JP2008281987A - プロセスカートリッジ、および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機感光体の寿命を延ばすため、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を用いた場合に、感光体表面のXPS分析により亜鉛量を検出することで塗布量が算出できる。
【解決手段】感光体中にポリカーボネートを含み、パラフィン等を保護剤とした場合、XPS分析により、保護剤塗布前のC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合の塗布前の値をA(%)とし塗布後のそれをAとしたとき、((A−A)/A×100)(%)が60%以上である感光体を用いる。
【選択図】図5

Description

本発明は、保護剤を感光体に塗布する複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いるプロセスカートリッジ、およびこれを用いた画像形成装置に関する。
電子写真プロセスを用いた画像形成装置において、感光体に対して帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を施すことにより画像形成が行われる。帯電工程で生成し感光体表面に残る放電生成物、および転写工程後に感光体表面に残る残トナーまたはトナー成分は、クリーニングプロセスを経て除去される。
一般に用いられるクリーニング方式として、安価で機構が簡単でクリーニング性に優れたゴムブレードが用いられる。しかし、ゴムブレードは感光体に押し当てて感光体表面の残留物を除去するため、感光体表面とクリーニングブレード間の摩擦によるストレスが大きく、ゴムブレードの磨耗や特に有機感光体においては感光体表面層の磨耗が生じ、ゴムブレードおよび有機感光体の寿命を短くする。また、高画質化の要求に対して画像形成に用いられるトナーは小粒径のものになってきている。小粒径のトナーを用いた画像形成装置では、残トナーがクリーニングブレードをすり抜けていく割合が多くなり、特に、クリーニングブレードの寸法精度、組み付け精度が十分でなかったり、クリーニングブレードが部分的に震動した場合にトナーのすり抜けは激しくなってしまい高画質の画像形成を妨げていた。
そのため、有機感光体の寿命を延ばし長期に亘って高画質を保持するには、摩擦による部材の劣化を低減し、クリーニング性を向上させる必要がある。
この要求に対して、実際には潤滑剤を感光体に供給し、クリーニングブレードで潤滑剤の皮膜を形成する方法などが採用されている。感光体への潤滑剤の塗布により、感光体表面が潤滑剤によって保護されるため、クリーニングブレードと感光体の摩擦によって生じる感光体磨耗や感光体を帯電するときに生じる放電のエネルギによる感光体の劣化が低減される。また、潤滑剤の塗布により、感光体表面の潤滑性が上がるためクリーニングブレードが部分的に振動する現象が低減され、すり抜けトナーの量が減少する。
従来より、潤滑剤にはステアリン酸亜鉛等の金属石鹸が用いられていたが、帯電ローラを用いた画像形成装置において、ステアリン酸亜鉛が帯電ローラに付着して帯電不良を生じさせ、黒スジ画像となることが多かった。
一方でパラフィンが潤滑性と保護性を持ち、保護剤として機能することが分かってきた。しかし、パラフィンは従来から用いられていたステアリン酸亜鉛よりも感光体を被覆する速度が遅いため、新品の感光体を用いた場合、保護剤が感光体を十分被覆していない状態で画像形成が行われるため、形成された画像によっては保護剤が存在している箇所と存在していない箇所が感光体上に存在してしまう場合があった。
この対策として画像形成を行う前に、予めパラフィンを被覆した感光体を用いることが考えられる。
潤滑剤塗布量の評価について、一般的に潤滑剤として用いられるステアリン酸亜鉛を用いた場合には、感光体表面に塗布されたステアリン酸亜鉛の量を、感光体表面のXPS(X-ray photoelectron spectroscopy)分析により検出される全元素に対する亜鉛元素の割合で評価する方法が用いられてきた(例えば、特許文献1、特許文献2 参照。)。XPS分析法によると、サンプルの極表面のみの元素が検出される。XPSではサンプル極表面の水素以外の元素全てを検出するから、XPSを用いてステアリン酸亜鉛が塗布された有機感光体表面を分析すると、ステアリン酸亜鉛の被覆率が増えるにつれて、有機感光体の持つ元素比率から、ステアリン酸亜鉛の持つ元素比率に近づき、ステアリン酸亜鉛の被覆率が100%になると元素比率はステアリン酸亜鉛の元素比率と理論的に一致し、検出される亜鉛量は飽和してしまう。すなわち、ステアリン酸亜鉛(C3670Zn)が感光体表面全体を全て覆っている場合、ステアリン酸亜鉛(C3670Zn)の分子中の水素以外の元素比より、XPSにより検出される全元素に対する、亜鉛元素の割合は理論上では2.44%となる。
しかし、パラフィンのような金属を含有しない保護剤を用いた場合、XPS分析によって検出される保護剤ピークはCとOのピークのみのため、感光体上に塗布されている保護剤の量を評価することは難しかった。
そのため、保護剤が感光体表面を被覆しているかどうか評価することができず、結果として保護剤が不十分な感光体をプロセスカートリッジに組み込んで画像形成を行ってしまう場合が多々あった。
特開2005−17469号公報 特開2005−249901号公報
ポリカーボネートを含有した最表面層上に保護剤が十分被覆された感光体を搭載したプロセスカートリッジ、およびそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明では、ポリカーボネートを含有した最表面上に保護剤を塗布した感光体と、該感光体を一様に帯電させる帯電手段と、外部からの露光により前記感光体表面に形成される潜像を少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写後の前記感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、前記感光体に保護剤を塗布する塗布手段とを有するプロセスカートリッジであって、
保護剤塗布前の前記感光体をXPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合A(%)が3%以上検出される感光体であって、前記保護剤がパラフィンを主成分とし、該保護剤を塗布後の感光体をXPS分析したときに検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合をA(%)としたとき、
((A−A)/A×100)(%)
が60%以上である感光体を用いたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記保護剤は、XPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合が1%以下であるような保護剤を用いることを特徴とする。
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記保護剤を前記感光体に塗布する手段は、ブラシを用いることを特徴とし、該ブラシは金属製の芯金上に直径が28〜42μmの単繊維を1平方インチ当たり5万〜60万本、静電植毛したことを特徴と
する。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記帯電手段は、帯電ローラに、直流電圧を重畳した交流電圧を印加することにより前記感光体を帯電する手段であることを特徴とし、保護剤塗布前の前記感光体をXPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合A(%)が3%以上検出される感光体であって、前記保護剤がパラフィンを主成分とし、該保護剤を塗布後の感光体をXPS分析したときに検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合をA(%)としたとき、
((A−A)/A×100)(%)
が70%以上である感光体を用いたことを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか一つに記載のプロセスカートリッジを用いた画像形成装置を特徴とする。
本発明によれば、予め、十分に保護剤を塗布した感光体を搭載することにより、高画質の画像形成が可能なプロセスカートリッジ、およびそれを用いた画像形成装置を提供することができる。
本発明者らは、保護剤にパラフィンのような金属を含有しない保護剤を用いた場合でも感光体上に塗布されている保護剤の量を把握できるような指標を得るため、保護剤中に含まれる成分ではなく、感光体のみに含まれる成分を追跡することによって、保護剤の量を把握できないか検討を行った。即ち、感光体にのみ含まれる成分を表す指標の値が保護剤を塗布することにより減少していけば保護剤が感光体を被覆していることを意味する。そこで、感光体のみに含まれる成分の追跡に適した分析方法について詳細に検討した。その結果、画像形成前の感光体において、ポリカーボネート樹脂を含む感光体は、C1sスペクトル中でポリカーボネート由来のピークが290.3〜294eVの範囲に検出されるが、保護剤塗布後の感光体において同じエネルギ―範囲で検出されるピークは、強度が小さくなっているか、検出されないことがわかり、さらに、保護剤塗付前の感光体から得られるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合(A)を、Aと同様にして求めた保護剤塗布後での割合(A)と比較すると、保護剤塗布後の割合(A)において、塗布前の割合(A)よりも小さくなり、このAとA0の割合が一定値以上小さくなった感光体を用いた画像形成装置は、耐久性の高い優れた性能の画像形成装置になることを見出し本発明に到った。
ここで、ピークとは、ガウス関数またはローレンツ関数で表される曲線を示し、ピークトップとは、その曲線の頂点を示す。関数としては、ガウス関数およびローレンツ関数に限らず、ガウス関数とローレンツ関数の複合関数等、波形分離に適した関数を適宜用いる。
290.3〜294eVの範囲で得られるピークはポリカーボネート樹脂中のカーボネート結合によるピークおよび感光体中のCTM(電荷輸送材料)あるいはポリカーボネート樹脂中のベンゼン環がπ−π*電子遷移状態にあることにより出現するピークであるが、この290.3〜294eVの範囲で得られるピークの減少または消失は、感光体にパラフィン等の保護剤を塗布することで、感光体表面が保護剤で覆われ、感光体の露出部分が減少することによって起こると考えられる。したがって、感光体の露出度合いを290.3〜294eVの範囲で得られるピーク面積のC1sスペクトル全体のピーク面積に対する面積比率の減少割合で判断することができる。このような方法を用いた場合、保護剤中に金属を含まなくても感光体の露出度合い、すなわち被覆率が算出できるため、保護剤の種類の制限をより受けない画像形成装置を提供することができる。
図6、7は保護剤塗布前後の感光体表面のXPS分析による結合エネルギの強度分布を表す図である。図6は保護剤塗布前、図7は保護剤塗布後をそれぞれ示す図である。図7(a)は被覆率74%、同図(b)は被覆率98%の例を示す。
ここで、モデル図として図6、7を用いて、前述のA、およびAの求め方について説明する。まず、図6に示した保護剤塗布前のC1sスペクトルをもとにAの求め方を説明する。C1sスペクトルとは、同図において281〜296eVにわたるスペクトルを示す。C1sスペクトル全体の面積の算出方法としては、スペクトル内に含まれるすべてのピークを分離し、それぞれの面積を求め、それらの面積の総和を求める方法と、C1sスペクトルを一塊の面積として算出する方法が挙げられる。C1sスペクトルを一塊の面積として算出する方がピーク分離の手間が無く、精度も良いことから、より好ましい。いずれかの方法で算出した保護剤塗布前のC1sスペクトル全体の面積を、以後、Yと称する。
一方、Aの算出に用いる、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲で検出されるピークは同図のように、カーボネート結合由来のピーク(同図中斜線部模擬側に隣接した部分)、およびπ−π*遷移に起因するピーク(同図中斜線部)に分離され、このπ−π*遷移に起因するピークは複数のピークが重なり合って存在している。そのため、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲で検出されるピークの総面積は、それぞれのピークを分離し、それぞれのピークの面積を求め、それらの面積の総和をとることにより、総面積(W:保護剤塗布前)が求められる。総面積(W)は同図のように、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲に見られるピークが290.3eV(ピークトップ)以下、および294eV以上のピークの裾と重なっていないときのみ、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲に見られる波形を波形分離せずに、一塊の面積として算出することができる。
以上のように、面積(Y)、および面積(W)が算出できたら、Aは次の式により算出することができる。
=W/Y×100
図6の例ではA=8.7%であった。
同様にして、図7に示した保護剤塗布後のC1sスペクトルをもとにAの求め方を説明する。先にも述べたが、C1sスペクトルとは、同図における281〜296eVにわたるスペクトルを示す。C1sスペクトル全体の面積の算出方法はYの求め方と全く同じで、スペクトル内に含まれるすべてのピークを分離し、それぞれの面積を求め、それらの面積の総和を求める方法と、C1sスペクトル全体を一塊の面積として、算出する方法が挙げられ、C1sスペクトル全体を一塊の面積として算出する方が、ピーク分離の手間が無く、精度も良いことからより好ましい。いずれかの方法で算出した保護剤塗布後のC1sスペクトル全体の面積をYと称する。
また、Aの算出方法はA0の算出と同様の方法を用いる。すなわち、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲で検出されるピークは同図のように、カーボネート結合由来のピーク(同図中斜線部模擬側に隣接した部分)、およびπ−π*遷移に起因するピーク(同図中斜線部)に分離され、このπ−π*遷移に起因するピークは複数のピークが重なり合って存在している。そのため、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲で検出されるピークの総面積は、それぞれのピークを分離し、それぞれのピークの面積を求め、それらの面積の総和をとることにより、総面積(W:保護剤塗布後)が求められる。総面積(W)は同図のように、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲に見られるピークが290.3eV(ピークトップ)以下、および294eV以上のピークの裾と重なっていないときのみ、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲に見られる波形を波形分離せずに、一塊の面積として算出することができる。
以上のように、面積(Y)、および面積(W)が算出できたら、Aは次の式により算出することができる。
A=W/Y×100
以上のようにして求められたA、およびA0を用いると、被覆率は
((A−A)/A×100)(%)
の式で求めることができる。
図7(a)の例ではA=2.3%、同図(b)の例ではA=0.2%であった。
本発明のプロセスカートリッジにおいて、該算出方法で算出された被覆率((A−A)/A×100)(%)は60%以上、好ましくは65%以上、さらに、好ましくは70%以上になるようにする。被覆率が60%未満の場合、感光体が帯電によって受けるダメージに対して、充分に保護することができないため好ましくない。
本発明に用いる保護剤中の金属元素は、0.1%以下、好ましくは0.05%以下であることが好ましい。
本発明に用いる保護剤は、金属元素が含まれているものを用いてもよいが、保護剤中に金属元素を含んでいる場合は、XPS分析によって検出される金属由来のピーク強度を保護剤塗布前後で比較した方が、C1sスペクトルの波形分離を行って290.3〜294eVの範囲で得られるピークを追跡するよりも簡単なため、また、金属種を含有する保護剤を用いた場合は、XPS分析以外にも、IR、ICP等の分析により検出される金属種由来のピークを追跡することも可能であり、より簡単なため、C1sスペクトルの波形分離を行って290.3〜294eVの範囲で得られるピークを追跡する本発明における被覆率算出方法を用いる必要はない。しかし、保護剤中に金属が含有されないものに関しては本発明を用いることが非常に効果的である。
本発明のプロセスカートリッジにおいて、帯電手段として、帯電ローラに直流電圧を重畳した交流電圧を印加するいわゆるAC帯電ローラ方式を用いた場合は、上記算出方法で算出された被覆率((A−A)/A×100)(%)が70%以上、好ましくは75%以上、さらに、好ましくは80%以上になるようにする。被覆率が70%未満の場合、感光体が帯電によって受けるダメージに対して、充分に保護することができないため好ましくない。
本発明に用いる保護剤中の金属元素は、0.1%以下、好ましくは0.05%以下であることが好ましい。
本発明に用いる感光体は、画像形成前に予め保護剤塗布が完了した状態で使うものとし、出荷する前の時点で、予め感光体に保護剤を塗布し、被覆率((A−A)/A×100)(%)が60%以上になっていることを確認する必要がある。感光体をプロセスカートリッジ、および画像形成装置に組み込んで出荷する場合も、同じように、予め感光体に保護剤を塗布し、被覆率((A−A)/A×100)(%)が60%以上になっていることを確認する必要がある。
被覆率を測定するには、感光体を破壊しなければならないため、被覆率測定後の感光体をプロセスカートリッジに用いることはできない。しかし、同じ塗布方法であれば、保護剤の被覆率はほぼ同じになるため、実際に用いる感光体のほかに、被覆率測定用の感光体を用意し、被覆率が本願発明の範囲内であることを確認することが好ましい。
保護剤を感光体に予め塗布する方法としては、感光体表面に保護剤を供給しながら、ブレードを当接して、感光体上に保護剤を塗布する方法が好適に用いられる。感光対面に保護剤を供給する方法としては、粉末化した保護剤を感光体に直接押しつける方法、ブラシを回転させながらブロック状に加工した保護剤に押しつけて保護剤を擦り取り、ブラシで擦り取った保護剤を感光体へ供給する方法を用いることができる。
また、感光体を保護剤の融点以上に加熱しておくと、保護剤は感光体表面で溶解し、短時間のうちに感光体表面を保護剤で被覆できるので、生産性に優れ、大変好ましい。
本発明に用いる保護剤は、保護剤中にパラフィンを50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上含有ししたものを用いる。保護剤中のパラフィン含有率が50重量%未満の場合、保護剤による感光体の保護効果が充分に発揮されないため好ましくない。
パラフィンとしてはノルマルパラフィン、イソパラフィンおよびシクロパラフィンが、付加反応が生じ難く化学的に安定であり、実使用の大気中で酸化反応を生じにくいため、経時安定性の面で好ましく用いられる。
保護剤には、パラフィンの他に環状オレフィン・コポリマ(COC)および、または両親媒性の有機化合物を含有させてもよい。
両親媒性の有機化合物は、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤やこれらの複合物等に類別される。
非イオン系界面活性剤は、化学式(1)のアルキルカルボン酸と多価アルコール類とのエステル化物であることが好ましい。
CnH2n+1COOH 化学式(1)
ただし、式中のnは15〜35の整数を示す。
化学式(1)のアルキルカルボン酸として直鎖アルキルカルボン酸を用いることにより、両親媒性の有機化合物が吸着した像担持体表面で、両親媒性の有機化合物の疎水性部分が配列しやすくなり、担持体表面への吸着密度が特に高くなるため、好ましい様態である。
1分子中のアルキルカルボン酸エステルは疎水性を示し、その数が多い方が気中放電により発生した解離性物質が像担持体表面に吸着するのを防ぎ、かつ帯電領域での像担持体表面への電気的ストレスを小さくするためには有効である。しかしながら、アルキルカルボン酸エステルの占める割合が多くなりすぎると、親水性を示す多価アルコール類の部分が覆い隠されてしまい、像担持体の表面状態によっては十分な吸着性能が発現しないことがある。
よって、両親媒性の有機化合物の1分子当りの平均エステル結合数は、1から3個であることが好ましい。
これら両親媒性の有機化合物の1分子当りの平均エステル結合数は、異なるエステル結合数を持つ複数の両親媒性の有機化合物から1種以上を選択し、混合して調整することもできる。
両親媒性の有機化合物としては、前述のように陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
陰イオン系界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキル塩、長鎖脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩等の、疎水性部位の末端に陰イオン(アニオン)を有し、これと、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属イオン、アルミニウム、亜鉛等の金属イオン、アンモニウムイオン等が結合した化合物が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤の例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の、疎水性部位の末端に陽イオン(カチオン)を有し、これと、塩素、フッ素、臭素等や、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、チオ硫酸イオン、炭酸イオン、水酸イオン等が結合した化合物が挙げられる。
両イオン系界面活性剤の例としては、ジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン、イミダゾリン誘導体、アルキルアミノ酸等が挙げられる。
非イオン系界面活性剤の例としては、長鎖アルキルアルコール、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコキシド、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等の、アルコール化合物、エーテル化合物、アミド化合物等が挙げられる。また、ラウリン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の長鎖アルキルカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリスリトール、ヘキシトール等の多価アルコールやこれらの部分無水物とのエステル化合物も好ましい形態として挙げられる。
エステル化合物のより具体的な例としては、モノステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、モノパルチミン酸グリセリル、ジラウリン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、ジパルチミン酸グリセリル、トリパルチミン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、パルチミン酸ステアリン酸グリセリル、モノアラキジン酸グリセリル、ジアラキジン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、ステアリン酸ベヘン酸グリセリル、セロチン酸ステアリン酸グリセリル、モノモンタン酸グリセリル、モノメリシン酸グリセリル等のアルキルカルボン酸グリセリルやこの置換物、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノパルチミン酸ソルビタン、ジパルチミン酸ソルビタン、トリパルチミン酸ソルビタン、ジミリスチン酸ソルビタン、トリミリスチン酸ソルビタン、パルチミン酸ステアリン酸ソルビタン、モノアラキジン酸ソルビタン、ジアラキジン酸ソルビタン、モノベヘン酸ソルビタン、ステアリン酸ベヘン酸ソルビタン、セロチン酸ステアリン酸ソルビタン、モノモンタン酸ソルビタン、モノメリシン酸ソルビタン等のアルキルカルボン酸ソルビタンやこの置換物等が挙げられるが、これに限るものではない。
また、これらの両親媒性有機化合物は単一の種類を用いても良いし、複数種類を併用しても良い。
保護剤には、感光体への供給を容易にするため、無機化合物の微粒子を分散させてもよい。無機化合物としてはアルミナ、シリカ、酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン、窒化ホウ素、タルク等が挙げられる。
本発明に用いる保護剤は、保護剤をXPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギーに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合が1%以下であることが好ましい。
すなわち、保護剤をXPS分析した時に、290.3〜294eVの範囲で検出されるピーク面積がC1sスペクトル全体のピーク面積に対して1%以上である場合、保護剤が感光体を完全に被覆しても、290.3〜294eVの範囲でピークが出現してしまい、290.3〜294eVの範囲に保護剤由来のピークが出現することは、被覆率算出にあたっては問題ないが、290.3〜294eVの範囲にピークが無い方が解析をしやすいため、保護剤中には290.3〜294eVの範囲で検出されるピークがない、または、極微量であることが望ましい。特に、保護剤をXPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合が、感光体での値A(%)と近い値であると、保護剤の塗布前後でA(%)の値がほとんど変化しないため、本発明の被覆率算出方法で被覆率を求める場合には好ましくない。また、290.3〜294eVの範囲ではCF2およびCF3に由来するピークが出現するため、これらを含む保護剤を用いる場合は、これらの結合由来のピークを考慮して評価を行う必要がある。
次に、本発明において好適に用いられる感光体について説明する。
本発明のプロセスカートリッジに用いる感光体は、導電性支持体の上に感光層が設けられ、感光体の最表面層(最も外側の層)には、ポリカーボネートを含有している。
感光層の構成は電荷発生材と電荷輸送材を混在させた単層型、あるいは電荷発生層の上に電荷輸送層を設けた順層型、あるいは電荷輸送層の上に電荷発生層を設けた逆層型がある。また、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため、感光層の上に表面層を設けることもできる。感光層と導電性支持体の間には下引き層が設けられていてもよい。また各層には必要により可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等を適量添加することもできる。
感光体の導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法でドラム状に素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。ドラム状の支持体としては、直径が20〜150mm、好ましくは、24〜100mm、さらに好ましくは28〜70mmのものを用いることができる。ドラム状の支持体の直径が20mm未満では、ドラム周辺に帯電、露光、現像、転写、クリーニングの各工程を配置することが物理的に難しく、ドラム状の支持体の直径が150mm以上では画像形成装置が大きくなってしまい好ましくない。特に、画像形成装置がタンデム型の場合には、複数の感光体を搭載する必要があるため、直径は70mm以下、好ましくは60mm以下であることが好ましい。また、公知のエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
本発明のプロセスカートリッジに用いる感光体の下引層としては樹脂、あるいは白色顔料と樹脂を主成分としたもの、および導電性基体表面を化学的あるいは電気化学的に酸化させた酸化金属膜等が例示できるが、白色顔料と樹脂を主成分とするものが好ましい。白色顔料としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛等の金属酸化物が挙げられ、中でも導電性基体からの電荷の注入防止性が優れる酸化チタンを含有させることが最も好ましい。下引層に用いる樹脂としてはポリアミド、ポリビニルアルコール、カゼイン、メチルセルロース等の熱可塑性樹脂、アクリル、フェノール、メラミン、アルキッド、不飽和ポリエステル、エポキシ等の熱硬化性樹脂、これらの中の一種あるいは多種の混合物を例示することができる。
本発明のプロセスカートリッジに用いる感光体の電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ顔料等のアゾ顔料、トリアリールメタン系染料、チアジン系染料、オキサジン系染料、キサンテン系染料、シアニン系色素、スチリル系色素、ピリリウム系染料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料、インダスロン系顔料、スクアリリウム系顔料、フタロシアニン系顔料等の有機系顔料および染料や、セレン、セレン−ヒ素、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、酸化チタン、アモルファスシリコン等の無機材料を使用することができ、電荷発生物質は一種あるいは多種混合して使用することができる。下引層は、一層であっても、複数の層で構成しても良い。
本発明のプロセスカートリッジに用いる感光体の電荷輸送物質としては、例えば、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、カルバゾール誘導体、テトラゾール誘導体、メタロセン誘導体、フェノチアジン誘導体、ピラゾリン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチリルヒドラゾン化合物、エナミン化合物、ブタジエン化合物、ジスチリル化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、チアゾール化合物、イミダゾール化合物、トリフェニルアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリフェニルメタン誘導体等の一種あるいは多種を混合して使用することができる。
上記電荷発生層、電荷輸送層の感光層を形成するのに使用する結着樹脂としては、電気絶縁性であり、それ自体公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂および光導電性樹脂等を使用することができ、適当な結着樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の光導電性樹脂など一種の結着樹脂あるいは多種の結着樹脂の混合物を挙げることができるが、特にこれらのものに限定されるものではない。しかし、電荷発生層あるいは電荷輸送層が最表面層となる場合には、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れたポリカーボネートを用いる。
酸化防止剤としては、例えば以下のものが使用される。
<モノフェノール系化合物>
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−t−ブチル−4−ヒドロキシニソールなど。
<ビスフェノール系化合物>
2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)など。
<高分子フェノール系化合物>
1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェノール類など。
<パラフェニレンジアミン類>
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
<ハイドロキノン類>
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
<有機硫黄化合物類>
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
<有機燐化合物類>
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなどの一般的な樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層中にレベリング剤を添加してもかまわない。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、測鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマあるいはオリゴマが使用され、その使用量は、バインダ樹脂100重量部に対して、0〜1重量部が適当である。
表面層は前述のように、感光体の機械的強度、耐磨耗性、耐ガス性、クリーニング性等の向上のため設けられる。表面層としては、感光層よりも機械的強度の高い高分子、高分子に無機フィラーを分散させたものが例示できる。表面層に用いる高分子は、熱可塑性高分子、熱硬化性高分子、何れの高分子であっても良いが、熱硬化性高分子は機械的強度が高く、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を抑える能力が極めて高いためたいへん好ましい。表面層は薄い膜厚であれば、電荷輸送能力を有していなくても支障はないが、電荷輸送能力を有しない表面層を厚く形成すると、感光体の感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇を引き起こしやすいため、表面層中に前述の電荷輸送物質を含有させたり、表面層に用いる高分子として電荷輸送能力を有するものを用いることが好ましい。感光層と表面層との機械的強度は一般に大きく異なるため、クリーニングブレードとの摩擦により表面層が磨耗し、消失すると、すぐに感光層は磨耗していってしまうため、表面層を設ける場合には、表面層は十分な膜厚とすることが重要であり、0.1〜12μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは2〜8μmとすることが好ましい。表面層の膜厚が0.1μm未満では、薄すぎてクリーニングブレードとの摩擦により部分的に消失しやすくなり、消失した部分から感光層の磨耗が進んでしまうため好ましくない。表面層の膜厚が12μm以上では、感度低下、露光後電位上昇、残留電位上昇が生じやすく、特に電荷輸送能力を有する高分子を用いる場合には、電荷輸送能力を有する高分子のコストが高くなってしまうため好ましくない。
表面層に用いる高分子としては、画像形成時の書き込み光に対して透明で、絶縁性、機械的強度、接着性に優れたポリカーボネートを用いるが、この他に、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマ共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂を含有してもよい。これらの高分子は熱可塑性高分子であっても良いが、高分子の機械的強度を高めるため、多官能のアクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等を持つ架橋剤により架橋し、熱硬化性高分子とすることで、表面層の機械的強度は増大し、クリーニングブレードとの摩擦による磨耗を大幅に減少させることができる。
表面層中には表面層の機械的強度を高めるために金属、または金属酸化物の微粒子を分散させることができる。金属酸化物としては酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、TiO、TiN、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化アンチモン等が挙げられる。その他、耐摩耗性を向上させる目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、およびこれらの樹脂に無機材料を分散したもの等を添加することができる。
以下に図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明のプロセスカートリッジは、前述の保護剤を塗布した感光体と、該感光体を一様に帯電させる帯電手段と、外部からの露光により前記感光体表面に形成される潜像を少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記感光体に現像剤を塗布する塗布手段を有する。
図1は本発明のプロセスカートリッジ構成例を説明するための図である。
同図において符号1は感光体ドラム、2は保護層形成装置、3は帯電ローラ、4はクリーニング装置、5は現像装置、6は転写ローラ、7は転写媒体、21は保護剤バー、22は保護剤供給部材、23は押圧力付与機構、24は保護層形成機構、24aは保護層形成部材、41はクリーニング部材、42はクリーニング押圧機構、PCはプロセスカートリッジをそれぞれ示す。
ここで、保護剤バーとは、保護剤を溶融または圧縮により棒状に固めたものを指す。
感光体ドラム1は前述のように、感光体上に保護剤が塗布されたものを用いる。感光体ドラム1は、感光体ドラム1に対向して配置された帯電ローラ3により帯電され、露光されて潜像を形成し、現像装置5で現像されトナー像が形成される。感光体上に形成されたトナー像は、転写媒体7に転写され、転写残のトナーはクリーニング装置4でクリーニングされる。クリーニング後、感光体上に新たな保護剤を保護層形成装置2によって塗布する。
帯電ローラ3は直流帯電方式でも良いが、交流電圧に直流電圧を重畳した、いわゆるAC帯電方式が好適に用いられる。
感光体ドラム1は、転写工程後に部分的に劣化した保護剤やトナー成分等が残存した表面となっているが、クリーニング装置4のクリーニング部材41により表面残存物が清掃され、クリーニングされる。クリーニング部材41としてはブレードが好適に用いられる。
同図では、クリーニング部材は、いわゆるカウンタタイプ(リーディングタイプ)に類する角度で当接されている。
クリーニング部材41は保護層形成機構24で代用することも可能であるが、同図のように、クリーニングの機能を持つクリーニング部材41と、保護剤塗布機能を持つ保護層形成機構24の両者を設置した機構を用いる場合、保護剤が薄く均一に感光体上に塗布されるため好ましい。
保護層形成装置2により、感光体表面へは、保護剤供給部材22から保護剤が供給され、保護層形成機構24により皮膜状の保護層が形成される。
保護層が形成された感光体には、帯電後、レーザなどの露光によって、静電潜像が形成され、現像装置5により、現像されて可視像化され、プロセスカートリッジ外の転写ローラ6などにより、転写媒体7へ転写される。
本発明による保護剤バー21は、押圧力付与機構23からの押圧力により、例えばブラシ状の保護剤供給部材22へ接する。保護剤供給部材22は感光体ドラム1と線速差を以て回転して摺擦し、この際に保護剤供給部材表面に保持された保護剤を、感光体ドラム表面に供給する。
クリーニング部材41は保護層形成機構24で代用することも可能であるが、同図のように、クリーニングの機能を持つクリーニング部材41と、保護剤塗布機能を持つ保護層形成機構24の両者を設置した機構を用いる場合、保護剤が薄く均一に感光体上に塗布されるため好ましい。
保護層形成装置2により、感光体表面へは、保護剤供給部材22から保護剤が供給され、保護層形成機構24により皮膜状の保護層が形成される。
保護層が形成された感光体には、帯電後、レーザなどの露光によって、静電潜像が形成され、現像装置5により、現像されて可視像化され、プロセスカートリッジ外の転写ローラ6などにより、転写媒体7へ転写される。
保護剤バーの代わりに保護剤粉末を直接感光体表面に供給することもできる。この場合、保護剤粉末を保有する容器、保護剤粉末を搬送する保護剤搬送装置が必要となり、保護剤バー、押圧力付与機構、保護剤供給部材が不要となる。保護剤搬送装置としては、ポンプ、オーガ等、既存の粉体搬送手段を用いることができる。
感光体表面に供給された保護剤は、物質種の選択によっては供給時に十分な保護層にならない場合があるため、より均一な保護層を形成するために、例えば、保護層形成機構24の先端部に設けられた保護層形成部材としてのブレード24aにより薄層化され保護層となる。
図1では保護層形成用のブレード24aはトレーリング方向で配置しているが、カウンタ方向で配置しても良い。
感光体表面残存物を除去する機能と、保護層を形成する機能とは、適切な部材の摺擦状態が異なることがあるため、機能を分離し、クリーニング機構としては、図1のように像担持体保護剤供給部より上流側に、クリーニング部材41、クリーニング押圧機構42などにより成るクリーニング装置4を設けることが好ましいが、後述の図3のように像担持体表面残存物を除去する機能と、保護層を形成する機能とを兼用にしてクリーニング押圧機構42をなくした機構にしてもよい。
保護層形成機構に用いるブレードの材料は、特に制限されるものではなく、例えばクリーニングブレード用材料として一般に公知の、ウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体を、単独またはブレンドして使用することができる。また、これらのゴムブレードは、像担持体との接点部分を低摩擦係数材料で、コーティングや含浸処理しても良い。また、弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散しても良い。
これらのブレードは、ブレード支持体に、先端部が像担持体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。ブレード厚みは、0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmである。0.5mm未満では、感光体との当接面にかかる力が小さすぎて保護剤を充分に延展することができないため好ましくなく、5mmを超えると、感光体との当接面にかかる力が大きすぎて感光体を傷つけたり、感光体を回転させるためのトルクをより大きく設定する必要がでてくるため好ましくない。
また、支持体から突き出し、たわみを持たせることができるブレード24aの長さ、いわゆる自由長は押圧で加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、1〜15mm、好ましくは2〜10mmである。1mm未満では、ブレードを固定することが困難であるため好ましくなく、15mmを超えると、感光体との当接圧を確保することが困難になり、クリーニング不良が起きてしまうため好ましくない。
保護層形成用ブレード部材の他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要によりカップリング剤やプライマ成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマ等の層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いても良い。
弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mm、より好ましくは0.1〜1mm程度である。弾性金属ブレードにおいては、0.05mm未満では、感光体との当接面にかかる力が小さすぎて保護剤を充分に延展することができないため好ましくなく、3mmを超えると、感光体との当接面にかかる力が大きすぎて感光体を傷つけたり、感光体を回転させるためのトルクをより大きく設定する必要がでてくるため好ましくない。
また、弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施しても良い。
表面層を形成する材料としては、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂や、フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマ等のシリコーン系エラストマ等を、必要により充填剤と共に、用いることができるが、これに限定されるものではない。
また、保護層形成機構でブレード24aを感光体に押圧する力は、像担持体保護剤が延展し保護層や保護膜の状態になる力で十分であり、線圧として5gf/cm〜80gf/cmであることが好ましく、10gf/cm〜60gf/cmであることがより好ましい。線圧が5gf/cm未満においては、保護剤が充分に像担持体上に延展されないため好ましくなく、線圧が80gf/cmを超えると、保護層形成用ブレードの磨耗が加速してしまい、また、像担持体が傷ついたり、像担持体の磨耗が加速してしまうため好ましくない。
また、ブラシ状の部材は保護剤供給部材として好ましく用いられるが、この場合、像担持体表面への機械的ストレスを抑制するためにはブラシ繊維は可撓性を持つことが好ましい。
可撓性のブラシ繊維の具体的な材料としては、一般的に公知の材料から1種乃至2種以上を選択して使用する事ができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);などの内、可撓性を持つ樹脂を使用することができる。
また、撓みの程度を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いても良い。
保護剤供給部材の支持体には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の供給部材としては、例えばブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。ブラシ繊維は繊維径10〜500μm、より好ましくは、20〜300μmである。10μm未満では、保護剤の供給スピードが非常に遅くなるため好ましくなく、500μmを超えると、ブラシ繊維が単位面積当たりに存在できる本数がより少なくなるため、ブラシが感光体に当たる場所と当たらない場所での塗布ムラが顕著になったり、ブラシが感光体に当たったときに感光体を傷つけやすくなったり、保護剤を掻き取る力が強くなるため、保護剤の寿命が短くなったり、感光体に供給される保護剤が大きな粒状になり、感光体に供給された粒が帯電ローラに移動して帯電ローラを汚染してしまったり、ブラシや感光体を回転させるためのトルクがより大きくなるため好ましくない。
ブラシの繊維の長さは1〜15mm、好ましくは3〜10mmである。ブラシの繊維の長さが1mm未満では、ブラシの芯金と像担持体が非常に近い配置となるため芯金が像担持体と接触して、像担持体に傷がつきやすくなるため好ましくなく、15mmを超えると、ブラシ繊維先端で保護剤を掻きとる力やブラシ繊維先端が像担持体に当たる力が弱くなり、保護剤を充分な量供給するのが困難になったり、ブラシの繊維が抜けやすくなるため好ましくない。
ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×10〜4.5×108本)である。ブラシ密度が1平方インチ当たり1万本未満においては、ブラシが感光体に当たる場所と当たらない場所での塗布ムラが顕著になったり、保護剤を充分な量供給することが困難になるため好ましくなく、また、ブラシ密度を1平方インチ当たり30万本より多くするためにはブラシ繊維の径を非常に小さくする必要があるため好ましくない。
保護剤供給部材は、供給の均一性やその安定性の面から、極カブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
これらの保護剤供給材の中でも、28〜43μm、好ましくは30〜40μmの単繊維から作られたブラシが保護剤の供給の効率が高く、最も好ましい。繊維は撚って作製されることが多いことから、繊維の径は均一でないため、デニール、デシテックスの単位が用いられてきた。しかし、単繊維の場合は繊維径が一定であるため繊維径で規定することの方が保護剤供給部材を規定する上で好ましい。
単繊維の直径が28μmより小さいと、保護剤を供給する効率が低くなり、単繊維の直径が43μmを超えると、単繊維の剛性が高くなりすぎて感光体を傷つけやすくなり好ましくない。また、28〜43μmの単繊維は、芯金に対してできるだけ垂直に植毛されていることが好ましく、ブラシを製造する際には、静電気を利用したいわゆる静電植毛により製造することが好ましい。静電植毛は、ブラシの芯金状に接着剤を塗布し、芯金を帯電させることにより、静電電気力で28〜43μmの単繊維を飛翔させて、芯金上の接着剤に植毛し、接着剤を硬化させる方法である。このように、静電植毛により、1平方インチ当たり5万〜60万本植毛したブラシが好適に用いることができる。
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けても良い。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、何ら限定されること事無く使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
本発明のプロセスカートリッジに用いる帯電手段としては、コロナ放電、スコロトロン帯電のほか、図1で示した帯電ローラが用いられ、装置が小型で、オゾン等の酸化性ガスの発生の少ない帯電ローラが好適に用いられる。
帯電ローラは感光体と接触あるいは、20〜100μmの間隙をおいて近接した状態で帯電ローラと感光体の間に電圧を印加することにより、感光体を帯電する。帯電ローラと感光体の間に印加する電圧は、直流電圧(DC帯電)でもよいし、直流電圧に交流電圧を重畳(AC帯電)してもよい。
AC帯電においては、感光体と帯電ローラの間で1秒間に何千回以上もの放電が繰り返される。そのため、感光体が受けるダメージは非常に大きい。このことから、保護剤を用いてAC帯電から感光体を保護するためには保護剤の感光体被覆率は70%以上にしておく必要がある。
一方、DC帯電においては、感光体が帯電によって受けるダメージは、AC帯電と比較して非常に小さい。そのため、DC帯電における保護剤の感光体被覆率は60%以上であればよい。
帯電ローラの構成としては、導電性支持体上に、高分子層と、表面層から構成されることが好ましい。
導電性支持体は、帯電ローラ13の電極および支持部材として機能するもので、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金、クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄、導電材を添加した樹脂、などの導電性の材質で構成される。
高分子層としては、10〜10Ωcmの抵抗を有する導電性層であることが好ましく、高分子材料に導電剤を混合して抵抗を調整したものが用いられる。本発明の画像形成装置に用いる帯電ローラの高分子層の高分子としては、ポリエステル系、オレフィン系の熱可塑性エラストマ、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系熱可塑性樹脂、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、およびこれらをブレンドしたゴム材料が挙げられる。ゴム材料は中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびこれらのブレンドゴムが好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が用いられる。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの微粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;を挙げることができる。これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、高分子100重量部に対して、1〜30重量部の範囲であることが好ましく、15〜25重量部の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、高分子100重量部に対して、0.1〜5.0重量部の範囲であることが好ましく、0.5〜3.0重量部の範囲であることがより好ましい。
前記表面層を構成する高分子材料としては、帯電ローラ3表面のダイナミック超微小硬度が0.04以上0.5以下であれば特に制限されないが、ポリアミド、ポリウレタン、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
これらの中では、トナーとの離型性等の観点から、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、4フッ化エチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミドが好ましく用いられる。上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、当該高分子材料の数平均分子量は、1,000〜100,000の範囲であることが好ましく、10,000〜50,000の範囲であることがより好ましい。
表面層は、上記高分子材料に前記導電性弾性層に用いた導電剤や各種微粒子を混合して組成物として形成される。上記微粒子としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等の金属酸化物および複合金属酸化物、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン等の高分子微粉体を単独または混合して用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
本発明のプロセスカートリッジに用いる現像手段は、現像剤を感光体に接触させ、感光体上に形成した潜像をトナー像に現像する。現像剤としては、トナーとキャリアから構成される二成分現像剤や、キャリアを含まない一成分現像剤を使用することができる。
例えば、図1で示すように、現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ51が部分的に露出している。
図示しないトナーボトルから現像装置5内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュウ52および53によってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ51上に担持されることになる。この現像ローラ51は、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ51上に穂立ちした状態となって感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ51は、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ51上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、現像ローラ51には、図示しない電源から現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ51との間では、現像ローラ51上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ51上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
−トナー−
前記トナーは、平均円形度が0.93〜1.00が好ましく、0.95〜0.99がより好ましい。本発明においては、下記数式1で表される円形度SRの平均値である平均円形度が、0.93〜1.00であることが好ましい。この平均円形度はトナー粒子の凹凸の度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.00を示し、表面形状が複雑になるほど平均円形度は小さな値となる。
<数式1>
円形度SR=(トナー粒子の投影面積と同じ面積の円の周囲長)/(トナー粒子の投影像の周囲長)
前記平均円形度が0.93〜1.00の範囲では、トナー粒子の表面は滑らかであり、トナー粒子同士、トナー粒子と感光体との接触面積が小さいために転写性に優れる。また、トナー粒子に角がないため、現像装置内での現像剤の攪拌トルクが小さく、攪拌の駆動が安定するために異常画像が発生しない。また、ドットを形成するトナーの中に、角張ったトナー粒子がいないため、転写で記録媒体に圧接する際に、その圧がドットを形成するトナー全体に均一にかかり、転写中抜けが生じにくい。また、トナー粒子が角張っていないことから、トナー粒子そのものの研磨力が小さく、感光体の表面を傷つけたり、磨耗させたりしない。
前記円形度SRは、例えばフロー式粒子像分析装置(東亜医用電子社製、FPIA−1000)を用いて測定することができる。
まず、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜10000個/μlとして前記装置によりトナーの形状、粒度を測定する。
前記トナーの質量平均粒径(D4)は3〜10μmが好ましく、4〜8μmがより好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。前記質量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすいことがあり、10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しいことがある。
また、前記トナーは、質量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は1.00〜1.40が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(D4/D1)が1に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味し、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。また、トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。また、トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密にかつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
ここで、前記トナーの質量平均粒径(D4)、および粒度分布の測定は、例えばコールターカウンタ法による。該コールターカウンタ法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンタTA−IIやコールターマルチサイザII(いずれもコールター社製)が挙げられる。
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャとして100μmアパーチャを用いて、トナー粒子またはトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの質量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
このような略球形の形状のトナーとしては、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマ、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋および/または伸長反応させることにより作製することができる。この反応で製造されたトナーは、トナー表面を硬化させることで、ホットオフセットを少なくすることができ、定着装置の汚れとなって、それが画像上に表れるのを抑えることができる。
前記変性ポリエステル系樹脂からなるプレポリマとしては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)が挙げられ、また、該プレポリマと伸長または架橋する化合物としては、アミン類(B)が挙げられる。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマ(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルを更にポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
前記ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)、3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。前記ジオール(1−1)としては、例えばアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、これと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用が特に好ましい。
前記3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、これらの中でも、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)などが挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が特に好ましい。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
前記ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率として、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]は、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が更に好ましい。
前記ポリイソシアネート(3)としては、例えば脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]は、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。前記[NCO]/[OH]が5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、[NCO]のモル比が1未満であると、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、0.5〜40重量%が好ましく、1〜30重量%がより好ましく、2〜20重量%が更に好ましい。前記含有量が0.5重量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になり、40重量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、平均1個以上が好ましく、平均1.5〜3個がより好ましく、平均1.8〜2.5個が更に好ましい。1分子当たり1個未満であると、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
更に、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマ(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]は、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。前記[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満であると、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。前記ウレア結合のモル比が10%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
これらの反応により、前記トナーに用いられる変性ポリエステル、中でもウレア変性ポリエステル(i)が作製できる。これらウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマ法により製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の質量平均分子量は、1万以上が好ましく、2万〜1000万がより好ましく、3万〜100万が更に好ましい。前記質量平均分子量が1万未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
また、ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記質量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。(i)単独の場合は、数平均分子量は、20,000以下が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記数平均分子量が20,000を超えると、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が悪化することがある。
本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル(i)単独使用だけでなく、この(i)と共に、変性されていないポリエステル(ii)を結着樹脂成分として含有させることもできる。(ii)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。(ii)としては、前記(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(i)と同様である。また、(ii)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(i)と(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(i)のポリエステル成分と(ii)は類似の組成が好ましい。(ii)を含有させる場合の(i)と(ii)の重量比は、5/95〜80/20が好ましく、5/95〜30/70がより好ましく、5/95〜25/75が更に好ましく、7/93〜20/80が特に好ましい。前記(i)の重量比が5重量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。
(ii)のピーク分子量は、1,000〜30,000が好ましく、1,500〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。前記ピーク分子量が1,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、30,000を超えると低温定着性が悪化することがある。(ii)の水酸基価は5以上が好ましく、10〜120がより好ましく、20〜80が更に好ましい。前記水酸基価が5未満であると、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になることがある。(ii)の酸価は1〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
前記結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50〜70℃が好ましく、55〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が50℃未満であると、トナーの高温保管時のブロッキングが悪化することがあり、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本発明に用いるトナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
前記結着樹脂の貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10,000dyne/cmとなる温度(TG')が、100℃以上が好ましく、110〜200℃がより好ましい。前記温度(TG')が100℃未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記結着樹脂の粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、180℃以下が好ましく、90〜160℃がより好ましい。前記温度(Tη)が、180℃を超えると、低温定着性が悪化する。即ち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG'はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG'とTηの差(TG'−Tη)は0℃以上が好ましい。更に好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が更に好ましい。
前記結着樹脂は以下の方法などで製造することができる。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで、40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマ(A)を得る。更に(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。(3)を反応させる際および(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、エーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。ウレア結合で変性されていないポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で(ii)を製造し、これを前記(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
また、本発明に用いるトナーは、以下の方法で製造することができるが勿論これらに限定されることはない。
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマ(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成してもよいし、予め製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いてもよい。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマ(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマ(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマ(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスタバッチ、離型剤、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、および帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。例えば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
分散の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、1,000〜3,0000rpmが好ましく、5,000〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温な方が、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマ(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマ(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、50〜2000重量部が好ましく、100〜1000重量部がより好ましい。前記使用量が50重量部未満であると、トナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。一方、2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
プレポリマ(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させてもよいし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしてもよい。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
前記反応においては、必要に応じて、分散剤を用いることが好ましい。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、難水溶性の無機化合物分散剤、高分子系保護コロイド、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、界面活性剤が好ましい。
前記界面活性剤としては、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、等が挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、フルオロアルキル基を有するものが好適に挙げられる。該フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(炭素数6〜11)オキシ]−1−アルキル(炭素数3〜4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(炭素数6〜8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(炭素数11〜20)カルボン酸またはその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(炭素数7〜13)またはその金属塩、パーフルオロアルキル(炭素数4〜12)スルホン酸またはその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(炭素数6〜16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。該フルオロアルキル基を有する界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製);フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製);ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製);メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ化学工業社製);エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−100、F150(ネオス社製)等が挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アミン塩型界面活性剤、四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤等が挙げられる。前記アミン塩型界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等が挙げられる。前記四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。該陽イオン界面活性剤の中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級または三級アミン酸、パーフルオロアルキル(炭素数6〜10個)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、などが挙げられる。該カチオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子社製);フロラードFC−135(住友3M社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ化学工業社製);エクトップEF−132(ト−ケムプロダクツ社製);フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタイン等が挙げられる。
前記難水溶性の無機化合物分散剤としては、例えば、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト、等が挙げられる。
前記高分子系保護コロイドとしては、例えば、酸類、水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、アミド化合物またはこれらのメチロール化合物、クロライド類、窒素原子若しくはその複素環を有するもの等のホモポリマまたは共重合体、ポリオキシエチレン系、セルロース類、等が挙げられる。
前記酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。前記水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等が挙げられる。前記ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等が挙げられる。前記ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等が挙げられる。前記アミド化合物またはこれらのメチロール化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド酸、またはこれらのメチロール化合物、などが挙げられる。前記クロライド類としては、例えば、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等が挙げられる。前記窒素原子若しくはその複素環を有するもの等ホモポリマまたは共重合体としては、例えば、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等が挙げられる。前記ポリオキシエチレン系としては、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等が挙げられる。前記セルロース類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
前記分散液の調製においては、必要に応じて分散安定剤を用いることができる。
該分散安定剤としては、例えば、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能なもの等が挙げられる。
該分散安定剤を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する方法、酵素により分解する方法等によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することができる。
前記分散液の調製においては、前記伸長反応乃至前記架橋反応の触媒を用いることができる。該触媒としては、例えば、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、等が挙げられる。
更に、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマ(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いた方が粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。
前記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましく、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒がより好ましい。
前記プレポリマ(A)100重量部に対する溶剤の使用量は、0〜300重量部が好ましく、0〜100重量部がより好ましく、25〜70重量部が更に好ましい。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧又は減圧下にて加温し除去する。
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマ(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間が好ましく、2〜24時間がより好ましい。反応温度は0〜150℃が好ましく、40〜98℃がより好ましい。更に必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。また、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発させて除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライア、ベルトドライア、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンタ、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行ってもよいが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際、不要の微粒子または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
また、該トナーに使用される着色剤としては、従来からトナー用着色剤として使用されてきた顔料および染料が使用でき、具体的には、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドンレッド、ベンジジンイエロー、ローズベンガル等を単独あるいは混合して用いることができる。
更に必要に応じて、トナー粒子自身に磁気特性を持たせるには、フェライト、マグネタイト、マグヘマイト等の酸化鉄類;鉄、コバルト、ニッケル等の金属あるいは、これらと他の金属との合金等の磁性成分を単独または混合して、トナー粒子へ含有させればよい。また、これらの成分は、着色剤成分として使用することもできる。
また、本発明で用いられるトナー中の着色剤の個数平均粒径は0.5μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。前記個数平均粒径が0.5μmを超えると、顔料の分散性が充分なレベルには到らず、好ましい透明性が得られないことがある。一方、0.1μmより小さい微小粒径の着色剤は、可視光の半波長より十分小さいため、光の反射、吸収特性に悪影響を及ぼさないと考えられる。よって、0.1μm未満の着色剤の粒子は良好な色再現性と、定着画像を有するOHPシートの透明性に貢献する。一方、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、入射光の透過が阻害されたり、散乱されたりして、OHPシートの投影画像の明るさおよび鮮やかさが低下する傾向がある。更に、0.5μmより大きな粒径の着色剤が多く存在していると、トナー粒子表面から着色剤が脱離し、カブリ、ドラム汚染、クリーニング不良といった種々の問題を引き起こすことがある。0.7μmより大きな粒径の着色剤は、全着色剤の10個数%以下が好ましく、5個数%以下がより好ましい。
また、着色剤を結着樹脂の一部もしくは全部と共に、予め湿潤液を加えた上で混練しておくことにより、初期的に結着樹脂と着色剤が十分に付着した状態となって、その後のトナー製造工程でのトナー粒子中における着色剤分散がより効果的に行われ、着色剤の分散粒径が小さくなり、一層良好な透明性を得ることができる。
予めの混錬に用いる結着樹脂としては、トナー用結着樹脂として例示した樹脂類をそのまま使用することができるが、これらに限定されるものではない。
前記の結着樹脂と着色剤の混合物を予め湿潤液と共に混練する具体的な方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤および湿潤液を、ヘンシェルミキサ等のブレンダにて混合した後、得られた混合物を二本ロール、三本ロール等の混練機により、結着樹脂の溶融温度よりも低い温度で混練して、サンプルを得る。
また、湿潤液としては、結着樹脂の溶解性や、着色剤との塗れ性を考慮しながら、一般的なものを使用できるが、アセトン、トルエン、ブタノン等の有機溶剤、水が、着色剤の分散性の面から好ましい。これらの中でも、水の使用は、環境への配慮および、後のトナー製造工程における着色剤の分散安定性維持の点から特に好ましい。
この製法によると、得られるトナーに含有される着色剤粒子の粒径が小さくなるばかりでなく、該粒子の分散状態の均一性が高くなるため、OHPによる投影像の色の再現性がより一層よくなる。
前記トナー中には、前記結着樹脂および前記着色剤とともに離型剤を含有することが好ましい。
前記離型剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックス等);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらの中でも、カルボニル基含有ワックスが特に好ましい。
前記カルボニル基含有ワックスとしては、例えばポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミド等);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミド等);ジアルキルケトン(ジステアリルケトン等)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの中でも、ポリアルカン酸エステルが特に好ましい。
前記離型剤の融点は、40〜160℃が好ましく、50〜120℃がより好ましく、60〜90℃が更に好ましい。前記融点が40℃未満の離型剤は耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超える離型剤は低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。前記離型剤の溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が1000cpsを超える離型剤は、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が乏しい。
前記離型剤の前記トナー中における含有量は、0〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がより好ましい。
また、トナー帯電量およびその立ち上がりを早くするために、トナー中に、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。ここで、帯電制御剤として有色材料を用いると色の変化が起こるため、無色または白色に近い材料が好ましい。
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩および、サリチル酸誘導体の金属塩等が挙げられる。
前記帯電制御剤としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(いずれも、オリエント化学工業社製);第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(いずれも、保土谷化学工業社製);第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(いずれも、ヘキスト社製);LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(いずれも、日本カ一リット社製)、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
前記帯電制御剤の添加量は、バインダ樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に規定できるものではないが、前記バインダ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.2〜5重量部がより好ましい。前記添加量が10重量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがあり、これらの帯電制御剤はマスタバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させることもできるし、有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えてもよいし、トナー表面にトナー粒子作製後固定化させてもよい。
また、トナー製造過程で水系媒体中にトナー組成物を分散させるに際して、主に分散安定化のための樹脂微粒子を添加してもよい。
前記樹脂微粒子は、水性分散体を形成し得る樹脂であればいかなる樹脂も使用することができ、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマ樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、またはそれらの併用が好ましい。
前記ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマを単独重合または共重合したポリマが用いられ、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
前記無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、5nm〜500nmがより好ましい。また、BET法による比表面積は20〜500m/gが好ましい。前記無機微粒子の添加量は、前記トナーに対し0.01〜5重量%が好ましく、0.01〜2.0重量%がより好ましい。前記無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などが挙げられる。
その他の高分子系微粒子、例えばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
また、感光体や中間転写体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合などによって製造されたポリマ微粒子などが挙げられる。前記ポリマ微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
このようなトナーを用いることにより、上述の如く、現像の安定性に優れる、高画質なトナー像を形成することができる。しかしながら、転写装置にて記録媒体もしくは中間転写体に転写されず、感光体上に残存してしまったトナーは、その微細さや転動性の良さのために、クリーニング装置による除去が困難で通過してしまうことがある。トナーを像担持体から完全に除去するには、例えばクリーニングブレードのようなトナー除去部材を感光体に対して強力に押しつける必要がある。この様な負荷は、感光体やクリーニング装置の寿命を短くするだけでなく、余計なエネルギを使用してしまうことになる。
また、本発明の画像形成装置は、上述のような、高品質な画像を得るに適した構成のトナーとの併用ばかりでなく、粉砕法による不定形のトナーに対しても適用でき、装置寿命を大幅に延ばすことができる。このような粉砕法のトナーを構成する材料としては、通常、電子写真用トナーとして使用されるものが、特に制限なく、適用可能である。
前記粉砕法トナーに使用される結着樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレンまたはその置換体の単重合体;スチレン/p−クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、スチレン/ビニルナフタレン共重合体、スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ビニルメチルケトン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体等のスチレン系共重合体;ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル系単重合体またはその共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等のポリビニル誘導体;ポリエステル系重合体、ポリウレタン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリイミド系重合体、ポリオール系重合体、エポキシ系重合体、テルペン系重合体、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が、電気特性、コスト面等から好ましく、更には、良好な定着特性を有するものとして、ポリエステル系樹脂、ポリオール系樹脂が特に好ましい。
帯電部材の被覆層に含まれる前記トナーの結着樹脂を構成する樹脂成分と同じものは、線状ポリエステル樹脂組成物、線状ポリオール樹脂組成物、線状スチレンアクリル樹脂組成物、またはこれらの架橋物の内、少なくとも一種を好ましく用いることができる。
粉砕法トナーでは、これらの樹脂成分と共に、前述のような着色剤成分、ワックス成分、電荷制御成分等を、必要により前混合後、樹脂成分の溶融温度近傍以下で混練して、これを冷却後、粉砕分級工程を経て、トナーを作製すればよく、また、必要により前述の外添成分を、適宜、添加混合すればよい。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、等が好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、感光体近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像がトナーにより現像されて感光体の表面にトナーによる可視像が形成される。
現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
本発明のプロセスカートリッジに用いるクリーニング部材41としては、ブレード、ブラシを単独あるいは併用して用いることができる。
クリーニング手段に用いるブレード41の材料は、特に制限されるものではなく、例えば、クリーニングブレード用材料として一般に公知のウレタンゴム、ヒドリンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体を、単独またはブレンドして使用することができる。
また、これらのゴムブレードは、感光体との接点部分を低摩擦係数材料でコーティングや含浸処理をしても良い。また、弾性体の硬度を調整するために、他の有機フィラーや無機フィラーに代表される充填材を分散しても良い。
これらのブレードは、ブレード支持体に、先端部が像担持体表面へ押圧当接できるように、接着や融着等の任意の方法によって固定される。ブレード厚みは、0.5〜5mm、好ましくは1〜3mmである。0.5mm未満では、感光体との当接面にかかる力が小さすぎて残トナーを充分に掻き取ることができないため好ましくなく、5mmを超えると、感光体との当接面にかかる力が大きすぎて感光体を傷つけたり、感光体を回転させるためのトルクをより大きく設定する必要がでてくるため好ましくない。
また、支持体から突き出し、たわみを持たせることができるブレード41の長さ、いわゆる自由長は押圧で加える力との兼ね合いで一義的に定義できるものではないが、1〜15mm、好ましくは2〜10mmである。1mm未満では、ブレードを固定することが困難であるため好ましくなく、15mmを超えると、感光体との当接圧を確保することが困難になり、クリーニング不良が起きてしまうため好ましくない。
クリーニング用ブレード部材の他の構成としては、バネ板等の弾性金属ブレード表面に、必要によりカップリング剤やプライマ成分等を介して、樹脂、ゴム、エラストマ等の層をコーティング、ディッピング等の方法で形成し、必要により熱硬化等を行い、更に必要であれば表面研摩等を施して用いても良い。
弾性金属ブレードの厚みは、0.05〜3mm、より好ましくは0.1〜1mm程度である。弾性金属ブレードにおいては、0.05mm未満では、感光体との当接面にかかる力が小さすぎて残トナーを充分に掻き取ることができないため好ましくなく、3mmを超えると、感光体との当接面にかかる力が大きすぎて感光体を傷つけたり、感光体を回転させるためのトルクをより大きく設定する必要がでてくるため好ましくない。
また、弾性金属ブレードでは、ブレードのねじれを抑止するために、取り付け後に支軸と略平行となる方向に、曲げ加工等の処理を施しても良い。
表面層を形成する材料としては、PFA、PTFE、FEP、PVdF等のフッ素樹脂や、フッ素系ゴム、メチルフェニルシリコーンエラストマ等のシリコーン系エラストマ等を、必要により充填剤と共に、用いることができるが、これに限定されるものではない。
また、クリーニング手段でブレード41を感光体に押圧する力は、線圧として5gf/cm〜80gf/cmであることが好ましく、10gf/cm〜60gf/cmであることがより好ましい。線圧が5gf/cm未満においては、トナーのすり抜けが生じやすいので好ましくなく、線圧が80gf/cmを超えると、クリーニングブレード41のの磨耗が加速してしまい、また、感光体が傷ついたり、感光体の磨耗が加速してしまうため好ましくない。
また、クリーニング手段に用いるブラシは、感光体表面への機械的ストレスを抑制するために、ブラシ繊維は可撓性を持つことが好ましい。
可撓性のブラシ繊維の具体的な材料としては、一般的に公知の材料から1種乃至2種以上を選択して使用する事ができる。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン、ポリプロピレン);ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂(例えばポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン);塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;スチレン−ブタジエン樹脂;フッ素樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン);ポリエステル;ナイロン;アクリル;レーヨン;ポリウレタン;ポリカーボネート;フェノール樹脂;アミノ樹脂(例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂);などの内、可撓性を持つ樹脂を使用することができる。
また、撓みの程度を調整するために、ジエン系ゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、エチレンプロピレンゴム、イソプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ヒドリンゴム、ノルボルネンゴム等を複合して用いても良い。
クリーニング手段に用いるブラシの支持体には、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状のブラシとしては、例えばブラシ繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。ブラシ繊維は繊維径10〜500μm、より好ましくは、20〜300μmである。10μm未満では、残トナーを掻き取るスピードが非常に遅くなるため好ましくなく、500μmを超えると、ブラシ繊維が単位面積当たりに存在できる本数がより少なくなるため、ブラシが感光体に当たる場所と当たらない場所でのクリーニングムラが生じたり、ブラシが感光体に当たったときに感光体を傷つけやすくなるため好ましくない。
ブラシの繊維の長さは1〜15mm、好ましくは3〜10mmである。ブラシの繊維の長さが1mm未満では、ブラシの芯金と像担持体が非常に近い配置となるため芯金が像担持体と接触して、像担持体に傷がつきやすくなるため好ましくなく、15mmを超えると、ブラシ繊維先端で残トナーを掻きとる力やブラシ繊維先端が像担持体に当たる力が弱くなり、残トナーを十分掻き取るのが困難になったり、ブラシの繊維が抜けやすくなるため好ましくない。
ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×10〜4.5×108本)である。ブラシ密度が1平方インチ当たり1万本未満においては、ブラシが感光体に当たる場所と当たらない場所でのクリーニングムラが顕著になったり、残トナーを十分掻き取ることが困難になるため好ましくなく、また、ブラシ密度を1平方インチ当たり30万本より多くするためにはブラシ繊維の径を非常に小さくする必要があるため好ましくない。
クリーニングブラシは、クリーニングのの均一性やその安定性の面から、極カブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、333デシテックス=6.7デシテックス×50フィラメント(300デニール=6デニール×50フィラメント)のように6.7デシテックス(6デニール)の微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。
また、ブラシ表面には必要に応じてブラシの表面形状や環境安定性などを安定化することなどを目的として、被覆層を設けても良い。被覆層を構成する成分としては、ブラシ繊維の撓みに応じて変形することが可能な被覆層成分を用いることが好ましく、これらは、可撓性を保持し得る材料であれば、何ら限定されること事無く使用でき、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂またはその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);パーフルオロアルキルエーテル,ポリフルオロビニル、ポリフルオロビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂や、これらの複合樹脂等が挙げられる。
図2は本発明の保護層形成装置を具備する画像形成装置の一例を示す断面図である。
同図において符号8は潜像形成装置、60は中間転写媒体、100は画像形成装置、200は給紙機構、500は画像形成装置をそれぞれ示す。
ドラム状の像担持体1の周囲に、保護層形成装置2、帯電装置3、潜像形成装置8、現像装置5、転写装置6、およびクリーニング装置4が配置され、以下の動作で画像形成が行なわれる。
画像形成のための一連のプロセスについて、ネガ−ポジプロセスで説明を行う。
有機光導電層を有する感光体(OPC)に代表される像担持体1は、除電ランプ(図示せず)等で除電され、帯電部材を有する帯電装置3で均一にマイナスに帯電される。
帯電装置による像担持体の帯電が行なわれる際には、電圧印加機構(図示せず)から帯電部材に、像担持体1を所望の電位に帯電させるに適した、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した帯電電圧が印加される。
帯電された像担持体1は、レーザ光学系等の潜像形成装置8によって照射されるレーザ光で潜像形成(露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行なわれる。
レーザ光は半導体レーザから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により像担持体1の表面を、像担持体1の回転軸方向に走査する。
このようにして形成された潜像が、現像装置5にある現像剤担持体である現像スリーブ上に供給されたトナー粒子、またはトナー粒子およびキャリア粒子の混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。
潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブに、像担持体1の露光部と非露光部の間にある、適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
各色に対応した像担持体1上に形成されたトナー像は、転写装置6にて中間転写媒体60上に転写され、給紙機構200から給送された、紙などの転写媒体上に、トナー像が転写される。
このとき、転写装置6には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、中間転写媒体60は、像担持体1から分離され、転写像が得られる。
また、像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング部材41によって、クリーニング装置4内のトナー回収室へ、回収される。
画像形成装置100としては、上述の現像装置が複数配置されたものを用い、複数の現像装置によって順次作成された色が異なる複数トナー像を順次転写材上へ転写した後、定着機構へ送り、熱等によってトナーを定着する装置であっても、あるいは同様に作製された複数のトナー像を順次一旦中間転写媒体上に順次転写した後、これを一括して紙のような転写媒体に転写後に、同様に定着する装置であっても良い。
これより、実験例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実験例によって限定されるものではない。
図3は本発明の実験例に用いたプロセスカートリッジの概要を示す図である。
同図における符号は図1において用いた符号に準ずる。
<感光体の作製>
直径30mmのアルミニウムドラム(導電性支持体)上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層および表面層を、その順に塗布して後、乾燥し、3.6μmの下引き層、約0.14μmの電荷発生層、23μmの電荷輸送層、約3.5μmの表面層からなる感光体を作製した。このとき、表面層の塗工はスプレー法により、それ以外は浸漬塗工法により行った。表面層には、電荷輸送層に、平均粒径0.18μmのアルミナを23.8重量%添加した処方のものを用いた。
図4は感光体表面のXPS分析による結合エネルギの強度分布を示す図である。
保護剤を塗布する前の感光体No.6のXPS(AXIS/ULTRA、島津/KRATOS、X線源:Mono Al、分析領域:700×300μm)分析を行ったところ、同図のようなC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)を算出し、その面積がC1sスペクトル全体の波形面積に対する割合(A)を求めると8.8%であった。ここで、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲で検出されるピークは、同図のようにカーボネート結合由来のピーク(図中斜線部右側に隣接した部分)およびπ−π遷移に起因するピーク(図中斜線部)に分離され、このπ−π遷移に起因するピークは、複数のピークが重なり合って存在している。面積を算出する際、これらのピークを分離する手間は大きく、時間がかかってしまうため、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲に見られる波形を波形分離せずに、一塊の面積として算出した。以上のように、ここでは、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲に見られるピークについて波形分離せずに一塊の面積として算出したが、290.3〜294eV(ピークトップ)の範囲に見られるピークが、290.3eV(ピークトップ)以下および294eV(ピークトップ)以上のピークの裾と重なる場合は、それぞれのピークを分離してから、面積を算出する必要がある。
使用する保護剤バーの製造は、以下のように行った。
(保護剤バーNo.1の製造方法)
FT115(日本精蝋製 合成ワックス)を90重量部、TOPAS-TM(チコナ社製)を10重量部、蓋付きのガラス製容器に入れ、160〜250℃に温度制御したホットスターラにより、攪拌しつつ溶融した。
予め115℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型を満たすように、攪拌溶融した上記保護剤を流し込み、木製の台の上で88℃まで放冷後、アルミ製の台の上で40℃まで冷却し、固形物を型から外し、反り防止のため重りを乗せ室温まで冷却した。
冷却後、長手方向の両端を切断し、底面を切削して7mm×8mm×310mmの保護剤バーNo.1を作成した。保護剤バーの底面に両面テープを貼り付け金属製支持体に固定した。
(保護剤バーNo.2の製造方法)
FT115(日本精蝋製 合成ワックス)を58重量部、トリステアリン酸ソルビタン(HLB:1.5)を25重量部、ノルマルパラフィン(平均分子量640)を17重量部、蓋付きのガラス製容器に入れ、180℃に温度制御したホットスターラにより、攪拌しつつ溶融した。
予め115℃に加熱した内寸法12mm×8mm×350mmのアルミニウム製の金型を満たすように、攪拌溶融した該保護剤を流し込み、木製の台の上で90℃まで放冷後、アルミ製の台の上で40℃まで冷却し、固形物を型から外し、反り防止のため重りを乗せ室温まで冷却した。
冷却後、長手方向の両端を切断し、底面を切削して7mm×8mm×310mmの保護剤バーを作成した。保護剤バーの底面に両面テープを貼り付け金属製支持体に固定した。
次に、プロセスカートリッジを用いて保護剤の塗布を40分行った。
[実験例1]
感光体、ブラシ(直径33μmのポリエステル製単繊維を1平方インチ当たり5万本静電植毛したもの)およびウレタンブレードを保護剤塗布装置に装着し、保護剤バーNo.2を4.8Nのバネ圧でブラシに押し付け、40分間感光体への保護剤塗布を行った。感光体およびブラシの線速度はそれぞれ125mm/s、146mm/sでおこなった。保護剤塗布はプロセスカートリッジで、現像装置および帯電ローラを除去した装置を用いた。
保護剤塗布後の感光体についてXPS分析を行った結果、Aは0%であった。したがって、感光体被覆率((A0−ave−A)/A0−ave×100)(%)は100%であった。
前述のようにAおよびA0−aveは、感光体表面をXPS分析した時に検出されるC1sスペクトルの波形分離により290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークのピーク面積和のC1sスペクトル全体の面積に対する割合を示し、A0−aveは保護剤塗布前、Aは保護剤塗布後の面積比率であり、A0−aveは、感光体No.6〜7の分析結果より、A0−ave=8.7%である。
図5は評価用画像パターンを模式的に示す図である。
同図は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色の1by1のハーフトーンを帯状に形成してある。
実験装置の性能評価を行うとき、同図に示す画像を原稿として多数枚のコピーを行い、コピー上の画像の画質を調べることによって、実験した項目に関する評価を行う。
次に、上記保護剤塗布装置に新しい感光体を搭載し、40分間感光体上に保護剤を塗布した後、その保護剤塗布装置に現像装置と帯電ローラをセットし、プロセスカートリッジを作製した。作製したプロセスカートリッジをIPSIO CX400(タンデム型カラー画像形成装置、リコー製)に搭載した。プロセスカートリッジでは感光体の真上に帯電ローラを配置し、感光体の線速を125mm/秒とし、感光体と帯電ローラの間に、−600Vの直流電圧に周波数1450Hz、振幅1100Vの交流電圧を重畳印加して評価を行った。
画像形成装置を用いて同図のような評価用画像パターンを1000枚出力して評価したところ、高画質な画像が得られた。続いて4000枚出力後の画像についても評価を行なった結果、高画質な画像であった。
[実験例2]
実験例1において、保護剤塗布装置のブラシに、直径39μmのポリエステル製単繊維を1平方インチ当たり5万本、静電植毛したものを用いる以外は実験例1と同様に保護剤を40分間塗布した。
保護剤塗布後の感光体についてXPS分析を行った結果、Aは0%であった。したがって、感光体被覆率((A0−ave−A)/A0−ave×100)(%)は100%であった。
次に、上記保護剤塗布装置に新しい感光体を搭載し、40分間感光体上に保護剤を塗布した後、その保護剤塗布装置に現像装置と帯電ローラをセットし、プロセスカートリッジを作製した。作製したプロセスカートリッジをIPSIO CX400(タンデム型カラー画像形成装置、リコー製)に搭載した。プロセスカートリッジでは、感光体の真上に帯電ローラを配置し、感光体の線速を125mm/秒とし、感光体と帯電ローラの間に、−600Vの直流電圧に周波数1450Hz、振幅1100Vの交流電圧を重畳印加して評価を行った。
本画像形成装置を用いて図5のような評価用画像パターンを1000枚出力して評価したところ、高画質な画像が得られた。続いて4000枚出力後の画像についても評価を行なった結果、高画質な画像であった。
[実験例3]
実験例1において、保護剤塗布装置のブラシに、直径39μmのポリエステル製単繊維を1平方インチ当たり3万本、静電植毛したものを用い、保護剤バーに保護剤バーNo.1を2Nのバネ圧でブラシに押し付ける以外は実験例1と同様に保護剤を40分間塗布した。
保護剤塗布後の感光体についてXPS分析を行った結果、Aは4.8%であった。したがって、感光体被覆率((A0−ave−A)/A0−ave×100)(%)は45%であった。
次に、上記保護剤塗布装置に新しい感光体を搭載し、40分間感光体上に保護剤を塗布した後、保護剤を塗布した感光体、ブラシ(直径39μmのポリエステル製単繊維を1平方インチ当たり5万本、静電植毛した)をプロセスカートリッジに搭載し、IPSIO CX400(タンデム型カラー画像形成装置、リコー製)を作製した。プロセスカートリッジでは、感光体の真上に帯電ローラを配置し、感光体の線速を125mm/秒とし、感光体と帯電ローラの間に、−600Vの直流電圧に周波数1450Hz、振幅1100Vの交流電圧を重畳印加して評価を行った。
本画像形成装置を用いて図5のような評価用画像パターンを1000枚出力して評価したところ、かすかなスジ状の異常画像が見られた。続いて4000枚出力後の画像についても評価を行なった結果、スジ状の異常画像が見られた。
[実験例4]
実験例1において、保護剤バーに保護剤バーNo.1を用いる以外は実験例1と同様に保護剤を塗布した。実験例1と同様に保護剤の被覆率を測定したところ100%であった。
次に、上記方法と同じ方法で保護剤を塗布した感光体を用い、保護剤バーに保護剤バーNo.1を用いる以外は実験例1と同様のプロセスカートリッジを作製し、実験例1と同様の画像形成装置に組み込んだ。
実験例1と同様の画像形成を行ったところ、5000枚出力後においても高画質の画像が得られた。
[実験例5〜9]
保護剤バーNo.1を粉砕機で粉砕し、平均粒径20μmの保護剤粉を作製した。
感光体にブレードをカウンタ方向で当接し、感光体とブレードの当接部上流側直前に上記保護剤粉を供給しながら、感光体に保護剤を塗布した。保護剤の塗布時間を変えて作製した5本の感光体上の保護剤の被覆率を実験例1と同様に測定したところ、被覆率がそれぞれ、58%、64%、72%、86%、98%であった。それぞれ実験例5〜9とする。
実験例4のプロセスカートリッジで、それぞれ上記条件で塗布した感光体を用い、ブラシに直径30ミクロンのポリエステル製単繊維を1平方インチ当たり55000本、静電植毛したブラシを用いる以外は実験例1と同様にプロセスカートリッジを作製し、画像形成装置に組み込んだ。実験例1と同様の画像形成を4000枚出力したところ、保護剤の被覆率が58%であった感光体を用いて作製したプロセスカートリッジ(実験例5)の画像には筋状の異常画像が見られた。また、保護剤の被覆率が64%であった感光体を用いて作製したプロセスカートリッジ(実験例6)の画像は、実使用上は問題ない範囲であるが、凝視すると、画像の所々スジ状の異常画像がうっすらと見られた。
一方、保護剤の被覆率が72%、86%、98%の感光体を用いて作製したプロセスカートリッジ(実験例7、8、9)の画像は、高品質な画像が得られた。
[実験例10〜14]
実験例5〜9と同じ方法で、塗布時間の異なる保護剤塗布をした感光体を5本用意した。続いて、実験例5〜9のプロセスカートリッジにおいて、帯電ローラに印加する電圧を直流電圧として、帯電直後の感光体の表面電位を−600±25Vとする以外は実験例5〜9と同様としたプロセスカートリッジを用意し、用意した5台のプロセスカートリッジに予め用意した塗布時間の異なる感光体をそれぞれ組み込み、さらにプロセスカートリッジを画像形成装置にそれぞれ組み込んだ。
実験例1と同様に画像形成を4000枚出力したところ、保護剤の被覆率が58%であった感光体を用いて作製したプロセスカートリッジ(実験例10)の画像にはスジ状の異常画像が見られた。一方、保護剤の被覆率が64%、72%、86%、98%の感光体を用いて作製したプロセスカートリッジ(実験例11、12、13、14)の画像は、高品質な画像が得られた。
[実験例15]
感光体をセラミックヒータで120℃まで温め、保護剤バーNo.1を0.5Nのバネ圧で感光体に押しつけて、保護剤バーNo.1は感光体から離し、ウレタンブレードをカウンタで当接し、感光体を30秒間、線速140mm/sで回転させた後、冷却して保護剤塗布を行った。
保護剤塗布後の感光体について実験例1と同様に被覆率を測定したところ、被覆率は95%であった。
同様の方法で保護剤を被覆した感光体を用い、実験例4とどうようのプロセスカートリッジを作製し、画像形成を4000枚行ったところ、高品質な画像が得られた。
[実験例16]
実験例4において、保護剤を塗布していない感光体を用い、保護剤にステアリン酸亜鉛バーを用いる以外は実験例15と同様にしてプロセスカートリッジを作製し、画像形成装置を作製した。図5のようなA4サイズ紙の1by1のハーフトーン画像を5枚ずつ計7500枚出力したところ、微細なスジ状の異常画像が得られた。
以上の実験結果をまとめたのが表1である。
同表において、評価結果の記号は以下の通りである。
○ 高画質である
△ 目視では確認できないが、顕微鏡で拡大すると、画質の劣化がある(実使用上は問題なし)
× 異常画像である
Figure 2008281987
本発明の保護層形成装置を用いたプロセスカートリッジ構成例を説明するための断面図である。 本発明の保護層形成装置を具備する画像形成装置の一例を示す断面図である。 本発明の実施例に用いたプロセスカートリッジの概要を示す図である。 感光体表面のXPS分析による結合エネルギの強度分布を示す図である。 実施例の評価に用いた画像パターンを示す図である。 保護剤塗布前後の感光体表面のXPS分析による結合エネルギの強度分布を表す図である。 保護剤塗布前後の感光体表面のXPS分析による結合エネルギの強度分布を表す図である。
符号の説明
1 像担持体(感光体ドラム)
2 保護層形成装置
3 帯電ローラ
4 クリーニング装置
5 現像装置
6 転写ローラ
8 潜像形成装置
21 像担持体保護剤バー
22 保護剤供給部材
23 押圧力付与機構
24 保護層形成機構
41 クリーニング部材
42 クリーニング押圧機構
51 現像ローラ
52、53 攪拌搬送スクリュウ
60 中間転写体
100 画像形成装置
200 給紙機構
L 露光光束

Claims (5)

  1. ポリカーボネートを含有した最表面上に保護剤を塗布した感光体と、該感光体を一様に帯電させる帯電手段と、外部からの露光により前記感光体表面に形成される潜像を少なくともトナーを含有する現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被転写体に転写後の前記感光体表面の残留トナーを除去するクリーニング手段と、前記感光体に保護剤を塗布する塗布手段とを有するプロセスカートリッジであって、
    保護剤塗布前の前記感光体をXPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合A(%)が3%以上検出される感光体であって、前記保護剤がパラフィンを主成分とし、該保護剤を塗布後の感光体をXPS分析したときに検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合をA(%)としたとき、
    ((A−A)/A×100)(%)
    が60%以上である感光体を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  2. 請求項1に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記保護剤は、XPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合が1%以下であるような保護剤を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  3. 請求項1または2に記載のプロセスカートリッジにおいて、前記保護剤を前記感光体に塗布する手段は、ブラシを用いることを特徴とし、該ブラシは金属製の芯金上に直径が28〜42μmの単繊維を1平方インチ当たり5万〜60万本、静電植毛したことを特徴と
    するプロセスカートリッジ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つに記載のプロセスカートリッジにおいて、前記帯電手段は、帯電ローラに、直流電圧を重畳した交流電圧を印加することにより前記感光体を帯電する手段であることを特徴とし、保護剤塗布前の前記感光体をXPS分析した時に検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合A(%)が3%以上検出される感光体であって、前記保護剤がパラフィンを主成分とし、該保護剤を塗布後の感光体をXPS分析したときに検出されるC1sスペクトルに関し、炭素の相異なる結合状態から生ずる波形を結合エネルギに応じて波形分離することにより得られるピークについて、290.3〜294eVの範囲にピークトップを有するピークの面積の和(総面積)の前記C1sスペクトル全体の面積に対する割合をA(%)としたとき、
    ((A−A)/A×100)(%)
    が70%以上である感光体を用いたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一つに記載のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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