発明の概要
本発明は、対象による経口投与および摂取のための、プロトンポンプ阻害物質および緩衝物質を含む薬学的組成物を提供する。1つの態様において、本組成物は、摂食した対象に投与されると、胃の胃液と接触し、胃の胃内pHを胃の胃液中でのプロトンポンプ阻害物質の酸分解を防止または阻害するpHまで高め、当業者に知られた検査手順を用いて薬物動態学的および薬力学的パラメーターを入手しうるような測定可能な血清濃度のプロトンポンプ阻害物質が対象の血清中に吸収されることを可能にする。
(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量、および(b)胃液pHを胃液中でのプロトンポンプ阻害剤の少なくとも一部の酸分解を防止するpHまで高めるために有効な量の少なくとも1つの緩衝物質、を含む薬学的組成物。本発明の薬学的組成物を用いて胃酸関連障害を治療するための方法が提供される。
プロトンポンプ阻害剤には、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール(dontoprazole)、ハベプラゾール(habeprazole)、ペリプラゾール(periprazole)、ランソプラゾール、パリプラゾール、レミノプラゾール;またはそれらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互換異性体、多形体もしくはプロドラッグが非制限的に含まれる。1つの態様において、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールまたはその遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互換異性体、多形体もしくはプロドラッグである。本組成物は、プロトンポンプ阻害剤を約5mg〜約500mgの間で、具体的にはプロトンポンプ阻害剤を約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mgまたは約60mg含みうる。
薬学的組成物の貯蔵寿命を延長させる材料によってプロトンポンプ阻害剤がマイクロカプセル化されている組成物が提供される。薬学的組成物の貯蔵寿命を延長させる材料には、セルロースヒドロキシプロピルエーテル、低置換度ヒドロキシプロピルエーテル、セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル、メチルセルロース重合体、エチルセルロースおよびそれらの混合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール共重合体、モノグリセリド、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、食品用化工デンプン、アクリルポリマー、アクリルポリマーとセルロースエーテルとの混合物、酢酸フタル酸セルロース、セピフィルム(sepifilm)、シクロデキストリン;およびそれらの混合物が非制限的に含まれる。セルロースヒドロキシプロピルエーテルは、Klucel(登録商標)、Nisswo HPCまたはPrimaFlo HP22でありうるが、これらには限定されない。セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテルは、Seppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Opadry YS、PrimaFlo、MP3295A、BenecelMP824またはBenecelMP843でありうるが、これらには限定されない。メチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロース重合体との混合物は、Methocel(登録商標)、Benecel-MCまたはMetolose(登録商標)でありうるが、これらには限定されない。エチルセルロースまたはその混合物は、Ethocel(登録商標)、BenecelMO43、Celacal、Cumibak NCおよびE461でありうるが、それらには限定されない。ポリビニルアルコールは、Opadry AMBでありうるが、それには限定されない。組成物は、ヒドロキシエチルセルロースがNatrosol(登録商標)であり、カルボキシメチルセルロースがAqualon(登録商標)-CMCであり、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールとの共重合体がKollicoat JR(登録商標)であり、アクリルポリマーがEudragits(登録商標)EPO、Eudragits(登録商標)RD100およびEudragits(登録商標)E100より選択されるような混合物を含みうる。薬学的組成物の貯蔵寿命を延長させる材料はさらに、抗酸化剤、可塑剤、緩衝物質またはそれらの混合物を含みうる。
(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量、この際、少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤はコーティングされている、および(b)胃液pHを、少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液中での酸分解を防止するpHまで上昇させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質、を含む組成物が提供される。
(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量、および(b)胃液pHを、少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液中での酸分解を防止するpHへと高めるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質、を含む組成物であって、緩衝物質がIA群金属の炭酸水素塩、IA群金属の炭酸塩より選択されるアルカリ金属塩またはIA群金属である組成物が提供される。緩衝物質は、アミノ酸、アミノ酸の酸性塩、アミノ酸のアルカリ塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム/炭酸カルシウム共沈物、水酸化マグネシウムアルミニウム、水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム共沈物、水酸化アルミニウム/炭酸水素ナトリウム共沈物、グリシン酸アルミニウム、酢酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、第二リン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、L-アルギニン、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸カリウム、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、トロメタノール、およびそれらの混合物でありうるが、それらには限定されない。特に、緩衝物質は炭酸水素ナトリウム、ナトリウム炭酸、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムおよびそれらの混合物でありうる。
緩衝物質が約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する炭酸水素ナトリウムである、本明細書に記載の組成物が提供される。緩衝物質が炭酸水素ナトリウムと水酸化マグネシウムとの混合物であって、各緩衝物質が約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する、本明細書に記載の組成物が提供される。緩衝物質が炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムの混合物であって、各緩衝物質が約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する、本明細書に記載の組成物が提供される。
緩衝物質が約0.1mEq/mg〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.5mEq/mg〜約3mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.8mEq/mg〜約2.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.9mEq/mg〜約2.0mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.9mEq/mg〜約1.8mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する、本明細書に記載の組成物が提供される。緩衝物質が少なくとも1.0mEq/mg〜約1.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または少なくとも約0.4mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する、本明細書に記載の組成物が提供される。緩衝物質を約200〜3000mg、または緩衝物質を約500〜約2500mg、または緩衝物質を約1000〜約2000mg、または緩衝物質を約1500〜約2000mg含む、本明細書に記載の組成物が提供される。
食事前に対象に投与された場合に食後少なくとも約1時間にわたって胃内pHを約4.0よりも上に維持するような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に食後少なくとも約1時間にわたって胃内pHを約4.2よりも上に維持するような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に食後少なくとも約1時間にわたって胃内pHを約4.5よりも上に維持するような組成物が提供される。
食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約1時間以内に少なくとも約3まで上昇させるような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約45分以内に少なくとも約3まで上昇させるような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約30分以内に少なくとも約3まで上昇させるような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約15分以内に少なくとも約3まで上昇させるような組成物が提供される。
食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約1時間以内に少なくとも約4まで上昇させるような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約45分以内に少なくとも約4まで上昇させるような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約30分以内に少なくとも約4まで上昇させるような組成物が提供される。食事前に対象に投与された場合に、対象の胃内pHを投与後約15分以内に少なくとも約4まで上昇させるような組成物が提供される。
プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量が投与後約1時間以内に吸収されるような組成物が提供される。プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量が投与後約45分以内に吸収されるような組成物が提供される。プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量が投与後約30分以内に吸収されるような組成物が提供される。
組成物の投与後約45分以内に最も高い胃内pHに達するような組成物が提供される。組成物の投与後約30分以内に最も高い胃内pHに達するような組成物が提供される。組成物の投与後約15分以内に最も高い胃内pHに達するような組成物が提供される。組成物の投与後約10分以内に最も高い胃内pHに達するような組成物が提供される。
少なくとも約50%の期間、胃内pHを約4.0よりも高くするような組成物が提供される。少なくとも約60%の期間、胃内pHを約4.0よりも高くするような組成物が提供される。少なくとも約70%の期間、胃内pHを約4.0よりも高くするような組成物が提供される。少なくとも約80%の期間、胃内pHを約4.0よりも高くするような組成物が提供される。
対象に対して経口投与された場合に、プロトンポンプ阻害剤に関する血清中濃度時間曲線下面積(AUC)の総計の少なくとも約50%が、対象に対する組成物の単回投与後約2時間以内に生じるという薬物動態学的プロフィールを与えるような組成物が提供される。対象に対して経口投与された場合に、プロトンポンプ阻害剤に関する最初の2時間の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)が、総面積の少なくとも約60%であるような組成物が提供される。プロトンポンプ阻害剤に関する最初の2時間の血清中濃度時間曲線下面積(AUC)が、総面積の少なくとも約70%であるような組成物が提供される。
プロトンポンプ阻害剤に関する血清中濃度時間曲線下面積(AUC)の総計の少なくとも約50%が、対象に対する組成物の単回投与後約1.75時間以内に生じるような組成物が提供される。プロトンポンプ阻害剤に関する血清中濃度時間曲線下面積(AUC)の総計の少なくとも約50%が、対象に対する組成物の単回投与後約1.5時間以内に生じるような組成物が提供される。プロトンポンプ阻害剤に関する血清中濃度時間曲線下面積(AUC)の総計の少なくとも約50%が、対象に対する組成物の単回投与後約1時間以内に生じるような組成物が提供される。
(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量、および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液中での酸分解を防止するpHへと胃液pHを高めるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質、を含む組成物であって、粉剤、錠剤、噛み砕き用(bite-disintegration)錠剤、チュワブル錠、カプセル剤、沸騰散剤、急速崩壊性錠剤、または粉末から作られた水性懸濁剤より選択される剤形にある組成物が提供される。壁細胞活性化物質、浸食促進剤、香味剤、甘味剤、拡散促進剤、抗酸化剤、ならびに結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、溶解補助剤、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤、付着防止剤および消泡剤より選択される担体材料を非制限的に含む1つまたは複数の添加剤をさらに含む、本明細書に記載の組成物が提供される。少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤が微粉化されている組成物も提供される。
(a)ある量の少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質、を含む組成物であって、食事前に対象に投与された場合に、投与後30分以内に胃内pHを約3.0を上回るまでに上昇させるような組成物が提供される。(a)ある量の少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む組成物であって、食事前に対象に投与された場合に、投与後約1時間以内に胃内pHの約3.0への上昇を引き起こすような組成物が提供される。
(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液による分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む組成物であって、対象に対する投与後に上部GI出血を軽減または抑制するために有効な量の組成物が提供される。液体製剤として投与されて、上部GI出血または上部GI出血に伴う合併症に起因する死亡または院内肺炎を減少させる組成物が提供される。
胃酸関連障害の治療のための、(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液による分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質、を含む組成物が提供される。胃酸関連障害には、十二指腸潰瘍症、胃潰瘍症、胃食道逆流症、びらん性食道炎、治療に反応しにくい症候性胃食道逆流症、病的な胃腸分泌亢進状態、ゾリンジャー-エリソン症候群、胸焼け、食道障害または高酸性消化不良が非制限的に含まれる。
(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液による分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む化合物を投与することにより、対象におけるpH制御の破綻を防止または阻害するための方法であって、対象が、胃内pHを約3までに高め、それによってpH制御の破綻を防止または阻害するための化合物の投与を過去2〜22時間以内に受けている方法が提供される。pH制御の破綻を防止または阻害するために有用な組成物が就寝前に投与されるような方法が提供される。pH制御の破綻を防止または阻害するために有用な組成物が夜間の胸焼けを治療または予防するために投与されるような方法が提供される。対象における総合胃液酸度(integrated gastric acidity)が少なくとも約25%〜約500%が低下するようにする方法が提供される。
以下を含む薬学的組成物を投与することによって、それを必要とする患者において、夜間GERD症状を治療または予防するための方法が、本明細書において提供される:(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質。いくつかの態様において、薬学的組成物は、1日1回投与される。他の態様において、薬学的組成物は、1日2回投与される。さらに他の態様において、薬学的組成物は、就寝前に投与される。
薬学的組成物の投与に続く、夜間8時間の平均pHが3より大きい、夜間GERD症状を治療または予防する方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、夜間8時間の平均pHは4より大きい。さらに他の態様において、夜間8時間の平均pHは5より大きい。
薬学的組成物の投与後24時間、胃内pHが、その時間の少なくとも40%で、4より大きい、夜間GERD症状を治療または予防する方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物の投与後24時間、胃内pHが、その時間の少なくとも50%で、4より大きい。いくつかの態様において、薬学的組成物は1日2回投与され、かつ胃内pHが、2回目の用量の投与後最長8時間にわたる期間の少なくとも約40%で、4.0より大きい。他の態様において、薬学的組成物は1日2回投与され、かつ胃内pHが、2回目の用量の投与後最長8時間にわたる期間の少なくとも約50%で、4.0より大きい。さらに他の態様において、薬学的組成物は1日2回投与され、かつ胃内pHが、2回目の用量の投与後最長8時間にわたる期間の少なくとも約70%で、4.0より大きい。他の態様において、薬学的組成物は1日2回投与され、かつ胃内pHが、2回目の用量の投与後最長8時間にわたる期間の少なくとも約90%で、4.0より大きい。
以下を含む組成物を投与することによって、対象における夜間胃液酸度を減少させる方法が本明細書に提供される:(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質。いくつかの態様において、プロトンポンプ阻害剤の血清中平均濃度は、対象への薬学的組成物の投与後約30分以内の対象において、少なくとも約1.0 μg/mlである。他の態様において、薬学的組成物は、1日1回または2回投与される。他の態様において、薬学的組成物は、2日以上の連続した日にわたって、1日1回または2回投与される。
薬学的組成物が就寝前に投与される方法が、本明細書に提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物は、就寝前約2時間以内に投与される。他の態様において、薬学的組成物は、2日以上の連続した日にわたって、少なくとも1日2回投与される。
対象における胃酸の産生を急速に低下させるための方法であって、(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液による分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む組成物を投与することによる方法が本明細書で提供される。また、(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液による分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む組成物を投与することにより、食事によって誘発される胃酸関連障害を治療する方法も本明細書で提供される。
(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む組成物を食事摂取後約4時間以内に対象に投与することによって、対象における食事によって誘発される胃酸関連障害を治療するための方法であって、プロトンポンプ阻害剤の量が対象における胃酸関連障害の1つまたは複数の症状を軽減または抑制するために有効であるような方法が本明細書で提供される。
上部GI出血または上部GI出血に伴う症状を有する、またはそのリスクのある危篤状態の対象を治療する方法であって、少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤、および少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の分解を阻害または低下させるために十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む液体製剤を対象に投与することを含み、プロトンポンプ阻害剤の量が危篤状態の対象における上部GI出血または上部GI出血に伴う症状を軽減または抑制するために有効であるような方法が提供される。上部GI出血または上部GI出血に伴う症状を有する、またはそのリスクのある危篤状態の対象を治療する方法であって、対象が経鼻胃(NG)管または胃管を有するような方法が提供される。また、対象における上部GI出血または上部GI出血に伴う1つもしくは複数の症状の発生率、重症度、持続時間または頻度を低下させるための方法も本明細書で提供される。対象における上部GI出血に伴う死亡または院内肺炎を減少させるための方法が本明細書で提供される。
丸剤、カプセル剤、カプレットまたは錠剤を嚥下するのが困難な対象である、胃酸関連障害を有する、または胃酸関連障害のリスクがある患者を治療する方法であって、少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤、および少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む液体製剤を対象に投与することによる方法。
胸焼けに苦しんでいる、または胸焼けのリスクのある患者を治療するための方法であって、(a)少なくとも1つの酸不安定性プロトンポンプ阻害剤の治療的有効量;および(b)少なくとも一部のプロトンポンプ阻害剤の胃液による分解を阻害または低下させるのに十分な量の少なくとも1つの緩衝物質を含む薬学的組成物を投与することによる方法も本明細書で提供される。
発明の詳細な説明
本発明は、H+,K+-ATPアーゼ阻害物質または阻害剤(例えば、プロトンポンプ阻害物質など)による治療の適応である状態または障害を治療するための方法、キット、配合物および組成物を対象とする。それを必要とする対象における、胃腸の障害もしくは疾患、または胃腸の障害もしくは疾患に付随もしくは関連する症状を治療する、予防する、またはそれが発症するリスクを軽減するための方法、キット、配合物および組成物も提供される。
本発明は多くの異なる形態として具現化しうるが、本明細書では、本開示は本発明の原理の一つの例に過ぎないとみなされるべきであって、例示された態様に本発明を限定することは意図していないという了解の下で、いくつかの具体的な態様について考察する。例えば、本発明を、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、テナトプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、ハベプラゾール、ペリプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾールまたはレミノプラゾールに特に言及しながら本明細書で例示する場合、必要に応じて、任意の他のプロトンポンプ阻害物質を、本明細書に記載の方法、キット、配合物および組成物におけるこの種の薬剤と全体的または部分的に代用しうることは理解されていると考えられる。
用語集
本発明およびその好ましい態様の理解をさらに促すために、本明細書で用いる用語の意味が、さまざまな用語の一般的な用法、および以下の用語集またはそれに続く説明で提示したその他の用語の明示的な定義に鑑みて、本明細書の文脈から明らかになるようにする。
本明細書で用いる場合、「含む(comprising)」「含む(including)」および「など(such as)」という用語は、排他的でない非限定的な意味で用いられる。
本開示における「約(about)」という用語の使用は「およそ(approximately)」のことを意味し、例示的には、「約」という用語の使用は、言及した値を幾分外れた値も有効かつ安全である可能性があることを示しており、このような用量も本特許請求の範囲に含まれる。
本明細書で用いる場合、「酸不安定性医薬薬剤」という語句は、酸の触媒作用による分解を受ける、薬理活性のある任意の薬剤のことを指す。
「付着防止剤」「グライダント」または「抗付着」剤は、製剤の成分が凝集または固着することを防ぎ、材料の流動特性を改善する。この種の化合物には、例えば、Cab-o-sil(登録商標)などのコロイド状二酸化ケイ素;第三リン酸カルシウム、タルク、コーンスターチ、DL-ロイシン、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、カオリン、および微粉化されたアモルファス二酸化ケイ素(Syloid(登録商標))などが含まれる。
「消泡剤」は、水性分散系の凝固、完成フィルム中の泡を生じさせる恐れのある、または全般的に加工処理の妨げとなる、加工処理中の発泡を減らす。消泡剤の例には、シリコンエマルションまたはセスキオレイン酸ソルビタンが含まれる。
「抗酸化剤」の例には、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸ナトリウムおよびトコフェロールが含まれる。
「結合剤」は粘着性を付与し、これには例えば以下のものが含まれる:アルギン酸およびその塩;セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース(例えば、Methocel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えば、Klucel(登録商標))、エチルセルロース(例えば、Ethocel(登録商標))および微結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標));微結晶デキストロース;アミロース;ケイ酸マグネシウムアルミニウム;多糖酸;ベントナイト;ゼラチン;ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体;クロスポビドン;ポビドン;デンプン;アルファ化デンプン;トラガカントゴム、デキストリン、糖、例えばショ糖(例えば、Dipac(登録商標))、グルコース、デキストロース、糖蜜、マンニトール、ソルビトール、キシリトール(例えば、Xylitab(登録商標))および乳糖;天然ゴムまたは合成ゴム、例えばアラビアゴム、トラガカントゴム、インドゴム、イサポール(isapol)外皮の粘液、ポリビニルピロリドン(例えば、Polyvidone(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL、Polyplasdone(登録商標)XL-10)、カラマツアラボガラクタン、Veegum(登録商標)、ポリエチレングリコール、蝋状物質、アルギン酸ナトリウムなど。
「生物学的利用能」とは、活性部分(薬剤または代謝産物)が全身循環中に吸収され、体内の薬剤作用部位で利用可能になることを意味する。
「生物学的同等性」または「生物学的に同等な」という用語は、2つの薬剤製品を同様の条件下で同一用量で投与した場合に、2つの製品に有意な違いがないことを意味する。任意の製品は、その製品が、適切なデザインがなされた試験において同様の条件下で第2の製品と同じモル用量で投与された場合に、活性成分または活性部分が薬剤作用部位で利用可能になる速度および程度に有意差がなければ、第2の製品と生物学的に同等であるとみなすことができる。吸収速度の異なる2つの製品は、その活性成分または部分が薬剤作用部位で利用可能になる速度の違いが意図的であって、企図された標識化(proposed labeling)に反映され、長期使用時の有効体内薬剤濃度の実現のために必須ではなく、その薬剤にとって医学的な意味はないとみなされるならば、同等であるとみなすことができる。生物学的同等性は、例えば、90%信頼区間が標的パラメーター(例えば、CmaxおよびAUC)に関して80%〜120%の範囲にわたる場合に想定することができる。
「担体材料」には、薬学において一般的に用いられる任意の添加剤が含まれ、これはプロトンポンプ阻害剤および所望の剤形の放出プロフィール特性との適合性に基づいて選択されるべきである。担体材料の例には、例えば、結合剤、懸濁化剤、崩壊剤、充填剤、界面活性剤、溶解補助剤、安定化剤、潤滑剤、湿潤剤、希釈剤などが含まれる。「薬学的に適合性のある担体材料」には、例えば、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド性二酸化ケイ素、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、麦芽デキストリン、グリセリン、ケイ酸マグネシウム、カゼイン酸ナトリウム、大豆レシチン、塩化ナトリウム、三リン酸カルシウム、リン酸水素二カリウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、カラゲナン、モノグリセリド、ジグリセリド、アルファ化デンプンなどが含まれる。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, Nineteenth Ed(Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995);Hoover, John E., Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pennsylvania 1975;Liberman, H.A.およびLachman, L. Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, Seventh Ed.(Lippincott Williams & Wilkins 1999)を参照されたい。
「制御放出」という用語は、即時放出性でない任意の製剤を含み、これには腸溶コーティング製剤および持続放出性、遅延放出性およびパルス放出性製剤が非制限的に含まれる。
「遅延放出」という用語は、即時放出性でない任意の製剤を含み、これにはフィルムコーティング製剤、腸溶コーティング製剤、カプセル化製剤、持続放出製剤およびパルス放出性製剤が非制限的に含まれる。Remington:The Science and Practice of Pharmacy,(20
th Ed. 2000)を参照のこと。本明細書で考察するように、即時放出および非即時放出(または制御放出)は、以下の式を参照することにより、動態学的に定義することができる。
吸収プールは特定の吸収部位に投与された薬剤の溶液のことを表し、Kr、KaおよびKeはそれぞれ、(1)製剤からの薬剤の放出;(2)吸収;および(3)排出に関する一次速度定数である。即時放出型剤形の場合、薬剤放出に関する速度定数Krは一般に吸収速度定数Kaと等しいかそれよりも大きい。制御放出型製剤の場合には、剤形からの薬剤の放出速度が標的領域への薬剤の送達における律速段階となるように、一般にその反対、すなわちKr<<Kaが成り立つ。
「拡散促進物質」および「分散剤」には、コーティングを介した水溶液の拡散を制御する材料が含まれる。拡散促進物質/分散剤の例には、例えば、親水性ポリマー、電解質、Tween(登録商標)60または80、PEGなどが含まれる。1つまたは複数の浸食促進物質と1つまたは複数の拡散促進物質との配合物を本発明に用いることもできる。
「希釈剤」は、圧縮が容易になるように組成物の嵩を増やす。この種の化合物には、例えば、以下のものが含まれる:乳糖;デンプン;マンニトール;ソルビトール;デキストロース;Avicel(登録商標)などの微結晶セルロース;第二リン酸カルシウム;第二リン酸カルシウム二水和物;三リン酸カルシウム;リン酸カルシウム;無水乳糖;噴霧乾燥乳糖;アルファ化デンプン;Di-Pac(登録商標)(Amstar)などの圧縮可能な糖、;マンニトール;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ショ糖を基にした希釈剤;粉砂糖;第一硫酸カルシウム一水和物;硫酸カルシウム二水和物;乳酸カルシウム三水和物;デキストレート(dextrate);加水分解固形シリアル;アミロース;粉末化セルロース;炭酸カルシウム;グリシン;カオリン;マンニトール;塩化ナトリウム;イノシトール;ベントナイト;など。
「崩壊」という用語は、胃液と接触した時の剤形の溶解および分散の両方を含む。「崩壊剤」は、物質の分解または崩壊を促進する。崩壊剤の例には、以下のものが含まれる:デンプン、例えば、コーンスターチもしくはジャガイモデンプンなどの天然デンプン、National 1551もしくはAmijel(登録商標)などのアルファ化デンプン、またはPromogel(登録商標)もしくはExplotab(登録商標)などのデンプングリコール酸ナトリウム;セルロース、例えば、木製品、Avicel(登録商標)、Avicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102、Avicel(登録商標)PH105、Elcema(登録商標)P100、Emcocel(登録商標)、Vivacel(登録商標)、Ming Tia(登録商標)およびSolka-Floc(登録商標)、メチルセルロース、クロスカルメロースなどのメチル結晶セルロース、または架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(Ac-Di-Sol(登録商標))、架橋カルボキシメチルセルロースもしくは架橋クロスカルメロースなどの架橋セルロース;デンプングリコール酸ナトリウムなどの架橋デンプン;クロスポビドンなどの架橋ポリマー;架橋ポリビニルピロリドン;アルギン酸またはアルギン酸塩(アルギン酸ナトリウムなど)などのアルジネート;Veegum(登録商標)HV(ケイ酸マグネシウムアルミニウム)などの粘土質;寒天、グアールゴム、ローカストビーンゴム、カラヤゴム、ペクチンまたはトラガカントゴムなどのゴム質;デンプングリコール酸ナトリウム;ベントナイト;天然海綿;界面活性剤;陽イオン交換樹脂などの樹脂;柑橘類パルプ;ラウリル硫酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウムとデンプンとの配合物;など。
「薬剤吸収」または「吸収」とは、薬剤の投与部位から全身循環への移動のプロセスのことを指す。
「薬剤排出」または「排出」とは、体内からの薬剤消失のプロセスの総計のことを指す。
「浸食促進物質」には、何らかの特定の材料の胃液中での浸食(erosion)を制御する材料が含まれる。浸食促進物質は当業者に一般的に知られている。浸食促進物質の例には、例えば、親水性ポリマー、電解質、タンパク質、ペプチドおよびアミノ酸が含まれる。
「充填剤」には、乳糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶セルロース、セルロース粉末、デキストロースなどの化合物;デキストレート(dextrate);デキストラン、デンプン、アルファ化デンプン、ショ糖、キシリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールなどが含まれる。
本発明の薬学的組成物において有用な「着香剤」または「甘味剤」には、例えば、以下のものが含まれる:アラビアゴムシロップ、アセスルファムK、アリテーム、アニス、アップル、アスパルテーム、バナナ、ババロア、ベリー、クロスグリ、バタースカッチ、クエン酸カルシウム、ショウノウ、カラメル、サクランボ、チェリークリーム、チョコレート、シナモン、バブルガム、柑橘類、シトラスパンチ、シトラスクリーム、綿菓子、ココア、コーラ、クールチェリー、クールシトラス、シクラメート、シラメート(cylamate)、デキストロース、ユーカリ、オイゲノール、フルクトース、フルーツポンチ、ジンジャー、グリシルレチン酸塩、甘草(カンゾウ)シロップ、グレープ、グレープフルーツ、蜂蜜、イソマルト、レモン、ライム、レモンクリーム、グリシルレチン酸一アンモニウム(MagnaSweet(登録商標))、マルトール、マンニトール、メープル、アルテア、メントール、ミントクリーム、ミックスベリー、ネオヘスペリジンDC、ネオテーム、オレンジ、洋ナシ、ピーチ、ペパーミント、ペパーミントクリーム、プロスイート(Prosweet)(登録商標)粉末、ラズベリー、ルートビア、ラム、サッカリン、サフロール、ソルビトール、スペアミント、スペアミントクリーム、ストロベリー、ストロベリークリーム、ステビア、スクラロース、ショ糖、サッカリンナトリウム、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、マンニトール、タリン(talin)、シリトール(sylitol)、スクラロース、ソルビトール、スイスクリーム、タガトース、タンジェリン、タウマチン、トゥッティフルッティ、バニラ、クルミ、スイカ、ワイルドチェリー、ウィンターグリーン、キシリトール、またはこれらの着香成分の任意の組み合わせ、例えば、アニス-メントール、チェリー-アニス、シナモン-オレンジ、チェリーシナモン、チョコレート-ミント、蜂蜜-レモン、レモン-ライム、レモン-ミント、メントール-ユーカリ、オレンジ-クリーム、バニラ-ミントおよびそれらの混合物。
プロトンポンプ阻害物質の量に関連した「治療的有効量」および「有効量」という用語は、当技術分野において周知の考えと一致して、過度な有害な副作用を伴わずに、薬理作用または治療効果(胃内pHを高めること、食道内のpHを高めること、消化管出血を減少させること、輸血の必要性を低下させること、生存率を改善すること、より迅速な回復、H+,K+-ATPアーゼの阻害、症状の改善もしくは消失、または当業者により適切な基準として選択されたその他の指標を非制限的に含む)を得るために有効なプロトンポンプ阻害物質の量のことを意味する。緩衝物質の文脈における「有効量」は、インビボまたはインビトロで、PPIの酸分解を全体的または部分的に防止するために十分な量のことを意味する。
「腸溶コーティング」とは、胃内では実質的に完全な状態に保たれるが、小腸に達すると溶解して、薬剤の少なくとも一部を放出する物質のことである。一般に、腸溶コーティングは、胃の低pH環境における放出は防ぐが、それよりも幾分高いpH、典型的にはpH 4または5でイオン化し、そのため小腸内では十分に溶解して、内部の活性薬剤を徐々に放出するポリマー材料を含む。
「空腹成人対象」または「空腹対象」とは、例えば、食物をある期間にわたって控えている任意の患者のこと、例えば、食事を一晩(例えば、8時間)摂取していない患者、食事を数時間摂取していない患者、プロトンポンプ阻害剤によって治療しうる食事関連症状を来していない空腹状態の患者、または最後に摂取した食事が消化される程度に食事を摂取していない患者であって、しかもプロトンポンプ阻害剤によって治療しうる食事関連症状を来していない任意の患者のことを指す。
「摂食した成人対象」または「摂食した対象」とは、例えば、食事の摂取を開始している患者、投与の少し前(例えば、約10分前、約20分前、約30分前、約45分前、約60分前または約90分前)に食事の摂取を開始した患者、投与の少し前に食事の摂取を開始し、投与後も食事の摂取を続けている患者、食事の摂取を最近終えた患者、または食事の摂取を最近終え、その食事の摂取と関連性のある症状を感じている患者のことを指す。
「胃腸障害」または「胃腸疾患」という語句は一般に、侵襲因子と呼ばれる酸およびペプシンの産生と、防御因子と呼ばれる粘液、炭酸水素塩およびプロスタグランジンの産生との間の不均衡のために哺乳動物において起こる障害または疾患のことを指す。哺乳動物におけるこのような障害または疾患には、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、胃食道逆流症(GERD)、重症びらん性食道炎、治療に反応しにくい症候性胃食道逆流症、胸焼け、その他の食道障害、過敏性腸症候群、および胃腸の病的な分泌亢進状態(ゾリンジャー-エリソン症候群など)が非制限的に含まれる。これらの状態の治療は、対象に対して、本発明による薬学的組成物の治療的有効量を投与することによって達成される。
「胃腸液」または「胃液」という語句は、対象の胃分泌液またはその同等物のことを指す。胃分泌物の同等物には、例えば、胃分泌物と同程度の内容および/またはpHを有するインビトロの液体が含まれる。特定の胃分泌物の内容およびpHは一般に対象特異的であり、これは例えば、特定の対象の体重、性別、年齢、食事内容または健康状態に依存する。これらの特定の胃分泌物は、例えば、当業者により、例えば胃を調べるために用いられるインビトロモデルにみられるように、模倣または再現することができる。このようなモデルの一つは「動的酸中和モデル(Kinetic Acid Neutralization Model)」として知られており、規定の実験条件下における本発明の組成物の成分の放出動態(例えば、即時放出であるか制御放出であるか);または規定の実験条件下における本明細書に記載の組成物の医薬薬剤の酸分解を、実験的に検討または決定するために用いることができる。
「半減期」とは、薬剤の血漿中濃度または体内の量が、その最高濃度から50%低下するまでに要する時間のことを指す。
本開示における「高酸性pH」という用語の使用は、約1〜約4の範囲にあるpHのことを意味する。
「即時放出」という用語は、投与前または投与直後(すなわち、約30分以内)にPPIの全体または一部が溶液中にある、任意のPPI製剤を表すことを意図している。例えば、「即時放出」製剤の場合には、経口投与によって組成物からの胃液中への薬剤の即時放出が生じる。遅延放出製剤の場合には、その反対が一般に成り立ち、剤形からの薬剤の放出速度が、薬剤の標的領域への送達における律速段階である。
「総合酸性度」は、累積的な時間加重平均胃酸濃度として算出される。総合胃液酸度はmmol×hr/Lとして表現され、pHプローブ(電極)を用いて(約8秒毎に)得られた胃内pHデータから算出される。別の言い方をすれば、総合胃液酸度は、24時間の記録期間にわたる時間加重平均水素イオン濃度から算出することができる。
「動的酸中和モデル」は、対象の検査のために用いられるインビトロモデルの一つである。手短に述べると、動的酸中和モデルでは、ある量の1つまたは複数の緩衝物質、例えば代表的な量の炭酸カルシウムおよび/または炭酸水素ナトリウムの一定時間での酸中和を評価することができる。いかなる1つの理論にも拘束されることは望んでいないが、健康なヒト胃はHClを胃内容物に1時間当たり30mLの速度で加えると一般に考えられている。動的酸中和モデルでは、0.1N塩酸(HCl)(空腹状態における胃の酸性度をシミュレートする)を収容するためのガラス製フラスコ(例えば、100mLまたは200mLの溶解フラスコ)を用いる。空腹状態の胃に通常存在する酸の容積は50mLであると考えられるが、実験の便宜上、本モデルは例えば100mL(空腹状態の通常の胃容積の二倍)を用いうる。懸架された攪拌子が再現性のある制御された一定のrpmを保ち、フラスコの内容物を攪拌する。pHの分析のためには、例えば、Orion pH電極(PerpHeot Ross Semimicro Electrodeとの一体型プローブ)を装着したOrion pHメーター(モデル720A)を用いることができる。動的酸中和モデルは、蠕動ポンプ(Watson/Marlow Multichannel PumpProモデルに耐酸性チューブを用いたもの)により、0.05N HClを1時間当たり200mL添加することができる。この速度は、0.1N HClの初期容積を50mLから100mLへと2倍にしたことを代償する。胃内容排出をシミュレートするためには、100mLの容積を一定に保ちながら、液体をフラスコから同じ速度で同じ蠕動ポンプによって取り除く。この動的酸中和モデルは、USP<301>号、酸中和能検査(Acid-Neutralizing Capacity Test)の概念と、USP<724>号、薬剤放出検査のための流動セル(Flow Through Cell for Drug Release Testing)の概念とを組み合わせている(これらは参照として本明細書に組み入れられる)。例示的には、フラスコ内の最初の酸のpHは時間の関数として測定することができる。時間ゼロの時点で緩衝物質をフラスコに添加し、内容物のpHの測定を1分間隔で始め、pHが所定のレベル、例えば3またはそれ未満の値になるまで都合の良い時間間隔で続ける。本発明の制御放出剤形をこのモデルで検査する場合には、剤形から胃液中に放出された薬剤の量および/または薬剤の酸分解を、例えば高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって評価することができる。
「低酸性ないし塩基性pH」とは、約4〜約8.0のpHを意味する。
「潤滑剤」とは、材料の付着または摩擦を防ぐ、低下させる、または抑制する化合物のことである。潤滑剤の例には、例えば、以下のものが含まれる:ステアリン酸;水酸化カルシウム;タルク;ステアリルフマル酸ナトリウム;鉱油などの炭化水素、または硬化大豆油(Sterotex)などの硬化植物油;高級脂肪酸およびそれらのアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩(アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛など)、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、グリセロール、タルク、蝋状物質、Stearowet(登録商標)、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ポリエチレングリコールまたはメトキシポリエチレングリコール(Carbowax(商標)など)、オレイン酸ナトリウム、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、マグネシウムまたはラウリル硫酸ナトリウム、コロイドシリカ(Syloid(商標)、Carb-O-Sil(登録商標)など)、コーンスターチなどのデンプン、シリコーン油、界面活性剤など。
「食事」とは、例えば、任意の量の食物、例えば軽食、一人前の食品、数人前の1種類の食品、一人前もしくは数人前の数種類の食品のこと、またはプロトンポンプ阻害剤による治療を必要とする症状を誘発する任意の量の食品のことを指す。
「測定可能な血清中濃度」という用語は、投与後に血流中に吸収された治療剤の血清中濃度(一般的には血清1ml、1dlまたは1l当たりの治療剤のmg、μgまたはng数として測定される)を意味する。例示的には、成人対象に関する測定可能な血清中濃度に対応する本発明のプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度は約5ng/mlを上回る。もう本発明の1つの態様において、成人に関する測定可能な血清中濃度に対応するプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度は約10ng/ml未満である。本発明のさらにもう1つの態様において、成人に関する測定可能な血清中濃度に対応するプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度は約10ng/ml〜約500ng/mlである。そして、本発明のさらにもう1つの態様において、成人に関する測定可能な血清中濃度に対応するプロトンポンプ阻害物質の血清中濃度は約250ng/ml〜約2500ng/mlである。
「代謝」とは、体内での薬剤の化学的改変のプロセスのことを指す。
「壁細胞活性化物質」または「活性化物質」は壁細胞を刺激して、プロトンポンプ阻害剤の医薬活性を高める。壁細胞活性化物質には、例えば、以下のものが含まれる:チョコレート;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ性物質;炭酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウムおよびグリセロリン酸カルシウムなどのカルシウム;ペパーミント油;スペアミント油;コーヒー;茶およびコーラ(カフェイン除去されているものでもよい);カフェイン;テオフィリン;テオブロミン;アミノ酸(特にフェニルアラニンおよびトリプトファンなどの芳香族アミノ酸);およびこれらの配合物。
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書において、その修飾語が医薬製品における使用に適することを意味して形容詞的に用いられる。
「薬力学」という用語は、作用部位での薬剤の濃度に関連して観察される生物学的応答を決定する要因のことを指す。
「薬物動態学」という用語は、作用部位での薬剤の適切な濃度の達成および維持を決定する要因のことを指す。
「薬理活性のある薬剤」という用語およびその同等物には、所望の効果、通常は治療効果を生じさせるために生きた対象に対して送達される、任意の治療的、予防的および/または薬理学的もしくは生理的に有益な活性のある物質のうち少なくとも1つ、またはその混合物が含まれる。より詳細には、特に哺乳動物において、治療的、診断的または予防的な性質のいずれであるかを問わず、薬理学的応答を局所的または全身的に生じさせることができる任意の薬剤が本発明の意図の範囲に含まれる。
「血漿中濃度」とは、対象の血漿または血清中での物質の濃度のことを指す。治療剤の血漿中濃度は、治療剤の代謝に関するばらつきが原因で対象間で何倍も異なる可能性があることが認識されている。本発明の1つの局面によれば、プロトンポンプ阻害剤および/または非ステロイド性抗炎症薬の血漿中濃度は対象毎に異なる可能性がある。同様に、最高血漿中濃度(Cmax)または最高血清中濃度到達時間(Tmax)または血清中濃度時間曲線下面積(AUC)などの値も対象毎に異なる可能性がある。このばらつきのために、プロトンポンプ阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬またはその他の治療剤の「治療的有効量」となるために必要な量は対象毎に異なる可能性がある。平均血漿中濃度を対象の集団に関して示す場合にこれらの平均値がかなりの差異を含みうることは認識されている。
胃腸の障害または疾患に関する「予防する」または「予防」とは、胃腸の障害もしくは疾患の発生が、それが過去に起こっていない場合にはみられないこと、またはすでに胃腸の障害もしくは疾患の発生がある場合にはそれ以上の胃腸の障害または疾患の発生がみられないことを意味する。また、胃腸の障害または疾患に伴う症状の一部またはすべてを予防する能力も考慮される。
「溶解補助剤」には、クエン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、グルタル酸、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの化合物が含まれる。
「安定化剤」には、任意の抗酸化剤、緩衝物質、酸などの化合物が含まれる。
「懸濁化剤」または「増粘剤」には、以下のものなどの化合物が含まれる:ポリビニルピロリドン、例えば、ポリビニルピロリドンK12、ポリビニルピロリドンK17、ポリビニルピロリドンK25またはポリビニルピロリドンK30;ポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールは分子量が約300〜約6000または約3350〜約4000または約7000〜約5400でありうる;カルボキシメチルセルロースナトリウム;メチルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリソルベート-80;ヒドロキシエチルセルロース;アルギン酸ナトリウム;ゴム、例えばトラガカントゴムおよびアラビアゴムなど;グアーガム;キサンタンゴムを含むキサンタン;糖;セルロース系誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど;ポリソルベート-80;アルギン酸ナトリウム;ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート;ポリエトキシル化ソルビタンモノラウレート;ポビドンなど。
「界面活性剤」には、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノオレイン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレイン酸、ポリソルベート、ポロクサマー、胆汁酸塩、モノステアリン酸グリセリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体(例えば、Pluronic(登録商標)(BASF));などの化合物が含まれる。
本明細書で用いる場合、「懸濁液」および「溶液」という用語は互換的に用いられ、これらは一般に、水性媒質中にある置換ベンズイミダゾールの溶液および/または懸濁液を意味する。
「持続放出」という用語は、その従来の意味で、長期間にわたって薬剤を徐々に放出し、場合によっては(必然的にではないが)長期間にわたり薬剤の実質的に一定の血液レベルを生じさせる薬物製剤のことを指して用いられる。
「治療域(therapeutic window)」とは、治療効果を誘発する可能性の高い、治療活性物質の作用部位での血漿中濃度の範囲またはレベルの範囲のことを指す。
「治療する」または「治療」とは、本明細書で用いる場合、胃腸障害に伴う障害または疾患の任意の治療のことを指し、これには、障害もしくは疾患に対する素因はあるが障害もしくは疾患を有するとはまだ診断されていない哺乳動物で障害もしくは疾患が起こるのを予防すること;障害もしくは疾患を抑制すること、例えば、障害もしくは疾患の発生を阻止すること;障害または疾患を緩和すること、例えば、障害もしくは疾患の消退を引き起こすこと;または、疾患または疾患によって引き起こされる状態を緩和すること、例えば、疾患または障害の症状を停止させることが非制限的に含まれる。
プロトンポンプ阻害剤
本出願の目的において、「プロトンポンプ阻害剤」または「PPI」または「プロトンポンプ阻害物質」という用語は、H+,K+-ATPアーゼの阻害剤としての薬理活性を有するあらゆる薬剤のことを意味する。本明細書で用いる場合、「PPI」または「プロトンポンプ阻害剤」または「プロトンポンプ阻害物質」の定義は、H+,K+-ATPアーゼの阻害剤としての薬理活性を有する薬剤には、必要に応じて、関連性のあるすべての化学的形態が含まれることも意味し、これには、この種の形態が薬理学的に適切である、すなわち本発明の方法、配合物、キットおよび組成物において有効であるという条件で、遊離塩基、遊離酸、塩、エステル、水和物、アミド、鏡像異性体、異性体、互換異性体、多形体、プロドラッグ、誘導体などの形態であってよい。対象に対するプロトンポンプ阻害物質の経口投与および吸収(または静脈内投与)の後に、薬剤は血清を介して、体内の種々の組織および細胞(壁細胞を含む)へと送達される。いかなる1つの理論にも拘束されることは意図していないが、研究では、プロトンポンプ阻害物質が弱塩基の形態にあってイオン化していない場合、それは壁細胞の細胞膜を含め、生理的な膜を自由に通過することが示唆されている。イオン化していないプロトンポンプ阻害物質は壁細胞の酸分泌部分である分泌細管の中に移動すると考えられている。ひとたび分泌細管の酸性環境に入ると、プロトンポンプ阻害物質は見かけ上プロトン化(イオン化)されて活性型の薬剤へと変換される。一般に、イオン化されたプロトンポンプ阻害物質は膜非透過性であり、プロトンポンプのαサブユニット中のシステイン残基とジスルフィド共有結合を形成する。このような活性型は、本明細書で用いる「PPI」「プロトンポンプ阻害剤」または「プロトンポンプ阻害物質」に含まれる。
本発明の方法、キット、配合物および組成物において有用なプロトンポンプ阻害物質のクラスの一つは、置換ベンズイミダゾール(例えば、ベンズイミダゾール環自体が窒素により置換され、6員ピリジン環とイミダゾール環が結合したものを形成した置換ベンズイミダゾールを含む)。1つの態様において、置換ベンズイミダゾールは式(1)、または、それらの遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互換異性体、多形体もしくはプロドラッグである:
式中、R
1は水素、アルキル、ハロゲン、シアノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、カルボアルコキシアルキル、カルバモイル、カルバモイルアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、トリフルオロメチル、アシル、カルバモイルオキシ、ニトロ、アシルオキシ、アリール、アリールオキシ、アルキオチオもしくはアルキルスルフィニルである;
R
2は水素、アルキル、アシル、カルボアルコキシ、カルバモイル、アルキルカルバモイル、ジアルキルカルバモイル、アルキルカルボニルメチル、アルコキシカルボニルメチルもしくはアルキルスルホニルである;
R
3およびR
5は同じであるか異なり、それぞれが水素、アルキル、アルコキシもしくはアルコキシアルコキシである;
R
4は水素、アルキル、アルコキシ(選択的にはフッ素化されていてもよい)もしくはアルコキシアルコキシである;ならびに
yは0から4までの整数である。
例示的には、本発明の方法、キット、配合物および組成物に用いうる当該の置換ベンズイミダゾールには、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、エソメプラゾール(s-オメプラゾールまたはペルプラゾールとしても知られる)、テナトプラゾール、ハベプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾールおよびレミノプラゾール;またはこれらの化合物の遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互換異性体、多形体、プロドラッグもしくは誘導体が非制限的に含まれる(一部はThe Merck Index, Merck & Co. Rahway, N.J.(2001)に示されたリストに基づく)。
塩形態のプロトンポンプ阻害物質の例には、例えば、エソメプラゾールナトリウム、オメプラゾールナトリウム、ラベプラゾールナトリウム、パントプラゾールナトリウムなどのナトリウム塩形態;または米国特許第5,900,424号に記載されたエソメプラゾールマグネシウムまたはオメプラゾールマグネシウムなどのマグネシウム塩形態;またはカルシウム塩形態;または、米国特許出願第2002/0198239号および米国特許第6,511,996号に記載されたエソメプラゾールのカリウム塩などのカリウム塩形態が含まれる。エソメプラゾールの他の塩は、例えば、U.S.4,738,974号およびU.S.6,369,085号に記載されている。
本発明の方法、キット、配合物および薬学的組成物に含まれるものに、記載した化合物の異性体形態および互換異性体ならびにそれらの薬学的に許容される塩がある。本発明において有用な置換ベンズイミダゾール互換異性体の例には、米国特許第6,262,085号;6,262,086号;6,268,385号;6,312,723号;6,316,020号;6,326,384号;6,369,087号;および6,444,689号;ならびに米国特許出願公報第02/0156103号(いずれもWhittle, et alによる)に記載されたような、オメプラゾールの互換異性体が含まれる。
本発明において有用な置換ベンズイミダゾールの異性体の例には、オメプラゾールの異性体が含まれる。例えば、一般名がオメプラゾールである化合物5-メトキシ-2-[[(4-メトキシ-3,5ジメチル-2-ピリミジニル)メチル]スルフィニル]-1H-ベンズイミダゾール、ならびにその治療的に許容される塩は、EP 5129号に記載されている。結晶型のオメプラゾールに関する単結晶X線データおよび導き出された分子構造は、Oishi et al., Acta Cryst. (1989), C45, 1921-1923に記載されている。この結晶型のオメプラゾールはオメプラゾールB型(form B)と呼ばれている。オメプラゾールA型としてのもう1つの結晶型のオメプラゾールは、Lovqvist et al.による米国特許第6,150,380号および米国特許出願公報第02/0156284号に記載されている。さらにもう1つの結晶型のオメプラゾールは、Hafner et alによるWO 02/085889号に記載されている。
適した多形体の例は、例えば、米国特許第4,045,563号;4,182,766号;4,508,905号;4,628,098号;4,636,499号;4,689,333号;4,758,579号;4,783,974号;4,786,505号;4,853,230号;5,026,560号;5,013,743号;5,035,899号;5,045,321号;5,045,552号;5,093,132号;5,093,342号;5,433,959号;5,464,632号;5,536,735号;5,576,025号;5,599,794号;5,629,305号;5,639,478号;5,690,960号;5,703,110号;5,705,517号;5,714,504号;5,731,006号;5,879,708号;5,900,424号;5,948,773号;5,997,903号;6,017,560号;6,123,962号;6,147,103号;6,150,380号;6,166,213号;6,191,148号;5,187,340号;6,268,385号;6,262,086号;6,262,085号;6,296,875号;6,316,020号;6,328,994号;6,326,384号;6,369,085号;6,369,087号;6,380,234号;6,428,810号;および6,444,689号に記載されている。
薬学的に許容される塩の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、ステアリン酸、サリチル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルギン酸、b-ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸から調製される。
薬学的に許容される陽イオンには、金属イオンおよび有機イオンが含まれる。例示的には、金属イオンには、適したアルカリ金属(IA群)塩、アルカリ土類金属(IIA群)塩およびその他の生理的に許容される金属イオンが非制限的に含まれる。イオンの例には、通常の原子価を有するアルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛が含まれる。好ましい有機イオンにはプロトン化した三級アミンおよび四級アンモニウム陽イオンが含まれ、その一部には、トリメチルアミン、ジエチルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカインが含まれる。薬学的に許容される酸の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、メタンスルホン酸、酢酸、ギ酸、酒石酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸、イソクエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸、グルクロン酸、ピルビン酸、オキザロ酢酸、フマル酸、プロピオン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸などが非制限的に含まれる。
同じく本発明の方法、キット、配合物および薬学的組成物に含まれるものに、記載した化合物およびそれらの薬学的に許容される塩のプロドラッグがある。プロドラッグは一般に、対象への投与およびそれに続く吸収の後に、代謝プロセスなどの何らかのプロセスを介して活性種またはより活性の高い種へと変換される、薬剤の前駆体と考えられている。変換プロセスによるその他の生成物は容易に処理されて体外に排出される。プロドラッグは一般に、その活性を低下させる、および/または溶解性もしくは何らかの他の特性を薬剤に付与する化学基を表面上に有する。ひとたびその化学基がプロドラッグから切断除去されると、より活性の高い薬剤が生成される。プロドラッグを可逆的な薬剤誘導体として設計し、部位特異的な組織への薬剤の輸送を促すための修飾因子として利用することもできる。今日までのプロドラッグの設計は、水が主な溶媒である領域へのターゲティングのために治療用化合物の有効な水溶性を高めるものであった。例えば、Fedorak et al., Am. J. Physiol, 269: G210-218 (1995)は、デキサメタゾン-β-D-グルクロニドを記載している。McLoed et al., Gastroenterol., 106: 405-413 (1994)は、デキサメタゾンコハク酸-デキストランを記載している。Hochhaus et al., Biomed. Chrom., 6: 283-286 (1992)は、デキサメタゾン-21-スルホ安息香酸ナトリウムおよびデキサメタゾン-21-イソニコチネートを記載している。さらに、J. Larsen and H. Bundgaard[Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987)]は、プロドラッグ誘導体の可能性があるものとしてN-アシルスルホンアミドの評価を記載している。J. Larsen et al.,[Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988)]も、プロドラッグ誘導体の可能性があるものとしてのN-メチルスルホンアミドを記載している。また、プロドラッグは例えば、Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64:181-210 (1975)にも記載されている。
その他の置換ベンズイミダゾール化合物、ならびにそれらの塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互変異性体、多形体、プロドラッグおよび誘導体は、合成有機化学の当業者に知られた標準的な手順を用いて調製することができ、これは例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry;Reactions、Mechanisms and Structure, 4th Ed.(New York:Wiley-Interscience, 1992)により記載されている。
上述したプロトンポンプ阻害物質の配合物および混合物を、本明細書に記載の方法、キット、配合物および組成物に用いることができる。プロトンポンプ阻害物質の塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互換異性体、多形体、プロドラッグおよび誘導体は、有機化学の当業者に知られた標準的な手順を用いて調製することができ、これは例えば、J. March, Advanced Organic Chemistry;Reactions、Mechanisms and Structure, 4th Ed.(New York:Wiley-Interscience, 1992)に記載されている。例えば、酸付加塩は、従来の方法を用いて遊離塩基から調製され、これは適した酸との反応を含む。一般に、塩基型の薬剤をメタノールまたはエタノールなどの極性有機溶媒中に溶解させ、それに酸を添加する。その結果生じた塩は沈殿するか、より極性の低い溶媒の添加によって溶液から析出する。酸付加塩を調製するために適した酸には、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などの有機酸のほか、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など無機酸がともに含まれる。酸付加塩は、適した塩基の投与によって遊離塩基に再び変換させることができる。1つの態様において、本明細書における活性薬剤の酸付加塩は、塩酸または臭化水素酸を用いて調製されるようなハロゲン塩である。さらにもう1つの態様において、本明細書における塩基性塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩および銅塩である。
エステルの調製はヒドロキシル基および/またはカルボキシル基の官能性付与を含み、これは薬剤の分子構造の内部に存在してもよい。これらのエステルは一般に遊離アルコール基のアシル置換誘導体、すなわち、式RCOOHのカルボン酸に由来する部分であり、式中、Hは低級アルキル基により置換されている。エステルは、必要に応じて、従来の水素化分解または加水分解手順を用いることにより、遊離酸へと再び変換させることができる。アミドはまた、当業者に知られた技法、または関連文献に記載された技法を用いて調製することもできる。例えば、アミドは、適したアミン反応物を用いてエステルから調製することもでき、またはアンモニアもしくは低級アルキルアミンとの反応により、それらを無水物もしくは酸塩化物から調製することもできる。
本明細書で用いる場合、「アシル」という用語は、単独または組み合わせとして、有機酸からのヒドロキシルの除去後の残基によって得られる遊離基(遊離基)のことを意味する。このようなアシル遊離基の例には、アルカノイルおよびアロイル遊離基が含まれる。このようなアルカノイル遊離基の例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、トリフルオロアセチルなどが含まれる。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」という用語は、単独または組み合わせとして、アルキルエーテル遊離基のことを意味し、ここでアルキルという用語は上記のように定義される。適したアルキルエーテル遊離基の例には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソ-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどが含まれる。「アルコキシ」遊離基がさらに、ハロアルコキシ遊離基が得られるように、フルオロ、クロロまたはブロモなどの1つまたは複数のハロ原子によって置換されていてもよい。例示的には、ハロアルコキシ遊離基は、1〜6個の炭素原子および1つまたは複数のハロ遊離基を有する「ハロアルコキシ」遊離基である。このような遊離基の例には、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、フルオロエトキシおよびフルオロプロポキシが含まれる。
「アルコキシアルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、アルキル遊離基に1つまたは複数のアルコキシ遊離基が結合している、すなわちモノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキル遊離基を形成している、アルキル遊離基のことを意味する。「アルコキシ」遊離基がさらに、ハロアルコキシ遊離基が得られるように、フルオロ、クロロまたはブロモなどの1つまたは複数のハロ原子によって置換されていてもよい。
「アルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、1個〜約12個の炭素原子、好ましくは1個〜約10個の炭素原子、より好ましくは1個〜約6個の炭素原子を含む、直鎖状または分枝鎖状のアルキル遊離基のことを意味する。このような遊離基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチルなどが含まれる。
「アルキルスルフィニル」という用語は、単独または組み合わせとして、1個〜10個の炭素原子を含み、二価-S(=O)-遊離基が結合している、線状または分枝状のアルキル遊離基を含む遊離基のことを意味する。例示的には、アルキルスルフィニル遊離基は、1個〜6個の炭素原子を含むアルキル遊離基を有する遊離基である。このようなアルキルスルフィニル遊離基の例には、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、ブチルスルフィニルおよびヘキシルスルフィニルが含まれる。
「アルキルスルホニル」という用語は、単独または組み合わせとして、スルホニル遊離基が結合したアルキル遊離基のことを意味し、ここでアルキルは上記のように定義される。例示的には、アルキルスルホニル遊離基は、1個〜6個の炭素原子を有するアルキルスルホニル遊離基である。このようなアルキルスルホニル遊離基の例には、メチルスルホニル、エチルスルホニルおよびプロピルスルホニルが含まれる。「アルキルスルホニル」遊離基がさらに、ハロアルキルスルホニル遊離基が得られるように、フルオロ、クロロまたはブロモなどの1つまたは複数のハロ原子による置換を受けていてもよい。
「アルキオチオ」という用語は、単独または組み合わせとして、1個〜約10個の炭素原子を含み、二価イオウ原子が結合している、線状または分枝状のアルキル遊離基を含む遊離基のことを意味する。例示的には、アルキオチオ遊離基は、1個〜6個の炭素原子を含むアルキル遊離基を有する遊離基である。このようなアルキオチオ遊離基の例には、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオおよびヘキシルチオがある。
「アルキオチオアルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、1個〜約10個の炭素原子を含むアルキル遊離基と二価イオウ原子を介して結合しているアルキオチオ遊離基を含む遊離基のことを意味する。例示的には、アルキオチオアルキル遊離基は、1個〜6個の炭素原子を含むアルキル遊離基を有する遊離基である。このようなアルキルチオアルキル遊離基の例には、メチルチオメチル、メチルチオエチル、エチルチオエチルおよびエチルチオメチルが含まれる。
「アミノ」という用語は、単独または組み合わせとして、アミン基または-NH2基のことを意味し、この際、一置換アミノは、単独または組み合わせとして、1つの水素原子が置換されている置換アミン-N(H)(置換基)基のことを意味し、二置換アミンは、アミノ基の2つの水素原子が独立に選択された置換基によって置換されている-N(置換基)2のことを意味する。
アミン、アミノ基およびアミドは、アミノ窒素の置換の程度に応じて、一級(I°)、二級(II°)もしくは三級(III°)、または非置換型、一置換型もしくはN,N-二置換型として命名することができる化合物である。四級アミン(アンモニウム)(IV°)は、正に荷電し、対イオンを伴う、4つの置換を有する窒素[-N+(置換基)4]のことを意味し、N-オキシドとは、1つの置換基が酸素であり、その基が[-N+(置換基)3-O−]として表されることを意味する;すなわち、電荷は内部で補償されている。
「アミノアルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、アミノ遊離基を有するアルキル遊離基置換のことを意味する。好ましいものは、1個〜6個の炭素原子を有するアルキル部分を有するアミノアルキル遊離基である。このような遊離基の例には、アミノメチル、アミノエチルなどが含まれる。
「アリールアルキル」または「アラルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、1つの水素原子が、上記に定義したようなアリール遊離基、例えばベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェニルエチル、ジフェニルエチル2-フェニルエチルなどによって置換されている、上記に定義したようなアルキル遊離基のことを意味する。前記アラルキルにおけるアリールは、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハルコアルキルおよびハロアルコキシによる置換をさらに受けていてもよい。ベンジルおよびフェニルメチルという用語は互換的である。
「アリール」という用語は、単独または組み合わせとして、五員環もしくは六員環の炭素環式芳香族環含有部分、または2つもしくは3つの環を含む五員環もしくは六員環の炭素環式芳香族系のことを意味し、この際、これらの環はペンダント式に互いに結合しているか、または環内のすべての炭素原子を有する2つもしくは3つの環を含む環を含む融合環系;すなわち、炭素環式アリール遊離基である。「アリール」という用語には、フェニル、インデニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダンおよびビフェニルなどの芳香族遊離基が含まれる。アリール部分が、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、カルボキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニルアルキル、アルコキシ、アラルコキシ、ヒドロキシル、アミノ、ハロ、ニトロ、アルキルアミノ、アシル、シアノ、カルボキシ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニルおよびアラルコキシカルボニルを含む、1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい。
「カルボニル」または「オキソ」という用語は、単独または組み合わせとして、すなわち、「アルコキシカルボニル」などの他の用語ととともに用いられた場合、-C(=O)-基のことを意味し、この際、残りの2つの結合(原子価)は独立に置換されうる。また、カルボニルという用語は、水和カルボニル基-C(OH)2-も含むものとする。
「カルボキシ」または「カルボキシル」という用語は、単独または組み合わせとして、すなわち「カルボキシアルキル」などの他の用語とともに用いられた場合のいずれであっても、-CO2H遊離基のことを意味する。
「カルボキシアルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、カルボキシ遊離基を有するアルキル遊離基置換のことを意味する。例示的には、カルボキシアルキル遊離基は、上記に定義したようなアルキル遊離基を有しており、アルキル遊離基がハロによってさらに置換されていてもよい。このようなカルボキシアルキル遊離基の例には、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキシプロピルなどが含まれる。
「シアノ」という用語は、単独または組み合わせとして、-C-三重結合-N(-C≡N)基のことを意味する。
「シクロアルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、3個〜約12個の炭素原子を含む環状アルキル遊離基のことを意味する。例示的には、シクロアルキル遊離基は、3個〜約8個の炭素原子を有するシクロアルキル遊離基である。このような遊離基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。
「誘導体」という用語は、1つの原子、分子または基と別のものとの置換により、構造の類似した別の化合物から生成される化合物のことを指す。例えば、化合物の水素原子をアルキル、アシル、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、ハロアルキルなどによって置換して、その化合物の誘導体を生成することができる。
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、単独または組み合わせとして、フッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物などのハロゲンのことを意味する。
「ハロアルキル」という用語、単独または組み合わせとして、1つまたは複数の水素がハロゲンによって置換されている、上記に定義した意味を有するアルキル遊離基のことを意味する。特に含まれるものは、モノハロアルキル、ジハロアルキルおよびポリハロアルキル遊離基である。モノハロアルキル遊離基は、一例として、ヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロ原子のいずれかを遊離基の内部に含んでもよい。ジハロおよびポリハロアルキル遊離基は、同じハロ原子を2つもしくはそれ以上含んでもよく、または異なるハロ遊離基の組み合わせを含んでもよい。いくつかの態様において、ハロアルキル遊離基は、1個〜6個の炭素原子および1つまたは複数のハロ遊離基を有するハロアルコキシ遊離基である。このようなハロアルキル遊離基の例には、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、1-ブロモエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1,1,1-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル、ジクロロプロピルなどが含まれる。
「ヘテロアリール」という用語は、単独または組み合わせとして、炭素原子を有し、さらに環中にイオウ、酸素および窒素などの1つまたは複数のヘテロ原子も含む、五員環もしくは六員環の芳香族環含有部分、または2つもしくは3つの環を含む融合環系(遊離基)のことを意味する。このようなヘテロ環状基またはヘテロアリール基の例には、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、ピロリル、イミダゾリル(例えば、イミダゾール-4-イル、1-ベンジルオキシカルボニルイミダゾール-4-イルなど)、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾイル、チアゾリル、チアジアゾイル、インドリル(例えば、2-インドリルなど)、キノリニル(例えば、2-キノリニル、3-キノリニル、1-オキシド-2-キノリニルなど)、イソキノリニル(例えば、1-イソキノリニル、3-イソキノリニルなど)、テトラヒドロキノリニル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-キノリルなど)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-オキソ-イソキノリニルなど)、キノキサリニル、β-カルボリニル、2-ベンゾフランカルボニル、ベンゾチアフェニル、1-、2-、4-または5-ベンズイミダゾリルなどの遊離基がある。
「ヘテロシクロ」という用語には、飽和型、部分不飽和型、および不飽和型のヘテロ原子含有環状遊離基が含まれ、この際、ヘテロ原子は窒素、イオウおよび酸素から選択されうる。飽和型ヘテロシクロ遊離基の例には、1個〜4個の窒素原子を含む飽和型で三〜六員環のヘテロ単環式基(例えばピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジノ、ピペラジニルなど);1個〜2個の酸素原子および1個〜3個の窒素原子を含む飽和型で三〜六員環のヘテロ単環式基(例えば、モルホリニルなど);1個〜2個のイオウ原子および1個〜3個の窒素原子を含む飽和型で三〜六員環のヘテロ単環式基(例えば、チアゾリジニルなど)が含まれる。部分不飽和型のヘテロシクロ遊離基の例には、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフランおよびジヒドロチアゾールが含まれる。ヘテロシクロカルボニル、ヘテロシクロオキシ-カルボニル、ヘテロシクロアルコキシカルボニルまたはヘテロシクロアルキル基などのヘテロ環状(ヘテロシクロ)部分は、窒素、酸素およびイオウより選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、飽和型または部分不飽和型の単環状、二環状または三環状ヘテロ環である。ヘテロシクロ化合物には、ベンゾ-1,4-ジオキサンなどのベンゾ融合ヘテロ環状化合物が含まれる。選択的には、このような部分が、1つまたは複数の環状炭素原子上でハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシカルボニル、アルキル、アルコキシ、オキソなどによる置換、および/または環の二級窒素原子(すなわち、-NH-)上でのアルキル、アラルコキシカルボニル、アルカノイル、アリールもしくはアリールアルキルによる置換、または三級窒素原子(すなわち、=N-)上でのオキシド(これは炭素原子を介して結合する)による置換を受けることも可能である。3つの置換基を有する三級窒素原子を結合させてN-オキシド[=N(O)-]基を形成させることもできる。
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、ピロリジニルメチルなどの飽和型および部分不飽和型のヘテロシクロ置換アルキル遊離基、ならびにピリジルメチル、キノリルメチル、チエニルメチル、フリルエチルおよびキノリルエチルなどのヘテロアリール置換アルキルのことを意味する。前記ヘテロアラルキルにおけるヘテロアリールが、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハルコアルキルおよびハロアルコキシによってさらに置換されていてもよい。
「ヒドリド」または「水素」という用語は、単独または組み合わせとして、単一の水素原子(H)のことを意味する。このヒドリド遊離基は、例えば、酸素原子と結合させてヒドロキシル遊離基を形成させること、または2つのヒドリド遊離基を炭素原子と結合させてメチレン(-CH2-)遊離基を形成させることができる。
「ヒドロキシアルキル」という用語は、単独または組み合わせとして、1個〜約10個の炭素原子(それらのうちの任意の1つは、1つまたは複数のヒドロキシル遊離基によって置換されていてもよい)を有する線状または分枝状のアルキル遊離基のことを意味する。好ましいヒドロキシアルキル遊離基は、1個〜6個の炭素原子および1つまたは複数のヒドロキシル遊離基を有する。このような遊離基の例には、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシブチルおよびヒドロキシヘキシルが含まれる。
「ヒドロキシル」という用語は、単独または組み合わせとして、-OH基のことを意味する。
「ニトロ」という用語は、単独または組み合わせとして、-NO2基のことを意味する。
「プロドラッグ」という用語は、その薬理作用が体内の代謝プロセスによる変換によって生じる薬剤または化合物のことを指す。プロドラッグは一般に、対象への投与およびそれに続く吸収の後に、代謝経路による変換などの何らかのプロセスを介して活性種またはより活性の高い種へと変換される、薬剤の前駆体と考えられている。ある種のプロドラッグは、その活性を低下させる、および/または溶解性もしくは何らかの他の特性を薬剤に付与する化学基を表面上に有する。ひとたびその化学基がプロドラッグから切断除去されると、より活性の高い薬剤が生成される。プロドラッグを可逆的な薬剤誘導体として設計し、部位特異的な組織への薬剤の輸送を促すための修飾因子として利用することもできる。今日までのプロドラッグの設計は、水が主な溶媒である領域へのターゲティングのために治療用化合物の有効な水溶性を高めるものであった。例えば、Fedorak, et al., Am. J. Physiol, 269: G210-218 (1995);McLoed, et al., Gastroenterol., 106: 405-413 (1994);Hochhaus、et al.、Biomed. Chrom., 6: 283-286 (1992);J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987);J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988);Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64: 181-210 (1975);T. Higuchi and V. Stella, Pro-drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series;およびEdward B. Roche, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987を参照のこと。
「スルホン」という用語は、単独または組み合わせとして、-SO2-基のことを意味し、この際、表記されている残りの2つの結合(原子価)は独立に置換可能である。
「スルホニル」という用語は、単独または組み合わせとして、すなわち、アルキルスルホニルなどの他の用語と結びつけられた場合に、-SO2-基のことを意味し、この際、表記されている残りの2つの結合(原子価)は独立に置換可能である。
「スルフオキシド」という用語は、単独または組み合わせとして、-SO-基のことを意味し、この際、残りの2つの結合(原子価)は独立に置換可能である。
「チオール」または「スルフヒドリル」という用語は、単独または組み合わせとして、-SH基のことを意味する。「チオ」または「チア」という用語は、単独または組み合わせとして、チアエーテル基;すなわち、エーテルの酸素がイオウ原子によって置換されたエーテル基のことを指す。
緩衝物質
「緩衝物質」または「緩衝液」という用語は、プロトンポンプ阻害物質とともに調合された場合、またはその前、最中もしくは後に送達された場合に、投与されたプロトンポンプ阻害物質の生物学的利用能が十分に保たれるように、胃酸によるプロトンポンプ阻害物質の酸分解を実質的に防止または阻害する働きをする、任意の薬学的に適切な弱塩基または強塩基(およびそれらの混合物)のことを意味する。
本発明の薬学的組成物は、1つまたは複数の緩衝物質を含む。本発明において有用な緩衝物質のクラスには、弱塩基または強塩基としての薬理活性を有する緩衝物質が非制限的に含まれる。1つの態様において、緩衝物質は、プロトンポンプ阻害物質とともに調合または送達された場合に、胃液によるプロトンポンプ阻害剤の酸分解を、一定期間にわたって、例えば投与されたプロトンポンプ阻害物質の生物学的利用能が十分に保たれる期間にわたって、実質的に防止または阻害するように働く。緩衝物質は、プロトンポンプ阻害剤の送達の前、最中および/または後に送達することができる。本発明の1つの局面において、緩衝物質にはIA群金属(アルカリ金属)の塩が含まれ、これには例えば、IA群金属の炭酸水素塩、IA群金属の炭酸塩;アルカリ土類金属緩衝物質(IIA群金属);アルミニウム緩衝物質;カルシウム緩衝物質;またはマグネシウム緩衝物質が含まれる。
本発明に適したその他の緩衝物質には、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムおよびフランシウムを非制限的に含むIA群金属)またはアルカリ土類金属(ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムを非制限的に含むIIA群金属)の炭酸塩、リン酸塩、炭酸水素塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、フタル酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩など、例えば、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩、炭酸水素塩および炭酸塩が含まれる。
さまざまな態様において、緩衝物質には以下のものが含まれる:アミノ酸、アミノ酸のアルカリ金属塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸マグネシウム/炭酸カルシウム共沈物、水酸化マグネシウムアルミニウム、水酸化アルミニウム/水酸化マグネシウム共沈物、水酸化アルミニウム/炭酸水素ナトリウム共沈物、グリシン酸アルミニウム、酢酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、ホウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、乳酸カルシウム、フタル酸カルシウム、リン酸カルシウム、コハク酸カルシウム、酒石酸カルシウム、第二リン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、L-アルギニン、酢酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウム、ホウ酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、乳酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、フタル酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、コハク酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸カリウム、クエン酸カリウム、メタリン酸カリウム、フタル酸カリウム、リン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、ピロリン酸カリウム、コハク酸カリウム、酒石酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、乳酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、合成ヒドロタルサイト、ピロリン酸四カリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、およびトロメタノール(例えば、The Merck Index, Merck & Co. Rahway, N.J.(2001)に示されたリストを参照されたい)。酸を急速に中和するある種のタンパク質またはタンパク質加水分解産物は、本発明における緩衝物質として利用しうる。上記の緩衝物質の組み合わせを本明細書に記載の薬学的組成物に用いることができる。
本発明において有用な緩衝物質には、HCl(または当該の環境内にある他の酸)に対して、プロトンポンプ阻害剤がその同じ酸に対して相互作用するよりも急速に相互作用する、緩衝物質または緩衝物質の組み合わせも含まれる。水などの液相中に置かれた場合、これらの緩衝物質は、プロトンポンプ阻害剤のpKaを上回るpHを生じさせて維持する。
さまざまな態様において、緩衝物質は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムおよびこれらの混合物より選択される。もう1つの態様において、緩衝物質は炭酸水素ナトリウムであり、約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する。さらにもう1つの態様において、緩衝物質は炭酸水素ナトリウムと水酸化マグネシウムとの混合物であり、この際、炭酸水素ナトリウムおよび水酸化マグネシウムはそれぞれ約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する。さらにまたもう1つの態様において、緩衝物質は炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムおよび水酸化マグネシウムから選択された少なくとも2つの緩衝物質の混合物であり、この際、各緩衝物質は約0.1mEq/mgプロトンポンプ阻害剤〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤で存在する。
緩衝物質が約0.1mEq/mg〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.25mEq/mg〜約3mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.3mEq/mg〜約2.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.4mEq/mg〜約2.0mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.5mEq/mg〜約1.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する、本明細書に記載の組成物が提供される。緩衝物質が少なくとも0.25mEq/mg〜約2.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤または少なくとも約0.4mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する、本明細書に記載の組成物が提供される。
本発明の1つの局面においては、緩衝物質が本発明の薬学的組成物中に投与1回当たり約1mEq〜約160mEq、または投与1回当たり約5mEq、または約10mEq、または約11mEq、または約12mEq、または約13mEq、または約15mEq、または約19mEq、または約20mEq、または約21mEqまたは約22mEq、または約23mEq、または約24mEq、または約25mEq、または約30mEq、または約31mEqまたは約35mEq、または約40mEq、または約45mEq、または約50mEq、または約60mEq、または約70mEq、または約80mEq、または約90mEq、または約100mEq、または約110mEq、または約120mEq、または約130mEq、または約140mEq、または約150mEq、または約160mEqの量で存在する組成物が提供される。
本発明のもう1つの局面においては、緩衝物質が組成物中に、重量比(w/w)ベースで、プロトンポンプ阻害物質の約5倍を上回る、または約10倍を上回る、または約20倍を上回る、または約30倍を上回る、または約40倍を上回る、または約50倍を上回る、または約60倍を上回る、または約70倍を上回る、または約80倍を上回る、または約90倍を上回る、または約100倍を上回る量で存在する組成物が提供される。
本発明のもう1つの局面においては、薬学的組成物中に存在する緩衝物質の量が200〜3500mgの間である組成物が提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物中に存在する緩衝物質の量は、約200mg、または約300mg、または約400mg、または約500mg、または約600mg、または約700mg、または約800mg、または約900mg、または約1000mg、または約1100mg、または約1200mg、または約1300mg、または約1400mg、または約1500mg、または約1600mg、または約1700mg、または約1800mg、または約1900mg、または約2000mg、または約2100mg、または約2200mg、または約2300mg、または約2400mg、または約2500mg、または約2600mg、または約2700mg、または約2800mg、または約2900mg、または約3000mg、または約3200mg、または約3500mgである。
併用療法
「併用療法」とは、別の医薬薬剤と併せて本発明の組成物を投与することを意味する。併用療法を構成する治療用化合物は配合剤形であってもよく、または実質的な同時投与を意図した別々の剤形であってもよい。また、併用療法を構成する治療用化合物を、二段階投与を必要とするレジメンによっていずれの治療用化合物も投与されるように、逐次的に投与してもよい。実質的な同時投与は、例えば、対象に対して、各治療剤を一定の比率で有する単一の錠剤もしくはカプセル剤を投与することにより、または治療剤毎に1つずつのカプセル剤または錠剤を複数投与することにより、達成することができる。各治療剤の逐次的投与または実質的な同時投与は、任意の適切な経路によって行うことができる。すなわち、レジメンが、別々の活性薬剤が間隔をおいて投与される治療用化合物の逐次的投与を必要としてもよい。複数の投与段階の間の期間は、治療用化合物の効力、溶解性、生物学的利用能、血漿半減期および動態プロフィールといった各治療用化合物の性質に応じて、ならびに食物摂取の影響および対象の年齢および状態に応じて、例えば、数分間から数時間ないし数日間の範囲にわたりうる。最適な投薬間隔は、標的分子濃度の日内変動によっても決まる。
併用療法の治療用化合物は、同時、実質的に同時または逐次的のいずれで投与されるかにかかわらず、経口経路による一方の治療用化合物の投与、および、例えば、経口経路、経皮的経路、静脈内経路、筋肉内経路による、または粘膜組織を介した直接吸収による、もう一方の治療用化合物の投与を必要とするレジメンを含みうる。併用療法の治療用化合物が、経口的、吸入スプレーにより、直腸内、局所的、口腔内(例えば、舌下)または非経口的(例えば、皮下、筋肉内、静脈内もしくは皮内への注射または注入法)のいずれによって別々またはともに投与されるかにかかわらず、このような各治療用化合物は、薬学的に許容される添加剤、希釈剤またはその他の製剤成分を含む適した薬学的製剤中に含まれていると考えられる。
併用療法は例えば、これらの治療剤の協同作用による有益な効果を得ることを意図した特定の治療レジメンの一部として、本発明の組成物を別の医薬薬剤とともに投与することを含む。併用の有益な効果には、治療剤の組み合わせに起因する薬物動態学的または薬力学的な協同作用が非制限的に含まれる。これらの治療剤の併用下での投与は一般に、規定された期間(選択する組み合わせに応じて、通常は、実質的に同時、分、時間、日、週、月または年の単位)にわたって行われる。
例えば、本発明の方法、キットおよび組成物を、胃腸障害の治療または予防に対する適応のある別の医薬薬剤、例えば、この障害に関連した疼痛および/または合併症を最小限に抑えるために一般に投与される、抗菌薬、アルギン酸塩、消化管運動賦活剤(prokinetic agent)、H2アンタゴニスト、制酸剤またはスクラルファートと併用することができる。これらの薬剤には、その使用に伴うある種の欠点がある。これらの薬剤のいくつかは、前記の状態の治療に完全に有効なわけではない、ならびに/または精神錯乱、便秘、下痢および血小板減少症などの有害な副作用を引き起こす。ラニチジンおよびシメチジンなどのH2アンタゴニストは比較的コストのかかる治療様式であり、薬剤の連続静脈内注入のための自動輸液ポンプの使用が高頻度に必要なNPO患者では特にそうである。しかし、本発明と併せて用いる場合、すなわち、併用療法では、これらの望ましくない副作用の多く(すべてではないにせよ)を軽減または消失させることができる。これらの薬剤の副作用プロフィールの軽減は一般に、例えば、投与された併用物による治療効果を得るために必要な投与量を減らすことに役立つ。
もう1つの例において、本発明の方法、キットおよび組成物は、以下のものを非制限的に含む、他の医薬薬剤と併用することができる:NSAID、これにはエンフェナム酸、エトフェナメート、フルフェナム酸、イソニキシン、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸、タルニフルマート、テロフェナマートおよびトルフェナム酸などのアミノアリールカルボン酸誘導体が非制限的に含まれる;アリール酢酸誘導体、例えばアセクロフェナク、アセメタシン、アルクロフェナク、アンフェナク、アムトルメチングアシル、ブロムフェナク、ブフェキサマク、シンメタシン、クロピラク、ジクロフェナクナトリウム、エトドラク、フェルビナク、フェンクロズ酸、フェンチアザク、グルカメタシン、イブフェナック、インドメタシン、イソフェゾラク、イソキセパク、ロナゾラク、メチアジン酸、モフェゾラク、オキサメタシン、ピラゾラク、プログルメタシン、スリンダク、チアラミド、トルメチン、トロペシンおよびゾメピラクなど;アリール酪酸誘導体、例えばブマジゾン、ブチブフェン、フェンブフェン、キセンブシンなど;アリールカルボン酸、例えばクリダナク、ケトロラク、チノリジンなど;アリールプロピオン酸誘導体、例えばアルミノプロフェン、ベノキサプロフィン(benoxaprofin)、ベルモプロフェン、ブクロクス酸、カルプロフェン、フェノプロフェン、フルノキサプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、イブプロキサム、インドプロフェン、ケトプロフェン、ロキソプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピケトプロフィン(piketoprofin)、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プロチジン酸、スプロフェン、チアプロフェン酸、キシモプロフェンおよびザルトプロフェンなど;ピラゾール系薬剤、例えばジフェナミゾールおよびエピロゾール(epirozole)など;ピラゾロン系薬剤、例えばアパゾン、ベンズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、モラゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピペブゾン、プロピフェナゾン、プロスタグランジン、ラミフェナゾン、スキシブゾンおよびチアゾリノブタゾンなど;サリチル酸誘導体、例えばアセトアミノサロール、アスピリン、ベノリラート、ブロモサリゲニン(bromosaligenin)、カルシウムアセチルサリチル酸、ジフルニサル、エテルサラート、フェンドサール、ゲンチジン酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸イミダゾール、アセチルサリチル酸リジン、メサラミン、モルホリンサリチル酸、1-ナフチルサリチル酸、オルサラジン、パルサルミド、フェニルアセチルサリチル酸、フェニルサリチル酸、サラセタミド、サリチルアミドo-酢酸、サリチル硫酸、サルサラート、スルファサラジンなど;チアジンカルボキシアミド、例えばアンピロキシカム、ドロキシカム、イソキシカム、ロモキシカム(lomoxicam)、ピロキシカムおよびテノキシカムなど;シクロオキシゲナーゼ-II阻害剤(「COX-II」)、例えばCelebrex(Celecoxib)、Vioxx、Relafen、LodineおよびVoltarenおよびその他のもの、例えばε-アセトアミドカプロン酸、s-アデノシルメチオニン、3-アミノ-4-ヒドロキシ酪酸、アミキセトリン、ベンダザック、ベンジドアミン、α-ビサボロール、ブコロローム(bucololome)、ジフェンピラミド、ジタゾール、エモルファゾン、フェプラジノール、グアイアズレン、ナブメトン、ニメスリド、オキサセプロール、パラニリン、ペリソキサール、プロクァゾン、テニダプおよびジレントン(zilenton)など;睡眠補助薬、これには、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、抗ヒスタミン性睡眠薬、抗うつ性睡眠薬、ハーブエキス、バルビツレート、ペプチド睡眠薬、トリアゾラム、ブロチゾラム、ロプラゾラム、ロルメタゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ニトラゼパム、クアゼパム、エスタゾラム、テマゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、ジアゼパム、ハラゼパム、プラゼパム、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロラゼペート、イミダゾピリジンもしくはピラゾロピリミジン系睡眠薬、ゾルピデムもしくは酒石酸ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロン、ザレプロン、インジプロン(indiplone)、ジフェンヒドラミン、ドキシルアミン、フェニルトロキサミン、ピリルアミン、ドキセピン、アミトリプチリン、トリミプラミン、トラゾドン、ネファゾドン、ブプロピオン、ブプラミチプチリン(bupramityiptyline)、カノコソウエキスもしくはアメントフラボンなどのハーブエキス、メラトニンなどのホルモン、またはガバペンチンなどが非制限的に含まれる;消化管運動改善剤(motility agent)、これにはシサプリド、ドンペリドンおよびメトクロプラミドなどの5-HT阻害剤、ならびに過敏性腸症候群を治療するために有用な薬剤などが非制限的に含まれる。
組成物
本発明は、対象による経口投与および摂取のための、プロトンポンプ阻害物質および緩衝物質を含む薬学的組成物を提供する。本組成物は、任意の適したプロトンポンプ阻害物質、例えば、オメプラゾール、ヒドロキシオメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、ドントプラゾール、エソメプラゾール(s-オメプラゾールまたはペルプラゾールとしても知られる)、ハベプラゾール、ペルプラゾール、ランソプラゾール、パリプラゾールおよびレミノプラゾール;またはこれらの化合物の遊離塩基、遊離酸、塩、水和物、エステル、アミド、鏡像異性体、異性体、互換異性体、多形体、プロドラッグまたは誘導体を含みうる。組成物は、プロトンポンプ阻害物質とともに調合された場合、またはその前、最中もしくは後に送達された場合に、投与されたプロトンポンプ阻害物質の生物学的利用能が十分に保たれるように、胃酸によるプロトンポンプ阻害物質の酸分解を実質的に防止または阻害する働きをする任意の適した緩衝物質、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム/炭酸水素ナトリウム共沈物、アミノ酸と緩衝物質との混合物、グリシン酸アルミニウムと緩衝物質との混合物、アミノ酸の酸性塩と緩衝物質との混合物、およびアミノ酸のアルカリ塩と緩衝物質との混合物、または任意の他の適した緩衝物質もしくは緩衝物質の混合物を含みうる。1つの態様において、本発明は、プロトンポンプ阻害物質、緩衝物質、および選択的には壁細胞活性化物質を含む、薬学的組成物に関する。
本発明の治療剤は、単一の薬学的組成物として、または独立した複数の医薬剤形として製剤化することができる。本発明による薬学的組成物には、経口、直腸内、口腔内(例えば、舌下)または非経口的(例えば、静脈内)投与のために適したものが含まれるが、任意の所定のケースにおいて最も適した経路は、治療しようとする状態の性質および重症度、ならびに用いようとする特定の化合物の性質に依存すると考えられる。治療剤は任意の適した剤形として、例えば、チュワブル錠剤を含む錠剤、カプレット、粉末、懸濁液、カプセルまたは当技術分野で知られた任意の他の適した剤形として製剤化することができる。
本発明のもう1つの態様において、本発明の組成物は、本発明の組成物または治療剤の1つまたは複数を含むキットまたはパッケージの形態で提供される。組成物または治療剤を含む組成物は、毎時間、毎日、毎週または毎月の(または他の定期的な)投与量が、適切な逐次投与または同時投与用に内部に配置されているキットまたはパッケージの形態としてパッケージ化することができる。本発明はさらに、それぞれの投薬単位が本発明の組成物または治療剤の少なくとも1つを含む、連続的な毎日の投与のために適合化された複数の投薬単位を含むキットまたはパッケージを提供する。この薬物送達システムを用いて、本発明の組成物および治療剤のさまざまな態様の任意のものの投与を容易にすることができる。1つの態様において、本システムは、症状の緩和のために毎日または必要時に投与される投与量を複数回分含む。キットまたはパッケージはまた、剤形の適切な投与を容易にするために、併用療法に用いられる薬剤を含むこともできる。キットまたはパッケージはまた、対象に向けての一組の指示書を含むこともできる。
本発明の薬学的組成物は、適した剤形として調製することができる。適した剤形には、錠剤、カプレット、粉末、懸濁液錠剤、チュワブル錠剤、カプセル、沸騰散剤、発泡錠剤、種(seed)、ペレット、ビーズ、マイクロカプセル、ミニ錠剤、スフェロイド、ミクロスフェア、凝集物、顆粒、または従来の薬理学的技法によって製造される任意の他の複数の粒状形態が非制限的に含まれる。
本発明の1つの態様において、組成物には、プロトンポンプ阻害物質の乾燥製剤、または溶液および/もしくは懸濁液が含まれる。また、このような乾燥製剤、溶液および/または懸濁液は、例えば以下のものも含みうる:懸濁化剤(例えば、ゴム、キサンタン、セルロース誘導体および糖)、保湿剤(例えば、ソルビトール)、溶解補助剤(例えば、エタノール、水、PEGおよびプロピレングリコール)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、Span、Tweenおよびセチルピリジン)、保存料、抗酸化剤(例えば、パラベンならびにビタミンEおよびC)、凝結防止剤、コーティング剤、キレート剤(例えば、EDTA)、安定化剤、抗微生物薬、抗真菌薬または抗菌薬(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸)、等張剤(例えば、糖、塩化ナトリウム)、増粘剤(例えば、メチルセルロース)、着香剤、消泡剤(例えば、シメチコン、Mylicon(登録商標))、崩壊剤、流動補助剤(flow aid)、潤滑剤、補助剤、添加剤、着色剤、希釈剤、湿潤剤、保存料、薬学的に適合性のある担体または壁細胞活性化物質。
本発明に用いうる着香剤には、以下のものが含まれる:アスパルテーム、タルマンチン(thalmantin)、デキストロース、チョコレート、バニラ、ルートビア、ペパーミント、スペアミント、ショ糖、ココアまたはスイカなど。用いうるその他の着香剤には以下のものが含まれる:バナナ、ショウノウ、シナモン、ジンジャー、グレープ、レモン、オレンジ、洋ナシ、アップル、ラム、ウィンターグリーン、アラビアゴム シロップ、ワイルドチェリー、ストロベリー、アニス、クロスグリ、グレープフルーツ、カラメル、ラズベリー、メープル、バタースカッチ、甘草(カンゾウ)シロップ、柑橘類、クルミ、レモン、トゥッティフルッティ、シナモン、ユーカリ、ライム、オレンジ、クエン酸カルシウム、メントール、オイゲノール、シラメート、キシリトール、サフロール、ミックスベリー、フルーツポンチ、クールチェリー、クールシトラス、ババロア、ペパーミントクリーム、チェリークリーム、スペアミントクリーム、シトラスクリーム、ストロベリークリーム、スイスクリーム、レモンクリーム、ミントクリーム、シトラスパンチ、コーラ、タンジェリン、ベリー、蜂蜜、またはこれらの着香成分の任意の組み合わせ、例えば、チョコレート-ミント、オレンジ-クリーム、チェリー-アニス、レモン-ミント、バニラ-ミント、アニス-メントール、蜂蜜-レモン、チェリー-シナモン、メントール-ユーカリ、シナモン-オレンジもしくはレモン-ライム。一般に、着色剤および着香剤は、例えば、チェリーに関しては赤色、チョコレートに関しては茶色というように調和すべきである。また、発泡は薬剤の塩味を覆い隠してくれる可能性がある。本発明の1つの態様において、着香剤の総量は約0.10mg〜約50mg/剤形の範囲であってよい。
いくつかの態様において、薬学的組成物はスクラルファートを実質的に含まない。本発明のまた別の態様において、薬学的組成物はスクラルファートを含まない。また別の態様において、薬学的組成物はアミノ酸を実質的に含まない。さらにまた別の態様において、薬学的組成物はアミノ酸を含まない。
本発明のもう1つの態様において、組成物は、口腔内の唾液または胃液と接触した場合のように、水性媒質と接触すると急速に(例えば、約10秒未満で)崩壊する、凍結乾燥剤形の形態にある。一般に、凍結乾燥剤形は、均一に懸濁化された薬剤を含む、または酸不安定性医薬薬剤および/もしくは緩衝物質などの薬剤を含む懸濁液を凍結乾燥することにより、急速に溶解する薬剤をもたらす。凍結乾燥剤形に関する基本的な教示は、米国特許第4,371,516号;4,305,502号;4,758,598号;および4,754,597号に示されている。本発明に用いうる凍結乾燥剤形のその他の例は、以下の特許に記載されている。
本発明の1つの態様において、凍結乾燥剤形を調製するために用いられる一般的な製造方法に、溶媒、薬剤、およびゼラチンを含む担体材料を含む、あらかじめ調製された液体組成物を利用する。液体組成物を、トレイまたは型枠の中の1つまたは複数の成形された陥凹部に入れて、液体組成物が充填された陥凹部の範囲を定める。充填された陥凹部の中の液体組成物を凍結させた後、液体組成物の液体部分を蒸散させて、固体薬剤錠剤の範囲を定める。続いて、固体薬剤が充填されたトレイを収集する。本発明のもう1つの態様においては、キサンタンゴムを液体組成物に添加し、凍結段階の前にそれを攪拌する。キサンタンゴムはゼラチンとの相乗作用によって凝集剤として作用し、製造工程の過程で液体組成物が比較的大きな粒子を懸濁化する能力を向上させると想定される。また、キサンタンゴムは、口腔内での錠剤の溶解性および質感を劣化させずに、液体組成物の懸濁性を向上させる能力を有するとも想定される。適したゼラチンの例には、そのままのゼラチン、および、例えばゼラチンを水中で加熱することにより、部分的に加水分解されたゼラチンが含まれる。ゼラチンと配合しうるその他の適した担体材料の例には、不活性であって、医薬剤形の調製における使用のために薬学的に許容されるものがある。このような担体材料には、デキストランなどの多糖類およびポリペプチドが含まれる。
本発明の1つの態様において、凍結乾燥剤形中に用いられる薬剤には、平均粒径が約1μm〜約400μmの範囲である緩衝物質が含まれる。担体材料の基質中で少なくとも部分的には固体状態に保たれる任意の粒子状薬剤を本発明に用いることができる。本発明のさらにもう1つの態様において、凍結乾燥剤形は、腸溶コーティングがなされたプロトンポンプ阻害物質などの酸不安定性医薬薬剤を含む。
さらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質は、本発明の組成物に含めるためのその薬剤の水溶液の凍結乾燥物を得る目的で凍結乾燥される。本発明に用いうるこのような凍結乾燥法の一つは、例えば、米国特許出願第2003/0003058号に記載されており、これは、凍結乾燥されたパントプラゾール、エチレンジアミン四酢酸、および/またはその適した塩、ならびに水酸化ナトリウムおよび/または炭酸ナトリウムを記載している。
さらにもう1つの例において、薬学的製剤は、プロトンポンプ阻害物質の腸溶コーティングがなされた顆粒を、1つまたは複数の緩衝物質(例えば、20mgのオメプラゾール顆粒+500mgの炭酸水素ナトリウムおよび500mgの炭酸カルシウム)と混合することにより、固体剤形として調製される。経口投与されると、緩衝物質が胃内pHを高めるため、腸溶コーティングの全体または一部が胃液中で溶解され(例えば、十二指腸のよりpHの高い環境中ではなく)、オメプラゾールが血流中への吸収のための胃液中への即時放出に対して利用可能となる。この種の製剤の変形物(すなわち、阻害物質および/または緩衝物質の量を増減させたもの)を本発明に用いることもできる。
本発明の薬学的組成物は緩衝物質を含み、これは、プロトンポンプ阻害物質とともに調合された場合、またはその前、最中もしくは後に送達された場合に、投与されたプロトンポンプ阻害物質の生物学的利用能が十分に保たれるように、胃酸による少なくとも一部のプロトンポンプ阻害物質の酸分解を実質的に防止または阻害する働きをする任意の適した緩衝物質でありうる。適した緩衝物質には、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩、または任意の他の適した緩衝物質もしくは緩衝物質の混合物といった、本明細書に記載した緩衝物質が含まれる。
緩衝物質は、投与された治療的有効量のプロトンポンプ阻害物質の生物学的利用能が十分に保たれ、これによってプロトンポンプ阻害物質が治療効果を誘発する能力が保たれるように、胃酸による少なくとも一部のプロトンポンプ阻害物質の酸分解を実質的に防止または阻害するために十分な量で投与される。このため、本発明の組成物の緩衝物質の量は、胃の生体液の存在下では、もっぱら、これらの生体液のpHを、治療作用が生じるような薬剤の十分な生物学的利用能を達成するために十分な程度に高めるものでなければならない。
1つの態様において、緩衝物質は、本発明の方法、キット、配合物および組成物において、プロトンポンプ阻害物質1mg当たり約0.05mEq〜約10.0mEqの量で存在する。本発明のもう1つの態様において、緩衝物質は、プロトンポンプ阻害物質1mg当たり約0.2mEq〜約5mEqの量で存在する。例示的には、組成物中の緩衝物質の量は、1回の投与量当たり約0.2mEq、または約1mEq、または約2mEq、または約3mEq、または約5mEq、または約10mEq、または約11mEq、または約12.5mEq、または約13mEq、または約15mEq、または約19mEq、または約20mEq、または約21mEq、または約22mEq、または約23mEq、または約24mEq、または約25mEq、または約30mEq、または約31mEq、または約35mEq、または約40mEq、または約45mEq、または約50mEq、または約55mEq、または約60mEq、または約65mEq、または約70mEq、または約75mEq、80mEq、または約90mEq、または約100mEq、または約110mEq、または約120mEq、または約130mEq、または約140mEq、または約150mEq、または約160mEqである。
さらに本発明のもう1つの態様において、緩衝物質は少なくとも10mEqの量で存在する。さらに本発明のもう1つの態様において、緩衝物質は約5mEq〜約70mEqの量で存在する。さらにもう1つの態様において、緩衝物質は約20mEq〜約40mEqの量で存在する。さらに、本発明のなおもう1つの態様において、緩衝物質は、組成物中の重量比ベースで、プロトンポンプ阻害物質の量の約20倍を上回る、または22倍を上回る、または25倍を上回る、または約30倍を上回る、または35倍を上回る、または約40倍を上回る量で存在する。緩衝物質の具体的なmEqの量は、用途および所望の治療成績に応じて、さまざま、例えば、約0.01%〜約20%またはそれ以上の範囲でありうる。
本発明のもう1つの局面においては、薬学的組成物中に存在する緩衝物質の量が200〜3500mgの間であるような組成物が提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物中に存在する緩衝物質の量は、約200mg、または約300mg、または約400mg、または約500mg、または約600mg、または約700mg、または約800mg、または約900mg、または約1000mg、または約1100mg、または約1200mg、または約1300mg、または約1400mg、または約1500mg、または約1600mg、または約1700mg、または約1800mg、または約1900mg、または約2000mg、または約2100mg、または約2200mg、または約2300mg、または約2400mg、または約2500mg、または約2600mg、または約2700mg、または約2800mg、または約2900mg、または約3000mg、または約3200mg、または約3500mgである。
本発明の1つの態様において、緩衝物質は炭酸ナトリウムであり、本方法、キット、配合物および組成物において少なくとも約250mgの量で存在する。もう1つの態様において、炭酸ナトリウムは少なくとも約700mgの量で存在する。さらにもう1つの態様において、炭酸ナトリウムは約250mg〜約4000mgの量で存在する。さらにもう1つの態様において、炭酸ナトリウムは約1000mg〜約2000mgの量で存在する。さらに、なおもう1つの態様において、炭酸ナトリウムは約1250mg〜約1750mgの量で存在する。例示的には、本発明の組成物中の緩衝物質の量は、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200, 1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700または1750mgである。これらの具体的な量は、用途および所望の治療成績に応じて、例えば約0.01%〜約20%またはそれ以上、変更しうる。
本発明の1つの態様において、緩衝物質は炭酸カルシウムであり、本方法、キット、配合物および組成物において少なくとも約250mgの量で存在する。もう1つの態様において、炭酸カルシウムは少なくとも約700mgの量で存在する。さらにもう1つの態様において、炭酸カルシウムは約250mg〜約4000mgの量で存在する。さらに、なおもう1つの態様において、炭酸カルシウムは約500mg〜約1500mgの量で存在する。例示的には、本発明の組成物中の緩衝物質の量は、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200, 1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700または1750mgである。これらの具体的な量は、用途および所望の治療成績に応じて、例えば約0.01%〜約20%またはそれ以上、変更しうる。
本発明の1つの態様において、緩衝物質は炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムであり、本方法、キット、配合物および組成物において合計して少なくとも約250mgの量で存在する。もう1つの態様において、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムは合計して少なくとも約700mgの量で存在する。さらにもう1つの態様において、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムは合計して約250mg〜約4000mgの量で存在する。さらにもう1つの態様において、炭酸水素ナトリウムは約1000mg〜約2000mgの量で存在する。なお、さらにもう1つの態様において、炭酸水素ナトリウムは約1250mg〜約1750mgの量で存在する。例示的には、本発明の組成物中の緩衝物質の量は、約250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1050、1100、1150、1200、1250、1300、1350、1400、1450、1500、1550、1600、1650、1700または1750mgである。これらの具体的な量は、用途および所望の治療成績に応じて、例えば約0.01%〜約20%またはそれ以上、変更しうる。
緩衝物質が約0.1mEq/mg〜約5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.25mEq/mg〜約3mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.3mEq/mg〜約2.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.4mEq/mg〜約2.0mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または約0.5mEq/mg〜約1.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する、組成物が提供される。緩衝物質が少なくとも0.25mEq/mg〜約2.5mEq/mgプロトンポンプ阻害剤、または少なくとも約0.4mEq/mgプロトンポンプ阻害剤の量で存在する、本明細書に記載の組成物が提供される。
マイクロカプセル化およびコーティング
本発明のプロトンポンプ阻害剤の全体または一部は、プロトンポンプ阻害物質が利用される文脈に応じて、腸溶コーティング性、または持続放出性もしくは遅延放出性の形態にあってもよく、そうでなくてもよい。本発明の1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質は腸溶コーティングされていない、または持続放出性もしくは遅延放出性コーティングを受けていない。さらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害剤は腸溶コーティングされている、または持続放出性または遅延放出性コーティングを受けている。さらにもう1つの態様において、組成物が、腸溶コーティングされたプロトンポンプ阻害物質および腸溶コーティングされていないプロトンポンプ阻害物質の両方を含んでもよい。このような組成物は、プロトンポンプ阻害物質の胃液中、例えば対象の吸収プールへの即時放出が、長期的な治療効果をもたらすプロトンポンプ阻害物質の遅延放出とともに所望される場合に想定される。
本発明のいくつかの態様において、プロトンポンプ阻害剤の全体または一部は、薬学的組成物の貯蔵寿命を延長させる材料を用いてマイクロカプセル化される。プロトンポンプ阻害剤を含む薬学的組成物の貯蔵寿命を延長させるために有用なマイクロカプセル化材料の例には、以下のものが非制限的に含まれる:セルロースヒドロキシプロピルエーテル(HPC)、例えばKlucel(登録商標)またはNisso HPCなど;低置換ヒドロキシプロピルエーテル(L-HPC);セルロースヒドロキシプロピルメチルエーテル(HPMC)、例えばSeppifilm-LC、Pharmacoat(登録商標)、Metolose SR、Opadry YS、PrimaFlo、Benecel MP824およびBenecel MP843など;メチルセルロースポリマー、例えばMethocel(登録商標)およびMetolose(登録商標)など;エチルセルロース(EC)およびその混合物、例えばE461、Ethocel(登録商標)、Aqualon(登録商標)-EC、Surelease(登録商標)など;ポリビニルアルコール(PVA)、例えばOpadry AMBなど;ヒドロキシエチルセルロース、例えばNatrosol(登録商標)など;カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロース(CMC)の塩、例えばAqualon(登録商標)-CMCなど;ポリビニルアルコールおよびポリエチレングリコール共重合体、例えばKollicoat IR(登録商標)など;モノグリセリド(Myverol)、トリグリセリド(KLX)、ポリエチレングリコール、食品用化工デンプン、アクリルポリマー、およびアクリルポリマーとセルロースエーテルとの混合物、例えば、Eudragit(登録商標)EPO、Eudragit(登録商標)RD100およびEudragit(登録商標)E100など;酢酸フタル酸セルロース;セピフィルム、例えばHPMCとステアリン酸との混合物、シクロデキストリン;およびこれらの材料の混合物。また別の態様において、制酸剤の一部または全体は、薬学的組成物の貯蔵寿命を延長させる材料を用いてマイクロカプセル化される。さまざまな態様において、炭酸水素ナトリウムなどの緩衝物質がマイクロカプセル化材料に混入される。また別の態様において、BHTなどの抗酸化剤がマイクロカプセル化材料に混入される。さらにまた別の態様において、例えば、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 1450、PEG 3350およびPEG 800などのポリエチレングリコール、ステアリン酸、プロピレングリコール、オレイン酸ならびにトリアセチンなどの可塑剤がマイクロカプセル化材料に混入される。また別の態様において、薬学的組成物の貯蔵寿命を延長させるために有用なマイクロカプセル化材料は、USPまたはthe National Formulary(NF)からのものである。
いくつかの態様において、プロトンポンプ阻害剤の全体または一部がコーティングされる。また別の態様において、制酸剤の全体または一部がコーティングされる。本発明において有用なコーティングには、例えば、胃抵抗性コーティング(腸溶コーティングなど)、制御放出コーティング、酵素制御コーティング、フィルムコーティング、持続放出性コーティング、即時放出性コーティングまたは遅延放出性コーティングがありうる。本発明のもう1つの局面によれば、コーティングは本発明の薬学的組成物の安定性を高めるために有用であってもよい。
薬学的組成物の貯蔵寿命が延長しているか否かを判定するためには、さまざまな技法を用いうる。例えば、本発明の薬学的組成物は、約3年間の貯蔵後に、または約2.5年間の貯蔵後、または約2年間の貯蔵後、または約1.5年間の貯蔵後、または約1年間の貯蔵後、または11カ月間の貯蔵後、または10カ月間の貯蔵後、または9カ月間の貯蔵後、または8カ月間の貯蔵後、または7カ月間の貯蔵後、または6カ月間の貯蔵後、または5カ月間の貯蔵後、または4カ月間の貯蔵後、または3カ月間の貯蔵後、または2カ月間の貯蔵後、または1カ月間の貯蔵後に、薬学的組成物が含む不純物の合計が約5%未満であれば、貯蔵寿命安定性が延長していると考えられる。
微粉化されたプロトンポンプ阻害剤
プロトンポンプ阻害剤の粒径は、固体剤形にさまざまな様式で影響を及ぼす可能性がある。粒径が小さいと表面積(S)が大きくなるため、以下のNoyes-Whitneyの式に表されるように、粒径の減少は溶解速度(dM/dt)の上昇をもたらす:
dM/dt=dS/h(Cs-C)
M=溶解した薬剤の質量;t=時間;D=薬剤の拡散係数;S=薬剤粒子の有効表面積;H=定常層の厚さ;Cs=飽和状態にある溶液の濃度;およびC=時間tでの溶液の濃度。
オメプラゾールおよびその他のプロトンポンプ阻害剤は水溶性が乏しいため、薬剤製品の急速な吸収を補助するために、本発明のさまざまな態様では、微粉化されたプロトンポンプ阻害剤を薬剤製品の製剤に用いる。
いくつかの態様において、微粉化されたプロトンポンプ阻害剤の少なくとも約90%の平均粒径は、約40μm未満、または約35μm未満、または約30μm未満、または約25μm未満、または約20μm未満、または約15μm未満、または約10μm未満である。また別の態様において、微粉化されたプロトンポンプ阻害剤の少なくとも80%の平均粒径は、約40μm未満、または約35μm未満、または約30μm未満、または約25μm未満、または約20μm未満、または約15μm未満、または約10μm未満である。さらにまた別の態様において、微粉化されたプロトンポンプ阻害剤の少なくとも70%の平均粒径は、約40μm未満、または約35μm未満、または約30μm未満、または約25μm未満、または約20μm未満、または約15μm未満、または約10μm未満である。
微粉化されたプロトンポンプ阻害剤が、プロトンポンプ阻害剤の75%超が溶解試験で約1時間以内、または約50分以内、または約40分以内、または約30分以内、または約20分以内、または約10分以内、または約5分以内に放出されることを可能にするサイズであるような組成物が提供される。本発明のもう1つの態様において、微粉化されたプロトンポンプ阻害剤は、プロトンポンプ阻害剤の90%超が溶解試験で約1時間以内、または約50分以内、または約40分以内、または約30分以内、または約20分以内、または約10分以内、または約5分以内に放出されることを可能にするサイズである。
投与
本発明は、対象による経口投与のためのプロトンポンプ阻害物質および緩衝物質を含む薬学的組成物を提供する。1つの態様において、本組成物は、摂食した対象に投与されると、胃の胃液と接触し、胃の胃内pHを胃の胃液中でのプロトンポンプ阻害物質の酸分解を防止または阻害するpHまで高め、当業者に知られた検査手順を用いて薬物動態学的および薬力学的パラメーターを入手しうるような測定可能な血清濃度のプロトンポンプ阻害物質が対象の血清中に吸収されることを可能にする。
本発明はまた、対象による経口投与および摂取のためのプロトンポンプ阻害物質および緩衝物質を含む薬学的組成物であって、摂食した対象に投与された場合に、空腹対象に対する投与と比較して、投与第1日の時点でオメプラゾール生物学的利用能の向上を示すような組成物も提供する。本発明はさらに、摂食したヒト対象に投与された場合に、空腹成人対象に対する投与と比較して、毎日連続投与の第7日の時点でのオメプラゾール生物学的利用能の低下を示すような薬学的組成物も提供する。
すなわち、本発明は、対象による経口投与および摂取のためのプロトンポンプ阻害物質および緩衝物質を含む薬学的組成物を提供する。本薬学的組成物は、食物の摂取との関係で任意の時点にある対象に対して、例えば、摂食した対象に対しても空腹対象に対しても投与することができる。
摂食した対象は、例えば、食事の摂取を開始している対象、投与の少し前(例えば、約10分前、約20分前、約30分前、約45分前、約60分前、または約90分前、または約120分前)に食事の摂取を開始した対象、投与の少し前に食事の摂取を開始し、投与後も食事の摂取を続けている対象、食事の摂取を最近終えた対象、または食事の摂取を最近終え、その食事の摂取と関連性のある症状を感じている対象であってよい。食事は任意の量の食物であってよく、例えば、軽食、一人前の食品、数人前の1種類の食品、一人前もしくは数人前の数種類の食品のこと、またはプロトンポンプ阻害剤による治療を必要とする症状を誘発する任意の量の食物であってよい。
また、本発明の薬学的組成物を空腹対象に投与してもよい。空腹対象は食物をある期間にわたって控えている任意の対象であってよく、これは例えば、食事を一晩(例えば、8時間)摂取していない対象、食事を数時間摂取していない対象、プロトンポンプ阻害剤によって治療しうる食事関連症状を来していない空腹状態の対象、または最後に摂取した食事が消化される程度に食事を摂取していない対象であって、しかもプロトンポンプ阻害剤によって治療しうる食事関連症状を来していない任意の対象でありうる。
1つの態様において、本組成物は、摂食した対象に投与されると、胃の胃液と接触し、胃の胃内pHを胃の胃液中でのプロトンポンプ阻害物質の酸分解を防止または阻害するpHまで高め、当業者に知られた検査手順を用いて薬物動態学的および薬力学的パラメーターを入手しうるような測定可能な血清濃度のプロトンポンプ阻害物質が対象の血清中に吸収されることを可能にする。
1つの態様において、本発明の薬学的組成物は、摂食した対象に投与された場合に、空腹対象に対する投与と比較して、投与第1日の時点でオメプラゾール生物学的利用能の向上を示す。もう1つの態様において、本薬学的組成物は、摂食したヒト対象に投与された場合に、空腹成人対象に対する投与と比較して、毎日連続投与の第7日の時点でのオメプラゾール生物学的利用能の低下を示す。
本発明はまた、本発明の薬学的組成物を投与することにより、H+,K+-ATPアーゼの阻害剤による治療が適応であるような状態または障害を治療する方法も対象とする。状態または障害は、例えば、酸に起因する胃腸障害、例えば、胸焼け、十二指腸潰瘍症、胃潰瘍症、胃食道逆流症、びらん性食道炎、治療に反応しにくい症候性胃食道逆流症、病的な胃腸分泌亢進症、ゾリンジャー-エリソン症候群または高酸性消化不良でありうる。
本発明に用いるプロトンポンプ阻害物質の薬学的製剤は、対象に対して経口的または内部的に投与することができる。これは例えば、GI管内に配置された経鼻胃(ng)管またはその他の留置チューブを介して溶液を投与することによって実現しうる。本発明の1つの態様においては、大量の炭酸水素ナトリウムを投与することに伴う不利益を回避するために、本発明のプロトンポンプ阻害物質溶液を単回投与し、これはプロトンポンプ阻害物質溶液の投与後に炭酸水素塩またはその他の緩衝物質のそれ以上の投与を必要としない上、総量として大量の炭酸水素塩または緩衝物質を必要としない。すなわち、上記の発明の背景の項で概説したプロトンポンプ阻害物質溶液および投与プロトコールとは異なり、本発明の製剤は単回投与として投与され、プロトンポンプ阻害物質の投与の前または後に炭酸水素塩の投与を必要としない。本発明は、投与前または投与後に水および炭酸水素ナトリウムを追加する必要性をなくす。本発明の単回投与によって投与される炭酸水素塩の量は、以上に引用した参考文献で教示されている炭酸水素塩の投与量よりも少ない。
本発明の態様はまた、薬学的組成物の摂取後約45分以内、または約30分以内、または約25分以内、または約20分以内、または約15分以内、または約10分以内、または約5分以内に、患者の血清中にプロトンポンプ阻害剤の治療的有効量が存在するような薬学的組成物も提供する。
本発明のさまざまな態様において、胃のpHは、薬学的組成物の投与後約45分以内に、pH約3、または3.5を上回るpH、または4を上回るpH、または4.5を上回るpH、または5を上回るpH、または5.5を上回るpH、または6を上回るpH、または6.5を上回るpH、または7を上回るpHまでに上昇する。本発明のまた別の態様において、胃のpHは、薬学的組成物の投与後約30分以内に、pH約3、または3.5を上回るpH、または4を上回るpH、または4.5を上回るpH、または5を上回るpH、または5.5を上回るpH、または6を上回るpH、または6.5を上回るpH、または7を上回るpHまでに上昇する。さらにまた別の態様において、胃のpHは、薬学的組成物の投与後約15分以内に、pH約3、または3.5を上回るpH、または4を上回るpH、または4.5を上回るpH、または5を上回るpH、または5.5を上回るpH、または6を上回るpH、または6.5を上回るpH、または7を上回るpHまでに上昇する。
投薬設定
プロトンポンプ阻害物質の投与および投薬設定は、個々の患者の臨床状態、投与の部位および方法、投与計画、および臨床医に周知のその他の要因を考慮に入れた、好適な医療行為に準拠して行われる。ヒトの治療法では、インビボで薬剤の必要治療量を送達し、薬剤を迅速に利用可能なようにする剤形を用意することが重要である。本明細書に記載した剤形に加えて、Phillips、米国特許第5,840,737号;6,489,346号;および6,645,988号に記載された剤形が、参照として本明細書に組み入れられる。
ヒトの治療のために有用であることに加えて、本発明はまた、哺乳動物、齧歯動物などを含む、哺乳類、爬虫類、鳥類、外来動物および家畜の獣医学的治療のためにも有用である。1つの態様において、哺乳動物には霊長動物、例えば、ヒト、サルもしくはキツネザル、ウマ、イヌ、ブタまたはネコが含まれる。もう1つの態様において、齧歯動物にはラット、マウス、リスまたはモルモットが含まれる。
本発明の1つの態様において、組成物は対象に対して治療的有効量で投与される、すなわち、組成物は、所望の治療効果を誘発するために、ある期間にわたって対象の血清中にプロトンポンプ阻害物質の治療的有効量が得られるような量で投与される。例示的には、摂食した成人の場合、組成物は、組成物の投与後約5分以内に対象の血清中にプロトンポンプ阻害物質の治療的有効量が得られるような量で投与される。本発明のもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約10分以内に対象の血清中で得られる。本発明のもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約20分以内に対象の血清中で得られる。本発明のさらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約30分以内に対象の血清中で得られる。本発明のさらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約40分以内に対象の血清中で得られる。
本発明の1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約20分〜約12時間以内に対象の血清中で得られる。本発明のもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約20分〜約6時間の時点で対象の血清中で得られる。本発明のさらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約20分〜約2時間の時点で対象の血清中で得られる。本発明のさらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約40分〜約2時間の時点で対象の血清中で得られる。さらに、本発明のなおもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の治療的有効量は、対象に対する組成物の投与時点から約40分〜約1時間の時点で対象の血清中で得られる。
一般に、本発明の組成物は、投与後約1時間の期間にわたって対象において少なくとも約1.0μg/mlというプロトンポンプ阻害物質の平均血清中濃度を得るために適した用量で投与される。想定している本発明の組成物は、投与後約5分〜約24時間の期間にわたってプロトンポンプ阻害物質薬剤としての治療効果をもたらし、必要に応じて1日1回または1日2回の投与が可能である。本発明の1つの態様において、組成物は、対象に対する組成物の投与後約10分または約20分または約30分または約40分にわたって対象において少なくとも約1.0μg/mlというプロトンポンプ阻害物質の平均血清中濃度を得るために適した用量で投与される。
本発明の1つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分以内に約0.1μg/mlを上回るプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度が得られる量で投与される。本発明のもう1つの態様において、組成物は、組成物の投与後約30分以内に約0.1μg/mlを上回るプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度が得られる量で投与される。本発明が想定しているまた別の態様において、組成物は、組成物の投与後約45分以内に約0.1μg/mlを上回るプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度が得られる量で投与される。本発明のもう1つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分から約6時間後まで約0.1μg/mlを上回るプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度が得られる量で投与される。
本発明のさらにもう1つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分から約1.5時間後まで約0.15μg/mlを上回るプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度が得られる量で対象に投与される。
本発明のさらにもう1つの態様において、組成物は、組成物の投与後約15分以内に約0.2μg/mlを上回るプロトンポンプ阻害物質の測定可能な血清中濃度が得られる量で対象に投与される。
1つの態様においては、医薬薬剤の実質的にすべての投与量が、約120分未満で、または約1分〜約120分以内に、または約2分以内、または約5分以内、または約10分以内、または約20分以内、または約30分以内、または約40分以内、または約80分以内、または約120分以内に、本発明の組成物から胃液中に放出される。
1つの態様において、薬学的組成物は、ある期間にわたって胃液のpHを標的pHまで上昇させるために十分な量の緩衝物質を含む。胃液が対象の胃である場合、その期間は一般に、医薬薬剤が血流中に吸収されるのに十分である。例示的には、pHは約3〜約8である、または約3を上回る、または約3.5、または約4、または約4.5、または約5、または約5.5、または約6、または約6.5、または約7、または約7.5、または約8である。詳細な標的pHは、例えば、組成物中に用いる個々の医薬薬剤およびその酸不安定性特性(例えば、そのpKa)に依存すると考えられる。
さらにもう1つの態様において、胃液のpHは、プロトンポンプ阻害剤の一部または全体を覆う腸溶コーティングが実質的に溶解する期間にわたって維持される。例示的には、その期間は、約120分未満である、または約30秒〜約120分である、または約1分を上回る、または約2分を上回る、または約5分を上回る、または約10分を上回る、または約15分を上回る、または約20分を上回る、または約30分を上回る、または約40分を上回る、または約50分を上回る、または約60分を上回る、または約90分を上回る、または約120分を上回る。
対象に対して送達すべきプロトンポンプ阻害物質の胃腸障害または胃腸疾患に対する有効量を測定および決定するためには、プロトンポンプ阻害物質の血清中濃度を標準的なアッセイ法を用いて測定することができる。
治療効果を誘発するために必要な治療剤の量は、例えば、血清中への薬剤の吸収速度、薬剤の生物学的利用能、および薬剤のタンパク質結合量に基づいて、実験的に決定することができる。しかし、任意の特定の患者に対する本発明の治療剤の具体的な用量レベルが、使用する具体的な化合物の活性、対象の年齢、体重、全般的健康状態、性別および食事内容(例えば、対象は空腹状態であるか摂食した状態であるか、を含む)、投与の時間、***速度、薬剤併用、治療しようとする特定の障害の重症度、ならびに投与形態を含む、さまざまな要因に依存することは認識されている。摂食した状態とは一般に、対象による食物の最初の摂取から食事の終了後約30分〜約4時間までの期間のことを指す。治療の投与量は一般に、安全性および有効性が最適化されるように微調整することができる。
一般的には、最初のうちは、インビトロおよび/またはインビボ試験による用量効果関係から、対象への投与のために適切な投与量に関する有用な手がかりが得られる。本発明による胃腸の障害または疾患の治療のための有効量に関する手がかりについては、動物モデルにおける試験を一般に用いることができる。治療プロトコールに関しては、投与すべき用量が、投与される個々の薬剤、投与される経路、個々の対象の状態などを含むいくつかの要因に依存すると考えられることが理解されるべきである。一般的には、治療効果を誘発するために有効な期間にわたって、インビトロで有効であることが判明している濃度に見合った血清レベルを得るために有効な量の化合物を投与することが所望されると考えられる。このため、化合物が、例えば10ng/mlでインビトロ活性を示すことが判明している場合には、所望の治療効果、例えば、胃内pHを高めること、消化管出血を減少させること、輸血の必要性を低下させること、生存率を改善すること、より迅速な回復、H+,K+-ATPアーゼの阻害、障害の改善または消失、または当業者により適切な基準として選択されたその他の指標を誘発する、少なくとも約10ng/mlの濃度を、ある期間にわたってインビボで得るために有効な量の薬剤を投与することが所望されると考えられる。これらのパラメーターの決定は、当技術分野の技能の範囲に十分に含まれる。これらの検討事項は当技術分野で周知であり、標準的な教科書に記載されている。
対象に投与されるプロトンポンプ阻害物質および/または緩衝物質の量が、例えば、対象の性別、全般的健康状態、食事内容および/または体重などに依存することは理解されているであろう。例示的には、薬剤が置換ベンズイミダゾール、例えばオメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾール、パリプラゾールまたはレミノプラゾールなどであって、対象が例えば小児または小動物(例えば、イヌ)である場合には、約1mg〜約60mgの用量範囲にある比較的少量の薬剤で、治療効果に見合った血清中濃度が得られる可能性が高い。対象が成人または大型動物(例えば、ウマ)である場合には、薬剤のこのような血清中濃度を得るために、比較的大量の薬剤、例えば、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、105mg、110mg、115mgもしくは120mgの用量(成人の場合)または150mg、200mg、400mg、800mgもしくは1000mgの用量(ウマ成体の場合)を含む投薬単位が必要である可能性が高い。
本発明の固体組成物は一般に、錠剤(例えば、懸濁液錠剤、チュワブル錠剤、カプレットまたは発泡錠剤)、丸剤、粉末(例えば、無菌のパッケージ化された粉末、分配可能な粉末、沸騰散剤)、カプセル(例えば、軟または硬ゼラチンカプセル)、ロゼンジ剤、薬袋、オブラート剤、トローチ剤、ペレットまたは顆粒といった、離散的な単位式剤形の形態にある。このような単位式剤形は通常、約1mg〜約1000mgのプロトンポンプ阻害物質、または約5mg〜約240mg、または約10mg〜約160mg、または約15mg〜約120mg、または約20mg〜約80mgを含む。例示的には、これらの単位式剤形は、約2mg、または約5mg、または約10mg、または約15mg、または約20mg、または約25mg、または約30mg、または約35mg、または約40mg、または約45mg、または約50mg、または約55mg、または約60mg、または約65mg、または約70mg、または約75mg、または約80mg、または約85mg、または約90mg、または約95mg、または約100mg、または約110mg、または約120mg、または約130mg、または約140mg、または約150mg、または約160mg、または約170mg、または約180mg、または約190mg、または約200mg、または約220mg、または約240mgの用量のプロトンポンプ阻害物質を含む。
1つの態様において、緩衝物質は、本発明の組成物中に、プロトンポンプ阻害物質1mg当たり約0.05mEq〜約10.0mEq、またはプロトンポンプ阻害物質1mg当たり約0.1mEq〜約2.5mEq、またはプロトンポンプ阻害物質1mg当たり約0.4mEq〜約1.0mEqの量で存在する。このような投薬単位を、1日に少なくとも1回、2回、3回もしくは4回、または治療応答を誘発するために必要な回数にわたって投与することができる。具体的な単位式剤形は、指定された1日量を達成するために用いられる所望の投与頻度に適合するように選択することができる。
薬物動態学的および薬力学的な測定
本発明は、対象による経口投与および摂取のためのプロトンポンプ阻害物質および緩衝物質を含む薬学的組成物を提供する。1つの態様において、本組成物は、摂食した対象に投与されると、胃の胃液と接触し、胃の胃内pHを胃の胃液中でのプロトンポンプ阻害物質の酸分解を防止または阻害するpHまで高め、組成物が薬物動態学的および薬力学的プロフィールの1つの要素を示すように、測定可能な血清濃度のプロトンポンプ阻害物質が対象の血清中に吸収されることを可能にする。
本発明はまた、対象による経口投与および摂取のためのプロトンポンプ阻害物質および緩衝物質を含む薬学的組成物であって、摂食した対象に投与された場合に、空腹対象に対する投与と比較して、投与第1日の時点でオメプラゾール生物学的利用能の向上を示し、それによって組成物が薬物動態学的および薬力学的プロフィールの1つの要素を示すような薬学的組成物も提供する。本発明はさらに、摂食したヒト対象に投与された場合に、空腹成人対象に対する投与と比較して、毎日連続投与の第7日の時点でのオメプラゾール生物学的利用能の低下を示し、それによって組成物が薬物動態学的および薬力学的プロフィールの1つの要素を示すような薬学的組成物も提供する。
1つの態様において、本発明の薬学的固体組成物は、胃腸障害に対する量の少なくとも1つのプロトンポンプ阻害物質および少なくとも1つの緩衝物質を含み、ヒト対象に対して経口投与されると、プロトンポンプ阻害物質の薬物動態学的プロフィールおよび/またはプロトンポンプ阻害物質の薬力学的プロフィールのうち少なくとも1つの要素を示す。1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の薬物動態学的プロフィールは、以下のうち少なくとも1つを有する:(i)Cmaxが約880ng/ml未満でない;(ii)Tmaxが約1.5時間を上回らない;(iii)AUC(0−inf)が約3860ng×hr/ml未満でない;または(iv)投与約1時間後のプロトンポンプ阻害物質の血漿中濃度が約750ng/ml未満でない。さらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の薬力学的プロフィールは、以下のうち少なくとも1つを有する:(i)総合酸性度が約0mmol×hr/Lを上回らない;(ii)総合酸性度が約11.1mmol×hr/Lを上回らない;(iii)総合酸性度が約41.5mmol×hr/Lを上回らない;または(ii)経口投与後約160分の時点で、食事の摂取後少なくとも約4時間〜約5時間にわたってpHが4.0を上回る。
本発明のさらにもう1つの態様において、薬学的組成物はオメプラゾールおよび炭酸水素ナトリウムを含み、本組成物は摂食した成人対象に対して経口投与されて、空腹成人対象に対する炭酸水素ナトリウムを伴わないオメプラゾールの投与(空腹対象に対する薬剤の投与第1日の時点)または空腹成人対象に対する腸溶コーティング性オメプラゾール遅延放出カプセルの経口投与(空腹対象に対するカプセルの投与第1日の時点)によって示されるオメプラゾールの生物学的利用能よりも少なくとも約45%〜約75%大きいオメプラゾールの生物学的利用能AUC(0−inf)を示す。
本発明のさらにもう1つの態様において、薬学的組成物はオメプラゾールおよび炭酸水素ナトリウムを含み、本組成物は摂食した成人対象に対して経口投与されて、前記のAUC(0−inf)および/またはCmaxのうち少なくとも1つのパラメーターを有するオメプラゾールの薬物動態学的プロフィールを示す。1つの態様において、AUC(0−inf)は、空腹成人対象に対する炭酸水素ナトリウムを伴わないオメプラゾールの経口投与によって、および/または空腹成人対象に対するオメプラゾール遅延放出性腸溶コーティングカプセルの経口投与によって示されるAUC(0−inf)よりも少なくとも約18%小さい。さらにもう1つの態様において、Cmaxは、空腹成人対象に対する炭酸水素ナトリウムを伴わないオメプラゾールの経口投与によって、および/または空腹成人対象に対する腸溶コーティング性オメプラゾール遅延放出カプセルの経口投与によって示されるCmaxよりも少なくとも約45%〜約55%低い。
本発明のさらにもう1つの態様においては、少なくとも1つのプロトンポンプ阻害物質および少なくとも1つの緩衝物質を乾式混合し、混合物を経口用剤形として形成することにより、経口用剤形を調製する方法が提供される。本剤形が摂食したヒト対象に対して経口投与されると、プロトンポンプ阻害物質の薬物動態学的プロフィールおよび/またはプロトンポンプ阻害物質の薬力学的プロフィールのうち少なくとも1つの要素を示す。1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の薬物動態学的プロフィールは、以下のうち少なくとも1つを有する:(i)Cmaxが約880ng/ml未満でない;(ii)Tmaxが約1.5時間を上回らない;(iii)AUC(0−inf)が約3860ng×hr/ml未満でない;または(iv)投与約1時間後のプロトンポンプ阻害物質の血漿中濃度が約750ng/ml未満でない。さらにもう1つの態様において、プロトンポンプ阻害物質の薬力学的プロフィールは、以下のうち少なくとも1つを有する:(i)総合酸性度が約0mmol×hr/Lを上回らない;(ii)総合酸性度が約11.1mmol×hr/Lを上回らない;(iii)総合酸性度が約41.5mmol×hr/Lを上回らない;または(ii)経口投与後約160分の時点で、食事の摂取後少なくとも約4時間〜約5時間にわたってpHが4.0を上回る。
薬物動態学的データおよび薬力学的データは、当技術分野で知られた技法によって入手しうる。ヒト対象における薬物代謝に関する薬物動態学的および薬力学的パラメーターに内在するばらつきのため、個々の組成物を記載するのに適した薬物動態学的および薬力学的プロフィールの要素はさまざまでありうる。薬物動態学的および薬力学的プロフィールは、対象の一群での「平均」パラメーターの決定に基づくことが一般的である。対象の群は、代表的な平均値を決定するために適した任意の妥当な数の対象を含み、これは例えば、5例の対象、10例の対象、16例の対象、20例の対象、25例の対象、30例の対象、35例の対象またはそれ以上である。「平均」は、測定した各パラメーターに関してすべての対象の測定値の平均を算出することによって決定される。
薬物動態学的パラメーターは、本組成物を記載するために適した任意のパラメーターでありうる。例えば、Cmaxが、約500ng/ml未満でないこと;約550ng/ml未満でないこと;約600ng/ml未満でないこと;約700ng/ml未満でないこと;約800ng/ml未満でないこと;約880ng/ml未満でないこと;約900ng/ml未満でないこと;約100ng/ml未満でないこと;約1250ng/ml未満でないこと;約1500ng/ml未満でないこと、約1700ng/ml未満でないこと、またはプロトンポンプ阻害物質の薬物動態学的プロフィールを記載するために適切な任意の他のCmaxであることが可能である。Tmaxは、例えば、約0.5時間を上回らないこと、約1.0時間を上回らないこと、約1.5時間を上回らないこと、約2.0時間を上回らないこと、約2.5時間を上回らないこと、もしくは約3.0時間を上回らないこと、またはプロトンポンプ阻害物質の薬物動態学的プロフィールを記載するために適切な任意の他のTmaxであることが可能である。AUC(0−inf)は、例えば、約590ng×hr/ml未満でないこと、約1500ng×hr/ml未満でないこと、約2000ng×hr/ml、約3000ng×hr/ml未満でないこと、約3860ng×hr/ml未満でないこと、約4000ng×hr/ml未満でないこと、約5000ng/ml未満でないこと、約6000ng×hr/ml未満でないこと、約7000ng×hr/ml未満でないこと、約8000ng×hr/ml未満でないこと、約9000ng×hr/ml未満でないこと、または本発明の組成物のプロトンポンプ阻害物質の薬物動態学的プロフィールを記載するために適切な任意の他のAUC(0−inf)であることが可能である。投与約1時間後の血漿中オメプラゾール濃度は、例えば、約140ng/ml未満でないこと、約425ng/ml未満でないこと、約550ng/ml未満でないこと、約640ng/ml未満でないこと、約720ng/ml未満でないこと、約750ng/ml未満でないこと、約800ng/ml未満でないこと、約900ng/ml未満でないこと、約1000ng/ml未満でないこと、約1200ng/ml未満でないこと、または本発明の組成物を記載するために適した任意の他の血漿中プロトンポンプ阻害物質濃度であることが可能である。
薬力学的パラメーターは、本組成物を説明するために適した任意のパラメーターでありうる。例えば、薬力学的プロフィールが、例えば約20mmol×hr/L、約30mmol×hr/L、約41.5mmol×hr/L、約50mmol×hr/L、約60mmol×hr/Lを上回らない総合酸性度、または本発明の組成物を説明するために適切な任意の他の総合酸性度を示すことが可能である。薬力学的プロフィールが、例えば、食事の摂取後少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約4〜約5時間、少なくとも約5時間、少なくとも約6時間、少なくとも約7時間、少なくとも約8時間またはそれ以上にわたって、4.0を上回るpHを示すことも可能である。食事は、例えば、経口投与後約75分、約90分、約120分、約160分、約240分の時点で、または本組成物の投与に伴ってpHが約4.0に上昇していることを示すために適した任意の時点で与えてよい。
本発明の組成物の生物学的利用能を評価するために、無作為化された釣合い型のオープンラベル単回投与クロスオーバー法を用いる試験を実施することができる。例えば、年齢18〜35歳の健康な男性および/または女性志願者12例を用いる試験を行うことができる。血液試料を0、0.5、1、2、3、4、6、8、10、12、15および25時間の時点で採取する。対象に標準的な高脂肪型朝食を摂取させる「摂食」投与を除き、薬剤の投与から4時間後に標準的な昼食を与えるまでは食物を摂らせないようにする。各時点からのデータを用いて、血漿中濃度時間曲線下面積(「AUC」)(AUC(0−t)、AUC(0−inf)を含む)、平均最高血漿中濃度(Cmax)および平均最高血漿中濃度到達時間(Tmax)などの薬物動態学的パラメーターを導き出す。これらのデータを用いて、本発明の組成物が適切な放出特性を示すことを確認することができる。
また、pH、媒質、攪拌および装置の影響を明らかにするために、本発明の組成物をさまざまな溶解条件下で評価することもできる。例えば、溶解試験は、USP II型またはIII型(VanKel Bio-Dis II)装置を用いて実施しうる。pH、攪拌、極性、酵素および胆汁酸塩の影響を評価することもできる。
簡潔にするために、本明細書に引用したすべての特許およびその他の参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。
実施例
本発明をさらに、以下の実施例によって説明するが、これらはいかなる様式でも限定的なものとみなされるべきではない。本発明の実施には、別に指示する場合を除き、薬理学および薬剤学の従来の技法が用いられ、これらは当技術分野の技能の範囲内にある。示したデータを生成するための実験手順については、以下にさらに詳細に考察する。本発明は例示的な様式で説明されており、用いられている用語は限定的ではなく説明的な性質を有することを意図していることが理解される必要がある。
実施例1:略号、基準および試薬の入手元
本実施例では、本明細書で開示している、略号、基準、試薬の入手元、ならびに種々の薬物動態学的および薬力学的パラメーターについて説明する。
SAN-05/OSB-IR(懸濁液用散剤):オメプラゾール(20mgまたは40mg)と炭酸水素ナトリウム1680mg(20mEq)を併せたもの、即時放出用、総容積20mLの水で1または2mg/mLとして再構成する。
SAN-10/OME-IR(カプセル):オメプラゾール(20mgまたは40mg)と制酸剤複合体を併せたもの、即時放出用。制酸剤複合体には以下を含めた:炭酸水素ナトリウムのみ;炭酸水素ナトリウムと水酸化マグネシウム;および炭酸水素ナトリウムと炭酸カルシウム。
SAN-15/OME-IR(チュワブル錠剤):オメプラゾール(20mgまたは40mg)と制酸剤複合体を併せたもの、即時放出用。制酸剤複合体には以下を含めた:炭酸水素ナトリウムのみ;炭酸水素ナトリウムと水酸化マグネシウム;および炭酸水素ナトリウムと炭酸カルシウム。
OME-DR(腸溶コーティング性):腸溶コーティングを有するオメプラゾール(20mgまたは40mg)、遅延放出用。
本明細書で開示している薬物動態学的パラメーターには以下のものが含まれる:(1)内挿を行わずにデータから直接得られるパラメーター、これには血漿中オメプラゾール濃度、オメプラゾール最高血漿中濃度(Cmax)およびオメプラゾール最高血漿中濃度到達時間(Tmax)が含まれる;(2)終末血漿中オメプラゾール濃度の対数線形回帰分析から決定される終末排出速度定数(kel);(3)0.693/kelとして算出される終末排出半減期(t1/2);(4)時間ゼロから時間「t」までのオメプラゾール血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0−t)、これは時間「t」での血漿中濃度を最後の測定可能な濃度として台形法則を用いて算出される;(5)時間ゼロから無限時間までのオメプラゾール血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC0−inf)、これはAUC0−t+Ct/kelとして算出され、式中、Ctは最後の測定可能な血漿中濃度であり、kelは上で定義した終末排出速度定数である。
本明細書で開示している薬力学的パラメーターには以下のものが含まれる:(1)平均胃酸濃度;(2)胃内pHの上昇開始時間;(3)経時的な胃内pH;(4)胃内pHが>4である時間の長さ;(5)胃内pHがpH>4である時間のパーセンテージ(%)(図中では「%time pH>4」としている);(6)胃内pHの中央値;および(7)総合胃液酸度、これは酸mM×時間(酸mmol×hr/L)として表現され、以下のように平均胃酸濃度の累積時間加重平均として算出される。
酸濃度(mM)=1000×10-pH
酸性度(mmol.hr/L)=(時間「t」での酸のmM数+時間「t-1」での酸のmM数)/2×(t−t-1)
酸性度に関する値は累積的に合計される。
便宜を図るために用いた定義:(1)作用の開始、実薬投与による値と対応するベースライン値との間に有意差がみられた最も早い時点;(2)作用の持続時間、実薬投与による値と対応するベースライン値との間に有意差がみられた最後の時点;(3)効果の強度、所定の投与後期間での最高値。
食事
標準化した朝食:大きな目玉焼き2つ、ベーコン片2つ、トースト/白パン2枚、バター10グラム、ハッシュブラウンポテト4オンス、全乳1カップ、および冷オレンジジュース6液体オンス。標準化した高脂肪型昼食:ポテト(チップ)240グラム、薄く切って凍結した上で配合油で揚げたもの;鱈225グラム、衣を付けて配合油で揚げたもの;豆70グラム、凍結後に塩水でボイルしたもの;カスタード120グラム、全乳製;スポンジプディング110グラム、ジャム付き;および全乳200ml。
試薬
チュワブル制酸剤錠剤(Murty Pharmaceuticals, Inc., Lexington, KY)は、1260mg NaHCO3および750mg CaCO3のほか、一般的な添加剤を含んでいた。USP級のオメプラゾール原末は販売元から入手した。
いくつかの実験では、オメプラゾール粉末を、投与前に粉末ペパーミント着香剤およびEqual(登録商標)甘味剤と混合した。
腸溶コーティングされたオメプラゾール顆粒(40mg)を含むPrilosec(登録商標)カプセル、および腸溶コーティングされたエソメプラゾール顆粒(40mg)を含むNexium(登録商標)カプセルは、AstraZeneca(登録商標)により販売されている。
略号
Acitrel(登録商標):20mgオメプラゾール、懸濁液用散剤、OSB-IR製剤
AE:有害事象
ALT:(SGPT)アラニンアミノトランスフェラーゼ
AST:(SGOT)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
AUC(0−inf):時間0から無限時間まで外挿して算出される血漿中薬剤濃度曲線下面積
AUC(0−t):時間0から最終評価時点までとして算出される血漿中薬剤濃度曲線下面積
BUN:血中尿素窒素
Cmax:測定している薬剤の最高血漿中濃度
Ct:所定の時点での血漿中濃度
H2:ヒスタミンH2受容体
Kel:排出速度定数
LC-MS:液体クロマトグラフィー-質量分析
NaHCO3:炭酸水素ナトリウム
OSB-IR PWD F/S:オメプラゾール炭酸水素ナトリウム、即時放出性、懸濁液用散剤
PK:薬物動態学
PPI:プロトンポンプ阻害剤
qAM:毎朝
Rapinex(登録商標):SAN-15チュワブル錠剤製剤
SAS:統計分析ソフトウエア
SOS:簡略化オメプラゾール溶液/懸濁液
Tmax:Cmaxが観察された時点
T1/2:薬剤排出の半減期
薬物動態学的および薬力学的な測定
血液試料(10mL)を投与前30分以内および投与後最長12時間まで採取した;例えば、投与後5、10、15、30、45、60、90、120、180、240、300、360分に採取し、一部の試験では最長12時間まで採取した。ベースラインの胃内pHデータは、各被験者に関して、試験期間の前のスクリーニング受診時に収集した。ベースラインのデータは、携帯型の使い捨て式プローブ1つおよびpH記録システムを用いて収集した。電極の較正はpH 1.07およびpH 7.01の標準的な多価電解質溶液を37℃で用いて行った。被験者の下部食道括約筋(LES)の位置はマノメーターにより特定し、鼻孔の下縁からLESの上縁までの距離を記録した。
実施例2:試験プロトコール
本実施例では、本明細書に記載した結果を得るために用いたいくつかの試験プロトコールについて述べる。
SAN-15-CO1試験プロトコール
この試験プロトコールは、最大6つの投与期間にわたる各投与期間中に各被験者に対してチュワブル制酸剤錠剤1つまたは2つをオメプラゾール粉末と同時に投与する単回投与クロスオーバー試験としてデザインされている。各期間の後には7〜14日のウォッシュアウト期間をおいた。各試験期間中はすべての被験者に対して同じ治療剤を投与した:
期間1:制酸剤錠剤1錠(配合1:3)+40mgオメプラゾール粉末を空腹状態で投与。
期間2:水性懸濁液の形態にある20mEq炭酸水素ナトリウム+40mgオメプラゾール粉末を空腹状態で投与。
期間3:Prilosec 40mg遅延放出カプセルを空腹状態で投与。
期間4:制酸剤錠剤1錠(配合1:3)+40mgオメプラゾール粉末を食事開始から1時間後に投与。
期間5:制酸剤錠剤1錠(配合1:1)+40mgオメプラゾール粉末を空腹状態で投与。
期間6:制酸剤錠剤2錠(配合1:1)+40mgオメプラゾール粉末を食事開始から1時間後に投与。
オメプラゾール粉末+錠剤の投与を含む期間に関しては、被験者の舌背中央部上にオメプラゾール粉末を直接投与した。その直後に被験者に対してチュワブル制酸剤錠剤1錠を与え、その咀嚼を始めさせた。被験者には錠剤をオメプラゾール粉末と混合させている間はその咀嚼を続けさせ、粉末をすぐに嚥下しないように用心させた。咀嚼を開始して1分後(さらに被験薬を完全に嚥下した後)に、各被験者に水120mLを飲ませ、口に含んで内容物をすすいだ後に嚥下させた。
胃内pHを所定の治療剤の各投与後最長6時間にわたって連続的にモニタリングし、血漿中オメプラゾール濃度を測定するために血液試料を対照投与日および実薬投与日に採取した。薬力学的評価に含めたものには、総合胃液酸度の測定;平均pH;ならびに%time pH>3、%time pH>4および%time pH>5がある。薬物動態学的評価に含めたものには、各サンプリング時点での血漿中オメプラゾール濃度;ならびに血漿中オメプラゾールCmax、Tmax、kel、AUC(0−t)およびAUC(0−inf)がある。
この試験では、オメプラゾール即時放出製剤としてのオメプラゾール/制酸剤の薬物動態および胃液酸度を評価した。
SAN-15-CO1B試験プロトコール
この試験プロトコールは単回投与クロスオーバー試験としてデザインし、各被験者に対して6つの投与期間にわたる各期間中に経口用制酸剤製剤とオメプラゾール/制酸剤製剤、オメプラゾール粉末のみ、またはPrilosecを投与した。各期間の後には7〜21日のウォッシュアウト期間をおいた。各試験期間中はすべての被験者に対して同じ治療剤を投与した:
期間1:制酸剤錠剤1錠(炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムの1:1配合物、30mEq)+40mgオメプラゾール粉末を、標準化した朝食の摂取1時間前に投与。
期間2:制酸剤錠剤1錠(炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムの1:1配合物、30mEq)+40mgオメプラゾール粉末を、標準化した朝食の摂取30分前に投与。
期間3:制酸剤錠剤1錠(炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムの1:1配合物、30mEq)+40mgオメプラゾール粉末を、標準化した朝食の摂取開始から3時間後に投与。
期間4:Nexium(商標)錠剤1錠(40mgエソメプラゾール)を、標準的な朝食の摂取30分前に投与。
期間5:制酸剤錠剤1錠(炭酸水素ナトリウムおよび炭酸カルシウムの1:1配合物、30mEq)+80mgオメプラゾール粉末を、標準的な朝食の摂取開始から4時間に投与。
期間6:Prilosec(登録商標)40mgカプセル1つを、標準的な朝食の摂取30分前に投与。
オメプラゾール粉末+錠剤の投与を含む期間に関しては、被験者の舌背中央部上にオメプラゾール粉末を直接投与した。その直後に被験者に対してチュワブル制酸剤錠剤1錠を与え、その咀嚼を始めさせた。被験者には錠剤をオメプラゾール粉末と混合させている間はその咀嚼を続けさせ、粉末をすぐに嚥下しないように用心させた。咀嚼を開始して1分後(さらに被験薬を完全に嚥下した後)に、各被験者に水120mLを飲ませ、口に含んで内容物をすすいだ後に嚥下させた。
食事を必要とする期間に関しては、被験者を少なくとも10時間にわたり一晩絶食させ、投与2時間前までは水を自由に摂取させた。標準化した朝食は30分以内に食べさせた。期間1に関しては、食事の摂取を開始する1時間前に水120mLも与えた。期間2に関しては、食事を開始する30分間前に水120mLも与えた。所定の治療剤の各投与後6時間にわたって胃内pHをモニタリングし、血漿中オメプラゾール濃度を測定するために血液試料を採取した。
薬力学的評価に含めたものには、経時的な胃内pHの測定;胃内pHの上昇開始時間;ならびにpH上昇(pH 3またはpH 4を上回る)程度および持続時間がある。薬物動態学的評価に含めたものには、各サンプリング時点での血漿中オメプラゾール濃度;ならびに血漿中オメプラゾールCmax、Tmax、kel、AUC(0−t)およびAUC(0−inf)がある。
SAN-15はオメプラゾールのチュワブル制酸剤錠剤であり、現在販売されているプロトンポンプ阻害剤よりも迅速にpH制御および胃症状の緩和をもたらす。この製剤では、オメプラゾールは制酸剤の混合物によって保護されており、それによって胃酸に対するオメプラゾールの曝露が抑えられている。
その初回投与後のオメプラゾールのCmaxは、Prilosecの初回投与後よりも高く、より早期に得られる。これにより、このオメプラゾール-制酸剤製剤を食事(これは胃酸関連症状をしばしば誘発する、またはそれと関連性がある)の近くに投与することが可能になる。この試験ではこれらの条件下での薬物動態および胃液酸度を評価し、オメプラゾール+制酸剤の組み合わせが食事誘発性または食事関連性の胸焼けを治療するために有用な可能性が示された。
SAN-15-CO1C試験プロトコール
この試験プロトコールは単回投与クロスオーバー試験としてデザインされている。健康志願者である各被験者に対して、各期間中に経口用制酸剤製剤とオメプラゾール;オメプラゾール粉末のみ;Prilosecカプセル(US製剤);およびNexiumカプセル(US製剤)を投与した。各期間の後には7〜14日のウォッシュアウト期間をおいた。各試験期間中はすべての被験者に対して同じ治療剤を投与した。
期間1:単回経口投与として80mgオメプラゾール粉末をチュワブル制酸剤錠剤1錠(1260mg NaHCO3および750mg CaCO3)とともに、標準化した朝食の90分後に投与。
期間2:単回経口投与として40mgオメプラゾール粉末を空腹状態で投与。
期間3:単回経口投与として40mgオメプラゾール粉末をチュワブル制酸剤錠剤1錠(1260mg NaHCO3および750mg CaCO3)とともに、標準化した朝食の90分後に投与。
期間4:単回経口投与として40mg Nexium(商標)カプセル1つ(エソメプラゾール、US製剤)を、標準化した朝食の90分後に投与。
期間5:単回経口投与として40mgオメプラゾール粉末を、標準化した朝食の90分後に投与。
期間6:単回経口投与として120mgオメプラゾール粉末をチュワブル錠剤1錠(1260mg NaHCO3および750mg CaCO3)とともに、標準化した朝食の90分後に投与。
オメプラゾール粉末+錠剤の投与を含む期間に関しては、被験者の舌背中央部上にオメプラゾール粉末を直接投与した。その直後に被験者に対してチュワブル制酸剤錠剤1錠を与え、その咀嚼を始めさせた。被験者には錠剤をオメプラゾール粉末と混合させている間はその咀嚼を続けさせ、粉末をすぐに嚥下しないように用心させた。咀嚼を開始して1分後(さらに被験薬を完全に嚥下した後)に、各被験者に水120mLを飲ませ、口に含んで内容物をすすいだ後に嚥下させた。
食事を必要とする期間に関しては、被験者を少なくとも10時間にわたり一晩絶食させ、投与2時間前までは水を自由に摂取させた。胃内pHのモニタリングは時間ゼロから始めて最長11時間にわたって記録した。標準的な朝食はpHモニタリングの開始90分後から始めて30分をかけて摂取させた。
食後の投薬を含む期間に関しては、被験者を少なくとも10時間絶食させた。第0日に、標準化した朝食の摂取を開始する前に90分間のプローブpHモニタリングを開始し、食事は30分以内に食べさせた。pHモニタリングは朝食の摂取開始から9.5時間後まで続けた。期間1および2ならびに後の1つの期間に関しては、標準的な朝食の摂取を開始して90分後に水120mLのみを投与した。第1日には、少なくとも10時間にわたる一晩の絶食後に、標準化した朝食の摂取を開始する前に90分間のプローブpHモニタリングを開始し、食事は30分以内に食べさせた。pHモニタリングは朝食の摂取を開始して9.5時間後まで続けた。被験薬は標準化した朝食の摂取を開始して90分後に投与した。
薬物動態学的評価に含めたものには、経時的なオメプラゾールおよびエソメプラゾールの血漿中濃度;ならびにオメプラゾールおよびエソメプラゾールの血漿中Cmax、Tmax、kel、T1/2、AUC(0−t)およびAUC(0−inf)がある。薬力学的評価には、胃内pHの上昇開始時間;経時的な胃内pH;および%time pH>4が含まれうる。
制酸剤との初回投与後のオメプラゾールのCmaxは、PrilosecまたはNexiumの初回投与後よりも高く、より早期に得られる。オメプラゾール/制酸剤製剤は、しばしば胃酸関連症状との関連性がある食事の近くに投与することができ、それにより、例えば、食事誘発性または食事関連性の胸焼けを治療することができる。SAN-15-CO1C試験ではこれらの条件下で薬物動態および胃内pHを評価した。
SAN-15-CO1D試験
この試験はオープンラベル単回投与クロスオーバー試験であり、各被験者に対して、10回の投与期間のそれぞれで1つずつ、最大10種類の異なる経口用オメプラゾール製剤を投与した。各期間の後には少なくとも7日のウォッシュアウト期間をおいた。オメプラゾール(40mg)を、最大1680mgの炭酸水素ナトリウムおよび/または最大600mgの水酸化マグネシウムおよび/または最大750mgの炭酸カルシウムとともに投与した。SAN-15(Patheon Pharmaceuticals Inc., Cincinnati, Ohio)製剤は、40mEq以下の制酸剤+40mgオメプラゾール(チュワブル錠剤に配合した場合とそうでない場合とがある)を含み、SAN-10(Pharm Ops Inc., Phillipsburg, New Jersey)カプセルは40mEq以下の制酸剤および40mgオメプラゾールを含む。いずれの製剤も、一晩の絶食後かつ標準化した高脂肪型朝食の1時間前に水120mLとともに投与した。所定の投与期間以内に、同じ治療剤をすべての被験者に対して投与した。
オメプラゾールは、Prilosecまたは即時放出製剤(腸溶コーティングを伴わない)のいずれかとして送達した。これは、ばらの粉末状の非コーティング性もしくはマイクロカプセル化された顆粒として、カプセル内にある粉末として、チュワブル錠剤として、または嚥下可能な錠剤として製剤化した。制酸剤は制酸剤錠剤と同時に投与するか、またはオメプラゾールおよび制酸剤を1つの錠剤またはカプセルとして配合した。薬物動態学的評価は以下に述べる通りとした。
オメプラゾール粉末+錠剤を投与する場合には、被験者の舌背中央部上にオメプラゾール粉末を直接投与した。その直後に被験者に対してチュワブル制酸剤錠剤1錠を与え、その咀嚼を始めさせた。被験者には錠剤をオメプラゾール粉末と混合させている間はその咀嚼を続けさせ、粉末をすぐに嚥下しないように用心させた。咀嚼を開始して1分後(さらに被験薬を完全に嚥下した後)に、各被験者に水120mLを飲ませ、口に含んで内容物をすすいだ後に嚥下させた。
オメプラゾール+制酸剤製剤を、しばしば胃酸関連症状との関連性がある食事の近くに投与することは、例えば、食事誘発性胸焼けを治療するために有用である可能性がある。
OSB-IR-CO2試験およびOSB-IR-CO6試験のプロトコール
両方の試験とも、各健常被験者に対して、標準化した朝食の摂取を開始する1時間前に、Prilosec(登録商標)40mgまたはOSB-IR 40mg(OSB-IR-CO2)またはPrilosec(登録商標)20mgまたはOSB-IR 20mg(OSB-IR-CO6)を7日連続して毎日qAM投与するというランダム化クロスオーバー試験である:期間1に関しては、期間1にOSB-IRの投与を受けた被験者に対して、第8日に標準化した食事を終えた時点でOSB-IR(20または40mg)の8回目の投与を行った。期間2を始める前には10〜14日のウォッシュアウト期間をおいた。続いて、もう一方の剤形を7日間にわたり1日1回投与した(期間2)。
期間1:40mgまたは20mgのオメプラゾール(それぞれOSB-IR-CO2またはOSB-IR-CO6)を、OSB-IRまたはPrilosecとして7日連続して1日1回投与、空腹時;(これに加えて、OSB-IRの投与を受けた被験者のみには食事下で8回目の投与)。1回目および7回目の投与後に12時間の薬物動態および24時間pHをモニタリング;8回目の投与後に12時間PKをモニタリング。
期間2:40mgまたは20mgのオメプラゾール(期間1に用いた方でないもう一方の製剤)(それぞれOSB-IR-CO2またはOSB-IR-CO6)を7日連続して1日1回投与;空腹時。1回目および7回目の投与後に12時間の薬物動態および24時間pHをモニタリング。
OSB-IR-CO2試験およびOSB-IR-CO6試験のいずれに関しても、ベースライン胃内pHは期間1および2の第1日の投薬前に記録した。各期間の第1日(1回目の投与)および第7日(7回目の投与)での所定の治療剤の各投与後24hrにわたって胃内pHをモニタリングし、血漿中オメプラゾールの測定のために血液試料を採取した。2回目から6回目までの投与は一晩の絶食後に行い、水を自由に摂取させた。投与1時間後、被験者に食物および非アルコール性飲料を自由に摂取させた。期間1にOSB-IRの投与を受けた被験者のみに対して、第8日に、7回目の投与後の24-hrモニタリング期間後かつ標準化した朝食を終えた後にOSB-IRの8回目の投与を続けた。ウォッシュアウト期間の後に、期間1に関して概説した手順(ただし、8回目の投与は行わない)をもう一方の剤形に対して繰り返した(期間2)。
OSB-IR-CO6試験に関しては、期間2にOSB-IRの投与を受けた被験者のみに対して、第8日に、7回目の投与後の24-hrモニタリング期間後かつ第8日の標準化した朝食を始める1時間前にOSB-IRの8回目の投与を続けた。これらの被験者には、標準化した食事を8回目の投与後の1300時および1800時の時点で摂取させ、第8日にはそれ以外の食物を摂らせなかった。2200時に被験者にもう1回、OSB-IR 20mgを服用させた(9回目の投与)。8回目の投与後24時間にわたり、これらの被験者のpHを連続的にモニタリングした。
薬物動態学的評価には、経時的な血漿中オメプラゾール濃度;ならびに血漿中オメプラゾールCmax、Tmax、kel、T1/2、AUC(0−t)およびAUC(0−inf)が含まれうる。薬力学的評価には、総合胃液酸度、平均酸濃度、胃内pH>4の期間、胃内pH<4の期間および胃内pHの中央値が含まれうる。
OSB-IRは懸濁液としてのオメプラゾールの送達が可能であり、オメプラゾールは製剤中に含まれる炭酸水素ナトリウムによって胃酸から保護されている。液体形態のオメプラゾールは、固体剤形では問題がある患者、例えば、非常に幼い者、高齢者、神経障害がある者、および経鼻胃(NG)管が留置されている者に対して、薬剤が利用可能であるようにする。
OSB-IRおよびPrilosecの生物学的利用能(AUC)および薬力学的特性(胃酸抑制)を評価したところ、定常状態では同等であることが判明した。また、これらの試験により、OSB-IRの薬物動態に及ぼす食物の影響も明らかにされた。このOSB-IR-CO6試験ではさらに、就寝前に投与したオメプラゾール+制酸剤製剤が夜間胃液酸度を軽減するのに有用であり、このため胸焼けの軽減にも有用である可能性が示された。
OSB-IR-CO5
この試験は単一期間のオープンラベル計画としてデザインされている。治療第1日に、空腹状態にある健常被験者に対して、40mgオメプラゾール炭酸水素ナトリウム即時放出懸濁液(OSB-IR)を投与間隔6時間として2回投与した。血液試料を合計18hrにわたって採取した。
液体剤形(投与前に水で懸濁化したOSB-IR)として送達されるオメプラゾールは、製剤中に含まれる炭酸水素ナトリウムによって胃酸から保護された。
OSB0-IR-CO3試験
これは、危篤状態の患者における上部消化管出血の予防に関する、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム即時放出性経口用懸濁液と静脈内シメチジンとの比較である。
OSB-IR懸濁液(40mgオメプラゾール+1680mg炭酸水素ナトリウム)を患者の半数に投与し、シメチジン(300mgボーラス注射、その後は50mg/hr)を残りの半数に投与した。胃吸引液を出血およびpHに関して評価した。臨床的に重大な出血は、第1〜14日の5〜10分間の鮮血、またはGastroccult陽性コーヒー残渣様内容物が第1〜2日に8時間連続して、もしくは第3〜14日(経腸栄養法の開始後)に2〜4hr認められた場合とした。危篤状態の患者359例に対して治療を行った。
上部GI出血を有する患者または上部GI(UGI)出血を発症するリスクのある患者に対してオメプラゾール+制酸剤製剤を投与することは、出血を予防するため、さらには随伴する合併症(例えば、死亡)を軽減または予防するために有用な可能性がある。
実施例3:オメプラゾールの制酸剤の存在下での良好な吸収および急速な吸収
本実施例では、制酸剤の存在下でオメプラゾールが良好に吸収されること、および単回経口投与したオメプラゾール制酸剤複合体が急速に吸収されることを示す結果について述べる(オメプラゾール制酸剤複合体が胃液酸度に及ぼす影響については実施例8を参照されたい)。オメプラゾール+制酸剤-即時放出物の薬物動態学的特性をオメプラゾール単独のそれと比較するために、OSB-IR-CO1C試験プロトコールの項に記載した通りに試験を行った。
食事の摂取と関連づけた種々の投薬レジメン下での、オメプラゾール粉末+チュワブル制酸剤錠剤、オメプラゾール粉末のみ、Prilosec(登録商標)カプセル(オメプラゾール)およびNexium(登録商標)カプセル(エソメプラゾールマグネシウム)の薬物動態学的プロフィールを、SAN-15-CO1C試験プロトコールの項に記載したようにして調べた。試験SAN-15-CO1Cによるこれらの結果を表3Aにまとめた。
(表3A)制酸剤とともにまたは単独で(食前)投与されたオメプラゾール粉末(40mg)の薬物動態学的評価
オメプラゾール制酸剤複合体-即時放出物からのオメプラゾールに関するAUC(0−inf)の中央値は966ng.hr/mLであり、オメプラゾール単独でのAUC(0−inf)、225ng.hr/mLよりも有意に大きかった(P=0.0355)。これらの結果は、制酸剤の同時投与を伴わないオメプラゾールの吸収性が弱いこと(低い生物学的利用能)を示している。
図10に示した試験の薬物動態に関する結果は、空腹被験者に対して投与された場合、(懸濁液またはチュワブル制酸剤錠剤のいずれかとして)制酸剤を伴うオメプラゾール粉末は、遅延放出性(腸溶コーティング性)Prilosec(登録商標)として送達されたオメプラゾールよりも急速に吸収されることを示している。
図11は、食事の30分前に単回食前投与として投与した40mgオメプラゾール粉末+30mEq制酸剤が、食事30分前に投与したNexium(登録商標)40mgよりも急速に吸収されることを示している。
実施例4:遅延放出性オメプラゾール製剤よりも迅速な吸収性、およびそれと同等な生物学的利用能を有するオメプラゾール+制酸剤製剤
本実施例では、オメプラゾール制酸剤複合体が遅延放出性オメプラゾール製剤よりも迅速な吸収性、およびそれと同等な生物学的利用能を有することを示す結果について述べる。
オメプラゾール制酸剤複合体-即時放出物性組成物とオメプラゾール腸溶コーティング顆粒とをPKおよび胃内pHに関して比較するために、空腹状態の被験者10例に対して40mgオメプラゾール腸溶コーティング顆粒(オメプラゾール遅延放出性)の単一カプセルを投与し、7例に対して40mgオメプラゾール粉末+1260mg NaHCO3および750mg CaCO3から構成されるチュワブル錠剤(オメプラゾール制酸剤複合体即時放出物)を投与するクロスオーバー試験を実施した。血漿中オメプラゾール濃度を投薬後6時間の期間にわたって測定し(図1)、胃内pHを投薬1時間前および6時間後に測定した。
OAC-IRからのオメプラゾール吸収は、オメプラゾール遅延放出製剤(T(max)127min;C(max)544ng/mL)よりも急速であった(T(max)25min;C(max)1019ng/mL)。オメプラゾール制酸剤複合体-即時放出物およびOME-DRの生物学的利用能(それぞれAUC(0−inf)1120ng×hr/mL、AUC(0−inf)1170ng×hr/mL)は同程度であった(P=0.96)。投薬後6時間の期間にわたる総合胃液酸度は、オメプラゾール制酸剤複合体-即時放出物の方がオメプラゾール遅延放出物の場合よりも43%低かった(P=.071;全被験者に関する中央値)。
販売されているオメプラゾール遅延放出製剤と比較すると、オメプラゾール制酸剤複合体-即時放出物はより迅速な吸収性を有し、薬力学的効果は同程度である。オメプラゾール制酸剤複合体-即時放出物は、制酸剤が即時的な緩和をもたらし、オメプラゾールがその後のエピソードの再発、重症度または持続時間を抑制するという様式で、既存および再発性の胸焼けの緩和に有効であると考えられる。
実施例5:Prilosec(登録商標)との比較による、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの生物学的利用能
本実施例では、オメプラゾール/炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)が1日および7日間の投与後の時点で生物学的に同等であること(FDAの要求基準により確認)を示している試験について述べる。
オメプラゾール/制酸剤即時放出の薬物動態学的および薬力学的な特性を腸溶コーティング性オメプラゾールと比較するために、オメプラゾール(それぞれ40mgまたは20mg)+1680mg炭酸水素ナトリウムを水性懸濁液として投与する様式で、OSB-IR-CO2およびOSB-IR-CO6試験の項に記載したように試験を実施した。薬物動態学的パラメーターには、各オメプラゾール製剤の1回目および7回目の投与に関するAUC(0−inf)、各オメプラゾール製剤の1回目および7回目の投与に関するCmax、ならびに各オメプラゾール製剤の1回目および7回目の投与に関するTmax、Kel、T1/2、AUC(0−t)が含まれうる。
オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの食前投与とPrilosec(登録商標)食前投与との間でのオメプラゾール薬物動態学的パラメーターの比較に関する結果を、表5A、表5Bおよび表5Cにまとめた。
(表5A)血漿中オメプラゾール濃度
オメプラゾール/炭酸水素ナトリウム40mgとPrilosec(登録商標)40mgとの比較(第1日)
1回目の投与後の時点で、40mgオメプラゾール+1680mg炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)(40mg)は、AUCに関して生物学的に同等であった(表1)。AUC(0−inf)に関して、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムとPrilosec(登録商標)との平均比は87.9%であり、90%CIの境界はPrilosec(登録商標)との比較で80%および125%であった。第1日に関する平均血漿中オメプラゾール濃度の経時的プロットは図2に示されている。
(表5B)血漿中オメプラゾール濃度
オメプラゾール/炭酸水素ナトリウム40mgとPrilosec(登録商標)40mgとの比較(第7日)
(表5C)血漿中オメプラゾール濃度
オメプラゾール/炭酸水素ナトリウム20mgとPrilosec(登録商標)20mgとの比較(第7日)
生物学的同等性に関する主エンドポイントは、定常状態(第7日)でのAUC(0−inf)とした。毎朝1日1回投与した40mgオメプラゾール+1680mg炭酸水素ナトリウムおよび40mg Prilosec(登録商標)は生物学的に同等であった(表2a)。AUC(0−inf)の平均比は101.9%であり、90%信頼区間(CI)は95.3%〜109.0%であった。オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム溶液に関する定常状態でのCmaxはPrilosec(登録商標)よりも幾分高く、平均比は119.5%であり、90%CIは107.2%〜133.2%であった。第7日に関する平均血漿中オメプラゾール濃度の経時的プロットは図3に示されている。
Prilosec(登録商標)に関する平均Tmaxは、時間経過に伴って短くなる傾向があった(第1日の2.34時間に対して第7日は1.77時間)。オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムに関する平均Tmaxには経時的な有意差はみられなかった(第1日が0.44時間、第7日が0.58時間)。第1日に関する平均半減期の値はオメプラゾール+炭酸水素ナトリウム、Prilosec(登録商標)とも同程度であった(それぞれ1.0時間および1.2時間)。
実施例6:Prilosec(登録商標)と薬力学的に同等であるオメプラゾール+炭酸水素ナトリウム
本実施例では、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)が、定常状態での総合胃液酸度の24時間の抑制に関して薬力学的に同等であることを示す結果について述べる。これらの試験により、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)は胃酸産生の抑制に関しては同程度に有効であるが、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム製剤の方がPrilosec(登録商標)と比較して急速な胃内pH上昇をもたらすことも示されている。
試験はOSB-IR-CO2試験およびOSB-IR-CO6試験のプロトコールの項に記載した通りに実施した。薬剤を投与し、第1日および第7日に、被験者に対する被験薬投与後24時間にわたって胃内pHレベルを測定した。主解析は投与第7日を対象としたが、これは薬力学的効果は毎日連続投与の第7日(定常状態)までに最大になるためである。
オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)の両方の薬力学的プロフィールを前記のようにして評価した。総合胃液酸度を生物学的同等性に関する主な薬力学的パラメーターとして選択したが、これはそれが得られた値の全範囲にわたる変化に対して均等に感受性を有するためである。これに対して、胃内pHの中央値および胃内pHが4以下である時間は、胃液酸度のベースラインからの薬剤誘発性変化を検出する感度が低い。
総合胃液酸度および胃内pHが4以下である時間によって測定した薬力学的効果の差をANOVAモデルを用いて評価した。オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムとPrilosec(登録商標)との比に関する90%信頼区間の上限および下限を80%〜125%内とした場合には、これらのパラメーターに関して薬力学的同等性が示された。オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの食前投与およびPrilosec(登録商標)の食前投与に関する薬力学的データを表6Aにまとめた。
(表6A)オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムとPrilosecとの薬力学的同等性の評価(ANOVA)
総合胃液酸度のベースラインからの低下率に関して、定常状態(第7日)で、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムはPrilosec(登録商標)と薬力学的に同等であった(表3)。90%CIの境界は80%〜125%とした。
表6Bに示されているように、第1日の時点で、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)は総合胃液酸度をそれぞれ70%および76%低下させた。第7日にはオメプラゾールの生物学的利用能の上昇に伴い、対応する低下率はそれぞれ84%および93%となった。総合胃液酸度のベースラインからの低下の被験者毎の比(オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム/Prilosec(登録商標))の中央値は100%であった。
(表6B)オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)による総合胃液酸度
ベースラインならびにオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)の投与後のいずれにおいても四分位数間領域が広いことによって示されているように、総合胃液酸度における被験者間変動はかなり大きかった。この変動の度合いは投与の前および後での胃酸分泌に特徴的である。
オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムに関するAUC(0−inf)および総合胃液酸度のベースラインからの低下率は、第1日および第7日ともPrilosec(登録商標)と生物学的に同等であり、これにより、この2つの治療剤がCmaxに関しては生物学的に同等ではないことが示された(平均比の信頼区間の上限が、定常状態での生物学的同等性に関して規定された上限を幾分上回った)。Cmaxの差は、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム溶液の薬力学に対して見かけ上は何ら影響を及ぼさなかった。
ベースライン期間中は、食事を摂食すると(時間0〜12)、空腹時(時間13〜24)よりも総合胃液酸度が緩徐な速度で上昇した。図4aは、時間0〜12の間に与えた3回の食事後の、第1日および第7日の時点での40mgオメプラゾール+1680mg炭酸水素ナトリウムの影響を示している。図4はまた、第1日および第7日ともに、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムを用いた場合の総合胃液酸度の時間経過の形状がPrilosec(登録商標)のそれと類似していることも示している(図4b)。詳細には、いずれの治療剤も24時間の記録期間の最初の15時間のうちに胃液酸度をゼロ近くまで低下させた。
平均胃酸濃度に関する値は、24時間の総合胃液酸度を24で除算したものと等しく、これらは表6Cに示されている。
(表6C)オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)による平均胃酸濃度
図5は、食事の摂取によって生じた、ベースラインならびに第1日および第7日の胃酸濃度の相変化を示している。時間1、5および10の時点でベースラインの酸濃度は低下したが、これは食事が胃酸を中和したためである。この低下の後には産生された胃酸濃度は上昇したが、これは一部には、食事により誘発された胃酸分泌による。時間16の時点で、ベースライン酸濃度の特徴的な(まだ説明は付いていないが)上昇がみられた。
第1日および第7日に、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)は、時間0〜14の昼間の時期には胃酸濃度をゼロ近くまで低下させた(図5)。しかし、いずれの治療剤を用いた場合も時間14〜19には酸濃度の夜間上昇がみられ、この上昇幅は第1日よりも第7日の方が小さかった。胃内pHの中央値は表6Dに示されている。
(表6D)オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)による平均胃内pH
表6Dは、いずれの治療剤の場合にも、第1日および第7日にベースラインからの胃内pHの大幅な上昇が起こったことを示している。いずれの治療剤に関しても、第7日には3 pH単位を上回るベースラインからの上昇が観察されたが、これは99.9%を上回る胃酸濃度の中央値の低下率に相当する。
オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム、ベースラインおよびPrilosec(登録商標)に関する経時的な胃内pH中央値は図6に示されている。第1日には、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムを投与した後には最初の1時間で胃内pHの中央値の上昇がみられたが、Prilosec(登録商標)ではみられなかった(図6a)。このことはオメプラゾール+炭酸水素ナトリウム投与における炭酸水素ナトリウムによる胃酸の中和を反映している。図6aはまた、第1日には、3回の食後期間のいずれにおいても、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムを用いた場合の方がPrilosec(登録商標)よりも胃内pHの低下が大きかったことも示している。しかし、第7日には、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムを用いた場合の胃内pHの中央値の時間経過は、Prilosec(登録商標)を用いた場合のそれと同じであった(図6b)。特に、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム、Prilosec(登録商標)のいずれに関しても、3回の食後期間のいずれにも胃内pHの4未満への低下はみられなかった。
胃内pHが4以下である時間の比率の中央値は、以下の表6Eに示されているように、第1日にはオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの方がPrilosec(登録商標)よりも幾分高かったが、第7日には同じであった。
(表6E)オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)を用いた場合の24時間中の胃内pHが4以下である時間の比率(%)
図7aおよび図7bのチャートには、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムおよびPrilosec(登録商標)に関して、胃内pHが4以下であった時間の量をプロットしている。
7日後の時点での、オメプラゾール(20mgおよび40mg)+炭酸水素ナトリウム(1680mg)とPrilosec(登録商標)(20mgおよび40mg)との間での薬物動態学的および薬力学的パラメーターの比較をまとめたものを、図8aおよび図8bに提示している。
実施例7:オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの生物学的利用能に対する食物摂取の影響
本実施例では、食物摂取が空腹時の生物学的利用能と比較して、オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの生物学的利用能を低下させることを示している試験について述べる。これらの試験はOSB-IR-CO2試験プロトコールにおける記載の通りに実施した。期間1においてオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの投与を受けた被験者に対して、高脂肪食後にオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの8回目の投与を行った。
高脂肪食の開始1時間後の、定常状態での40mgオメプラゾール+1680mg炭酸水素ナトリウムの投与は、生物学的利用能[AUC(0−inf)]を、一晩絶食後(食前)の投与時よりも73%低下させた。食後Cmaxは食前Cmaxの40%であった。食物摂取は平均Tmaxを55分遅延させた。第8日の食後のオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの生物学的利用能は第7日の食前と比較して低かったが、すべての被験者に関して、第8日の食後のオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムのAUC(0−inf)(3862ng×hr/ml)は、第1日の食前のオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムまたはPrilosec(登録商標)の食前AUC(0−inf)(それぞれ2228および2658ng×hr/mL)よりもかなり大きかった。これらの結果は表7Aにまとめられている。
(表7A)血漿中オメプラゾール濃度
40mgオメプラゾール+1680mg炭酸水素ナトリウム(食後)
オメプラゾール+炭酸水素ナトリウム食前投与(第7日)および食後投与(第8日)に関する、定常状態での平均血漿中オメプラゾール濃度の経時的プロットは図9に示されている。
実施例8:オメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの投与後の胃内pH上昇の程度および持続時間
本実施例では、オメプラゾール+制酸剤がpHを4.0よりも高めてそれを数時間にわたって維持するのに有効であること、およびオメプラゾール+制酸剤の用量を増やすと酸抑制の持続時間が長くなることを示す。
40mgオメプラゾール粉末単独、および40mgオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの投与に関して薬力学的パラメーターを比較した(SAN-15-CO1C)。その結果を表8Aにまとめた。
(表8A)制酸剤とともにまたは単独で(食前)投与されたオメプラゾール粉末(40mg)の薬力学的評価
制酸剤を伴うオメプラゾール粉末は、オメプラゾール粉末のみと比較して、胃酸を抑制する効果がかなり高い(表8B)。
図13は、食事30分前に投与した単回食前投与による40mgオメプラゾール粉末+30mEqチュワブル制酸剤錠剤が、Nexium(登録商標)よりも胃液酸度の大きな低下(pH上昇)を引き起こすとともに、食事誘発性酸分泌に対してより持続的な抑制効果を有することを示している(試験SAN-15-CO1B)。
図13に示されたデータを、図14に示したように分析することもできる。食事60分前に投与した単回投与による40mgオメプラゾール粉末+30mEqチュワブル制酸剤錠剤は、食後210分以上にわたって胃液酸度中央値の95%の低下をもたらした(試験SAN-15-CO1B)。食事30分前に投与した単回投与による40mgオメプラゾール粉末+30mEq制酸剤は胃液酸度中央値の81%の低下をもたらしたが、食事30分前に投与した単回投与によるNexium(登録商標)(40mg)は胃液酸度中央値を52%しか低下させなかった。したがって、オメプラゾール/制酸剤は、食前に投与した場合、食後の総合胃液酸度の低下に関してNexium(登録商標)よりも有効である。
試験SAN-15-CO1Cは、朝食90分後に投与した単回食後投与としての40mg〜120mgオメプラゾール粉末+30mEq制酸剤が、昼食後4〜5時間にわたってpHを4.0よりも上昇させるのに有効であることを示している(図15(a)-15(c))。オメプラゾール粉末+30mEq制酸剤の量を増やすことにより、酸抑制の増強に関して用量変更効果が観察された(図15(a)-15(c))。図15における用量変更の結果を表8Bに数値としてまとめた。
(表8B)標準化した朝食の90分後に単回用量のオメプラゾール粉末+制酸剤を投与した場合に、標準的な昼食摂取後にpHが4を上回る時間の割合(%)
実施例9:生物学的利用能および胃液酸度抑制に対するオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムの多回投与の効果
本実施例では、多回送達されたオメプラゾール+炭酸水素ナトリウムが、生物学的利用能の上昇および胃液酸度の増強された持続的な抑制を示すことを示している試験について述べる。多回投与に関するオメプラゾールの薬物動態(血漿中オメプラゾール)および薬力学(胃内pHおよび総合胃液酸度)を評価するために、OSB-IR-C02試験、OSB-IR-C05試験およびOSB-IR-C06試験のプロトコールに記載されたようにして試験を実施した。
40mg OSB-IRを6時間間隔で2回投与した後の血漿中オメプラゾールを図17に示している(OSB-IR-C05)。これらの結果は、後の方のオメプラゾール投与が前の投与よりも大きな生物学的利用能を示すことを示している。
図2および図3に示されているように、40mgオメプラゾール+制酸剤からのオメプラゾールの血漿レベルおよび全身曝露量は、単回投与よりも7日間の1日1回投与の方が高い。胃内pHの中央値の上昇がベースラインを上回る持続時間は、第7日の方が第1日よりも長かった(図18aと図18bとの比較)。第7日には、1日の大半でpHが4を上回った。図19および図20は、用量20mgおよび40mgのオメプラゾール(+制酸剤)に関して、昼間(9:00〜22:00時)の胃液酸度と夜間(22:00〜9:00時)の胃液酸度とを比較している。図19および図20における結果は、総合胃液酸度の中央値が、昼間においても、ベースライン胃液酸度が一般に最も高い夜(夜間)においてもベースラインを上回って上昇していることを示している。このデータはまた、第7日での胃液酸度の抑制の方が第1日と比較して大きいことも示している。
図21および図23に示されているように、胃内pHの中央値はオメプラゾール(制酸剤とともに送達)の用量が増すほど高くなる。例えば、用量40mgでは用量20mgよりも大きな累積効果が観察されている(図21aおよび図21bを比較されたい)。しかし、用量20mgであっても抑制効果は昼間および夜間を通じて存在する。
図22および図23は、食後胃液酸度に対するオメプラゾール20mgおよびオメプラゾール40mgの効果をそれぞれ提示している。総合胃液酸度には用量に関連した低下がみられ、この効果は第1日よりも7日間の1日1回投与後の方が大きい。
これまでの図面に示されているように、ある期間にわたるオメプラゾール+制酸剤の1日1回の反復投与は、胃液酸度の累積的な低下をもたらし、その持続時間は昼間および夜間の全体に及んだ。食事摂取後にも累積効果が観察されているため、オメプラゾール+制酸剤の反復投与は、食事により誘発される胸焼けの発生率(頻度)、持続時間または重症度を軽減または抑制するために有効である可能性がある。
実施例10:夜間酸分泌現象に対するオメプラゾールの効果
本実施例では、1日1回のオメプラゾール反復投与後の、就寝前の用量20mgのオメプラゾール+制酸剤の投与により、夜間胃液酸度を抑制させうることを示した試験OSB-IR-C06について述べる(図24(b)および図24(c))。また、図24(a)〜図24(c)に示されていることは、用量20mgのオメプラゾール+制酸剤の2回の投与(1回は就寝時)が、朝の用量40mgの単回投与よりも夜間胃液酸度の抑制に優れているということである。これらの結果は、就寝前に投与したオメプラゾール+制酸剤が、夜間胃液酸度に伴う1つまたは複数の症状、例えば夜間の胸焼けなどの治療に有用である可能性を示している。
実施例11:上部GI出血に対するオメプラゾールの効果
本実施例では、オメプラゾール+制酸剤の1日40mgの投与が危篤状態の患者における上部GI出血を予防または軽減し、それが上部GI出血の予防または軽減に関してシメチジンよりも劣っていないことを示した試験(OSB-IR-C03)について述べる(図28)。
図25に示されているように、これらの結果は、胃吸引液のpHが4未満であった患者はOSB-IR群の方がシメチジン群よりも少なかったことを示している。OSB-IR懸濁液を投与された患者の方が、シメチジン投与群よりも出血(何らかの所見および臨床的に重大な量の両方とも)を呈した例が少なかった。
図26における結果は、投与を受けた危篤状態の患者における最初の2日間の胃内pH中央値を示しており、これはOSB-IR(40mgオメプラゾール)がOSB-IR患者においてシメチジン患者よりも統計学的に有意な胃内pHの上昇をもたらしたことを示している。図27における結果は、14日間の試験のそれぞれに関する胃内pH中央値を示しており、これはOSB-IR(40mgオメプラゾール)がすべての試験日で、OSB-IR患者においてシメチジン患者よりも統計学的に有意な胃内pHの上昇をもたらしたことを示している。
実施例12:GERD患者における夜間胃液酸度を減少させることにおいて、パントプラゾール遅延放出カプセルより有効であるオメプラゾール即時放出経口懸濁剤
本実施例は、1日1回および2回の投与計画におけるオメプラゾール即時放出経口懸濁剤の夜間投与が、夜間胃液酸度を減少させることによって、パントプラゾールの夜間投与より有効であることを示す研究を記載する。本研究はまた、オメプラゾールが、夜間に与えられる場合GERDの夜間症状を制御することにおいて、Protonix(登録商標)のような遅延放出プロトンポンプ阻害剤より有効であることを示す。
夜間GERD症状を有する32人の患者の一つのグループは、1日目の22時(就寝時刻)および2〜6日目の夕食前に、40mg用量のProtonix(登録商標)を与えられた。7日目に、このグループは、朝食の1時間前および22時に再度、Protonix(登録商標)を与えられた。夜間GERD症状を有する32人の患者の第二のグループは、1〜6日目の22時に、OME-IR懸濁剤を与えられた。7日目に、第二のグループの17人の患者は、朝食の1時間前および22時に再度、40mgのOME-IR懸濁剤を与えられ、第二のグループの残りの15人の患者は、朝食の1時間前および22時に再度、20mgのOME-IR懸濁剤を与えられた。
継続的な24時間の胃内pHモニタリング(Medtronic)は、全てのグループに対して1、6、および7日目に実施された。胃内pH中央値、pHがpH 4より大きい時間の割合、および夜間酸分泌現象(NAB)を有する患者の比率は、夜間(22〜06時)の間、測定された。図31および32を参照されたい。夜間酸分泌現象は、pH<4で、およそ1時間を超えて継続する。
夜間8時間の胃内pH中央値(6日目)は、図29に示される。この8時間の間、pH>4である時間の割合の中央値は、OME-IRを投与した患者について、Protonix(登録商標)を投与した患者の27%に比べて55%と高かった(p<0.001)。pH中央値は、OME-IRを投与した患者について4.7、およびProtonix(登録商標)を投与した患者について2.0であった(p<0.001)。さらに、Protonix(登録商標)処置患者(32人の患者中25人)より少ないOME-IR処置患者(32人の患者中17人)において、NABが発生した(p=0.005)。図31を参照されたい。
1日2回の投与後の夜間8時間の胃内pH中央値(7日目)を図30に示す。この8時間の間、pH>4である時間の割合の中央値は、OME-I R 40および20 mgを投与した患者について、Protonix(登録商標)を投与した患者より高かった(40 mg OME-IR対Protonix(登録商標):6.5対1.5、および20 mg OME-IR対Protonix(登録商標):5.8対1.9、それぞれp<0.001)。Protonix(登録商標)処置患者より少ないOME-IR処置患者において、NABが発生した(40 mg OME-IR対Protonix(登録商標):2.17対12/17、および20 mg OME-IR対Protonix(登録商標):7/15対12/15、それぞれp<0.025)。図31を参照されたい。
本研究は、夜間胃液酸度の減少において、OME-IR懸濁剤がProtonix(登録商標)より有効であることを示す。これらの結果は、OME-IRがまた、就寝時に摂取される場合、GERDの夜間症状を制御することにおいて、Protonix(登録商標)のような遅延放出プロトンポンプ阻害剤より有効であり得ることを示唆する。
本発明を例示的な様式で説明してきたが、用いた用語は限定的ではなく説明的な性質を有することを意図していることが理解される必要がある。本明細書中に引用したすべての特許およびその他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。明白なこととして、以上の教示に鑑みて、本発明の多くの改変物、等価物および変形物が可能である。したがって、添付した特許請求の範囲内で、本発明を具体的に説明した以外のやり方で実施してもよいことが理解される必要がある。