JP2007536578A - 中実型単一偏波ファイバ及び装置 - Google Patents
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Abstract
短径(a),長径(b)及び第1の屈折率(n1)を有する中心細長断面コア(30)、中心細長断面コアを囲み、第2の屈折率(n2),外径(c)及び外径(d)を有するモート(40)並びに、モート(40)を囲み、第3の屈折率(n3)を有するクラッド(50)を有し、n1>n3>n2であり、比b/aが1.5と5.0の間にあって、比d/aが2.0と7.0の間にある、光ファイバ(20)が開示される。ファイバ(20)は単一偏波帯域(SPB)内で単一の(1つ、しかもその1つだけの)偏波をサポートする。ファイバ(20)は、単一偏波特性が望まれる装置において光コンポーネントに結合させることができる。
Description
本発明は全般的には光導波路ファイバに関し、さらに詳しくは単一偏波特性を示す光ファイバに関する。
単一偏波光ファイバは、超高速伝送システムのためや、光コンポーネント(レーザ、EDFA(エルビウムドープファイバ増幅器)、光計器、干渉計センサ、ジャイロスコープ等)とともに使用するため及びこれらの光コンポーネントとの接続のためのカップラファイバとして用いるために有用である。偏波特性(単一偏波)は、単一偏波帯域内で、2つの直交偏波の内の一方、しかもその一方だけを伝搬させ、他方の偏波はその伝送損失を劇的に高めることによって抑制する。
(偏波保存ファイバと称されることもある)偏波保持ファイバは2つの概ね直交する軸上で入力偏波を保存することができる。一般の偏波保存ファイバは応力誘起複屈折部材を有し、図1に示されるように、内層クラッド領域11で囲まれた中心コア10を有する。コア10及びクラッド領域11は光導波路の形成に用いられる通常の材料で形成される。コア材料の屈折率はクラッド材料の屈折率より高い。単なる例として、コア10は、酸化ゲルマニウムのような、シリカの屈折率を高める1つまたはそれより多くのドーパントを含有するシリカからなることができる。クラッド領域11は純シリカ、コア10より少量のドーパントを含有するシリカまたは、少なくとも1つはシリカの屈折率を低めるホウ素またはフッ素のような元素の酸化物である、1つまたはそれより多くの屈折率下げドーパントを含有するシリカからなることができる。
図1においては、クラッド材料11の熱膨張係数(TCE)とは異なるTCEを有するガラス材料で形成された2つの応力誘起領域12がコア10を挟んで直径方向に対向している。そのようなファイバが線引きされる場合、軸方向に延びる領域12及び領域12に直交方向に配されたクラッド領域は、相異なる大きさの収縮を受け、よって領域12は伸張歪または圧縮歪をもつ状態になるであろう。(応力誘起複屈折とも称される)歪誘起複屈折がファイバに与えられ、よって2つの直交偏光基本モード間の結合を弱める。外層クラッド領域13が領域12を囲み、外層クラッド領域13の屈折率は内層クラッド領域11の屈折率以下であることが好ましい。領域13は、例えば、クラッド領域11としての使用について上に挙げた材料のいずれかからなることができる。そのような、これらの応力誘起領域12を有するファイバが単一偏波特性を提供しないことは当然である。
相異なる偏波の減結合手段として、ファイバコアの形状を細長くするかまたは歪めることによって、単一モード光ファイバの偏波性能における若干の改善が達成された。そのような細長コアを有する光ファイバ導波路の例は特許文献1,2及び3に開示されている。従来技術の図2は、屈折率がn1のコア4,屈折率がn2のクラッド5を有し、細長コア4が長軸a及び短軸bを有する、導波路1を示す。しかし、一般に、非円形状だけでは所望の単一偏波特性を提供するのに十分ではない。
米国特許第4184859号明細書
米国特許第4274854号明細書
米国特許第4307938号明細書
したがって、単一偏波特性を提供することになり、製造も容易な、光ファイバを得ることが進行中の開発領域であった。
定義
以下の定義及び用語は技術上普通に用いられている。
以下の定義及び用語は技術上普通に用いられている。
屈折率プロファイル−屈折率プロファイルは、ファイバの選択された部分にわたる屈折率(Δ%)と(光ファイバの中心線から測定される)光ファイバ半径の間の関係である。
半径−ファイバのセグメントの半径は一般に、用いられる材料の屈折率が異なる組成についてとる点に関して定められる。例えば、セグメントの第1の点は中心線上にあるから、中心コアの内半径はゼロである。中心コアセグメントの外半径は導波路の中心線から正のデルタを有する中心コアの屈折率の最終点まで引かれた半径である。第1の点が中心線から外れているセグメントについては、導波路の中心線から第1の屈折率点の位置までの半径がそのセグメントの内半径である。同様に、導波路の中心線からセグメントの最終屈折率点の位置までの半径がそのセグメントの外半径である。例えば、中心コアを囲む屈折率下げドープされた環状セグメントは環状セグメントとクラッドの間の界面にある外半径を有することになろう。
によって定められる屈折率の相対尺度を表し、niはiとして表される屈折率プロファイルセグメントの最高屈折率であり、基準屈折率ncはクラッド層の屈折率にとられる。セグメントのいかなる点もクラッドに対して測られた随伴相対屈折率を有する。
本発明の実施形態にしたがえば、単一偏波帯域(SPB)内で単一偏波特性を示す光ファイバが提供される。ファイバパラメータはSPBが動作波長帯域に一致するように選ばれることが好ましい。ファイバは、第1の屈折率(n1)を有し、短径(a)及び長径(b)を有する中心細長断面コアと、中心細長断面コアを囲み、中心細長断面コアに接する、第2の屈折率(n2)を有し、長径(b)に合せられた軸X-Xに沿う外径(c)及び短径(a)に合せられた軸Y-Yに沿う外径(d)を有するモートと、モートを囲む、第3の屈折率(n3)を有するクラッドとを有することが好ましく、ここで、軸X-Xと軸Y-Yは概ね直交し、n1>n3>n2であり、比b/aは1.5と5.0の間にあり、比d/aは2.0と7.0の間にある。
本光ファイバ構造は、好ましくは少なくとも5nmであり,さらに好ましくは10nmより広い、SPB幅を示す性能を生じる。特に、本ファイバはファイバの軸線に沿って延びるいかなる孔も実質的にもたないことが好ましい。すなわち本ファイバは断面が中実である。本ファイバでは、直交する偏波のそれぞれに関係付けられる実効屈折率がSPB内で実質的に相異なるようにつくられるから、優れた単一偏波特性が得られると考えられる。さらに詳しくは、偏波の内の一方の実効屈折率の値はこの偏波がSPB内で伝搬できないような値であり、他方の直交偏波に関係付けられる実効屈折率の値はこの偏波がまだSPB内で伝搬できるような異なる値である。したがって、構造が比較的簡単なファイバによってSPB内の単一偏波伝搬が提供される。本発明のファイバは、比較的簡単な構造を有し、好ましくは、強度を低下させ、減衰を弱める可能性がある孔をもたないという利点を有する。さらに、本発明のファイバは永久接続が比較的容易である。
本発明の別の態様にしたがえば、比c/bは、好ましくは4.0未満、さらに好ましくは2.75未満であり、いくつかの実施形態においては1.8未満である。好ましい実施形態にしたがえば、外径(d)は外径(c)より短いことが好ましい。中心細長断面コアは酸化ゲルマニウムドープシリカを含むことが好ましく、モートはフッ素ドープシリカまたはホウ素ドープシリカを含むことが好ましい。中心細長断面コアに対する好ましい最大相対屈折率(Δ1)は0.2%より大きく、0.5%と2.5%の間にあることがさらに好ましい。同様に、モートの好ましい相対屈折率(Δ2)は−0.15%より負側に大きく、−0.15%と−0.8%の間にあることがさらに好ましい。好ましい態様において、比b/aは1.5と5.0の間にあり、いくつかの実施形態においては1.8と3.5の間にある。
本発明の別の実施形態にしたがえば、第1の屈折率(n1)を有し、短径(a)及び短径(a)より長い長径(b)を有する中心細長断面コア、中心細長断面コアを囲む、第2の屈折率(n2)を有し、長径(b)に合せられた軸に沿う外径(c)及び短径(a)に合せられた軸に沿う外径(d)を有するモート及び、モートを囲む、第3の屈折率(n3)を有するクラッドを有し、ここで:
n1>n3>n2であり、
比b/aが1.5と5.0の間にあり、
比d/aが2.5と5.0の間にある、
光ファイバが提供される。
n1>n3>n2であり、
比b/aが1.5と5.0の間にあり、
比d/aが2.5と5.0の間にある、
光ファイバが提供される。
本発明の別の実施形態にしたがえば、0.2%と2.5%の間の相対屈折率(Δ1)を有し、短径(a)及び長径(b)を有する中心細長断面コアと、中心細長断面コアを囲み、−0.15%より小さい相対屈折率(Δ2)を有し、長径(b)に合せられた軸に沿う外径(c)及び外径(c)に直交する外径(d)を有するモートと、モートを囲むクラッドとを有し、ここで:
比b/aが1.5と5.0の間にあり、
比d/aが2.0と7.0の間にあり、
比c/bが4.0未満である、
光ファイバが提供される。
比b/aが1.5と5.0の間にあり、
比d/aが2.0と7.0の間にあり、
比c/bが4.0未満である、
光ファイバが提供される。
上述したようなファイバはSPB内で優れた単一偏波特性を示す点で有利である。本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を添付図面とともに含む本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。
本明細書における説明の目的のため、本発明に様々な別の構成を、そうではないことが明示されている場合を除いて、想定し得ることは当然である。添付図面に示され、本明細書で以下に説明される特定のファイバは、添付される特許請求の範囲で定められる本発明の概念の例示的な実施形態であることも当然である。したがって、本明細書に開示される実施形態に関する特定の諸元及びその他の物理的特徴は、特許請求項で限定であることが明示されていない限り、限定と見なされるべきではない。本明細書で用いられるように、本明細書に与えられる光学測定値は全て、そうではないことが明示されていない限り、LP01モードにおける値である。
本明細書に説明され、開示される、本発明にしたがう光導波路ファイバ20の第1の実施形態は、図3〜5,7及び10に最善に示されるような、全般的断面構造を有する。図示される実施形態において、光導波路ファイバ20は中実の、すなわち孔をもたない、断面を有し、ファイバ20の軸線CLに沿って延びる中心細長断面コア30を有する。この細長断面コア30は、ファイバの軸線に対しファイバ面内で直交して測られる、長径すなわち最大径b及び短径すなわち最小径aを有し、短径a及び長径bは互いに概ね直交して測られる。中心コア30の断面形状は細長であるとして最善に説明される。術語「細長」は一般に、長円形、卵形、楕円形、菱型等のようなコア形状を含む。そのようなコア引き延ばしはファイバ20に少なくともあるレベルの形状(または幾何)誘起複屈折を与えると考えられる。細長度は、線引きされた光ファイバ20の細長コア30が所望の、本明細書ではb/aとして定義される、アスペクト比ARを示すように、ファイバプロセス(例えば再線引き)中に制御されることが好ましい。コア30のARは、好ましくは1.5より大きく、さらに好ましくは1.5と5.0の間にあり、一層好ましくは1.8から3.5の範囲にあって、実施形態の大部分においては、1.9から3.0の範囲にある。
中心細長断面コア30は酸化ゲルマニウムドープシリカでつくられることが好ましく、ここで酸化ゲルマニウムは、図4及び5に最善に示されるように、ファイバのクラッドの屈折率n3より大きい第1の屈折率n1を示すに十分な量が添加される。酸化ゲルマニウムは、最大相対屈折率パーセントΔ1(図7,10)が、0.2%より大きく、さらに好ましくは1.0%より大きく、一層好ましくは約0.2%と2.5%の間であり、最も好ましくは約0.5%と2.5%の間にある、細長コア30を提供するのに十分な量が添加されることが好ましい。中心細長コア30の断面径a及びbはそれぞれ、好ましくは1.0μmから6.0μm(さらに好ましくは1.0μmから4.0μm)の間、及び好ましくは3.0μmから20.0μmの間(さらに好ましくは3.0μmから12.0μm)の間の範囲になるように設計される。さらに、中心コア30の平均直径D平均=(a+b)/2は約2.0μmと13.0μmの間にあることが好ましく、2.0μmと8.0μmの間にあることがさらに好ましい。中心細長コア30はファイバ20の中心線CLから径方向に外側に広がり、図示されるように、好ましくはステップ型屈折プロファイル形状を有する、屈折率上げドープされたシリカからなる。必要に応じ、ファイバ20のコア30は、図4〜5,7及び10に破線で示されるような、分布屈折率形状を有することができる。
本発明にしたがうファイバ20は好ましくは単一偏波特性を示す。すなわち、ファイバ20は光伝搬の2つの直交基本偏波モードの消光波長λ1,λ2の間で偏波消光波長差を有する。特に、本発明にしたがうそのようなファイバ20は、好ましくは幅が少なくとも5nmであり、さらに好ましくは幅が10nmより広く、一層好ましくは幅が20nmより広く、最も好ましくは幅が25nmより広い、単一偏波帯域(SPB)60を有する。本明細書で定義されるように、SPB60は、直線領域64からの6dB下がった点において測定及び決定される2つの偏波消光波長λ1とλ2の間で測定される(図6を見よ)。
さらに精確には、SPB60は、第1の偏波線61が第2の偏波線62から分れる(離れる)第1の屈曲領域65の頂点における分離点63から6dB下がった点において測定される。SPB60は第1の偏波線61の消光波長と第2の偏波線62の消光波長の間にある波長帯域である。このSPB60内では、真の単一偏波が存在する。すなわち、一方の、しかも一方だけの偏波が提供され、明白に伝搬する。例えば、図6からわかるように、第2の偏波62だけがSPB60内で明らかな伝搬光であり、第1の偏波61は大きく減衰する。この特徴は、一方の、しかも一方だけの偏波の伝搬が望まれるデバイスシステムにおける使用に対する優れた効用を有する。
図6に示される例示的実施形態において、SPB60は波長約1,642nmと波長1,674nmの間に広がり、よって幅が20nmより広く、この場合は幅が約32nmのSPBが得られている。しかし、この範囲は例示であり、その他のSPB幅が設計され、提供され得ることは当然である。例えば、SPB60の幅はコアデルタΔ1を大きくすることで広げることができる。同様に、比b/aを大きく(より細長く)すればSPB幅が広くなるであろう。同様に、クラッドを厚くすることによってSPB60を短波長側にシフトさせることができる。逆に、SPB60を長波長側にシフトさせるためにクラッドの薄化を用いることができる。同様に、モートを浅くすればSPB60は高波長側にシフトする。さらに、D平均を小さくすればSPB60は短波長側に移動するであろう。したがって、いずれかの特定の用途の必要に合せるためにSPBの幅及び/または位置を適切に調節できることは当然である。さらに詳しくは、SPB60は動作波長帯域λ動作に一致するように設計されることが好ましい。SPB60の中心波長は動作波長帯域λ動作の中心波長に実質的に一致することがさらに好ましい。動作波長帯域λ動作は、例えば、800〜2000nm,950〜1250nmまたは1450〜1650nmの範囲におくことができる。
中心細長コア30は、中心コアとは異なる組成を有し、好ましくは第1の屈折率n1より小さい、すなわちn2<n1である、第2の屈折率n2を有するモート40で全体が囲まれ、モート40に接することが好ましい。本明細書で用いられるように、術語「モート」は、細長コア30に比較して低い相対屈折率を有し、細長コア30全体を囲み、好ましくは細長コア30に接する領域を意味する。さらに好ましくは、モート40は純シリカにたいして屈折率下げドープされ、したがって、(クラッドに比較して)負の相対屈折率を有する。最も好ましくは、モート40はフッ素ドープシリカまたはホウ素ドープシリカ、あるいはこれらの組合せでつくられる。さらに、モート40はF,B及びPのいかなる組合せも含むことができる。
モート40は、図7に最善に示されるように、好ましくは約−0.15%より負であり、さらに好ましくは約−0.15%と−0.8%の間にあり、最も好ましくは−0.3%と−0.6%の間にある、(クラッド50より)負の、相対屈折率パーセントΔ2を示すことが好ましい。一般に、モート40のガラスは、所望の線引き温度において中心細長コア30またはクラッド50より粘性が明白に低くなるようにドープされる。モート40は図3に示されるように一般に円形であるか、あるいは外径dを外径cより若干小さくすることができる(図11を見よ)。本実施形態において、径方向断面径c及びdは、比d/cが約0.7と0.95の間にあるような径である。全ての実施形態において、中心細長断面コア30は、実質的にモート40内に中心がおかれることが好ましい。いくつかの実施形態において、モート40の外縁領域は(図3,8及び9に示されるように)細長コア30の最大径すなわち長径bの位置においてコア30に実質的に接するような形につくられる。言い換えれば、これらの接縁実施形態に対して比c/bは1.0にほぼ等しい。
本発明の発明者等は、コア30とモート40の径と形状(比)の適切な組合せによってファイバの優れた単一偏波特性が得られることを見いだした。特に、単一偏波能力を最適化するためには比a/bと比d/aの組合せが重要であると考えられる。動作において、コア30及びモート40に用いられる径と形状及び材料のため、SPB内では直交偏波状態のそれぞれに関係付けられる実効屈折率が実質的に相異なると考えられる。特に、一方の偏波状態のSPB60内での実効屈折率はSPB内での伝搬がおこるような屈折率であり、他方の偏波モードはその実効屈折率がクラッドに非常に近い(好ましくはクラッド以下である)ためSPBの波長範囲内では実効的に伝搬されない(遮断される)、すなわち導波路ではない、ことから非常に損失が大きいことは当然である。
あるいは、図8〜9に最善に示されているように、モート40は、卵形または楕円形あるいは角が丸められた長方形等のような、その他の概ね細長い形状を有するように形成することができる。これらの実施形態において、径bに合された軸(X-X)に沿って測られたモート40の最小径cは好ましくは中心コア30の最大径bに実質的に等しく(すなわちb/c=1.0と)することができる。径cは、コア30とモート40が点e及びfにおいて接する(図8を見よ)ように、コア30の最大径bと同じ軸に沿って(X-Xに沿って)合せられることが好ましい。
本明細書に説明される全ての実施形態において、(短径aに合せられた軸(Y-Y)に沿う)径dの、細長コア30の最小径dに対する比、すなわち比d/aは、好ましくは2.0から7.0、さらに好ましくは2.5から5.0の間の範囲にあり、多くの実施形態においては2.5から4.0の間の範囲にある。ここでも、この比d/aを維持することが、上述した所望の比b/aを維持することともに、良好な単一偏波特性の提供における重要な因子であることが見いだされた。
ファイバクラッド50がモート40を囲み、モート40に接している。クラッド50は好ましくは純シリカでつくられ、第3の屈折率n3を示す。コア30,モート40及びクラッド50の材料は、n1>n3>n2であるように選ばれ、構成される。クラッド50は、好ましくは約80μmと140μmの間の外径、さらに好ましくは約125μmの外径を有するが、いくつかの実施形態において、例えば150μmより大きいクラッド外径を有することができる。ファイバ20は次いで、好ましくは、(明解さのために図示していない)通常の2弾性率コーティングで被覆されて、外径が約250μmになる。
単一偏波ファイバ20のY-Y軸及びX-X軸に沿う相対屈折率プロファイルの概略がそれぞれ、図7及び10に示される。これらの図は、(μm単位の)ファイバ半径に対してプロットされた相対屈折率パーセント(Δ%)を示し、それぞれの軸に沿うプロファイルにおける違いを明白に示す。特に、これらの図は、いずれもクラッド50に対して測られた、中心細長コア30の最大相対屈折率Δ1及びモート40の最小相対屈折率Δ2を示す。したがって、それぞれの軸に沿う屈折率プロファイルが非常に異なり、よってファイバ20によって示される優れた単一偏波特性に寄与していることが容易に認められるはずである。したがって、従来技術のようにモードを減結合するために極端な応力誘起複屈折に依存するのではなく、本発明は、2つの直交偏波におけるコアの実効屈折率を、SPB60内で一方の偏波モードだけが伝搬するであろうように変えることに向けられる。したがって、例えばSi,Ge及びFのような、比較的容易に使用できる成分を用いることによって単一偏波特性を得ることができる。
ファイバ20の別の実施形態が、図11に断面で示される。ファイバ20は、Geドープシリカでつくられた菱型中心コア30,Fドープシリカでつくられた若干細長いモート40及びモートを囲む純シリカでつくられたクラッド領域50を有する。本明細書に説明されるほかの実施形態と同様に、ファイバの高分子材被覆は明解さのために示されていない。コア30はコアデルタΔ1%が0.2%より大きくなるようにドープされ、モート40は約−0.15%より小さいことが好ましい負の相対屈折率Δ2%を与えるのに十分にフッ素ドープされる。Δ1%の絶対値とΔ2%の絶対値の和は0.4%より大きいことが好ましい。
図11の実施形態において、モート40の径cはコア30の径bと等しくはない。先に説明した実施形態とは異なり、径cは径bより大きい。すなわち、コア30は長径bに沿ってモート40と接してはいない。特に、比c/bは1.0より大きく、好ましくは約4.0より小さく、さらに好ましくは3.5より小さく、いくつかの実施形態においては2.75より小さく、あるいは1.8より小さいことさえもある。したがって、本ファイバについての優れた単一偏波特性は、以下の比、4.0より小さい比c/b,1.5から5.0の範囲の比b/a,及び2.0と7.0の間の範囲の比d/a,の組合せが与えられたときに得られる。本実施形態についての比c/dは1.0またはそれより大きくすることができる。
本発明の実施形態にしたがう単一偏波ファイバ20のそれぞれは、設計されたSPB60内での単一偏波(一方、しかも一方だけの、偏波モードの伝送)を可能にする光学特性を示す(例えば図6を見よ)。好ましくは、本発明にしたがうファイバ20のSPB60は約800nmと1700nmの間の波長にあるように設計される。さらに好ましくは、ファイバのSPB60は、その中心波長が注目する動作波長帯域の中心波長に実質的に一致するように設計されるであろう。例えば、SPB60は、980nm,1310nmまたは1550nmの窓/帯域において動作する光コンポーネント及びシステムとともに容易に使用できるように、波長980nm,1310nmまたは1550nmがSPB60内に入るように設計することができる。特に、SPB60の中心波長が注目する動作波長の中心波長と実質的に(±約20nmの範囲内で)一致するように、ファイバパラメータが選択されることが好ましい。
本発明にしたがうファイバ20について本明細書で説明される好ましい構造では以下に説明されような光学測定値が得られる。特に、単一偏波ファイバ20は、帯域幅が(全て1m長で測定して)、好ましくは少なくとも5nmであり,さらに好ましくは10nmより広く、一層好ましくは15nmより広く、最も好ましくは20nmより広い、SPB60を示す。さらに、ファイバ20はSPB60の中心波長において、好ましくは25dB/kmより小さく、さらに好ましくは5dB/kmより小さい、減衰率を示す。以下で説明されるファイバのそれぞれは、図3及び11に示される物理的構造と同様の物理的構造を有するが、コアに関してはステップ型屈折率形状を有する代りに、破線31で示されるような、αが約2の、分布屈折率形状を有する。
それぞれの実験例ファイバ20について、ビート長LBも測定した。詳しくは、直接微分群遅延(DGD)法を用いて、ビート長LBを測定した。ファイバは第1の偏波消光波長λ1まではいずれの偏波についても光を伝送することができるから、テクトロニクス(Tektronics)から入手できるモデルPAT-9000Bを第1の消光波長λ1より短波長でのファイバの微分群遅延(DGD)の測定に用いることができる。この測定から、λ1より短いいかなる波長についてもビート長を計算(外挿)することができる。ビート長は測定されたDGDから下式:
によって計算することができる。
ここで、
λは注目する波長、
Lは試験下にある光ファイバの長さ、及び
cは真空中の光の速度、
である。
λは注目する波長、
Lは試験下にある光ファイバの長さ、及び
cは真空中の光の速度、
である。
図22は実験例ファイバ(実験例4)についてDGDを波長の関数として示す。DGDに波長依存性があることは明らかである。例えば、1420nmにおけるデータを選べば、3.146ピコ秒のDGD値が得られる。したがって、このファイバのこの波長(1420nm)におけるビート長の計算値は2.8mmである。(λ1より短い)いかなる短波長におけるビート長も、式:
を用いて決定することができる。別の例として、実験例2のファイバ20のビート長LBの測定値は1550nmにおいて2.0mmより短かった(約1.7mm)。上式を用いれば、実験例2について980nmにおけるビート長LBは約1.9mmと推定される。これは実験例ファイバの複屈折が大きいことを示す。したがって、SPB60より短い(すなわちλ1より短い)波長において(10mmより短い)短ビート長LBを有する本明細書に説明されるファイバのそれぞれが良好な偏波保存特性を提供するであろうことは当然である。上述した実験例2は、単一偏波帯域より短い波長(例えば1550nm)においてビート長が2.0mmより短い、優れた偏波保存特性を提供する。
さらに、第1の偏波の消光波長λ1,第2の偏波の消光波長λ2及び(2つの偏波の消光波長の間の)単一偏波帯域幅をそれぞれのモデルファイバ20について決定した。それぞれの測定について、300〜2000nmで平坦なスペクトルを有する非偏光白色光源を用いた。次いで偏光子を光入射端に挿入し、消光比の測定によって決定した2つの偏波軸に設定して、それぞれの偏波について消光波長試験を実施した。
単一偏波ファイバ20の減衰率を、(ODTRと標示される)標準的な時間ドメイン反射率計法または(CBと標示される)カットバック法によって測定した。詳しくは、HP8147ODTRで1550nmにおいて、時間ドメイン反射率計(ODTR)法を実施した。カットバック法を、白色光源を用いてファイバの第1の長さ(ほぼ2m)でパワーp1を測定し、次いでファイバを切断して短く(ほぼ1mに)し、パワーp2を測定することで実施した。次いで、減衰率を:
として計算した。ここでLは除去した長さである。波長が指定されていない場合はカットオフ法が用いられたと見なすことができる。ODTR測定を用いた時に、1550nmにおいて、実験ファイバ例について最高の0.004dB/mより小さい減衰率測定値が得られた。特に、カットバック法を用いた時に実験例の内のいくつかが0.04dB/mより小さい減衰率を示した。
本発明にしたがう単一偏波ファイバ20の別の重要な特性は、SPB60内でのdBで表した2つの偏波モードの間でファイバを通して伝送されるパワーの相対強度によって定められる、単一偏波動作に対する消光比(ER)である。図23に示されるように、本発明におけるような、2つの直線偏波モード61,62を有する単一偏波ファイバについては、偏波依存損失(PDL)67の標準的な測定がSPB60内の消光比測定と実質的に等価である。PDL測定に関するさらなる情報は、デニス・デリクソン(Dennis Derickson)編,「ファイバの光学試験及び測定(Fiber Optic Test and Measurement)」,プレンティス−ホール社(Prentice-Hall Inc.),1998年,第9章に見ることができる。本明細書に説明される本発明のファイバ20について、PDLおよびERを測定し、SPB60内で30dBより大きく、さらに好ましくはSPB60内で40dBより大きく、いくつかの実施形態ではSPB60内で50dBより大きい、ER値が示された。図22は代表的なファイバについての微分群遅延(DGD)を示し、この図から先に説明したようにビート長が決定される。
表2のモデル化例からわかるように、相対屈折率パラメータΔ1%,Δ2%及び(D平均,比a/b,比c/b及び比d/aを調節する)コア及びモートの径a,b,c及びdを調節して、ビート長、2つの偏波の消光波長,λ1消光,λ2消光における変化、さらにはSPB幅の変化も、結果として生じさせることができる。したがって、ファイバ20についてSPBを容易に調節することができ、よって様々な動作帯域で動作する多くのシステム及びデバイスでの使用が可能になることは当然である。特に、システムまたはデバイスに対して注目する動作波長帯と実質的に一致させるためにSPBを設計できるように、ファイバのパラメータを選択及び設計することができる。
図12は本明細書に説明される実施形態にしたがう単一偏波ファイバ20を用いる一装置38を示す。本システム装置38は、本発明にしたがうファイバ20をその中に有するか、あるいはそうではなくともファイバ20がそれに取り付けられているかまたは光結合されている、レーザ、ジャイロスコープ、センサ、変調器、ビームスプリッタ、偏波マルチプレクサ等のような、光デバイス42を備える。ファイバ20及び光コンポーネント42はハウジング44に収めることができ、装置38は副コンポーネントを有する。
図13は、本発明の実施形態にしたがうファイバ20が光コンポーネント42a,42bの間に取り付けられ、必要に応じてファイバ20及び光コンポーネントがハウジング44内に収められる、別の装置138を示す。
同様に、図14は、本発明の実施形態にしたがうファイバ20が光コンポーネント42に取り付けられ、ファイバ20が別のタイプのファイバ47にも光結合された、システム装置238を示す。図12〜14の×は、永久接続、コネクタまたはその他の同様の光接続を表す。
本明細書に説明されるファイバ20は以下の製造方法を用いて形成されることが好ましい。初めに、図15に示されるように、ロッド形状のコアケーン52が提供される。ケーン52は、中心コア30及びモート40に対応し、適切な酸化ゲルマニウムドープ及びフッ素ドープが施され、コア/モート比が約0.45である、領域130,140を有する。コアケーン52は長さが1mで直径が約13〜15mmであることが好ましく、通常のOVD法で作成した。次いで、図16に示されるように、ケーン52の直径方向に対向する長さに沿う側面に、幅が約3.4mmで深さが約4.0mmの溝54を研削で形成し、よって溝付ケーン52aを形成した。次いで溝付ケーン52aを単にいかなる研削残渣も除去するために約30分間HFエッチングした。次いで溝付ケーン52aを、図17に示されるように、シリカスート58でオーバークラッドされた長さ1mのシリカチューブ56に挿入して、プリフォーム予備集成体60を形成した。シリカオーバークラッド58は、例えばスリーブ56上に外付けCVD(OVD)法で作成することが好ましい。
次いで図17のプリフォーム予備集成体60を、図18に示されるような通常の固結プロセスにしたがい、初めに固結炉62内においてCl2雰囲気で乾燥させ、次いで、ガラスを溶化して完全に固結したプリフォーム60aをつくるために、炉内においてHe含有雰囲気で固結させることによって、固結する。次いでHFエッチングで余分な材料を除去して、固結プリフォーム内の孔57,59を形成する。あるいはエッチング剤としてNF3を用いることができよう。次いで固結プリフォーム60aを、図19に示されるように、再線引き塔64に挿入する。加熱素子65によって固結プリフォーム60aに熱を加え、張力印加ホイール66で下に引いてほぼ8mm径のコアケーン68にする。(プリフォーム60aから小径コアケーンに線引きする)再線引きプロセスを行っている間、再線引き中に孔57,59を完全に閉じるに十分な真空を孔57,59に与える。孔閉じ及び再線引き工程中に、中心コアに相当する領域を断面において引き延ばし、本明細書に説明されるような全体に細長いコア形状をつくる。
今では細長中心コアをもつケーン68を、図20に示されるように、シリカスート58aでオーバークラッドされた1m長のシリカチューブ56aに再び挿入して、所望のコア/クラッド比を有するプリフォーム予備集成体60bを形成する。このプリフォーム予備集成体60bを図18に関して先に説明したのと同じ態様で再び固結する。プリフォーム予備集成体60bからつくった、完全に固結したブランク60cを次いで、図21に示されるように、線引き炉70内でハンドル71から吊り下げ、通常の線引き法を用いて本発明の態様にしたがうファイバ20を線引きする。
本発明の範囲を逸脱することなく本発明に変形及び改変が成され得ることが当業者には明らかであろう。例えば、ステップ型屈折率構造が示されるが、その他の分布屈折率構造を用いることができる。さらに、ファイバプロファイルに環構造を付加することもでき、それでも満足に機能するであろう。したがって、本発明の改変及び変形が添付される特許請求項及びそれらの等価物の範囲内に入れば、本発明はそれらの改変及び変形を包含するとされる。
20 光導波路ファイバ
30 中心細長断面コア
40 モート
50 クラッド
30 中心細長断面コア
40 モート
50 クラッド
Claims (15)
- 光ファイバにおいて、
第1の屈折率(n1)を有し、短径(a)及び長径(b)を有する、中心細長断面コアと、
前記中心細長断面コアを囲み、前記中心細長断面コアに接する、第2の屈折率(n2)、前記長径(b)に合せられた軸X-Xに沿う外径(c)及び前記短径(a)に合せられた軸Y-Yに沿う外径(d)を有する、モートと、
前記モートを囲み、第3の屈折率(n3)を有する、クラッドと、
を有し、
前記軸X-Xは前記軸Y-Yと概ね直交し、
n1>n3>n2であり
比b/aが1.5と5.0の間にあり、
比d/aが2.0と7.0の間にあって、
前記光ファイバが単一偏波帯域内で単一偏波伝搬を示す、
ことを特徴とする光ファイバ。 - 4.0未満の比c/bをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバが2.75未満の比c/bをさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバが、
2.75未満の比c/b、及び
6.5未満の比d/a、
をさらに有することを特徴とする請求項1,2または3に記載の光ファイバ。 - 前記外径(d)が前記外径(c)以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記中心細長断面コアが酸化ゲルマニウムドープシリカを含み、前記モートがフッ素ドープシリカを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバが、0.2%より大きい、前記中心細長断面コアの最大相対屈折率(Δ1)をさらに有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバが、0.2%と2.5%の間にある、前記中心細長断面コアの最大相対屈折率(Δ1)をさらに有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバが、−0.15%よりも負で絶対値が大きい、前記モートの相対屈折率(Δ2)をさらに有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバが、−0.15%と−0.8%の間にある、前記モートの相対屈折率(Δ2)をさらに有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバが2μmと5μmの間にある短径(a)及び5μmと20μmの間にある長径(b)をさらに有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 比c/bが1.8未満であることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記ファイバのb/aが1.8と3.5の間にあることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記単一偏波帯域の幅が少なくとも10nmであることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の光ファイバ。
- 前記単一偏波帯域より短波長側でのビート長が2.0mm未満であることを特徴とする請求項1から14に記載の光ファイバ。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
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