JP2008060477A - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】高温における連続充電時の静電容量保持率が高い耐久性に優れたキャパシタを提供する。
【解決手段】正極、負極、及び、電解質としてリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備えるリチウムイオンキャパシタであって、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極の電位が2.0V(対Li/Li)以下になるように負極及び/又は正極に対してリチウムイオンが予めドープされており、上記正極活物質は、50%体積累積径(D50)が2〜8μmのアルカリ賦活処理された活性炭粒子であり、かつ、上記非プロトン性有機溶媒が実質的にプロピレンカーボネートであることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、正極、負極、及び電解質としてリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備えたリチウムイオンキャパシタに関する。
近年、グラファイト等の炭素材料を負極に用い、正極にLiCoO等のリチウム含有金属酸化物を用いた所謂リチウムイオン二次電池は高容量であり有力な蓄電装置として、主にノート型パソコンや携帯電話の主電源として実用化されている。リチウムイオン二次電池は、電池組立後、充電することにより正極のリチウム含有金属酸化物から負極にリチウムイオンを供給し、更に放電では負極のリチウムイオンを正極に戻すという、いわゆるロッキングチェア型電池であり、高電圧及び高容量、高安全性を有することを特長としている。
一方、環境問題がクローズアップされる中、ガソリン車にかわる電気自動車用又はハイブリッド自動車用の蓄電装置(メイン電源と補助電源)の開発が盛んに行われているが、自動車用の蓄電装置として、これまでは鉛電池が使用されてきた。しかし、車載用の電気設備や機器の充実により、エネルギー密度、出力密度の点から新しい蓄電装置が求められるようになってきている。
かかる新しい蓄電装置としては、上記のリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタが注目されている。しかし、リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高いものの出力特性、安全性やサイクル寿命には問題を残している。
一方、電気二重層キャパシタは、ICやLSIのメモリーバックアップ用電源として利用されているが、一充電当たりの放電容量は電池に比べて小さい。しかし、瞬時の充放電特性に優れ、数万サイクル以上の充放電にも耐えるという、リチウムイオン二次電池にはない高い出力特性とメンテナンスフリー性を備えている。
電気二重層キャパシタはこうした利点を有してはいるが、従来の一般的な電気二重層キャパシタのエネルギー密度は3〜4Wh/l程度で、リチウムイオン二次電池に比べて二桁程度小さい。電気自動車用を考えた場合、実用化には6〜10Wh/l、普及させるには20Wh/lのエネルギー密度が必要であるといわれている。
こうした高エネルギー密度、高出力特性を要する用途に対応する蓄電装置として、近年、リチウムイオン二次電池と電気二重層キャパシタの蓄電原理を組み合わせた、ハイブリッドキャパシタとも呼ばれる蓄電装置が注目されている。ハイブリッドキャパシタでは、通常、正極に分極性電極を使用し、負極に非分極性電極を使用するもので、電池の高いエネルギー密度と電気二重層の高い出力特性を兼ね備えた蓄電装置として注目されている。一方、このハイブリッドキャパシタにおいて、リチウムイオンを吸蔵、脱離しうる負極を金属リチウムと接触させて、予め化学的方法又は電気化学的方法でリチウムイオンを吸蔵、担持(以下、ドープともいう)させて負極電位を下げることにより、耐電圧を大きくしエネルギー密度を大幅に大きくすることを意図したキャパシタが提案されている。(特許文献1〜特許文献4参照)
この種のハイブリッドキャパシタでは、高性能は期待されるものの、負極にリチウムイオンをドープさせる場合に、ドープが極めて長時間を要することや負極全体に対する均一性のあるドープに問題を有し、特に、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型の高容量セルでは実用化は困難とされていた。
しかし、この問題は、セルを構成する、負極集電体及び正極集電体の表裏に貫通する孔を設け、この貫通孔を通じてリチウムイオンが移動させ、同時にリチウムイオン供給源である金属リチウムと負極を短絡させることにより、セルの端部に金属リチウムを配置するだけで、セル中の全負極にリチウムイオンをドープできることの発明により、一挙に解決するに至った(特許文献5参照)。なお、リチウムイオンのドープは、通常、負極に対して行なわれるが、負極とともに、又は負極の代わりに正極に行う場合も同様であることが特許文献5に記載されている。
かくして、電極を捲回した円筒型装置や、複数枚の電極を積層した角型電池のような大型のセルでも、装置中の全負極に対して短時間にかつ負極全体に均一にリチウムイオンがドープでき、耐電圧が向上した事でエネルギー密度が飛躍的に増大し、電気二重層キャパシタが本来有する大きい出力密度と相俟って、高容量のキャパシタが実現する見通しが得られた。
しかし、かかる高容量のキャパシタを実用化するためには、さらに、高容量、高エネルギー密度及び高出力密度とし、高い耐久性を確保することが要求されている。
特開平8−107048号公報 特開平9−55342号公報 特開平9−232190号公報 特開平11−297578号公報 国際公開WO98/033227号公報
本発明は、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極及び/又は正極をリチウム供給源である金属リチウムと電気化学的に接触させて、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドープさせるリチウムイオンキャパシタにおいて、高いエネルギー密度と高い出力密度で、かつ高温における連続充電時の静電容量保持率が高く、高電圧に対する耐久性に優れたキャパシタを提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究を行った結果、正極と負極を短絡させた後の正極負極電位が2.0V(対Li/Li)以下となるように、負極及び/又は正極に対してリチウムイオンを予めドープさせたリチウムイオンキャパシタにおいては、そこで使用される、リチウム塩の非プロトン性有機溶媒電解質溶液の物性と正極活物質及び負極活物質との相性が、得られるキャパシタの耐久性に密接に関係し、上記正極活物質は、50%体積累積径(D50)が2〜8μmのアルカリ賦活処理された活性炭粒子であり、上記電解液の溶媒は実質的にプロピレンカーボネートであることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
かくして、本発明は、以下の要旨を有することを特徴とするものである。
(1)正極、負極、及び、電解質としてリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒電解質溶液を備えるリチウムイオンキャパシタであって、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極の電位が2.0V(対Li/Li)以下になるように負極及び/又は正極に対してリチウムイオンが予めドープされており、かつ、上記正極活物質は、50%体積累積径(D50)が2〜8μmのアルカリ賦活処理された活性炭粒子であり、上記非プロトン性有機溶媒が実質的にプロピレンカーボネートであることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
(2)活性炭粒子が、フェノール樹脂系活性炭、石油ピッチ系活性炭、又は石油コークス系活性炭、石炭コークス系活性炭である上記(1)に記載のリチウムイオンキャパシタ。(3)前記正極及び/又は負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、負極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンがドープされている上記(1)又は(2)に記載のリチウムイオンキャパシタ。
(4)負極活物質は、正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物質の重量よりも大きい上記(1)〜(3)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
(5)負極活物質は、芳香族系縮合ポリマーを非酸化性雰囲気にて400〜800℃で熱処理し、水素原子/炭素原子の原子数比率が0.05〜0.5の不溶不融体からなるポリアセン系物質である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
本発明によれば、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドープする、特に大容量のリチウムイオンキャパシタであって、高いエネルギー密度と高い出力密度ともに、高温における連続充電時の静電容量保持率が高い耐久性の優れたキャパシタが提供される。本発明において、正極活物質が、50%体積累積径(D50)が2〜8μmのアルカリ賦活処理された活性炭粒子であり、かつ、上記電解液の溶媒はプロピレンカーボネートであることにより、得られるキャパシタが何故に高いエネルギー密度と高い出力密度とともに、高温における連続充電時の静電容量保持率が向上し、かつ高電圧に対する耐久性が向上するメカニズムについては、必ずしも明らかではないが、次のように推定される。
すなわち、リチウムイオンキャパシタにおいては、炭素材料から構成される負極上においては、耐久性のある安定した被膜が形成される必要があるが、電解液の溶媒として、実質的にプロピレンカーボネートからなる溶媒を使用した場合は、エチレンカーボネート、鎖状カーボネート、あるいは、これらの混合溶媒などを使用した場合に比べて、負極上に安定した皮膜が形成され、高温連続充電において負極電位の上昇が抑えられる。一方で、アルカリ賦活処理された活性炭は、表面に官能基を多く有し、官能基が多い活性炭は、官能基の少ない活性炭と比べて耐電圧が低く、正極からのガス発生が起こりやすくなると言われている。プロピレンカーボネート溶媒を用いる事で、負極電位が低くなり、そのため正極の電位上昇も抑えられることから、アルカリ賦活処理された活性炭を用いても正極からのガス発生が抑制され、耐電圧が向上すると考えられる。
また、正極として、アルカリ賦活処理された活性炭を使用した場合には、他の賦活処理による活性炭よりも高容量かつ高エネルギー密度などの点で優れた特性が得られることが知られている。しかし、アルカリ賦活処理された活性炭を使用したリチウムイオンキャパシタにおける電解液の溶媒として、実質的にプロピレンカーボネートからなる溶媒を使用した場合には、キャパシタの高温における連続充放電においては、容量が大幅に低下してしまう。これは、アルカリ賦活処理された活性炭は、他の方法で賦活処理された活性炭に比べて比較的小さな細孔を有しているため、もともと粘度が高いプロピレンカーボネート溶媒を用いた場合には正極中の電解液が枯渇しやくなることに起因するものと思われる。
本発明では、平均粒子径D50が2〜8μmのアルカリ賦活処理された活性炭粒子を用い、正極中にリチウムイオンや溶媒がスムーズに拡散し易い大きさの粒子間空隙を形成させることで、電解液の枯渇を防ぎ、高いエネルギー密度と高い出力密度とともに、高温における連続充電時の静電容量保持率が向上し、かつ高電圧に対する耐久性が向上すると考えられる。
本発明において、「担持」とは、ドープ、吸蔵、又は挿入をも意味し、正極活物質にリチウムイオン又はアニオンが入る現象、或いは、負極活物質にリチウムイオンが入る現象を言う。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極、負極、及び、電解質としてリチウム塩を含む非プロトン性有機電解液を備え、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、かつ負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質である。ここで、「正極」とは、放電の際に電流が流れ出る側の極であり、「負極」とは放電の際に電流が流れ込む側の極をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドープにより正極と負極を短絡させた後の正極電位が2.0V(対Li/Li)以下にされていることが必要である。負極及び/又は正極に対するリチウムイオンのドープされていないキャパシタでは、正極及び負極電位はいずれも3V(対Li/Li)であり、充電前においては、正極と負極を短絡させた後の正極の電位は3V(対Li/Li)である。
なお、本発明で、正極と負極を短絡させた後の正極の電位が2.0V(対Li/Li)以下とは、(A)リチウムイオンによるドープの後、キャパシタセルの正極端子と負極端子を導線で直接結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位、(B)充放電試験機にて12時間以上かけて0V(対Li/Li)まで定電流放電させた後に正極端子と負極端子を導線で結合させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、0.5〜1.5時間内に測定した正極電位、の(A)又は(B)の2つのいずれかの方法で求められる正極電位が2.0V(対Li/Li)以下の場合をいう。
また、本発明において、正極と負極とを短絡させた後の正極電位が2.0V(対Li/Li)以下というのは、リチウムイオンがドープされたすぐ後だけに限られるものではなく、充電状態、放電状態あるいは充放電を繰り返した後に短絡した場合など、いずれかの状態で短絡後の正極電位が2.0V(対Li/Li)以下となることである。
本発明において、正極と負極とを短絡させた後の正極電位が2.0V(対Li/Li)以下になるということに関し、以下に詳細に説明する。上述のように活性炭や炭素材は通常3V(Li/Li)前後の電位を有しており、正極、負極ともに活性炭を用いてセルを組んだ場合、いずれの電位も約3V(対Li/Li)となるため、短絡しても正極電位はかわらず約3V(対Li/Li)である。また、正極に活性炭、負極にリチウムイオン二次電池にて使用されている黒鉛や難黒鉛化炭素のような炭素材を用いた、いわゆるハイブリッドキャパシタの場合も同様であり、いずれの電位も約3V(対Li/Li)となるため、短絡しても正極電位はかわらず約3V(対Li/Li)である。正極と負極の重量バランスにもよるが充電すると負極電位が0V近傍まで推移するので、充電電圧を高くすることが可能となるため高電圧、高エネルギー密度を有したキャパシタとなる。一般的に充電電圧の上限は正極電位の上昇による電解液の分解が起こらない電圧に決められるので、正極電位を上限にした場合、負極電位が低下する分、充電電圧を高めることが可能となるのである。しかしながら、短絡時に正極電位が約3V(対Li/Li)となる上述のハイブリッドキャパシタでは、正極の上限電位が例えば4.0V(対Li/Li)とした場合、放電時の正極電位は3.0V(対Li/Li)までであり、正極の電位変化は1.0V程度と正極の容量を充分利用できていない。更に、負極にリチウムイオンを挿入(充電)、脱離(放電)した場合、初期の充放電効率が低い場合が多く、放電時に脱離できないリチウムイオンが存在していることが知られている。これは、負極表面にて電解液の分解に消費される場合や、炭素材の構造欠陥部にトラップされる等の説明がなされているが、この場合正極の充放電効率に比べ負極の充放電効率が低くなり、充放電を繰り返した後にセルを短絡させると正極電位は3V(対Li/Li)よりも高くなり、さらに利用容量は低下する。すなわち、正極は4.0V(対Li/Li)から2.0V(対Li/Li)まで放電可能であるところ、4.0V(対Li/Li)から3.0V(対Li/Li)までしか使えない場合、利用容量として半分しか使っていないこととなり、高電圧にはなるが高容量にはならないのである。
ハイブリッドキャパシタを高電圧、高エネルギー密度だけでなく、高容量そして更にエネルギー密度を高めるためには、正極の利用容量を向上させることが必要である。
短絡後の正極電位が3.0V(対Li/Li)よりも低下すればそれだけ利用容量が増え、高容量になるということである。2.0V(対Li/Li)以下になるためには、セルの充放電により充電される量だけでなく、別途金属リチウムなどのリチウムイオン供給源から負極にリチウムイオンを充電することが好ましい。正極と負極以外からリチウムイオンが供給されるので、短絡させた時には、正極、負極、金属リチウムの平衡電位になるため、正極電位、負極電位ともに3.0V(対Li/Li)以下になる。金属リチウムの量が多くなる程に平衡電位は低くなる。負極材、正極材が変われば平衡電位も変わるので、短絡後の正極電位が2.0V(対Li/Li)以下になるように、負極材、正極材の特性を鑑みて負極に担持させるリチウムイオン量の調整が必要である。
本発明において、キャパシタセルに、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドープし、正極と負極を短絡させた後の正極電位を2.0V(対Li/Li)以下にすることにより、正極の利用容量が高くなるため高容量となり、大きいエネルギー密度が得られる。リチウムイオンの供給量が多くなる程、正極と負極を短絡させた時の正極電位は低くなりエネルギー密度は向上する。更に高いエネルギー密度を得る上では1.5V(対Li/Li)以下、特には、1.0V(対Li/Li)以下が更に好ましい。正極および/又は負極に供給されたリチウムイオンの量が少ないと正極と負極を短絡させた時に正極電位が2V(対Li/Li)よりも高くなり、セルのエネルギー密度は小さくなる。また、正極電位が1.0V(対Li/Li)を下回ると正極活物質にもよるが、ガス発生や、リチウムイオンを不可逆に消費してしまう等の不具合が生じるため、正極電位の測定が困難となる。また、正極電位が低くなりすぎる場合、負極重量が過剰ということであり、逆にエネルギー密度は低下する。一般的には0.1V(対Li/Li)以上であり、好ましくは0.3V(対Li/Li)以上である。
本発明で、リチウムイオンのドープは、負極と正極の片方あるいは両方いずれでもよいが、例えば正極に活性炭を用いた場合、リチウムイオンのドープ量が多くなり正極電位が低くなると、リチウムイオンを不可逆的に消費してしまい、セルの容量が低下するなどの不具合が生じる場合がある。このため、負極と正極にドープするリチウムイオンは、それぞれの電極活物質を考慮し、これらの不具合を生じないようにするのが好ましい。本発明では、正極のドープ量と負極のドープ量を制御することは工程上煩雑となるため、リチウムイオンのドープは好ましくは負極に対して行われる。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、特に、負極活物質の単位重量当たりの静電容量が正極活物質の単位重量当たりの静電容量の3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物質重量よりも大きくする場合、高電圧且つ高容量のキャパシタが得られる。また、それと同時に、正極の単位重量当たりの静電容量に対して大きな単位重量当たりの静電容量を持つ負極を用いる場合には、負極の電位変化量を変えずに負極活物質重量を減らすことが可能となるため、正極活物質の充填量が多くなりセルの静電容量及び容量が大きくなる。正極活物質重量は負極活物質重量に対して大きいことが好ましいが、1.1倍〜10倍であることが更に好ましい。1.1倍未満であれば容量差が小さくなり、10倍を超えると逆にセル容量が小さくなる場合もあり、また正極と負極の厚み差が大きくなり過ぎるのでセル構成上好ましくない。
なお、本発明において、キャパシタセル(以下、単にセルともいう)の静電容量及び容量は次のように定義される。セルの静電容量とは、セルの単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はF(ファラッド)である。セルの単位重量当たりの静電容量とはセルの静電容量に対するセル内に充填している正極活物質重量と負極活物質重量の合計重量の除で示され、単位はF/gである。また、正極又は負極の静電容量とは、正極あるいは負極の単位電圧当たりセルに流れる電気量(放電カーブの傾き)を示し、単位はFである。正極あるいは負極の単位重量当たりの静電容量とは正極あるいは負極の静電容量をセル内に充填している正極あるいは負極活物質重量の除で示され、単位はF/gである。
更に、セル容量とは、セルの放電開始電圧と放電終了電圧の差、即ち電圧変化量とセルの静電容量の積であり単位はC(クーロン)であるが、1Cは1秒間に1Aの電流が流れたときの電荷量であるので本発明においては換算してmAh表示する。正極容量とは放電開始時の正極電位と放電終了時の正極電位の差(正極電位変化量)と正極の静電容量の積であり単位はCまたはmAh、同様に負極容量とは放電開始時の負極電位と放電終了時の負極電位の差(負極電位変化量)と負極の静電容量の積であり単位はCまたはmAhである。これらセル容量と正極容量、負極容量は一致する。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおいて、予め負極及び/又は正極にリチウムイオンをドープさせる手段は特に限定されない。例えば、リチウムイオンを供給可能な、金属リチウムなどのリチウムイオン供給源をリチウム極としてキャパシタセル内に配置できる。リチウムイオン供給源の量(金属リチウム等の重量)は、所定の負極の容量が得られる量だけあればよい。この場合、負極とリチウム極は物理的な接触(短絡)でもよいし、電気化学的にドープさせてもよい。リチウムイオン供給源は、導電性多孔体からなる集電体上に形成してもよい。リチウムイオン供給源の集電体となる導電性多孔体としては、ステンレスメッシュ等のリチウムイオン供給源と反応しない金属多孔体が使用できる。
大容量の多層構造のキャパシタセルでは正極及び負極にそれぞれ電気を受配電する正極集電体及び負極集電体が備えられるが、かかる正極集電体及び負極集電体が使用され、かつリチウム極が設けられるセルの場合、リチウム極が負極集電体に対向する位置に設けられ、電気化学的に負極にリチウムイオンを供給することが好ましい。この場合、正極集電体及び負極集電体として、例えばエキスパンドメタルのように表裏面を貫通する孔を備えた材料を用い、リチウム極を負極及び/又は正極に対向させて配置する。この貫通孔の形態、数等は特に限定されず、後述する電解液中のリチウムイオンが電極集電体に遮断されることなく電極の表裏間を移動できるように、設定することができる。
本発明のリチウムイオンキャパシタでは、負極及び/又は正極にドープするリチウム極をセル中の局所的に配置した場合もリチウムイオンのドープが均一に行うことができる。従って、正極及び負極を積層もしくは捲回した大容量のセルの場合も、最外周又は最外側のセルの一部にリチウム極を配置することにより、スムーズにかつ均一に負極にリチウムイオンをドープできる。
電極集電体の材質としては、一般にリチウム系電池に提案されている種々の材質を用いることができ、正極集電体にはアルミニウム、ステンレス鋼等、負極集電体にはステンレス鋼、銅、ニッケル等をそれぞれ用いることができる。また、セル内に配置されたリチウムイオン供給源とは、金属リチウムあるいはリチウム−アルミニウム合金のように、少なくともリチウム元素を含有し、リチウムイオンを供給することのできる物質をいう。
本発明のリチウムイオンキャパシタにおける非プロトン性有機溶媒電解質溶液を形成する非プロトン性有機溶媒としては、実質的にプロピレンカーボネートから構成される。非プロトン性有機溶媒中にはプロピレンカーボネートのほかに他の溶媒を含有していてもよいが、非プロトン性有機溶媒中のプロピレンカーボネートの含有割合は、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは95重量%以上、特に好ましくは98重量%以上である。非プロトン性有機溶媒の上記他の溶媒としては、環状の非プロトン性溶媒、鎖状の非プロトン性溶媒が挙げられる。環状の非プロトン性溶媒としては、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートのような環状カーボネート、γ―ブチロラクトンのような環状エステル、スルホランのような環状スルホン、ジオキソランのような環状エーテルが例示される。鎖状の非プロトン性溶媒としては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート、プロピオン酸メチルのような鎖状カルボン酸エステル、ジメトキシエタンのような鎖状エーテルが挙げられる。
また、上記の単一あるいは混合の非プロトン性溶媒に溶解させる電解質は、リチウムイオンを生成しうる電解質であれば、あらゆるリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、好ましくは、LiClO、LiAsF、LiBF、LiPF、LiN(CSO、LiN(CFSO等が挙げられる。特に、イオン電導性が高く、低抵抗であるのでLiPFが好適である。上記の電解質及び溶媒は、充分に脱水された状態で混合され、電解質溶液とするのであるが、電解液中の電解質の濃度は、電解液による内部抵抗を小さくするため少なくとも0.1モル/l以上とすることが好ましく、0.5〜1.5モル/lの範囲内とすることが更に好ましい。
本発明で正極活物質は、D50が2〜8μm、好ましくは3〜8μmの活性炭粒子から形成される。活性炭のD50が2μmより小さい場合には、静電容量保持率が小さくなる。これは正極の充填密度が高くなりすぎて、活性炭粒子間の空隙が少なくなり電解液が枯渇しやすいためと思われる。逆に、D50が8μmを超える場合には、正極の充填密度が上がらず、電極を成形することができない。成形できたとしても、目的のエネルギー密度に達成できない。なお、本発明におけるD50の値は、例えば、X線マイクロトラック法によって求められる。
本発明で活性炭の原料は、好ましくは、フェノール樹脂、石油ピッチ、石油コークス、ヤシガラ、又は石炭コークスなどが使用されるが、好ましくはフェノール樹脂、石炭コークスが比表面積を高くできる理由で好適である。これらの活性炭の原材料は、焼成して炭化処理され、次いでアルカリ賦活処理され、次いで粉砕される。上記の炭化処理は、現材料を加熱炉等に収容し、原材料が炭化する温度で所要時間加熱して行われる。その際の温度は原材料の種類、加熱時間等によって異なるが、通常、加熱時間が1〜20時間程度とされる場合、500〜1000℃に設定される。加熱雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。
本発明では、活性炭の賦活処理はアルカリ処理が行われることにより優れた特性が得られる。アルカリ活性化剤は、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の塩類または水酸化物が好ましく、なかでも、水酸化カリウムが好適である。アルカリ賦活の方法は、例えば、炭化物と活性剤を混合した後、不活性ガス気流中で加熱することにより行う方法、活性炭の原材料に予め活性化剤を担持させた後加熱して、炭化および賦活の工程を行う方法、炭化物を水蒸気などのガス賦活法で賦活した後、アルカリ活性化剤で表面処理する方法が挙げられる。
アルカリ活性化剤として、水酸化カリウムなどの一価の塩基を用いる場合には、炭化物とアルカリ活性化剤との割合は、重量比で、1:1〜1:10が好ましく、さらに1:1〜1:5がより好ましく、特に1:2〜1:4が最も好ましい。炭化物1重量部に対する活性化剤の割合が、1重量部未満であると、賦活が充分に進行せず、一方、4重量部を超えると、体積当たりの静電容量が低下する恐れがある。
アルカリ賦活の温度は、400〜900℃が好ましく、特に600〜800℃付近がより好ましい。賦活温度が400℃未満であると、賦活が進行せず、静電容量が小さくなり、一方、900℃を超えると、賦活化率が極端に低下し好ましくない。賦活時間は、1〜10時間が好ましく、特に1〜5時間がより好ましい。賦活時間が1時間未満であると、正極として用いた際の内部抵抗が増大し、一方、10時間を超えると、単位体積当たりの静電容量が低下する。また、賦活処理後は多量に含まれているアルカリ活性化剤を充分に洗浄することにより取り除くことが必要である。洗浄の方法は特に限定するものではないが、通常、80℃、1〜3規定程度の塩酸などによる酸洗浄を数回繰り返すことによりアルカリ成分を充分に取り除くことが必要である。更に、アンモニア水などを用いて充分に中和洗浄することが好ましい。洗浄されたアルカル賦活活性炭は、次いで粉砕される。
粉砕は、ボールミル等の既知の粉砕機を用いて行われ、レーザー回折式マイクロトラック法によってD50を求める。また、活性炭は、平均細孔径が好ましくは10nm以下であり、比表面積が好ましくは600〜3000m/gであるのが好適である。本発明の正極活物質である活性炭は、比表面積が600m/g以上であることが必要であり、これより小さい場合には、正極としてセルの用いて充放電した際に体積の2倍に膨張するため、体積あたりの容量は半分になり、本発明で目的とする効果は達成できない。なかでも、800m/g以上、特には1300〜2500m/gであるのが好適である。
本発明における正極は、上記の活性炭粉末から形成されるが、その手段は既存のものが使用できる。即ち、活性炭粉末、バインダー、必要に応じて、導電材及び増粘剤(CMCなど)を水系又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを必要に応じて使用される集電体に塗布するか、又は上記スラリーを予めシート状に成形し、これを集電体に貼り付けてもよい。ここで使用されるバインダーとしては、例えば、SBR等のゴム系やポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の炭化水素樹脂、アクリル系重合体等を用いることができる。
また、上記で必要に応じて使用される導電材としては、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末等が挙げられる。導電材の使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、正極活物質に対して1〜40%の割合で加えることが適当である。
一方、本発明における負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に担持できる物質から形成される。好ましい物質としては、例えば、グラファイト、ハードカーボン、コークスなどの炭素材料、ポリアセン系物質(以下、PASともいう)等を挙げることができる。これらの炭素材料及びPASは、フェノール樹脂等を炭化させ、必要に応じて賦活され、次いで粉砕したものが用いられる。炭化処理は、上記した正極における活性炭の場合と同様に、加熱炉等に収容し、フェノール樹脂等が炭化する温度で所要時間加熱することによって行われる。その際の温度は加熱時間等によって異なるが、PASの場合は通常、500〜1000℃に設定される。粉砕工程は、ボールミル等の既知の粉砕機を用いて行われる。
本発明の負極活物質としては、なかでも、PASは、高容量が得られる点でより好ましい。例えば、水素原子/炭素原子の原子比(以下H/Cと記す)が0.22のPASに400mAh/gのリチウムイオンを担持(充電)させた後に放電させると650F/g以上の静電容量が得られ、また、500mAh/g以上のリチウムイオンを充電させると750F/g以上の静電容量が得られる。PASはアモルファス構造を有し、担持させるリチウムイオン量を増加させるほど電位が低下するので、得られるキャパシタの耐電圧(充電電圧)が高くなり、また、放電における電圧の上昇速度(放電カーブの傾き)が低くなるため、容量が若干大きくなる。よって、求められるキャパシタの使用電圧に応じて、リチウムイオン量は活物質のリチウムイオン吸蔵能力の範囲内にて設定することが望ましい。
また、PASはアモルファス構造を有することから、リチウムイオンの挿入・脱離に対して膨潤・収縮といった構造変化がないためサイクル特性に優れ、またリチウムイオンの挿入・脱離に対して等方的な分子構造(高次構造)であるため急速充電、急速放電にも優れるので好適である。PASの前駆体である芳香族系縮合ポリマーとは、芳香族炭化水素化合物とアルデヒド類との縮合物である。芳香族炭化水素化合物としては、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール等の如き、いわゆるフェノール類を好適に用いることができる。例えば、下記式
Figure 2008060477
(ここで、x及びyはそれぞれ独立に、0、1または2である)で表されるメチレン・ビスフェノール類であることができ、あるいはヒドロキシ・ビフェニル類、ヒドロキシナフタレン類であることもできる。なかでも、フェノール類が好適である。
また、上記芳香族系縮合ポリマーとしては、上記のフェノール性水酸基を有する芳香族炭化水素化合物の1部をフェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素化合物、例えばキシレン、トルエン、アニリン等で置換した変成芳香族系縮合ポリマー、例えばフェノールとキシレンとホルムアルデヒドとの縮合物を用いることもできる。更に、メラミン、尿素で置換した変成芳香族系ポリマーを用いることもでき、フラン樹脂も好適である。
本発明でPASは次のようにして製造される。即ち、上記芳香族系縮合ポリマーを、非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で400〜800°Cの適当な温度まで徐々に加熱することにより、H/Cが0.5〜0.05、好ましくは0.35〜0.10の不溶不融性基体となる。この不溶不融性基体を、非酸化性雰囲気下(真空も含む)中で、350〜800°Cの温度まで、好ましくは400〜750°Cの適当な温度まで徐々に加熱することにより、上記H/Cを有する不溶不融性基体を得ることもできる。
上記の不溶不融性基体は、X線回折(CuKα)によれば、メイン・ピークの位置は2θで表して24°以下に存在し、また該メイン・ピークの他に41〜46°の間にブロードな他のピークが存在する。即ち、上記不溶不融性基体は、芳香族系多環構造が適度に発達したポリアセン系骨格構造を有し、かつアモルファス構造を有し、リチウムイオンを安定にドープすることができる。
本発明で負極活物質の有する粒度特性は、50%体積累積径(D50ともいう)が0.5〜30μmである負極活物質粒子から形成され、好ましくは0.5〜15μmであり、特には0.5〜6μmが好適である。また、本発明の負極活物質粒子は、比表面積が好ましくは0.1〜2000m/gであるのが好適であり、好ましくは0.1〜1000m/gであり、特には0.1〜600m/gが好適である。
本発明における負極は、上記の負極活物質粉末から形成されるが、その手段は、上記正極の場合と同様に、既存のものが使用できる。即ち、負極活物質粉末、バインダー、必要に応じて、導電性剤及び増粘剤(CMCなど)を水系又は有機溶媒中に分散させてスラリーとし、該スラリーを上記した集電体に塗布するか、又は上記スラリーを予めシート状に成形し、これを集電体に貼り付けてもよい。ここで使用されるバインダーとしては、例えば、SBR等のゴム系バインダーやポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、アクリル系樹脂などを用いることができる。バインダーの使用量は、負極活物質の電気伝導度、電極形状等により異なるが、負極活物質に対して2〜40重量%の割合で加えることが適当である。
また、本発明のリチウムイオンキャパシタとしては、特に、帯状の正極と負極とをセパレータを介して捲回させる捲回型セル、板状の正極と負極とをセパレータを介して各3層以上積層された積層型セル、あるいは、板状の正極と負極とをセパレータを介した各3層以上積層物を外装フィルム内に封入したフィルム型セルなどの大容量のセルに適する。これらのセルの構造は、国際公開WO00/07255号公報、国際公開WO03/003395号公報、特開2004−266091号公報などにより既に知られており、本発明のキャパシタセルもかかる既存のセルと同様な構成とすることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはもちろんである。
(負極製造法)
厚さ0.5mmのフェノール樹脂成形板をシリコニット電気炉中に入れ、窒素雰囲気下で550℃まで50℃/時間の速度で、更に10℃/時間の速度で670℃まで昇温し、熱処理し、PASを合成した。かくして得られたPAS板をボールミルで粉砕することにより、平均粒子径が4μmのPAS粉体を得た。このPAS粉体のH/Cは0.2であった。
次に、上記PAS粉体92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリル系樹脂バインダー5重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部、水200重量部となる組成にて充分混合することによりスラリーを得た。
厚さ32μm(気孔率57%)の銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)両面に負極のスラリーをロールコーターにて該負極集電体の両面に成形し、真空乾燥後、全体の厚さ(両面の負極電極層厚さと負極集電体厚さの合計)が89μmの負極を得た。
(負極の単位重量当たりの静電容量測定)
上記負極を1.5×2.0cmサイズに切り出し、評価用負極とした。負極と対極として1.5×2.0cmサイズ、厚み200μmの金属リチウムを厚さ50μmのポリエチレン製不織布をセパレータとして介し模擬セルを組んだ。参照極として金属リチウムを用いた。電解液としては、プロピレンカーボネートに、1モル/lの濃度にLiPF6
を溶解した溶液を用いた。この模擬セルに対し、充電電流1mAにて負極活物質重量に対して600mAh/g分のリチウムイオンを充電によりドープし、その後1mAにて1.5Vまで放電を行った。放電開始1分後の負極の電位から0.2V電位変化する間の放電時間より負極の単位重量当たりの静電容量を求めたところ912F/gであった。
(正極製造法)
活性炭として、下記の3種類を使用した。
(a)D50が2.5μmのアルカリ賦活処理されたフェノール樹脂系活性炭
(b)D50が5.5μmのアルカリ賦活処理された石炭コークス系活性炭
(c)D50が13.3μmの水蒸気賦活処理されたフェノール樹脂系活性炭(比較例1)
(d)D50が1.7μmのアルカリ賦活処理された石炭コークス系活性炭(比較例2)
上記の各活性炭はいずれも市販品であり、粒径はボールミル粉砕により調整した。
上記の各活性炭(a)、(b)、(c)、(d)を92重量部、アセチレンブラック粉体6重量部、アクリル系バインダー7重量部、カルボキシメチルセルロース4重量部、水200重量部となる組成にて充分混合することによりスラリー(a1)、(b1)、(c1)、(d1)を得た。
厚さ38μm(気孔率47%)のアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)両面に非水系のカーボン系導電塗料をロールコーターにてコーティングし、乾燥することにより導電層が形成された正極用集電体を得た。全体の厚み(集電体厚みと導電層厚みの合計)は52μmであり貫通孔はほぼ導電塗料により閉塞された。上記正極のスラリー(a1)〜(d1)をロールコーターにて該正極集電体の両面に成形し、真空乾燥後、正極全体の厚さ(両面の正極電極層厚さと両面の導電層厚さと正極集電体厚さの合計)が206μmの正極(a2)、(b2)、(c2)、(d2)を得た。
(正極の単位重量当たりの静電容量測定)
正極スラリー(a1)〜(d1)を、カーボン系導電塗料をコーティングした厚さ20μmのアルミニウム箔片面に固形分目付量にして4.0mg/cm2になるよう塗工、乾燥することにより正極箔電極(a3)、(b3)、(c3)、(d3)を得た。
上記正極箔電極(a3)〜(d3)を2.0×2.0cm2サイズに各2枚切り出し、評価用正極および負極とした。正極、負極を厚さ60μmの紙製不織布をセパレーターとして介しキャパシタの模擬セルを組んだ。参照極として金属リチウムを用いた。
電解液としては、プロピレンカーボネート溶媒に、1モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いた。
充電電流8mAにて2.5Vまで充電しその後定電圧充電を行い、総充電時間1時間の後、8mAにて0Vまで放電を行った。2.5V〜0V間の放電時間よりそれぞれ正極の単位重量当たりの静電容量を結果表1に示す。また、参照極(Li/Li+)と正極の電位差より同様に正極の単位重量当たりの静電容量も示した。
Figure 2008060477
(フィルム型キャパシタセル作成方法)
正極を2.4cm×3.8cmに5枚カットし、負極を2.5cm×3.9cmに6枚カットし、図1のようにセパレータ(レーヨン100%)を介して積層し、150℃12時間乾燥した後、最上部と最下部はセパレータを配置させて4辺をテープ止めして電極積層ユニットを得た。負極活物質重量に対して600mAh/g分の金属リチウムとしては、厚さ70μmの金属リチウム箔を厚さ100μmのステンレス網に圧着したものを用い、負極と対向するように電極積層ユニットの最外部に1枚配置した。負極(6枚)と金属リチウムを圧着したステンレス網はそれぞれ溶接し、接触させ電極積層ユニットを得た。上記電極積層ユニットの正極集電体の端子溶接部(5枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾3mm、長さ50mm、厚さ0.1mmのアルミニウム製正極端子を重ねて超音波溶接した。同様に負極集電体の端子溶接部(6枚)に、予めシール部分にシーラントフィルムを熱融着した巾3mm、長さ50mm、厚さ0.1mmのニッケル製負極端子を重ねて超音波溶接し、縦60mm、横30mm、深さ3mmに深絞りした外装フィルム1枚と深絞りしていない外装フィルム1枚の間に設置した。
外装ラミネートフィルムの端子部2辺と他の1辺を熱融着した後、電解液を真空含浸させ、その後、残り1辺を減圧下にて熱融着し、真空封止を行うことによりフィルム型キャパシタセルを組立てた。
実施例1では、D50が2.5μmのアルカリ賦活処理されたフェノール樹脂系活性炭正極(a2)を用い、電解液にはプロピレンカーボネート溶媒(PC)に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いて3セル作製した。
実施例2では、D50が5.5μmのアルカリ賦活処理された石炭コークス系活性炭正極(b2)を用い、電解液にはプロピレンカーボネート溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いて3セル作製した。
比較例1では、D50が2.5μmのアルカリ賦活処理されたフェノール樹脂系活性炭正極(a2)を用い、電解液にはエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)およびプロピレンカーボネートを重量比で3:4:1とした混合溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いて3セル作製した。
比較例2では、D50が2.5μmのアルカリ賦活処理されたフェノール樹脂系活性炭正極(a2)を用い、電解液にはエチレンカーボネート、ジエチルカーボネートを重量比で1:4とした混合溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いて3セル作製した。
比較例3では、D50が2.5μmのアルカリ賦活処理されたフェノール樹脂系活性炭正極(a2)を用い、電解液にはプロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)を重量比で1:4とした混合溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いて3セル作製した。
比較例4では、D50が13.3μmの水蒸気賦活処理されたフェノール樹脂系活性炭(c2)を用い、電解液にはプロピレンカーボネート溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いて3セル作製した。
比較例5では、D50が1.7μmのアルカリ賦活処理された石炭コークス系活性炭(d2)を用い、電解液にはプロピレンカーボネート溶媒に、1.2モル/lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いて3セル作製した。
(セルの特性評価)
セル組み立て後14日間放置後に各1セルずつ分解したところ、金属リチウムはいずれも完全に無くなっていたことから、負極活物質の単位重量当たりに912F/gの静電容量を得るためのリチウムが予備充電されたと判断した。
その後、各1セルずつ、正極と負極を短絡させ正極の電位を測定したところ、いずれの正極電位も0.85〜0.95V(対Li/Li)の範囲であり、2.0V(対Li/Li)以下であった。
残ったフィルム型キャパシタの各セルを、100mAの定電流でセル電圧が3.8Vになるまで充電し、その後3.8Vの定電圧を印加する定電流−定電圧充電を30分行った。次いで、100mAの定電流でセル電圧2.2Vになるまで放電した。この3.8V−2.2Vサイクルを繰り返し、3回目の放電容量を測定した。3回目の放電容量を初期静電容量とし、エネルギー密度の値とともに表2に示す。
Figure 2008060477
予めリチウムイオンをドープさせたセルにおいて、正極にアルカリ賦活処理した活性炭を用いた場合、電解液や活性炭原料に関係なく同等の高いエネルギー密度を有していた(実施例1、2、比較例1〜3、5)。しかし、水蒸気賦活処理したフェノール樹脂を正極に用いた場合、他のセルよりもエネルギー密度は低くなった(比較例4)。
その後、60℃の恒温槽内で3.8Vの電圧を印加し、一定時間経過した後電圧印加をやめ、恒温層から取り出し、25℃で3時間放置した後、前記3.8V−2.2Vサイクルを行い静電容量を算出するという測定を繰り返し行った(電圧印加試験)。電圧印加1000時間経過時に静電容量を算出し、初期静電容量に対する静電容量保持率で評価を行った。なお、静電容量保持率は以下の式を用いて求めた。また、内部のガス発生状況を目視で確認した。これらの結果を表3に示す。

静電容量保持率=所定時間経過時の静電容量/初期静電容量×100
Figure 2008060477
正極にアルカリ賦活処理した活性炭を用いた場合、溶媒にプロピレンカーボネートを用いたセル(実施例1,2)の方が、溶媒を混合した電解液を用いたセル(比較例1〜3)よりも60℃における電圧印加1000時間経過時の静電容量保持率は高く、ガス発生は少なくなり耐久性が向上した。
また、溶媒にプロピレンカーボネートを用いた場合、正極にアルカリ賦活処理した活性炭を用いたセル(実施例1,2)の方が、水蒸気賦活処理した活性炭を用いたセル(比較例4)よりも、60℃における電圧印加1000時間経過時の静電容量保持率は高くなった。さらに、水蒸気賦活処理した活性炭を正極に用いたセルは、初期のエネルギー密度が低いことから、アルカリ賦活処理した活性炭を正極に用いた方が良好である。
また、溶媒にプロピレンカーボネートを用い、かつ正極にアルカリ賦活処理した活性炭を正極に用いた場合、D50が2〜8μmの活性炭を用いたセル(実施例1,2)の方が、D50=1.7μmの活性炭を用いたセル(比較例5)よりも、60℃における電圧印加1000時間経過時の静電容量保持率は高くなった。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの駆動用または補助用蓄電源として極めて有効である。また、電動自転車、電動車椅子などの駆動用蓄電源、ソーラーエネルギーや風力発電などの各種エネルギーの蓄電装置、あるいは家庭用電気器具の蓄電源などとして好適に用いることができる。
実施例1で使用したリチウムイオンキャパシタの構成を示す概略図である。
符号の説明
1:正極、 1’:集電体(正極)、 2:負極、
2’:集電体(負極)、 3:セパレータ、 4:金属リチウム(リチウムイオン供給源)、
4’:集電体(金属リチウム)、 5:導線

Claims (5)

  1. 正極、負極、及び電解質としてリチウム塩を含む非プロトン性有機溶媒電解液を備えるリチウムイオンキャパシタであって、正極活物質がリチウムイオン及び/又はアニオンを可逆的に担持可能な物質であり、負極活物質がリチウムイオンを可逆的に担持可能な物質であり、正極と負極を短絡させた後の正極電位が2.0V(対Li/Li)以下になるように負極及び/又は正極に対してリチウムイオンが予めドープされており、上記正極活物質は、50%体積累積径(D50)が2〜8μmのアルカリ賦活処理された活性炭粒子であり、かつ、上記非プロトン性有機溶媒が、実質的にプロピレンカーボネートであることを特徴とするリチウムイオンキャパシタ。
  2. 前記活性炭粒子が、フェノール樹脂系活性炭、石油ピッチ系活性炭、石油コークス系活性炭、又は石炭コークス系活性炭である請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  3. 前記正極及び/又は負極が、それぞれ表裏面を貫通する孔を有する集電体を備えており、負極とリチウムイオン供給源との電気化学的接触によってリチウムイオンがドープされている請求項1又は2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
  4. 前記負極活物質は、前記正極活物質に比べて、単位重量あたりの静電容量が3倍以上を有し、かつ正極活物質重量が負極活物質の重量よりも大きい請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
  5. 前記負極活物質は、芳香族系縮合ポリマーを非酸化性雰囲気にて400〜800℃で熱処理し、水素原子/炭素原子の原子数比率が0.05〜0.5の不溶不融性基体からなるポリアセン系物質である請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオンキャパシタ。
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