JP2008223101A - 金属粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低凝集性の金属粒子を容易に製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】本発明の金属粒子の製造方法は、金属の粒子及び該粒子を溶解させる成分を含むスラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加した状態下に該成分を除去することを特徴とする。前記の金属が例えば銀である場合には、他の金属はニッケル、銅、鉄、スズ又は亜鉛であることが好ましい。スラリーが水性の場合、他の金属の添加の前又は後に、該スラリーに疎水化剤を添加することも好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属粒子の製造方法に関する。本発明にしたがい製造される金属粒子は、例えば導電性インクの原料として特に好適に用いられる。
本出願人は先に、硝酸銀溶液にEDTA塩を加え、銀とEDTAの錯体スラリーを調製し、このスラリーにホルマリン等の還元剤を加え緩やかに還元反応を起こさせることで微粒銀粉を得る方法を提案した(特許文献1参照)。この方法により得られる微粒銀粉は低凝集性のものである。この方法とは別に、銀微粒子の製造方法として、高分子化合物、還元剤、及び銀塩を溶解してなる溶液を、25℃以上、60℃以下の温度にて撹拌する方法が提案されている(特許文献2参照)。この製造方法においては、高分子化合物としてポリエチレンイミン等が用いられ、還元剤としてアスコルビン酸等が用いられる。この製造方法で得られる銀粒子は板状のものである。
特許文献1に記載の方法とは別に、本出願人は、金属超微粒子を還元析出する過程から、一貫して超微粒子をスラリー状として取り扱うことで、粒子同士が強固な凝集体を形成することを防止する方法も提案した(特許文献3参照)。この方法においては、金属化合物と還元能を有する溶媒と分散剤とを混合した混合溶液にマイクロ波を照射し急速加熱して、金属超微粒子が還元析出した第1スラリーを調製し、第1スラリーの上澄み液を廃棄して第2スラリーとなし、第2スラリーに溶媒を添加することで、目的とする金属超微粒子スラリーを得る。
特開2004−100013号公報 特開2005−105376号公報 特開2006−169557号公報
本発明の目的は、前述した従来技術の製造方法で得られる銀微粒子よりも更に性能が向上した銀微粒子を製造し得る方法を提供することにある。
本発明は、金属の粒子及び該粒子を溶解させる成分を含むスラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加した状態下に該成分を除去することを特徴とする金属粒子の製造方法を提供するものである。
また本発明は、金属の粒子及び該粒子を溶解させる成分を含むスラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加し、然る後、該成分及び該他の金属を除去し、更にインク媒体を添加する導電性インクの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、低凝集性の金属粒子を容易に製造することができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。本発明の製造方法では、先ず金属の粒子を含むスラリーを用意する。このスラリーは水を媒体とする水系のものであるか、又は有機溶剤を媒体とする非水系のものである。また、水系の場合、水と水に可溶な有機溶剤、例えばアルコール類やエーテル類、ケトン類等との混合媒体であってもよい。
スラリー中に含まれる金属の粒子の種類に特に制限はなく、例えば貴金属の単体を用いることができる。ここで言う貴金属とは、金、銀及び白金族(ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金)を包含する。貴金属以外にも、例えばニッケル、銅、すずなどの単体を用いることができる。これらの金属うち、貴金属を対象とすると本発明の効果が顕著なものとなり、貴金属のうちでも特に銀を対象とすると、本発明の効果が一層顕著なものとなる。貴金属以外の金属を対象とする場合、当該金属としては銅が好ましい。また、貴金属以外の金属を対象とする場合、例えばニッケルやすずの粒子を対象とする場合には、スラリー中に粒子の溶解を促進させる物質(例えばEDTAなどの配位子)が存在し、粒子が溶解しやすい環境になっていると、本発明の効果が顕著なものとなる。
金属粒子の粒径や形状にも特に制限はない。粒径に関しては、一次粒子の粒径が0.001〜100μmの範囲のものを好適に用いることができる。粒子の形状に関しては、球状、六面体状、八面体状、フレーク状、不定形など様々な形状のものを用いることができる。特に凝集の起こりやすい粒子である、一次粒子の粒径が0.001〜1μmで且つ形状が球状のものや不定形のものに本発明を適用すると顕著な効果が一段と際立つ。一次粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)によって撮影された粒子の写真を用い、個々の粒子のうち最大径を測定し、その平均値を算出することで求められる。
スラリー中における金属粒子の量は本発明において特に臨界的なものではない。取り扱い性や作業性等を考慮すると、スラリー全量に対する金属粒子の量を0.01〜50重量%、特に0.01〜3重量%とすることが好ましい。
金属粒子の製造方法に特に制限はなく、使用する金属の種類に応じて適切な方法を採用することができる。金属粒子は、金属イオンの湿式還元によって得られたものであることが好ましい。金属として銀を用いる場合には、例えば本出願人の先の出願に係る特開2004−100013号公報や特開2006−124787号公報に記載の方法を用いることができる。また特開2004−183009号公報や特開2005−105376号公報に記載の方法を用いることもできる。金属としてニッケルを用いる場合には、例えば特開2004−308013号公報、特開2005−298927号公報、特開2006−45648号公報に記載の方法を用いることができる。金属として銅を用いる場合には、例えば特開2003−342621号公報に記載の方法を用いることができる。
金属粒子の製造方法の一例として、銀のナノ粒子の新規な製造方法を以下に説明する。本法においては、エチレンジアミン四酢酸塩(以下、EDTA塩ともいう)及びポリエチレンイミン(以下、PEIともいう)の存在下に、銀イオンをホルマリンで還元することで銀ナノ粒子を得る。
EDTA塩としては水溶性塩を用いることができる。例えばそのナトリウム塩などを用いることができる。ポリエチレンイミンとしては、重量平均分子量が400〜100000、特に1000〜10000のものを用いることが、銀ナノ粒子の粒径を均一し得ると共に、分散性を良好にし得る点から好ましい。
反応液中における銀イオンの濃度は、0.01〜8重量%、特に0.5〜3重量%であることが、得られる銀ナノ粒子の分散性を良好にすることと、工業的生産性を両立できる点から好ましい。なお反応液は水を媒体とするものである。銀イオン源としては水溶性の銀塩を特に制限なく用いることができる。例えば硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、過塩素酸銀、亜硝酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀が用いられる。
EDTA塩及びPEIの量は、銀イオンとの使用量の関係で決定される。EDTA塩に関しては、反応液中に含まれる銀イオンに対して100〜500重量%、特に150〜300重量%用いられることが、銀ナノ粒子の粒径を小さくし得ると共に、分散性を良好にし得る点から好ましい。同様の理由により、PEIに関しては、反応液中に含まれる銀イオンに対して10〜200重量%、特に20〜100重量%用いられることが好ましい。
本製造方法においては、EDTA塩及びPEIの存在下に、銀イオンを還元剤としてのホルマリンで還元する。反応温度は、40〜80℃、特に50〜70℃であることが、還元速度を適度に速くしつつ、粒子の凝集を防止し得る点から好ましい。反応時間は、0.5〜3時間、特に1〜2時間であることが好ましい。
還元剤であるホルマリンは水に希釈した状態で反応液に添加される。添加は一括添加でもよく、逐次添加でもよい。ホルマリンの希釈液の濃度は、1〜37重量%、特に30〜37重量%であることが、銀ナノ粒子を工業的に効率よく生産し得る点から好ましい。ホルマリンの添加量は、銀イオンの量との関係で決定される。詳細には、反応液中に含まれる銀イオンに対して、ホルマリンを40〜100重量%、特に50〜60重量%添加することが好ましい。
ホルマリンの添加によって銀イオンの還元が生じる。この場合、反応液中において、銀イオンはEDTA塩と錯体を形成しているので、銀イオンの還元によって生成する銀ナノ粒子は球状のものとなる。また、ホルマリンは比較的還元性の低い還元剤なので、銀イオンの還元が急速には進行しないので、微粒の銀粒子が生成する。更に、反応系にPEIが共存していることによって、銀イオンは粒径のそろった銀ナノ粒子に還元される。
粒径が一層そろった銀ナノ粒子を首尾良く生成させる観点から、反応液中には、上述したPEIに加えてポリビニルピロリドンも存在させ、PEI及びポリビニルピロリドンの共存下に銀イオンを還元することが好ましい。ポリビニルピロリドンの添加量は、銀イオンの量との関係で決定される。詳細には、反応液中に含まれる銀イオンに対して、ポリビニルピロリドンを10〜100重量%、特に30〜70重量%添加することが好ましい。
ポリビニルピロリドンとしては、重量平均分子量が10000〜500000、特に30000〜100000のものを用いることが、反応液の粘度上昇に起因する銀ナノ粒子の沈降性の悪化を防ぎ、良好な分散性を維持し得る点から好ましい。
上述の操作によって銀イオンが還元されて銀ナノ粒子が生成した水性スラリーを得る。このスラリーに、該スラリー中に含まれる粒子を構成する金属(本法では銀)よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加する。この操作によってスラリー中における金属粒子の分散性を良好にすることができる。この理由は次のとおりである。
スラリー中に存在する金属粒子は、その一部が金属イオンとして溶媒中に溶解し、溶解した金属イオンが再び析出する。金属の溶解は、スラリー中に微量に存在する、該金属を溶解させる成分によって生じる。そのような成分としては、例えば金属粒子の生成のための原料として添加された各種塩や、金属粒子の生成の結果生じた各種塩等がある。また溶解した金属イオンの再析出は、例えばスラリー中に微量に残存する還元剤によって生じる。この溶解・再析出によって金属粒子の凝集が起こり、スラリーの保存中における金属粒子の分散性が低下する傾向にある。これに対して、金属粒子のスラリー中に、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加することで、スラリー中に他の金属の固体及び/又はイオンが共存することになり、それによって金属粒子の溶解が抑制され、ひいては金属イオンの再析出が抑制される。その結果、スラリーの保存中における金属粒子の分散性を高めることが可能になる。前記の他の金属は、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態の少なくとも一種の形態で、スラリー中に添加することができる。これらの形態の少なくとも二種の組み合わせを用いてもよい。
前記の他の金属としては、スラリー中に含まれる金属粒子の種類に応じて適切なものが選択される。他の金属は単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。例えば金属粒子として、上述した銀ナノ粒子を用いる場合には、他の金属として、例えばニッケル、銅、鉄、スズ又は亜鉛などを用いることができる。これらのうちニッケルや銅を用いることが特に好ましい。金属粒子としてニッケル粒子を用いる場合には、他の金属として亜鉛、マンガン、アルミニウムを用いることができる。
前記の他の金属を、固体の形態でスラリー中に配合する場合には、インゴットのようなバルク状の形態や、粒子の形態で配合することができる。粒子の形態で配合する場合、該粒子の粒径に特に制限はない。該粒子の粒径は例えば1〜1000μm程度とすることができる。スラリー中に含まれる金属粒子との分離のしやすさを考慮すると、他の金属は粒子の形態で用いるよりも、可溶性塩の形態及び/又はイオンの形態で用いることが好ましい。
前記の他の金属を可溶性塩の形態で用いる場合、スラリーが水性のものである場合には水溶性塩を用いる。スラリーが非水性のものである場合には非水溶媒に可溶な塩を用いる。同様に、前記の他の金属をイオンの形態で用いる場合、スラリーが水性のものである場合にはそのイオンを含む水溶液を用いる。スラリーが非水性のものである場合にはそのイオンを含む非水溶液を用いる。
前記の他の金属の配合量は、それが固体の形態であるか、可溶性塩の形態であるか、イオンの形態であるかを問わず、スラリー中に含まれる粒子を構成する金属1当量に対して0.01〜10当量、特に0.5〜2当量であることが、スラリー中での金属粒子の溶解を効果的に防止する観点から好ましい。金属粒子として銀粒子を用い、他の金属として銅を用いる場合には、銀1当量に対して銅1当量とは、銀1モルに対して銅を0.5モル用いることをいう。
前記の他の金属及び金属の粒子を溶解させる成分を金属粒子と分離して除去するためには、例えば該他の金属を可溶性塩及び/又はイオンの形態で用いる場合には、スラリー中における該他の金属のイオンの濃度が所定の値以下となるまで、水や非水溶媒を用いてデカンテーションを繰り返せばよい。該他の金属を固体の形態で用いる場合には、製造する粒子の100倍以上の大きな粒子又はインゴットを用い、フィルトレーション等によって分離除去し、更にデカンテーション等をすればよい。
以上の説明から明らかなように、以上の操作は、金属の粒子及び該粒子を溶解させる成分を含むスラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加した状態下に該成分を除去することを特徴とする金属粒子の安定化方法と言うこともできる。
以上の操作により、スラリー中の不純物が除去されて、低凝集性の金属粒子がスラリーの状態で得られる。このスラリーを静置又は遠心分離して金属粒子を沈降させて、液体成分を分離除去してもよい。これによってスラリー中に存在する金属の粒子を溶解させる成分が一層除去される。スラリーが水性の場合、沈降を促進させる観点から、金属粒子を疎水化処理に付することが好ましい。特に金属粒子がナノ粒子などの微粒子である場合には、その微粒のゆえに通常の状態では沈降に長時間を要する。これに対して金属粒子を疎水化処理することで、沈降時間の短縮化が図られる。
金属粒子の疎水化処理には、スラリー中に疎水化剤を添加すればよい。疎水化剤としては、金属粒子の表面と親和性が良好であり且つ疎水基を有する化合物が用いられる。そのような化合物としては、例えばオレイルアミン、トリオクチルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ステアリルアミン等の炭化水素基を有する脂肪族アミン、オレイン酸、ステアリン酸、デカン酸、パルミチン酸、リノール酸等の脂肪酸などが挙げられる。これらの疎水化剤のうち、オレイルアミン等の脂肪族アミン、並びにパルミチン酸やリノール酸等の脂肪酸を用いることが、粒子の分散性を維持したまま、凝集沈殿させられる点から好ましい。
疎水化剤によって金属粒子を疎水化するときには、疎水化剤の相溶化剤をスラリー中に共存させることが好ましい。相溶化剤の作用によって、疎水化剤が金属粒子の表面に結合しやすくなり、疎水化を一層首尾良く行い得るからである。相溶化剤としては、エタノール等の低級アルコール(炭素数1〜4)、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類などが挙げられる。相溶化剤の添加量は、疎水化剤に対して100〜10000重量%、特に500〜2000重量%であることが好ましい。
疎水化剤によって疎水化されて沈降した金属粒子は、例えばデカンテーションによってその上澄み液が廃棄される。その後、必要に応じて溶媒置換や濃縮を行う。更に金属粒子に所定の成分、例えばインク媒体を配合することで、例えば導電性インクや導電性ペーストが得られる。この方法によれば、金属粒子の製造からインクの調製までの工程を一貫して且つ金属粒子を乾燥状態にすることなく行うことができるので、得られたインクに含まれる金属粒子どうしが凝集することを更に一層効果的に防止することができる。
以上の方法においては、金属粒子を含むスラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態で、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加し、その後に、金属粒子に対して上述の疎水化処理を施した。これに代えて、金属粒子を含むスラリー中の金属粒子に対して、上述の疎水化処理を施し、その後に該スラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加してもよい。つまり疎水化剤の添加は、他の金属の添加の前又は後の何れであってもよい。
以上の操作によって得られた金属粒子は、例えば導電性インクや導電性ペーストの原料として好適に用いられる。かかるインクやペーストを用いてプラズマディスプレイパネルやチップ部品、ガラスセラミックパッケージ、セラミックフィルタ等の電子機器の配線回路や電極等を形成することができる。微細な回路や電極を形成するためには、金属粒子の凝集性が低いことが要求されるところ、本発明に従い製造された銀ナノ粒子は上述の通り凝集性が低いので、前記の要求にまさに合致したものとなる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
1リットルのビーカー中に、硝酸銀10.0g、EDTA4Na塩15.0g、重量平均分子量1800のPEI及び純水300mlを投入し十分に撹拌した。液温を50℃に保った状態下に、37重量%のホルマリン水溶液100.0gを一括投入し銀イオンの還元反応を行った。反応は、液温を50℃に保ち1.5時間行った。このようにして、銀ナノ粒子のスラリーを得た。TEMによる銀ナノ粒子の一次粒子の平均粒径は28nmであった。
銀ナノ粒子のスラリーに、硝酸ニッケル六水和物(Ni(NO32・6H2O)4.0gを純水100mlに溶解した水溶液を添加して1分間撹拌した。スラリーの温度は50℃に維持した。
次いで、エタノール100mlにオレイルアミン0.3gを溶解させた溶液をスラリーに添加して30分間撹拌を行い、銀ナノ粒子の疎水化処理を行った。スラリーの温度は50℃に維持した。
最後に、純水でスラリーのデカンテーションを繰り返し行い、スラリー中のニッケルイオンを除去した。このようにして得られた銀ナノ粒子のTEM像を図1に示す。図1に示す結果から明らかなように、銀ナノ粒子に凝集がほとんど観察されないことが判る。また銀ナノ粒子の粒径は非常に均一であることも判る。TEM観察とは別に、銀ナノ粒子についてレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.227μm、D50=0.358μm、D90=0.923μmとなり、粒度分布がシャープであることが判った。この結果から、TEM観察の結果が裏付けられた。粒度分布の測定に際しては、前分散として1%重量ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中で5分間超音波分散を行った。
〔実施例2〕
実施例1と同様にして、平均粒径28nmの銀ナノ粒子のスラリーを得た。この銀ナノ粒子のスラリーに、硝酸銅3水和物10.9gを純水100mLに溶解した水溶液を添加して1分間攪拌した。スラリーの温度は50℃に維持した。
次に、100mLのエタノールにオレイルアミン0.3gを溶解させた溶液をスラリーに添加して30分攪拌を行い、銀ナノ粒子の疎水化処理を行った。スラリーの温度は50℃に維持した。
最後に、純水でデカンテーションを繰り返し行い、スラリー中の銅イオンを除去した。このようにして得られた銀ナノ粒子のTEM像を図2に示す。図2に示す結果から明らかなように、銀ナノ粒子に凝集がほとんど観察されないことが判る。銀ナノ粒子について実施例1と同様にレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.192μm、D50=0.256μm、D90=0.357μmとなり、粒度分布がシャープであることが判った。この結果から、TEM観察の結果が裏付けられた。
〔実施例3〕
酢酸銅1g、オレイルアミン1gを20mLのメタノールに溶解させた。これをA液とする。これとは別に、ヒドラジンヒドラート1gを20mLのメタノールに添加した。これをB液とする。B液にA液を一括で添加し、銅イオンを還元することで、平均粒径が約80nmの銅ナノ粒子を得た。この銅ナノ粒子を含むスラリーに、硫酸鉄(II)を0.1g加えて1分間攪拌した。最後に、純水でデカンテーションを繰り返し行い、スラリー中の鉄イオンを除去した。このようにして得られた銅ナノ粒子のFE−SEM像を図3に示す。図3に示す結果から明らかなように、銅ナノ粒子に凝集がほとんど観察されないことが判る。銅ナノ粒子について実施例1と同様にレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.257μm、D50=0.385μm、D90=0.661μmとなり、粒度分布がシャープであることが判った。この結果から、FE−SEM観察の結果が裏付けられた。
〔比較例1〕
特開2005−105376号公報(上述の特許文献2)の実施例1に準拠し、以下の手順で銀粒子を調製した。水100重量部に、重量平均分子量1800のPEIを0.3重量部溶解させ、得られた水溶液に硝酸銀を0.024重量部添加して溶解させた。液温を60℃に保持し、還元剤としてアルコルビン酸を0.03重量部添加し、2時間撹拌させながら反応を完遂させた。TEMによる銀粒子の一次粒子の平均粒径は120nmであった。粒子の形状は不定形状であった。また、銀粒子について実施例1と同様にレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.358μm、D50=0.711μm、D90=1.306μmとなり、粒子の凝集が認められた。
〔比較例2〕
実施例3において、銅ナノ粒子のスラリーに硫酸鉄(II)を加える操作を行わない以外は実施例3と同様にして銅ナノ粒子を得た。得られた銅ナノ粒子のFE−SEM像を図4に示す。図4に示す結果から明らかなように、銅ナノ粒子どうしが凝集していることが判る。銅ナノ粒子について実施例3と同様にレーザー回折散乱式粒度分布測定を行ったところ、D10=0.469μm、D50=1.068μm、D90=1.980μmとなり、粒度分布がブロードであることが判った。この結果から、FE−SEM観察の結果が裏付けられた。
実施例1で得られた銀ナノ粒子のTEM像である。 実施例2で得られた銀ナノ粒子のTEM像である。 実施例3で得られた銅ナノ粒子のFE−SEM像である。 比較例2で得られた銅ナノ粒子のFE−SEM像である。

Claims (5)

  1. 金属の粒子及び該粒子を溶解させる成分を含むスラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加した状態下に該成分を除去することを特徴とする金属粒子の製造方法。
  2. 前記金属が銀又は銅であり、前記他の金属がニッケル、銅、鉄、スズ又は亜鉛である請求項1記載の製造方法。
  3. 前記他の金属の添加の前又は後に、前記スラリーに疎水化剤を添加する請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記疎水化剤が脂肪族アミンである請求項3記載の製造方法。
  5. 金属の粒子及び該粒子を溶解させる成分を含むスラリーに、該金属よりもイオン化傾向の大きな他の金属を、固体の形態、可溶性塩の形態又はイオンの形態で添加し、然る後、該成分及び該他の金属を除去し、更にインク媒体を添加する導電性インクの製造方法。
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