JP2008274567A - 円形鋼管プレハブ橋及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】所定間隔をあけて地盤に打設された複数本の杭からなる橋脚と、各橋脚の上端部に固定された橋脚上部材と、隣り合う橋脚間に架設された床版とからなり、前記床版は、互いに平行に配置されて一体化された複数本の円形鋼管からなるとともに、該円形鋼管の表面はコンクリートにより被覆されていることを特徴とする円形鋼管プレハブ橋とする。
【選択図】図4
Description
しかし、コンクリート床版橋は、自重が大きいために、施工時に大型の重機が必要となり、また床版を支える下部工を大きくする必要があるため、施工コストが増大するという問題があった。
一方、合成床版橋は、コンクリート床版橋に比べて自重が小さいというメリットがあるが、床版の製作過程において多くの溶接が必要となるため、疲労強度(耐久性)や加工コストの面で問題があった。
この特許文献1に記載の発明は、橋軸方向に伸長する角形鋼管を橋軸直角方向に複数本平行に配設し、前記角形鋼管の側面に開口部を設け、該開口部に鋼管、棒鋼、鉄筋などの棒状部材を挿通して橋軸直角方向にせん断キーを構成し、前記角形鋼管相互を締結して床版を構成したものである。
先ず、角形鋼管の表面がコンクリートにより被覆されずに露出している構造であるために、防食処理を施したとしても充分な耐候性を得ることは困難であり、保守管理のための手間やコストがかかるという問題があった。
また、コンクリートは角形鋼管の長さ方向の一部分にのみ充填されているため、強度が充分には得られず、短スパンの施工に限定されるという問題があった。
また、床版を吊り上げて橋脚へと固定する作業には手間がかかり、施工性が悪いという問題があった。
更に、せん断キーにより多数本の角形鋼管を接続して床版全体を一体化しているため、コンクリート床版よりは軽量であるといえども全体として重量がある程度大きくなることは避けられず、施工時においては比較的大型の重機を必要とするという問題があった。
前記鋼管ユニット準備工程において準備される鋼管ユニットが、複数本の円形鋼管が箱体に収容されることなくコンクリートにより被覆されている鋼管ユニットからなることを特徴とする請求項5記載の円形鋼管プレハブ橋の施工方法に関する。
また、橋桁ユニットを吊り上げて接続していくことができるため、橋下の交通を遮断することなく工事を進めることが可能となり、工期の短縮及び施工コストの低減を図ることができる。また、山間部等の狭隘な地域においても施工することができる。
更に、鋼管ユニットの一端部近傍の下部に橋脚上部材を固定して橋桁ユニットを製作することにより、予め橋脚の一部をなす橋脚上部材と鋼管ユニットが一体化される。そのため、従来に比べて床版を橋脚へと固定する作業が容易となり施工期間を短縮することができる。
しかも、円形鋼管の表面をコンクリートにより被覆することによって、優れた耐候性を有するものとなり、メンテナンスに要する手間や費用を大幅に削減することができる。また、円形鋼管の強度が外部からコンクリートにより補強されるため、重量を大きく増加させることなく強度を高めることができ、比較的長いスパンにも対応することができるようになる。
図1は本発明に係る円形鋼管プレハブ橋の一部を示す平面図、図2は正面図、図3は図2の要部拡大断面図、図4は側面図、図5は図4の要部拡大断面図である。
橋脚上部材(2)には、上下方向に延びる貫通孔(4)が幅方向に間隔をあけて2つ形成されており、これらの貫通孔(4)には杭(1)の上端部が挿入されている。
H形鋼(5)は、幅方向において、右部分と中央部分と左部分の3つのパーツからなる。これら3つのパーツは連結一体化されており、中央部分のパーツの下部には長さ方向(幅方向と直角方向)に延びるH形鋼が一体化されており、右部分と左部分のパーツの下部には杭(1)の上端部を塞ぐ蓋(6)が一体化されている。尚、後述するように、3つのパーツのうち、中央部分のみが施工開始前に予め橋脚上部材(2)に組み込まれており、残りの左右部分は施工の途中工程において蓋(6)と共に橋脚上部材(2)に組み込まれる。
複数本の円形鋼管(7)は、図6に示す如く、複数の箱体(8)の内部に数本ずつ分けて収容されている。図示例では、9本の円形鋼管(7)が3つの箱体(8)の内部に3本ずつ分けて収容された状態が示されている。
尚、全ての円形鋼管(7)は、後で説明するように、外管(71)と内管(72)とから構成されているが、図示の都合上、図6では内管(72)を1本のみ示している。
箱体(8)の他の箱体と対面する側面には段部(19)が形成されており、3つの箱体(3)は段部同士が噛み合うように配置されている。このような段部を設けることにより、3つの箱体(8)を簡単に精度よく位置決めして設置することが可能となる。
但し、本発明においては、1つの床版(3)を構成する複数本の円形鋼管(7)を1つの箱体(8)に収容する構成を採用することもできる。
以下、複数本の円形鋼管(7)を収容した箱体(8)を鋼管ユニット(10)と称す。
また、並設された3つの鋼管ユニット(10)は、幅方向を横断するようにボルト付きワイヤ(16)を挿通して両端にナットを締め付けることにより一体化されている(図1参照)。
コンクリートとしては、普通コンクリートを使用してもよいが、軽量化のために発泡コンクリートや軽量コンクリートが好適に使用される。
以下、本明細書において、箱体(8)を用いない鋼管ユニットを鋼管ユニット(20)と称する。
このような鋼管ユニット(20)は、工場において、型枠内に複数本の円形鋼管(7)を平行に並べて収容して、型枠内にコンクリートを流し込んで固めた後、型枠からコンクリートと一体化された複数本の円形鋼管を取り出すことにより製作される。
製作された鋼管ユニット(20)の外形形状は、鋼管ユニット(10)と同じとなる。
コンクリートとしては、普通コンクリートを使用してもよいが、軽量化のために発泡コンクリートや軽量コンクリートが好適に使用される。
この場合、複数の鋼管ユニット(20)は、鋼管ユニット(10)を使用する場合と同様に、橋脚上部材(2)の上面に並設されて一体化される。
この実施形態では、隣り合う3つの鋼管ユニットが、ボルトとナットを用いて連結されている。
具体的には、中央の鋼管ユニットの一方の側面(左側面)に段部が形成されており、該段部の下段上面からボルト(18)が上向きに突出するように固定されている。そして、他方の側面(右側面)にはボルト(18)を挿通することが可能な円筒(19)が固定されており、円筒(19)の下面は前記段部の下段上面と略同じ高さになっている。
また、右の鋼管ユニットの一方の側面(左側面)には段部が形成されており、該段部の下段上面からボルト(18)が上向きに突出するように固定されている。更に、左の鋼管ユニットの他方の側面(右側面)にはボルト(18)を挿通することが可能な円筒(19)が固定されており、円筒(19)の下面は前記段部の下段上面と略同じ高さになっている。
各鋼管ユニットの鋼管(7)はコンクリート(9)により被覆されており、鋼管(7)の上部及び下部には鉄筋(22)が鋼管と直交する方向に配設されている。
この実施形態の鋼管ユニットは、図6に示すような鋼管(7)が箱体(8)に収容されたものとしてもよいし、図7に示すような鋼管(7)が箱体に収容されていないものとしてもよい。
外管(71)の一端部と他端部のうち、他端部に内管(72)の一部が挿入されている。具体的には、内管(72)は、その長さ方向の半分程度が外管(71)の他端部に挿入されており、残りの半分程度が外管(71)の他端部から突出している。
これにより、鋼管ユニット(10)(20)において、外管(71)はコンクリートにより被覆されているが、内管(72)は被覆されていない状態にある(図6及び図7参照)。
また、鋼管ユニット(10)(20)と橋脚上部材(2)とは、アンカーボルト(11)により一体化されている。
先ず、互いに平行に配置されて一体化された複数本(3本)の円形鋼管(7)からなる鋼管ユニット(10)(鋼管ユニット(20)でもよい。以下、施工方法の説明において同じ。)を工場にて製作して準備する(鋼管ユニット準備工程)。
このとき、円形鋼管(7)に、後工程で行われるPC鋼線引っ張りのためのブラケット(12)及びゴムシューを取り付けておく。
このとき、1つの床版を構成する複数(3つ)の鋼管ユニットのうち、中央の1つの鋼管ユニットのみを橋脚上部材(2)に固定する。
このとき、クレーンにより吊り上げられた橋桁ユニット(30)の接続対象となる既設橋桁ユニット(30’)の橋脚上部材(2)には、床版(3)を構成する全て(3つ)の鋼管ユニット(10)が設置固定された状態にある。そして、橋桁ユニット(30)は既設橋桁ユニット(30’)の中央にある1つの鋼管ユニット(3本の円形鋼管からなる)と接続される。
先ず、橋桁ユニット(30)をクレーンにより吊り下げた状態で移動させ(図10参照)、その円形鋼管の他端部から突出した内管を、既設橋桁ユニット(30’)の円形鋼管の外管の一端部に所定位置まで差し込む。次いで、両方の橋桁ユニットに夫々設けられたブラケット(12)の間にワイヤー(PC鋼線等)(13)を張架して該ワイヤー(13)に張力を加える(図11参照)。これにより、橋桁ユニット(30)は既に杭(1)に固定されている既設橋桁ユニット(30’)の方向に引っ張られ、確実に精度良く位置決め固定される。
具体的には、橋脚上部材(2)の貫通孔上部にエアー駆動ロータリーテーブルマシーン(14)とダウンザホールハンマー(15)を設置し、ダウンザホールハンマーにて削孔を行った後、根固めモルタルを打設し、杭(1)を橋脚上部材(2)の貫通孔を通して地盤(岩盤又は支持層まで)に打ち込む(図12参照)。
具体的には、杭(1)の余分な上端部を切断した後、杭(1)の上端部を塞ぐように蓋(6)を被せてボルトにより固定する(図3及び図5参照)。そして、ワイヤー(13)を引っ張ってブラケット(12)を取り外す。(図13参照)
蓋(6)には、上述したように、H形鋼(5)の右部分又は左部分のパーツが予め一定化されており、蓋(6)を杭(1)の上端部に固定することによってH形鋼(5)の右部分及び左部分のパーツも同時に固定される。そして、これらH形鋼(5)の左右部分のパーツは、予め橋脚上部材(2)に組み込まれている中央部分のH形鋼(5)とボルト等を用いて接続され、3つのパーツの上面が略面一とされる。(図3及び図5参照)
それから、3つの鋼管ユニット(10)を幅方向に横断貫通するように、ボルト付きワイヤ(16)を挿通して両端にナットを締め付けることにより、3つの鋼管ユニット(10)を一体化する(図1参照)。尚、図8に示した鋼管ユニットを使用する場合には、隣り合う鋼管ユニットをボルト(18)とナット(21)を用いて相互に連結することができるので、ボルト付きワイヤ(16)を挿通する作業が不要となり、鋼管にボルト付きワイヤ挿通用の孔を設ける必要もなくなる。
尚、箱体(8)が無い鋼管ユニット(20)を用いる場合には、予め円形鋼管(7)の表面がコンクリートにより覆われている、つまりコンクリート被覆工程が鋼管ユニット準備工程で行われているため、ここでのコンクリートの充填作業は不要である。
その後、必要に応じて、防水処理、排水処理、継目処理、勾配を含む表面処理を行い、高欄を取り付けることにより、所要の円形鋼管プレハブ橋を得ることができる。
図16は円形鋼管プレハブ橋の施工完了状態の一例を示す外観図であり、山間地を屈曲しながら延びる道路において、低地部分の道路と高地部分の道路とを短絡して接続するように円形鋼管プレハブ橋を施工した様子を示している。
2 橋脚上部材
3 床版(橋桁)
7 円形鋼管
8 箱体
9 コンクリート
10 鋼管ユニット
20 鋼管ユニット
13 ワイヤー(PC鋼線)
30 橋桁ユニット
30’ 既設橋桁ユニット
Claims (10)
- 所定間隔をあけて地盤に打設された複数本の杭からなる橋脚と、
各橋脚の上端部に固定された橋脚上部材と、
隣り合う橋脚間に架設された床版とからなり、
前記床版は、互いに平行に配置されて一体化された複数本の円形鋼管からなるとともに、該円形鋼管の表面はコンクリートにより被覆されていることを特徴とする円形鋼管プレハブ橋。 - 前記複数本の円形鋼管は箱体の内部に収容されており、該箱体の内部に前記コンクリートが充填されていることを特徴とする請求項1記載の円形鋼管プレハブ橋。
- 前記複数本の円形鋼管は複数の箱体に分けて収容されており、該複数の箱体が一体化されていることを特徴とする請求項2記載の円形鋼管プレハブ橋。
- 前記複数本の円形鋼管は箱体に収容されることなくコンクリートにより被覆されていることを特徴とする請求項1記載の円形鋼管プレハブ橋。
- 互いに平行に配置されて一体化された複数本の円形鋼管からなる鋼管ユニットを準備する鋼管ユニット準備工程と、
該鋼管ユニットの一端部近傍の下部に、橋脚となる杭を挿通するための貫通孔を有する橋脚上部材を固定して橋桁ユニットを製作する橋桁ユニット製作工程と、
該橋桁ユニットを吊り上げて、その他端部を、地盤に打設された杭の上端部に設置固定されている既設の橋桁ユニットの一端部に接続する橋桁ユニット接続工程と、
該接続された橋桁ユニットの橋脚上部材の貫通孔に杭を挿通して地盤に打設する杭打設工程と、
該打設された杭と該杭が挿通された橋脚上部材とを固定する橋桁ユニット固定工程と、
前記円形鋼管の表面をコンクリートにより被覆するコンクリート被覆工程とを備えていることを特徴とする円形鋼管プレハブ橋の施工方法。 - 前記鋼管ユニット準備工程において準備される鋼管ユニットが、互いに平行に配置された複数本の円形鋼管が箱体内部に収容されてなる鋼管ユニットからなり、
前記コンクリート被覆工程が、前記橋桁ユニット固定工程において固定された橋桁ユニットに含まれる鋼管ユニットの箱体内部にコンクリートを充填して固化することにより行われることを特徴とする請求項5記載の円形鋼管プレハブ橋の施工方法。 - 前記鋼管ユニット準備工程において準備される鋼管ユニットが、互いに平行に配置された複数本の円形鋼管が複数の箱体内部に分けて収容されてなる複数の鋼管ユニットからなることを特徴とする請求項6記載の円形鋼管プレハブ橋の施工方法。
- 前記コンクリート被覆工程が、前記鋼管ユニット準備工程において、複数本の円形鋼管を型枠内部に収容してコンクリートを充填して固化させた後、該型枠からコンクリートと一体化された複数本の円形鋼管を取り出すことにより行われ、
前記鋼管ユニット準備工程において準備される鋼管ユニットが、複数本の円形鋼管が箱体に収容されることなくコンクリートにより被覆されている鋼管ユニットからなることを特徴とする請求項5記載の円形鋼管プレハブ橋の施工方法。 - 前記橋桁ユニット接続工程が、
既設の橋桁ユニットの一端部に、吊り上げられた他の橋桁ユニットの他端部を差し込む段階と、
前記既設の橋桁ユニットと他の橋桁ユニットとをワイヤーで連結し、該ワイヤーに張力を加える段階とを備えていることを特徴とする請求項5記載の円形鋼管プレハブ橋の施工方法。 - 前記鋼管ユニットを構成する鋼管の一端部に、該鋼管よりも小径の鋼管が突出しており、
前記橋桁ユニット接続工程において、既設の橋桁ユニットの鋼管の一端部に、吊り上げられた他の橋桁ユニットの他端部に突出した小径の鋼管を差し込むことを特徴とする請求項5記載の円形鋼管プレハブ橋の施工方法。
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