JP2008136263A - 距離継電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】対向端子からの転送信号の伝送路を設けることなく短絡事故発生時に事故除去時間を大幅に短縮することができる距離継電装置を提供する。
【解決手段】トリップ信号発生回路20は、第1の線路電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値K1以上であるとハイレベルの出力信号を発生する増加量比較回路25と、第2の線路電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値K2以上であるとハイレベルの出力信号を発生する減少量比較回路26と、増加量比較回路25の出力信号と減少量比較回路26の出力信号との論理積をとる第4の論理積回路234と、第4の論理積回路234の出力信号と他回線2Lの第2の遮断器42から入力される接点信号SC2との論理積をとる第5の論理積回路235を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、距離継電装置に関し、特に、平衡2回線送電線の電源端側、対向端側および負荷端側に設置するのに好適な距離継電装置に関する。
平衡2回線送電線の保護のために、3段階距離リレー方式が用いられている。3段階距離リレー方式では、短絡距離継電装置(DZ)は、たとえば、保護区間送電線である自回線の80%までの第1の保護区間(短絡距離継電装置の1段動作域A1)の短絡事故に対しては瞬時(第1の時限協調時間ST1=0s)に遮断器を遮断するように整定され、自回線の150%までの第2の保護区間(短絡距離継電装置の2段動作域A2)の短絡事故に対しては第2の時限協調時間ST2(たとえば、400ms)経過後に遮断器を遮断するように整定され、自回線の300%までの第3の保護区間(短絡距離継電装置の3段動作域A3)の短絡事故に対しては第3の時限協調時間ST3(たとえば、1.5s)経過後に遮断器を遮断するように整定されることにより、次区間送電線保護用の短絡距離継電装置との距離整定および時間整定の協調を図っている。
このような3段階距離リレー方式において使用される短絡距離継電装置の動作について、図14を参照して説明する。
電源1から電力を供給される母線から分岐された第1の送電線1L(以下、「自回線1L」と称する。)および第2の送電線2L(以下、「他回線2L」と称する。)の電源端側(母線側)には、短絡距離継電装置(以下、「第1および第2の電源端距離継電装置1101,1102」と称する。)がそれぞれ設置されている。また、自回線1Lおよび他回線2Lの対向端側(母線と反対側)にも、短絡距離継電装置(以下、「第1および第2の対向端距離継電装置1201,1202」と称する。)がそれぞれ設置されている。
第1の電源端距離継電装置1101は、母線に設けられた第1の変成器21から入力される母線電圧Vaと自回線1Lの電源端側に設けられた第1の変流器31から入力される第1の線路電流I1とに基づいて第1のインピーダンスZ1(Z1=Va/I1)を算出する。第1の電源端距離継電装置1101は、算出した第1のインピーダンスZ1に基づいて自回線1Lにおける短絡事故発生を検出すると、自回線1Lの電源端側に設けられた第1の遮断器41を遮断するための第1のトリップ信号S1を発生する。
第2の電源端距離継電装置1102は、第1の変成器21から入力される母線電圧Vaと他回線2L(第2の電源端距離継電装置1102の自回線)の電源端側に設けられた第2の変流器32から入力される第2の線路電流I2とに基づいて第2のインピーダンスZ2(Z2=Va/I2)を算出する。第2の電源端距離継電装置1102は、算出した第2のインピーダンスZ2に基づいて他回線2Lにおける短絡事故発生を検出すると、他回線2Lの電源端側に設けられた第2の遮断器42を遮断するための第2のトリップ信号S2を発生する。
第1の対向端距離継電装置1201は、対向端の母線(以下、「対向端母線」と称する。)に設けられた第2の変成器22から入力される対向端母線電圧Vbと自回線1Lの対向端側に設けられた第3の変流器33から入力される第3の線路電流I3とに基づいて第3のインピーダンスZ3(Z3=Vb/I3)を算出する。第1の対向端距離継電装置1201は、算出した第3のインピーダンスZ3に基づいて自回線1Lにおける短絡事故発生を検出すると、自回線1Lの対向端側に設けられた第3の遮断器43を遮断するための第3のトリップ信号S3を発生する。
第2の対向端距離継電装置1202は、第2の変成器22から入力される対向端母線電圧Vbと他回線2L(第2の対向端距離継電装置1202の自回線)の対向端側に設けられた第4の変流器34から入力される第4の線路電流I4とに基づいて第4のインピーダンスZ4(Z4=Vb/I4)を算出する。第2の対向端距離継電装置1202は、算出した第4のインピーダンスZ4に基づいて他回線2Lにおける短絡事故発生を検出すると、他回線2Lの対向端側に設けられた第4の遮断器44を遮断するための第4のトリップ信号S4を発生する。
次に、第1および第2の電源端距離継電装置1101,1102と第1および第2の対向端距離継電装置1201,1202とにおける第1乃至第4のトリップ信号S1〜S4の発生方法について、第1の電源端距離継電装置1101における第1のトリップ信号S1の発生方法を例として図15乃至図17を参照して説明する。
第1のトリップ信号S1を発生するためのトリップ信号発生回路220は、図15に示すように、母線電圧Vaおよび第1の線路電流I1に基づいて第1の電源端距離継電装置1101の動作域を判定する動作域判定回路221と、動作域判定回路221から入力される第2および第3の判定結果出力信号VD2,VD3を第2および第3の時限協調時間ST2,ST3だけそれぞれ遅延する第1および第2の遅延回路(タイマー)2221,2222と、動作域判定回路221から入力される第1および第3の判定結果出力信号VD1,VD3の論理積をとる第1の論理積回路2231と、第1の遅延回路2221によって遅延された第2の判定結果出力信号VD2と第3の判定結果出力信号VD3との論理積をとる第2の論理積回路2232と、第2の遅延回路2222によって遅延された第3の判定結果出力信号VD3と第1および第2の論理積回路2231,2232の出力信号との論理和をとる論理和回路224と、第1のフェールセーフ用FDリレー(不図示)からの第1のFDリレー出力信号SFD1と論理和回路224の出力信号との論理積をとる第3の論理積回路2233とを備える。
動作域判定回路221は、母線電圧Vaを第1の線路電流I1で割って第1のインピーダンスZ1(Z1=Va/I1)を算出する。動作域判定回路221は、算出した第1のインピーダンスZ1に基づいて第1の電源端距離継電装置1101の動作域を判定し、判定結果を示す第1乃至第3の判定結果出力信号VD1〜VD3を出力する。
すなわち、動作域判定回路221は、図16に示すように、第1のインピーダンスZ1のリアクタンス分Xが第1の値B1以下であると、「第1の電源端距離継電装置1101の動作域が1段動作域A1である」と判定して、ハイレベルの第1の判定結果出力信号VD1を出力する。また、動作域判定回路221は、第1のインピーダンスZ1のリアクタンス分X1が第2の値B2以下であると、「第1の電源端距離継電装置1101の動作域が2段動作域A2である」と判定して、ハイレベルの第2の判定結果出力信号VD2を出力する。さらに、動作域判定回路221は、第1のインピーダンスZ1の抵抗分R1およびリアクタンス分X1が図16の円内に入っていると、「第1の電源端距離継電装置1101の動作域が3段動作域A3である」と判定して、ハイレベルの第3の判定結果出力信号VD3を出力する。
たとえば、図14に示す自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置1101の第1の保護区間(第1の電源端距離継電装置1101の1段動作域A1)で図17(a)に示す時刻t0に短絡事故が発生して、第1のインピーダンスZ1が図16に点P1で示す値となった場合には、動作域判定回路221は、第1のインピーダンスZ1に基づいて「第1の電源端距離継電装置1101の動作域が1段動作域A1である」と判定して、ハイレベルの第1の判定結果出力信号VD1を出力する。また、動作域判定回路221は、第1のインピーダンスZ1が図16の円内にも入っているため、ハイレベルの第3の判定結果出力信号VD3も出力する。
ハイレベルの第1および第3の出力信号VD1,VD3が入力されると第1の論理積回路2231の出力信号はロウレベルからハイレベルとなるため、論理和回路224の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。その結果、第1のFDリレー出力信号SFD1がハイレベルであると、第3の論理積回路2233の出力信号がロウレベルからハイレベルとなるため、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路220から第1の遮断器41に出力される。なお、第1のトリップ信号S1は、第1の電源端距離継電装置1101におけるリレー判定時間TRY(50ms)が経過した時刻t1にトリップ信号発生回路220から出力される。
これにより、第1の遮断器41は第1のトリップ信号S1が入力されてから遮断器遮断時間TCB(50ms)の経過後に遮断が完了するため、第1の遮断器41は、図17(a)に示すように、リレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCBの合計時間(=50ms+50ms=100ms)が経過した時刻t2に完全に遮断される。
一方、図14に示す自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置1101の第2の保護区間(第1の電源端距離継電装置1101の2段動作域A2)で図17(b)に示す時刻t0に短絡事故が発生して、第1のインピーダンスZ1が図16に点P2で示す値となった場合には、動作域判定回路221は、第1のインピーダンスZ1に基づいて「第1の電源端距離継電装置1101の動作域が2段動作域A2である」と判定して、ハイレベルの第2の出力信号VD2を出力する。また、動作域判定回路221は、第1のインピーダンスZ1が図16の円内にも入っているため、ハイレベルの第3の出力信号VD3も出力する。
第2の出力信号VD2は、第1の遅延回路2221によって第2の時限協調時間ST2(400ms)だけ遅延されたのち第2の論理積回路2232に入力される。
ハイレベルの第1の遅延回路2221の出力信号およびハイレベルの第3の出力信号VD3が入力されると第2の論理積回路2232の出力信号はロウレベルからハイレベルとなるため、論理和回路224の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
その結果、第1のFDリレー出力信号SFD1がハイレベルであると、第3の論理積回路2233の出力信号がロウレベルからハイレベルとなるため、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路220から第1の遮断器41に出力される。なお、第1のトリップ信号S1は、第1の電源端距離継電装置1101におけるリレー判定時間TRYおよび第2の時限協調時間ST2の合計時間(=50ms+400ms=450ms)が経過した時刻t5にトリップ信号発生回路220から出力される。
これにより、第1の遮断器41は、図17(b)に示すように、リレー判定時間TRY、第2の時限協調時間ST2および遮断器遮断時間TCBの合計時間(=450ms+50ms=500ms)が経過した時刻t6に完全に遮断される。
下記の特許文献1には、段階限時の距離継電方式により3端子系統送電線を保護する後備保護手段を備えた保護継電装置において事故遮断の選択性を確保し高速遮断ができるようにするために、対向母線を含み対向母線方向の事故を検出する第2段リレーの動作条件を伝送する手段と、対向端からの転送信号を受信する手段と、自端の保護リレーの動作を受信した転送信号が所定時間以上継続したことを条件に自端の遮断器に遮断指令を出力する手段とを備えた保護継電装置が開示されている。
特開平5−76134号公報
しかしながら、上述した第1の電源端距離継電装置1101では、自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置1101の第2の保護区間(第1の電源端距離継電装置1101の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合には、第1の遮断器41は事故発生時刻t0からリレー判定時間TRY、第2の時限協調時間ST2および遮断器遮断時間TCBの合計時間(=500ms)だけ経過した時刻t6に遮断されるため(図17(b)参照)、この短絡事故を除去するのに時間を要し、設備に悪影響を与えるという問題がある。
また、第1の対向端距離継電装置1201でも、自回線1Lにおける第1の対向端距離継電装置1201の第2の保護区間(第1の対向端距離継電装置1201の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合に、同様にして短絡事故を除去するのに時間を要し、設備に悪影響を与えるという問題がある。
上記特許文献1記載の保護継電装置では、自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置1101および第1の対向端距離継電装置1201の第2の保護区間での短絡事故発生時に事故除去時間を短縮することはできるが、対向端子(電源端または対向端)からの転送信号を継続して受信することにより自端子の遮断器を遮断する方式であるので、この転送信号の伝送路が必要であるという問題がある。
本発明の目的は、対向端子からの転送信号の伝送路を設けることなく短絡事故発生時に事故除去時間を大幅に短縮することができる電源端用、対向端用および負荷端用の距離継電装置を提供することにある。
本発明の距離継電装置は、電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側若しくは対向端に、または、該自回線および該他回線から分岐された自分岐回線(3L)および他分岐回線(4L)をさらに含む平衡2回線送電線の該自分岐回線の負荷端側に設置される距離継電装置(101;301;501)であって、前記自回線または前記自分岐回線における事故発生を検出すると、該自回線または該自分岐回線に設けられた遮断器(41;43;45)を遮断するためのトリップ信号(S1;S3;S5)を発生するトリップ信号発生回路(20;40;60)を具備し、該トリップ信号発生回路が、前記自回線または前記自分岐回線を流れる自線路電流(I1;I3;I5)および前記他回線または前記他分岐回線を流れる他線路電流(I2;I4;I6)の変化量に基づいて前記自回線の電源端側または対向端側における事故発生を検出すると前記トリップ信号を瞬時に発生するトリップ信号発生手段を備えることを特徴とする。
ここで、前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側若しくは対向端側または前記他分岐回線の負荷端側に設置された隣回線遮断器(42;44;46)が遮断されていないことを条件に、前記自線路電流および前記他線路電流の変化量に基づいて前記自回線の電源端側または対向端側における事故発生を検出すると前記トリップ信号を瞬時に発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自線路電流の増加量(ΔI1;ΔI3;ΔI5)が所定の閾値(K1;K3;K5)以上であり、かつ、前記他線路電流の減少量(ΔI2;ΔI4;ΔI6)が所定の他の閾値(K2;K4;K6)以上であることを条件に、前記自線路電流および前記他線路電流の変化量に基づいて前記自回線の電源端側または対向端側における事故発生を検出すると前記トリップ信号を瞬時に発生してもよい。
前記閾値および前記他の閾値が、前記自線路電流および前記他線路電流の検出可能な最小値の3倍以上の値とされてもよい。
前記母線の母線電圧(Va)の変化量(ΔVa)、前記対向端母線の対向端母線電圧(Vb)の変化量(ΔVb)または前記負荷端側の負荷端母線の負荷端母線電圧(Vc)の変化量(ΔVc)が所定の別の閾値(K7)以上であることを条件に、前記トリップ信号を瞬時に発生してよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自線路電流の増加量が前記閾値以上であり、かつ、前記他線路電流の減少量が前記他の閾値以上である場合に、前記自回線の電源端側または対向端側に設置された他の遮断器(41;43)が該自回線における事故により遮断されたと判定して前記トリップ信号を瞬時に発生してもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記自線路電流の増加量を求め、該求めた増加量が前記閾値以上であると出力信号を発生する増加量比較回路(25;45;65)と、前記他線路電流の減少量を求め、該求めた減少量が前記他の閾値以上であると出力信号を発生する減少量比較回路(26;46;66)と、前記増加量比較回路の出力信号と前記減少量比較回路の出力信号との論理積をとる論理積回路(234;434;634)とを備えてもよい。
前記トリップ信号発生手段が、前記論理積回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2;SC4;SC6)との論理積をとる他の論理積回路(235;435;635)をさらに備えてもよい。
前記他回線の電源端側若しくは対向端側または前記他分岐回線の負荷端側に設置される他の距離継電装置(102;302;502)が、前記距離継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていてもよい。
本発明の距離継電装置は、以下に示す効果を奏する。
(1)自回線または自分岐回線を流れる自線路電流および他回線または他分岐回線を流れる他線路電流の変化量に基づいてトリップ信号を発生させるので、対向端子(電源端または対向端)からの転送信号の伝送路を設ける必要がない。
(2)第2の時限協調時間ST2だけ待つことなくトリップ信号を発生させることができるので、自回線の第2の保護区間において発生した事故の除去時間を大幅に短縮することができる。
(3)事故継続時間も大幅に短縮するので、事故時の設備への悪影響を低減することができる。
(4)主保護継電装置を省略することも可能であるため、設備への投資コストの低減も図れる。
上記の目的を、自回線または自分岐回線を流れる自線路電流および他回線または他分岐回線を流れる他線路電流の変化量に基づいて自回線の対向端子側における事故発生を検出するとトリップ信号を瞬時に発生することにより実現した。
以下、本発明の距離継電装置の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の第1の実施例による距離継電装置である第1の電源端距離継電装置101は、自回線1Lの対向端側に設置された第3の遮断器43の遮断前後における第1および第2の線路電流I1,I2の変化量に基づいて自回線1Lの対向端側における短絡事故発生を検出すると、第1の遮断器41を遮断するための第1のトリップ信号S1を瞬時に発生する機能を備えている点で、図14に示した従来の第1の電源端距離継電装置1101と相違する。
すなわち、図1に示す第1の電源端距離継電装置101は、第1の変流器31から入力される第1の線路電流I1の増加量ΔI1が所定の第1の閾値K1(たとえば、第1の線路電流I1の検出可能な最小値が40mAの場合には120mA)以上であり、かつ、第2の変流器32から入力される第2の線路電流I2の減少量ΔI2が所定の第2の閾値K2(たとえば、第2の線路電流I2の検出可能な最小値が40mAの場合には120mA)以上であり、かつ、自回線1Lの隣回線である他回線2Lの電源端側に設置された第2の遮断器42から入力される第2の接点信号SC2がハイレベルである(第2の遮断器42が遮断されていないことを示す。)ことを条件に、第1のトリップ信号S1を瞬時に発生する。
これを実現するために、第1の電源端距離継電装置101は、図15に示したトリップ信号発生回路220の代わりに、図2に示すトリップ信号発生回路20を具備する。
トリップ信号発生回路20は、図2に示すように、動作域判定回路21と、第1および第2の遅延回路(タイマー)221,222と、第1乃至第6の論理積回路231〜236と、論理和回路24と、増加量比較回路25と、減少量比較回路26とを備える。
動作域判定回路21は、図15に示した動作域判定回路221と同様に、母線電圧Vaと第1の線路電流I1とに基づいて第1のインピーダンスZ1(Z1=Va/I1)を算出したのち、算出した第1のインピーダンスZ1に基づいて第1の電源端距離継電装置101の動作域を判定する。
すなわち、動作域判定回路21は、図16に点P1で示したように第1のインピーダンスZ1のリアクタンス分X1が第1の値B1以下であると、「第1の電源端距離継電装置101の動作域が1段動作域A1である」と判定して、ハイレベルの第1の判定結果出力信号VD1を出力する。また、動作域判定回路21は、図16に点P2で示したように第1のインピーダンスZ1のリアクタンス分X1が第2の値B2以下であると、「第1の電源端距離継電装置101の動作域が2段動作域A2である」と判定して、ハイレベルの第2の判定結果出力信号VD2を出力する。さらに、動作域判定回路21は、第1のインピーダンスZ1の抵抗分R1およびリアクタンス分X1が図16の円内に入っていると、「第1の電源端距離継電装置101の動作域が3段動作域A3である」と判定して、ハイレベルの第3の判定結果出力信号VD3を出力する。
第1および第2の遅延回路221,222は、図15に示した第1および第2の遅延回路2221,2222と同様に、動作域判定回路21から入力される第2および第3の判定結果出力信号VD2,VD3を第2および第3の時限協調時間ST2,ST3だけそれぞれ遅延する。
第1の論理積回路231は、図15に示した第1の論理積回路2231と同様に、動作域判定回路21から入力される第1および第3の判定結果出力信号VD1,VD3の論理積をとる。
第2の論理積回路232は、図15に示した第2の論理積回路2232と同様に、第1の遅延回路221によって遅延された第2の判定結果出力信号VD2と第3の判定結果出力信号VD3との論理積をとる。
第3の論理積回路233は、動作域判定回路21から入力される第2および第3の判定結果出力信号VD2,VD3の論理積をとる。
増加量比較回路25は、第1の線路電流I1の増加量ΔI1を求め、求めた増加量ΔI1が第1の閾値K1以上であるとハイレベルの出力信号を発生する。
減少量比較回路26は、第2の線路電流I2の減少量ΔI2を求め、求めた減少量ΔI2が第2の閾値K2以上であるとハイレベルの出力信号を発生する。
第4の論理積回路234は、増加量比較回路25の出力信号と減少量比較回路26の出力信号との論理積をとる。
第5の論理積回路235は、第3の論理積回路233の出力信号と第4の論理積回路234の出力信号と第2の接点信号SC2との論理積をとる。
論理和回路24は、第1の論理積回路231の出力信号と第2の論理積回路232の出力信号と第2の遅延回路222の出力信号と第5の論理積回路235の出力信号との論理和をとる。
第6の論理積回路236は、第1のフェールセーフ用FDリレーからの第1のFDリレー出力信号SFD1と論理和回路24の出力信号との論理積をとる。
次に、図1に示す自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置101の第2の保護区間(第1の電源端距離継電装置101の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合のトリップ信号発生回路20の動作について、図3を参照して説明する。
この第2の保護区間において図3に示す時刻t0に短絡事故が発生すると、自回線1Lの対向端側に設置された第1の対向端距離継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路は、対向端母線電圧Vbおよび第3の線路電流I3に基づいて第3のインピーダンスZ3(Z3=Vb/I3)を算出し、算出した第3のインピーダンスZ3に基づいて第1の対向端距離継電装置1201の1段動作域A1における短絡事故発生を検出すると、第3の遮断器43を遮断するための第3のトリップ信号S3を第1の対向端距離継電装置1201におけるリレー判定時間TRY(50ms)経過後の時刻t1に発生する。その結果、第3の遮断器43は、図3に示すように、第1の対向端距離継電装置1201におけるリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)経過後の時刻t2に完全に遮断される。
一方、自回線1Lの電源端側に設置された第1の電源端距離継電装置101では、事故発生時刻t0から第3の遮断器43が完全に遮断される時刻t2まで第1のインピーダンスZ1が図16に点P2で示した値となるため、トリップ信号発生回路20の動作域判定回路21は、母線電圧Vaと第1の線路電流I1とに基づいて算出した第1のインピーダンスZ1のリアクタンス分X1が第1の値B1よりも大きくかつ第2の値B1以下となるので、「第1の電源端距離継電装置101の動作域が2段動作域A2である」と判定して、ハイレベルの第2の判定結果出力信号VD2を出力する。また、動作域判定回路21は、第1のインピーダンスZ1が図16の円内にも入っているため、ハイレベルの第3の判定結果出力信号VD3も出力する。その結果、第3の論理積回路233の出力信号はハイレベルとなる。
しかしながら、他回線2Lの電源端および対向端側に設置された第2および第4の遮断器42,44が遮断されていない場合には、事故発生時刻t0から第3の遮断器43が完全に遮断される時刻t2までは自回線1Lおよび他回線2Lに事故電流が事故点に向かって流れるため、第1および第2の線路電流I1,I2は図3(a),(b)に示すように増加したままとなる。その結果、第1の線路電流I1が第1の閾値K1以上の増加量ΔI1(ΔI1≧K1)だけ増加して増加量比較回路25からハイレベルの出力信号が出力されても、第2の線路電流I2は第2の閾値K2以上の減少量ΔI2(ΔI2≧K2)だけ減少しないので減少量比較回路26からはロウレベルの出力信号が出力されたままである。そのため、第4の論理積回路234の出力信号はロウレベルのままであるので、第1のトリップ信号S1は発生されない。
時刻t2において第3の遮断器43が遮断されると、自回線1Lに流れる事故電流は増加するが他回線2Lを流れる事故電流は減少するので、第1の線路電流I1は増加し、第2の線路電流I2は減少する。したがって、第1の線路電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値K1以上(ΔI1≧K1)となり、かつ、第2の線路電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値K2以上(ΔI2≧K2)となると、増加量比較回路25および減少量比較回路26からハイレベルの出力信号が出力されるので、第4の論理積回路234の出力信号はロウレベルからハイレベルとなる。このとき、ハイレベルの第2の接点信号SC2が第2の遮断器42から入力されていると、第3および第4の論理積回路233,234の出力信号はともにハイレベルとなっているので、第5の論理積回路235の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
その結果、論理和回路24の出力信号はハイレベルとなるため、第1のFDリレー出力信号SFD1がハイレベルであると、第6の論理積回路236の出力信号がロウレベルからハイレベルとなり、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路20から第1の遮断器41に出力される。なお、第1のトリップ信号S1は、時刻t2から第1の電源端距離継電装置101におけるリレー判定時間TRY(50ms)が経過した時刻t3にトリップ信号発生回路20から出力される。
これにより、第1の遮断器41は、時刻t2から第1の電源端距離継電装置101におけるリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(100ms)が経過した時刻t4に完全に遮断される。その結果、図3(a)に破線で示した従来の第1の電源端距離継電装置1101の場合(図17(b)参照)に比べて、第1の遮断器41をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)(=400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
以上説明したように、第1の電源端距離継電装置101のトリップ信号発生回路20は、第1の線路電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値K1以上であり、かつ、第2の線路電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値K2以上であり、かつ、第2の接点信号SC2がハイレベルである場合に、自回線1Lの対向端側に設置された第3の遮断器43が自回線1Lにおける短絡事故により遮断されたと判定して第1のトリップ信号S1を発生するため、上記特許文献1記載の保護継電装置のように「第3の遮断器43が遮断された」旨を示す転送信号を第1の対向端距離継電装置1201から第1の電源端距離継電装置101に転送する必要はない。
なお、第2の電源端距離継電装置102も第1の電源端距離継電装置101と同様に構成することにより、他回線2Lにおける第2の電源端距離継電装置102の第2の保護区間(第2の電源端距離継電装置102の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合に、従来の第2の電源端距離継電装置1102に比べて第2の遮断器42をST2−(TRY+TCB)だけ早く遮断することができる。
以上の説明においては、第3の論理積回路233において動作域判定回路21から出力される第2および第3の判定結果出力信号VD2,VD3の論理積をとるとともに第5の論理積回路235において第3の論理積回路233の出力信号と第4の論理積回路234の出力信号との論理積をとったが、第5の論理積回路235において動作域判定回路21から出力される第3の判定結果出力信号VD3と第4の論理積回路234の出力信号との論理積だけをとるようにしてもよい。
また、第1および第2の電源端距離継電装置101,102を個々に構成したが、一体に構成してもよい。
次に、本発明の第2の実施例による距離継電装置について、図4乃至図6を参照して説明する。
本実施例による距離継電装置である第1の対向端距離継電装置301は、自回線1Lの電源端側に設置された第1の遮断器41の遮断前後における第3および第4の線路電流I3,I4の変化量に基づいて自回線1Lの電源端側における短絡事故発生を検出すると、第3の遮断器43を遮断するための第3のトリップ信号S3を瞬時に発生する機能を備えている点で、図14に示した従来の第1の対向端距離継電装置1201と相違する。
すなわち、図4に示す第1の対向端距離継電装置301は、第3の変流器33から入力される第3の線路電流I3の増加量ΔI3が所定の第3の閾値K3(たとえば、第3の線路電流I3の検出可能な最小値が40mAの場合には120mA)以上であり、かつ、第4の変流器34から入力される第4の線路電流I4の減少量ΔI4が所定の第4の閾値K4(たとえば、第4の線路電流I4の検出可能な最小値が40mAの場合には120mA)以上であり、かつ、自回線1Lの隣回線である他回線2Lの対向端側に設置された第4の遮断器44から入力される第4の接点信号SC4がハイレベルである(第4の遮断器44が遮断されていないことを示す。)ことを条件に、第3のトリップ信号S3を瞬時に発生する。
これを実現するために、第1の対向端距離継電装置301が具備するトリップ信号発生回路40は、図5に示すように、以下に示す点を除いては、図2に示したトリップ信号発生回路20と同様に構成されている。
(1)動作域判定回路41は、対向端母線電圧Vbと第3の線路電流I3とに基づいて第3のインピーダンスZ3(Z3=Vb/I3)を算出したのち、算出した第3のインピーダンスZ3に基づいて第1の対向端距離継電装置301の動作域を判定する。
(2)増加量比較回路45は、第3の線路電流I3の増加量ΔI3を求め、求めた増加量ΔI3が第3の閾値K3以上であるとハイレベルの出力信号を発生する。
(3)減少量比較回路46は、第4の線路電流I4の減少量ΔI4を求め、求めた減少量ΔI4が第4の閾値K4以上であるとハイレベルの出力信号を発生する。
(4)第5の論理積回路435は、第3の論理積回路433の出力信号と第4の論理積回路434の出力信号と第4の接点信号SC4との論理積をとる。
次に、図4に示す自回線1Lにおける第1の対向端距離継電装置301の第2の保護区間(第1の対向端距離継電装置301の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合のトリップ信号発生回路40の動作について、図6を参照して説明する。
この第2の保護区間において図6に示す時刻t0に短絡事故が発生すると、自回線1Lの電源端側に設置された第1の電源端距離継電装置1101が具備するトリップ信号発生回路220(図15参照)は、母線電圧Vaおよび第1の線路電流I1に基づいて第1のインピーダンスZ1(Z1=Va/I1)を算出し、算出した第1のインピーダンスZ1に基づいて第1の電源端距離継電装置1101の1段動作域A1における短絡事故発生を検出すると、第1の遮断器41を遮断するための第1のトリップ信号S1を第1の電源端距離継電装置1101におけるリレー判定時間TRY(50ms)経過後の時刻t1に発生する。その結果、第1の遮断器41は、図6に示すように、第1の電源端距離継電装置1101におけるリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)経過後の時刻t2に完全に遮断される。
一方、自回線1Lの対向端側に設置された第1の対向端距離継電装置301では、事故発生時刻t0から第1の遮断器41が完全に遮断される時刻t2までトリップ信号発生回路40の動作域判定回路41は、対向端母線電圧Vbと第3の線路電流I3とに基づいて算出した第3のインピーダンスZ3のリアクタンス分X3が第1の値B1よりも大きくかつ第2の値B1以下となるので、「第1の対向端距離継電装置301の動作域が2段動作域A2である」と判定して(図16参照)、ハイレベルの第2の判定結果出力信号VD2を出力する。また、動作域判定回路41は、第3のインピーダンスZ3が図16の円内にも入っているため、ハイレベルの第3の判定結果出力信号VD3も出力する。その結果、第3の論理積回路433の出力信号はハイレベルとなる。
しかしながら、他回線2Lの電源端および対向端側に設置された第2および第4の遮断器42,44が遮断されていない場合には、事故発生時刻t0から第1の遮断器41が完全に遮断される時刻t2までは、図6(a),(b)に示すように、第3の線路電流I3の増加量ΔI3は第3の閾値K3よりも小さく(ΔI3<K3)、また、第4の線路電流I4の減少量ΔI4は第4の閾値K4よりも小さいので(ΔI4<K4)、増加量比較回路45および減少量比較回路46からはロウレベルの出力信号が出力されたままである。そのため、第4の論理積回路434の出力信号はロウレベルのままであるので、第3のトリップ信号S3は発生されない。
なお、第4の線路電流I4は、絶対値は大きくなっているが、内部方向(対向端母線から母線に向かう方向)に流れる場合を正とした場合には負の方向に大きくなっているため、減少しているとする。
時刻t2において第1の遮断器41が遮断されると、図6(a),(b)に示すように、第3の線路電流I3の増加量ΔI3が第3の閾値K3以上(ΔI3≧K3)となり、かつ、第4の線路電流I4の減少量ΔI4が第4の閾値K4以上(ΔI4≧K4)となる。その結果、増加量比較回路45および減少量比較回路46からハイレベルの出力信号が出力されるので、第4の論理積回路434の出力信号はロウレベルからハイレベルとなる。このとき、ハイレベルの第4の接点信号SC4が第4の遮断器44から入力されていると、第3および第4の論理積回路433,434の出力信号はともにハイレベルとなっているので、第5の論理積回路435の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
その結果、論理和回路44の出力信号はハイレベルとなるため、第2のフェールセーフ用FDリレー(不図示)から入力される第2のFDリレー出力信号SFD2がハイレベルであると、第6の論理積回路436の出力信号がロウレベルからハイレベルとなり、第3のトリップ信号S3がトリップ信号発生回路40から第3の遮断器43に出力される。なお、第3のトリップ信号S3は、時刻t2から第1の対向端距離継電装置301におけるリレー判定時間TRY(50ms)が経過した時刻t3にトリップ信号発生回路40から出力される。
これにより、第3の遮断器43は、時刻t2から第1の対向端距離継電装置301におけるリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)が経過した時刻t4に完全に遮断される。その結果、図6(a)に破線で示した従来の第1の対向端距離継電装置1201の場合に比べて、第3の遮断器43をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)(=400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
以上説明したように、第1の対向端距離継電装置301のトリップ信号発生回路40は、第3の線路電流I3の増加量ΔI3が第3の閾値K3以上であり、かつ、第4の線路電流I4の減少量ΔI4が第4の閾値K4以上であり、かつ、第4の接点信号SC4がハイレベルである場合に、自回線1Lの電源端側に設置された第1の遮断器41が自回線1Lにおける短絡事故により遮断されたと判定して第3のトリップ信号S3を発生するため、上記特許文献1記載の保護継電装置のように「第1の遮断器41が遮断された」旨を示す転送信号を第1の電源端距離継電装置1101から第1の対向端距離継電装置301に転送する必要はない。
なお、第2の対向端距離継電装置302も第1の対向端距離継電装置301と同様に構成することにより、他回線2Lにおける第2の対向端距離継電装置302の第2の保護区間(第2の対向端距離継電装置302の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合に、従来の第2の対向端距離継電装置1202に比べて第4の遮断器44をST2−(TRY+TCB)だけ早く遮断することができる。
以上の説明においては、第3の論理積回路433において動作域判定回路41から出力される第2および第3の判定結果出力信号VD2,VD3の論理積をとるとともに第5の論理積回路435において第3の論理積回路433の出力信号と第4の論理積回路434の出力信号との論理積をとったが、第5の論理積回路435において動作域判定回路41から出力される第3の判定結果出力信号VD3と第4の論理積回路434の出力信号との論理積だけをとるようにしてもよい。
また、第1および第2の対向端距離継電装置301,302を個々に構成したが、一体に構成してもよい。
さらに、図1に示した第1および第2の電源端距離継電装置101,102と図4に示した第1および第2の対向端距離継電装置301,302とを同時に使用してもよい。
次に、本発明の第3の実施例による距離継電装置について、図7乃至図9を参照して説明する。
本実施例による距離継電装置である第1の負荷端距離継電装置501は、自回線1Lおよび他回線2Lから分岐された自分岐回線3Lおよび他分岐回線4Lがある3端子系統の平衡2回線送電線において、自分岐回線3Lの負荷端側に設置される。
第1の負荷端距離継電装置501は、自回線1Lの電源端側に設置された第1の遮断器41の遮断前後または自回線1Lの対向端側に設置された第3の遮断器43の遮断前後における第5および第6の線路電流I5,I6の変化量に基づいて自回線1Lの電源端側または対向端側における短絡事故発生を検出すると、自分岐回線3Lの負荷端側に設置された第5の遮断器45を遮断するための第5のトリップ信号S5を瞬時に発生する機能を備えている点で、図14に示した従来の第1の電源端距離継電装置1101と相違する。
すなわち、図7に示す第1の負荷端距離継電装置501は、自分岐回線3Lの負荷端側に設置された第5の変流器35から入力される第5の線路電流I5の増加量ΔI5が所定の第5の閾値K5(たとえば、第5の線路電流I5の検出可能な最小値が40mAの場合には120mA)以上であり、かつ、他回線2Lから分岐された他分岐回線4Lの負荷端側に設置された第6の変流器36から入力される第6の線路電流I6の減少量ΔI6が所定の第6の閾値K6(たとえば、第6の線路電流I6の検出可能な最小値が40mAの場合には120mA)以上であり、かつ、自分岐回線3Lの隣回線である他分岐回線4Lの負荷端側に設置された第6の遮断器46から入力される第6の接点信号SC6がハイレベルである(第6の遮断器46が遮断されていないことを示す。)ことを条件に、第5の遮断器45を遮断するための第5のトリップ信号S5を瞬時に発生する。
これを実現するために、第1の負荷端距離継電装置501が具備するトリップ信号発生回路60は、図8に示すように、以下に示す点を除いては、図2に示したトリップ信号発生回路20と同様に構成されている。
(1)動作域判定回路61は、負荷端の母線(以下、「負荷端母線」と称する。)の負荷端母線電圧Vcと第5の線路電流I5とに基づいて第5のインピーダンスZ5(Z5=Vc/I5)を算出したのち、算出した第5のインピーダンスZ5に基づいて第1の負荷端距離継電装置501の動作域を判定する。
(2)増加量比較回路65は、第5の線路電流I5の増加量ΔI5を求め、求めた増加量ΔI5が第5の閾値K5以上であるとハイレベルの出力信号を発生する。
(3)減少量比較回路66は、第6の線路電流I6の減少量ΔI6を求め、求めた減少量ΔI6が第6の閾値K6以上であるとハイレベルの出力信号を発生する。
(4)第5の論理積回路635は、第3の論理積回路633の出力信号と第4の論理積回路634の出力信号と第6の接点信号SC6との論理積をとる。
次に、図7に示す自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置1101の第2の保護区間(第1の電源端距離継電装置1101の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合のトリップ信号発生回路60の動作について、図9を参照して説明する。
この第2の保護区間において図9に示す時刻t0に短絡事故が発生すると、自回線1Lの対向端側に設置された第1の対向端距離継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路は、対向端母線電圧Vbおよび第3の線路電流I3に基づいて第3のインピーダンスZ3(Z3=Vb/I3)を算出し、算出した第3のインピーダンスZ3に基づいて第3の対向端距離継電装置1201の1段動作域A1における短絡事故発生を検出すると、第3の遮断器43を遮断するための第3のトリップ信号S3を第1の対向端距離継電装置1201におけるリレー判定時間TRY(50ms)経過後の時刻t1に発生する。その結果、第3の遮断器43は、第1の対向端距離継電装置1201におけるリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)経過後の時刻t2に完全に遮断される。
一方、自分岐回線3Lの負荷端側に設置された第1の負荷端距離継電装置501では、事故発生時刻t0から第3の遮断器43が完全に遮断される時刻t2までトリップ信号発生回路60の動作域判定回路61は、負荷端母線電圧Vcと第5の線路電流I5とに基づいて算出した第5のインピーダンスZ5のリアクタンス分X5が第1の値B1よりも大きくかつ第2の値B1以下となるため、「第1の負荷端距離継電装置501の動作域が2段動作域A2である」と判定して(図16参照)、ハイレベルの第2の判定結果出力信号VD2を出力する。また、動作域判定回路61は、第5のインピーダンスZ5が図16の円内にも入っているため、ハイレベルの第3の判定結果出力信号VD3も出力する。その結果、第3の論理積回路633の出力信号はハイレベルとなる。
しかしながら、事故発生時には事故電流は自分岐回線3Lおよび他分岐回線4Lを迂回しないため、自分岐回線3Lおよび他分岐回線4Lを流れる第5および第6の線路電流I5,I6は図9(a),(b)に示すように増加も減少もしない。したがって、増加量比較回路65および減少量比較回路66からはロウレベルの出力信号が出力されたままとなる。そのため、第4の論理積回路634の出力信号はロウレベルのままであるので、第5のトリップ信号S5は発生されない。
時刻t2において第3の遮断器43が完全に遮断されると、他回線2Lに流れる事故電流が他分岐回線4Lおよび自分岐回線3Lを迂回して流れるため、図9(a),(b)に示すように、第5の線路電流I5は増加し第6の線路電流I6は減少する。したがって、第5の線路電流I5の増加量ΔI5が第5の閾値K5以上(ΔI5≧K5)であり、かつ、第6の線路電流I6の減少量ΔI4が第6の閾値K6以上(ΔI6≧K6)であると、増加量比較回路65および減少量比較回路66の出力信号はロウレベルからハイレベルとなるため、第4の論理積回路634の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。このとき、ハイレベルの第6の接点信号SC6が第6の遮断器46から入力されていると、第3および第4の論理積回路633,634の出力信号はともにハイレベルとなっているので、第5の論理積回路635の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
なお、第6の線路電流I6は、絶対値は大きくなっているが、内部方向(負荷端母線から自回線1Lに向かう方向)に流れる場合を正とした場合には負の方向に大きくなっているため、減少しているとする。
その結果、論理和回路64の出力信号はハイレベルとなるため、第3のフェールセーフ用FDリレー(不図示)から入力される第3のFDリレー出力信号SFD3がハイレベルであると、第6の論理積回路636の出力信号がロウレベルからハイレベルとなるので、第5のトリップ信号S5がトリップ信号発生回路60から第5の遮断器45に出力される。なお、第5のトリップ信号S5は、時刻t2から第1の負荷端距離継電装置501におけるリレー判定時間TRY(50ms)が経過した時刻t3にトリップ信号発生回路60から出力される。
これにより、第5の遮断器45は、時刻t2からリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)が経過した時刻t4に完全に遮断される。その結果、図9(a)に破線で示した従来の第1の負荷端距離継電装置の場合に比べて、第5の遮断器45をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)(たとえば、400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
なお、図7に示す自回線1Lにおける第1の対向端距離継電装置1201の第2の保護区間(第1の対向端距離継電装置1201の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合にも、同様にして、従来の第1の負荷端距離継電装置の場合に比べて第5の遮断器45をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)だけ早く遮断することができる。
また、第2の負荷端距離継電装置502も第1の負荷端距離継電装置501と同様に構成することにより、他回線2Lにおける第2の電源端距離継電装置1102の第2の保護区間(第2の電源端距離継電装置1102の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合や他回線2Lにおける第2の対向端距離継電装置1202の第2の保護区間(第2の対向端距離継電装置1202の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合に、従来の第2の負荷端距離継電装置に比べて第6の遮断器46をST2−(TRY+TCB)だけ早く遮断することができる。
以上の説明においては、第3の論理積回路633において動作域判定回路61から出力される第2および第3の判定結果出力信号VD2,VD3の論理積をとるとともに第5の論理積回路635において第3の論理積回路633の出力信号と第4の論理積回路634の出力信号との論理積をとったが、第5の論理積回路635において動作域判定回路61から出力される第3の判定結果出力信号VD3と第4の論理積回路634の出力信号との論理積だけをとるようにしてもよい。
また、第1および第2の負荷端距離継電装置501,502を個々に構成したが、一体に構成してもよい。
次に、図1に示した第1および第2の電源端距離継電装置101,102と図4に示した第1および第2の対向端距離継電装置301,302と図7に示した第1および第2の負荷端距離継電装置501,502とを同時に使用した場合のトリップ信号発生回路20,40,60の動作について、図10乃至図13を参照して説明する。
まず、自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置101の第2の保護区間(第1の電源端距離継電装置101の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合のトリップ信号発生回路20,40,60の動作について、図10を参照して説明する。
この第2の保護区間で図10に示す時刻t0に短絡事故が発生すると、第1の対向端距離継電装置301が具備するトリップ信号発生回路40(図5参照)は、対向端母線電圧Vbおよび第3の線路電流I3に基づいて算出した第3のインピーダンスZ3に基づいて第1の対向端距離継電装置301の1段動作域A1における短絡事故発生を検出して、第3の遮断器43を遮断するための第3のトリップ信号S3を第1の対向端距離継電装置301におけるリレー判定時間TRY(50ms)経過後の時刻t1に発生する。その結果、第3の遮断器43は、第1の対向端距離継電装置301におけるリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)経過後の時刻t2に完全に遮断される。
第3の遮断器43が完全に遮断されると、図10(a),(b)に示すように、第1の線路電流I1は増加し第2の線路電流I2は減少する。したがって、第1の線路電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値K1以上(ΔI1≧K1)であり、かつ、第2の線路電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値K2以上(ΔI2≧K2)であると、第1の電源端距離継電装置101が具備するトリップ信号発生回路20(図2参照)の増加量比較回路25および減少量比較回路26からハイレベルの出力信号が出力されるため、第4の論理積回路234の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。このとき、ハイレベルの第2の接点信号SC2が第2の遮断器42から入力されていると、第3および第4の論理積回路233,234の出力信号はともにハイレベルとなっているので、第5の論理積回路235の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
その結果、論理和回路24の出力信号はハイレベルとなるため、第1のFDリレー出力信号SFD1がハイレベルであると、第6の論理積回路236の出力信号がロウレベルからハイレベルとなるので、第1のトリップ信号S1がトリップ信号発生回路20から第1の遮断器41に出力される。なお、第1のトリップ信号S1は、時刻t2から第1の電源端距離継電装置101におけるリレー判定時間TRY(=50ms)が経過した時刻t3にトリップ信号発生回路20から出力される。
これにより、第1の遮断器41は、時刻t2からリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=100ms)が経過した時刻t4に完全に遮断される。その結果、図10(a)に破線で示した従来の第1の電源端距離継電装置1101の場合(図17(b)参照)に比べて、第1の遮断器41をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)(=400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
また、第3の遮断器43が完全に遮断されると、図10(e),(f)に示すように、第5の線路電流I5は増加し第6の線路電流I6は減少する。したがって、第5の線路電流I5の増加量ΔI5が第5の閾値K5以上(ΔI5≧K5)であり、かつ、第6の線路電流I6の減少量ΔI6が第6の閾値K6以上(ΔI6≧K6)であると、第1の負荷端距離継電装置501が具備するトリップ信号発生回路60(図8参照)の増加量比較回路65および減少量比較回路66からハイレベルの出力信号が出力されるため、第4の論理積回路634の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。このとき、ハイレベルの第6の接点信号SC6が第6の遮断器46から入力されていると、第3および第4の論理積回路633,634の出力信号はともにハイレベルとなっているので、第5の論理積回路635の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
その結果、論理和回路64の出力信号はハイレベルとなるため、第3のFDリレー出力信号SFD3がハイレベルであると、第6の論理積回路636の出力信号がロウレベルからハイレベルとなるので、第5のトリップ信号S5がトリップ信号発生回路60から第5の遮断器45に出力される。なお、第5のトリップ信号S5は、時刻t2から第1の負荷端距離継電装置501におけるリレー判定時間TRY(=50ms)が経過した時刻t3にトリップ信号発生回路60から出力される。
これにより、第5の遮断器45は、時刻t2からリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=100ms)が経過した時刻t4に完全に遮断される。その結果、図10(e)に破線で示した従来の第1の負荷端距離継電装置の場合に比べて、第5の遮断器45をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)(=400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
なお、電力系統構成条件により第3の遮断器43の遮断時に第1の線路電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値K1よりも小さく(ΔI1<K1)かつ第2の線路電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値K2よりも小さい(ΔI2<K2)ときには、図11(a),(b)にように第1の遮断器41は遮断されないが、図11(e),(f)に示すように第5の遮断器45が時刻t4に完全に遮断されるため、第1の電源端距離継電装置101によって時刻t4から第1の電源端距離継電装置101のリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB合計時間(=100ms)が経過した時刻t4bに第1の遮断器41は完全に遮断される。その結果、このようなときでも、従来の第1の電源端距離継電装置1101の場合に比べて第1の遮断器41をt6−t4b=ST2−2(TRY+TCB)(=400ms−2×100ms=200ms)だけ早く遮断することができる。
次に、自回線1Lにおける第1の対向端距離継電装置301の第2の保護区間(第1の対向端距離継電装置301の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合のトリップ信号発生回路20,40,60の動作について、図12を参照して説明する。
この第2の保護区間で図12に示す時刻t0に短絡事故が発生すると、第1の電源端距離継電装置101が具備するトリップ信号発生回路20(図2参照)は、母線電圧Vaおよび第1の線路電流I1に基づいて算出した第1のインピーダンスZ1に基づいて第1の電源端距離継電装置101の1段動作域A1における短絡事故発生を検出して、第1の遮断器41を遮断するための第1のトリップ信号S1を第1の電源端距離継電装置101におけるリレー判定時間TRY(50ms)経過後の時刻t1に発生する。その結果、第1の遮断器41は、第1の電源端距離継電装置101におけるリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(50ms)の合計時間(=50ms+50ms=100ms)経過後の時刻t2に完全に遮断される。
第1の遮断器41が完全に遮断されると、図12(c),(d)に示すように、第3の線路電流I3は増加し第4の線路電流I4は減少する。したがって、第3の線路電流I3の増加量ΔI3が第3の閾値K3以上(ΔI3≧K3)であり、かつ、第4の線路電流I4の減少量ΔI4が第4の閾値K4以上(ΔI4≧K4)であると、第1の対向端距離継電装置301が具備するトリップ信号発生回路40(図5参照)の増加量比較回路45および減少量比較回路46からハイレベルの出力信号が出力されるため、第4の論理積回路434の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。このとき、ハイレベルの第4の接点信号SC4が第4の遮断器44から入力されていると、第3および第4の論理積回路433,434の出力信号はともにハイレベルとなっているので、第5の論理積回路435の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
その結果、論理和回路44の出力信号はハイレベルとなるため、第2のFDリレー出力信号SFD2がハイレベルであると、第6の論理積回路436の出力信号がロウレベルからハイレベルとなるので、第3のトリップ信号S3がトリップ信号発生回路40から第3の遮断器43に出力される。なお、第3のトリップ信号S3は、時刻t2から第1の対向端距離継電装置301におけるリレー判定時間TRY(=50ms)が経過した時刻t3にトリップ信号発生回路40から出力される。
これにより、第3の遮断器43は、時刻t2からリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=100ms)が経過した時刻t4に完全に遮断される。その結果、図12(c)に破線で示した従来の第1の対向端距離継電装置1201の場合に比べて、第3の遮断器43をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)(=400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
また、第1の遮断器41が完全に遮断されると、図12(e),(f)に示すように、第5の線路電流I5は増加し第6の線路電流I6は減少する。したがって、第5の線路電流I5の増加量ΔI5が第5の閾値K5以上(ΔI5≧K5)であり、かつ、第6の線路電流I6の減少量ΔI6が第6の閾値K6以上(ΔI6≧K6)であると、第1の負荷端距離継電装置501が具備するトリップ信号発生回路60(図8参照)の増加量比較回路65および減少量比較回路66からハイレベルの出力信号が出力されるため、第4の論理積回路634の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。このとき、ハイレベルの第6の接点信号SC6が第6の遮断器46から入力されていると、第3および第4の論理積回路633,634の出力信号はともにハイレベルとなっているので、第5の論理積回路635の出力信号がロウレベルからハイレベルとなる。
その結果、論理和回路64の出力信号はハイレベルとなるため、第3のFDリレー出力信号SFD3がハイレベルであると、第6の論理積回路636の出力信号がロウレベルからハイレベルとなるので、第5のトリップ信号S5がトリップ信号発生回路60から第5の遮断器45に出力される。なお、第5のトリップ信号S5は、時刻t2から第1の負荷端距離継電装置501におけるリレー判定時間TRY(=50ms)が経過した時刻t3にトリップ信号発生回路60から出力される。
これにより、第5の遮断器45は、時刻t2からリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB(=50ms)の合計時間(=100ms)が経過した時刻t4に完全に遮断される。その結果、図12(e)に破線で示した従来の第1の負荷端距離継電装置の場合に比べて、第5の遮断器45をt6−t4=ST2−(TRY+TCB)(=400ms−100ms=300ms)だけ早く遮断することができる。
なお、電力系統構成条件により第1の遮断器41の遮断時に第3の線路電流I3の増加量ΔI3が第3の閾値K3よりも小さく(ΔI3<K1)かつ第4の線路電流I4の減少量ΔI4が第4の閾値K4よりも小さい(ΔI4<K4)ときには、図13(c),(d)にように第3の遮断器43は遮断されないが、図13(e),(f)に示すように第5の遮断器45が時刻t4に完全に遮断されるため、第1の対向端距離継電装置301によって時刻t4から第1の対向端距離継電装置301のリレー判定時間TRYおよび遮断器遮断時間TCB合計時間(=100ms)が経過した時刻t4bに第3の遮断器43は完全に遮断される。その結果、このようなときでも、従来の第1の対向端距離継電装置1201の場合に比べて第3の遮断器43をt6−t4b=ST2−2(TRY+TCB)(=400ms−2×100ms=200ms)だけ早く遮断することができる。
以上では、負荷電流がない場合について説明したが、図1に示した第1の電源端距離継電装置101では、系統構成や負荷電流などの条件によっては、自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置101の第2の保護区間(第1の電源端距離継電装置101の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合に図3に示した時刻t4よりも早く第1の遮断器41を遮断することができる。
たとえば、図18に示すように負荷電流が短絡事故発生前に自回線1Lおよび他回線2Lに母線から対向端母線に向かって流れていたときに自回線1Lにおける第1の電源端距離継電装置101の第2の保護区間で短絡事故が発生して第1の線路電流I1の増加量ΔI1が第1の閾値K1以上となりかつ第2の線路電流I2の減少量ΔI2が第2の閾値K2以上になると、図2に示したトリップ信号発生回路20から第1のトリップ信号S1が、事故発生時刻t0から第1の電源端距離継電装置101のリレー判定時間TRY(50ms)だけ経過した時刻t1に出力される。これにより、第1の遮断器41は、時刻t1から遮断器遮断時間TCBだけ経過した時刻t2に完全に遮断される。その結果、図3に示した負荷電流がない場合に比べてt4−t2=TRY+TCB(=50ms+50ms=100ms)だけ早く第1の遮断器41を遮断することができる。
また、図4に示した第1の対向端距離継電装置301では、負荷電流が小さければ、自回線1Lにおける第1の対向端距離継電装置301の第2の保護区間(第1の対向端距離継電装置301の2段動作域A2)で短絡事故が発生した場合に図6に示した時刻t4よりも早く第3の遮断器43を遮断することができる。
たとえば、図19に示すように小さな負荷電流が短絡事故発生前に自回線1Lおよび他回線2Lに母線から対向端母線に向かって流れていたときに自回線1Lにおける第1の対向端距離継電装置301の第2の保護区間で短絡事故が発生して第3の線路電流I3の増加量ΔI3が第3の閾値K3以上となりかつ第4の線路電流I4の減少量ΔI4が第4の閾値K4以上になると、図5に示したトリップ信号発生回路40から第3のトリップ信号S3が、事故発生時刻t0から第1の対向端距離継電装置301のリレー判定時間TRY(50ms)だけ経過した時刻t1に出力される。これにより、第3の遮断器43は、時刻t1から遮断器遮断時間TCBだけ経過した時刻t2に完全に遮断される。その結果、図6に示した負荷電流がない場合に比べてt4−t2=TRY+TCB(=50ms+50ms=100ms)だけ早く第3の遮断器43を遮断することができる。
以上説明した第1および第2の電源端距離継電装置101,102と第1および第2の対向端距離継電装置301,202と第1および第2の負荷端距離継電装置501,502においては、背後電源容量、送電線の構成およびインピーダンスなどの条件により適用可能な場合には、母線電圧Vaの変化量ΔVa、対向端母線電圧Vbの変化量ΔVbまたは負荷端母線電圧Vcの変化量ΔVcが所定の第7の閾値K7以上であることを条件に加えてもよい。ここで、第7の閾値K7は、事故継続時のアーク抵抗の変化などや事故現象の変化による電圧変動を考慮して設定すればよく、たとえば5Vとされる。
この場合には、たとえば、図2に示したトリップ信号発生回路20に、母線電圧Vaの変化量ΔVaが第7の閾値K7以上であるとハイレベルの出力信号を発生する変化量比較回路を追加して、第5の論理積回路235においてこの変化量比較回路の出力信号と第3の論理積回路233の出力信号と第4の論理積回路234の出力信号と第2の接点信号SC2との論理積をとるようにすればよい。
また、第1乃至第6閾値K1〜K6は、第1乃至第4の線路電流I1〜I4の検出可能な最小値が40mAの場合には120mA(3倍)としたが、背後電源容量、送電線の構成・インピーダンスおよび変流比(CT比)に応じて第1乃至第4の線路電流I1〜I4の検出可能な最小値の3倍以上の値としてもよい。
さらに、図2に示した第1および第2の遅延回路221,222などの遅延回路は、入力信号を所定の時間だけ遅延する回路で構成してもよいし、入力信号が入力されると所定の回数だけカウントしたのちに出力信号を出力するタイマーで構成してもよい。
本発明の第1の実施例による距離継電装置である第1の電源端距離継電装置101について説明するための図である。 図1に示した第1の電源端距離継電装置101が具備するトリップ信号発生回路20の構成を示す図である。 図2に示したトリップ信号発生回路20の動作を説明するための図である。 本発明の第2の実施例による距離継電装置である第1の対向端距離継電装置301について説明するための図である。 図4に示した第1の対向端距離継電装置301が具備するトリップ信号発生回路40の構成を示す図である。 図5に示したトリップ信号発生回路40の動作を説明するための図である。 本発明の第3の実施例による距離継電装置である第1の負荷端距離継電装置501について説明するための図である。 図7に示した第1の負荷端距離継電装置501が具備するトリップ信号発生回路60の構成を示す図である。 図8に示したトリップ信号発生回路60の動作を説明するための図である。 図1に示した第1および第2の電源端距離継電装置101,102と図4に示した第1および第2の対向端距離継電装置301,302と図7に示した第1および第2の負荷端距離継電装置501,502とを同時に使用したときのトリップ信号発生回路20,40,60の動作を説明するための図である。 図1に示した第1および第2の電源端距離継電装置101,102と図4に示した第1および第2の対向端距離継電装置301,302と図7に示した第1および第2の負荷端距離継電装置501,502とを同時に使用したときのトリップ信号発生回路20,40,60の動作を説明するための図である。 図1に示した第1および第2の電源端距離継電装置101,102と図4に示した第1および第2の対向端距離継電装置301,302と図7に示した第1および第2の負荷端距離継電装置501,502とを同時に使用したときのトリップ信号発生回路20,40,60の動作を説明するための図である。 図1に示した第1および第2の電源端距離継電装置101,102と図4に示した第1および第2の対向端距離継電装置301,302と図7に示した第1および第2の負荷端距離継電装置501,502とを同時に使用したときのトリップ信号発生回路20,40,60の動作を説明するための図である。 3段階距離リレー方式において使用される距離継電装置の動作を説明するための図である。 図14に示した第1の対向端距離継電装置1201が具備するトリップ信号発生回路220の構成を示す図である。 図15に示したトリップ信号発生回路220の動作を説明するための図である。 図15に示したトリップ信号発生回路220の動作を説明するための図である。 負荷電流がある場合の図1に示した第1の電源端距離継電装置101の動作を説明するための図である。 小さな負荷電流がある場合の図4に示した第1の対向端距離継電装置301の動作を説明するための図である。
符号の説明
1 電源
1〜23 第1乃至第3の変成器
1〜36 第1乃至第6の変流器
1〜46 第1乃至第6の遮断器
101,102,1101,1102 第1および第2の電源端距離継電装置
20,40,60,220 トリップ信号発生回路
21,41,61,221 動作域判定回路
221,222,421,422,621,622,2221,2222 第1および第2の遅延回路
231〜236,431〜436,631〜636 第1乃至第6の論理積回路
24,44,64,224 論理和回路
25,45,65 増加量比較回路
26,46,66 減少量比較回路
301,302,1201,1202 第1および第2の対向端距離継電装置
501,502 第1および第2の負荷端距離継電装置
2231〜2233 第1乃至第3の論理積回路
1L 自回線
2L 他回線
3L 自分岐回線
4L 他分岐回線
A1〜A3 1段乃至3段動作域
Va 母線電圧
Vb 対向端母線電圧
Vc 負荷端母線電圧
ΔVa,ΔVb,ΔVc 変化量
1〜I6 第1乃至第6の線路電流
ΔI1,ΔI3,ΔI5 増加量
ΔI2,ΔI4,ΔI6 減少量
1〜Z6 第1乃至第6のインピーダンス
1〜R6 抵抗分
1〜X6 リアクタンス分
1,B2 第1および第2の値
1〜K7 第1乃至第7の閾値
ST1〜ST3 第1乃至第3の時限協調時間
VD1〜VD4 第1乃至第4の判定結果出力信号
1〜S6 第1乃至第6のトリップ信号
FD1〜SFD3 第1乃至第3のFDリレー出力信号
C1〜SC6 第1乃至第6の接点信号
0〜t6,t4a,t4b 時刻
RY リレー判定時間
CB 遮断器遮断時間
P1,P2 点

Claims (9)

  1. 電源端側の母線と対向端側の対向端母線との間に敷設された自回線(1L)および他回線(2L)からなる平衡2回線送電線の該自回線の電源端側若しくは対向端に、または、該自回線および該他回線から分岐された自分岐回線(3L)および他分岐回線(4L)をさらに含む平衡2回線送電線の該自分岐回線の負荷端側に設置される距離継電装置(101;301;501)であって、
    前記自回線または前記自分岐回線における事故発生を検出すると、該自回線または該自分岐回線に設けられた遮断器(41;43;45)を遮断するためのトリップ信号(S1;S3;S5)を発生するトリップ信号発生回路(20;40;60)を具備し、
    該トリップ信号発生回路が、前記自回線または前記自分岐回線を流れる自線路電流(I1;I3;I5)および前記他回線または前記他分岐回線を流れる他線路電流(I2;I4;I6)の変化量に基づいて前記自回線の電源端側または対向端側における事故発生を検出すると前記トリップ信号を瞬時に発生するトリップ信号発生手段を備える、
    ことを特徴とする、距離継電装置。
  2. 前記トリップ信号発生手段が、前記他回線の電源端側若しくは対向端側または前記他分岐回線の負荷端側に設置された隣回線遮断器(42;44;46)が遮断されていないことを条件に、前記自線路電流および前記他線路電流の変化量に基づいて前記自回線の電源端側または対向端側における事故発生を検出すると前記トリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする、請求項1記載の距離継電装置。
  3. 前記トリップ信号発生手段が、前記自線路電流の増加量(ΔI1;ΔI3;ΔI5)が所定の閾値(K1;K3;K5)以上であり、かつ、前記他線路電流の減少量(ΔI2;ΔI4;ΔI6)が所定の他の閾値(K2;K4;K6)以上であることを条件に、前記自線路電流および前記他線路電流の変化量に基づいて前記自回線の電源端側または対向端側における事故発生を検出すると前記トリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする、請求項1または2記載の距離継電装置。
  4. 前記閾値および前記他の閾値が、前記自線路電流および前記他線路電流の検出可能な最小値の3倍以上の値とされることを特徴とする、請求項3記載の距離継電装置。
  5. 前記母線の母線電圧(Va)の変化量(ΔVa)、前記対向端母線の対向端母線電圧(Vb)の変化量(ΔVb)または前記負荷端側の負荷端母線の負荷端母線電圧(Vc)の変化量(ΔVc)が所定の別の閾値(K7)以上であることを条件に、前記トリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする、請求項3または4記載の距離継電装置。
  6. 前記トリップ信号発生手段が、前記自線路電流の増加量が前記閾値以上であり、かつ、前記他線路電流の減少量が前記他の閾値以上である場合に、前記自回線の電源端側または対向端側に設置された他の遮断器(41;43)が該自回線における事故により遮断されたと判定して前記トリップ信号を瞬時に発生することを特徴とする、請求項3乃至5いずれかに記載の距離継電装置。
  7. 前記トリップ信号発生手段が、
    前記自線路電流の増加量を求め、該求めた増加量が前記閾値以上であると出力信号を発生する増加量比較回路(25;45;65)と、
    前記他線路電流の減少量を求め、該求めた減少量が前記他の閾値以上であると出力信号を発生する減少量比較回路(26;46;66)と、
    前記増加量比較回路の出力信号と前記減少量比較回路の出力信号との論理積をとる論理積回路(234;434;634)と、
    を備えることを特徴とする、請求項3乃至6いずれかに記載の距離継電装置。
  8. 前記トリップ信号発生手段が、前記論理積回路の出力信号と前記隣回線遮断器から入力される接点信号(SC2;SC4;SC6)との論理積をとる他の論理積回路(235;435;635)をさらに備えることを特徴とする、請求項7記載の距離継電装置。
  9. 前記他回線の電源端側若しくは対向端側または前記他分岐回線の負荷端側に設置される他の距離継電装置(102;302;502)が、前記距離継電装置と同じ構成を有しかつ一体に構成されていることを特徴とする、請求項1乃至8いずれかに記載の距離継電装置。
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