JP2008062893A - 重荷重用ラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主交差ベルトは、実質的に非伸長性の複数本のスチールコードを被覆ゴム中に埋設してなる少なくとも3層のゴム被覆コード層が、層内ではコードが互いに平行に延び、隣接する層間ではコードが互いに交差しタイヤ赤道面を挟んで逆方向に延びるように積層されて形成された空気入りタイヤにおいて、前記主交差ベルトを形成するゴム被覆コードの層間の両端部に中間層のウエッジゴム2をウエッジゴム1及びウエッジゴム3で挟むように形成された三層構造よりなる楔状のベルト端ウエッジゴムが配置され、かつ前記ウエッジゴム2のゴム組成物100質量%中に、有機酸コバルト塩をコバルト量として0.025質量%以下を含む重荷重用ラジアルタイヤである。
【選択図】図2
Description
しかし、このような交差ベルトを構成するベルト層間では、スチールコードがタイヤ赤道面を挟んで交差して配設されているため、タイヤが転動する際にベルト層間に大きなせん断力が作用し、特に応力が集中しやすいベルト層の両端部においてスチールコードとこれを被覆するゴムとの間にセパレーションを生じやすいという問題があった。
一方、スチールコードと被覆ゴムとの接着を確保するために被覆ゴムやその隣接ゴムに接着プロモーターである有機酸コバルト塩や多量の硫黄が配合されている。
これらの配合剤はスチールコードと被覆ゴムとの接着力を高めることは知られていたが、熱等による老化特性が低下することもよく知られている。また、スチールコード被覆ゴムの隣接部材、例えばウエッジゴムなどから有機酸コバルト塩や硫黄の配合量を減量すると、スチールコード被覆ゴム中の有機酸コバルト塩や硫黄が隣接ゴムであるウエッジゴムに移行し少なくなるため、接着低下を招き、タイヤ耐久性が低下する背反性能が有り、上記ウエッジゴムを配施することによる効果は認められるものの、さらなるタイヤ耐久性の向上を図るためには、耐劣化性をさらに改善しなければならないといった問題が残されている。
すなわち、本発明は、
(1) 左右一対のビード部に設けられたビードコアと、クラウン部から両サイドウォール部を経て両ビード部に延び、該ビードコアに券回されてビード部に係留されたラジアルコード層よりなるカーカスプライと、該カーカスプライのクラウン部ラジアル方向に外側に配置された主交差層ベルトとトレッドとを備え、該主交差ベルトは、実質的に非伸長性の複数本のスチールコードを被覆ゴム中に埋設してなる少なくとも3層のゴム被覆コード層が、層内ではコードが互いに平行に延び、隣接する層間ではコードが互いに交差しタイヤ赤道面を挟んで逆方向に延びるように積層されて形成された空気入りタイヤにおいて、前記主交差ベルトを形成するゴム被覆コードの層間の両端部に中間層のウエッジゴム2をウエッジゴム1及びウエッジゴム3で挟むように形成された三層構造よりなる楔状のベルト端ウエッジゴムが配置され、かつ前記ウエッジゴム2のゴム組成物100質量%中に、有機酸コバルト塩をコバルト量として0.025質量%以下を含むことを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ、
(2) 前記中間層のウエッジゴム2のゴム組成物100質量%中に、硫黄を2質量%以下含んでなる上記(1)の重荷重用ラジアルタイヤ、
(3) 前記ウエッジゴム1及び3のゴム組成物100質量%中に、有機酸コバルト塩をコバルト量として0.025〜0.25質量%含み、かつ硫黄を1.5〜6質量%含んでなる上記(1)又は(2)の重荷重用ラジアルタイヤ、
(4) 前記スチールコード被覆ゴムのスチールコードまでの厚さDcと前記ウエッジゴム1の厚さD1の合計の厚さDaが0.5mm以上であり、かつ前記スチールコード被覆ゴムのスチールコードまでの厚さDcと前記ウエッジゴム3の厚さD3の合計の厚さDbが0.5mm以上である上記(1)〜(3)いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
(5) 前記Da及びDbの厚さが、いずれも0.5mm〜0.8mmである上記(4)の重荷重用ラジアルタイヤ、及び
(6) 前記ウエッジゴム2の100%歪弾性率が、前記ウエッジゴム1及び3の100歪弾性率対比70%以下である上記(1)〜(5)いずれかの重荷重用ラジアルタイヤ、
を提供するものである。
図2は、本発明の実施の形態を示す主交差ベルトの端部を示す部分断面模式図である。
4はウエッジゴム1、5は中間層のウエッジゴム2、6はウエッジゴム3を示す。図2に示ように三つのウエッジゴムを積層し、楔状の三層構造ウエッジゴムが形成される。
また、D1はウエッジゴム1の厚さ(mm)、D3はウエッジゴム3の厚さ(mm)、Dcはスチールコード被覆ゴムの厚さ(mm)を示す。
さらに、Daはウエッジゴム1の厚さD1(mm)とスチールコード被覆ゴム厚さDc(mm)の合計の厚さ(D1+Dc)を示し、Dbはウエッジゴム3の厚さD3(mm)とスチールコード被覆ゴム厚さDc(mm)の合計の厚さ(D3+Dc)を示す。
なお、スチールコードは、通常被覆ゴムとの接着を確保するためコード表面に真鍮メッキが施されている。
また、ゴム成分としては、通常天然ゴム70重量%以上を含有する単独又はブレンドゴムが好ましく、ここでブレンドゴムの場合の他のゴムとしては、合成ポリイソプレンゴム,ポリブタジエンゴム,スチレン−ブタジエン共重合ゴムなどが挙げられる。
硫黄の配合量を上記範囲にすることによってコバルトを減量した場合と同様にウエッジゴム2の優れた耐劣化性を確保することができる。
ウエッジゴム2は図2に示すようにウエッジゴム1及びウエッジゴム3に挟まれており、一方で、ウエッジゴム1及びウエッジゴム3はいずれもスチールコード被覆ゴムに隣接している。ウエッジゴム2はウエッジゴム1及び3に隣接しているため、ウエッジゴム2中の有機コバルト塩や硫黄の量を該被覆ゴム中に配合された有機コバルト塩や硫黄の量より減量してもスチールコード被覆ゴムとの間にDa又はDbという距離があることにより、ウエッジゴム2への有機コバルト塩や硫黄の移行が抑制される。したがって、スチールコード近傍のスチールコード被覆ゴム中にはスチールコードとの接着を確保するための有機酸コバルト塩や硫黄が十分存在し、スチールコードと被覆ゴム間の接着の低下を抑えることができる。
また、ウエッジゴム1及び3の中に含まれる有機コバルト塩及び硫黄の含有量は両者とも同じであってもよく、さらにスチールコード被覆ゴムと同じであってもよい。
Da及びDbについては同じ厚さであることが好ましい。また、Da及びDbの上限については特に制限はないが0.8mm以下が好ましい。
Da及びDbの厚さを上記範囲にすることによって有機コバルト塩や硫黄の近接ゴム例えば、ウエッジゴム2への移行を抑えることができスチールコードと被覆ゴムとの接着性を確保し、ウエッジゴム2中の有機コバルト塩や硫黄の量をスチールコード被覆ゴム中に含まれる量よりも大幅に減ずることができ、ウエッジゴム2の耐劣化性を向上させることができる。
ウエッジゴムの100%歪弾性率を上記範囲にすることによって、ベルト層間、特に応力が集中しやすい主交差ベルト層の両端部に発生するせん断応力を緩和し、ベルト端部周りの疲労亀裂損傷を抑制することによって、ベルト端部のセパレーションの発生を抑え、タイヤ耐久性を向上することができる。
前記ウエッジゴム2に配合されるカーボンブラックは、例えばFEF,HAF,又はISAFグレードのものが用いられ、その配合量はゴム成分100質量部に対して20〜90質量部、好ましくは30〜70質量部である。
尚、各実施例、比較例における各種測定は下記により行なった。
1)100%歪弾性率の測定
試料として得られた加硫物をJIS K6251−2004に従って測定した。組成物Aを100として指数で示した。数値の小さい方が弾性率が小さいことを示す。測定結果を第1表に示す。
2)ドラム走行距離の測定
タイヤ内圧700KPa、JIS100%荷重の下に速度60km/hで故障するまで走行させ比較例1の走行距離を100としたときの指数で表示した。数値の大きいほうが走行距離長いことを示す。
3)スチールコードとの接着性
ドラム走行後のタイヤの三層ウエッジゴムを含む主交差ベルト部を採取し、スチールコードと三層ウエッジゴム側のスチールコード被覆ゴム間の接着力をマイナス80℃にて測定して、その際のスチールコードへのゴム付着率(%)で比較した。ゴム付着率が100%のものを100として表示した。
第1表の記載の配合組成にしたがって、各成分を常法に従って混練し、A〜Eの各ウエッジゴム組成物を得た。該ゴム組成物を145℃で60分間加硫を行い、得られた加硫物の100%歪弾性率を測定した。組成物Aの弾性率を100として指数で表した。数値の小さい方が弾性率が小さいことを示す。結果を第1表に示す。
*1.カーボンブラック:N330、「旭#70」旭カーボン社製
*2.老化防止剤:N−(1,3ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン「ノクラック6C」大内新興化学工業社製
*3.有機酸コバルト塩:「マノボンドC:コバルト金属含有量22質量%」ローディア社製
*4.加硫促進剤:N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド「ノクセラーDZ」大内新興化学工業社製
第2表に示すウエッジゴム種の各組み合わせより、主交差ベルトを形成するゴム被覆コード層間の両端部に一層および三層構造よりなる楔状のウエッジゴムを配施したトラック・バス用タイヤ(タイヤサイズ:11R22.5)を常法により試作した。
なお、スチールコード被覆ゴムとして第1表に記載の組成物Aを用いた。
これらの試供タイヤを用いてドラム走行距離(指数)及びスチールコードへのゴム付着率(%)を求めた。評価結果を第2表に示す。
三層構造よりなるウエッジゴムを配施したタイヤ(実施例1〜3)は従来の一層構造よりなるウエッジゴムを配施したタイヤ(比較例1)に比べスチールコードへのゴム付着率を維持しながらドラム走行距離指数を大幅に向上させることができる。
2.スチールコード被覆ゴム
3.一層のウエッジゴム
4.ウエッジゴム1
5.ウエッジゴム2
6.ウエッジゴム3
D1.ウエッジゴム1の厚さ(mm)
D3.ウエッジゴム3の厚さ(mm)
Da.ウエッジゴム1の厚さとスチールコード被覆ゴムの厚さの合計厚さ(D1+Dc)
Db.ウエッジゴム3の厚さとスチールコード被覆ゴムの厚さの合計厚さ(D3+Dc)
Dc.スチールコード被覆ゴムの厚さ(mm)
Claims (6)
- 左右一対のビード部に設けられたビードコアと、クラウン部から両サイドウォール部を経て両ビード部に延び、該ビードコアに券回されてビード部に係留されたラジアルコード層よりなるカーカスプライと、該カーカスプライのクラウン部ラジアル方向に外側に配置された主交差層ベルトとトレッドとを備え、該主交差ベルトは、実質的に非伸長性の複数本のスチールコードを被覆ゴム中に埋設してなる少なくとも3層のゴム被覆コード層が、層内ではコードが互いに平行に延び、隣接する層間ではコードが互いに交差しタイヤ赤道面を挟んで逆方向に延びるように積層されて形成された空気入りタイヤにおいて、前記主交差ベルトを形成するゴム被覆コードの層間の両端部に中間層のウエッジゴム2をウエッジゴム1及びウエッジゴム3で挟むように形成された三層構造よりなる楔状のベルト端ウエッジゴムが配置され、かつ前記ウエッジゴム2のゴム組成物100質量%中に、有機酸コバルト塩をコバルト量として0.025質量%以下を含むことを特徴とする重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記中間層のウエッジゴム2のゴム組成物100質量%中に、硫黄を2質量%以下含んでなる請求項1に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記ウエッジゴム1及び3のゴム組成物100質量%中に、有機酸コバルト塩をコバルト量として0.025〜0.25質量%含み、かつ硫黄を1.5〜6質量%含んでなる請求項1又は2に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記スチールコード被覆ゴムのスチールコードまでの厚さDcと前記ウエッジゴム1の厚さD1の合計の厚さDaが0.5mm以上であり、かつ前記スチールコード被覆ゴムのスチールコードまでの厚さDcと前記ウエッジゴム3の厚さD3の合計の厚さDbが0.5mm以上である請求項1〜3のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記Da及びDbの厚さが、いずれも0.5mm〜0.8mmである請求項4に記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
- 前記ウエッジゴム2の100%歪弾性率が、前記ウエッジゴム1及び3の100歪弾性率対比70%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の重荷重用ラジアルタイヤ。
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