JP2008198064A - プロセス制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存のフィードバックループを再構築することなく、必要に応じて外乱の影響を効果的に排除することができるプロセス制御装置を提供する。
【解決手段】プロセス制御装置1は、制御器11、プラグイン外乱除去制御器12、及び1次フィルタ13を備えており、制御対象30の制御を行う。制御器11は、外乱の周期を特定しない環境下において設計され、制御対象30に対する設定値rと、1次フィルタ13を介した制御対象30の測定値yとを用いて制御対象30のフィードバック制御を行う。プラグイン外乱除去制御器12は、制御器11が含まれるフィードバックループに付加され、フィードバックループに加わる外乱を、制御対象30の測定値yを用いて除去するように内部モデル原理を用いて設計されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、制御対象の制御を行うプロセス制御装置に関する。
プロセス制御装置は、一般的に制御対象の測定値を設定値に追従させるよう制御対象の制御を行う装置である。かかるプロセス制御装置において、制御対象を制御する制御器は、一般的に外乱の周期を特定しない環境下で制御対象の測定値を設定値に追従させるよう設計される。このため、従来のプロセス制御装置は、周期性外乱までを陽に考慮した制御は行われていないのが殆どである。
以下の非特許文献1には、外乱の周期を特定した環境下において、測定値に現れる外乱の影響を除去するために、内部モデル原理を用いて制御器を設計する方法が開示されている。図10は、従来のプロセス制御装置の構成を示すブロック図である。図10に示す通り、従来のプロセス制御装置は、例えば、PID制御手法を用いて設計された制御器100を備えており、この制御器100が制御対象200の制御を行う。
図10に示す通り、設定値r及び制御対象200の測定値yが加え合わせ点101に入力されており、これらの差分が誤差信号eとして制御器100に入力される。制御器100は、入力される誤差信号eに基づいて操作量uを生成して出力する。尚、この操作量uは、周期性外乱pを除去するための操作量を含んでいない。この操作量u及び周期性外乱pは加え合わせ点102に入力され、これらが加算されて制御対象200に入力されて制御対象200の制御が行われる。
また、以下の特許文献1〜3には、周期性外乱の影響を除去するために、ファジー制御等を用いる技術が開示されている。
特許第2982209号公報 特開2004−303086号公報 特開2005−273634号公報 アイ・ディー・ランダウ(I. D. Landau),エイ・コンスタンティネスク(A. Constantinescu),ディー・レイ(D. Ray),「アダプティブ・ナロー・バンド・ディスターバンス・リジェクション・アプライド・トゥ・アン・アクティブ・サスペンション − アン・インターナル・モデル・プリンシプル・アプローチ(Adaptive narrow band disturbance rejection applied to an active suspension - an internal model principle approach)」,オートマティカ(Automatica),2005年,第41巻,第4号,p.563−573
ところで、従来のプロセス制御装置において、外乱の周期を特定しない環境下で制御器を設計すると、外乱が混入した場合にその制御器では対処しきれずに制御性能の劣化が生ずる。一方、上記非特許文献1に開示された方法で制御器を設計すれば外乱の影響を排除することはできるものの、外乱の影響を排除しうる制御器を設けるにあたり、図10のフィードバックループLを再構築する必要がある。
また、外乱の影響を排除しうる制御器を設けてフィードバックループLを構築した後に、外乱除去を不要とするためには、外乱の周期を特定しない環境下で設計された制御器に取り替える必要があるが、かかる場合にもフィードバックループLを再構築する必要がある。つまり、従来は、必要に応じて外乱除去を切り替えようとすると必ずフィードバックループLを再構築する必要があるため、その度毎にプロセス制御装置及び制御対象を停止させなければならないという問題があった。
更に、上記非特許文献1に開示された方法を用いて設計されたプロセス制御装置は、周期性外乱の周波数分布が狭い場合には、ある程度的確な制御を行って外乱を除去することができる。しかしながら、周期性外乱の周波数分布が広い場合には、ある周波数域の外乱を排除しようとして制御器を設計すると、その周波数域の外乱は良好に排除できるものの、他の周波数域の外乱を増長させてしまう虞が考えられる(周波数特性のウォーターベッド効果)。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、フィードバックループを再構築することなく、必要に応じて外乱の影響を効果的に排除することができるプロセス制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のプロセス制御装置は、制御対象(30)の制御を行うプロセス制御装置(1、2)において、外乱の周期を特定しない環境下において設計され、前記制御対象に対する設定値(r)と前記制御対象の測定値(y)とを用いて前記制御対象のフィードバック制御を行う制御器(11)と、前記制御器が含まれるフィードバックループに付加され、前記制御器が含まれるフィードバックループに加わる外乱(p)を、前記制御対象の測定値を用いて除去するように内部モデル原理を用いて設計された付加制御器(12)とを備えることを特徴としている。
この発明によると、制御対象に対する設定値と制御対象の測定値とに基づいて制御器が制御対象を制御するための操作量を生成するとともに、制御対象の測定値に基づいて内部モデル原理を用いて設計された付加制御器が周期性外乱を除去し得る操作量を生成し、これらの操作量に基づいて制御対象が制御される。
また、本発明のプロセス制御装置は、前記付加制御器が、前記フィードバックループに加わる外乱の周期成分のうちの主要周期成分の除去をするように設計されていることを特徴としている。
また、本発明のプロセス制御装置は、前記付加制御器が、前記フィードバックループに加わる外乱の主要周期成分に対する減衰係数を個別に設定することにより、前記他の周期成分の過度な増大が生じないようにすることを特徴としている。
また、本発明のプロセス制御装置は、前記制御対象の測定値の主要周期成分の変動に応じて、前記付加制御器の制御パラメータを変更する制御パラメータ変更器(40)を備えることを特徴としている。
また、本発明のプロセス制御装置は、前記制御パラメータ変更器が、前記制御対象の測定値の周波数解析を行う解析部(41)と、前記解析部が行った前記周波数解析の解析結果を記憶する記憶部(42)と、前記記憶部に記憶された前回の解析結果と前記解析部の新たな解析結果とを比較し、前記主要周期成分の変動の有無を判定する判定部(43)と、前記判定部で前記主要周期成分の変動有りと判定された場合に、前記解析部の新たな解析結果に応じて前記付加制御器の制御パラメータを変更する変更部(44)とを備えることを特徴としている。
更に、本発明のプロセス制御装置は、前記制御対象が、シート状製品を製造する製造装置(50)であり、前記製造装置で製造された前記シート状製品の測定結果を用いて、前記シート状製品の幅方向のプロファイルが所定のプロファイルとなるように前記製造装置を制御することを特徴としている。
本発明によれば、制御器が含まれるフィードバックループに対して、内部モデル原理を用いて設計されたプラグイン外乱除去制御器を付加しているため、外乱の影響を効果的に排除することができるという効果がある。また、減衰係数を導入してプラグイン外乱除去制御器の設計を行っているため、ウォーターベッド効果による悪影響を抑えることができるという効果がある。更に、プラグイン外乱除去制御器を切り離すことで、プラグイン外乱除去制御器を導入する前の外乱の存在を考慮しない環境下におけるプロセス制御装置の閉ループとすることができる。このため、フィードバックループを再構築することなく、必要に応じて外乱除去の有無を切り替えることができるという効果がある。
以下、図面を参照して本発明の実施形態によるプロセス制御装置について詳細に説明する。
〔プロセス制御装置〕
〈第1実施形態〉
図1は、本発明の第1実施形態によるプロセス制御装置の要部構成を示す図である。図1に示す通り、本実施形態のプロセス制御装置1は、制御器11、プラグイン外乱除去制御器12(付加制御器)、及び1次フィルタ13を備えており、制御対象30の制御を行う。
尚、制御器11及び1次フィルタ13は、制御対象30をフィードバック制御するためのフィードバックループの一部をなしている。また、図1において、外乱発生器15は、制御対象30に加わる外乱を発生する仮想的な機器であって、プラグイン外乱除去制御器12の設計を行う際に用いられるものである。この外乱発生器15は、実際にはプロセス制御装置1内には設けられていない点に注意されたい。
図1に示す通り、制御対象30に対する設定値r及び制御対象30の測定値yが加え合わせ点21に入力されており、これらの差分が誤差信号eとして制御器11に入力される。制御器11は、外乱の周期を特定しない環境下において制御対象30をサンプル値比例積分制御(サンプル値PI制御)するように設計されており、入力される誤差信号eに基づいて制御対象30をサンプル値PI制御によってフィードバック制御するための操作量uを生成して出力する。
尚、ここでは、制御器11が制御対象30をサンプル値PI制御するよう設計されている場合を例に挙げて説明するが、制御器11はサンプル値比例微分制御(サンプル値PD制御)するものであっても、サンプル値比例積分微分制御(サンプル値PID制御)するものであっても良い。また、制御器11は、これらサンプル値PD制御及びサンプル値PID制御を行うものにも限られず、一般的な線形離散時間制御器であっても良い。
プラグイン外乱除去制御器12は、制御器11が含まれるフィードバックループに付加され、フィードバックループに加わる外乱を、制御対象30の測定値yを用いて除去するように内部モデル原理を用いて設計されている。ここで、内部モデル原理とは、一般的に、追従したい信号又は除去したい信号の発生機構をフィードバックループ内に持っていることが完全な追従制御や外乱除去制御を行うのに必要である、という原理をいう。
つまり、本実施形態では、外乱を発生させる外乱発生器15を仮想的にフィードバックループに設けてプラグイン外乱除去制御器12の設計を行う(内部モデル原理を用いて設計を行う)ことにより、プラグイン外乱除去制御器12を、その内部に外乱発生器15と同様の外乱発生器が設けられた構成にし、プラグイン外乱除去制御器12で生成される操作量νによって外乱の影響を効果的に排除することとしている。
ここで、制御対象30に加わる外乱(フィードバックループに加わる外乱)は種々の周期成分を有しているとする。プラグイン外乱除去制御器12は、フィードバックループに加わる外乱の周期成分のうちの主要な周期成分(主要周期成分:主要周波数成分と同義)のいくつかを除去した場合に、ウォーターベッド効果によって他の周期成分の過度な増大が生じないように設計されている。具体的には、フィードバックループに加わる外乱の主要周期成分に対する減衰係数を個別に設定することにより、他の周期成分の過度な増大が生じないようにしている。尚、プラグイン外乱除去制御器12の設計方法の詳細については後述する。
制御器11から出力された操作量u及びプラグイン外乱除去制御器12から出力された操作量νは加え合わせ点22に入力されて減算される。この減算された操作量は、制御対象30に入力される。尚、加え合わせ点で減算された操作量は加え合わせ点23に入力され、周期性外乱pと加算された後に制御対象30に入力される。
プラグイン外乱除去制御器12は、ウォーターベッド効果を考慮して設計されるものの、フィードバック制御系の周波数特性上、ウォーターベッド効果のジレンマは必ず存在する。そのため、1次フィルタ13は、プラグイン外乱除去制御器12の導入によって生ずるウォーターベッド効果により、ゲインが増幅してしまう周波数域(例えば、高周波帯域)を補償するために設けられている。尚、外乱発生器15は、パルス幅が極めて短いインパルス状のパルスδから周期性外乱pを生成するものである。
上記構成において、制御対象30に対する設定値rが入力されると加え合わせ点21に入力され、1次フィルタ13から出力される値が減算されて誤差信号eが出力される。この誤差信号eは制御器11に入力され、制御器11は誤差信号11に応じた操作量uを生成して出力する。一方、1次フィルタ13から出力される値はプラグイン外乱除去制御器12に入力され、プラグイン外乱除去制御器12は入力される値に応じた操作量νを生成して出力する。
制御器11から出力された操作量u及びプラグイン外乱除去制御器12から出力された操作量νは加え合わせ点22に入力されて減算される。この減算された操作量は、制御対象30に入力され、この操作量に応じた制御が制御対象30において行われて、所定の周波数成分(周期成分)が制御対象の測定値から除去される。その制御対象の測定値は1次フィルタ13に入力され、加え合わせ点21及びプラグイン外乱除去制御器12に入力される。以降、同様のフィードバック制御が行われて、制御対象30(フィードバックループ)に加わる外乱が除去される。
次に、プラグイン外乱除去制御器12の設計方法について詳細に説明する。プラグイン外乱除去制御器12を設計するにあたっては、まず制御対象30をモデル化する必要がある。実際のプロセス制御においては、制御周期毎にデータを収集して制御演算を行うため、制御対象30として以下の(1)式に示される離散時間モデルP(z−1)を考える
Figure 2008198064
但し、上記(1)式中のA(z−1)及びB(z−1)は以下の(2)式の通りであり、また、上記(1)式中の変数dは離散時間で表現したむだ時間である。
Figure 2008198064
次いで、制御器11は、外乱の周期を特定しない環境下において、測定値yを設定値rに追従させるように何らかの手法により設計されたものである。この制御器11を、以下の(3)式に示されるC(q−1)の通りに表現する。
Figure 2008198064
但し、上記(3)式中のS(z−1)及びR(z−1)は以下の(4)式の通りである。
Figure 2008198064
また、前述の通り、プラグイン外乱除去制御器12は内部モデル原理を用いて設計されているため、周期性外乱pについてもモデルが必要になる。このため、パルスδに相当するインパルス関数δ(t)を入力したときに正弦波信号を出力する以下の(5)式に示す外乱発生器W(q−1)を用いて周期性外乱pをモデル化する。
Figure 2008198064
但し、上記(5)式中のD(q−1)及びN(q−1)は以下の(6)式の通りである。
Figure 2008198064
以上のモデル化されたシステムに対して、以下の(H1)〜(H4)に示す仮定を設ける。
(H1):A(z−1)、B(z−1)、むだ時間dを既知とする
(H2):外乱発生器15は、複素平面の単位円上に極(分母多項式の根)を持つ
(H3):外乱発生器15の分母多項式の次数nDpは既知とする
(H4):B(q−1)及びS(q−1)は、D(q−1)の因子を有しない
上記の仮定(H1)は、プロセスのパラメータがシステム同定やステップ応答によるカーブフィッティング等の手法で決定されていることを示しており、上記の仮定(H2)は外乱発生器15が正弦波を出力するための必要十分条件である。また、上記の仮定(H3)は、外乱の周期成分(周波数成分)の数が既知であることを示している。但し、実際に周波数成分の数を厳密に得ることは不可能であるため、事前に周期外乱を含んだ測定値を周波数解析して支配的な周波数成分をいくつか抽出して外乱発生器15を構成している。この時、外乱発生器15の構成に用いた周波数成分が前述した主要周期成分(主要周波数成分)である。更に、上記の仮定(H4)は、事前に設計済みの制御器11或いはプロセスでは、外乱pの影響を除去することができないことを示している。
次に、以上のモデル化されたシステムを用いてプラグイン外乱除去制御器12の設計を行う。いま、プラグイン外乱除去制御器12の構造が以下の(7)式で表される構造であるとする。
Figure 2008198064
但し、上記(7)式中のJ(z−1)及びK(z−1)は以下の(8)式の通りである。
Figure 2008198064
図1を参照すると、制御器11から出力された操作量uからプラグイン外乱除去制御器12から出力された操作量νが減算され、この減算された操作量に外乱発生器15から出力される周期性外乱pが加算されて制御対象30に入力され、その結果として測定値yが得られている。このため、測定値y(時間の関数で表すとy(t))における外乱の影響は、前述した(5)式を用いて以下の(9)式で表現することができる。
Figure 2008198064
但し、上記(9)式中のΩ(z−1)は閉ループの特性多項式であり、以下の(10)式で表される。尚、(10)式中のβは、1次フィルタ13の係数である。
Figure 2008198064
ここで、内部モデル原理によれば、測定値yから外乱の影響を無くすには、プラグイン外乱除去制御器12の分母多項式が外乱発生器15の分母多項式D(q−1)を有し、上記(9)式においてこれらが相殺しあえば良いため、プラグイン外乱除去制御器12の分母多項式Jを以下の(11)式で示す形にする。
Figure 2008198064
前述した仮定(H1)によれば、D(z−1)は複素平面の単位円(exp(iω):l=1,2,…,n)上に根を持つため、以下の(12)式で表すことができる。ここで、Tはサンプリング周期を表す。
Figure 2008198064
上記(11)式より、プラグイン外乱除去制御器12の分母多項式も上記(12)式と同じ根を持ち、周波数特性においてゲインが周波数ωのときに無限大となる。ところで、ある周波数域でゲインを増大すると、ウォーターベッド効果により他の周波数域でその反動が必ず現れる。よって、周期性外乱の周波数分布が広範囲に亘る場合が多いプロセス制御装置ではこのような状況は好ましくない。
そこで、周期性外乱中の支配的ないくつかの周波数成分(主要周波数成分)をある程度減衰し、且つ他の周波数域での反動をなるべく大きなものとしないようにするために、減衰係数ζを導入した以下の(13)式のD(q−1)を用いて外乱発生器15を構成し、上記(11)式よりプラグイン外乱除去制御器12の分母多項式を決定する。
Figure 2008198064
一方、プラグイン外乱除去制御器12を、以下の(14)式の通りパラメータ表現する。
Figure 2008198064
上記(14)式を(10)式に代入すると以下の(15)式が得られる。
Figure 2008198064
ここで、JとKを以下の(16)式に示される式に決定する。
Figure 2008198064
すると、上記(15)式は以下の(17)式で表される。
Figure 2008198064
従って、残りのJ及びKは、上記(17)式が安定多項式となるように決定すれば良いことになる。特に、上記(17)式より、J(z−1)=1及びK(z−1)=0とすれば、上記(17)式はプラグイン外乱除去制御器12を導入する前の外乱の存在を考慮しない環境下におけるプロセス制御装置の閉ループ特性多項式と一致する。このため、従来のプロセス制御装置の特性を保持しつつプラグイン外乱除去制御器12を導入することができる。これにより、フィードバックループを再構築することなく、必要に応じて外乱除去の有無を切り替えることができ、従来のようにフィードバックループの再構築のためにプロセス制御装置及び制御対象を停止する必要が無くなる。
最後に、前述した(14)式のQ(z−1)は、(11)式及び(14)式から以下の(18)式に示す方程式の解として得られる。
Figure 2008198064
上記(18)式はベズー方程式と呼ばれ、その可解条件は、Dとz−dB ̄Sが既約であることである。尚、表記の都合上、上記の記号「B ̄」は、文字「B」の上部にバー記号「 ̄」が付された記号であることを意味している。ここで、前述した仮定(H4)からこの条件が成立するため、J′及びQが解として求まる。以上のようにして決定されたJ,J,K,K,Qを用いてプラグイン外乱除去制御器12を構成する。
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態によるプロセス制御装置について説明する。周期性外乱の周期(周波数)が一定であれば、前述したプラグイン外乱除去制御器12が設けられた第1実施形態のプロセス制御装置1により、相当の外乱除去効果が期待できる。しかしながら、実際は、周期性外乱の周波数が常に変動することが予想される。本実施形態のプロセス制御装置は、周期性外乱の周期(周波数)が変動する場合であっても効果的に周期性外乱を除去するものである。
図2は、本発明の第2実施形態によるプロセス制御装置の要部構成を示す図である。尚、図2においては、図1に示した構成と同一の構成には同一の符号を付している。図2に示す通り、本実施形態のプロセス制御装置2は、図1に示した制御器11、プラグイン外乱除去制御器12、及び1次フィルタ13に加えて、制御パラメータ変更器40を備える。
この制御パラメータ変更器40は、周波数解析部41(解析部)、記憶部42、判定部43、及び変更部44を備えており、制御対象30の測定値yの主要周期成分(主要周波数成分)の変動に応じてプラグイン外乱除去制御器12の制御パラメータを変更するものである。周波数解析部41は、制御対象30の測定値yの周波数解析を行う。記憶部42は、周波数解析部41の解析結果を順次記憶する。
判定部43は、記憶部42に記憶されている前回の解析結果と、周波数解析部41の新たな解析結果とを比較し、主要周波数成分の変動の有無を判定する。具体的には、前回の解析結果に含まれる主要周波数成分と、新たな解析結果に含まれる主要周波数成分とを比較して、それらの周波数の差が予め設定された閾値Δω以上であるか否かを判定する。判定部43は、周波数の差が閾値Δω以上である場合には主要周波数成分の変動が有ったと判定し、周波数の差が閾値Δωよりも小さい場合には主要周波数成分の変動が無かったと判定する。尚、主要周波数成分が複数存在する場合には、周波数の差が閾値Δω以上であるものが1つでもあれば主要周波数成分の変動が有ったと判定する。
変更部44は、判定部43で主要周波数成分の変動が有ったと判定された場合に、周波数解析部41の新たな解析結果に応じてプラグイン外乱除去制御器12の制御パラメータを変更する。以上の構成の制御パラメータ変更器40にはある監視時間が設定されており、この監視時間を超えた場合に、制御対象30の測定値yを取り込んで周波数解析等の処理を行う。
図3は、本発明の第2実施形態によるプロセス制御装置の動作を示すフローチャートである。プロセス制御装置2の電源が投入されると、図3に示すフローチャートの処理が開示される。処理が開始されると、プロセス制御装置2の制御器11から操作量uが出力されるとともに、プラグイン外乱除去制御器12から操作量νが出力されて制御対象30の制御が開始される(ステップS11)。ここで、前述した通り、制御パラメータ変更器40は設定された監視時間を超えた場合に周波数解析等の処理を行うため、制御パラメータ変更器40は、監視時間の開始時刻である外乱除去制御監視開始時刻Tstartをセットして監視を開始する(ステップS12)。
次に、制御パラメータ変更器40は、監視を開始してから一定の時間が経過したか否かを判断する(ステップS13)。具体的には、現在時刻tからステップS12で設定した外乱除去制御監視開始時刻Tstartを減算した時間(t−Tstart)を求め、この時間(t−Tstart)が予め設定された監視時間周期N以上になったか否かを判断する。制御パラメータ変更器40が監視を開始してから一定の時間が経過していないと判断した場合(ステップS13の判断結果が「NO」である場合)には、制御パラメータ変更器40はステップS13の判断を繰り返す。
これに対し、監視を開始してから一定の時間が経過したと判断した場合(ステップS13の判断結果が「YES」である場合)には、制御パラメータ変更器40は、周波数解析を行う周波数範囲を周波数解析部41に設定する(ステップS14)。具体的には、周波数解析を行う最小周波数ωMINと最大周波数ωMAXとを設定することにより、周波数解析を行う周波数範囲を設定する。周波数範囲が設定されると、周波数解析部41は、制御対象30の測定値yを取り込んで、測定値yの周波数解析を行う(ステップS15)。
図4は、本発明の第2実施形態によるプロセス制御装置で行われる周波数解析の結果の一例を示す図である。尚、図4においては2つの周波数解析結果を図示しており、符号G1を付した曲線はある時点における周波数解析結果であり、符号G2を付した曲線は周波数解析結果G1の次に得られた周波数解析結果である。図4に示す通り、制御対象30の測定値yを周波数解析すると複数のピーク値が得られる。このため、周波数解析部41は、測定値yの周波数解析結果を求めると、その周波数解析結果から複数のピーク値を求め、振幅が大きい所定数のピーク値の周波数(主要周波数成分)を特定する処理を行う。図4に示す例では、最小周波数ωMINと最大周波数ωMAXとの間の周波数範囲において、周波数解析結果G1から振幅が大きい3つのピークの周波数ω,ω,ωが特定されている。ここで、ω≦ω≦ωとする。尚、この処理によって求められた3つのピークの周波数ω,ω,ωは、記憶部42に記憶される。
次に、判定部43はステップS15の周波数解析で得られた主要周波数成分に変動が有るか否かを判断する(ステップS16)。ここで、仮に判定部43が主要周波数成分に変動が無いと判断した場合(ステップS16の判断結果が「NO」である場合)には、制御パラメータ変更器40は、監視時間の開始時刻である外乱除去制御監視開始時刻Tstartの値を「0」にして初期化し(ステップS17)、再度監視時間の開始時刻である外乱除去制御監視開始時刻Tstartをセットして監視を再度開始する(ステップS12)。
制御パラメータ変更器40は、監視を開始してから一定の時間が経過するまでステップS13の処理を繰り返し、監視を開始してから一定の時間が経過すると周波数解析を行う周波数範囲を周波数解析部41に設定する(ステップS14)。周波数範囲が設定されると、周波数解析部41は、制御対象30の測定値yを取り込んで、測定値yの周波数解析を行う(ステップS15)。
ここで、周波数解析部41の周波数解析によって得られた結果が図4に示す周波数解析結果G2であったとする。先の処理と同様に周波数解析部41は、周波数解析結果G2から振幅が大きい3つのピークの周波数ω,ω,ωを特定する。ここで、ω≦ω≦ωとする。尚、この処理によって求められた3つのピークの周波数ω,ω,ωは、記憶部42に記憶される。次に、判定部43はステップS15の周波数解析で得られた主要周波数成分に変動が有るか否かを判断する(ステップS16)。
ここで、判定部43は、記憶部42に記憶されている主要周波数成分(先の周波数解析結果G1から得られた3つのピークの周波数ω,ω,ω)を読み出し、新たに得られた主要周波数成分(新たな周波数解析結果G2から得られた3つのピークの周波数ω,ω,ω)との差を求める。図4に示す例では、周波数ωについてはΔωだけ周波数が変化しており、周波数ωについてはΔωだけ周波数が変化しており、周波数ωについてはΔωだけ周波数が変化している。
判定部43は、周波数の変化分Δω,Δω,Δωの絶対値が予め設定された閾値以上である場合に、主要周波数成分に変動があると判断する。尚、上記の閾値は、周波数の変化分Δω,Δω,Δωに共通して1つだけ設定されていても良く、周波数の変化分Δω,Δω,Δωの各々に個別に異なる値のものが設定されていても良い。判定部43が、主要周波数成分の変動があったと判断した場合(ステップS16の判断結果が「YES」である場合)には、その判定結果が変更部44に出力される。
変更部44は、判定部43の判定結果に基づき、周波数解析部41で新たに求められた3つのピークの周波数ω,ω,ωに応じてプラグイン外乱除去制御器12の制御パラメータを変更する(ステップS18)。プラグイン外乱除去制御器12の制御パラメータの変更が行われると、制御パラメータ変更器40は、監視時間の開始時刻である外乱除去制御監視開始時刻Tstartの値を「0」に初期化し(ステップS19)、再度プラグイン外乱除去制御を開始する(ステップS11)。以上の動作が繰り返し行われることにより、プラグイン外乱除去制御器12の制御パラメータが制御対象30の測定値yの周波数解析結果に応じて動的に変更される。これにより、プラグイン外乱除去制御器12からは主要周波数成分の周波数に応じて、主要周波数成分を効果的に除去し得る操作量νが出力され、これにより外乱の影響を効果的に排除することができる。
〔抄紙機〕
次に、以上説明した本発明の実施形態によるプロセス制御装置を、シート状製品を製造する製造装置の一種である抄紙機に適用した例について説明する。図5は本発明の実施形態によるプロセス制御装置で制御される抄紙機本体の概略斜視図であり、図6は同プロセス制御装置が適用される抄紙機の概略構成図である。尚、このプロセス制御装置は、シート状製品の一種である紙の幅方向のプロファイルが所定のプロファイルとなるように抄紙機を制御するものである。
図5に示す通り、抄紙機50の本体は、ヘッドボックス51、ワイヤーパート52、プレスパート53、ドライパート54、及びカレンダーパート55、及びリールパート56を備えている。この抄紙機50の本体は、本実施形態のプロセス制御装置1,2によって制御される制御対象30に相当する。
ヘッドボックス51は抄紙原料が供給される部位であり、このヘッドボックス51の抄紙原料の流れ方向下流側にワイヤーパート52が配置されている。ワイヤーパート52は、ワイヤー表面に供給された抄紙原料の脱水を行う部位である。尚、ジェットがワイヤーに最初に着地する面を紙のワイヤー面、その反対側の面を紙のフェルト面と呼ぶ。ワイヤーパート52の下流側にはプレスパート53が設けられている。プレスパート53は、抄紙原料をフェルトとともにプレスロールでプレスして搾水する部位である。
プレスパート53の下流側には製造された紙を乾燥させるためのドライパート54が設けられている。このドライパート54は、プレドライヤー54aとアフタードライヤー54bとから構成されている。ドライパート54の更に下流側にはドライパート54で乾燥されて紙となった抄紙原料を圧潰するためのカレンダーパート55が設けられており、カレンダーパート55の更に下流側には紙を巻き取るリールパート56が設けられている。
抄紙機50は、図5,図6に示す通り、リールパート56の直前に、坪量計測計57が配設されている。この坪量計測計57は、カレンダーパート55を介して紙となった抄紙原料の坪量、即ち1m当たりの紙の重さ(単位:g/m)を計測するものである。
本実施形態において、坪量計測計57は、抄紙機50の幅方向に往復運動する走査手段に支持されており、走査手段で走行させながら坪量データを取得し、幅方向に関する実坪量プロファイルを取得できるように構成されている。つまり、坪量計測計57は、制御対象30に相当する坪量プロファイルの計測を行う手段である。
また、図6に示す通り、抄紙機50は、複数の操作端を制御するための制御部60を備える。この制御部60は、例えば、工場の一角に設けられた中央制御室に設置されており、前述したプロセス制御装置1,2を備えている。上記の坪量計測計57によって測定された坪量データ(測定結果)は制御部60に測定値y(図1,図2参照)として出力され、制御部60はこの坪量データから実坪量プロファイルを作成し、予め登録された理想坪量プロファイルと比較する。そして、坪量データから得られる実坪量プロファイルが理想坪量プロファイルとなるように複数の操作端を制御する。
ここで、制御部60によって制御される操作端は、図6に示す通り、スライスボルト操作端61である。この操作端によってスライスリップ58(図5参照)の開度が操作される。尚、中央制御室内、ヘッドボックス51の近傍、及び坪量計測計57の近傍には、制御部60と接続された表示装置M1,M2,M3がそれぞれ設けられており、制御部60によって作成された実坪量プロファイルや理想坪量プロファイル等が表示されるようになっている。
以上の構成において、抄紙機50のヘッドボックス51に抄紙原料が供給されると、スライスリップ58から抄紙原料が吐出される。吐出された抄紙原料は、ワイヤーパート52にて脱水された後にプレスパート53に搬送される。次いで、抄紙原料はプレスパート53にて更に搾水された後にドライパート54へと搬送される。ドライパート54は、プレドライヤー54aとアフタードライヤー54bとに分かれており、プレスパート53から送られた紙を乾燥する。乾燥された紙は、カレンダーパート55にて圧潰された後にリールパート56にて巻き取られる。
ここで、坪量計測計57がリールパート56の直前に設けられている。坪量計測計57は幅方向に走査しながら所定位置で坪量データを取得し、制御部60にデータを送出する。制御部60は、坪量計測計57からのデータを用いて実坪量プロファイルを作成し、理想坪量プロファイルとの差分を演算して坪量偏差プロファイルを作成する。ここで、適宜必要な情報を表示装置M1,M2,M3に表示する。
制御部60は、作成した坪量偏差プロファイルに基づいて、スライスボルト操作端61の操作量を求めて出力する。この操作量によって、スライスボルト操作端61等がスライスリップ58(図5参照)の開度を操作する。以上の動作が繰り返され、坪量偏差プロファイルが0に収束するように各操作部が調節される。尚、以上の制御は、主に図1,図2に示すプロセス制御装置1,2に設けられた制御器11によって行われる。
ここで、抄紙機50においては、例えば抄紙原料が配管をめぐる際に生じる脈動等が周期性外乱の原因になる。また、使用する抄紙原料の相違、或いは配管の経時変化等によって周期性外乱の周波数の変動が生ずる。かかる周期性外乱は、図1に示すプロセス制御装置1に設けられたプラグイン外乱除去制御器12の制御によって除去されることになる。また、図2に示すプロセス制御装置2を用いることにより、経時変化等によって周期性外乱の周波数が変動した場合であっても、プラグイン外乱除去制御器12からはその変動に応じて主要周波数成分を効果的に除去し得る操作量νが出力され、これにより周期性外乱の影響を効果的に排除することができる。
次に、本発明の実施形態によるプロセス制御装置を備えた抄紙機50に対するシミュレーションについて説明する。このシミュレーションにおいては、抄紙機50における坪量プロファイルを図1に示す制御対象30としてモデル化している。このようにしてモデル化した制御対象30に対する周期性外乱の主要周波数成分の周波数が、例えばω=0.0037[rad/sec](約29分の周期)、ω=0.0051[rad/sec](約20分の周期)、ω=0.0068[rad/sec](約15分の周期)であると仮定し、このような周期性外乱を発生する外乱発生器15をモデル化して構成する。
次いで、周波数ωの主要周波数成分に対しては減衰係数ζを0.5に設定し、周波数ωの主要周波数成分に対しては減衰係数ζを0.3に設定し、周波数ωの主要周波数成分に対しては減衰係数ζを0.2に設定し、プラグイン外乱除去制御器12を設計する。図7は、抄紙機を制御するプロセス制御装置が備える制御系の感度関数を示すボード線図である。尚、図7において実線で示した曲線はプラグイン外乱除去制御器12を含めた制御系の感度関数を示しており、破線で示した曲線はプラグイン外乱除去制御器12を備えない制御系(図1に示す制御器11のみからなる制御系)の感度関数を示している。
ここで、除去すべき周期性外乱の周波数は、上述した通り、ω,ω,ωであり、これらはおおよそ3×10−3〜7×10−3[rad/sec]の周波数範囲内の周波数である。ここで、図7に示したボード線図において、3×10−3〜7×10−3[rad/sec]の周波数範囲内に着目すると、破線で示す曲線は感度関数のゲインが極大になっており、また位相が大きく変化していることが分かる。これに対し、実線で示す曲線は感度関数のゲインが緩やかに上昇しているだけであり、上記の周波数範囲内においては極大とはならないことが分かる。また、実線で示す曲線は感度関数の位相についても僅かながらの変化はあるものの上記の周波数範囲内においては大きく変化しないことが分かる。
減衰係数ζ,ζ,ζを導入してプラグイン外乱除去制御器12を設計することにより、ウォーターベッド効果によって除去すべき周期性外乱の周波数ω,ω,ωが含まれる周波数域以外の周波数域における過度のゲインの増大が生じないようにしている。尚、減衰係数ζ,ζ,ζの設定の仕方は、減衰係数ζ,ζ,ζの値を変えつつプラグイン外乱除去制御器12を設計し、制御系の感度関数が所望のものになるように試行錯誤して設定する。
図8,図9は、抄紙機50に対するシミュレーション結果の一例を示す図である。図8(a)は制御対象30としての坪量プロファイルのある一点の測定値yの時間変化を示すシミュレーション結果であり、図8(b)は制御対象30としての抄紙機50に入力される操作量(u−ν)の時間変化を示すシミュレーション結果である。図8において、破線で示す曲線は図1に示す制御器11のみからなる制御系で制御した場合に得られる測定値であり、実線で示す曲線はプラグイン外乱除去制御器12を備える制御系で制御した場合に得られる測定値である。
図8(a)を参照すると、破線で示された曲線の振れ幅(最大値と最小値との差)に対して、実線で示された曲線の振れ幅が小さくなって、およそ半分になっている。これは、周期性外乱を排除するための操作量(u−ν)に伴って周期性外乱が排除された結果、図8(a)に示す通り制御対象30の測定値の振れ幅が小さくなったことを意味する。
図9は、制御対象30としての抄紙機50の測定値yの周波数分布を示すシミュレーション結果である。図9において、破線で示す曲線は図1に示す制御器11のみからなる制御系で制御した場合に得られる測定値の周波数分布であり、実線で示す曲線はプラグイン外乱除去制御器12を備える制御系で制御した場合に得られる測定値の周波数分布である。尚、図9において、周波数ω=0.0037[rad/sec]の主要周波数成分を符号PK1で指し示しており、周波数ω=0.0051[rad/sec]の主要周波数成分を符号PK2で指し示しており、周波数ω=0.0068[rad/sec]の主要周波数成分を符号PK3で指し示している。
図9中の破線で示す曲線を見ると、おおよそ3×10−3〜7×10−3[rad/sec]の周波数範囲内において周期性外乱の影響が現れていることが分かる。また、主要周波数成分PK1,PK2の振幅が他の周波数成分の振幅に比べて突出して大きいことも分かる。これに対し、実線で示した曲線は主要周波数成分PK1,PK2の振幅が極めて小さくなっており、また、主要周波数成分PK3を含む3×10−3〜7×10−3[rad/sec]の周波数範囲内に亘って全体的に振幅が小さくなっていることが分かる。以上から、プラグイン外乱除去制御器12を備えるプロセス制御装置1,2によって抄紙機50を制御すると、周期的外乱を効果的に排除することが可能である。
以上説明した通り、本実施形態のプロセス制御装置によれば、制御器11が含まれるフィードバックループに対して、内部モデル原理を用いて設計されたプラグイン外乱除去制御器12を付加しているため、外乱の影響を効果的に排除することができる。また、減衰係数ζを導入してプラグイン外乱除去制御器12の設計を行っているため、ウォーターベッド効果による悪影響を抑えることができる。
また、プラグイン外乱除去制御器12を切り離すことで、プラグイン外乱除去制御器12を導入する前の外乱の存在を考慮しない環境下におけるプロセス制御装置の閉ループとすることができる。このため、フィードバックループを再構築することなく、必要に応じて外乱除去の有無を切り替えることができる。
以上、本発明の実施形態によるプロセス制御装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、プロセス制御装置が抄紙機に設けられている場合について説明したが、本発明のプロセス制御装置が制御可能な制御対象は抄紙機に限られず、プラスチックシート等のシート状の製品を製造する製造装置等の様々な機器を制御対象とすることが可能である。
本発明の第1実施形態によるプロセス制御装置の要部構成を示す図である。 本発明の第2実施形態によるプロセス制御装置の要部構成を示す図である。 本発明の第2実施形態によるプロセス制御装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態によるプロセス制御装置で行われる周波数解析の結果の一例を示す図である。 本発明の実施形態によるプロセス制御装置で制御される抄紙機本体の概略斜視図である。 本発明の実施形態によるプロセス制御装置が適用される抄紙機の概略構成図である。 抄紙機を制御するプロセス制御装置が備える制御系の感度関数を示すボード線図である。 抄紙機50に対するシミュレーション結果の一例を示す図である。 抄紙機50に対するシミュレーション結果の一例を示す図である。 従来のプロセス制御装置の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1,2 プロセス制御装置
11 制御器
12 プラグイン外乱除去制御器
30 制御対象
40 制御パラメータ変更器
41 周波数解析部
42 記憶部
43 判定部
44 変更部
50 抄紙機
61 スライスボルト操作端
p 外乱
r 設定値
y 測定値

Claims (6)

  1. 制御対象の制御を行うプロセス制御装置において、
    外乱の周期を特定しない環境下において設計され、前記制御対象に対する設定値と前記制御対象の測定値とを用いて前記制御対象のフィードバック制御を行う制御器と、
    前記制御器が含まれるフィードバックループに付加され、前記制御器が含まれるフィードバックループに加わる外乱を、前記制御対象の測定値を用いて除去するように内部モデル原理を用いて設計された付加制御器と
    を備えることを特徴とするプロセス制御装置。
  2. 前記付加制御器は、前記フィードバックループに加わる外乱の周期成分のうちの主要周期成分の除去をするように設計されていることを特徴とする請求項1記載のプロセス制御装置。
  3. 前記付加制御器は、前記フィードバックループに加わる外乱の主要周期成分に対する減衰係数を個別に設定することにより、前記他の周期成分の過度な増大が生じないようにすることを特徴とする請求項2記載のプロセス制御装置。
  4. 前記制御対象の測定値の主要周期成分の変動に応じて、前記付加制御器の制御パラメータを変更する制御パラメータ変更器を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のプロセス制御装置。
  5. 前記制御パラメータ変更器は、前記制御対象の測定値の周波数解析を行う解析部と、
    前記解析部が行った前記周波数解析の解析結果を記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された前回の解析結果と前記解析部の新たな解析結果とを比較し、前記主要周期成分の変動の有無を判定する判定部と、
    前記判定部で前記主要周期成分の変動有りと判定された場合に、前記解析部の新たな解析結果に応じて前記付加制御器の制御パラメータを変更する変更部と
    を備えることを特徴とするプロセス制御装置。
  6. 前記制御対象は、シート状製品を製造する製造装置であり、
    前記製造装置で製造された前記シート状製品の測定結果を用いて、前記シート状製品の幅方向のプロファイルが所定のプロファイルとなるように前記製造装置を制御することを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のプロセス制御装置。
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