JP2008208243A - フッ素系重合体及び樹脂組成物 - Google Patents

フッ素系重合体及び樹脂組成物 Download PDF

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賢哉 伊藤
Hisao Oikawa
尚夫 及川
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Mikio Yamahiro
幹夫 山廣
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Abstract

【課題】撥水撥油性及び滑り性に優れる表面改質剤として使用し得る新たな重合体を提供する。
【解決手段】特定のフッ素系ケイ素化合物である単量体(a)と架橋性官能基及び付加重合性官能基を含む付加重合性単量体(b)との付加重合体であって架橋性官能基を架橋されていない状態で有する重合体を提供し、またこの重合体と、架橋性官能基と架橋可能な構造を有する架橋性樹脂又はその単量体とを含有する樹脂組成物を提供し、さらこの樹脂組成物で形成された膜において架橋性官能基と架橋可能構造とが反応し架橋してなる樹脂膜を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素を含む重合体に関する。具体的には、プラズマディスプレイ表面のスリップ性と防汚性付与に効果的な、フッ素系ケイ素化合物を単量体に含む重合体、この重合体を含有する樹脂組成物、この樹脂組成物を含有する表面処理剤、及びこの表面処理剤からなる樹脂膜に関する。
従来、各種の基材の表面に皮膜を形成して基材の保護、撥水性、撥油性、絶縁性、非粘着性、防汚性等を付与する表面改質剤の研究が種々行われている。方法としては、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂等からなる塗料を基材に塗布して撥水性を改良する方法がある。
このような物性を付与する薬剤の種別を大別すると、フッ素系、シリコーン系、或いはその複合系に分けられる。
フッ素系の薬剤としては、熱硬化性のマトリックス樹脂にフルオロアルキル基含有ラジカル重合性単量体を分散させた撥水性塗料が報告されている(例えば、特許文献1参照。)が、フッ素樹脂と他の樹脂との相溶性が低く、基材に対する密着性も不十分であった。
シリコーン系の薬剤を用いた製品としては、シリコーン樹脂を混合したプラスチック製品が提案されている(例えば、特許文献2参照。)が、やはりシリコーン樹脂と他の樹脂との相溶性が低く、撥油性も十分ではなかった。
フッ素系とシリコーン系の複合系の薬剤としては、フルオロアルキル基を有するシリコーン樹脂を含むコーティング剤組成物が報告されている(例えば、特許文献3参照。)が、一般の有機溶剤への溶解性が低く、フッ素系の溶剤を用いなくてはならないといった問題があった。
さらにフッ素とケイ素とを含む化合物のモノマーとする重合体を含有するコーティング剤が知られている(例えば、特許文献4参照。)が、形成される膜の特性については検討の余地が残されている。
特開平7−102187号公報 特開平4−103668号公報 特開平9−151357号公報 特開平11−236532号公報
本発明は、撥水撥油性及び滑り性に優れ、さらには非粘着性、離型性、汚防性、耐磨耗性、耐蝕性、電気絶縁性、反射防止特性、難燃性、帯電防止特性、耐薬品性、耐候性等の諸特性について優れた特性が期待される、表面改質剤等として使用し得る新たな重合体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の観点から鋭意研究した結果、フッ素系ケイ素化合物である付加重合性単量体と、架橋性官能基及び付加重合性単量体を含む付加重合性単量体とを単量体に含み、必要に応じて選択される架橋性官能基を有さない付加重合性単量体を単量体に含む
付加共重合体が、優れたスリップ性、撥水・撥油性を有し、表面改質剤として有用であることを見出した。
すなわち、本発明は以下に示される重合体等に関する。
[1] 下記一般式(I)で表されるケイ素化合物である単量体(a)と、架橋性官能基及び付加重合性官能基を含む付加重合性単量体(b)とを単量体とする付加重合体であり、前記架橋性官能基を架橋されていない状態で有することを特徴とする重合体。
Figure 2008208243
前記一般式(I)において、Rfは、任意のメチレンが酸素で置換されていてもよい、炭素数1〜20の、直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置換された、炭素数6〜20のフルオロアリール;又はアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置換された、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを表し、nは0〜1,000の整数を表し、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して、水素;炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル;置換もしくは非置換のアリール;及び置換もしくは非置換のアリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成されるアリールアルキル;から選択される基を表し、A1は付加重合性官能基を表す。
[2] 一般式(I)におけるRfが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、又はα,α,α−トリフルオロメチルフェニルであることを特徴とする[1]に記載の重合体。
[3]
一般式(I)におけるRfが、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであることを特徴とする[2]に記載の重合体。
[4]
一般式(I)におけるR3及びR4は、それぞれ独立してメチル、フェニル又は3,3,3−トリフルオロプロピルであり、R1、R2、R5、及びR6は、それぞれ独立して、メチル又はフェニルであり、A1はラジカル重合性官能基を表すことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の重合体。
[5] 一般式(I)におけるA1が(メタ)アクリル又はスチリルを含むことを特徴と
する、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の重合体。
[6] 一般式(I)におけるA1が、下記一般式(II)、(III)又は(IV)で表されるいずれかであることを特徴とする[5]に記載の重合体。
Figure 2008208243
前記一般式(II)において、Y1が炭素数2〜10のアルキレンを表し、R7が水素、又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、一般式(III)において、R8は水素、又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、X1は炭素数が2〜20のアルキレンを表し、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、又は−OCH2CH(CH3)−を表し、pは0〜3の整数を表し、一般式(IV)において、Y2が単結合又はメチレン又は炭素数2〜10のアルキレンを表す。
[7] 一般式(II)において、Y1が炭素数2〜6のアルキレンであり、R7が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、一般式(III)において、X1は−CH2CH2CH2−であり、Yは−OCH2CH2−であり、pは0又は1であり、R8が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、一般式(IV)において、Y2が単結合又はメチレンもしくはエチレンである、[6]に記載の重合体。
[8] 前記付加重合性単量体(b)の前記付加重合性官能基がラジカル重合性官能基であることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の重合体。
[9] 前記付加重合性単量体(b)の前記架橋性官能基が、ヒドロキシル、環状エーテルを含む一価の官能基、ハロゲン化アルキル、イソシアネート、アミノ及びカルボキシルから選ばれることを特徴とする、[8]に記載の重合体。
[10] 前記付加重合性単量体(b)の前記架橋性官能基が、環状エーテルを含む一価の官能基であることを特徴とする、[9]に記載の重合体。
[11] 前記環状エーテルを含む一価の官能基がグリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、及びジオキソランから選ばれることを特徴とする、[10]に記載の重合体。
[12] 付加重合性官能基を有する、前記ケイ素化合物である単量体(a)及び前記付
加重合性単量体(b)以外の付加重合性単量体(c)をさらに単量体に含む付加重合体であることを特徴とする、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の重合体。
[13] 前記付加重合性単量体(c)の付加重合性官能基がラジカル重合性官能基であることを特徴とする、[12]に記載の重合体。
[14] 前記ラジカル重合性官能基が(メタ)アクリル又はスチリルを含むことを特徴とする、[13]に記載の重合体。
[15] 下記一般式(I)で表されるケイ素化合物である単量体(a)と、架橋性官能基及びラジカル重合性官能基を含む単量体(b)と ラジカル重合性官能基を有する、前記ケイ素化合物である単量体(a)及び前記単量体(b)以外の単量体(c)とを単量体とし、前記架橋性官能基を架橋されていない状態で有するラジカル重合体であって、
前記架橋性官能基は、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、及びジオキソランから選ばれ、
前記単量体(c)の前記ラジカル重合性官能基が(メタ)アクリル又はスチリルを含むことを特徴とする重合体。
Figure 2008208243
前記一般式(I)において、Rfはトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルを表し、nは0〜1,000の整数を表し、R1〜R6はそれぞれ独立してメチル又はフェニルを表し、A1は下記一般式(II)、(III)又は(IV)のいずれかを表す。
Figure 2008208243
前記一般式(II)において、Y1は炭素数2〜6のアルキレンを表し、R7は水素、又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキルを表し、一般式(III)において、X1は−CH2CH2CH2−を表し、Yは−OCH2CH2−を表し、pは0又は1を表し、R8が水
素又は炭素数1〜3のアルキルを表し、一般式(IV)において、Y2は単結合又はメチレンもしくはエチレンを表す。
[16] [1]〜[15]のいずれか一項に記載の重合体と、樹脂又はその単量体とを含む樹脂組成物。
[17] 前記樹脂は、前記重合体中の前記架橋性官能基と架橋可能な構造を有する架橋性樹脂であることを特徴とする[16]に記載の樹脂組成物。
[18] 前記架橋性樹脂が熱硬化性樹脂であることを特徴とする、[17]に記載の樹脂組成物。
[19] 前記熱硬化性樹脂又はその単量体が、ヒドロキシル、環状エーテルを含む一価の官能基、ハロゲン化アルキル、イソシアネート、アミノ又はカルボキシルを有する化合物であることを特徴とする、[18]に記載の樹脂組成物。
[20] 前記環状エーテルを含む一価の官能基が、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、及びジオキソランから選ばれることを特徴とする、[19]に記載の樹脂組成物。
[21] [16]〜[20]のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する表面処理剤。
[22] [21]に記載の表面処理剤より得られる樹脂膜。
本発明のフッ素系の重合体、及び該重合体を含む樹脂組成物は、撥水撥油性及び滑り性に優れたコーティング膜に利用することができる。
本発明の重合体は、前記式(I)で表されるフッ素系ケイ素化合物である単量体(a)(以下、単に「単量体(a)」とも言う)と、架橋性官能基及び付加重合性官能基を含む付加重合性単量体(b)(以下、単に「単量体(b)」とも言う)とを必須成分とし、必要に応じて選択される任意の付加重合性単量体(c)(以下、単に「単量体(c)」とも言う)とを付加共重合させることにより得ることができる。
<フッ素系ケイ素化合物である単量体(a)>
本発明の重合体の原料単量体の一種である、フッ素系ケイ素化合物である単量体(a)は、下記一般式(I)で表され、付加重合性官能基を有する。
Figure 2008208243
本発明に用いられる前記単量体(a)は、上記一般式(I)において、Rfは任意のメ
チレンが酸素で置換されていてもよい、炭素数1〜20の、直鎖状もしくは分岐鎖状のフ
ルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置換された、炭素数6〜20のフルオロアリール;又はアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置換された、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを表す。
前記Rfは、先端にフッ素を有することが好ましく、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエチル、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル、ノナフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロヘキシル、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、及びα,α,α−トリフルオロメチルフェニルが挙げられ、具体的には3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、又はα,α,α−トリフルオロメチルフェニルであることが、本発明の重合体を含有する樹脂組成物の皮膜における撥液性及び滑り性の観点から好ましく、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであることがより好ましい。
前記一般式(I)におけるR1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して、水素;炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル;置換もしくは非置換のアリール;及び置換もしくは非置換のアリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成されるアリールアルキル;から選択される基である。
前記一般式(I)におけるR1、R2、R5、及びR6は、それぞれ独立して炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル;炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、又は炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルであることが好ましく、それぞれ独立してメチル又はフェニルであることがより好ましい。
前記一般式(I)におけるR3及びR4は、それぞれ独立して、水素、フェニル、又は
炭素数が1〜8で任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキルであることが好ましく、それぞれ独立してメチル、フェニル又は3,3,3−トリフルオロプロピルであることがより好ましい。
さらに、前記単量体(a)では、上記一般式(I)におけるR1〜R6は、それぞれメ
チルであることが好ましい。
前記一般式(I)におけるA1は付加重合性官能基である。A1は後述する他の単量体と単量体(a)とを付加重合させるための官能基である。付加重合性官能基には、ビニル、
ビニレン、ビニリデン等の付加重合性の二重結合を有する官能基が挙げられる。A1はラジカル重合性官能基であることが好ましく、(メタ)アクリル又はスチリルを含むことがより好ましく、下記一般式(II)、(III)又は(IV)で表されるいずれかであることがさらに好ましい。
Figure 2008208243
一般式(II)において、Y1は炭素数2〜10のアルキレンを表し、R7は水素、又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表す。また一般式(III)において、R8は水素、又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、X1は炭素数が2〜20のアルキレンを表し、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、又は−OCH2CH(CH3)−を表し、pは0〜3の整数を表す。さらに一般式(IV)において、Y2は単結合又はメチレン又は炭素数2〜10のアルキレンを表す。
本発明では、上記一般式(II)において、Y1が炭素数2〜6のアルキレンを表し、R7が水素又は炭素数1〜3のアルキルを表し、特にメチルを表すことが好ましく、また一般式(III)において、X1は−CH2CH2CH2−を表し、Yは−OCH2CH2−を表し、pは0又は1を表し、R8が水素又は炭素数1〜3のアルキルを表し、特にメチルを表すことが好ましく、さらに一般式(IV)においてY2が単結合又はメチレンもしくはエチレンを表すことが好ましい。
このような好ましいラジカル重合性官能基としては、例えばメタクリロキシプロピルが挙げられる。
前記一般式(I)におけるnは0〜1,000の整数を表す。nは、例えば本発明の重合体における溶剤への溶解性に応じて適宜決めることができる。nは、0〜500であることが好ましく、0〜200であることがより好ましい。
前記単量体(a)には、例えば特許第2655683号公報に開示されているように、含フッ素炭化水素基を有するシラノールとヘキサメチルシクロトリシロキサンとを重合させ、付加重合性官能基を有するクロロシランを反応させて重合を停止することによって得ることができる。前記単量体(a)には、好ましくは下記一般式(I−1)及び(I−2)(いずれもnは0〜500を表し、R9は水素又はメチルを表す)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008208243
<架橋性官能基及び付加重合性官能基を有する付加重合性単量体(b)>
前記の架橋性官能基及び付加重合性官能基を有する付加重合性単量体(b)は、架橋性官能基及び付加重合性官能基を含む化合物である。前記単量体(b)の付加重合性官能基は、少なくとも単量体(b)と前記単量体(a)とを付加重合させるための官能基であり、ラジカル重合性官能基であることが好ましい。単量体(b)は、一又は二以上の付加重合性官能基を有していてよい。単量体(b)の付加重合性官能基及びラジカル重合性官能基には、単量体(a)と同様の付加重合性官能基及びラジカル重合性官能基を適用することができる。
前記架橋性官能基は、本発明の重合体において、本発明の重合体と他の成分とを含有する組成物としたときに、この他の成分と架橋することができる官能基から決めることができる。単量体(b)は、一又は二以上の架橋性官能基を有していてよい。かかる架橋性官能基の例には、グリシジル及びエポキシシクロヘキシル等のエポキシやオキセタニル等の環状エーテルを含む一価の官能基、イソシアネート、酸無水物、カルボキシル、アミン、ハロゲン化アルキル、チオール、シロキシならびにヒドロキシル等が含まれるが、好ましくは環状エーテルを含む一価の官能基である。このような官能基には、グリシジルやエポキシシクロヘキシル等のエポキシや、オキセタニル及びジオキソランが挙げられる。
前記単量体(b)には、付加重合性単量体に前記架橋性官能基が導入された化合物を用いることができる。前記単量体(b)の具体例について、前記単量体(b)から前記架橋性官能基を除いた部分を構成する化合物(本発明における付加重合性単量体)としては、一又は二以上の付加重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、例えば、ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物が挙げられ、さらに具体的には、(メタ)アクリル酸誘導体及びスチレン誘導体、さらには後述する付加重合性単量体(c)で挙げられている化合物等が挙げられる。
さらに上記の(メタ)アクリル酸誘導体の例には、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルの他、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
前記単量体(b)の具体例としては、前述の架橋性官能基を有する前述の誘導体が挙げられる。例えば架橋性官能基として環状エーテルを含む一価の官能基を有する(メタ)アクリル酸誘導体である単量体(b)には、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有(メタ)アクリレート;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ含有(メタ)アクリレート;3−エチル−3−(メタ)アクリロイ
ルオキシメチルオキセタン等のオキセタニル含有(メタ)アクリレート;4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン等のジオキソラン含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
また前記単量体(b)の具体例として、例えば架橋性官能基を有するスチレン誘導体である単量体(b)には、o−アミノスチレン、p−スチレンクロロスルホン酸、スチレンスルホン酸及びその塩、ビニルフェニルメチルジチオカルバメート、2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)スチレン、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)スチレン、1−(2−((4−ビニルフェニル)メトキシ)−1−フェニルエトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンや、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008208243
また前記単量体(b)の具体例として、例えば架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートである単量体(b)には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート;γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン;(メタ)アクリレート−2−アミノエチル、2−(2−ブロモプロピオニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート;1−(メタ)アクリロキシ−2−フェニル−2−(
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ)エタン、1−(4−((4−(メタ)アクリロキシ)エトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
前記単量体(b)には、好ましくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び3−エチル−3−(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンが挙げられる。
<任意の付加重合性単量体(c)>
前記の単量体(a)及び単量体(b)に加え、樹脂との相溶性、レベリング性、共重合体中の架橋性官能基の含有量等をコントロールするため、必要に応じて前記単量体(a)及び単量体(b)以外の付加重合性単量体(c)も、本発明の効果が得られる任意の割合で併用することができる。
前記単量体(c)としては、1つ又は2つ以上の付加重合性二重結合等の付加重合性官能基を有し、前記単量体(b)における、本発明の重合体において架橋可能に存在する架橋性官能基を有さない化合物が挙げられる。このような単量体(c)としては、(メタ)アクリル酸及びその誘導体、及び1つ又は2つ以上の付加重合性二重結合を有し、前記架橋性官能基を有さないスチレン誘導体が挙げられる。かかる(メタ)アクリル酸誘導体には、;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアリールアルキル(メタ)アクリレート;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物;等が挙げられる。
上記の付加重合性二重結合を有し、前記架橋性官能基を有さない(メタ)アクリル酸誘導体には、さらに、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2−パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、及び2−パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、付加重合性二重結合を有し、前記架橋性官能基を有さない(メタ)アクリル酸誘導体には、シルセスキオキサン骨格を有する(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。かかるシルセスキオキサン骨格を有する(メタ)アクリル酸誘導体の具体例には、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(
3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル−ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記の付加重合性二重結合を有し、前記架橋性官能基を有さないスチレン誘導体には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、p−クロルスチレン;等が挙げられる。
上記の付加重合性二重結合を有し、前記架橋性官能基を有さないスチレン誘導体としては、さらに、シルセスキオキサンを含むスチレン誘導体が挙げられる。かかるシルセスキオキサンを含むスチレン誘導例には、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、及び1−(4−ビニルフェニル)−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン等の、4−ビニルフェニル基を有するオクタシロキサン(T8型シルセスキオキサン);及び、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタオクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−(3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル
)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、及び3−((3,5,7,9,11,13,15−ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン−1−イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン等の、4−ビニルフェニルエチル基を有するオクタシロキサン(T8型シルセスキオキサン);等が含まれる。
前記単量体(c)として、二つの付加重合性二重結合を有する化合物には、例えば1,3−ブタンジオールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、1,4−ブタンジオールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、1,6−ヘキサンジオールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ポリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ジエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ネオペンチルグリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、トリエチレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、トリプロピレングリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、トリメチロールプロパンと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ビス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]ビスフェノールA、ビス[(メタ)アクリロイルオキシエトキシ]テトラブロモビスフェノールA、ビス[(メタ)アクロキシポリエトキシ]ビスフェノールA、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)5,5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオールと(メタ)アクリル酸とのジエステル、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール化合物と(メタ)アクリル酸とのジエステル及びビス[(メタ)アクリロイルオキシプロピル]テトラメチルジシロキサン等のジ(メタ)アクリレート系単量体、ジビニルベンゼンが挙げられる。
二つの付加重合性二重結合を有する単量体(c)には、さらに、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン、及びアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどから誘導された主鎖を有し、二つの付加重合性二重結合を有するマクロ単量体も挙げられる。
前記単量体(c)として、付加重合性二重結合を三つ以上有する化合物には、例えばトリメチロールプロパンと(メタ)アクリル酸とのトリエステル、ペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのトリエステル、ペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのテトラエステル、ジペンタエリスリトールと(メタ)アクリル酸とのペンタエステル、トリス(2−ヒドロキシエチルイソシアネート)と(メタ)アクリル酸とのトリエステル、トリス(ジエチレングリコール)トリメレートと(メタ)アクリル酸とのトリエステル、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタエチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソブチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタイソオクチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタシクロペンチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14−トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチル
シロキシ)]−1,3,5,7,9,11,14−ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、オクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン及びオクタキス(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)オクタシルセスキオキサンが挙げられる。
付加重合性二重結合を三つ以上有する単量体(c)には、さらに、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン、及びアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどから誘導された主鎖を有し、重合性二重結合を三つ以上有するマクロ単量体も挙げられる。
<本発明の重合体>
本発明の重合体は、前記単量体(a)と前記単量体(b)とを必須とし、必要に応じて選択される前記単量体(c)を含んでいてもよい単量体を重合させてなる付加共重合体である。本発明の重合体は、ブロック共重合等の定序性共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。また、本発明の重合体は重合体内で既に架橋に供されている架橋構造を有していてもよいし、グラフト共重合体であってもよい。前記単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)は、それぞれ、単一の化合物であってもよいし、二種以上の化合物であってもよい。
本発明の重合体は、前記単量体(a)由来の構成単位(以下、構成単位(a))と前記単量体(b)由来の構成単位(以下、構成単位(b))とを含み、かつ必要に応じて用いることができる任意の単量体(c)由来の構成単位(以下、構成単位(c))を含むことが好ましい。本発明の重合体における、構成単位(a)と構成単位(b)及び構成単位(c)のモル比率は任意であり、(a):(b)=約0.001:99.999〜約99.999:0.001、(b):(c)=約0.001:99.999〜約99.999:0.001、(a):(c)=約0.001:99.999〜約99.999:0.001であれば良い。後述するように、本発明の重合体を表面改質剤として用いる場合には、(a):(b)=約1:99〜約99:1、(b):(c)=約1:99〜約99:1、(a):(c)=約1:99〜約99:1であることが好ましく、(a):(b)=約1:99〜約20:80、(b):(c)=約1:99〜約20:80、(a):(c)=約1:99〜約10:90であることがより好ましい。
本発明の重合体の重量平均分子量は、構成単位(a)の含有率等によって異なるが、目安として約1,000〜100万である。一方、本発明の重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、目安として約1.01〜2.5程度である。
また本発明の重合体に含まれる架橋性官能基を有する付加重合性単量体由来の構成単位(b)の割合は特に制限されず、本発明の重合体を塗布剤として使用する際に配合するマトリックス樹脂であるエポキシ系樹脂との結合性を図る上で、マトリックス樹脂又はその単量体との好ましい反応性が得られる程度の、架橋性官能基を含むことが好ましい。
本発明の重合体は、前述した単量体(a)及び単量体(b)及び単量体(c)が付加重合した構造であって、単量体(b)の架橋性官能基の少なくとも一部が架橋せずにそのまま維持されている構造を有する。本発明の重合体は、前記架橋性官能基を架橋反応させずに前記単量体(a)及び単量体(b)及び単量体(c)を付加重合させることによって得ることができる。又は本発明の重合体は、前記架橋性官能基が適当な保護基で保護されている単量体(b)と前記単量体(a)及び単量体(c)とを付加重合させ、得られた付加共重合体から前記保護基を脱保護することによって得ることができる。又は本発明の重合体は、前記単量体(a)を含む単量体を付加重合させてなる付加共重合体であって、重合体の主鎖に結合する特定の反応性基を有する重合体に、前記反応性基と反応して前記架橋
性官能基となる化合物を反応させることによって得ることができる。本発明の重合体の製造方法は、各官能基の種類と反応性とに応じて適宜選択することができる。
より好ましくは、本発明の重合体は、前記単量体(a)、前記単量体(b)及び必要に応じて用いることのできる任意の単量体(c)をモノマー原料として、それらを付加重合させることで得ることができる。
モノマー原料に含まれる前記単量体(a)、単量体(b)及び単量体(c)のモル比率は、目的とする重合体に応じて適宜決定すればよい。
前記単量体(b)として複数種の単量体を用いる場合は、各々の単量体の比率は、目的とする共重合体の特性に応じて適宜決定すればよい。そして簡便性と汎用性に鑑みると、ラジカル共重合が好ましい。
付加重合は、重合開始剤を用いて行うことができる。用いられる重合開始剤の例には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート等の過酸化物;及びテトラエチルチウラムジスルフィド等のジチオカルバメート;等のラジカル重合開始剤が含まれる。
さらに重合反応の例には、リビングラジカル重合、及び光重合等が含まれる。
リビングラジカル重合は、原子移動ラジカル重合;可逆的付加開裂連鎖移動;ヨウ素移動重合;イニファータ重合に代表され、以下の文献A〜Cに記載されている重合開始剤又は触媒を用いて行うことができる。
・文献A: 蒲池幹治、遠藤剛監修、ラジカル重合ハンドブック、1999年8月10日発行、エヌティーエス発行)。
・文献B: HANDBOOK OF RADICAL POLYMERIZATION, K. Matyjaszewski, T. P. Davis, Eds., John Wiley and Sons, Canada 2002
・文献C: 特開2005−105265号公報
光重合は、文献Dに記載の化合物を光重合開始剤として用いて行うことができる。
・文献D: フォトポリマー懇話会編、感光材料リストブック、1996年3月31日、ぶんしん出版発行)。
用いられる光重合開始剤の具体例としては、紫外線や可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。光重合開始剤として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2
−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、等が挙げられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が好ましい。
上記の付加重合において用いられる重合開始剤の量は、単量体の総モル数に対して約0.01〜10mol%とすればよい。
また前記付加重合において、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることで、分子量を適切に制御することができる。連鎖移動剤の例には、チオ−β−ナフトール、チオフェノール、ブチルメルカプタン、エチルチオグリコレート、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、イソプロピルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ドデカンチオール、チオリンゴ酸、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトアセテート)等のメルカプタン類;ジフェニルジサルファイド、ジエチルジチオグリコレート、ジエチルジサルファイド等のジサルファイド類;等のほか、トルエン、メチルイソブチレート、四塩化炭素、イソプロピルベンゼン、ジエチルケトン、クロロホルム、エチルベンゼン、塩化ブチル、s−ブチルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化プロピレン、メチルクロロホルム、t−ブチルベンゼン、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、酢酸、酢酸エチル、アセトン、ジオキサン、四塩化エタン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、t−ブチルアルコール、ベンゼン等が含まれる。特にメルカプト酢酸は、重合体の分子量を
下げて、分子量分布を均一にさせ得る。
連鎖移動剤は単独でも、又は2種以上を混合しても使用することができる。
本発明の重合体の具体的な製造方法は、通常の付加重合体の製造方法と同様にすればよく、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、塊状−懸濁重合法、超臨界CO2を用いた重合法を用いることができる。溶液重合法による場合には、適切な溶媒中に、前記単量体(a)、単量体(b)、必要に応じて用いられる任意の単量体(c)と、さらに重合開始剤、及び連鎖移動剤等を溶解して、加熱又は光を照射して付加重合反応させればよい。
上記の重合反応に用いられる溶媒の例には、炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン等)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶媒(炭素数2〜4、5及び6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α−トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、水が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
用いられる溶媒の量は、単量体濃度を約10〜80重量%とする量であることが好ましい。
反応温度は特に制限されず、目安として約0〜200℃であればよく、室温〜約150℃が好ましい。重合反応は、単量体の種類や、溶媒の種類に応じて、減圧、常圧又は加圧下で行うことができる。
重合反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。発生したラジカルが酸素と接触して失活し、重合速度が低下するのを抑制し、分子量が適切に制御された重合体を得るためである。さらに重合反応は、減圧下で溶存酸素を除去された重合系内で行われることが好ましい(減圧下で溶存酸素を除去した後、そのまま減圧下において重合反応を行ってもよい)。
溶液中に得られた重合体は、常法により精製又は単離されてもよく、その溶液のまま塗膜形成等に用いられてもよい。
本発明の重合体を精製する場合は、再沈殿操作による精製法が好ましい。この精製法は次のように行われる。まず、重合体及び未反応の単量体を含む重合反応液に、重合体は溶解しないけれども未反応の単量体は溶解するような溶剤、いわゆる沈殿剤をこの溶液に加えて重合体のみを沈殿させる。沈殿剤の好ましい使用量は、前記の重合反応液の重量に基づいて例えば20〜50倍である。
好ましい沈殿剤は、重合時に用いる溶剤と相溶し、重合体を全く溶解せず、未反応の単
量体のみを溶解し、沸点も比較的低い溶剤である。好ましい沈殿剤の例は低級アルコール類及び脂肪族炭化水素である。特に好ましい沈殿剤はメタノール、エタノール、2−プロパノール、ヘキサン、及びヘプタンである。これらは単独で使用しても、2種類以上を混合して使用してもよい。また、混合して使用する場合は、日本アルコール販売株式会社より、変性アルコールとして市販されているソルミックスAP−1、A−11等を購入して使用してもよい。そして、未反応単量体の除去効率をさらに上げるためには、再沈殿操作の繰り返し回数を多くすればよい。この方法により、重合体のみを貧溶剤中で析出させることが可能であり、濾過操作によって容易に未反応単量体と重合体とを分離することができる。
<重合体の用途>
本発明の重合体は任意の用途に用いられるが、必要に応じて他の樹脂を組み合わせて、各種の成形加工(プレス成形、押出成形、射出成形、圧縮成形、等)によって成形して、成形品として用いることができる。
また本発明の重合体は、必要に応じて他の樹脂、又は樹脂単量体を組み合わせて、各種の溶媒に溶解又は分散させて、表面改質剤(いわゆるコーティング材料)等の表面処理剤として用いることもできる。本発明では、本発明の重合体以外の樹脂を「マトリックス樹脂」という場合がある。マトリックス樹脂としては、架橋性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等が利用でき、これらは、目的、用途に応じて使い分けることができる。また、前記マトリックス樹脂を形成する単量体を「マトリックス樹脂単量体」という場合がある。前記マトリックス樹脂単量体から形成される本発明の重合体以外の樹脂もマトリックス樹脂として利用できる。マトリックス樹脂は、これらの樹脂を併用してもよい。本発明の表面処理剤におけるマトリックス樹脂の含有量は、本発明の重合体とマトリックス樹脂とが架橋した複合樹脂の場合では、総量で90〜99.99重量%であることが好ましい。
表面改質剤として用いるとは、
1)本発明の重合体を単独で含む溶液又は分散液を固体に塗布して、コーティング膜(皮膜)を形成すること、
2)本発明の重合体と、マトリックス樹脂とを含む溶液又は分散液を固体に塗布し、乾燥や硬化反応、架橋反応等の、前記の得られた塗膜を固化させ、本発明の重合体とマトリックス樹脂とからなるコーティング膜を形成すること、及び
3)本発明の重合体と、マトリックス樹脂単量体とを含む溶液又は分散液を固体に塗布して、本発明の重合体とマトリックス樹脂単量体とを重合させることで、本発明の重合体とマトリックス樹脂とからなるコーティング膜を形成すること、を含む。
本発明の表面処理剤は、
4)本発明の重合体と、前記架橋性官能基と架橋可能な構造を有する、本発明の重合体以外の架橋性樹脂(マトリックス樹脂)とを含む溶液又は分散液を固体に塗布し、これらの樹脂を架橋させて、本発明の重合体とマトリックス樹脂とが架橋してなる複合樹脂からなるコーティング膜を形成すること、及び
5)本発明の重合体と、本発明の重合体に対して架橋反応し得る、前記架橋性官能基と架橋可能な構造を有する架橋性樹脂の単量体(マトリックス樹脂単量体)とを含む溶液又は分散液を固体に塗布して、本発明の重合体とマトリックス樹脂単量体とを重合させかつ架橋させることで、本発明の重合体とマトリックス樹脂とが架橋してなる複合樹脂からなるコーティング膜を形成すること、であることがより好ましい。
4)、5)において、マトリックス樹脂とマトリックス樹脂単量体とを併用してもよい。
例えば、基板上でのコーティング膜の形成は、本発明の重合体を含む溶液(塗布溶液)
を基板に塗布して乾燥させることによって行うことができ、また本発明の樹脂組成物又はその溶液を基板に塗布して乾燥させることによって行うことができ、さらに前記マトリックス樹脂が架橋性樹脂である場合では、本発明の樹脂組成物又はその溶液を基板に塗布して前記架橋性官能基を架橋させることによって行うことができ、さらには前記マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂である場合では、本発明の樹脂組成物又はその溶液を基板に塗布して加熱によってマトリックス樹脂を硬化させることによって行うことができる。形成されるコーティング膜は、高い撥水・撥油性を有し、低い表面自由エネルギーを有する。この高い撥水性及び撥油性、ならびに低い表面自由エネルギーは、形成されるコーティング膜の表面に、フッ素系ケイ素化合物由来のフッ素原子が偏在するために発現されると考えられる。
前記マトリックス樹脂及びその単量体は、それぞれ一種でもよいし二種以上でもよく、熱可塑性樹脂及びその単量体であってもよいし、架橋性樹脂及びその単量体であってもよいし、熱硬化性樹脂及びその単量体であってもよいし、熱可塑性と架橋性とを有する樹脂及びその単量体であってもよいし、熱硬化性と架橋性とを有する樹脂であってもよい。本発明では、マトリックス樹脂とマトリックス樹脂単量体とを併用してもよい。
前記マトリックス樹脂としての架橋性樹脂は、前記架橋性官能基と反応する官能基又は主鎖中の構造のような、前記架橋性官能基と架橋可能な構造を有していればよい。前記架橋可能な構造は、本発明の重合体が有する架橋性官能基の少なくとも一個が架橋するのに十分な数だけ前記マトリックス樹脂中に存在していればよい。架橋可能な構造には、例えば前記単量体(b)の架橋性官能基と同様の官能基の一種又は二種以上が挙げられる。
前記の通り、本発明の重合体は、前記1)のように単独で表面改質剤として用いてもよいが、前記2)のように他のマトリックス樹脂と混合させて表面改質剤として用いてもよく、前記3)のようにマトリックス樹脂を形成する単量体と混合させて表面改質剤として用いてもよい。
前記2)のように、本発明の重合体を他のマトリックス樹脂と混合させて用いると、その樹脂本来の特性(力学物性、表面・界面特性、相溶性等)を改質することができる。
表面改質剤として用いる場合では、前記マトリックス樹脂は熱硬化性樹脂であることが、樹脂組成物から形成される樹脂膜の機械的強度や熱的特性を向上させる観点から好ましい。マトリックス樹脂に熱硬化性樹脂を用いる場合では、前記架橋性官能基による架橋と熱硬化性樹脂の硬化又は熱硬化性樹脂の単量体の重合及び硬化とは、別々に行われてもよいが、製造プロセスの簡略化の観点から、架橋、硬化、及び重合・架橋の全てが同一条件で行われることが好ましい。
マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド(ナイロン6:デュポン社商品名、ナイロン6,6:デュポン社商品名、ナイロン6,10:デュポン社商品名、ナイロン6,T:デュポン社商品名、ナイロンMXD6:デュポン社商品名等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシラート、等)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、フッ素樹脂(ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、等)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリラート(Uポリマー:ユニチカ(株)商品名、ベクトラ:ポリプラスチックス(株)商品名、等)、ポリイミド(カプトン:東レ(株)商品名
、AURUM:三井化学(株)商品名、等)、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ビスマレイミド樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
また前記3)のように、本発明の重合体を、マトリックス樹脂単量体と混合させて用いてもよい。特に、架橋性官能基を有する本発明の重合体と、マトリックス樹脂単量体とを混合させて用いると、硬化により得られる樹脂と本発明の重合体が架橋結合され、その結果、力学物性、表面・界面特性、相溶性に優れた複合樹脂を得ることができる。
具体的には、架橋性官能基を有する本発明の重合体と、マトリックス樹脂を形成する単量体と、さらに必要に応じて硬化反応開始剤(例えば酸発生剤)を含む溶液を基板に塗布し、塗膜を乾燥及び硬化させることで、マトリックス樹脂との複合樹脂からなるコーティング膜(複合膜)を基板上に形成することができる。
形成される複合膜は、高い撥水・撥油性を有し、低い表面自由エネルギーを有する。これは複合膜の表面層に、本発明の重合体に含まれるフッ素系ケイ素化合物のフッ素原子が偏在するためであると考えられる。
マトリックス樹脂単量体の好ましい例には、エポキシ樹脂を形成する単量体が含まれる。形成されるエポキシ樹脂は、脂肪族エポキシ樹脂及び芳香族エポキシ樹脂のいずれでもよい。したがって、マトリックス樹脂単量体は、例えば以下に示されるエポキシ樹脂を形成する単量体であり得る。
形成されるエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジシクロペンタン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル−3,3’,5,5’−テトラメチエルビフェニル、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン、及び1,1’−ビナフトール、1,1’−ビス(3−t−ブチル−6−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン等を原料とするエポキシ樹脂が含まれる。
さらに、形成されるエポキシ樹脂の例には、フェノール、o−クレゾール、カテコール等のフェノール類、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類との反応生成物のグリシジルエーテル化物であるフェノールノボラック系エポキシ樹脂;フェノール、クレゾール、メチル−t−ブチルフェノール等のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類との縮合により得られたトリチル骨格含有ポリフェノール類のポリグリシジルエーテル;トリチル骨格含有ポリフェノール類とホルムアルデヒド類との反応生成物であるトリメチル骨格含有ポリフェノール系ノボラック類のポリグリシジルエーテル;フェノール、o−クレゾール、カテコール等のフェノール類とキシリレンジクロリドや(ヒドロキシメチル)ベンゼン等類との反応生成物であるポリアラキルフェノール樹脂類のポリグリ
シジルエーテル;フェノール、o−クレゾール、カテコール等のフェノール類、又はヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ジシクロペンタジエンやリモネン等の不飽和脂環式炭化水素類との反応生成物のグリシジルエーテルである脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂型エポキシ樹脂又はポリナフトール樹脂型エポキシ樹脂;脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂類又はポリナフトール樹脂類とホルムアルデヒド類との反応生成物である脂環式水素含有ポリフェノールノボラック樹脂類又はポリナフトールノボラック樹脂類のポリグリシジルエーテル;フェノール類と芳香族カルボニル化合物との縮合反応により得られる多価フェノールのグリシジルエーテル化合物類;フロログリシン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,3−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン、1,4−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン等を基本骨格とする三価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル;カリックスアレーン等の環状フェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化合物等;p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、4−アミノメタクレゾール、6−アミノメタクレゾール、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−トルエンジアミン、2,6−トルエンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N−ジグリシジルアニリン等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂;p−オキシ安息香酸、m−オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル系化合物;5,5−ジメチルヒダントイン等から誘導されるヒダントイン系エポキシ化合物;2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロピル)シクロヘキシル]プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂;ポリブタジエン等の不飽和炭化水素化合物中の二重結合を酸化して得られる脂肪族エポキシ樹脂等が含まれる。
また、形成されるエポキシ樹脂は脂環族エポキシ樹脂であってもよい。その具体例には、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、又はシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキサンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物から得られるエポキシ樹脂である。
例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3
,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,2:8,9ジエポキシリモネン(商品名:CEL3000、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸ビス(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(商品名:エポリードGT301、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス−(3−シクロヘキセニルメチル)修飾ε−カプロラクトン(商品名:エポリードGT401、ダイセル化学株式会社)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物(商品名:EHPE3150、ダイセル化学株式会社)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロセキサン付加物と3,4ーエポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートとの混合物(商品名:EHPE3150CE、ダイセル化学株式会社)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(商品名:サイクロマーA400、ダイセル化学株式会社)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(商品名:サイクロマーM100、ダイセル化学株式会社)等のモノマーから得られるエポキシ樹脂、及び、エポキシ化ポリブタジエン(商品名:エポリードPB3600、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化熱可塑性エラストマー(商品名:エポフレンド、ダイセル化学株式会社)等に代表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
さらに、上記エポキシ樹脂には、脂肪族多価アルコール又はそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルから得られるエポキシ樹脂;脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステルから得られるエポキシ樹脂;グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成したホモポリマー;グリシジルアクリレート、又はグリシジルメタクリレートとその他のビニルモノマーとのビニル重合により合成したコポリマー等が挙げられる。
上記ポリグリシジルエーテルには、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル等が挙げられる。
また上記ポリグリシジルエステルには、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに、1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが挙げられる。
さらに上記エポキシ樹脂には、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、又はこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテルから得られるエポキシ樹脂;高級脂肪酸のグリシジルエステルから得られるエポキシ樹脂;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等から得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
本発明の重合体と組み合わせられるマトリックス樹脂単量体は、前述したエポキシ樹脂を形成する単量体であればよいが、さらに、以下に示される化合物であってもよい。
即ち前記マトリックス樹脂の単量体には、トリメチレンオキサイド、3,3−ジメチル
オキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン等のオキセタン化合物;テトラヒドロフラン、2,3−ジメチルテトラヒドロフラン等のトリオキサン;1,3−ジオキソラン、1,3,6−トリオキサシクロオクタン等の環状エーテル化合物;β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン等の環状ラクトン化合物;エチレンスルフィド等のチイラン化合物;トリメチレンスルフィド、3,3−ジメチルチエタン等のチエタン化合物;テトラヒドロチオフェン誘導体等の環状チオエーテル化合物;エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物;スピロオルトカーボナート化合物;環状カーボナート化合物;エチレングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4−ジヒドロピラン−2−メチル(3,4−ジヒドロピラン−2−カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物、アミノ基、ヒドロキシル、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシルを有するポリジメチルシロキサン、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドからなるブロック共重合体等)、フッ素化ポリアルキレンオキサイド(ポリフルオロエチレンオキサイド、ポリフルオロプロピレンオキサイド等)等がさらに挙げられる。
前述の通り、架橋性官能基を有する本発明の重合体は、マトリックス樹脂(例えばエポキシ樹脂)を形成する単量体とともに、硬化反応開始剤(例えば酸発生剤)を組み合わせて用いることができる。
硬化反応開始剤に制限はなく、例えば活性エネルギー線照射や熱エネルギーによりカチオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物を用いることができる。硬化反応開始剤の例には、カルボン酸、アミン、酸無水物化合物や酸発生剤等が含まれ、好ましくはルイス酸を放出するオニウム塩である複塩又はその誘導体である。
硬化反応開始剤の代表的なものとしては、下記一般式で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
[A]m+[B]m-
上記一般式において、陽イオン[A]m+はオニウムイオンであることが好ましく、例えば下記一般式で表される。
[(α)aQ]m+
αは炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機基を表す。aは1〜5の整数を表す。a個のαは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つのαは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団を表す。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qである(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
一方、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、例えば下記一般式で表される。
[LXbm-
Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属又は半金属(Metalloid)を表し、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲン原子を表す。bは3〜7の整数を表す。また、陰イオン[B]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pである。
上記一般式で表される陰イオン[LXbm-には、テトラフルオロボレート(BF4)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)等が挙げられる。
また陰イオン[B]m-は、下記一般式で表されるものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。
[LXb-1(OH)]m-
陰イオン[B]m-には、さらに過塩素酸イオン(ClO4-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン等が挙げられる。
本発明における硬化反応開始剤は、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)に例示される芳香族オニウム塩であることがさらに好ましい。これらの中から、その1種を単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のジアリールヨードニウム塩
(ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリアリールスルホニウム塩
さらに、本発明における硬化反応開始剤は、鉄−アレーン錯体又はアルミニウム錯体と、トリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物であってもよい。鉄−アレーン錯体には、(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェート等が含まれ、アルミニウム錯体の例には、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等が挙げられる。
これらの中でも実用面の観点から、本発明における硬化反応開始剤は、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体であることが好ましい。
硬化反応開始剤(好ましくは酸発生剤)の含有量は、例えばマトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合には、本発明の重合体とエポキシ樹脂単量体が有するエポキシ基10〜500モルに対して、1モルであることが好ましい。
前述の通り、本発明の重合体は溶媒に溶解又は分散させて、表面改質剤として用いることができる。表面改質剤に含まれる固形分(本発明の重合体や他の樹脂等を含む)の濃度は特に制限されないが、1〜50重量%であればよい。
本発明の重合体を溶解又は分散させる溶媒は、特に制限されないが、50℃〜200℃の沸点を有する化合物を20重量%以上含有することが好ましい。溶媒に含まれる、50℃〜200℃の沸点を有する化合物は、一種類であっても、二種以上の組み合わせでもよい。
50℃〜200℃の沸点を有する化合物には、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン等のケトン;酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等の脂肪族エステル;ジオキサン等の環状エーテル;シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族;環状エステル;N,N−ジメチルアセトアミド等が挙げられる。
さらに、50℃〜200℃の沸点を有する化合物には、グリコール又はその誘導体が含まれる。グリコールの例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。
グリコール誘導体には、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、等のグリコールモノエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールモノエーテルアセテート;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールジメチルエーテル;等が挙げられる。
これらのうち、塗布溶液の溶媒の好ましい例には、塗布均一性を高めるという点で、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、及び乳酸エチルが含まれる。さらに、人体への安全性を考慮すると、溶媒の好ましい例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、及び乳酸エチルが含まれる。
また、前記塗布溶液を、スリットコーター(大型基板へ塗布するために好ましく使用される)で基板等の基材に塗布する場合には、その塗布均一性を高めるという点で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒;3−メトキシプロピオン酸メチルとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと3−メトキシプロピオン酸メチルとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒を用いることが好ましい。
本発明の樹脂組成物を含む溶液を基材に塗布する方法は、特に制限されないが、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等がある。
塗布される基材の例には、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板;ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、塩化ビニール樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂製シート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;その他セラミック板、光電変換素子を有する半導体基板が含まれる。
これらの基材は前処理をされていてもよく、前処理の例には、シランカップリング剤等による薬品処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、紫外線処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等が含まれる。
塗布された溶液の乾燥は、室温〜200℃の環境下で行うことができる。
塗布溶液は、前記溶媒中に本発明の重合体、及び必要に応じて任意の成分を混合・溶解させることで製造される。
得られる複合樹脂における本発明の重合体の含有率は、特に制限はないが、0.01〜10重量%であることが好ましい。複合樹脂におけるフッ素含有率を適切に制御するためである。また、複合樹脂中のフッ素濃度は、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であることが好ましい。
該複合樹脂からなる皮膜は、高い撥水性や撥油性を有し、低い表面自由エネルギーを有する。
次に本発明の樹脂膜を得るためのフッ素系重合体組成物、当該フッ素系重合体組成物を含む表面処理剤、及び該表面処理剤より得られるコーティング膜について説明する。
本発明の表面処理剤は、本発明の重合体と、前記マトリックス樹脂又はその単量体と、必要に応じて前述の溶剤とを含有する。本発明の表面処理剤は、本発明の重合体を、本発明の重合体中の前記単量体(a)に由来するフッ素原子として0.01〜5重量%含有することが好ましい。本発明の表面処理剤におけるマトリックス樹脂には前述したエポキシ樹脂が好ましくは用いられる。
形成されるエポキシ樹脂と本発明の重合体との配合比は特に制限されないが、本発明の重合体の過剰に使用しないことは、費用効率の面から好ましい。従って本発明の表面処理剤中の本発明の重合体の含有濃度は、フッ素原子として0.01〜5重量%となるように配合するのが好ましく、さらにフッ素原子として0.01〜3重量%となるように配合するのが実用的である。
本発明のコーティング膜を得るためのフッ素系重合体組成物、当該フッ素系重合体組成物を含む表面処理剤には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、他の添加剤、例えば、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び/又は電磁波防止剤を含んでいてもよい。
当該表面処理剤に用いられる硬化反応開始剤は、上記の酸発生剤が好ましく選択され、その含有量は、共重合体とエポキシ樹脂形成用原料組成物が有するエポキシ基10〜500molに対して、1molであることが好ましい。
本発明の表面処理剤に含有されていてもよい溶剤としては、前述した50℃〜200℃の沸点を有する化合物、及びフロン系溶剤の一種又は二種以上を用いることができる。前記フロン系溶剤には、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶剤(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶剤(炭素数2〜4、5及び6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶剤(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶剤(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶剤(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶剤(α,α,α−トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)等が挙げられる。
上記のように、溶媒としてフロン系有機溶剤を使用することもできるが、環境的配慮に鑑みると、非フロン系有機溶剤であることが好ましい。汎用的には、例えば、MEK(2−ブタノン)、CHN(シクロヘキサノン)、MMP(3−メトキシプロピオン酸メチル)、IPA(2−プロパノール)を含む群から選ばれた2種以上の混合溶媒が好適に使用でき、具体的には、MEK、MMP及びIPAの混合溶媒、あるいはMEK、CHN、MMP及びIPAの混合溶媒が挙げられる。それらの配合比は上記エポキシ樹脂の種類及び共重合体の種類、レベリング性の改善等必要に応じて適宜調整するのが好ましい。
上記の混合溶媒において、塗布均一性を高めるという点で、さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル等を配合するのが好ましい。中でも、人体への安全性を考慮すると、溶媒の好ましい例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル等を配合するのが好ましい。
本発明においては、上記の表面処理剤には、本発明の重合体、前記マトリックス樹脂又はその単量体、硬化開始剤及び溶媒の他に、必要により且つ本発明の効果が得られる範囲で、任意の成分を混合・溶解させることができる。以上のようにして得られる表面処理剤の不揮発成分の濃度は特に制限されないが、通常、1〜50重量%とされ、実用的には、5〜20重量%程度であることが好ましい。
本発明の樹脂膜は、本発明の表面処理剤より得られる。より詳しくは、本発明の表面処理剤の膜であってもよいし、乾燥、架橋、硬化等によってこの膜を固化させたであってもよい。本発明の表面処理剤の膜は、基材に溶液を塗布して溶液の膜を形成する公知の方法によって形成することができる。
上記の表面処理剤を前記の基材に塗布する方法は、特に制限されないが、スピンコート
法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
前記表面処理剤の膜における前記架橋性官能基と前記マトリックス樹脂との架橋は、前記表面処理剤が本発明の重合体と前記マトリックス樹脂とを含有する場合には、架橋性官能基とマトリックス樹脂中の架橋可能な構造とが架橋する条件に前記表面処理剤の膜を置くことによって行うことができる。このような条件としては、加熱及び光照射等が挙げられる。本発明においては、表示素子の製造において通常行われている樹脂膜の焼成条件の加熱で前記の架橋が行われることが好ましい。
前記表面処理剤が本発明の重合体と前記マトリックス樹脂の単量体とを含有する場合には、上記の架橋の条件に加えて、マトリックス樹脂の単量体が重合する条件に前記膜を置くことによって本発明の樹脂膜が形成される。マトリックス樹脂の単量体は、加熱及び光照射等の条件によって重合させることができる。本発明の樹脂膜においては、前記の架橋のための条件と、マトリックス樹脂の単量体を重合させる条件とが同じ条件であることが、製造工程の簡略化の観点から、好ましい。
上記の表面処理剤の塗布量は、焼成後のコーティング膜の厚さとして通常、0.1〜20μmであることが好ましく、実用的には0.3〜3μm程度であることがより好ましい。
この表面処理剤(離型剤溶液)の塗布後の焼成条件は、前記マトリックス樹脂の硬化条件及び基材の耐熱性を考慮して設定することができる。例えば、前記マトリックス樹脂が前記エポキシ樹脂である場合には、焼成温度は通常120〜200℃であることが好ましく、実用的には130〜180℃であることがより好ましい。焼成時間は上記の樹脂膜の厚さ、基材の種類、基材の厚み及び焼成温度により加減されるが、通常、基材にプラスチックフィルムを使用した場合、15〜600秒であることが好ましい。より具体的には、例えば焼成温度が150℃で、前記樹脂膜の膜厚が1μm、基材として厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した場合、45〜600秒で十分である。
本発明の樹脂膜は、そのもののみ、又は公知の適当な添加物の添加によって、種々の特性を発現させることができ、このような特性を要する種々の用途で用いることができる。このような特性には、撥水撥油性及び滑り性に加えて、汚防性、非粘着性、離型性、耐磨耗性、耐蝕性、電気絶縁性、反射防止特性、難燃性、帯電防止特性、耐薬品性、耐候性等が挙げられ、本発明の樹脂膜の用途としては、剥離用コーティング膜、撥水・撥油コーティング膜、汚れ防止コーティング膜、摺動コーティング膜、反射防止コーティング膜及び絶縁コーティング膜等が挙げられる。
また本発明の樹脂膜は、前記単量体(a)由来の構造が樹脂膜の表面近傍に存在すると思われることから、樹脂膜中の分子の向きを整える処理が施されることによって、上記の特性の少なくとも一部が向上される。このような処理としては、ラビング布で一方向に擦るラビング配向処理等が挙げられる。
以下において、実施例等を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、これらの記載により本発明の範囲が限定されることはない。なお、本実施例における重量平均分子量のデータは、ポリ(メタクリル酸メチル)を標準物質としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)によって求めた。
[実施例1]
重合体(A1)の合成
<重合>
還流冷却器、温度計、滴下漏斗及びアルゴンバブリング用のシリンジ付きのセプタムキャップを取り付けた内容積50mLの三口フラスコに、下記一般式(I−3)で表されるフッ素系ケイ素化合物(分子量約6,000)(a−1)を3.78g、メチルメタクリレート(MMA)を5.46g、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(M100)を1.26g、2−ブタノン(MEK)を19.43g導入し、窒素シールした。95℃に保ったオイルバスに三口フラスコをセットしてその内容物を還流させ、10分間脱酸素を行った。次いで0.0421gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)と0.0236gのメルカプト酢酸(AcSH)を0.5916gのMEKに溶解させた溶液を三口フラスコ内に導入し、還流温度に保ったまま重合を開始した。3時間重合した後、0.0421gのAIBNを0.3790gのMEKに溶解させた溶液を三口フラスコ内に導入し、さらに2時間重合を継続した。重合終了後、重合液に変性アルコール(ソルミックスAP−1、日本アルコール販売(株)製)を15mL加えた後、300mLのソルミックスAP−1に注ぎ込んで重合体を析出させた。上澄みを除去し、減圧乾燥(80℃、5時間)させて10gの重合体(A1)を得た。得られた重合体のGPC分析により求めた重量平均分子量は45,000、分子量分布は2.08であった。また重合体(A1)の1H−NMR測定より求めたモノマー成分の組成モル分率は化合物(a−1):MMA:M100=0.8:87.7:11.5であった。
Figure 2008208243
[比較例1]
重合体(B1)の合成
<重合>
フッ素系ケイ素化合物(a−1)に代えて、下記一般式(V)で表される片末端メタクリロキシプロピル基変性ジメチルシリコーン(FM−0721、チッソ社製、分子量約6,000)(b−1)を用いて、実施例1と同様の操作により、10gの重合体(B1)を得た。得られた重合体のGPC分析により求めた重量平均分子量は37,000、分子量分布は1.73であった。また重合体(B1)の1H−NMR測定より求めたモノマー成分の組成モル分率は化合物(b−1):MMA:M100=0.8:88.4:10.8であった。
Figure 2008208243
[実施例2]
コーティング液及びコーティング膜の調製
得られた重合体(A1)を1.01g、及びEHPE3150CE(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物と(3’4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート の混合物、エポキシ当量:151g/mol,ダイセル化学工業株式会社製)9.07gを、混合溶剤(2−ブタノン/シクロヘキサノン/3−メトキシプロピオン酸メチル/2−プロパノール=重量比50/20/15/15)90.71gに溶解させた。さらに、硬化剤としてカチオン重合開始剤サンエイドSI−60(三新化学工業株式会社製)0.082g(エポキシ基/カチオン重合開始剤=379/1(モル比)、エポキシ量:60.1mmol)を加え、コーティング液を得た。
得られたコーティング液の樹脂固形分中のフッ素濃度は、0.16重量%であり、樹脂固形分中のケイ素化合物濃度は、3.0重量%であった。「樹脂固形分中のフッ素濃度」及び「樹脂固形分中のケイ素化合物濃度」とは、重合体(A1)とEHPE3150CEとの総重量に対する、重合体(A1)に含まれるフッ素及びケイ素化合物の重量の比率を意味し、重合体(A1)中のフッ素の重量の比率、重合体(A1)中のケイ素化合物の重量の比率、及び重合体(A1)とEHPE3150CEの重量比から計算した。
得られたコーティング液を、コーティングロッド(#4、R.D.スペシャリティーズ社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:75μm 銘柄名:ルミラーT−60、東レ株式会社製)上に塗布した。得られた塗膜を、高温チャンバーで150℃、10分間硬化・乾燥させて、膜厚約0.9μmの透明なコーティング膜を得た。
[実施例3]
コーティング液及びコーティング膜の調製
重合体(A1)を0.60g、及びEHPE3150CEを9.48gに変更した以外は実施例2と同様にコーティング液を調製し、コーティング膜を得た。得られた樹脂固形分中のフッ素濃度は、0.10重量%であり、樹脂固形分中のケイ素化合物濃度は、1.8重量%であった。
[実施例4]
コーティング液及びコーティング膜の調製
重合体(A1)を0.25g、及びEHPE3150CEを9.83gに変更した以外は実施例2と同様にコーティング液を調製し、コーティング膜を得た。得られた樹脂固形分中のフッ素濃度は、0.04重量%であり、樹脂固形分中のケイ素化合物濃度は、0.8重量%であった。
[比較例2]
コーティング液及びコーティング膜の調製
重合体(A1)を重合体(B1)に変更した以外は実施例2と同様にコーティング液を調製し、コーティング液を得た。得られたコーティング液の樹脂固形分中のケイ素化合物濃度は、3.0重量%であった。
得られたコーティング液を用いて、実施例2と同様にコーティング膜を作製し、膜厚約0.9μmの透明なコーティング膜を得た。
[比較例3]
コーティング液及びコーティング膜の調製
重合体(B1)を0.60g、及びEHPE3150CEを9.48gに変更した以外は比較例2と同様にコーティング液を調製し、コーティング膜を得た。得られた樹脂固形分中のケイ素化合物濃度は、1.8重量%であった。
[比較例4]
コーティング液及びコーティング膜の調製
重合体(B1)を0.25g、及びEHPE3150CEを9.83gに変更した以外は比較例2と同様にコーティング液を調製し、コーティング膜を得た。得られた樹脂固形分中のケイ素化合物濃度は、0.8重量%であった。
[実施例5]
コーティング膜のラビング配向処理
表面性試験機 HEIDON Type:14FW (新東科学株式会社製)のASTM平面圧子にラビング布(吉川化工株式会社製レーヨン:YA−18−R)を移動方向と布目方向が一致するように巻きつけ、これを200gの垂直荷重にて、実施例2で得られたコーティング膜の表面を300mm/minの移動速度で同一方向に20回移動させて、ラビング配向処理を施したコーティング膜を得た。
[実施例6]
コーティング膜のラビング配向処理
実施例3で得られたコーティング膜を実施例5と同様の操作でラビング配向処理を施したコーティング膜を得た。
[実施例7]
コーティング膜のラビング配向処理
実施例4で得られたコーティング膜を実施例5と同様の操作でラビング配向処理を施したコーティング膜を得た。
[比較例5]
コーティング膜のラビング配向処理
実施例2で得られたコーティング膜を比較例2で得られたコーティング膜に変更した以外は実施例5と同様の操作でラビング配向処理を施し、ラビング配向処理を施したコーティング膜を得た。
[比較例6]
コーティング膜のラビング配向処理
比較例3で得られたコーティング膜を比較例5と同様の操作でラビング配向処理を施したコーティング膜を得た。
[比較例7]
コーティング膜のラビング配向処理
比較例4で得られたコーティング膜を比較例5と同様の操作でラビング配向処理を施したコーティング膜を得た。
[試験]
本発明における実施例2〜7、及び比較例2〜7のコーティング膜の物性値を、下記の方法にて測定した。
1)接触角及び表面自由エネルギー測定
プローブ液体として、蒸留水(窒素・りん測定用、関東化学株式会社製)、及びヨウ化メチレン(99%、アルドリッチ社製)を用い、測定装置にFACE接触角計(画像処理式)CA-X型(協和界面化学株式会社製)を用いて、滴下量が約1.8μL、測定温度が20℃の条件でコーティング膜における接触角を測定し、かつ得られた接触角の値から
Kaelble−Uyの理論に従って表面自由エネルギーを算出した。
2)摩擦抵抗試験(ASTM平面圧子)
表面性試験機 HEIDON Type:14FW (新東科学株式会社製)を用いて、ASTM D1894に準じて測定を行った。
表1に得られたコーティング膜の物性値を示す。
Figure 2008208243
(実施例等の評価結果の考察)
実施例2〜7と比較例2〜7を接触角で比較した場合、フッ素系ケイ素化合物を導入した実施例2〜7の方が純水及びヨウ化メチレンの接触角が高く、表面自由エネルギーの低下に繋がっている。フッ素含有効果により、撥水・撥油性、特に撥油特性が発現していることが分かる。
また、実施例5〜7と比較例5〜7を動摩擦係数で比較した場合、ラビング配向処理を施し、フッ素系ケイ素化合物の機能をより効果的に発現させることで、実施例5〜7の方が、動摩擦係数が低下し、スリップ性(滑り性)の向上も図られていることが分かる。
さらに、実施例2〜4と実施例5〜7とを動摩擦係数で比較した場合、実施例5〜7の動摩擦係数が実施例2〜4の動摩擦係数よりも下がっている。このような傾向は比較例2〜4と比較例5〜7とを動摩擦係数で比較した場合には見られないことから、本発明におけるフッ素系ケイ素化合物を含有することによる特有の効果と思われる。したがって、本発明の皮膜は、ラビング処理を施すことによってスリップ性をより一層向上させることができることが分かる。
本発明の重合体や表面処理剤は、撥水・撥油性、スリップ性(滑り性)の向上に効果が有り、具体的な用途としては、例えばディスプレイに用いられるプロテクトフィルムの防汚処理剤、ディスプレイ表面やタッチパネルの汚れ防止、指紋付着防止のための表面改質剤等に利用することが可能であり、諸特性と用途に多様化をもたらすことができる。

Claims (22)

  1. 下記一般式(I)で表されるケイ素化合物である単量体(a)と、架橋性官能基及び付加重合性官能基を含む付加重合性単量体(b)とを単量体とする付加重合体であり、前記架橋性官能基を架橋されていない状態で有することを特徴とする重合体。
    Figure 2008208243
    (一般式(I)において、
    fは、任意のメチレンが酸素で置換されていてもよい、炭素数1〜20の、直鎖状もしくは分岐鎖状のフルオロアルキル;少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置換された、炭素数6〜20のフルオロアリール;又はアリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置換された、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを表し、
    nは0〜1,000の整数を表し、
    1、R2、R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ独立して、水素;炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル;置換もしくは非置換のアリール;及び置換もしくは非置換のアリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意のメチレンが酸素又はシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成されるアリールアルキル;から選択される基を表し、
    1は付加重合性官能基を表す。)
  2. 一般式(I)におけるRfが、3,3,3−トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロテトラデシル、(3−ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、又はα,α,α−トリフルオロメチルフェニルであることを特徴とする請求項1に記載の重合体。
  3. 一般式(I)におけるRfが、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルであることを特徴とする請求項2に記載の重合体。
  4. 一般式(I)におけるR3及びR4は、それぞれ独立してメチル、フェニル又は3,3,3−トリフルオロプロピルであり、
    1、R2、R5、及びR6は、それぞれ独立して、メチル又はフェニルであり、
    1はラジカル重合性官能基を表すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の重合体。
  5. 一般式(I)におけるA1が(メタ)アクリル又はスチリルを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の重合体。
  6. 一般式(I)におけるA1が、下記一般式(II)、(III)又は(IV)で表されるいずれ
    かであることを特徴とする請求項5に記載の重合体。
    Figure 2008208243
    (一般式(II)において、Y1が炭素数2〜10のアルキレンを表し、R7が水素、又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、
    一般式(III)において、R8は水素、又は炭素数1〜5の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル、又は炭素数6〜10のアリールを表し、X1は炭素数が2〜20のアルキレンを表し、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−、又は−OCH2CH(CH3)−を表し、pは0〜3の整数を表し、
    一般式(IV)において、Y2が単結合又はメチレン又は炭素数2〜10のアルキレンを表す。)
  7. 一般式(II)において、Y1が炭素数2〜6のアルキレンであり、R7が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、
    一般式(III)において、X1は−CH2CH2CH2−であり、Yは−OCH2CH2−であり、pは0又は1であり、R8が水素又は炭素数1〜3のアルキルであり、
    一般式(IV)において、Y2が単結合又はメチレンもしくはエチレンである、請求項6に記載の重合体。
  8. 前記付加重合性単量体(b)の前記付加重合性官能基がラジカル重合性官能基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の重合体。
  9. 前記付加重合性単量体(b)の前記架橋性官能基が、ヒドロキシル、環状エーテルを含む一価の官能基、ハロゲン化アルキル、イソシアネート、アミノ及びカルボキシルから選ばれることを特徴とする、請求項8に記載の重合体。
  10. 前記付加重合性単量体(b)の前記架橋性官能基が、環状エーテルを含む一価の官能基であることを特徴とする、請求項9に記載の重合体。
  11. 前記環状エーテルを含む一価の官能基がグリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、及びジオキソランから選ばれることを特徴とする、請求項10に記載の重合体。
  12. 付加重合性官能基を有する、前記ケイ素化合物である単量体(a)及び前記付加重合性単量体(b)以外の付加重合性単量体(c)をさらに単量体に含む付加重合体であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の重合体。
  13. 前記付加重合性単量体(c)の付加重合性官能基がラジカル重合性官能基であることを
    特徴とする、請求項12に記載の重合体。
  14. 前記ラジカル重合性官能基が(メタ)アクリル又はスチリルを含むことを特徴とする、請求項13に記載の重合体。
  15. 下記一般式(I)で表されるケイ素化合物である単量体(a)と、架橋性官能基及びラジカル重合性官能基を含む単量体(b)と ラジカル重合性官能基を有する、前記ケイ素化合物である単量体(a)及び前記単量体(b)以外の単量体(c)とを単量体とし、前記架橋性官能基を架橋されていない状態で有するラジカル重合体であって、
    前記架橋性官能基は、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、及びジオキソランから選ばれ、
    前記単量体(c)の前記ラジカル重合性官能基が(メタ)アクリル又はスチリルを含むことを特徴とする重合体。
    Figure 2008208243
    (一般式(I)において、Rfはトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル、又はヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルを表し、nは0〜1,000の整数を表し、R1〜R6はそれぞれ独立してメチル又はフェニルを表し、A1は下記一般式(II)、(III)又は(IV)のいずれかを表す。)
    Figure 2008208243
    (一般式(II)において、Y1は炭素数2〜6のアルキレンを表し、R7は水素、又は炭素数1〜3の直鎖もしくは分岐鎖のアルキルを表し、
    一般式(III)において、X1は−CH2CH2CH2−を表し、Yは−OCH2CH2−を表し、pは0又は1を表し、R8が水素又は炭素数1〜3のアルキルを表し、
    一般式(IV)において、Y2は単結合又はメチレンもしくはエチレンを表す。)
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の重合体と、樹脂又はその単量体とを含む樹脂組成物。
  17. 前記樹脂は前記重合体中の前記架橋性官能基と架橋可能な構造を有する架橋性樹脂であることを特徴とする請求項16記載の樹脂組成物。
  18. 前記架橋性樹脂が熱硬化性樹脂であることを特徴とする、請求項17に記載の樹脂組成物。
  19. 前記熱硬化性樹脂又はその単量体が、ヒドロキシル、環状エーテルを含む一価の官能基、ハロゲン化アルキル、イソシアネート、アミノ又はカルボキシルを有する化合物であることを特徴とする、請求項18に記載の樹脂組成物。
  20. 前記環状エーテルを含む一価の官能基が、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、及びジオキソランから選ばれることを特徴とする、請求項19に記載の樹脂組成物。
  21. 請求項16〜20のいずれか一項に記載の樹脂組成物を含有する表面処理剤。
  22. 請求項21に記載の表面処理剤より得られる樹脂膜。
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