JP2002257199A - 動力伝動ベルト - Google Patents

動力伝動ベルト

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JP2002257199A
JP2002257199A JP2001054338A JP2001054338A JP2002257199A JP 2002257199 A JP2002257199 A JP 2002257199A JP 2001054338 A JP2001054338 A JP 2001054338A JP 2001054338 A JP2001054338 A JP 2001054338A JP 2002257199 A JP2002257199 A JP 2002257199A
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rubber
power transmission
belt
transmission belt
rubber layer
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JP2001054338A
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Yosuke Suefuji
陽介 末藤
Mamoru Sawada
守 澤田
Toru Noguchi
徹 野口
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粘着摩耗抑制効果の高いクロロプレンゴムを
主材ゴムとした動力伝動用ベルトを提供する。 【解決手段】 心線3を接着ゴム層2中にベルト長さ方
向に沿って埋設し、その下側に圧縮ゴム層4を具備した
Vリブドベルトにおいて、少なくとも圧縮ゴム層4にク
ロロプレンゴムを主材ゴムとし、金属酸化物及び有機過
酸化物並びにα,β−不飽和脂肪酸金属塩を配合したゴ
ム組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力伝動用ベルトに
関し、詳しくはクロロプレンゴムを主材ゴムとしたゴム
組成物を、動力伝動用ベルトを構成するゴム部材の少な
くとも一部に用いた動力伝動用ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ゴム工業分野、なかでも自動車用
部品の高機能、高性能化に伴って、厳しい使用環境にも
耐えうるゴム製品が望まれている。ゴム製品は、原料ゴ
ムの選定及び配合剤の組み合わせによりその特性が定ま
る。なかでもゴム架橋物の物性には網目鎖密度や架橋構
造が密接に関係することから、架橋にかかる配合剤の選
定は設計上重要な位置を占める。
【0003】ベルトの素材用のゴムとして用いられる代
表的なものとして、クロロプレンゴムがある。クロロプ
レンゴムは2−クロロブタジエンのホモポリマーであっ
て、側鎖のClに基づく、耐熱性、耐オゾン性、耐候
性、耐油性、耐薬品性などの面で一様に優れた性質を有
しており、幅広い用途に使用されている。
【0004】クロロプレンゴムの架橋は、金属酸化物及
び加硫促進剤の併用が一般である。金属酸化物による架
橋は、ゴム分子鎖中の官能基と金属酸化物の反応により
イオン結合した架橋物を与えるが、該架橋物をベルトに
使用した際、プーリとの摩擦により粘着摩耗が発生し易
く、ひいては走行時に粘着による異音が発生するといっ
た問題があった。この粘着摩耗を防止する為には、架橋
密度を高く設定することが考えられるが、この加硫系で
は加硫促進剤を更に加えても架橋密度や力学物性は大き
く変化せず、また加硫促進剤の大量配合はブルームを引
き起こすといった問題もあった。またカーボンブラック
などの補強性充填材の配合により弾性をあげることも考
えられるが、クロロプレンゴムのような伸張結晶性を示
すゴムは、結晶部分が補強剤の役割を担うために効果は
小さい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これら上記知見を踏ま
え鋭意研究を重ねた結果、動力伝動用ベルトを構成する
ゴム部材の少なくとも一部に、クロロプレンゴムを主材
ゴムとし、金属酸化物及び有機過酸化物並びにα,β−
不飽和脂肪酸金属塩を配合したゴム組成物を用いること
で、粘着摩耗を抑制できることが判明した。詳しくは、
該ゴム組成物を用いた動力伝動用ベルトは、金属酸化物
架橋によるイオン結合架橋鎖と、有機過酸化物架橋によ
るC−C結合架橋鎖からなる架橋構造を有し、更に共架
橋剤であるα,β−不飽和脂肪酸金属塩により架橋度を
調節することで粘着摩耗を防止しつつ、機械的物性に優
れ、特に動力伝動等に用いられるベルトの圧縮ゴム層に
用いることで、走行時の発音対策に有効であることを見
出したるものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本願の請求項1の
発明では、クロロプレンゴムを主材ゴムとし、金属酸化
物及び有機過酸化物並びにα,β−不飽和脂肪酸金属塩
を配合したゴム組成物を、動力伝動用ベルトを構成する
ゴム部材の少なくとも一部に使用した動力伝動用ベルト
にある。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の動
力伝動用ベルトにおいて、ゴム成分100質量部に対し
て、有機過酸化物が0.25〜1質量部配合されている
動力伝動用ベルトにある。有機過酸化物の配合量を該範
囲とすることで、動的疲労性や耐屈曲疲労性等の機械的
物性を極端に低下させることなく粘着摩耗を抑制でき
る。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の動力伝動用ベルトにおいて、ゴム成分100質量部
に対して、α,β−不飽和脂肪酸金属塩が1〜25質量
部配合されている動力伝動用ベルトにある。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
いずれかに記載の動力伝動用ベルトにおいて、α,β−
不飽和脂肪酸金属塩とは、アクリル酸金属塩である動力
伝動用ベルトにある。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項4に記載の
動力伝動用ベルトにおいて、アクリル酸金属塩とは、ア
クリル酸アルミニウムそしてアクリル酸亜鉛から選ばれ
た少なくとも一種である動力伝動用ベルトにある。
【0011】請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の
いずれかに記載の動力伝動用ベルトにおいて、動力伝動
用ベルトとは、ベルト長さ方向に沿って心線を埋設した
接着ゴム層と、ベルト長さ方向に延びる複数のリブ部を
有する圧縮ゴム層とからなるVリブドベルトであり、少
なくとも圧縮ゴム層が前記ゴム組成物からなる動力伝動
用ベルトにある。
【0012】請求項7記載の発明は、請求項1乃至5の
いずれかに記載の動力伝動用ベルトにおいて、動力伝動
用ベルトとは、ベルト長さ方向に沿って心線を埋設した
接着ゴム層と、圧縮ゴム層とからなるVベルトであり、
少なくとも上記圧縮ゴム層が前記ゴム組成物からなる動
力伝動用ベルトにある。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明は摩擦を繰り返し受けるよ
うな動力伝動用ベルト、具体的には摩擦伝動するVリブ
ドベルトやVベルトにおいて、クロロプレンゴムを主材
ゴムとし金属酸化物及び有機過酸化物並びにα,β−不
飽和脂肪酸金属塩を配合したゴム組成物を、動力伝動用
ベルトを構成するゴム部材の少なくとも一部に使用した
動力伝動用ベルトにある。なかでもプーリと常時接触す
る圧縮ゴム層に該ゴム組成物を用いることが、粘着摩耗
を防止する上で望ましい。
【0014】動力伝動ベルトの一例として、Vリブドベ
ルトの断面斜視図を図1に示す。このVリブドベルト1
は、高強度且つ低伸度のコードよりなる心線3を接着ゴ
ム層2中にベルト長さ方向に沿って埋設し、その下側に
弾性体層である圧縮ゴム層4を具備している。この圧縮
ゴム層4には、ベルト長手方向に延びる断面略逆台形状
の複数のリブが設けられ、またベルト背面には伸張層と
して基布5が積層されている。
【0015】心線3としては、ポリエステル繊維、アラ
ミド繊維、ガラス繊維が使用され、中でもエチレン−
2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエス
テル繊維フィラメント群を撚り合わせた総デニール数が
4,000〜8,000の接着処理したコードが、ベル
トスリップ率を低くできてベルト寿命を延長させるため
に好ましい。このコードの上撚り数は10〜23/10
cmであり、また下撚り数は17〜38/10cmであ
る。総デニールが4,000未満の場合には、心線のモ
ジュラス、強力が低くなり過ぎ、また8,000を越え
ると、ベルトの厚みが厚くなって、屈曲疲労性が悪くな
る。
【0016】エチレン−2,6−ナフタレートは、通常
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはそのエステル
形成性誘導体を触媒の存在下に適当な条件のもとにエチ
レングリコールと縮重合させることによって合成させ
る。このとき、エチレン−2,6−ナフタレートの重合
完結前に適当な1種または2種以上の第3成分を添加す
れば、共重合体ポリエステルが合成される。
【0017】また、心線3にはゴムとの接着性を改善す
る目的で接着処理が施される。このような接着処理とし
ては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RF
L)液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形
成するのが一般的である。しかし、これに限ることなく
エポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった
後に、RFL液で処理する方法等もある。
【0018】接着処理されたコードは、スピニングピッ
チ、即ち心線の巻き付けピッチを1.0〜1.3mmに
することで、モジュラスの高いベルトに仕上げることが
できる。1.0mm未満になると、コードが隣接するコ
ードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.3mmを
越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くなる。
【0019】基布5は、織物、編物、不織布から選択さ
れる基布である。基布を構成する繊維素材としては、公
知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊
維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリ
アミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、
ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアク
リル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、
アラミド等の有機繊維が挙げられる。尚、基布5は、公
知技術に従ってレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液
(RFL液)に浸漬後、未加硫ゴムを基布5に擦り込む
フリクションを行ったり、またRFL液に浸漬後にゴム
を溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理する。
【0020】RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期
縮合物とゴムラテックスとを混合したものであり、レゾ
ルシンとホルマリンのモル比は1:0.5〜3にするこ
とが接着力を高める上で好適である。また、レゾルシン
とホルマリンの初期縮合物は、これをラテックスのゴム
分100質量部に対してその樹脂分が10〜100質量
部になるようにラテックスと混合した上、全固形分濃度
が5〜40質量%濃度になるように調節される。尚、R
FL液には適宜カーボンブラック液を混合して処理反を
黒染めしたり、公知の界面活性剤を0.1〜5.0質量
%加えてもよい。また、上記ラテックスとしては、スチ
レン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、クロ
ロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、エ
ピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴ
ム、オレフィン−ビニルエステル共重合体、EPDM等
のラテックスが挙げられる。
【0021】圧縮ゴム層4は、クロロプレンゴムを主材
ゴムとし金属酸化物及び有機過酸化物並びにα,β−不
飽和脂肪酸金属塩を配合したゴム組成物により構成され
たゴム組成物であって、必要に応じてカーボンブラック
のような補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫助
剤、硫黄等が添加混合される。該ゴム組成物を用いるこ
とで、粘着摩耗を抑制し、走行時の騒音を減少させた摩
擦伝動ベルトを提供することができる。尚、クロロプレ
ンゴムは、硫黄変性タイプもしくは非硫黄変性タイプに
大別できるが、本発明は特に規定するものではない。
【0022】本発明において、架橋剤として金属酸化物
及び有機過酸化物を併用する。金属酸化物としては、例
えば酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が
例示でき、その添加量としてはゴム成分100質量部に
対して1〜15質量部が好ましい。上記金属酸化物は1
種を単独で用いたりまたは2種以上を併用することが可
能であるが、なかでも酸化亜鉛と酸化マグネシウムとの
併用が好ましく用いられる。尚、金属酸化物は架橋剤と
しての効果以外にも、受酸剤として作用し、成形に用い
る金型の腐食防止に寄与できる。
【0023】有機過酸化物としては、具体的には、ジ−
t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
t−ブチルクミルパーオキサイド、1.1−t−ブチル
ペロキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサン、
2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−ブチルペロキ
シ)ヘキサン、2.5−ジ−メチル−2.5−ジ(t−
ブチルペロキシ)ヘキサン−3、ビス(t−ブチルペロ
キシジ−イソプロピル)ベンゼン、2.5−ジ−メチル
−2.5−ジ(ベンゾイルペロキシ)ヘキサン、t−ブ
チルペロキシベンゾアート、t−ブチルペロキシ−2−
エチル−ヘキシルカーボネートが挙げられる。その配合
量は、好ましくはゴム成分100質量部に対して0.2
5〜1質量部とする。0.25質量部未満であると有機
過酸化物による架橋が十分に行われないために粘着摩耗
抑制効果が低く、また1質量部を超えると動的疲労性及
び屈曲疲労性といった機械的物性が極端に低下する。
【0024】また、本発明では、上記架橋剤の他に共架
橋剤であるα,β−不飽和脂肪酸金属塩を配合すること
を特徴とする。α,β−不飽和脂肪酸金属塩はα,β−
不飽和脂肪酸と金属酸化物とを反応させたものであっ
て、α,β−不飽和脂肪酸としては例えばメタクリル
酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸などのα,β
−モノエチレン性不飽和カルボン酸が例示でき、金属塩
としては亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、
アルミニウムなどの二価の金属塩を挙げることができ
る。かかるα,β−不飽和脂肪酸金属塩の配合量は、ゴ
ム100質量部に対して1〜25質量部が好ましい。1
質量部未満だとα,β−不飽和脂肪酸金属塩による架橋
効果が充分でなく、25質量部を超えると作業性が悪い
と共に、過度の架橋により動的疲労性及び屈曲疲労性と
いった機械的物性の低下が見られる。
【0025】尚、架橋効率を高める為に、例えばチアゾ
ール系、チウラム系、スルフェンアミド系の加硫促進剤
を配合することが可能である。チアゾール系加硫促進剤
としては、具体的に2−メルカプトベンゾチアゾール、
2−メルカプトチアゾリン、ジベンドチアジル・ジスル
フィド、2−メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩等が
あり、チウラム系加硫促進剤としては、具体的にテトラ
メチルチウラム・モノスルフィド、テトラメチルチウラ
ム・ジスルフィド、テトラエチルチウラム・ジスルフィ
ド、N,N’−ジメチル− N,N’−ジフェニルチウ
ラム・ジスルフィド等があり、またスルフェンアミド系
加硫促進剤としては、具体的にN−シクロヘキシル−2
−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N’−シクロ
ヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等があ
る。また、他の加硫促進剤としては、ビスマレイミド、
エチレンチオウレアなども使用できる。これら加硫促進
剤は単独で使用してもよいし、2種以上の組み合わせで
使用してもよい。
【0026】充填剤としては、シリカ、クレー、炭酸カ
ルシウム等の無機充填剤及びカーボンブラック、樹脂、
コルク粉等の有機充填剤がある。
【0027】短繊維としては、ポリエステル、ポリアミ
ド、アラミド、ビニロン、綿等の有機繊維が使用され
る。好ましくは、その長さは1〜10mmであり、また
添加量はゴム100重量部に対して1〜40重量部であ
る。尚、圧縮ゴム層4に前記短繊維を添加することで耐
側圧性を向上させるとともに、プーリと接する面となる
圧縮ゴム層4の表面に該短繊維を突出させ、圧縮ゴム層
4の摩擦係数を低下させて、ベルト走行時の騒音を軽減
する。これらの短繊維のうち、剛直で強度を有し、しか
も耐摩耗性を有するアラミド短繊維が最も効果がある。
また、上記ゴム層中の短繊維の方向はベルトの長手方向
に対して直角方向を向いているのを90°としたときほ
とんどの短繊維が70°〜110°の範囲内に配向され
ていることが望ましい。
【0028】軟化剤、可塑剤としては、鉱物油系オイ
ル、植物油系オイル、合成軟化剤、合成可塑剤等があ
り、具体的には例えばジブチルフタレート(DBP)、
ジオクチルフタレート(DOP)等のフタレート系、ジ
オクチルアジペート(DOA)等のアジペート系、ジオ
クチルセバケート(DOS)等のセバケート系、トリク
レジルホスフェート等のホスフェートなどが例示され
る。このうち1種または2種以上使用することができ
る。
【0029】尚、ゴムは粘弾性体であって、変形により
エネルギーを与えると、一部は弾性エネルギーとして貯
蔵され、一部は粘性エネルギーとして熱になって散逸す
る。ゴムの運動性はこの弾性エネルギーと粘性エネルギ
ーから推測することが可能であって、本発明では粘着摩
耗を防止すべく該物性に係るパラメーターを考慮するこ
とが好ましい。後述のE'とtanδは、共にゴムの粘
弾性に関連するパラメーターであって、E'とは、貯蔵
弾性率と呼ばれ、ゴム組成物に加えられる機械的エネル
ギーの貯蔵され易さを表すものである。またtanδと
は、損失係数と呼ばれる損失弾性率にかかる係数であっ
て、ゴム組成物に加えられる機械的エネルギーの熱とし
ての散逸され易さを示すものである。つまりE'がより
高く、tanδがより低い方が粘着摩耗が起きにくいと
考えられる。
【0030】尚、上記測定はゴムがプラトー領域にある
温度で測定することが好ましい。プラトー領域とは、ゴ
ム状領域といわれてるものであり、主鎖のミクロブラウ
ン運動が活発となり、様々な分子形態をとり得る液体に
近い運動状態にあって、ゴムの分子運動性にかかるパラ
メーターを正確に評価することが容易になる領域であ
る。配合等によりその値は異なるが、クロロプレンゴム
では一般的に70〜200°Cであって、本発明では1
50°Cを測定基準温度とするものである。
【0031】一方、接着ゴム層2は圧縮ゴム層4と同種
のゴムが使用可能である。またそれ以外にも主材ゴムと
して、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエン
ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、エチレン−
プロピレンゴムのようなエチレン−α−オレフィン系共
重合体ゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリル
ゴム(H−NBR)に不飽和カルボン酸金属塩を添加し
たもの、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン
(ACSM)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム
(CSM)等を主成分とし、これにカーボンブラックの
ような補強剤、充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫助
剤、硫黄あるいは有機過酸化物のような加硫剤等が添加
混合したゴム組成物を用いてもよい。尚、配合物として
は短繊維は混入しないほうが好ましい。
【0032】前記各成分を混合する方法としては、例え
ばバンバリーミキサー、ロール、ニーダー、そして押出
機等限定するものでなく、適宜公知の手段、方法によっ
て混練することができる。
【0033】Vリブドベルト1の製造方法の一例は以下
の通りである。まず、円筒状の成形ドラムの周面に1〜
複数枚のゴム付基布と接着ゴム層とを巻き付けた後、こ
の上にコードからなる心線を螺旋状にスピニングし、更
に圧縮ゴム層を順次巻き付けて積層体を得た後、これを
加硫して加硫スリーブにする。尚、加硫方法は限定され
るものでなく、モールド加熱、熱空気加熱、回転ドラム
式加硫機、射出成形機等の加硫装置を用いた公知の手段
で加硫される。
【0034】次に、加硫スリーブを駆動ロールと従動ロ
ールに掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させ
た研削ホイールを走行中の加硫スリーブに当接するよう
に移動して加硫スリーブの圧縮ゴム層表面に3〜100
個の複数の溝状部を一度に研削する。このようにして得
られた加硫スリーブを駆動ロールと従動ロールから取り
外し、該加硫スリーブを他の駆動ロールと従動ロールに
掛架して走行させ、カッターによって所定の幅に切断し
て個々のVリブドベルトに仕上げる。
【0035】尚、上記Vリブドベルトは本発明の実施の
一形態であって、これに限定されるものではない。例え
ば、本発明に係る動力伝動ベルトの他の一例としてVベ
ルト6を図2に示す。Vベルト6は、接着ゴム層9内に
ベルト長手方向に沿って心線11が埋め込まれ、接着ゴ
ム層9の上部下部に隣接して、伸張ゴム層7と圧縮ゴム
層10を有している。伸張ゴム層7は、その表面に基布
8が積層した構造を有する。また、この圧縮ゴム層10
には、コグ部を長手方向に沿って所定間隔で設けてもよ
い。また、平ベルトも摩擦により動力伝動するベルトで
あって、本発明の技術範囲に含まれるものである。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 実施例1〜5、比較例1〜3 表1に示す割合の各配合成分をバンバリーミキサーで混
練し、オープンロールで3回薄通しを行った後、153
°Cで30分間加硫した。得られた加硫ゴムについて、
DMS測定モジュール210型(セイコーインスツルメ
ント社製)を用いて動的粘弾性測定を行った。長さ40
mm、幅5mm、厚み2mmの加硫ゴム試料を準備し、
短繊維の配向方向に対し直角方向に印荷歪みを与えて、
温度150°C、振幅10μm、周波数10Hzの測定
条件でE’及びtanδを測定した。結果を表1に併記
する。
【0037】次に得られた加硫ゴムについて、各種物性
を調べた。膨潤試験として、各々のサンプルの体積膨潤
率を測定した。まず加硫ゴムシートを10mm×5mm
×2mmの小片に切り取り、トルエンに3日間浸漬させ
平衡膨潤させた後、試料の重量、比重を測定して体積膨
潤率を算出した。
【0038】引張試験としては、JIS K6251
(試料形状 JIS 3号ダンベル)に従い、引張速度
500mm/minの条件で引張強度及び破断伸度を測
定した。また円柱状加硫ゴム試験片を準備し、JIS
K6262に従い圧縮歪試験を行い、圧縮歪率を測定し
た。上記結果を同じく表1に示す。
【0039】また表1に示す配合のゴム組成物を用いた
Vリブドベルトを作製した。円筒状モールドに経糸と緯
糸とが綿糸からなる平織物にクロロプレンゴム組成物を
フリクションしたゴム付帆布を1プライ巻き付けた後、
クロロプレンゴム組成物からなる接着ゴムシートを巻
き、更にその上にポリエステル繊維からなるコード
(1,100d 2×3)をスピニングし、そして表1
に示すゴム組成物からなる圧縮ゴム層を巻き付け成形を
終えた。得られた成形体を公知の方法で加硫して、円筒
状の加硫ゴムスリーブを得た。
【0040】円筒状モールドから抜き出した加硫ゴムス
リーブを研削機の駆動ロールと従動ロールに装着して、
張力を付与した後に回転させた。150メッシュのダイ
ヤモンドを表面に装着した研削ホイールを用いて1,6
00rpmで回転させ、これを加硫スリーブに当接させ
て80のリブ部を研磨した後、所定幅に切断し、3PK
1100のVリブドベルトを作製した。
【0041】得られたVリブドベルトについて3軸走行
試験を行い、粘着摩耗の状態を調べた。3PK1100
のVリブドベルトを径120mmの駆動プーリ、径12
0mmの従動プーリ、および径45mmのアイドラープ
ーリに装着し、駆動プーリを4,900rpmで回転さ
せて24時間走行させた後のベルト外観を観測した。雰
囲気温度は室温である。結果を表1に併記する。
【0042】
【表1】
【0043】この結果、架橋剤として有機過酸化物及び
金属酸化物並びにアクリル酸アルミニウムを配合した実
施例のゴム組成物は、貯蔵弾性率E'が高く、また損失
係数tanδが低い数値を示すと共に、三軸走行試験に
おいても粘着摩耗抑制効果が高いことが判明した。比較
例3,5を見ると、粘着摩耗を抑制するには架橋度をあ
げることが有効であることが分かるが、パーオキサイド
の過剰添加及びアクリル酸アルミニウムの過剰添加は破
断伸度、引張強度の低下、つまり動的疲労性、耐屈曲疲
労性等の機械的物性の低下が見られることが判る。ま
た、比較例2は比較的ゴム組成物の架橋度が高いもの
の、実施例の摩耗抑制効果には及ばない。
【0044】一方、架橋剤として金属酸化物のみを配合
した比較例1及び金属酸化物とアクリル酸アルミニウム
を配合した比較例4では粘着摩耗が激しく発生し、有機
過酸化物の添加/不添加が粘着摩耗抑制に密接に関係し
ていると考えられる。
【0045】
【発明の効果】以上のように、クロロプレンゴムを主材
ゴムとし、金属酸化物及び有機過酸化物並びにα,β−
不飽和脂肪酸金属塩を配合したゴム組成物を、動力伝動
用ベルトを構成するゴム部材の少なくとも一部に使用す
ることで粘着摩耗抑制効果に優れた動力伝動用ベルトが
提供可能であると共に、有機過酸化物、α,β−不飽和
脂肪酸金属塩の配合量を適正値にすることで粘着摩耗抑
制効果が高く、且つ、機械的物性に優れたゴム架橋組成
物及びこれを用いた動力伝動ベルトを提供することがで
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るVリブドベルトの断面斜視図であ
る。
【図2】本発明に係るVベルトの断面斜視図である。
【符号の説明】
1 Vリブドベルト 2 接着ゴム層 3 心線 4 圧縮ゴム層 5 基布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16G 5/04 F16G 5/04 5/06 5/06 A 5/20 5/20 A Fターム(参考) 4J002 AC091 DE076 DE086 DE106 EG028 EG038 EG048 EK037 EK047 EK057 EK087 FA040 FD010 FD150 GM01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロロプレンゴムを主材ゴムとし、金属
    酸化物及び有機過酸化物並びにα,β−不飽和脂肪酸金
    属塩を配合したゴム組成物を、動力伝動用ベルトを構成
    するゴム部材の少なくとも一部に使用したことを特徴と
    する動力伝動用ベルト。
  2. 【請求項2】 ゴム成分100質量部に対して、有機過
    酸化物が0.25〜1質量部配合されている請求項1記
    載の動力伝動用ベルト。
  3. 【請求項3】 ゴム成分100質量部に対して、α,β
    −不飽和脂肪酸金属塩が1〜25質量部配合されている
    請求項1又は2記載の動力伝動用ベルト。
  4. 【請求項4】 α,β−不飽和脂肪酸金属塩とは、アク
    リル酸金属塩である請求項1乃至3のいずれかに記載の
    動力伝動用ベルト。
  5. 【請求項5】 アクリル酸金属塩とは、アクリル酸アル
    ミニウムそしてアクリル酸亜鉛から選ばれた少なくとも
    一種である請求項4に記載の動力伝動用ベルト。
  6. 【請求項6】 動力伝動用ベルトとは、ベルト長さ方向
    に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、ベルト長さ方向
    に延びる複数のリブ部を有する圧縮ゴム層とからなるV
    リブドベルトであり、少なくとも圧縮ゴム層が前記ゴム
    組成物からなる請求項1乃至5のいずれかに記載の動力
    伝動用ベルト。
  7. 【請求項7】 動力伝動用ベルトとは、ベルト長さ方向
    に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、圧縮ゴム層とか
    らなるVベルトであり、少なくとも上記圧縮ゴム層が前
    記ゴム組成物からなる請求項1乃至5のいずれかに記載
    の動力伝動用ベルト。
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