JP2008195914A - ゴム組成物及びこれを用いた摩擦伝動ベルト - Google Patents

ゴム組成物及びこれを用いた摩擦伝動ベルト Download PDF

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順文 日根野
Takayuki Uchiumi
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Abstract

【課題】水との濡れ性が持続的に維持されるゴム組成物及び注水時の被水時において高いスリップ状態でも高い伝達トルクを得ることができる摩擦伝動ベルトを提供する。
【解決手段】 ベルト長手方向に沿って心線2を埋設したゴム層を含む弾性体層からなるVリブドベルト1において、摩擦伝動面となるリブ部6が、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤を5〜25重量部配合したゴム組成物で構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明はゴム組成物及び動力伝動に用いられる摩擦伝動ベルトに関する。
従来より自動車用エンジン等に使用される動力伝動ベルトとしては、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、クロロプレンゴム等のゴムが一般的に使用されていた。しかし、近年、省エネルギー化及びコンパクト化の社会的要請を背景に、自動車のエンジンルーム内の部品が密集して配置される傾向があり、それに起因してエンジンルーム内の雰囲気温度は従来に比べて上昇してきている。
このような高温雰囲気下において、動力伝動ベルトを構成する前記ゴムが硬化し、早期にクラックが生じるという問題が指摘されていた。また省エネルギー化に伴ってエンジンの回転変動が大きくなり、その影響を受けて動力伝動ベルトの張力変動が増大し、早期摩耗や発音などの問題が発生してきた。更に、クロロプレンなどのハロゲンを含んだゴムはダイオキシンの発生につながることから、環境負荷物質であるハロゲンを含有しないゴムで製造されたベルトが近年求められている。
このような要求に対して、最近ではエチレン・プロピレン系ゴム(EPM)あるいはエチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)等のエチレン・α−オレフィンゴムが、優れた耐熱性を有しているとともに比較的に安価なポリマーであり、脱ハロゲンという要求を満たしていることからも有望視されている。具体的には、α−β−不飽和有機酸の金属塩で補強されたエチレン・α−オレフィンエラストマーを使用した動力伝動用ベルトが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特表平9−500930号公報
しかし、エチレン・α−オレフィンエラストマーは、クロロプレンゴムに比べて水との濡れ性が悪く水をはじきやすいため、被水時にベルトとプーリとの間の水の浸入状態が均一でない。そして、水が浸入していない箇所においては、摩擦係数が低下せずベルトがプーリに密着した状態であるが、水が浸入した箇所においては、部分的に摩擦係数が低下してベルトとプーリとの間でスリップが生じるため、スティック−スリップ音が生じやすいという問題があった。
一方で、ベルト表面の摩擦係数が高いため、通常走行時においても異音が発生することが指摘されている。これに対して、摩擦係数をある程度低く維持することが求められたが、例えば潤滑剤を多く添加して摩擦係数を低下させると、粘着摩耗が発生するといった弊害が生じた。
本発明の目的は、水との濡れ性が持続的に維持されるゴム組成物及び注水時の被水時において高いスリップ状態でも高い伝達トルクを得ることができる摩擦伝動ベルトを提供することである。
本願請求項1記載の発明は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対してエーテルエステル系可塑剤を5〜25重量部配合したゴム組成物であり、上記エーテルエステル系可塑剤がエチレン・α-オレフィンエラストマーに対して馴染みにくい特性をしているために、常時表面へブリードすることにより、水との濡れ性が持続的に維持される。
本願請求項2記載の発明は、エーテルエステル系可塑剤と石油系軟化剤を併用したゴム組成物であり、これによりエーテルエステル系可塑剤のブリードが促進する効果がある。即ち、上記軟化剤はエラストマーに対して馴染みやすい特性があるが、エーテルエステル系可塑剤は上記軟化剤やエラストマーに対して馴染みにくい特性があり、これにより積極的に上記エラストマーや軟化剤から離れようとするもので、これがブリードを持続的に発生させる。
本願請求項3記載の発明は、前記エーテルエステル系可塑剤の分子量が200〜2,000であるゴム組成物であり、分子量が比較的小さいために、ブリードが持続的に発生する。
本願請求項4記載の発明は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、更に界面活性剤を1〜20重量部配合したゴム組成物であり、界面活性剤を配合することでゴム表面の改質が可能で、水との親和性を向上することができる。
本願請求項5記載の発明は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤と界面活性剤を合わせて5〜25重量部配合したゴム組成物にある。
本願請求項6記載の発明は、表面と水との接触角が0.5〜75°であるゴム組成物であり、水との濡れ性が持続的に維持される。
本願請求項7記載の発明は、少なくとも摩擦伝動面がエチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤を5〜25重量部配合したゴム組成物で構成された摩擦伝動ベルトにあり、摩擦伝動面が水との濡れ性を持続的に維持し、注水時の被水時において高いスリップ状態でも高い伝達トルクを得ることができる。
本願請求項8記載の発明は、石油系軟化剤を併用したゴム組成物である摩擦伝動ベルトにあり、エーテルエステル系可塑剤が積極的に上記エラストマーや軟化剤から離れようとするもので、これによりブリードが持続的にかつ積極的に発生する。
本願請求項9記載の発明は、前記エーテルエステル系可塑剤の分子量が200〜2,000である摩擦伝動ベルトであり、摩擦伝動面が水との濡れ性を持続的に維持し、注水時の被水時において高いスリップ状態でも高い伝達トルクを得ることができる。
本願請求項10記載の発明は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、更に界面活性剤を1〜20重量部配合した摩擦伝動ベルトであり、界面活性剤を配合することで摩擦伝動面の改質が可能で、水との親和性を向上することができる。即ち、界面活性剤が摩擦伝動面の親水性を向上させ、その結果ミスアライメントのような擦れによる異音を低減する。
本願請求項11記載の発明は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤と界面活性剤を合わせて5〜25重量部配合した摩擦伝動ベルトであり、摩擦伝動面の改質が可能で、水との親和性を向上することができ、ミスアライメントのような擦れによる異音を低減する。
本願請求項12記載の発明は、摩擦伝動面と水との接触角が0.5〜75°である摩擦伝動ベルトであり、注水時の被水時において高いスリップ状態でも高い伝達トルクを得ることができる。
本願請求項13記載の発明は、摩擦伝動ベルトがVリブドベルトである。
本願請求項記載のゴム組成物では、前記可塑剤のブリードを適度に促進し、潤滑剤として作用させることで適切な摩擦係数を確保できる。また、界面活性剤を併用することで、ゴム表面の改質が可能で、水との親和性を向上することができる。
また摩擦伝動ベルトでは、前記可塑剤が常時表面へブリードすることにより、水との濡れ性が持続的に維持され、摩擦伝動面が水との濡れ性を持続的に維持し、注水時の被水時において高いスリップ状態でも高い伝達トルクを得ることができる。また、界面活性剤を配合することで摩擦伝動面の親水性を向上させ、その結果ミスアライメントのような擦れによる異音を低減する。
本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、摩擦伝動ベルトとして、ベルトの長手方向に延びる複数のリブ部を有するVリブドベルトに本発明を適用したものである。
図1に示すようにVリブドベルト1は、心線2をベルト長手方向に沿って埋設した接着層3と、この接着層3の一方の面に設けられた圧縮層4と、接着層3の他方の面を被覆するカバー帆布からなる伸張層5とを有する。そして圧縮層4には、ベルト長手方向に延びる断面略三角形状の複数のリブ部6が設けられている。ここで摩擦伝動面は圧縮層4の表層をいう。
本発明で使用する心線2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、またはアラミド繊維などから構成される撚糸コードが使用できる。
前記心線は接着処理を施されることが望ましく、例えば(1)未処理コードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物から選ばれた処理液を入れたタンクに含浸してプレディップした後、(2)160〜200°Cに温度設定した乾燥炉に30〜600秒間通して乾燥し、(3)続いてRFL液からなる接着液を入れたタンクに浸漬し、(4)210〜260°Cに温度設定した延伸熱固定処理器に30〜600秒間通し−1〜3%延伸して延伸処理コードとする、ことができる。
RFL処理液はレゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物をゴムラテックスと混合したものであり、この場合レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は1:2〜2:1にすることが接着力を高める上で好適である。モル比が1/2未満では、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂の三次元化反応が進み過ぎてゲル化し、一方2/1を超えると、逆にレゾルシンとホルムアルデヒドの反応があまり進まないため、接着力が低下する。
伸張層5を構成する帆布は、織物、編物、不織布などから選択される繊維基材である。構成する繊維素材としては、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。織物の場合は、これらの糸を平織、綾織、朱子織等することにより製織される。
上記帆布は、公知技術に従ってRFL液に浸漬することが好ましい。またRFL液に浸漬後、未加硫ゴムを帆布に擦り込むフリクションや、ゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理することができる。尚、RFL液には適宜カーボンブラック液を混合して処理反を黒染めし、また公知の界面活性剤を0.1〜5.0質量%加えてもよい。
接着層3は、ゴム成分としてエチレン・α−オレフィンゴム単独またはその他の種類ゴムからなる相手ゴムを混ぜ合わせたブレンドゴムを用いることが望ましい。エチレン・α−オレフィンゴムにブレンドする相手ゴムとしては、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、天然ゴム(NR)の少なくとも一種のゴムを挙げることができる。勿論、上記と同様のゴム組成物を用いることも可能である。
ここで圧縮層4には、本発明の特徴であるゴム組成物を使用する。このゴム組成物としては、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤を5〜25重量部、好ましくは10〜25重量部配合したものである。上記可塑剤の添加量が5重量部未満であると、ベルト表面を覆う量として不十分であることから、均一な水濡れ性を確保することが困難であり、また潤滑剤としての効果に乏しい。一方、配合量が25重量部を超えると、逆に表面摩擦係数の著しい低下が見られると共に耐摩耗性が極端に低下するといった不具合がある。
エチレン・α−オレフィンエラストマーとしては、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、あるいはオクテン)の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体などであり、上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。具体的にはEPMやEPDMなどのゴムをいう。
上記エーテルエステル系可塑剤は、その製造方法に関しては特に限定されるものではないが、2−エチルヘキシル酸とエーテルグリコールとをモル比2:1で反応させることにより容易に得られるものであり、例えばペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールあるいはヘプタエチレングリコールなどを所定量含む混合したエーテルグリコールと2−エチルヘキシル酸とを常法により反応させて得ることができるが、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコールあるいはヘプタエチレングリコール等をそれぞれ別々に2−エチルヘキシル酸と常法により反応させて得られたジエステルを用いたポリエチレングリコール平均重合度が、5〜10となるように混合することによっても製造できる。具体的には旭電化工業社製のアデカサイザーRS−107、RS−735、RS−700などが該当する。上記可塑剤の平均分子量は200〜2,000であることが好ましく、この範囲であると適度なブリード効果を奏し、水との濡れ性が良い。
上記界面活性剤として非イオン界面活性剤を用いる。非イオン界面活性剤にはポリオキシエチレン誘導体、多価アルコール系誘導体が挙げられる。
上記ポリオキシエチレン誘導体としては、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン・アルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアマイドが挙げられる。
また、多価アルコール型非イオン界面活性剤とは、グリセロール、ペンタエリスリトール等の多価アルコールに高級脂肪酸などの疎水基を結合させて得られる非イオン界面活性剤である。かかる多価アルコール型非イオン界面活性剤としては、例えばグリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレエートなどのグリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリストールジ牛脂脂肪酸エステル等のペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどのソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、椰子脂肪酸ジエタノールアマイドなどのアルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどがあげられる。
上記界面活性剤の添加量は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して界面活性剤を1〜20重量部、より好ましくは2〜10重量部配合され、1重量部未満では、ゴム表面の改質が十分発揮されない。一方、20重量部を超えると、物性の低下特にはモジュラスの低下の傾向が現れる。
上記ゴム組成物には、石油系軟化剤であるパラフィン系及び/又はナフテン系石油系軟化剤を併用することができる。上記軟化剤はエラストマーやエーテルエステル系可塑剤に対して馴染みやすい特性があるが、エーテルエステル系可塑剤は上記軟化剤やエラストマーに対して馴染みにくい特性があり、これによりエーテルエステル系可塑剤は積極的に上記エラストマーや軟化剤から離れようとするもので、これがブリードを持続的に発生させる。
その配合量は、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して3〜20重量部とすることが望ましい。3重量部未満では、エーテルエステル系可塑剤をブリードさせる効果に乏しく、一方、20重量部を超えると、耐粘着摩耗性が低下するという不具合がある。
パラフィン系石油軟化剤としては、例えば、炭素数4〜155のパラフィン系化合物、好ましくは炭素数4〜50のパラフィン系化合物が挙げられる。具体的には、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン等のn−パラフィン(直鎖状飽和炭化水素)、イソブタン、イソペンタン、ネオペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、ネオヘキサン、2,3−ジメチルブタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3−エチルペンタン等のイソパラフィン(分岐状飽和炭化水素)及び、これらの飽和炭化水素の誘導体等を挙げることができる。これらのパラフィンは、混合物で用いられ、室温で液状であるものが好ましい。
上記パラフィン系石油軟化剤の市販品としては、日本油脂株式会社製のNAソルベント(イソパラフィン系炭化水素油)、出光興産株式会社製のPW−90(n−パラフィン系プロセスオイル)、出光石油化学株式会社製のIP−ソルベント2835(合成イソパラフィン系炭化水素、99.8wt%以上のイソパラフィン)、三光化学工業株式会社製のネオチオゾール(n−パラフィン系プロセスオイル)等が挙げられる。
前記ゴム組成物は、摩擦伝動面の水濡れ性を改善し、注水時においてもベルトのプーリへの密着性を高めて静音性を向上させると共に、適度のブリード性を奏し、潤滑剤として作用させることで走行時の発音を抑制することができ、且つ、摩擦伝動面の亀裂を防止してベルト耐久性を高めることができる。
前記ゴム組成物には架橋剤として有機過酸化物を配合することができる。有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、上記エラストマー100重量部に対して0.5〜8重量部の範囲で好ましく使用される。
また前記ゴム組成物は、エラストマー成分100重量部に対して、N,N’−m−フェニレンジマレイミド及び/又はキノンジオキシム類を好ましくは0.5〜13重量部配合することができる。N,N’−m−フェニレンジマレイミド及び/又はキノンジオキシム類は共架橋剤として作用し、0.5重量部未満では添加による効果が顕著でなく、13重量部を超えると引裂き力並びに接着力が急激に低下する。このとき、共架橋剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを選択した場合、架橋密度が高くなり、耐摩耗性が高く、また注水時と乾燥時の伝達性能の差が少ないといった特徴がある。またキノンジオキシム類を選択した場合は、繊維基材との接着性に優れるといった特徴がある。
そして、それ以外に必要に応じて、短繊維、老化防止剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用される。これらの配合成分をゴム組成物に混合させる方法としては特に制限はなく、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー等を用い、適宜公知の手段、方法によって混練することができる。
尚、Vリブドベルトは、図1のような構成に限定されず、例えば接着層を配置しないVリブドベルトや、背面に帆布を貼着せずゴムを露出させたVリブドベルトなども本発明の技術範囲に属する。以下、これらの実施形態を図面に従って説明する。
図2に示すVリブドベルト21は、背面28が植毛層24を設けたゴム組成物で形成された伸張層25と、該伸張層25の下層に接着層22が配設され、更にその下層に圧縮層26を配置した構成を有する。心線23は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層25に接し、残部が接着層22に接した状態となっている。そして前記圧縮層26はベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ27が設けられている。ここで、圧縮層26に含有される短繊維はリブ形状に沿った流動状態を呈し、表面近傍の短繊維はリブ形状に沿って配向している。
図3に示すVリブドベルト31は、背面38が短繊維34を含有するゴム組成物で形成された伸張層35と、該伸張層35の下層に圧縮層36を配置した構成を有する。心線33は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されてなり、その一部が伸張層35に接し、残部が圧縮層36に接した状態となっている。そして、前記圧縮層35にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ37が設けられており、該リブ表面には植毛層39が設けられている。ここで、伸張層35に含有される短繊維はランダム方向に配向している。
ここで図3では、伸張層35を帆布で構成せず、短繊維を含有するゴム組成物で形成した構成を示したが、この際、背面駆動時の異音を抑制すべく、背表面に凹凸パターンを設けることができる。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどを挙げることができるが、最も好ましくは織物パターンである。また短繊維としては、ポリエステル、アラミド、ナイロン、綿などを所望に応じて配合することができる。尚、伸張層、圧縮層及び接着層を構成するゴム組成物、心線などは上述と同様のものが使用できる。
図3では伸張層35に含有される短繊維はランダム方向に配向しているが、ベルト幅方向に配向させるなど一方向に配向していてもかまわない。尚、ランダム方向に配向させた場合、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制できるといった特徴があるが、このとき短繊維として屈曲部を有する短繊維(例えばミルドファイバー)を選択すると、より多方向から作用する力に対して耐性ができるといった特徴がある。
図3のように接着層を配置しない構成の場合、心線33は伸張層35と圧縮層36の境界領域でベルト本体に埋設されることになる。この時、心線33とベルト本体との接着性を考慮すると、伸張層35及び圧縮層36のどちらか一方のゴム層は、短繊維を含有しないゴム組成物で構成することが望ましい。
尚、図2では、伸張層25を、短繊維を含有しないゴム組成物表面に植毛層24を設けた構成としているが、短繊維を含有するゴム組成物表面に植毛層を設けた構成とすることも可能である。
また図2では、圧縮層26に含有される短繊維はリブ形状に沿った流動状態を呈しているが、短繊維が幅方向に配向した構成としてもかまわない。
尚、Vリブドベルトが背面伝動を行う場合は、伸張層の表面も摩擦伝動面となりうる。よって、伸張層を本発明のゴム組成物で構成してもかまわない。
摩擦伝動面と水との接触角は、図4に示すように摩擦伝動面40に水を滴下した水滴41を投影写真からφ/2法により接触角φ=2tan−1(h/r)(ここで、φは接触角、hは水滴の高さ、rは水滴の半径である。)を求めたものであり、本発明では0.5〜75°の範囲である。この範囲であれば、水との濡れ性が持続的に維持される。
本実施形態は、Vリブドベルトに本発明を適用した一例であるが、Vリブドベルトに限らず、他の種類の摩擦伝動ベルトにも本発明を適用することは可能である。
次に、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例1〜5、比較例1〜4
以下の実施例1〜5、比較例1〜4のVリブドベルトは、ポリエステル繊維のロープからなる心線を接着ゴム層内に埋設し、接着ゴム層の一方の面にゴム付綿帆布を2プライ積層し、接着ゴム層の他方の面側に設けられた圧縮ゴム層に3個のリブ部をベルトの長手方向に配したものである。
ここで、圧縮層として、EPDM100重量部、亜鉛華5重量部、ステアリン酸1重量部、HAFカーボンブラック65重量部、老化防止剤2重量部、共架橋剤(N,N’−m−フェニレンジマレイミド)、有機過酸化物8重量部、硫黄0.3重量部、そして表1に示す所定量(重量部)の短繊維、ポリエーテルエステル系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、パラフィン系オイル、界面活性剤から調整し、バンバリーミキサーで混練後、カレンダーロールで圧延したものを用いた。ここで、圧縮層には短繊維が含まれており、該短繊維はベルト幅方向に配向している。一方、接着層は、表1に示すゴム組成物から短繊維を除いたゴム配合となっている。
ベルトの製造方法としては、以下のような公知の方法を用いた。まず、フラットな円筒状の成形モールドに2プライのゴム付綿帆布及び接着ゴム層を巻きつけ、心線をスピニングし、更に圧縮ゴム層を巻き付けた後、圧縮ゴム層の上に加硫用ジャケットを挿入する。ついで、成形モールドを加硫缶内に入れて加硫した後、筒状の加硫スリーブを成形モールドから取り出す。そして、加硫スリーブの圧縮ゴム層をグラインダーにより研削して複数のリブ部を形成してから、カッターにより個々のベルトに切断して、Vリブドベルトに仕上げた。
次に、以下に述べるような、Vリブドベルトの摩擦伝動面(短繊維突出表面)と水との接触角、加硫ゴムシート表面と水との接触角、そして被水時伝達性能試験において伝達トルクとスリップ率を求めた。その結果を表1に示す。
上記水との接触角測定では、表面に水を滴下し、計測器として協和界面科学社製の全自動接触角形(CA−W型)を用いて滴下した水滴の投影写真からφ/2法により、接触角を算出した。測定は滴下直後(1秒後)と60秒後の接触角を算出した。
上記被水時伝達性能試験では、走行試験機として駆動プーリ(直径120mm)、従動プーリ(直径160mm)、アイドラープーリ(直径80mm)、そしてテンションプーリ(直径120mm)を順に配置し、各プーリにVリブドベルトを掛架し、該ベルトの駆動プーリへの巻き付け角度を90°に、従動プーリへの巻き付け角度を160°にして調節した。そして、走行条件は室温、駆動プーリの回転数2,000rpm、ベルト張力5kgf/リブであり、従動プーリに負荷を与えてスリップを促した。また、駆動プーリと従動プーリ間に注水(200cc)を行った際のスリップ率と伝達トルクを求めた。
Figure 2008195914
表1の結果より、実施例1〜4は水との接触角が小さく、親和性に優位であることが判る。また、実施例5のように界面活性剤を併用しても、水との接触角が小さく、親和性に優位であることが判る。これに対して、比較例1、2、4では水との接触角は大きく、水との濡れ性が悪いことを示す。比較例3はエーテルエステル系の可塑剤を過多に配合している為に、水との接触角は極めて小さくつまりはブリード量が過剰であることが判る。
更に、伝達性能試験で実施例1〜5では、ベルトが高スリップ状態でも高い伝達トルクを有している。これは被水時においてはスリップ状態でも伝達性能を保持していることを示し、またベルトがスリップ音の発生に寄与する全滑りの状態になりにくいことを示す。
これに対して比較例1、2では、伝達トルクは高いがスリップ率が低く、実施例と比較して全滑りの状態になりやすく、異音が発生しやすいことが判る。比較例3はブリード量が過剰な為に伝達トルクが低くなった。また、比較例4はパラフィンオイルのみの配合で水との濡れ性も悪く、その結果伝達性能も満足できる結果が得られていない。
本発明にかかる摩擦伝動ベルトは自動車用あるいは一般産業用の駆動装置などに装着できる。
本発明に係る摩擦伝動ベルトであるVリブドベルトの断面斜視図である。 本発明に係る摩擦伝動ベルトである別のVリブドベルトの断面図である。 本発明に係る摩擦伝動ベルトである更に別のVリブドベルトの断面図である。 摩擦伝動面と水との接触角を示す。
符号の説明
1 Vリブドベルト
2 心線
3 接着層
4 圧縮層
5 伸張層
6 リブ部

Claims (13)

  1. エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤を5〜25重量部配合したことを特徴とするゴム組成物。
  2. エーテルエステル系可塑剤と石油系軟化剤を併用した請求項1記載のゴム組成物。
  3. 前記エーテルエステル系可塑剤の分子量が200〜2,000である請求項1または2記載のゴム組成物。
  4. エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、更に界面活性剤を1〜20重量部配合した請求項1乃至3の何れかに記載のゴム組成物。
  5. エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤と界面活性剤を合わせて5〜25重量部配合した請求項4記載のゴム組成物。
  6. 表面と水との接触角が0.5〜75°である請求項1乃至5の何れかに記載のゴム組成物。
  7. 少なくとも摩擦伝動面が、エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤を5〜25重量部配合したゴム組成物で構成されていることを特徴とする摩擦伝動ベルト。
  8. エーテルエステル系可塑剤と石油系軟化剤を併用したゴム組成物である請求項7記載の摩擦伝動ベルト。
  9. 前記エーテルエステル系可塑剤の分子量が200〜2,000である請求項7又は8記載の摩擦伝動ベルト。
  10. エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、更に界面活性剤を1〜20重量部配合した請求項7乃至9の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  11. エチレン・α−オレフィンエラストマー100重量部に対して、エーテルエステル系可塑剤と界面活性剤を合わせて5〜25重量部配合した請求項10記載の摩擦伝動ベルト。
  12. 摩擦伝動面と水との接触角が0.5〜75°である請求項7乃至11の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
  13. 摩擦伝動ベルトが、Vリブドベルトである請求項7乃至12の何れかに記載の摩擦伝動ベルト。
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