JP2008055726A - 印刷方法 - Google Patents

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文治 石本
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龍也 中野
Yoichi Kakehashi
洋一 掛橋
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Abstract

【課題】濃度むらを改善するための正確な補正値を算出すること。
【解決手段】画素データが示す階調値であるデータ階調値を、データ階調値に対するドット生成率を示すテーブルに基づいて、印刷装置が形成する複数種類のドットに対応する階調値である印刷階調値に変換し、第1指令階調値の第1テストパターンと、第2指令階調値の第2テストパターンを印刷し、第1テストパターンをスキャナに読み取らせ第1読取階調値を取得し、第1読取階調値と第1指令階調値に基づいて、第1指令階調値に対する第1補正値を算出し、同様に第2補正値も算出し、あるデータ階調値が第1指令階調値と第2指令階調値の間である場合に、第1補正値と第2補正値とに基づき、あるデータ階調値を補正し、補正されたデータ階調値に基づいて印刷する印刷方法であって、第1指令階調値と第2指令階調値の少なくとも一方は、テーブルにおいて、複数種類のドットのうちのあるドットが生成し始めるデータ階調値とする。
【選択図】図16

Description

本発明は、印刷方法に関する。
ヘッドが移動方向に移動し、その移動中にノズルからインクを吐出させることで印刷画像を完成させるインクジェットプリンタが知られている。
このようなプリンタでは、ノズルの加工精度等の問題により、媒体上の正しい位置にインク滴が着弾しないことがある。そうすると、インク滴が着弾するはずであった領域付近に濃淡が生じ、印刷した画像に縞状の濃度むらが発生する。
そこで、CCDセンサにより画像をサンプリングし、インクジェットプリンタで出力するデータをCCDセンサの利得むらの特性をもとに補正し、濃度むらを改善する方法が提案されている(特許文献1参照)。
他に、濃度むらテストパターンを印刷し、濃度むらテストパターンの濃度データに基づいて、濃度むらの補正を行う方法も提案されている(特許文献2参照)。
特開平2−54676号公報 特開平6−166247号公報
濃度むらテストパターンにおいて、指令階調値よりも濃く印刷された場合には、淡く印刷されるように階調値(データ階調値)を補正する。逆に、淡く印刷された場合には、濃く印刷されるように階調値を補正する。
しかし、1つの画素が256階調で表現される場合において、全ての階調値に対するテストパターンを印刷することは出来ないので、テストパターンからの補正値は離散的に求められる。そして、その離散的な補正値の線形補間により、指令階調値以外の階調値に対する補正値を算出する。そのため、指令階調値の取り方によっては、正確な補正値を算出できないことがある。
そこで、本発明では、濃度むらを改善するための正確な補正値を算出することを目的とする。
課題を解決するための主たる発明は、画素データが示す階調値であるデータ階調値を、前記データ階調値に対するドット生成率を示すテーブルに基づいて、印刷装置が形成する複数種類のドットに対応する階調値である印刷階調値に変換するステップと、前記データ階調値が第1指令階調値の画素から構成される第1テストパターンと、前記データ階調値が第2指令階調値の画素から構成される第2テストパターンを印刷するステップと、前記第1テストパターンをスキャナに読み取らせ第1読取階調値を取得し、前記第2テストパターンを前記スキャナに読み取らせ第2読取階調値を取得するステップと、前記第1読取階調値と前記第1指令階調値に基づいて、前記第1指令階調値に対する第1補正値を算出し、前記第2読取階調値と前記第2指令階調値に基づいて、前記第2指令階調値に対する第2補正値を算出するステップと、あるデータ階調値が前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の間の階調値である場合に、前記第1補正値と前記第2補正値とに基づいて前記あるデータ階調値に対する補正値を補間し、前記補正値により前記あるデータ階調値を補正し、補正されたデータ階調値を前記テーブルに基づいて印刷階調値に変換し、変換された印刷階調値に基づいて印刷するステップと、を有する印刷方法であって、前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の少なくとも一方は、前記テーブルにおいて、前記複数種類のドットのうちのあるドットが生成し始めるデータ階調値であること、を特徴とする印刷方法である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
すなわち、画素データが示す階調値であるデータ階調値を、前記データ階調値に対するドット生成率を示すテーブルに基づいて、印刷装置が形成する複数種類のドットに対応する階調値である印刷階調値に変換するステップと、前記データ階調値が第1指令階調値の画素から構成される第1テストパターンと、前記データ階調値が第2指令階調値の画素から構成される第2テストパターンを印刷するステップと、前記第1テストパターンをスキャナに読み取らせ第1読取階調値を取得し、前記第2テストパターンを前記スキャナに読み取らせ第2読取階調値を取得するステップと、前記第1読取階調値と前記第1指令階調値に基づいて、前記第1指令階調値に対する第1補正値を算出し、前記第2読取階調値と前記第2指令階調値に基づいて、前記第2指令階調値に対する第2補正値を算出するステップと、あるデータ階調値が前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の間の階調値である場合に、前記第1補正値と前記第2補正値とに基づいて前記あるデータ階調値に対する補正値を補間し、前記補正値により前記あるデータ階調値を補正し、補正されたデータ階調値を前記テーブルに基づいて印刷階調値に変換し、変換された印刷階調値に基づいて印刷するステップと、を有する印刷方法であって、前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の少なくとも一方は、前記テーブルにおいて、前記複数種類のドットのうちのあるドットが生成し始めるデータ階調値であること、を特徴とする印刷方法が実現できること。
このような印刷方法によれば、濃度むらを改善するための正確な補正値を算出することができる。
かかる印刷方法であって、前記印刷装置は、媒体とノズルを所定方向に相対的に動かしながら、前記ノズルからインクを吐出させることで、前記媒体に画像を形成する印刷装置であり、前記所定方向に対応する方向に並ぶ複数の画素の前記印刷階調値に基づいてラスタラインが形成され、前記第1テストパターンと前記第2テストパターンは、前記所定方向と交差する方向に複数の前記ラスタラインが並ぶことにより構成され、前記第1テストパターンの読取結果のうちの前記複数の画素に対応する部分の読取階調値を前記第1読取階調値として取得し、前記第2テストパターンの読取結果のうちの前記複数の画素に対応する部分の読取階調値を前記第2読取階調値として取得し、前記第1補正値と前記第2補正値とに基づいて前記複数の画素のデータ階調値が補正されること。
このような印刷方法によれば、隣接する画像片を形成するノズルの影響も考慮されるので、濃度むらがより改善される。
かかる印刷方法であって、前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の少なくとも一方は、前記テーブルにおいて、前記データ階調値の変化量に対する前記ドット生成率の変化量の割合が変化する階調値であること。
このような印刷方法によれば、濃度むらを改善するための正確な補正値を算出することができる。
かかる印刷方法であって、前記変化する階調値とは、前記複数種類のドットのうちのあるドットの前記ドット生成率が最大となるデータ階調値であること。
このような印刷方法によれば、濃度むらを改善するための正確な補正値を算出することができる。
かかる印刷方法であって、前記変化する階調値とは、前記複数種類のドットのうちのあるドットの前記ドット生成率が減少し始めるデータ階調値であること。
このような印刷方法によれば、濃度むらを改善するための正確な補正値を算出することができる。
かかる印刷方法であって、前記第2指令階調値よりも前記第1指令階調値の方が小さいデータ階調値であり、前記第1指令階調値よりも前記あるデータ階調値の方が小さいデータ階調値である場合には、前記第1指令階調値と最低階調値とに基づいて、前記あるデータ階調値に対する補正値を補間すること。
このような印刷方法によれば、指令階調値の数を減らすことができ、テストパターンの印刷時間が短縮される。
かかる印刷方法であって、前記補間とは、線形補間のことであること。
このような印刷方法によれば、濃度むらを改善するための正確な補正値を算出することができる。
===本実施形態のシステム構成===
図1は、本実施形態のシステム構成図である。プリンタ1とスキャナ70がコンピュータ60に接続されている。本実施形態では、プリンタ1の濃度むらの改善を行うために、製造工場等において完成したプリンタ1に、テストパターンを印刷させる。そして、そのテストパターンをスキャナ70で読み取る。読み取った画像データはコンピュータ60に送信され、コンピュータ60は画像データを基に濃度むらの補正値Hを算出する。補正値Hはプリンタ1のメモリ53に記憶される。なお、本実施形態では、プリンタ1をインクジェットプリンタとして説明する。
〈インクジェットプリンタの構成〉
図2は本実施形態のプリンタ1の全体構成ブロック図である。図3Aは、プリンタ1の全体構成の概略図である。図3Bは、プリンタ1の全体構成の断面図である。外部装置であるコンピュータ60から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ50により、各ユニット(搬送ユニット10、キャリッジユニット20、ヘッドユニット30)を制御し、媒体S(以下、紙Sとする)に画像を形成する。また、プリンタ1内の状況を検出器群40が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラ50は各ユニットを制御する。
コントローラ50は、プリンタ1の制御を行うための制御ユニットであり、インターフェース部51と、CPU52と、メモリ53と、ユニット制御回路54とを有する。インターフェース部51は、外部装置であるコンピュータ60とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU52は、プリンタ1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ53は、CPU52のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU52は、メモリ53に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路を有して各ユニットを制御する。
搬送ユニット10は、紙Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時、搬送方向に所定の搬送量で紙Sを搬送させるためのものであり、給紙ローラ11と、搬送モータ12と、搬送ローラ13と、プラテン14と、排紙ローラ15とを有する。
ヘッドユニット30は、紙Sにインクを吐出するためのものであり、ヘッド31とヘッド駆動回路32を有する。ヘッド31は、インク吐出部であるノズルを複数有する。そして、各ノズルには、各ノズルを駆動してインクを吐出させるための駆動素子であるピエゾ素子とインクが入った圧力室(不図示)が設けられている。
キャリッジユニット20は、ヘッド31を移動方向に移動させるためのものであり、キャリッジ21と、キャリッジモータ22とを有する。
検出器群40には、リニア式エンコーダ41、ロータリー式エンコーダ42、紙検出センサ43、および光学センサ44等が含まれる。
図4は、ヘッド31の下面(ノズル面)におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド31の下面には、イエローインクノズル列Yと、ブラックインクノズル列Kと、シアンインクノズル列DCと、ライトシアンインクノズル列LCと、マゼンタインクノズル列DMと、ライトマゼンタインクノズル列LMが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを180個備えている。180個のノズルのうち、下流側のノズルほど若い番号が付されている(#i=#1〜#180)。また、各ノズル列のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔k・Dでそれぞれ整列している。
通常、カラー印刷ではシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクが用いられる。しかし、本実施形態では、粒状性を改善し、よりなめらかな階調表現を実現するためにライトシアンとライトマゼンタが使用される。以下、ライトインクと区別するために、シアンインクをダークシアンインク、マゼンタインクをダークマゼンタインクとする。そして、紙S上では、シアンはライトシアンインクとダークシアンインクによって表現され、マゼンタはライトマゼンタインクとダークマゼンタインクによって表現される。
〈印刷手順〉
まず、コントローラ50は、コンピュータ60から印刷命令及び印刷データを受信する(印刷命令受信)。コントローラ50は、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処理を行う。
次に、コントローラ50は、給紙ローラ11を回転させ、印刷すべき紙Sを搬送ローラ13まで送る(給紙処理)。紙検出センサ43が、給紙ローラ11から送られてきた紙Sの先端の位置を検出すると、コントローラ50は搬送ローラ13を回転させ紙Sを印刷開始位置(頭出し位置)に位置決めする。紙Sが印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド31の少なくとも一部のノズルは、紙Sと対向している。
そして、コントローラ50は、キャリッジモータ22を駆動し、キャリッジ21を移動方向に移動させる。ヘッド31は、キャリッジ21に設けられているため、ヘッド31もキャリッジ21と共に移動方向に移動する。キャリッジ21の移動方向への1回の移動をパスという。そして、コントローラ50は、キャリッジ21の移動中に、印刷データに基づいてノズルからインクを吐出させる。ノズルから吐出されたインク滴が紙S上に着弾すれば、紙S上にドットが形成される(ドット形成処理)。移動するヘッド31からインクが断続的に吐出されるので、紙S上には移動方向に沿ったドット列(ラスタライン)が形成される。なお、キャリッジ21の移動方向の位置をリニア式エンコーダ41が検出し、キャリッジ21に取り付けられている光学センサ44が紙Sの端部の位置を検出する。
その後、コントローラ50は、搬送モータ12を駆動し、搬送ローラ13を回転させて、紙Sを搬送方向に所定の搬送量分だけ搬送する(搬送処理)。これにより、ヘッド31は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。紙Sの搬送量は、搬送ローラ13の回転量に応じて定まり、搬送ローラ13の回転量はロータリー式エンコーダ42によって検出される。なお、印刷中の紙Sはプラテン14によって支持される。
最後に、コントローラ50は、印刷中の紙Sの排紙の判断を行う(排紙処理)。印刷中の紙Sに印刷すべきデータが残っていれば、排紙は行われず、印刷すべきデータがなくなるまで、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、画像を完成させる。印刷中の紙Sに印刷すべきデータがなくなったところで、排紙ローラ15の回転により紙Sは排紙される。
〈印刷データについて〉
図5は、印刷データ作成処理のフロー図である。コンピュータ60からプリンタ1に送信される印刷データは、コンピュータ60のメモリに記憶されているプリンタドライバに従って作成される。つまり、プリンタドライバは、コンピュータ60に印刷データを作成させて、印刷データをプリンタ1へ送信させるためのプログラムである。
解像度変換処理(S001)は、アプリケーションプログラムから出力された画像データを、紙Sに印刷する際の解像度に変換する処理である。紙Sに印刷する際の解像度が720×720dpiに指定されている場合、アプリケーションプログラムから受け取った画像データを720×720dpiの解像度の画像データに変換する。なお、解像度変換処理後の画像データは、RGB色空間により表される256階調のデータ(RGBデータ)である。
ここで、画像データとは、画素データの集まりである。そして、画素とは画像を構成する単位要素であり、この画素が2次元的に並ぶことにより画像が構成される。画像データが256階調のデータということは、1つの画素が256階調で表現されることであり、1つの画素データは8ビットのデータとなる(2の8乗=256)。
色変換処理(S002)は、RGBデータを、プリンタ1のインクに対応したCMYK色空間により表されるCMYKデータに変換する処理である。この色変換処理は、RGBデータの階調値とCMYKデータの階調値とを対応づけたテーブル(不図示)をプリンタドライバが参照することによって行われる。
濃度補正処理(S003)は、各画素データの階調値を、その画素データが属する列領域に対応する補正値に基づいて、階調値を補正する処理である。詳細は後述する。
ハーフトーン処理(S004)は、高階調数のデータ(256階調)を、プリンタ1が形成可能な階調数(4階調)のデータに変換する処理である。つまり、256階調で表現される画素データの階調値(データ階調値)を4階調で表現される画素データの階調値(印刷階調値)に変換する。詳細は後述する。
ラスタライズ処理(S005)は、マトリクス状の画像データを、プリンタ1に転送すべきデータ順に、画素データごとに並べ替えられる処理である。これらの処理を経て生成された印刷データは、印刷方式に応じたコマンドデータ(搬送量など)と共に、プリンタドライバによりプリンタ1に送信される。
〈スキャナの構成〉
図6Aは、スキャナ70の縦断面図である。図6Bは、上蓋71を外した状態のスキャナ70の上面図である。スキャナ70は、上蓋71と、原稿72が置かれる原稿台ガラス73と、この原稿台ガラス73を介して原稿72と対面しつつ副走査方向に移動する読取キャリッジ74と、読取キャリッジ74を副走査方向に案内する案内部75と、読取キャリッジ74を移動させるための移動機構76と、スキャナ70内の各部を制御するスキャナコントローラ(不図示)とを備えている。読取キャリッジ74には、原稿72に光を照射する露光ランプ77と、副走査方向と垂直な方向である主走査方向のラインの像を検出するラインセンサ78と、原稿72からの反射光をラインセンサ78へ導くための光学系79とが設けられている。図中の読取キャリッジ74の内部の破線は、光の軌跡を示している。
原稿72の画像を読み取るとき、操作者は、上蓋71を開いて原稿72を原稿台ガラス73に置き、上蓋71を閉じる。そして、スキャナコントローラが、露光ランプ77を発光させた状態で読取キャリッジ74を副走査方向に沿って移動させ、ラインセンサ78により原稿72の表面の画像を読み取る。スキャナコントローラは、読み取った画像データをコンピュータ60のスキャナドライバへ送信し、これにより、コンピュータ60は、原稿72の画像データを取得する。
===ドットの大きさについて===
印刷データを作成する際のハーフトーン処理において、高階調数のデータが、低階調数のデータに変換される。1つの画素データが示す階調数を低くすることで、プリンタ1が各画素を表現することが可能となる。例えば、1つの画素が2階調を示すということは、プリンタ1が画素に「ドットを形成しない」、もしくは「ドットを形成する」ことにより表現される。そして、1つの画素が4階調を示すということは、プリンタ1が画素に「ドットを形成しない」、もしくは「小ドット」、「中ドット」、「大ドット」を形成することにより表現される。本実施形態のプリンタ1は、1つの画素に対して4階調表現を可能とする。即ち、プリンタ1は、ノズルから吐出されるインク量を変化させることにより、3種類のドット(小ドット、中ドット、大ドット)を打ち分ける。まず、ノズルからインクが吐出される仕組みについて説明する。
図7は、駆動信号生成回路55とヘッド駆動回路32の説明図である。図中のかっこ内の数字は、部材又は信号が対応するノズルの番号を示している。図8は、駆動信号DRVの説明図である。プリンタ1のコントローラ50内の駆動信号生成回路55により駆動信号DRVが生成され、ヘッドユニット30内のヘッド駆動回路32によりインク吐出のオン・オフを制御している。
ヘッド駆動回路32は、第1シフトレジスタ551と第2シフトレジスタ552とスイッチ56が180個ずつ(ノズル数分)と、ラッチ回路553と、データセレクタ554を有する。なお、ヘッド駆動回路32は、各ノズル列ごとに設けられている。
駆動信号DRVは、ラッチ信号LATの立ち上がりパルスから次の立ち上がりパルスまでを繰り返し周期Tとする。この繰り返し周期T内に、駆動信号DRVは、第1駆動パルスW1と第2駆動パルスW2を有する。
まず、ヘッド駆動回路32に印刷信号PRTがシリアル伝送される。印刷信号PRTは、各ノズルが担当する1画素の画素データに対応した信号である。画素データは4階調を示す2ビットのデータであるので、印刷信号PRTとして180個の2ビットデータが1度に伝送される。
シリアル伝送された印刷信号PRTは、まず、180個の第1シフトレジスタ551に1ビットずつ入力される。その後、180個の第2シフトレジスタ552に1ビットずつ入力される。次に、ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路553に入力されたとき、各シフトレジスタの360個のデータがラッチ回路553にラッチされる(ラッチ回路がデータを保持する)。
そして、ラッチ信号LATの立ち上がりパルスがラッチ回路553に入力されるとき、データセレクタ554にもラッチ信号LATの立ち上がりパルスが入力される。データセレクタ554は、立ち上がりパルスが入力されると、初期状態になる。初期状態となったデータセレクタ554は、次の立ち上がりパルスが入力される前に、180個の2ビットデータである印刷信号PRTをラッチ回路553から選択する。そして、各ノズル#iの印刷信号PRT(i)の内容に合ったスイッチ制御信号SW(i)を各スイッチ56(i)に出力する。
スイッチ制御信号SWは、スイッチ56がオン又はオフするタイミングを示す。このスイッチ56のオン・オフ動作が駆動信号DRVをピエゾ素子PZTに入力もしくは遮断している。例えば、スイッチ制御信号SW(i)のレベルが「1」のとき、スイッチ56(i)はオンとなり、駆動信号DRVが有する駆動パルスをそのまま通過させ、駆動パルスがピエゾ素子に入力される。一方、スイッチ制御信号SW(i)のレベルが「0」のとき、スイッチ56(i)はオフとなり、駆動信号DRVが有する駆動パルスを遮断する。なお、駆動信号DRVは、あるノズル列に属する180個のピエゾ素子PZTに対して共通に供給される。
そして、スイッチ56(i)を通過した駆動信号DRV(i)の駆動パルスに応じて、ピエゾ素子PZT(i)が変形する。ピエゾ素子PZT(i)が変形すると、圧力室の一部を区画する弾性膜(側壁)が変形し、圧力室内のインクがノズル#iから吐出される。
最後に、3種類のドット(小ドット、中ドット、大ドット)の打ち分け方について説明する。駆動パルスの形状は、吐出されるインク量に応じて、あらかじめ定められている。つまり、駆動パルスの違いにより、大きさの異なるドットを形成することが出来る。図8に示すように、スイッチ制御信号SW(i)が「11」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に第1駆動パルスW1及び第2駆動パルスW2が入力され、大ドットが形成される。スイッチ制御信号SW(i)が「10」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に第1駆動パルスW1が入力され、中ドットが形成される。スイッチ制御信号SW(i)が「01」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に第2駆動パルスW2が入力され、小ドットが形成される。SW(i)が「00」の場合、ピエゾ素子PZT(i)に駆動パルスが何も入力されないので、ドットは形成されない。つまり、第1駆動パルスW1と第2駆動パルスW2により、1つの画素に対して、大ドット、中ドット、小ドット、ドットなしの4階調を表現することが出来る。
===ハーフトーン処理について===
図9Aは、ドット生成率テーブルの説明図である。グラフの横軸は階調値(データ階調値、0〜255)であり、縦軸の左側がドット生成率(0〜100%)、右側がレベルデータである。図中の太い点線が小ドットの生成率SDを示し、細い実線が中ドットの生成率MDを示し、太い実線が大ドットの生成率LDを示している。ここで、ドットの生成率とは、ある単位領域の階調値が一定である場合、その単位領域内の画素にドットが形成される割合のことである。例えば、単位領域が16×16画素から構成され、単位領域内の全ての画素データの階調値が一定値であり、単位領域内にn個のドットが形成される場合、その階調値におけるドット生成率は、{n/(16×16)}×100(%)となる。また、レベルデータとは、ドットの生成率を値0〜255の256階調で表したデータをいう。
図9Bは、ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。プリンタドライバは、まず、大ドットレベルデータLVLが閾値より大きいか否かを判定する。閾値は、ディザマトリクスの各画素に対して異なる値が設定されている。説明の簡略のため、図中では4×4画素のディザマトリクスを用いているが、実際には16×16画素など広い範囲に対応するディザマトリクスを使用している。
ハーフトーン処理前の画像データは、CMYK色空間により表される256階調のCMYKの画素データの集合である。以下、ブラックの画素データ(以下、K画素データとする)を例に説明する。まず、プリンタドライバは、CMYKの画像データの中からのK画素データを順に取り出す。プリンタドライバは、取り出したK画素データの階調値(データ階調値)に応じて、大ドットレベルデータLVLを設定する。例えば、あるK画素データの階調値がgrであれば、K画素データの大ドットレベルデータLVLは3dに設定される。
そして、K画素データが図9Bに示す一番左上の画素であり、大ドットレベルデータLVLが「3d=180」であったとする。この場合、この画素に対応するディザマトリクス上の閾値は「1」であり、プリンタドライバは大ドットレベルデータの方が閾値よりも大きいと判定する。そうすると、その画素の画素データを「11」に変換し、その画素データに対する処理を終了する。そして、一番左上の画素には大ドットが形成されることになる。
もし、一番左上の画素の大ドットレベルデータLVLが閾値以下であると判定された場合、次に、プリンタドライバは、中ドットレベルデータLVMを設定する。あるK画素データの階調値がgrであれば、中ドットレベルデータLVMは2dに設定される。そして、プリンタドライバは中ドットレベルデータLVMの方が閾値よりも大きいと判定した場合、その画素の画素データを「10」に変換し、その画素データに対する処理を終了する。その画素には中ドットが形成される。
また、中ドットレベルデータLVMが閾値以下であると判定された場合、小ドットレベルデータLVSを設定する。あるK画素データの階調値がgrであれば、小ドットレベルデータLVSは1dに設定される。そして、プリンタドライバは、小ドットレベルデータLVSの方が閾値よりも大きいと判定した場合、その画素の画素データを「01」に変換し、その画素データに対する処理を終了する。その画素には小ドットが形成される。小ドットレベルデータLVSが閾値以下の場合は、その画素の画素データを「00」に変換し、その画素データに対する処理を終了する。その画素にドットは形成されない。
このようにして、CMYKの画像データの中から256階調を示すK画素データが取り出され、4階調を示す2ビットデータに変換される。同様に、256階調のイエローの画素データも4階調のデータに変換される。但し、ライトインクを使用するシアンとマゼンタの画素データのハーフトーン処理方法は、ブラックの画素データのハーフトーン処理方法と異なる。
図10は、シアンの階調値変換テーブルの説明図である。横軸は入力階調値であり、縦軸は出力階調値である。図中の点線がライトシアンの階調値を示し、実線がダークシアンの階調値を示す。色変換処理の際に、256階調のシアンの各画素データは、階調値変換テーブルをもとに、ライトシアンの256階調の画素データと、ダークシアンの256階調の画素データに変換される。例えば、シアンのある画素データの階調値がgrである場合、ライトシアンの階調値が5d、ダークシアンの階調値が4dと設定される。同様に、256階調のマゼンタの各画素データも、階調値変換テーブルをもとに、ライトマゼンタの256階調の画素データと、ダークマゼンタの256階調の画素データに変換される。
そして、ハーフトーン処理において、前述のイエローのハーフトーン処理と同様に、それぞれ設定された256階調のライトシアンの階調値(5d)と、256階調のダークシアンの階調値(4d)は、それぞれ4階調の画素データに変換される。このようにして、256階調のCMYK画像データが、プリンタ1の6色のインクに対応した4階調のC(DC・LC)M(DM・CM)YKの画像データに変換される。
===インターレース印刷について===
本実施形態のプリンタ1は、通常、インターレース印刷を行う。インターレース印刷とは、1回のパスで記録されるラスタライン間に、記録されないラスタラインが挟まれるような印刷方法である。インターレース印刷では、印刷の始めと終わりの印刷方法が通常と異なるため、通常印刷と、先端印刷及び後端印刷に分けて説明する。
図11A及び図11Bは、通常印刷の説明図である。図11Aは、パスn〜パスn+3におけるヘッド31の位置とドットの形成の様子を示し、図11Bは、パスn〜パスn+4におけるヘッド31の位置とドットの形成の様子を示している。説明の便宜上、一つのノズル列のみを示し、ノズル列のノズル数も少なくしている。また、ヘッド31(ノズル列)が紙Sに対して移動しているように描かれているが、同図はヘッド31と紙Sとの相対的な位置を示すものであって、実際には紙Sが搬送方向に移動される。同図において、黒丸で示されたノズルはインクを吐出可能なノズルであり、白丸で示されたノズルはインクを吐出不可なノズルである。また、同図において、黒丸で示されたドットは、最後のパスで形成されたドットであり、白丸で示されたドットは、それ以前のパスで形成されたドットである。
インターレースの印刷の通常印刷では、紙Sが搬送方向に一定の搬送量Fで搬送されるごとに、各ノズルが、その直前のパスで記録されたラスタラインのすぐ上のラスタラインを記録する。このように搬送量を一定にして記録を行うためには、(1)インクを吐出可能なノズル数N(整数)はk(ノズル間隔k・D)と互いに素の関係にあること、(2)搬送量FはN・Dに設定されること、が条件となる。ここでは、N=7、k=4、F=7・Dである(D=1/720インチ)。しかし、これでは、印刷の始めと終わりに、ラスタラインを形成されない箇所がある。その為、先端印刷及び後端印刷では、通常印刷とは異なる印刷方法を行う。
図12は、先端印刷及び後端印刷の説明図である。最初の5回のパスが先端印刷であり、最後の5回のパスが後端印刷である。先端印刷では、通常印刷時の搬送量(7・D)よりも少ない搬送量(1・D又は2・D)にて、紙Sが搬送される。そして、先端印刷では、インクを吐出するノズルが一定していない。後端印刷も同様に印刷される。これにより、印刷の初めと終わりにも、搬送方向に連続して並ぶ複数のラスタラインを形成することができる。また、先端印刷では30本のラスタラインが形成され、後端印刷でも30本のラスタラインが形成される。これに対し、通常印刷では、紙Sの大きさにもよるが、およそ数千本のラスタラインが形成される。
なお、通常印刷により印刷される領域(以下、通常印刷領域とする)のラスタラインの並び方には、インク吐出可能なノズル数(ここではN=7個)と同じ数のラスタラインごとに、規則性がある。通常印刷で最初に形成されたラスタラインから7番目までのラスタラインは、それぞれ、ノズル♯3、♯5、♯7、♯2、♯4、♯6、♯8、により形成され、次の8番目以降の7本のラスタラインも、これと同じ順序の各ノズルで形成されている。一方、先端印刷により印刷される領域(以下、先端印刷領域とする)及び後端印刷により印刷される領域(以下、後端印刷領域とする)のラスタラインの並びには、通常印刷領域のラスタラインと比べると、規則性を見出し難い。
===濃度むらについて===
〈濃度むら〉
以下の説明のため、「画素領域」と「列領域」を設定する。画素領域とは、紙S上に仮想的に定められた矩形状の領域を指し、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。そして、1つの画素領域には、画像データを構成する1つの画素が対応している。例えば、印刷解像度が720dpi(移動方向)×720dpi(搬送方向)の場合、画素領域は、約35.28μm×35.28μm(≒1/720インチ×1/720インチ)の大きさの正方形状の領域になる。また、「列領域」とは、移動方向に並ぶ複数の画素領域によって構成される領域をさす。
図13Aは、理想的にドットが形成されたときの様子の説明図である。理想的にドットが形成されるとは、画素領域の中心位置にインク滴が着弾し、そのインク滴が紙S上に広がって、画素領域にドットが形成されることである。各ドットが各画素領域に正確に形成されるということは、ラスタラインが列領域に正確に形成されることである。
図13Bは、濃度むらが発生したときの説明図である。2番目の列領域に形成されたラスタラインは、ノズルから吐出されたインク滴の飛行方向のばらつきにより、3番目の列領域側(搬送方向上流側)に寄って形成されている。その結果、2番目の列領域は淡くなり、3列目の列領域は濃くなる。また、5番目の列領域に吐出されたインク滴のインク量は規定のインク量よりも少なく、5番目の列領域に形成されるドットが小さくなっている。その結果、5列目の列領域は淡くなる。
このように濃淡の違うラスタラインからなる印刷画像を巨視的に見ると、キャリッジの移動方向に沿う縞状の濃度むらが視認される。この濃度むらは、印刷画像の画質を低下させる原因となる。
〈濃度むらの補正〉
図13Cは、本実施形態の印刷方法によりドットが形成されたときの様子の説明図である。本実施形態では、濃く視認されやすい列領域に対しては、淡く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素の画素データの階調値(データ階調値)を補正する。また、淡く視認されやすい列領域に対しては、濃く画像片が形成されるように、その列領域に対応する画素の画素データの階調値(データ階調値)を補正する。
例えば、図中では、淡く視認される2番目と5番目の列領域のドットの生成率が高くなり、濃く視認される3番目の列領域のドットの生成率が低くなり、各列領域に対応する画素の画素データの階調値が補正される。これにより、各列領域のラスタラインのドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度むらが抑制される。
ところで、図13Bにおいて、3番目の列領域に形成される画像片の濃度が濃くなる理由は、3番目の列領域にラスタラインを形成するノズルの影響によるものではなく、隣接する2番目の列領域にラスタラインを形成するノズルの影響によるものである。このため、3番目の列領域にラスタラインを形成するノズルが別の列領域にラスタラインを形成する場合、その列領域に形成される画像片が濃くなるとは限らない。つまり、同じノズルにより形成された画像片であっても、隣接する画像片を形成するノズルが異なれば、濃度が異なる場合がある。このような場合、単にノズルに対応付けた補正値では、濃度むらを抑制することができない。そこで、本実施形態では、列領域ごとに設定される補正値に基づいて、画素データの階調値(データ階調値)を補正している。
<プリンタ製造工場での濃度むら補正処理について>
図14は、プリンタ製造後の検査工程で行われる補正値取得処理のフロー図である。検査のため、図1に示したように、濃度むらの検査対象となるプリンタ1と、スキャナ70はコンピュータ60に接続される。コンピュータ60には、予め、テストパターンをプリンタ1に印刷させるためのプリンタドライバと、スキャナ70を制御するためのスキャナドライバと、スキャナ70から読み取ったテストパターンの画像データに対して画像処理や解析等を行うための補正値取得プログラムがインストールされている。
===S101:テストパターンの印刷===
まず、コンピュータ60のプリンタドライバは、プリンタ1にテストパターンを印刷させる。なお、本実施形態では、720dpi(移動方向)×720dpi(搬送方向)の解像度でテストパターンが印刷される。
図15Aは、テストパターンの説明図である。図15Bは、補正用パターンの説明図である。テストパターンとして、色別(ノズル別)に6つの補正用パターンが形成される。各補正用パターンは、3種類の濃度の帯状パターンと、上罫線と、下罫線と、左罫線と、右罫線とにより構成されている。帯状パターンは、それぞれ一定の階調値の画像データから生成されたものであり、左の帯状パターンから順に階調値76(濃度30%)、116(濃度45%)、166(濃度65%)となり、順に濃い濃度の帯状パターンとなっている。例えば、濃度30%の帯状パターンは、階調値76の画素から構成されている。なお、これらの3種類の階調値を「指令階調値」とし、記号でSa(=76)、Sb(=116)、Sc(=166)と表す。
そして、各帯状パターンは、先端印刷、通常印刷及び後端印刷により形成される。そのため、先端印刷領域の30個のラスタラインと、通常印刷領域の56個のラスタラインと、後端印刷領域の30個のラスタラインとから構成されている。通常の印刷では、通常印刷領域に数千個のラスタラインが形成されるが、補正用パターンの印刷では、通常印刷領域には8周期分(7個×8周期)のラスタラインが形成される。上罫線は、帯状パターンを構成する先端側から1番目のラスタラインにより形成され、下罫線は、先端側から116番目のラスタラインにより形成される。
図16Aは、ドット生成率テーブルと指令階調値の関係を示す図である。階調値38(濃度15%)を境に中ドットが生成し始め、階調値76(濃度30%)を境に大ドットが生成し始める。即ち、階調値0から階調値38の区間では、単位領域内に小ドットのみが生成される。そして、階調値38から階調値76の区間では、単位領域内に小ドットと中ドットが生成され、階調値76を境に3種類のドット(小ドット、中ドット、大ドット)が形成される(厳密にいえば、階調値255では大ドットのみが生成される)。そして、本実施形態では、3種類のドットのうちの大ドットが生成し始める階調値(=76)を指令階調値Saとする。
なお、中ドットが発生し始める階調値(=38)も、3種類のドットのうちのあるドットが生成し始める階調値である。しかし、本実施形態では、階調値38を指令階調値に設定していない。なぜなら、印刷された帯状パターンの濃度が淡すぎると、スキャナ70で読み取る際に、その帯状パターンの濃度の測定値が不安定になる可能性があるからである。
また、図16Aの階調値38から76の区間では、階調値が増加しても小ドットの生成率は増加しない。これに対して、階調値が一定の割合Aで増加すると、中ドットの生成率(単位領域内に生成される中ドットの割合)は一定の割合Bで増加する。つまり、階調値が38から76の区間では、階調値の変化量Aに対する中ドットの生成率の変化量Bの割合(変化の割合=B/A)が一定である。そのため、図16Aのようにグラフ上で示すと、中ドットの生成率は、傾き(B/A)が一定の右上がりの直線となる。なお、小ドットの生成率は、傾きがゼロで、ドットの生成率を示す軸に対して垂直な直線となる。
しかし、階調値76から116の区間では、階調値が増加しても、中ドットの生成率は増加しなくなる。その代わりに、階調値76を境に大ドットが生成し始める。また、階調値76の中ドットの生成率30%よりも、中ドットの生成率が増えることはない。言い換えると、大ドットが発生し始める階調値と、中ドットの生成率が最大となる階調値が等しい。そして、階調値が76から116の区間では、階調値が一定の割合Aで増加すると、大ドットの生成率は一定の割合Cで増加する。そのため、グラフ上で示すと、階調値76から116の区間では、大ドットの生成率は、傾き(C/A)が一定の右上がりの直線となる。それに対して、中ドットと小ドットの生成率は、傾きゼロの直線である。
このように、大ドットが生成し始める階調値76は、階調値の変化量Aに対する中ドットの生成率の変化量の割合がB/Aからゼロに変化する階調値でもある。そして、本実施形態では、階調値の変化量に対するドット生成率の変化量の割合が変化する階調値も指令階調値とする。グラフ上でみると、各ドットの生成率を示す直線の傾きが変わる地点の階調値が、指令階調値となる。
更に、階調値76から116の区間では小ドットと中ドットのドット生成率が一定であるのに対して、階調値116を境に小ドットと中ドットのドット生成率が減少する。つまり、単位領域内に生成される小ドットと中ドットの生成率が減少する。そして、階調値の変化量Aに対する小ドットと中ドットの生成率の変化量の割合は、ゼロからマイナスの値に変化する。このように、階調値の変化量に対する各ドットの生成率の変化量の割合が、ゼロからマイナスの値もしくはプラスの値からマイナスの値に変化する階調値も指令階調値とする。
以上を踏まえて、本実施形態では、大ドットが生成し始める階調値76を指令階調値Saとする。また、指令階調値Saは、中ドットのドット生成率が最大となる階調値でもある。そして、中ドットと小ドットの生成率が減少し始める階調値116を指令階調値Sbとする。
図16Bは、3種類のドットの生成率を積算したグラフである。グラフの白い領域は小ドットが生成される割合を示し、灰色の領域は中ドットが生成される割合を示し、斜線の領域は大ドットが生成される割合を示す。そして、指令階調値Sa及びSbは、ドット生成率を積算したグラフの傾きが変化する階調値でもある。また、3種類のドットの生成率の割合は、3つの指令階調値(Sa、Sb,Sc)によりそれぞれ異なる。
指令階調値Sa(=76)では、単位領域内に小ドットが生成される割合が16%、中ドットが生成される割合が30%である。そして、大ドットは生成されない。例えば、単位領域を16×16画素(256画素)とし、全ての画素の階調値が指令階調値Saの場合、256画素のうち41画素(256×16%)に小ドットが生成され、256画素のうち77画素(256×16%)に中ドットが生成される。これに対して、指令階調値Sb(=116)では、単位領域内に小ドットが生成される割合が16%、中ドットが生成される割合が30%、大ドットが生成される割合が16%である。指令階調値Saである単位領域には小ドットと中ドットの2種類のドットしか生成されないが、指令階調値Sbである単位領域には3種類のドットが生成される。つまり、指令階調値によって、単位領域内に生成されるドットの種類が異なる。そして、単位領域内に生成されるドットの種類が変わる境目の階調値を指令階調値としている。
ところで、指令階調値Scは、ドット生成率テーブルを示すグラフの傾きが変化しない階調値であるが、指令階調値Sa及びSbの間隔と指令階調値Sb及びScの間隔が同程度となるように設定されている。そして、指令階調値Sc(=166)では、単位領域内に小ドットが生成する割合が11%、中ドットが生成する割合が20%、大ドットが生成される割合が58%である。即ち、指令階調値Scでは、中ドットが生成される割合(20%)が、大ドットが生成される割合(58%)よりも小さい。これに対して、指令階調値Sbでは、中ドットが生成される割合(30%)が、大ドットが生成される割合(16%)よりも大きい。つまり、指令階調値Sbである単位領域と、指令階調値Scである単位領域では、生成されるドットの種類は同じであるが、各ドットの生成率の特性が異なる。
このように、3種類のドットが形成される本実施形態では、ドット生成率テーブルを示すグラフの傾きが変化する階調値を指令階調値に設定している。そして、単位領域内に生成される各ドットの生成率の特性が異なる階調値を、指令階調値に設定する。この結果、図15Bに示す濃度30%の帯状パターンを構成する画素のうち、16%の画素に小ドットが生成され、30%の画素に中ドットが生成される。そして、濃度45%の帯状パターンを構成する画素のうち、16%の画素に小ドットが生成され、30%の画素に中ドットが生成され、16%の画素に大ドットが生成される。濃度65%の帯状パターンを構成するがそのうち、11%の画素に小ドットが生成され、20%の画素に中ドットが生成され、58%の画素に大ドットが生成される。
===S102:補正用パターンの読み取り===
次に、印刷されたテストパターンをスキャナ70で読み取る。テストパターンが印刷された原稿をスキャナ70にセットする際に、ラスタラインの方向がスキャナ70の主走査方向になり、複数のラスタラインの並ぶ方向がスキャナ70の副走査方向になるようにセットする。図15Aの矢印のかっこ内にスキャナ70のセット方向を示す。
そして、本実施形態では、テストパターンを主走査方向について720dpiの解像度で読み取らせ、副走査方向について2880dpiの解像度で読み取らせる。複数のラスタラインの並ぶ方向(副走査方向)に印刷解像度(720dpi)の4倍の解像度で読み取るのは、列領域の範囲の特定を容易にするためである。逆に、主走査方向は副走査方向に対して読み取り解像度を下げているのは、読み取るデータ量を削減し、読み取り速度を上げるためである。
また、読み取ったテストパターンの画像の左上のスキャン原点を基準とし、読み取り範囲を特定する。図15Aに示すように、イエローの補正用パターンを囲む一点鎖線の範囲を、イエローの補正用パターンの読み取り範囲とする。なお、読み取り範囲を特定するためのパラメータSX1、SY1、SW1及びSH1は、補正値取得プログラムによって予めスキャナドライバに設定されている。また、補正用パターンよりも大きい範囲を読み取り範囲としているので、原稿が多少ずれてスキャナ70にセットされても、イエローの補正用パターンの全体を読み取ることができる。
===補正用パターンの傾き検出(S103)及び回転処理(S104)===
次に、補正値取得プログラムは、各色の読み取った画像データ(一点鎖線の読み取り範囲:SW1×SH1の長方形の画像)に含まれる補正用パターンの画像の傾きθを検出し、画像データに対して傾きθに応じた回転処理を行う。
図17Aは、傾き検出の際の画像データの説明図である。以下、コンピュータ60内の座標系(x方向、y方向)を用いて説明する。そして、画像データの左上を原点とする。なお、実際には6つの補正用パターンがx方向に並んでいるので、読み取り範囲内には、他の補正用パターンの上罫線や下罫線などが含まれるが、図17Aでは省略する。図17Bは、上罫線の位置の検出の説明図である。図17Cは、回転処理後の画像データの説明図である。また、実際には、y方向(ラスタラインの並ぶ方向)のデータ量はx方向のデータ量の4倍であるため、y方向に4倍引き伸ばされた画像となっている。しかし、ここでは、説明の容易のため、見た目が印刷時の補正用パターンと同じに見えるように補正用パターンのy方向を1/4に圧縮して図示してある。
傾きθを算出するため、補正値取得プログラムは、読み取られた画像データの中から、左からKX1の画素であって上からKH個の画素の画素データと、左からKX2の画素であって上からKH個の画素の画素データと、を取り出す。このとき取り出される画素の中に上罫線が含まれ、右罫線及び左罫線が含まれないように、パラメータKX1、KX2、KHが定められている。そして、補正値取得プログラムは、上罫線の位置を検出するため、取り出されたKH個の画素データの階調値の重心位置KY1、KY2をそれぞれ求める。そして、補正値取得プログラムは、パラメータKX1、KX2と、重心位置KY1、KY2に基づいて、次式より補正用パターンの画像の傾きθを算出する。
θ=tan−1{(KY2−KY1)/(KX2−KX1)}
その後、算出された傾きθに基づいて、補正用パターンの画像の回転処理を行う。
===S105:トリミング===
次に、コンピュータ60の補正値取得プログラムは、画像データの中から不要な画素をトリミングする。図18Aは、トリミングの際の画像データの説明図である。図18Bは、上罫線でのトリミング位置の説明図である。ここでも、図17Aと同様にy方向の補正用パターンを1/4に圧縮するように図示してある。
補正値取得プログラムは、画像データの中から、左からKX1の画素であって上からKH個の画素の画素データと、左からKX2の画素であって上からKH個の画素の画素データと、を取り出す。そして、補正値取得プログラムは、上罫線の位置を検出するため、取り出されたKH個の画素データの階調値の重心位置をそれぞれ求め、2つの重心位置の平均値を算出する。そして、平均した重心位置から列領域の幅(4画素分)の1/2だけ上側の位置において最も近い画素の境界をトリミング位置に決定する。そして、補正値取得プログラムは、決定されたトリミング位置よりも上側の画素を切り取り、トリミングを行う。
図18Cは、下罫線でのトリミング位置の説明図である。上罫線側と同様に、下罫線の重心位置を算出する。そして、重心位置から列領域の幅の1/2だけ下側の位置において最も近い画素の境界よりも下側の画素を切り取り、トリミングを行う。
===S106:解像度変換===
次に、補正値取得プログラムは、y方向の画素数を、補正用パターンのラスタラインの数(列領域の数)と同数になるように、トリミングされた画像データを解像度変換する。つまり、x方向に並ぶ画素データ(以下、画素列とする)と列領域が一対一で対応することになる。例えば、一番上に位置する画素列は1番目の列領域に対応し、その下に位置する画素列は2番目の列領域に対応する。
720dpiで印刷されたラスタライン116個が、2880dpiの解像度で読み取られたので、トリミング後の画像データのy方向の画素数は464個(=116×4)になる。つまり、ラスタラインの数と画素列の数を同数にするために、1/4の倍率で解像度変換(縮小処理)を行う。ここでは解像度変換にバイキュービック法が用いられる。なお、x方向のデータは720dpiで読み取られたので、解像度変換を行う必要がない。
しかし、実際には補正用パターンの印刷時の誤差や、スキャナ70による読み取り誤差の影響により、画像データのy方向の画素数が464個にならないこともある。この場合、例えば、y方向の画素数は470個であったら、116/470(=[ラスタラインの数]/[y方向の画素数])の倍率で解像度変換(縮小処理)を行う。
===S107:列領域の濃度を測定===
次に、補正値取得プログラムは、各列領域における3種類の帯状パターンのそれぞれの濃度を測定する。以下、階調値76(濃度30%)で形成された左側の帯状パターンのうち1番目の列領域の濃度測定について説明する。なお、他の列領域、他の帯状パターンの濃度の測定も同様に行なわれる。
図19Aは、左罫線の検出の際の画像データの説明図である。補正値取得プログラムは、解像度変換された画像データの中から、上からH2の画素であって、左からKX個の画素の画素データを取り出す。このとき取り出される画素の中に左罫線が含まれるように、パラメータKXが予め定められている。そして、補正値取得プログラムは、取り出されたKX個の画素の画素データから左罫線の重心位置を求める。
図19Bは、1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度の測定範囲の説明図である。左罫線の重心位置からX2だけ右側に、幅W3の濃度30%の帯状パターンが存在していることは、補正用パターンの形状から既知である。そこで、補正値取得プログラムは濃度30%の帯状パターンのうち左右W4の範囲を除いた点線の範囲の画素データを列領域ごとに抽出する。抽出した画素データの階調値の平均値が各列領域の濃度30%の測定値(読取階調値)となる。このようにして、補正値取得プログラムは、3種類の帯状パターンの濃度を列領域ごとにそれぞれ測定する。
図20は、イエローの3種類の帯状パターンの濃度の測定結果をまとめた測定値テーブルである。このように、補正値取得プログラムは、列領域ごとに、3種類の帯状パターンの濃度の測定値を対応付けて、測定値テーブルを作成する。他の色(5色)についても、測定値テーブルが作成される。なお、イエローの指令階調値Sa(=76)に対するn番目の測定値を測定値Ya_nとし、指令階調値Sb(=116)に対するn番目の測定値を測定値Yb_nとし、指令階調値Sc(=166)に対するn番目の測定値を測定値Yc_nとする。
図21は、イエローの指令階調値Sa=76、Sb=116、Sc=166の帯状パターンの測定値のグラフである。横軸が列領域番号であり、縦軸が測定値である。各帯状パターンは、それぞれの指令階調値で一様に形成されたにもかかわらず、測定値に、ばらつきが生じている。このばらつきが列領域ごとの濃淡差であり、印刷画像の濃度むらの原因である。
さて、濃度むらをなくすためには、同一の階調値における列領域ごとの測定値のばらつきをなくせばよい。即ち、各列領域の測定値を一定の値に近づけることで、濃度むらが改善される。そこで、本実施形態では、同一の階調値において、全ての列領域の測定値の平均値を目標値とし、各列領域の測定値を目標値に近づけるように階調値(データ階調値)を補正する。例えば、指令階調値Sb(濃度45%)の目標値をYbtとし、目標値Ybtよりも測定値が淡い列領域iでは、指令階調値Sbの設定よりも濃く印刷されるように階調値116を補正する。一方、目標値Ybtよりも測定値が濃い列領域jでは、指令階調値Sbの設定よりも淡く印刷されるように階調値116を補正する。
===S108:補正値の算出===
補正値の算出方法を説明するために、ここでは、指令階調値Sbにおける目標値Ybtよりも測定値が低い列領域iと、目標値よりも測定値が高い列領域j(図21)を用いて説明する。
図22Aは、列領域iにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域では、目標値Ybtの濃度のパターンを印刷させるために、プリンタドライバは、次式(直線BCに基づく線形補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよい。
Sbt=Sb+(Sc−Sb)×{(Ybt−Yb)/(Yc−Yb)}
図22Bは、列領域jにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。この列領域では、目標値Ybtの濃度のパターンを印刷させるために、プリンタドライバは、次式(直線ABに基づく線形補間)により算出される目標指令階調値Sbtに基づいて指令すればよい。
Sbt=Sb−(Sb−Sa)×{(Ybt−Yb)/(Ya−Yb)}
このようにして目標指令階調値Sbtを算出した後、補正値取得プログラムは、次式により、その列領域における指令階調値Sbに対する補正値Hbを算出する。
Hb=(Sbt−Sb)/Sb
そして、補正値取得プログラムは、列領域ごとに、指令階調値Sbに対する補正値Hbを算出する。
また、補正値取得プログラムは、指令階調値0に対する測定値を0(点D)、指令階調値255に対する測定値を255(点E)として、他の指令階調値(Sa及びSc)に対する補正値(Ha及びHc)を算出する。点D(0,0)と点Aと点Bに基づいて(直線DAまたは直線ABに基づく線形補間)、指令階調値Saに対する補正値Haを列領域ごとに算出する。そして、点Bと点Cと点E(255,255)に基づいて(直線BCまたは直線CEに基づく線形補間)、指令階調値Scに対する補正値Hcを算出する。そして、全ての色(ノズル列)について、列領域ごとに、3つの補正値(Ha、Hb、Hc)を算出する。
ところで、補正用パターンの通常領域には56個のラスタラインが印刷された。しかし、56個の列領域ごとの補正値は算出せず、7個おきの8個の列領域の各濃度の測定値の平均に基づいて、7個の補正値を算出する。通常領域では7個のラスタラインごとに規則性があるため、7個の補正値を規則性に基づいて使用する。例えば、イエローの濃度45%の帯状パターンにおける、通常印刷領域の1番目の列領域の測定値Ybは、通常印刷領域の1、8、15、22、29、36、43、50番目の8個の列領域の測定値の平均値が用いられる。同様に、その他の濃度の測定値(Ya、Yc)も8個の列領域の平均値が用いられる。そして、平均値化された測定値に基づいて、通常領域の1番目の列領域の補正値(Ha、Hb、Hc)が算出される。
===S109:補正値の記憶===
図23は、イエローの補正値テーブルの説明図である。次に、補正値取得プログラムは、補正値をプリンタ1のメモリ53に記憶する。補正値テーブルには、先端印刷用、通常印刷用、後端印刷用の3種類ある。各補正値テーブルには、3つの補正値(Ha、Hb、Hc)が、列領域ごとに対応付けられている。例えば、各列領域のn番目のラスタラインには、3つの補正値(Ha_n、Hb_n、Hc_n)が対応付けられている。
プリンタ1のメモリ53に補正値を記憶させた後、補正値取得処理は終了する。そして、プリンタドライバを記憶したCD−ROMがプリンタ1に同梱され、プリンタ1が工場から出荷される。
===ユーザー下での処理について===
プリンタ1を購入したユーザーは、所有するコンピュータ60(プリンタ製造工場のコンピュータとは別のコンピュータ)に、プリンタ1を接続する。
次に、ユーザーは、同梱されているCD−ROMを記録再生装置80にセットし、プリンタドライバをインストールする。コンピュータ60にインストールされたプリンタドライバは、プリンタ1に対して、メモリ53に記憶されている補正値をコンピュータ60に送信するように要求する。プリンタ1は、要求に応じて、補正値テーブルをコンピュータ60へ送信する。プリンタドライバは、プリンタ1から送られてくる補正値をコンピュータ60内のメモリに記憶する。これにより、このコンピュータ60で作成された画像データをプリンタ1で印刷することが可能となる。
そして、プリンタドライバは、ユーザーからの印刷命令を受けると、印刷データを生成し、印刷データをプリンタ1に送信する。プリンタ1は、印刷データに従って、印刷処理を行う。なお、印刷データの作成方法は前述の通りである(図5)。
===濃度補正処理について===
以下、濃度補正処理について詳しく説明する。濃度補正処理とは、各画素データに対する階調値(補正前の階調値S_in)を、その画素データが属する列領域に対応する補正値Hに基づいて階調値を補正する(補正後の階調値S_out)処理である。
補正前の階調値S_inが指令階調値のいずれかSa、Sb、Scと同じであれば、階調値S_inに対してコンピュータ60のメモリに記憶されている補正値Ha、Hb、Hcをそのまま用いることができる。例えば、補正前の階調値S_in=Scであれば、補正後の階調値S_outは次式により求められる。
S_out=Sc×(1+Hc)
図24は、イエローのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。横軸を補正前の階調値S_inとし、縦軸を補正後の階調値S_outとする。同図は、補正前の階調値S_inが指令階調値(Sa、Sb、Sc)とは異なる場合の補正方法を示す図である。なお、図中の点線は、階調値を補正する必要がない場合であり、補正値Hが0のときのグラフである。階調値S_inに対する補正後の階調値S_outを、指令階調値Saの補正値Haと指令階調値Sbの補正値Hbを基に線形補間によって次式により算出する。
S_out=Sat+(Sbt−Sat)×{(S_in−Sa)/(Sb−Sa)}
他に、各指令階調値に対応する各補正値(Ha、Hb、Hc)の間を線形補間して階調値S_inに対応する補正値H_outを算出し、算出された補正値H_outに基づいて補正後の階調値S_outを次式により算出してもよい。
S_out=S_in×(1+H_out)
また、補正前の階調値S_inが指令階調値Sa(=76)よりも小さい場合には、階調値0(最低階調値)と指令階調値Saを基に線形補間によって、補正値Hを算出する。即ち、階調値0の補正値Hは0であるので、階調値0の補正値0と指令階調値Saの補正値Haを基に線形補間により補正値Hを算出する。このように、階調値0や階調値255に対する補正値Hに基づいて補正前の階調値S_inに対する補正値Hを算出することで、指令階調値の数を減らすことができる。即ち、帯状パターンの数を減らすことができ、テストパターンの印刷時間が短縮され、検査時間も短縮される。
先端印刷の1番目〜30番目の各列領域の画素データに対しては、プリンタドライバは、先端印刷用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜30番目の各列領域に対応する補正値Hに基づいて、濃度補正処理を行う。同様に、後端印刷では、後端印刷の1番目〜30番目の各列領域の画素データに対して、プリンタドライバは、後端印刷用の補正値テーブルに記憶されている1番目〜30番目の各列領域に対応する補正値Hに基づいて、濃度補正処理を行う。通常印刷では7個の列領域ごとに規則性があるため、プリンタドライバは、およそ数千ある列領域を7個の列領域ごとに、7個の補正値Hを順に繰り返し用いて濃度補正処理を行う。これにより、記憶すべき補正値Hのデータ量を削減することができる。
そして、プリンタドライバは、イエローだけでなく他の色の画素データの階調値に対しても、同様に濃度補正処理を行う。
以上の濃度補正処理により、濃く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する画素の画素データの階調値(データ階調値)が低くなるように補正される。逆に、淡く視認されやすい列領域に対しては、その列領域に対応する画素の画素データの階調値(データ階調値)が高くなるように補正される。言い換えると、図13Cに示したように、濃く視認されやすい列領域では、その列領域の画素データの階調値が低くなるように補正されているので、その列領域のラスタラインを構成するドットのドット生成率が低くなる。逆に、淡く視認されやすい列領域では、ドット生成率が高くなる。そして、印刷画像全体の濃度むらが改善される。
===比較例の濃度補正処理===
図25Aは、第1比較例として、本実施形態とは異なる指令階調値で補正用パターンを印刷した際の、濃度補正処理(イエローのn番目の列領域)の説明図である。図25Aには、太線の点線により、本実施形態の補正前の階調値S_inと補正後の階調値S_outの関係も示している。そして、図中の細線の点線(以下、理想線とする)は補正値Hが0であり、階調値S_inを補正する必要がない場合のグラフである。図25Bは、本実施形態の補正値(Ha、Hb、Hc)と第1比較例の補正値(Ha、Hd、He、Hc)を示す図である。
この第1比較例では、図15Bの補正用パターンの真ん中の帯状パターンの濃度を38%とする。即ち、この第1比較例では、指令階調値をSa=76(濃度30%)、Sd=97(濃度38%)、Sc=166(濃度65%)とする。そして、指令階調値(Sa、Sd、Sc)に基づいて各補正値(Ha、Hd、Hc)を算出する。本実施形態の指令階調値Sb=116(濃度45%)はドット生成率テーブルを示すグラフの傾きが変化する階調値であるのに対して、比較例の指令階調値Sdは傾きが変化しない階調値である(図16A)。
図25Bに示すように、本実施形態の階調値S_inが76から116の区間(区間ab)では、階調値76(=Sa)を境に、階調値が大きくなるにつれて、その階調値に対応する補正値H(直線ab)は、補正値Haよりも徐々に大きくなる。その結果、図25Aに示すように直線ABの傾きは理想線の傾きに対して急となる。つまり、本実施形態では、階調値116において、補正値Hが最大となり、補正後の階調値S_out(Sbt)が理想線から最も離れる。
また、本実施形態の階調値S_inが116から166の区間(区間bc)では、階調値116(=Sb)を境に、階調値が大きくなるにつれて、その階調値に対応する補正値Hは、補正値Hbよりも徐々に小さくなる。その結果、図25Aの直線BCの傾きは理想線の傾きに対して緩やかとなる。
このように、階調値が大きくなるにつれて、補正値Hが徐々に大きくなっていても、ある階調値を境に、補正値Hが徐々に小さくなったりする。即ち、階調値S_inの値によって補正値Hの特性が変わるということである。
図25Bはイエローのn番目の列領域に関するグラフであり、同じ列領域であっても、階調値S_inの値によって補正値Hの特性が異なることを示している。なぜなら、濃度むらは、ノズルの加工精度等により発生するが、濃度むらの度合いは、そのノズルから吐出されるドットの大きさによっても変わるからである。
例えば、あるノズルが紙Sに対してインクを垂直に吐出できない場合、インク滴は適正な位置からずれた位置に着弾し、濃度むらの原因となる。この濃度むらを発生させるノズルから吐出されるインク滴であっても、インク滴のインク量が異なると、着弾までの時間等が異なり、適正な位置からずれる距離が違ってくる。即ち、大ドットと小ドットでは適正な位置からずれる距離が違うので、ドットの大きさによって、濃度むらの度合いが異なることになる。また、適正な位置からずれる距離が一緒であったとしても、大ドットと小ドットでは、隣の列領域に発生する濃度むらに影響する度合いや、適正な位置にドットが形成されないことにより発生する濃度むらに影響する度合いが異なる。また、あるノズルが適正なインク量よりも1割多く吐出してしまう場合、大ドットのインク量が1割多く吐出されるのと、小ドットのインク量が1割多く吐出されるのでは、濃度むらに影響する度合いが異なる。
つまり、同じ列領域から構成される単位領域であっても、単位領域の階調値が異なると、単位領域を構成するドットの種類や、3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)の生成率が異なり、濃度むらに影響する度合い(補正値Hの特性)が異なる。そのため、あるドットが発生し始める階調値や、ドット生成率テーブルを示すグラフの傾きが変化する階調値(ドットの生成率が最大となる階調値や、ドットの生成率が減少し始める階調値)を境に、補正値Hの特性が変わり、補正前の階調値S_inと補正後の階調値S_outの関係を示すグラフの傾き(図25A)や補正値の変化を示すグラフの傾き(図25B)が変化する。
本実施形態では、区間abの補正値Hは、階調値が増加するにつれて、指令階調値Sa(=76)における補正値Haよりも徐々に大きくなる。そして、指令階調値Saを境に大ドットが生成し始める。即ち、大ドットが生成し始めたことで、濃度むらが大きくなることが分かる。逆に、区間bcの補正値Hは、階調値が増加するにつれて、階調値116(=Sb)における補正値Hbよりも徐々に小さくなる。そして、階調値116を境に中ドットと小ドットの生成率が減り始める。即ち、中ドットと小ドットの生成率が減り始めることで、濃度むらが小さくなることが分かる。(但し、これは具体例であり、単位領域におけるドットの生成率の違いが濃度むらにどの様に影響するかについては、一概には述べられない)。
ところで、第1比較例では、ドット生成率テーブルを示すグラフの傾きが変化していない階調値(=97)を指令階調値Sdとしている。即ち、補正値Hの特性が変わる階調値を指令階調値としていない。指令階調値以外の階調値(データ階調値)に対する補正値Hは、補正値Haと補正値Hdと補正値Hcを基に、線形補間によって算出される。その補正値Hの算出結果が、図25Bの太線の実線(直線adと直線dc)である。
第1比較例では、階調値S_inが76から97の区間(区間ad)では、単位領域内の大ドットの割合が増加し、濃度むらが大きくなる。即ち、指令階調値Saを境に、階調値が大きくなるにつれて、その階調値に対応する補正値Hが補正値Haよりも徐々に大きくなる。そして、階調値S_inが97から166の区間(区間dc)では、階調値Sdを境に、階調値が大きくなるにつれて、その階調値に対応する補正値Hが補正値Haよりも徐々に小さくなる。
しかし、実際には、傾きが変化する階調値116(=Sb)を境に、単位領域内の中ドットと小ドットの割合が減少し始め、濃度むらが小さくなる。そして、階調値116を境に、補正値Hが徐々に大きくなっていたのが、補正値Hが徐々に小さくなる。即ち、階調値116を境に、補正値Hの特性が変わるのであって、階調値Sd(=97)を境にして補正値Hの特性は変わらない。つまり、実際には、階調値76(=Sa)から階調値116(=Sb)の区間の補正値Hは、階調値が大きくなるにつれて、補正値Haよりも徐々に大きくなる。それに対して、第1比較例では、補正前の階調値S_inが97から116の区間(区間de)の補正値Hは、補正値Hdよりも小さくなってしまっている。その結果、図25Aに示すように、階調値97から116の区間での補正後の階調値S_out(直線DE)は、目標の階調値(直線DB)よりも小さくなり、濃度むらが改善されない。
また、実際には、階調値116(=Sb)を境に、階調値S_inが116から166の区間(区間bc)の補正値Hは、階調値116の補正値Hbよりも徐々に小さくなる。第1比較例においても、階調値S_inが116から166の区間(区間ec)の補正値Hは、階調値116の補正値Heよりも徐々に小さくなっている。しかし、第1比較例の補正値Heは、本実施形態の補正値Hbに比べて小さい。そのため、図25Aに示すように、階調値116から166の区間での補正後の階調値S_out(直線EC)も、目標の階調値(直線BC)よりも小さく、濃度むらが改善されない。そして、区間ecの補正値H(直線ec)は、階調値が大きくなるにつれて、実際の補正値H(直線bc)に近付く。
次に、第2比較例の濃度補正処理について説明する。本実施形態では大ドットが生成し始める階調値76を指令階調値Saに設定しているのに対して、第2比較例では、大ドットが生成し始める階調値76を指令階調値と設定していない。図26は、本実施形態の補正値(Ha、Hb、Hc)と第2比較例の補正値(Hf、Hg、Hb、Hc)を示す図である。図26中の太線の点線が本実施形態の補正値Hの変化の様子を示し、太線の実線が第2比較例の補正値Hの変化の様子を示している。
この第2比較例では、指令階調値をSf=50(濃度20%)、Sb=116(濃度45%)、Sc=166(濃度65%)とする。そして、指令階調値(Sf、Sb、Sc)に基づいて各補正値(Hf、Hb、Hc)を算出する。なお、階調値76に対する補正値H(補正値Hfと補正値Hbとの補間により算出される補正値)を補正値Hgとする。
図26の太線の点線が示すように、実際には、区間faの補正値Hと区間abの補正値Hは、共に、階調値が増加するにつれて、補正値Hも徐々に大きくなる。但し、区間faでの階調値の変化量に対する補正値Hの変化量の割合は、区間abでの階調値の変化量に対する補正値の変化量の割合よりも小さい。言い換えると、補正値Hの変化を示すグラフの傾きが区間fa(直線fa)と区間ab(直線ab)とで異なり、直線faの傾きが直線abの傾きに比べて緩やかである。これは、大ドットが生成し始める階調値76を境に、補正値Hの特性が変わるからである。即ち、階調値76を境に、淡く印刷される度合いが増し、補正値Hが大きくなる。
第2比較例でも本実施形態と同様に、区間fgの補正値H(直線fg)と区間gbの補正値H(直線gb)は、共に、階調値が増加するにつれて、補正値Hも徐々に大きくなる。しかし、第2比較例では階調値76を指令階調値としていないため、直線fgと直線gbの傾きが等しくなる。そして、第2比較例の補正値Hの変化を示す直線fgは、実際の補正値Hの変化を示す直線faよりも傾きが急となる。その結果、第2比較例の階調値50から76の区間の補正値Hは、実際の階調値50から76の区間の補正値Hよりも大きくなってしまい、濃度むらが改善されない。つまり、第2比較例では、大ドットを形成しない階調値に対する補正値Hと、大ドットを形成する階調値に対する補正値Hの違いが考慮されず、補正値Hが正確に補間されない。
ところで、本実施形態でも、第1比較例、第2比較例でも、指令階調値以外の階調値(データ階調値)に対する補正値H(または補正後の階調値S_out)は、離散的な指令階調値の補正値Hの線形補間により算出される。なぜなら、全ての階調値(256階調)を指令階調値として、テストパターンを印刷することはできない。また、全ての階調値に対する補正値をプリンタ1のメモリ53に記憶すると、メモリ53の容量を大きくする必要があるからである。但し、第1・第2比較例のように、補正値Hの特性が変わる階調値とは関係ない階調値(Sd、Sf)の補正値Hを基に、線形補間により補正後の階調値S_outを算出しても、濃度むらが改善されない。
そこで、本実施形態では、補正値Hの特性が変わる階調値であり、3種類のうちのあるドットが生成し始める階調値やドット生成率テーブルの傾きが変化する階調値を指令階調値とする。その結果、指令階調値以外の階調値の補正値Hが正確に算出される。なお、試作機において、実際に、3種類のうちのあるドットが生成し始める階調値とドット生成率テーブルの傾きが変化する階調値を指令階調値として、濃度むらの補正を行ったところ、濃度むらが改善された。
即ち、本実施形態では、ハーフトーン処理において、256階調の画素データの階調値(データ階調値)が、ドット生成率テーブルに基づいて、プリンタ1が形成可能な4階調の画素データの階調値(印刷階調値)に変換される。そして、指令階調値Sa=76(第1指令階調値)である画素から構成される濃度30%の帯状パターン(第1テストパターン)と、指令階調値Sb=116(第2指令階調値)である画素から構成される濃度45%の帯状パターン(第2テストパターン)と、指令階調値Sc=166である画素から構成される濃度65%の帯状パターンとが印刷され、スキャナ70に読み取られる。スキャナ70に読み取られる際に、濃度30%の帯状パターンの測定値(第1読取階調値)を取得し、濃度45%の帯状パターンの測定値(第2読取階調値)を取得し、濃度65%の帯状パターンの測定値を取得する。指令階調値Sa(第1指令階調値)と濃度30%の帯状パターンの測定値(第1読取階調値)に基づいて補正値Ha(第1補正値)を算出する。同様に、指令階調値Sb(第2指令階調値)に対する補正値Hb(第2補正値)、指令階調値Scに対する補正値Hcも算出する。そして、ユーザーの下で実際に印刷するときに、ある画素データの階調値S_inが指令階調値SaとSbの間の階調値である場合に、補正値HaとHbに基づいて、ある画素データの階調値に対する補正値Hを補間し、補正値Hで画素データの階調値S_inを補正し、補正後のデータ階調値S_outを、ドット生成率テーブルに基づいて、4階調の階調値に変換し、その階調値に基づいて印刷する。
そして、本実施形態では、指令階調値SaとSbとScの少なくとも1つは、ドット生成率テーブルにおいて、3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)のうちのあるドットが生成し始める階調値としている。これにより、ある画素のデータ階調値に対する補正値が正確に補間され、濃度むらが改善される。
===その他の実施形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェット方式のプリンタを有する印刷システムについて記載されているが、濃度パターンを印刷する指令階調値の決定方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
〈指令階調値について〉
前述の実施形態では、中ドットが発生し始める階調値であり、小ドットの生成率が最大となる階調値38(濃度15%)を指令階調値に設定していないが、階調値38を指令階調値に設定しても構わない(図16A)。
但し、濃度15%の帯状パターンは淡い画像であるため、スキャナによっては、スキャナの読み取りが不安定になるおそれがある。そうすると、濃度むらに対する正確な補正値を算出することができない。
そこで、ブラックインクのような濃いインクを検査インクとして、各ノズル列の補正用パターンを印刷する。その際には、イエローやダークシアン等のノズル列からもブラックインクが吐出される。その結果、濃度15%の帯状パターンもスキャナの読み取りが不安定になるような淡い画像ではなくなるので、スキャナに正確に読み取られる。
前述の実施形態では、サイズの異なる各ドット(大ドット、中ドット、小ドット)のドット生成率テーブルを示すグラフ(図9A)の傾きが変化する階調値を指令階調値としているが、これに限らない。例えば、ライトシアンとダークシアンを用いてシアンを印刷するが、シアンのテストパターンしか印刷しない場合、シアンの階調値変換テーブルを示すグラフ(図10)の傾きが変化する階調値をシアンの指令階調値としてもよい。
また、前述の実施形態では、3つの指令階調値を設定し、3つの帯状パターンから構成される補正用パターンを形成したが、これに限らない。例えば、指令階調値の数を増やしてもよい。その結果、離散的な指令階調値に対する補正値の間隔が狭まるので、各データ階調値に対する補正値をより正確に算出することができる。その際に設定する指令階調値は、ドット生成率を示すグラフの傾きが変化する指令階調値でなくとも構わない。但し、印刷する帯状パターンの数が増えると、印刷時間が増加し、プリンタ1のメモリ容量も増加させる必要がある。
〈列領域ごとの補正値について〉
前述の実施形態では、補正用パターンの帯状パターンを構成する列領域ごとに補正値を算出しているが、これに限らない。例えば、帯状パターン全体に対する補正値を1つのみ算出しても良い。しかし、前述の実施形態の方が、隣接する画像片を形成するノズルの影響も考慮されるので、より濃度むらが改善される。
〈補間について〉
前述の実施形態では、2つの目標指令階調値(補正された指令階調値)に基づいて、線形補間により、指令階調値以外の階調値の補正後の階調値S_outを算出しているが、これに限らない。例えば、3つの目標指令階調値に基づいて、2次元の曲線により補間してもよい。
〈プリンタ1について〉
前述の実施形態では、ヘッド31が移動方向に移動しながらラスタラインを形成するプリンタを例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、搬送方向に停まることなく搬送される紙に、搬送方向と交差する方向(紙幅方向)に並んだノズルからインクが吐出されることによって画像を完成させるラインヘッドプリンタにおいても本件発明が適用される。この場合、ラスタラインは搬送方向に沿って形成され、補正用パターンは紙幅方向に並んだ複数のラスタラインから構成される。そして、列領域とは、搬送方向に並ぶ複数の画素領域によって構成される領域をさす。
本実施形態のシステム構成図である。 本実施形態のプリンタの全体構成ブロック図である。 図3Aはプリンタの全体構成の概略図であり、図3Bはプリンタの全体構成の断面図である。 ヘッドの下面(ノズル面)におけるノズルの配列を示す説明図である。 印刷データ作成処理のフロー図である。 図6Aはスキャナの縦断面図であり、図6Bは上蓋を外した状態のスキャナの上面図である。 駆動信号生成回路とヘッド駆動回路の説明図である。 駆動信号DRVの説明図である。 図9Aはドット生成率テーブルの説明図であり、図9Bは、ディザ法によるドットのオン・オフ判定の様子を示す図である。 シアンの階調値変換テーブルの説明図である。 図11A及び図11Bは、通常印刷の説明図である。 先端印刷及び後端印刷の説明図である。 図13Aは理想的にドットが形成されたときの様子の説明図であり、図13Bは濃度むらが発生したときの説明図であり、図13Cは本実施形態の印刷方法によりドットが形成されたときの様子の説明図である。 プリンタの製造後の検査工程で行われる補正値取得処理のフロー図である。 テストパターンの説明図である。 補正用パターンの説明図である。 図16Aはドット生成率テーブルと指令階調値の関係を示す図であり、図16Bは3種類のドットの生成率を積算したグラフである。 図17Aは傾き検出の際の画像データの説明図であり、図17Bは上罫線の位置の検出の説明図であり、図17Cは回転処理後の画像データの説明図である。 図18Aはトリミングの際の画像データの説明図であり、図18Bは上罫線でのトリミング位置の説明図であり、図18Cは下罫線でのトリミング位置の説明図である。 図19Aは左罫線の検出の際の画像データの説明図であり、図19Bは1番目の列領域の濃度30%の帯状パターンの濃度の測定範囲の説明図である。 イエローの3種類の帯状パターンの濃度の測定結果をまとめた測定値テーブルである。 イエローの各指令階調値の帯状パターンの測定値のグラフである。 図22Aは列領域iにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図であり、図22Bは列領域jにおける指令階調値Sbに対する目標指令階調値Sbtの説明図である。 イエローの補正値テーブルの説明図である。 イエローのn番目の列領域の濃度補正処理の説明図である。 図25Aは比較例として、本実施形態とは異なる指令階調値で補正用パターンを印刷した際の濃度補正処理の説明図であり、図25Bは本実施形態の補正値と比較例の補正値を示す図である。 本実施形態の補正値と第2比較例の補正値を示す図である。
符号の説明
1 プリンタ、
10 搬送ユニット、11 給紙ローラ、12 搬送モータ、13 搬送ローラ、
14 プラテン、15 排紙ローラ、
20 キャリッジユニット、21 キャリッジ、22 キャリッジモータ、
30 ヘッドユニット、31 ヘッド、32 ヘッド駆動回路、
PZT ピエゾ素子、
40 検出器群、41 リニア式エンコーダ、42 ロータリー式エンコーダ、
43 紙検出センサ、44 光学センサ、
50 コントローラ、51インターフェース部、52 CPU、53 メモリ、
54 ユニット制御回路、55 駆動信号生成回路、551 第1シフトレジスタ、
552 第2シフトレジスタ、553 ラッチ回路、554 データセレクタ、
56 スイッチ、
DRV 駆動信号、LAT ラッチ信号、PRT 印刷信号、
SW スイッチ制御信号、
60 コンピュータ、
70 スキャナ、71 上蓋、72 原稿、73 原稿台ガラス、
74 読取キャリッジ、75 案内部、76 移動機構、
77 露光ランプ、78 ラインセンサ、79 光学系、
80 記録再生装置

Claims (7)

  1. 画素データが示す階調値であるデータ階調値を、前記データ階調値に対するドット生成率を示すテーブルに基づいて、印刷装置が形成する複数種類のドットに対応する階調値である印刷階調値に変換するステップと、
    前記データ階調値が第1指令階調値の画素から構成される第1テストパターンと、前記データ階調値が第2指令階調値の画素から構成される第2テストパターンを印刷するステップと、
    前記第1テストパターンをスキャナに読み取らせ第1読取階調値を取得し、前記第2テストパターンを前記スキャナに読み取らせ第2読取階調値を取得するステップと、
    前記第1読取階調値と前記第1指令階調値に基づいて、前記第1指令階調値に対する第1補正値を算出し、前記第2読取階調値と前記第2指令階調値に基づいて、前記第2指令階調値に対する第2補正値を算出するステップと、
    あるデータ階調値が前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の間の階調値である場合に、前記第1補正値と前記第2補正値とに基づいて前記あるデータ階調値に対する補正値を補間し、前記補正値により前記あるデータ階調値を補正し、補正されたデータ階調値を前記テーブルに基づいて印刷階調値に変換し、変換された印刷階調値に基づいて印刷するステップと、
    を有する印刷方法であって、
    前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の少なくとも一方は、前記テーブルにおいて、前記複数種類のドットのうちのあるドットが生成し始めるデータ階調値であること、
    を特徴とする印刷方法。
  2. 請求項1に記載の印刷方法であって、
    前記印刷装置は、媒体とノズルを所定方向に相対的に動かしながら、前記ノズルからインクを吐出させることで、前記媒体に画像を形成する印刷装置であり、
    前記所定方向に対応する方向に並ぶ複数の画素の前記印刷階調値に基づいてラスタラインが形成され、
    前記第1テストパターンと前記第2テストパターンは、前記所定方向と交差する方向に複数の前記ラスタラインが並ぶことにより構成され、
    前記第1テストパターンの読取結果のうちの前記複数の画素に対応する部分の読取階調値を前記第1読取階調値として取得し、前記第2テストパターンの読取結果のうちの前記複数の画素に対応する部分の読取階調値を前記第2読取階調値として取得し、
    前記第1補正値と前記第2補正値とに基づいて前記複数の画素のデータ階調値が補正される、
    印刷方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の印刷方法であって、
    前記第1指令階調値と前記第2指令階調値の少なくとも一方は、前記テーブルにおいて、前記データ階調値の変化量に対する前記ドット生成率の変化量の割合が変化する階調値である、
    印刷方法。
  4. 請求項3に記載の印刷方法であって、
    前記変化する階調値とは、前記複数種類のドットのうちのあるドットの前記ドット生成率が最大となるデータ階調値である、
    印刷方法。
  5. 請求項3または請求項4に記載の印刷方法であって、
    前記変化する階調値とは、前記複数種類のドットのうちのあるドットの前記ドット生成率が減少し始めるデータ階調値である、
    印刷方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記第2指令階調値よりも前記第1指令階調値の方が小さいデータ階調値であり、前記第1指令階調値よりも前記あるデータ階調値の方が小さいデータ階調値である場合には、前記第1指令階調値と最低階調値とに基づいて、前記あるデータ階調値に対する補正値を補間する、
    印刷方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記補間とは、線形補間のことである、
    印刷方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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