JP2008048725A - 核酸配列の増幅方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】核酸の合成方法として有用な、標的核酸を選択的に増幅する方法および該方法による核酸の検出方法を提供する
【解決手段】
エンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基を含有するオリゴヌクレオチドプライマー、エンドヌクレアーゼV、および鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを用いることによって、試料中の標的とする核酸を選択的に増幅する、核酸配列の増幅方法[EVA(Endonuclease V−dependent Amplification)法]および該方法による核酸の検出方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、核酸の合成方法として有用な、標的核酸を選択的に増幅する方法および該方法による核酸の検出方法に関する。
標的核酸を増幅する技術は、近年のバイオテクノロジーにおける極めて重要な技術の1つであり、生物学、医学、農学、法医学、および考古学などを含む多様な分野において、基礎研究ならびに応用のために広く用いられている。
1.PCR
核酸増幅の最も代表的な技術として、Polymerase Chain Reaction(PCR)法がよく知られている(例えば特許文献1〜3、非特許文献1)。この方法は、標的とする2本鎖DNA領域の両端で、それぞれ別のDNA鎖にハイブリダイズする2つのオリゴヌクレオチドプライマーを用い、DNAポリメラーゼ活性の作用によって標的配列をin vitroで合成するものである。また、RNA中の標的配列を増幅するため、PCRに逆転写酵素活性を組合せた逆転写PCR(RT−PCR)法も知られている(例えば非特許文献2)。これはRNAから逆転写反応によって生成されたcDNAに対してPCRを行う方法である。
これらのPCR法では、鋳型となる2本鎖DNAの1本鎖DNAへの解離(変性)、1本鎖核酸へのプライマーのハイブリダイゼーション(アニーリング)、およびプライマーからの鋳型依存的な相補鎖の合成(伸長)の3つの段階からなる反応を繰り返すことにより、2つのプライマーの5´端で規定された特定のDNA断片が増幅産物として指数関数的に蓄積される。よって、PCR法では、反応溶液を上記3段階のそれぞれに適した温度に調節する計3工程の繰り返し(サーマルサイクル)が必要とされる。
PCR法の有用な点の1つとして、2つのプライマー(一般的にはそれぞれ約20塩基前後の長さである)の配列によって標的核酸の増幅範囲が規定されれば、増幅反応が進行することから、必ずしも標的核酸の配列の全てが既知である必要はないという点が挙げられる。このことは、既知の限られた配列情報から、PCR法によって未知の核酸配列を得ることを可能にする。これはすなわち、PCR法が、未知遺伝子のクローニングや変異遺伝子の取得、次工程で未知配列を分析することを目的とした核酸の調製法としての使用などを含む、広い分野における様々な目的に利用されてきた理由の1つの側面である。
最も初期のPCR法では、アニールしたプライマーの伸長に大腸菌のDNAポリメラーゼIのKlenow断片が用いられていた。PCRのサーマルサイクルの1工程である変性ステップは100℃に近い高温が必要とされ、当該温度ではKlenow断片が失活してしまうため、新しい酵素を各サイクル毎に加える必要があった。このため、当初のPCR法の実施は極めて煩雑な作業を伴った。この問題は、伸長に耐熱性DNAポリメラーゼを用いることによって解決され(例えば特許文献4および5、非特許文献3)、温度サイクリング装置により反応が自動化されたことによって(例えば特許文献6)、PCRは利用しやすい一般的な方法となった。
このようにPCR法の作業の煩雑さは改善されたが、一方で、反応温度と時間を繰り返し正確に制御する温度サイクリング装置が高価なものになるという問題点が残された。またサーマルサイクル中には、反応液の温度を多数回にわたって上昇/下降させる必要があり、その温度変化に要する時間の繰り返しが、全反応工程終了までの所要時間を長引かせる原因となっていた。ガラスキャピラリーを反応容器として用い、反応液量を最小限とし、高速な温度変化を可能とした温度サイクリング装置が開発された(例えば非特許文献4)。この装置の使用はPCRの所要時間を大きく短縮させたが、それと引き替えに装置はより高価なものとなった。
2.SDA
このような問題を解決するため、等温状態で実施可能な標的核酸の増幅法がいくつか開発されてきた。その1つとしてStrand Displacement Amplification (SDA)法が知られる(例えば特許文献7および8、非特許文献5および6)。この方法では、反応に必要な酵素として、5´→3´ エキソヌクレアーゼ活性を欠損したDNAポリメラーゼ(または鎖置換型DNAポリメラーゼ)を用い、さらに制限酵素も使用する。SDAの反応中、制限酵素は2本鎖を形成したDNAの一方の鎖を切断して(ニッキング )、伸長反応の起点となる3´末端を提供し、鎖置換型DNAポリメラーゼは該3´末端を伸長して、その下流のDNA鎖を置換する。
SDA法で制限酵素によるニッキングを可能とするためには、プライマーをアニールさせた配列に使用する制限酵素認識配列が存在するように、反応をデザインしておく必要がある。さらに、通常の制限酵素は核酸の2本の鎖を切断するので、該酵素に1本鎖のみを切断させるために、その認識部位は、一方の鎖が酵素消化に耐性を持つような半修飾された(hemi−modified)部位として提供される必要がある。そのためには、DNA合成用の基質として、修飾されたdNTP、例えばα位のリン酸基の酸素原子が硫黄原子に置換されたα−S−dNTPなど、を大量に用いる必要がある。修飾dNTPの必要性は、SDA反応組成のコスト上昇をもたらす。また修飾dNTPは、DNAポリメラーゼによって取り込まれる効率が通常のdNTPとは異なる場合がある。SDA法によって生成した標的の増幅産物は修飾ヌクレオチドを含むため、増幅産物の次工程での使用(例えば産物を制限酵素処理してその消化の有無や断片長を解析することや、産物を用いた遺伝子クローニングなど)は制限される。
初期のSDA法は約37〜42℃の一定の温度で反応が進行するものであったが、バックグラウンド反応が起こりやすいなどの問題があった。このような問題を改善するため、耐熱性酵素を使用し、約50〜70℃の一定温度で好適に反応が進行する、いわゆる好熱SDA法が開発された(例えば特許文献9および10)。一方で、このことは使用可能な制限酵素の選択肢を狭めた。SDA法の利点の1つは、それが単一温度で進行するため、高価な温度サイクリング装置の必要性を回避できることである。しかしながら、SDA法は長い標的配列の増幅には不向きである。また標的核酸の配列がその内部にSDAで用いる制限酵素の認識配列を含む場合には、SDAの原理の性質上、そのような標的配列の増幅は干渉を受ける。この問題は、使用する制限酵素の種類を変えることで回避できるが、使用可能な制限酵素の選択肢は限られている。さらに、標的核酸が未知の配列を含む場合には、この問題の発生を予測することは困難である。
SDA法の欠点を改善するいくつかの方法が開示されている。例えばTspRIのような5´ 突出末端を生じさせる制限酵素の使用(例えば特許文献11)や、N.BstNBIのようなニッキングエンドヌクレアーゼの使用(例えば特許文献12)は、修飾ヌクレオチドの使用に関係する制限からSDAを解放する。しかしながら、このような改良SDA法においても、上述の問題点の全てを回避できるわけではない。
3.RCA
別の等温標的核酸増幅法として、バクテリオファージなどでみられるローリングサークル型のDNA複製に類似した反応を利用するRolling Circle Amplification(RCA)法が公知である(例えば非特許文献7)。この方法では、鎖置換型DNAポリメラーゼが、環状の鋳型核酸上でプライマーを伸長し、鋳型の相補鎖が連続的に結合したコピーを生成させる。また、該生成物に対してさらにプライマーをアニールさせてその相補鎖を伸長させることによって、高度な増幅を可能としている。しかしながら、RCA法では連続的な相補鎖合成反応のために、環状の鋳型核酸が提供される必要があり、そのためには、例えばリガーゼを用いたライゲーションなどの付加的な工程が必要となる。またRCA法の増幅産物は、同じ配列からなる領域が繰り返し連続した異なる長さの核酸断片の混合物となる。よってRCA法によって得られた増幅産物を次工程に利用するためには、例えば制限酵素によって増幅産物を切断するなどの付加的な工程が必要となる場合がある。このような付加的な工程の必要性は、RCA法の汎用性や利便性を制限している。
4.LAMP
別の等温標的核酸増幅法として、Loop−mediated Isothermal Amplification(LAMP)法が知られる(例えば特許文献13、非特許文献8および9)。この方法では、標的核酸の末端領域に、配列が自己相補的となるような領域を導入してループ構造を形成させる。伸長反応の起点となる3´末端は、このループ構造形成の際の自己相補的なハイブリダイゼーションよって、またループ構造形成によって生じた1本鎖ループ領域へのプライマーのアニーリングによって提供され、鎖置換型DNAポリメラーゼの働きによって該3´末端が伸長され、その下流のDNA鎖が置換される。
ループ構造を介した連鎖的なDNA合成反応を可能とするためには、その起点構造として、両末端にループ構造を有する、いわゆるダンベル型構造を形成しうる鋳型が提供される必要がある。そのためには、標的の核酸配列の中の6つの領域を認識する適切に設計された4つのプライマーを用いる必要がある。このようなプライマーセットの設計は、PCR用のプライマーセット(2つの領域を認識する1対のプライマー)の設計に比べると、格段に複雑性が増す。LAMP法のためのプライマー設計を、専用のプライマー設計支援ソフトウェアの助けなしに行うのは極めて煩雑な作業であり、間違いを起こしやすい。LAMP法のプライマー設計の複雑性は、該増幅反応の標的に対する特異性の高さという利点と表裏一体でもある。
LAMP法の他の主な利点は、それが高価な温度サイクリング装置が不要な単一温度で進行する反応であることと、増幅効率が極めて高いという点である。しかしながら、LAMP法は長い標的配列の増幅に制限がある。一般的にLAMP法の好適な標的となりうる鋳型の長さは、2つのインナープライマーによって規定される領域として、約130〜300bp程度である。ただし当該鋳型領域の中の、約80塩基程度はインナープライマーを設計するために配列が既知でなければならない。また反応効率を向上させるためにループプライマーを併用する方法(例えば非特許文献9)では、当該鋳型領域の中の約120塩基程度分の配列が、インナープライマーとループプライマーを設計するために既知でなければならない。従って、未知の配列を含む標的核酸を増幅するためのLAMP法の利用は大きく制限されている。さらにLAMP法は短い標的配列の増幅にも制限がある。標的とする配列の長さが約120bpよりも短い場合は、連鎖反応に好適なダンベル構造を形成させることが困難なためである。
LAMP法によって得られる標的核酸の増幅産物は、同一鎖上で互いに相補的な配列を持つ繰り返し構造からなる、異なる長さの核酸断片の混合物となる。よってLAMP法によって得られた増幅産物を次工程に利用するためには、例えば制限酵素によって増幅産物を切断するなどの付加的な工程が必要となる。このような付加的な工程の必要性は、LAMP法の汎用性や利便性を制限している。
5.ICAN
別の等温標的核酸増幅法として、Isothermal and Chimeric Primer−initiated Amplification of Nucleic Acids (ICAN)法が知られる(例えば特許文献14、非特許文献10)。この方法では、DNAで構成される領域とRNAで構成される領域の両方を含有するキメラプライマーを使用し、リボヌクレアーゼHと鎖置換型DNAポリメラーゼの作用によって反応が進行する。該反応において、リボヌクレアーゼHはキメラプライマーのアニーリングに由来して形成された2本鎖核酸のDNA/RNAハイブリッド部分のRNA鎖を切断してニックを生じさせ、伸長反応の起点となる3´末端を提供する。一方、鎖置換型DNAポリメラーゼは提供された3´末端を伸長し、その下流のDNA鎖を置換する。ICAN法も、高価な温度サイクリング装置の必要性を排除しているという点で、優れた核酸増幅法である。また、キメラプライマーを用いる別の核酸増幅法として、例えば特許文献15および16などの方法も開示されている。
キメラプライマーを用いる増幅法では、RNAがDNAに比べて非常に不安定で分解されやすいという困難に直面する。RNAを分解する酵素は、生物由来試料やヒトの汗、唾液、皮膚、および実験室環境、野外環境中の様々なところに普遍的に存在し、また熱に対する安定性も高く、例えば121℃でオートクレーブ処理してもその活性は残る。RNA分子は、その取扱いおよび保存において、前記のような分解酵素の汚染から注意深く保護されなければならない。またキメラプライマーの合成は、一般的なDNAプライマーの合成よりも高いコストが要求されるという問題がある。
6.HDAおよびRPA
別の等温標的核酸増幅法として、Helicase−dependent Amplification(HDA)法が知られる(例えば特許文献17、非特許文献11および12)。この方法は、DNAポリメラーゼとDNAヘリカーゼおよびその他のアクセサリータンパク質によって進行される生体内のDNA複製のメカニズムを、試験管内で模倣したものである。HDA法では、プライマーの鋳型DNAへのアニーリングとそれに続くDNAポリメラーゼによる伸長を可能とするために、DNAヘリカーゼ(例えばUvrD)が2本鎖DNAを分離して1本鎖の鋳型を生成させる。
また別の等温標的核酸増幅法として、Recombinase Polymerase Amplification (RPA)法が知られる(例えば特許文献18、非特許文献13)。この方法では、リコンビナーゼ(例えばuvsX)をプライマーと結合させて複合体を形成させる。該複合体(ヌクレオプロテインプライマー)が、鋳型の2本鎖DNAに侵入して、プライマーの鋳型へのアニーリングを可能にし、鎖置換型DNAポリメラーゼが該プライマーを伸長し、その下流のDNA鎖を置換する。
HDA法もRPA法も、高価な温度サイクリング装置を必要としないという点で、優れた核酸増幅法である。しかしながらHDA法では、ヘリカーゼ活性のためのエネルギー供給物質として、ATPやdATPなどのコファクターが反応中に大量に提供される必要がある。またさらに、HDA法において反応を効率的に進行させるためには、gp32などの1本鎖DNA結合タンパク質(SSB)と、MutLなどのアクセサリータンパク質が、ヘリカーゼ活性を支援するために反応組成中に提供されることが必要な場合がある(例えば非特許文献11)。一方、RPA法においても、反応液中にはリコンビナーゼが機能するためのエネルギー源として大量のATPが必要であり、加えて、gp32などのSSB、uvsYなどのリコンビナーゼ ローディング タンパク質(recombinase loading protein)、およびポリエチレングリコールなどのクラウディング(crowding)剤の存在が、増幅反応の実現に必須である。さらに、RPA法では、十分な増幅効率を実現するためには、ATP再生系(例えばクレアチンキナーゼとホスホクレアチン)を反応中に共存させる必要がある(例えば非特許文献13)。このような付加的な試薬やタンパク質の必要性は、反応組成を複雑にし、このことは反応の至適化を困難にしたり、反応のコストを上昇させる原因となる。
以上のように、等温状態で実施可能ないくつかの標的核酸増幅法が考案されており、それらはいずれも温度サイクリング装置が不要で、PCR法に比して利点を有している。また上に例示した以外にも、いくつか標的核酸を等温で増幅する方法が開示されている。しかしながらこれらの方法にも、それぞれ一長一短がある。またいくつかの核酸増幅法では、その原理の性質上、プライマーの設計において、PCR用プライマーの設計に比してより大きな制約があり、ある種の核酸配列を標的とした場合には、該配列を好適に増幅するプライマーを設計することが不可能または困難であるという場合がある。このような背景のもと、新しい等温標的核酸増幅法の開発が求められていた。
特許第2093730号公報 特許第2093731号公報 特許第2622327号公報 特許第1814713号公報 特許第2502041号公報 特許第2613877号公報 米国特許5455166号明細書 米国特許5712124号明細書 米国特許5648211号明細書 米国特許5744311号明細書 国際公開第99/09211号パンフレット 国際公開第01/94544号パンフレット 国際公開第00/28082号パンフレット 国際公開第00/56877号パンフレット 米国特許5916777号明細書 国際公開第97/04126号パンフレット 国際公開第04/027025号パンフレット 国際公開第05/118853号パンフレット Saiki RK, Scharf S, Faloona F, Mullis KB, Horn GT, Erlich HA, Arnheim N : Enzymatic amplification of β-globin genomic sequences and restriction site analysis for diagnosis of sickle cell anemia. Science, 230, p.1350-1354 (1985) 木下朝博,下遠野邦忠:PCR法によるRNAの解析,蛋白質核酸酵素,35, p.2992-3002 (1990) Saiki RK, Gelfand DH, Stoffel S, Scharf SJ, Higuchi R, Horn GT, Mullis KB, Erlich HA : Primer-directed enzymatic amplification of DNA with a thermostable DNA polymerase. Science, 29, p.487-491 (1989) Wittwer CT, Ririe KM, Andrew RV, David DA, Gundry RA, Balis UJ : The LightCycler, a microvolume multisample fluorimeter with rapid temperature control. Biotechniques, 22, p.176-181 (1997) Walker GT, Little MC, Nadeau JG, Shank DD : Isothermal in vitro amplification of DNA by a restriction enzyme/DNA polymerase system. Proc Natl Acad Sci USA, 89, p.392-396 (1992) Walker GT, Fraiser MS, Schram JL, Little MC, Nadeau JG, Malinowski DP : Strand displacement amplification - an isothermal, in vitro DNA amplification technique. Nucleic Acids Res, 20, p.1691-1696 (1992) Lizardi PM, Huang X, Zhu Z, Bray-Ward P, Thomas DC, Ward DC : Mutation detection and single-molecule counting using isothermal rolling-circle amplification. Nat Genet, 19, p.225-232 (1998) Notomi T, Okayama H, Masubuchi H, Yonekawa T, Watanabe K, Amino N, Hase T : Loop-mediated isothermal amplification of DNA. Nucleic Acids Res, 28, E63, (2000) Nagamine K, Hase T, Notomi T : Accelerated reaction by loop-mediated isothermal amplification using loop primers. Mol Cell Probes, 16, p.223-229 (2002) 嶌田雅光、日野文嗣、佐川裕章、向井博之、浅田起代蔵、加藤郁之進:等温遺伝子増幅法(ICAN)による結核菌検出試薬の開発、臨床病理、50、p.528-532 (2002) Vincent M, Xu Y, Kong H : Helicase-dependent isothermal DNA amplification. EMBO Rep, 5, p.795-800 (2004) An L, Tang W, Ranalli TA, Kim HJ, Wytiaz J, Kong H : Characterization of a thermostable UvrD helicase and its participation in helicase-dependent amplification. J Biol Chem, 280, p.28952-28958 (2005) Piepenburg O, Williams CH, Stemple DL, Armes NA : DNA detection using recombination proteins. PLoS Biol, 4, e204 (2006)
本発明の課題は、核酸の合成方法として有用な、標的核酸を選択的に増幅する方法および該方法による核酸の検出方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討した結果、エンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基を含有するオリゴヌクレオチドプライマー、エンドヌクレアーゼV、および鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの存在下において、標的とする核酸配列領域のDNAを合成する方法を見出し、核酸の増幅反応系を構築し、本発明を完成するに至った。なお本発明の方法は、エンドヌクレアーゼVの核酸切断活性に依存した核酸増幅方法であり、本明細書中でEVA(Endonuclease V−dependent Amplification)法と呼ぶ場合がある。
すなわち、本願は以下の発明を提供するものである。
1.以下の工程(I)および(II)を含む、核酸配列の増幅方法。
(I)少なくとも以下を含有する反応混合物を調製する工程
(i)鋳型核酸
(ii)デオキシリボヌクレオチド3リン酸
(iii)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ
(iv)エンドヌクレアーゼV
(v)少なくとも1種類のプライマー(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである。)
(II)工程(I)で調製された反応混合物を、以下の反応が行える温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間インキュベートする工程
(i)プライマーの鋳型核酸への特異的なアニーリング
(ii)DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応および鎖置換反応
(iii)エンドヌクレアーゼVによる塩基Xを含む核酸鎖中の塩基Xの認識および該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合の切断反応
2.反応混合物中に少なくとも2種類のプライマーが含まれる、前項1に記載の核酸配列の増幅方法。
3.以下の工程(a)〜(f)を含む、前項1または2に記載の核酸配列の増幅方法[ここで工程(c)〜(f)は連続的に反復される。]。
(a)少なくとも1種類のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(b)DNAポリメラーゼによって、工程(a)で鋳型核酸にアニーリングさせたプライマーから、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(c)エンドヌクレアーゼVによって、工程(b)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(c)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(e)エンドヌクレアーゼVによって、工程(d)で生成された2本鎖核酸のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(f)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(e)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
4.以下の工程(a)〜(l)を含む、前項1〜3のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法[ここで工程(c)〜(f)、および工程(i)〜(l)は連続的に反復される。]。
(a)少なくとも1種類の第1のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(b)DNAポリメラーゼによって、工程(a)で鋳型核酸にアニーリングさせた第1のプライマーから、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(c)エンドヌクレアーゼVによって、工程(b)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(c)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(e)エンドヌクレアーゼVによって、工程(d)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(f)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(e)で新たに提供された第1のプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(g)工程(d)または(f)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、少なくとも1種類の第2のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、該鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(h)DNAポリメラーゼによって、工程(g)で鋳型核酸にアニーリングさせた第2のプライマー鎖から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(i)エンドヌクレアーゼVによって、工程(f)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(j)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(i)で第2のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(k)エンドヌクレアーゼVによって、工程(j)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(l)工程(k)でプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
5.さらに以下の工程(m)〜(y)を含む、前項4に記載の核酸配列の増幅方法[ここで工程(m)〜(y)は連続的に反復される。]。
(m)工程(j)または(l)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、工程(a)に記載の第1のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程
(n)DNAポリメラーゼによって、工程(m)で鋳型核酸にアニーリングした第1のプライマーから、鋳型核酸に相補的な伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(o)エンドヌクレアーゼVによって、工程(n)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(p)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(o)で第1のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(q)エンドヌクレアーゼVによって、工程(p)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(r)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(q)で第1のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(s)工程(p)または(r)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、工程(g)に記載の第2のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程
(t)DNAポリメラーゼによって、工程(s)で鋳型核酸にアニーリングした第2のプライマーから、鋳型核酸に相補的な伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(u)エンドヌクレアーゼVによって、工程(t)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(v)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(u)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(w)エンドヌクレアーゼVによって、工程(v)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合を切断することによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(x)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(w)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(y)工程(v)または(x)で鎖置換によって遊離した核酸が、鋳型核酸として工程(m)に利用される工程
6.以下の(i)〜(iii)のいずれか2または3が同一の鋳型核酸分子上で行われる、前項1〜5のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
(i)プライマーの鋳型核酸への特異的なアニーリング
(ii)DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応および鎖置換反応
(iii)エンドヌクレアーゼVによる塩基Xを含む核酸鎖中の塩基Xの認識および該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合の切断反応
7.鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによる、第1のプライマー鎖の3´末端からの鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成、および第2のプライマー鎖の3´末端からの鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成が、同一鋳型核酸分子上で互いに向かい合う方向で行われる、前項4または5に記載の核酸配列の増幅方法。
8.鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成が鋳型交換反応を伴う、前項7に記載の核酸配列の増幅方法。
9.各工程が等温で行われる、前項1〜8のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
10.鋳型核酸が、1本鎖DNA、2本鎖DNAまたは部分的に1本鎖領域を有する2本鎖DNAである、前項1〜9のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
11.鋳型核酸が2本鎖DNAであり、2本鎖DNAを1本鎖DNAにする工程の後に実施される、前項10に記載の核酸配列の増幅方法。
12.2本鎖DNAを1本鎖DNAにする工程が熱変性によって行われる、前項11に記載の核酸配列の増幅方法。
13.鋳型核酸がRNAを鋳型とする逆転写反応によって得られたcDNAである、前項10〜12のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
14.RNAを鋳型とする逆転写反応によってcDNAを合成する工程の後に実施される、前項13に記載の核酸配列の増幅方法。
15.逆転写酵素活性を有するDNAポリメラーゼを逆転写酵素として逆転写反応に使用する、前項13または14に記載の核酸配列の増幅方法。
16.鋳型核酸中の増幅する領域かつプライマーがアニーリングしない領域に、1塩基以上からなる未知の塩基配列領域が含まれる、前項1〜15のいずれか1項に記載の方法による未知の核酸配列の増幅方法。
17.反応混合物中に融解温度調整試薬が含まれる、前項1〜16のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
18.融解温度調整試薬がベタインである、前項17に記載の核酸配列の増幅方法。
19.反応混合物中に1本鎖核酸安定化剤が含まれる、前項1〜18のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
20.反応混合物に塩基Xを含有するプライマーがアニーリングする領域より上流側(5´側)の領域にアニーリングするアウタープライマーがさらに含まれる、前項1〜19のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
21.塩基Xが、ヒポキサンチン、キサンチン、ウラシル、オキサニンおよびAPサイト(apurinic/apyrimidinic siteまたはabasic site)からなる群より選択されるものである、前項1〜20のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
22.塩基Xがヒポキサンチンまたはウラシルである、前項21に記載の核酸配列の増幅方法。
23.塩基Xの5´側に隣接する塩基がアデニンまたはチミンである、前項1〜22のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
24.塩基Xの3´側に隣接する塩基がアデニンまたはチミンである、前項1〜23のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
25.プライマーにおいて塩基Xより下流側(3´側)の塩基が存在しないか、またはプライマーの塩基Xより下流側(3´側)の塩基数が1〜50塩基である、前項1〜24のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
26.プライマーにおいて塩基Xより上流側(5´側)の塩基数が10〜100塩基である、前項1〜25のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
27.プライマーに1以上のヌクレアーゼ耐性を示す修飾ヌクレオチドが含まれる、前項1〜26のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
28.プライマーの塩基Xの上流側(5´側)の全ヌクレオチド中のヌクレアーゼ耐性を示す修飾ヌクレオチドの含有量が60%以下である前項27に記載の核酸配列の増幅方法。
29.修飾ヌクレオチドが、ヌクレオチドのα位のリン原子に結合している酸素原子が硫黄原子に置換された(α−S)ヌクレオチドである、前項27または28に記載の核酸配列の増幅方法。
30.鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼが、大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、バクテリオファージφ29由来のphi29 DNAポリメラーゼ、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bst DNAポリメラーゼおよびバチルス カルドテナックス(Bacillus caldotenax)由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼのいずれか1である、前項1〜29のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
31.エンドヌクレアーゼVが、非特異的な核酸切断活性を示さず、かつ、特異的な核酸切断活性を示す変異型の特異的エンドヌクレアーゼVである、前項1〜30のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
32.特異的な核酸切断活性がデオキシイノシン特異的な核酸切断活性である、前項31に記載の核酸配列の増幅方法。
33.変異型の特異的エンドヌクレアーゼVが、野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における、
(a)80位のアミノ酸、またはサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸が、他のアミノ酸Z1に変異されており、かつ、
(b)105位のアミノ酸、またはサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における105位と同等位置のアミノ酸が、他のアミノ酸Zに変異されている、前項31または32に記載の核酸配列の増幅方法。
34.アミノ酸Zがアラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニンおよびメチオニンのいずれか1である前項33に記載の核酸配列の増幅方法。
35.アミノ酸Zがアラニン、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、グリシン、セリン、トレオニンおよびヒスチジンのいずれか1である、前項33または34に記載の核酸配列の増幅方法。
36.アミノ酸ZおよびZがともにアラニンである、前項33〜35のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
37.野生型エンドヌクレアーゼVが好熱性細菌または好熱性古細菌由来である、前項33〜36のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
38.野生型エンドヌクレアーゼVがサーモトガ・マリチマ由来である、前項33〜37のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
39.野生型エンドヌクレアーゼVが配列番号1に示すアミノ酸配列を有する、前項33〜38のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
40.エンドヌクレアーゼVが耐熱性を有する、前項31〜39のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
41.変異型の特異的エンドヌクレアーゼVが配列番号2に示すアミノ酸配列を有する、前項31〜36のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
42.試料中の標的核酸を検出するための方法であって、前項1〜41のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法により標的核酸を増幅する工程、該工程により増幅産物が生成したか否かを検知する工程を含む、標的核酸の検出方法。
43.核酸の検出剤存在下で前項1〜41のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法により標的核酸を増幅する工程、該工程により増幅産物が生成したか否かを検出剤由来のシグナル変化に基づいて検知する工程を含む、前項42に記載の標的核酸の検出方法。
44.エンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を指示する指示書を記録した媒体を含んでなる、前項1〜41のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法に使用される、核酸増幅用試薬キット。
45.少なくともエンドヌクレアーゼV、または少なくともエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含有する、前項44に記載の核酸増幅キット。
46.エンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を指示する指示書を記録した媒体を含んでなる、前項42または43に記載の標的核酸の検出方法に使用される、核酸検出用試薬キット。
47.少なくともエンドヌクレアーゼV、または少なくともエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含有する、前項46に記載の核酸検出用試薬キット。
48.エンドヌクレアーゼVが変異型エンドヌクレアーゼVである前項44〜47のいずれか1項に記載の核酸増幅用試薬キット。
本発明の核酸増幅方法によれば、高価な温度サイクリング装置が不要な等温反応条件の下で核酸の合成と増幅を達成することができる。また、本発明の核酸増幅方法に使用するプライマーは、その設計上の制約が少ないという利点がある。
また、本発明の核酸増幅方法によれば、DNA合成用の基質として、コスト高につながる修飾dNTP(例えばα−S−dNTPなど)を大量に用いる必要がない。また、修飾ヌクレオチドを多量に含む核酸断片や、標的配列が何度も繰り返した異なる長さの核酸断片の混合物といった、次工程での利用に制約のあるような増幅産物を与えない、という利点がある。また、本発明の核酸増幅方法によれば、標的配列中に特定の制限酵素認識部位が存在するか否かに依存しないで、任意の配列領域を標的とすることができる。
さらに、本発明の核酸増幅方法において、環状の鋳型核酸を調製するための付加的な前工程は必須ではなく、またある1つの標的配列の増幅を達成するのに多数の領域に対して複雑かつ制約の多いプライマー配列の設計をするような必要がない。また、本発明の核酸増幅方法によれば、不安定で分解されやすいRNA成分をプライマー分子中に含有せしめる必要がない。また、本発明の核酸増幅方法によれば、反応に酵素活性のためのエネルギー供給物質としてのATPやdATPなどのコファクターを反応中に大量に存在させる必要がなく、また反応中にATP再生系を共存させる必要がない。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明は、「エンドヌクレアーゼV依存性増幅」(EVA;Endonuclease V−dependent Amplification)と呼ぶ新しい増幅方法について記載する。本発明のEVAではエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの2種類の酵素の活性に基づいて反応が進行する。またEVAの反応は、エンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基を少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーの存在下で実施される。
本明細書において「エンドヌクレアーゼV」とは、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の酵素命名法において酵素番号EC 3.1.21.7として分類される酵素を示す。本酵素はデオキシイノシン 3´ エンドヌクレアーゼと呼ばれることもある。また本酵素は過去の分類において、EC 3.1.22.3 あるいはEC 3.1.−.−と記されていたこともある。なお、バクテリオファージT4由来のDNA修復酵素であるT4エンドヌクレアーゼVは、類似した名前で呼ばれているが、これはE.C.3.1.25.1に分類される酵素であり、本発明で記述するエンドヌクレアーゼVとは異なる活性を有する酵素である。
本明細書において「鎖置換活性」とは、鋳型となる核酸の塩基配列に従って新たな相補鎖の合成を行う場合に、合成の進行方向に存在する既に鋳型鎖と2本鎖を形成している古い相補鎖を、新生相補鎖に置き換えながら進行して、古い相補鎖を遊離させること、すなわち「鎖置換」、を行うことができる活性のことをいう。該活性による反応を「鎖置換反応」といい、該活性を有するDNAポリメラーゼを「鎖置換型」DNAポリメラーゼともいう。
本明細書における「核酸」とは、2本鎖または1本鎖のDNA、RNA分子を表し、さらにDNA/RNAハイブリッドも表す。「2本鎖」とは、全体または一部が2本鎖であるような核酸分子のことをいう。2本鎖核酸分子は、ニックが入ったもの、無傷(intact)のもののいずれであってもよい。2本鎖は、平滑末端を持つものであってもよいし、1本鎖テイル部分を有していてもよい。1本鎖核酸分子は、ヘアピンやループおよびステムの形状の二次構造を有していてもよい。
本発明に使用する核酸は、どのような供給源から調製または分離されたものでもよく、例えば、環境資源、食物、農産物、発酵物、生体の体液や組織、または細胞やウィルスなどの供給源から単離したものであってよい。生体の体液や組織とは、例えば、血液、乳、脳脊髄液、痰、唾液、便、肺吸引液、粘膜組織や組織試料のスワブなどが含まれる。核酸試料は、染色体DNA、プラスミドDNAを含む染色体外DNA、組換えDNA、DNA断片、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、リボソームRNA、2本鎖RNA、または細胞やウィルス内に見られる他のRNAのいずれかを含む。
また、本発明に使用する核酸は、単離したものでも、クローニングしたものでも、または化学的手法によって合成したものでもよい。上述の核酸のいずれかが、その核酸内の個々のヌクレオチドに化学的な変化(例えばメチル化)といった修飾を受けたものでもよい。該修飾は、自然に起こるものであっても、in vitro合成によって起こるものであってもよい。
本明細書において「実質的に相補的な」塩基配列とは、使用される反応条件において鋳型となるDNAにアニーリングすることのできる塩基配列を意味する。すなわち、実質的に相補的な塩基配列とは、対象となる塩基配列領域の全体に対して少数の非相補的な部分を有してもよいことを意味し、好ましくは、完全に相補的であるか1個〜数個の非相補的な塩基を有するものである。
本明細書において「3´末端側」および「3´側」とは、核酸鎖中のある領域もしくは位置から5´→3´の方向に見た場合に、該核酸鎖の3´末端に近い側あるいは方向を指す。また、核酸鎖の全体から見た場合には、該核酸鎖の中央より3´末端にかけての部分あるいは方向を指す。同義の用語として「下流側」も用いる。
本明細書において「5´末端側」および「5´側」とは、核酸鎖中のある領域もしくは位置から5´→3´の方向に見た場合に、該核酸鎖の5´末端に近い側あるいは方向を指す。また、核酸鎖の全体から見た場合には、該核酸鎖の中央より5´末端にかけての部分あるいは方向を指す。同義の用語として「上流側」も用いる。
本明細書において、酵素が「活性を示す」とは、ある特定のまたはある特定の範囲内の反応組成および反応条件の下で酵素が作用しうることを含み、また当該反応組成および反応条件の下においてのみ酵素が作用しうることも含む。これには至適な反応組成および反応条件の下において酵素が作用しうることも含まれる。
本明細書において、酵素が「活性を示さない」とは、酵素に完全に活性が無いことのみに限定されるものではなく、使用される条件の下で活性が検出されないこと、あるいは実質的に無視できるほど活性が小さいことも含まれる。
1.本発明の核酸配列の増幅方法
本発明は「エンドヌクレアーゼV依存性増幅」(EVA)と呼ぶ本発明の増幅方法を提供する。EVAではエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの2種類の酵素の活性に基づいて反応が進行する。また、EVAの反応は、エンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基を少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーの存在下で実施される。
エンドヌクレアーゼV[EC 3.1.21.7]は、デオキシイノシン3´エンドヌクレアーゼとも呼ばれ、DNA鎖中のデオキシイノシンの塩基(ヒポキサンチン)を認識し、その近傍のホスホジエステル結合(主には認識塩基の3´側の第2番目のホスホジエステル結合)を加水分解する酵素である。
また、エンドヌクレアーゼVはこのデオキシイノシン特異的な切断活性に加えて、DNA鎖中のデオキシウリジンの塩基(ウラシル)、デオキシキサントシンの塩基(キサンチン)、デオキシオキサノシンの塩基(オキサニン)、およびAPサイト(apurinic/apyrimidinic siteまたはabasic site)などを認識してDNA鎖を切断する活性も有している。
さらに、エンドヌクレアーゼVは、塩基のミスマッチ、塩基の挿入/欠損、フラップ構造、偽Y構造(pseudo−Y structure)などを含む多様なDNA構造を認識してDNA鎖を切断する活性も有している。エンドヌクレアーゼVあるいはそれをコードする遺伝子は、多くの生物種において見出され、あるいは単離されており、特にEscherichia coliおよびThermotoga maritima由来のものについては、その性質が比較的良く調べられている。
上記のようなエンドヌクレアーゼVの性質については、例えば下記の文献[1]〜[11]に詳しく述べられている。
[1]Yao M, Hatahet Z, Melamede RJ, Kow YW :Purification and characterization of a novel deoxyinosine-specific enzyme, deoxyinosine 3’ endonuclease, from Escherichia coli. J Biol Chem, 269, p.16260-8 (1994).
[2]Yao M, Kow YW : Strand-specific cleavage of mismatch-containing DNA by deoxyinosine 3’-endonuclease from Escherichia coli. J Biol Chem, 269, p.31390-6 (1994).
[3]Yao M, Kow YW : Interaction of deoxyinosine 3’-endonuclease from Escherichia coli with DNA containing deoxyinosine. J Biol Chem, 270, p.28609-16 (1995).
[4]Yao M, Kow YW : Cleavage of insertion/deletion mismatches, flap and pseudo-Y DNA structures by deoxyinosine 3’-endonuclease from Escherichia coli. J Biol Chem, 271, p.30672-6 (1996).
[5]Yao M, Kow YW : Further characterization of Escherichia coli endonuclease V. Mechanism of recognition for deoxyinosine, deoxyuridine, and base mismatches in DNA. J Biol Chem, 272, p.30774-9 (1997).
[6]Zvonimir Siljkovic : Crystal structure of the DNA repair enzyme endonuclease V from Thermotoga maritima. Master's Thesis, Purdue University, Thesis p.46615 MS (2000).
[7]Huang J, Lu J, Barany F, Cao W : Multiple cleavage activities of endonuclease V from Thermotoga maritima: recognition and strand nicking mechanism. Biochemistry, 40, p.8738-48. (2001).
[8]Huang J, Lu J, Barany F, Cao W : Mutational analysis of endonuclease V from Thermotoga maritima. Biochemistry, 41, p.8342-50 (2002).
[9]Liu J, He B, Qing H, Kow YW : A deoxyinosine specific endonuclease from hyperthermophile, Archaeoglobus fulgidus: a homolog of Escherichia coli endonuclease V. Mutat Res, 461, p.169-77 (2000).
[10]Hitchcock TM, Gao H, Cao W : Cleavage of deoxyoxanosine-containing oligodeoxyribonucleotides by bacterial endonuclease V. Nucleic Acids Res, 32, p.4071-80 (2004).
[11]Feng H, Klutz AM, Cao W : Active Site Plasticity of Endonuclease V from Salmonella typhimurium. Biochemistry, 44, p.675-83 (2005).
本発明の核酸増幅方法を好ましく実施するには、反応に必要な物質が含まれる反応混合物を調製する工程と、該反応混合物を増幅産物を生成するのに充分な時間インキュベートする工程とを、実施すればよい。すなわち、本発明の好ましい1実施形態は、以下の(I)と(II)の2つの工程を包含することによりなる核酸配列の増幅方法である;
(I)少なくとも以下を含有する反応混合物を調製する工程
(i)鋳型核酸
(ii)デオキシリボヌクレオチド3リン酸
(iii)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ
(iv)エンドヌクレアーゼV
(v)少なくとも1種類のプライマー(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(II)工程(I)で調製された反応混合物を、以下の反応が行える温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間インキュベートする工程
(i)プライマーの鋳型核酸への特異的なアニーリング
(ii)DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応および鎖置換反応
(iii)エンドヌクレアーゼVによる塩基Xを含む核酸鎖中の塩基Xの認識および該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合の切断反応。
また、本発明の1つの好ましい実施形態は、前記反応混合物中のプライマーが少なくとも2種類のプライマーであることを特徴とする方法である。
以下に本発明の核酸増幅方法によって核酸が増幅される反応の様式の例について、理解を助けるための模式図をもって説明する。なお本発明はこれらの様式によって限定されるものではない。
(1)実施形態1:少なくとも1つのプライマーを用いる場合
本発明の好ましい1実施形態は、以下の工程(a)〜(f)を含む核酸増幅方法である[ここで工程(c)〜(f)は連続的に反復される。]。
(a)少なくとも1種類のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(b)DNAポリメラーゼによって、工程(a)で鋳型核酸にアニーリングさせたプライマーから、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(c)エンドヌクレアーゼVによって、工程(b)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(c)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(e)エンドヌクレアーゼVによって、工程(d)で生成された2本鎖核酸のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(f)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(e)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
本実施形態の反応様式を説明するための模式図の一例を図1に表す。図1に示したように、本実施形態の核酸増幅反応の進行に伴い、プライマーを起点とした核酸鎖の合成が繰り返し行われ、標的核酸配列の増幅が達成される。本反応では、エンドヌクレアーゼVの活性によってプライマー鎖の切断がなされる場合、塩基Xの下流側の近傍位置(主には塩基Xの3´側の第2番目のホスホジエステル結合)が切断されるため、該切断によって塩基Xはプライマー鎖中から除去されない。
本発明の核酸増幅方法において、エンドヌクレアーゼVは塩基X近傍の相補鎖に存在するホスホジエステル結合は切断しないことが好ましい。当該エンドヌクレアーゼVの能力のため、核酸増幅反応中にDNAポリメラーゼの伸長の起点となる3´末端を何度でも提供することが可能となる。このことから、本実施形態では、理論的には鋳型となる核酸少なくとも1分子から、プライマー少なくとも1分子を介して、反応時間の経過に伴って増幅産物が蓄積される。理想的には反応は停止することなく継続され、実際的には核酸増幅反応中の各種成分(例えばDNA合成基質など)の濃度低下や枯渇、酵素の活性の低下または失活などの要因によってやがて停止する。
PCRや他のいくつかの増幅方法では起こり得るプライマーの枯渇は、本発明の核酸増幅方法では理論的には起こらない。本発明の好ましい実施形態においては、核酸増幅反応が停止するまで継続する必要は必ずしもなく、所望する増幅が達成されるのに充分な時間反応を実施すればよい。図1より、本実施形態においては、増幅産物が一次関数的に蓄積されることが理解できる。なお図1には、鋳型核酸が1本鎖の場合を表したが、実際には鋳型核酸は2本鎖であってもよい。
(2)実施形態2:第1のプライマーと第2のプライマーを用いる場合
本発明の好ましい1実施形態は、以下の工程(a)〜(l)を含む核酸増幅方法である[ここで工程(c)〜(f)、および工程(i)〜(l)は連続的に反復される。]。
(a)少なくとも1種類の第1のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(b)DNAポリメラーゼによって、工程(a)で鋳型核酸にアニーリングさせた第1のプライマーから、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(c)エンドヌクレアーゼVによって、工程(b)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(c)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(e)エンドヌクレアーゼVによって、工程(d)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(f)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(e)で新たに提供された第1のプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(g)工程(d)または(f)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、少なくとも1種類の第2のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、該鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(h)DNAポリメラーゼによって、工程(g)で鋳型核酸にアニーリングさせた第2のプライマー鎖から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(i)エンドヌクレアーゼVによって、工程(f)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(j)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(i)で第2のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(k)エンドヌクレアーゼVによって、工程(j)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(l)工程(k)でプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
本実施形態の反応様式を説明するための模式図の一例を図2に表す。図2に示したように、第1のプライマーと第2のプライマーを用いる場合、核酸増幅反応の進行にともなって、プライマーを起点とした核酸鎖の合成が繰り返し行われ、標的核酸配列の増幅が達成される。また、本実施形態では、第1のプライマーを起点とした核酸鎖の合成と、第2のプライマーを起点とした核酸鎖の合成が、それぞれ繰り返し行われ、標的核酸配列の増幅が達成される。本実施形態では、理論的には鋳型核酸少なくとも1分子から、第1のプライマー少なくとも1分子と第2のプライマー少なくとも1分子を介して、反応時間の経過に伴って増幅産物が蓄積される。
本実施形態の場合も、理想的には核酸増幅反応は停止することなく継続される。また、第1のプライマーと、第2のプライマーのいずれについても、理論的には核酸増幅反応の進行よってプライマーの枯渇が起こることはない。
図2より、本実施形態では、第1のプライマーを合成の起点として生じた増幅産物と、第2のプライマーを合成の起点として生じた増幅産物は、互いに相補的な核酸配列を有することが理解できる。従って、核酸増幅反応中にそれらの増幅産物の互いに相補的な核酸配列が2本鎖を形成することが可能であることは容易に理解でき、すなわち本実施形態では、増幅産物が2本鎖核酸として存在し得ることが理解できる。
(3)実施形態3:第1のプライマーと第2のプライマーを用いる場合
本発明の好ましい1実施形態は、以下の工程(a)〜(y)を含む核酸増幅方法である[ここで工程(c)〜(f)、(i)〜(l)、および(m)〜(y)は連続的に反復される。]。本実施形態では、第2のプライマー鎖が伸長される下記工程(j)および(l)において、鎖置換反応によって遊離される核酸鎖に、再び第1のプライマーの核酸配列がアニーリング可能である。
(a)少なくとも1種類の第1のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(b)DNAポリメラーゼによって、工程(a)で鋳型核酸にアニーリングさせた第1のプライマーから、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(c)エンドヌクレアーゼVによって、工程(b)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(c)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(e)エンドヌクレアーゼVによって、工程(d)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(f)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(e)で新たに提供された第1のプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(g)工程(d)または(f)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、少なくとも1種類の第2のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、該鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
(h)DNAポリメラーゼによって、工程(g)で鋳型核酸にアニーリングさせた第2のプライマー鎖から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(i)エンドヌクレアーゼVによって、工程(f)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(j)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(i)で第2のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(k)エンドヌクレアーゼVによって、工程(j)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(l)工程(k)でプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(m)工程(j)または(l)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、工程(a)に記載の第1のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程
(n)DNAポリメラーゼによって、工程(m)で鋳型核酸にアニーリングした第1のプライマーから、鋳型核酸に相補的な伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(o)エンドヌクレアーゼVによって、工程(n)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(p)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(o)で第1のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(q)エンドヌクレアーゼVによって、工程(p)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(r)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(q)で第1のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(s)工程(p)または(r)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、工程(g)に記載の第2のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程
(t)DNAポリメラーゼによって、工程(s)で鋳型核酸にアニーリングした第2のプライマーから、鋳型核酸に相補的な伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
(u)エンドヌクレアーゼVによって、工程(t)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(v)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(u)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(w)エンドヌクレアーゼVによって、工程(v)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合を切断することによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
(x)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(w)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
(y)工程(v)または(x)で鎖置換によって遊離した核酸が、鋳型核酸として工程(m)に利用される工程
本実施形態の反応様式を説明するための模式図の一例を図3に表す。図3においては、エンドヌクレアーゼVおよび鎖置換型DNAポリメラーゼを表す図形は省略している。本実施形態では、先に図2とともに説明した実施形態と同じ様式の増幅反応(すなわち工程(a)〜(l))が起こるばかりでなく、さらに付加的な核酸鎖の合成の連鎖的サイクル(すなわち工程(m)〜(y))がもたらされる。本実施形態による標的核酸配列の増幅は、理論的には、鋳型核酸少なくとも1分子から、少なくとも2分子以上の第1のプライマーと少なくとも2分子以上の第2のプライマーのアニーリングを介して達成されることが、図3から理解される。
本実施形態の場合も、理想的には反応は停止することなく継続される。また、第1のプライマーと、第2のプライマーのいずれについても、理論的には反応の進行よってプライマーの枯渇が起こることはない。さらに、本実施形態においても、第1のプライマーを合成の起点として生じた増幅産物と、第2のプライマーを合成の起点として生じた増幅産物は、互いに相補的な核酸配列を有する。従って、反応中にそれらの増幅産物の互いに相補的な核酸配列が2本鎖を形成することが可能であり、増幅産物が2本鎖核酸として存在し得る。
なお図2および図3は、反応様式を簡便に説明する都合上、鋳型核酸が1本鎖の場合を表したが、実際には鋳型核酸は2本鎖であってもよい。鋳型核酸が2本鎖の場合には、該2本鎖を構成する各鎖について、図2および図3により説明したような増幅反応が起こる。すなわち、該2本鎖の鋳型の一方の鎖については、図2および図3を用いて説明したような増幅反応が起こることは既述したとおりだが、該鋳型のもう一方の鎖については、前記の図2および図3による説明において、前記第1のプライマーを新たに第2のプライマーと読み替え、かつ前記第2のプライマーを新たに第1のプライマーと読み替えれば、同じように増幅反応が起こることが理解できる。したがって、2種類のプライマーのどちらを第1のプライマーと見なしてもよく、2本鎖の鋳型のいずれの鎖において起こる増幅反応も、本発明の核酸増幅方法の実施形態に含まれるものである。
図1〜3は、本発明の実施形態の反応様式を簡便に説明する都合上、各工程を段階的に示した模式図であるが、現実の反応においては、各工程が同時多発的に起こり得ることは自明である。そのような場合の例を模式的に図4に表した。図4(a)は同一鋳型分子上で、エンドヌクレアーゼVによる切断と2以上のDNAポリメラーゼの伸長反応が起きている様子を模式的に表したものである。また、図4(b)は鋳型より置換されている相補鎖に対して、プライマーのアニーリング、エンドヌクレアーゼVによる切断、およびDNAポリメラーゼによる伸長反応と鎖置換反応が起きている様子を模式的に表したものである。本発明の範囲は図4に示した例に限定されるものではなく、またここで可能性のある全ての例を示すことはしないが、本発明の好ましい実施形態においては、核酸増幅反応中に、プライマーのアニーリング、エンドヌクレアーゼVによる切断、およびDNAポリメラーゼによる伸長と鎖置換などの複数の工程の、いずれかの2以上の工程が、同一の鋳型分子上で起こり得る。
また、図2および図3により示した、第1のプライマーと第2のプライマーを用いる実施形態においては、第1のプライマー鎖を起点としたDNAポリメラーゼによる伸長および鎖置換と、第2のプライマー鎖を起点としたDNAポリメラーゼによる伸長および鎖置換が、同一鋳型分子上で同時あるいはほぼ同時に互いに向かい合う方向で起こり得る。そのような場合の例を模式的に図5に示した(なお図5中、鎖置換型DNAポリメラーゼを表す図形は省略している)。
図5(a)および(b)は同一鋳型分子上で、両側からDNAポリメラーゼによる伸長と鎖置換が、互いに向かい合う方向に起こっている様子を模式的に表したものである。このような場合、伸長鎖の合成の途中において、該伸長鎖のそれぞれの鋳型からもう一方の伸長鎖への鋳型の交換が行われる、いわゆる「鋳型交換反応」(template switching reaction)が、ある確率で起こり得る。図5(c)は鋳型交換反応を模式的に表し、図5(d)は鋳型交換反応の後にDNAポリメラーゼによる伸長が進行した様子を模式的に表す。本発明の1つの実施形態は、増幅反応中に鋳型交換反応を伴うことを特徴とする核酸配列の増幅方法である。
前記「鋳型交換反応」とは、2本鎖核酸の両側からの鎖置換反応による相補鎖の合成が行われる際に、DNAポリメラーゼがその鋳型を交換し、もう一方のDNAポリメラーゼが新規に合成してきた相補鎖をそれぞれ鋳型として、以降の相補鎖合成を行う反応を言う。すなわち、鋳型となる2本鎖核酸をそれぞれのプライマーおよび鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼで処理し、該鋳型核酸に相補的な伸長鎖を生成せしめる反応において、該伸長鎖を合成中に、DNAポリメラーゼがプライマー伸長鎖を、当初の鋳型から、他方のプライマー伸長鎖へと能動的に鋳型をスイッチングせしめる反応を言う。ある条件下でこのような反応が起こり得ることは公知であり、例えば国際公開02/16639号パンフレットや「革新的な等温遺伝子増幅法(ICAN法)の開発」(宝酒造株式会社 ニュースリリース、2000年9月25日)などに開示されている。
上記のような、第1のプライマーと第2のプライマーを用いる実施形態では、図2に示した反応様式に加えて、さらに付加的な核酸鎖の合成の連鎖的サイクル(すなわち工程(m)〜(y))が起こり得ること、および/または、図5に示した鋳型交換反応が起こり得ること、から好ましい実施形態において指数関数的な増幅産物の蓄積が可能であることが理解される。また、第1のプライマーと第2のプライマーを用いる本発明の好ましい実施形態においては、主たる増幅産物は、2つのプライマーが鋳型核酸にアニールする位置に基づいて予測可能な長さのDNA断片となる。
以下に本発明に使用される各反応構成物および反応条件について、さらに詳しく説明する。
2.エンドヌクレアーゼV
本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは、どのような生物あるいはウイルス由来のものであってもよいが、例えば細菌由来のものや古細菌由来のものが選択でき、例えばEscherichia coli、Salmonella typhimurium、Thermotoga maritima、Thermus thermophilus、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcanium、Aeropyrum pernix、Pyrococcus abyssi、Pyrococcus horikoshii、Sulfolobus tokodaii、Archaeoglobus fulgidus由来のものなどが挙げられる。また本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは、その本来の起源より精製して取得されたもの、あるいは遺伝子工学的に生産された組換えタンパク質のいずれであってもよい。
本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは、広く一般に市販されているものを用いることができる。例えば、Escherichia coliエンドヌクレアーゼVは、Trevigen社やNew England Biolabs社によって市販されている。また、Thermotoga maritimaエンドヌクレアーゼVはFermentas社によって市販されている。
また、本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは、遺伝子工学的あるいはその他の手法によって置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものであってもよく、このようなエンドヌクレアーゼVの例としては特願2005−308533に開示された変異型エンドヌクレアーゼVなどがある。
本発明におけるエンドヌクレアーゼVの「特異的な核酸切断活性」とは、核酸分子に含まれる特定のヌクレオチドや塩基あるいは特定の構造、例えばデオキシイノシンまたはその塩基(ヒポキサンチン)、デオキシウリジンまたはその塩基(ウラシル)、デオキシキサントシンの塩基(キサンチン)、デオキシオキサノシンの塩基(オキサニン)、APサイト(apurinic/apyrimidinic siteまたはabasic site)、塩基のミスマッチ、塩基の挿入/欠損、フラップ構造、偽Y構造(pseudo−Y structure)、あるいは天然のDNA中に見られる無傷の塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)のいずれかの誘導体またはその誘導体を含むヌクレオチド残基など、を当該酵素が認識し、その認識部位近傍のホスホジエステル結合を切断する活性を指す。例えば、エンドヌクレアーゼVの「デオキシイノシン特異的な核酸切断活性」と言う場合は、前記の特異的な核酸切断活性の中の、デオキシイノシンまたはその塩基(ヒポキサンチン)に対する当該酵素の特異的な認識を伴う核酸切断活性を指す。
本発明におけるエンドヌクレアーゼVの「非特異的な核酸切断活性」とは、前述の「特異的な核酸切断活性」に含まれない、当該酵素の核酸切断活性を指す。例えばDNA鎖のランダムニッキング活性などがこれに含まれる。エンドヌクレアーゼVのそのような活性は、例えば、国際公開公報2004/046383号パンフレットに開示されている。
本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは、エンドヌクレアーゼVの特異的な核酸切断活性のうち、少なくとも1種類の塩基に対する特異的な核酸切断活性を有していればよい。例えば、デオキシイノシンの塩基(ヒポキサンチン)、デオキシウリジンの塩基(ウラシル)、デオキシキサントシンの塩基(キサンチン)、デオキシオキサノシンの塩基(オキサニン)、およびAPサイト(apurinic/apyrimidinic siteまたはabasic site)のうちの、少なくとも1種類に対する特異的な核酸切断活性を有していればよい。
本発明に使用するエンドヌクレアーゼVの好ましい特異的活性の例は、デオキシイノシン特異的またはデオキシウリジン特異的な核酸切断活性である。従って、本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは、前記の少なくとも1種類の特異的な核酸切断活性を有していれば、それ以外の活性が、遺伝子工学的あるいはその他の手法による置換、欠失、付加、挿入等の改変によって、あるいは天然の性質として、消失しているものでもよい。
本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは、非特異的な核酸切断活性を有していてもよいが、好ましくは、非特異的な核酸切断活性を示さず、かつ特異的な核酸切断活性を示すエンドヌクレアーゼVがよい。そのようなエンドヌクレアーゼVの例としては特願2005−308533に開示された変異型エンドヌクレアーゼVなどがある。本発明に使用する1つの好ましい変異型エンドヌクレアーゼVの例は、特異的な核酸切断活性として、デオキシイノシン特異的な核酸切断活性を有する変異型エンドヌクレアーゼVである。
また、本発明に使用する特異的エンドヌクレアーゼVの好適な例は、野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における(a)80位のアミノ酸またはサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸が他のアミノ酸Zに変異されており、かつ(b)105位のアミノ酸またはサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸が他のアミノ酸Zに変異されていること、を特徴とする変異型の特異的エンドヌクレアーゼVである。
本発明において、「サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸」および「サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸」とは、本発明に使用するエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列を、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(例えばGenBank Accession AAD36927)と比較した場合に、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位および105位のアミノ酸に対応するアミノ酸を意味するものである。
前記アミノ酸の位置は、それぞれのエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列と、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列の相同性を比較することによって容易に求められる。これには、例えば既製のソフトウェア(例えばGENETYX(ソフトウェア開発社製))などのアミノ酸配列相同性解析機能などを使用することができる。野生型エンドヌクレアーゼVにおいて、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸としては例えばチロシンが、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸としては例えばアスパラギン酸が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
例えば、Escherichia coliエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession AAC76972)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は75位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は100位のアスパラギン酸である。
例えば、Salmonella typhimuriumエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession AAL22996)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は73位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は98位のアスパラギン酸である。
例えば、Thermus thermophilusエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession BAD71170)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸はのチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は105位のグルタミン酸である。
例えば、Thermoplasma acidophilumエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession CAC11602)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸はサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は183位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は204位のアスパラギン酸である。
例えば、Thermoplasma volcaniumエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession NP_111300)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は178位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は199位のトレオニンである。
例えば、Aeropyrum pernixエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession NP_147286)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は43位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は68位のアスパラギン酸である。
例えば、Pyrococcus abyssiエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession NP_127057)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は67位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は90位のアスパラギン酸である。
例えば、Pyrococcus horikoshiiエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession O58394)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は67位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は90位のアスパラギン酸である。
例えば、Sulfolobus tokodaiiエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession Q974T1)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は70位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は93位のアスパラギン酸である。
例えば、Magnetospirillum magnetotacticumエンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列(GenBank Accession ZP_00051831)においては、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸は81位のチロシンであり、サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸は106位のアスパラギン酸が当該位置のアミノ酸である。
野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における(a)80位のアミノ酸またはサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸、および(b)105位のアミノ酸またはサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸に変異を与える場合、置換後のアミノ酸はどのようなアミノ酸であってもよい。
野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における80位のアミノ酸またはサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸と置換されるアミノ酸Zとしては、例えばアラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニン、メチオニン等が好ましく、アラニンがより好ましい。野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における105位のアミノ酸またはサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVの105位と同等位置のアミノ酸と置換されるアミノ酸Zとしては、例えばアラニン、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、グリシン、セリン、トレオニン、ヒスチジン等が好ましく、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミンがより好ましい。
本発明に使用する変異型エンドヌクレアーゼVの元となる野生型エンドヌクレアーゼVは、どのような生物あるいはウイルス由来のものでもよく、例えば細菌由来のものや古細菌由来のものが挙げらる。細菌由来のものや古細菌由来のエンドヌクレアーゼVとしては、例えばEscherichia coli、Salmonella typhimurium、Thermotoga maritima、Thermus thermophilus、Thermoplasma acidophilum、Thermoplasma volcanium、Aeropyrum pernix、Pyrococcus abyssi、Pyrococcus horikoshii、Sulfolobus tokodaii、Archaeoglobus fulgidus由来のエンドヌクレアーゼVなどが挙げられる。細菌由来のものや古細菌由来の野生型エンドヌクレアーゼVの好ましい例としては、好熱性細菌または好熱性古細菌由来のものが挙げられ、さらに好ましい例としてはThermotoga maritima由来のものが挙げられる。また、変異型エンドヌクレアーゼVの元となる野生型エンドヌクレアーゼVの常温性細菌の由来の好ましい例としては、Escherichia coli由来のものが挙げられる。
本発明に使用するエンドヌクレアーゼVの特異的活性のいかなる至適温度はいかなる温度であってもよく、本発明に使用するエンドヌクレアーゼVは例えば耐熱性を有するエンドヌクレアーゼVであってもよい。本発明において酵素が「耐熱性」を有するとは、酵素が活性を示す至適温度が常温域(20〜40℃)よりも高い温度であることを示し、例えば酵素が活性を示す至適温度が中高温域(45〜65℃)、高温域(60〜80℃)、あるいは超高温域(80℃以上または90℃以上)の温度であることを示す。
本発明に使用する変異型の特異的エンドヌクレアーゼVの好適な一例は、配列番号2に示すアミノ酸配列を有するエンドヌクレアーゼVである。
3.塩基X
本発明の核酸増幅方法に使用するプライマーは、エンドヌクレアーゼVによって認識され得る塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである。本発明における塩基Xは、使用するエンドヌクレアーゼVによって認識されうるものであればどの様なものであってもかまわないが、例えばヒポキサンチン(デオキシイノシンの塩基)、ウラシル(デオキシウリジンの塩基)、キサンチン(デオキシキサントシンの塩基)、オキサニン(デオキシオキサノシンの塩基)、APサイト(apurinic/apyrimidinic siteまたはabasic site)、または天然のDNA中に見られる無傷の塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)のいずれかの誘導体などが挙げられる。本発明における塩基Xのいくつかの好適な例について、その構造を図6に示した。
本発明における塩基Xは、酵素学的手法、化学的手法、またはその他の公知の手法を適宜用いることによりオリゴヌクレオチドプライマー中に好適に存在させることができる。特に、ヒポキサンチンおよびウラシルは、当業者が通常行う化学的なプライマー合成の手法(例えばホスホアミダイト法など)において、他の通常の塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシンなど)と同様に、プライマー中の任意の位置に存在させることが可能である。
本発明における塩基Xは、鋳型核酸と相補的な塩基であってもよい。また、本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーが鋳型核酸に実質的に相補的であれば、本発明における塩基Xは、鋳型核酸と相補的でなくてもよく、ミスマッチを形成し得るものでもよい。ヒポキサンチンは、どのような塩基ともミスマッチを形成しないことが知られており、本発明における塩基Xとして好適に使用できる。
4.オリゴヌクレオチドプライマー
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである。本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、好ましくはデオキシリボヌクレオチドで構成される。また、本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、1以上のリボヌクレオチドを含有していてもよい。本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、好ましくはその3´末端からのDNA鎖の伸長が可能であるように、該3´末端に3´−OH基を有しているものがよい。しかし該3´−OH基は、本発明の好ましい実施形態において、エンドヌクレアーゼVの核酸切断活性はプライマー鎖に新たな3´−OH基を有する3´末端を提供する能力があるため必須ではない。
本発明に使用されるオリゴヌクレオチドプライマーは、例えば市販の自動DNA合成装置を用いて、例えばホスホアミダイト法、リン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等により合成できる。
本発明に使用されるオリゴヌクレオチドプライマーは、通常、該プライマーから向かって下流側に増幅しようとする領域があるような位置関係で鋳型核酸にアニーリングできるように設計される。該プライマーは、アニーリングさせようとする領域の塩基配列に対して実質的に相補的であるように設計される。該プライマーの設計は、当業者であれば、PCR用のプライマー(および他の増幅方法のプライマー)の設計とほぼ同様な手法で設計することができる。一般的に、プライマーの塩基配列中に、使用される条件下においてプライマー間およびプライマー内で塩基対を形成しうる塩基配列を有するプライマーが好ましくない場合があることは当業者に公知である。また、そのような好ましくない塩基配列を避けたり最小限となるようにするなどして、好ましい塩基配列を有するプライマーを設計する手法は、当業者に公知である。
また本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列が、使用される条件下で好ましく鋳型核酸にアニーリングできるような塩基配列であることが好ましい。そのような塩基配列は、例えば、使用される条件下における該配列の融解温度、GC含量、塩基配列情報や長さなどに基づいて設計することができ、当該手法は当業者に公知である。好ましいプライマー塩基配列の設計には、例えば、「バイオ実験イラストレイテッド第3巻」(須磨春樹編、細胞工学別冊,、須磨春樹 編,秀潤社 発行,19961996年、p.13〜59)などを参考に設計することができ、また、例えば市販のプライマー設計ソフトウェア、例えば、OLIGO Primer Analysis Software(宝酒造社製)などを使用することができる。
本発明に使用するプライマーの設計に際して、鋳型核酸上のプライマーがアニーリングする領域の塩基配列は既知であることが好ましいが、鋳型核酸上の該領域以外の領域の塩基配列は必ずしも既知でなくてもよい。さらに、鋳型核酸上のプライマーがアニーリングする領域の塩基配列が完全に明らかでなくても、該領域に実質的に相補的なプライマーの設計に必要とされる情報があればよい。例えば、該領域の塩基配列に、未知の置換、欠失、付加、挿入等の変異の可能性があってもよく、または、類推、予測される、若しくは推定される配列であってもよい場合がある。すなわち、本発明の好ましい実施形態においては、標的核酸の配列の全てが既知である必要はない。
本発明の核酸増幅方法によれば、既知の配列情報から、未知の核酸配列を含む増幅産物を得ることが可能となる。例えば、既知の配列情報から設計した少なくとも1種類のプライマーを用いることで、当該プライマーのアニールする領域から伸長反応が進行する方向に存在する未知の核酸配列を含む核酸を、増幅させることが可能である。また例えば、既知の配列情報から設計した少なくとも2種類のプライマーを用いることで、当該プライマーのアニールする領域によって規定される領域内の未知の塩基配列を含む核酸を増幅することが可能である。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、使用するエンドヌクレアーゼVによって認識されうる少なくとも1つの塩基Xを含有していればよい。本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーにおいて複数の塩基Xを含有する場合、該塩基Xは1種類の塩基に限定されず、プライマーの配列中に連続して存在または散在してもよい。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、塩基Xが、鋳型核酸に実質的に相補的なプライマーの塩基配列における5´側領域以外の部分に存在するものが好ましく、中央周辺ないし3´側領域に存在するものが好ましい。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーの長さは、特に制限はないが、約11〜100塩基が好ましく、約15〜50塩基がより好ましい。また本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーにおける塩基Xより下流側(3´側)に塩基が存在しないか、または塩基Xより下流側(3´側)の長さの塩基数が約1〜50塩基であることが好ましい。また、塩基Xより上流側(5´側)の長さは約10〜100塩基が好ましく、約10〜50塩基がより好ましい。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーの好適な例としては、塩基Xより下流側の長さが1〜3塩基で、塩基Xより上流側の長さが約12〜30塩基である、全長が14〜34塩基程度のプライマーである。また別の好適な例は、塩基Xより下流側の長さが約15〜30塩基で、塩基Xより上流側の長さが約15〜30塩基である、全長が31〜61塩基程度のプライマーである。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型核酸に実質的に相補的な塩基配列の他に、該配列の上流側および/または下流側に鋳型核酸にアニーリングしない付加的な配列を、当該プライマーの機能を失わない範囲であれば有していてもよい。例えば鋳型核酸に実質的に相補的なプライマーの塩基配列の上流側に、当該付加的な配列を有していてもよい。該付加的な配列としては、例えば、制限酵素の認識配列、DNA結合タンパク質の認識配列、他のタンパク質や核酸、または化学試薬に認識されうる配列、自己アニーリングによってヘアピン構造やステム・ループ構造を形成しうる配列、あるいは任意の塩基配列や無意味な塩基配列などが挙げられる。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、塩基Xの5´側の隣の塩基がアデニンまたはチミンであるか、塩基Xの3´側の隣の塩基がアデニンまたはチミンであるか、あるいはその両方であるものが好ましい。そのようなプライマーを用いると、好適にエンドヌクレアーゼVにより切断され、より好適に核酸配列が増幅される。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、当該プライマーの機能を失わない範囲で1以上の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。プライマーの塩基Xの上流(5´)側における全ヌクレオチドのうち、該修飾ヌクレオチドの含有量は60%以下とすることが好ましく、1個から60%の範囲内とすることがより好ましい。該修飾ヌクレオチドとしては、特に限定されないが、例えばヌクレアーゼ活性による切断に耐性を付与するような性質のヌクレアーゼ耐性修飾ヌクレオチドが挙げられる。該ヌクレアーゼ耐性修飾ヌクレオチドの例としては、ヌクレオチドのα位のリン原子に結合している酸素原子を硫黄原子に置換した(α−S)ヌクレオチドなどが挙げられる。当該修飾ヌクレオチドは、化学的な合成手法、例えばホスホアミダイト法などの公知の方法を適宜使用することにより、プライマー中の任意の位置に存在させることができる。当該修飾ヌクレオチドは、プライマーの配列中に複数連続して存在または散在してもよい。
本発明に使用するプライマーとして、1以上のヌクレアーゼ耐性を示す修飾ヌクレオチドを含有するプライマーを使用することは、エンドヌクレアーゼVによるプライマーの非特異的な切断や、アニーリングしていないプライマーの切断を制御し得る点において有用である。該ヌクレアーゼ耐性修飾ヌクレオチド含有プライマーは、塩基Xの上流側と下流側の両方あるいは一方の領域に1以上の該修飾ヌクレオチドを含有してもよい。該ヌクレアーゼ耐性修飾ヌクレオチド含有プライマーの一例としては、塩基Xの上流側の領域に1以上の該修飾ヌクレオチドを含有したプライマーが挙げられる。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、当該プライマーの機能を失わない限り、ランダムプライマーまたは縮重プライマーであってもよい。
本発明の核酸増幅方法に使用するオリゴヌクレオチドプライマーの種類は特に限定されないが、好ましくは少なくとも1種類または2種類のオリゴヌクレオチドプライマーが使用される。本発明の核酸増幅方法においては、3種類以上のプライマーを用いてもよく、例えば異なる標的領域にアニーリングする3種類以上のプライマーを用いてもよい。また、例えば少なくとも2種類のプライマーからなる群を1つのプライマーセットとし、第1のプライマーセットと第2のプライマーセットを反応混合物中に共存させてもよく、3以上のプライマーセットを用いてもよい。このように、本発明の核酸増幅方法によれば、多重(multiplex)増幅を行うことも可能である。
本発明の核酸増幅方法においては、本発明に使用する塩基Xを含有するプライマーのアニーリングする領域よりも、該プライマーから見て上流側の領域にアニーリングする、付加的なプライマーをさら使用してもよい。本発明において、該付加的なプライマーを「アウタープライマー」という。アウタープライマーは、前記上流領域の核酸配列に対して実質的に相補的であり、その3´ 末端からのDNA鎖の伸長が可能であるように、該3´末端に3´−OH基を有しているものがよい。アウタープライマーの設計において、該プライマーの塩基配列、長さ、および融解温度は、該プライマーが使用される条件で好適にアニーリングできるようなものであれば、特に制限はない。本発明に使用される好ましいアウタープライマーの例は、該アウタープライマー使用のされる条件下の融解温度が、本発明に使用される塩基Xを含有するプライマーの使用される条件下の融解温度の約+5℃〜約−10℃の範囲、より好ましくは、ほぼ同じ温度〜約−5℃の範囲のものである。
本発明の核酸増幅方法に使用されるアウタープライマーの好ましいアニーリング位置は、塩基Xを含有するプライマーのアニーリング位置よりも上流であれば特に制限されないが、好ましくは該塩基Xを含有するプライマーのアニーリング位置から0塩基〜約100塩基、好ましくは0塩基〜約60塩基離れた位置が好ましい。
本発明の核酸増幅方法において、アウタープライマーは必須ではないが、アウタープライマーの使用がより良好な増幅産物の産生をもたらす場合がある。
本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、当該プライマーの機能を失わない範囲で、蛍光または化学発光標識、およびビオチン標識などで修飾されていてもよい。また他の標識の例としては、放射性同位体元素や発色団などが挙げられる。また他の標識の例としては、直接は検出できないが標識物質と特異的に結合する物質(例えばアビジンなど)との反応によって間接的に検出可能となるような物質、例えばハプテンや抗体などが挙げられる。
また本発明に使用するオリゴヌクレオチドプライマーは、当該プライマーの機能を失わない範囲で、それ自身を固相に結合させてもよい。該プライマーは、直接的に固相に結合させてもよいし、また、直接は固定されないがその特異的結合相手(例えばアビジンなど)を介して固定化可能な、ハプテンや抗体などによって、間接的に固相に結合させてもよい。
5.鎖置換型DNAポリメラーゼ
本発明には、DNAの鎖置換活性を有する鎖置換型DNAポリメラーゼを使用することができる。また、該鎖置換型DNAポリメラーゼは、実質的に5´→3´エキソヌクレアーゼ活性を有していないものが特に好ましい。
本発明に使用されるDNAポリメラーゼは、鎖置換活性を有するものであれば特に限定されず、例えば以下のようなものが挙げられる:
大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、
バクテリオファージφ29由来のphi29 DNAポリメラーゼ、
バクテリオファージT7由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えばSequenaseなど)、
Bacillus stearothermophilus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bst DNAポリメラーゼ、
Bacillus caldotenax由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ(例えばBcaBEST DNAポリメラーゼなど)、
Pyrococcus sp.GB−D由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えばDeep VentR DNAポリメラーゼやDeep VentR (exo−)DNAポリメラーゼなど)、
Pyrococcus furiosus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えばPfu DNAポリメラーゼやPfu Turbo DNAポリメラーゼなど)、
Thermus aquaticus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えばZ−Taq DNAポリメラーゼやTopoTaq DNAポリメラーゼなど)、
Thermus thermophilus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えば、ΔTth DNAポリメラーゼなど)、
Thermococcus sp.9°N−7由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えば9°Nm DNA PolymeraseやTherminator DNA Polymeraseなど)、
Thermococcus litoralis由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えばTli DNAポリメラーゼ、VentR DNAポリメラーゼ、VentR (exo−)DNAポリメラーゼなど)および、
Thermococcus kodakaraensis KOD1株由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(例えば、KOD DNAポリメラーゼ、KOD Dash DNAポリメラーゼ、KOD−Plus− DNAポリメラーゼなど)。
本発明に使用するDNAポリメラーゼは、常温性から耐熱性のいずれのものも好適に使用できる。また本発明に使用されるDNAポリメラーゼは、逆転写反応を行う能力を有していてもよい。
本発明に使用する鎖置換型DNAポリメラーゼは、天然資源より精製して取得されたもの、あるいは遺伝子工学的に生産された組換えタンパク質のいずれであってもよい。また、該酵素は、遺伝子工学的あるいはその他の手法によって置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものであってもよい。
本発明に使用する鎖置換型DNAポリメラーゼの特に好ましい例として、古くから使用されている大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片や、鎖置換活性が特に高いことが知られるバクテリオファージφ29由来のphi29 DNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bst DNAポリメラーゼ、Bacillus caldotenax由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼなどが挙げられる。
6.鋳型核酸
本発明の核酸増幅方法における鋳型核酸は、該核酸を含む可能性があるいかなる供給源から調製または単離したものでもよい。このような核酸を含む供給源は、例えば、環境資源、食物、農産物、発酵物、生体の体液や組織、または細胞やウィルスなどが挙げられる。生体の体液や組織とは、例えば、血液、乳、脳脊髄液、痰、唾液、便、肺吸引液、粘膜組織や組織試料のスワブなどが含まれる。また、これらの試料等を公知の方法で処理することによって得られる核酸含有調製物であってもよい。また鋳型核酸は、前記の試料等または核酸含有調製物より、公知の方法で増幅したDNAやRNA等の核酸でもよい。また、制限酵素や他の核酸切断または分解酵素などによって、完全にまたは部分的に処理されたものでもよい。
本発明の鋳型核酸として特に限定されないが例えば、ゲノムDNA、プラスミドDNA、あるいはPCRや他の増幅方法による増幅産物のような2本鎖DNA、およびトータルRNAやメッセンジャーRNAなどから逆転写反応で調製されたcDNAのような1本鎖DNA等が、本発明の方法における鋳型となる核酸として好適に使用できる。また2本鎖DNAを完全にあるいは部分的に1本鎖DNAとなるように変性または不安定化させたものも好適に使用できる。
本発明の核酸増幅方法により、RNA由来の配列を有する核酸を増幅する場合には、当該RNAを鋳型とした逆転写反応によって調製したcDNAを、本発明の方法における鋳型核酸として好適に用ることができる。そのような逆転写によるcDNAの調製方法は公知である。
7.デオキシリボヌクレオチド3リン酸
本発明の核酸増幅方法に使用するデオキシヌクレオチド3リン酸(dNTP)としては、DNAポリメラーゼによる一般的なDNA合成反応において通常使用する基質、すなわちdATP、dCTP、dGTP、dTTPの混合物が好適に使用できる。また、該dNTPは、dATP、dCTP、dGTP、dTTPのいずれか1以上のdNTPを含まないdNTPであってもよい場合もある。
また本発明に使用するdNTPは、DNAポリメラーゼの基質となり得るものであれば、他のdNTPまたはdNTPの誘導体を含んでいてもよい。他のdNTPまたはdNTPの誘導体の例としては、、dUTP、dITP、7−deaza−dGTP、α位のリン酸基の酸素原子が硫黄原子に置換されたα−S−dNTP、放射性同位体元素や蛍光物質などで標識されたdNTP等が挙げられる。
8.エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼの組合せ
本発明に使用するエンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼの組合せは、上述の好ましいエンドヌクレアーゼVと、上述の好ましいDNAポリメラーゼとで、好適な組合せを選択すればよい。すなわち、核酸増幅反応の反応混合物中において、エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼがそれぞれ好適に作用し得るような組合せが好ましい。好ましくは、同じ温度条件下で、エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼがそれぞれ好適に作用し得るような組合せがよい。例えば、エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼがともに常温性の酵素である組合せや、エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼがともに耐熱性の酵素である組合せが好ましい。
好ましい組合せの例としては、これに限定されないが、エンドヌクレアーゼVが、大腸菌由来のエンドヌクレアーゼVまたはそれに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものであって、DNAポリメラーゼが、大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片若しくはバクテリオファージφ29由来のphi29 DNAポリメラーゼ、またはそれらのいずれかに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものである組合せが挙げられる。また別の好ましい組合せの例としては、エンドヌクレアーゼVが、Thermotoga maritima由来のエンドヌクレアーゼVまたはそれに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたもの、例えば特願2005−308533に開示されたThermotoga maritima由来の変異型エンドヌクレアーゼVであって、DNAポリメラーゼが、Bacillus stearothermophilus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bst DNAポリメラーゼ、またはBacillus caldotenax由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ、あるいはそのいずれかに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものである組合せが挙げられる。また、2種類以上のエンドヌクレアーゼVまたは2種類以上のDNAポリメラーゼを含む組合せであってもよい。
また本発明に使用するエンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼは、それぞれの酵素活性を失わない限りにおいて、両酵素が結合した形で提供されてもよい。例えば、エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼを融合タンパク質として提供してもよい。当該融合タンパク質は、例えば公知の遺伝子工学的手法によって、両酵素をコードする遺伝子から融合遺伝子を作製し、該融合遺伝子を用いて組換えタンパク質として調製することができる。
9.反応混合物の組成
本発明の核酸増幅方法における反応混合物は、酵素活性に好適な条件(例えばpH、金属イオン濃度、塩濃度など)を与える緩衝剤、金属イオン供給物質、塩類などを含有することが好ましい。緩衝剤としては、特に限定されないが、当業者が通常使用する公知の緩衝剤、例えば、トリス(Tris)、トリシン(Tricine)、ビシン(Bicine)、へペス(HEPES)、モプス(MOPS)、テス(TES)、タプス(TAPS)、ピペス(PIPES)、キャプス(CAPS)、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等)などが挙げられる。
前記金属イオン供給物質としては、当業者が通常使用する公知の物質でよく、特に限定されないが、例えば所望する金属イオンがMg2+の場合は、例えば塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。また塩類も当業者が通常使用する公知の物質でよく、特に限定されないが、例えば塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウムなどを用いることができる。なお当然であるが、これらの物質の好適な選択および好適な濃度は、使用する酵素の種類と組合せに応じて変わり得る。さらに、これらの物質が核酸の融解温度に影響を及ぼし得ることや、dNTPが金属イオンをキレートし遊離の金属イオン濃度に影響を及ぼし得ることなどが公知であり、当業者であればこれらの事実も勘案して至適な反応組成を選択することができる。
前記反応混合物における緩衝剤の濃度は、1〜100mMが好ましく、5〜50mMがより好ましい。また、緩衝剤のpHは、pH6.0〜9.5が好ましく、pH7.0〜8.8がより好ましい。塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどのマグネシウム塩の濃度は、0.2〜20mMが好ましく、2〜12mMがより好ましい。また、塩化カリウム、酢酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウムなどの塩の濃度は1〜200mMが好ましく、2〜125mMがより好ましい。
例えば、エンドヌクレアーゼVとして特願2005−308533に開示されたThermotoga maritima由来の変異型エンドヌクレアーゼVを、DNAポリメラーゼとしてBacillus stearothermophilus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bst DNAポリメラーゼを使用する場合、好ましい緩衝剤の例としてはヘペスなどが挙げられ、該緩衝剤の濃度は5〜30mMが好ましく、pHはpH7.0〜8.8が好ましい。
前記反応混合物における各デオキシリボヌクレオチド3リン酸(dNTP)の濃度は、0.1〜3.0mMが好ましく、0.2〜1.2mMがより好ましい。
前記反応混合物における各プライマーの量は、反応混合物50μlあたり10〜1000pmolが好ましく、1〜200pmolがより好ましい。アウタープライマーを使用する場合、アウタープライマーの量は対応する塩基X含有プライマーの量に対して、等〜1/100モル量が好ましく、1/4〜1/50モル量がより好ましい。
前記反応混合物における酵素の量は、反応混合物50μlあたりエンドヌクレアーゼVは1〜1000pmolが好ましく、DNAポリメラーゼは0.2〜32Uが好ましい。ただし、酵素の量は、使用する酵素の種類や性質、および組合せによって適宜変化し得る。また酵素の活性を表す単位U(ユニット)は、酵素の種類や酵素標品の調製者によって定義が異なる場合があることは当業者には周知である。また、好適な増幅を達成するための酵素の至適量は、使用条件、プライマーの量、鋳型核酸の量、およびその他の反応組成などによっても変化し得る。
さらに、前記反応混合物中には、添加剤を共存させてもよい。該添加剤としては、特に限定されないが、例えば10%以下のジメチルスルホキシド(DMSO)、3M以下のベタイン(N,N,N−トリメチルグリシン)、5%以下のホルムアミド、100mM以下の塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)、1%以下の界面活性剤(例えばNP−40、Tween−20、TritonX−100など)、10%以下のグリセロール、10%以下の糖類(デキストランなど)、10%以下のポリエチレングリコール(PEG)、10mM以下のジチオトレイトール(DTT)、0.1%以下のウシ血清アルブミン(BSA)、SSBタンパク質(1本鎖結合タンパク質)などが挙げられる。
前記反応混合物中に融解温度調整剤を添加して、核酸の融解温度を調節してもよい。該融解温度調整剤としては、例えばベタイン、ジメチルグリシン、トリエチルアミン N-オキシド、DMSOなどが挙げられ、特に好ましくはベタインが挙げられる。反応混合物中におけるベタインの濃度は、その等安定化(isostabilizing)濃度である約5.2Mを超えない範囲が好ましく、0.3〜1.5Mがより好ましい。
反応混合物中に共存させる該添加剤として1本鎖核酸安定化剤を用いてもよい。1本鎖核酸安定化剤の例としては1本鎖核酸結合タンパク質が挙げられる。1本鎖核酸結合タンパク質の例としては、大腸菌SSBタンパク質(1本鎖結合タンパク質)、大腸菌RecAタンパク質、T4ファージgp32、あるいは他の生物・ウイルス由来のこれらに相当するタンパク質などが挙げられる。これらの1本鎖核酸結合タンパク質の反応混合物中の濃度は、当業者が適宜選択することが可能であるが、例えば、反応混合物50μlあたり大腸菌SSBタンパク質を0.5〜1.5μg、大腸菌RecAタンパク質およびT4ファージgp32を0.5〜3μgの範囲内とすることが好ましい。また、必要に応じてこれらの1本鎖核酸結合タンパク質とともにその補助因子(例えばATPやその誘導体など)を共存させてもよい。
10.インキュベーション工程
本発明の核酸増幅方法において、反応混合物をインキュベートする工程は、(i)鋳型核酸へのプライマーの特異的なアニーリング、(ii)DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応および鎖置換反応および(iii)エンドヌクレアーゼVによる塩基Xを含む核酸鎖中の塩基Xの認識および該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合の切断反応、が行える条件であれば特に限定はない。当該インキュベーション工程の温度条件は、変温あるいは等温のいずれであってもよく、等温がより好ましい。
本発明において「変温」とは、各反応の段階を好適に実施できるように反応温度を変化させることを意味する。例えば、前記(i)〜(iii)の各工程に適した温度に変化させることをいう。また変温のインキュベーション工程には、2本鎖核酸を1本鎖に変性させる温度条件を含んでもよい。また、本発明において「等温」とは、各反応の段階を実施する温度を変化させず、インキュベーション工程を実質的に一定の温度で実施することを意味する。
本発明の核酸増幅方法の利点として、インキュベーション工程における温度の上下、すなわち温度サイクリングが不要であるという点が挙げられる。したがって、本発明によれば等温核酸増幅法が可能となる。該等温核酸増幅法は高価な温度サイクリング装置を用いる必要とせず、反応混合物を実質的に一定の温度に保持すればよい。該反応混合物を実質的に一定の温度に保持する方法としては、特に限定されないが、例えば温度制御のための装置(例えばブロックインキュベータ)の使用、保温若しくは発熱の状態にある物体または物質と反応混合物との接触(例えば湯浴中に反応混合物の入った容器を存在させる、あるいは温石や懐炉などと反応混合物若しくは反応混合物の入った容器とを接触させるなど)が挙げられる。
前記等温核酸増幅法の温度条件は、エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼが共に好適に活性を発揮し得る温度が好ましく、例えば約20〜80℃の範囲から選択される。例えば、エンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼがともに常温性の酵素である場合は、20〜40℃が好ましい。また、例えば、エンドヌクレアーゼVが大腸菌由来のエンドヌクレアーゼVまたはそれに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものであって、DNAポリメラーゼが大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片若しくはバクテリオファージφ29由来のphi29 DNAポリメラーゼ、またはそれらのいずれかに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものであるには、30〜40℃が好ましく、30℃または37℃がより好ましい。
また、前記等温核酸増幅法の温度条件は、例えばエンドヌクレアーゼVとDNAポリメラーゼがともに耐熱性の酵素である組合せの場合は、50〜80℃が好ましい。また、例えばエンドヌクレアーゼVが、Thermotoga maritima由来のエンドヌクレアーゼVまたはそれに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたもの(例えば特願2005−308533に開示されたThermotoga maritima由来の変異型エンドヌクレアーゼV)であって、DNAポリメラーゼがBacillus stearothermophilus由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bst DNAポリメラーゼ若しくはBacillus caldotenax由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼ、またはそのいずれかに置換、欠失、付加、挿入等の改変を加えたものである場合には、50〜70℃が好ましく、55〜65℃がより好ましい。
また、前記等温核酸増幅法の温度条件は、反応混合物中におけるプライマーの非特異的アニーリングが低減され、かつ鋳型核酸配列にプライマーが特異的にアニーリングするような温度としてもよい。当該温度は、プライマーの使用する反応混合物中における融解温度を参考にして決めることができ、例えば約20〜80℃の範囲から選択される。勿論、先にインキュベーション温度を決めておき、当該温度の下で反応を好適に実施できるようにプライマー設計をしてもよく、あるいは融解温度調整剤やその他の反応構成物の種類や濃度を選択してもよい。
本発明の核酸増幅方法において、反応混合物をインキュベートする時間は、所望する増幅反応を達成するのに充分な時間であれば、特に制限はない。好ましいインキュベーション時間は、例えば4時間以内であり、より好ましくは20分〜2時間である。
本発明の核酸増幅方法において、インキュベーション工程中の反応は理想的には継続されるが、実際には反応混合物中の各種成分の濃度低下や枯渇、酵素活性の低下または失活などの要因によって、反応が停滞または停止する場合がある。そのような理由によって、所望する増幅反応を達成することが困難な場合には、インキュベーション工程において、反応を継続するために必要な物質を、継続的または断続的に反応混合物中に供給してもよい。
本発明の核酸増幅方法においては、実質的に等温で増幅反応させる場合であっても、より好ましい増幅反応を達成するために熱変性段階(2本鎖核酸が完全あるいは部分的に1本鎖核酸となるように変性または不安定化させるようなインキュベーション段階)を最初に1回経る方がよい場合がある。例えば鋳型核酸が2本鎖DNAである場合には、該熱変性段階を経る方がよい場合がある。該熱変性段階としては、これに限定されないが、例えば95℃で1〜10分間程度インキュベーションする。また、変性段階を通じて酵素活性が完全にあるいは有意に失われる場合には、変性段階を実施した後に、該酵素活性が失活されない温度に調節した該反応混合物に、該酵素を添加し、続いて単一の温度でインキュベーションするのが好ましい。
しかしながら、本発明の核酸増幅方法においては、鋳型核酸が2本鎖DNAであっても、前記熱変性段階は必ずしも必要なわけではない。例えばベタインなどの融解温度調整剤が好適な濃度で反応混合物中に含まれていれば、鋳型核酸が2本鎖DNAであっても、熱変性段階を含まない工程で、好適な増幅反応が達成される場合がある。さらに、本発明の核酸増幅方法によれば、鋳型核酸が2本鎖DNAであっても、融解温度調整剤を使用することなく、かつ熱変性段階を含まない工程で、好適な増幅反応を達成することができる。従って、必要に応じてベタインなどの融解温度調整剤の使用、および熱変性段階の実施の有無を選択すればよい。
また、本発明の核酸増幅方法においては、前記熱変性段階の後で、増幅産物の蓄積を与える単一温度のインキュベーション前に、プライマーを鋳型核酸に好適にアニーリングさせるインキュベーション段階をさらに経ることが効果的な場合がある。ただし該アニーリング段階も必須ではなく、好ましくは不要であるから、当業者は必要に応じて該アニーリング段階の実施の有無を選択すればよい。
11.標的核酸の検出方法
さらに本発明は、本発明の核酸増幅方法(EVA)によって標的核酸を増幅する工程と、該工程により増幅産物が生成したか否かを検知する工程、を含むことを特徴とする標的核酸の検出方法を提供する。本発明の検出方法は、様々な試料における標的核酸の存在あるいは不在の検出に用いることができる。
本発明の検出方法の使用は特に限定されないが、例えば、標的核酸が特定の核酸または特定の集団に属する生物またはウイルス由来の核酸である場合には、本発明の検出方法により被検試料中の該生物またはウイルスを検出することができる。該生物が病原体である場合には、被検試料中の病原体を検出することができる。また、生物の遺伝子型の判別や遺伝子の発現状態の解析、疾病関連遺伝子や薬剤反応性関連遺伝子等の検出などに本発明の方法を使用することもできる。
本発明の検出方法では、増幅された核酸を様々な方法で検出することができ、核酸結合剤(例えば臭化エチジウムやSYBR Greenなど)を用いる染色、および、放射性物質、蛍光物質、蛍光消光物質または酵素などの種々の標識によって検出することができる。本発明の検出方法において、増幅産物が生成したか否かを検知するための手段は、特に限定されず、例えば電気泳動やハイブリダイゼーションアッセイ、あるいはそれらの組合せなどの常套的な手段を用いることができる。またPCRや他の増幅方法の産物の検出に用いられる当業者に公知の種々の手段も本発明の核酸増幅方法による産物の検出に好適に使用できる。
例えば、増幅産物に実質的に相補的な配列を有する核酸をプローブとして用い、該プローブの増幅産物へのハイブリダイゼーションに基づくシグナルまたはシグナルの変化を検知してもよい。該プローブは固相に固定化されていても、されていなくてもよい。例えば、蛍光物質で標識した核酸プローブを用いて、その蛍光偏光の解消度の変化に基づいて増幅産物を検出する方法、すなわち蛍光偏光法[例えば「食品産業のための高機能バイオセンサー」(社団法人農林水産先端技術産業振興センター 高機能バイオセンサー事業部会 編、化学工業日報社発行、2003年、p.73〜82および261〜292、Tsuruoka M, Karube I: Rapid hybridization at high salt concentration and detection of bacterial DNA using fluorescence polarization. Comb Chem High Throughput Screen, 6, p. 225-34 (2003) ]によって検出してもよい。また、例えば、プローブのハイブリダイゼーションを、表面プラズモン共鳴による検出[例えば、Kai E, Sawata S, Ikebukuro K, Iida T, Honada T, Karube I : Detection of PCR products in solution using surface plasmon resonance. Anal Chem, 71, p.796-800 (1999)]や、水晶発振子マイクロバランス(quartz crystal microbalance)による検出[例えば、宮本敬久:PCR法およびDNA固定化水晶振動子によるサルモネラ迅速検出法、日本食品微生物学会誌、17、2000年、p.217−224]などで行ってもよい。
また本発明の検出方法では、核酸の増幅に伴って副次的に生成する物質を検知することによって、増幅産物が生成したか否かを検知してもよい。例えば核酸鎖の合成に伴ってdNTPから遊離されるピロリン酸またはその塩、例えばピロリン酸マグネシウムを、例えば濁度の測定や沈殿物の観察、あるいは酵素的方法[例えば、遠藤美砂子、齋藤紀行、丸山昇:食品病原微生物の簡易迅速検出方法の開発、平成14年度 宮城県産業技術総合センター研究報告、1、2002年、10−14]により検出してもよい。
本発明の検出方法において、増幅産物が生成したか否かを検知する工程は、本発明の核酸増幅方法における増幅工程の後に実施してもよいが、該増幅工程の実施中に行ってもよく、例えば標的核酸の増幅をリアルタイムにモニタリングしてもよい。そのような好ましい1つの実施形態としては、反応混合物中に核酸の検出剤を存在させておき、検出剤由来のシグナル変化に基づいて増幅産物を検知することが挙げられる。該核酸の検出剤の例としては、核酸結合剤(臭化エチジウムやSYBR Greenなど)、標識核酸プローブ(例えば蛍光標識プローブや蛍光エネルギー転移プローブなど)等が挙げられる。また、核酸の検出剤はdNTPであってもよく、この場合、核酸鎖の合成に伴ってdNTPから遊離されるピロリン酸またはその塩、例えばピロリン酸マグネシウム、に基づくシグナルを、例えば濁度の測定などにより検出することができる。
12.キット
本発明の1つの実施形態は、本発明の核酸配列の増幅方法に使用される試薬キット、すなわち核酸増幅試薬キットである。該キットは、エンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を指示した指示書を記録した媒体を含んでなることが好ましい。該キットはさらに、少なくともエンドヌクレアーゼV、または少なくともエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含有することがより好ましい。
また別の本発明の実施形態は、本発明の核酸配列の検出方法に使用される試薬キット、すなわち核酸検出試薬キットである。該キットはエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を指示した指示書を記録した媒体を含んでなることが好ましい。該キットはさらに、少なくともエンドヌクレアーゼV、または少なくともエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含有することがより好ましい。
本発明の核酸増幅キットおよび核酸検出キットには、使用する酵素の他に、使用者が本発明の方法を実施しやすいように、使用する酵素のためのあらかじめ調製された反応液、あるいは当該反応液を調製する材料となる緩衝液、基質または基質溶液、プライマー、およびマグネシウムイオンなどの金属イオンの供給物質などを必要に応じて構成要素としてもよい。また必要に応じて、核酸の検出剤を構成要素としてもよい。当該構成要素は、本発明の方法が好ましく実施できる濃度あるいは当該濃度の一定倍の濃度(例えば当該濃度の10倍の濃度)の溶液として提供することができる。また当該構成要素は、1回あるいは複数回の反応に使用する量を、1つの容器中に存在させてもよい。また、本発明の方法を行うための手順や、その実施例などを記録した媒体なども、必要に応じて本発明のキットの構成要素としてもよい。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。なお本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>野生型および変異型エンドヌクレアーゼVの調製
(1)野生型エンドヌクレアーゼV遺伝子の作製
以下の手順で野生型エンドヌクレアーゼV遺伝子を取得した。まず、サーモトガ・マリチマATCC 43589株を、理化学研究所微生物系統保存施設(Japan Collection of Microorganisms、JCM)より購入した(JCM No.10099)。該菌株液1mlを所定の培地100mlに植菌して、嫌気条件下80℃にて48時間静置培養した。その培養液20mlを13000×gで、5分間遠心分離し、沈殿した菌体を1mlの超純水に懸濁した。懸濁液を超音波破砕処理した後、13000×gで5分間遠心分離して上清を回収し、サーモトガ・マリチマの染色体DNAが含まれる破砕上清液を取得した。
次に以下の手順に示すPCRにより、サーモトガ・マリチマのエンドヌクレアーゼV遺伝子(GenBank Accession AAD36927)を増幅した。サーモトガ・マリチマの破砕上清液1μlを鋳型として、反応液(全量50μl)に添加した。DNAポリメラーゼとして、KOD plus(東洋紡社製)1.0Uを反応液に添加した。緩衝液として、KOD plus製品に添付された10倍濃度の緩衝液(10×KOD−PCR buffer)を5μl添加した。プライマーとして、配列番号3および4で表されるオリゴヌクレオチドをそれぞれ終濃度0.3μMとなるように反応液に添加した。dNTP混合物は終濃度が0.2mM、MgSOは終濃度が1mMとなるようにそれぞれ反応液に添加した。
サーマルサイクラーは、GeneAmp PCR System 9600(Perkin Elmer社製)を使用し、94℃で2分間を1回、続いて94℃で15秒間、57℃で30秒間、68℃で1分間の温度サイクルを35回繰り返した。増幅産物を、QIAquick PCR Purification Kit(キアゲン社製)を用いて精製し、超純水50μlで溶出した。精製操作の手順は、当該キットに付属の仕様書に従った。
得られた増幅産物を常法に従って、His−tag配列を有する大腸菌組換えタンパク質発現用ベクターpET16b(Novogen社製)へ挿入した。得られた組換え体DNA(以下pET16 TmaEVという)のエンドヌクレアーゼV遺伝子の塩基配列をDNAシーケンサーによって解読した。解読した配列は、既知のサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼV遺伝子の塩基配列(GenBank Accession AE001823)と一致した。
(2)変異型エンドヌクレアーゼV遺伝子の作製
以下の手順で野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列に2重の部位特異的変異を導入した。まず、1つ目の変異導入として、野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列の80位に位置するチロシンをコードする塩基配列を、アラニンをコードする塩基配列に置換(Y80A変異)したエンドヌクレアーゼV遺伝子を作製した。QuikchangeII Site Directed Mutagenesis Kit(Stratagene社製)を用いて、目的の塩基配列に部位特異的変異を導入した。鋳型としてpET16 TmaEVを50ng、Y80A変異導入用のプライマーとして配列番号5および6で示したオリゴヌクレオチドを用い、反応液の全量を51μlとした。反応液組成および操作手順は、キットに付属された仕様書に準じた。このようにしてY80A変異を導入した変異型エンドヌクレアーゼV遺伝子を含む組換え体DNA(以下、pET16 TmaEVM1という)を得た。
次に2つ目の変異導入として、上記の方法と同様に、pET16 TmaEVM1にコードされたエンドヌクレアーゼV(Y80A)のアミノ酸配列の105位に位置するアスパラギン酸をコードする塩基配列を、アラニンをコードする塩基配列に置換(D105A変異)した。鋳型としてpET16TmaEVM1を、D105A変異導入用プライマーとして配列番号7および8で表されるオリゴヌクレオチドを用いた。このようにして、Y80AおよびD105Aの2重のアミノ酸変異が導入された変異型エンドヌクレアーゼV遺伝子を有する組換え体DNA(以下、pET16 TmaEVM2という)を得た。pET16 TmaEVM2のエンドヌクレアーゼV遺伝子の塩基配列をDNAシーケンサーによって解読し、目的とする塩基の置換が存在することを確認した。また変異を導入した部分以外の塩基配列は、既知のサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼV遺伝子の塩基配列(GenBank Accession No.AE001823)と一致した。以上のようにして変異型エンドヌクレアーゼVの遺伝子を取得した。
(3)野生型および変異型エンドヌクレアーゼVの発現と精製
大腸菌組換えタンパク質発現系を利用し、以下の手順で野生型エンドヌクレアーゼVおよび変異型エンドヌクレアーゼVを発現させた。野性型サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼV遺伝子を有するpET16TmaEV、または変異型サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼV遺伝子を有するpET16TmaEVM2を用いて、宿主大腸菌株BL21(DE3)(Novogen社製)を常法によって形質転換した。得られた形質転換体を、アンピシリン(終濃度50μg/ml)を含むLB培地8ml(ペプトン 10g/l、酵母エキス 5g/l、NaCl 10g/l)に接種し、培地のOD600が0.6になるまで37℃にて振とう培養を行った。続いて、その培養液をアンピシリン(終濃度50μg/ml)を含むLB培地 800mlに接種し、培地のOD600が0.6になるまで37℃で振とう培養を行った。その後、イソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(終濃度が1mM)を培養液に添加することによって目的タンパク質の発現を誘導し、30℃にて5時間振とう培養を行った。その培養液を13000×gで10分間遠心分離した。沈殿した菌体を、プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma社製)を含む緩衝液[20mM HEPES(pH7.4)、1mM EDTA(pH8.0)、0.1mM DTT、50mM NaCl]30mlに懸濁した。その懸濁液30mlを超音波破砕処理した後、13000×gで10分間遠心分離し上清を回収した。得られた上清を75℃にて15分間熱処理することによって、上清中に含まれる宿主大腸菌由来のタンパク質を変性させた。
その後、熱処理した液を13000×gで10分間遠心分離し、上清を回収した。得られた上清を孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、His−tag融合タンパク質精製用カラムHisTrap HP(Amersham Biosciences社製)を用いて、野生型エンドヌクレアーゼVまたは変異型エンドヌクレアーゼVを精製した。このとき緩衝液として、真空脱気した緩衝液A[50mM HEPES (pH7.4)、1mM EDTA(pH8.0)、0.1mM DTT、]50mM NaCl、20mM imidazole]および緩衝液B[50mM HEPES (pH7.4)、1mM EDTA (pH8.0)、0.1mM DTT、50mM NaCl、500mM imidazole]を用いて、ステップワイズ溶出を行った。得られた溶出画分についてSDS−PAGEを行い、予測される分子量に単一のタンパク質バンドが観測され、野生型エンドヌクレアーゼVまたは変異型エンドヌクレアーゼVが精製されたことを確認した。
以上の様にして調製した2重変異(Y80AおよびD105A変異)サーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼV(以下、これを変異型Tma エンドヌクレアーゼVという)を以下に示す実施例で使用した。
<実施例2>線状DNA断片を鋳型とする増幅
(1)鋳型DNAの調製
EVAの鋳型として用いるDNA断片をPCRによって調製した。PCRのための鋳型としてプラスミドpUC18(GenBank Accession No. L09136)を20ng、プライマーとして配列番号9および10で示したオリゴヌクレオチドを20pmol用いた。これらのプライマーは、pUC18のマルチクローニングサイトを含む243bpのDNA断片が増幅されるように設計したもので、かつデオキシイノシンをそれぞれ1つ含んでいる。DNAポリメラーゼとして、TaKaRa Taq(タカラバイオ社製)2.5Uを使用し、反応バッファーおよびdNTP混合物は同製品に付属されたものを用いた。
全量100μlのPCR反応液を調製し、PCRを行った。サーマルサイクラーはGeneAmp PCR System 9600(Perkin Elmer社製)を使用し、94℃で1分間を1回、続いて94℃で30秒間、63℃で30秒間、72℃で30秒間の温度サイクルを35回繰り返した。反応終了後、得られたPCR産物を、QIAquick PCR Purification Kit(キアゲン社製)を用いて精製し、超純水50μlで溶出した。精製操作は、当該精製キットに添付された取扱説明書に従った。精製された試料を1.5% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で、約240bpの長さのDNA断片の存在を確認した。
(2)EVAによる増幅反応
実施例2(1)に記載の方法で調製したDNA断片を鋳型として用い、EVA法による核酸増幅を実施した。プライマーとして配列番号9および10で示したオリゴヌクレオチドを用いた。これらはそれぞれデオキシイノシンを1つ含む。エンドヌクレアーゼVは、実施例1において取得した2重変異(Y80AおよびD105A変異)を有するサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼV(以下、変異型Tma エンドヌクレアーゼVという)を使用した。
EVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、5mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、2pmol、200fmolまたは20fmolの各プライマー、10fmolの鋳型DNA、8UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、19pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を、全量25μlとなるように調製した。また対照として、鋳型DNAを含まない同様の反応液も調製した。
調製した上記EVA反応液を、65℃にて2時間保温して反応させた。反応終了後、反応液5μlを分取し、1.5% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムで染色後、UV照射下で増幅産物の有無、およびその濃淡を確認した。その結果を図7に示す。
図7において、レーン1およびレーン8は分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder(東洋紡社製)であり、レーン2、3および4は、プライマーをそれぞれ2pmol、200fmolおよび20fmol使用したEVA反応液を用いた結果である。また、レーン5、6および7は、それぞれ、プライマーを2pmol、200fmolおよび20fmol使用した鋳型DNAを含まないEVA反応液を用いた結果である。図7のレーン2および3において、増幅産物の予想されるサイズ付近に単一なバンドが検出され、目的とするDNA断片の増幅が確認された。一方、レーン5〜7(鋳型DNAを含まない反応)からは、増幅産物は検出されなかった。
(3)増幅産物の制限酵素消化
実施例2(2)で得られた増幅産物が、目的とする核酸配列を有するDNA断片であるかどうか確認するため、制限酵素による消化を行った。前記のプライマーを2pmol使用したEVA反応液(図7、レーン2)を20μl用いて、QIAquick PCR Purification Kit(キアゲン社製)を用いて増幅産物を精製し、超純水35μlで溶出した。精製操作は、当該キットに添付された取扱説明書に従った。
精製した増幅産物を8μl用い、制限酵素BamHI 10UまたはHindIII 10U(ニッポンジーン社製)による制限酵素処理を行った。反応バッファーは酵素製品に付属されたバッファー溶液を使用した。20μlの反応液を調製し、37℃にて1時間保温した。反応終了後、試料を10μl分取し、1.5% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下でDNA断片のサイズを観測した結果を図8に示す。
図8において、レーン1は分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder(東洋紡社製)、レーン2は制限酵素で処理していない増幅産物、レーン3はBamHI消化物、レーン4はHindIII消化物である。増幅産物が特異的な増幅によって生成したものであれば、その塩基配列中にはBamHIおよびHindIII認識サイトがそれぞれ1ヶ所存在し、各酵素で消化したとき2つのDNA断片が生じる。予測される消化断片の長さは、BamHI消化の場合は109bpおよび134bp、HindIII消化の場合は79bpと164bpであった。レーン3および4に示したように、増幅産物をBamHIまたはHindIIIで消化した結果、元の増幅産物のバンドは消失し、消化物の予測された分子量付近にバンドが検出された。このことから、実施例2(2)で得られたEVAの増幅産物は、目的とする核酸配列を有する特異的な増幅産物であることがわかった。
<実施例3>環状プラスミドDNAを鋳型とする増幅(1)
環状プラスミドpUC18を鋳型として用い、EVA法により核酸を増幅した。プライマーとして、配列番号9および10に示したオリゴヌクレオチドを用いた。これらのプライマーを用いた場合の予測される増幅範囲は、pUC18のマルチクローニングサイトを含む約240bpの領域であった。
EVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、5mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、4pmolの各プライマー、2fmolまたは20fmolのpUC18、16UのBst DNA ポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、38pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を、全量50μlとなるように調製した。
上記EVA反応液を、65℃にて2時間保温して反応させた。反応終了後、反応液5μlを分取し、1.5% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムで染色した後、UV照射下で増幅産物の有無、およびその濃淡を確認した結果を図9に示す。
図9において、レーン1は分子量サイズマーカー 100bp DNA Ladder(東洋紡社製)であり、レーン2および3は、それぞれ2fmolおよび20fmolのpUC18を鋳型としてEVAを行った場合の結果である。レーン3に示したように、予測されるサイズの増幅産物の存在が検出された。
<実施例4>環状プラスミドDNAを鋳型とする増幅(2)
鋳型として環状プラスミドpUC18、プライマーとして、配列番号11および12に示したオリゴヌクレオチドを用いて、EVA法による核酸増幅を実施した。これらのプライマーを用いた場合の予測される増幅範囲は、pUC18のマルチクローニングサイトを含む約240bpの領域であった。
EVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、5mM塩化マグネシウム、1mMジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP、4pmolの各プライマー、2fmolまたは20fmolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、38pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を全量50μlとなるように調製した。
上記EVA反応液を65℃にて90分間保温して反応させた。反応終了後、反応液5μlを検体として1.5% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図10に示す。
図10において、レーン1は分子量サイズマーカー 100 bp DNA Ladder(東洋紡社製)、レーン2および3は、それぞれ2fmolおよび20fmolのpUC18を鋳型としてEVAを行った場合の結果である。図10に示したように、レーン2および3において予測されるサイズの増幅産物の存在が検出された。
<実施例5>環状プラスミドDNAを鋳型とする増幅(3)
鋳型として環状プラスミドpUC18、プライマーとして配列番号13および14に示したオリゴヌクレオチドを用いて、EVA法により核酸を増幅した。これらのプライマーを用いた場合の予測される増幅範囲は、約630bpの領域であった。
EVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、5mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP、4pmolの各プライマー、2fmolまたは20fmolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、38pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を全量50μlとなるように調製した。
上記EVA反応液を65℃にて90分間保温して反応させた。反応終了後、5μlの反応液を検体として1.5% アガロースゲル電気泳動かけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図11に示す。
図11において、レーン1および2はそれぞれ、2fmolおよび20fmolのpUC18を鋳型としてEVAを行った場合の結果である。レーン3は分子量サイズマーカー100 bp DNA Ladder(東洋紡社製)である。レーン1および2に示したように、予測される増幅産物のサイズである630bp付近の位置にDNA断片のバンドが検出された。
<実施例6>鋳型の熱変性段階を含むEVA
鋳型として環状プラスミドpUC18、プライマーとして配列番号13および14に示したオリゴヌクレオチドを用いて、EVA法により核酸を増幅した。これらのプライマーを用いた場合の予測される増幅範囲は、約630bpの領域であった。
以下の手順で反応液を調製した。まず、2種類の酵素(Bst DNAポリメラーゼおよび変異型Tma エンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に鋳型の熱変性のために、この反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼおよび変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlとなるようにEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、5mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、4pmolの各プライマー、20fmol pUC18、16U Bst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、3.8pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を65℃にて1時間保温し反応させた。反応終了後、反応液5μlを検体として、1.5% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無およびその濃淡を確認した結果を図12に示す。
図12において、レーン1は上記の方法による増幅産物、レーン2は分子量サイズマーカー100 bp DNA Ladder(東洋紡社製)である。レーン1において、増幅産物の予測されるサイズである630bp付近にバンドを検出した。
<実施例7>プラスミド増幅産物の制限酵素消化
鋳型として環状プラスミドpUC18、プライマーとして配列番号11および12に示したオリゴヌクレオチドを用い、EVA法により核酸を増幅した。これらのプライマーを用いた場合の予測される増幅範囲は、pUC18のマルチクローニングサイトを含む約240bpの領域であった。
以下の手順で反応液を調製した。まず、使用する2種類の酵素(Bst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量92μlとなるように調製した。次にこの反応液を95℃で5分間保持し、その後氷上で急冷した。続いて、反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量100μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、0.5mM ベタイン、32pmolの各プライマー、4fmolのpUC18、32UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、7.6pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を65℃で75分間保温して反応させた。反応終了後、反応液5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で、約240bpの増幅産物が得られたことを確認した。
上記反応で得られた増幅産物を制限酵素により消化して、目的とする核酸配列を有するDNA断片であるかどうか確認した。増幅反応後の反応液を90μlとり、QIAquick PCR Purification Kit(キアゲン社製)を用いて増幅産物を精製し、超純水50μlで溶出した。精製操作は、当該精製キットに添付された取扱説明書に従った。得られた溶出液10μlを、制限酵素BamHI 20U、HindIII 20UまたはXhoI 15U(ニッポンジーン社製)でそれぞれ消化した。緩衝液は各酵素製品に付属されたものを使用し、反応液は超純水で全量20μlに調製し、37℃にて2時間保温して制限酵素により消化した。その後2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて、臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図13に示す。
図13において、レーン1および6は分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder(東洋紡社製)、レーン2は制限酵素処理していない増幅産物、レーン3はHindIII消化物、レーン4はBamHI消化物、レーン5はXhoI消化物である。増幅産物が特異的な増幅によって生成したものであれば、その塩基配列中には、HindIIIおよびBamHIの認識サイトがそれぞれ1ヶ所存在し、各酵素で消化したとき2つのDNA断片が生じると予測された。HindIIIで消化したときに生じる断片は79bpおよび164bpの長さであり、BamHIで消化したときに生じる断片は109bpおよび134bpの長さであった。一方、XhoI認識サイトは増幅領域内の核酸配列中に存在しないため、増幅産物は該酵素によって切断されないと予測された。レーン3および4に示したように、増幅産物をHindIIIまたはBamHIで消化した結果、元の増幅産物のバンドは消失し、予測される消化物の分子量付近にバンドが検出された。レーン5において、XhoIで処理した場合には、増幅産物が切断されなかったことを確認した。このことから、上記EVA法により、目的とする特異的な増幅産物が得られたことがわかった。
<実施例8>本発明の核酸増幅方法の反応に必要な成分を示す対照試験
EVAのための反応液1を次の手順で調製した。まず、使用する2種類の酵素(Bst DNA ポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、0.5mM ベタイン、16pmolの配列番号11のプライマー、16pmolの配列番号12のプライマー、2fmolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、3.8pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
さらに上記EVA反応液1と同様であるが、DNAポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼV、プライマーセット、dNTP、および鋳型DNAのいずれかを含まない反応液2〜6をそれぞれ調製した。調製したこれらのEVA反応液を、65℃にて75分間保温して反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて、臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図14に示す。
図14において、レーンMは、分子量サイズマーカー100 bp DNA Ladder(東洋紡社製)であり、レーン1は全ての成分を含むEVA反応液1、レーン2〜6はいずれかの成分を含まない反応液2〜6による結果である。各EVA反応液に含まれる成分を表1に示した。
この結果、全ての成分が含まれるEVA反応液1(レーン1)では予想されるサイズ付近にバンドが検出され、目的とする増幅産物が得られたことがわかった。一方、いずれかの成分を含まない反応液2〜6(レーン2〜6)においては、増幅産物は検出されなかった。従って、EVAの反応によって増幅産物を生成するためには、反応液中にDNAポリメラーゼ、エンドヌクレアーゼV、プライマー、dNTP、および鋳型DNAの存在が必要であることがわかった。
<実施例9>1種類のプライマーを用いた増幅
1種類のプライマーを用いたEVAを実施した。プライマーは、配列番号11または12で示したオリゴヌクレオチドを用いた。
EVA反応液を次の手順で調製した。まず、使用する2種類の酵素(Bst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、0.5mM ベタイン、16pmolのプライマー(配列番号11または12のプライマー)、20fmolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、3.8pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、65℃にて3時間保温して反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図15レーン1〜4に示す。
図15において、レーン1は分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder(東洋紡社製)、レーン2は配列番号11のプライマーを用いたEVA増幅産物、レーン3は配列番号12のプライマーを用いたEVA増幅産物、レーン4はプライマーを反応液に加えなかったサンプルである。レーン2および3において、レーン全体にわたって増幅産物が検出され、1種類のプライマーを用いたEVAによる核酸の増幅が示された。
また、上記と同様の手順で、2fmol pUC18を鋳型としたEVA反応を実施した。そのときの電気泳動結果を図15レーン5〜8に示した。図15において、レーン5は分子量サイズマーカー 100bp DNA Ladder、レーン6は配列番号11のプライマーを用いたEVA増幅産物、レーン7は配列番号12のプライマーを用いたEVA増幅産物、レーン8はプライマーを反応液に加えなかったサンプルである。この場合も同様に、レーン6およびレーン7において、レーン全体にわたって増幅産物が検出され、1種類のプライマーを用いたEVAによる核酸の増幅が示された。さらに、配列番号11のプライマーを用いた同様なEVA反応において、反応液に鋳型を加えなかった陰性コントロール(反応時間2時間)の電気泳動結果を図15のレーン9〜11に示した。
図15において、レーン9は分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder、レーン10は鋳型20fmolを反応液に添加したサンプル、レーン11は鋳型を添加しなかったサンプルである。レーン10において増幅産物が検出されたのに対して、レーン11において反応中に鋳型が存在しないときには増幅産物が生成しないことを確認した。
<実施例10>種々の反応組成・条件におけるEVA
(1)エンドヌクレアーゼVの量
EVA反応液中のエンドヌクレアーゼVの量を3.8〜77pmolの範囲としてEVAを実施した。まず、反応液を次の手順で調製した。酵素(Bst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量44μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、5mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、4pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、20fmolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、19〜77pmolの範囲の一定量の変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。調製したこれらのEVA反応液を、65℃にて1時間保温して反応させた。
また上記と同様の手順で、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー、20fmolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、0または3.8pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。調製したこれらのEVA反応液を、65℃にて90分間保温して反応させた。
反応終了後、各EVA反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した。そのときの電気泳動の結果を図16に示す。
図16において、レーン1および7は、分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder(東洋紡社製)、レーン2〜6はエンドヌクレアーゼVの量を、それぞれ19、29、38、58および77pmolとした場合の結果である。またレーン8はエンドヌクレアーゼVを加えなかった場合、レーン9はエンドヌクレアーゼVの量を3.8pmolとした場合の結果である。ここで実施した条件においては、エンドヌクレアーゼVの量が3.8〜38pmolの範囲の場合に、特異的な単一バンド(約240bp)の増幅産物が生成された(レーン2、3、4および9)。また、エンドヌクレアーゼVを加えなかった場合は、全く増幅が観測されなかった(レーン8)。
(2)プライマーの量および鋳型の量
プライマーの量が異なるEVA反応液を調製し、EVAを実施した。まず、酵素を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型TmaエンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、5mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、2、4または8pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、2fmolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、19pmolまたは29pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
また、上記と同様の手順で、鋳型の量が異なるEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー、200amolまたは20amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、19pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、65℃にて1時間保温して反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図17に示す。
図17において、レーン1および7は、分子量サイズマーカー100bp DNA Ladderである。レーン2〜4は、19pmolのエンドヌクレアーゼV、それぞれ8、4、2pmolのプライマーを使用した場合の結果である。また、19pmolのエンドヌクレアーゼV、16pmolのプライマー、200amolおよび20amolの鋳型を用いた場合の結果はそれぞれレーン5および6である。レーン8〜10は、29pmolのエンドヌクレアーゼV、それぞれ8、4、2pmolのプライマーを用いた場合の結果である。これらの結果から、上記条件においては、4〜16pmolのプライマー、また20amol、200amol、2fmolの鋳型量を使用した場合、特異的な単一バンド(約240bp)の増幅産物が得られることがわかった。
(3)塩化マグネシウム濃度およびdNTP濃度
反応液中の塩化マグネシウム濃度を2〜12mMの範囲としてEVAにより核酸を増幅した。まず、EVA反応液を次の手順で調製した。酵素(Bst DNAポリメラーゼと変異型TmaエンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量47μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM へペスバッファー(pH7.4)、2、4、5、6、7、8または12mMの塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、200amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、19pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、65℃で1時間保温して反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけた。泳動後のアガロースゲルを臭化エチジウムで染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した。その結果、上記条件においては、塩化マグネシウムが終濃度4mMの場合に最も明瞭に目的とする増幅産物が検出されることがわかった。
次に、反応液中のdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)濃度を0.2〜1.0mMとしてEVAにより核酸を増幅した。まず、上記と同様の手順で、EVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、0.2、0.4、0.6、0.8または1.0mMの各dNTP、16pmolの各プライマー、200amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、19pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
調製したこれらのEVA反応液を、65℃で1時間保温して反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけた。泳動後のアガロースゲルを臭化エチジウムで染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した。その結果、上記条件においては、各dNTPが終濃度0.2〜0.4mMのとき、明瞭に目的とする増幅産物が得られることがわかった。
図17のレーン5および6に、4mM 塩化マグネシウム、0.4mMの各dNTP、200および20amolの鋳型を用いた場合の結果をそれぞれ示した(他の反応組成、反応条件は上記と同様)。
(4)塩類の種類と濃度およびベタインの濃度
反応液中に共存させる塩類として酢酸カリウムを用い、その濃度を50〜150mMとしてEVAにより核酸を増幅した。まず、EVA反応液を次の手順で調製した。酵素(Bst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、50、75、100、125または150mMの酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、200amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、3.8pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、65℃にて90分間または2時間保温して反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけた。泳動後のアガロースゲルを臭化エチジウムで染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した。その結果、上記条件においては、酢酸カリウムが終濃度100〜125mMの範囲で目的とする増幅産物が得られることがわかった。
また、上記と同様の手順で、反応液中に共存させる塩類として塩化カリウム(10〜130mM)を用いてEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、10、30、50、70、90、110または130mMの塩化カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、200amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ、7.7pmolの変異型TmaエンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、65℃にて2時間保温した。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した。その結果、上記条件においては、塩化カリウムが終濃度70〜90mMとした場合、目的とする増幅産物が確認された。
さらに、上記と同様の手順でEVA反応液中のベタイン(N、N、N−トリメチルグリシン)の濃度を0.5〜1.5MとしてEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、0.5、1.0または1.5Mのベタイン、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、200amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ、3.8pmolの変異型TmaエンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、65℃にて90分間保温して反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図18に示す。
図18において、レーン1は分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder(東洋紡社製)であり、レーン2は終濃度1.5M ベタイン、レーン3は終濃度1.0M ベタイン、レーン4は終濃度0.5M べタインを用いた場合の結果である。この結果から、上記条件においては、ベタインの終濃度が0.5〜1.0Mの場合に目的とする増幅産物が得られることがわかった。
(5)インキュベーションの温度
反応のインキュベーションの温度を48〜70℃の範囲としてEVAにより核酸を増幅した。まず、反応液を次の手順で調製した。酵素(Bst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼV)を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、20amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、19pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を複数調製し、グラジエントサーマルサイクラーMJ Opticon(エムジェイジャパン社製)上でそれぞれを48〜70℃の範囲の異なる一定温度に保持し、1時間インキュベートすることにより反応させた。反応終了後、各反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した。その結果、上記条件においては、インキュベーション温度が64℃のときに、良好な増幅が確認された。
<実施例11>Bacillus caldotenax由来のDNAポリメラーゼを使用したEVA
鎖置換型DNAポリメラーゼとして、Bacillus caldotenax由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損DNAポリメラーゼ(Bca DNAポリメラーゼ)を使用し、EVAにより核酸を増幅した。反応液を次の手順で調製した。まず、酵素を除く全ての成分を含む反応液を全量45.5μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBca DNAポリメラーゼと変異型TmaエンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの各プライマー(配列番号11および12のプライマー)、2fmolのpUC18、5UのBca DNAポリメラーゼ(BcaBEST DNAポリメラーゼ、タカラバイオ社製)、3.8pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、60℃にて1時間保温して反応させた。反応終了後、反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけた。泳動後のアガロースゲルを臭化エチジウムで染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した。そのときの電気泳動像を図18のレーン5に示した。この結果、予測される長さの特異的なバンド(約240bp)が確認され、増幅産物が得られたことがわかった。
<実施例12>アウタープライマーを用いたEVA
アウタープライマーを用いてEVAにより核酸を増幅した。鋳型として環状プラスミドpUC18を、プライマーとして配列番号11および12に示したオリゴヌクレオチドを、アウタープライマーとして配列番号15および16に示したオリゴヌクレオチドを使用した。配列番号15のアウタープライマーは、pUC18鋳型上において、配列番号11のプライマーがアニーリングする領域の17塩基ほど上流の位置にアニーリングするように設計した。また、配列番号16のアウタープライマーは、pUC18鋳型上において、配列番号12のプライマーがアニーリングする位置の17塩基ほど上流の位置にアニーリングするように設計した。
EVA反応液を次の手順で調製した。まず、酵素を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNAポリメラーゼと変異型TmaエンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mMジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、0.5mM ベタイン、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの配列番号11のプライマー、16pmolの配列番号12のプライマー、4pmolの配列番号15のアウタープライマー、4pmolの配列番号16のアウタープライマー、20amolのpUC18、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、3.8pmolの変異型TmaエンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。
上記EVA反応液を、65℃にて90分間保温した。反応終了後、反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図18のレーン6に示す。この結果から、予測される長さの特異的なバンド(約240bp)が確認され、増幅産物が得られたことがわかった。
<実施例13>非標的核酸の共存下における標的核酸の増幅
標的核酸配列を有する鋳型として環状プラスミドpUC18を用い、標的ではない核酸(非標的核酸)が大量に存在する条件下で、EVAにより核酸を増幅した。
EVA反応液を次の手順で調製した。まず、酵素を除く全ての成分を含む反応液を全量46μlとなるように調製した。次に反応液を95℃にて5分間保持し、その後氷上で冷却した。続いて、その反応液にBst DNA ポリメラーゼと変異型Tma エンドヌクレアーゼVを添加して混合し、最終的に全量50μlのEVA反応液[最終組成:10mM ヘペスバッファー(pH7.4)、4mM 塩化マグネシウム、1mM ジチオトレイトール、100mM 酢酸カリウム、0.5mM ベタイン、各0.4mMのdNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、16pmolの配列番号11のプライマー、16pmolの配列番号12のプライマー、2fmolのpUC18、1μgのpET16b、16UのBst DNAポリメラーゼ(New England Biolabs社製)、3.8pmolの変異型Tma エンドヌクレアーゼV、超純水]を調製した。ここで使用した環状プラスミドpET16bは、使用したプライマーの標的となる核酸配列を持っていない。また使用したpET16bの量は、増幅なしに電気泳動で観測可能なほど大量である。
上記EVA反応液を、65℃にて90分間保温した。反応終了後、反応液から5μlを分取して、2.0% アガロースゲル電気泳動にかけて臭化エチジウムでゲルを染色した後、UV照射下で増幅産物の有無を確認した結果を図18のレーン8に示す。なお、図18のレーン7は分子量サイズマーカー100bp DNA Ladder(東洋紡社製)である。この結果、レーン8において、分子量の大きな大量のpET16bに由来するバンドとは別に、予測される長さの特異的なバンド(約240bp)が増幅産物として確認された。このことから、EVA反応液中において、微量の標的核酸核酸配列の存在に対して、非標的核酸配列が大過剰に共存する場合でも、標的核酸配列のみが特異的に増幅されることがわかった。
<実施例14>様々な変異型エンドヌクレアーゼVを用いた増幅
実施例1(2)で作製したY80AおよびD105A変異を導入した変異型エンドヌクレアーゼV遺伝子を有する組換え体DNA(pET16 TmaEVM2)を鋳型として用い、実施例1(2)と同様の方法で、アミノ酸Zをさらに別のアミノ酸に変えた変異型エンドヌクレアーゼVの遺伝子を作製した。
表2に示すオリゴヌクレオチドを変異導入用プライマーとして用い、アミノ酸Zが、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミンの変異型エンドヌクレアーゼV遺伝子を有する組換え体DNAを作製した(それぞれ、pET16 TmaEVM2−2、pET16 TmaEVM2−3、pET16 TmaEVM2−4、pET16 TmaEVM2−5、pET16 TmaEVM2−6、pET16 TmaEVM2−7と呼ぶ)。
さらに実施例1(3)と同様の方法で、各々の変異型エンドヌクレアーゼVの発現と精製を行った。このようにして、アミノ酸Zが、グリシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミンの変異型エンドヌクレアーゼV酵素標品を得た(それぞれ、TmaEVM2−2、TmaEVM2−3、TmaEVM2−4、TmaEVM2−5、TmaEVM2−6、TmaEVM2−7と呼ぶ)。これらの酵素はいずれも特願2005−308533に開示されたエンドヌクレアーゼVの切断活性測定法と同様の方法によって、野生型エンドヌクレアーゼVよりも高い特異性を有し、実施例1で作製したY80AおよびD105A変異を導入した変異型エンドヌクレアーゼVと同等またはそれ以上の高い特異性を有することが確認された。これらの酵素を用い、実施例8と同様の方法でEVAを実施したところ、いずれの酵素もEVAに使用できることが示された。さらに、アミノ酸Zがグルタミン酸、アスパラギン、およびグルタミンの変異型エンドヌクレアーゼV(TmaEVM2−5、TmaEVM2−6、およびTmaEVM2−7)は、実施例1で作製した変異型エンドヌクレアーゼVよりもさらに特異性が高く、より好ましくEVAに使用することができるエンドヌクレアーゼVの例であることが示された。
<実施例15>(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの使用
(α−S)ヌクレオチドを様々な位置および割合で含有するプライマーセットを用いて、実施例8と同様のEVA反応を実施した。使用したプライマーセットおよびその増幅結果を表3に示す。
表3から分かるように、プライマーセットS01〜S05を使用した反応では増幅産物が得られた。すなわち、プライマーの塩基Xの上流側の領域の全ヌクレオチドのうち、少なくとも1つ以上、約60%以下のヌクレオチドが(α−S)ヌクレオチドであるプライマーセットでは増幅産物が得られた。一方、プライマーの塩基Xの上流側の領域の全ヌクレオチドが(α−S)ヌクレオチドであるプライマー(プライマーセットS06)では増幅が起こらなかった。
<実施例16>1本鎖核酸結合タンパク質の使用
実施例8と同様の反応組成のEVA反応液50μl中に、さらに0.5〜3μgの大腸菌SSBタンパク質(SIGMA)、大腸菌RecAタンパク質(NEB)、またはT4ファージgp32(NEB)をそれぞれ添加し、実施例8と同様の反応条件でEVAを実施した。この結果、大腸菌RecAタンパク質およびT4ファージgp32について、試験をした範囲において増幅反応が起きた。大腸菌SSBタンパク質では1.5μgより多く添加した場合に増幅反応が起こらず、EVA反応が阻害されることが示された。従って、EVAに用いる1本鎖核酸結合タンパク質の好ましい量は、反応混合物50μl中に大腸菌SSBタンパク質は約0.5〜1.5μg、大腸菌RecAタンパク質およびT4ファージgp32は約0.5〜3μgの範囲内であることが分かった。
本発明の核酸増幅方法は、次の(1)〜(9)の利点を有しており、産業上非常に有用である。
(1)高価な温度サイクリング装置が不要な等温反応条件の下で核酸の合成と増幅を達成する核酸配列の増幅方法を提供できる。
(2)使用するプライマーが少なくとも1つの塩基Xを含んでいればよいことから、プライマー設計における制約が少ない。
(3)DNA合成用の基質として、コスト高につながる修飾dNTP[例えばα−S−dNTPなど)を大量に用いる必要のない、核酸配列の増幅方法を提供できる。
(4)修飾ヌクレオチドを多量に含む核酸断片や、標的配列が何度も繰り返した異なる長さの核酸断片の混合物といった、次工程での利用に制約のあるような増幅産物を与えない、核酸配列の増幅方法を提供できる。
(5)標的配列中に特定の制限酵素認識部位が存在するか否かに依存しないで、任意の配列領域を標的とすることのできる、核酸配列の増幅方法を提供できる。
(6)環状の鋳型核酸を調製するための付加的な前工程を必須としない、核酸配列の増幅方法を提供できる。
(7)ある1つの標的配列の増幅を達成するのに多数の領域に対して複雑かつ制約の多いプライマー配列の設計をするような必要のない、核酸配列の増幅方法を提供できる。
(8)不安定で分解されやすいRNA成分をプライマー分子中に含有せしめる必要のない、核酸配列の増幅方法を提供できる。
(9)反応に酵素活性のためのエネルギー供給物質としてのATPやdATPなどのコファクターを反応中に大量に存在させる必要がなく、また反応中にATP再生系を共存させる必要のない、核酸配列の増幅方法を提供できる。
(10)必ずしも標的核酸の配列の全てが既知である必要はなく、既知の限られた配列情報に基づいて設計したプライマーを用い、未知の核酸配列を含む増幅産物を得ることが可能である。
本発明の一態様である、少なくとも1つのプライマーを用いる核酸配列の増幅方法を説明するための模式図を示す。 本発明の一態様である、第1のプライマーと第2のプライマーを用いる核酸配列の増幅方法を説明するための模式図を示す。 本発明の一態様である、第1のプライマーと第2のプライマーを用いる核酸配列の増幅方法を説明するための模式図を示す。 本発明の一態様である、プライマーの鋳型核酸への特異的なアニーリング、DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応若しくは鎖置換反応およびエンドヌクレアーゼVによるホスホジエステル結合の切断反応のいずれか2または3が、同一の鋳型核酸上で行われる核酸配列の増幅方法を説明するための模式図を示す。 本発明の核酸の増幅方法の一態様における鋳型交換反応を説明するための模式図を示す。 本発明に使用する塩基Xおよび塩基Xを有するヌクレオチド残基(デオキシリボヌクレオチドの場合)の例を示す図である。 線状DNA断片を鋳型として、本発明の核酸増幅方法により得られた増幅産物のアガロース電気泳動像を示す図である。 本発明の核酸増幅方法により得られた増幅産物の制限酵素消化物のアガロースゲル電気泳動像を示す図である。 環状プラスミドDNAを鋳型として、本発明の核酸増幅方法により得られた増幅産物のアガロース電気泳動像を示す図である。 環状プラスミドDNAを鋳型として、本発明の核酸増幅方法により得られた増幅産物のアガロース電気泳動像を示す図である。 環状プラスミドDNAを鋳型として、本発明の核酸増幅方法により得られた増幅産物のアガロース電気泳動像を示す図である。 鋳型の熱変性段階を含む本発明の核酸増幅方法により得られた増幅産物のアガロースゲル電気泳動の写真を示す。 本発明の核酸増幅方法による増幅産物の制限酵素消化物のアガロースゲル電気泳動像を示す図である。 本発明の核酸増幅方法における反応組成の必須成分を検討し、アガロース電気泳動像により解析した結果を示す図である。 1種類のプライマーを用いて、本発明の核酸増幅方法により得られた増幅産物のアガロース電気泳動像を示す図である。 本発明の方法により増幅された増幅産物をアガロース電気泳動像により解析した結果を示す図である。 本発明の方法により増幅された増幅産物をアガロース電気泳動像により解析した結果を示す図である。 本発明の方法により増幅された増幅産物をアガロース電気泳動像により解析した結果を示す図である。
配列番号1:エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列。
配列番号2:変異型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列。
配列番号3:エンドヌクレアーゼV遺伝子増幅用上流側プライマーとして設計されたDNA。
配列番号4:エンドヌクレアーゼV遺伝子増幅用下流側プライマーとして設計されたDNA。
配列番号5:Y80A変異導入用オリゴヌクレオチド1として設計されたDNA。
配列番号6:Y80A変異導入用オリゴヌクレオチド2として設計されたDNA。
配列番号7:D105A変異導入用オリゴヌクレオチド1として設計されたDNA。
配列番号8:D105A変異導入用オリゴヌクレオチド2として設計されたDNA。
配列番号9:デオキシイノシン含有プライマー PIT321−01として設計されたDNA。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号10:デオキシイノシン含有プライマー PIT541−01として設計されたDNA。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号11:デオキシイノシン含有プライマー PIT321−04として設計されたDNA。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号12:デオキシイノシン含有プライマー PIT541−04として設計されたDNA。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号13:デオキシイノシン含有プライマー PIT1849−02として設計されたDNA。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号14:デオキシイノシン含有プライマー PIT2454−02として設計されたDNA。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号15:アウタープライマー PIT321−OP1として設計されたDNA。
配列番号16:アウタープライマー PIT541−OP1として設計されたDNA。
配列番号17:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号18:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号19:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号20:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号21:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号22:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号23:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号24:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号25:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号26:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号27:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号28:変異導入用プライマーの塩基配列。
配列番号29:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号30:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号31:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号32:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号33:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号34:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号35:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号36:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号37:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号38:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号39:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。
配列番号40:(α−S)ヌクレオチド含有プライマーの塩基配列。ヌクレオチド配列中のiはデオキシイノシンを示す。

Claims (48)

  1. 以下の工程(I)および(II)を含む、核酸配列の増幅方法。
    (I)少なくとも以下を含有する反応混合物を調製する工程
    (i)鋳型核酸
    (ii)デオキシリボヌクレオチド3リン酸
    (iii)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼ
    (iv)エンドヌクレアーゼV
    (v)少なくとも1種類のプライマー(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである。)
    (II)工程(I)で調製された反応混合物を、以下の反応が行える温度条件で増幅産物を生成するのに充分な時間インキュベートする工程
    (i)プライマーの鋳型核酸への特異的なアニーリング
    (ii)DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応および鎖置換反応
    (iii)エンドヌクレアーゼVによる塩基Xを含む核酸鎖中の塩基Xの認識および該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合の切断反応
  2. 反応混合物中に少なくとも2種類のプライマーが含まれる、請求項1に記載の核酸配列の増幅方法。
  3. 以下の工程(a)〜(f)を含む、請求項1または2に記載の核酸配列の増幅方法[ここで工程(c)〜(f)は連続的に反復される。]。
    (a)少なくとも1種類のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
    (b)DNAポリメラーゼによって、工程(a)で鋳型核酸にアニーリングさせたプライマーから、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
    (c)エンドヌクレアーゼVによって、工程(b)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(c)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (e)エンドヌクレアーゼVによって、工程(d)で生成された2本鎖核酸のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (f)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(e)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
  4. 以下の工程(a)〜(l)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法[ここで工程(c)〜(f)、および工程(i)〜(l)は連続的に反復される。]。
    (a)少なくとも1種類の第1のプライマーを鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
    (b)DNAポリメラーゼによって、工程(a)で鋳型核酸にアニーリングさせた第1のプライマーから、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
    (c)エンドヌクレアーゼVによって、工程(b)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (d)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(c)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (e)エンドヌクレアーゼVによって、工程(d)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (f)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(e)で新たに提供された第1のプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (g)工程(d)または(f)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、少なくとも1種類の第2のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程(ここで該プライマーは、該鋳型核酸の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、かつエンドヌクレアーゼVによって認識されうる塩基Xを少なくとも1つ含有するオリゴヌクレオチドプライマーである)
    (h)DNAポリメラーゼによって、工程(g)で鋳型核酸にアニーリングさせた第2のプライマー鎖から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
    (i)エンドヌクレアーゼVによって、工程(f)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (j)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(i)で第2のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (k)エンドヌクレアーゼVによって、工程(j)で生成された2本鎖核酸における第2のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (l)工程(k)でプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
  5. さらに以下の工程(m)〜(y)を含む、請求項4に記載の核酸配列の増幅方法[ここで工程(m)〜(y)は連続的に反復される。]。
    (m)工程(j)または(l)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、工程(a)に記載の第1のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程
    (n)DNAポリメラーゼによって、工程(m)で鋳型核酸にアニーリングした第1のプライマーから、鋳型核酸に相補的な伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
    (o)エンドヌクレアーゼVによって、工程(n)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (p)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(o)で第1のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (q)エンドヌクレアーゼVによって、工程(p)で生成された2本鎖核酸における第1のプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (r)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(q)で第1のプライマー伸長鎖に新たに提供された3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (s)工程(p)または(r)で鎖置換によって遊離した核酸を鋳型核酸とし、工程(g)に記載の第2のプライマーを該鋳型核酸にアニーリングさせる工程
    (t)DNAポリメラーゼによって、工程(s)で鋳型核酸にアニーリングした第2のプライマーから、鋳型核酸に相補的な伸長鎖を合成して2本鎖核酸を生成させる工程
    (u)エンドヌクレアーゼVによって、工程(t)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合が切断されることによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (v)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(u)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (w)エンドヌクレアーゼVによって、工程(v)で生成された2本鎖核酸におけるプライマー伸長鎖中の塩基Xが認識され、該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合を切断することによりプライマー伸長鎖に新しい3´末端を提供する工程
    (x)鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによって、工程(w)で新たに提供されたプライマー伸長鎖の3´末端から、鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成による2本鎖核酸の生成と、鎖置換を行う工程
    (y)工程(v)または(x)で鎖置換によって遊離した核酸が、鋳型核酸として工程(m)に利用される工程
  6. 以下の(i)〜(iii)のいずれか2または3が同一の鋳型核酸分子上で行われる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
    (i)プライマーの鋳型核酸への特異的なアニーリング
    (ii)DNAポリメラーゼによる伸長鎖合成反応および鎖置換反応
    (iii)エンドヌクレアーゼVによる塩基Xを含む核酸鎖中の塩基Xの認識および該塩基Xより下流側(3´側)に位置するホスホジエステル結合の切断反応
  7. 鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼによる、第1のプライマー鎖の3´末端からの鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成、および第2のプライマー鎖の3´末端からの鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成が、同一鋳型核酸分子上で互いに向かい合う方向で行われる、請求項4または5に記載の核酸配列の増幅方法。
  8. 鋳型核酸に相補的なプライマー伸長鎖の合成が鋳型交換反応を伴う、請求項7に記載の核酸配列の増幅方法。
  9. 各工程が等温で行われる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  10. 鋳型核酸が、1本鎖DNA、2本鎖DNAまたは部分的に1本鎖領域を有する2本鎖DNAである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  11. 鋳型核酸が2本鎖DNAであり、2本鎖DNAを1本鎖DNAにする工程の後に実施される、請求項10に記載の核酸配列の増幅方法。
  12. 2本鎖DNAを1本鎖DNAにする工程が熱変性によって行われる、請求項11に記載の核酸配列の増幅方法。
  13. 鋳型核酸がRNAを鋳型とする逆転写反応によって得られたcDNAである、請求項10〜12のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  14. RNAを鋳型とする逆転写反応によってcDNAを合成する工程の後に実施される、請求項13に記載の核酸配列の増幅方法。
  15. 逆転写酵素活性を有するDNAポリメラーゼを逆転写酵素として逆転写反応に使用する、請求項13または14に記載の核酸配列の増幅方法。
  16. 鋳型核酸中の増幅する領域かつプライマーがアニーリングしない領域に、1塩基以上からなる未知の塩基配列領域が含まれる、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法による未知の核酸配列の増幅方法。
  17. 反応混合物中に融解温度調整試薬が含まれる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  18. 融解温度調整試薬がベタインである、請求項17に記載の核酸配列の増幅方法。
  19. 反応混合物中に1本鎖核酸安定化剤が含まれる、請求項1〜18のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  20. 反応混合物に塩基Xを含有するプライマーがアニーリングする領域より上流側(5´側)の領域にアニーリングするアウタープライマーがさらに含まれる、請求項1〜19のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  21. 塩基Xが、ヒポキサンチン、キサンチン、ウラシル、オキサニンおよびAPサイト(apurinic/apyrimidinic siteまたはabasic site)からなる群より選択されるものである、請求項1〜20のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  22. 塩基Xがヒポキサンチンまたはウラシルである、請求項21に記載の核酸配列の増幅方法。
  23. 塩基Xの5´側に隣接する塩基がアデニンまたはチミンである、請求項1〜22のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  24. 塩基Xの3´側に隣接する塩基がアデニンまたはチミンである、請求項1〜23のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  25. プライマーにおいて塩基Xより下流側(3´側)の塩基が存在しないか、またはプライマーの塩基Xより下流側(3´側)の塩基数が1〜50塩基である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  26. プライマーにおいて塩基Xより上流側(5´側)の塩基数が10〜100塩基である、請求項1〜25のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  27. プライマーに1以上のヌクレアーゼ耐性を示す修飾ヌクレオチドが含まれる、請求項1〜26のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  28. プライマーの塩基Xの上流側(5´側)の全ヌクレオチド中のヌクレアーゼ耐性を示す修飾ヌクレオチドの含有量が60%以下である請求項27に記載の核酸配列の増幅方法。
  29. 修飾ヌクレオチドが、ヌクレオチドのα位のリン原子に結合している酸素原子が硫黄原子に置換された(α−S)ヌクレオチドである、請求項27または28に記載の核酸配列の増幅方法。
  30. 鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼが、大腸菌由来のDNAポリメラーゼIのクレノウ断片、バクテリオファージφ29由来のphi29 DNAポリメラーゼ、バチルス ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bst DNAポリメラーゼおよびバチルス カルドテナックス(Bacillus caldotenax)由来の5´→3´エキソヌクレアーゼ欠損Bca DNAポリメラーゼのいずれか1である、請求項1〜29のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  31. エンドヌクレアーゼVが、非特異的な核酸切断活性を示さず、かつ、特異的な核酸切断活性を示す変異型の特異的エンドヌクレアーゼVである、請求項1〜30のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  32. 特異的な核酸切断活性がデオキシイノシン特異的な核酸切断活性である、請求項31に記載の核酸配列の増幅方法。
  33. 変異型の特異的エンドヌクレアーゼVが、野生型エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における、
    (a)80位のアミノ酸、またはサーモトガ・マリチマ(Thermotoga maritima)エンドヌクレアーゼVの80位と同等位置のアミノ酸が、他のアミノ酸Z1に変異されており、かつ、
    (b)105位のアミノ酸、またはサーモトガ・マリチマ エンドヌクレアーゼVのアミノ酸配列における105位と同等位置のアミノ酸が、他のアミノ酸Zに変異されている、請求項31または32に記載の核酸配列の増幅方法。
  34. アミノ酸Zがアラニン、グリシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、フェニルアラニンおよびメチオニンのいずれか1である請求項33に記載の核酸配列の増幅方法。
  35. アミノ酸Zがアラニン、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、グリシン、セリン、トレオニンおよびヒスチジンのいずれか1である、請求項33または34に記載の核酸配列の増幅方法。
  36. アミノ酸ZおよびZがともにアラニンである、請求項33〜35のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  37. 野生型エンドヌクレアーゼVが好熱性細菌または好熱性古細菌由来である、請求項33〜36のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  38. 野生型エンドヌクレアーゼVがサーモトガ・マリチマ由来である、請求項33〜37のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  39. 野生型エンドヌクレアーゼVが配列番号1に示すアミノ酸配列を有する、請求項33〜38のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  40. エンドヌクレアーゼVが耐熱性を有する、請求項31〜39のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  41. 変異型の特異的エンドヌクレアーゼVが配列番号2に示すアミノ酸配列を有する、請求項31〜36のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法。
  42. 試料中の標的核酸を検出するための方法であって、請求項1〜41のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法により標的核酸を増幅する工程、該工程により増幅産物が生成したか否かを検知する工程を含む、標的核酸の検出方法。
  43. 核酸の検出剤存在下で請求項1〜41のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法により標的核酸を増幅する工程、該工程により増幅産物が生成したか否かを検出剤由来のシグナル変化に基づいて検知する工程を含む、請求項42に記載の標的核酸の検出方法。
  44. エンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を指示する指示書を記録した媒体を含んでなる、請求項1〜41のいずれか1項に記載の核酸配列の増幅方法に使用される、核酸増幅用試薬キット。
  45. 少なくともエンドヌクレアーゼV、または少なくともエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含有する、請求項44に記載の核酸増幅キット。
  46. エンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼの使用を指示する指示書を記録した媒体を含んでなる、請求項42または43に記載の標的核酸の検出方法に使用される、核酸検出用試薬キット。
  47. 少なくともエンドヌクレアーゼV、または少なくともエンドヌクレアーゼVと鎖置換活性を有するDNAポリメラーゼを含有する、請求項46に記載の核酸検出用試薬キット。
  48. エンドヌクレアーゼVが変異型エンドヌクレアーゼVである請求項44〜47のいずれか1項に記載の核酸増幅用試薬キット。
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