JP2008147207A - 薄膜トランジスタ基板 - Google Patents

薄膜トランジスタ基板 Download PDF

Info

Publication number
JP2008147207A
JP2008147207A JP2006328906A JP2006328906A JP2008147207A JP 2008147207 A JP2008147207 A JP 2008147207A JP 2006328906 A JP2006328906 A JP 2006328906A JP 2006328906 A JP2006328906 A JP 2006328906A JP 2008147207 A JP2008147207 A JP 2008147207A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
compressive stress
stress
transistor substrate
thin film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006328906A
Other languages
English (en)
Inventor
Koji Ichimura
公二 市村
Yasuki Naito
安紀 内藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP2006328906A priority Critical patent/JP2008147207A/ja
Publication of JP2008147207A publication Critical patent/JP2008147207A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Electrodes Of Semiconductors (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

【課題】寸法安定性に乏しいプラスチック基材を用いて薄膜トランジスタ基板を製造する際に加わる熱や雰囲気によっても、薄膜トランジスタを構成する電極や半導体薄膜にクラックが生じることがなく且つ剥離し難い薄膜トランジスタ基板を提供する。
【解決手段】プラスチック基材10と、プラスチック基材10上に形成された無機材料からなる圧縮応力膜12と、圧縮応力膜12上に形成された金属電極膜15又は半導体薄膜13とを少なくとも有するようにして、上記課題を解決した。このとき、圧縮応力膜12の応力値が0.05GPa以上、1.0GPa以下の絶対値を有することが好ましく、圧縮応力膜12が酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸窒化アルミニウム膜及び酸窒化ケイ素の群から選択されるいずれかであることが好ましい。
【選択図】図5

Description

本発明は、薄膜トランジスタ基板に関し、更に詳しくは、プラスチック基材を有する薄膜トランジスタ基板において、薄膜トランジスタを構成する金属電極膜又は半導体薄膜にクラックが生じることがなく且つ剥離し難い薄膜トランジスタ基板に関する。
アクティブマトリクス駆動型の表示装置において、ポリシリコン薄膜トランジスタ(以下、TFTという。)は、個々の画素に設けられるスイッチング素子や、表示装置のディスプレイ基板上の周辺回路を構成する回路素子等として利用されている。アクティブマトリクス駆動型の表示装置の一つである液晶ディスプレイパネルは、携帯電話やPDA等のモバイルディスプレイ用途に使用されることが多く、さらなる軽量化や耐衝撃性を有するTFT基板が望まれている。特に近年においては、ガラス基材の代わりにプラスチック基材を用いたTFT基板が提案されている。
プラスチック基材を用いたTFT基板の作製方法としては、主に2種類の作製方法が知られている。一つは、ガラス基材上に従来の技術でTFTを作製し、その後、ガラス基材からTFTを剥離し、剥離したTFTをプラスチック基材に接着する方法である。この方法は、ガラス基材上にTFTを作製するという従来技術を使用できることから、高い性能を有するTFTを作製できるが、剥離や接着という複雑なプロセスが加わるので、製造コストの上昇が避けられないという難点がある。他の一つは、プラスチック基材を用い、そのプラスチック基材上に直接TFTを作製する方法である(例えば、特許文献1,2を参照)。
特開2000−68518号公報(段落番号0017) 特開2000−188402号公報(段落番号0028)
プラスチック基材上に直接TFTを作製する方法では、ガラス基材に比べて線膨張係数が大きく寸法安定性に乏しいプラスチック基材を用いることから、TFT基板の製造工程中に加わる熱によってプラスチック基材が伸び易く、また、TFT基板の製造工程としてプラスチック基材に適した低温プロセスを開発した場合であっても、水分の乾燥等で用いる低い温度(例えば150℃)でも伸び易い。また、洗浄工程等のように水を使用した場合には、膨潤によりプラスチック基材が伸びてしまうことがある。
ところで、TFTのほとんどは無機材料からなる電極や半導体薄膜により構成されるが、これらの膜は引張応力を有するものがほとんどであると共にプラスチック基材のような伸縮性を持たないため、熱や水分でプラスチック基材が伸びると、電極や半導体薄膜はプラスチック基材の伸びに追従できず、応力が集中してクラックが生じたり、最悪の場合には膜が剥離する場合がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、寸法安定性に乏しいプラスチック基材を用いて薄膜トランジスタ基板を製造する際に加わる熱や雰囲気によっても、薄膜トランジスタを構成する電極や半導体薄膜にクラックが生じることがなく且つ剥離し難い薄膜トランジスタ基板を提供することにある。
本発明者は上記問題を解決するための検討を行っている過程で、プラスチック基材上に圧縮応力膜を形成したとき、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材が伸びた場合であっても、電極や半導体薄膜にクラックが生じることがなく且つ剥離し難い現象が生じることを発見し、その知見に基づいて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の薄膜トランジスタ基板は、プラスチック基材と、該プラスチック基材上に形成された無機材料からなる圧縮応力膜と、該圧縮応力膜上に形成された金属電極膜又は半導体薄膜とを少なくとも有することを特徴とする。
この発明によれば、プラスチック基材上に無機材料からなる圧縮応力膜を形成し、その上に引張応力を有する金属電極膜又は半導体薄膜を形成したので、その圧縮応力膜と金属電極膜又は半導体薄膜とで応力相殺が起こり、圧縮応力膜と金属電極膜又は半導体薄膜とからなる積層膜としてのトータル応力が小さくなる。その結果、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材が伸びてそのプラスチック基材に圧縮応力が生じた場合であっても、トータル応力が小さくなった積層膜は、圧縮応力を生じたプラスチック基材上で応力集中を起こさず、金属電極膜や半導体薄膜にクラックや剥離が生じない。さらに、無機材料からなる圧縮応力膜と引張応力を有する金属電極膜又は半導体薄膜との積層膜はいわば無機積層膜であるので、有機材料からなるプラスチック基材上に金属電極膜や半導体薄膜を形成する場合に比べて、圧縮応力膜と金属電極膜又は半導体薄膜との密着性が優れている。その結果、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材が多少伸びた場合であっても、金属電極膜や半導体薄膜にクラックや剥離が生じない。
本発明の薄膜トランジスタ基板において、前記圧縮応力膜の応力値が0.05GPa以上、1.0GPa以下の絶対値を有することが好ましい。
この発明によれば、圧縮応力膜の応力値が上記範囲内であるので、その上に形成される金属電極膜又は半導体薄膜の引張応力が多様な値であっても、圧縮応力膜と引張応力を有する金属電極膜又は半導体薄膜とからなる積層膜としてのトータル応力を小さくすることができ、特に応力値が大きい圧縮応力膜を形成すれば、圧縮応力膜と金属電極膜又は半導体薄膜とからなる積層膜の応力を全体として圧縮応力にすることができる。その結果、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材が伸びてそのプラスチック基材に圧縮応力が生じた場合であっても、その上に設けられた積層膜は応力が小さく又は圧縮応力膜になっているので、その積層膜は、圧縮応力を生じたプラスチック基材上で応力集中を起こさず、金属電極膜や半導体薄膜にクラックや剥離が生じない。
本発明の薄膜トランジスタ基板においては、(a)前記圧縮応力膜が、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸窒化アルミニウム膜及び酸窒化ケイ素膜の群から選択されるいずれかであることが好ましく、(b)前記金属電極膜が銅膜、アルミニウム膜、モリブデン膜又はクロム膜であることが好ましく、前記半導体薄膜が多結晶シリコン又は非晶質シリコンであることが好ましい。
なお、圧縮応力とは、形成された膜が伸びようとする力であり、引張応力とは、形成された膜が縮もうとする力である。
本発明の薄膜トランジスタ基板によれば、圧縮応力膜と引張応力を有する金属電極膜又は半導体薄膜とで応力相殺が起こり、圧縮応力膜と金属電極膜又は半導体薄膜とからなる積層膜としてのトータル応力が小さくなるので、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材が伸びてそのプラスチック基材に圧縮応力が生じた場合であっても、トータル応力が小さくなった積層膜は、圧縮応力を生じたプラスチック基材上で応力集中を起こさず、金属電極膜や半導体薄膜にクラックや剥離が生じない。さらに、本発明の薄膜トランジスタ基板は、無機材料からなる圧縮応力膜と引張応力を有する金属電極膜又は半導体薄膜との密着性が優れているので、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材が多少伸びた場合であっても、金属電極膜や半導体薄膜にクラックや剥離が生じ難い。
こうした本発明の薄膜トランジスタ基板は、製造歩留まりが向上し、さらに例えば有機EL素子等と組み合わせればフレキシブルなディスプレイを設計することも可能となる。
以下、本発明の薄膜トランジスタ基板について詳細に説明する。図1は、本発明の薄膜トランジスタ基板のTFT素子部の一例を示す模式断面図であり、図2は、本発明の薄膜トランジスタ基板のTFT素子部の他の例を示す模式断面図である。また、図3及び図4は、本発明の薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す説明図である。また、図5は、プラスチック基材上に形成された圧縮応力膜と引張応力を有する金属電極膜又は半導体薄膜の作用を説明するための模式図である。なお、本発明は図面の形態や以下の実施形態に限定されるものではない。
本発明の薄膜トランジスタ基板は、図1及び図2に示すTFT素子部1を含むものであって、プラスチック基材10と、プラスチック基材10上に形成された圧縮応力膜12と、圧縮応力膜12上に形成された引張応力を有する金属電極膜15又は半導体薄膜13とを少なくとも有するものである。こうした薄膜トランジスタ基板は、例えばアクティブマトリックス駆動型の表示装置を構成するディスプレイパネルとして利用可能である。なお、図5中では、引張応力を有する金属電極膜15又は半導体薄膜13を引張応力膜50として示しているが、図1〜図4では金属電極膜15又は半導体薄膜13として示し、引張応力膜50としては示していない。
より詳しくは、図1に示すTFT素子部1は、プラスチック基材10と、プラスチック基材10上に形成された無機密着膜11と、無機密着膜11上に形成された無機材料からなる圧縮応力膜12と、圧縮応力膜12上に形成されたポリシリコン膜13(ソース側拡散膜13s、チャネル膜13c及びドレイン側拡散膜13d)と、そのポリシリコン膜13上に形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に、又はゲート絶縁膜14のコンタクトホールを介して形成された金属電極15(ソース電極15s、ゲート電極15g及びドレイン電極15d)と、金属電極15等を覆う保護膜18と、を有している。
以下においては、図1に示すトップゲート・トップコンタクト構造からなるTFT素子部1の構造形態を例にして、図3及び図4に基づいた製造工程順にその詳細を説明するが、本発明の薄膜トランジスタ基板は、図示の例に限定されず、プラスチック基材10上に、無機材料からなる圧縮応力膜12と、引張応力を有する金属電極膜15又は半導体薄膜13とがその順に積層された形態であれば、図2(A)に示すボトムゲート・トップコンタクト構造、図2(B)に示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造、図2(C)に示すトップゲート・ボトムコンタクト構造に対しても適用できる。
プラスチック基材10は、薄膜トランジスタ基板の支持基材をなすものであり、例えば、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、又は熱可塑性ポリイミド等からなる有機基材、又はそれらの複合基材を挙げることができる。プラスチック基材10は特に限定されず、剛性を有するものであってもよいし、厚さが5μm〜300μm程度の薄いフレキシブルなフィルム状のものであってもよい。フレキシブルなプラスチック基材10の使用は、薄膜トランジスタ基板をフレキシブルなものとすることができるので、フィルムディスプレイ等に適用できる。
先ず、図3(A)に示すように、準備されたプラスチック基材10上に必要に応じて無機密着膜11を形成する。無機密着膜11は、必須の膜ではなく、後述の圧縮応力膜12とプラスチック基材10との密着性がよい場合には設けられていなくてもよい。無機密着膜11を設ける場合、TFTが形成される領域には少なくとも形成されている必要があるが、それ以外の領域には形成されていてもいなくてもよく、プラスチック基材10上の全面に形成してもよい。無機密着膜11は、クロム、チタン、アルミニウム、シリコン、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、及び酸窒化シリコンの群から選択されるいずれかの材料で形成される。このうち、クロム、チタン、アルミニウム、又はシリコン等からなる金属系の無機密着膜が好ましく用いられる。
無機密着膜11の厚さは、膜を構成する材質によってその範囲は若干異なるが、通常1〜200nmの範囲内であることが好ましく、3〜50nmの範囲内であることがより好ましい。なお、クロム、チタン、アルミニウム、又はシリコンからなる金属系の無機密着膜の場合には、3〜10nmの範囲内であることがより好ましく、酸化クロム、酸化チタン、酸化アルミニウム、窒化シリコン、又は酸窒化シリコンからなる化合物系の無機密着膜の場合には、5〜50nmの範囲内であることがより好ましい。
無機密着膜11の形成には、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができるが、実際には、膜を構成する材質に応じた好ましい方法が採用される。通常は、DCスパッタリング法やRFマグネトロンスパッタリング法等が好ましく用いられる。
次に、図3(B)に示すように、プラスチック基材10上(プラスチック基材10上に無機密着膜11が形成されている場合には無機密着膜11上)に圧縮応力膜12を形成する。圧縮応力膜12は、薄膜トランジスタが形成されるTFT素子部1に少なくとも形成されている必須の膜であるが、それ以外の領域には形成されていてもいなくてもよく、プラスチック基材10上の全面に形成されていてもよい。この圧縮応力膜12は、圧縮応力膜12とプラスチック基材10との密着性がよい場合には、上記のような無機密着膜11を介することなくプラスチック基材10上に直接設けられる。
圧縮応力膜12は、形成された膜が伸びようとする圧縮応力を有する膜であればよく、より大きな圧縮応力を有する膜であることが好ましい。
ここで、圧縮応力膜12の作用について詳しく説明する。図5は、プラスチック基材10上に形成された圧縮応力膜12と本発明を構成する金属電極膜又は半導体薄膜からなる引張応力膜50の作用を説明するための模式図である。図5(A)は、プラスチック基材10と引張応力膜50との間に圧縮応力膜12を設けない例を示し、図5(B)は、プラスチック基材10と引張応力膜50との間に圧縮応力膜12を設けた例を示している。図5(A)に示すように、プラスチック基材10上に引張応力膜50である金属電極膜又は半導体薄膜が形成された場合、その後の工程で熱が加わったり水に曝されたりすると、プラスチック基材10には伸びようとする圧縮応力が発生し、プラスチック基材10と引張応力膜50との間で反対向きの応力が生じる。金属電極膜又は半導体薄膜等の無機膜からなる引張応力膜50はプラスチック基材10に比べて線膨張係数が小さいので、プラスチック基材10と引張応力膜50である金属電極膜又は半導体薄膜との間で生じた反対向きの応力に起因した応力集中が引張応力膜50に生じると、プラスチック基材10と引張応力膜50との間の密着の弱い部分で引張応力膜50にクラックが生じたり、引張応力膜50の剥離が生じることがある。
これに対し、図5(B)に示すように、プラスチック基材10上に圧縮応力膜12を介して引張応力膜50である金属電極膜又は半導体薄膜が形成された場合、その後の工程で熱が加わったり水に曝されたりしてプラスチック基材10に圧縮応力が発生しても、プラスチック基材10と圧縮応力膜12との間では同方向の応力が生じる。このとき、圧縮応力膜12がプラスチック基材10に比べて線膨張係数が小さい無機系の膜であっても、プラスチック基材10と圧縮応力膜12との間で生じた応力が同方向であるので、圧縮応力膜12に応力集中が生じ難い。加えて、引張応力膜50と圧縮応力膜12とは反対向きの応力が生じるが、いずれも無機系の膜からなる両膜は密着性に優れるので、クラック等は発生しにくく、また、両膜間で応力相殺が起こり、圧縮応力膜12と引張応力膜50とからなる積層膜51としてのトータル応力が小さくなる。これらの結果より、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材10が伸びてそのプラスチック基材10に圧縮応力が生じた場合であっても、トータル応力が小さくなった積層膜51は、圧縮応力を生じたプラスチック基材10上で応力集中を起こさず、金属電極膜や半導体薄膜等の引張応力膜50にはクラックや剥離が生じない。
圧縮応力膜12は、あまりに小さい応力を有するものよりもある程度大きい応力を有するものが好ましく、具体的には、「実質的に圧縮応力を有する」と認められる程度の絶対値を有すること、すなわち、0.05GPa以上の絶対値を有することが好ましい。また、その上限値は1.0GPaであることが好ましい。本発明においては、圧縮応力膜12の応力方向がプラスチック基材10の応力方向と同じであり、かつ、圧縮応力膜12と引張応力膜50である金属電極膜15又は半導体薄膜13との密着がよいので、上記の実質的に圧縮応力を有すると認められる程度の絶対値以上(0.05GPa以上)で、1.0GPa以下の範囲内であっても、小さい応力を持つ圧縮応力膜12よりも大きい応力を持つ圧縮応力膜12を形成することが好ましい。また、圧縮応力膜12の応力値を上記範囲内とすることにより、圧縮応力膜12上に形成される引張応力膜50の引張応力が多様な値であっても、圧縮応力膜12と引張応力膜50とからなる積層膜51としてのトータル応力を小さくすることができる。
特に応力値が0.2GPa以上1.0GPa以下の絶対値を有する圧縮応力膜12を形成すれば、ほとんどの場合、圧縮応力膜12と引張応力膜50とからなる積層膜51の応力を全体として圧縮応力にすることができるので、製造工程中の熱や水分が加わってプラスチック基材10が伸びてそのプラスチック基材10に圧縮応力が生じた場合であっても、その上に設けられた積層膜51は応力が小さく又は圧縮応力を有する膜になっている。その結果、その積層膜51ないし引張応力膜50は、圧縮応力を生じたプラスチック基材10上で応力集中を起こさず、クラックや剥離が生じない。
圧縮応力膜12は、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸窒化アルミニウム膜及び酸窒化ケイ素膜等の無機膜の群から選択されるいずれかであることが好ましいが、特に成膜の容易さの観点からは、酸化ケイ素膜が好ましい。これらの膜は、通常の成膜条件に従えば圧縮応力膜になるが、成膜条件を変化させれば引張応力膜にすることも可能であるが、本発明においては、圧縮応力を有する成膜条件で形成されたものである。
なお、上述した応力は、ニュートンリング法に基づいた測定器を用いて測定することができる。この測定方法は、例えば膜応力測定システム(測定機名:FT−900、株式会社ニデック(NIDEK))等を用いて行うことができ、シリコン基板上に測定対象となる圧縮応力膜を成膜し、その圧縮応力膜が持つ膜応力により変形したシリコン基板の曲率半径を求め、その曲率半径と膜応力の関係式[Stoneyの式:σ=E×D/{(1−ν)×6×d×r}、E:シリコン基板のヤング率、D:シリコン基板の厚さ、d:圧縮応力膜の薄厚、ν:ポアソン比、r:曲率半径。]から求めることができる。
圧縮応力膜12の厚さは、上述した膜応力を有する厚さであれば特に限定されず、実際に形成する膜の材質によってその範囲は若干異なるが、その厚さとしては、通常、100nm以上1000nm以下の範囲内であることが好ましく、成膜時間の点からは100)nm以上300nm以下の範囲内であることがより好ましい。圧縮応力膜12の厚さが100nm未満では、薄すぎて所望の応力にならないことがある。一方、圧縮応力膜12の厚さが1000nmを超えると、発現する応力が飽和するので成膜時間が長くなりコストアップとなる。
圧縮応力膜12の形成には、DCスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、プラズマCVD法等の各種の方法で形成することができるが、実際には、膜を構成する材質に応じた好ましい方法が採用される。通常は、DCスパッタリング法やRFマグネトロンスパッタリング法等が好ましく用いられる。
次に、図3(C)に示すように、圧縮応力膜12上にノンドープのアモルファスシリコン膜21aを形成する。図3及び図4の例においては、このアモルファスシリコン膜21aが図5(B)に示す引張応力膜50となる。アモルファスシリコン膜21aが有する引張応力は、その成膜方法や成膜条件によって異なるが、いずれにしても引張応力を有し、上述した圧縮応力膜12上に形成されて、圧縮応力膜12と引張応力膜50とからなる積層膜51(図5(B)を参照)を構成する。この積層膜51は、上述したように、圧縮応力膜12と引張応力膜50とで応力相殺が起こり、積層膜50としてのトータル応力が小さくなるので、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材10が伸びてそのプラスチック基材10に圧縮応力が生じた場合であっても、トータル応力が小さくなった積層膜51は、圧縮応力を生じたプラスチック基材10上で応力集中を起こさず、このアモルファスシリコン膜21aにクラックや剥離が生じない。
アモルファスシリコン膜21aは、RFマグネトロンスパッタリング法やCVD法等の各種の方法で成膜可能である。例えばRFマグネトロンスパッタリング法でアモルファスシリコン膜を成膜する場合には、例えば、成膜温度:室温、成膜圧力:0.2Pa、ガス:アルゴンの成膜条件で例えば厚さ50nmの厚さで成膜できる。なお、CVD法でアモルファスシリコン膜を成膜する場合も25℃程度の成膜温度で成膜可能であるが、原料ガスとしてSiHが使用されるので、成膜後に約400℃の脱水素処理(真空中で1時間程度)が必要となる。上記の圧縮応力膜12は、この脱水素処理時に加わる熱に対するバッファ膜として作用し、この脱水素処理時の熱に基づいたプラスチック基材10との間の界面剥離を防ぐことができる。
アモルファスシリコン膜21a上には酸化ケイ素膜(図示しない)を形成することが好ましい。この酸化ケイ素膜は、例えばRFマグネトロンスパッタリング法で厚さ50〜150nm程度に形成され、後述のレーザー照射、レジストプロセス、イオン注入、レジストアッシング、レーザー活性化等の工程においてアモルファスシリコン膜21a又はポリシリコン膜21pを保護するように作用する。なお、このシリコン膜(図示しない)は、少なくとも後述のポリシリコン膜13の欠陥処理工程前に、例えば2%HF溶液を用いたウエットエッチングにより除去される。
次に、図3(D)に示すように、レーザー照射22を行ってアモルファスシリコン膜21aを結晶化して低抵抗のポリシリコン膜21pに変化させる。レーザー照射22は、アモルファスシリコン膜21aを結晶化させてポリシリコン膜21p(多結晶シリコン膜)にする結晶化手段であり、XeClエキシマレーザー、CW(Continuous Wave)レーザー等の種々のレーザーを用いて行うことができる。例えば、XeClエキシマレーザーを用いて結晶化を行う場合には、一例として、パルス幅:30nsec(FWHM(半値幅):full width at half-maximum)、エネルギー密度:400mJ/cm、室温の条件下で行うことができる。上記の圧縮応力膜12は、この工程で加わるレーザー照射時の熱を緩衝させるバッファ膜として作用し、このレーザー照射時の熱に基づくプラスチック基材10との間の界面剥離を防ぐことができる。
また、このレーザー照射22により、圧縮応力膜12上に形成されたアモルファスシリコン膜21aがポリシリコン膜21pになるが、圧縮応力膜12上に形成された結晶化後のポリシリコン膜21pもある程度の引張応力を有している。このときの引張応力は、膜の種類やレーザー照射条件等によって異なるが、いずれにしても引張応力を有し、上述した圧縮応力膜12上に形成されて、圧縮応力膜12と引張応力膜50とからなる積層膜51(図5(B)を参照)を構成している。したがって、この積層膜51は、上述したアモルファスシリコン膜21aの場合と同様に、圧縮応力膜12と引張応力膜50とで応力相殺が起こり、積層膜50としてのトータル応力が小さくなるので、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材10が伸びてそのプラスチック基材10に圧縮応力が生じた場合であっても、トータル応力が小さくなった積層膜51は、圧縮応力を生じたプラスチック基材10上で応力集中を起こさず、このポリシリコン膜21pにクラックや剥離が生じない。
次に、図3(E)に示すように、ポリシリコン膜21p上にレジスト膜23を形成し、その後レジスト膜23をパターニングする。レジスト膜23は、ポリシリコン膜21pの所定領域に添加される不純物イオンを遮蔽するためのレジスト膜であり、例えば上市されている各種のポジ型フォトレジスト等が好ましく用いられる。レジスト膜23は、レジストをスピンナー等の手段で全面に塗布し、乾燥硬化させて、例えば700nm程度の厚さで形成される。上記の圧縮応力膜12は、この工程で加わる乾燥処理の熱に対しても緩衝効果がある。
レジスト膜をパターニングした後、図3(E)に示すようにイオン注入24を行う。イオン注入24は、例えば、リン(P)を注入電圧:10keV、室温下で、2×1015/cmのドープレベルとなるように注入される。こうしたイオン注入によりポリシリコン膜21pにソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13dが形成され、さらに両膜13s,13dの間に、チャネル膜13cが形成される。
次に、図3(F)に示すように、レジスト膜23をプラズマアッシング法により除去する。プラズマアッシング法は、プラズマ化した酸素ガスとレジスト膜23とを反応させ、有機物であるレジスト膜23を炭酸ガスや水に分解(灰化)して除去する方法である。プラズマアッシング法は、プラズマアッシャと呼ばれる市販の装置(図示しない)を用い、例えば、ガス:酸素ガス、ガス流量:60sccm、印加電力:500W、圧力:6.6Pa、処理時間:10分間、の条件で行うことができる。具体的には、チャンバー内を所定の酸素ガス雰囲気とした後、カソード電極板上にTFT素子作製工程中の基板を載せ、そのカソード電極板と、対向するアノード電極との間にRF発信器で高周波電圧を印加することにより、酸素プラズマを発生させる装置を用いる。
次に、図3(G)に示すように、形成されたソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13dにエネルギービーム25を照射して両膜13s,13dを活性化する。エネルギービーム25としては、上記と同様のXeClエキシマレーザーを用いることができ、一例として、パルス幅:30nsec(FWHM)、エネルギー密度:100〜250mJ/cm、室温の条件下で行うことができる。また、非晶質シリコン膜21a上に形成される酸化ケイ素膜(図示しない)は、この活性化処理後で下記の欠陥処理工程前に、ウエットエッチングにより除去される。
上記の活性化処理の後には、通常、ポリシリコン膜21pの欠陥を低減処理するための酸素プラズマによる欠陥処理が施される。酸素プラズマ処理は、一例として、RF100W、1Torr、150℃の条件下で行われ、その後においては、120℃の条件下での乾燥処理が施される。
次に、図4(H)に示すように、ドライエッチングを施してアイランドを形成する。エッチングガスとしては、SF等を用いることができる。アイランドが形成された後においては、水洗、及び120℃の条件下での洗浄及び乾燥処理が施される。
次に、図4(I)に示すように、ソース側拡散膜13s、チャネル膜13c及びドレイン側拡散膜13dを含む全面にゲート絶縁膜14を形成する。ゲート絶縁膜14の形成方法は、例えばRFマグネトロンスパッタリング装置を用い、8インチのSiOターゲットに投入電力:1.0kW(=3W/cm)、圧力:1.0Pa、ガス:アルゴン+O(50%)の成膜条件で厚さ約100nmの酸化ケイ素を形成する。
次に、図4(J)に示すように、ソース側拡散膜13s及びドレイン側拡散膜13d上のゲート絶縁膜14をレジストプロセスを用いて選択的にエッチングすることにより、コンタクトホール26を形成する。例えば、ゲート絶縁膜14上にレジスト膜を形成した後、フォトマスクを用いたレジストプロセスにより露光・現像してレジスト膜をパターニングする。そのパターニングにより露出したコンタクトホール形成部のゲート絶縁膜14を、例えば2%HF溶液を用いてウエットエッチングしてコンタクトホール26を形成し、その後、上記同様のプラズマアッシング法によりレジスト膜を除去する。
次に、図4(K)に示すように、全面に例えば厚さ200nmのアルミニウム(Al)膜を蒸着した後、ウエットエッチングによりパターニングして、ソース電極15s、ドレイン電極15d及びゲート電極15gを形成する。なお、電極材料は、銅(Cu)、その他の導電性材料であってもよく、スパッタリング等の他の成膜プロセスにより形成してもよい。
次に、図4(L)に示すように、素子全体を覆うように保護膜18を形成する。保護膜18としては、酸化ケイ素膜を好ましく挙げることができる。保護膜18は、例えばRFマグネトロンスパッタリングにより、約20nm程度の厚さで形成することが好ましい。
最後に、図4(M)に示すように、高圧水蒸気28による処理を行ってポリシリコン膜のシリコンの欠陥をターミネートする。例えば、高圧水蒸気処理により、シリコン表面のダングリングボンドを終端し、ポリシリコン13とゲート絶縁膜14との界面のリークパスをなくす方法がとられる。こうして図4(M)に示す一態様の薄膜トランジスタが製造される。
以上のように、本発明によれば、プラスチック基材10上に無機材料からなる圧縮応力膜12を形成し、その上に金属電極膜又は半導体薄膜等の引張応力膜50を形成したので、薄膜トランジスタ基板の製造時に熱や水分が加わってプラスチック基材10が伸びてそのプラスチック基材10に圧縮応力が生じた場合であっても、積層膜51ないし引張応力膜50は圧縮応力を生じたプラスチック基材10上で応力集中を起こさず、クラックや剥離が生じない。その結果、極めて歩留まりのよい薄膜トランジスタ基板を製造することができ、特にプラスチック基材を用いたモバイルディスプレイ用のポリシリコンTFTに対して好ましく適用でき、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等を使用したモバイルディスプレイの低コスト化と信頼性向上に寄与することができる。
なお、図3及び図4に示す工程は、トップゲート・トップコンタクト構造からなる図1のTFT素子部1の製造例であるが、本発明の薄膜トランジスタ基板は、図示の工程例に限定されず、種々の変形態様で形成することができる。例えば、引張応力膜50として適用される金属電極膜が銅膜、アルミニウム膜、モリブデン膜、クロム膜のいずれかであってもよいし、半導体薄膜が多結晶シリコン又は非晶質シリコンであってもよい。
また、図2(A)に示すボトムゲート・トップコンタクト構造のTFT素子部1Aは、プラスチック基材10と、プラスチック基材10上に必要に応じて形成された無機密着膜11と、その無機密着膜11上に形成された圧縮応力膜12と、圧縮応力膜12上に形成されたゲート電極15gと、ゲート電極15gを覆うように形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上で前記ゲート電極15gに対向するように形成されたポリシリコン膜13と、ポリシリコン膜13上に離間して形成されたソース電極15s及びドレイン電極15dと、それらを覆うようにして設けられた保護膜18とを有している。この形態のTFT素子部1Aでは、引張応力膜50はゲート電極15gとなり、したがって、圧縮応力膜12と引張応力膜50との積層膜51(図5(B)を参照)は、圧縮応力膜12とゲート電極15gとの積層膜となる。
また、図2(B)に示すボトムゲート・ボトムコンタクト構造のTFT素子部1Bは、プラスチック基材10と、プラスチック基材10上に必要に応じて形成された無機密着膜11と、その無機密着膜11上に形成された圧縮応力膜12と、圧縮応力膜12上に形成されたゲート電極15gと、ゲート電極15gを覆うように形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上の離間した凹部に形成されたソース電極15s及びドレイン電極15dと、そのソース電極15s及びドレイン電極15dをまたぐように形成されたポリシリコン膜13と、それらを覆うようにして設けられた保護膜18とを有している。この形態のTFT素子部1Bでは、図2(A)の場合と同様、引張応力膜50はゲート電極15gとなり、したがって、圧縮応力膜12と引張応力膜50との積層膜51(図5(B)を参照)は、圧縮応力膜12とゲート電極15gとの積層膜となる。
また、図2(C)に示すトップゲート・ボトムコンタクト構造のTFT素子部1Cは、プラスチック基材10と、プラスチック基材10上に必要に応じて形成された無機密着膜11と、その無機密着膜11上に形成された圧縮応力膜12と、圧縮応力膜12上に離間して形成されたソース電極15s及びドレイン電極15dと、そのソース電極15s及びドレイン電極15dの間を埋めるように形成された絶縁層19と、それらの上に形成されたポリシリコン膜13と、ポリシリコン膜13上に形成されたゲート絶縁膜14と、ゲート絶縁膜14上に形成されたゲート電極15gと、それらを覆うようにして設けられた保護膜18とを有している。この形態のTFT素子部1Cでは、引張応力膜50はソース電極15s及びドレイン電極15dとなり、したがって、圧縮応力膜12と引張応力膜50との積層膜51(図5(B)を参照)は、圧縮応力膜12ソース電極15s及びドレイン電極15dとの積層膜となる。
以下、実施例と比較例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
プラスチック基材10として厚さ0.2mmで100mm×100mmのポリエーテルサルホン(PES)を用い、そのプラスチック基材上に、無機密着膜11としてのアルミニウム膜をDCスパッタリング法(成膜圧力0.2Pa(アルゴン)、投入電力1kW、成膜時間10秒)により厚さ5nm形成した後、さらに圧縮応力膜12としての酸化ケイ素膜をRFマグネトロンスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力2kW、成膜時間(1.5時間)により厚さ500nm形成した。さらに、アモルファスシリコン膜21aをRFマグネトロンスパッタリング法(成膜温度:室温、成膜圧力:1.0Pa(アルゴン))により厚さ50nm形成した。その後、上述した図3(D)〜図4(M)の工程の説明欄で例示した具体的条件に基づいてn型トランジスタ基板を作製した。
なお、レジスト膜をパターニングした後においては、図3(E)及びその説明欄に記載したように、リン(P)を注入電圧:10keV、室温下で、2×1015/cmのドープレベルとなるようにイオン注入した。また、図4(K)及びその説明欄に記載したように、金属電極膜として、厚さ200nmのアルミニウム(Al)膜を蒸着した後、ウエットエッチングによりパターニングして、ソース電極15s、ドレイン電極15d及びゲート電極15gを形成した。
(実施例2)
実施例1において、圧縮応力膜12としての酸化ケイ素膜の代わりに窒化アルミニウム膜をRFスパッタリング法(成膜圧力0.5Pa(アルゴン:窒素=1:1)、投入電力2kW、成膜時間10分)により厚さ300nm形成した他は、実施例1と同様にして、n型トランジスタ基板を製造した。
(実施例3)
プラスチック基材として厚さ0.2mm×縦100mm×横100mmのポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)を用いた他は、実施例1と同様にして、n型トランジスタ基板を製造した。
(実施例4)
プラスチック基材として厚さ0.2mm×縦100mm×横100mmのポリエチレンナフタレートフィルム(PEN)を用いた他は、実施例2と同様にして、n型トランジスタ基板を製造した。
(実施例5)
実施例1において、圧縮応力膜12としての酸化ケイ素膜をRFスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力2kW、成膜時間20分)により厚さ100nm形成した他は、実施例1と同様にして、n型トランジスタ基板を製造した。
(実施例6)
実施例1において、圧縮応力膜12としての酸化ケイ素膜をRFスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力4kW、成膜時間2時間)により厚さ1000nm形成した他は、実施例1と同様にして、n型トランジスタ基板を製造した。
(実施例7)
実施例1において、圧縮応力膜12としての酸化アルミニウム膜をRFスパッタリング法(成膜圧力0.3Pa(アルゴン:酸素=3:1)、投入電力2kW、成膜時間1時間)により厚さ500nm形成した他は、実施例1と同様にして、n型トランジスタ基板を製造した。
(実施例8)
実施例1において、圧縮応力膜12としての酸化ケイ素膜の代わりに窒化ケイ素膜をRFスパッタリング法(成膜圧力0.5Pa(アルゴン:窒素=1:1)、投入電力2kW、成膜時間25分)により厚さ300nm形成した他は、実施例1と同様にして、n型トランジスタ基板を製造した。
(比較例1)
圧縮応力膜12を形成せず、その他の構成については実施例1と同様にして、薄膜トランジスタ基板を製造した。
(比較例2)
圧縮応力膜12を形成せず、その他の構成については実施例3と同様にして、薄膜トランジスタ基板を製造した。
(比較例3)
実施例1において、圧縮応力膜12として形成した酸化ケイ素膜の成膜条件を変更して0.05GPa以上の圧縮応力が発生しないようにした他は、実施例1と同様にして、薄膜トランジスタ基板を製造した。なお、圧縮応力を生じない酸化ケイ素膜は、RFマグネトロンスパッタリング法(成膜圧力2.0Pa(アルゴン:酸素=1:1)、投入電力0.5kW、成膜時間1.5時間)により厚さ300nm形成する条件で成膜した。
(比較例4)
実施例2において、圧縮応力膜12として形成した窒化アルミニウム膜の成膜条件を変更して0.05GPa以上の圧縮応力が発生しないようにした他は、実施例2と同様にして、薄膜トランジスタ基板を製造した。なお、圧縮応力を生じない窒化アルミニウム膜は、RFマグネトロンスパッタリング法(成膜圧力0.5Pa(アルゴン:窒素=1:1)、投入電力1kW、成膜時間100秒)により厚さ80nm形成する条件で成膜した。
(応力測定)
圧縮応力膜の応力の評価は、厚さ0.525mmで6inchΦのシリコン基板上に上記の実施例1〜8及び比較例3,4で用いた圧縮応力膜のみを形成したとき、前記シリコン基板の曲率半径をニュートンリング法を用いた測定器により求め、求まった曲率半径と膜応力との関係式[Stoneyの式:σ=E×D/{(1−ν)×6×d×r}、E:シリコン基板のヤング率、D:シリコン基板の厚さ、d:圧縮応力膜の膜厚、ν:ポアソン比、r:曲率半径]により膜応力を算出する膜応力測定システム(測定機名:FT−900、株式会社ニデック(NIDEK))を用いて膜応力σを算出した。なお、シリコン基板のヤング率Eは、168.9GPaとして計算した。また、ポアソン比νは、0.064として計算した。得られた応力はいずれも圧縮応力を示し、その値を表1に示した。
なお、実施例1〜8及び比較例1〜4では、半導体薄膜として厚さ50nmのアモルファスシリコン膜が形成されているが、このアモルファスシリコン膜のみの応力を前記同様の方法で測定したところ、約0.3GPaの引張応力を有していることを確認した。また、実施例1〜8及び比較例1〜4では、金属電極膜として厚さ200nmのアルミニウム膜が形成されているが、このアルミニウム膜のみの応力を前記同様の方法で測定したところ、約0.2GPaの引張応力を有していることを確認した。さらに、厚さ50nmのクロム膜のみの応力を前記同様の方法で測定したところ、約0.15GPaの引張応力を有しており、厚さ200nmのクロム膜のみの応力を前記同様の方法で測定したところ、約0.5GPaの引張応力を有していることを確認した。
(クラック及び密着性の評価)
併せてクラックの発生の有無と密着性を評価した。クラックの発生の有無は、実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた各薄膜トランジスタ基板を目視により評価し、クラックが発生していないものを「◎」とし、発生しているものを「×」とし、結果を表1に示した。一方、密着性(耐剥離性)は、スコッチメンディングテープ(住友スリーエム製、長さ30m×幅12mm)を用い、そのテープの一部(長さ30mm)を実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた各薄膜トランジスタ基板上に貼り付けた後に一気に引き剥がして剥離の有無を評価するテープ剥離試験法で評価した。密着性の評価は、剥離も亀裂も全く生じていなかったものを「◎」とし、エッジ部分などに変色が僅かに生じていたが実用上全く問題がないものを「○」とし、数回の剥離テストを繰り返すことで剥離が生じていたが実用上使用可能なものを「△」とし、素子部分に剥離が生じていて使用が難しいものを「×」とした。
密着性の結果を表1に示した。表1の結果からもわかるように、0.05GPa以上の圧縮応力を有する膜として形成した酸化ケイ素膜、窒化アルミニウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化ケイ素膜を形成した薄膜トランジスタ基板はいずれも好ましい結果となったが、0.05GPa以上の圧縮応力を有していない酸化ケイ素膜と窒化アルミニウム膜を形成した薄膜トランジスタ基板や、圧縮応力膜を形成していない薄膜トランジスタ基板は、クラックが発生したり、剥離し易いものとなっていた。
Figure 2008147207
本発明の薄膜トランジスタ基板の一例を示す模式断面図である。 本発明の薄膜トランジスタ基板の他の例を示す模式断面図である。 本発明の薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す説明図である。 本発明の薄膜トランジスタ基板の製造工程を示す説明図である。 プラスチック基材上に形成された圧縮応力膜と引張応力膜の作用を説明するための模式図である。
符号の説明
1,1A,1B,1C TFT素子部
10 プラスチック基材
11 無機密着膜
12 圧縮応力膜
13 ポリシリコン膜(半導体薄膜)
13s ソース側拡散膜
13c チャネル膜
13d ドレイン側拡散膜
14 ゲート絶縁膜
15 金属電極膜
15s ソース電極
15g ゲート電極
15d ドレイン電極
18 保護膜
19 絶縁膜
21a アモルファスシリコン膜
21p ポリシリコン膜
22 レーザーアニール
23 レジスト膜
24 イオン注入
25 エネルギービーム
26 コンタクトホール
28 高圧水蒸気
50 引張応力膜(金属電極膜又は半導体薄膜)
51 積層膜

Claims (5)

  1. プラスチック基材と、該プラスチック基材上に形成された無機材料からなる圧縮応力膜と、該圧縮応力膜上に形成された金属電極膜又は半導体薄膜とを少なくとも有することを特徴とする薄膜トランジスタ基板。
  2. 前記圧縮応力膜の応力値が0.05GPa以上、1.0GPa以下の絶対値を有する、請求項1に記載の薄膜トランジスタ基板。
  3. 前記圧縮応力膜が、酸化ケイ素膜、窒化ケイ素膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸窒化アルミニウム膜及び酸窒化ケイ素膜の群から選択されるいずれかである、請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ基板。
  4. 前記金属電極膜が銅膜、アルミニウム膜、モリブデン膜又はクロム膜である、請求項1から3のいずれかに記載の薄膜トランジスタ基板。
  5. 前記半導体薄膜が多結晶シリコン又は非晶質シリコンである、請求項1から4のいずれかに記載の薄膜トランジスタ基板。
JP2006328906A 2006-12-06 2006-12-06 薄膜トランジスタ基板 Pending JP2008147207A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006328906A JP2008147207A (ja) 2006-12-06 2006-12-06 薄膜トランジスタ基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006328906A JP2008147207A (ja) 2006-12-06 2006-12-06 薄膜トランジスタ基板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008147207A true JP2008147207A (ja) 2008-06-26

Family

ID=39607090

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006328906A Pending JP2008147207A (ja) 2006-12-06 2006-12-06 薄膜トランジスタ基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008147207A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9024312B2 (en) 2009-09-30 2015-05-05 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Substrate for flexible device, thin film transistor substrate for flexible device, flexible device, substrate for thin film element, thin film element, thin film transistor, method for manufacturing substrate for thin film element, method for manufacturing thin film element, and method for manufacturing thin film transistor
WO2017159613A1 (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 シャープ株式会社 アクティブマトリクス基板
CN113035688A (zh) * 2019-12-09 2021-06-25 华润微电子(重庆)有限公司 一种半导体结构及其制作方法
CN113161229A (zh) * 2021-04-12 2021-07-23 上海新昇半导体科技有限公司 多晶硅薄膜衬底的制备方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05313210A (ja) * 1992-05-14 1993-11-26 Ricoh Co Ltd 薄膜積層デバイス
JP2000269513A (ja) * 1999-01-14 2000-09-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置およびその作製方法
JP2006245067A (ja) * 2005-02-28 2006-09-14 Toshiba Corp アクティブマトリクス基板用中間生成物、アクティブマトリクス基板の製造方法及びアクティブマトリクス基板

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05313210A (ja) * 1992-05-14 1993-11-26 Ricoh Co Ltd 薄膜積層デバイス
JP2000269513A (ja) * 1999-01-14 2000-09-29 Semiconductor Energy Lab Co Ltd 半導体装置およびその作製方法
JP2006245067A (ja) * 2005-02-28 2006-09-14 Toshiba Corp アクティブマトリクス基板用中間生成物、アクティブマトリクス基板の製造方法及びアクティブマトリクス基板

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9024312B2 (en) 2009-09-30 2015-05-05 Dai Nippon Printing Co., Ltd. Substrate for flexible device, thin film transistor substrate for flexible device, flexible device, substrate for thin film element, thin film element, thin film transistor, method for manufacturing substrate for thin film element, method for manufacturing thin film element, and method for manufacturing thin film transistor
KR20160130876A (ko) 2009-09-30 2016-11-14 다이니폰 인사츠 가부시키가이샤 플렉시블 디바이스용 기판, 플렉시블 디바이스용 박막 트랜지스터 기판, 플렉시블 디바이스, 박막 소자용 기판, 박막 소자, 박막 트랜지스터, 박막 소자용 기판의 제조 방법, 박막 소자의 제조 방법 및 박막 트랜지스터의 제조 방법
WO2017159613A1 (ja) * 2016-03-15 2017-09-21 シャープ株式会社 アクティブマトリクス基板
US20190081077A1 (en) * 2016-03-15 2019-03-14 Sharp Kabushiki Kaisha Active matrix substrate
CN113035688A (zh) * 2019-12-09 2021-06-25 华润微电子(重庆)有限公司 一种半导体结构及其制作方法
CN113161229A (zh) * 2021-04-12 2021-07-23 上海新昇半导体科技有限公司 多晶硅薄膜衬底的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7763957B2 (en) Active matrix type display device and method of manufacturing the same
US9391207B2 (en) Thin film transistor, array substrate and manufacturing method thereof, and display device
JP2009528670A (ja) 半導体機器及びその製法
JP2009212483A (ja) フレキシブル基板、その製造方法及びそれを用いた薄膜トランジスタ
JP5515266B2 (ja) ディスプレイ用薄膜トランジスタ基板及びその製造方法
JP5211645B2 (ja) 薄膜トランジスタ基板及びその製造方法
JP2008147207A (ja) 薄膜トランジスタ基板
CN108321208A (zh) 低温多晶硅薄膜晶体管及其制作方法、阵列基板、显示装置
US20210225898A1 (en) Manufacturing method of tft array substrate and tft array substrate
JP2006324368A (ja) 薄膜トランジスタ搭載パネル及びその製造方法
JP4579054B2 (ja) 薄膜トランジスタ搭載パネル及びその製造方法
JP4621713B2 (ja) アクティブマトリクス型表示装置
JP5960626B2 (ja) 薄膜トランジスタを備えた半導体装置の製造方法
JP5332030B2 (ja) 薄膜トランジスタ基板及びその製造方法
JP2008028001A (ja) 薄膜トランジスタ基板及びその製造方法
JP5125436B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2008047577A (ja) 薄膜トランジスタ基板、その製造方法及び薄膜トランジスタ基板形成用ベース基板
JPH11354441A (ja) 半導体装置の製造方法
CN106206745B (zh) 一种高迁移率金属氧化物tft的制作方法
JP5239295B2 (ja) ゲート絶縁膜の評価方法、薄膜トランジスタ基板の評価方法及び薄膜トランジスタ基板の製造方法
JP4527004B2 (ja) 薄膜トランジスタ搭載パネルの製造方法
JP2009231641A (ja) 薄膜トランジスタ及びアクティブマトリクス型表示装置
JP4248987B2 (ja) アレイ基板の製造方法
CN100456440C (zh) 高压水气退火的多晶硅薄膜晶体管组件的制作方法
JP4550871B2 (ja) アクティブマトリクス型表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120214

A977 Report on retrieval

Effective date: 20120216

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120406

A02 Decision of refusal

Effective date: 20120710

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02