JP2008120979A - ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその成形体 - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】 緩衝包装材等として好適な密度範囲0.07〜0.6g/mlでありながら、セルが微細かつ独立気泡であり、かつ十分な帯電防止性能を示すポリプロピレン系樹脂発泡シートを提供する。
【解決手段】 特定の零せん断粘度η0および複素粘度η*を有するポリプロピレン系樹脂(a)および、高分子量型帯電防止剤(b)からなる樹脂組成物を押出発泡して得られる、密度0.07〜0.6g/ml、独立気泡率60%以上のポリプロピレン系樹脂発泡シートとすることにより、上記特性を有するポリプロピレン系樹脂発泡シートを得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、帯電防止性を有するポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその成形体に関する。特に、良好な帯電防止性能を示すと共に、セルが微細かつ高い独立気泡率を有することにより、食品容器や各種緩衝包装材として、また、表面の帯電を嫌う電子部品を運搬する際の緩衝材や仕切り材、通いトレー等として特に好適に用いられるポリプロピレン系樹脂発泡シートおよびその成形体に関する。
ポリプロピレン系樹脂発泡シートは、剛性、耐熱性、耐薬品性、緩衝性等に優れることから、従来より食品容器や緩衝包装材として用いられている。しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は、帯電性が大きいために埃がつきやすく、また、電子部品容器として用いる場合などでは、表面にたまった静電気が問題となる場合があった。
そこで、帯電防止剤を用いてポリプロピレン系樹脂発泡シートの帯電防止性能を高める提案がなされている。具体的には、界面活性剤タイプの帯電防止剤を発泡シートの表面に塗布する方法や発泡シートの中に練り込む方法が用いられてきた。
しかしながら、界面活性剤タイプの帯電防止剤は低分子量であることから、表面がべたついたり、被包装物の表面へ移行して汚損してしまうといった望ましくない問題があった。また、電子部品容器等の用途では、表面を水洗して繰り返して用いられることがあり、界面活性剤タイプの帯電防止剤では水洗により表面から失われて所定の帯電防止性能を発現しなくなってしまうことがあるという問題があった。
これに対し、高分子型の帯電防止剤を使用することにより、表面のべたつきや被包装物の表面汚染といった問題を解決しようとする提案がなされている(特許文献1)。
特許文献1では、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン系樹脂が包含される)に対して、特定の結晶化温度と溶融粘度を有する高分子型帯電防止剤を特定比率にて添加してなる樹脂組成物を押出発泡して得られる、特定の密度範囲を有するポリオレフィン系樹脂発泡体の製造方法が開示されている。
しかしながら、この方法で十分な帯電防止性能を発現させるには、ポリオレフィン系樹脂発泡体の密度範囲を65g/L(0.065g/ml)以下とする必要があり、例えば、シートのまま、あるいはトレーなどに熱成形された成形品などとして、緩衝包装材用途において好適に用いられる、密度範囲0.07〜0.6g/mlの発泡体を得ようとする場合、帯電防止性能が十分発現しないという問題があった。
逆に、帯電防止性能を高めるべく高分子型帯電防止剤の配合量を増やした場合、気泡径が粗大化して外観が悪化すると共に、独立気泡率も低下する傾向となり、緩衝性能が低下してしまい、その商品価値が著しく損なわれるという問題があった。
以上のように、十分な帯電防止性能を示しながら、セルが微細かつ独立気泡率の高く、緩衝包装材として好適な特定密度範囲のポリプロピレン系樹脂発泡シートが得られていないのが現状である。
特開2005−194433号公報
本発明の課題は、緩衝包装材として好適な特定の密度範囲を有しながら、セルが微細で、かつ独立気泡であり、さらに、十分な帯電防止性能を示すポリプロピレン系樹脂発泡シートを提供することである。
本発明者らは、前記従来技術の問題に鑑み、特定の粘弾性特性を示すポリプロピレン系樹脂を基材樹脂として使用することにより、高分子型帯電防止剤の添加量を増やしてもセルの粗化や独立気泡率の低下を大幅に抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
210℃における零せん断粘度η0および、210℃での振動数100(/sec)における複素粘度η*が下記(1)および(2)式を満足するポリプロピレン系樹脂(a)100重量部と、2重量部を超え25重量部以下の高分子量型帯電防止剤(b)とからなる樹脂組成物を押出発泡して得られる、密度0.07〜0.6g/ml、独立気泡率60%以上のポリプロピレン系樹脂発泡シート(請求項1)、
Figure 2008120979
Figure 2008120979
前記樹脂組成物が、高分子型帯電防止剤(b)を8重量部超、25重量部以下含有する、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート(請求項2)、
独立気泡率が70%以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート(請求項3)、
シート厚み方向の平均セル径が0.05mm以上0.4mm未満である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート(請求項5)、
シート厚み方向の平均セル径が0.1mm以上0.2mm未満である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート(請求項6)、および
請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られた成形体(請求項7)
に関する。
本発明により、例えば、シートのまま、またはトレーなどに熱成形された成形品などとして、緩衝包装材用途において好適に用いられる密度範囲である0.07〜0.6g/mlを有するポリプロピレン系樹脂発泡シートであっても、優れた帯電防止性能を有し、かつ、その高い独立気泡率により優れた緩衝性能および、その微細な気泡径により優れた外観性を有するポリプロピレン系樹脂発泡シートを、さらに、該発泡シートを熱成形した成形品を得ることができる。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂発泡シートは、特定の零せん断粘度η0および複素粘度η*を有するポリプロピレン系樹脂(a)および、高分子型帯電防止剤(b)からなる樹脂組成物を押出発泡させて製造されるものである。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(a)は、210℃における零せん断粘度η0が下式(1)を満足するものである。
Figure 2008120979
零せん断粘度η0は、せん断速度が非常に小さい場合のせん断粘度の指標である。η0を該範囲とすることにより、十分な帯電防止性能を発揮するのに必要な量の高分子型帯電防止剤を加えても、密度0.07〜0.6g/mlの独立気泡率の高いポリプロピレン系樹脂発泡シートを容易に得ることができる。
本発明におけるポリプロピレン系樹脂組成物(a)の、210℃における零せん断粘度ηoは、1×105≦ηo(Pa・sec)≦5×105が好ましく、1.2 ×105≦ηo(Pa・sec)≦4.5×105がより好ましく、1.5×105≦ηo(Pa・sec)≦4×105がさらに好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(a)の210℃における零せん断粘度η0が1×105Pa・sec未満である場合、高分子型帯電防止剤の添加に伴い、発泡シートの独立気泡率が低下しやすくなる傾向にある。また、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートを熱成形等により成形する場合、発泡シートのドローダウンが大きくなり、良好な成形品を得ることが困難になる傾向にある。
ポリプロピレン系樹脂(a)のη0が5×105Pa・secを超える場合、本発明の発泡シートを得るために用いる樹脂組成物の溶融混練工程で樹脂温度が高くなりやすく、樹脂温度を適切に保つための冷却が不十分になりやすい傾向にある。
さらに、ポリプロピレン系樹脂(a)は、210℃での振動数100(/sec)における複素粘度η*が下式(2)を満足するものである。
Figure 2008120979
複素粘度η*は、せん断速度が比較的高い場合のせん断粘度の指標である。複素粘度η*を前記範囲とすることにより、ポリプロピレン系樹脂(a)および高分子型帯電防止剤(b)が均一に混合され、比較的少ない帯電防止剤の添加量で十分な帯電防止性能を示すポリプロピレン系樹脂発泡シートを得ることができる。
ポリプロピレン系樹脂(a)の複素粘度η*が400Pa・sec未満である場合、ポリプロピレン系樹脂(a)と高分子型帯電防止剤が均一に混合されにくく、帯電防止性能を発揮させるための高分子型帯電防止剤の添加量が多くなり、結果として、得られる発泡シートの独立気泡率が低下しやすくなる傾向にある。
一方、ポリプロピレン系樹脂(a)のη*に上限はないが、通常600Pa・sec以下とすることが好ましい。η*が600Pa・secを超える場合、発泡シートの表面平滑性が悪化し、商品性を損ねる傾向にある。
本発明のポリプロピレン系樹脂(a)の零せん断粘度η0および、振動数100(/sec)における複素粘度η*は、以下のように測定を行い、算出された値である。
両測定においては、対象樹脂を190℃に温調したプレス機を用いて平板状に成形し、ポンチで直径25mmに打ち抜いたものを、測定サンプルとする。
装置としては、Rheometric Scientific F.E.社製のレオメータであるSR−2000を使用する。測定条件としては、210±1℃、測定系内に窒素ガスを流した状態で行う。
零せん断粘度η0の測定は、サンプルを直径25mmのパラレルプレートにはさみ、二枚のプレート間のGapを1.4±0.05mmに調節してプレートからはみ出したサンプル樹脂を除き、20分静置した後、100Paの応力を300秒間かけ、時間tに対するクリープコンプライアンスJ(t)を記録する。
零せん断粘度η0は、J(t)がtに対して直線と見なせる部分における近似直線の傾きの逆数として算出されるが、実際には、付属のコントロールプログラムであるRSI Orchestrator Ver.6.3.2の機能を用いて算出される。
複素粘度η*の測定は、サンプルを直径25mmのコーンプレートにはさみ、二枚のプレート間のGapを0.05±0.005mmに調節してプレートからはみ出したサンプル樹脂を除き、20分静置した後、付属のコントロールプログラムであるRSI Orchestrator Ver.6.3.2の試験モードの一つである、Dynamic Frequency Sweep Test(Stress Control)モードによる試験により、応力条件100Paにて振動数10〜100(/sec)の範囲で複素粘度η*を測定する。この際、100(/sec)におけるη*の値を、210℃での振動数100(/sec)における複素粘度η*として採用した。
なお、ポリプロピレン系樹脂(a)が複数の成分からなる混合物である場合には、各成分についてη0とη*を測定し、下式(3)および(4)よりポリプロピレン系樹脂(a)のη0およびη*を算出する。
Figure 2008120979
<式中、η0a:ポリプロピレン系樹脂(a)の零せん断粘度、wn:ポリプロピレン系樹脂(a)に含まれる成分nの重量分率(w1+w2+・・・・+Wn=1)、η0n:成分nの零せん断粘度>
Figure 2008120979
<式中、η* a:ポリプロピレン系樹脂(a)の振動数100(/sec)における複素粘度、wn:ポリプロピレン系樹脂(a)に含まれる成分nの重量分率(w1+w2+・・・・+Wn=1)、η* n:成分nの振動数100(/sec)における複素粘度>
本発明のポリプロピレン系樹脂(a)を得る方法は特に限定されるものではないが、例えば、好ましい実施態様の一例として、ポリプロピレン系樹脂(以下、「原料樹脂」とよぶこともある)、ラジカル重合性単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練して得られた改質ポリプロピレン系樹脂を、ポリプロピレン系樹脂(a)として、若しくはポリプロピレン系樹脂(a)の一部として使用する方法があげられる。
前記改質ポリプロピレン系樹脂を得るための具体的方法については、例えば、(1)特開平9−188728号公報に記載されている、ポリプロピレン系樹脂と芳香族ビニル単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練する方法、(2)特開平9−188729号公報に記載されている、ポリプロピレン系樹脂とイソプレン単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練する方法、(3)特開平9−278836号公報に記載されている、ポリプロピレン系樹脂と1,3−ブタジエン単量体とラジカル重合開始剤とを溶融混練する方法、等が好ましくあげられる。
さらに、零せん断粘度η0および複素粘度η*を本発明の範囲とするための手段について、詳細に説明する。
ポリプロピレン系樹脂、ラジカル重合性単量体およびラジカル重合開始剤を溶融混練する方法では、原料樹脂の主鎖間の橋かけ反応と主鎖の切断反応が同時に進行するものと考えられ、各々の反応の進み具合によりη0およびη*が変化する。そのため、目標とする改質ポリプロピレン系樹脂を得るには原料樹脂のメルトフローレート(以下、「MFR」とよぶ場合もある)および、原料樹脂に対するラジカル重合性単量体およびラジカル重合開始剤の配合量を調節する必要がある。
具体的に、η0は、原料樹脂のMFR、ラジカル重合開始剤の配合量、ラジカル重合開始剤に対するラジカル重合性単量体の配合比によって調節できる。
一般に、原料樹脂のMFRが小さいと、改質ポリプロピレン系樹脂のη0が大きくなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の配合量が多いと、η0が大きくなる傾向にある。ラジカル重合開始剤に対するラジカル重合性単量体の配合比が大きいと、η0が大きくなる傾向にある。
また、η*も原料樹脂のMFR、ラジカル重合開始剤の配合量、ラジカル重合開始剤に対するラジカル重合性単量体の配合比によって調節できる。
一般に、原料樹脂のMFRが小さいと、改質ポリプロピレン系樹脂のη*が大きくなる傾向にある。ラジカル重合開始剤の配合量が多いと、η*は小さくなる傾向にある。ラジカル重合開始剤に対するラジカル重合性単量体の配合比が大きいと、η*は大きくなる傾向にある。
ポリプロピレン系樹脂(a)として前記改質ポリプロピレン系樹脂を用いる場合、原料樹脂としては、JIS K7210の測定法に従い、230℃での2.16kg荷重の条件にて測定したメルトフローレート(「MFR」とよぶ場合がある)が1.0〜5.0g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。
原料樹脂のMFRが1.0未満である場合、零せん断粘度η0が大きくなりやすく、得られる樹脂中にゲル状物を生じやすくなる傾向がある。MFRが5.0を超える場合、必要なラジカル重合開始剤やラジカル重合性単量体が多く必要になり、経済性を損ねる傾向がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂(a)を得るために、好ましいラジカル重合開始剤の配合量は、使用するラジカル重合開始剤の種類によって異なるが、原料樹脂100重量部に対して概ね0.2〜1.5重量部であり、より好ましくは0.3〜1.0重量部の範囲内にある。ラジカル重合開始剤の配合量が0.2重量部より小さい場合は、前記橋かけ反応が十分に進行せず、η0を本発明の範囲とすることが困難になる傾向にあり、また、前記配合量が1.5重量部より大きい場合は、橋かけ反応が進行しすぎて、η0が過剰に高まりやすくなる傾向がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂(a)を得るために、好ましいラジカル重合開始剤に対するラジカル重合性単量体の配合比は、ラジカル重合開始剤やラジカル重合性単量体の種類によって異なるが、概ね重量比で1.0〜2.5、より好ましくは1.3〜2.0の範囲内にある。前記配合比が1.0より小さい場合には、前記切断反応が優先的に起こり、η0を目標とする範囲内にすることが困難となる傾向がある。また、前記配合比が2.5より大きい場合には、橋かけ反応が優先的に起こり、零せん断粘度η0が過剰に高まりやすくなる傾向がある。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(a)の一部として前記改質ポリプロピレン系樹脂を用いる場合、ポリプロピレン系樹脂(a)は、改質ポリプロピレン系樹脂と、下記その他の樹脂およびゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種とから構成される。
この際、ポリプロピレン系樹脂の特徴である高い剛性や耐薬品性、耐熱性を保持する点から、ポリプロピレン系樹脂(a)に含有されるプロピレン単量体が全体の75重量%以上であることが好ましく、全体の90重量%以上であることがさらに好ましい。ただし、ポリプロピレン系樹脂(a)は、それを構成する成分のペレットまたは粉体の混合物であってよいし、また、一旦各成分を溶融混練して均一化したペレットであってもよい。
前記その他の樹脂およびゴムとして好ましく用いられるものとしては、プロピレンの単独重合体あるいは、プロピレンと他の単量体との共重合体があげられる。前記その他の樹脂またはゴムが、プロピレンと他の単量体との共重合体である場合、好ましく用いられる単量体としては、例えば、エチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1などのα−オレフィン、環状オレフィン、ジイソプロペニルベンゼン;イソプレン、1,3−ブタジエン、クロロプレンなどのジエン系単量体、スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン、ヒドロキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのビニル単量体、ジエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの、多価アルコールと2以上のアクリル酸からなるエステル化合物などがあげられる。これらは、単独で使用しても良く、2種類以上を組み合わせても良い。
また、その他の樹脂およびゴムとして好ましく用いられるものとしては、例えば、ポリエチレン;ポリブテン−1、ポリイソブテン、ポリペンテン−1、ポリメチルペンテン−1などのポリα−オレフィン;エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/オクテン−1共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/α−オレフィン共重合体;エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体などのエチレン/ビニル単量体共重合体;ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのポリジエン系共重合体;スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン−ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体、スチレン/エチレン−プロピレン/スチレン共重合体、スチレン/イソブチレン/スチレン共重合体、スチレン/イソブチレン−ブタジエン/スチレン共重合体;アクリロニトリル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体、メタクリル酸メチル/ブタジエン/スチレングラフト共重合体などのビニル単量体/ジエン系単量体/ビニル単量体グラフト共重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなどのビニル重合体;塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル/スチレン共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体などのビニル系共重合体などがあげられる。
次に、本発明に用いられる高分子型帯電防止剤(b)について、詳細に説明する。
本発明に用いられる高分子型帯電防止剤(b)は、ポリプロピレン系樹脂(a)中に分散し、本発明の発泡シートに帯電防止性能を付与する成分である。また、高分子型帯電防止剤(b)は、高分子量を有するために、発泡シート表面を水洗しても帯電防止効果の低下がないという効果を奏するものである。
ここで、「高分子型」というのは、帯電防止性能を発揮する成分自身が高分子量を有することを意味し、低分子量である界面活性剤(ノニオン系、アニオン系、カチオン系)や、これら界面活性剤を高分子量のマトリクス樹脂でマスターバッチ化したものを意味しない。界面活性剤を含むものを使用した場合、本発明の課題である、発泡シート表面のべたつきや被包装物の汚損、水洗に伴う帯電防止効果の低下といった問題が解決されないばかりか、本発明の効果である、高い独立気泡率である発泡シートを得ることができなくなる。
本発明に用いられる高分子型帯電防止剤(b)としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドなどのポリエーテル、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステルアミド、エチレン−メタクリル酸共重合体などのアイオノマー、ポリオレフィン−ポリエーテル共重合体などがあげられる。
これらのうち、ポリオレフィン−ポリエーテル共重合体は、ポリプロピレン系樹脂(a)中での分散性が良好であり、少ない添加量でも効果的に帯電防止性能を発現させることができるという点から、好ましい。さらに、ポリオレフィンブロックおよびポリエーテルブロックを主成分とするブロック共重合体が、前記の効果が特に高いことから、より好ましい。
ここで、「主成分」とは、共重合体を構成する成分の全量を100重量%とした場合、前記ポリオレフィンブロックおよびポリエーテルブロックで構成されるブロック共重合体が50重量%以上であることを指し、好ましくは70重量%以上であることが好ましい。ポリオレフィンブロック/ポリエーテルブロックの比としては概ね重量比で3/1から1/3の範囲にあることが好ましい。
前記ポリオレフィンブロックを構成する単量体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい具体例としてあげられる。また、前記ポリエーテルブロックを構成する単量体としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドから選ばれる1種又は2種以上が好ましい具体例としてあげられる。
本発明に用いられる高分子型帯電防止剤(b)は、JIS K7210の測定法に従い、190℃での2.16kg荷重の条件にて測定したメルトフローレート(MFR)が、5.0〜50g/10分の範囲にあることが好ましく、10〜30g/10分の範囲があることがより好ましい。高分子型帯電防止剤(b)のMFRが5.0g/10分未満である場合、帯電防止性能が十分でなくなる傾向にある他、ポリプロピレン系樹脂(a)および高分子型帯電防止剤が均一に混合されにくくなり、得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率が低下しやすくなる傾向にある。また、MFRが50g/10分を超える場合も、発泡シートの独立気泡率が低下しやすくなる傾向にある。
以上のような、好ましく用いられる高分子型帯電防止剤(b)の具体例としては、三洋化成工業(株)製のペレスタット300、ペレスタット230、などがあげられる。
本発明における高分子型帯電防止剤(b)の使用量は、ポリプロピレン系樹脂(a)100重量部に対して、2重量部超、25重量部以下が好ましく、8重量部超、20重量部以下がより好ましい。高分子型帯電防止剤(b)の使用量が2重量部未満では、帯電防止性能が十分でなくなる傾向にあり、25重量部を超える場合、得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率が低下しやすくなる傾向にある他、コスト的に不利になる傾向にある。
本発明においては、前記高分子型帯電防止剤(b)の使用により、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの表面抵抗率を、1.0×109以上1.0×1013Ω未満、なかんずく1.0×1010以上1.0×1012Ω未満の好ましい範囲とすることができる。表面抵抗率が1.0×109未満とするには、高分子量型帯電防止剤(b)の添加量を多くする必要があり、経済性を損ねる傾向がある。一方、1.0×1013以上では、十分な帯電防止効果が発揮されない傾向がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂(a)100重量部および、2重量部を超、25重量部以下の高分子量型帯電防止剤(b)からなる樹脂組成物を、押出機を用いた公知の押出発泡法を用いることにより得られる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造に用いられる押出発泡法としては、例えば、前記樹脂組成物を押出機中130〜300℃で溶融させた後に、いわゆる物理発泡剤を圧入し、混練、冷却した後、ダイより大気圧下に押出すことによって発泡シートを得る方法が、好ましく用いられる。
この際用いられる物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素、炭酸ガス、窒素、水などの無機ガスなどの1種類または二種類以上があげられる。これらのなかでも、プロパン、ブタン、ペンタンのような脂肪族炭化水素および炭酸ガスが、安価かつポリプロピレン系樹脂への溶解性が高いという点から、好ましい。
前記物理発泡剤の使用量は、目標とする発泡シートの密度に応じて調整すればよいが、通常、ポリプロピレン系樹脂(a)100重量部に対して、0.5〜5重量部の範囲内にある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造に用いられる、他の押出発泡法としては、気泡径を調節する目的で、発泡核剤を基材樹脂に加えてもよい。具体的に好ましく用いられる発泡核剤としては、重炭酸ソーダとクエン酸等の有機酸の混合物もしくはそのマスターバッチ、タルク、炭酸カルシウムもしくはそのマスターバッチなどがあげられる。
発泡核剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲で必要な気泡径が得られるように調整すればよいが、通常、基材樹脂100重量部に対して、0.1〜5重量部の範囲内にある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの製造に用いられる、また別の押出発泡法の例としては、前記樹脂組成物と、粉体もしくはマスターバッチ化された化学発泡剤とを押出機中で溶融混練、冷却した後、ダイより押出すことによって発泡シートを得る方法も、好ましく用いられる。
この際、化学発泡剤としては、例えば、重炭酸ソーダとクエン酸等の有機酸の混合物、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジンなどがあげられる。
上記方法にて発泡シートを得る際の、前記粉体もしくはマスターバッチ化された化学発泡剤の使用量は、目標とする発泡シートの密度に応じて調整すればよいが、通常、ポリプロピレン系樹脂(a)100重量部に対して0.5〜200重量部の範囲内にある。
また、本発明の発泡シートを得るにあたっては、予め前記樹脂組成物に対して、目的に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、金属石鹸などの安定剤、または滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、収縮防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度は、0.07〜0.6g/mlが好ましく、0.09〜0.45g/mlがより好ましく、0.10〜0.30g/mlがさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度が0.07g/ml未満である場合、本発明が目的とする緩衝包装材等の用途に用いるための剛性が不足する傾向がある。密度が0.6g/mlを超える場合、本発明が目的とする緩衝包装材等の用途に用いるための緩衝性が不足する傾向がある。
前述したように、η0およびη*を本発明の範囲とすることにより、十分な帯電防止性能を発揮するのに必要な量の高分子型帯電防止剤を加えても、密度0.07〜0.6g/mlの独立気泡率の高いポリプロピレン系樹脂発泡シートを容易に得ることができる。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂発泡シートの密度を上記範囲とするためには、例えば、発泡剤の使用量を適切に調整する方法があげられる。この際、本発明の樹脂組成物を用いれば、押出機の温調を調節するなどして前記冷却の程度(押出直前の樹脂温度)を調節することにより、独立気泡率の低下に伴う密度の増大を防ぎ、前記密度を有する発泡シートを容易に得ることができる。具体的な発泡剤の使用量は前記した範囲にあり、使用する発泡剤により異なるが、例えば、ブタンを発泡剤として用いる場合、密度0.6g/ml程度の発泡シートを得るためには、ポリプロピレン系樹脂(a)100重量部に対して0.5〜0.8重量部の範囲とする。また、同様に、密度0.07g/ml程度の発泡シートを得るためには、原料の樹脂組成物100重量部に対して3.4〜4.0重量部の範囲とする。この際の樹脂温度は、過剰な冷却によりダイから吐出される発泡シートの表面に結晶化した樹脂が発生しない程度まで冷却することが好ましく、その範囲は概ね160±4℃の範囲にある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡シートの独立気泡率が60%未満である場合、本発明が目的とする緩衝包装材等の用途に用いるための剛性が不足する傾向にある。また、発泡シートを成形して用いようとする際、加熱時のドローダウン(発泡シートが垂れ下がる現象)が大きくなり、成形品が局部的に薄くなるなどの不具合を生じやすくなる傾向にある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートにおいては、シート厚み方向での平均セル径は0.05mm以上0.4mm未満が好ましく、0.08mm以上0.3mm未満がより好ましく、0.1mm以上0.2未満がさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂発泡シートのシート厚み方向での平均セル径が0.05mm未満の場合、本発明が目的とする緩衝包装材等の用途に用いるための剛性が不足する傾向にある。また、0.5mmを超える場合、発泡シートの外観が悪化する他、熱成形を行なう場合に独立気泡率の低下が起こりやすく、剛性が低下しやすくなる傾向にある。
本発明において、シート厚み方向での平均セル径を上記範囲とするためには、例えば、押出発泡を行なうダイを冷却する、または、ダイリップの開度を小さくするなどの方法により、ダイにおける樹脂圧力を調節する方法があげられる。この際、一般的には樹脂圧力を高めることにより、平均セル径は小さくなる傾向にある。また、前記発泡核剤を添加することによって調節することもでき、発泡核剤の添加量を増やすことにより、平均セル径を小さくすることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの形状に特に制限はないが、通常、0.5mm以上8mm未満、特に1.0mm以上6mm未満の厚みを有するシート状とされる。ポリプロピレン系樹脂発泡シートの厚みが0.5mm未満である場合には、本発明が目的とする緩衝包装材等の用途に用いるための剛性が不足する傾向がある。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの幅は、500mm以上1300mm以下が好ましく、600mm以上1200mm以下がより好ましい。発泡シートの幅を該範囲とすることにより、各種緩衝包装材への適用が容易となる。
本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートの坪量(単位面積あたりの重量)は、目的とする用途に応じて適切に変更すればよいが、通常180〜900g/m2の範囲にある。坪量の調整は、押し出された発泡シートの引取速度を変更することにより、容易に行なうことができる。
本発明である発泡シートは、公知の熱成形法により成形することができる。
熱成形法の例としては、プラグ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、プラグアシスト成形、プラグアシスト・リバースドロー成形、エアスリップ成形、スナップバック成形、リバースドロー成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形などの方法があげられる。
本発明の発泡シートを前記した熱成形法により成形することにより、本発明の成形体を得ることができる。本発明の成形体はトレー、ボウル、その他限定されない形状とすることができ、食品容器や緩衝包装材等に好ましく用いることができる。
次に、本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はかかる実施例に制限されるものではない。
以下に、実施例および比較例に用いた積層発泡シートおよび成形体の評価方法を示す。
[発泡シートの密度測定]
得られた発泡シートに対して、重量と、水没法により求めた体積とから算出した。
[発泡シートの独立気泡率測定]
得られた発泡シートに対して、マルチピクノメータ(湯浅アイオニクス社製)を用い、ASTM D−2856に準じて測定した。
[シート厚み方向での平均セル径]
得られた発泡シートを引取方向と垂直に切り出した切断面の10ヶ所において、厚み方向に引いた直線が横切るセルの数を測定し、平均して厚み方向の平均セル数を算出した。他方、該位置における厚みをノギスで測定して、その平均値として厚みを算出した。
得られた厚み(mm)および平均セル数(個/厚み)から式(5)に従って、平均セル径(mm)を算出した。
Figure 2008120979
[表面抵抗率]
得られた発泡シートを20℃、湿度60%の雰囲気に24時間放置した後、10cm×10cm×厚みに切り出した発泡シートをサンプルとして、JIS K6911に準じて測定した。
測定には、(株)アドバンテスト製R8340型を用いた。印加電圧を500V、印加時間を1分とし、異なる場所から切り出した5つのサンプルについて測定を行い、得られた値を平均して発泡シートの表面抵抗率(Ω)を算出した。
得られた表面抵抗率は、下記の基準で評価した。
○:表面抵抗率が1×1012(Ω)未満
△:表面抵抗率が1×1012以上1×1013(Ω)未満
×:表面抵抗率が1×1013(Ω)以上。
[熱成形性評価]
得られた発泡シートを、m巾連続真空成形機(浅野研究所社製、FLC415型)に付随する、1ゾーンに巾方向に9個、流れ方向に9個の遠赤外線セラミックヒータを備えた2ゾーン式の加熱炉を用いて、連続した発泡シートを送りチェーンでクランプし、加熱時間を20秒として成形位置方向に送りながら加熱した。同時に、該成形機の加熱炉の最終ゾーン中央に備えられている非接触式放射温度計(パイロメータ)を用いて、加熱中の発泡シートの上下表面温度を測定したところ、発泡シート表面温度は154℃であった。
さらに、前記した条件で加熱された発泡シートを、縦方向に8個、幅方向に18個の長方形収納部を有するトレー金型(収納部サイズ:長さ100mm、幅50mm、高さ20mm、金型クリアランス:2.2mm)を用いて、マッチド・モールド両面真空成形法に従い熱成形することにより、評価用の成形体を得た。
得られた成形体の評価を、以下の基準に従って行った。
○:1ショットで得られる成形体の全てについて、しわや部分的に薄くなった部分が見られない。
×:1ショットで得られる成形体の一部もしくは全部にしわや部分的に薄くなった部分が見られる。
実施例および比較例に用いた樹脂は、以下のとおりである。
(製造例1)
原料ポリプロピレン(プライムポリマー製、F102W、230℃でのMFR=2g/10分)100重量部および、ラジカル開始剤であるt−ブチルパーオキシ−イソプロピルモノカーボネート(日本油脂社製パーブチルI)0.35重量部をリボンブレンダーで撹拌混合した配合物を、計量フィーダーを用いて、2軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX44XCT−38)に供給し、液添ポンプを用いて押出機途中からイソプレンを、原料ポリプロピレン100重量部に対して0.5重量部の割合(ラジカル重合開始剤に対するラジカル重合性単量体の配合比B/A=1.4)にて供給し、前記2軸押出機中で溶融混練することにより、(樹脂1)のペレットを得た。
なお、前記2軸押出機は、同方向2軸タイプであり、スクリュー径が44mmφであり、最大スクリュー有効長(L/D)が38であった。この2軸押出機のシリンダー部の設定温度を、イソプレン単量体圧入までは180℃、イソプレン圧入以降は200℃とし、スクリュー回転速度を120rpmに設定した。
(製造例2〜7)
表1に示したように、原料ポリプロピレンの種類、ラジカル開始剤の配合量、イソプレンの配合量(ラジカル重合開始剤に対するラジカル重合性単量体の配合比B/A)をそれぞれ変更した以外は、(樹脂1)と同様の操作により(樹脂2)〜(樹脂7)のペレットを得た。
表1には、実施例および比較例で(樹脂a)として用いるポリプロピレン系樹脂である(樹脂1)〜(樹脂7)の210℃における零せん断粘度η0と、210℃での振動数100(/sec)における複素粘度η*を示した。
Figure 2008120979
(樹脂8)
(樹脂1)70重量部およびプライムポリマー製ホモポリプロピレン(F113G、230℃でのMFR=3g/10分)30重量部からなる混合物組成物を用いた。ここで、式(3)より計算した組成物のη0は2.43×105Pa・sec、式(4)より計算した振動数100(/sec)における複素粘度η*は580Pa・secであった。
(樹脂9)
サンアロマー製ホモポリプロピレン、PF−814(230℃での2.16kg荷重におけるMFR=3g/10分、210℃におけるη0=0.14×105Pa・sec、210℃での振動数100(/sec)における複素粘度η*=290Pa・sec)
(樹脂10)
サンアロマー製ポリプロピレン−ポリエチレンブロック共重合体、SD−632(230℃、2.16kgにおけるMFR=3g/10分、210℃におけるη0=0.13×105Pa・sec、210℃での振動数100(/sec)における複素粘度η*=280Pa・sec)
実施例および比較例に用いた帯電防止剤は、以下のとおりである。
帯電防止剤T1:高分子量型帯電防止剤、三洋化成工業(株)製、ペレスタット300(190℃での2.16kg荷重におけるMFR=30g/10分)
帯電防止剤T1:高分子量型帯電防止剤、三洋化成工業(株)製、ペレスタット230(190℃での2.16kg荷重におけるMFR=10g/10分)
帯電防止剤T1:ノニオン性界面活性剤型帯電防止剤、花王(株)製、エレクトロストリッパーTS−3B
(実施例1)
ポリプロピレン系樹脂(a)として(樹脂1)100重量部と、高分子量型帯電防止剤(b)として、三洋化成工業(株)製、ペレスタット300(190℃での2.16kg荷重におけるMFR=30g/10分)10重量部からなる樹脂組成物に、さらに重曹−有機酸系化学発泡剤のマスターバッチ(大日精化社製、PO510K)1.0重量部を加え、リボンブレンダーで混合した。
上記配合物を90−125mmφタンデム型押出機に供給し、200℃に設定した第1段押出機(90mmφ)中にて溶融させた後、発泡剤としてイソブタンを(樹脂1)100重量部に対し2.0重量部圧入混合し、160℃(ダイスの樹脂流入部に設置した温度センサーによって測定)に設定した第2段押出機(125mmφ)中で冷却し、サーキュラーダイ(口径127mmφ)より大気圧下に吐出し、外径335mm、本体長さ800mmの冷却筒にて成形しながら引き取りつつ延伸・冷却し円筒型発泡体を得、これをカッターで切り開くことにより1035mm巾の発泡シートを得た。
得られた発泡シートを用いて、シートの厚み、密度、独立気泡率、シート厚み方向での平均セル径および表面抵抗率を測定し、さらに、加熱成形性評価を行った。その結果を、表2に示す。
(実施例2〜13、比較例1〜7)
表2に示したように、ポリプロピレン系樹脂(a)、高分子量型帯電防止剤(b)の種類および配合量、発泡剤の使用量を変更した以外は、実施例1と同様にして、発泡シートを得た。
得られた発泡シートを用いて、シートの厚み、密度、独立気泡率、シート厚み方向での平均セル径および表面抵抗率を測定し、さらに、加熱成形性評価を行った。その結果を、表2または表3に示す。
(比較例8)
高分子量型帯電防止剤(b)の代わりに、低分子量型帯電防止剤として、ノニオン型界面活性剤(花王(株)製、エレクトロストリッパーTS−3B)1.0重量部を用いた以外は、実施例1と同様の操作により、発泡シートを得た。
得られた発泡シートを用いて、シートの厚み、密度、独立気泡率、シート厚み方向での平均セル径および表面抵抗率を測定し、さらに、加熱成形性評価を行った。その結果を、表3に示す。
Figure 2008120979
Figure 2008120979
表2および表3から明らかなように、本発明のポリプロピレン系樹脂発泡シートは、特定の粘弾性特性(η0およびη*)を示すポリプロピレン系樹脂(a)および高分子量型帯電防止剤(b)を用いることにより、緩衝包装材等として好適な密度範囲である0.07〜0.6g/mlにおいても、十分な帯電防止効果と高い独立気泡率を併せ持つようにすることができる。また、高分子量型帯電防止剤(b)の添加に伴うセル径の粗化が起こらず、微細なセルを有せしめることができる。
さらには、本発明の発泡シートは熱成形により容易にしわ等の外観不良のない、本発明の成形体とすることができる。

Claims (6)

  1. 210℃における零せん断粘度η0および、210℃での振動数100(/sec)における複素粘度η*が下記(1)および(2)式を満足するポリプロピレン系樹脂(a)100重量部に対して、高分子型帯電防止剤(b)を2重量部超、25重量部以下含有する樹脂組成物を押出発泡して得られるポリプロピレン系樹脂発泡シートであって、密度が0.07〜0.6g/mlおよび独立気泡率が60%以上である、ポリプロピレン系樹脂発泡シート。
    Figure 2008120979
    Figure 2008120979
  2. 前記樹脂組成物が、高分子型帯電防止剤(b)を8重量部超、25重量部以下含有する、請求項1記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  3. 独立気泡率が70%以上である、請求項1または2に記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  4. シート厚み方向の平均セル径が0.05mm以上0.4mm未満である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  5. シート厚み方向の平均セル径が0.1mm以上0.2mm未満である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シート。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリプロピレン系樹脂発泡シートを熱成形して得られた成形体。
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