JP2008115117A - 2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安価な過酸化水素を用いて、操作性よく、良好な収率で、カテコールから2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造する方法を提供すること。
【解決手段】モリブデン、タングステン及びレニウムから選ばれる元素を含む化合物の存在下、カテコールと過酸化水素とを反応させることにより2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造する。この反応は、好ましくはモリブデンを含む化合物の存在下で行われる。
【選択図】なし
【解決手段】モリブデン、タングステン及びレニウムから選ばれる元素を含む化合物の存在下、カテコールと過酸化水素とを反応させることにより2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造する。この反応は、好ましくはモリブデンを含む化合物の存在下で行われる。
【選択図】なし
Description
本発明は、カテコールから2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造する方法に関する。2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンは液晶材料等の原料として有用である。
カテコールを直接三量化して2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造する方法として、特開平9−118642号公報(特許文献1)には、遷移金属化合物、具体的には塩化鉄(III)6水和物と、カテコールとを反応させ、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン、該化合物の鉄錯体及びキノン体を含む混合物を得て、その後、該混合物を還元処理し、上記鉄錯体及びキノン体を2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンに転化させる方法が記載されている。
また、国際公開第05/037754号パンフレット(特許文献2)には、過酸化物、具体的には過硫酸塩や過酸化水素と、カテコールとを反応させる方法が記載され、特開2005−104870号公報(特許文献3)には、酸化剤、具体的には過酸化水素の存在下、遷移金属化合物、具体的には硫酸鉄(II)を触媒として用いることにより、カテコールを三量化させる方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、上記鉄錯体を含む混合物を還元処理する必要があり、操作が煩雑であった。また、特許文献2ないし3に記載の方法では、過酸化物ないし酸化剤として安価な過酸化水素を用いるのがよいが、その場合には、2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの収率が低く、満足のいくものではなかった。
そこで、本発明の目的は、安価な過酸化水素を用いて、操作性よく、良好な収率で、カテコールから2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造しうる方法を提供することにある。
本発明者は鋭意研究を行った結果、所定の金属化合物の存在下、カテコールと過酸化水素とを反応させることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、モリブデン、タングステン及びレニウムから選ばれる元素を含む化合物の存在下、カテコールと過酸化水素とを反応させることを特徴とする2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、安価な過酸化水素を用いて、操作性よく、良好な収率で、カテコールから2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明では、モリブデン、タングステン及びレニウムから選ばれる元素を含む化合物の存在下で、カテコールと過酸化水素とを反応させる。かかる反応により、良好な収率で、カテコールから2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを製造することができる。
モリブデンを含む化合物としては、例えば、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸アンモニウムのようなモリブデン酸塩、モリブデン酸、リンモリブデン酸、酸化モリブデン、炭化モリブデン、ホウ化モリブデン、チッ化モリブデン、硫化モリブデン、ケイ化モリブデン、塩化モリブデン等が挙げられる。タングステンを含む化合物としては、例えば、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸カリウム、タングステン酸アンモニウムのようなタングステン酸塩、タングステン酸、酸化タングステン、炭化タングステン、ホウ化タングステン、チッ化タングステン、硫化タングステン、ケイ化タングステン、塩化タングステン等が挙げられる。レニウムを含む化合物としては、例えば、酸化レニウム、メチルトリオキソレニウム等が挙げられる。尚、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、モリブデンを含む化合物が好ましい。
上記化合物は、通常、触媒として使用され、その使用量は、カテコール1モルに対して、通常0.0005〜0.2モル、好ましくは0.001〜0.05モルである。
本発明で用いられる過酸化水素は、水溶液であってもよいし、有機溶媒に溶解させてなる溶液であってもよい。入手性や取り扱いの観点からは、水溶液が好ましく用いられる。
過酸化水素の使用量は、カテコール1モルに対して、通常0.8〜5.0モル、好ましくは1.0〜1.5モルである。
上記反応は、通常、溶媒を用いて行われる。かかる溶媒としては、水や、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールのようなアルコール、アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンのようなエーテル、酢酸エチルのようなエステル、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルムのような塩素化脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、モノクロロベンゼンのような塩素化芳香族炭化水素、アセトニトリルのようなニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドのようなホルムアミド類等が挙げられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも、水や、水と他の溶媒との混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。溶媒の使用量は、カテコールに対し、通常1〜50重量倍である。
さらに、上記反応は、有機酸や無機酸の存在下で好ましく行われる。有機酸としては、酢酸、安息香酸、トリフルオロ酢酸のようなカルボン酸や、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸のようなスルホン酸等が挙げられ、無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。尚、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。中でも無機酸が好ましく、硫酸がより好ましい。
また、有機酸や無機酸は、そのまま用いてもよいし、溶媒に溶解させてなる溶液として用いてもよい。中でも、50〜80重量%硫酸が好ましく用いられる。有機酸又は無機酸の使用量は、カテコール1モルに対し、通常1〜100モルである。
また、上記反応を行う際、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラブチルアンモニウムのようなテトラブチルアンモニウム塩、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムブロミド、硫酸水素メチルトリオクチルアンモニウムのようなメチルトリオクチルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩を添加してもよく、ドデシル硫酸ナトリウムのようなスルホン酸塩、ポリエチレングリコールのようなポリエーテル、三フッ化ホウ素エーテル錯体のようなルイス酸等を添加してもよい。尚、必要に応じてそれらの2種以上を用いてもよい。
モリブデン、タングステン及びレニウムから選ばれる元素を含む化合物、カテコール並びに過酸化水素の混合処方については特に制限はないが、上記反応に溶媒を用いる場合には、上記化合物、カテコール及び溶媒との混合物に、過酸化水素の水溶液(過酸化水素水)を加えるのが好ましく、その際、過酸化水素水を一括で加えてもよいし、滴下してもよい。上述した有機酸や無機酸、及び/又は添加剤を加える場合も、その混合処方は適宜選択される。
反応は、常圧、減圧又は加圧条件下で行うことができる。また、反応温度は、通常0〜100℃、好ましくは0〜50℃、より好ましくは10〜40℃である。
反応の経過はガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、核磁気共鳴スペクトル等で追跡することができる。反応後の後処理操作は適宜選択されるが、例えば、反応混合物をろ過して得られるろ残を、再結晶や洗浄等の既知の方法で精製することにより、所望の2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンを得ることができる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれによって限定されるものではない。
実施例1
200mL3つ口フラスコに、75重量%硫酸82g、カテコール16.5g及びモリブデン酸ナトリウム0.1gを加えた。得られた混合物に60重量%過酸化水素水10.2gを30℃で滴下し、その後、30℃で4.5時間、保温攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ残を水洗したところ、該ろ残中に2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンが9.4g含まれていた。カテコールに対する2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの収率は58%であった。
200mL3つ口フラスコに、75重量%硫酸82g、カテコール16.5g及びモリブデン酸ナトリウム0.1gを加えた。得られた混合物に60重量%過酸化水素水10.2gを30℃で滴下し、その後、30℃で4.5時間、保温攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ残を水洗したところ、該ろ残中に2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンが9.4g含まれていた。カテコールに対する2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの収率は58%であった。
実施例2
200mL3つ口フラスコに、75重量%硫酸82g、カテコール16.5g及び酸化レニウム0.1gを加えた。得られた混合物に60重量%過酸化水素水10.2gを30℃で滴下し、その後、30℃で4.5時間、保温攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ残を水洗したところ、該ろ残中に2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンが6.0g含まれていた。カテコールに対する2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの収率は37%であった。
200mL3つ口フラスコに、75重量%硫酸82g、カテコール16.5g及び酸化レニウム0.1gを加えた。得られた混合物に60重量%過酸化水素水10.2gを30℃で滴下し、その後、30℃で4.5時間、保温攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ残を水洗したところ、該ろ残中に2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンが6.0g含まれていた。カテコールに対する2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの収率は37%であった。
比較例1
200mL3つ口フラスコに、75重量%硫酸82g及びカテコール16.5gを加えた。得られた混合物に60重量%過酸化水素水10.2gを30℃で滴下し、その後、30℃で4.5時間、保温攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ残を水洗したところ、該ろ残中に2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンが4.6g含まれていた。カテコールに対する2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの収率は29%であった。
200mL3つ口フラスコに、75重量%硫酸82g及びカテコール16.5gを加えた。得られた混合物に60重量%過酸化水素水10.2gを30℃で滴下し、その後、30℃で4.5時間、保温攪拌した。得られた反応混合物をろ過し、ろ残を水洗したところ、該ろ残中に2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンが4.6g含まれていた。カテコールに対する2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの収率は29%であった。
Claims (2)
- モリブデン、タングステン及びレニウムから選ばれる元素を含む化合物の存在下、カテコールと過酸化水素とを反応させることを特徴とする2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの製造方法。
- 前記元素がモリブデンである請求項1に記載の方法。
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JP2006299960A JP2008115117A (ja) | 2006-11-06 | 2006-11-06 | 2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレンの製造方法 |
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JP2014031351A (ja) * | 2012-08-06 | 2014-02-20 | Wako Pure Chem Ind Ltd | 2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン類の製造方法 |
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2006
- 2006-11-06 JP JP2006299960A patent/JP2008115117A/ja active Pending
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JP2014031351A (ja) * | 2012-08-06 | 2014-02-20 | Wako Pure Chem Ind Ltd | 2,3,6,7,10,11−ヘキサヒドロキシトリフェニレン類の製造方法 |
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