JP2001269393A - 殺菌作用を有する生理食塩水、これを利用した洗浄消毒水、及びそれらの製造方法 - Google Patents

殺菌作用を有する生理食塩水、これを利用した洗浄消毒水、及びそれらの製造方法

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JP2001269393A
JP2001269393A JP2000085304A JP2000085304A JP2001269393A JP 2001269393 A JP2001269393 A JP 2001269393A JP 2000085304 A JP2000085304 A JP 2000085304A JP 2000085304 A JP2000085304 A JP 2000085304A JP 2001269393 A JP2001269393 A JP 2001269393A
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physiological saline
sodium chloride
hydrochloric acid
electrolyzed
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Mamoru Tomita
守 冨田
Makoto Kato
良 加藤
Kiyoshi Suzuki
潔 鈴木
Toyohiko Doi
豊彦 土井
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 それ自体が殺菌作用を有し、消毒用として広
範に利用できるとともに、人体に安全に適用することが
でき、医療行為に好適な生理食塩水を提供する。 【解決手段】 実質的に塩化ナトリウムを含有しない塩
酸水溶液を電解した電解水に所定量の塩化ナトリウムを
溶解してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、殺菌作用を有する
生理食塩水、これを使用した各種の洗浄消毒水、及びそ
の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、化学的
殺菌剤を含有せず、人体にとって安全で、かつ殺菌作用
を有する生理食塩水、及びこれを利用する各種の洗浄消
毒水、並びに殺菌作用を有する生理食塩水を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、医療、歯科医療等の分野において
は、生理食塩水が多用されている。一般に、生理食塩水
は、塩化ナトリウム9gを蒸留水に溶解し、全量を10
00ml(0.9重量%)として調製されており、「生
理食塩液」、「等張食塩液」等とも呼ばれている。この
ような生理食塩水は、まれに生理学の実験に使用される
こともあるが、この場合は、塩化ナトリウムの濃度は
0.9重量%に限られることはなく、使用目的に応じて
調整される。
【0003】通常の生理食塩水は、瓶、プラスチック容
器等に充填された市販品が利用されている。このような
生理食塩水には、無菌の状態で使用される例もある。例
えば、生理食塩水をソフトコンタクトレンズの洗浄液と
して使用する場合では、生理食塩水に、各種の保存料、
殺菌剤を添加して無菌の状態となし、これをソフトコン
タクトレンズの洗浄消毒に使用している(以下、このよ
うに保存料、殺菌剤を添加して無菌生理食塩水を調製す
る技術を従来技術1と記載する。)。また、このような
無菌生理食塩水を製造する他の技術としては、生理食塩
水を調製した後にガンマ線を照射して殺菌処理する技術
(特公昭59−39139号公報。以下、従来技術2と
記載する。)、及び、生理食塩水を調製した後に溶存酸
素を除去し、電離放射線を照射して滅菌処理する技術
(特公平8−7336号公報。以下、従来技術3と記載
する。)が開示されている。
【0004】一方、近年、種々の溶液を電気分解して得
られる電解水が知られており、このような電解水の応用
技術の確立が急がれている(芝紀代子ら著、「強電解水
ハンドブック」、医学情報社、平成7年)。従来の電解
水は、例えば、特開平1−180293号に開示された
技術(以下、参考技術1と記載する。)により製造され
るものであった。この技術においては、食塩を添加した
水を隔膜付きの電解槽に通水し、これを電気分解し、陽
極側に生成する強酸性水を電解水として取得するもので
ある。この電解水のpHは1.5以上3.2以下であ
り、単なる低pH液に比して殺菌効果が高いとされてい
る。
【0005】また、特許第2627100号に開示され
た技術(以下、参考技術2と記載する。)により製造さ
れる電解水は、塩化ナトリウムを添加した水と、塩酸を
添加した水とを混合し、これを無隔膜電解槽によって電
気分解して得られるものである。この場合の塩化ナトリ
ウムを添加した水は、電解する際の電解効率を上昇させ
るために不可欠の添加物とされている。また、本発明者
らは、先に、中性であり実質的にナトリウムを含まない
電解水(特願平8−309920号。以下、先願の電解
水と記載することがある。)の技術を特許出願してい
る。これらの電解水を添加した水は、例えば、単に次亜
塩素酸ソ−ダを水に添加した場合に比して、低塩素濃度
であっても殺菌等の効果が高く、また、毎回使用する度
に繁雑な塩素濃度の調整を行なう必要がない点で優れて
いる。しかしながら、これらの電解水を、生理食塩水に
応用する技術は、従来知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術1によっ
て得られた無菌生理食塩水は、殺菌剤、保存料等を含有
しているため、人体に適用する場合は問題があり、安全
性の観点からは、医療分野で使用するには必ずしも適当
ではなかった。また、前記従来技術2及び従来技術3に
おいては、いずれもガンマ線、電離放射線を行うため、
製造装置が大規模となり、投資コスト及び製造コストが
高価となる問題があった。また、得られた無菌生理食塩
水は、単に無菌の状態であるだけであって、それ自体に
は殺菌作用が存在しない。従って、放置した場合、増菌
する危険があり、しかも、消毒の目的に使用することは
できず、用途が限定されるという問題もあった。
【0007】本発明者らは、先に特許出願した、中性で
あり実質的にナトリウムを含まない電解水(特願平8−
309920号の先願の電解水。)の用途について、鋭
意研究を行っている途中で、一般に電解水が、無菌生理
食塩水に好適に応用し得ることを見い出し、本発明を完
成した。本発明の目的は、殺菌剤、保存料等を含有せ
ず、人体に安全に適用することができ、医療行為に好適
であり、また、それ自体に殺菌作用を有し、消毒用とし
て広範に利用できる無菌生理食塩水であって、単純な装
置で簡便に調製でき、投資コスト及び製造コストが安価
である生理食塩水を提供することである。本発明の他の
目的は、そのような生理食塩水を利用した各種の洗浄消
毒水を提供することである。本発明の他の目的は、その
ような生理食塩水を製造する方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明の第一の発明は、実質的に塩化ナトリウムを含
有しない塩酸水溶液を電解した電解水に、所定量の塩化
ナトリウムを添加してなる殺菌作用を有する生理食塩
水、である。また、前記本発明の第一の発明は、電解水
が、無隔膜電解槽によって電解されたものであること、
塩酸水溶液が、純水に塩酸を添加して調製されたもので
あること、及び、塩化ナトリウム濃度が0.9重量%で
あること、を望ましい態様としている。
【0009】前記課題を解決するための本発明の第二の
発明は、前記第一の発明の生理食塩水からなる、皮膚洗
浄消毒水、患部洗浄消毒水、医療器具洗浄消毒水、歯科
用洗浄消毒水、又は眼科用洗浄消毒水、である。前記課
題を解決するための本発明の第三の発明は、実質的に塩
化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加し、得られた
塩酸添加水を無隔膜電界槽に通水して電気分解し、電気
分解した電解水に所定量の塩化ナトリウムを添加するこ
とを特徴とする殺菌作用を有する生理食塩水の製造方
法、である。次に本発明について詳記する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の第一の発明は、実質的に
塩化ナトリウムを含有しない塩酸水溶液の電解水に、塩
化ナトリウムを所定量添加し溶解してなる、殺菌作用を
有する生理食塩水、である。「実質的に塩化ナトリウム
を含有しない塩酸水溶液」とは、例えば、先願の電解水
のように、人為的に塩化ナトリウムを添加する操作を行
わない塩酸水溶液であることを意味する。
【0011】このような塩酸水溶液を電解した水を原料
水として、この原料水に所定量の塩化ナトリウムを溶解
したものが、本発明の生理食塩水である。本発明におい
て原料として使用する電解水は、ナトリウムイオン濃度
が200ppm以下の範囲の電解水(先願の電解水)で
あることが望ましい。即ち、前記参考技術1又は2とは
異なり、ナトリウムイオン濃度が、一般的な上水の水質
基準である200ppm以下、より好ましくは10pp
m以下の電解水を原料としているのである。
【0012】その理由は、次のとおりである。即ち、前
記参考技術1及び参考技術2により製造された電解水
は、いずれも塩化ナトリウムを含有する溶液を電解した
ものである。従って、電解後の水の塩化ナトリウム濃度
が、電解の条件によって変動するため、所定の塩化ナト
リウム濃度の生理食塩水を調製することが困難である。
しかしながら、本発明のように、「実質的に塩化ナトリ
ウムを含有しない塩酸水溶液」を電解したものを原料と
すれば、所定濃度の生理食塩水を調製することが極めて
容易である。このような電解水は、望ましくは次の手順
で製造される。即ち、実質的に塩化ナトリウムを含有し
ない水に塩酸を添加し、塩酸添加水を調整する。ここに
「水」とは、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留
水、精製水(例えば逆浸透処理水、膜処理水等。)、こ
れらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含
有しないものを意味している。
【0013】前記の塩酸添加水を電解槽に通水し、電気
分解し、得られた電解水に所定量の塩化ナトリウムを添
加すれば、殺菌作用を有する本発明の無菌生理食塩水を
得ることができる。塩化ナトリウムを添加する態様はい
かなるものでも良く、例えば、固形の塩化ナトリウムを
電解水に直接添加して溶解しても良く、予め調製した塩
化ナトリウム水溶液と電解水とを混合しても良い。
【0014】このような電解の操作は、無隔膜電解槽に
よって行うことが好ましい。例えば、前記参考技術1
は、有隔膜電解槽を使用して電解する技術であるが、得
られた電解水はpHが低い酸性水か、又は殺菌作用のな
い高アルカリ性水のいずれかに分類される。従って、前
記参考技術1の電解水では、医療用途に好適な中性の生
理食塩水を得ることが困難である。従って、無隔膜電解
槽を使用すれば、得られた生理食塩水のpHも中性付近
であり、しかも無駄なく全量を使用することができる。
尚、この場合、生理食塩水は、pHが、4.0〜7.0
の範囲であることが望ましい。
【0015】以上記載した本発明の生理食塩水は、単に
無菌状態であるばかりではなく、それ自体が殺菌作用を
有するものである。従って、ある程度放置しても増菌す
る心配がなく、消毒の目的にも使用することができる。
また、前記従来技術1のように各種の保存料、殺菌剤を
添加して殺菌作用を付加したものではないため、人体に
も安全である。また、本発明の生理食塩水は、前記従来
技術2及び従来技術3のように、ガンマ線、電離放射線
等の処理を行う必要がなく、設備投資費用及び製造費用
は安価であり、病院、歯科医院等で簡便に利用できる利
点がある。また、本発明の生理食塩水は、電解する前の
塩酸水溶液が、純水に塩酸を添加したものであることを
望ましい態様とする。
【0016】前記のとおり塩酸水溶液を調製する場合に
は、水に塩酸を添加するが、この「水」としては、純水
を使用することが望ましい。ここに、純水とは、蒸留、
脱塩、イオン交換、超ろ過等の操作によって不純物を除
去した水のことを意味する。一般に、従来の通常の生理
食塩水は、蒸留水に塩化ナトリウムを溶解して調製する
が、このように不純物のない水を出発原料として採用す
ることは、得られた生理食塩水の等張性を確保するため
にも望ましい。従って、本発明においても、出発原料に
純水を使用することが望ましいのである。また、純水を
出発原料とすることにより、後の工程で塩化ナトリウム
濃度を調節することも容易になる利点もある。
【0017】また、本発明の生理食塩水は、等張性を確
保できる濃度、例えば、塩化ナトリウム濃度が0.84
〜0.94重量%の濃度範囲であることが望ましく、特
に0.9重量%の濃度であることを望ましい態様とす
る。前記のとおり、本発明の生理食塩水は、生理学の実
験にも使用できるが、この場合の塩化ナトリウムの濃度
は0.9重量%に限られることはなく、使用目的に応じ
て調整される。例えば、鳥類に関する実験に使用する場
合には、塩化ナトリウム濃度は0.75重量%に調整さ
れ、同様に両生類の有尾目では0.80重量%、無尾目
では0.64重量%に調整される。しかしながら、本発
明の生理食塩水を医療用、歯科医療用として利用する場
合は、通常の規格である0.9重量%が最も好ましく、
等張性の観点からは、この濃度が最も利用価値が高いの
である。
【0018】本発明の第二の発明は、前記第一の発明の
生理食塩水を利用した、各種の洗浄消毒水である。皮膚
洗浄消毒水は、前記第一の発明の生理食塩水からなり、
例えば、手、指等の洗浄、消毒の他、膣、鼻腔等の粘膜
部位、その他の皮膚の各部位の洗浄・消毒に好適に使用
することができる。使用する態様としては、皮膚洗浄消
毒水を流しておいて、そのまま手、指等をさらして洗浄
・消毒を行う態様の他、皮膚洗浄消毒水を布に浸して皮
膚を拭き取る態様、皮膚に噴霧する態様、洗浄ビンに貯
留しておいて洗浄する態様等を例示することができる。
患部洗浄消毒水は、手術部位、化膿部位、創傷面、皮膚
疾患部位等を洗浄、消毒するための水であり、布に浸し
て湿布する態様、噴霧する態様、洗浄ビンに貯留してお
いて洗浄する態様等を例示することができる。この患部
洗浄消毒水は、生理食塩水であるため等張性があり、患
部を洗浄しても、患部を刺激することがなく、しかも殺
菌作用を有するという大きな利点がある。
【0019】医療器具洗浄消毒水は、例えば、メス、ピ
ンセット、カンシ等の手術器具、人工心臓弁、人工血管
等の移植用具、その他、内視鏡、医療用ゴム手袋等、各
種の医療器具の洗浄・消毒に用いることができる。尚、
この場合の医療器具とは、病院で使用されるものに限る
わけではなく、家庭で使用されるピンセット等も包含さ
れる。口腔洗浄消毒水は、うがいの他、歯科領域におい
て使用されるものである。例えば、義歯の洗浄消毒の
他、抜歯跡、根幹等の洗浄消毒、エア−タ−ビンハンド
ピ−スの水等に使用することができる。眼科用洗浄消毒
水は、点眼、目の洗浄の他、コンタクトレンズの洗浄、
消毒、保存等に使用する。尚、以上の各種の洗浄消毒水
は、その使用目的に応じて最適な有効塩素濃度に調整す
るべきであることは言うまでもない。
【0020】本発明の第三の発明は、前記第一の発明の
生理食塩水を製造する方法である。本発明の方法は、実
質的に塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を添加して
塩酸水溶液を調製する工程、添加した水を無隔膜電界槽
に通水し電気分解する工程、及び電気分解した電解水に
所定量の塩化ナトリウムを溶解する工程、からなる。最
初に、実質的に塩化ナトリウムを含有しない水に塩酸を
添加し、塩酸添加水を調整する。前記したようにここに
「水」とは、水道水、地下水、伏流水、脱塩水、蒸留
水、精製水(例えば逆浸透処理水、膜処理水等。)、こ
れらの混合水等であって、実質的に塩化ナトリウムを含
有しないものを意味している。前記のとおり「実質的に
塩化ナトリウムを含有しない」の意味は、人為的に塩化
ナトリウムを添加することがないということであるが、
本発明においては、塩化ナトリウムのみならず、全般的
にアルカリ金属塩化物は添加しないことが望ましい。
尚、この場合「水」としては、純水を採用することが望
ましいことは言うまでもない。
【0021】塩酸を添加した塩酸添加水は、無隔膜電解
槽に通水し、電気分解する。無隔膜電解槽であるため、
電気分解した後に陰極水及び陽極水が分離されることが
なく、一括して中性の電解水として取得することができ
る。また、この電解水には、当然のことながら塩化ナト
リウムは全く添加されておらず、換言すれば、ナトリウ
ムイオン濃度が、前記「水」に含有されていたナトリウ
ムイオン濃度を越えることがない。即ち、ナトリウムイ
オン濃度は200ppm以下なのである。
【0022】以上の操作としては、例えば、市販の電解
水製造装置であるピュアスタ−(商標。森永エンジニア
リング社製。以下同じ。)に、21重量%又は3重量%
濃度の塩酸を貯留したタンクを設置し、前者の場合は濃
度21重量%の塩酸と水とを混合して無隔膜電解槽に通
水し、後者の場合には濃度3重量%の塩酸のみを無隔膜
電解槽に通水し、連続的に電気分解することにより電解
水を製造することが可能である。
【0023】以上の方法により得られた電解水は、塩化
ナトリウムが実質的に添加されておらず、前記参考技術
1又は参考技術2による電解水に比して、より自然水に
近い物性を有しているのである。
【0024】このようにして得られた電解水に、塩化ナ
トリウムを所定量添加すれば、生理食塩水を得ることが
できる。尚、所定量とは、目的とする生理食塩水の等張
性を確保できる濃度になる量のことである。このような
電解水は、一旦希釈して塩素濃度を所定濃度に調節した
後に、塩化ナトリウムを添加する態様をとることもでき
る。また、塩化ナトリウムを添加する場合には、固形状
の塩化ナトリウムを電解水に溶解しても良いが、予め、
食塩水を調製しておき、この食塩水と前記電解水とを混
合することによって、塩化ナトリウムを添加することも
可能である。
【0025】このような電解水は、有効塩素濃度が1p
pm〜2ppmの濃度範囲まで希釈したとしても殺菌効
果が消失することがない。従って、得られた生理食塩水
は、人体に安全な塩素濃度でありながら十分な殺菌効果
を発揮することができるものとなる。尚、希釈後のpH
は、中性付近を目標として調整することが望ましい。次
に、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明
は以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
【実施例】実施例1 最初に、本発明の方法において使用する電解水の製造装
置の一例を説明する。電解水生成システムであるピュア
スタ−(商標。森永エンジニアリング社製。型式PS−
01)は、3重量%濃度の塩酸が貯留された塩酸容器
と、この塩酸容器に先端が接続され、末端が無隔膜電解
槽に接続される塩酸供給管路を備えており、この塩酸供
給管路の中間部分には定量ポンプが設けられている。
【0027】塩酸供給管路の末端に接続される無隔膜電
解槽は、塩酸を電気分解する装置である。この無隔膜電
解槽の排出側には、電解水管路が設けられており、電解
水を排出する。以上の構造を備えたピュアスタ−を、次
のとおり稼動し、生理食塩水を調製した。最初に脱塩水
に希塩酸を添加して3重量%濃度の塩酸を調製し、これ
をピュアスタ−の塩酸容器に貯留した。塩酸容器から3
重量%濃度の塩酸を、塩酸供給管路を介して流量120
ml/hで無隔膜電解槽に塩酸を流し、この状態で、無
隔膜電解槽に4.5Aの条件で通電して塩酸を電気分解
した。
【0028】電気分解した後の電解水は、電解水管路を
介して排出されたが、その際に、ガス分離器により不要
な水素ガスを除去した。この電解水は、有効塩素濃度を
10ppmであった。尚、有効塩素濃度は、ヨウ素滴定
法又はOT法(社団法人日本水道協会、「上水試験方法
1993年版」、第212〜219頁、平成5年11
月15日)によって測定した(以下、同じ)。得られた
電解水1000ml当たり塩化ナトリウム9gの割合で
添加し、塩化ナトリウムを溶解し、最終的に塩化ナトリ
ウム濃度が0.9重量%である生理食塩水を得た。
【0029】実施例2 20〜40歳の男性パネラ−50人に、ひげそり後、カ
ミソリ負けにより外傷が生じた場合、実施例1の方法に
より調製した生理食塩水を使用し、洗浄、消毒を実施
し、その使用感をアンケ−トにより聴取した。その結
果、全員が、この生理食塩水は外傷にしみることが全く
なく、使用に際して全く不快感がないと回答した。
【0030】実施例3 20〜40歳の男女100人が利用する便所の手洗所
に、実施例1の方法により調製した生理食塩水を、蛇口
から流下させて自由に手を洗浄させ、使用感をアンケ−
トにより聴取した。その結果、全員が、使用感は良好で
あると回答し、手荒れ、掻痒感等の異常が発生した者は
皆無であった。尚、フ−ドスタンプ(生菌数用標準寒
天)を用いて公知の方法(芝紀代子等著、「強電解水ハ
ンドブック」、第65〜66ペ−ジ、医学情報社、平成
7年9月1日)によって手洗による殺菌効果を確認した
結果、本発明の生理食塩水は、通常の電解水(先願の電
解水)と同等の殺菌効果を有することが確認された。
【0031】実施例4 20〜40歳の男女60人のパネラ−に、実施例1の方
法により調製した生理食塩水による口腔洗浄を実施させ
た結果、異常を訴えたパネラーはなく、口腔内を洗浄、
消毒することができた。尚、口腔内における殺菌効果
を、公知の方法(芝紀代子等著、「強電解水ハンドブッ
ク」、第62〜63ペ−ジ、医学情報社、平成7年9月
1日)によって確認した結果、本発明の生理食塩水は口
腔内殺菌効果を有することが確認された。
【0032】実施例5 内視鏡検査終了後、スコ−プを取り外し、外面と管路内
面とを洗剤で良く洗浄した後、電解電流を増加させたこ
とを除き実施例1と同一の方法により調製した生理食塩
水(有効塩素濃度30ppm)によって洗浄し、更にこ
の本発明の生理食塩水に約5分間浸漬して消毒した。滅
菌ガ−ゼで外面を拭き取り、標準寒天培地にて35℃4
8時間の条件で細菌検査を行ったが、菌は検出されなか
った。
【0033】実施例6 実施例1と同一の方法・条件によって調製した生理食塩
水に、通常の生理食塩水を加えて希釈し、有効塩素濃度
が7ppmである本発明の生理食塩水を得た。この生理
食塩水に関し、眼粘膜一次刺激性試験を、日本在来種白
色ウサギを使用した公知の方法(芝紀代子等著、「強電
解水ハンドブック」、第51ペ−ジ、医学情報社、平成
7年9月1日)により実施した。その結果、この生理食
塩水を点眼したウサギには特に変化は認められず、結
膜、角膜等への損傷は全くないことが確認された。
【0034】実施例7 実施例1と同一の方法・条件によって調製した生理食塩
水に、通常の生理食塩水を加えて希釈し、有効塩素濃度
が2ppmである本発明の生理食塩水を得た。得られた
生理食塩水を、縦横40cm、深さ30cmのステンレ
ス製洗浄槽に貯留し、貯留した生理食塩水をポンプで循
環させた。このように生理食塩水が循環している洗浄槽
に、予め洗剤で洗浄したメス、カンシ、ピンセットを5
分間浸漬し、その後、引き上げた。前記実施例5と同一
の条件で細菌検査を行ったが、細菌は検出されなかっ
た。
【0035】
【発明の効果】本発明の生理食塩水、又は各種の洗浄消
毒水は、殺菌剤、保存料等を含有せず、人体に安全に適
用することができ、医療行為に好適であり、またそれ自
体が殺菌作用を有するため、消毒用として広範に利用で
きる。また本発明の生理食塩水の製造方法は、単純な装
置で簡便に調製でき、設備投資費用及び製造費用が安価
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 560 C02F 1/50 560F 1/76 1/76 A C25B 1/26 C25B 1/26 C 9/00 A61L 2/02 Z // A61L 2/02 C25B 9/00 D (72)発明者 鈴木 潔 神奈川県座間市東原5−1−83 森永乳業 株式会社分析センタ−内 (72)発明者 土井 豊彦 東京都東大和市立野4−515 森永乳業株 式会社装置開発研究所内 Fターム(参考) 4C058 AA12 AA13 AA28 AA29 BB07 JJ07 JJ21 JJ23 JJ30 4D050 AA02 AA04 AB06 BB04 BD04 BD08 CA10 CA13 CA20 4D061 DA02 DA03 DB01 DB09 EA02 EB01 EB14 EB37 ED12 FA20 GA02 GA06 GA12 GA21 GA22 4K021 AB07 BA05 BC01 DA17 DC07

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に塩化ナトリウムを含有しない塩
    酸水溶液を電解した電解水に、所定量の塩化ナトリウム
    を添加してなる殺菌作用を有する生理食塩水。
  2. 【請求項2】 電解水が、無隔膜電解槽によって電解さ
    れたものである請求項1に記載の殺菌作用を有する生理
    食塩水。
  3. 【請求項3】 塩酸水溶液が、純水に塩酸を添加して調
    製されたものである請求項1又は請求項2に記載の殺菌
    作用を有する生理食塩水。
  4. 【請求項4】 塩化ナトリウム濃度が0.9重量%であ
    る請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の殺菌作用を
    有する生理食塩水。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の生理食塩水からなる皮膚洗浄消毒水。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の生理食塩水からなる患部洗浄消毒水。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の生理食塩水からなる医療器具洗浄消毒水。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の生理食塩水からなる歯科用洗浄消毒水。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の生理食塩水からなる眼科用洗浄消毒水。
  10. 【請求項10】 実質的に塩化ナトリウムを含有しない
    水に塩酸を添加し、得られた塩酸添加水を無隔膜電界槽
    に通水して電気分解し、電気分解した電解水に所定量の
    塩化ナトリウムを添加することを特徴とする殺菌作用を
    有する生理食塩水の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006064539A1 (ja) * 2004-12-13 2006-06-22 Wataru Murota 還元性生理食塩水及びその製造方法
JP7423776B2 (ja) 2019-11-25 2024-01-29 デカ・プロダクツ・リミテッド・パートナーシップ 流体を生産およびパッケージングするためのシステム、方法、および装置

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