JP2008050727A - 土木資材、その施工方法、その資材に用いられるシート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】土木資材であって、熱可塑性樹脂にて形成されたシートに対して、石や砂利などの塊状物が、前記熱可塑性樹脂の熱融着によって接着されている。また、土木資材の施工方法であって、熱可塑性樹脂にて形成されたシート上に、この熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱された石や砂利などの塊状物を投入して、この塊状物を、前記熱可塑性樹脂の熱融着によって、前記シートに接着させる。
【選択図】なし
Description
本発明は、この様な現状に鑑みてなされたもので、現場発生した石や砂利などの塊状物を他の現場へ移動させること無くシートに固定できるようにすることで、作業性が良好な土木資材、その施工方法、その資材に用いられるシートを提供することを目的とするものである。
すなわち本発明は、下記を要旨とするものである。
本発明で使用する熱可塑性樹脂にて形成されたシートは、フィルム状物や、繊維を製編織した織編物であって良く、特に制限するものではない。この熱可塑性樹脂の融点以上に加熱された石や砂利などの塊状物が投入された際に融解し、この塊状物と接着するものであれば良い。
人工的に作った5分勾配法面に下記の各実施例のシートを用いた土木資材を敷設する試験を行った。このとき、塊状物には15cm程度の割栗石を用いた。また加熱装置としてはアスファルトリサイクルマシーン(開盛機械工業社製、「アス太郎」)を用い、塊状物としての割栗石や熱可塑性樹脂を、後述のように各実施例ごとに異なる温度まで加熱した。土木資材の敷設に際しては、あらかじめ上記の勾配法面に各実施例のシートを2m×2mの大きさで敷設して、50cmピッチで金属性杭にて固定した。そして、その上方より加熱しておいた割栗石を約100kg投入し、冷却後にその接着状態を確認した。
ナイロン6チップ(融点:215℃)に、チタンブラック10質量%とヨウ化銅1質量%とを混合して、マスターチップを製造した。このマスターチップ4質量部と、マスターチップに用いたのと同じナイロン6チップ96質量部とを混合し、エクストルダー型紡糸機を用いて溶融紡糸し延伸して、強度が8.2cN/dtex、伸度が25%、乾熱収縮率が10%の、1590T210および3120T420の原着ナイロン繊維を得た。
実施例1と同じ方法で作製した糸条1670T192の原着ナイロン繊維を54本撚り合わせて、網目の大きさが25mm×25mmである蛙又網のネットを編網して、実施例2のシートとしてのネットを得た。
実施例1と同じ方法で作製した糸条1670T192の原着ナイロン繊維を80T/mで撚糸し、織物密度24本/2.54cm×24本/2.54cmの平組織で製織し、実施例3のシートとしての織物を得た。
実施例1と同じ方法で作製した糸条1670T192の原着ナイロン繊維を80T/mで撚糸し、この撚糸を用いて織物密度33本/2.54cm×33本/2.54cmの6本1完全の模紗組織で製織し、実施例4のシートとしての織物を得た。
ナイロン6(ユニチカ社製、品番:A1030BRF、融点:215℃)を乾燥後、押出機に投入し、270℃に加熱したシリンダー内で溶融後、Tダイオリフィスからシート状に押出し、10℃に冷却されたドラム上に密着させて、厚み150μmの未延伸フィルムを得た。次に、この未延伸フィルムを温水槽に導き、200℃×12秒で熱処理したうえで、延伸処理により厚み15μmの二軸延伸フィルムを得た。なお、延伸条件として、縦方向に3.3倍、横方向に3.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸を施し、その後の熱処理工程において横方向に5%の弛緩処理を施した。これにより、実施例5のシートとしてのフィルムを得た。
実施例1〜5のシートについて、塊状物を220℃まで加熱したうえで試験を行った。その結果、これら実施例1〜5のシートは、ともに割栗石がシートに良好に固定されていることが確認された。
芯鞘複合繊維の芯部として、カーボンブラックを1%含有したポリエチレンテレフタレート(融点260℃)を用いた。同繊維の鞘部として、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とのモル比が1:1.13のポリエチレンテレフタレートオリゴマーに、ε−カプロラクトンを全酸成分に対して15モル%、および1,4−ブタンジオールを全ジオール成分に対して50モル%の割合で添加して重合された共重合ポリエステル(融点160℃)を用いた。上記の各ポリエステル系重合体を芯部と鞘部に配して、芯/鞘の質量比を50/50とした芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントを、常用の複合紡糸機を用いて得た。得られた3330T360の原着ポリエステル芯鞘複合繊維を鎖編糸とし、1670T120の原着ポリエステル芯鞘複合繊維を挿入糸として用い、9Gのラッセル編機を使用して編成した。この経編地を120℃で1分間熱処理して、網目の一辺が25mmの、実施例6のシートとしてのネットを得た。
実施例6と同じ製造方法で作製した糸条1670T120の原着ポリエステル芯鞘複合繊維を54本撚り合わせて、実施例7のシートとしての、網目の大きさが25mm×25mmである蛙又網のネットを得た。
実施例7と同じ製造方法で作製した糸条1670T120の原着ポリエステル芯鞘複合繊維を80T/mで撚糸し、この撚糸を用いて織物密度24本/2.54cm×24本/2.54cmの平組織で製織し、実施例8のシートとしての織物を得た。
実施例7と同じ製造方法で作製した糸条1670T120の原着ポリエステル複合芯鞘繊維を80T/mで撚糸し、この撚糸を用いて織物密度33本/2.54cm×33本/2.54cmの6本1完全の模紗組織で製織し、実施例9のシートとしての織物を得た。
芯鞘複合繊維の芯部として、カーボンブラックを1%含有するナイロン66(融点260℃)を用いた。同繊維の鞘部として、ナイロン6(融点215℃)を用いた。そして、各ナイロン重合体を芯部および鞘部に配して、芯/鞘の質量比を50/50とした芯鞘複合繊維からなるマルチフィラメントを、常用の複合紡糸機を用いて得た。得られた3120T360の原着ナイロン芯鞘複合繊維を鎖編糸として用い、また1590T90の原着ナイロン芯鞘複合繊維を挿入糸として用いて、9Gのラッセル編機を使用し編成した。この経編地を120℃で1分間熱処理して、実施例10のシートとしての、網目の一辺が25mmのネットを得た。
実施例6〜9のシートについて、塊状物を170℃の設定温度で加熱した。また実施例10のシートについて、塊状物や熱可塑性樹脂を220℃の設定温度で加熱した。その結果、実施例6〜10のシートともに塊状物としての割栗石が良好にシートに固定されていることが確認された。
ポリ乳酸チップ(ネイチャーワークス社製、品番:6400、融点:180℃)に、チタンブラック10質量%とヨウ化銅1質量%とを混合して、マスターチップを製造した。このマスターチップ4質量部と、マスターチップに用いたのと同じポリ乳酸チップ96質量部とを混合し、エクストルダー型紡糸機を用いて溶融紡糸し延伸して、強度が5.1cN/dtex、伸度が30%、乾熱収縮が15%の、1590T210および3120T/420の原着ポリ乳酸繊維を得た。得られた3120T/420の原着ポリ乳酸繊維を鎖編糸とし、1590T210の原着ポリ乳酸繊維を挿入糸として、9Gのラッセル編機を使用して編成した。この経編地を120℃で1分間熱処理して、実施例11のシートとしての、網目の一辺が23mmのネットを得た。
実施例11と同じ製造方法で作製した糸条1670T192の原着ポリ乳酸繊維を54本撚り合わせて、実施例12のシートとしての、網目の大きさが25mm×25mmである蛙又網のネットを編網した。
実施例11と同じ製造方法で作製した糸条1670T192の原着ポリ乳酸繊維を80T/mで撚糸し、織物密度24本/2.54cm×24本/2.54cmの平組織で製織して、実施例13のシートとしての織物を得た。
実施例11と同じ製造方法で作製した糸条830T70の原着ポリ乳酸繊維を80T/mで撚糸し、この撚糸を用いて織物密度33本/2.54cm×33本/2.54cmの6本1完全の模紗組織で製織し、実施例14のシートとしての織物を得た。
ポリ乳酸系重合体(ネイチャーワークス社製、品番:6400、融点:180℃)を、コートハンガータイプのTダイを具備した50mmφ押出機を使用して、滞留時間5分、Tダイ温度230℃で溶融押出し、25℃に温度制御されたキャストロールに密着させて急冷することで、厚さ300μmの未延伸シートを得た。次に、この未延伸シートを予熱ロールにより60℃で予熱した後、延伸ロールによって75℃で3.0倍に縦方向に延伸し、引き続いてテンター内で80℃の延伸温度で横方向に4.0倍延伸した。その後、横方向のリラックス率を4%として125℃で熱処理を施し、実施例15のシートとしての厚さ25μmの二軸延伸フィルムを得た。
芯鞘複合繊維の芯部に配するポリ乳酸系重合体として、乳酸のL体が99モル%、D体が1モル%の比率で共重合された共重合ポリ乳酸(カーギルダウ社製、品番:6200、融点:170℃)にカーボンブラックを1質量%含有させたものを用意した。一方、鞘部に配するポリ乳酸系重合体として、乳酸のL体が92モル%、D体が8モル%の比率で共重合された共重合ポリ乳酸(カーギルダウ社製、品番:6300、融点;130℃)を用意した。これらのポリ乳酸系重合体を用いて、溶融複合紡糸機にて、芯/鞘の質量比が50/50である芯鞘複合繊維のマルチフィラメント(強度:4.0cN/dtex、伸度:30%、乾熱収縮率:14%)を得た。得られた3120T420の原着ポリ乳酸繊維を鎖編糸として用い、1590T210の原着ポリ乳酸繊維を挿入糸として用い、9Gのラッセル編機を使用して編成した。この経編地を100℃で1分間熱処理して、実施例16のシートとしての、網目の一辺が23mmのネットを得た。
実施例11〜16のシートについて、塊状物を実施例11〜15では185℃まで加熱し、また実施例16では145℃まで加熱したうえで試験を行った。その結果、これらの実施例11〜16のシートは、ともに割栗石がシートに良好に固定されていることが確認された。
ナイロン66チップ(融点:260℃)にチタンブラック10質量%とヨウ化銅1質量%とを混合して、マスターチップを製造した。このマスターチップ4重量部と、マスターチップに用いたのと同じナイロン66チップ96質量%とを混合し、エクストルダー型紡糸機を用いて溶融紡糸し延伸して、強度が8.2cN/dtex、伸度が25%、乾熱収縮率が10%の、1590T210および3120T420の原着ナイロン繊維を得た。
実施例17と同じ製造方法で作製した糸条1670T192の原着ナイロン繊維を54本撚り合わせて、実施例18のシートとしての、網目の大きさが25mm×25mmである蛙又網のネットを編網した。投入材料は、実施例17と同じものを使用した。
実施例17と同じ製造方法で作製した糸状1670T192の原着ナイロン繊維を80T/mで撚糸し、織物密度24本/2.54cm×24本/2.54cmの平組織で製織して、実施例19のシートとしての織物を得た。投入材料は、実施例17と同じものを使用した。
実施例17と同じ製造方法で作製した糸状1670T192の原着ナイロン繊維を80T/mで撚糸し、織物密度33本/2.54cm×33本/2.54cmの6本1完全の模紗組織で製織し、実施例20のシートとしての織物を得た。投入材料は、実施例17と同じものを使用した。
ナイロン66チップ(融点:260℃)を乾燥させた後、押出機に投入し、330℃に加熱したシリンダー内で溶融した。その後、Tダイオリフィスからシート状に押出し、10℃に冷却されたドラム上に密着させて、厚み150μの未延伸フィルムを得た。次に、この未延伸フィルムを温水槽に導いて240℃×12秒で熱処理したうえで、延伸処理により厚み15μmの二軸延伸フィルムを得た。なお、延伸条件は、縦方向に3.3倍、横方向に3.0倍の延伸倍率で同時二軸延伸し、その後の熱処理工程において横方向に5%の弛緩処理を施して、実施例21のシートとしてのフィルムを得た。投入材料は、実施例17と同じものを使用した。
実施例6と同じ製造製法で作製したネットを、実施例22のシートとした。このネットは、実施例6と同様に、芯部のポリエチレンテレフタレートの融点は260℃であり、鞘部の共重合ポリエステルの融点は160℃であった。投入材料としては、割栗石と、共重合ポリエステル(融点160℃)チップとを用いた。共重合ポリエステルチップは、テレフタル酸成分とエチレングリコール成分とのモル比が1:1.13のPETオリゴマーに、ε−カプロラクトンを全酸成分に対して15モル%、および1,4−ブタンジオールを全ジオール成分に対して50モル%の割合で添加して重合されたものであった。そして、割栗石に対して共重合ポリエステルチップを1質量%の割合で混合し、190℃×2分間加熱したものを使用した。
実施例11と同じ製造製法で作製したネットを、実施例23のシートとした。このネットに用いた重合体であるポリ乳酸の融点は、180℃であった。投入材料としては、割栗石の質量に対して、乳酸のL体が92モル%、D体が8モル%の比率で共重合された共重合ポリ乳酸(カーギルダウ社製、品番:6300、融点130℃)チップを1質量%の割合で混合し、145℃×2分間加熱したものを使用した。
実施例17〜23のシートは、ともに割栗石がシートに良好に固定されていることが確認された。
Claims (19)
- 熱可塑性樹脂にて形成されたシートに対して、石や砂利などの塊状物が、前記熱可塑性樹脂の熱融着によって接着されていることを特徴とする土木資材。
- 第1の熱可塑性樹脂にて形成されたシートに対して、石や砂利などの塊状物が、少なくとも第2の熱可塑性樹脂の熱融着によって接着されていることを特徴とする土木資材。
- 第1の熱可塑性樹脂の融点が第2の熱可塑性樹脂の融点以上であることを特徴とする請求項2記載の土木資材。
- シートが、熱可塑性合成繊維の織編物にて構成されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項記載の土木資材。
- 熱可塑性合成繊維は、繊維横断面において芯部と鞘部とを備えた複合繊維であり、前記鞘部の熱融着によって塊状物がシートに接着されていることを特徴とする請求項4記載の土木資材。
- 芯部と鞘部の熱可塑性樹脂が、芯部および鞘部ともポリエステル系樹脂であるか、または芯部および鞘部ともポリアミド系樹脂であることを特徴とする請求項5記載の土木資材。
- 熱可塑性樹脂が生分解性を有する熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の土木資材。
- 熱可塑性樹脂が脂肪族ポリエステル系樹脂であることを特徴とする請求項7記載の土木資材。
- 熱可塑性樹脂がポリ乳酸であることを特徴とする請求項8記載の土木資材。
- 請求項1から9までのいずれか1項に記載の土木資材を構成するものであることを特徴とするシート。
- 熱可塑性樹脂にて形成されたシート上に、この熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱された石や砂利などの塊状物を投入して、この塊状物を、前記熱可塑性樹脂の熱融着によって、前記シートに接着させることを特徴とする土木資材の施工方法。
- 第1の熱可塑性樹脂にて形成されたシート上に、第2の熱可塑性樹脂と、石や砂利などの塊状物とを、前記第2の熱可塑性樹脂の融点以上の温度に加熱して投入して、前記塊状物を、少なくとも前記第2の熱可塑性樹脂の熱融着によって、前記シートに接着させることを特徴とする土木資材の施工方法。
- 第1の熱可塑性樹脂として、第2の熱可塑性樹脂の融点以上の融点を有するものを用いることを特徴とする請求項12記載の土木資材の施工方法。
- シートとして、熱可塑性合成繊維の織編物にて構成されたものを用いることを特徴とする請求項11から13までのいずれか1項記載の土木資材の施工方法。
- 熱可塑性合成繊維として、繊維横断面において芯部と鞘部とを備えた複合繊維を用い、前記鞘部の熱融着によって塊状物をシートに接着させることを特徴とする請求項14記載の土木資材の施工方法。
- 熱可塑性合成繊維として、芯部と鞘部の熱可塑性樹脂が、芯部および鞘部ともポリエステル系樹脂であるか、または芯部および鞘部ともポリアミド系樹脂であるものを用いることを特徴とする請求項15記載の土木資材の施工方法。
- 熱可塑性樹脂として、生分解性を有する熱可塑性樹脂を用いることを特徴とする請求項11から15までのいずれか1項記載の土木資材の施工方法。
- 熱可塑性樹脂として脂肪族ポリエステル系樹脂を用いることを特徴とする請求項17記載の土木資材の施工方法。
- 熱可塑性樹脂としてポリ乳酸を用いることを特徴とする請求項18記載の土木資材の施工方法。
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