JP2008264812A - サブマージアーク溶接用開先充填材 - Google Patents

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Abstract

【課題】サブマージアーク溶接用開先充填材において、鋼製被溶接物の開先を片面溶接、両面一層溶接などの大入熱溶接によってサブマージアーク溶接するに際し、570MPa級、610MPa級などの490MPa級を超える高張力鋼板からなる被溶接物に適用可能で、耐高温割れ性、強度及び靭性の良好な溶接金属(溶接部)が得られるサブマージアーク溶接用開先充填材を提供すること。
【解決手段】細径鋼素線を細かく裁断してなるサブマージアーク溶接用開先充填材において、質量%で、C:0.02〜0.12%、Mn:1.40〜2.20%、Mo:0.20〜0.65%、Cu:0.03〜0.40%を含有し、Ni:0.30%以下、Cr:0.30%以下、Al:0.10%以下、N:0.010%以下、P:0.025%以下、S:0.025%以下に各々規制したサブマージアーク溶接用開先充填材である。
【選択図】なし

Description

鋼製被溶接物の開先を片面溶接、両面一層溶接などの大入熱溶接によってサブマージアーク溶接するに際し、主に高い溶着効率を得ることを目的として、細径鋼素線を細かく裁断してなる開先充填材を開先内に所定高さ充填し、この状態で通常のサブマージアーク溶接を行う施工法が採用されている。本発明は、490MPa級を超える高張力鋼板からなる被溶接物のサブマージアーク溶接に適用可能なサブマージアーク溶接用開先充填材に関するものである。
近年、造船、鉄骨、橋梁などの大型鋼構造物の製作分野において、軽量化と高性能化を両立させるため、強度の高い鋼材である高張力鋼の使用が増えつつある。これを強度クラスで言い換えれば、従来は軟鋼〜HT490鋼板(引張強さ490MPa級鋼板)クラスであり、増加傾向にある高張力鋼は、HT570鋼板(570MPa級鋼板)やHT610鋼板(610MPa級鋼板)クラスである。これらの490MPa級を超える高張力鋼板が用いられることに伴って、主に板継溶接で採用されるサブマージアーク溶接(SAW)では、片面溶接、両面一層溶接等の大入熱溶接に対応可能な溶接材料が要求される。
一般的に、サブマージアーク溶接における高張力鋼用溶接材料は、合金成分の添加によって優れた引張特性を得ているが、その際、添加成分による溶接金属の靭性及び耐割れ性の低下が問題となる。また、サブマージアーク溶接において大入熱施工(大入熱溶接)を行う際には、高い溶着効率(溶着量増加)及び溶込み深さの制御のために、細径鋼素線を所定長さに細かく裁断してなり、断面が円形をなし、カットワイヤとも呼ばれている開先充填材が必要となる場合が多い。
従来、サブマージアーク溶接用開先充填材については、強度クラスでは490MPa級鋼板からなる被溶接物のサブマージアーク溶接に用いられるものが限界であり、これを超える強度に対応するものが開発されていなかった。その開発にあたり、成分系として合金成分を添加すれば、得られる溶接金属(溶接部)の強度を満足できるようにすることは比較的容易であるが、前述したように、成分添加による耐割れ性の悪化のうち、耐高温割れ性の悪化の問題を解決する必要があった。
従来、サブマージアーク溶接用の開先充填材として、特開平9−94690号公報には、Cu及び油で覆われており、また、その直径及び長さを適切にすることで、アークスタート材及び開先充填材として使用できることに加え、C偏析による高温割れ、発錆による水素割れ及びブローホール等の溶接欠陥を防止できるようにした溶接用カットワイヤが提案されている。この溶接用カットワイヤは、カットワイヤ素線を覆うようにCu被着層が形成されており、さらに油が塗布されたものであって、その直径Dが0.6乃至2.0mm、長手方向の長さLが0.5乃至2Dmmであり、前記Cu被着層のCu被着量が0.03%以上(対カットワイヤ全重量)、前記油の油分量が5〜200ppm(対カットワイヤ全重量)であるものである。
しかしながら、この特開平9−94690号公報に開示された溶接用カットワイヤは、溶接用カットワイヤの化学成分として、必要に応じてMo、Ni、Cr、Cu、Nb及びV等が添加されたものであってもよいとの記載があるものの、570MPa級、610MPa級などの490MPa級を超える高張力鋼板からなる被溶接物への適用については、検討がなされていないものであった。
また、特開2000−271788号公報には、低温用鋼の簡易片面サブマージアーク溶接において、低温靭性に優れた溶接部とともに良好な溶接作業性が得られる開先充填材が提案されている。この簡易片面サブマージアーク溶接用開先充填材は、C、Si、Mn、Ni、Al、P、S及びNを含む鋼粒であって、かさ比重が4〜6であるものである。
しかしながら、この特開2000−271788号公報に開示されたサブマージアーク溶接用の開先充填材は、LPG船等で使用される低温用鋼からなる被溶接物へ適用されるものであり、低温靭性に主眼を置いた成分設計となっており、490MPa級を超える高張力鋼板からなる被溶接物への適用については、検討がなされていないものであった。
特開平9−94690号公報 特開2000−271788号公報
そこで、本発明の課題は、サブマージアーク溶接用開先充填材において、鋼製被溶接物の開先を片面溶接、両面一層溶接などの大入熱溶接によってサブマージアーク溶接するに際し、570MPa級、610MPa級などの490MPa級を超える高張力鋼板からなる被溶接物に適用可能で、耐高温割れ性、強度及び靭性の良好な溶接金属(溶接部)が得られるサブマージアーク溶接用開先充填材を提供することにある。
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
請求項1の発明は、細径鋼素線を細かく裁断してなるサブマージアーク溶接用開先充填材において、質量%で、C:0.02〜0.12%、Mn:1.40〜2.20%、Mo:0.20〜0.65%、Cu:0.03〜0.40%を含有し、Ni:0.30%以下、Cr:0.30%以下、Al:0.10%以下、N:0.010%以下、P:0.025%以下、S:0.025%以下に各々規制したことを特徴とするサブマージアーク溶接用開先充填材である。
請求項2の発明は、請求項1記載のサブマージアーク溶接用開先充填材において、さらに、Si:1.00%以下、Ti:0.30%以下を含有することを特徴とするものである。
請求項3の発明は、請求項1又は2記載のサブマージアーク溶接用開先充填材において、直径が1.4mm以下、長さが0.5〜2.0mmであることを特徴とするものである。
本発明のサブマージアーク溶接用開先充填材は、Ni含有量を抑制することで良好な耐高温割れ性を確保するとともに、焼入れ性を向上させるMoの添加によってNi含有量の抑制による靭性の低下を補い、良好な靭性を確保するようにしている。これにより、鋼製被溶接物の開先を片面溶接、両面一層溶接などの大入熱溶接によってサブマージアーク溶接するに際し、570MPa級、610MPa級などの490MPa級を超える高張力鋼板からなる被溶接物に適用可能で、耐高温割れ性、強度及び靭性の良好な溶接金属(溶接部)を得ることができ、よって、造船、鉄骨、橋梁などの大型鋼製溶接構造物における高張力鋼の導入による軽量化と高性能化に寄与することができる。
以下、本発明によるサブマージアーク溶接用開先充填材について、詳しく説明する。
サブマージアーク溶接用開先充填材において、低温用鋼を対象とする前記従来技術(特開2000−271788号公報)では、C、Mn及びNiの添加により靱性の良好な溶接部が得られるようにしていた。しかし、490MPa級を超える高張力鋼板を対象とする場合、良好な強度の溶接金属(溶接部)を得るためには前記のC、Mn及びNiという成分系だけでは限界がある。また、サブマージアーク溶接のなかでも片面溶接、両面一層溶接等の溶着量の大きい大入熱の溶接では、溶接金属凝固時の柱状晶の会合部等で高温割れが発生しやすく、特に、母材希釈が大きく、溶接部断面形状が梨型形状となる単層溶接(片面溶接、両面一層溶接の第1パス)では高温割れの発生の傾向が著しい。
そこで、本発明者らは、種々の検討を重ねた結果、開先充填材の成分系として、(1)Niの添加を抑制すること、(2)Niの抑制による低温靱性の低下を補い良好な靭性を確保するため、Moを添加すること、を見出し、本発明をなしたものである。
すなわち、Niは、一般的に低温靱性を向上させるために添加され、A変態点温度を低下させ、フェライト地のマトリックスの強化を図る作用を有する一方、その変態温度の低下により耐高温割れ性が低下するという欠点を有している。そこで、検討を重ねた結果、Ni含有量を抑制することで良好な耐高温割れ性を確保するとともに、焼入れ性を向上させるMoの添加によってNi含有量の抑制による靭性の低下を補い、良好な靭性を確保できることを見出した。また、このMoは、Niに比べて溶接金属の強度を高める作用が強いものである。このように、前記の(1)及び(2)により、鋼製被溶接物の開先を片面溶接、両面一層溶接などの大入熱溶接によってサブマージアーク溶接するに際し、570MPa級、610MPa級などの490MPa級を超える高張力鋼板からなる被溶接物に適用可能で、耐高温割れ性、強度及び靭性の良好な溶接金属を得ることができる。
次に、本発明のサブマージアーク溶接用開先充填材の成分組成限定理由について説明する。
[C:0.02〜0.12質量%]Cは溶接金属の強度を確保するために必要な成分である一方、含有量が高くなり過ぎると高温割れが発生する懸念がある。Cの含有量が0.02質量%未満では溶接金属の強度が確保できず、0.12質量%を超えると高温割れと低温割れの感受性が高くなる。したがって、Cの含有量は0.02〜0.12質量%とする。
[Mn:1.40〜2.20質量%]Mnは溶接金属の強度を高めるとともに、焼入れ性を確保し、靱性も高める効果を有する。Mnの含有量が1.40質量%未満ではこのような効果が発揮されず、逆に、2.20質量%を超えると焼入れ性が過大となり、靭性が低下する。したがって、Mnの含有量は1.40〜2.20質量%とする。
[Mo:0.20〜0.65質量%]Moは変態温度を低下させ焼入れ性を向上させるのに有効な成分である。Moの含有量が0.20質量%未満ではこの効果が発揮されず、溶接金属の強度が確保できない。一方、Moの含有量が0.65質量%を超えると焼き戻し脆化を起こすMo炭化物が析出し、溶接金属を硬化させ溶接金属の靭性が低下する。したがって、Moの含有量は0.20〜0.65質量%とする。
[Cu:0.03〜0.40質量%]Cuは耐錆性のために開先充填材の鋼素線に被着させることで開先内充填材の通電性を高める効果を有する。Cuの含有量が0.03質量%以下ではこのような効果が発揮されず、0.40質量%を超えると耐高温割れ性が低下する。したがって、Cuの含有量は0.03〜0.40質量%とする。
[Ni:0.30質量%以下]Niは一般的には溶接金属中に固溶しマトリックスの強化作用(靭性向上)を有する成分である。しかしながら、本発明においては、Moの添加によりマトリックスの強化作用を実現している。Niの添加はA3変態点温度の低下により固液共存域を増加させ、結果として耐高温割れ性が低下する。Niの含有量が0.30質量%を超えると耐高温割れ性が低下する。したがって、Niの含有量は0.30質量%以下に規制する。
[Cr:0.30質量%以下]Crは焼き入れ性を確保して引張特性を確保する作用を有する成分である。しかしながら、本発明においては、Moの添加により溶接金属の強度を確保しているため、Crの添加は好ましくない。Crの含有量が0.30質量%を超えると、溶接金属の強度が高くなりすぎ耐低温割れ性が低下し、靱性も低下する。したがって、Crの含有量は0.30質量%以下に規制する。
[Al:0.10質量%以下]Alは溶接金属の酸素量を低下させる脱酸効果を有する成分である。しかしながら、本発明においては、Alは溶接金属中に酸化物として残存し、脱酸効果を失うとともに靱性を低下させてしまう。したがって、Alの含有量は0.10質量%以下に規制する。
[N:0.010質量%以下]Nは不可避的不純物であり、溶接金属中で固溶Nとして内部歪みの増加を起こし、靱性を低下させる。したがって、Nの含有量は0.010質量%以下に規制する。
[P:0.025質量%以下、S:0.025質量%以下]PとSはともに不可避不純物であり、溶接金属中で固液共存域の領域を拡大させ、粒界に偏析しやく、そのため、耐高温割れ性及び靱性を低下させる。したがって、Pの含有量は0.025質量%以下に規制し、Sの含有量は0.025質量%以下に規制する。
また、用いられるフラックスの種類によっては、サブマージアーク溶接用開先充填材に含有されるSi、Tiの含有量を次のように規制することが望ましい。
[Si:1.00質量%以下]Siは脱酸元素として有用であるとともに、溶接金属の強度を向上させる効果がある。しかし、この効果はフラックスに含まれるSiOにより実現している。ただし、SiOの含有量が低いフラックスを用いた場合(SiO:15質量%以下)、この強度向上効果が不足するため、開先充填材からSiを供給するようにしてもよい。この場合、Siの含有量が1.00質量%を超えると、溶接金属の靱性が劣化しやすく、また、強度が高くなり過ぎ、耐低温割れ性が低下しやすい。したがって、Siの含有量は1.00質量%以下が好ましい。
[Ti:0.30質量%以下]Tiは脱酸元素として有用であるとともに、Ti酸化物もしくは窒化物によってアシキュラフェライトの生成核となり溶接金属の靭性向上に有効な元素である。このようなTiの靭性向上効果はフラックスに含まれるTiOにより補っている。ただし、TiOの含有量が低いフラックスを用いた場合(TiO:10質量%以下)、この効果が不足するため、開先内充填材からTiを供給するようにしてもよい。この場合、Tiの含有量が0.30質量%を超えると、過剰添加により固溶Tiが過剰となり溶接金属の靭性が低下しやすいとともに、溶接金属の強度が高くなり耐低温割れ性が低下しやすい。したがって、Tiの含有量は0.30質量%以下が好ましい。
次に、本発明のサブマージアーク溶接用開先充填材の寸法について説明する。細径鋼素線を細かく裁断してなるサブマージアーク溶接用開先充填材を用いる場合、良好なアークスタート性及びアーク安定性を確保するためには、被溶接物の開先内に開先充填材を密な状態で所定高さ(所定量)充填可能なことが必要である。そのため、開先充填材の直径が1.4mmを超えると、また、開先充填材の長さが2.0mmを超えると、密な充填状態が得られず、アークスタート性が劣るとともに、溶接中のアークが不安定となりやすい。また、開先充填材の長さが0.5mm未満では逆に過剰に密な充填状態となって溶接中のガス抜けが悪くなりやすく、さらに、屋外の現場において開先充填材がその散布時に風で飛散しやすい。したがって、サブマージアーク溶接用開先充填材の寸法は、直径が1.4mm以下、長さが0.5〜2.0mmであることがよい。
次に、本発明の実施例について説明する。供試鋼板(JIS G3106 SM570)は板厚20mmの570MPa級高張力鋼であって、その化学成分を表1に示す。また、表2は供試ワイヤ(JIS Z3351 YS−M4)の化学成分を示す。供試フラックスは2種類(記号Aと記号B)のボンドフラックス(JIS Z3352 FS−BT1)を用い、それらの化学成分を表3に示す。表4はサブマージアーク溶接による開先充填材を用いた片面溶接の開先形状及び溶接条件を示す。V型開先の開先角度は50°、ルートギャップは2mm、開先充填材の散布高さ(充填高さ)は15mmとした。表5及び表6は開先充填材の化学成分と寸法を示し、表7は試験結果を示す。なお、表5及び表6には溶接試験に使用した前記供試フラックスの種類も示してある。
サブマージアーク溶接による片面溶接は、鋼板裏面に裏当て材(固形フラックス、ガラステープ有)を取り付け、開先内に開先充填材を散布し、先行極(L極)と後行極(T極)による2電極一層盛りにて行った。表4に示すように、先行極は、ワイヤ径4.8mm、ワイヤ突出し長さ35mmであり、後行極は、ワイヤ径6.4mm、ワイヤ突出し長さ45mmであり、電極間距離は70mmである。そして、溶接開始時(アークスタート時)に、開先内に開先充填材を散布した状態でのアークスタート性の評価を行い、溶接後に、放射線透過試験により高温割れの有無を確認し、溶接金属の引張試験とシャルピー衝撃試験(試験片サイズ及び試験方法はJIS Z3111に準拠)を行った。なお、試験片は鋼板裏面より板厚方向における14mmの位置から採取した。
前記シャルピー衝撃試験は−20℃で試験を行った。引張強さの値と、−20℃におけるシャルピー吸収エネルギー値(衝撃値)とは、各3本の試験片の平均値とした。
Figure 2008264812
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表7に示す通り、実施例No.1〜実施例No.12は、耐高温割れ性、機械的性能(引張強さ及び靭性)、及びアークスタート性ともに良好であった。
実施例No.13は、用いられたフラックス(表3の記号B)中のSiO量が表3の記号Aのものに比べて高く、開先充填材のSi量が本発明の推奨する上限値を超えているため引張強さがやや高いものの、総合的には合格と判定できるものであった。実施例No.14は、用いられたフラックス(表3の記号B)中のTiO量が表3の記号Aのものに比べて高く、開先充填材のTi量が本発明の推奨する上限値を超えているため引張強さがやや高く、靭性がやや低いものであるものの、総合的には合格と判定できるものであった。実施例No15及び実施例No.17は、直径、あるいは長さ寸法が本発明の推奨する範囲よりはずれているためアークスタート性がやや劣っていたものの、総合的には合格と判定できるものであった。実施例No16は、長さ寸法が本発明の推奨する範囲よりはずれているので、溶接中のガス抜けがやや悪く、作業性がやや劣っていたものの、総合的には合格と判定できるものであった。
一方、比較例No.18は、C量が本発明で規定する成分範囲より低いため、引張強さが低い値を示し不足していた。比較例No.19は、C量が本発明で規定する規定範囲より高いため、溶接金属に高温割れが発生した。そのため、比較例No.19では、機械試験(引張試験及びシャルピー衝撃試験)を実施しなかった。
比較例No.20は、Mn量が本発明で規定する範囲より低いため、焼入れ性が確保できず引張強さが不足し、また、靭性が低いものであった。比較例No.21は、Mn量が本発明で規定する範囲より高いため、引張強さが高くなりすぎ、また、靱性が大幅に低いものであった。
比較例No.22は、P量が本発明で規定する上限値より高いため、溶接金属に高温割れが発生した。そのため、比較例No.22では、機械試験を実施しなかった。比較例No.23は、S量が本発明で規定する上限値より高いため、溶接金属に高温割れが発生した。そのため、比較例No.23では、機械試験を実施しなかった。
比較例No.24は、Cu量が本発明で規定する範囲より低いため、アークスタート性が不良であり試験に供する溶接金属が満足に得られなかったため、放射線透過試験及び機械試験を実施しなかった。比較例No.25は、Cu量が本発明で規定する範囲より高いため、溶接金属に高温割れが発生した。そのため、比較例No.25では、機械試験を実施しなかった。
比較例No.26は、Ni量が本発明で規定する上限値より高いため、溶接金属に高温割れが発生した。そのため、比較例No.26では、機械試験を実施しなかった。比較例No.27は、Cr量が本発明で規定する上限値より高いため、引張強さが高くなりすぎ、靱性も大幅に低いものであった。
比較例No.28は、Mo量が本発明で規定する範囲より低いため、焼入れ性の効果が不足し、溶接金属の引張強さが低い値を示し不足していた。比較例No.29は、Mo量が本発明で規定する範囲より高いため、引張強さが大幅に高くなり過ぎ、靭性が大幅に低いものであった。
比較例No.30は、Al量が本発明で規定する上限値より高いため、溶接金属の靭性が大幅に低いものであった。比較例No.31は、N量が本発明で規定する上限値より高いため、靭性が大幅に低いものであった。
このように、本実施例のサブマージアーク溶接用開先充填材によると、鋼製被溶接物の開先を片面溶接という溶着量の大きい大入熱の溶接によってサブマージアーク溶接するに際し、従来の490MPa級鋼板とは違って、490MPa級を超える570MPa級高張力鋼板からなる被溶接物に適用が可能であり、良好なアークスタート性を備えるとともに、耐高温割れ性、強度及び靭性の良好な溶接金属(溶接部)を得ることができた。なお、本発明によるサブマージアーク溶接用開先充填材は、溶接ワイヤとフラックスの選定により、軟鋼、490MPa級鋼板にも適用可能であり、さらに、低温用鋼にも適用可能である。

Claims (3)

  1. 細径鋼素線を細かく裁断してなるサブマージアーク溶接用開先充填材において、質量%で、C:0.02〜0.12%、Mn:1.40〜2.20%、Mo:0.20〜0.65%、Cu:0.03〜0.40%を含有し、Ni:0.30%以下、Cr:0.30%以下、Al:0.10%以下、N:0.010%以下、P:0.025%以下、S:0.025%以下に各々規制したことを特徴とするサブマージアーク溶接用開先充填材。
  2. さらに、Si:1.00%以下、Ti:0.30%以下を含有することを特徴とする請求項1記載のサブマージアーク溶接用開先充填材。
  3. 直径が1.4mm以下、長さが0.5〜2.0mmであることを特徴とする請求項1又は2記載のサブマージアーク溶接用開先充填材。
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