JP2008260740A - 殺菌作用および止血作用を有する電解水組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】殺菌或いは消毒する際に使用することができ、しかも止血作用も有し、この殺菌作用および止血作用の持続性が長時間にわたって発揮される電解水組成物を提供する。他の目的は、口腔内で使用した場合には、歯を脱灰または侵蝕することなく口腔内を殺菌或いは消毒することができ、しかも口腔内に発生した出血を止血でき、この殺菌作用および止血作用の持続性が長時間にわたって発揮される電解水組成物を提供する。
【解決手段】塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水と、植物性多糖類とを含有する電解水組成物について、前記電解水組成物中における前記植物性多糖類の比率を0.10〜2.5質量%とし、有効塩素濃度を15ppm以上、且つpHを5.0〜8.5とすればよい。
【選択図】なし
【解決手段】塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水と、植物性多糖類とを含有する電解水組成物について、前記電解水組成物中における前記植物性多糖類の比率を0.10〜2.5質量%とし、有効塩素濃度を15ppm以上、且つpHを5.0〜8.5とすればよい。
【選択図】なし
Description
本発明は、殺菌或いは消毒に用いられる電解水組成物に関するものである。
有隔膜の電気分解槽でナトリウムイオンや塩素イオンを含有する水を電気分解すると、陽極側には酸性電解水が生成され、陰極側にはアルカリ性電解水が生成される。特に、酸性電解水には、殺菌作用があり、殺菌剤として用いられる。一方、アルカリ性電解水には、脱脂作用があり、タンパク質や油脂による汚れ等を落とす脱脂剤として用いられる。こうした電解水の用途を拡大すべく、種々の技術が既に提案されている。
例えば、特許文献1には、pHが2.7以下の酸性電解水に結合剤を加えてその粘度を高くした電解水組成物が記載されており、この電解水組成物は皮膚ひきしめ化粧料や殺菌剤として使用できることが記載されている。
しかし特許文献1に記載されている電解水組成物は、pHが2.7以下の強酸性電解水を用いているため、敏感肌の人や皮膚が弱い局部や創傷部位に対しては、刺激が強く使用に適さないという問題があった。また、電解水組成物が強酸性になると、歯に対して脱灰作用や侵蝕作用が生じるため、特に口腔内での使用には適していない。しかも酸臭が強くなると、使用者に不快感を与えてしまうため、この点でも口腔内での使用には適していない。
ところで、無隔膜の電気分解槽で水を電気分解して得られる電解水の用途を拡大するための技術についても既に提案されている。例えば、特許文献2には、塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加した塩酸添加水を無隔膜電解槽で電気分解し、得られたpHが5.6〜6.8の範囲である中性付近の電解水を皮膚疾患治療剤として使用することが記載されている。この方法によれば、実質的にNaイオンを含有しないため残留する食塩に起因する痛み等の苦痛を低減できる旨記載されている。しかし特許文献2では、原料として劇物に指定されている塩酸を用いているため、製造設備等を腐食する恐れがあり、また安全性にも問題がある。
一方、本出願人らは、殺菌性が高い次亜塩素酸溶液をpHが中性付近の安定した状態で得ることができ、且つ残存NaCl等の含有量を大幅に低減できる方法として、殺菌性を有する中性付近の電解水を製造する方法および装置を先に提案している。例えば、特許文献3には、金属塩化物(例えば、塩化ナトリウムなど)の水溶液を無隔膜電解槽で電気分解し、生成した電解液を更に隔膜電解槽の陽極側に導入すると共に、該隔膜電解槽の陰極側には金属塩化物水溶液(例えば、塩化ナトリウム水溶液など)を導入し、これを電気分解することを提案している。
また、特許文献4には、塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウム水溶液を隔膜電解法と無隔膜電解法を組み合わせて電解水を製造する技術を提案している。
特開平7−277994号公報
特開平11−209292号公報
特開2000−226680号公報
特開2005−125276号公報
本発明は、中性付近の電解水の用途を更に拡大、発展させることを目指して成されたものであり、具体的には、殺菌或いは消毒する際に使用することができ、しかも止血作用も有し、この殺菌作用および止血作用の持続性が長時間にわたって発揮される電解水組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、本発明の電解水組成物を口腔内で使用した場合には、歯を脱灰することなく口腔内を殺菌或いは消毒することができ、しかも口腔内に発生した出血を止血でき、この殺菌作用および止血作用の持続性が長時間にわたって発揮される電解水組成物を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明に係る殺菌作用および止血作用を有する電解水組成物とは、塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水と、植物性多糖類とを含有する電解水組成物であって、前記電解水組成物中における前記植物性多糖類の比率が0.10〜2.5%(質量%の意味。以下同じ。)であり、有効塩素濃度が15ppm(質量基準。以下同じ。)以上、且つpHが5.0〜8.5である点に要旨を有する。
前記植物性多糖類としては、例えば、寒天、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガムおよびローカストビーンガムよりなる群から選択される少なくとも1種を含有することができる、前記電解水としては、pHが5.0〜8.5の電解水を用いるのがよい。
本発明によれば、塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水(例えば、pH5.0〜8.5の電解水)と、適量の植物性多糖類を配合した電解水組成物のpHと、該電解水組成物に含まれる有効塩素濃度を適切な範囲に調整しているため、患部を殺菌或いは消毒でき、しかも出血を止血する作用も有している。特に、本発明の電解水組成物は、原料として用いる電解水よりも粘度が高いため、形状保持性に優れており、殺菌力の持続性が高められるほか、出血部分(患部)に長時間留まって殺菌作用や止血作用を発揮する。こうした本発明の電解水組成物を口腔内で使用しても、本発明の電解水組成物は歯を脱灰する作用を有していないため、歯を脱灰することなく、口腔内を殺菌或いは消毒でき、口腔内に発生した出血を止血できる。
本発明の電解水組成物は、患部の殺菌或いは消毒に用いることができ、しかも患部に長時間留まって出血を確実に止血できる電解水組成物を提供すべく検討を重ねてきた。その結果、塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水(例えば、pH5.0〜8.5の電解水)と、植物性多糖類を配合されていると共に、電解水組成物全体に占める前記植物性多糖類量が0.10〜2.5%で、且つ電解水組成物のpHが5.0〜8.5、有効塩素濃度が15ppm以上であればよい。
電解水に所定量の植物性多糖類を配合することで、電解水組成物の形態をゲル状またはジェル状にできるため、該電解水組成物を患部に塗布しても電解水組成物の形状を長時間保持でき(以下、形状保持性ということがある)、患部に殺菌作用および止血作用を長時間にわたって発揮させることができる。即ち、電解水を含有するが、植物性多糖類を含有しない電解水組成物では、流動性が高いため、患部に滞留する時間が非常に短く、患部を完治させるには当該電解水組成物を複数回塗布しなければならない。これに対し、本発明のように、植物性多糖類を所定量配合して電解水組成物の形態をゲル状またはジェル状にすることで、当該電解水組成物を患部に長時間滞留させることができ、殺菌作用や止血作用を長時間にわたって効果的に発揮させることができる。また、患部に長時間滞留することで、新たな細菌の混入による感染も防止できる。
また、電解水組成物に含まれる殺菌力のある有効塩素は、タンパク質と接触すると殺菌作用が消失するが、電解水組成物の形態をゲル状またはジェル状とすることで、電解水組成物の流動性が低下して、有効塩素がタンパク質と接触するのを妨げることができる。その結果、殺菌作用や止血作用を持続的に発揮させることができる。
上記のように、本発明の電解水組成物は、形状保持性に優れており、例えば、ゲル状(固体状)またはジェル状(半液体、半固体状)として存在している。本発明において、ゲル状とは、ゲル強度が50g/cm2以上の状態を意味する。ゲル強度の上限は特に限定されないが、ゲル強度が大きくなり過ぎると、患部に塗布し難くなるので、上限は1000g/cm2程度とするのがよい。
ゲル強度は、例えば、日寒水式の方法で測定できる。即ち、植物性多糖類を含む水溶液を調製し、20℃で15時間放置し、凝固させたゲルについて、その表面1cm2当たり20秒間耐え得る最大重量(g)をゲル強度とする。
本発明において、ジェル状とは、ゲル状ほどの強度はないが、無応力下ではほとんど流動せずその形状を保持できる半液体、半固体状を意味し、粘度が1Pa・s以上である半液体、半固体状を指す。粘度の上限は特に限定されないが、粘度が大きくなり過ぎると、患部に塗布し難くなるので、上限は1000Pa・s程度とするのがよい。なお、ジェルの粘度は、例えば、B型回転粘度計を用いて測定できる。
本発明では、上記電解水と植物性多糖類を配合することが重要であるが、電解水組成物全体に占める前記植物性多糖類量(乾燥質量)は0.10〜2.5%に調整する。植物性多糖類を配合することで、電解水組成物の粘度を高めることができ、形状保持性が良くなり、本発明の電解水組成物を患部に長時間留めることができる。その結果、後述するように、止血作用が長時間にわたって発揮され、患部の出血を確実に止血できる。
上記電解水組成物に占める上記植物性多糖類の配合量(乾燥質量)が、0.10%を下回ると、電解水組成物の粘度が低くなり過ぎるため、ジェル状にならず、流動性が高くなり過ぎる。そのため電解水組成物の形状保持性が悪くなり、患部に長時間留まらせることができない。また、本発明の電解水組成物をチューブ等に充填して、押し出しつつ患部に供給しようとしても、粘度が低過ぎるため、液だれ等を起こし、作業性が悪くなる。従って配合量は0.10%以上とし、好ましくは0.2%以上である。しかし配合量が2.5%を超えると、ゲル強度が大きくなり過ぎて患部へ塗布し難くなる。従って配合量は2.5%以下とし、好ましくは2%以下、より好ましくは1.8%以下、特に1.0%以下とする。
本発明に用いられる植物性多糖類としては、植物由来の多糖類または多糖類を含有する物質であり、本発明の電解水組成物による殺菌作用や止血作用等を阻害せずに増粘作用やゲル化作用を有するものが挙げられる。植物性多糖類の種類は特に限定されないが、例えば、寒天、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガムおよびローカストビーンガム、ペクチンなどを挙げることができる。但し、ペクチンは、主として強酸性領域でその増粘作用が発揮されるため、本発明のようにpHが5.0〜8.5の範囲では粘度向上作用は有効に発揮され難いが、粘度が低いジェルタイプの電解水組成物を製造する際には用いることができる。
上記植物性多糖類は、任意に選ばれる1種もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記植物性多糖類としては、特に好ましくは、寒天を用いるのがよい。寒天は、増粘剤やゲル化剤としての他、食品としても広く普及しており、安価である。また、寒天は、少量の使用で電解水組成物のゲル強度を高めることができる。即ち、本発明のように中性付近の電解水を用いれば、少量の使用でも電解水組成物のゲル強度を充分に高めることができ、形状保持性を確保できる。但し、電解水としてpHが5.0を下回る酸性領域の電解水を用いると、ゲル強度を高めるために多量の寒天を含有させる必要があるし、時間が経つに連れてゲル強度が徐々に低下して形状保持性が悪くなる。
なお、本発明では、動物由来のゲル化剤(例えば、ゼラチンなど)は用いない。ゼラチンも一般にゲル化剤として用いられるが、ゼラチンはタンパク質であるため、電解水組成物に含まれる有効塩素を分解してしまい、殺菌作用が低下する。
本発明の電解水組成物の形態を調整するには、上記植物性多糖類の配合量を調整する代わりに、電解水組成物に水を配合し、この水の量を調整して行ってもよい。
本発明の電解水組成物は、有効塩素濃度を15ppm以上とする。有効塩素濃度を15ppm以上とすることで、殺菌作用が発揮され、特に、本発明の電解水組成物を口腔内で使用すると、う蝕原生細菌(ミュータンス菌)を死滅させることができる。
有効塩素濃度とは、殺菌作用のある塩素(例えば、次亜塩素酸)が含まれている割合を意味し、この有効塩素濃度が15ppmを下回ると、殺菌作用が著しく低下する。従って電解水組成物の有効塩素濃度は、15ppm以上とし、好ましくは25ppm以上、より好ましくは30ppm以上、特に好ましくは40ppm以上とする。殺菌作用を高める観点からすれば、有効塩素濃度はできるだけ高い方が好ましいが、有効塩素濃度が高くなり過ぎると、塩素臭が強くなり、患者に不快感を与えることがある。従って電解水組成物の有効塩素濃度は、1000ppm以下とし、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下、特に好ましくは400ppm以下とする。なお、電解水組成物の有効塩素濃度は、市販されている塩素計(残留塩素計)などを用いて測定すればよい。
更に、本発明の電解水組成物では、有効塩素濃度を15ppm以上に調整したうえで、電解水組成物のpHを5.0〜8.5に調整することで、長期間保存した後でも良好な殺菌作用および止血作用を示すようになる。止血作用が発揮される機構は不明であるが、電解水組成物の有効塩素濃度とpHの両方が適切な範囲に調整されているため、該電解水組成物を患部に塗布したときに、毛細血管や周辺組織を収縮させて止血作用を促すことを本出願人らは確認している。
但し、電解水組成物のpHが5.0を下回るか、pHが8.5を超えると、殺菌力を有する次亜塩素酸水溶液が安定した状態で存在しないため、殺菌作用が低下したり、長期間保存した後の殺菌作用が低下する。また、止血作用も劣化する。また、特に、電解水組成物のpHが5.0を下回り、強酸性になると、本発明の電解水組成物を口腔内で使用したときに、歯の脱灰が促進されたり、歯への侵蝕作用が強くなる。即ち、歯の脱灰や侵蝕は、口腔内に発生する酸が原因であることが知られており、pHが低く、強酸性になると、歯からカルシウムイオンやリン酸イオンが溶け出して歯のエナメル質が白化し、う歯(虫歯)に進展することがある。しかし電解水組成物のpHが上記範囲に調整されていれば、歯からのカルシウムイオンやリン酸イオンの溶出を抑えることができ、歯が脱灰されたり、侵蝕される恐れはない。従って電解水組成物のpHは、5.0以上とし、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上とする。また、pHは8.5以下とし、好ましくは8.0未満とする。
上記電解水組成物のpHは、原料として用いる電解水のpHにほぼ依存するが、該電解水に配合する植物性多糖類の種類にも影響を受ける。そこで電解水組成物のpHを上記範囲に調整するには、電解水のpHを調整したり、複数種類の植物性多糖類を配合したり、市販されているpH調整剤を配合すればよい。pH調整剤としては、例えば、炭酸ナトリウムなどの弱アルカリ性を示す添加物や、酢酸などの弱酸性を示す添加物が挙げられる。
本発明の電解水組成物を製造するには、原料として塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水を用いればよく、特に、pHが5.0〜8.5の電解水を用いるのが好ましい。塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解することで、有効塩素を含有する電解水を容易に得ることができ、特に、pHが5.0〜8.5の電解水を原料として用いることで、最終的に得られる電解水組成物のpHを5.0〜8.5の範囲に容易に調整できる。
上記電解水の有効塩素濃度は、15ppm以上とすることが好ましい。最終的に得られる電解水組成物の有効塩素濃度を15ppm以上に調整しやすくするためである。
また、電解水に残留する塩化ナトリウム濃度は、0.2%(2000ppm)程度以下であればよい。食塩の濃縮に起因する痛み等の苦痛を低減するためである。
また、上記電解水の酸化還元電位は、例えば、600〜1000mV程度であることが好ましい。
原料として用いる電解水のpHや有効塩素濃度、残留塩化ナトリウム濃度、酸化還元電位は、最終的に得られる上記電解水組成物の用途に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは、pHは6.0以上、8.0未満、有効塩素濃度は30ppm以上、0.06%未満、残留塩化ナトリウム濃度は0.1%(1000ppm)以下、酸化還元電位は700〜900mVであるのがよい。
塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水は、例えば、上記特許文献3や特許文献4に開示した技術によって製造することができる。即ち、塩化ナトリウム含有水溶液を無隔膜電解槽で電気分解し、生成した電解液を更に隔膜電解槽の陽極側に導入すると共に、該隔膜電解槽の陰極側に、塩化ナトリウム含有水溶液を導入し、これを電気分解すれば、陽極側にpHが5.0〜8.5の電解水を生成させることができる。また、無隔膜電解して得られた電解水を隔膜電解して得られた電解水と、例えば、無隔膜電解して得られた電解水や、隔膜電解して得られた電解水を混合してもよい。なお、詳細は、上記特許文献3や特許文献4に記載した方法を参照すればよい。
塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水と、上記植物性多糖類を配合するにあたっては、これらを直接配合し、必要に応じて更に水を加えることによって植物性多糖類の含有量を調整してもよいし、或いは予め植物性多糖類を水に分散させて植物性多糖類含有水溶液とし、この水溶液と上記電解水とを混合し、必要に応じて更に水を加えることによって植物性多糖類の含有量を調整してもよい。また、必要に応じて、pH調整剤を添加してもよい。本発明において、水としては、イオン交換水を用いることが好ましい。
本発明の電解水組成物は、上記電解水と植物性多糖類の他に、種々の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、香料や補助機能剤などを配合してもよい。
補助機能剤としては、特に、歯の脱灰を防止するために、カルシウムやヒドロキシアパタイト、キシリトールなどを配合してもよい。特に、植物性多糖類として、アルギン酸やカラギーナンを用いる場合は、カルシウムを併用することが推奨される。アルギン酸やカラギーナンのカルシウム塩は、血液に触れるとカルシウムを放出して止血作用を一段と向上させることができるからである。
本発明の電解水組成物は、外科臨床における術後処理や創傷処理、或いは口腔内に発生した出血を止血する際に用いることができ、医療現場のみならず、一般家庭内でも使用することができる。口腔内では、例えば、抜歯窩等の洗浄や、根管治療等への適用、或いは口腔内に発生した擦過傷の治療等への適用が可能となる。特に本発明の電解水組成物は植物性多糖類を配合することで粘度が高められているため、患部に長時間留まり、殺菌作用および止血作用が長時間にわたって継続して発揮される。また、本発明の電解水組成物のpHは中性付近に調整されているため、歯を脱灰したり、歯を侵蝕する作用を有していないため、口腔内での使用に非常に適している。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
下記の手順で電解水と多糖類含有水溶液を夫々調製し、これらを混合して供試材を調製した。
<電解水の調製>
[電解水1]
無隔膜電解槽に、塩化ナトリウムを5%含む水溶液を流速10ml/分で供給しつつ、電流を3Aとして無隔膜電解を行ない、pHが11で、有効塩素濃度が4500ppmのアルカリ性電解水を得た。得られたアルカリ性電解水を、引続き、有隔膜電解槽の陽極側へ流速10ml/分で供給し、一方、陰極側には上記5%塩化ナトリウム水溶液を流速10ml/分で供給して電流を3Aとして隔膜電解を行った。その結果、陽極側から、pHが5.2で、有効塩素濃度が9000ppmの電解水を得た。
[電解水1]
無隔膜電解槽に、塩化ナトリウムを5%含む水溶液を流速10ml/分で供給しつつ、電流を3Aとして無隔膜電解を行ない、pHが11で、有効塩素濃度が4500ppmのアルカリ性電解水を得た。得られたアルカリ性電解水を、引続き、有隔膜電解槽の陽極側へ流速10ml/分で供給し、一方、陰極側には上記5%塩化ナトリウム水溶液を流速10ml/分で供給して電流を3Aとして隔膜電解を行った。その結果、陽極側から、pHが5.2で、有効塩素濃度が9000ppmの電解水を得た。
陽極側から流速10ml/分で得られた電解水に、流速3L/分でイオン交換水を供給して希釈し、pHが6.5で有効塩素濃度が500ppmの希釈電解水を得た。得られた希釈電解水を「電解水1」とする。得られた希釈電解水(電解水1)の残留塩化ナトリウム濃度は1200ppmであり、酸化還元電位は800mVであった。
[電解水2]
無隔膜電解槽に、塩化ナトリウムを5%含む水溶液を流速10ml/分で供給しつつ、電流を4Aとして無隔膜電解を行ない、pHが13で、有効塩素濃度が8000ppmのアルカリ性電解水を得た。得られたアルカリ性電解水を、引続き、有隔膜電解槽の陽極側へ流速10ml/分で供給し、一方、陰極側には上記5%塩化ナトリウム水溶液を流速10ml/分で供給して電流を4Aとして隔膜電解を行った。その結果、陽極側から、pHが4.1で、有効塩素濃度が16000ppmの電解水aを得た。
無隔膜電解槽に、塩化ナトリウムを5%含む水溶液を流速10ml/分で供給しつつ、電流を4Aとして無隔膜電解を行ない、pHが13で、有効塩素濃度が8000ppmのアルカリ性電解水を得た。得られたアルカリ性電解水を、引続き、有隔膜電解槽の陽極側へ流速10ml/分で供給し、一方、陰極側には上記5%塩化ナトリウム水溶液を流速10ml/分で供給して電流を4Aとして隔膜電解を行った。その結果、陽極側から、pHが4.1で、有効塩素濃度が16000ppmの電解水aを得た。
一方、無隔膜電解槽に、塩化ナトリウムを5%含む水溶液を流速15ml/分で供給しつつ、電流を10Aとして無隔膜電解を行ない、pHが13で、有効塩素濃度が14000ppmのアルカリ性電解水bを得た。
陽極側から流速10ml/分で得られた電解水aと、上記無隔膜電解槽から流速15ml/分で得られたアルカリ性電解水bを混合すると共に、この混合液に、更に流速3L/分でイオン交換水を供給して希釈し、pHが8.0で有効塩素濃度が500ppmの希釈電解水を得た。得られた希釈電解水を「電解水2」とする。得られた希釈電解水(電解水2)の残留塩化ナトリウム濃度は300ppmであり、酸化還元電位は750mVであった。
[強酸性電解水]
有隔膜電解槽の陽極側と陰極側に、塩化ナトリウムを0.05%含む水溶液を流速1500ml/分で供給しつつ、電流を5Aとして隔膜電解を行った。その結果、陽極側から、pHが2.3で、有効塩素濃度が100ppmの電解水を得た。得られた電解水を「強酸性電解水」とする。得られた強酸性電解水の残留塩化ナトリウム濃度は350ppmであり、酸化還元電位は1100mVであった。
有隔膜電解槽の陽極側と陰極側に、塩化ナトリウムを0.05%含む水溶液を流速1500ml/分で供給しつつ、電流を5Aとして隔膜電解を行った。その結果、陽極側から、pHが2.3で、有効塩素濃度が100ppmの電解水を得た。得られた電解水を「強酸性電解水」とする。得られた強酸性電解水の残留塩化ナトリウム濃度は350ppmであり、酸化還元電位は1100mVであった。
<多糖類含有水溶液の調製>
植物性多糖類として、寒天、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガムを用い、動物性多糖類として、ゼラチンを用い、多糖類を含有する水溶液を下記手順で調製した。
植物性多糖類として、寒天、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガムを用い、動物性多糖類として、ゼラチンを用い、多糖類を含有する水溶液を下記手順で調製した。
[寒天含有水溶液]
食品用粉寒天(株式会社朝日製の粉寒天)を水と混合し、これを加熱して溶解し、寒天を1%含有する水溶液を調製した。
食品用粉寒天(株式会社朝日製の粉寒天)を水と混合し、これを加熱して溶解し、寒天を1%含有する水溶液を調製した。
[アルギン酸含有水溶液]
食品用アルギン酸ソーダ(株式会社紀文フードケミファ製の「ダッグアルギン(商品名)」)を水と混合し、これを加熱して溶解し、アルギン酸を3%含有する水溶液を調製した。
食品用アルギン酸ソーダ(株式会社紀文フードケミファ製の「ダッグアルギン(商品名)」)を水と混合し、これを加熱して溶解し、アルギン酸を3%含有する水溶液を調製した。
[カラギーナン含有水溶液]
食品用カラギーナン(ユニテックフーズ株式会社製の「SATIAGEL(商品名)」)を水と混合し、80℃に加熱して溶解させ、カラギーナンを1%含有する水溶液を調製した。
食品用カラギーナン(ユニテックフーズ株式会社製の「SATIAGEL(商品名)」)を水と混合し、80℃に加熱して溶解させ、カラギーナンを1%含有する水溶液を調製した。
[キサンタンガム含有水溶液]
食品用キサンタンガム(ユニテックフーズ株式会社製の「SATIAXANE(商品名)」)を水と混合して溶解させ、キサンタンガムを2%含有する水溶液を調製した。
食品用キサンタンガム(ユニテックフーズ株式会社製の「SATIAXANE(商品名)」)を水と混合して溶解させ、キサンタンガムを2%含有する水溶液を調製した。
[ローカストビーンガム含有水溶液]
食品用ローカストビーンガム(三晶株式会社製の「ゲニューガム(商品名)」)を水と混合し、これを加熱して溶解させ、ローカストビーンガムを2%含有する水溶液を調整した。
食品用ローカストビーンガム(三晶株式会社製の「ゲニューガム(商品名)」)を水と混合し、これを加熱して溶解させ、ローカストビーンガムを2%含有する水溶液を調整した。
[グアーガム含有水溶液]
食品用グアーガム(ユニテックフーズ株式会社製の「VIDOGUMGHK(商品名)」)を水と混合して溶解させ、グアーガムを2%含有する水溶液を調製した。
食品用グアーガム(ユニテックフーズ株式会社製の「VIDOGUMGHK(商品名)」)を水と混合して溶解させ、グアーガムを2%含有する水溶液を調製した。
[ゼラチン含有水溶液]
食品用ゼラチン(ユニテックフーズ株式会社製の「ゼラチンPS(商品名)」)を水と混合して溶解させ、ゼラチンを1%含有する水溶液を調製した。
食品用ゼラチン(ユニテックフーズ株式会社製の「ゼラチンPS(商品名)」)を水と混合して溶解させ、ゼラチンを1%含有する水溶液を調製した。
<供試材の調製>
上記電解水と、上記多糖類含有水溶液と、必要に応じて水と、必要に応じて添加剤(第2リン酸カルシウム)を、質量基準で、下記表1に示す割合で混合して供試材を調製した。
上記電解水と、上記多糖類含有水溶液と、必要に応じて水と、必要に応じて添加剤(第2リン酸カルシウム)を、質量基準で、下記表1に示す割合で混合して供試材を調製した。
なお、多糖類含有水溶液として、寒天含有水溶液、カラギーナン含有水溶液、ローカストビーンガム含有水溶液を用いた場合は、該水溶液の温度が60℃を下回らないうちに電解水や水と混合してから室温まで冷却して供試材を調製した。
また、下記表1のNo.10については、電解水2とアルギン酸水溶液を混合する際に、補助機能剤として第2リン酸カルシウムを添加し、これらの混合作業を10分以内に行なって供試材を調製した。
下記表1のNo.14とNo.15については、上記強酸性電解水50gを50℃に加熱した後、この電解水を、90℃に加熱した上記寒天含有水溶液50gに攪拌しながら添加し、これを室温まで冷却して供試材を調製した。
得られた供試材に占める多糖類の配合量(濃度)と供試材に含まれる有効塩素濃度を下記表1に示す。多糖類の濃度は、乾燥重量で算出した。有効塩素濃度は、市販されている残留塩素計を用いて測定した。
得られた供試材について、形状保持性、殺菌作用、殺菌作用の持続性、止血作用を下記手順で夫々評価した。また、得られた供試材を口腔内で使用することを想定して、歯に対する脱灰・侵蝕性についても下記手順で評価した。
[形状保持性]
各供試材について、ゲル状のものは供試材のゲル強度を、ジェル状のものは供試材の粘度を夫々測定した。供試材のゲル強度と粘度は、供試材を調製した後、2時間以内に測定した。ゲル強度は、上述した日寒水式の方法で測定し、粘度は、B型回転粘度計を用いて測定した。測定結果を下記表2に示す。
各供試材について、ゲル状のものは供試材のゲル強度を、ジェル状のものは供試材の粘度を夫々測定した。供試材のゲル強度と粘度は、供試材を調製した後、2時間以内に測定した。ゲル強度は、上述した日寒水式の方法で測定し、粘度は、B型回転粘度計を用いて測定した。測定結果を下記表2に示す。
供試材の形状保持性は、チューブに詰めた供試材をガラス板の上に内径5mmφの口から1cmほど押し出したものを、37℃の恒温槽に入れ、30分間静置し、30分経過後の形状変化を観察して評価した。
30分経過しても、液成分がほとんど浸み出しておらず、形状が何ら変化していないか、液成分は多少浸み出しているものの形状がほぼ変化していない場合を合格(○)とし、形状が保持されていない場合を不合格(×)として評価した。評価結果を下記表2に示す。
[殺菌作用の評価]
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus 209P)を培養液(BHI;ブレイン・ハート・インフュージョン・ブロス培地)中で、37℃、24時間培養し、遠心分離して集菌した後、BHIに分散させて1.0×108個/mlの濃度に調整した。この菌液0.1mlに、供試材9.9mlを混合して3分間静置した。静置後、1mlを採取し、普通寒天培地(日水製薬製)と混釈後、37℃、24時間培養した。培養後、培地上のコロニー数から、処理後に残存する生菌数を算出した。生菌数を下記表2に示す。生菌数が103個未満のものを殺菌作用有りとして合格(○)と評価し、103個以上のものを殺菌作用無しとして不合格(×)と評価した。
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus 209P)を培養液(BHI;ブレイン・ハート・インフュージョン・ブロス培地)中で、37℃、24時間培養し、遠心分離して集菌した後、BHIに分散させて1.0×108個/mlの濃度に調整した。この菌液0.1mlに、供試材9.9mlを混合して3分間静置した。静置後、1mlを採取し、普通寒天培地(日水製薬製)と混釈後、37℃、24時間培養した。培養後、培地上のコロニー数から、処理後に残存する生菌数を算出した。生菌数を下記表2に示す。生菌数が103個未満のものを殺菌作用有りとして合格(○)と評価し、103個以上のものを殺菌作用無しとして不合格(×)と評価した。
[殺菌作用の持続性]
各供試材を、空気に触れない状態で室温で5日間遮光密閉保存した後、上記[殺菌作用の評価]の項で示した手順で殺菌作用を評価した。
各供試材を、空気に触れない状態で室温で5日間遮光密閉保存した後、上記[殺菌作用の評価]の項で示した手順で殺菌作用を評価した。
生菌数を下記表2に示す。生菌数が103個未満のものを殺菌作用の持続性有りとして合格(○)と評価し、103個以上のものを殺菌作用の持続性無しとして不合格(×)と評価した。
[止血作用の評価]
5週齢のICR系SPFマウス(体重約30g)を用い、以下のようにして止血作用を評価した。
5週齢のICR系SPFマウス(体重約30g)を用い、以下のようにして止血作用を評価した。
まず、実験開始前1週間は、マウスを室温の恒温室で明暗条件を12時間ずつとして飼育し、飼育中は同じ餌と水を自由に与えた。次に、マウスに全身麻酔を施し、尾尖端から10mmの位置をかみそりで切断し、切断創を含む尾を、供試材を入れたシャーレに垂直に差し込み、30秒保持した。シャーレには、供試材が厚さ10mmとなるように充填されており、切断創を含む尾をシャーレの底まで差し込んだ。
30秒保持後、尾をシャーレから引き上げた後、切断創から出血した血液を30秒ごとにろ紙で吸い取った。血液を吸い取る際には、切断創に付着している供試材が可能な限りろ紙に付着しないように慎重に行なった。血液の吸い取りは、ろ紙に血液が付着しなくなるまで続け、血液が付着しなくなるまでに要した時間を測定した。実験に使用したマウスは、各供試材について5匹ずつとした。
なお、参考実験として、尾尖端を切断した後、何もせず、そのまま放置したときに止血するまでに要する時間を上記手順で同様に測定した。その結果、止血までに6分±1.5分かかった。
また、参考実験として、シャーレに止血剤として知られているボスミン(商品名;第一工業製薬製)液を入れて同様の実験を行なった。その結果、止血までに1.5分±0.5分かかった。
[歯に対する脱灰・侵蝕性の評価]
表1の供試材No.7(本発明例)と供試材No.14(比較例)を用い、以下の手順で脱灰・侵蝕性試験を行った。
表1の供試材No.7(本発明例)と供試材No.14(比較例)を用い、以下の手順で脱灰・侵蝕性試験を行った。
6週齢のddy系雄性マウスから下顎骨ごと歯を摘出し、正中線から左右に分け、右側の下顎骨を供試材No.7またはNo.14を50g充填した100ccの蓋付きガラス容器に入れ、軽く攪拌し、浸漬した後30秒振盪脱泡し、37℃の恒温槽で保持した。2日、5日、7日目毎に下顎骨を取り出し、歯の形態を走査型電子顕微鏡で観察した。下顎骨を取り出したときには、ガラス容器内に充填した供試材を新しいものに交換した。一方、左側の下顎骨は、比較対象として、寒天を0.5%含有する水溶液(ジェル)に浸漬し、上記手順で脱灰・侵蝕性試験を行った。
下記表1において、空欄は添加していないことを意味し、下記表2において、空欄は実験を行なっていないことを意味する。
表1と表2から次のように考察できる。No.1〜10は、本発明で規定する要件を満足する例であり、全ての特性について優れている。特に、表2から明らかなように、本発明で規定する要件を満足する供試材(No.1〜5,No.7〜10)を用いた場合は、尾尖端を切断した後、何もせず、そのまま放置した場合(止血までにかかる時間は、6分±1.5分)と比べて止血作用が良好に発揮されていることが分かる。また、本発明の供試材の止血作用は、止血剤として知られているボスミン液と同程度であることが分かる。
また、供試材No.7に浸漬した下顎骨の歯は、7日経過しても形態に変化が全く認められなかった。
一方、No.11〜15は、本発明で規定するいずれかの要件を満たさない例であり、いずれかの特性が劣っている。
No.11は、供試材に占める植物性多糖類の配合量が本発明で規定する範囲より少ないため、形状保持性が悪い。No.12は、供試材の有効塩素濃度が本発明で規定する範囲より低いため、殺菌作用が悪い。No.13は、動物性多糖類を用いた例であり、供試材に含まれる有効塩素がタンパク質によって分解されたため、殺菌作用が発揮されていない。No.14とNo.15は、強酸性電解水を用いた例であり、殺菌作用が持続されないか、形状保持性が悪くなっている。
また、特に表2から明らかなように、No.11〜14は、本発明の供試材よりも止血までに時間がかかり、止血作用が劣っていることが分かる。
供試材No.14に浸漬した下顎骨の歯は、2日経過後には歯の表層のエナメル質に脱灰が認められ、7日経過後には、歯の形態をとどめない程に侵蝕が観察された。
Claims (4)
- 塩化ナトリウム含有水溶液を電気分解して得られる電解水と、植物性多糖類とを含有する電解水組成物であって、前記電解水組成物中における前記植物性多糖類の比率が0.10〜2.5%(質量%の意味。以下同じ。)であり、有効塩素濃度が15ppm以上、且つpHが5.0〜8.5であることを特徴とする殺菌作用および止血作用を有する電解水組成物。
- 前記植物性多糖類として、寒天、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、グアーガムおよびローカストビーンガムよりなる群から選択される少なくとも1種を含有するものである請求項1に記載の電解水組成物。
- 前記電解水として、pHが5.0〜8.5の電解水を用いる請求項1または2に記載の電解水組成物。
- 前記電解水組成物は、歯への脱灰作用を有していないものである請求項1〜3のいずれかに記載の電解水組成物。
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