JP2008194532A - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【解決手段】ソリッドコアと、少なくとも1層の中間層と、カバーとを具備してなるマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、
上記コアが、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、少量の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなる加硫成形物により形成され、
上記中間層が、熱可塑性樹脂を主材として形成され、そのデュロメーターD硬度が30〜70、
上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であることを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
【効果】本発明のゴルフボールは、反発性に優れたものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、フォーピースソリッドゴルフボール等のマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
従来より、ゴルフボールに対しては、優れた反発性を付与するために、ゴム基材として使用されるポリブタジエンの配合を種々改良することが行われている。
例えば、特開昭62−89750号公報には、ゴム基材として、Ni,Co触媒を用いて合成したムーニー粘度が70〜100のポリブタジエンと、ランタン系触媒で合成したムーニー粘度が30〜90のポリブタジエン又はNi,Co触媒を用いて合成したムーニー粘度が20〜50のポリブタジエンとを配合してなるソリッドゴルフボール用ゴム組成物が提案されている。
しかしながら、上記提案に関しては、反発性の更なる改良が求められている。
また、特開平2−268778号公報には、VIII族触媒で合成したムーニー粘度が50未満のポリブタジエンと、ランタニド触媒で合成したムーニー粘度が50未満のポリブタジエンとを配合して形成したゴルフボールが提案されているが、得られるゴルフボールの反発性が劣るものである。
更に、特開平11−70187号公報には、低ムーニー粘度のポリブタジエンにて中間層が形成されたマルチピースソリッドゴルフボール、特開平11−319148号公報には、Ni,Co触媒を用いて合成したムーニー粘度が50〜69のポリブタジエンとランタノイド系触媒を用いて合成したムーニー粘度が20〜90のポリブタジエンとを配合したゴム組成物にて形成されたソリッドゴルフボール、特開平11−164912号公報には、1,2−ビニル結合2.0%以下とし、重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mnが3.5以下のゴム組成物にて形成されたソリッドゴルフボール、特開昭63−275356号公報には、高ムーニー粘度のポリブタジエンが配合されたゴム組成物にて形成されたゴルフボール、特開平3−151985号公報には、数平均分子量が高いポリブタジエンと低いポリブタジエンとを配合してなるゴム組成物にて形成されたゴルフボールが提案されているが、いずれの提案も反発性に満足するものとはいえない。
なおまた、特開昭61−71070号公報には、2種の有機過酸化物を用いることが、特開昭62−112574号公報には、少量の有機過酸化物を用いることが記載されているが、反発性が十分でなく、しかも架橋時間が遅くなってしまい、生産性が大きく低下してしまうという問題を有する。
特開昭62−89750号公報 特開平2−268778号公報 特開平11−70187号公報 特開平11−319148号公報 特開平11−164912号公報 特開昭63−275356号公報 特開平3−151985号公報 特開昭61-71070号公報 特開昭62−112574号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、反発性が高く、良好な飛び性能を与えるゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を行った結果、シス−1,4−結合を60重量%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを主材としたゴム基材を用い、このゴム基材100重量部に対して、有機過酸化物を0.1〜0.8重量部であるように配合したゴム組成物の加硫成形物をソリッドコアとすることにより、製造性に優れ、しかも反発性の良好なゴルフボールが得られることを知見した。即ち、従来は、有機過酸化物を減量すると、加硫時間が延びてしまい、生産性が低下し、反発性も十分でないものであったが、反発性の高い希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを用い、半減期が大きく異なる2種以上の有機過酸化物を0.1〜0.8重量部含むことで、作業性を改善し、加硫時間も短縮し、生産性の向上も出来る上に、更なる反発性の向上も達成することができることを見出した。
そして、このように反発性が向上する分、コアやボールのソフト化が可能で、ドライバーなどのフルショットでの初期条件が従来に比べ低スピン・高打ち出しとなり、飛距離が向上し、またソフトフィーリングが得られることを知見したものである。
従って、本発明は下記のフォーピースゴルフボール(1)〜(4)を提供する。
(1)ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、中間層内層のデュロメーターD硬度が30〜56であり、かつ中間層外層のデュロメーターD硬度が50〜63であり、
上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
(2)ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が30〜70であり、中間層内層が熱可塑性ポリエステルを主材として形成され、かつ中間層外層が下記[I]又は[II]
[I](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを重量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100重量部に対して、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜80重量部と、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10重量部
とを必須成分として配合してなる混合物、
[II](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物、並びに
(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物
から選ばれる1種又は2種以上のベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる金属イオン源、
(f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
を必須成分とする混合物
を主材として形成され、上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
(3)ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が30〜70であり、中間層外層が熱可塑性ポリエステルを主材として形成され、かつ中間層内層が下記[I]又は[II]
[I](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを重量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100重量部に対して、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜80重量部と、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10重量部
とを必須成分として配合してなる混合物、
[II](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物、並びに
(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物
から選ばれる1種又は2種以上のベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる金属イオン源、
(f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
を必須成分とする混合物
を主材として形成され、上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
(4)ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が30〜70であり、中間層内層が下記[II]
[II](b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物
から選ばれる1種又は2種以上のベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる金属イオン源、
(f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
を必須成分とする混合物
を主材として形成されると共に、中間層外層が下記[I]
[I](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを重量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100重量部に対して、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜80重量部と、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10重量部
とを必須成分として配合してなる混合物
を主材として形成され、かつ上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
上記の発明によれば、良好なスピン性能、飛び性能を同時に満足すると共に、カバーとその下の層との密着性が向上し、反発性と、耐久性が向上するという効果が得られる。
本発明のゴルフボールは、反発性に優れたものである。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、
(A)シス−1,4−結合を60重量%以上含有し、好ましくはムーニー粘度(ML1+4(100℃))が40以上である、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを主材とするゴム基材、
(B)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、
(C)有機硫黄化合物、
(D)無機充填剤、
(E)有機過酸化物
を含有するゴム組成物の加硫成形物をコアとするものである。
ここで、まず、上記(A)成分のポリブタジエンは、シス−1,4−結合を60%(重量%、以下同じ)以上、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上有するものであることが必要である。シス−1,4−結合が少なすぎると反発性が低下する。
上記ポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、40以上、好ましくは50以上、更に好ましくは52以上、最も好ましくは54以上、上限として140以下、好ましくは120以下、更に好ましくは100以下、最も好ましくは80以下であることが好ましい。
なお、本発明でいうムーニー粘度とは、いずれも回転可塑度計の1種であるムーニー粘度計で測定される工業的な粘度の指標(JIS K6300)であり、単位記号としてML1+4(100℃)を用いる。また、Mはムーニー粘度、Lは大ロータ(L型)、1+4は予備加熱時間1分間、ロータの回転時間は4分間を示し、100℃の条件下にて測定したことを示す。
本発明で用いるポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものであることが必要で、希土類元素系触媒としては、公知のものを使用することができる。
例えば、ランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルモキサン、ハロゲン含有化合物、更に、必要に応じルイス塩基の組み合わせよりなる触媒を挙げることができる。
上記ランタン系列希土類元素化合物としては、原子番号57〜71の金属ハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコラート、チオアルコラート、アミド等を挙げることができる。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、AlR123(ここで、R1、R2及びR3は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素又は炭素数1〜8の炭化水素残基を表す)で示されるものを用いることができる。
上記アルモキサンは、下記式(I)又は下記式(II)で示される構造を有する化合物を好適に挙げることができる。この場合、ファインケミカル,23,(9),5(1994)、J.Am.Chem.Soc.,115,4971(1993)、J.Am.Chem.Soc.,117,6465(1995)で示されるアルモキサンの会合体でもよい。
Figure 2008194532
(式中、R4は、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、nは2以上の整数である。)
ハロゲン含有化合物としては、AlXn3-n(ここで、Xはハロゲンを示し、Rは、炭素数が1〜20の炭化水素残基であり、例えば、アルキル基、アリール基、アラルキル基であり、nは、1、1.5、2又は3を示す)で示されるアルミニウムハライド、Me3SrCl、Me2SrCl2、MeSrHCl2、MeSrCl3などのストロンチウムハライド、その他、四塩化ケイ素、四塩化スズ、四塩化チタンなどの金属ハライド等が用いられる。
ルイス塩基は、ランタン系列希土類元素化合物を錯化するのに用いることができ、例えば、アセチルアセトン、ケトンアルコールなどを挙げることができる。
本発明においては、特に、ランタン系列希土類元素化合物としてネオジウム化合物を用いたネオジウム系触媒の使用が、1,4−シス結合が高含量、1,2−ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましく、これらの希土類元素系触媒の具体例は、特開平11−35633号公報に記載されているものを好適に挙げることができる。
また、ランタン系列希土類元素化合物を用いた希土類元素系触媒の存在下でブタジエンを重合させる場合、シス含量及びMw/Mnを上記範囲とするために、ブタジエン/ランタン系列希土類元素化合物は、モル比で1000〜200万、特には5000〜100万とすることが好ましく、また、AlR123/ランタン系列希土類元素化合物は、モル比で1〜1000、特には3〜500とすることが好ましい。更に、ハロゲン化合物/ランタン系列希土類元素化合物は、モル比で0.1〜30、特に0.2〜15であることが好ましい。ルイス塩基/ランタン系列希土類元素化合物は、モル比で0〜30、特に1〜10とすることが好ましい。重合にあたっては、溶媒を使用しても、溶媒を使用せずにバルク重合或いは気相重合してもよい。重合温度は、通常、−30〜150℃、好ましくは10〜100℃である。
希土類元素系触媒の存在下でブタジエンを重合させる場合、溶媒を使用しても、溶媒を使用せずにバルク重合或いは気相重合してもよく、重合温度は通常−30〜150℃、好ましくは10〜100℃とすることができる。
本発明の(A)成分のポリブタジエンは、上記の希土類元素触媒による重合に引き続き、ポリマーの活性末端に末端変性剤を反応させることにより得られるものであってもよい。
変性ポリブタジエンゴムは、上記の重合に引き続き、下記〈1〉〜〈7〉に記載した末端変性剤を用いて製造することができる。
〈1〉ポリマーの活性末端にアルコキシシリル基を持つ化合物を反応させることにより得られる。アルコキシシリル基を持つ化合物としては、エポキシ基又はイソシアナート基を分子内に少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物が好適に使用される。具体例としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの縮合物、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシランの縮合物などのエポキシ基含有アルコキシシラン;3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、(3−イソシアナートプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−イソシアナートプロピル)メチルジエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシランの縮合物、(3−イソシアナートプロピル)メチルジメトキシシランの縮合物などのイソシアナート基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。
また、上記アルコキシシリル基を持つ化合物を活性末端に反応させる際、反応を促進させるためにルイス酸を添加することもできる。ルイス酸が触媒としてカップリング反応を促進させ、変性ポリマーのコールドフローが改良され貯蔵安定性がよくなる。ルイス酸の具体例としては、ジアルキルスズジアルキルマレート、ジアルキルスズジカルボキシレート、アルミニウムトリアルコキシドなどが挙げられる。
〈2〉R5 nM′X4-n、M′X4、M′X3、R5 nM′(−R6−COOR74-n又はR5 nM′(−R6−COR74-n(式中、R5及びR6は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、R7は炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基であり、側鎖にカルボニル基又はエステル基を含んでいてもよく、M′はスズ原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子又はリン原子、Xはハロゲン原子、nは0〜3の整数を示す)に対応するハロゲン化有機金属化合物、ハロゲン化金属化合物又は有機金属化合物、
〈3〉分子中に、Y=C=Z結合(式中、Yは炭素原子、酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子、Zは酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子を示す)を含有するヘテロクムレン化合物、
〈4〉分子中に下記結合を含有するヘテロ3員環化合物
Figure 2008194532
(式中、Yは、酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子を示す。)、
〈5〉ハロゲン化イソシアノ化合物、
〈6〉R8−(COOH)m 、R9(COX)m 、R10−(COO−R11m 、R12−OCOO−R13、R14−(COOCO−R15m 、又は下記式で示されるカルボン酸、酸ハロゲン化物、エステル化合物、炭酸エステル化合物又は酸無水物
Figure 2008194532
(式中、R8〜R16は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜50の炭素原子を含む炭化水素基、Xはハロゲン原子、mは1〜5の整数を示す。)、
〈7〉R17 l M″(OCOR184-l 、R19 lM″(OCO−R20−COOR214-l、又は下記式で示されるカルボン酸の金属塩
Figure 2008194532
(式中、R17〜R23は、同一でも異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、M″はスズ原子、ケイ素原子又はゲルマニウム原子、lは0〜3の整数を示す。)等を挙げることができる。
以上に示される末端変性剤の具体例及び反応させる方法は、例えば、特開平11−35633号公報,特開平7−268132号公報、特開2002−293996号公報等に記載されているもの及び方法を挙げることができる。
本発明において、上記ポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上、好ましくは2.2以上、更に好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、上限としては8.0以下、好ましくは7.5以下、更に好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下であることが好ましく、Mw/Mnが小さすぎると作業性が低下し、大きすぎると反発性が低下する場合がある。
本発明は、上記ポリブタジエンを主材としたゴム基材を用いるものであるが、この場合、この主材のポリブタジエンはゴム基材中、60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは85%以上であることがよい。また、ゴム基材の100%が上記ポリブタジエンであってもよく、95%以下、場合によったら90%以下の含有量とし得る。
なお、上記ポリブタジエン以外のゴム成分としては、上記ポリブタジエン以外のポリブタジエン、例えばVIII族金属化合物触媒を用いて得られたポリブタジエン、その他のジエンゴム、例えばスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等が挙げられる。
この場合、上記ポリブタジエン以外のゴム成分のうちでは、VIII族の触媒を用いて合成され、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が50未満、その25℃における5重量%トルエン溶液の粘度ηが200mPa・s以上、400mPa・s以下である第2のポリブタジエンを使用することが、高い反発性、良好な作業性を得ることができる点から好ましい。
上記VIII族触媒として、具体的には、下記のニッケル系触媒、コバルト系触媒を挙げることができる。
ここで、ニッケル系触媒としては、例えば、ニッケルケイソウ土のような1成分系、ラネーニッケル/四塩化チタンのような2成分系、ニッケル化合物/有機金属/三フッ化ホウ素エーテラートのような3成分系のもの等を挙げることができる。なお、ニッケル化合物としては、担体付還元ニッケル、ラネーニッケル、酸化ニッケル、カルボン酸ニッケル、有機ニッケル錯塩などが用いられる。また、有機金属としては、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、1,4−ジリチウムブタン等のアルキルリチウム、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等のジアルキル亜鉛等を挙げることができる。
また、コバルト系触媒としては、コバルト及びその化合物として、ラネーコバルト、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルト、酸化コバルト、硫酸コバルト、炭酸コバルト、リン酸コバルト、フタル酸コバルト、コバルトカルボニル、コバルトアセチルアセトネート、コバルトジエチルジチオカルバメート、コバルトアニリニウムナイトライト、コバルトジニトロシルクロリド等を挙げることができ、特にこれらの化合物とジエチルアルミニウムモノクロリド、ジイソブチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルミニウムアルキルセスキクロリド、塩化アルミニウム等との組み合わせを好適に挙げることができる。
上記VIII族系触媒、特にニッケル系触媒又はコバルト系触媒を用いて重合する場合は、通常、溶剤、ブタジエンモノマーと併せて連続的に反応機にチャージさせ、例えば、反応温度を5〜60℃、反応圧力を大気圧から70数気圧の範囲で適宜選択して、上記ムーニー粘度のものが得られるように操作する方法を挙げることができる。
上記第2のポリブタジエンのムーニー粘度は、50未満であり、好ましくは48以下、更に好ましくは45以下である。この場合、ムーニー粘度の下限としては、10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは25以上、最も好ましくは30以上であることが好ましい。
また、第2のポリブタジエンの25℃における5重量%トルエン溶液の粘度ηが200mPa・s以上、より好ましくは210mPa・s以上、更に好ましくは230mPa・s以上、特に好ましくは250mPa・s以上で、400mPa・s以下、より好ましくは370mPa・s以下、更に好ましくは340mPa・s以下、特に好ましくは300mPa・s以下であることが好ましい。
なお、本発明でいう25℃における5%トルエン溶液の粘度η(mPa・s)とは、測定対象のポリブタジエン2.28gをトルエン50mlに溶解した後、標準液として粘度計構成用標準液(JIS Z8809)を用いて、所定の粘度計により25℃の条件下で測定した値のことをいうものとする。
上記第2のポリブタジエンの配合量は、ゴム基材中、0%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上で、40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下、最も好ましくは15%以下とすることが好ましい。
次に、(B)成分の不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。不飽和カルボン酸の金属塩としては、亜鉛塩、マグネシウム塩等が挙げられ、中でもアクリル酸亜鉛が好適に用いられる。
上記(B)成分の不飽和カルボン酸/塩の配合量は、上記(A)成分のゴム基材100部(重量部、以下同じ)に対し、10部以上、より好ましくは15部以上、更に好ましくは20部以上であり、60部以下、より好ましくは50部以下、更に好ましくは45部以下、最も好ましくは40部以下とすることが好ましい。
(C)成分の有機硫黄化合物としては、例えば、チオフェノール、チオフトール、ハロゲン化チオフェノール又はそれらの金属塩が挙げられる。より具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール又はそれらの亜鉛塩、硫黄数が2〜4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド、アルキルフェニルジスルフィド類、フラン環を有する硫黄化合物類、チオフェン環を有する硫黄化合物類が挙げられるが、特に、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、ジフェニルジスルフィドを好適に用いることができる。
その配合量は、(A)成分のゴム基材100部に対し、0.1部以上、より好ましくは0.2部以上、更に好ましくは0.4部以上、最も好ましくは0.7部以上で、5部以下、より好ましくは4部以下、更に好ましくは3部以下、最も好ましくは2部以下、特に好ましくは1.5部以下であることが必要である。その配合量が少なすぎると、反発性を向上させる効果がなく、多すぎると、硬度が軟らかくなりすぎ、十分な反発性が得られない。
(D)成分の無機充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられ、その配合量は(A)成分100部に対し、5部以上、より好ましくは7部以上、更に好ましくは10部以上、最も好ましくは13部以上で、80部以下、より好ましくは65部以下、更に好ましくは50部以下、最も好ましくは40部以下とする。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると、適正な重量及び好適な反発性を得ることができない。
(E)有機過酸化物としては、公知のものを単独使用することができるが、好ましくは2種以上を組み合わせて用いることができる。この場合、特には反発性の点から、155℃における半減期が一番短い有機過酸化物を(a)、155℃における半減期が一番長い有機過酸化物を(b)とし、(a)の半減期をat、(b)の半減期をbtとした場合、半減期の比bt/atが7以上、好ましくは8以上、より好ましくは9以上、更に好ましくは10以上で、20以下、より好ましくは18以下、更に好ましくは16以下であるものを使用することが好適である。2種以上の有機過酸化物を用いても、上記範囲を逸脱した場合、反発性、コンプレッション、耐久性に劣る場合がある。
この場合、(a)の155℃における半減期atは、5秒以上、より好ましくは10秒以上、更に好ましくは15秒以上で、120秒以下、より好ましくは90秒以下、更に好ましくは60秒以下であることが好ましく、(b)の155℃における半減期btは、300秒以上、より好ましくは360秒以上、更に好ましくは420秒以上で、800秒以下、より好ましくは700秒以下、更に好ましくは600秒以下であることが好ましい。
ここで、有機過酸化物として具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。これら有機過酸化物は市販品を用いることができ、例えば、パークミルD(日本油脂社製)、パーヘキサ3M(日本油脂社製)、Luperco 231XL(アトケム社製)等が挙げられる。この場合、上記(a)成分の有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサンが好ましく、(b)成分の有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
また、上記(E)成分の有機過酸化物の総配合量は、上記(A)成分100部に対して0.1部以上、好ましくは0.2部以上、より好ましくは0.3部以上、更に好ましくは0.4部以上であり、0.8部以下、好ましくは0.7部以下、より好ましくは0.6部以下、更に好ましくは0.5部以下である。配合量が少なすぎると、架橋に要する時間が長くなり、生産性の低下が大きく、コンプレッションも大きく低下してしまうおそれがある。配合量が多すぎると、反発性、耐久性が低下してしまうおそれがある。
この場合、(a)成分の添加量は、(A)成分100部に対し、0.05部以上、より好ましくは0.08部以上、更に好ましくは0.1部以上で、0.5部以下、より好ましくは0.4部以下、更に好ましくは0.3部以下であることが好ましく、(b)成分の添加量は0.05部以上、より好ましくは0.15部以上、更に好ましくは0.2部以上で、0.7部以下、より好ましくは0.6部以下、更に好ましくは0.5部以下であることが好ましい。
なおまた、必要に応じ、老化防止剤を(A)成分100部に対し、0.05部以上、より好ましくは0.1部以上、更に好ましくは0.2部以上で、3部以下、より好ましくは2部以下、更に好ましくは1部以下、最も好ましくは0.5部以下を配合することができる。なお、老化防止剤としては市販品を用いることができ、例えば、ノクラックNS−6、同NS−30(大内新興化学工業(株)製、ヨシノックス425(吉富製薬(株)製)等が挙げられる。
本発明の加硫成形物(コア)は、上述したゴム組成物を、公知のゴルフボール用ゴム組成物と同様の方法で加硫・硬化させることによって得ることができる。加硫条件は、例えば、加硫温度100〜200℃、加硫時間10〜40分にて実施することができる。
本発明において、上記コアの硬度は、後述する各種ゴルフボールの使用態様に応じて適宜調整することができ、特に制限されるものではなく、断面硬度は、中心から成形物表面までが平坦であっても中心と成形物表面までに硬度差があってもいずれの場合であってもよいが、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5mm以上、より好ましくは2.7mm以上、更に好ましくは3.0mm以上で、6.0mm以下、より好ましくは5.5mm以下、更に好ましくは5.0mm以下である。硬く、たわみ量が少なすぎると、打感が悪くなると共に、特にドライバーなどのボールに大変形が生じるロングショット時にスピンが増えすぎて飛ばなくなり、軟らかすぎると、打感が鈍くなると共に、反発が十分でなくなり飛ばなくなる上、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなる場合がある。
なお、コアの直径は、30.0mm以上、好ましくは32.0mm以上であり、40.0mm以下、好ましくは39.0mm以下である。
また、コアの比重は、通常0.9以上、好ましくは1.0以上、更に好ましくは1.1以上、上限として1.4以下、好ましくは1.3以下、更に好ましくは1.2以下であることが推奨される。
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、上記コアを被覆する1層以上の中間層(フォーピースソリッドゴルフボールの場合は、内外2層の中間層)と、この中間層を被覆するカバーとを備える。
中間層としては、熱可塑性樹脂にて形成することが好ましい。この場合、中間層の少なくとも1層が下記[I]又は[II]の材料であることが好ましい。
[I](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを重量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100重量部に対して、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体
5〜80重量部と、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10重量部
とを必須成分として配合してなる混合物。
[II](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物、並びに
(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物
から選ばれる1種又は2種以上のベース樹脂と、
(e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分、
(c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体、
(d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる金属イオン源、
(f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
を必須成分とする混合物。
ここで、[I]の材料において、上記ベース樹脂中のオレフィンは、(a)成分、(b)成分のいずれであっても、炭素数が、通常2以上、上限として8以下、特に6以下のものが好ましく、具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等を挙げることができ、特にエチレンであることが好ましい。
また、不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸であることが好ましい。
更に、不飽和カルボン酸エステルとしては、上述した不飽和カルボン酸の低級アルキルエステルが好適で、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等を挙げることができ、特にアクリル酸ブチル(n−アクリル酸ブチル、i−アクリル酸ブチル)であることが好ましい。
(a)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び(b)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体(以下、(a)成分及び(b)成分中の共重合体を総称してランダム共重合体という)は、それぞれ、上述した材料を調整し、公知の方法によりランダム共重合させることにより得ることができる。
上記ランダム共重合体は、不飽和カルボン酸の含量(酸含量)が調整されたものであることが推奨される。ここで、(a)成分のランダム共重合体に含まれる不飽和カルボン酸の含量は、通常4重量%以上、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、上限としては30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、更に好ましくは15重量%以下であることが推奨される。
同様に(b)成分のランダム共重合体に含まれる不飽和カルボン酸の含量は、通常4重量%以上、好ましくは6重量%以上、より好ましくは8重量%以上、上限としては15重量%以下、好ましくは12重量%以下、より好ましくは10重量%以下であることが推奨される。ランダム共重合体の酸含量が少なすぎると反発性が低下する場合があり、多すぎると加工性が低下する場合がある。
(a)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物及び(b)成分のオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物(以下、(a)成分及び(b)成分中の共重合体の金属イオン中和物を総称してランダム共重合体の金属イオン中和物という)は、上記ランダム共重合体中の酸基を金属イオンで部分的に中和することにより得ることができる。
ここで、酸基を中和する金属イオンとしては、例えば、Na+、K+、Li+、Zn++、Cu++、Mg++、Ca++、Co++、Ni++、Pb++等を挙げることができ、好ましくはNa+、Li+、Zn++、Mg++等を好適に用いることができ、更に好ましくはZn++であることが推奨される。
上記ランダム共重合体の金属イオン中和物を得るには、上記ランダム共重合体に対して、上記金属イオンで中和すればよく、例えば、上記金属イオンのギ酸塩、酢酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酸化物、水酸化物及びアルコキシド等の化合物を使用して中和する方法などを採用することができる。これら金属イオンのランダム共重合体に対する中和度は特に限定されるものではない。
ランダム共重合体の金属イオン中和物としては、亜鉛イオン中和型アイオノマー樹脂を好適に使用でき、材料のメルトフローレートを増加させ、後述する最適なメルトフローレートに調整することが容易で、成形性を改良することができる。
上記(a)成分と(b)成分のベース樹脂は、市販品を使用してもよく、例えば、(a)成分のランダム共重合体として、ニュクレル1560、同1214、同1035(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、ESCOR5200、同5100、同5000(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を、(b)成分のランダム共重合体として、例えば、ニュクレルAN4311、同AN4318(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、ESCOR ATX325、同ATX320、同ATX310(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を挙げることができる。
また、(a)成分のランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1554、同1557、同1601、同1605、同1706、同AM7311(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン7930(米国デュポン社製)、アイオテック3110、同4200(EXXONMOBIL CHEMICAL社製)等を、(b)成分のランダム共重合体の金属イオン中和物として、例えば、ハイミラン1855、同1856、同AM7316(いずれも三井・デュポンポリケミカル社製)、サーリン6320、同8320、同9320、同8120(いずれも米国デュポン社製)、アイオテック7510、同7520(いずれもEXXONMOBIL CHEMICAL社製)等をそれぞれ挙げることができる。上記ランダム共重合体の金属イオン中和物として好適な亜鉛中和型アイオノマー樹脂としては、ハイミラン1706、同1557、同AM7316等を挙げることができる。
上記ベース樹脂の調製に際しては、(a)成分と(b)成分との配合が重量比で100:0〜25:75、好ましくは100:0〜50:50、より好ましくは100:0〜75:25、更に好ましくは100:0にすることが必要である。(a)成分の配合量が少なすぎると、材料の成形物の反発性が低下する。
また、(a)成分及び(b)成分のベース樹脂は、上記調製に加えて更にランダム共重合体とランダム共重合体の金属イオン中和物との配合比を調整することにより、成形性をより良好にすることができ、ランダム共重合体:ランダム共重合体の金属イオン中和物は、通常0:100〜60:40、好ましくは0:100〜40:60、より好ましくは0:100〜20:80、更に好ましくは0:100であることが推奨される。ランダム共重合体の配合量が多すぎると、ミキシング時の成形性が低下する場合がある。
(e)成分は、打撃時のフィーリング、反発性をより一層向上させるための任意成分で、本発明においては、上記ベース樹脂と(e)成分とを総称して樹脂成分という。(e)成分は、アイオノマー樹脂以外の非アイオノマー熱可塑性エラストマーで、具体的には、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等を挙げることができ、反発性を更に高めることができる点から、特にオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーを好適に使用することができる。
上記(e)成分は、市販品を使用してもよく、例えば、オレフィン系エラストマーとして、ダイナロン(JSR社製)、ポリエステル系エラストマーとして、ハイトレル(東レ・デュポン社製)等を挙げることができる。
(e)成分の配合量は、本発明のベース樹脂100重量部に対し、通常0重量部以上、特に1重量部以上、好ましくは2重量部以上、より好ましくは3重量部以上、更に好ましくは4重量部以上、上限として100重量部以下、好ましくは60重量部以下、より好ましくは40重量部以下、更に好ましくは20重量部以下であることが推奨される。配合量が多すぎると、混合物の相溶性が低下し、ゴルフボールの耐久性が著しく低下する可能性がある。
次に、(c)成分は、分子量280以上1500以下の脂肪酸又はその誘導体であり、上記ベース樹脂と比較して分子量が極めて小さく、混合物の溶融粘度を適度に調整し、特に流動性の向上に寄与する成分である。本発明の(c)成分は、比較的高含量の酸基(誘導体)を含み、反発性の過度の損失を抑制できる。
(c)成分の脂肪酸又はその誘導体の分子量は、280以上、好ましくは300以上、より好ましくは330以上、更に好ましくは360以上、上限としては1500以下、好ましくは1000以下、より好ましくは600以下、更に好ましくは500以下であることが必要である。分子量が少なすぎる場合は耐熱性が改良できず、多すぎる場合は流動性が改善できない。
(c)成分の脂肪酸又はその脂肪酸誘導体としては、例えば、アルキル基中に二重結合又は三重結合を含む不飽和脂肪酸(誘導体)やアルキル基中の結合が単結合のみで構成される飽和脂肪酸(誘導体)を同様に好適に使用できるが、いずれの場合も1分子中の炭素数が、通常18以上、好ましくは20以上、より好ましくは22以上、更に好ましくは24以上、上限として80以下、好ましくは60以下、より好ましくは40以下、更に好ましくは30以下であることが推奨される。炭素数が少なすぎると、耐熱性の改善が達成できない上、酸基の含有量が多すぎて、ベース樹脂に含まれる酸基との相互作用により流動性の改善の効果が少なくなってしまう場合がある。一方、炭素数が多すぎる場合には、分子量が大きくなるために、流動性改質の効果が顕著に表れない場合がある。
ここで、(c)成分の脂肪酸として、具体的には、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、リグノセリン酸などが拳げられ、好ましくは、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、更に好ましくはベヘニン酸を挙げることができる。
また、上記(c)成分の脂肪酸誘導体は、上述した脂肪酸の酸基に含まれるプロトンを金属イオンにより置換した金属せっけんを例示できる。この場合、金属イオンとしては、例えば、Na+、Li+、Ca++、Mg++、Zn++、Mn++、Al+++、Ni++、Fe++、Fe+++、Cu++、Sn++、Pb++、Co++等を挙げることができ、特にCa++、Mg++、Zn++が好ましい。
(c)成分の脂肪酸誘導体として、具体的には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、べヘニン酸マグネシウム、べヘニン酸カルシウム、ベヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛等を挙げることができ、特にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、アラキジン酸マグネシウム、アラキジン酸カルシウム、アラキジン酸亜鉛、ベヘニン酸マグネシウム、ベヘニン酸カルシウム、べヘニン酸亜鉛、リグノセリン酸マグネシウム、リグノセリン酸カルシウム、リグノセリン酸亜鉛等を好適に使用することができる。
本発明においては、上記(a)成分と(b)成分とからなるベース樹脂と、上記(c)成分とを合わせたものとして、公知の金属せっけん変性アイオノマー(米国特許第5312857号明細書,米国特許第5306760号明細書,国際公開第98/46671号パンフレット等)等を使用することもできる。
(d)成分は、上記ベース樹脂及び(c)成分中の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物である。(d)成分が配合されないと金属せっけん変性アイオノマー樹脂(例えば、上記特許公報に記載された金属せっけん変性アイオノマー樹脂のみ)を単独で使用した場合には、加熱混合時に金属せっけんとアイオノマー樹脂に含まれる未中和の酸基が交換反応して多量の脂肪酸を発生させ、発生した脂肪酸が熱的安定性が低く成形時に容易に気化するため、成形不良の原因をもたらし、更に成形物の表面に付着して、塗膜密着性を著しく低下させるという問題を起こす。
Figure 2008194532
(1)アイオノマー樹脂に含まれる未中和の酸基
(2)金属せっけん
(3)脂肪酸
X 金属陽イオン
これに対し、(d)成分として、上記ベース樹脂及び(c)成分中に含まれる酸基を中和する塩基性無機金属化合物を必須成分として配合し、成形物の反発性の改良を図るものである。
即ち、上記(d)成分は、材料中に必須成分として配合されることにより、上記ベース樹脂と(c)成分中の酸基が適度に中和されるだけでなく、各成分の適正化による相乗効果で、混合物の熱安定性を高め、良好な成形性の付与と反発性の向上を図ることができるものである。
ここで、(d)成分の塩基性無機金属化合物は、ベース樹脂との反応性が高く、反応副生成物に有機酸を含まないため、熱安定性を損なうことなく、混合物の中和度を上げられるものであることが推奨される。
上記(d)成分の塩基性無機金属化合物中の金属イオンは、例えば、Li+、Na+、K+、Ca++、Mg++、Zn++、Al+++、Ni++、Fe++、Fe+++、Cu++、Mn++、Sn++、Pb++、Co++等を挙げることができる。塩基性無機金属化合物としては、これら金属イオンを含む公知の塩基性無機充填剤を使用することができ、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム等を挙げることができるが、特に水酸化物、又は一酸化物であることが推奨され、より好ましくはベース樹脂との反応性の高い水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、更に好ましくは水酸化カルシウムであることが推奨される。
上記[I]の材料は、(a)成分及び(b)成分とを所定量配合したベース樹脂と、任意の(e)成分を配合した樹脂成分に対し、所定量の(c)成分と(d)成分とをそれぞれ配合することにより、熱安定性、流動性、成形性に優れ、反発性の飛躍的な向上を成形物に付与できる。
(c)成分と(d)成分の配合量は、上記(a)、(b)、(e)成分を適宜配合した樹脂成分100重量部に対して、(c)成分の配合量が、5重量部以上、好ましくは10重量部以上、より好ましくは15重量部以上、更に好ましくは18重量部以上、上限として80重量部以下、好ましくは40重量部以下、より好ましくは25重量部以下、更に好ましくは22重量部以下、(d)成分の配合量を0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、上限としては10重量部以下、好ましくは8重量部以下、より好ましくは6重量部以下、更に好ましくは5重量部以下にする必要がある。(c)成分の配合量が少なすぎると溶融粘度が低くなり加工性が低下し、多すぎると耐久性が低下する。(d)成分の配合量が少なすぎると熱安定性、反発性の向上が見られず、多すぎると過剰の塩基性無機金属化合物によりゴルフボール用材料の耐熱性が却って低下する。
上記[I]の材料は、上述した樹脂成分、(c)成分、(d)成分をそれぞれ所定量配合してなるものであるが、材料中の酸基の50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上が中和されていることが推奨される。このような高中和化により、上述した従来技術のベース樹脂と脂肪酸(誘導体)のみを使用した場合に問題となる交換反応をより確実に抑制し、脂肪酸の発生を防ぐことができる上、熱的安定性が著しく向上し、成形性が良好で、従来のアイオノマー樹脂と比較して反発性に非常に優れた成形物を得ることができる。
ここで、中和度とは、ベース樹脂と(c)成分の脂肪酸(誘導体)の混合物中に含まれる酸基の中和度であり、ベース樹脂中のランダム共重合体の金属イオン中和物としてアイオノマー樹脂を使用した場合におけるアイオノマー樹脂自体の中和度とは異なる。中和度が同じ混合物と同中和度のアイオノマー樹脂のみとを比較した場合、該混合物は、非常に多くの金属イオンを含むため、反発性の向上に寄与するイオン架橋が高密度化し、成形物に優れた反発性を付与できる。
なお、上記[I]の材料において、高中和化と優れた流動性をより確実に両立するために、上記混合物の酸基が遷移金属イオンと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属イオンとで中和されていることが推奨される。遷移金属イオンによる中和は、アルカリ(土類)金属イオンと比較してイオン凝集力が弱いが、これら種類の異なるイオンを併用して、混合物中の酸基の中和を行うことにより、流動性の著しい改良を図ることができる。
上記遷移金属イオンと、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属イオンとのモル比は、通常10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30、更に好ましくは40:60〜60:40であることが推奨される。遷移金属イオンのモル比が小さすぎると流動性を改善する効果が十分に付与されない場合があり、遷移金属イオンのモル比が大きすぎると反発性が低下する場合がある。
上記金属イオンは、遷移金属イオンとしては、亜鉛イオン等を挙げることができ、また、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとしては、ナトリウムイオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオン等から選ばれる少なくとも1種のイオンを挙げることができるが、これらは特に制限されるものではない。
遷移金属イオンとアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンとで上記所望量の酸基が中和された混合物を得るには、公知の方法を採用でき、例えば、遷移金属イオン(亜鉛イオン)により中和する方法は、上記脂肪酸誘導体に亜鉛せっけんを用いる方法、ベース樹脂として(a)成分と(b)成分とを配合する際に亜鉛イオン中和物(例えば、亜鉛イオン中和型アイオノマー樹脂)を使用する方法、(d)成分の塩基性無機金属化合物に亜鉛酸化物等の亜鉛化合物を用いる方法などを挙げることができる。
上記[I]の材料は、更に心要に応じて任意に種々の添加剤を配合することができ、材料の用途に応じて調製できる。例えば、カバー材にする場合には、上記必須成分に加えて、顔料、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤などを加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量は、[I]の材料の必須成分(樹脂成分、(c)成分、(d)成分)の配合量の総和100重量部に対し、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、更に好ましくは1重量部以上、上限として10重量部以下、より好ましくは6重量部以下、更に好ましくは4重量部以下になるように配合することができる。
上記[I]の材料を得るには、上述した必須成分と必要により任意成分を配合した混合物を得ればよく、加熱混合条件として、例えば、加熱温度150〜250℃、混合機として、例えば、混練型二軸押出機、バンバリー、ニーダー等のインターナルミキサーなどを用いて混練することができる。この場合、配合方法に特に制限はなく、本発明の上記必須成分と共に配合して同時に加熱混合する方法、上記必須成分を予め加熱混合をした後、任意の添加剤を加えて更に加熱混合する方法等を採用できる。
[I]の材料は、射出成形に特に適した流動性を確保し、成形性を改良するため、メルトフローレートを調整することが好ましく、この場合、JIS−K7210で試験温度190℃、試験荷重21.18N(2.16kgf)に従って測定したときのメルトフローレート(MFR)が、通常0.5dg/min以上、好ましくは1dg/min以上、より好ましくは1.5dg/min以上、更に好ましくは2dg/min以上であり、上限として20dg/min以下、好ましくは10dg/min以下、より好ましくは5dg/min以下、更に好ましくは3dg/min以下に調整されることが推奨される。メルトフローレートが、大きすぎても小さすぎても加工性が著しく低下する場合がある。
また、[I]の材料は、赤外吸収測定において、通常検出される1690〜1710cm-1のカルボニル伸縮振動に帰属する吸収ピークの吸光度に対する1530〜1630cm-1のカルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属する吸収ピークにおける相対吸光度(カルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属する吸収ピークの吸光度/カルボニル伸縮振動に帰属する吸収ピークの吸光度)を適正化することが好ましい。
ここで、カルボキシラートアニオン伸縮振動は、プロトンを解離したカルボキシル基(金属イオンにより中和されたカルボキシル基)をカルボニル伸縮振動は未解離のカルボキシル基の振動をそれぞれ意味する。そして、それぞれのピークの強度比は中和度に依存する。一般的に用いられる中和度が約50モル%のアイオノマー樹脂の場合、それぞれのピークの吸光度比は約1:1になる。
[I]の材料の熱安定性、流動性、成形性、反発性を改良するために、材料のカルボキシラートアニオン伸縮振動に帰属するピークの吸光度を、カルボニル伸縮振動によるピークの吸光度の少なくとも1.3倍以上とすることが推奨され、好ましくは1.5倍以上、より好ましくは2倍以上、更に好ましくはカルボニル伸縮振動に帰属するピークが存在しないことが推奨される。
また、[I]の材料は、熱安定性を熱重量測定により測定することができるが、熱重量測定において、25℃における重量を基準とした250℃における減量率が、通常2重量%以下、好ましくは1.5重量%以下、より好ましくは1重量%以下であることが推奨される。
[I]の材料は、成形物のデュロメーターD硬度が、通常50以上、好ましくは53以上、より好ましくは56以上、更に好ましくは58以上、上限として好ましくは70以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは62以下になるように配合を調製することが推奨される。デュロメーターD硬度が高すぎると、形成されたゴルフボールの打撃時のフィーリングが著しく低下する場合があり、低すぎると、反発性が低下する場合がある。
また、[I]の材料の比重は、特に制限されるものではないが、通常0.9以上、好ましくは0.92以上、より好ましくは0.94以上、上限として1.2以下、好ましくは1.1以下、更に好ましくは1.05以下であることが推奨される。
一方、[II]の材料において、(a)〜(e)成分の種類、その使用量は、[I]の材料の(a)〜(e)成分と同様である。但し、[II]の材料において、(a),(b)成分は単独使用しても、併用してもよく、併用する場合は、重量比90:10〜10:90、特に80:20〜20:80の割合で併用し得る点が相違する。
また、(f)成分については、以下の通りである。
(f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
本発明で用いられる2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物としては、1種又は2種以上の反応性官能基を1分子中に合計2個以上有する分子量2万以下、好ましくは5000以下のモノマー、オリゴマー、マクロモノマー等が用いられる。なお、上記反応性官能基の数の上限は、特に制限されないが、通常6個以下である。
ここで、モノマーとは、単量体のことである。オリゴマーとは、一般的に高分子合成に用いる単量体から得られる低分子量生成物で、通常2量体以上、分子量数千までを含めている。マクロモノマーとは、末端に重合性官能基を有するオリゴマーで、各種機能性コモノマーとの共重合により、グラフトポリマーの合成に利用される材料である。分子量は通常数千〜数万である。これらは一般的にプラスチック、エラストマー合成の中間材料であったり、グラフトポリマーの原料として使用されるものである。近年は各種機能を持ったオリゴマー、マクロモノマーが注目されている。
反応性官能基としては、部材同士の接着性を改良できるものであれば特に制限はないが、例えば反応性官能基が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基であることが特に好ましい。アイオノマー樹脂とのブレンドの場合、メルトフローレート(MFR)への影響が少ない水酸基が特に好ましい。
モノマーの例としては、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、マンニトール、ソルビトール、多糖類等が挙げられ、オリゴマー又はマクロモノマーとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー、変性低分子量ポリエチレン、変性低分子量ポリプロピレン、変性低分子量ポリスチレン、変性液状ゴム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特にポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマーやトリメチロールプロパン等が好適に用いられる。これらは所望により1種を単独で用いてもよいし、2種を併用してもよい。
上記モノマー、オリゴマー又はマクロモノマーとしては市販品を用いてもよく、三菱ガス化学社製のトリメチロールプロパンや、三菱化学社製ポリヒドロキシポリオレフィンオリゴマー(主鎖の炭素数が150〜200、末端に水酸基を有する。商品名ポリテールH)等を挙げることができる。
上記2つ以上の反応性官能基を有する化合物の配合量は、樹脂成分100重量部に対して0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜50重量部、より好ましくは0.3〜20重量部、更に好ましくは0.4〜10重量部、特に好ましくは0.5〜5重量部である。添加量が少なすぎると、その配合効果が十分得られず、多すぎるとゴルフボールの物性を低下させるおそれがある。
上記材料を得るには、上述した必須成分と必要により任意成分を配合した混合物を得ればよく、加熱混合条件として、例えば、加熱温度150〜250℃、混合機として、例えば、混練型二軸押出機、バンバリー、ニーダー等のインターナルミキサーなどを用いて混練することができる。この場合、配合方法に特に制限はなく、本発明の上記必須成分と共に配合して同時に加熱混合する方法、上記必須成分を予め加熱混合した後、任意の添加剤を加えて更に加熱混合する方法等を採用できる。
なお、この材料は、射出成形に特に適した流動性を確保し、成形性を改良するため、メルトフローレートを調整することが好ましく、この場合、JIS K7210で試験温度190℃、試験荷重21.18N(2.16kgf)に従って測定したときのメルトフローレートが、通常0.5dg/min以上、好ましくは1dg/min以上、より好ましくは1.5dg/min以上、更に好ましくは2dg/min以上であり、上限として20dg/min以下、好ましくは10dg/min以下、より好ましくは5dg/min以下、更に好ましくは3dg/min以下に調整されることが推奨される。メルトフローレートが大きすぎても小さすぎても加工性が著しく低下する場合がある。
また、比重は、0.9〜1.2、より好ましくは0.92〜1.1、更に好ましくは0.93〜1.05が好ましい。
更に、デュロメーターD硬度は40以上、より好ましくは45以上、更に好ましくは50以上で、70以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは60以下であることが好ましい。
この材料は、(f)成分の反応性官能基が他材料の官能基と反応し、良好な接着性を与えることができる。
また、中間層は、その少なくとも1層を熱可塑性ポリエステルを主材として形成してもよい。この場合、熱可塑性ポリエステルとしては、東レ・デュポン社製のハイトレル等を使用することができる。
特に、中間層を内外2層構成とする場合、内外のいずれかの層を上記熱可塑性ポリエステルを主材として形成し、他の層を上記[I]又は[II]の材料にて形成することが、ソフトな打感と高い反発性を両立させる点から好ましい。
上記中間層の硬度は、単層の場合、或いは2層以上の複数層の場合のいずれも、各層の硬度範囲をデュロメーターD硬度で30以上、特に35以上で、70以下、特に65以下とすることが好ましいが、後述するカバーと接する層のデュロメーターD硬度が45以上、より好ましくは50以上で、70以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは63以下とすることが、ソフトな打感と高い反発性を両立させる点から好ましい。
なお、中間層が内外2層の場合、その外層の硬度は上記のようにデュロメーターD硬度が45〜70であることが好ましいが、その内層の硬度は、外層より高くても低くてもよいが、ソフトな打感を確保する点から内層が外層より軟らかいことが好ましい。
上記中間層の厚さは、単層の場合、或いは2層以上の複数層の場合のいずれも、各層の厚さが0.5mm以上、特に0.8mm以上で、2.0mm以下、特に1.8mm以下である。なお、中間層が複数層構成の場合(例えば内外2層構成の場合)、その合計厚さは1.0mm以上、特に1.5mm以上で、4.0mm以下、特に3.5mm以下であることが好ましい。
次に、カバーは、熱可塑性ポリウレタンを主材として形成される。この場合、熱可塑性ポリウレタンとしては、下記(A)の材料を併用することができる。
(A)熱可塑性ポリウレタン材料
熱可塑性ポリウレタン材料の構造は、高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、ハードセグメントを構成する鎖延長剤及びジイソシアネートからなる。ここで、原料となる高分子ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、ポリエステル系とポリエーテル系があり、反発弾性率が高く、低温特性に優れた熱可塑性ポリウレタン材料を合成できる点で、ポリエーテル系の方がポリエステル系に比べて好ましい。ポリエーテルポリオールとしてはポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられるが、反発弾性率と低温特性の点でポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。また、高分子ポリオールの平均分量は1000〜5000であることが好ましく、特に反発弾性の高い熱可塑性ポリウレタン材料を合成するためには2000〜4000であることが好ましい。
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら鎖延長剤の平均分子量は20〜15000であることが好ましい。
ジイソシアネートとしては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。但し、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明では、後述するイソシアネート混合物(B)との反応性の安定性から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
上述した材料からなる熱可塑性ポリウレタン材料としては、市販品を好適に用いることができ、例えはディーアイシーバイエルポリマー(株)製パンデックスT−8290、T−8295、T8260や、大日精化工業(株)製レザミン2593、2597などが挙げられる。
ここで、上記熱可塑性ポリウレタン材料(A)は、単独で使用するようにしてもよいが、反発性及び耐擦過傷性をより向上させる点から、
(A)熱可塑性ポリウレタン材料、
(B)1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させた下記イソシアネート混合物
を主成分とする組成物(C)によりカバーを形成することが好ましい。
(B)イソシアネート混合物
イソシアネート混合物(B)は、1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたものである。ここで、上記イソシアネート化合物(b−1)としては、従来の熱可塑性ポリウレタン材料に関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。但し、反応性、作業安全性の面から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最適である。
また、前記熱可塑性樹脂(b−2)としては、吸水性が低く、熱可塑性ポリウレタン材料との相溶性に優れた樹脂が好ましい。このような樹脂として、例えばポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステルエラストマー(ポリエーテル・エステルブロック共重合体、ポリエステル・エステルブロック共重合体等)が挙げられるが、反発弾性、強度の点からポリエステルエラストマー、中でもポリエーテル・エステルブロック共重合体が特に好ましい。
イソシアネート混合物(B)における熱可塑性樹脂(b−2):イソシアネート化合物(b−1)の配合比は、重量比で100:5〜100:100、特に100:10〜100:40であることが好ましい。熱可塑性樹脂(b−2)に対4するイソシアネート化合物(b−l)の配合量が少なすぎると(A)との架橋反応に充分な添加量を得るためにはより多くの(B)を添加しなくてはならず、(b−2)の影響が大きく作用することで(C)の物性が不充分となり、多すぎると(b−1)が混練中にすべり現象を起こし混合物(B)の合成が困難となる。
イソシアネート混合物(B)は、例えば、熱可塑性樹脂(b−2)にイソシアネート化合物(b−1)を配合し、これらを温度130〜250℃のミキシングロール又はバンバリーミキサーで充分に混練して、ペレット化又は冷却後粉砕することにより得ることができる。イソシアネート混合物(B)としては、市販品を好適に用いることができ、例えば大日精化工業(株)製クロスネートEM30などが挙げられる。
(C)組成物
組成物(C)は、前述した熱可塑性ポリウレタン材料(A)及びイソシアネート混合物(B)を主成分とするものである。組成物(C)における熱可塑性ポリウレタン材料(A):イソシアネート混合物(B)の配合比は、重量比で100:1〜100:100、特に100:5〜100:50、中でも100:10〜100:30であることが好ましい。熱可塑性ポリウレタン材料(A)に対するイソシアネート混合物(B)の配合量が少なすぎると架橋効果が充分に発現せず、多すぎると未反応のイソシアネートが成形物に着色現象を起こさせるので好ましくない。
なお、上記カバー成形材料に、上述した成分に加えて他の成分を配合することができる。このような他の成分として、例えば熱可塑性ポリウレタン材料以外の熱可塑性高分子材料を挙げることができ、例えばポリエステルエラストマー、ポリアミドエラストマー、アイオノマー樹脂、スチレンブロックエラストマー、ポリエチレン、ナイロン樹脂等を配合することができる。この場合、熱可塑性ポリウレタン材料以外の熱可塑性高分子材料の配合量は、必須成分である熱可塑性ポリウレタン材料100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは10〜75重量部、更に好ましくは10〜50重量部であり、カバー材の硬度の調整、反発性の改良、流動性の改良、接着性の改良などに応じて適宜選択される。更に、カバー成形材料には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができ、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
本発明に係るゴルフボールのカバーの成形では、例えば、熱可塑性ポリウレタン材料(A)にイソシアネート混合物(B)を添加してドライミキシングし、この混合物を用いて射出成形機によりコアの周囲にカバーを成形することができる。成形温度は熱可塑性ポリウレタン材料(A)の種類によって異なるが、通常150〜250℃の範囲で行われる。
上記のようにして得られたゴルフボールカバーの反応形態、架橋形態としては、熱可塑性ポリウレタン材料の残存OH基にイソシアネート基が反応してウレタン結合を形成したり、熱可塑性ポリウレタン材料のウレタン基にイソシアネート基の付加反応が生じ、アロファネート、ビュレット架橋形態を形成したりすると考えられる。この場合、カバー成形材料の射出成形直後は架橋反応が充分に進んでいないが、成形後にアニーリングを行うことにより架橋反応が進行し、ゴルフボールカバーとして有用な特性を保持するようになる。アニーリングとは、カバーを一定温度、一定時間で加熱熟成したり、室温で一定期間熟成したりすることをいう。
上記カバー材の表面硬度は、JIS K6253に準拠したデュロメーターD硬度で40〜60、特に43〜60、更には45〜55であることが適当である。カバー材の表面硬度が低すぎるとアイアンショットでバックスピンがかかりすぎ、コントロール性が悪くなるおそれがある。また、カバー材の表面硬度が高すぎるとアイアンショットでのバックスピン性能が不充分となり、コントロール性が低下すると共に打感が悪くなるおそれがある。
また、上記カバー材のJIS K7311に準拠した反発弾性率が45%以上、特に45〜85%、中でも50〜80%、更には50〜60%であることが適当である。熱可塑性ポリウレタン材料はもともとそれ程反発性に優れた材料ではないため、上記反発弾性率は厳密に選択することが好ましい。カバー材の反発弾性率が低すぎるとゴルフボールの飛距離が大幅に低下する。また、カバー材の反発弾性率が高すぎると100ヤード以内のコントロールを必要とするショットやパッティングで初速度が高くなりすぎ、ゴルファーのフィーリングに合わないことがある。
上述した熱可塑性ポリウレタンを主成分とするカバーのデュロメーターD硬度は40以上、特に42以上で60以下、特に58以下である。この場合、このカバー硬度は、中間層のこのカバーと接する層の硬度より低いもので、これにより、アプローチのスピン性能が向上し、また、パターでの打感がソフトになる。
なお、カバーのデュロメーターD硬度Hcと中間層のカバーと接する層のデュロメーターD硬度Hiとは、Hi−Hcが1以上、特に3以上で、20以下、特に15以下であることが好ましい。
また、カバーの厚さは0.5mm以上、特に0.7mm以上で、2.5mm以下、特に2.3mm以下である。
本発明のゴルフボールは、競技用としてゴルフ規則に従うものとすることができ、直径42.67mm以上、重量45.93g以下に形成することができる。直径の上限として好ましくは44.0mm以下、更に好ましくは43.5mm以下、最も好ましくは43.0mm以下、重量の下限として好ましくは44.5g以上、特に好ましくは45.0g以上、更に好ましくは45.1g以上、最も好ましくは45.2g以上であることが推奨される。
なお、ゴルフボールの硬さは、980N(100kg)荷重時のボールの変形量が2.0〜4.0mm、特に2.2〜3.8mmであることが適当である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
[実施例、比較例]
表1に示す配合で155℃、17分の加硫を行って、表3に示す外径、硬度のコアを得た。
次いで、表2に示す配合で射出成形法により中間層(内)と中間層(外)を形成した。また、中間層(外)の上にカバーを射出成形により形成し、表3に示す中間層、カバーを形成し、表3に示すゴルフボールを得た。このゴルフボールの飛び性能、スピン性能、打感、耐擦過傷性を下記方法で評価した。結果を表3に示す。
コア及びボール硬度
980N(100kg)荷重負荷時の変形量(mm)を計測した。
中間層及びカバー硬度
JIS K6253に準拠して、デュロメーターD硬度を計測した。
飛び性能
打撃マシンにてドライバー(W#1,Tour Stage X500,ロフト9°、シャフトX,ブリヂストンスポーツ社製)にて、23℃、ヘッドスピード45m/s(HS45)で打撃したときの初速度、スピン量、キャリー飛距離、トータル飛距離を測定した。
アプローチスピン
打撃マシンにてサンドウェッジ(ブリヂストンスポーツ社製,ツアーステージ)で、23℃において、ヘッドスピード20m/sとして打撃したときのスピン量を測定した。
打感
各ボールについて、アマチュア上級者5名によるドライバー(W#1)及びパター打撃したときの打感を下記基準で評価し、最も多かった評価をボールに対する評価とした。
○:軟らかい
△:普通
×:硬い
耐擦過傷性
ボールを23℃に保温し、ピッチングウェッジをスイングロボットマシンに取り付け、ヘッドスピード33m/sにて打撃し、打撃傷を目視で判断した。次の評価基準で評価した。
○:傷がない、もしくは使用上、全く気にならない程度の傷。
×:表面が毛羽立つ、ディンプルが欠ける、などのひどい傷。
Figure 2008194532
注:
ポリブタジエンBR01:JSR社製、シス−1,4−結合含有量96%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))44、分子量分布Mw/Mn4.2、触媒Ni、溶液の粘度150mPa・s
ポリブタジエンBR11:JSR社製、シス−1,4−結合含有量96%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))44、分子量分布Mw/Mn4.1、触媒Ni、溶液の粘度270mPa・s
HCBN−13:JSR社製、シス−1,4−結合含有量96%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))53、分子量分布Mw/Mn3.2、触媒Nd
パーヘキサ3M−40:日本油脂社製
パーヘキサ3M−40は40%希釈品であり、添加量は1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの実質添加量で示した。
パークミルD:日本油脂社製、ジクミルパーオキサイド
ノクラックNS−6:大内新興化学工業製、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
Figure 2008194532
注:
ハイミラン1605:三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマーのNaイオン中和物
ダイナロン6100P:JSR社製、オレフィン結晶ブロックを有するブロックコポリマー
ハイトレル4047:東レ・デュポン社製のポリエステル系エラストマー
ハイトレル4067:東レ・デュポン社製のポリエステル系エラストマー
ハイトレル5557:東レ・デュポン社製のポリエステル系エラストマー
ハイミラン1706:三井・デュポンポリケミカル社製、エチレン−メタクリル酸共重合体アイオノマー(Znイオン中和物)
HSB1516:JSR社製、末端にアミノ基を有するブロックポリマー
サーリン8120:米国デュポン社製、アイオノマー樹脂
サーリン7930:米国デュポン社製、アイオノマー樹脂
サーリン6320:米国デュポン社製、アイオノマー樹脂
ニュクレル9−1:米国デュポン社製、三元酸共重合体
パンデックスT8260:DICバイエルポリマー(株)製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
パンデックスT8295:DICバイエルポリマー(株)製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
クロスネートEM30:大日精化工業(株)製
Figure 2008194532

Claims (11)

  1. ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
    上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
    上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、中間層内層のデュロメーターD硬度が30〜56であり、かつ中間層外層のデュロメーターD硬度が50〜63であり、
    上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
    ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
  2. 中間層のカバーと接する外層のデュロメーターD硬度が45〜70である請求項1記載のゴルフボール。
  3. ゴム組成物のゴム基材を構成するポリブタジエンが、Nd系触媒を用いて合成され、引き続き末端変性剤を反応させて得られる変性ポリブタジエンゴムである請求項1又は2記載のゴルフボール。
  4. コアを形成するゴム組成物が、ゴム基材100重量部に対して、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を10〜60重量部、有機硫黄化合物を0.1〜5重量部、無機充填剤を5〜80重量部、及び有機過酸化物を2種以上含む請求項1〜3のいずれか1項記載のゴルフボール。
  5. カバーが、下記成分(A)及び(B)を主成分とする組成物(C)により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のゴルフボール。
    (A)熱可塑性ポリウレタン材料
    (B)1分子中に官能基として2つ以上のイソシアネート基を持つイソシアネート化合物(b−1)を、イソシアネートと実質的に反応しない熱可塑性樹脂(b−2)中に分散させたイソシアネート混合物
  6. ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
    上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
    上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が30〜70であり、中間層内層が熱可塑性ポリエステルを主材として形成され、かつ中間層外層が下記[I]又は[II]
    [I](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを重量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、
    (e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
    重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100重量部に対して、
    (c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜80重量部と、
    (d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10重量部
    とを必須成分として配合してなる混合物、
    [II](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物、並びに
    (b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物
    から選ばれる1種又は2種以上のベース樹脂と、
    (e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
    重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分、
    (c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体、
    (d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる金属イオン源、
    (f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
    を必須成分とする混合物
    を主材として形成され、上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
    ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
  7. ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
    上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
    上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が30〜70であり、中間層外層が熱可塑性ポリエステルを主材として形成され、かつ中間層内層が下記[I]又は[II]
    [I](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを重量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、
    (e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
    重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100重量部に対して、
    (c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜80重量部と、
    (d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10重量部
    とを必須成分として配合してなる混合物、
    [II](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物、並びに
    (b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物
    から選ばれる1種又は2種以上のベース樹脂と、
    (e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
    重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分、
    (c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体、
    (d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる金属イオン源、
    (f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
    を必須成分とする混合物
    を主材として形成され、上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
    ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
  8. ソリッドコアと、2層の中間層と、カバーとを具備してなるフォーピースソリッドゴルフボールにおいて、
    上記コアが、シス−1,4−結合を60重量%以上含有する希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材と、不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩と、有機硫黄化合物と、無機充填剤とを含有し、上記ゴム基材100重量部に対し0.1〜0.8重量部の有機過酸化物を用いたゴム組成物を加硫してなり、直径が30〜40mmで、980N(100kg)荷重負荷時のたわみ量が2.5〜6.0mmである加硫成形物により形成され、
    上記2層の中間層が、それぞれ熱可塑性樹脂を主材として厚さ0.5〜2mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が30〜70であり、中間層内層が下記[II]
    [II](b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及びオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物
    から選ばれる1種又は2種以上のベース樹脂と、
    (e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
    重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分、
    (c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体、
    (d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる金属イオン源、
    (f)2つ以上の反応性官能基を有する分子量2万以下の化合物
    を必須成分とする混合物
    を主材として形成されると共に、中間層外層が下記[I]
    [I](a)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、(b)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを重量比で100:0〜25:75になるように配合したベース樹脂と、
    (e)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを
    重量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100重量部に対して、
    (c)分子量が280〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜80重量部と、
    (d)上記ベース樹脂及び(c)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜10重量部
    とを必須成分として配合してなる混合物
    を主材として形成され、かつ上記カバーが、熱可塑性ポリウレタンを主材として厚さ0.5〜2.5mmに形成され、そのデュロメーターD硬度が40〜60であると共に、上記中間層のカバーと接する最外層のデュロメーターD硬度より低硬度であり、
    ボールに980N(100kg)の荷重を負荷した時のたわみ量が2.0〜4.0mmであることを特徴とするフォーピースソリッドゴルフボール。
  9. 上記ポリブタジエンのムーニー粘度(ML1+4(100℃))が52〜120である請求項1〜8のいずれか1項記載のフォーピースソリッドゴルフボール。
  10. 上記(e)成分の配合量がベース樹脂100重量部に対して3重量部以上配合される請求項1〜9のいずれか1項記載のフォーピースソリッドゴルフボール。
  11. 上記(e)成分は、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー及びポリアミド系エラストマーの群から選ばれる請求項1〜10のいずれか1項記載のフォーピースソリッドゴルフボール。
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