JP5228367B2 - 表面保護フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ等に貼り付けて表面を保護することに用いる表面保護フィルムに関する。
従来、基材層の表面に接着層が設けられている表面保護フィルムを、ロール状に仕上げる場合、巻取りにより接着層が基材層等と密着することで接着してしまい、剥がれにくくなるブロッキング現象が発生し、ロール状の巻物から表面保護フィルムを繰り出すことが不能となることがある。このブロッキング現象による不具合を防ぐために、基材そのものに離型性を持たせたり、剥離紙等で接着層を保護したりする等していたが、ハンドリング性がよくなかった(例えば、特許文献1参照。)。前者の場合には基材そのものの性質が限定される等の問題があり、また、後者の場合には工程が煩雑になる等の問題がある。
このようなことから、ブロッキング現象による不具合を改良するために、基材層をはさんで接着層の反対表面に離型層を設けることが検討された(例えば、特許文献2参照。)。具体的には、熱可塑性エラストマーの接着層を共押しによって設ける場合には、接着層は低粘着性であることから、汎用の離型剤を選択することで、比較的容易にブロッキング現象を抑制することが可能である。しかしながら、強接着タイプの接着剤をコーティングすることで接着層を設ける場合には、ブロッキング現象を防止するための離型剤の選定に多くの時間を必要とし、ブロッキング現象を抑制することが非常に困難である。
特開平2−252777号公報 特開2003−41216号公報
このようなことから、本発明の課題は、接着層に用いる材料に関わらず、安定した離型性を示す離型層を有し、ロール状の巻物とした場合であっても、繰り出す際にブロッキング現象によるトラブルが発生しない表面保護フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記の観点から、種々の離型成分を探索した結果、フルオロシルセスキオキサンを必須成分とするフッ素系重合体が離型性に優れていることから、このフッ素系重合体を用いて離型層を構成することで、本発明の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下に示される表面保護フィルムに関する。
[1] 接着層、基材層および離型層を有しており、基材層の片側の表面に接着層を有し、反対側の表面に離型層を有する表面保護フィルムであって、該基材層は、熱可塑性樹脂を含有する層であり、該接着層は、接着剤または粘着剤を含有する層であり、該離型層は、
1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)の付加重合体、または1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層であることを特徴とする表面保護フィルム。[2] 前記フルオロシルセスキオキサン(a)が、下記式(I)で示されることを特徴とする前記[1]項記載の表面保護フィルム。
Figure 0005228367
[式(I)において、
f 1〜Rf 7はそれぞれ独立して、
任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20のフルオロアルキル;
少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;または
アリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、
1は、付加重合性官能基を示す。]
[3] 前記式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロテトラデシル、(3-ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α-トリフルオロメチルフェニルを示すことを特徴とする、前記[2]項記載の表面保護フィルム。
[4] 前記式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルを示すことを特徴とする、前記[3]項記載の表面保護フィルム。
[5] 前記式(I)におけるA1が、ラジカル重合性官能基を示すことを特徴とする前記[2]〜[4]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[6] 前記式(I)におけるA1が、(メタ)アクリルまたはスチリルを含むことを特徴とする前記[2]〜[5]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[7] 前記式(I)におけるA1が、下記式(II)または(III)で示されるいずれかであることを特徴とする前記[6]項記載の表面保護フィルム。
Figure 0005228367
[式(II)において、Y1が炭素数2〜10のアルキレンを示し、Xが水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、
式(III)において、Y2が単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。]
[8] 前記式(II)において、Y1が炭素数2〜6のアルキレンを示し、Xが水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(III)において、Y2が単結合または炭素数1〜6のアルキレンを示す前記[7]項記載の表面保護フィルム。
[9] 前記式(II)において、Y1がプロピレンを示し、Xは水素またはメチルを示し、式(III)において、Y2が単結合またはエチレンを示す前記[7]項記載の表面保護フィルム。
[10] 前記付加重合性単量体(b)が、(メタ)アクリル酸化合物またはスチレン化合物である、前記[1]〜[9]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[11] 前記付加重合性単量体(b)の少なくとも一部が、架橋性官能基を有する付加重合性単量体である、前記[1]〜[10]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[12] 前記表面保護フィルムの離型層に、エポキシ樹脂単量体を含む前記[1]〜[11]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[13] 接着層、基材層および離型層を有しており、基材層の片側の表面に接着層を有し、反対側の表面に離型層を有する表面保護フィルムであって、該基材層は、熱可塑性樹脂を含有する層であり、該接着層は、接着剤または粘着剤を含有する層であり、該離型層は、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)との付加共重合体、または、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)と、付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層であることを特徴とする表面保護フィルム。
[14] 前記フルオロシルセスキオキサン(a)が、下記式(I)で示されることを特徴とする、前記[13]項記載の表面保護フィルム。
Figure 0005228367
[式(I)において、
f 1〜Rf 7はそれぞれ独立して、 任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20のフルオロアルキル;
少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;または
アリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、A1は、付加重合性官能基を示す。]
[15] 式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロテトラデシル、(3-ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α-トリフルオロメチルフェニルを示すことを特徴とする前記[14]項記載の表面保護フィルム。
[16] 式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルを示すことを特徴とする前記[15]項記載の表面保護フィルム。
[17] オルガノポリシロキサン(c)が下記式(IV)であることを特徴とする前記[
13]〜[16]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
Figure 0005228367
[式(IV)において、nは1〜1,000の整数であり;R1、R2、R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素、炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成されるアリールアルキル、から独立して選択される基であり;A2は付加重合性官能基である。]
[18] 式(IV)におけるR1およびR2が、それぞれ独立して水素、フェニルまたは炭素数が1〜8で任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキルであり;R3およびR4が、独立して炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル、炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、または炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルであり;R5が、炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル、炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、または炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルである前記[17]項記載の表面保護フィルム。
[19] 式(IV)におけるR1およびR2は、それぞれ独立してメチル、フェニルまたは3,3,3−トリフルオロプロピルであり;R3およびR4は、それぞれ独立してメチルまたはフェニルであり;R5はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、またはフェニルである前記[18]項記載の表面保護フィルム。
[20] R1、R2、R3およびR4は、それぞれ同時にメチルである前記[19]項記載の表面保護フィルム。
[21] 式(I)におけるA1および式(IV)におけるA2が付加重合性官能基であることを特徴とする前記[14]〜[20]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[22] 式(I)におけるA1および式(IV)におけるA2がラジカル重合性官能基であることを特徴とする前記[21]項記載の表面保護フィルム。
[23] 式(I)におけるA1および式(IV)におけるA2が(メタ)アクリルまたはスチリルを含むことを特徴とする前記[22]項記載の表面保護フィルム。
[24] 式(I)におけるA1が、下記式(V)または(VII)で示されるいずれかであり、式(IV)におけるA2が、下記式(V)、(VI)または(VII)で示されるいずれ
かである前記[23]項記載の表面保護フィルム。
Figure 0005228367
[式(V)において、Y3が炭素数2〜10のアルキレンを示し、R6が水素、または炭
素数1〜5のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、式(VI)において、R7は水素、または炭素数1〜5のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、X1は炭素数が2〜20のアルキレンであり、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−,または−OCH2CH(CH3)−であり、pは0〜3の整数であり、式(VII)において、Y4が単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。]
[25] 式(V)において、Y3が炭素数2〜6のアルキレンを示し、R6が水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(VI)において、X1は−CH2CH2CH2−を示し、Yは−OCH2CH2−を示し、pは0または1を示し、R7が水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(VII)においてY4が単結合または炭素数1あるいは2のアルキレンを示す、前記[24]項記載の表面保護フィルム。
[26] 前記付加重合性単量体(b)が架橋性官能基を有する付加重合性単量体及び架橋性官能基を有さない単量体から選ばれる少なくとも1種である前記[13]〜[25]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[27] 前記付加重合性単量体(b)が架橋性官能基を有する付加重合性単量体である前記[13]〜[25]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[28] 前記架橋性官能基を有する付加重合性単量体がラジカル重合性官能基を有し、且つ同一分子内において1つ以上のヒドロキシル、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、ハロゲン化アルキル、ブロックドイソシアナト、イソシアナト、アミノまたはカルボキシルを有する化合物である前記[27]項記載の表面保護フィルム。
[29] 前記架橋性官能基を有する付加重合性単量体におけるラジカル重合性官能基が(メタ)アクリルまたはスチリルである前記[28]項記載の表面保護フィルム。
[30] 前記離型層に、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含有する前記[13]〜[29]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[31] 前記離型層に、熱硬化性樹脂を含有する前記[13]〜[29]のいずれか一項記載の表面保護フィルム。
[32] 熱硬化性樹脂がヒドロキシル、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、ハロゲン化アルキル、ブロックドイソシアナト、イソシアナト、アミノまたはカルボキシルを有する化合物である、前記[31]項記載の表面保護フィルム。
[33] 熱硬化性樹脂がグリシジル、オキセタニル、またはエポキシシクロヘキシルを有する化合物である前記[32]項記載の表面保護フィルム。
本発明の表面保護フィルムは、様々な接着性能を有する接着層に対して、安定した離型性を示す離型層を有しており、ロール状の巻物とした場合であっても、繰り出す際にブロッキング現象によるトラブルが発生しない。
本発明の表面保護フィルムは、接着層、基材層および離型層を有しており、基材層の片側の表面に接着層を有し、反対側の表面に離型層を有しており、該基材層は、熱可塑性樹脂を含有する層であり、該接着層は、接着剤または粘着剤を含有する層であり、該離型層は、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)の付加重合体、または他の付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層である。さらに本発明において、前記離型層は、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)との付加共重合体、または、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)と、付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層である。本発明の表面保護フィルムの基本構成は、接着層、基材層および離型層の三層であるが、必要に応じて、多層構造にしてもよい。例えば、接着層と基材層との間に、帯電防止層等の中間層を積層することができる。
本発明の表面保護フィルムを構成する基材層は、熱可塑性樹脂を主体とする材料で形成された層であり、一般的なフィルムやシートに加工が可能な材料であれば特に限定されない。本発明で用いられる熱可塑性樹脂は、特に制限されず、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、生分解性樹脂(ポリ乳酸樹脂、サクシネート樹脂等)等を例示することができる。なかでも、経済性、環境負荷の低減、熱可塑性樹脂組成物の機械的特性や加工特性等の点からポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体等のポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリメチルペンテン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン等が利用できる。更にこれらの単独重合体に、単独重合体を構成する単量体以外のエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1または4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンが共重合成分として少量含有されていてもよい。また上記ポリオレフィン樹脂を2種以上混合して使用してもよい。これらは、通常のチーグラーナッタ触媒から重合されたポリオレフィン樹脂だけでなく、メタロセン触媒から重合されたポリオレフィン樹脂であってもよい。
本発明の表面保護フィルムを構成する基材層は、熱可塑性樹脂を用いて一般的なインフレーション法、Tダイ法等でフィルム、シート状に製膜することで得られる。また、これらの材料を接着層の材料と共に共押出しすることにより一工程で積層フィルム、シート状物とすることもできる。
本発明の表面保護フィルムを構成する基材層の厚みは特に制限はされないが、通常は20μm〜300μm程度である。
本発明の表面保護フィルムを構成する接着層とは、一般的に粘着あるいは接着を目的とした部材に用いられる材料であればよく、熱可塑性の材料を用いれば、前記基材層と共押出しにて形成することができる。この場合に粘着剤として使用可能な材料としては、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、オレフィン系エラストマー等が例示できる。
本発明の表面保護フィルムを構成する接着層は、基材層に種々の接着剤をコーティングすることにより形成することができる。これらの材料としては、例えばアクリル系接着剤、メタクリル系接着剤、シリコン系接着剤、エポキシ系接着剤、ホットメルト接着剤、ポリウレタン系接着剤、エマルジョン接着剤等が例示でき、表面保護フィルムの用途によって、使い分けることが可能である。コーティングにより接着層を形成する場合は、一般的
に粘着剤の共押出しによる積層フィルム等と比較して強接着性になるが、後に述べる離型層の効果によりロール状の巻物とした場合でもブロッキング現象は発生せず、繰り出し不良の問題も発生しない。
なお、本発明の表面保護フィルムの基材層の表面に上記接着剤をコーティングする方法は特に制限されないが、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等がある。基材層は前処理をされていてもよく、前処理の例には、シランカップリング剤等による薬品処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、紫外線処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等が含まれる。
本発明の表面保護フィルムを構成する接着層の厚みは特に制限はされないが、通常は1μm〜50μm程度である。
本発明の表面保護フィルムを構成する離型層は、以下に示す1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)の付加重合体、または他の付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層である。さらに本発明において、前記離型層は、以下に示す1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)との付加共重合体、または、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)と、付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層である。
<フルオロシルセスキオキサン(a)>
本発明の表面保護フィルムを構成する離型層に用いられる重合体の原料単量体である、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)(以下、「シルセスキオキサン(a)」とも称する)は、その分子構造にシルセスキオキサン骨格を有する。シルセスキオキサンとは、[(R-SiO1.5n]で示される(Rは任意の置換基である)ポリシロキサンの総称である。このシルセスキオキサンの構造は、そのSi-O-Si骨格に応じて、一般的にランダム構造、ラダー構造、カゴ構造に分類される。さらに、カゴ構造はT8、T10、T12型等に分類される。その中で、本発明に使用されるフルオロシルセスキオキサン(a)は、好ましくはT8型[(R-SiO1.58]のカゴ構造を有する。
上記のフルオロシルセスキオキサン(a)は、1つの付加重合性官能基を有することを特徴とする。すなわち、シルセスキオキサン[(R−SiO1.5n]のRのうちの1つが付加重合性官能基である。
上記の付加重合性官能基の例としては、末端オレフィン型または内部オレフィン型のラジカル重合性官能基を有する基;ビニルエーテル、プロペニルエーテル等のカチオン重合性官能基を有する基;およびビニルカルボキシル、シアノアクリロイル等のアニオン重合性官能基を有する基が含まれるが、好ましくはラジカル重合性官能基が挙げられる。
上記のラジカル重合性官能基には、ラジカル重合する基であれば特に制限はなく、例えばメタクリロイル、アクリロイル、アリル、スチリル、α-メチルスチリル、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルアミド、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、N-置換マレイミド等が含まれ、中でも(メタ)アクリルまたはスチリルを含む基が好ましい。ここに(メタ)アクリルとは、アクリルおよびメタクリルの総称であり、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。以下、同
様とする。
上記の(メタ)アクリルを有するラジカル重合性官能基の例には、以下の式(II)に示される基が含まれる。式(II)においてY1は、炭素数2〜10のアルキレン、好ましくは炭素数2〜6のアルキレン、さらに好ましくは炭素数3のアルキレン(プロピレン)を示す。またXは、水素または炭素数1〜3のアルキルを、好ましくは水素またはメチルを示す。
また、上記のスチリルを有するラジカル重合性官能基の例には、以下の式(III)に示される基が含まれる。式(III)においてY2は、単結合または炭素数1〜10のアルキレン、好ましくは単結合または炭素数1〜6のアルキレン、より好ましくは単結合または炭素数2のアルキレン(エチレン)を示す。またビニルは、ベンゼン環のいずれかの炭素に結合しており、好ましくはY2に対してパラ位の炭素に結合している。
Figure 0005228367
前記のフルオロシルセスキオキサン(a)は、少なくとも1つのフルオロアルキル、フルオロアリールアルキル、又はフルオロアリールを有することを特徴とする。すなわち、シルセスキオキサン(R−SiO1.5nのRの1つ以上、好ましくは前記の付加重合性官能基以外のRがすべてフルオロアルキル、フルオロアリールアルキル及び/又はフルオロアリールである。
上記のフルオロアルキルは、直鎖状または分岐鎖状のいずれでもよい。このフルオロアルキルの炭素数は1〜20であり、好ましくは3〜14である。さらに、このフルオロアルキルの任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい。ここでメチレンとは、-CH2-、-CFH-または-CF2-を含む。つまり、「任意のメチレンが酸素で置き換えられてもよい」とは、-CH2-、-CFH-または-CF2-が-O-で置き換えられてもよいことを意味する。ただし、フルオロアルキルにおいて、2つの酸素が結合(-O-O-)していることはない。すなわちフルオロアルキルはエーテル結合を有していてもよい。また、好ましいフルオロアルキルにおいては、Siに隣接するメチレンは酸素で置き換えられることはなく、Siとは反対側の末端はCF3である。さらに、−CH2−または−CFH−が酸素で置き換えられるよりは、−CF2−が酸素で置き換えられる方が好ましい。かかるフルオロアルキルの好ましい具体例には、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ヘンイコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロテトラデシル、(3-ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル等が含まれる。中でも、パーフルオロアルキルエチルが好ましく例示される。
前記のフルオロアリールアルキルは、フッ素を含有するアリールを含むアルキルであっ
て、その炭素数が7〜20であるのが好ましく、さらに7〜10がより好ましい。含まれるフッ素はアリール中の任意の1または2以上の水素が、フッ素またはトリフルオロメチルとして置き換えられたものが好ましい。アリール部分の例にはフェニル、ナフチル等のほか、ヘテロアリールも含まれ、アルキル部分の例には、メチル、エチルおよびプロピル等が含まれる。
また、前記のフルオロアリールは、アリール中の任意の1または2以上の水素が、フッ素またはトリフルオロメチルで置き換えられているものであり、その炭素数は6〜20であることが好ましく、より好ましくは6である。かかるアリールの例にはフェニル、ナフチル等のほか、ヘテロアリールも含まれる。具体的にはペンタフルオロフェニル等のフルオロフェニルや、トリフルオロメチルフェニルが挙げられる。
フルオロシルセスキオキサン(a)に含まれる前記のフルオロアルキル、フルオロアリールアルキル、またはフルオロアリールのうち、好ましい基はフルオロアルキルであり、より好ましくはパーフルオロアルキルエチルであり、さらに好ましくは3,3,3-トリフルオロプロピルまたは3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルである。
前述の通り、好ましいフルオロシルセスキオキサン(a)は、T8型の構造を有し、1つの付加重合性官能基を有し、かつ1つまたは2つ以上のフルオロアルキル、フルオロアリールアルキル及び/又はフルオロアリールを有し、以下の構造式(I)で表わされる。
Figure 0005228367
上記の式(I)において、A1は前述のラジカル重合性官能基であることが好ましく、Rf 1〜Rf 7はそれぞれ独立して、前述のフルオロアルキル、フルオロアリールアルキル、またはフルオロアリールであることが好ましい。Rf 1〜Rf 7は、それぞれ相違する基であっても、すべて同一の基であってもよい。
<付加重合性単量体(b)>
付加重合性単量体には、架橋性官能基を有するものと架橋性官能基を有さないものがある。前記の架橋性官能基を有する付加重合性単量体(b)は、1つまたは2つ以上の付加重合性二重結合を有する化合物であればよく、例えば、ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物のいずれでもよく、さらに具体的には、(メタ)アクリル酸化合物またはスチレン化合物等が例示される。
上記の(メタ)アクリル酸化合物の例には、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸エステルの他、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリロニトリル等が含まれる。
前記の付加重合性単量体(b)の(メタ)アクリル酸化合物の例として架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートがある。かかる架橋性官能基の例には、グリシジルおよびエポキシシクロヘキシル等のエポキシ、オキセタニル、イソシアナト、酸無水物、カルボキシル、ならびにヒドロキシル等が含まれるが、好ましくはグリシジル等のエポキシやオキセタニルである。上記の架橋性官能基を有する(メタ)アクリレートの具体例には、(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有(メタ)アクリレート;3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ含有(メタ)アクリレート;3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン等のオキセタニル含有(メタ)アクリレート;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート;γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン;(メタ)アクリレート-2-アミノエチル、2-(2-ブロモプロピオニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)エチル(メタ)アクリレート;1-(メタ)アクリロキシ-2-フェニル-2-(2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシ)エタン、1-(4-((4-(メタ)アクリロキシ)エトキシエチル)フェニルエトキシ)ピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート;等が含まれる。
上記の1つの付加重合性二重結合を有するスチレン化合物の例には、架橋性官能基を有するスチレン化合物がある。かかる架橋性官能基の具体例には、グリシジル等のエポキシ、オキセタニル、ハロ、アミノ、イソシアナト、酸無水物、カルボキシル、ヒドロキシル、チオール、シロキシ等が含まれる。
架橋性官能基を有するスチレン化合物の例には、o-アミノスチレン、p-スチレンクロロスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその塩、ビニルフェニルメチルジチオカルバメート、2-(2-ブロモプロピオニルオキシ)スチレン、2-(2-ブロモイソブチリルオキシ)スチレン、1-(2-((4-ビニルフェニル)メトキシ)-1-フェニルエトキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジンや、下記式に示される化合物が含まれる。
Figure 0005228367
前記の付加重合性単量体(b)に加え、離型性能、エポキシ樹脂との相溶性、レベリング性、共重合体中の架橋性官能基量等をコントロールするため、必要に応じて前記付加重合性単量体(b)以外の付加重合性単量体も併用することができる。
架橋性官能基を有さない付加重合性単量体(b)としては、1つの付加重合性二重結合を有し、架橋性官能基を有さない(メタ)アクリル酸化合物及び1つの付加重合性二重結合を有し、架橋性官能基を有さないスチレン化合物が挙げられる。かかる(メタ)アクリル酸化合物の具体例には、;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキ
シル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、トルイル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアリールアルキル(メタ)アクリレート;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物;等が含まれる。
上記の1つの付加重合性二重結合を有し、架橋性官能基を有さない(メタ)アクリル酸化合物の具体例には、さらに、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、および2-パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート等が含まれる。
さらに、1つの付加重合性二重結合を有し、架橋性官能基を有さない(メタ)アクリル酸化合物の例には、シルセスキオキサン骨格を有する(メタ)アクリル酸化合物がある。かかるシルセスキオキサン骨格を有する(メタ)アクリル酸化合物の具体例には、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチル-ペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)プロピル(メタ)アクリレート、3-[(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3-[(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3-[(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3-[(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート、3-[(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル]プロピル(メタ)アクリレート等が含まれる。
上記の1つの付加重合性二重結合を有し、架橋性官能基を有さないスチレン化合物の具体例には、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、p-クロルスチレン;等が含まれる。
上記の1つの付加重合性二重結合を有し、架橋性官能基を有さないスチレン化合物の例
としては、さらに、シルセスキオキサンを含むスチレン化合物が含まれる。かかるシルセスキオキサンを含むスチレン化合物の具体例には、1-(4-ビニルフェニル)-3,5,7,9,11,13,15-ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1-(4-ビニルフェニル)-3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1-(4-ビニルフェニル)-3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、1-(4-ビニルフェニル)-3,5,7,9,11,13,15-ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン、および1-(4-ビニルフェニル)-3,5,7,9,11,13,15-ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン等の、4-ビニルフェニル基を有するオクタシロキサン(T8型シルセスキオキサン);および、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)エチルスチレン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)エチルスチレン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)エチルスチレン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)エチルスチレン、3-(3,5,7,9,11,13,15-ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イル)エチルスチレン、3-((3,5,7,9,11,13,15-ヘプタエチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3-((3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソブチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3-((3,5,7,9,11,13,15-ヘプタイソオクチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、3-((3,5,7,9,11,13,15-ヘプタシクロペンチルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン、および3-((3,5,7,9,11,13,15-ヘプタフェニルペンタシクロ[9.5.1.13,9.15,15.17,13]オクタシロキサン-1-イルオキシ)ジメチルシリル)エチルスチレン等の、4-ビニルフェニルエチル基を有するオクタシロキサン(T8型シルセスキオキサン);等が含まれる。
さらに、前記付加重合性単量体以外の付加重合性単量体(b)として、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン、及びアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等から誘導された主鎖を有し、一つの重合性二重結合を有するマクロ単量体も例示される。
付加重合性単量体(b)の例には、二つの付加重合性二重結合を有する化合物も含まれる。
二つの付加重合性二重結合を有する化合物の例には、1,3-ブタンジオール=ジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオール=ジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール=ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール=ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール=ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール=ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン=ジ(メタ)アクリレート、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕ビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエトキシ〕テトラブロモビスフェノールA、ビス〔(メタ)アクロキシポリエトキシ〕ビスフェノールA、1,3-ビス(ヒドロキシエチル)5,5-ジメチルヒダントイン、3-メ
チルペンタンジオール=ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール化合物のジ(メタ)アクリレートおよびビス〔(メタ)アクリロイルオキシプロピル〕テトラメチルジシロキサン等のジ(メタ)アクリレート系単量体、ジビニルベンゼンが含まれる。
さらに、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン、及びアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等から誘導された主鎖を有し、二つの重合性二重結合を有するマクロ単量体も例示される。
付加重合性単量体(b)の例には、付加重合性二重結合を三つ以上有する化合物も含まれる。付加重合性二重結合を三つ以上有する化合物の例には、トリメチロールプロパン=トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール=トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール=テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール=モノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチルイソシアネート)=トリ(メタ)アクリレート、トリス(ジエチレングリコール)トリメレート=トリ(メタ)アクリレート、3,7,14-トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]-1,3,5,7,9,11,14-ヘプタエチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14-トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]-1,3,5,7,9,11,14-ヘプタイソブチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14-トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]-1,3,5,7,9,11,14-ヘプタイソオクチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14-トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]-1,3,5,7,9,11,14-ヘプタシクロペンチルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、3,7,14-トリス[(((メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ)]-1,3,5,7,9,11,14-ヘプタフェニルトリシクロ[7.3.3.15,11]ヘプタシロキサン、オクタキス(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルジメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサンおよびオクタキス(3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)オクタシルセスキオキサンが含まれる。
さらに、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、シロキサン、及びアルキレンオキサイド、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等から誘導された主鎖を有し、重合性二重結合を三つ以上有するマクロ単量体も例示される。
付加重合性単量体(b)は、好ましくは(メタ)アクリル酸化合物であり、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルであり、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸の、低級アルキル(例えば炭素数1〜3)エステルや、架橋性官能基を有するエステル等である。
付加重合性単量体(b)の少なくとも一部を、架橋性官能基を有する付加重合性単量体とすることで、架橋性官能基を導入された本発明に用いられる重合体を得ることができる。架橋性官能基を導入された本発明に用いられる重合体は、後述するように、マトリックス樹脂と共に好ましく離型層に含有される。
<オルガノポリシロキサン(c)>
ポリジメチルシロキサンに代表されるオルガノポリシロキサン(以下シリコーンあるいはポリシロキサンと称することがある)は、撥水性、離型性、滑り性、低摩擦性、耐熱性、酸素透過性等の特異的な性質を有することから、電子材料分野をはじめとし、化粧品や医療分野等、その用途も多岐に渡っている。
たとえば重合性の官能基を有するオルガノポリシロキサンを、他の有機重合体の共重合成分もしくは重縮合成分として用いることにより、オルガノポリシロキサンの特性である耐候性、表面撥水性、潤滑性、生体適合性、ガス透過性等を容易に付与することができる。有機重合体の改質のために、種々の有機官能基を有するオルガノポリシロキサンが知ら
れている。たとえば、カルボキシル基を有するオルガノポリシロキサン、すなわち片末端カルボン酸変性オルガノポリシロキサンは、繊維処理剤、乳化剤、無機材料の表面改質剤や、エポキシ樹脂、ポリエステル、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の各種樹脂の改質剤として有用である。また、このカルボキシル基の反応性を利用して種々の新たな官能基を導入することにより、種々の官能基を有するオルガノポリシロキサンを合成することができる。たとえば、このカルボキシル基を、アミドあるいはエステル等とすることができる。このように片末端カルボン酸変性オルガノポリシロキサンは各種の変性シリコーンの調製に利用される。特開平10−001537号公報には、両末端カルボン酸変性ポリシロキサンのポリエステルの改質が開示され、特公平07−068424には、カルボン酸変性シリコーンを用いて得られるアクリルゴム組成物の耐寒性を向上とともに、アクリルゴム組成物から得られるゴムの離型性、ロール加工性を改善が示されている。また、特開平09−059125号公報においては、カルボキシル基変性オルガノポリシロキサンで粉体を処理して得られる撥水性化粧用料用粉体が開示されている。特開平08−109263号公報では、両末端・側鎖カルボン酸変性ポリシロキサンを多価金属塩変性ポリシロキサンとし、これをゲル化剤あるいは化粧料としての応用が示されている。さらに、特開平05−139997号公報では、片末端カルボン酸変性シリコーンを用いた薬物の皮膚を通して透過、吸収を促進する経皮吸収促進剤が開示されている。
本発明に用いられる重合体の原料単量体である、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサンは、好ましくは下記式(IV)に示される分子構造を有する。
Figure 0005228367
本発明に用いられるオルガノポリシロキサン(c)は、上記式(IV)において、nは1〜1,000の整数であり;R1、R2、R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素、炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成されるアリールアルキル、から独立して選択される基であり;A2は付加重合性官能基であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられるオルガノポリシロキサン(c)は、上記式(IV)におけるR1およびR2が、それぞれ独立して水素、フェニルまたは炭素数が1〜8で任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキルであり;
3およびR4が、独立して炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル、炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、または炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルであり;
5が、炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル、炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、または炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルであることが好ましい。
さらに、本発明に用いられるオルガノポリシロキサン(c)は、上記式(IV)におけるR1およびR2は、それぞれ独立してメチル、フェニルまたは3,3,3−トリフルオロプロピルであり;
3およびR4は、それぞれ独立してメチルまたはフェニルであり;
5はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、またはフェニルであることが好ましい。
さらに、本発明に用いられるオルガノポリシロキサン(c)は、上記式(IV)において、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ同時にメチルであることが好ましい。また、上記式(IV)においてA2が付加重合性官能基であることが好ましく、A2がラジカル重合性官能基であることが好ましく、A2が(メタ)アクリルまたはスチリルを含むことが好ましく、A2が、下記式(V)、(VI)または(VII)で示されるいずれかであることが好ましい。
Figure 0005228367
[式(V)において、Y3が炭素数2〜10のアルキレンを示し、R6が水素、または炭素数1〜5のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、該アルキルは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、式(VI)において、R7は水素、または炭素数1〜5のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、該アルキルは直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、X1は炭素数が2〜20のアルキレンであり、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−,または−OCH2CH(CH3)−であり、pは0〜3の整数であり、式(VII)において、Y4が単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。]
本発明では、上記式(V)において、Y3が炭素数2〜6のアルキレンを示し、R6が水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(VI)において、X1は−CH2CH2CH2−を示し、Yは−OCH2CH2−を示し、pは0または1を示し、R7が水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(VII)においてY4が単結合または炭素数1あるいは2のアルキレンを示すことが好ましい。
本発明で好ましく用いられるオルガノポリシロキサンの例には、サイラプレーン FM0711(チッソ株式会社製)、サイラプレーン FM0721(チッソ株式会社製)、サイラプレーン FM0725 (チッソ株式会社製)、サイラプレーン TM0701(チッソ株式会社製)、サイラプレーン TM0701T(チッソ株式会社製)等が含まれる。
<付加重合体>
本発明に用いられる重合体は、シルセスキオキサン(a)の付加重合体または、他の付加重合性単量体(b)との付加共重合体であり、共重合体である場合は、ブロック共重合等であっても、ランダム共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。シルセスキオキサン(a)とオルガノポリシロキサン(c)の付加共重合体、または他の付加重合性単量体(b)との付加共重合体についても、ブロック共重合等であっても、ランダム共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。また、本発明に用いられる重合体は架橋構造を有していたり、グラフト共重合体であってもよい。
本発明に用いられる重合体は、少なくともシルセスキオキサン(a)由来の構造単位(以下、構造単位(a))を含み、かつ付加重合性単量体(b)由来の構造単位(以下、構造単位(b))を含むことが好ましい。
本発明に用いられる重合体における、構造単位(a)と構造単位(b)のモル比率は任意であり、(a):(b)=100:0〜0.001:99.999であればよい。後述するように、本発明に用いられる重合体を離型層に含有させる場合には、(a):(b)=50:50〜0.001:99.999であることが好ましい。十分な表面改質能を発揮するためには、構造単位(a)をある程度含むことが必要であるが、溶媒への溶解性を得るためには構造単位(a)の含有率を上記範囲とすることが好ましい。
また、本発明に用いられる重合体は、少なくともシルセスキオキサン(a)由来の構造単位とオルガノポリシロキサン(c)由来の構造単位(以下、構造単位(c))を含み、かつ付加重合性単量体(b)由来の構造単位を含むことが好ましい。本発明に用いられる重合体における、構造単位(a)と構造単位(c)及び構造単位(b)のモル比率は任意であり、(a):(b)=0.001:99.999〜99.999:0.001、(b):(c)=0.001:99.999〜99.999:0.001、(a):(c)=0.1:99.9〜99.9:0.1であればよい。後述するように、本発明に用いられる共重合体を離型層に含有させるとして用いる場合には、(a):(b)=30:70〜60:40、(b):(c)=85:15〜99:1、(a):(c)=80:20〜95:5であることが好ましい。
また、本発明に用いられる重合体に含まれるフッ素原子含有率は0.001〜60重量%であることが好ましい。
本発明に用いられる重合体の重量平均分子量は、構造単位(a)の含有率等によって異なるが、目安として1300〜100万である。構造単位(a)の含有率が高いと、分子量は小さくなる傾向がみられる。一方、本発明に用いられる重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、目安として1.01〜2.5程度である。
また本発明に用いられる重合体に含まれる構造単位(b)のうち、架橋性官能基を有する付加重合性単量体由来の構造単位の割合は特に制限されず、上記の共重合体を塗布剤として使用する際に配合するマトリックス樹脂であるエポキシ系樹脂との結合性を図る上で、マトリックス樹脂単量体との好ましい反応性が得られる程度の、架橋性官能基を含んでいればよい。
本発明に用いられる重合体は、フルオロシルセスキオキサン(a)、および必要に応じて他の付加重合性単量体(b)を単量体原料として、それらを付加重合させることで得ることができる。
単量体原料に含まれるシルセスキオキサン(a)と、他の付加重合性単量体(b)のモル比率は、目的とする重合体に応じて適宜決定すればよい。また他の付加重合性単量体(b)に含まれる、架橋性官能基を有する付加重合性単量体の割合も、目的とする重合体に
応じて適宜選択すればよい。
また、本発明に用いられる重合体は、フルオロシルセスキオキサン(a)と、オルガノポリシロキサン(c)と、必要に応じて他の付加重合性単量体(b)とを単量体原料として、それらを付加重合させることで得ることができる。単量体原料に含まれるシルセスキオキサン(a)、オルガノポリシロキサン(c)と、他の付加重合性単量体(b)のモル比率は、目的とする重合体に応じて適宜決定すればよい。また他の付加重合性単量体(b)に含まれる、架橋性官能基を有する付加重合性単量体あるいは架橋性官能基を有さない付加重合性単量体の割合も、目的とする重合体に応じて適宜選択すればよい。架橋性官能基を有する付加重合性単量体(b)として複数種の単量体を用いる場合は、各々の単量体の比率は、目的とする共重合体の特性に応じて適宜決定すればよい。また上記の他の付加重合性単量体(b)に含まれる架橋性官能基を有する付加重合性単量体(b)の割合も、目的とする共重合体の特性に応じて適宜選択すればよい。そして簡便性と汎用性に鑑みると、ラジカル共重合が好ましい。
付加重合は、重合開始剤を用いて行うことができる。
用いられる重合開始剤の例には、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(2-ブチロニトリル)、ジメチル-2,2'-アゾビスイソブチレート、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート等の過酸化物;およびテトラエチルチウラムジスルフィド等のジチオカルバメート;等のラジカル重合開始剤が含まれる。
さらに重合反応の例には、リビングラジカル重合、および光重合等が含まれる。
リビングラジカル重合は、原子移動ラジカル重合;可逆的付加開裂連鎖移動;ヨウ素移動重合;イニファータ重合に代表され、以下の引用文献A〜Cに記載されている重合開始剤を用いて行うことができる。
・引用文献A: 蒲池幹治、遠藤剛監修、ラジカル重合ハンドブック、1999年8月10日発行、エヌティーエス発行)。
・引用文献B: HANDBOOK OF RADICAL POLYMERIZATION, K. Matyjaszewski, T. P. Davis, Eds., John Wiley and Sons, Canada 2002
・引用文献C: 特開2005-105265号公報
光重合は、引用文献Dに記載の化合物を光重合開始剤として用いて行うことができる。・引用文献D: フォトポリマー懇話会編、感光材料リストブック、1996年3月31日、ぶんしん出版発行)。
用いられる光重合開始剤の具体例としては、紫外線や可視光線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。光重合開始剤(D)として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、アセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-4′-イソプロピルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1,4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノ
ン、3,4,4′-トリ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2-(4′-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3′,4′-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2′,4′-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(2′-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4′-ペンチルオキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、4-[p-N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)]-2,6-ジ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(2′-クロロフェニル)-s-トリアジン、1,3-ビス(トリクロロメチル)-5-(4′-メトキシフェニル)-s-トリアジン、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、3,3′-カルボニルビス(7-ジエチルアミノクマリン)、2-(o-クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2-クロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、2,2′-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4′,5,5′-テトラフェニル-1,2′-ビイミダゾール、3-(2-メチル-2-ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6-ビス(2-メチル-2-モルホリノプロピオニル)-9-n-ドデシルカルバゾール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム、等である。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。3,3′,4,4′-テトラ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′-テトラ(t-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′-ジ(メトキシカルボニル)-4,4′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′-ジ(メトキシカルボニル)-4,3′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′-ジ(メトキシカルボニル)-3,3′-ジ(t-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が好ましい。
上記の付加重合において用いられる重合開始剤の量は、単量体の総モル数に対して0.01〜10mol%とすればよい。
また前記付加重合において、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることで、分子量を適切に制御することができる。連鎖移動剤の例には、チオ-β-ナフトール、チオフェノール、ブチルメルカプタン、エチルチオグリコレート、メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、イソプロピルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、ドデカンチオール、チオリンゴ酸、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトアセテート)等のメルカプタン類;ジフェニルジサルファイド、ジエチルジチオグリコレート、ジエチルジサルファイド等のジサルファイド類;等のほか、トルエン、メチルイソブチレート、四塩化炭素、イソプロピルベンゼン、ジエチルケトン、クロロホルム、エチルベンゼン、塩化ブチル、s-ブチルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、塩化プロピレン、メチルクロロホルム、t-ブチルベンゼン、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、酢酸、酢酸エチル、アセトン、ジオキサン、四塩化エタン、クロロベンゼン、メチルシクロヘキサン、t−ブチルアルコール、ベンゼン等が含まれる。特にメルカプト酢酸は、重合体の分子量を下げて、分子量分布を均一にさせ得る。
連鎖移動剤は単独でも、または2種以上を混合しても使用することができる。
本発明に用いられる重合体の具体的な製造方法は、通常の付加重合体の製造方法と同様
にすればよく、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法、塊状−懸濁重合法、超臨界CO2を用いた重合法を用いることができる。
溶液重合法による場合には、適切な溶媒中に、フルオロシルセスキオキサン(a)、ならびに必要に応じて付加重合性単量体(b)、さらに重合開始剤、および連鎖移動剤等を溶解して、加熱または光を照射して付加重合反応させればよい。又は、適切な溶媒中に、フルオロシルセスキオキサン(a)、オルガノポリシロキサン(c)ならびに必要に応じて付加重合性単量体(b)、さらに重合開始剤、および連鎖移動剤等を溶解して、加熱または光を照射して付加重合反応させればよい。
上記の重合反応に用いられる溶媒の例には、炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン等)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン等)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン等)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t-ブチルアルコール等)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン系溶媒(略語 HFCs;炭素数2以上のHFCsが利用でき、炭素数2〜6のHFCsが好ましく利用できる。)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン等)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン等)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール等)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α-トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン等)、水等が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
用いられる溶媒の量は、単量体濃度を10〜80重量%とする量であればよい。
反応温度は特に制限されず、目安として0〜200℃であればよく、室温〜150℃が好ましい。重合反応は、単量体の種類や、溶媒の種類に応じて、減圧、常圧または加圧下で行うことができる。
重合反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。発生したラジカルが酸素と接触して失活し、重合速度が低下するのを抑制し、分子量が適切に制御された重合体を得るためである。さらに重合反応は、減圧下で溶存酸素を除去された重合系内で行われることが好ましい(減圧下で溶存酸素を除去した後、そのまま減圧下において重合反応を行ってもよい)。
溶液中に得られた重合体は、常法により精製または単離されてもよく、その溶液のまま塗膜形成等に用いられてもよい。
<表面保護フィルムの離型層の作製>
本発明に用いられる重合体は任意の他の用途にも用いられるが、必要に応じて他の樹脂を組み合わせて、各種の成形加工(プレス成形、押出成形、射出成形、圧縮成形等)によって成形して、本発明の表面保護フィルムの離型層を構成させることができる。
また本発明に用いられる重合体は、必要に応じて他の樹脂、または樹脂単量体を組み合わせて、各種の溶媒に溶解または分散させて、離型層(いわゆるコーティング材料)として用いることもできる。離型層として用いるとは、
1)本発明に用いられる重合体を単独で含む溶液または分散液を固体に塗布して、コーティング膜を形成すること、
2)本発明に用いられる重合体と、他のマトリックス樹脂とを含む溶液または分散液を固体に塗布して、マトリックス樹脂との複合樹脂からなるコーティング膜を形成すること、および
3)本発明に用いられる重合体と、マトリックス樹脂単量体とを含む溶液または分散液を固体に塗布して、マトリックス樹脂単量体を硬化させることで、複合樹脂からなるコーティング膜を形成することを含む。
例えば、本発明に用いられる重合体を含む溶液(塗布溶液)を基材に塗布して乾燥させ、必要に応じて硬化させることで、基材上に離型層としてコーティング膜を形成させることができる。形成されるコーティング膜は、高い撥水・撥油性を有し、低い表面自由エネルギーを有する。
この高い撥水性および撥油性、ならびに低い表面自由エネルギーは、形成されるコーティング膜の表面に、フルオロシルセスキオキサン骨格上のフッ素原子が偏在するために発現されると考えられる。
オルガノポリシロキサンを含む重合体を含む離型層においても、基材に塗布して乾燥させ、必要に応じて硬化させることで、上記と同様に基材上へ離型層としてコーティング膜を形成させることができる。形成されるコーティング膜は、良好な離型性だけでなく、撥水撥油性、汚防性、非粘着性、滑り性、耐磨耗性、耐蝕性、電気絶縁性、反射防止特性、難燃性、帯電防止特性、耐薬品性、耐候性を発現する。
これらの特性は、フルオロシルセスキオキサンの優れた表面配向性によって、同一重合体の分子内に存在するオルガノポリシロキサンがコーティング膜の表面に効率良く偏在するために発現されると考えられる。
前記の通り、本発明に用いられる重合体は、前記1)のように単独で離型層として用いてもよいが、前記2)のように他のマトリックス樹脂と混合させて離型層として用いてもよく、前記3)のようにマトリックス樹脂を形成する単量体(以下、マトリックス樹脂単量体ともいう)と混合させて離型層を構成させてもよい。
前記2)のように、本発明に用いられる重合体を他のマトリックス樹脂と混合させて用いると、その樹脂本来の特性(力学物性、表面・界面特性、相溶性等)を改質することができる。
マトリックス樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリ-4-メチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド(ナイロン6:デュポン社商品名、ナイロン6,6:デュポン社商品名、ナイロン6,10:デュポン社商品名、ナイロン6,T:デュポン社商品名、ナイロンMXD6:デュポン社商品名等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシラート等)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、フッ素樹脂(ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリラート(Uポリマー:ユニチカ(株)商品名、ベクトラ:ポリプラスチックス(株)商品名等)、ポリイミド(カプトン:東レ(株)商品名、AURUM:三井化学(株)商品名等)、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ビスマレイミド樹脂およびシリコーン樹脂等が含まれる。
これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
また前記3)のように、本発明に用いられる重合体を、マトリックス樹脂単量体と混合
させて用いてもよい。特に、架橋性官能基を有する本発明に用いられる重合体と、マトリックス樹脂単量体とを混合させて用いると、硬化により得られる樹脂と本発明に用いられる重合体が架橋結合され、その結果、力学物性、表面・界面特性、相溶性に優れた複合樹脂を得ることができる。
具体的には、架橋性官能基を有する本発明に用いられる重合体と、マトリックス樹脂を形成する単量体と、さらに必要に応じて硬化反応開始剤(例えば酸発生剤)を含む溶液を基板に塗布し、塗膜を乾燥および硬化させることで、マトリックス樹脂との複合樹脂からなるコーティング膜(複合膜)を基板上に形成することができる。
形成される複合膜は、高い撥水・撥油性を有し、低い表面自由エネルギーを有する。これは複合膜の表面層に、本発明に用いられる重合体に含まれるフルオロシルセスキオキサンのフッ素原子が偏在するためであると考えられる。
マトリックス樹脂単量体の好ましい例には、エポキシ樹脂を形成する単量体が含まれる。形成されるエポキシ樹脂は、脂肪族エポキシ樹脂および芳香族エポキシ樹脂のいずれでもよい。したがって、マトリックス樹脂単量体は、例えば以下に示されるエポキシ樹脂を形成する単量体であり得る。
形成されるエポキシ樹脂の例には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジシクロペンタン、4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エーテル、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′-ジヒドロキシビフェニル-3,3′,5,5′-テトラメチエルビフェニル、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン、および1,1′-ビナフトール、1,1′-ビス(3-t-ブチル-6-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン等を原料とするエポキシ樹脂が含まれる。
さらに、形成されるエポキシ樹脂の例には、フェノール、o-クレゾール、カテコール等のフェノール類、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類との反応生成物のグリシジルエーテル化物であるフェノールノボラック系エポキシ樹脂;
フェノール、クレゾール、メチル-t-ブチルフェノール等のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類との縮合により得られたトリチル骨格含有ポリフェノール類のポリグリシジルエーテル;
トリチル骨格含有ポリフェノール類とホルムアルデヒド類との反応生成物であるトリチル骨格含有ポリフェノール系ノボラック類のポリグリシジルエーテル;
フェノール、o-クレゾール、カテコール等のフェノール類とキシリレンジクロリドや(ヒドロキシメチル)ベンゼン等類との反応生成物であるポリアラキルフェノール樹脂類のポリグリシジルエーテル;
フェノール、o-クレゾール、カテコール等のフェノール類、又はヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ジシクロペンタジエンやリモネン等の不飽和脂環式炭化水素類との反応生成物のグリシジルエーテルである脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂型エポキシ樹脂又はポリナフトール樹脂型エポキシ樹脂;
脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂類又はポリナフトール樹脂類とホルムアルデヒド類との反応生成物である脂環式水素含有ポリフェノールノボラック樹脂類又はポリナフトールノボラック樹脂類のポリグリシジルエーテル;
フェノール類と芳香族カルボニル化合物との縮合反応により得られる多価フェノールのグリシジルエーテル化合物類;
フロログリシン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,3-ビス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン等を基本骨格とする三価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル;
カリックスアレーン等の環状フェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化合物等;
p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、4-アミノメタクレゾール、6-アミノメタクレゾール、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,3′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N-ジグリシジルアニリン等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂;
p-オキシ安息香酸、m-オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル系化合物;
5,5-ジメチルヒダントイン等から誘導されるヒダントイン系エポキシ化合物;
2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロピル)シクロヘキシル]プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂;
ポリブタジエン等の不飽和炭化水素化合物中の二重結合を酸化して得られる脂肪族エポキシ樹脂等が含まれる。
また、形成されるエポキシ樹脂は脂環族エポキシ樹脂であってもよい。その具体例には、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキサンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物から得られるエポキシ樹脂である。
例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4-ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、1,2:8,9ジエポキシリモネン (商品名:CEL3000、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ビス(3-シクロヘキセニル
メチル)修飾ε-カプロラクトン (商品名:エポリードGT301、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化ブタンテトラカルボン酸テトラキス-(3-シクロヘキセニルメチル)修飾ε-カプロラクトン (商品名:エポリードGT401、ダイセル化学株式会社)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロセキサン付加物 (商品名: EHPE3150、ダイセル化学株式会社)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロセキサン付加物と3,4ーエポキシシクロヘキサンメチル-3',4'-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートとの混合物 (商品名: EHPE3150CE、ダイセル化学株式会社)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート (商品名:サイクロマーA400、ダイセル化学株式会社)、3, 4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート (商品名:サイクロマー M100、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化ポリブタジエン (商品名:エポリードPB3600、ダイセル化学株式会社)、エポキシ化熱可塑性エラストマー (商品名:エポフレンド、ダイセル化学株式会社)等に代表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
さらに、上記エポキシ樹脂の例には、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルから得られるエポキシ樹脂;脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステルから得られるエポキシ樹脂;グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成した単独重合体;グリシジルアクリレート、またはグリシジルメタクリレートとその他のビニル単量体とのビニル重合により合成した共重合体等が含まれる。
上記ポリグリシジルエーテルの具体例には、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ソルビトールのテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル等が含まれる。
また上記ポリグリシジルエステルの具体例には、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに、1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが含まれる。
さらに上記エポキシ樹脂の例には、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、またはこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテルから得られるエポキシ樹脂;高級脂肪酸のグリシジルエステルから得られるエポキシ樹脂;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等から得られるエポキシ樹脂が含まれる。
本発明に用いられる重合体と組み合わせられるマトリックス樹脂単量体は、前述したエポキシ樹脂を形成する単量体であればよいが、さらに、以下に示される化合物であってもよい。
トリメチレンオキサイド、3,3-ジメチルオキセタン、3,3-ジクロロメチルオキセタン等のオキセタン化合物;テトラヒドロフラン、2,3-ジメチルテトラヒドロフラン等のトリオキサン;1,3-ジオキソラン、1,3,6-トリオキサシクロオクタン等の環状エーテル化合物;β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-カプロラクトン等の環状ラクトン化合物;エチレンスルフィド等のチイラン化合物;トリメチレンスルフィド、3,3-ジメチルチエタン等のチエタン化合物;テトラヒドロチオフェン化合物等の環状チオエーテル化合物;エポキシ化合物とラクトンとの反応によって得られるスピロオルトエステル化合物;スピロオルトカーボナート化合物;環状カーボナート化合物;エチレ
ングリコールジビニルエーテル、アルキルビニルエーテル、3,4-ジヒドロピラン-2-メチル(3,4-ジヒドロピラン-2-カルボキシレート)、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;スチレン、ビニルシクロヘキセン、イソブチレン、ポリブタジエン等のエチレン性不飽和化合物、アミノ基、ヒドロキシル、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシルを有するポリジメチルシロキサン、ポリアルキレンオキサイド(ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドからなるブロック共重合体等)、フッ素化ポリアルキレンオキサイド(ポリフルオロエチレンオキサイド、ポリフルオロプロピレンオキサイド等)を用いてもよい。
前述の通り、架橋性官能基を有する本発明に用いられる重合体は、マトリックス樹脂(例えばエポキシ樹脂)を形成する単量体とともに、硬化反応開始剤(例えば酸発生剤)を組み合わせて用いることができる。
硬化反応開始剤に制限はなく、活性エネルギー線照射や熱エネルギーによりカチオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物であればよい。硬化反応開始剤の例には、カルボン酸、アミン、酸無水物化合物や酸発生剤等が含まれ、好ましくはルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその化合物である。
硬化反応開始剤の代表的なものとしては、下記一般式で示される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
[A]m+[B]m-
上記式において、陽イオン[A]m+はオニウムイオンであることが好ましく、例えば下記式で示される。
[(α)aQ]m+
αは炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機基である。aは1〜5の整数である。a個のαは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つのαは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。
QはS、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。
また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qである(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
一方、陰イオン[B]m-は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、例えば下記式で示される。
[LXbm-
Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。
また、陰イオン[B]m-中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pである。
上記一般式で示される陰イオン[LXbm-の具体例には、テトラフルオロボレート(BF4)、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)等が含まれる。
また陰イオン[B]m-は、下記式で示されるものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。
[LXb-1(OH)]m-
陰イオン[B]m-の例には、さらに過塩素酸イオン(ClO4-、トリフルオロメチル
亜硫酸イオン(CF3SO3-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン等も含まれる。
本発明における硬化反応開始剤は、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)に例示される芳香族オニウム塩であることがさらに好ましい。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4-メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4-t-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等のジアリールヨードニウム塩
(ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4-メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル-4-チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル-4-チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4'-ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド-ビス-ヘキサフルオロアンチモネート、4,4'-ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、4,4'-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド-ビス-ヘキサフルオロアンチモネート、4,4'-ビス[ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド-ビス-ヘキサフルオロホスフェート、4-[4'-(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル-ジ-(4-フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-[4'-(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル-ジ-(4-フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のトリアリールスルホニウム塩
さらに、本発明における硬化反応開始剤は、鉄アレーン錯体またはアルミニウム錯体と、トリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物であってもよい。
鉄アレーン錯体の例には、(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)〔(1,2,3,4,5,6-η)-(1-メチルエチル)ベンゼン〕-アイアン-ヘキサフルオロホスフェート等が含まれ、アルミニウム錯体の例には、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等が含まれる。
これらの中でも実用面の観点から、本発明における硬化反応開始剤は、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体であることが好ましい。
硬化反応開始剤(好ましくは酸発生剤)の含有量は、例えばマトリックス樹脂がエポキシ樹脂の場合には、本発明に用いられる重合体とエポキシ樹脂単量体が有するエポキシ基10〜500モルに対して、1モルであることが好ましい。
前述の通り、本発明に用いられる重合体は溶媒に溶解または分散させて、離型層に含有させることができる。離型層に含有させる際に作製するコーティング液に含まれる固形分(本発明に用いられる重合体や他の樹脂等を含む)の濃度は特に制限されないが、1〜50重量%であればよい。
本発明に用いられる重合体を溶解または分散させる溶媒は、特に制限されないが、50〜200℃の沸点を有する化合物を20重量%以上含有することが好ましい。溶媒に含まれる、50〜200℃の沸点を有する化合物は、一種類であっても、二種以上の組み合わせでもよい。
50〜200℃の沸点を有する化合物の例には、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン等のケトン;酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等の脂肪族エステル;ジオキサン等の環状エーテル;シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族;γ-ブチロラクトン等の環状エステル;N,N-ジメチルアセトアミド等が含まれる。
さらに、50〜200℃の沸点を有する化合物の例には、グリコールまたはその誘導体が含まれる。グリコールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等が含まれる。
グリコール化合物の例には、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールモノエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等のグリコールモノエーテルアセテート;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールジメチルエーテル;等が含まれる。
これらのうち、塗布溶液の溶媒の好ましい例には、塗布均一性を高めるという点で、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、および乳酸エチルが含まれる。さらに、人体への安全性を考慮すると、溶媒の好ましい例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、および乳酸エチルが含まれる。
また、前記塗布溶液を、スリットコーター(大型基材へ塗布するために好ましく使用される)で基材等に塗布する場合には、その塗布均一性を高めるという点で、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒;3-メトキシプロピオン酸メチルとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと3-メトキシプロピオン酸メチルとジエチレングリコールメチルエチルエーテルの混合溶媒を用いることが好ましい。
本発明に用いられる重合体を含む溶液を基材層の表面に塗布する方法は、特に制限されないが、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等がある。これらの基材層は前処理をされていてもよく、前処理の例には、シランカップリング剤等による薬品処理、サンドブラスト処理、コロナ放電処理、紫外線処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等が含まれる。塗布された溶液の乾燥は、室温〜200℃の環境下で行うことができる。
塗布溶液は、前記溶媒中に本発明に用いられる重合体、および必要に応じて任意の成分を混合・溶解させることで製造される。
得られる複合樹脂(固形分)における本発明に用いられる重合体の含有率は、特に制限はないが、0.01〜10重量%であることが好ましい。複合樹脂におけるフッ素含有率を適切に制御するためである。また、複合樹脂中のフッ素濃度は、0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%であることが好ましい。
該複合樹脂からなるコーティング膜は、高い撥水性や撥油性を有し、低い表面自由エネルギーを有する。
次にコーティングによって、本発明の表面保護フィルムを構成する離型層の作製に好ましく用いられるフッ素系重合体組成物、当該フッ素系重合体組成物を含む表面改質剤、及び該表面改質剤より得られる離型層について説明する。
本発明に用いられる表面改質剤は、エポキシ系樹脂を形成する原料組成物に対して、フルオロシルセスキオキサン(a)と、オルガノポリシロキサン(c)と、必要に応じて配合する架橋性官能基を有する付加重合性単量体(b)との共重合体をフッ素原子として0.01〜5重量%含むコーティング液をブレンドすることによって得られる。
前記のエポキシ系樹脂を形成する組成物から形成されるエポキシ樹脂としては、脂肪族エポキシ樹脂および芳香族エポキシ樹脂のいずれでもよい。かかるエポキシ樹脂を形成する主単量体には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ヒドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジシクロペンタン、4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エーテル、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4′-ジヒドロキシビフェニル-3,3′,5,5′-テトラメチルビフェニル、ビス(ヒドロキシナフチル)メタン、および1,1′-ビナフトール、1,1′-ビス(3-t-ブチル-6-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン等が含まれる。
さらに、形成されるエポキシ樹脂の例には、フェノール、о-クレゾール、カテコール等のフェノール類、ホルムアルデヒド等のアルデヒド類との反応生成物のグリシジルエーテル化物であるフェノールノボラック系エポキシ樹脂;
フェノール、クレゾール、メチル-t-ブチルフェノール等のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド類との縮合により得られたトリチル骨格含有ポリ
フェノール類のポリグリシジルエーテル;
トリチル骨格含有ポリフェノール類とホルムアルデヒド類との反応生成物であるトリチル骨格含有ポリフェノール系ノボラック類のポリグリシジルエーテル;
フェノール、o-クレゾール、カテコール等のフェノール類とキシリレンジクロリドや(ヒドロキシメチル)ベンゼン等類との反応生成物であるポリアラキルフェノール樹脂類のポリグリシジルエーテル;
フェノール、o-クレゾール、カテコール等のフェノール類、又はヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール類と、ジシクロペンタジエンやリモネン等の不飽和脂環式炭化水素類との反応生成物のグリシジルエーテルである脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂型エポキシ樹脂又はポリナフトール樹脂型エポキシ樹脂;
脂環式炭化水素含有ポリフェノール樹脂類又はポリナフトール樹脂類とホルムアルデヒド類との反応生成物である脂環式水素含有ポリフェノールノボラック樹脂類又はポリナフトールノボラック樹脂類のポリグリシジルエーテル;
フェノール類と芳香族カルボニル化合物との縮合反応により得られる多価フェノールのグリシジルエーテル化合物類;
フロログリシン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,3-ビス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン等を基本骨格とする三価以上のフェノール類のポリグリシジルエーテル;
カリックスアレーン等の環状フェノール類から誘導されるグリシジルエーテル化合物;
p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、4-アミノメタクレゾール、6-アミノメタクレゾール、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、3,3′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシフェニル)プロパン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、1,4-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、1,3-シクロヘキサンビス(メチルアミン)、N,N-ジグリシジルアニリン等から誘導されるアミン系エポキシ樹脂;
p-オキシ安息香酸、m-オキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族カルボン酸から誘導されるグリシジルエステル系化合物;
5,5-ジメチルヒダントイン等から誘導されるヒダントイン系エポキシ化合物;
2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロピル)シクロヘキシル]プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂;
ポリブタジエン等の不飽和炭化水素化合物中の二重結合を酸化して得られる脂肪族エポキシ樹脂等が含まれる。
また、形成されるエポキシ樹脂は脂環族エポキシ樹脂であってもよい。その具体例には、少なくとも1個の脂環族環を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル、またはシクロヘキセンやシクロペンテン環含有化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキサンオキサイドやシクロペンテンオキサイド含有化合物から得られるエポキシ樹脂である。
例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ1-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサン
カルボキシレート、3,4-エポキシ3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、4-ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4-エポキシ6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールジ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル等から得られるエポキシ樹脂が挙げられる。
さらに、形成されるエポキシ樹脂の例には、脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルから得られるエポキシ樹脂;脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステルから得られるエポキシ樹脂;グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートのビニル重合により合成した単独重合体;グリシジルアクリレート、またはグリシジルメタクリレートとその他のビニル単量体とのビニル重合により合成した共重合体等が含まれる。
上記ポリグリシジルエーテルの具体例には、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル等が含まれる。
また上記ポリグリシジルエステルの具体例には、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに、1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステルが含まれる。
さらに形成されるエポキシ樹脂の例には、脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルやフェノール、クレゾール、ブチルフェノール、またはこれらにアルキレンオキサイドを付加することによって得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテルから得られるエポキシ樹脂;高級脂肪酸のグリシジルエステルから得られるエポキシ樹脂;エポキシ化大豆油、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ポリブタジエン等から得られるエポキシ樹脂が含まれる。
形成されるエポキシ樹脂と上記共重合体との配合比は特に制限されないが、過剰な共重合体の使用は、費用効率の面で好ましくない。従ってコーティング膜中の共重合体の含有濃度は、フッ素原子として0.01〜5重量%となるように配合するのが好ましく、さらにフッ素原子として0.01〜3重量%となるように配合するのが実用的である。
本発明の表面保護フィルムの離型層を構成するコーティング膜を作製するのに好ましく用いられるフッ素系重合体組成物、当該フッ素系重合体組成物を含む表面改質剤には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、他の添加剤、例えば、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び/又は電磁波防止剤を含んでいてもよい。
当該表面改質剤に用いられる硬化反応開始剤は、上記の酸発生剤が好ましく選択され、その含有量は、共重合体とエポキシ樹脂形成用原料組成物が有するエポキシ基10〜500molに対して、1molであることが好ましい。
本発明の表面保護フィルムの離型層を構成するコーティング膜を作製するのに好ましく使用されるコーティング液は、前記のエポキシ樹脂を形成する原料組成物、共重合体を溶媒に溶解および/または分散させて得られる。かかる溶媒としては、特に制限されないが、50〜200℃の沸点を有する化合物を20重量%以上含有することが好ましい。溶媒に含まれる50〜200℃の沸点を有する化合物は、一種類であっても、二種以上の組み合わせでもよい。
上記の50〜200℃の沸点を有する化合物の例には、水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;メチルエチルケトン等のケトン;酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸メチル、2-オキソブタン酸エチル等の脂肪族エステル;ジオキサン等の環状エーテル;シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族;γ-ブチロラクトン等の環状エステル;N,N-ジメチルアセトアミド等が含まれる。
さらに、50〜200℃の沸点を有する化合物の例には、グリコールまたはその誘導体が含まれる。グリコールの例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等が含まれる。
上記のグリコール化合物の例には、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、等のグリコールモノエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、等のグリコールモノエーテルアセテート;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のグリコールジメチルエーテル;ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225等)、ハイドロフルオロカーボン系溶媒(略語 HFCs;炭素数2以上のHFCsが利用でき、炭素数2〜6のHFCsが好ましく利用できる。)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン等)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン等)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール等)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α-トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン等)等が含まれる。
上記のように、溶媒としてフロン系有機溶媒を使用することもできるが、環境的配慮に鑑みると、非フロン系有機溶媒であることが好ましい。汎用的には、例えば、MEK(2−ブタノン)、CHN(シクロヘキサノン)、MMP(3−メトキシプロピオン酸メチル)、IPA(2−プロパノール)を含む群から選ばれた2種以上の混合溶媒が好適に使用でき、具体的には、MEK、MMP及びIPAの混合溶媒、あるいはMEK、CHN、MMP及びIPAの混合溶媒が挙げられる。それらの配合比は上記エポキシ樹脂の種類および共重合体の種類、レベリング性の改善等、必要に応じて適宜調整するのが好ましい。
上記の混合溶媒において、塗布均一性を高めるという点で、さらに、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル等を配合するのが好ましい。中でも、人体への安全性を考慮すると、溶媒の好ましい例には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、乳酸エチル等を配合するのが好ましい。
本発明において好ましく用いられる上記のコーティング液には、エポキシ樹脂形成用原料組成物、共重合体、硬化開始剤、溶媒の他に、必要により且つ本発明を阻害しない範囲で、任意の成分を混合・溶解させることができる。以上のようにして得られるコーティング液の不揮発成分(固形分)の濃度は特に制限されないが、通常、1〜50重量%とされ、実用的には、5〜20重量%程度であることが好ましい。
上記のコーティング液を前記の基材に塗布する方法は、特に制限されないが、スピンコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアナイフコート法、カーテンコート法等がある。
上記のコーティング液の塗布量は、通常、焼成後のコーティング膜の厚さが0.1〜20μmとなるように設定される。なお、実用的な焼成後のコーティング膜の厚さは0.3〜3μm程度である。
このコーティング液の塗布後の焼成条件は、上記のエポキシ樹脂の硬化条件および基材の耐熱性を考慮して設定され、焼成温度は通常50〜200℃、実用的には100〜180℃とされる。焼成時間は設定された焼成後のコーティング膜の厚さ、基材の種類、基材の厚みおよび焼成温度により加減されるが、通常プラスチックフィルムを使用した場合、15〜120秒とされる。例えば焼成温度が160℃で、設定された焼成後のコーティング膜の膜厚が1μm、基材として厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した場合、焼成時間は45〜60秒で十分である。
本発明の表面保護フィルムを構成する離型層は、本発明の基材層の接着層を形成した面とは反対表面に、上記のコーティング膜を形成することで容易に形成することが可能である。
本発明の表面保護フィルムを構成する離型層の厚みは特に制限はされないが、通常は1nm〜1500μm程度である。
本発明の表面保護フィルムを構成する離型層は、前記重合体あるいは重合体組成物が有する特長により、基材層と良好な接着性を有し、かつ、離型層表面は接着層に使用可能ないずれの接着剤とも良好な離型性を示すため、本発明の表面保護フィルムをロール状の巻物に仕上げた場合であってもブロッキング現象は発生せず、容易に繰り出すことができる。
本発明の表面保護フィルムはTダイ法の共押し、あるいは単層押出し装置の下流にコーターが設けられた、特開平15−41216公報に例示される装置等を用いることによって、先に述べた中間体のフィルムを経ることなく一工程で製造することもできる。
<実施例>
以下において、実施例等を参照して本発明をさらに詳細に説明するが、これらの記載により本発明の範囲が限定されることはない。
[製造例1]
γ-メタクリロキシプロピルヘプタ(トリフルオロプロピル)-T8-シルセスキオキサンの合成
還流冷却器、温度計および滴下漏斗を取り付けた内容積1Lの4つ口フラスコに、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(100g)、THF(500mL)、脱イオン水(10.5g)および水酸化ナトリウム(7.9g)を仕込み、マグネチックスターラーで攪拌しながら、室温からTHFが還流する温度までオイルバスにより加熱した。還流開始から5時間撹拌を継続して反応を完結させた。その後、フラスコをオイルバスから引き上げ、室温で1晩静置した後、再度オイルバスにセットし固体が析出するまで定圧下で加熱濃縮した。
析出した生成物を、孔径0.5μmのメンブランフィルターを備えた加圧濾過器を用いて濾取した。次いで、得られた固形物をTHFで1回洗浄し、減圧乾燥機にて80℃、3時間乾燥を行い、74gの無色粉末状の固形物を得た。
還流冷却器、温度計及び滴下漏斗を取り付けた内容積1Lの4つ口フラスコに、得られた固形物(65g)、ジクロロメタン(491g)、トリエチルアミン(8.1g)を仕込み、氷浴で3℃まで冷却した。次いでγ−メタクリロキシプロピルトリクロロシラン(21.2g)を添加し、発熱が収まったことを確認して氷浴から引き上げ、そのまま室温で一晩熟成した。イオン交換水で3回水洗した後、ジクロロメタン層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過により硫酸マグネシウムを除去した。ロータリーエバポレータで粘調な固体が析出するまで濃縮し、メタノール260gを加えて粉末状になるまで攪拌した。5μmの濾紙を備えた加圧濾過器を用いて粉体を濾過し、減圧乾燥器にて65℃、3時間乾燥を行い、41.5gの無色粉末状固体を得た。得られた個体のGPC、1H−NMR測定を行い、下記式の構造を有している化合物(a-1)であることが分かった。
Figure 0005228367
<実施例1>
重合性組成物の調製
耐熱ガラス製アンプルに、フルオロシルセスキオキサン(a)として化合物(a-1)、付加重合性単量体(b)としてメチルメタクリレート、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、重合反応に用いられる溶媒としてα,α,α-トリフルオロトルエンを導入し、液体窒素を用いて速やかに冷却した。その後、油回転ポンプが装着された真空装置にて凍結真空脱気(圧力:1.0Pa)を3回行ない、真空の状態を保持したまま、ハンドバーナーを用いて速やかにアンプルを封じた。
アンプルに封じた化合物(a-1)とメチルメタクリレートのモル比率は、(a-1):メタクリレート=10:90とし;α,α,α-トリフルオロトルエンの量は、化合物(a-1)とメチルメタクリレートの総重量に対して30重量%とし、2,2'-アゾビスイソブチロニトリルの量は化合物(a-1)とメチルメタクリレートの総モル数に対して0.005mol%とした。
重合
この封管された耐熱ガラス製アンプルを、60℃の恒温振とう浴中にセットして、5時間重合させ、粘ちょうな溶液を得た。重合終了後、n−ヘプタンを再沈溶媒として投入し、重合体を沈澱させた。上澄みを除去し、減圧乾燥(80℃、3時間)させて重合体(A1)を得た。重合体(A1)の、GPC分析により求めた重量平均分子量は182,800であり、Mw/Mnは1.68であった。また重合体(A1)の、1H−NMR測定により求めた単量体成分の組成モル比率は、化合物(a-1):メチルメタクリレート=6.9:93.1であった。
離型層用コーティング液の調製
得られた重合体(A1)を、2−ブタノンに溶解させ、重合体の濃度が5重量%であるコーティング液(C−1)を得た。
<実施例2>
重合性組成物の調製及び重合
還流冷却器、温度計、滴下漏斗およびアルゴンバブリング用のシリンジ付きのセプタムキャップを取り付けた内容積200mLの四つ口フラスコに、フルオロシルセスキオキサン(a)として化合物(a-1)(15.3g)、付加重合性単量体(b)としてメチルメタクリレート(13.6g)、マトリックス樹脂単量体としてグリシジルメタクリレート(1.1g)、重合反応に用いられる溶媒としてα,α,α−トリフルオロトルエン(69.7g)を入れて、アルゴンでシールしながら、シリンジよりアルゴンを吹き込み、脱酸素を行った。
充分に脱酸素した後、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(0.2565g)と連鎖移動剤としてメルカプト酢酸(0.0288g)を入れ、60℃のオイルバスにセットして重合を行った。8時間重合した後、重合体組成物を2Lのn-ヘプタンに注ぎ込んで重合体を析出させた。上澄みを除去し、減圧乾燥(80℃、3時間)させて26.2gの重合体(A2)を得た。
重合体(A2)の、GPC分析により求めた重量平均分子量は91,900であり、Mw/Mnは1.62であった。また重合体(A2)の、1H−NMR測定により求めた単量体成分の組成モル比率は、化合物(a-1):メチルメタクリレート:グリシジルメタクリレート=7.1:88.0:4.9であった。さらに重合体(A2)の、1H−NMR測定により求めたフッ素濃度は15.57重量%であった。
離型層用コーティング液の調製
重合体(A2)を0.24g、およびEHPE3150CE(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキ
サン付加物と (3’4’−エポキシシクロヘキサン)メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート の混合物、エポキシ当量:151g/mol,ダイセル化学工業株式会社製)3.76gを、混合溶媒(2−ブタノン/シクロヘキサノン/2−プロパノール=重量比50/30/20)36.0gに溶解させた。さらに、硬化剤としてカチオン重合開始剤0.03g(エポキシ基/カチオン重合開始剤=398/1(モル比)、エポキシ量:25.0mmol)を加え、コーティング液(C−2)を得た。
<実施例3>
基材層の材料として、ポリエチレンテレフタレート、接着層の材料としてスチレン系エラストマー(JSR株式会社:ダイナロン)を用いてTダイ法にて溶融共押出しし、基材層を100μm、接着層を10μmとして製膜し、ポリエチレンテレフタレート/スチレン系エラストマーの積層フィルムを得た。
次いで、実施例1で得られたコーティング液(C−1)を、コーティングロッド(#4、R.D.スペシャリティーズ社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレート/スチレン系エラストマーの二層シートのポリエチレンテレフタレート層面に塗布した。コーティングロッド(#4)を使用した時のウェット膜厚は9μmである。得られた塗膜を硬化・乾燥させて、膜厚約0.45μmの離型層とし、本発明の表面保護フィルムを得た。
<実施例4>
実施例3で、実施例1で得られたコーティング液(C−1)の代わりに実施例2で得られたコーティング液(C−2)を用いる以外は実施例3と同様な操作を行い、本発明の表面保護フィルムを得た。
<実施例5>
基材層の材料として、ポリエチレンテレフタレートを用い、Tダイ法にて溶融押出しし、100μmの単層フィルムを得た。本フィルムの片側表面に通常の溶液重合により得たアクリル系接着剤(平均分子量Mw60万のアクリル系ポリマー/エポキシ系架橋剤)を乾燥後の厚みが20μmと成るようにコーティングし、ポリエチレンテレフタレート/アクリル系接着剤の二層フィルムを得た。
次いで、実施例1で得られたコーティング液(C−1)を、コーティングロッド(#4、R.D.スペシャリティーズ社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレート/スチレン系エラストマーの二層シートのポリエチレンテレフタレート層面に塗布した。コーティングロッド(#4)を使用した時のウェット膜厚は9μmである。得られた塗膜を硬化・乾燥させて、膜厚約0.45μmの離型層とし、本発明の表面保護フィルムを得た。
<実施例6>
実施例5で、実施例1で得られたコーティング液(C−1)の代わりに実施例2で得られたコーティング液(C−2)を用いる以外は実施例5と同様な操作を行い、本発明の表面保護フィルムを得た。
<実施例7>
実施例3で得た表面保護フィルムをスリッターワインダーを用いて500mm幅にスリットした後に巻取り、表面保護フィルムのロール状物品を得た。得られたロール状物品をリワインダーを用いて400m/分の速度にて巻返しを行なった。
<実施例8>
実施例4で得た表面保護フィルムをスリッターワインダーを用いて500mm幅にスリットした後に巻取り、表面保護フィルムのロール状物品を得た。得られたロール状物品をリワインダーを用いて400m/分の速度にて巻返しを行なった。
<実施例9>
実施例5で得た表面保護フィルムをスリッターワインダーを用いて500mm幅にスリットした後に巻取り、表面保護フィルムのロール状物品を得た。得られたロール状物品をリワインダーを用いて400m/分の速度にて巻返しを行なった。
<実施例10>
実施例6で得た表面保護フィルムをスリッターワインダーを用いて500mm幅にスリットした後に巻取り、表面保護フィルムのロール状物品を得た。得られたロール状物品をリワインダーを用いて400m/分の速度にて巻返しを行なった。
<比較例1>
実施例3で得たポリエチレンテレフタレート/スチレン系エラストマーの積層フィルムにコーティングを施さずにスリッターワインダーを用いて500mm幅にスリットした後に巻取り、表面保護フィルムのロール状物品を得た。得られたロール状物品をリワインダーを用いて400m/分の速度にて巻返しを試みた。
<比較例2>
実施例5で得たポリエチレンテレフタレート/アクリル系接着剤の二層フィルムにコーティングを施さずにスリッターワインダーを用いて500mm幅にスリットした後に巻取り、表面保護フィルムのロール状物品を得た。得られたロール状物品をリワインダーを用いて400m/分の速度にて巻返しを試みた。
Figure 0005228367
上記のとおり、表面保護フィルムを巻き返したところ、本発明の構成を有する、実施例7〜10の表面保護フィルムは、良好な繰り出しができた。
本発明の表面保護フィルムの断面図
符号の説明
1 離型層
2 基材層
3 接着層

Claims (32)

  1. 接着層、基材層および離型層を有しており、基材層の片側の表面に接着層を有し、反対側の表面に離型層を有する表面保護フィルムであって、該基材層は、熱可塑性樹脂を含有する層であり、該接着層は、接着剤または粘着剤を含有する層であり、該離型層は、
    下記式(I)で示されるフルオロシルセスキオキサン(a)の付加重合体、または下記式(I)で示されるフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層であることを特徴とする表面保護フィルム。
    Figure 0005228367

    [式(I)において、
    f 1〜Rf 7はそれぞれ独立して、
    任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20のフルオロアルキル;
    少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;または
    アリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、
    1は、付加重合性官能基を示す。]
  2. 前記式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロテトラデシル、(3-ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α-トリフルオロメチルフェニルを示すことを特徴とする、請求項記載の表面保護フィルム。
  3. 前記式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルを示すことを特徴とする、請求項記載の表面保護フィルム。
  4. 前記式(I)におけるA1が、ラジカル重合性官能基を示すことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  5. 前記式(I)におけるA1が、(メタ)アクリルまたはスチリルを含むことを特徴とする請求項のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  6. 前記式(I)におけるA1が、下記式(II)または(III)で示されるいずれかであることを特徴とする請求項記載の表面保護フィルム。
    Figure 0005228367


    [式(II)において、Y1が炭素数2〜10のアルキレンを示し、Xが水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、
    式(III)において、Y2が単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。]
  7. 前記式(II)において、Y1が炭素数2〜6のアルキレンを示し、Xが水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(III)において、Y2が単結合または炭素数1〜6のアルキレンを示す請求項記載の表面保護フィルム。
  8. 前記式(II)において、Y1がプロピレンを示し、Xは水素またはメチルを示し、式(III)において、Y2が単結合またはエチレンを示す請求項記載の表面保護フィルム。
  9. 前記付加重合性単量体(b)が、(メタ)アクリル酸化合物またはスチレン化合物である、請求項1〜のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  10. 前記付加重合性単量体(b)の少なくとも一部が、架橋性官能基を有する付加重合性単量体である、請求項1〜のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  11. 前記表面保護フィルムの離型層に、エポキシ樹脂単量体を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  12. 接着層、基材層および離型層を有しており、基材層の片側の表面に接着層を有し、反対側の表面に離型層を有する表面保護フィルムであって、該基材層は、熱可塑性樹脂を含有する層であり、該接着層は、接着剤または粘着剤を含有する層であり、該離型層は、
    1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)との付加共重合体、または、1つの付加重合性官能基を有するフルオロシルセスキオキサン(a)と、付加重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン(c)と、付加重合性単量体(b)との付加共重合体を含有する層であることを特徴とする表面保護フィルム。
  13. 前記フルオロシルセスキオキサン(a)が、下記式(I)で示されることを特徴とする、請求項12記載の表面保護フィルム。
    Figure 0005228367


    [式(I)において、
    f 1〜Rf 7はそれぞれ独立して、 任意のメチレンが酸素で置き換えられていてもよい、炭素数1〜20のフルオロアルキル;
    少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数6〜20のフルオロアリール;または
    アリール中の少なくとも1つの水素がフッ素もしくはトリフルオロメチルで置き換えられた、炭素数7〜20のフルオロアリールアルキルを示し、A1は、付加重合性官能基を示す。]
  14. 式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、3,3,4,4,4-ペンタフルオロブチル、3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキ
    シル、トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロオクチル、ヘプタデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル、ヘンイコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロドデシル、ペンタコサフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロテトラデシル、(3-ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピル、ペンタフルオロフェニルプロピル、ペンタフルオロフェニル、またはα,α,α-トリフルオロメチルフェニルを示すことを特徴とする請求項13記載の表面保護フィルム。
  15. 式(I)におけるRf 1〜Rf 7がそれぞれ独立して、3,3,3-トリフルオロプロピル、または3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロヘキシルを示すことを特徴とする請求項14記載の表面保護フィルム。
  16. オルガノポリシロキサン(c)が下記式(IV)であることを特徴とする請求項1215のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
    Figure 0005228367

    [式(IV)において、nは1〜1,000の整数であり;R1、R2、R3、R4、およびR5は、それぞれ、水素、炭素数が1〜30であり、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく、そして任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキル、置換もしくは非置換のアリール、および置換もしくは非置換のアリールと、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよく任意の−CH2−が−O−またはシクロアルキレンで置き換えられてもよいアルキレンとで構成されるアリールアルキル、から独立して選択される基であり;A2は付加重合性官能基である。]
  17. 式(IV)におけるR1およびR2が、それぞれ独立して水素、フェニルまたは炭素数が1〜8で任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキルであり;R3およびR4が、独立して炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル、炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、または炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルであり;R5が、炭素数が1〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアルキル、炭素数が6〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリール、または炭素数が7〜20であり任意の水素がフッ素で置き換えられてもよいアリールアルキルである請求項16記載の表面保護フィルム。
  18. 式(IV)におけるR1およびR2は、それぞれ独立してメチル、フェニルまたは3,3,3−トリフルオロプロピルであり;R3およびR4は、それぞれ独立してメチルまたはフェニルであり;R5はメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、またはフェニルである請求項17記載の表面保護フィルム。
  19. 1、R2、R3およびR4は、それぞれ同時にメチルである請求項18記載の表面保護フィルム。
  20. 式(I)におけるA1および式(IV)におけるA2が付加重合性官能基であることを特徴とする請求項1319のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  21. 式(I)におけるA1および式(IV)におけるA2がラジカル重合性官能基であることを特徴とする請求項20記載の表面保護フィルム。
  22. 式(I)におけるA1および式(IV)におけるA2が(メタ)アクリルまたはスチリルを含むことを特徴とする請求項21記載の表面保護フィルム。
  23. 式(I)におけるA1が、下記式(V)または(VII)で示されるいずれかであり、
    式(IV)におけるA2が、下記式(V)、(VI)または(VII)で示されるいずれかであ
    る請求項22記載の表面保護フィルム。
    Figure 0005228367

    [式(V)において、Y3が炭素数2〜10のアルキレンを示し、R6が水素、または炭
    素数1〜5のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、式(VI)において、R7は水素、または炭素数1〜5のアルキル、または炭素数6〜10のアリールであり、X1は炭素数が2〜20のアルキレンであり、Yは−OCH2CH2−、−OCH(CH3)CH2−,または−OCH2CH(CH3)−であり、pは0〜3の整数であり、式(VII)において、Y4が単結合または炭素数1〜10のアルキレンを示す。]
  24. 式(V)において、Y3が炭素数2〜6のアルキレンを示し、R6が水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(VI)において、X1は−CH2CH2CH2−を示し、Yは−OCH2CH2−を示し、pは0または1を示し、R7が水素または炭素数1〜3のアルキルを示し、式(VII)においてY4が単結合または炭素数1あるいは2のアルキレンを示す、請求項23に記載の表面保護フィルム。
  25. 前記付加重合性単量体(b)が架橋性官能基を有する付加重合性単量体及び架橋性官能基を有さない単量体から選ばれる少なくとも1種である請求項1224のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  26. 前記付加重合性単量体(b)が架橋性官能基を有する付加重合性単量体である請求項1224のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  27. 前記架橋性官能基を有する付加重合性単量体がラジカル重合性官能基を有し、且つ同一分子内において1つ以上のヒドロキシル、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、ハロゲン化アルキル、ブロックドイソシアナト、イソシアナト、アミノまたはカルボキシルを有する化合物である請求項26記載の表面保護フィルム。
  28. 前記架橋性官能基を有する付加重合性単量体におけるラジカル重合性官能基が(メタ)
    アクリルまたはスチリルである請求項27記載の表面保護フィルム。
  29. 前記離型層に、熱可塑性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含有する請求項1228のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  30. 前記離型層に、熱硬化性樹脂を含有する請求項1228のいずれか一項に記載の表面保護フィルム。
  31. 熱硬化性樹脂がヒドロキシル、グリシジル、オキセタニル、エポキシシクロヘキシル、ハロゲン化アルキル、ブロックドイソシアナト、イソシアナト、アミノまたはカルボキシルを有する化合物である、請求項30記載の表面保護フィルム。
  32. 熱硬化性樹脂がグリシジル、オキセタニル、またはエポキシシクロヘキシルを有する化合物である請求項31記載の表面保護フィルム。
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