JP2008144070A - カチオン性電着塗料組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 上記課題を解決するためになされたもので、具体的には、構成成分として(A)カチオン基を有する樹脂(基剤樹脂)、(B)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)および(C)顔料を必須成分とする電着塗料ニおいて、全顔料中見掛け比重が0.05〜0.25g/cm3である体質顔料を25〜80重量%含有し、塗料全固形分中の顔料量が10〜35重量%であることを特徴とするカチオン性電着塗料組成物に関している。
【選択図】 なし
Description
すなわち、特許文献1においては、電着塗料中の固形分に対する顔料灰分が3〜10%と極めて低い値に設定されており、従来の電着塗料に比べて塗膜の隠蔽性が劣るという問題点がある。また電着塗料中の固形分も5〜12%と低く、塗料の付き廻り性が低下し、塗料使用量が増加するという課題を有している。特許文献2においては、使用される顔料が、カーボンブラックあるいは有機顔料に限定されており、特にカオリン、クレー等で代表される無機の体質顔料を含んでいないため、カチオン電着塗料の重要な特性のひとつである耐油ハジキ性が不十分である。
[カチオン基を有する樹脂(基剤樹脂)]
本発明の(A)基剤樹脂に用いるカチオン基を有する樹脂については、エポキシ樹脂、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基不含アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等にアミノ基を導入し、このアミノ基を酸でカチオン化することによって得られる。アミノ基の量は特に限定はないが、通常樹脂(固形分)1000g当たり0.5〜3当量が適当である。特に好ましいカチオン基を有する樹脂はエポキシ樹脂およびアクリル樹脂である。
特に好ましい高分子量化は、上記ポリフェノールのグリシジルエーテルあるいは上記ジオールのグリシジルエーテルを、上記ポリフェノールで連結反応する方法であり、反応温度は70〜180℃が適当である。
本発明における(B)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)は、ポリイソシアネートとブロック剤との反応物であり、ポリイソシアネートとしては、芳香族あるいは脂肪族(脂環式を含む)のポリイソシアネートであり、例示すると、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネートおよびこれらの混合物、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4' −ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタン−4,4' −ジイソシアネート、1, 3あるいは1, 4−ビス−(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビス−(イソシアネートメチル)−ノルボルナン、3あるいは4−イソシアネートメチル−1−メチルシクロヘキシルイソシアネート、m−あるいはp−キシリレンジイソシアネート、m−あるいはp−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、さらには上記イソシアネートのビュレット変性体あるいはイソシアヌレート変性体、あるいは上記イソシアネートのイソシアネート基の一部を、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール等の低分子ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリラクトンジオール等のオリゴマージオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のポリオールで連結したポリイソシアネートあるいはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明の体質顔料とは、塗料分野で一般的に用いられる体質顔料のことで、無機顔料であり比較的透明性で屈折率の低い顔料を指している。その果たす役割としては、塗料の補強、増量効果、塗装作業性の改良、被塗物の目地止め等の特性付与が目的である。代表例としてはカオリン(クレー)、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、硫酸バリウム等を挙げることができるがこれらに限定されない。
試料10gを正確に100ml程度の目盛り付き容器に秤量し、蓋をした後高さ45mmのところから1回/2秒の速さで500回落下させてその容積(acm3)を読み取り、下記式より見掛け比重を求める。
見掛け比重(g/cm3)=10g/acm3
顔料分散については通常の方法が用いられる。すなわち顔料分散樹脂として3級アミノ基を含有するエポキシ樹脂あるいはアクリル樹脂、4級アンモニウム塩基を含有するエポキシ樹脂等を使用し、必要により水、中和用の酸、親水性溶剤を併用して、本発明の体質顔料およびその他の顔料を、既存の分散機により分散して顔料分散ペーストを得る。
カチオン基を有する基剤樹脂、硬化剤としてのブロック化ポリイソシアネート、中和剤としてのリン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、蟻酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、スルファミン酸等を水性媒体中に分散させて得られる水分散樹脂組成物、上記の顔料ペースト、および必要により溶剤を混合し、水で濃度調製を行い電着塗料組成物を得る方法が一般的であるが、カチオン基を有する基剤樹脂、ブロック化ポリイソシアネート、顔料ペースト、中和剤の全てをあらかじめ混合した後、水性媒体中に分散させて電着塗料組成物を得る方法もある。電着塗料の固形分は20%前後に調整し塗装に供せられる。好ましい中和剤量は塗料PHが5〜8程度に調整されるように決定される。また必要により消泡剤、ハジキ防止剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、硬化触媒等の一般的な塗料用添加剤を含むことができる。
本発明の電着塗料組成物は周知の方法で被塗物に塗装される。被塗物については、あらかじめリン酸亜鉛処理等の表面処理が施された導体が好ましいが、処理が施されていないものであっても特に問題はない。被塗物を陰極に接続し、塗料温度15〜35℃、負荷電圧100〜400V、通電時間30秒〜5分で電着塗装を行い、塗装後焼付け炉中で100〜200℃、10〜40分間焼付けて硬化塗膜を得る。塗膜厚については特に制限はないが10〜40μmが適当である。
製造例1
撹拌器、温度計、冷却管を備えた反応容器にグリシエールPP−300P(三洋化成(株)製のポリプロピレングリコール系のエポキシ樹脂)600部、エポトートYD−128(東都化成(株)製のビスフェノールA系の液状エポキシ樹脂)1122部、ビスフェノールA684部、トリブチルアミン1部を仕込み、撹拌、加熱を行って150℃まで昇温した。150℃で6時間保持した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル1121部を徐々に仕込み100℃まで冷却した。その後ジエタノールアミン210部を仕込み100℃で2時間保温してエポキシ系基剤樹脂A1を得た。固形分は70%であった。
撹拌器、温度計、冷却管を備えた反応容器にエポトートYD−014(東都化成(株)製のビスフェノールA系の固形エポキシ樹脂)1900部、プロピレングリコールモノメチルエーテル904部を仕込み、撹拌、加熱を行って90℃まで昇温した。次いで同温度を保持しながらジエタノールアミン210部を仕込み、2時間保温してエポキシ系基剤樹脂A2を得た。固形分は70%であった。
撹拌器、温度計、冷却管を備えた反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテル145部、エチレングリコールモノブチルエーテル145部、イソプロパノール110部を仕込み、撹拌、加熱を行って105℃まで昇温した。昇温後還流下にブチルアクリレート450部、メチルメタクリレート100部、スチレン150部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート200部、ジメチアミノプロピルアクリルアミド100部、アゾビスイソブチロニトリル30部の混合液を2時間かけて滴下した後4時間保温してアクリル系基剤樹脂A3を得た。固形分は70%であった。
製造例4
撹拌器、温度計、冷却管を備えた反応容器にメチルイソブチルケトン292部、スミジュールT−80(住化バイエルウレタン(株)製のトリレンジイソシアネート)を835部仕込み、50℃以下で2−エチルヘキサノール686部を1時間かけて滴下し、その後3時間保温して反応中間体を得た。
撹拌器、温度計、冷却管を備えた別の反応容器にエポトートYD−014(東都化成(株)製のビスフェノールA系の固形エポキシ樹脂)3039部、メチルイソブチルケトン1303部を仕込み95℃まで昇温し、上記中間体を仕込んで95℃で5時間反応させた。その後エチレングリコールモノブチルエーテル1040部を仕込み、減圧下90℃前後でメチルイソブチルケトンを留去した。その後エチレングリコールモノブチルエーテル1565部を仕込み、ジメチルエタノールアミン409部と50%乳酸579部の混合物を仕込んで80℃で3時間反応させて、4級アンモニウム塩型の顔料分散樹脂D1を得た。固形分は60%であった。
撹拌器、温度計、冷却管を備えた反応容器にエポトートYD−128(東都化成(株)製のビスフェノールA系の液状エポキシ樹脂)748部、エポトートYD011(東都化成(株)製のビスフェノールA系の固形エポキシ樹脂)1900部、プロピレングリコールモノメチルエーテル1392部を仕込み、撹拌、加熱を行って100℃まで昇温した。次いでジエチルアミノプロピルアミン390部、ジエタノールアミン210部を仕込み、100℃で2時間保温して3級アミン型の分散樹脂D2を得た。固形分は70%であった。
製造例6
撹拌器、温度計、冷却管を備えた反応容器にイソホロン133部、トルエン150部、VESTANAT T−1890/100(デグサAG社製イソホロンジイソシアネートのヌレート体)333部、コロネートHX(日本ポリウレタン(株)社製ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体)300部を仕込み60℃まで昇温した。次いで60℃を保持しながらメチルエチルケトンオキシム261部を1時間で滴下し、さらに60℃で2時間保温した。最後にプロピレングリコールモノメチルエーテル100部を仕込んで固形分75%のブロック化ポリイソシアネートB1を得た。
表1、2の配合により、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、88%蟻酸、脱イオン水の混合液中に、基剤樹脂、硬化剤の混合物をよく撹拌しながら徐々に仕込みそれぞれの水分散樹脂液を得た。
表1、2の配合により、顔料分散樹脂、88%蟻酸、脱イオン水、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、錫触媒、顔料をディゾルバーで十分撹拌した後、横型サンドミルを用いて粒ゲージ粒度が10μm以下になるまで分散し、それぞれの顔料ペーストを得た。
上記水分散樹脂液および顔料ペーストを表1、2のとおり配合して、それぞれ実施例および比較例の電着塗料を得た。
[塗装試験板の作製および試験結果]
上記で得られた電着塗料を用いてカーボン電極を陽極としリン酸亜鉛処理板(日本テストパネル(株)製のPB−L3080、0.8×70×150mm)を陰極とし、焼き付け後の膜厚が20μmとなる条件で電着塗装を行い、150℃で25分間焼き付けを行った。電着塗料の性状および塗膜性能試験結果を表3、4に示す。
KC-100 共同薬品(株)製 ジブチル錫オキサイド(触媒)
POLYGLOSS90 J.M.Huber Corporation製 カオリン(体質顔料)
見掛け比重 0.19g/cm3
ASP-200 Engelhard Corporation製 カオリン(体質顔料)
見掛け比重 0.32g/cm3
タイピュアR-900 デュポン(株)製 酸化チタン(着色顔料)
カーボンブラックMA-100 三菱化学(株)製 カーボンブラック(着色顔料)
K-WHITE#110S テイカ(株)製 防錆顔料
EXPERT NP-1162 東邦顔料工業(株)製 防錆顔料
(1)沈降率、再分散率 1Lのビーカー(内径85mm)に塗料800mlを採取し4日間静置後、沈降物を残して塗料上層液を別のビーカーに移し替え沈降物の重量(a)を測定する。次いでこの沈降物に、1mの高さから移し替えた塗料上層液を落下させた後、再度塗料上層液を移し替え、1Lビーカー内に分散されずに残った沈降物の重量(b)を測定する。塗料800ml中の固形分重量を(c)として下記式から沈降率および再分散率を計算する。沈降率は値が低い方が優れ、再分散率は値が高い方が優れる。
沈降率=(a/c)×100(%)
再分散率=(1−b/a)×100(%)
(2)外観 目視で判定しワキ、ブツ等が認められないものを○と判定する。
(3)耐溶剤性 塗膜をエタノール/アセトン重量比が1/1の混合液で溶剤拭きを行う。
○:10回連続拭きを行い塗膜に変化なし
△:塗膜の艶引け、膨潤あるいは一部溶解がある
×:塗膜が溶解して下地の露出が見られる
(4)耐衝撃性 DuPont式 1/2インチ500gでの落下距離(cm)
(5)耐塩水噴霧試験 JIS−Z−2731に準じて行った。電着塗装面に素地に達する傷をカッターナイフで入れ、500時間後の錆幅を評価する。
(6)耐油ハジキ性 焼き付け前の電着塗膜上に内径15mm、高さ5mmの容器を設置し、その中に機械油/キシレンの重量比で1/9の混合液、および水をそれぞれ一滴ずつ入れた状態で、150℃で25分間焼き付け、塗膜上に突沸飛散した機械油によって生じるクレータの状態を目視で観察する。
○:塗膜表面にクレータの発生がない
△:塗膜表面に直径3mm以下で浅いクレータが発生する
×:塗膜表面に直径3mmより大きく深いクレータが発生する
Claims (3)
- 構成成分として(A)カチオン基を有する樹脂(基剤樹脂)、(B)ブロック化ポリイソシアネート(硬化剤)および(C)顔料を必須成分とする電着塗料において、全顔料中見掛け比重が0.05〜0.25g/cm3である体質顔料を25〜80重量%含有し、塗料全固形分中の顔料量が10〜35重量%であることを特徴とするカチオン性電着塗料組成物。
- 体質顔料の見掛け比重が0.05〜0.2g/cm3である、請求項1に記載のカチオン性電着塗料組成物。
- 体質顔料量が全顔料中35〜80重量%で、塗料固形分中の顔料が10〜30重量%である請求項2に記載のカチオン性電着塗料組成物。
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