿により除去した。これは3M酢酸ナトリウム6μL、及びイソプロパノール73μLを加え、5分間遠心分離する前に、室温で5分間インキュベートすることにより行った。ペレットを70%エタノールで洗浄し、無菌水100μLに再懸濁した。
pEXP5−CT/TOPO(登録商標)構築物を、原則的に上記のとおり完全長タンパク質の発現レベルに関して、Gateway(登録商標)pEXP4ベクターと比較した。各レーンからの完全長産物のPhosphorimagerによる解析結果を、各発現構築物内のメチオニンの合計数で割ることにより発現を測定した。ORFの各対に関して最も高い発現を示したものの数値を標準とし、パーセンテージで表示した。
TOPO(登録商標)ベクターからのタンパク質発現
pEXP1−DEST対pEXP5−NT/TOPO(登録商標)の発現レベルの比較
TOPO(登録商標)ベクターから発現した産物の相対的な品質及び収量を評価するため、異なる6の哺乳動物種由来ORFを(1)pEXP5−NT/TOPO(登録商標)ベクター内にTOPO(登録商標)クローニングし、また(2)Gateway(商標)技術を用いてattL×attR組み換えによりpEXP1−DESTベクター内にクローニングした。上記の「供給」法により、無細胞反応を行った。2μLのサンプルをアセトン沈殿し、SDS−PAGEゲル上にロードした。電気泳動の後、ゲルをクマシーブルー染色し、phosphorimagerのスクリーンに露出した。完全長産物の相対存在量を、ホスファストレージオートラジオグラフィーにより測定し、IMAGEQUANTソフトウエア(Amersham Pharmacia Biotech)を使用して、Typhoon 8600可変モードイメージャーにより解析した。
ベクターpEXP5−CT/TOPO(登録商標)(CT)及びpEXP5−NT/TOPO(登録商標)(NT)を、CALML3、IOH6416、IOH5211及びIOH6368タンパク質の発現に使用した。発現プラスミド内にクローニングしたこれらORFを用いてインビトロ合成反応において合成したタンパク質を、4〜12% NuPAGE(登録商標)ビス/トリスゲルで電気泳動し、ゲルをオートラジオグラフィーし、タンパク質レベルを分析した。図13は、pEXP5−CT/TOPO(登録商標)又はpEXP5−NT/TOPO(登録商標)からの四つのORFの発現レベルを比較するグラフを示す。
タンパク質の検出及び精製
アミノ末端融合タンパク質(pEXP5−NT/TOPO(登録商標))の検出及び精製
His6タグ及びニッケル樹脂によるタンパク質の検出及び精製を、TOPO(登録商標)ベクターからインビトロ発現させたタンパク質に関して行った。N末端ベクターの場合、合成した産物をTEVプロテアーゼで処理してHis6タグを除去し、この除去を、それが未使用Ni−NTA樹脂へ結合しないことにより確認した。
プラスミドpEXP5−CT/CALML3(終止コドンなし)を、200μLのExpressway−Milligram反応にて発現させた。25μLの反応物を、Ni−NTAカラム上に直接チャージした。カラムを3回洗浄し、結合したタンパク質を4画分に溶出した。各画分のサンプルを、二つの4〜12% NuPAGE(登録商標)ゲル上で分離した。一方のゲルはSimplyBlue(商標)(Invitrogen)で染色し、他方はニトロセルロースに転写し、Western Breeze(商標)抗マウス化学発光キット(Invitrogen)を使用して、抗HisCによりプローブした。pEXP5−CT/TOPO(登録商標)構築物から生成されたHisタグ付きタンパク質を検出するために、抗HisC(C末端)抗体(Invitrogen)を使用した。抗His(C末端)抗体(Lindner等、BioTechniques22:140、1997)は、タンパク質のカルボキシ末端のポリヒスチジンアミノ酸配列を認識するモノクローナル抗体である。抗His(C末端)抗体は、配列−His−His−His−His−His−His−COOHを認識し、末端ヒスチジン残基の遊離カルボキシル末端は、エピトープ認識部位の一要素である。その結果、CALML3−6×Hisタンパク質がNi−NTAカラム上で効率良く精製されたことが示された。
Expressway(商標)Milligram IVTTキット
Expressway(商標)IVPS系(Invitrogen、Carlsbad、CA)は、mg規模のタンパク質を発現させるためのキットを含む。このようなキットには、1)IVPS大腸菌抽出物、2)2.5×IVPS反応バッファー、3)2×IVPS供給バッファー、4)T7酵素ミックス、5)50mM アミノ酸ミックス(Met及びCysを除く)、6)75mM Met、及び7)75mM Cysが含まれる。キットにはヌクレアーゼフリーの蒸留水も含まれる。キットにはまた、pEXP5−NT/CALML3発現対照プラスミドも含まれる。
Expressway(商標)NMR IVTTキット
Expressway(商標)IVPS系(Invitrogen、Carlsbad、CA)は、NMR分析用の、IVPSにて標識され得るタンパク質の発現キットを含む。このようなキットは、1)IVPS大腸菌抽出物、2)2.5×IVPS反応バッファー、3)2×IVPS供給バッファー、4)T7酵素ミックス、5)各アミノ酸の200mM溶液(Leuを除く)、及び6)150mM Leu、を含む。キットにはヌクレアーゼ−フリー蒸留水も含まれる。キットにはまた、pEXP5−NT/CALML3発現対照プラスミドも含まれる。
Claims (67)
- 界面活性剤又は表面活性剤を含む細胞抽出物を含むインビトロタンパク質合成系であって、該細胞抽出物が、細胞を溶解させて細胞溶解物を得て、上清画分を該細胞溶解物から分離することによって調製され、一つ又は複数の界面活性剤又は表面活性剤が、溶解前の細胞又は上清画分の分離前の細胞溶解物に添加される、インビトロタンパク質合成系。
- 細胞抽出物が、上清画分を分離する前に一つ又は複数の界面活性剤又は表面活性剤を細胞溶解物に添加することによって調製される、請求項1記載のインビトロ合成系。
- 分離が、細胞溶解物を遠心分離し、細胞抽出物として上清を取り出すことである、請求項2記載のインビトロ合成系。
- 細胞抽出物が、一つ又は複数の界面活性剤又は表面活性剤を、一つ又は複数の界面活性剤又は表面活性剤が溶解前の細胞に添加されるところへ添加することによって調製される、請求項1記載のインビトロ合成系。
- 少なくとも一つの界面活性剤又は表面活性剤が、少なくとも一つの界面活性剤である、請求項1記載のインビトロ系。
- 少なくとも一つの界面活性剤が、非イオン系界面活性剤又は両性イオン系界面活性剤である、請求項5記載のインビトロ系。
- 界面活性剤が非イオン系界面活性剤である、請求項6記載のインビトロ系。
- 界面活性剤が、Brij(登録商標)系の界面活性剤、Triton系の界面活性剤、又はグリコピラノシド界面活性剤である、請求項7記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Brij(登録商標)系の界面活性剤である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Brij(登録商標)35、Brij(登録商標)56、Brij(登録商標)58、Brij(登録商標)72、Brij(登録商標)76、Brij(登録商標)92、又はBrij(登録商標)97である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Brij(登録商標)35である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Triton(登録商標)系の界面活性剤である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Triton(登録商標)CF系、Triton(登録商標)DF系、Triton(登録商標)GR系、Triton(登録商標)QS系、Triton(登録商標)X系の界面活性剤である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Triton(登録商標)X系の界面活性剤である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Triton(登録商標)X−15、Triton(登録商標)X−45、Triton(登録商標)X−100、Triton(登録商標)X−102、Triton(登録商標)X−114、Triton(登録商標)X−151、Triton(登録商標)X−165、Triton(登録商標)X−200、Triton(登録商標)X−207、Triton(登録商標)X−305、Triton(登録商標)X−405、又はTriton(登録商標)X−705−70である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、Triton(登録商標)X−100である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、グリコピラノシド界面活性剤である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、グルコピラノシド界面活性剤、マルトピラノシド界面活性剤、又はグルカミド界面活性剤である、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤が、N−デカノイル−N−メチルグルカミン、n−デシルa−D−グルコピラノシド、デシルβ−D−マルトピラノシド、n−ドデカノイル−N−メチルグルカミド、n−ドデシルa−D−マルトシド、n−ドデシル−β−D−マルトシド、n−ヘキサデシル−β−D−マルトシド、又はオクチルグルコピラノシドである、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤がドデシルマルトシドである、請求項5記載のインビトロ合成系。
- 少なくとも一つの界面活性剤が、両性イオン系界面活性剤である、請求項3記載のインビトロ合成系。
- 少なくとも一つの界面活性剤が、スルホベタイン界面活性剤、Zwittergent(登録商標)系の界面活性剤、EMPIGEN(登録商標)系の界面活性剤、CHAPS、又はCHAPSOである、請求項21記載のインビトロ合成系。
- 少なくとも一つの界面活性剤が、CHAPS又はCHAPSOである、請求項22記載のインビトロ合成系。
- 少なくとも一つの界面活性剤が、CHAPSである、請求項23記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤の濃度がCMC以上である、請求項1記載のインビトロ合成系。
- 界面活性剤の濃度がCMCの2倍未満である、請求項25記載のインビトロ合成系。
- アミノ酸、少なくとも一つのエネルギー源、及び鋳型核酸を、細胞抽出物調製前に少なくとも一つの表面活性剤又は界面活性剤によって処理された細胞又は細胞溶解物から調製される細胞抽出物に添加して、インビトロタンパク質合成混合物を調製する工程;並びに
インビトロタンパク質合成混合物をインキュベートしてタンパク質を合成する工程
を含むタンパク質合成方法。 - 細胞抽出物が、細胞溶解物の上清の単離を目的に抽出物を遠心分離する前に少なくとも一つの表面活性剤又は界面活性剤によって処理された細胞から調製される、請求項27記載のインビトロ合成系。
- 細胞抽出物が、界面活性剤により細胞を処理することにより調製される、請求項28記載の方法。
- 界面活性剤が両性イオン系又は非イオン系界面活性剤である、請求項29記載の方法。
- 少なくとも一つの界面活性剤が非イオン系界面活性剤である、請求項30記載の方法。
- 界面活性剤が、Brij(登録商標)系の界面活性剤、Zwittergent(登録商標)系の界面活性剤、Triton(登録商標)系の界面活性剤、又はグリコピラノシド界面活性剤である、請求項30記載の方法。
- 界面活性剤がBrij(登録商標)系の界面活性剤である、請求項32記載の方法。
- 界面活性剤がBrij(登録商標)35である、請求項34記載の方法。
- 界面活性剤がTriton(登録商標)系の界面活性剤である、請求項32記載の方法。
- 界面活性剤がTriton(登録商標)X−100である、請求項36記載の方法。
- 界面活性剤がグリコピラノシド界面活性剤である、請求項32記載の方法。
- 界面活性剤がグルコピラノシド界面活性剤、マルトピラノシド界面活性剤、又はグルカミド界面活性剤である、請求項38記載の方法。
- 界面活性剤が、ドデシルマルトシド、オクチルグルコピラノシド、又はオクチルチオグルコピラノシドである、請求項5記載の方法。
- 少なくとも一つの界面活性剤が両性イオン系界面活性剤である、請求項30記載の方法。
- 少なくとも一つの界面活性剤が、スルホベタイン界面活性剤、Zwittergent(登録商標)系界面活性剤、EMPIGEN(登録商標)系界面活性剤、CHAPS、又はCHAPSOである、請求項41記載の方法。
- 少なくとも一つの界面活性剤がZwittergent(登録商標)3−14である、請求項42記載の方法。
- 少なくとも一つの界面活性剤がCHAPSである、請求項42記載の方法。
- 細胞又は細胞溶解物に添加された後の界面活性剤の最終濃度がCMC以上である、請求項27記載の方法。
- 細胞又は細胞溶解物に添加された後の界面活性剤の最終濃度がCMCの2倍未満である、請求項45記載の方法。
- 一定時間反応混合物をインキュベートした後、合成混合物に、バッファー、アミノ酸、少なくとも一つの追加的なエネルギー源を含む供給溶液(Feeding Solution)を添加する工程であって、その少なくとも一つの追加的なエネルギー源は、拡張型合成混合物を調製するために初めの合成混合物の少なくとも一つのエネルギー源とは異なる、工程;及び
拡張型合成混合物を、更に一定時間インキュベートして少なくとも一つのタンパク質を合成する工程
を含む、請求項27記載の方法。 - 細胞抽出物にアミノ酸、少なくとも一つのエネルギー源、及び鋳型核酸を添加して初めのインビトロタンパク質合成混合物を調製する工程;
初めの合成混合物に、バッファー、アミノ酸、及び少なくとも一つの追加的なエネルギー源を含む供給溶液を添加する工程であって、その少なくとも一つの追加的なエネルギー源は、拡張型合成混合物を調製するために初めの合成混合物の少なくとも一つのエネルギー源とは異なる、工程;並びに
拡張型合成混合物を一定時間インキュベートしてタンパク質を合成する工程
を含む、タンパク質を合成する方法。 - 少なくとも一つの追加的なエネルギー源が、初めの合成混合物において提供されるエネルギー源とは異なる、請求項47記載の方法。
- 少なくとも一つの追加的なエネルギー源が酵素でない、請求項48記載の方法。
- 少なくとも一つの追加的なエネルギー源が解糖中間体である、請求項49記載の方法。
- 少なくとも一つの追加的なエネルギー源が、フルクトース−6−リン酸、グルコース−6−リン酸、又は3−ホスホグリセリン酸である、請求項49記載の方法。
- 供給溶液が補因子を更に含む、請求項47記載の方法。
- 補因子がNAD又はNADHである、請求項52記載の方法。
- 初めの合成反応に少なくとも二つのエネルギー源が含まれる、請求項47記載の方法。
- 初めの合成反応に少なくとも三つのエネルギー源が含まれる、請求項54記載の方法。
- 供給溶液が、初めの合成混合物が調製されてから少なくとも10分後に添加される、請求項47記載の方法。
- 供給溶液が、初めの合成混合物が調製されてから約15分〜約60分後に添加される、請求項56記載の方法。
- 少なくとも一つの追加的な時点に供給溶液をタンパク質合成混合物に添加する工程を更に含む、請求項47記載の方法。
- 少なくとも三つのエネルギー源のうちの少なくとも一つが酵素である、請求項55記載の方法。
- 酵素がピルビン酸キナーゼである、請求項59記載の方法。
- 少なくとも三つのエネルギー源のうちの少なくとも一つがホスホエノールピルビン酸(PEP)である、請求項55記載の方法。
- 少なくとも三つのエネルギー源のうちの少なくとも一つがアセチルリン酸である、請求項55記載の方法。
- 供給溶液が塩化カルシウムを更に含む、請求項47記載の方法。
- 供給溶液が、初めのインビトロタンパク質合成混合物のpHより高いpHを有する、請求項47記載の方法。
- IVPS抽出物を調製する工程;
IVPS抽出物を少なくとも2時間、その後少なくとも8時間透析する工程; 透析した細胞抽出物に反応バッファー、鋳型核酸、及び少なくとも一つの同位元素標識アミノ酸を添加してIVPS反応を構成する工程;並びに
IVPS反応をインキュベートし、NMR分析用の少なくとも一つの同位元素標識タンパク質を調製する工程
を含むNMR用のタンパク質の標識方法。 - N末端アミノ酸配列タグとオープンリーディングフレームとの融合に使用可能な少なくとも一つのベクターと、
C末端アミノ酸配列タグとオープンリーディングフレームとの融合に使用可能な少なくとも一つのベクターとを含む、オープンリーディングフレームをクローニングして発現させるための一組の発現ベクターであって、
該ベクターは、発現されたタンパク質からのアミノ酸配列タグの切除に使用可能な少なくとも一つのプロテアーゼ切断部位を含む、一組の発現ベクター。 - 発現されたタンパク質からアミノ酸配列タグを除去することにより、合成タンパク質上に外因性アミノ酸が二つを超えて残留しない、請求項66記載の一組の発現ベクター。
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