JP2008087272A - インクジェット描画装置及びインクジェット描画方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】画像ムラがなく、高画質な画像を高速印刷が可能で、かつ、インクジェットヘッドの吐出不良が発生することも防止できるインクジェット描画装置を提供すること。
【解決手段】被記録媒体上に活性光線硬化型インクのインク液滴を吐出するインクジェットヘッドと、インク液滴が着弾した被記録媒体上に活性光線を照射する活性光線照射部と、インクジェットヘッド近傍に高濃度酸素ガスを供給する高濃度酸素ガス供給部と、活性光線照射部近傍に高濃度窒素ガスを供給する高濃度窒素ガス供給部とを有する構成とすることで上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッドからインク液滴を吐出させ被記録媒体上に画像を形成するインクジェット描画の分野に属し、より詳しくは、インクとして活性光硬化型のインクを用い被記録媒体上に形成した画像に活性光線を照射して被記録媒体上に画像を定着させるインクジェット描画装置及びインクジェット描画方法に関するものである。
紙や、樹脂フィルム、金属板等の被記録媒体に画像を描画する装置としては、インクを液滴として吐出して被記録媒体上に着弾させて、画像を形成するインクジェット描画方式がある。
インクジェット描画方式を用いるインクジェット描画装置としては、紫外線等の光を照射することにより硬化する活性光線硬化型インクを吐出させて被記録媒体上に着弾させ、着弾したインクに光照射手段から光を照射させてインクを硬化させて、画像を被記録媒体上に定着させるインクジェット描画装置がある(特許文献1、特許文献2参照)。
例えば、特許文献1には、紫外線硬化型インクを記録ヘッドから被記録媒体に吐出し、前記被記録媒体に着弾した前記紫外線硬化型インクに紫外線照射手段から紫外線を照射して硬化させることで画像を定着させるインクジェット描画装置において、前記紫外線照射手段は、光源と、前記光源から照射される紫外線を前記被記録媒体上に反射する反射板とを備え、前記反射板の記録ヘッド側内面には、側面反射板が前記被記録媒体に向かうにしたがって前記記録ヘッドから遠ざかるように傾斜して設けられ、前記側面反射板の前記記録ヘッド側の空間を光トラップ部としたことを特徴とするインクジェット描画装置が記載されている。
特許文献2には、光の照射により硬化する光硬化性インクを液滴として被記録媒体に吐出するヘッドと、被記録媒体に着弾した光硬化性インク滴に光を照射する照射手段と、被記録媒体に着弾した光硬化性インク滴に対して前記照射手段により光が照射される領域を外気から遮断する遮断手段と、空気の窒素成分を濃縮して窒素ガスを発生させる窒素ガス発生手段を有し、前記領域に窒素ガスを供給する窒素ガス供給手段と、前記領域から排気を行うとともに、排気された気体を前記窒素ガス発生手段に供給する排気手段とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタが記載されている。
特開2005−125753号公報 特開2003−285424号公報
ここで、インクとして活性光線硬化型インクを用いるインクジェット描画装置は、活性光線が照射されると硬化するため、インク液滴を吐出するインクジェットヘッドの吐出部に活性光線が照射されると、吐出部のインクが硬化し、インク液滴を吐出することができなくなるという問題がある。
また、被記録媒体上に着弾したインク液滴は、硬化するまで流動性を有するため、画像記録から所定時間を経過すると、位置ずれ、にじみ等が生じるという問題がある。
特許文献1に記載のインクジェット描画装置は、光源から照射される紫外線を被記録媒体上に反射する反射板の記録ヘッド側の空間を光トラップ部とすることで、紫外線が記録ヘッド側に漏れ出すことを効果的に阻止されると記載されている。
しかしながら、光源から照射される光は、被記録媒体で散乱されるため、反射体の形状で漏れ出すことを防止するのには、限界があるという問題がある。
また、引用文献2に記載のインクジェットプリンタは、被記録媒体に着弾した光硬化型インク滴が照射手段によって照射される箇所に、窒素ガスを発生し供給する窒素ガス供給手段によって窒素ガスを供給することで、インクの周囲の酸素濃度を低下させる。これにより照射手段によって照射される光が紫外線である場合、着弾した光硬化型インク滴は、酸素によって硬化阻害を生じず、硬化エネルギーを大きくせずとも被記録媒体上で確実に硬化することができると記載されている。
活性光線硬化型インクのうちラジカル重合型の活性光線硬化型インクは、酸素により重合が阻害されるため、特許文献2に記載のインクジェットプリンタを用いることで、窒素雰囲気で紫外線を照射することで、効率よく短時間で画像を硬化することができる。
しかしながら、特許文献2に記載のインクジェットプリンタでは、画像定着の高速化は実現できるが、光源から射出された光が漏れ出しインクジェットヘッドに到達して、吐出不良を生じさせることを防止することはできないという問題がある。
本発明の目的は、上記従来技術に基づく問題点を解消し、画像ムラがなく、高画質な画像を高速印刷が可能で、かつ、インクジェットヘッドの吐出不良が発生することも防止できるインクジェット描画装置及びインクジェット描画方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、被記録媒体上にラジカル重合型の活性光線硬化型インクのインク液滴を吐出するインクジェットヘッドと、前記インク液滴が着弾した前記被記録媒体上に活性光線を照射する活性光線照射部と、前記インクジェットヘッド近傍に高濃度酸素ガスを供給する高濃度酸素ガス供給部と、前記活性光線照射部近傍に高濃度窒素ガスを供給する高濃度窒素ガス供給部とを有するインクジェット描画装置を提供するものである。
さらに、空気中の酸素と窒素を分離して前記高濃度酸素ガス及び前記高濃度窒素ガスを精製し、前記高濃度酸素ガス供給部に前記高濃度酸素ガスを供給し、前記高濃度窒素ガス供給部に前記前記高濃度窒素ガスを供給する供給機構を有することが好ましい。
また、前記分離機構は、分子篩炭により窒素と酸素を分離する吸着法を用い、前記高濃度酸素ガスおよび前記高濃度窒素ガスを精製することが好ましい。
さらに、前記高濃度窒素ガスは、窒素濃度が80%以上100%以下であり、前記高濃度酸素ガスは、酸素濃度が25%以上100%以下であることが好ましい。
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様は、被記録媒体上に画像を描画するインクジェット描画方法であって、高濃度酸素ガス雰囲気でラジカル重合型の活性光線硬化型インクのインク液滴を被記録媒体上に吐出し、高濃度窒素ガス雰囲気で前記インク液滴が着弾した被記録媒体に活性光線を照射し、前記被記録媒体上のインク液滴を硬化させるインクジェット描画方法を提供するものである。
ここで、酸素濃度が25%以上100%以下の高濃度酸素ガスを前記被記録媒体上に、より詳しくは、前記被記録媒体とインクジェットヘッド間に供給して、前記高濃度酸素雰囲気を形成し、窒素濃度が80%以上100%以下の高濃度窒素ガスを前記被記録媒体上に供給して、前記高濃度窒素雰囲気を形成することが好ましい。
本発明によれば、被記録媒体に高速で画像を描画し、定着することができ、かつ、被記録媒体上に着弾したインクに位置ずれが生じることや、にじみが生じることを防止できる。
また、活性光線がインクジェットヘッドの吐出部に到達しても、吐出部付近のインクが硬化することを防止でき、吐出部のインク詰まり等による吐出不良が生じることを防止できる。また、吐出部付近のインクの硬化を防止しつつ、より強度の強い活性光線を照射することが可能となり、短時間で被記録媒体上の画像を硬化することができ、画像描画をより高速化することができる。
つまり、本発明によれば、画像ムラのない高画質な画像を高速で作成することができ、かつ、故障しにくいインクジェット描画装置とすることができる。
本発明に係るにインクジェット描画装置及びインクジェット描画方法について、添付の図面に示す実施形態を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の第2の態様のインクジェット描画方法を用いる本発明の第1の態様のインクジェット描画装置の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1に示したインクジェット描画装置の上面図である。
ここで、以下の各実施形態では、活性光線(以下「活性エネルギー」ともいう。)の照射によって硬化するラジカル重合型の活性光線硬化型インク(活性エネルギー硬化型インクともいう)のうちラジカル重合型の紫外線硬化型インク(以下「UVインク」ともいう。)を使用する活性光線硬化型インクジェット描画装置を例に説明するが、これに限定されることはなく、ラジカル重合型の各種活性光線硬化型インクを用いるインクジェット描画装置に適用することができる。
ここで、ラジカル重合型とは、活性光線(本実施形態では、紫外線)を照射されることでラジカルを発生して連鎖的に重合を開始するが、このラジカルは、空気中の酸素と反応すると消費され、重合連鎖反応が阻害されるという特性を有するインクである。
インクジェット描画装置10は、搬送部12と、インクジェットヘッド14と、活性光線照射部16と濃縮ガス供給機構18とを有する。
搬送部12は、搬送ローラ対20と、搬送ローラ対22とを有し、被記録媒体Pを搬送する(図1中矢印方向)。
搬送ローラ対20及び搬送ローラ対22とは、図示しない供給機構から供給された被記録媒体Pを挟持して搬送する。
インクジェットヘッド14は、被記録媒体Pの搬送方向に対して直交する方向の被記録媒体Pの全域、つまり、被記録媒体Pの幅方向の全域に一定間隔で多数の吐出口(ノズル、インク吐出部)が配置されたフルライン型であり、かつ、ピエゾ型のインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド14は、図示しない制御部によりインク液滴の吐出量、吐出タイミングが制御される。また、インクジェットヘッド14は、ラジカル重合型の紫外線硬化型インク(以下単に「UVインク」ともいう。)を貯蔵したインクタンク(図示せず)に接続されており、インクタンクからインクが供給される。
図3は、インクジェットヘッド62のインク吐出部分の概略構成を示す断面図である。
インクジェットヘッド62は、ケース102と、ノズルプレート104と、ガードプレート106と、インクジェット素子108を有する。ここで、図3に示したインクジェットヘッド14は、ケース102とノズルプレート104とによりインクの流路が形成され、インク流路の側面に相当する位置のノズルプレート104には複数のノズル(吐出口)104aが連通され、インク流路の側面のノズル104aからインク液滴を吐出する、いわゆるside shooter型のインクジェットヘッドである。
以下、インクジェットヘッド62の各部材について詳細に説明する。
ケース102は、中空の箱型形状であり、1つの面に複数のインク出口102aと、複数のインク入口102bとが形成され、これらインク出口102a及びインク入口102bが形成された面に対向する面のインク出口102aとインク入口102bとの間となる位置にそれぞれ吐出口102cが形成されている。また、ケース102内部の圧力室でもあるインク流路には各吐出口102cに対応してピエゾ型(例えばPZT駆動など)のインクジェット素子108が配置されている。
ノズルプレート104は、ケース102の吐出口102c側の面に配置され、吐出口102cに対応する位置にノズル104aが形成されている。ノズル104aは、吐出口102cと連通しており、吐出口102cに送給されたUVインクQがインク液滴として吐出される。
ガードプレート106は、ノズルプレート104の外面に配置され、ノズルプレート104のノズル104aの近くに突出している。ガードプレート106は、ノズル104aに他の部材が衝突しないようにノズル104aを保護する。
インクジェットヘッド62は、インクジェット素子108を駆動させてインク入口102bから吐出口102c送給されたUVインクQをノズル104aから吐出させる。そして、吐出されないUVインクQがインク出口102aから送出される。このとき、ケース102の圧力室内においてUVインクQが循環及び攪拌されることで沈殿することなくUVインクQがインク液滴として吐出される。
インクジェットヘッドには、ヒータ等でヘッド全体を調温加熱してUVインクの粘度を低減させて吐出しやすくする方法を用いてもよい。
本実施形態では、インクジェットヘッドをピエゾ素子(圧電素子)方式としたが、これに限定されず、ピエゾ方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式のインクジェットヘッドを用いることも適用できる。
このように種々の方式のインクジェットヘッドを用いることができるが、本実施形態のようにピエゾ方式のインクジェットヘッドを用いることが好ましい。インクジェットヘッドをピエゾ方式とすることで、UVインクを好適に吐出させることができる。
搬送部12により被記録媒体Pを搬送しつつ、インクジェットヘッド14のノズル104aから被記録媒体Pに向けてUVインクの液滴を吐出し、吐出したインク液滴を被記録媒体上に着弾させることにより被記録媒体P上に画像を描画する。
活性光線照射部16は、UV光を射出するUVランプ30と、UVランプ30から射出されたUV光を、被記録媒体P側に反射させるリフレクタ32とを有し、被記録媒体Pの搬送方向に直交する方向の被記録媒体Pの全域、つまり被記録媒体Pの幅方向の全域にUV光を照射させる。
UVランプ30は、インクジェットヘッド14により印刷原版P上にUVインクで形成された画像部にUV光を照射し、UVインクを硬化させるためのものである。UVランプ40としては、例えば、ロングアークランプ方式のキセノンランプや、低圧水銀ランプ、蛍光ランプ、高圧水銀ランプ、ショートアークランプ方式の超高圧水銀ランプ等の種々の水銀ランプ・水銀キセノンランプや、ロングアークランプ方式またはショートアークランプ方式のメタルハライドランプ等の種々のランプを用いることができる。
リフレクタ32は、UVランプ30を内蔵し、UVランプ30から射出されたUV光を射出する射出口32aを備えている。リフレクタ32の内面は、鏡面とされており、UVランプ30から射出されたUV光が、内面で吸収されることなく反射され、全て射出口32aからUV光として射出される。
リフレクタ32の射出口32aは、被記録媒体Pの表面に対面している。リフレクタ32の射出口32aから射出されたUV光は、被記録媒体Pに照射される。
濃縮ガス供給機構18は、高濃度酸素及び高濃度窒素を精製する供給機構本体34と、供給機構本体34で精製された高濃度酸素ガスをインクジェットヘッド14近傍に供給する高濃度酸素ガス供給パイプ36と、供給機構本体34で精製された高濃度窒素ガスを活性光線照射部16の近傍に供給する高濃度窒素ガス供給パイプ38とを有する。
図4は、供給機構本体34の概略構成を示す模式図である。
供給機構本体34は、高濃度酸素ガス及び高濃度窒素ガスを精製する機構であり、基本的に、圧縮空気供給管40と、第1主管42と、第2主管44と、高濃度窒素ガス供給配管(以下単に「窒素供給管」ともいう。)46と、高濃度酸素ガス供給配管(以下単に「酸素供給管」ともいう。)48と、三方弁50、52、54、56と、フィルタ58と、空気圧縮器60と、第1吸着筒62と、第2吸着筒64と、第3吸着筒66と、第4吸着筒68と、オリフィス70と、バッファタンク72、74と、取出口76と、サイレンサ78とを有する。
まず、供給機構本体34の空気の流路は、圧縮空気供給管40と、第1主管42と、第2主管44と、窒素供給管46と、酸素供給管48とで構成されている。
圧縮空気供給管40は、一端が大気と連通されており、他端に2つの分岐管を有し、一方の分気管が三方弁50を介して第1主管42及び酸素供給管48と接続され、他方の分岐管が、三方弁52を介して第2主管44及び酸素供給管48と接続されている。
第1主管42は、一端が三方弁50と接続され、他端が三方弁54と接続されている。また、第2主管44は、一端が三方弁52と接続され、他端が三方弁56と接続されている。
また、窒素供給管46は、一端に2つの分岐管を有し、一方の分岐管が三方弁54と接続され、他方の分岐管が三方弁56と接続されており、他端には、取出口76が設けられている。この取出口76は、高濃度窒素ガス供給パイプ38(図1参照)と接続されている。
また、酸素供給管48は、一端に2つの分岐管を有し、一方の分岐管が三方弁50と接続され、他方の分岐管が三方弁52と接続されており、他端には、サイレンサ78が設けられている。このサイレンサ78は、高濃度酸素ガス供給パイプ36(図1参照)と接続されている。
つまり、これらの配管は、3つの配管を接続させ、空気の流路を切り替えることができる三方弁50、52、54、56で接続されている。
三方弁50は、圧縮空気供給管40と、第1主管42と、酸素供給管48と接続されており、三方弁52は、圧縮空気供給管40と、第2主管44と、酸素供給管48とが接続されている。また、三方弁54は、第1主管42と、窒素供給管46とを接続しており、三方弁56は、第2主管44と、窒素供給管46とを接続している。
さらに、三方弁54と三方弁56の残りの一つの接続部は、連通管55が連結されている。つまり、第1主管42と第2主管44とは、連通管55により接続されている。
圧縮空気供給管40は、大気と連通している一端から、三方弁54及び三方弁56に接続されている分岐管に分岐している分岐点までに、フィルタ58、コンプレッサ60、冷却コイル80、安全弁82、フィルタ84、ドレン部86、逆止弁88が配置されている。
フィルタ58から流入し、コンプレッサ60で圧縮された空気は、冷却コイル80、フィルタ84、逆止弁88を通過した後、分岐され、三方弁50及び三方弁52に供給される。
第1主管42には、第1吸着筒62と第3吸着筒66とが三方弁50側から三方弁54側に向けてこの順に配置されており、第2主管44には、第2吸着筒64と第4吸着筒68とが三方弁52側から三方弁56側に向けてこの順に配置されている。
さらに、第1主管42の第3吸着筒66と三方弁54との間と、第2主管44の第4吸着筒68と三方弁56との間には、両者を連結させるオリフィス70が配置されている。
ここで、第1吸着筒62と、第2吸着筒64と、第3吸着筒66と、第4吸着筒68とは、いずれも同じ構成であるので、第1吸着筒62を例として説明する。
第1吸着筒62は、内部に炭素材料を処理して得られた均一で微小な細孔径を有する分子篩炭が充填されている。ここで、分子篩炭は、図5に示すように、吸着速度の差を特異な性質を有する吸着剤である。図5は、分子篩炭の酸素と窒素の吸着量と時間との関係を示すグラフであり、横軸に吸着時間を示し、縦軸に吸着量を示す。
図5に示すように、分子篩炭は、窒素と酸素の分子の分子の大きさにより、吸着初期の短時間で窒素と酸素を分離する。また、第1吸着筒62は、圧縮された空気を供給されると酸素を吸着し、減圧すると吸着した酸素が離脱される。
このようにして、第1吸着筒62、第2吸着筒64、第3吸着筒66、第4吸着筒68は、圧縮空気供給管40から供給された空気から酸素吸着して分離し、高濃度窒素ガスを精製する。第1主管42及び第2主管44は、この精製した高濃度窒素ガスを窒素供給管46に供給する。また、第1吸着筒62、第2吸着筒64、第3吸着筒66、第4吸着筒68により分離した酸素を用い、高濃度酸素ガスを精製し、酸素供給管48に供給する。この点については後ほど説明する。
窒素供給管46は、三方弁54及び三方弁56に接続されている分岐管の分岐点から他端に向けて、つまり、2つの分岐管が連結している位置を基準とし、三方弁54及び三方弁56から離れる方向に、言い換えれば、配管内を流れる空気の流れ方向おいて上流から下流に向けて、窒素を貯蔵するバッファタンク72及びバッファタンク74、窒素供給管46に流れる空気の流量を調整する制御弁92、圧力スイッチ94、減圧弁96、流量計99がこの順に配置されている。また、窒素供給管46は、分岐管とは反対側の端部に高濃度窒素ガス供給パイプ38(図1参照)と接続している取出口76を有する。
窒素供給管46は、第1主管42及び第2主管44により精製された高濃度窒素ガスを取出口76から高濃度窒素ガス供給パイプ38に供給する。
また、酸素供給管48は、分岐し、その分岐管が三方弁50及び三方弁52に接続されている端部とは反対側の端部に高濃度酸素ガス供給パイプ36(図1参照)と接続しているサイレンサ78を有する。
酸素供給管48は、第1主管42及び第2主管44により精製された高濃度酸素ガスをサイレンサ78から高濃度酸素ガス供給パイプ36に供給する。
さらに、圧縮空気供給管40の逆止弁88と分岐部との間と、酸素供給管48の分岐部とサイレンサ78との間を接続する配管90が設けられており、この配管には、リリーフ弁が設けられている。
次に、供給機構本体34による高濃度窒素ガス及び高濃度酸素ガスの精製方法について説明する。
まず、三方弁50の弁を圧縮空気供給管40と第1主管42とが連通するように切り替え、三方弁52の弁を第2主管44と酸素供給管48とが連通するように切り替える。さらに、三方弁54の弁を第1主管42と窒素供給管46が連通するように切り替え、三方弁56の弁を第2主管44と連通管とが連通するように切り替える。
大気中からフィルタ58を通過して、圧縮空気供給管40に流入した空気は、空気圧縮器60で圧縮され、冷却コイル80により冷却され、フィルタ84、逆止弁88、三方弁50を通過して第1主管42に供給される。
第1主管42に供給された圧縮空気は、第1吸着筒62、第3吸着筒66に供給され、第1吸着筒62、第3吸着筒66内に配置された分子篩炭に酸素が吸着される。
このように、酸素が吸着されることで、第1吸着筒62及び第3吸着筒66を通過した空気は、窒素濃度が高い空気、つまり高濃度窒素ガスとなる。
第1主管42の第1吸着筒62及び第3吸着筒66で精製された高濃度窒素ガスは、三方弁54を通過して、窒素供給管46のバッファタンク72及び/またはバッファタンク74に貯蔵される。
次に、圧縮空気供給管40から第1主管42に圧縮空気を供給し、高濃度窒素ガスを精製して窒素供給管46に高濃度窒素ガスを供給してから所定時間経過したら、第1主管42への圧縮空気の供給を停止する。
圧縮空気の供給を停止した後、三方弁50の弁を第1主管42と酸素供給管48とが連通するように切り替え、三方弁52の弁を圧縮空気供給管40と第2主管44とが連通するように切り替え、三方弁54の弁を第1主管42と連通管55とが連通するように切り替え、三方弁56を第2主管44と窒素供給管46とが連通するように切り替える。
三方弁50、52、54、56の弁を切り替えた後、圧縮空気供給管40で圧縮された空気を供給する。弁が切り替えられたことで、圧縮空気は、三方弁52を介して第2主管44に供給される。
第2主管44に供給された圧縮空気は、第2吸着筒64、第4吸着筒68に供給され、分子篩炭で酸素が吸着される。
このように、酸素が吸着されることで、第2吸着筒64及び第4吸着筒68を通過した空気は、窒素濃度が高い空気、つまり、高濃度窒素ガスとなる。
第2主管44の第2吸着筒64及び第4吸着筒68で精製された高濃度窒素ガスは、三方弁56を通過して、窒素供給管46のバッファタンク72及び/またはバッファタンク74に貯蔵される。
さらに、第2主管44での高濃度窒素ガスの精製と同時に、第1吸着筒62及び第3吸着筒66は、大気圧まで減圧されて、分子篩炭に吸着されていた酸素を離脱される。これにより、第1吸着筒62及び第3吸着筒66が配置された第1主管42では、酸素濃度が高い空気、つまり高濃度酸素ガスが精製される。
第1吸着筒62及び第3吸着筒66で精製された高濃度酸素ガスは、三方弁50を通過して、酸素供給管48に供給される。
さらに、第2吸着筒64及び第4吸着筒68で精製された窒素ガスの一部がオリフィス70を通じて、第1主管42に供給され、第1吸着筒62及び第3吸着筒66に吸着された酸素をさらに離脱させて、高濃度酸素ガスを精製する。精製した高濃度酸素ガスは、三方弁50を通過して、酸素供給管48に供給される。
このように、圧縮空気供給管40から第2主管44に圧縮空気を供給し、高濃度窒素ガスを精製して窒素供給管46に高濃度窒素ガスを供給し、かつ、第1主管42で、高濃度酸素ガスを精製し酸素供給管48に高濃度酸素ガスを供給してから所定時間経過した後、第2主管44への圧縮空気の供給を停止する。
その後、三方弁50の弁を圧縮空気供給管40と第1主管42とが連通するように切り替え、さらに三方弁52の弁を第2主管44と酸素供給管48とが連通するように切り替える。さらに、三方弁54の弁を第1主管42と窒素供給管46が連通するように切り替え、三方弁56の弁を第2主管62と連通管55とが連通するように切り替える。
その後、第1主管42に圧縮空気を供給し、第1主管42の第1吸着筒62及び第3吸着管66で高濃度窒素ガスを精製して、精製した高濃度窒素ガスを窒素供給管46に供給する。さらに、酸素を吸着している第2主管44の第2吸着筒64と第4吸着筒68で高濃度酸素ガスを精製して、精製した高濃度酸素ガスを酸素供給管48に供給する。
このようにして、供給機構本体34は、所定時間毎に三方弁50、52、54、56を切り替え、本実施形態では一例として70秒毎に切り替え、第1主管42、第2主管44のうち窒素供給管46及び圧縮空気供給管40と連通している主管で、高濃度窒素ガスを精製し、第1主管42、第2主管44のうち酸素供給管48と連通している主管で高濃度酸素ガスを精製することで、連続して、高濃度窒素ガス及び高濃度酸素ガスを精製する。
つまり、2つの主管にそれぞれ配置された吸着筒で、圧縮空気から酸素を分子篩炭に吸着させて分離する高濃度窒素ガスの精製と、吸着した酸素を離脱させる高濃度酸素ガスの精製とを交互に行うことで、同時に高濃度酸素ガスと高濃度窒素ガスを精製し、高濃度酸素ガスを高濃度酸素ガス供給パイプ36に供給し、高濃度窒素ガスを高濃度窒素ガス供給パイプ38に供給する。
高濃度酸素ガス供給パイプ36は、一端が供給機構本体34と連結され、他端が被記録媒体Pの搬送方向においてインクジェットヘッド14の上流側、かつ、インクジェットヘッド14の近傍に配置されている。また、図2に示すように、高濃度酸素ガス供給パイプ36のインクジェットヘッド14の近傍側の端部は、被記録媒体の幅方向の全域、つまりインクジェットヘッド14と略同じ幅の噴出口36aを有する。
高濃度酸素ガス供給パイプ36は、供給機構本体34で精製された高濃度酸素ガスをインクジェットヘッド14近傍に供給し、インクジェットヘッド14近傍を高濃度酸素雰囲気Aにする。より正確には、高濃度酸素ガス供給パイプ36は、供給機構本体34で精製された高濃度酸素ガスをインクジェットヘッド14の吐出口は配置されている面(以下「吐出面」という。)に供給し、インクジェットヘッド14の吐出面を高濃度酸素雰囲気Aにする。
高濃度窒素供給パイプ38は、一端が供給機構本体34と連結され、他端が被記録媒体Pの搬送方向において、活性光線照射部16の上流側、かつ、活性光線照射部16の近傍に配置されている。また、図2に示すように、高濃度窒素ガス供給パイプ38の活性光線照射部16の近傍側の端部は、被記録媒体の幅方向の全域、つまり活性光線照射部16と略同じ幅の噴出口38aを有する。
高濃度窒素供給パイプ38は、供給装置本体34で精製された高濃度窒素ガスを活性光光線照射部16の近傍に供給し、活性光線照射部16の近傍を高濃度窒素雰囲気Aとする。より正確には、高濃度窒素供給パイプ38は、供給装置本体34で精製された高濃度窒素ガスを活性光線照射部16に対向する位置の被記録媒体Pの表面上に供給し、UV光(活性光線)が照射される位置の被記録媒体Pの表面上を高濃度窒素雰囲気Aにする。
次に、インクジェット描画装置による記録動作(インクジェット描画方法)を説明することで、本発明をより詳細に説明する。
搬送部12の搬送ロール対20に挟持された被記録媒体Pは、搬送され、インクジェットヘッド14に対向する位置に搬送される。
インクジェットヘッド14に対向する位置に搬送された被記録媒体Pには、インクジェットヘッド14からインク液滴が吐出され、画像が描画される。つまり、インクジェットヘッド14から吐出されたインク液滴が被記録媒体P上に着弾し、画像が描画される。
ここで、インクジェットヘッド14には、高濃度酸素ガス供給パイプ36から高濃度酸素ガスが供給され、インクジェットヘッド14近傍は、高濃度酸素雰囲気Aとなっている。
インク液滴が着弾し、画像が描画された被記録媒体Pは、搬送部12の搬送ロール対20によりさらに搬送され、活性光線照射部16に対向する位置に搬送される。
活性光線照射部16に対向する位置に搬送された被記録媒体Pには、UVランプ30から照射されたUV光が直接またはリフレクタ32に反射されて、照射される。
被記録媒体P上に描画された画像は、UV光が照射されることで硬化されて、被記録媒体上に定着される。
ここで、活性光線照射部16に対向する位置の被記録媒体Pには、高濃度窒素ガス供給パイプ38から高濃度窒素ガスが供給され、活性光線照射部16に対向する位置の被記録媒体Pは、高濃度窒素雰囲気Aとなっている。
このようにして、本実施形態のインクジェット描画装置10は、被記録媒体P上に画像を描画する。
ここで、本発明に用いるラジカル重合型の活性光線硬化型インク(本実施形態では、紫外線硬化型インク)は、上述したように、活性光線(本実施形態では、紫外線)を照射されることで、重合を開始し、ラジカルを発生させるが、このラジカルは、空気中の酸素と反応すると消費され、重合連鎖反応が阻害されるという特性を有する。
従って、インクジェットヘッドの近傍、より正確には、インクジェットヘッドの吐出面を高濃度酸素雰囲気とすることで、インクジェットヘッドの吐出面に付着したUVインクまた吐出口のUVインクが硬化することを防止できる。つまり、活性光線照射部のUVランプから射出されたUV光が漏れ出し、インクジェットヘッドの吐出面に照射された場合でも、インクジェットヘッドの吐出面に付着したUVインク、または吐出口のUVインクの硬化が高濃度の酸素により阻害され、UVインクがインクジェットヘッドの吐出面および吐出口で硬化することを防止できる。これにより、インクジェットヘッドの吐出口でインク詰まりが生じることを防止でき、高画質な画像を形成することができる。
また、UVランプからの漏れ光がインクジェットヘッドに到達してもインク詰まり等のインクジェットヘッドの吐出不良が防止できるため、インクジェットヘッドと活性光線照射部を近接して配置することができる。さらに、UVランプ(活性光光源)として、よりエネルギーの高いUV光を射出する光源を用い、被記録媒体上にエネルギーの高いUV光を照射することができる。これにより、被記録媒体P上のインクを短時間で硬化させ、被記録媒体P上に定着させることができ、被記録媒体P上への画像描画をより高速にすることができる。また、短時間で硬化することができ、また、インクジェットヘッドと活性光線照射部を近接して配置することができることで、被記録媒体上に着弾したインクに位置ずれが生じることや、にじみが生じることも防止できる。
また、活性光線照射部近傍を、より正確には、活性光線照射部に対向する位置の被記録媒体を高濃度窒素雰囲気とすることで、被記録媒体上に描画されたインクの硬化が酸素により阻害されることを防止でき、画像を好適に硬化することができる。
また、本実施形態のように、供給機構本体で、酸素と窒素を分離し、高濃度酸素ガスと高濃度窒素ガスを精製することで、1つの機構で、同時に高濃度酸素ガスと高濃度窒素ガスを精製することができる。これにより、効率よく高濃度酸素ガスと高濃度窒素ガスを精製することができ、また装置としてコンパクトにすることができる。
また、窒素濃縮装置で、高濃度窒素ガスを精製する際に分離した酸素を効率よく利用することができる。
ここで、高濃度酸素供給ガスパイプ36から射出する高濃度酸素ガスの酸素濃度は、25%以上100%以下とすることが好ましい。
高濃度酸素ガスの酸素濃度が上記範囲を満たすことで、インクジェットヘッド14と吐出口のインクをより硬化しにくくすることができ、吐出口にインク詰まりが生じることをより確実に防止することができる。
また、高濃度窒素供給ガスパイプ38から射出する高濃度窒素ガスの窒素濃度は、80%以上100%以下とすることが好ましい。
高濃度窒素ガスの窒素濃度が上記範囲を満たすことで、UV光または活性光線の照射時に酸素阻害が生じることをより確実に防止することができ、被記録媒体上のインクを確実に硬化させ定着させることができる。
ここで、本実施形態では、供給機構本体として、分子篩炭を用い、分子篩炭に酸素を吸着させることで、酸素と窒素を分離する、PSA(Pressure Swing Adsorption)の原理(PSA法、吸着法)を用いて、高濃度酸素ガスと高濃度窒素ガスを精製したが、本発明はこれに限定されず、膜分離法を用いて、窒素と酸素を分離してもよい。
図6は、膜分離法を用いた供給装置本体130の概略構成を示す部分断面図であり、図7は、図6に示した供給装置本体130の中空糸膜136の一部を示す概略斜視図である。
供給装置本体130は、筐体132と、中空糸膜134と、空気圧縮器136と、高濃度窒素ガス供給配管(窒素供給管)138と、高濃度酸素供給配管(酸素供給管)140とを有する。
筐体132は、円筒形状を有し、一方の端面に開口142、円周面に開口144、他方の端面に開口146が形成されている。
中空糸膜134は、図7に示すような円筒状の単位中空糸膜134aが年輪状に複数積層された円柱形状を有し、筐体132の内部に配置されている。
単位中空糸膜134a(中空糸膜134)は、酸素と窒素の透過速度が異なるため、図7に示すように、圧縮空気が円筒形状の一方の端面から供給されると、酸素(O2)は、単位中空糸膜134aを透過し円周方向に排出され、窒素(N2)は、単位中空糸膜134aを透過せず、軸方向の他方の端面に排出される。
空気圧縮器136は、コンプレッサ等であり、開口142に接続しており、開口142から筐体132に圧縮空気を供給する。
また、窒素供給管138は、一端が筐体132の他端の端面に形成された開口146に接続され、他端が高濃度窒素供給パイプ38に接続されている。さらに、酸素供給管140は、一端が筐体132の円周面に形成された開口144に接続され、他端が高濃度酸素供給パイプ36に接続されている。
供給機構本体130は、空気圧縮器136で圧縮した空気を開口142から筐体132に供給する。ここで、上述したように、筐体134内部に配置された中空糸膜134は、酸素を中空糸膜134(筐体132)の円周方向に排出し、窒素を中空糸膜134(筐体132)の軸方向に排出する。
これにより、筐体132の円周面に配置された開口144には、高濃度酸素ガスが排出され、筐体132の空気圧縮器136が接続されている端面とは反対側の端面に形成された開口146には、高濃度窒素ガスが排出される。つまり、高濃度酸素供給パイプ36に高濃度酸素ガスが供給され、高濃度窒素供給パイプ38に高濃度窒素ガスが供給される。
このように、本実施形態のような、中空糸膜を設け、中空糸膜に対する透過速度の差により窒素と酸素を分離する膜分離法を用いても好適に高濃度酸素ガスと高濃度窒素ガスを精製することができる。
ここで、本実施形態のように、膜分離法を用いた供給機構本体を用いることで、装置構成を簡単にすることができる。また、装置を小型化することができ、またメンテナンスも簡単にできる。
なお、図4に示すような、PSA法を用いた供給機構本体を用いた場合は、より高濃度の窒素ガス及び酸素ガスを精製することができる。
また、上記方法にも限定されず、装置構成が大きくなるが深冷分離法を用いる供給機構本体を用いることが可能である。
なお、上述したように、装置コストを低くすることができ、装置を小型化することができるため、1つの機構で酸素と窒素を分離し、高濃度酸素ガスと高濃度窒素ガスを精製することが好ましいが、本発明はこれに限定されず、それぞれ別々の酸素濃縮機構と窒素濃縮機構を用い、酸素濃縮機構から高濃度酸素供給パイプに高濃度酸素ガスを供給し、窒素濃縮機構から高濃度窒素供給パイプに高濃度窒素ガスを供給してもよい。また、交換が必要となり、ランニングコストが高くなるが、濃縮ガス供給機構に替えて、高濃度酸素ボンベと高濃度窒素ボンベを用いてもよい。
また、本実施形態は、インクジェットヘッド及び活性光線照射部を被記録媒体の幅方向の全域に配置したフルライン型としたが、本発明はこれに限定されず、インクジェットヘッド及び活性光線照射部を被記録媒体の幅方向(主走査方向)に移動させつつ被記録媒体Pを被記録媒体の幅方向に直交する副走査方向に間欠搬送させ、被記録媒体の全面に画像を描画し、活性光線を照射させるシリアルタイプとしてもよい。
この場合も、被記録媒体の搬送方向(副走査方向)において、インクジェットヘッドの上流側に高濃度酸素供給パイプを配置し、インクジェットヘッド近傍を高濃度酸素雰囲気とし、活性光線照射部の上流側に高濃度窒素供給パイプを配置し、活性光線照射部に対向する位置の被記録媒体を高濃度窒素雰囲気とすることで、上記効果を得ることができる。
なお、インクジェットヘッド及び活性光線照射部をシリアルタイプとする場合、高濃度窒素供給パイプ及び高濃度酸素パイプは、それぞれインクジェットヘッド及び活性光線照射部と同期して主走査方向に移動させることが好ましい。
また、本実施形態では、インクジェットヘッドと活性光線照射部とを1つずつ配置した構成としたが、それぞれを複数設け、カラーの画像を形成するインクジェット描画装置に用いることもできる。また、インクジェット描画装置を複数のインクジェットヘッドと1つの活性光線照射部で構成してもよい。このような場合もそれぞれのインクジェットヘッド近傍に高濃度酸素ガスを供給し、それぞれの活性光線照射部近傍に高濃度窒素ガスを供給することで、本発明の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、インク(インク組成物)として、ラジカル重合型の紫外線硬化型インクを用い、インクを硬化させるために、活性光線照射部として紫外線を照射するUVランプを用いたが、その他活性光線硬化型のインクを用いる場合は、紫外線を照射するUVランプに限定されず、インクを硬化する活性光線を照射する各種活性光光源を用いる。つまり、インクの種類に応じて各種の活性光光源を有する活性光線照射部を用いることができる。
ここで、本発明で言う「活性エネルギー」とは、その照射によりインク組成物中において開始種を発生させうるエネルギーを付与することができるものであれば、特に制限はなく、広く、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを包含するものである。中でも、硬化感度及び装置の入手容易性の観点からは、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。従って、インク組成物としては、紫外線を照射することにより硬化可能なインク組成物であることが好ましい。
本発明のインクジェット描画装置において、活性エネルギーのピーク波長は、インク組成物中の増感色素の吸収特性にもよるが、例えば、200〜600nm、好ましくは、300〜450nm、より好ましくは、350〜450nmであることが適当である。また、インク組成物の(a)電子移動型開始系は、低出力の活性エネルギーであっても十分な感度を有するものである。従って、活性エネルギーの出力は、例えば、2,000mJ/cm2以下、好ましくは、10〜2,000mJ/cm2、より好ましくは、20〜1,000mJ/cm2、更に好ましくは、50〜800mJ/cm2の照射エネルギーであることが適当である。また、活性エネルギーは、露光面照度(被記録媒体表面の最高照度)が、例えば、10〜2,000mW/cm2、好ましくは、20〜1,000mW/cm2で照射されることが適当である。
また、本発明のインクジェット描画装置では、活性エネルギーは被記録媒体上に吐出されたインク組成物に対して、例えば、0.01〜120秒、好ましくは0.1〜90秒照射することが適当である。
更に、本発明のインクジェット描画装置では、インク組成物を一定温度に加温するとともに、インク組成物の被記録媒体への着弾から活性エネルギーの照射までの時間を、0.01〜0.5秒とすることが望ましく、好ましくは0.02〜0.3秒、更に好ましくは0.03〜0.15秒である。このようにインク組成物の被記録媒体への着弾から活性エネルギーの照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾したインク組成物が硬化前に滲むことを防止することが可能となる。
なお、本発明のインクジェット描画装置を用いてカラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。このように重ねることにより、下部のインクまで活性エネルギーが到達しやすくなり、良好な硬化感度、残留モノマーの低減、臭気の低減、密着性の向上が期待できる。また、活性エネルギーの照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、1色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
本発明のインクジェット描画装置に用いるインクジェットヘッドには、例えばピエゾ型のインクジェットヘッドで、1〜100pl、好ましくは、1〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜2400×2400dpiの解像度で射出できるよう駆動することができるインクジェットヘッドを好適に用いることができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
本発明のインクジェットヘッドは、例えばピエゾ型のインクジェットヘッドで、1〜100pl、好ましくは、1〜30plのマルチサイズドットを例えば、320×320〜4000×4000dpi、好ましくは、400×400〜2400×2400dpiの解像度で射出できるよう駆動することができる。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。
また、上述したように、本発明に用いる活性エネルギー硬化型インクは、吐出されるインク組成物を一定温度にすることが望ましいことから、インク供給カートリッジからインクジェットヘッド部分までは、断熱及び加温による温度制御を行うことが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体を外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断若しくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンター立上げ時間を短縮するため、或いは熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
また、活性エネルギー光源としては、上述した各種光源に加え、水銀ランプ、メタルハライドランプ、超高圧水銀ランプ、ガス・固体レーザー等を用いることができる。更には、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更にLED(UV−LED),LD(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、活性エネルギー硬化型インクジェット用放射源として期待されている。
また、上記のように、活性エネルギー光源として、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)を用いることが可能である。特に、活性エネルギー光源を要する場合、紫外LED及び紫外LDを使用することができる。例えば、日亜化学(株)は、主放出スペクトルが365nmと420nmとの間の波長を有する紫色LEDを上市している。更に、一層短い波長が必要とされる場合、米国特許番号第6,084,250号明細書は、300nmと370nmとの間に中心付けされた活性エネルギーを放出し得るLEDを開示している。また、他の紫外LEDも、入手可能であり、異なる活性エネルギー帯域の放射を照射することができる。本発明で特に好ましい活性エネルギー源は、UV−LEDであり、特に好ましくは、350〜420nmにピーク波長を有するUV−LEDである。
〔被記録媒体〕
本発明のインクジェット描画装置に用いる被記録媒体としては、特に制限はなく、表紙として通常の非コート紙、コート紙などの紙類、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性樹脂材料或いは、それをフィルム状に成形した樹脂フィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルム、PEフィルム、TACフィルム等を挙げることができる。
以下、本発明のインクジェット描画装置及びインクジェット描画方法に用いる活性光線硬化型インクとして好適に用いることができるインクについて説明する。ここで、上述したように、活性光線硬化型インクとして、ラジカル重合型の活性光線硬化型インクを用いることで上述した各種効果を得ることができるが、本発明はこれに限定されず、上述した各種効果は低減するが、他の活性光線硬化型インクも用いることができる。なお、インクとしては、上述したように、インクの特性から、ラジカル重合型インクを用いることが好ましい。
以下に、本発明に好適に使用できるインク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
〔インク組成物〕
本発明に用いられるインク組成物は、活性エネルギーの照射により硬化可能なインク組成物であり、例えば、カチオン重合系インク組成物、ラジカル重合系インク組成物が挙げられる。これら組成物について以下詳細に説明する。
(カチオン重合系インク組成物)
カチオン重合系インク組成物は、(a)カチオン重合性化合物、(b)活性エネルギーの照射により酸を発生する化合物、及び、(c)着色剤を含有する。所望により、更に、紫外線吸収剤、増感剤、酸化防止剤、褪色防止剤、導電性塩類、溶剤、高分子化合物、界面活性剤、等を含有してもよい。
以下、カチオン重合系インク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
〔(a)カチオン重合性化合物〕
本発明に用いられる(a)カチオン重合性化合物は、後述する(b)活性エネルギーの照射により酸を発生する化合物から発生する酸により重合反応を生起し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性のモノマーを使用することができる。カチオン重合性モノマーとしては、例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、同2001−40068、同2001−55507、同2001−310938、同2001−310937、同2001−220526などの各公報に記載されている、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、芳香族エポキシド、脂環式エポキシド、脂肪族エポキシドなどが挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノール或いはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジ又はポリグリシジルエーテルが挙げられ、例えば、ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましく挙げられる。
脂肪族エポキシドとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等が挙げられる。その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルに代表されるポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここで、アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
エポキシ化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。
本発明に用いうる単官能エポキシ化合物の例としては、例えば、フェニルグリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、1,2−ブチレンオキサイド、1,3−ブタジエンモノオキサイド、1,2−エポキシドデカン、エピクロロヒドリン、1,2−エポキシデカン、スチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、3−メタクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−アクリロイルオキシメチルシクロヘキセンオキサイド、3−ビニルシクロヘキセンオキサイド等が挙げられる。
また、多官能エポキシ化合物の例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビニルシクロヘキセンオキサイド、4−ビニルエポキシシクロヘキサン、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3',4'−エポキシ−6'−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類、1,1,3−テトラデカジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,2,5,6−ジエポキシシクロオクタン等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物の中でも、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが、硬化速度に優れるという観点から好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物は、単官能であっても多官能であってもよい。
具体的には、単官能ビニルエーテルの例としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル等が挙げられる。
また、多官能ビニルエーテルの例としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジビニルエーテルなどのジビニルエーテル類;トリメチロールエタントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、プロピレンオキサイド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどの多官能ビニルエーテル類等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジ又はトリビニルエーテル化合物が、硬化性、被記録媒体との密着性、形成された画像の表面硬度などの観点から好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。
本発明におけるオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物を指し、特開2001−220526号、同2001−310937号、同2003−341217号の各公報に記載される如き、公知オキセタン化合物を任意に選択して使用できる。
本発明のインク組成物に使用しうるオキセタン環を有する化合物としては、その構造内にオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。このような化合物を使用することで、インク組成物の粘度をハンドリング性の良好な範囲に維持することが容易となり、また、硬化後のインク組成物と被記録媒体との高い密着性を得ることができる。
このようなオキセタン環を有する化合物については、前記特開2003−341217号公報、段落番号〔0021〕乃至〔0084〕に詳細に記載され、ここに記載の化合物は本発明にも好適に使用しうる。
本発明で使用するオキセタン化合物の中でも、インク組成物の粘度と粘着性の観点から、オキセタン環を1個有する化合物を使用することが好ましい。
インク組成物には、これらのカチオン重合性化合物を、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよいが、インク硬化時の収縮を効果的に抑制するといった観点からは、オキセタン化合物とエポキシ化合物とから選ばれる少なくとも1種の化合物と、ビニルエーテル化合物とを併用することが好ましい。
インク組成物中の(a)カチオン重合性化合物の含有量は、組成物の全固形分に対し、10〜95質量%が適当であり、好ましくは30〜90質量%、更に好ましくは50〜85質量%の範囲である。
[(b)活性エネルギーの照射により酸を発生する化合物]
インク組成物は、放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、適宜、「光酸発生剤」と称する。)を含有する。
本発明に用いうる光酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、或いはマイクロレジスト等に使用されている光(400〜200nmの活性エネルギー、活性エネルギー、特に好ましくは、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光)、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線又はイオンビームなどの照射により酸を発生する化合物を適宜選択して使用することができる。
このような光酸発生剤としては、例えば、放射線の照射により分解して酸を発生する、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、セレノニウム塩、アルソニウム塩等のオニウム塩、有機ハロゲン化合物、有機金属/有機ハロゲン化物、o−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、イミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、ジスルホン化合物、ジアゾケトスルホン、ジアゾジスルホン化合物を挙げることができる。
光酸発生剤としては、また、特開2002−122994号公報、段落番号〔0029〕乃至〔0030〕に記載のオキサゾール誘導体、s−トリアジン誘導体なども好適に用いられる。更に、特開2002−122994号公報、段落番号〔0037〕乃至〔0063〕に例示されるオニウム塩化合物、スルホネート系化合物も、本発明における光酸発生剤として、好適に使用しうる。
(b)光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
インク組成物中の(b)光酸発生剤の含有量は、インク組成物の全固形分換算で、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
また、インク組成物には、前記の必須成分に加え、目的に応じて種々の添加剤を併用することができる。これらの任意成分について説明する。
[(c)着色剤]
インク組成物は、着色剤を添加することで、可視画像を形成することができる。例えば、平版印刷版の画像部領域を形成する場合などには、必ずしも添加する必要はないが、得られた平版印刷版の検版性の観点からは着色剤を用いることも好ましい。
ここで用いることのできる着色剤には、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の着色剤、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。染料としては、水溶性染料及び油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
〔顔料〕
本発明に好ましく使用される顔料について述べる。
顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料及び無機顔料、又は顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
本発明において使用できる有機顔料及び無機顔料の具体例としては、例えば、イエロー色を呈するものとして、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG等),C.I.ピグメントイエロー74の如きモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12(ジスアジイエローAAA等)、C.I.ピグメントイエロー17の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー180の如き非ベンジジン系のアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー100(タートラジンイエローレーキ等)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー95(縮合アゾイエローGR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー115(キノリンイエローレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントイエロー18(チオフラビンレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、フラバントロンイエロー(Y−24)の如きアントラキノン系顔料、イソインドリノンイエロー3RLT(Y−110)の如きイソインドリノン顔料、キノフタロンイエロー(Y−138)の如きキノフタロン顔料、イソインドリンイエロー(Y−139)の如きイソインドリン顔料、C.I.ピグメントイエロー153(ニッケルニトロソイエロー等)の如きニトロソ顔料、C.I.ピグメントイエロー117(銅アゾメチンイエロー等)の如き金属錯塩アゾメチン顔料等が挙げられる。
赤或いはマゼンタ色を呈するものとして、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G'レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、C.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。
青或いはシアン色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー24(ピーコックブルーレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー1(ビクロチアピュアブルーBOレーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料等が挙げられる。
緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。
オレンジ色を呈する顔料として、C.I.ピグメントオレンジ66(イソインドリンオレンジ)の如きイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ51(ジクロロピラントロンオレンジ)の如きアントラキノン系顔料が挙げられる。
黒色を呈する顔料として、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック等が挙げられる。
白色顔料の具体例としては、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが利用可能である。
ここで、酸化チタンは他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、更に、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することが好ましい。もちろん、必要に応じて他の白色顔料(列挙した白色顔料以外であってもよい。)を使用してもよい。
顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、ジェットミル、ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ニーダー、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル等の分散装置を用いることができる。
顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリアクリレート、脂肪族多価カルボン酸、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、顔料誘導体等を挙げることができる。また、Zeneca社のSolsperseシリーズなどの市販の高分子分散剤を用いることも好ましい。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤及び分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
インク組成物において、顔料などの諸成分の分散媒としては、溶剤を添加してもよく、また、無溶媒で、低分子量成分である前記(a)カチオン重合性化合物を分散媒として用いてもよいが、インク組成物は、放射線硬化型のインクであり、インクを被記録媒体上に適用後、硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。これは、硬化されたインク画像中に、溶剤が残留すると、耐溶剤性が劣化したり、残留する溶剤のVOC(Volatile Organic Compound)の問題が生じるためである。このような観点から、分散媒としては、(a)カチオン重合性化合物を用い、中でも、最も粘度が低いカチオン重合性モノマーを選択することが分散適性やインク組成物のハンドリング性向上の観点から好ましい。
顔料の平均粒径は、0.02〜4μmにするのが好ましく、0.02〜2μmとするのが更に好ましく、より好ましくは、0.02〜1.0μmの範囲である。
顔料粒子の平均粒径を上記好ましい範囲となるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性及び硬化感度を維持することができる。
〔染料〕
本発明に用いる染料は、油溶性のものが好ましい。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解する色素の質量)が1g以下であるものを意味し、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下である。従って、所謂、水に不溶性の油溶性染料が好ましく用いられる。
本発明に用いる染料は、インク組成物に必要量溶解させるために上記記載の染料母核に対して油溶化基を導入することも好ましい。
油溶化基としては、長鎖、分岐アルキル基、長鎖、分岐アルコキシ基、長鎖、分岐アルキルチオ基、長鎖、分岐アルキルスルホニル基、長鎖、分岐アシルオキシ基、長鎖、分岐アルコキシカルボニル基、長鎖、分岐アシル基、長鎖、分岐アシルアミノ基長鎖、分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖、分岐アルキルアミノスルホニル基及びこれら長鎖、分岐置換基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基等が挙げられる。
また、カルボン酸、スルホン酸を有する水溶性染料に対して、長鎖、分岐アルコール、アミン、フェノール、アニリン誘導体を用いて油溶化基であるアルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルアミノスルホニル基、アリールアミノスルホニル基に変換することにより染料を得てもよい。
前記油溶性染料としては、融点が200℃以下のものが好ましく、融点が150℃以下であるものがより好ましく、融点が100℃以下であるものが更に好ましい。融点が低い油溶性染料を用いることにより、インク組成物中での色素の結晶析出が抑制され、インク組成物の保存安定性が良くなる。
また、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性や硬化特性を向上させるために、酸化電位が貴である(高い)ことが望ましい。このため、本発明で用いる油溶性染料として、酸化電位が1.0V(vsSCE)以上であるものが好ましく用いられる。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vsSCE)以上のものがより好ましく、1.15V(vsSCE)以上のものが特に好ましい。
イエロー色の染料としては、特開2004−250483号公報の記載の一般式(Y−I)で表される構造の化合物が好ましい。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
マゼンタ色の染料としては、特開2002−114930号公報に記載の一般式(3)、(4)で表される構造の化合物が好ましく、具体例としては、特開2002−114930号公報の段落[0054]〜[0073]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載されている一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
シアン色の染料としては、特開2001−181547号公報に記載の式(I)〜(IV)で表される染料、特開2002−121414号公報の段落番号[0063]から[0078]に記載されている一般式(IV−1)〜(IV−4)で表される染料が好ましいものとして挙げられ、具体例として特開2001−181547号公報の段落番号[0052]から[0066]、特開2002−121414号公報の段落番号[0079]から[0081]に記載の化合物が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載されている一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。尚、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
これらの着色剤はインク組成物中、固形分換算で1〜20質量%添加されることが好ましく、2〜10質量%がより好ましい。
[その他の成分]
以下に、必要に応じて用いられる種々の添加剤について述べる。
〔紫外線吸収剤〕
本発明においては、得られる画像の耐候性向上、退色防止の観点から、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.5〜15質量%程度である。
〔増感剤〕
インク組成物には、光酸発生剤の酸発生効率の向上、感光波長の長波長化の目的で、必要に応じ、増感剤を添加してもよい。増感剤としては、光酸発生剤に対し、電子移動機構又はエネルギー移動機構で増感させるものであれば、何れでもよい。好ましくは、アントラセン、9,10−ジアルコキシアントラセン、ピレン、ペリレンなどの芳香族多縮環化合物、アセトフェノン、ベンゾフェノン、チオキサントン、ミヒラーケトンなどの芳香族ケトン化合物、フェノチアジン、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物が挙げられる。添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、光酸発生剤に対し0.01〜1モル%、好ましくは0.1〜0.5モル%で使用される。
〔酸化防止剤〕
インク組成物の安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜8質量%程度である。
〔褪色防止剤〕
インク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、固形分換算で0.1〜8質量%程度である。
〔導電性塩類〕
インク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
〔溶剤〕
インク組成物には、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
〔高分子化合物〕
インク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物を添加することができる。高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好ましく用いられる。
〔界面活性剤〕
インク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
この他にも、必要に応じて、例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのワックス類、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーなどを含有させることができる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
インク組成物の表面張力は、好ましくは20〜40mN/m、更に好ましくは25〜35mN/mである。ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など様々な被記録媒体へ記録する場合、滲み及び浸透の観点から、20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点はで40mN/m以下が好ましい。
このようにして調整されたインク組成物は、インクジェット記録用インクとして好適に用いられる。インクジェット記録用インクとして用いる場合には、インク組成物をインクジェットプリンターにより被記録媒体に射出し、その後、射出されたインク組成物に放射線を照射して硬化して記録を行う。
このインクにより得られた印刷物は、画像部が活性エネルギーなどの放射線照射により硬化しており、画像部の強度に優れるため、インクによる画像形成以外にも、例えば、平版印刷版のインク受容層(画像部)の形成など、種々の用途に使用しうる。
[ラジカル重合系インク組成物]
ラジカル重合系インク組成物は、(d)ラジカル重合性化合物、(e)重合開始剤、及び、(f)着色剤を含有する。所望により、更に、増感色素、共増感剤、等を含有してもよい。
以下、ラジカル重合系インク組成物に用いられる各構成成分について順次説明する。
[ラジカル重合性化合物]
ラジカル重合性化合物としては、例えば、以下に挙げるような付加重合化能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が含まれる。
[付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物]
インク組成物に用い得る付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、上記不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド等があげられる。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、へキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、へキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネー卜等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。さらに、前述のエステルモノマーの混合物もあげることができる。また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−へキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の例としては、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式(A)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加した1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等があげられる。CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH (A)(ただし、RおよびR'はHあるいはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号に記載されているようなウレタンアクリレー卜類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。さらに日本接着協会誌vol.20、No.7、300〜308ぺージ(1984年)に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。本発明において、これらのモノマーはプレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態で使用しうる。
ラジカル重合性化合物の使用量はインク組成物の全成分に対して、通常1〜99.99%、好ましくは5〜90.0%、更に好ましくは10〜70%である(ここで言う%は質量%である)。
〔重合開始剤〕
次に本発明のラジカル重合系インク組成物に使用される重合開始剤について説明する。
本発明における重合開始剤は光の作用、または、増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。
好ましい重合開始剤としては(i)芳香族ケトン類、(ii)芳香族オニウム塩化合物、(iii)有機過酸化物、(iv)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(v)ケトオキシムエステル化合物、(vi)ボレート化合物、(vii)アジニウム化合物、(viii)メタロセン化合物、(ix)活性エステル化合物、(x)炭素ハロゲン結合を有する化合物等が挙げられる。
〔増感色素〕
本発明においては、光重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加しても良い。好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ350nmから450nm域に吸収波長を有するものを挙げることができる。
多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)。
〔共増感剤〕
さらに、インクには、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を共増感剤として加えても良い。
この様な共増感剤の例としては、アミン類、例えばM. R. Sanderら著「Journal of Polymer Society」第10巻3173頁(1972)、特公昭44−20189号公報、特開昭51−82102号公報、特開昭52−134692号公報、特開昭59−138205号公報、特開昭60−84305号公報、特開昭62−18537号公報、特開昭64−33104号公報、Research Disclosure 33825号記載の化合物等が挙げられ、具体的には、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等が挙げられる。
別の例としてはチオールおよびスルフィド類、例えば、特開昭53−702号公報、特公昭55−500806号公報、特開平5−142772号公報記載のチオール化合物、特開昭56−75643号公報のジスルフィド化合物等が挙げられ、具体的には、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等が挙げられる。
また別の例としては、アミノ酸化合物(例、N−フェニルグリシン等)、特公昭48−42965号公報記載の有機金属化合物(例、トリブチル錫アセテート等)、特公昭55−34414号公報記載の水素供与体、特開平6−308727号公報記載のイオウ化合物(例、トリチアン等)、特開平6−250387号公報記載のリン化合物(ジエチルホスファイト等)、特願平6−191605号記載のSi−H、Ge−H化合物等が挙げられる。
また、保存性を高める観点から、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することが好ましい。また、インクは、40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して射出することが好ましく、熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも、重合禁止剤を添加することが好ましい。重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。
〔その他〕
この他に、必要に応じて公知の化合物を用いることができ、例えば、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を適宜選択して用いることができる。また、ポリオレフィンやPET等の被記録媒体への密着性を改善するために、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることも好ましい。具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
また、被記録媒体との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物全体に対し0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
また、インク色材の遮光効果による感度低下を防ぐ手段として、重合開始剤寿命の長いカチオン重合性モノマーと重合開始剤とを組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも好ましい態様の一つである。
[インク組成物の好ましい物性]
本発明に用いるインク組成物は、射出性を考慮し、射出時の温度において、インク粘度が7〜30mPa・sであることが好ましく、更に好ましくは7〜20mPa・sであり、上記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが好ましい。なお、25〜30℃でのインク粘度は、35〜500mPa・s、好ましくは35〜200mPa・sである。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録媒体を用いた場合でも、被記録媒体中へのインク浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更にインク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善される。25〜30℃におけるインク粘度が35mPa・s未満では、滲み防止効果が小さく、逆に500mPa・sより大きいと、インク液のデリバリーに問題が生じる。
以上、本発明に係るインクジェット描画装置及びインクジェット描画方法について詳細に説明したが、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよい。
本発明のインクジェット描画装置の概略構成を示す正面図である。 図1に示したインクジェット描画装置の上面図である。 インクジェットヘッドの吐出部の概略構成を示す断面図である。 図1に示した供給機構本体の概略構成を示す模式図である。 分子篩炭の酸素と窒素の吸着量と時間との関係を示すグラフである。 供給機構本体の他の一例を示す部分断面図である。 図6に示した供給機構本体の中空糸膜の一部を示す斜視図である。
符号の説明
10 インクジェット描画装置
12 搬送部
14 インクジェットヘッド
16 活性光線照射部
18 濃縮ガス供給機構
20,22 搬送ローラ対
30 UVランプ
32 リフレクタ
34 供給機構本体
36 高濃度酸素供給パイプ
38 高濃度窒素供給パイプ
40 圧縮空気供給管
42 第1主管
44 第2主管
46 高濃度窒素ガス供給配管(窒素供給管)
48 高濃度酸素ガス供給配管(酸素供給管)
50、52、54、56 三方弁
55 連通管
58 フィルタ
60 空気圧縮器
62 第1吸着筒
64 第2吸着筒
66 第3吸着筒
68 第4吸着筒
70 オリフィス
72、74 バッファタンク
76 取出口
78 サイレンサ
80 冷却コイル
82 安全弁
84 フィルタ
86 ドレン管
88 逆止弁
90 配管
92 制御弁
94 圧力スイッチ
96 減圧弁
98 圧力計
99 流量計
P 被記録媒体

Claims (6)

  1. 被記録媒体上に活性光線硬化型インクのインク液滴を吐出するインクジェットヘッドと、
    前記インク液滴が着弾した前記被記録媒体上に活性光線を照射する活性光線照射部と、
    前記インクジェットヘッド近傍に高濃度酸素ガスを供給する高濃度酸素ガス供給部と、
    前記活性光線照射部近傍に高濃度窒素ガスを供給する高濃度窒素ガス供給部とを有するインクジェット描画装置。
  2. さらに、空気中の酸素と窒素を分離して前記高濃度酸素ガス及び前記高濃度窒素ガスを精製し、前記高濃度酸素ガス供給部に前記高濃度酸素ガスを供給し、前記高濃度窒素ガス供給部に前記高濃度窒素ガスを供給する供給機構を有する請求項1に記載のインクジェット描画装置。
  3. 前記分離機構は、分子篩炭により窒素と酸素を分離する吸着法を用い、前記高濃度酸素ガスおよび前記高濃度窒素ガスを精製する請求項2に記載のインクジェット描画装置。
  4. 前記高濃度窒素ガスは、窒素濃度が80%以上100%以下であり、前記高濃度酸素ガスは、酸素濃度が25%以上100%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット描画装置。
  5. 被記録媒体上に画像を描画するインクジェット描画方法であって、
    高濃度酸素ガス雰囲気で活性光線硬化型インクのインク液滴を被記録媒体上に吐出し、
    高濃度窒素ガス雰囲気で前記インク液滴が着弾した被記録媒体に活性光線を照射し、前記被記録媒体上のインク液滴を硬化させるインクジェット描画方法。
  6. 酸素濃度が25%以上100%以下の高濃度酸素ガスを前記被記録媒体上に供給して、前記高濃度酸素雰囲気を形成し、
    窒素濃度が80%以上100%以下の高濃度窒素ガスを前記被記録媒体上に供給して、前記高濃度窒素雰囲気を形成する請求項5に記載のインクジェット描画方法。
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