JP2007523650A - 転移を阻害するための方法および組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は、概して、転移性表現型を発現する腫瘍細胞標的に対して親和性を有する抗体ファージ群の作製方法に関する。本発明はさらに、転移細胞上の細胞表面レセプターに特異的に結合する抗体組成物に関する。本発明は、類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体を提供する。転移性表現型を発現する腫瘍細胞は、活性化細胞表面レセプター(例えば、活性化インテグリンレセプターまたはαvβ3インテグリンレセプター)を発現する細胞株であり得る。

Description

(政府からの支援に関する記述)
本発明は、米国国立衛生研究所により与えられた助成金番号NCI‐CA95458およびNIAID‐AI147027、ならびに、米国陸軍乳癌研究プログラムにより与えられた助成金番号DAMD17‐99‐1‐9368によって政府からの支援により行われた。政府は本発明に関し一定の権利を有する。
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2004年2月13日に出願された米国特許出願第60/544,807号、および2004年11月10日に出願された米国特許出願第60/626,726号の利益を主張し、これらの全開示は参考として本明細書中に援用される。
(分野)
本発明は、概して、転移性表現型を発現する腫瘍細胞標的に対して親和性を有する抗体ファージ群の作製方法に関する。本発明はさらに、転移細胞上の細胞表面レセプターに特異的に結合する抗体組成物に関する。
(背景)
乳癌の肺、肝臓、骨および脳への転移は乳癌患者の主要な死因である。それは血流を介した癌細胞の播種を伴い、接着性かつ浸潤性の腫瘍細胞の機能、ならびに標的部位における生存および増殖能力に依存する。非特許文献1。これらの事象は、αサブユニットおよびβサブユニットから構成される膜貫通接着レセプターのファミリーであるインテグリンによって担われている。非特許文献2;非特許文献3。インテグリンは活性化の別個の状態で存在し、これによってリガンドに対する親和性が決まり、可溶性リガンドが結合するか否かが調節され、どのマトリックスタンパク質が認識されるかが調節され、循環中に見出される動的な流れ条件のもとで細胞が付着、移動、捕捉し得る程度が調節される。非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6。
乳癌細胞において見出されるが正常の***上皮においては見られないインテグリンがαvβ3である。このレセプターの発現は浸潤および癌の進行と関連する。非特許文献7;非特許文献8。ヒト乳癌細胞は、活性化または非活性化機能状態にあるαvβ3を発現し得る。活性化αvβ3は血流中での乳癌細胞の付着を担い、浸潤性の腫瘍細胞の移動を強力に促進する。特に、マウスモデルにおいて、活性化状態のみが乳癌細胞の循環による標的器官への転移増殖を担い、また、乳癌患者の血液から単離された転移細胞は構成的に活性化形態にあるαvβ3を発現する。非特許文献6;非特許文献9。活性化の異なる状態の間のインテグリン転移は、ヘテロダイマー内の構造の変化と関連する。非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14。
他のインテグリン類と同様に、αvβ3は活性化および機能的親和性について種々の状態で存在し得る。αvβ3の活性化状態または高親和性状態は、非活性化状態とは異なる固有の分子構造を有する。非特許文献12;非特許文献13;非特許文献15。
非活性化レセプターとは対照的に、活性化avβ3は、主として、可溶性リガンドタンパク質に結合し、血流における腫瘍細胞と血小板との相互作用を助け、それにより仲介される腫瘍細胞が脈管構造中に見出されるような条件下で捕捉し、侵襲性腫瘍細胞および内皮細胞の移動を非常に強力に促進するという能力を通じて、機能的に特徴付けられる。後者の能力はおそらく新脈管形成にとって非常に重要である。活性化αvβ3インテグリンの可溶性リガンドへの結合能力は、リガンド模倣物(ligand−mimetic)であるscFv抗体をαvβ3の活性化構造へと特異的かつ独占的に結合することを可能にする重要な特性である。
Bogenriederら、「Oncogene」、2003年、第22巻、p.6524−6536 Felding−Habermann、「Clin.Exp.Metastasis」、2003年、第20巻、p.203−213 Hoodら、「Nat.Rev.Cancer」、2002年、第2巻、p.91−100 Tadokoroら、「Science」、2003年、第302巻、p.103−106 Shattilら、「J.Clin.Invest.」、1997年、第100巻、p.1−5 Felding−Habermannら、「Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A」、2001年、第98巻、p.1853−1858 Liapisら、「Diagn.Mol.Pathol.」、1996年、第5巻、p.127−135 Pignatelliら、「Hum.Pathol.」、1992年、第23巻、p.1159−1166 Rolliら、「Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A」、2003年、第100巻、p.9482−9487 Calzadaら、「J.Biol.Chem.」、2002年、第277巻、p.39899−39908 Beglovaら、「Nat.Struct.Biol.」、2002年、第9巻、p.282−287 ×iongら、「Science」、2001年、第294巻、p.339−345 ×iongら、「Science」、2002年、第296巻、p.151−155 Pamporiら、「J.Biol.Chem.」、1999年、第274巻、p.21609−21616 ×iongら、「Blood」、2003年、第102巻、p.1155−1159
今日、癌、例えば、乳癌が全身に及ぶことを防ぐ治療は知られておらず、そのような薬物をどのように設計および試験するかについてさえほとんど理解されていない。しかし転移は最終的に、乳癌の苦痛および死亡の多くの原因となっている。転移性乳癌細胞を同定する分子および機能的マーカーを同定し、かつ、標的し、それらを特異的に阻害する試薬を作製する必要性が存在する。
(要旨)
本発明は、概して、転移性表現型を発現する腫瘍細胞である腫瘍細胞標的に対し親和性を有する抗体ファージ群を作製する方法に関する。その転移性表現型を発現する腫瘍細胞は、活性化細胞表面レセプター(例えば、活性化インテグリンレセプターまたはαvβ3インテグリンレセプター)を発現する細胞株であり得る。本発明はさらに、転移細胞上の細胞表面レセプターに特異的に結合する抗体組成物に関する。この抗体組成物は転移細胞上の活性化細胞表面レセプター(例えば、活性化インテグリンレセプターまたはαvβ3インテグリンレセプター)に特異的に結合する。本発明はさらに、哺乳動物に治療的な量の抗体組成物の薬学的組成物を投与する工程を包含する癌治療薬を用いた処置による、哺乳動物における病状を緩和するための方法に関する。本発明はさらに、哺乳動物組織サンプルにおける転移性腫瘍細胞表面上の活性化細胞表面レセプターを検出する方法に関し、および、転移の危険性を有することが疑われる患者を抗体組成物と接触させる工程を包含する、病状に関連した転移が起こる傾向を有する細胞を同定する方法に関し、この抗体は、この抗体と結合する画像化部分を有する。
非活性化αvβ3インテグリンレセプターを伴う細胞または腫瘍細胞は、可溶性リガンドと結合できず、そして脈管構造において見出される条件下で、血流としての動的流れの条件下で腫瘍細胞の捕捉を支持しないαvβ3の構造を参照する。このαvβ3の非活性化構造は、抗体(例えば、scFv抗体Bc−12またはBc−15)によって認識されない非転移性腫瘍細胞と関連し得る。
一実施形態において、活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体は、類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される。詳細な実施形態において、その抗体はscFv抗体Bc−12を含む。さらに詳細な実施形態において、その抗体は配列番号2を含む。詳細な実施形態において、その抗体はscFv抗体Bc−15を含む。さらに詳細な実施形態において、その抗体は配列番号4を含む。さらなる実施形態において、その抗体は相補性決定領域(CDR)中にR−G−D配列を含む。詳細な局面において、そのCDRはCDR−H3であり得る。さらに詳細な局面において、その転移細胞は、***、脳、肺、肝臓または骨から選択される組織を標的とする。さらに詳細な局面において、薬学的組成物はその抗体を含む。
本発明はさらに、scFv抗体Bc−12の発現および産生のためのファージディスプレイベクター中のscFv Bc−12をコードするcDNAを提供する。詳細な実施形態において、scFv Bc−12をコードするcDNAは配列番号1を含む。scFv Bc−12をコードするcDNAは、ATCC受託番号 PTA−6303、寄託日:2004年11月12日である。本発明はさらに、scFv抗体Bc−15の発現および産生のためのファージディスプレイベクター中のscFv Bc−15をコードするcDNAを提供する。詳細な実施形態において、scFv Bc−15をコードするcDNAは配列番号2を含む。scFv Bc−15をコードするcDNAは、ATCC受託番号 PTA−6304、寄託日:2004年11月12日である。
別の実施形態において、抗体は、活性化αvβ3インテグリンレセプターと特異的に結合し、非活性化αvβ3インテグリンレセプターとは結合しない。さらなる局面において、その活性化αvβ3インテグリンレセプターは、類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される。
別の実施形態において、抗体は、類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生されている活性化αvβ3インテグリンレセプターと特異的に結合するリガンド模倣物(ligand mimetic)を含む。
別の実施形態において、哺乳動物の病状を処置するための方法は、類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体を哺乳動物に投与する工程を包含する。詳細な局面において、その病状は腫瘍性疾患、充実性腫瘤、血液悪性疾患、白血病、結腸直腸癌、良性または悪性の乳癌、子宮癌、子宮平滑筋腫、卵巣癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、前立腺癌、前立腺肥大、下垂体癌、腺筋症、腺癌、髄膜腫、黒色腫、骨肉腫、多発性骨髄腫、CNS癌、神経膠腫、または星状芽細胞腫である。さらに詳細な局面において、その腫瘍性疾患は哺乳動物における腫瘍細胞の転移であるか、またはその腫瘍性疾患状態は哺乳動物における乳癌の転移である。
詳細な実施形態において、哺乳動物の病状の処置のための方法は、配列番号2または配列番号4を含む抗体を哺乳動物に投与する工程を包含する。詳細な局面において、その病状は腫瘍性疾患、充実性腫瘤、血液悪性疾患、白血病、結腸直腸癌、乳癌、子宮癌、子宮平滑筋腫、卵巣癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、前立腺癌、前立腺肥大、下垂体癌、腺筋症、腺癌、髄膜腫、黒色腫、骨肉腫、多発性骨髄腫、CNS癌、神経膠腫、または星状芽細胞腫である。さらに詳細な局面において、その腫瘍性疾患は哺乳動物における腫瘍細胞の転移であるか、またはその腫瘍性疾患状態は哺乳動物における乳癌の転移である。
別の実施形態において、細胞株は、標的組織への転移性ホーミング傾向を有する腫瘍細胞改変体を含む。さらなる局面において、腫瘍細胞改変体は、充実性腫瘤、血液悪性疾患、白血病、結腸直腸癌、乳癌、子宮癌、子宮平滑筋腫、卵巣癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、前立腺癌、前立腺肥大、下垂体癌、腺筋症、腺癌、髄膜腫、黒色腫、骨肉腫、多発性骨髄腫、CNS癌、神経膠腫、または星状芽細胞腫に由来する。さらなる局面において、標的組織は脳、肝臓、肺または骨から選択される。
別の実施形態において、腫瘍細胞標的に対して親和性を有する抗体ファージ群の作製方法は、癌患者のコホートから得た血中リンパ球cDNAライブラリー由来のファージライブラリーを提供する工程、非転移性表現型を発現する細胞株にてファージライブラリーをサブトラクトする工程、非転移性表現型を発現する細胞株とは結合しない第1の抗体ファージ群を選択する工程、転移性表現型を発現する細胞株にて第1の抗体ファージ群をパンニングする工程、転移性表現型を発現する細胞株に結合する第2の抗体ファージ群を選択する工程、転移性表現型を発現する細胞株に結合し、かつ、その腫瘍細胞標的に結合する抗体ファージクローンを精製する工程を包含する。さらなる局面において、転移性表現型を発現する細胞株は、活性化細胞表面レセプターを発現する細胞株である。さらなる局面において、活性化細胞表面レセプターは活性化インテグリンレセプターである。詳細な局面において、活性化細胞表面レセプターはαvβ3インテグリンレセプターである。さらなる局面において、転移性表現型を発現する細胞株は、標的組織に対して転移性ホーミング傾向を有する腫瘍細胞改変体である。さらなる局面において、標的組織は、脳、肝臓、肺、または骨から選択される。さらに詳細な局面において、腫瘍細胞標的は転移細胞である。さらに詳細な局面において、転移細胞は転移性の乳癌細胞である。さらに詳細な局面において、抗体ファージ群は単鎖(scFv)抗体ファージ群である。
さらなる実施形態において、本発明の方法は、抗体ファージクローンを、(a)細胞表面上に活性化インテグリンレセプターを発現する腫瘍細胞への結合;および(b)細胞表面上に非活性化インテグリンレセプターを発現する腫瘍細胞への結合の低下について試験する工程をさらに包含する。
さらなる実施形態において、この方法は、Ca++、Mg++またはMn++から選択される陽イオン存在下で増加する活性化インテグリンレセプターを発現する細胞株に対する抗体ファージ群の結合効率を測定する工程をさらに包含する。
別の実施形態において、癌治療薬を用いた処置による哺乳動物における腫瘍細胞の検出方法は、活性化インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体組成物に検出可能なマーカーを連結させる工程、検出可能なマーカー−抗体組成物複合体を哺乳動物または哺乳動物組織へと接触させる工程、検出マーカー−抗体組成物複合体と哺乳動物組織中の腫瘍細胞との結合を検出する工程を包含する。詳細な局面において、その腫瘍細胞は転移性腫瘍細胞である。
別の実施形態において、哺乳動物における抗原への免疫応答を誘導または増強するための方法は、哺乳動物に対し、抗細胞表面レセプター抗体の血漿中濃度が少なくとも4ヶ月間検出可能レベルを超えて維持されるように転移細胞上の細胞表面レセプターに対する抗体を投与する工程を包含する。さらなる実施形態において、細胞表面レセプターは活性化インテグリンレセプターである。さらなる実施形態において、活性化インテグリンレセプターはαvβ3インテグリンレセプターである。さらなる局面において、抗細胞表面レセプター抗体は、その血漿中濃度が少なくとも4ヶ月間検出可能レベルを超えて維持されるように複数回投与される。さらなる局面において、抗細胞表面レセプター抗体は、哺乳動物における抗インテグリンレセプター抗体の血漿中濃度を少なくとも4ヶ月間、少なくとも2μg/ml、または少なくとも4ヶ月間、少なくとも5μg/ml、または少なくとも4ヶ月間、少なくとも10μg/ml、とするような量および間隔で投与される。詳細な局面において、その哺乳動物はヒトである。さらに詳細な局面において、活性化インテグリンレセプターに対する抗体はヒト抗活性化インテグリンレセプター抗体である。さらに詳細な局面において、活性化インテグリンレセプターに対する抗体はヒト化抗活性化インテグリンレセプター抗体である。さらに詳細な局面において、活性化インテグリンレセプターに対する抗体はヒト配列抗活性化インテグリンレセプター抗体である。
別の実施形態において、哺乳動物の転移性癌疾患を処置するための方法は、哺乳動物の転移性癌疾患が処置されるように、細胞傷害性物質と結合した転移細胞上の細胞表面レセプターに対する抗体をその哺乳動物へ投与する工程を包含する。さらなる実施形態において、細胞表面レセプターは活性化インテグリンレセプターである。さらなる局面において、細胞傷害性物質は細胞傷害性薬物である。さらなる局面において、細胞傷害性物質は放射性同位体である。
別の実施形態において、哺乳動物組織サンプルにおける転移性腫瘍細胞表面上の活性化細胞表面レセプターを検出する方法は、哺乳動物組織を、固相に固定化された第1のヒト抗体、および溶液中の第2のヒト抗体と接触させる工程であって、その活性化細胞表面レセプターが組織サンプル中に存在する場合第1の抗体および第2の抗体が活性化細胞表面レセプターの異なるエピトープに結合する工程、組織サンプル中の活性化細胞表面レセプターの存在を示す結合である第1の抗体および第2の抗体への活性化細胞表面レセプターの結合を検出する工程であって、その第1のヒト抗体および第2のヒト抗体が、癌患者のコホートから得られた血中のリンパ球cDNAライブラリー由来のファージライブラリーにより提供される第1のヒト抗体および第2のヒト抗体をコードする核酸をサブクローニングすることにより産生される工程、非転移性表現型を発現する細胞株についてそのファージライブラリーをサブトラクトする工程、非転移性表現型を発現するその細胞株とは結合しない第1の抗体ファージ群を選択する工程、転移性表現型を発現する細胞株においてその第1の抗体ファージ群をパンニングする工程、転移性表現型を発現するその細胞株に結合する第2の抗体ファージ群を選択する工程、転移性表現型を発現するその細胞株に結合し、かつ、腫瘍細胞標的に結合する抗体ファージクローンを精製する工程を包含する。
詳細な実施形態において、その活性化細胞表面レセプターは活性化インテグリンレセプターである。別の詳細な実施形態において、その活性化インテグリンレセプターはαvβ3インテグリンレセプターである。別の実施形態において、第2の抗体は標識され、かつ、その検出工程は活性化細胞表面レセプターへの第2の抗体の結合を検出する。
別のさらなる実施形態において、組織サンプルは固相に固定化された第1のヒト抗体群および溶液中の第2のヒト抗体群と接触させられ、その第1および第2の群の構成要素は活性化細胞表面レセプターの異なるエピトープに結合する。別の詳細な局面において、その第2のヒト抗体群は標識されている。別のさらなる局面において、第1のヒト抗体および第2のヒト抗体の各々は、その活性化細胞表面レセプター上のそれらの各エピトープに対し少なくとも10−1の親和性を有する。別の詳細な局面において、第1のヒト抗体および第2のヒト抗体の各々は、その活性化細胞表面レセプターに対して少なくとも1010−1の親和性を有する。別の詳細な局面において、第1のヒト抗体および第2のヒト抗体の各々は、その活性化細胞表面レセプターに対し少なくとも1011−1の親和性を有する。さらなる実施形態において、活性化細胞表面レセプターに対する第1のヒト抗体および第2のヒト抗体の結合は1時間以内に平衡に達する。別の詳細な実施形態において、第1のヒト抗体および第2のヒト抗体はE.coliにおける組換え構築物の発現により産生される。別の詳細な局面において、第1の抗体分子および第2の抗体分子の少なくとも90%がその活性化細胞表面レセプターに免疫反応性である。
さらなる実施形態において、病状に関連した転移が起こる傾向を有する細胞を干渉する方法は、転移の危険性を有することが疑われる患者を、類似で非転移性の細胞と比較した時に転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体であって細胞傷害性部分と結合する抗体に接触させる工程を包含する。詳細な実施形態において、その抗体組成物は配列番号2を含む。さらに詳細な実施形態において、その抗体組成物は配列番号4を含む。別の詳細な実施形態において、その細胞傷害性部分は化学的毒素である。さらに詳細な実施形態において、その細胞傷害性部分は生物学的毒素である。別の詳細な実施形態において、その細胞傷害性部分は放射性物質である。さらに詳細な実施形態において、その結合は共有結合である。別の詳細な実施形態において、その結合はリガンド相互作用である。さらに詳細な実施形態において、その結合は物理学的相互作用である。さらに詳細な実施形態において、その結合は管内への封じ込めを含む。別の詳細な実施形態において、その管はリポソームまたはその他の血液循環血管である。
さらなる実施形態において、病状に関連した転移が起こる傾向を有する細胞を同定する方法は、転移の危険性を有することが疑われる患者を、類似で非転移性の細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体であって、その抗体に結合した画像化部分を有する抗体に接触させる工程を包含する。さらなる実施形態において、その画像化部分は、磁気共鳴スペクトロスコピー、×線スペクトロスコピー、または陽電子放射断層法(PET)によって画像化され得る。詳細な実施形態において、その結合は共有結合である。さらに詳細な実施形態において、その結合は非共有結合である。
転移細胞上の細胞表面レセプターに対する抗体を哺乳動物に投与する工程、および、その哺乳動物の転移性癌疾患が処置されるように転移細胞のプログラム細胞死を誘導する工程を包含する、哺乳動物の転移性癌疾患を処置するための方法が提供される。1つの局面において、その細胞表面レセプターは活性化インテグリンレセプターである。さらなる局面において、その活性化インテグリンレセプターはαvβ3インテグリンレセプターである。
本発明は、配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む単離Bc−12ポリヌクレオチドを提供する。本発明はさらに配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するか、または、Bc−12と生物学的機能を共有するヌクレオチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。詳細な局面において、ベクターは、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する単離Bc−12ポリヌクレオチドを含む。詳細な局面において、発現ベクターは配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有する単離Bc−12ポリヌクレオチドを含み、その中で、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、宿主細胞におけるそのポリヌクレオチドの発現を制御する調節配列と作動可能に連結されている。詳細な局面において、宿主細胞、またはその子孫は、配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有する単離Bc−12ポリヌクレオチドを含む。さらなる局面において、単離Bc−12ポリペプチドは、配列番号2に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
本発明は、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む単離Bc−15ポリヌクレオチドを提供する。本発明はさらに配列番号3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するか、または、Bc−15と生物学的機能を共有するヌクレオチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。詳細な局面において、ベクターは、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有する単離Bc−15ポリヌクレオチドを含む。詳細な局面において、発現ベクターは配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有する単離Bc−15ポリヌクレオチドを含み、その中で、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は、宿主細胞におけるそのポリヌクレオチドの発現を制御する調節配列と作動可能に連結されている。詳細な局面において、宿主細胞、またはその子孫は、配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有する単離Bc−15ポリヌクレオチドを含む。さらなる局面において、単離Bc−15ポリペプチドは、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
標的組織への転移性ホーミング傾向を有する腫瘍細胞改変体を哺乳動物に投与する工程、試験化合物をその哺乳動物へ投与する工程、コントロール哺乳動物中のコントロール化合物の抗転移活性と比較して、その哺乳動物中の試験化合物の抗転移活性を測定する工程を包含する、哺乳動物中での試験化合物の抗転移活性を決定するための方法が提供される。さらなる実施形態において、その方法は、哺乳動物の標的組織における転移性病巣を測定する工程であって、コントロール化合物に対する応答におけるコントロール動物中の転移性病巣と比較したその試験化合物への応答における哺乳動物中の転移性病巣の縮小がその試験化合物の抗転移活性を示す測定工程を包含する。1つの局面において、腫瘍細胞改変体および試験化合物は哺乳動物の末梢血循環へと投与される。さらなる局面において、腫瘍細胞改変体および試験化合物は、哺乳動物の乳腺脂肪パッドへと同所的に投与される。詳細な局面において、腫瘍細胞改変体は、BCM−1、BCM−2またはBMSである。さらなる局面において、試験化合物は、抗体、単鎖Fv抗体、低分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、二本鎖RNA分子、短鎖干渉RNA(siRNA)または短鎖ヘアピンRNA(shRNA)である。さらなる実施形態において、哺乳動物は非ヒト哺乳動物、例えば、げっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、または非ヒト霊長類である。さらに詳細な実施形態において、哺乳動物はマウスまたは免疫欠損マウスである。
(詳細な説明)
本発明は、概して、転移性表現型を発現する腫瘍細胞である腫瘍細胞標的に対して親和性を有する抗体ファージ群を作製する方法に関する。転移性表現型を発現する腫瘍細胞は、活性化された細胞表面レセプター(例えば、活性化されたインテグリンレセプターまたはαvβ3インテグリンレセプター)を発現する細胞株であり得る。本発明はさらに、転移細胞上の細胞表面レセプターに特異的に結合する抗体組成物に関する。この抗体組成物は、転移細胞上の活性化された細胞表面レセプター(例えば、活性化されたインテグリンレセプターまたはαvβ3インテグリンレセプター)に特異的に結合する。本発明はさらに、この抗体組成物の薬学的組成物の治療的な量を哺乳動物に投与する工程を包含する、癌治療薬を用いた処置による、この哺乳動物の病状を緩和するための方法に関する。本発明はさらに、哺乳動物組織サンプルにおける転移性腫瘍細胞表面上の活性化細胞表面レセプターを検出する方法、ならびに、病状に関連した転移が起こる傾向を有する細胞を同定する方法であって、転移の危険性を有することが疑われる患者を、抗体組成物に接触させる工程を包含し、その抗体はその抗体に結合した画像化部分を有する、方法に関する。
現在、活性化された機能的形態のαvβ3インテグリンは、癌転移(特に、乳癌転移)阻害のための治療的投薬計画における標的として使用され得ることが発見されている。癌患者免疫レパートリーのヒト単鎖Fv抗体ライブラリーが開発されており、このライブラリーは活性化形態のαvβ3インテグリンを特異的に認識し得る抗体を含む。本発明は、活性化形態のαvβ3を妨害し、乳癌転移を予防するこれらの抗体の単離、特徴付けおよびインビボでの使用を提供する。
***の腫瘍は小さいサイズにおいてでさえ検出され得るが、現在のところ、これらがいつ転移を開始するのかを予測することができず、またこのプロセスを効率的に抑制することができない。外科手術および抗癌治療の治療的能力を向上させるために、転移細胞を同定し阻害する新たな分子標的が必要とされている。ヒト乳癌細胞モデルおよび乳癌患者の転移細胞を用いたインビトロおよびインビボでの研究によって、転移細胞上での活性化細胞表面レセプター(例えば、機能的に活性化形態の接着レセプターインテグリンαvβ3)の発現は転移活性を強く促進することが実証されている。この転移に関連する発現を利用するために、癌患者由来ヒト単鎖Fv抗体ライブラリーを選択することにより、活性化形態のαvβ3を特異的に認識し、このレセプターの重要な機能をブロックする抗体が得られた。これらの抗体のうちの2つ、Bc−12およびBc−15は、CDR−H3内のArg−Gly−Aspインテグリン認識モチーフを介して陽イオン依存様式でαvβ3と結合する天然のリガンド模倣物であることが見出された。これらの抗体(ただし、そのArg−Gly−Glu変異体ではない)は、αvβ3が仲介する腫瘍細胞の接着および移動を妨害し、血液中の転移性乳癌細胞を特異的に認識し、血流中で血小板によって支持される腫瘍細胞の捕捉を阻害した。重要なことに、scFv Bc−12およびBc−15は、免疫欠損マウスにおいてヒト乳癌細胞による肺でのコロニー化を防止した。これらのデータからは、活性化αvβ3の機能を中断することにより循環中の腫瘍細胞は不活性化され、それにより乳癌の転移が防止され得ることが示唆される。
マウスαvβ3インテグリンレセプターを認識する利用可能な試薬は存在しない。このような試薬を入手できるようにすることは、科学界に価値のある研究試薬を提供する。本明細書中で開示されるscFvの性質に基づいて、Bc−12およびBc−15はマウスαvβ3インテグリンレセプターと反応し得ることが予測される。それらが反応する場合、これらの試薬はヒト病状のマウスモデルを利用するインビボ研究における使用に非常に役立つ。マウスαvβ3インテグリンレセプター試薬は、マウスモデルにおいて多く行なわれている新脈管形成に基づく研究に対して特に有用である。本発明のscFvは、おそらくマウスモデルにおいておよび非常に類似したヒトにおいて、血管由来内皮細胞上の活性化マウスαvβ3インテグリンレセプターと反応することが予測される。
ScFv Bc−12およびBc−15は、活性化構造のαvβ3インテグリンレセプターと選択的に結合し、非活性化構造のαvβ3インテグリンレセプターとは結合しないので、新規試薬である。これまでに試験されたαvβ3インテグリンレセプターを発現する腫瘍細胞の中で、転移性表現型を有する細胞のみが構成的に活性化された構造のαvβ3インテグリンレセプターを発現する。
驚くべきことに、scFv Bc−12およびBc−15は、αvβ3インテグリンレセプターに対する高い特異性とともに、RGDリガンドモチーフ(CDR−H3)を利用する。RGDモチーフを含む他の公知の抗体は、RGD配列を認識する複数のインテグリンと反応する。本明細書中で実証されるように、scFv Bc−12およびBc−15は、RGDモチーフのための主要なレセプターとして知られているその他のインテグリン(例えば、インテグリンαvβ5、αvβ1、αIIbβ3、およびα5β1が挙げられるが、これらに限定されない)には結合しない。
乳癌は非常に異質性であることが知られている。ヒト乳癌細胞のサブセットは、構成的に活性化された機能形態にある接着レセプターであるインテグリンαvβ3の発現に基づいて同定され得る。この活性化インテグリンは脈管内において血小板の結合および腫瘍細胞の捕捉を促進する。このように、インテグリンαvβ3の活性化は、転移細胞に標的器官への播種およびコロニー化の成功のために重要でありうる重要な特性を与える。ヒト乳癌細胞株変異体の転移性の低い改変体と高い改変体に対するサブトラクトパンニングによる抗体ファージディスプレイ技術を用いて、多数の癌患者の混合免疫レパートリーを調べた。この手法により、活性化されている機能的構造の腫瘍細胞接着レセプターであるインテグリンαvβ3を特異的に認識する単鎖Fv(scFv)抗体が得られた。この抗体は、乳癌細胞モデルの転移性改変体およびIV期乳癌患者の血液サンプルから単離された転移細胞と選択的に反応する。重要なことに、これらの抗体は免疫欠損マウスにおいて、ヒト乳癌細胞による肺のコロニー化を阻害する。
本発明の抗体組成物および方法は、ヒト単鎖Fv(scFv)抗体が転移性癌細胞(例えば、転移性乳癌細胞)の診断用マーカーとして活性化形態のインテグリンαvβ3を通知する能力を研究するために有用である。これらのscFv抗体およびその誘導体は、転移性乳癌細胞を特異的に検出し、転移性疾患の局在化を通知する。本発明の抗体組成物および方法は、癌転移(例えば、転移性乳癌)の処置のための治療用抗体組成物を同定するためにさらに有用である。
本発明の抗体組成物および方法は、ヒト単鎖Fv(scFv)抗体が転移性乳癌の予後マーカーとして活性化形態のインテグリンαvβ3を検出し通知する能力を研究するために有用である。これらのscFv抗体およびその誘導体は転移傾向を有する乳癌細胞を特異的に検出し得る。
本発明の抗体組成物および方法は、構成的に活性化されているインテグリンαvβ3に対するヒトscFv抗体およびその誘導体の、乳癌の転移に対する効果を分析するために有用である。活性化形態のインテグリンαvβ3を発現する細胞の標的化した阻害は、乳癌の転移を抑制し、確立された転移性疾患を妨害し得る。
画像化技術およびマンモグラフィー技術は非常に初期の***の腫瘍を検出し得る。しかし、現在の乳癌に対する予後基準は、腫瘍がどれほど進行性なのか、すでに拡散が開始されているのか、およびそれぞれ別の場合において可能な限り最良の結果が達成されるためにはどの処置選択肢を選択すべきかについては明確に示されていない。転移性疾患からの合併症は乳癌における主要な死因である。主要な標的器官(例えば、肺、骨、肝臓および脳)への乳癌の転移は、血流を介した腫瘍細胞の播種を伴う。この環境において標的器官へのコロニー化の成功のために重要な必要条件は、細胞の接着に物理的に抗する血流によって生成される剪断力にもかかわらず、標的器官の脈管内で腫瘍細胞が捕捉する能力である。この捕捉プロセスを支持する機構の1つは、架橋リガンドとして2価または多価の血漿タンパク質により互いが結合している、腫瘍細胞接着レセプターであるインテグリンαvβ3と血小板インテグリンαIIbβ3との間の相互作用として同定されている。Felding−Habermannら,J.Biol.Chem.,271:5892−5900,1996;Pilchら,J.Biol.Chem.,277:21930−21938,2002;Felding−Habermannら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,98:1853−1858,2001;Bakewellら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,100:14205−14210,2003;Biggerstaffら,Clin.Exp.Metastasis,17:723−730,1999。
インテグリンは、αサブユニットおよびβサブユニットから構成されており細胞外マトリックス内のタンパク質と細胞との接着を仲介する膜貫通型細胞接着レセプターのファミリーである。マトリックス内に固定化されたリガンドタンパク質を認識することに加えて、このレセプターは可溶性のリガンドタンパク質(例えば、ある種の血漿タンパク質)とも反応し得る(但し、レセプター分子が活性化された機能的構造で存在する場合に限る)。Liddingtonら,J.Cell Biol.,158:833−839,2002;Woodsideら,Thromb.Haemost.,86:316−323,2001。このように、可溶性リガンドのインテグリンによる認識は、レセプターの構造の特異的な変化に厳密に依存する。このことは、細胞がインテグリン依存様式で凝集し、脈管の動的フロー条件下で捕捉する能力を制御する分子スイッチを提供する。この機構は、非活性化インテグリンを発現しながら休止した状態で血流内を循環する白血球および血小板で確立されている。炎症誘発性または血栓誘発性のアゴニストにより刺激した際、これらの細胞型はいくつかの分子変化により迅速に反応し、このような分子変化としては、重要なインテグリン類(例えば、白血球に対するβ2インテグリンおよび血小板に対するαvβ3)の「休止した」構造から「活性化した」構造への切り替えが挙げられる。これにより、これらの細胞型が脈管内で捕捉し、細胞の凝集が促進され、血栓形成がもたらされる。Savageら、Curr.Opin.Hematol.,8:270−276,2001。ヒト乳癌細胞の転移性サブセットは、構成的に活性化形態にあるインテグリンαvβ3を発現することが実証されている。Rolliら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,100:9482−9487,2003。αvβ3の異常な発現は、乳癌、ならびに、前立腺癌、黒色腫、および神経芽細胞腫の転移に役割を果たすが、転移性活性を促進するのは、特に、活性化されている機能的構造のレセプターであることを理解することが重要である。Felding−Habermannら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,98:1853−1858,2001;Felding−Habermannら、Clin.Exp.Metastasis,19:427−436,2002;Gladsonら、Am.J.Pathol.,148:1423−1434,1996;Zhengら、Cancer Res.,59:1655−1664,1999;Zhengら、J.Biol.Chem.,275:24565−24574,2000;Van Belleら、Hum.Pathol.,30:562−567,1999;Guiら、Surgery,117:102−108,1995。活性化されたレセプターは乳癌細胞の移動を強力に促進し、血流条件下で細胞が捕捉することを可能にする。このように、αvβ3の活性化は、転移細胞に、標的器官への播種およびコロニー化の成功のために重要でありうる主要な特性を与える。インテグリンによって仲介される腫瘍細胞−血小板相互作用は肺および骨への転移に関与しており、循環中での捕捉を可能にすることに加えて、血小板による腫瘍細胞のコーティングは、腫瘍抗原を覆い隠すことにより免疫認識を防止し得、または、腫瘍細胞に増殖因子(例えば、上皮増殖因子または血小板由来増殖因子)を供給し得ることが示唆されている。Biggerstaffら、Clin.Exp.Metastasis,17:723−730,1999;Felding−Habermannら、Clin.Exp.Metastasis,19:427−436,2002;Amirkhosraviら、Thromb.Haemost.,90:549−554,2003;Siddiquiら、Platelets,13:247−253,2002;Furger,K.A.ら、Mol.Cancer Res.,1:810−819,2003。首尾良く標的器官に入った腫瘍細胞は、αvβ3マトリックス相互作用が細胞の生存および増殖を促進させ得るので、新しい環境で生育するためにαvβ3をさらに利用し得る。例えば、骨マトリックスタンパク質であるオステオポンチンに結合するαvβ3は悪性度を促進し、オステオポンチンレベルの増大は乳癌における予後の悪さと相関する。Zhengら、J.Biol.Chem.,275:24565−24574,2000;Singhalら、Clin.Cancer Res.,3:605−611,1997;Tuckら、Int.J.Cancer,79:502−508,1998;Rudlandら、Cancer Res.,62:3417−3427,2002;Dingら、Cancer Res.,62:5336−5343,2002;Wangら、Oncogene,19:5801−5809,2000;Gladsonら、J.Neuropathol.Exp.Neurol.,58:1029−1040,1999。
これらの理由すべてのため、および新脈管形成におけるその確立された役割のために、αvβ3インテグリンは、最も広範に研究されているインテグリン類の一つであり、この分子のアンタゴニストは、診断用画像化剤として役立ち、標的薬物送達における使用に大きな可能性を有する。Bakewellら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,100:14205−14210,2003;Varnerら、Important.Adv.Oncol.,69−87:69−87,1996;Tuckerら、Curr.Opin.Investig.Drugs,4:722−731,2003。2つの別の方法がこの分子を標的とするために用いられている。これらの方法のうちの一方は、Arg−Gly−Asp(RGD)配列を含むペプチドのαvβ3との高い結合特異性を利用する。このトリペプチド(細胞外マトリックスタンパク質中に天然に存在する)は、αvβ3インテグリンの主要な結合部位である。Ruoslahtiら、Annu.Rev.Cell Dev.Biol.,12:697−715,1996。RGDに基づくレポータープローブに存在する最初の問題は、速い血中クリアランス、腎臓と肝臓への多い取り込み、および、腫瘍の速い流失によるものであり、現在では、その安定性および結合価を増大させるために化学的に改変した環状化RGDペプチドによりそれらの問題は対処されている。Menardら,Oncogene,22:6570−6578,2003;Chenら、Bioconjug.Chem.,15:41−49,2004;Thumshirnら、Chemistry.,9:2717−2725,2003;Suら、Nucl.Med.Biol.,30:141−149,2003。これらの改変ペプチドは次いで放射性同位体に結合させ、腫瘍の画像化のためまたは腫瘍の増殖を阻害するためいずれかのために使用する。そのような分子の1つ、シレンジチド(Cilengitide)は、現在、腫瘍の進行を阻害するためのフェーズII臨床試験中である。他のアプローチは、抗体を単独または免疫複合体として使用する。癌患者のための治療薬としてのモノクローナル抗体(mAb)を開発する試みは、分子標的としての癌関連抗原を探すことに重点が置かれている。インテグリンαvβ3に対する機能ブロック抗体(特に、mAb LM609およびその誘導体)は、重要である接着性腫瘍細胞機能および新脈管形成を妨害することが示されている。Brooksら、Cell,79:1157−1164,1994;Brooksら、Science,264:569−571,1994。LM609抗体もマウスモデルにおいてヒト黒色腫細胞の転移性活性を阻害することが早期に見出された。Felding−Habermannら、Clin.Exp.Metastasis,19:427−436,2002。腫瘍細胞を認識するまたは宿主細胞を支持する抗体は、免疫放射線治療および放射線免疫学的局在決定、ならびに毒素および化学治療薬の送達に用いられている。Goldenberg、Cancer Immunol.Immunother.,52:281−296,2003;Powerら、Methods Mol.Biol.,207:335−350,2003;Korttら,Biomol.Eng,18:95−108,2001;Garnett Adv.Drug Deliv.Rev.,53:171−216,2001。免疫複合体技術の進歩は、十分なヒト抗体が利用可能になったことに伴い、癌治療のための免疫療法を「特効薬」の候補として再び活力を与えた。過去数年間、いくつかのmAbが癌治療薬のためFDAの認可を受けた。これらには、非ホジキンリンパ腫の処置のためのCD20に対するキメラ抗体であるリツキシマブ(Rituximab)、および、転移性乳癌の処置のための癌原遺伝子タンパク質であるHer−2に対するマウスまたは現在ではヒト化抗体であるトラスツズマブ(Trastuzumab)(ハーセプチン)が含まれる。Menardら、Oncogene,22:6570−6578,2003;Smith,Oncogene,22:7359−7368,2003;Perezら,J.Clin.Oncol.,22:322−329,2004;Spigelら、Clin.Breast Cancer,4:329−337,2003;Ali,Clin.Orthop.,S132−S137,2003。現在、乳癌治療のための「パイプラインである」治療用mAb、および、化学治療または他の投薬計画と組み合わせた新しい臨床試験における試験で選択されたmAbを添付書類中の表にまとめてある。単一の薬剤トラスツズマブ(抗Her−2)を用いた臨床試験結果およびパクリタキセル、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲンシタビン、白金塩と組み合わせた臨床試験結果は有望であり、長期寛解(>5年)が報告されることもあった。しかし、化学的処置および抗体に基づく処置を含む現在の治療のいずれもが、転移を有効に停止または抑制し得なかった。したがって、転移細胞を特異的に同定または標的化するという抗体治療の改善による既存の処置選択肢の増強は、乳癌の管理および診断に大きな影響を及ぼす。
転移性ヒト乳癌細胞に関連した標的分子を同定するため、および、このようなマーカーに対するヒト起源の抗体を単離するために、何人かの癌患者の混合免疫レパートリーを、抗体ファージディスプレイ技術を用いて探索した。この手法により、腫瘍細胞接着レセプターであるインテグリンαvβ3(但し、活性化されている機能的構造に限られる)を認識する単鎖Fv(scFv)抗体が得られた。この抗体は、乳癌細胞モデルの転移性改変体と、および、IV期乳癌患者の血液サンプルから単離された転移細胞と、選択的に反応する。重要なことに、これらの抗体は、免疫欠損マウスにおいて、ヒト乳癌細胞による肺のコロニー化を阻害する。これらの抗体はリガンド模倣物として作用する。それらは、その親和性に寄与するRGDインテグリン認識配列を含む。しかし、それらは、抗体−抗原相互作用のリガンド特異性も示す。このように、それらは、上記治療アプローチの両方の利点を組み合わせた可能性を提供する。
ScFv断片は、癌免疫治療に関してIgG全体と比べていくつかの区別し得る利点を有する。まず第1に、その相対的に小さいサイズ(27kDa)により、scFvは、血漿から迅速に除去され、組織中に迅速かつ深く浸透し得る。Garnett、Adv.Drug Deliv.Rev.,53:171−216,2001。例えば、125I−標識抗CEA(癌胎児抗原)scFvはIgG全体と比べて優れた腫瘍局在性を示した。Wuら、Immunotechnology.,2:21−36,1996;Mayerら、Clin.Cancer Res.,6:1711−1719,2000。第2に、潜在的な副作用は低減し得る。なぜならば、定常領域の欠失により、scFvが、肝臓および/または腎臓のようなFcレセプターを発現する細胞を高密度で有する器官内に保持されないことが確保されるからである。第3に、scFvはPCRに基づくアプローチを用いていくつかの異なる形式(例えば、二重特異性抗体(diabody)、三重特異性抗体、または二重特異性抗体(bispecific antibody))に設計し直すことができる。その結果、各抗体断片の大きさ、可撓性および結合価は、インビボ画像化および治療のための具体的な用途に適合させるように調整することができる。Korttら、Biomol.Eng,18:95−108,2001。これらのscFv抗体は、多くの場合、抗原の関与に続いて腫瘍によって内在化され、高度に毒性の低分子と結合させることができる。さらに、これらの抗体断片は、血液脳関門を通過し得ることが報告されている。Frenkelら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,99:5675−5679,2002。乳癌およびその他の癌の脳への転移は特に解決困難な問題をもたらし、この領域における治療的進歩は非常に大きな影響を及ぼし得る。
別の適用は、***の腫瘍が腫瘍形成の開始を担う前駆細胞様または幹細胞様の、小さな、識別可能なサブセットを含むという考え方に対処している。Al Hajj,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,100:3983−3988,2003。
インテグリンに対するscFv抗体のライブラリーは、ヒト乳癌における推定腫瘍開始群を予期して同定し得る特徴を規定するために用いられ得る。他の器官系においては、幹細胞が基底部分を占めており、基礎をなしている基底膜にインテグリンを介して接着している。インテグリンの発現パターンは、幹細胞と分化したその子孫との間では異なることが見出されている。前立腺上皮、***形成および表皮ケラチノサイトにおいては、β1インテグリンの発現が、推定幹細胞群の同定および単離のために用いられている。Collinsら、J.Cell.Sci.,114:3865−3872,2001;Shinoharaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A,96:5504−5509,1999;Evansら、J.Cell Biol.,160:589−596,2003。インテグリンの発現は、***の腫瘍形成が開始している群のためのマーカーとして用いることができる。scFv抗体ライブラリーは、識別可能な活性化状態の、異なるインテグリンに対する複数の抗体を含む。別の手法においては、インテグリンに対するscFv抗体ライブラリーは、インテグリンの発現および他のマーカーを規定するために、そして最終的にはこの細胞群を標的とするために使用され得る。
(scFVファージライブラリー)
転移細胞上の細胞表面レセプター(例えば、活性化インテグリンレセプター)に特異的に結合する抗体組成物を同定するためのファージディスプレイライブラリーのためのアプローチのひとつは、scFvファージ−ライブラリーの使用である(例えば、Hustonら,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.,85:5879−5883,1988;Chaudharyら,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.,87:1066−1070,1990を参照のこと)。バクテリオファージ被覆タンパク質上でのscFvライブラリーディスプレイの種々の実施形態について記載されている。ファージディスプレイ手法の改良版も知られており、例えば、WO96/06213号およびWO92/01047号(Medical Reserch Councilら)およびWO97/08320号(Morphosys)に記載されている(これらは参考として本明細書中に援用される)。Fabライブラリーのディスプレイも知られており、例えば、WO92/01047号(CAT/MRC)およびWO91/17271号(Affymax)に記載されている。
良好な結合活性を保持する改変体を同定するために、ディスプレイベクター中にクローニングされるハイブリッド抗体またはハイブリッド抗体断片は、転移細胞に関連した適切な抗原(例えば、転移性腫瘍細胞上の細胞表面レセプターまたは活性化細胞表面レセプター)に対して選択され得る。なぜならば、この抗体または抗体断片はファージまたはファージミド粒子の表面上に存在するからである。例えば、Barbas IIIら,Phage Display,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,2001を参照のこと(この文献の内容は参考として本明細書中に援用される)。例えば、Fab断片の場合、軽鎖Fd産物および重鎖Fd産物はlacプロモーターの制御下にあり、各鎖は、細菌宿主のペリプラズム空間に指向するために、その鎖と融合するリーダーシグナルを有する。抗体断片が適切に組み立てられ得るのはこの空間内である。組み立てられた抗体断片が新しく作られたファージまたはファージミド粒子の被覆に組み込まれることを可能にするファージ被覆タンパク質ドメインとの融合物として重鎖断片は発現される。新しいファージミド粒子の作製には、全ての必要なファージ遺伝子を含むヘルパーファージの添加を必要とする。一旦、抗体断片のライブラリーがファージまたはファージミド表面に呈示されれば、パンニングと呼ばれる工程を次に行なう。これは、i)ファージまたはファージミド粒子の表面上に提示された抗体を所望の抗原と結合させ、ii)非結合物を洗い流し、iii)結合している粒子を抗原から溶出し、iv)溶出させた粒子を、さらなる選択ラウンドのための濃縮プールを増幅するために、新鮮な細菌宿主に曝露することによる方法である。代表的には、特異的な結合のために抗体クローンをスクリーニングするのに先立ち、3または4ラウンドのパンニングが行なわれる。このように、ファージ/ファージミド粒子は、結合の表現型(抗体)と遺伝子型(DNA)との関連付けを可能にし、このことが抗体ディスプレイ技術の使用を非常に成功させている。しかし、他のベクター形式(例えば、選択および/またはスクリーニングのための、抗体断片ライブラリーの溶菌性ファージベクター中へのクローニング(改変T7またはλZapシステム))は、このヒト化プロセスのために使用され得る。
所望のハイブリッド抗体および/またはハイブリッド抗体断片の選択後、それらは当業者に公知の任意の技術(例えば、原核細胞による発現または真核細胞による発現等)により多量に産生され得ることが企図される。例えば、ハイブリッド抗体または断片は、起源種の抗体の結合特異性を維持するために必要とされるCDRおよび(必要な場合には)可変領域フレームワークの最小部分(本明細書中で記載される技術にしたがって設計される)が起源種の抗体由来のものであり、抗体の残りの部分は、本明細書中で記載されるように操作され得る標的種の免疫グロブリン由来のものである、抗体の重鎖をコードする発現ベクターを構築するための従来の技術を用いて産生され得、これにより、ハイブリッド抗体重鎖発現のためのベクターを作製し得る。
詳細な実施形態において、単鎖Fv(scFv)抗体ライブラリーは、種々の癌疾患を有する5名、10名、15名、もしくは20名またはそれ以上の患者の末梢血リンパ球から調製され得る。次に、合成シアリルLewisおよびLewisBSA複合体を用いて、ヒト高親和性scFv抗体が完全に選択され得る。ある研究において、これらのヒトscFv抗体は、膵腺癌細胞の細胞表面に結合していることがELISA、BIAcore、およびフローサイトメトリーによって実証されているように、シアリルLewisおよびLewisに対して特異的であった。ヌクレオチド配列決定から、少なくとも4つの固有のscFv遺伝子が得られることが明らかになった。K値は1.1〜6.2×10−7Mの範囲であり、これは二次免疫応答由来のmAbの親和性に匹敵した。これらの抗体はヒト腫瘍疾患の処置において糖質抗原の構造および機能を探索するための価値ある試薬となり得る。Maoら,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96:6953−6958,1999。
さらに詳細な実施形態において、ファージによって提示されたコンビナトリアル抗体ライブラリーは、転移細胞(例えば、細胞表面レセプターまたは転移性腫瘍細胞上の活性化細胞表面レセプター)と結合した適切な抗原に対する広範な抗体を作製および選択するために使用され得る。ファージ被覆タンパク質pVIIおよびpIXを用いて、ヘテロダイマー構造の抗体Fv領域を呈示し得る。この技術の局面は、糸状バクテリオファージのpIX上に提示される、4.5×10個のメンバーの大規模な、ヒト単鎖Fv(scFv)ライブラリーを構築するために展開される。さらに、このライブラリーの多様性、質、および有用性は、6つの異なるタンパク質抗原に対するscFvクローンを選択することにより実証された。特に、選択したクローンの90%以上が、わずか3ラウンドのパンニング後に、それらの各抗原に対して陽性の結合を示した。分析されたscFvも高親和性であることが見出された。例えば、反応速度分析(BIAcore)によって、ブドウ球菌エンテロトキシンBおよびコレラ毒素Bサブユニットに対するscFvはそれぞれナノモルおよびナノモル以下の解離定数を有し、免疫処置により得られたmAbと匹敵する、または、それを超える親和性が与えられることが明らかになった。さらに、はっきりと区別し得るタンパク質の間だけでなく、非常に密接に関連するタンパク質(例えば、Ricinus communis(「リシン」)凝集素(RCA60およびRCA120)の場合でも、2つのタンパク質間で80%を超える配列相同性を有しているにもかかわらず、高い特異性を得た。これらの結果は、pIX−ディスプレイライブラリーの性能が、pIII−ディスプレイ形式の性能よりも潜在的に優れている可能性が有り、それにより、pIX−ディスプレイライブラリーが広範な標的抗原をパンニングするために理想的に適したものとなっていることを示唆している。Gaoら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99:12612−12616,2001。
抗体または他の結合試薬と抗原との間の特異的な結合は、少なくとも10−6Mの結合親和性を意味する。好ましい結合試薬は、少なくとも約10−7M、好ましくは10−8M〜10−9M、10−10M、10−11M、または10−12Mの親和性で結合する。用語エピトープは抗体に特異的に結合し得る抗原決定基を意味する。エピトープは、通常、分子(例えば、アミノ酸または糖側鎖)の化学的に活性な表面の基からなり、通常、特異的な3次元構造特性を有し、また、特異的な荷電特性を有する。構造性および非構造性エピトープは、変性溶媒の存在下で前者との結合は喪失するが、後者との結合は喪失しない点で識別される。
「患者」、「被験体」または「哺乳動物」は相互変換可能に使用され、哺乳動物(例えば、ヒト患者および非ヒト霊長類)ならびに実験動物(例えば、ウサギ、ラットおよびマウスならびに他の動物)をいう。動物としては全ての脊椎動物(例えば、哺乳動物および非哺乳動物(例えば、ヒツジ、イヌ、ウシ、ニワトリ、両生類、および爬虫類))が挙げられる。
「処置すること」または「処置」は、症状、合併症、もしくは疾患の生化学的徴候の開始を予防または遅延させるために本発明の抗体組成物、化合物または試薬を投与すること、症状を緩和すること、あるいは、疾患、状態、または障害(例えば、癌、転移性癌、または転移性乳癌)のさらなる進行を停止させることまたは阻害することを包含する。処置は、予防的(疾患の開始を予防するためまたは遅延させるため、またはその臨床的症状もしくは無症状性の症状があらわれることを予防するため)、または治療的抑制、または疾患が生じた後の症状の緩和であり得る。
「癌」または「悪性疾患」は同義語として使用され、制御されていない、異常な細胞の増殖、冒された細胞が局所的にまたは血流およびリンパ系を通じて身体の他の部分に広がる能力(すなわち、転移)、およびいくつかの特徴的構造および/または分子的特徴のいずれかにより特徴付けられるいくつかの疾患のうちのいずれかをいう。「癌細胞」または「悪性細胞」は、特異的構造特性を有し、分化を欠損し、侵襲および転移することができる細胞として理解される。癌の例は、乳癌、肺癌、脳腫瘍、骨肉種、肝臓癌、腎臓癌、結腸癌、および前立腺癌である(DeVitaら編、Cancer Principles and Practice of Oncology,第6版,Lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,PA,2001を参照のこと、この文献はあらゆる目的のためにその全体が参考として本明細書中に援用される)。
「癌関連の」とは、被験体細胞における悪性疾患の開始に対する、核酸およびその発現、もしくはその欠損、またはタンパク質およびそのレベルもしくは活性、もしくはその欠損の関係をいう。例えば、癌は、通常の正常細胞では発現されないか、または低レベルで発現される特定の遺伝子の発現と関連し得る。反対に、癌関連遺伝子は、悪性細胞においては(または形質転換が生じている細胞においては)発現されず、または、通常の正常細胞において発現されているよりは悪性細胞において低いレベルで発現されているものであり得る。
癌との関連で、用語「形質転換」とは、悪性になる場合に正常細胞に生じる変化をいう。真核生物においては、用語「形質転換」は、細胞培養物中の正常細胞から悪性細胞への転換を表すために使用され得る。
「増殖細胞」とは、細胞***が活発に起こっており、指数関数的に増殖している細胞である。「細胞増殖制御の喪失」とは、通常は適切な細胞***の制限を確実にしている細胞周期の制御が失われた細胞特性をいう。この制御を喪失した細胞は、刺激シグナルが無くても通常の速度より速く増殖し、阻害シグナルには応答しない。
「進行癌」とは、原発性腫瘍部位にはもはや局在しない癌、または、米国対癌合同委員会(AJCC)に従い、III期もしくはIV期である癌を意味する。
「耐容性の良好な」とは、処置の結果として生じ、処置の決定に影響し得る、健康状態の有害な変化が存在しないことをいう。
「転移性」とは、免疫欠損マウスの***脂肪パッドおよび/または循環中へ注入した際に免疫欠損マウスの肺、肝臓、骨または脳に二次的腫瘍病変を確立し得る腫瘍細胞(例えば、ヒト乳癌細胞)をいう。
「非転移性」とは、免疫欠損マウスの***脂肪パッドおよび/または循環中へ注入した際に免疫欠損マウスの肺、肝臓、骨または脳、または乳癌転移の他の標的器官に二次的腫瘍病変を確立し得ない腫瘍細胞(例えば、ヒト乳癌細胞)をいう。本明細書中で非転移性として用いられ、本明細書中で非転移性として扱われるヒト腫瘍細胞は、免疫欠損マウスの***脂肪パッド中に注入した際に原発性腫瘍は確立し得るが、原発性腫瘍から播種は起こらない。
本明細書中で用いられる場合、「リンパ球」は当該技術分野における通常の意味を有し、血液、リンパ、およびリンパ系組織中で見出される単核の非食細胞性白血球のいずれかをいう(例えば、Bリンパ球およびTリンパ球)。
「エピトープ」とは、抗体に特異的に結合し得るタンパク質決定基をいう。エピトープは、通常、分子(例えば、アミノ酸または糖側鎖)の化学的に活性な表面の基からなり、通常、特異的な3次元構造特性を有し、また、特異的な荷電特性を有する。構造性および非構造性エピトープは、変性溶媒の存在下で前者との結合は喪失するが、後者との結合は喪失しない点で識別される。
インタクトな「抗体」は、ジスルフィド結合により内部が結合している少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む。各重鎖は重鎖可変領域(本明細書中ではHCVRまたはVHと省略)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は3つのドメイン、CH、CHおよびCHからなる。各軽鎖は軽鎖可変領域(本明細書中ではLCVRまたはVと省略)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は1つのドメインCからなる。V領域およびV領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変領域と、散在しているフレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存的な領域とにさらに分けることができる。各VおよびVは3つのCDRと4つのFRとからなり、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順序で配列している:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンの宿主組織または因子(免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および伝統的な補体系の第1の成分(Clq)を含む)との結合を仲介し得る。抗体という用語は、活性化インテグリンレセプターに結合する能力を保持するインタクトな抗体の抗原結合部分を包含する。結合部分の例としては、(i)V、V、CおよびCH1ドメインからなる1価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド結合によって連結している2つのFab断片を含む2価の断片であるF(ab’)断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体のシングルアームのVドメインおよびVドメインからなるFv断片;(v)VHドメインからなるdAb断片(Wardら、Nature 341:544−546,1989);および(vi)単離相補性決定領域(CDR)が挙げられ得る。
「単鎖抗体」または「単鎖Fv(scFv)」とは、Fv断片の2つのドメインVおよびVの抗体融合分子をいう。Fv断片の2つのドメインVおよびVは別々の遺伝子によってコードされているが、V領域とV領域との対が1価の分子(単鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Birdら、Science 242:423−426,1988;およびHustonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5879−5883,1988を参照のこと)を形成している単一のタンパク質鎖として調製し得る、合成リンカーによる組み換え方法を用いて連結され得る。このような単鎖抗体は、組換え技術またはインタクトな抗体の酵素的切断もしくは化学的切断により調製され得る「抗体」断片という用語を参照することにより包含される。
「ヒト配列抗体」は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域(存在する場合)を有する抗体を包含する。本発明のヒト配列抗体は、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、インビトロにおけるランダム突然誘発もしくは部位特異的突然誘発またはインビボにおける体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。このような抗体は、例えば、PCT公開番号WO01/14424号およびPCT公開番号WO00/37504号に記載されているように、非ヒトトランスジェニック動物において作製され得る。しかし、本明細書中で使用される場合、用語「ヒト配列抗体」は、別の哺乳動物種(例えば、マウス)の生殖細胞に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体(例えば、ヒト化抗体)を包含することは意図されていない。
さらに、組換え免疫グロブリンが作製され得る。Cabilly、米国特許第4,816,567号(本文献は、あらゆる目的のために、その全体が参考として本明細書中に援用される)、およびQueenら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86: 10029−10033,1989を参照のこと。
「モノクローナル抗体」とは、単一分子組成の抗体分子調製物をいう。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を呈示する。したがって、用語「ヒトモノクローナル抗体」とは、ヒト生殖細胞免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域(存在する場合)を有する単一の結合特異性を示す抗体をいう。一実施形態において、ヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニック非ヒト動物(例えば、トランスジェニックマウス)から入手したB細胞を含むハイブリドーマにより産生され、このB細胞は、不死化細胞に融合させたヒト重鎖導入遺伝子および軽鎖導入遺伝子を含むゲノムを有する。
「ポリクローナル抗体」とは、細胞表面レセプター(例えば、ヒト活性化インテグリンレセプター)に対する1より多い(2以上の)異なる抗体からなる調製物をいう。このような調製物は種々の異なるエピトープに結合する抗体を含有する。活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、活性化インテグリンレセプターがカウンターレセプターまたは共レセプターと相互作用するのを阻害するように、ヒト活性化インテグリンレセプター上のエピトープに結合し得る。本発明において使用するのに適したこれらの抗体および他の抗体は、当該分野において周知である方法および/または本明細書中で引用する参考文献中に記載される方法にしたがって調製され得る。好ましい実施形態において、本発明において用いられる抗活性化インテグリンレセプター抗体は「ヒト抗体」(例えば、ヒトから単離された抗体)であるか、または「ヒト配列抗体」である(定義は上記)。
「免疫細胞応答」とは、免疫細胞の移動、標的細胞の死滅、食作用、抗体産生、他の可溶性エフェクターの免疫応答などを生じる免疫細胞における生化学的変化を生じる、外部または内部の刺激(例えば、抗原、細胞表面レセプター、活性化インテグリンレセプター、サイトカイン、ケモカイン、および他の細胞)に対する免疫系細胞の応答をいう。
「免疫応答」とは、リンパ球、抗原提示細胞、食細胞、顆粒球、および上記細胞または肝臓によって産生される可溶性巨大分子(抗体、サイトカイン、および補体を含む)の共同作用をいい、これにより、癌細胞、転移性腫瘍細胞、転移性乳癌細胞、侵入病原体、病原体が感染した細胞もしくは組織、または、自己免疫または病理学的炎症の場合には、正常のヒト細胞または組織の選択的損傷、破壊またはヒトの身体からの排除を生じる。
「Tリンパ球応答」および「Tリンパ球活性」は本明細書中で相互変換可能に用いられ、Tリンパ球に依存する免疫応答の構成要素(例えば、Tリンパ球の増殖および/またはヘルパーTリンパ球、細胞傷害性キラーTリンパ球、もしくはサプレッサーTリンパ球への分化、抗体産生を引き起こすかまたは防止するヘルパーTリンパ球からBリンパ球へのシグナルの提供、細胞傷害性Tリンパ球による特異的標的細胞の死滅、および他の免疫細胞の機能を変化する可溶性因子(例えば、サイトカイン)の放出)をいう。
免疫応答の構成要素は当業者に周知の種々の方法によりインビトロにおいて検出され得る。例えば、(1)細胞傷害性Tリンパ球は、放射標識された標的細胞とインキュベートされ得、そして、これらの標的細胞の溶解は放射能の放出により検出され得る;(2)ヘルパーTリンパ球は、抗原および抗原提示細胞とインキュベートされ得、そして、サイトカインの合成および分泌は標準的方法(Windhagenら、Immunity,2:373−80,1995)により測定され得る;(3)抗原提示細胞は、総タンパク質抗原とインキュベートされ得、そして、MHCにおける抗原の提示はTリンパ球活性化アッセイまたは生物物理学的方法(Hardingら、Proc.Natl.Acad.Sci.,86:4230−4,1989)によって検出され得る;(4)肥満細胞は、そのFc−εレセプターを架橋する試薬とインキュベートされ得、そして、ヒスタミンの放出は酵素イムノアッセイ(Siraganianら、TIPS,4:432−437,1983)によって測定され得る。
同様に、モデル生物(例えば、マウス)またはヒト患者のいずれかにおける免疫応答産物も当業者に周知の種々の方法により検出され得る。例えば、(1)ワクチン接種に応じた抗体の産生は、臨床研究室において現在用いられている標準的方法(例えば、ELISA)により容易に検出され得る;(2)免疫細胞の炎症部位への移動は、皮膚表面を引っ掻き、その引っ掻いた場所の上で移動する細胞を捕捉するために滅菌容器を配置することにより検出され得る(Petersら、Blood,72:1310−5,1988);(3)マイトジェンに応答した末梢血単核細胞の増殖または混合リンパ球反応は、H−チミジンを用いて測定され得る;(4)PBMC中の顆粒球、マクロファージ、および他の食細胞の食作用能は、ウェル中にPBMCと標識粒子とを一緒に入れることにより測定され得る(Petersら、Blood,72:1310−5,1988);および(5)免疫系細胞の分化は、CD分子(例えば、CD4およびCD8)に対する抗体でPBMCを標識し、これらのマーカーを発現するPBMC画分を測定することにより測定され得る。
簡便のために、免疫応答は多くの場合、本発明において、「一次」免疫応答または「二次」免疫応答のいずれかとして記載される。一次免疫応答(「防御」免疫応答としても記載される)とは、特定の抗原(例えば、細胞表面レセプター、または活性化インテグリンレセプター)への何らかの初めての曝露(例えば、初回「免疫」)の結果として個体に産生される免疫応答をいう。このような免疫は、例えば、抗原に対する何らかの天然の曝露の結果として(例えば、抗原を示すまたは提示する何らかの病原体の初回感染による)、または個体の何らかの腫瘍の癌細胞(例えば、転移性乳癌細胞)によって提示される抗原から生じ得る。あるいは、個体に抗原を含むワクチンを接種した結果として免疫は生じ得る。例えば、ワクチンは、癌細胞(例えば、転移性乳癌細胞)由来の1以上の抗原を含む癌ワクチンであり得る。
一次免疫応答は時間とともに弱くなりもしくは減衰し得、さらに消失しもしくは少なくとも検出できない程度に減衰し得る。したがって、本発明はまた、本明細書中で「記憶免疫応答」としても記載される「二次」免疫応答にも関する。用語「二次免疫応答」とは、一次免疫応答がすでに生成された後に、個体に誘発される免疫応答をいう。したがって、二次免疫応答は、例えば、弱くなってきたまたは減衰してきた現存する免疫応答を増強するために、あるいは、消失した、またはもはや検出することができない前回の免疫応答を再生するために誘発され得る。二次免疫応答を誘発させるために投与され得る物質は、その物質が一次免疫応答を「ブーストする」と称され得るので、以下「ブースター」と称する。
例えば、限定されるものではないが、二次免疫応答は、一次免疫応答を誘発した抗原を個体に再び導入することにより誘発され得る(例えば、ワクチンを再投与することによる)。しかし、抗原に対する二次免疫応答はまた、実際の抗原を含み得ない他の物質を投与することにより誘発され得る。例えば、本発明は、活性化インテグリンレセプターに対する抗体を個体に投与することにより二次免疫応答を増強するための方法を提供する。このような方法において、実際の抗原は必ずしも活性化インテグリンレセプターに対する抗体とともに投与される必要はなく、この抗体を含有する組成物は必ずしもこの抗原を含有している必要はない。二次免疫応答、すなわち記憶免疫応答は、体液(抗体)応答であっても、細胞性応答であってもよい。二次体液応答、すなわち記憶体液応答は、抗原の初回の提示時に産生された記憶B細胞が刺激したときに生じる。遅延型過敏症(DTH)反応は、CD4細胞により仲介される、細胞性の二次免疫応答、すなわち記憶免疫応答の1つの型である。抗原に対する初回の曝露が免疫系を初回刺激し、、さらなる曝露によりDTHを生じる。
「免疫交差反応性の」または「免疫反応性の」とは、同じ(「免疫反応性の」)または異なる(「免疫交差反応性の」)抗原を用いて産生された抗体と特異的に反応する抗原をいう。通常、抗原は活性化インテグリンレセプターであり、またはより代表的にはαvβ3インテグリンレセプターまたはその部分配列である。
「免疫学的反応性条件」とは、抗原の特定のエピトープに対して産生された抗体が、実質的に全ての他のエピトープに結合する抗体よりも、検出可能な程度に強く(通常、バックグラウンドの結合よりも少なくとも2倍強い、好ましくは、少なくともバックグラウンドの結合よりも少なくとも5倍強い)そのエピトープに結合することが可能となる条件をいう。免疫学的反応性条件は抗体結合反応の形式に依存し、代表的には、それらはイムノアッセイプロトコルにおいて利用される。イムノアッセイの形式および条件の記載については、HarlowおよびLane,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New York,1988を参照のこと。
「細胞表面レセプター」とは、シグナルと、細胞の原形質膜を越えたこのようなシグナルの伝達とを受容し得る分子および分子複合体をいう。本発明の「細胞表面レセプター」の例は、活性化インテグリンレセプター、例えば、転移細胞上の活性化αvβ3インテグリンレセプターである。
「非特異的T細胞活性化」とは、その抗原特異性には依存しないT細胞への刺激をいう。
「エフェクター細胞」とは、免疫応答の認識段階および活性化段階と対立するものとして、免疫応答のエフェクター段階に含まれる免疫細胞をいう。例示的な免疫細胞としては、骨髄またはリンパ起源の細胞、例えば、リンパ球(例えば、B細胞および細胞傷害性T細胞を含むT細胞(CTL))、キラー細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、好酸球、好中球、多形核細胞、顆粒球、肥満細胞、および好塩基球を挙げることができる。エフェクター細胞は特異的なFeレセプターを発現し、特異的な免疫機能を果たす。エフェクター細胞は抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)を誘導し得る(例えば、ADCCを誘導し得る好中球)。例えば、FcαRを発現する、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、およびリンパ球は、標的細胞の特異的死滅および免疫系の他の構成成分に対する抗原の提示、または抗原を提示する細胞への結合に関与する。エフェクター細胞はまた、標的抗原、標的細胞、転移性癌細胞、または微生物を食作用し得る。
「標的細胞」とは、本発明のAbまたはAb組成物によって標的され得る被験体(例えば、ヒトまたは動物)中の任意の望ましくない細胞をいう。標的細胞はヒト活性化インテグリンレセプターを発現するまたは過剰発現する細胞であり得る。ヒト活性化インテグリンレセプターを発現する細胞としては、腫瘍細胞(例えば、乳癌細胞または転移性乳癌細胞)が挙げられ得る。
転移性癌細胞(例えば、転移性乳癌細胞)における抗体組成物の目的となる標的としては、細胞表面レセプター、増殖因子レセプター、抗体(転移性癌および転移性乳癌などの癌に存在する抗イディオタイプ抗体および自己抗体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。他の標的は、接着性タンパク質(例えば、インテグリン類、セレクチン類、および、免疫グロブリンスーパーファミリーメンバー)である。Springer,Nature,346:425−433,1990;Osborn,Cell,62:3,1990;Hynes,Cell,69:11,1992。目的の他の標的は増殖因子レセプター(例えば、FGFR、PDGFR、EGF、her/neu、NGFR、およびVEGF)ならびにそのリガンドである。他の標的はG−タンパク質レセプターであり、物質Kレセプター、アンジオテンシンレセプター、α−アドレナリン作動性レセプターおよびβ−アドレナリン作動性レセプター、セロトニンレセプターおよびPAFレセプターが挙げられる。例えば、Gilman,Ann.Rev.Biochem.56:625−649,1987を参照のこと。他の標的としては、イオンチャンネル(例えば、カルシウムチャンネル、ナトリウムチャンネル、カリウムチャンネル、多剤耐性を仲介するチャンネルタンパク質)、ムスカリンレセプター、アセチルコリンレセプター、GABAレセプター、グルタミン酸レセプター、およびドーパミンレセプターが挙げられる(Harpold、米国特許第5,401,629号および米国特許第5,436,128号を参照のこと)。他の標的はサイトカインであり、例えば、インターロイキンIL−1〜IL−13、腫瘍壊死因子αおよび腫瘍壊死因子β、インターフェロンα、インターフェロンβおよびインターフェロンγ、腫瘍増殖因子β(TGF−β)、コロニー刺激因子(CSF)および顆粒球単球コロニー刺激因子(GM−CSF)である。Aggrawalら編、Human Cytekines:Handbook for Basic & Clinical Research,Blackwell Scientific,Boston,Mass.,1991を参照のこと。他の標的は、ホルモン、酵素、および細胞内メッセンジャーおよび細胞間メッセンジャー(例えば、アデニルシクラーゼ、グアニルシクラーゼ、ホスホリパーゼC)である。薬物も目的の標的である。標的分子は、ヒト、哺乳動物または細菌のものであり得る。他の標的は、抗原、例えば、微生物病原体(ウィルス性および細菌性の両方)由来のタンパク質、糖タンパク質および糖質)、ならびに腫瘍である。さらに他の標的が米国特許第4,366,241号に記載されている(この文献は全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される)。これらの標的によりスクリーニングされた物質のいくつかは単に標的と結合する。他の物質は標的を作動または拮抗する。
(癌処置)
抗体組成物による活性化インテグリンレセプターの遮断は、患者の癌細胞に対する記憶免疫応答すなわち二次免疫応答を増強し得る。免疫を刺激するために、活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、免疫原性物質、例えば、癌細胞、精製腫瘍抗原(組換えタンパク質、ペプチド、および糖質分子を含む)、細胞、および免疫刺激性サイトカインをコードする遺伝子でトランスフェクトした細胞、および細胞表面抗原と組み合わせることができ、または単独で使用することができる。
活性化インテグリンレセプターに対する抗体はワクチン接種プロトコルにしたがう場合に有効である。腫瘍に対するワクチン接種のための多くの実験戦略が考案されている(Rosenberg,ASCO Educational Book Spring:60−62,2000;Logothetis,ASCO Educational Book Spring:300−302,2000;Khayat,ASCO Educational Book Spring:414−428,2000;Foon,ASCO Educational Book Spring:730−738,2000を参照のこと。Restifoら、Cancer:Principles and Practice of Oncology,61:3023−3043,1997も参照のこと。)。これらの戦略のひとつにおいて、ワクチンは自己または同種の腫瘍細胞を用いて調製される。これらの細胞性ワクチンは、GM−CSFを発現するように腫瘍細胞に形質転換されている場合に最も有効であることが示されている。GM−CSFは腫瘍ワクチン接種のための抗原提示の強力なアクチベーターであることが示されている。Dranoffら,Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.,90:3539−43,1993。
活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、いくつかの実験腫瘍モデル、(例えば、乳癌(Hurwitzら、1998、前出)、原発性前立腺癌(Hurwitzら、Cancer Research、60:2444−8,2000)および黒色腫(van Elsasら,J.Exp.Med.,190:355−66,1999))においてワクチンの有効性を向上させるGMCSF修飾腫瘍細胞ワクチンを追加免疫し得る。これらの場合には、非免疫原性腫瘍(例えば、B16黒色腫)は、免疫系による破壊を受けやすくなっていた。腫瘍細胞ワクチンは、他の免疫アクチベーター(例えば、IL2)および、特に、同時刺激分子を発現するように改変され得る。
種々の腫瘍における遺伝子発現および大規模遺伝子発現パターンの研究は、いわゆる「腫瘍特異的抗原」の定義付けにつながった(Rosenberg、Immunity、10:281−7,1999)。多くの場合、これらの腫瘍特異抗原は、腫瘍において、および腫瘍が生じた細胞において発現している分化抗原である(例えば、メラニン形成細胞抗原gp100、MAGE抗原、Trp−2)。より重要なことに、これらの抗原の多くは、宿主において見い出された腫瘍特異的T細胞の標的であることが示され得る。活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、腫瘍において発現していることが見出されているタンパク質および/またはペプチドの組み換えバージョンに基づくワクチンとともに、これらのタンパク質に対する二次免疫応答、すなわち記憶免疫応答を増強させるためのブースター物質として使用され得る。これらのタンパク質は通常、免疫系によって自己抗原と見なされ、したがって、それらに対して寛容である。腫瘍抗原はタンパク質テロメラーゼを含み得、テロメラーゼは、染色体のテロメアの合成に必要とされ、ヒトの癌の85%以上で発現されており、体細胞組織では限られた数のみ発現されている(Kimら、Science,266:2011−2013,1994)。これらの体細胞組織は種々の手段により免疫の攻撃から保護され得る。腫瘍抗原は、タンパク質配列を変更しもしくは2つの関連しない配列間(例えば、フィラデルフィア染色体におけるbcr−abl)で融合タンパク質を形成させる体細胞変異のため、癌細胞で発現される「新生抗原」でもあり得、あるいは、B細胞腫瘍のイディオタイプでもあり得る。他の腫瘍ワクチンは、ヒトの癌に関係するウィルス(例えば、ヒトパピローマウィルス(HPV)、肝炎ウィルス(HBVおよびHCV)およびカポジヘルペス肉腫ウィルス(KHSV))由来のタンパク質を含み得る。活性化インテグリンレセプターに対する抗体とともに使用され得る別の形態の腫瘍特異抗原は、腫瘍組織自体から単離された精製熱ショックタンパク質(HSP)である。これらの熱ショックタンパク質は腫瘍細胞由来のタンパク質の断片を含み、腫瘍免疫を誘発させるための抗原提示細胞への送達に非常に有効である(Suotら、Science,269:1585−1588,1995;Tamuraら、Science,278:117−120,1997)。
樹状細胞(DC)は、転移性腫瘍細胞上の活性化インテグリンレセプターに対する抗原特異的な応答を初回刺激するために使用され得る強力な抗原提示細胞である。DCはエキソビボで産生させることができ、種々のタンパク質およびペプチド抗原ならびに腫瘍細胞抽出物と一緒に負荷され得る(Nestleら、Nature Medicine,4:328−332,1998)。DCは、これらの腫瘍抗原も発現するように遺伝子的手段により形質転換され得る。DCは免疫目的のために腫瘍細胞に直接、融合される(Kuglerら、Nature Medicine,6:332−336,2000)。ワクチン接種の方法として、DC免疫は、より強力な抗腫瘍応答を活性化させるために、活性化インテグリンレセプターに対する抗体を用いて有効にブーストされ得る。
活性化インテグリンレセプターに対する抗体と組み合わせられ得る別の型の黒色腫ワクチンは、免疫アジュバントとともに黒色腫細胞株溶解物から調製されるワクチンである(例えば、MELACINETMワクチン(2種類のヒト黒色腫細胞株の溶解物の混合物)プラスDETOXTM(免疫アジュバント))。ワクチン処置は、さらなる化学的処置を伴っても伴わなくてもよいが、抗活性化インテグリンレセプターによってブーストされ得る。
活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、標準的癌治療により誘発される免疫をブーストするために使用され得る。これらの場合、投与する化学治療薬の用量を減少させることも可能である(Mokyrら、Cancer Research,58:5301−5304,1998)。活性化インテグリンレセプターに対する抗体と化学治療薬の併用の背後にある科学的根拠は、多くの化学治療化合物の細胞傷害性作用の結果である細胞死が、抗原提示経路において腫瘍抗原レベルの増加を生じるはずであることである。したがって、活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、腫瘍細胞の化学治療薬の放出に対して初回刺激された免疫応答をブーストし得る。活性化インテグリンレセプターに対する抗体による治療と組み合わされる化学治療薬の例としては、アルデスロイキン、アルトレタミン、アミホスチン、アスパラギナーゼ、ブレオマイシン、カペシタビン、カルボプラチン、カムスチン、クラドリビン、シサプリド、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ドロナビノール、デュオカルマイシン、エポエチンα、エトポシド、フィルグラスチム、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲンシタビン、グラニセトロン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イフォスファミド、インターフェロンα、イリノテカン、ランソプラゾール、レバミソール、ロイコボリン、メゲステロール、メスナ、メトトレキサート、メトクロプラミド、マイトマイシン、ミトーテン、ミトキサントロン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パクリタキセル(TaxolTM)、ピロカルピン、プロクロロペラジン、リツキシマブ、サプロイン、タモキシフェン、タキソール、塩酸トポテカン、トラスツズマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび酒石酸ビノレルビンが挙げられ得るが、これらに限定されない。前立腺癌処置のために抗活性化インテグリンレセプターと組み合わせることができる好ましい化学治療薬はパクリタキセル(TaxolTM)である。黒色腫の癌処置のために抗活性化インテグリンレセプターと組み合わせることができる好ましい化学治療薬はダカルバジン(DTIC)である。
細胞死によって免疫系の初回刺激を生じ得る他の併用治療は、放射線照射、外科的手術、およびホルモン喪失(hormone deprivation)である(Kwonら、Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.,96:15074−9,1999)。これらのプロトコルのそれぞれが宿主内に腫瘍抗原の供給源を作製する。例えば、手術時における腫瘍に対するいずれの操作も血液中の癌細胞数を大幅に増加させ得る(Schwartzら、Principles of Surgery. 第4版,p.338,1984)。血管新生インヒビターも活性化インテグリンレセプターに対する抗体と組み合わせることができる。血管新生阻害は、腫瘍抗原を宿主抗原提示経路に供給し得る腫瘍細胞死をもたらす。これらの全てが腫瘍の放出と、活性化インテグリンレセプターに対する抗体がブーストし得る、可能な免疫系の初回刺激を引き起こす。
(抗体治療)
当該分野において十分に理解されているように、生物特異的な捕捉試薬としては、抗体、転移細胞上の活性化インテグリンレセプターに結合する抗体の結合断片(例えば、単鎖抗体、Fab’断片、F(ab)’2断片、およびscFvタンパク質およびアフィボディ(affibody)(Affibody,Teknikringen 30,floor 6,Box 700 04,Stockholm SE−10044,Sweden;米国特許第5,831,012号を参照のこと。これらは、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。))が含まれる。目的とする用途に応じて、それらは、別の生体分子と特異的に結合するレセプターおよび他のタンパク質を含み得る。
ハイブリッド抗体およびハイブリッド抗体断片には、完全長の重鎖および軽鎖を有する完全抗体分子、またはその任意の断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、scFv、抗体軽鎖および抗体重鎖)が含まれる。本明細書中で記載されるような可変領域と、種々の種からの定常領域を有するキメラ抗体も適している。例えば、米国特許出願第20030022244号を参照のこと。
初めに、抗体が惹起され得る所定の標的目的を選択する。標的目的に対するモノクローナル抗体を作製するための技術は当業者に周知である。このような技術の例としては、ディスプレイライブラリー、xenoマウスまたはhumabマウス、ハイブリドーマなどを含む技術を挙げられるが、これらに限定されない。標的目的には抗原性を示し得る任意の物質が含まれ、通常は、タンパク質またはタンパク多糖類である。例としては、レセプター、酵素、ホルモン、増殖因子、ペプチドなどが挙げられる。本発明の開示にしたがって使用するのに適しているのは天然に存在する抗体だけではなく、所定の目的に関する操作された抗体および抗体断片も適切であることを理解すべきである。
本明細書中で示す技術に供され得る抗体(Ab)としては、モノクローナルAbおよびポリクローナルAb、および抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、scFv、二重特異性抗体、抗体軽鎖、抗体重鎖および/またはファージディスプレイ技術またはファージミドディスプレイ技術に由来する抗体断片)が挙げられる。まず第1に、初回の抗体は起源種から得られる。より具体的には、標的抗原に対する特異性を有する起源種抗体の軽鎖、重鎖または両方の可変領域の核酸またはアミノ酸配列が必要とされる。起源種は抗体または抗体ライブラリーを作製するために用いられた任意の種(例えば、ラット、マウス、ウサギ、ニワトリ、サル、ヒトなど)である。モノクローナル抗体を作製およびクローニングするための技術は当業者には周知である。所望の抗体を取得した後、可変領域(VおよびV)を、CDRのいずれかの可能な定義(例えば、Kabat単独、Chothia単独、KabatおよびChothia併用、ならびに、当業者に公知の任意の他のもの)を用いて構成部分(すなわち、フレームワーク(FR)およびCDR)に分ける。一旦、それが取得されたら、適切な標的種のフレームワークの選択が必要である。ある実施形態は、起源種の抗体配列からのそれぞれ個別のフレームワーク領域と、標的種からの可変アミノ酸配列または遺伝子配列とのアラインメントを含む。アラインメントのための検索プログラムは当該分野において周知である(例えば、BLASTなど)。例えば、標的種がヒトである場合、このようなアミノ酸配列もしくは遺伝子配列(生殖細胞系または再配列した抗体の配列)またはその翻訳産物の情報源は、任意の適切な参照用データベース(例えば、NCBIタンパク質データバンクであるGenbank(http://ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)、ヒト抗体遺伝子データベースであるVBASE(http://www.mrc−cpe.cam.ac.uk/imt−doc)、および免疫グロブリンのKabatデータベース(http://www.immuno.bme.nwu.edu))中に見出され得る。アラインメントをヌクレオチド配列に基づいて行なう場合、次いで、そのサブセットのどの遺伝子が起源種の抗体と最も近似するアミノ酸相同性を有するのかを決定するために、選択した遺伝子を分析すべきである。データベース中の他の配列と比較してより高い相同性に近いアミノ酸配列または遺伝子配列は、本明細書中で記載される手順にしたがって利用および操作され得ることが企図される。さらに、本明細書中で記載される手順にしたがって操作および選択する時に、所定の標的抗原に対する特異性を示す産物をアミノ酸配列または遺伝子がコードする時、相同性のより低いアミノ酸配列または遺伝子が利用され得る。特定の実施形態において、許容可能な相同性の範囲は約50%より高い。標的種はヒト以外のものであっても良いことを理解すべきである。
用語「処置する」とは、癌の処置または改善または予防における成功の任意の徴候(客観的パラメータまたは主観的パラメータ(例えば、症状の軽減、寛解、消失、または、病状が患者にとってより耐えられるものとなること;退化または衰弱の速度が低下すること;または、退化の最終ポイントをより軽度の衰弱とすること)を含む)をいう。症状の処置または改善は、客観的パラメータまたは主観的パラメータ(医師による診察の結果が挙げられる)に基づき得る。したがって、用語「処置」としては、眼疾患に関連した症状または状態の進行を抑制するため、遅延させるため、緩和するため、停止させるためもしくは阻害するための、本発明の化合物または物質の投与が包含される。用語「治療的に有効な」とは、被験体における疾患、疾患の症状、または疾患の副作用の低減、排除、または抑制をいう。
特定の実施形態において、「組み合わせた」、「組み合わせ治療」および「組み合わせ産物」とは、第1治療薬と本明細書中で用いられる化合物の患者への同時投与をいう。組み合わせて投与した場合、各成分は同時にまたは連続的に任意の順序で異なる時点で投与され得る。したがって、各成分は、所望の治療効果を提供するように、別々にではあるが、時間的に十分接近して投与され得る。
本発明の方法を用いた癌または転移性癌の「処置(treating)」または「処置(treatment)」としては、眼の感染の危険性が増加しているが、感染の症状をまだ経験していない、すなわち呈していない被験体の症状の発症を抑制すること、感染の症状を阻害すること(その進行を遅延させることまたは停止させること)、症状または感染の副作用からの軽減を提供すること(待機療法を含む)、および感染の症状を緩和すること(後退をもたらす)が挙げられる。
「投薬量単位」とは、処置される特定の個体のための単位投薬量として適合された物理的に別々の単位をいう。各単位は、必要とされる薬学的キャリアを伴う、所望の治療効果を生じるために計算された、所定量の活性化合物を含有し得る。投薬単位形態の仕様は以下により決定され得る:(a)活性化合物の固有の特性および達成すべき特定の治療効果、および(b)そのような活性化合物を混合する技術における固有の制約。
2以上の核酸配列またはポリペプチド配列との関連において、用語「同一の」またはパーセント「同一性」とは、以下に記載するデフォルトパラメータを有するBLASTまたはBLAST 2.0配列比較アルゴリズムを用いて、またはマニュアルアラインメントおよび目視検査(例えば、NCBIウェブサイトを参照のこと)によって測定した場合に、同一であるまたは特定の割合のアミノ酸残基またはヌクレオチドが同一である2以上の配列またはサブ配列をいう。特定の割合で同一とは、すなわち、比較ウィンドウまたは指定された領域にわたる最大の対応について比較および配列した場合に、特定の領域(例えば、本明細書中で記載するコレクチン(collectin)をコードするヌクレオチド配列または本明細書中で記載するコレクチンのアミノ酸配列)にわたり約60%の同一性、好ましくは、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれ以上の同一性を有することをいう。このような配列を、そのとき、「実質的に同一である」という。この用語はまた、試験配列の相補体をいう、あるいは、それに対し適用され得る。この用語はまた、欠失および/または付加を有する配列、ならびに置換を有する配列を包含する。以下に記載するように、好ましいアルゴリズムは、ギャップ(gap)などについて説明し得る。好ましくは、同一性は、少なくとも約25アミノ酸長または約25ヌクレオチド長、またはより好ましくは50〜100アミノ酸長または50〜100ヌクレオチド長の領域にわたり存在する。
配列の比較のために、代表的には、一つの配列が試験配列と比較するために参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験配列および参照配列をコンピュータに入力し、サブ配列の座標を指定し、そして、必要な場合、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。好ましくは、デフォルトプログラムパラメータを用いるか、または別のパラメータを指定することができる。次いで、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
本明細書中で用いられる場合、「比較ウィンドウ」には、20〜600、通常、約50〜約200、より通常的には、約100〜約150からなる長さの群から選択される多数の近接した位置における任意の一部分に対する参照配列を含み、その中で、ある配列は、2つの配列を最適に整列させた後に、近接する位置における同数の参照配列と比較され得る。比較のための配列のアラインメント方法は当該分野において周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman、Adv.Appl.Math,2:482、1981に記載される局所的相同性アルゴリズムにより、NeedlemanおよびWunsch,J.mol.Biol,48:443、1970の相同性アラインメントアルゴリズムにより、PearsonおよびLipman、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA、85:2444、1988の相同性方法に関する探索により、コンピュータ化されたこれらのアルゴリズム(GAP、BESTFIT、FASTA、およびWisconsin Genetics Software Package(Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、WI)におけるTFASTA)の実行により、または手作業でのアラインメントおよび視覚的観察(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology. 1995 補遺を参照のこと)により行われ得る。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例は、Altschulら、Nuc.Acids Res、25:3389−3402、1977およびAltschulら、J Mol.Biol、215:403−410、1990にそれぞれ記載されたBLASTアルゴリズムおよびBLAST2.0アルゴリズムである。BLASTおよびBLAST2.0は、本明細書中で記載されるパラメータと共に、本発明の核酸およびタンパク質に関するパーセント配列同一性を決定するために用いられる。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通じて公共的に入手可能である。このアルゴリズムは、クエリー配列における長さWを有する短い文字列を同定することによって、データベース配列中の同じ長さの文字列と整列した場合に合致するかまたはいくつかの正の値の閾値スコアTを満足する第1のハイスコア配列ペア(HSP)を同定することを包含する。Tは近傍文字列スコア閾値(Altschulら、前出)をさす。ヒットしたこれらの最初の近傍文字列は、それらを含む、より長いHSPを見出すための検索を開始するための種として働く。ヒットしたこの文字列は、累積アラインメントスコアが増加し得る限り各配列に沿って両方向に延長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列、パラメータM(合致した残基のペアへのリウォードスコア;常に0より大きい)およびN(ミスマッチした残基へのペナルティスコア;常に0より小さい)を用いて計算される。アミノ酸配列に関しては、累積スコアを計算するためにスコア化マトリックスが用いられる。以下のような場合、文字列のヒットの各方向における延長は停止する:累積アラインメントスコアが、その最大の達成された値から量Xだけ下降する;1以上の負のスコア残基アラインメントが蓄積することにより累積スコアがゼロまたはそれ以下となる;またはいずれかの配列の末端に到達する。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、およびXは、そのアラインメントの感度およびスピードを決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列に対する)はデフォルトとして文字列長(W)が11、期待値(E)が10、M=5、N=−4を使用して、両鎖の比較を行なう。アミノ酸配列に関しては、BLASTPプログラムはデフォルトとして文字列長が3、期待値(E)が10、およびBLOSUM62スコア化マトリックス(HenikoffおよびHenikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:10915、1989を参照のこと)アラインメント(B)が50、期待値(E)が10、M=5、N=−4を使用して、両鎖の比較を行なう。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は本明細書中で相互変換可能に用いられ、アミノ酸残基のポリマーをいう。これらの用語は、天然のアミノ酸ポリマーおよび非天然のアミノ酸ポリマーに対してだけでなく、1以上のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工化学的模倣物であるアミノ酸ポリマーに対しても適用される。
用語「アミノ酸」とは、天然のおよび合成のアミノ酸、ならびに、天然のアミノ酸と類似した様式で機能するアミノ酸アナログおよびアミノ酸模倣物をいう。天然のアミノ酸は、後に修飾される遺伝子コードによってコードされるアミノ酸、および、後に修飾されるアミノ酸(例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタメート、およびO−ホスホセリン)である。アミノ酸アナログとは、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造(すなわち、1個の水素、1個のカルボキシル基、1個のアミノ基、および1個のR基に結合しているα炭素)を有する化合物(例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウム)をいう。このようなアナログは、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)を有するか、または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。アミノ酸模倣物とは、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と類似した様式で機能を有する化合物をいう。
アミノ酸は、本明細書中では、一般的に公知の3文字表記またはIUPAC−IUB 生化学命名委員会により推奨されている1文字表記によって参照され得る。ヌクレオチドも同様に、一般的に受け入れられている1文字コードによりにより参照され得る。
「保存的修飾改変体」は、アミノ酸配列および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的修飾改変体とは、同一のまたは実質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸をいうか、あるいは、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には、実質的に同一の配列をいう。遺伝子コードの縮重に起因して、多数の機能的に同一の核酸が任意の所定のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全てアミノ酸アラニンをコードする。したがって、コドンによってアラニンが特定される全ての位置において、そのコドンを、コードされるポリペプチドを変更することなく、記載した対応するコドンのいずれかに変更することができる。このような核酸のバリエーションは「サイレントバリエーション」であり、保存的修飾改変体の一種である。ポリペプチドをコードする本明細書中の全ての核酸配列は、それらの核酸の全ての可能なサイレントバリエーションも表す。当業者であれば、核酸中の各コドン(通常メチオニンに対する唯一のコドンであるAUG、および、通常トリプトファンに対する唯一のコドンであるTGGを除く)を改変しても機能的に同一の分子が生じ得ることを認識する。したがって、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレントバリエーションは発現産物に関して表される各配列中に潜在的に含まれるが、実際のプローブ配列に関しては潜在的に含まれない。
アミノ酸配列に関して、当業者は、コード配列中の単一のアミノ酸またはわずかの割合のアミノ酸を変更、付加または欠失する、核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個別の置換、欠失または付加が「保存的修飾改変」であり、この場合、この変更が化学的に類似したアミノ酸を有するアミノ酸の置換を生じることを認識する。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表は当該分野において周知である。このような保存的修飾改変体は、本発明の多形改変体、種間ホモログ、および対立遺伝子に加えられるものであり、これらを除外するものではない。
以下の8群の各々は、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)スレオニン(T);および8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton、Proteins(1984)を参照のこと)。
ポリペプチド構造などの巨大分子構造は、組織化の種々のレベルの点で記載され得る。この組織化の一般的な議論については例えば、Albertsら、Molecular Biology of the Cell、第3版、1994)およびCantorおよびSchimmel、Biophysical Chemistry PartI:The Conformation of Biological Macromolecules、1980を参照のこと。「1次構造」は、特定のペプチドのアミノ酸配列をいう。「2次構造」は、ポリペプチド内の局所的に並べられた3次元構造をいう。これらの構造は、ドメイン(例えば、酵素ドメイン、細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、孔ドメイン、および細胞質側末端ドメイン)として一般に知られている。ドメインはポリペプチドの小型ユニットを形成するポリペプチド部分であり、代表的には15〜350アミノ酸長である。例示的なドメインとしては、例えば、キナーゼドメイン等のような酵素活性を伴うドメインが挙げられる。代表的なドメインは、β−シートおよびα−へリックスの広がりのような、より少ない組織の区分からなる。「3次構造」は、ポリペプチドモノマーの完全な3次元構造をいう。「4次構造」は、独立した3次元のユニットの非共有結合的な会合により形成された3次元構造をいう。異方性項はエネルギー項としても公知である。
特定の核酸配列はまた、暗黙のうちに「スプライシング改変体」を包含する。同様に、核酸によりコードされる特定のタンパク質は暗黙のうちに、その核酸のスプライシング改変体によりコードされる任意のタンパク質を包含する。「スプライシング改変体」はその名が示唆する通り、遺伝子の選択的スプライシングの産物である。転写後、最初の核酸転写物が、異なる(代替の)核酸スプライシング産物が異なるポリペプチドをコードするように、スプライシングされ得る。スプライシング改変体の産生機構は多様であるが、エクソンの選択的スプライシングを含む。同一の核酸を最後まで転写することにより得られる代替ポリペプチドもまた、この定義によって包含される。スプライシング産物の組換え体を含む、スプライシング反応の任意の産物がこの定義に包含される。
用語「組換え」は、参考文献と共に、例えば、細胞、または核酸、タンパク質、またはベクターに対して用いられる場合、その細胞、核酸、タンパク質またはベクターが、異種の核酸またはタンパク質、または天然の核酸もしくはタンパク質の改変物の導入によって改変されているか、またはその細胞がそのようにして改変された細胞に由来することを示す。したがって、例えば、組換え細胞は、天然(非組換え)形態の細胞内で見出されていない遺伝子を発現するか、またはさもなければ天然の遺伝子を異常発現するか、少なく発現するか、あるいは全く発現しない。
語句「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、プローブが、代表的には核酸の複合混合物中でその標的サブ配列へハイブリダイズするが他の配列にはハイブリダイズしない条件をいう。ストリンジェントな条件は配列に依存し、条件により異なる。より長い配列はより高温において特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションにおける広範な手引きは、Tijssen、「Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−−Hybridization with Nucleic Probes」 Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays、1993中に見いだされる。一般的に、ストリンジェントな条件は、規定のイオン強度pHにおいて特定の配列に対して、融解温度(T)より約5−10℃低いところで選択される。Tは(規定のイオン強度、pH、および核酸濃度下での)温度であり、標的に対し相補的なプローブの50%が平衡時に標的配列にハイブリダイズする(Tにおいて標的配列が過剰に存在する場合、プローブの50%は平衡時に占有される)。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加によっても達成され得る。選択的または特異的なハイブリダイゼーションのために、陽性シグナルはバックグラウンドの少なくとも2倍、好ましくはバックグラウンドのハイブリダイゼーションの10倍である。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下のとおりであり得る:50%ホルムアミド、5×SSC、および1% SDS、42℃にてインキュベーション、または、5×SSC、1% SDS、65℃にてインキュベーション(0.2×SSC、および 0.1% SDS中で、65℃にて洗浄を伴う)。
ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするそのポリペプチドが実質的に同一である場合、実質的に同一である。このことは、例えば、遺伝子コードにより可能にされた最大コドン縮重を用いて核酸のコピーが作製される場合に生じる。このような場合、その核酸は代表的に、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする。例示的な「中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」としては、40%のホルムアミド、1M NaCl、1% SDSを含有する緩衝液中で37℃にてハイブリダイゼーション、および、1×SSC中、45℃にて洗浄が挙げられる。陽性のハイブリダイゼーションは少なくともバックグラウンドの2倍である。類似のストリンジェンシーの条件を提供するために、代替的なハイブリダイゼーションおよび洗浄条件が利用され得ることを、当業者は容易に認識する。ハイブリダイゼーションパラメーターの決定に関する付加的な手引きは多くの文献(例えば、Ausubelら、前出)の中で提供されている、。
PCRのために、アニーリングの温度はプライマーの長さに依存して約32℃と48℃との間で変動し得るが、低ストリンジェンシーの増幅のためには温度は約36℃が代表的である。高ストリンジェンシーのアニーリング温度はプライマーの長さおよび特異性に依存して約50℃〜約65℃の範囲であり得るが、高ストリンジェンシーのPCR増幅のためには約62℃が代表的である。ストリンジェンシーが高い増幅およびストリンジェンシーが低い増幅の両方に対する代表的なサイクル条件は、変性期間90℃−95℃、30秒間−2分間、アニーリング期間30秒間−2分間持続、および、約72℃、1−2分間の伸長期間である。ストリンジェンシーが低い増幅反応およびストリンジェンシーが高い増幅反応のためのプロトコルおよび手引きは、例えば、Innisら、PCR Protocols、A Guide to Methods and Applications、Academic Press、Inc.N.Y.、1990中に提供されている。
「抗体」は、抗原に特異的に結合しそれを認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片由来のフレームワーク領域を含むポリペプチドをいう。認識される免疫グロブリン遺伝子としては、κ、λ、α、γ、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖はκまたはλのいずれかに分類される。重鎖はγ、μ、α、δ、またはεとして分類され、それらは順に免疫グロブリンの分類、IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEをそれぞれ規定する。代表的には、抗体の抗原結合領域は、結合の特異性および親和性において最も重要である。
「薬学的に受容可能な賦形剤」は、薬学的組成物の調製に有用な賦形剤であって通常安全で、無毒かつ好ましく、獣医学的用途ならびにヒト薬学的用途に対し許容される賦形剤を含む。このような賦形剤は固体、液体、半固体、またはエアロゾル組成物の場合、気体であり得る。
「薬学的に受容可能な塩およびエステル」は、薬学的に受容可能なもので、かつ望ましい薬理的特性を有する塩およびエステルを意味する。このような塩としては、化合物中に存在する酸性プロトンが無機または有機基材と反応し得る、形成され得る塩が挙げられる。適した無機塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムなどのアルカリ金属を用いて形成されたものが挙げられる。適した有機塩としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、Nメチルグルカミンなどのアミン塩基などの有機塩基を用いて形成されたものが挙げられる。このような塩はまた、無機酸(例えば、塩酸および臭化水素酸)および有機酸(例えば、酢酸、クエン酸、マレイン酸、ならびにアルカン−およびアレーン−スルホン酸(例えば、メタンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸))を用いて形成した酸添加塩も含む。薬学的に受容可能なエステルとしては、例えば、C1−6アルキルエステルなどの化合物中に存在するカルボキシ基、スルホニルオキシ基、およびホスホノキシ基から形成されるエステルが挙げられる。2つの酸基が存在する場合、薬学的に受容可能な塩または薬学的に受容可能なエステルは、1酸−1塩(mono−acid−mono−salt)またはエステル、あるいは−2塩(di−salt)またはエステルであり得る;および同様に、2以上の酸基が存在する場合、いくつかのまたは全てのこのような基が塩化され、またはエステル化され得る。本発明で命名される化合物は塩化されない形またはエステル化されない形で、または塩化され、そして/またはエステル化された形で存在し得、そのような化合物の命名は原型(塩化されないおよびエステル化されない)の化合物およびその薬学的に受容可能な塩および薬学的に受容可能なエステルの両方を含むことが意図される。また、本発明で命名されるある種の化合物は1以上の立体異性体形態の中に存在し得、このような化合物の命名は、そのような立体異性体の全ての個々の立体異性体および全ての混合物(ラセミ体であってもそうでなくてもよい)を含むことが意図される。
用語「薬学的に受容可能な」「生理学的に許容可能な」およびそれらの文法的なバリエーションは、組成物、キャリア、希釈剤および試薬をいう場合、相互変換可能に使用されて、その物質が、その組成物の投与を妨げる程度の望ましくない生理学上な影響をヒトに生じることなしに投与可能であることを表す。
「治療的有効量」は、疾患の処置のために被検体に投与する場合に、その疾患の処置に効果を示すために十分である量をいう。
注記されない限り、用語「被検体」または「患者」は、相互変換可能に使用され、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット、およびマウス、および他の動物などの実験動物をいう。したがって、本明細書中で用いられる用語「被検体」または「患者」は、本発明の組成物が投与され得る、任意の哺乳動物患者または被検体を意味する。本発明のいくつかの実施形態において、患者は疾患、例えば、HIVへの耐性の低下が引き起こされる状態に罹患している。本発明の例示的な実施形態において、1以上のコレクチンおよび/または本発明の方法に従う界面活性タンパク質を含有する薬学的組成物を用いた処置について被検体患者を同定するために、受容可能なスクリーニング方法が利用されて、存在する疾患の状況、または患者における状態、または標的化されまたは疑われる疾患もしくは条件と関連した危険性因子を決定する。これらのスクリーニング方法としては、例えば、被験体が眼疾患に罹患しているかどうかを判断するための眼科検査が挙げられる。これらおよび他の日常的な方法は、治療を必要としている被験体を臨床医に選択可能にさせる。本発明の特定の実施形態において、コンタクトレンズの保存、洗浄、再湿潤、および/または殺菌のための眼科用組成物、ならびに人工涙組成物および/またはコンタクトレンズは、1以上のコレクチンおよび/または界面活性剤タンパク質を含有し、それによりコンタクトレンズ装用者の眼疾患の進行を阻害する。
本発明の薬学的組成物と公知の癌治療薬との「同時投与」は、公知の薬物と本発明の組成物との両方が治療効果を有するようなときにおける、その薬物およびコレクチンおよび/または界面活性タンパク質組成物の投与を意味する。このような併用投与は、本発明の化合物の投与に関して、同時並行の(すなわち、同時の)、抗菌薬の前、またはそれに続いて投与することを包含する。当業者は、特定の薬物および本発明の組成物の投与に対する適切な時機、順序、および投与量を、困難を有することなく決定する。
同一のファミリーおよび/または同一のファミリーメンバーに由来する適切なフレームワーク領域候補を選択後、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のいずれかもしくは両方が、起源種からハイブリッドフレームワーク領域へのCDR移植により産生される。ハイブリッド抗体のアセンブリ、またはハイブリッド可変鎖領域を有するハイブリッド抗体断片は、上記の局面のいずれかに関して、当業者に公知の従来方法を用いて達成され得る。例えば、本明細書中で記載されるハイブリッド可変ドメインをコードするDNA配列(すなわち、標的種および起源種由来CDRに基づいたフレームワーク)は、オリゴヌクレオチド合成および/またはPCRにより産生され得る。CDR領域をコードする核酸もまた適切な制限酵素を用いて起源種抗体から単離され、また適切な連結酵素を用いて連結することにより標的種フレームワークへ連結される。あるいは、起源種抗体の可変鎖のフレームワーク領域は、部位特異的変異誘発により変化され得る。
ハイブリッドは、各フレームワーク領域に相当する複数の候補の中から選択されて構築されるので、本明細書中で記載される原理に従う構築物に受け入れられる配列の多くの組み合わせが存在する。従って、ハイブリッドのライブラリーは、個別のフレームワーク領域の異なる組み合わせを有するメンバーが組み合わされたものであり得る。このようなライブラリーは、配列の電子的データベース集合または物理的なハイブリッドの集合であり得る。
物理的な抗体または抗体断片ライブラリーの構築は、好ましくは合成オリゴヌクレオチドを使用して達成される。一例において、オリゴヌクレオチドは、それらがアニーリングされ、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)などを用いてポリメラーゼによって満たされるように重複した領域を有するように設計される。重複延長の複数の工程が、V遺伝子挿入物およびV遺伝子挿入物を生成するために実行される。それらの断片は、それらが重複延長により融合されて全長軽鎖およびFd重鎖断片を産生し得るようにヒト定常ドメインと重複する領域と共に設計されている。軽鎖Fd領域および重鎖Fd領域は重複延長によって共に連結されて、ディスプレイベクターへとクローニングされるための単独のFabライブラリー挿入物を生成する。ヒト化ライブラリー遺伝子の構築に関する他の方法も使用され得る。例えば、このライブラリーは、リガーゼ鎖反応(LCR)アプローチを用いて重複するオリゴヌクレオチドから構築された。Chalmersら、Biotechniques、30−2:249−252、2001。
種々の形態の抗体フラグメントが作製され、ハイブリッド抗体ライブラリーまたはハイブリッド抗体断片ライブラリーを作成するた目の適切なベクター内へクローニングされ得る。例えば、可変的遺伝子は、必要な定常ドメインの残存部分をフレーム内に含むベクターへとクローニングされ得る。クローニングされ得る付加的な断片の例としては、軽鎖全体、重鎖のFd部分、または軽鎖および重鎖両方のFdコード配列を含むフラグメントが挙げられ得る。あるいは、ヒト化のために用いられる抗体断片は単鎖抗体(scFv)であり得る。
任意の選択ディスプレイシステムが、本開示に従うライブラリーと合わせて用いられ得る。大きなライブラリーの所望のメンバーを単離するための選択プロトコルは、ファージディスプレイ技術により代表されているように当該分野で公知である。多様なペプチド配列が糸状バクテリオファージの表面に呈示されたこのようなシステムは、標的抗原に結合する特異的抗体断片のインビトロでの選択および増幅のための抗体断片(およびそれをコードするヌクレオチド配列)のライブラリーを作製するために有用であることを立証している。Scottら、Science、249:386,1990。VおよびV領域をコードするヌクレオチド配列は、リーダーシグナルをコードする遺伝子断片と連結され、それがE.coliのペリプラズム空間へとそれらをむかわせ、結果的に、得られる抗体断片がバクテリオファージの表面に、代表的にはバクテリオファージ被覆タンパク質(例えば、pIIIまたはpVIII)に対する融合物として呈示される。あるいは、抗体断片はλファージまたはT7キャプシド(ファージボディ)上の外側に呈示される。ファージをベースとしたディスプレイシステムの有利な点は、それらが生物学的なシステムであるので、選択されるライブラリーメンバーは、細菌細胞中で選択されるライブラリーメンバーを含むファージを増殖させることによって単純に増幅可能であることである。さらに、ポリペプチドライブラリーメンバーをコードするヌクレオチド配列がファージまたはファージミドベクター上に含まれるので、配列決定、発現および続く遺伝子操作は比較的容易になる。バクテリオファージ抗体ディスプレイライブラリーおよびラムダファージ発現ライブラリーを構築するための方法は当該分野で周知である。McCaffertyら、Nature、348:552、1990;Kangら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、88:4363、1991。
本発明はさらに本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体およびT細胞抗原レセプター(TCR)に関する。本発明の抗体はIgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、IgA(IgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、またはIgM、およびIgYを含む。本明細書中で用いられる場合、用語「抗体」(Ab)は、抗体全体(単鎖抗体全体、およびその抗原結合断片を含む)を包含することが意味される。最も好ましくは、抗体は本発明のヒト抗原結合抗体断片であり、これらとしては、Fab、Fab’およびF(ab’)、Fd、単鎖Fv(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド架橋されたFv(sdFv)および、VドメインまたはVドメインのいずれかを含む断片が挙げられるが、これらに限定されない。抗体は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源に由来し得る。好ましくは、抗体はヒト、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ウマまたはニワトリである。
単鎖抗体を含む抗原−結合抗体断片は、可変領域を単独で、または、ヒンジ領域、CHドメイン、CHドメイン、およびCHドメインの全体または部分と組み合わせた状態で含み得る。可変領域、およびヒンジ領域、CHドメイン、CHドメイン、およびCHドメインの任意の組み合わせも本発明に包含される。本発明はさらに、本発明のポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒトモノクローナル抗体およびヒトポリクローナル抗体を包含する。本発明はさらに、本発明の抗体に対する抗イディオタイプ抗体を包含する。
本発明の抗体は単一特異的であり、二重特異的であり、三重特異的であり、またはより多重な特異性を有し得る。多重特異的な抗体は、本発明のポリペプチドの異なるエピトープに対し特異的であり得、または本発明のポリペプチドならびに異種ポリペプチドまたは固体支持体材料などの異種組成物の両者に特異的であり得る。例えば、WO93/17715;WO92/08802;WO91/00360;WO92/05793;Tuttら、J.Immunol.147:60−69,1991;米国特許第5,573、920号;米国特許第4,474、893号;米国特許第5,601,819号;米国特許第4,714、681号;米国特許第4,925、648号を参照のこと(これらは、それぞれ本明細書中にその全体が全ての目的のために参考として援用される);Kostelnyら、J.Immunol 148:1547−1553、1992。
本発明の抗体は、その抗体により認識されまたは特異的に結合される、本発明のポリペプチドのエピトープまたは本発明のポリペプチドの一部に関して記載され、または特定され得る。このエピトープまたはポリペプチド部分は本明細書中に記載されるように、例えば、N−末端およびC−末端の位置、近接するアミノ酸残基の大きさにより特定され得る。本発明の任意のエピトープまたはポリペプチドに特異的に結合する抗体も除外される。従って、本発明は、本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を含み、また本発明のポリペプチドに特異的に結合する抗体を除外することを可能にする。
本発明の抗体はまた、それらの交差反応活性に関して記載されまたは特定され得る。本発明のポリペプチドの任意の他のアナログ、オルソログ、またはホモログに結合しない抗体が包含される。本発明のポリペプチドに95%未満の、90%未満の、85%未満の、80%未満の、75%未満の、70%未満の、65%未満の、60%未満の、55%未満の、および50%未満の同一性(当該分野で公知であり、本明細書中に記載される方法を使用して計算した場合)を有するポリペプチドに結合しない抗体もまた、本発明に包含される。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(本明細書中で記載される)下で本発明のポリヌクレオチドにハイブリダイズするポリヌクレオチドによりコードされたポリペプチドのみと結合する抗体がさらに本発明に包含される。本発明の抗体は、それらの結合親和性に関しても記載されまたは特定され得る。好ましい結合親和性としては、5×10−6M、10−6M、5×10−7M、10−7M、5×10−8M、10−8M、5×10−9M、10−9M、5×10−10M、10−l0M、5×10−11M、10−11M、5×10−12M、l0−12M、5×10−13M、10−13M、5×10−14M、10−14M、5×10−15Mおよび10−15M未満の解離定数あるいはKを有するものが挙げられる。
本発明の活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、インビトロおよびインビボにおける診断的方法および治療的方法の両方を含む本発明のポリペプチドの精製、検出、および標的化のための当該分野で公知の方法(これらに限定されない)を含む用途を有する。例えば、その抗体は、生物学的サンプル中の本発明のポリペプチドレベルを定性的および定量的に測定するためのイムノアッセイにおける用途を有する。例えば、HarlowおよびLane、前出(これらは、全ての目的でその全体が本明細書中に参考として援用される)を参照のこと。
本発明の抗体は、単独で、または他の組成物と共に組み合わせて用いられ得る。抗体はさらに、N−末端またはC−末端で異種ポリペプチドに組換え的に融合され得るか、またはポリペプチドもしくは他の組成物に化学結合(共有結合および非共有結合を含む)され得る。例えば、本発明の抗体は、検出アッセイにおける標識およびエフェクター分子として有用な分子(例えば、異種ポリペプチド、薬物、または毒素)に組換え的に融合または結合され得る。例えば、WO92/08495;WO91/14438;WO89/12624;米国特許第5,314,995号;および欧州特許第0 396 387号を参照のこと、これらはそれぞれ全ての目的でその全体が本明細書中に参考として援用される。
本発明の抗体は、当該分野で公知の任意の適切な方法により調製され得る。例えば、本発明のポリペプチドまたはその抗原断片は、ポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導するために動物に投与され得る。用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術を通じて産生される抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は単一のクローンに由来する抗体をいい、任意の真核生物クローン、原核生物クローンまたはファージクローンを含み、それが産生される方法によらない。モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組換え、およびファージディスプレイ技術を含む広範な当該分野で公知の技術を用いて調製され得る。
ハイブリドーマ技術としては、当該分野で公知の技術およびHarlowおよびLane、前出;Hammerlingら、Monoclonal Antibodies and T−Cell Hybridomas、563−681、1981、中に教示された方法が挙げられる(これらの文献は、その全体が参考として援用される)。FabおよびF(ab’)断片は、例えば、パパイン(Fab断片を生成するために)またはペプシン(F(ab’)断片を生成するために)などの酵素を用いたタンパク質切断により産生され得る。
あるいは、活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、組換えDNA技術およびファージディスプレイ技術の適用を通じて、または当該分野で公知の方法を用いた合成化学を通じて産生され得る。例えば、本発明の抗体は、当該分野で公知の種々のファージディスプレイ方法を用いて調製され得る。ファージディスプレイ方法において、機能的抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を有するファージ粒子の表面上に呈示される。所望の結合特性を有するファージは、抗原、代表的には固体表面またはビーズに結合されたかまたは捕捉された抗原を用いて直接的に選択することにより、レパートリーまたはコンビナトリアル抗体ライブラリー(例えばヒトまたはマウス)から選択される。これらの方法に用いられるファージは、代表的には、ファージ遺伝子IIIタンパク質またはファージ遺伝子VIIIタンパク質のいずれかと組換え的に融合したFab、Fvまたはジスルフィド安定化Fv抗体ドメインを有するfdおよびM13を含む糸状ファージである。本発明の抗体を作製するために用いられ得るファージディスプレイ方法の例としては、Brinkmanら、:J.Immunol.Methods 182:41−50、1995;Amesら、J.Immunol.Methods 184:177−186,1995;Kettleboroughら、Eur.J.Immunol.24:952−958、1994;Persicら、Gene 187:9−18,1997;Burtonら、Advances in Immunology 57:191−280、1994;PCT/GB91/01134号;WO90/02809号;WO91/10737号;WO92/01047号;WO92/18619号;WO93/11236号;WO95/15982号;WO95/20401号;および米国特許第5,698、426号;同第5,223,409号;同第5,403,484号;同第5,580,717号;同第5,427,908号;同第5,750,753号;同第5,821,047号;同第5,571,698号;同第5,427,908号;同第5,516,637号;同第5,780,225号;同第5,658,727号および同第5,733,743号中に開示される方法が挙げられる(これらは、それぞれ全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される全ての目的のために、本明細書中にその全文を参照によりそれぞれ組み入れるものとする。
上記の参考文献に記載されるように、ファージの選択後に、ファージ由来の領域をコードする領域は単離され、ヒト抗体を含む抗体全体、または任意の他の任意の所望の抗原結合断片を作製するために使用され、そして哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含む任意の所望の宿主中で発現され得る。例えば、Fab、Fab’およびF(ab’)断片を組換え的に産生するための技術も、WO92/22324;Mullinaxら、BioTechniques 12:864−869、1992;およびSawaiら、AJRI 34:26−34、1995;およびBetterら、Science 240:1041−1043、1988中に開示されるような当該分野で公知の方法を用いて利用され得る。
単鎖Fvおよび抗体を生成するために用いられ得る技術の例としては、米国特許第4,946,778号および米国特許第5,258,498号に記載されるものが挙げられ、この文献は全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される;Hustonら、Methods in Enzymology、203:46−88、1991;Shu、L.ら、PNAS 90:7995−7999、1993;およびSkerraら、Science 240:1038−1040、1988。ヒトにおける抗体のインビボ使用およびインビトロ検出アッセイにおける用途を含むいくつかの用途のためには、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体を使用することが好ましい場合がある。キメラ抗体の生成のための方法は、当該分野で公知である。例えば、Morrison、Science 229:1202、1985;Oiら、BioTechniques 4:214、1986;Gilliesら、J.Immunol.Methods、125:191−202、1989;および米国特許第5,807,715を参照のこと。抗体は、CDR−移植(CDR−grafting)(欧州特許第0 239 400号;WO91/09967号;および米国特許第5,530,101および米国特許第5,585,089号)、表面形成(veneering)または表面再形成(resurfacing)(欧州特許第0 592 106号;欧州特許第0 519 596号;Padlan E.A.、Molecular Immunology、28:489−498、1991;Studnickaら、Protein Engineering 7:805−814、1994;Roguskaら、PNAS 91:969−973、1994)、および鎖シャッフリング(米国特許第5,565、332号)を含む種々の技術を用いてヒト化され得る。ヒト抗体は上記のファージディスプレイ方法を含む当該分野で公知の多様な方法により作製され得る。米国特許第4,444,887号;米国特許第4,716,111号;米国特許第5,545,806号;および米国特許第5,814,318号;およびWO98/46645号;WO98/50433号;WO98/24893号;WO98/16654号;WO96/34096号;WO96/33735号;およびWO91/10741号も参照のこと(この文献はそれぞれ全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される)。
本発明のポリペプチドに組換え的に融合させたまたは化学的に結合した(共有結合的および非共有結合的な結合体の両方を含む)抗体が、本発明にさらに含まれる。この抗体は、本発明のポリペプチド以外の抗原に対して特異的であり得る。例えば、抗体は、インビトロまたはインビボのいずれかで、特定の細胞表面レセプターに対し特異的な抗体に本発明のポリペプチドを融合させるかまたは結合させることによって、特定の細胞型に対して本発明のポリペプチドを標的とするために使用され得る。本発明のポリペプチドに融合させたかまたは結合させた抗体は、当該分野で公知の方法を用いてインビトロイムノアッセイおよび精製方法に使用することもできる。例えば、Harborら、前出、およびWO93/21232号;欧州特許第0 439 095号;Naramuraら、Immunol.Lett.39:91−99、1994;米国特許第5,474,981号を参照のこと、この文献は全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される;Gilliesら、PNAS 89:1428−1432、1992;Fellら、J.Immunol.146:2446−2452、1991。
本発明は、可変領域以外の抗体ドメインに対し融合または結合させた本発明のポリペプチドを含む組成物をさらに包含する。例えば、本発明のポリペプチドは、抗体Fc領域、またはその一部に融合または結合され得る。本発明のポリペプチドに融合した抗体部分は、ヒンジ領域、CHドメイン、CHドメイン、およびCHドメインまたはそれらのドメイン全体もしくは部分の任意の組み合わせを含み得る。本発明のポリペプチドは、そのポリペプチドのインビボでの半減期を増加させるために、または、当該分野で公知の方法を用いたイムノアッセイにおいて使用するために、上記抗体部分と融合または結合され得る。そのポリペプチドはまた、多量体を形成するために上記抗体部分へ融合または結合され得る。例えば、本発明のポリペプチドに融合したFc部分は、Fc部分の間のジスルフィド結合を介して二量体を形成し得る。より多量体の形態は、そのポリペプチドをIgAおよびIgMの部分へ融合させることにより作製され得る。本発明のポリペプチドの抗体部分への融合または結合のための方法は当該分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号;米国特許第5,622,929号;米国特許第5,359,046号;米国特許第5,349,053号;米国特許第5,447,851号;米国特許第5,112,946号;欧州特許第0 307 434、欧州特許第0 367 166号;WO96/04388号;およびWO91/06570号を参照のこと(それぞれ全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される);Ashkenaziら、PNAS、88:10535−10539、1991;Zhengら、J.Immunol.、154:5590−5600、1995;およびVilら、PNAS、89:11337−11341、1992。
本発明はさらに、本発明のポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する抗体に関する。例えば本発明は、本発明のポリペプチドを用いて部分的にまたは完全にのいずれかでレセプター/リガンド相互作用を破壊する抗体を含む。レセプター特異的な抗体およびリガンド特異的な抗体の両方が含まれる。リガンド結合を抑制しないがレセプターの活性化を抑制するレセプター特異的な抗体が含まれる。レセプターの活性化(すなわち、シグナル伝達)は本明細書中で記載される技術、または当該分野で公知の他の技術により決定され得る。リガンドの結合およびレセプターの活性化をいずれも抑制するレセプター特異的な抗体も含まれる。同様に、リガンドに結合し、リガンドのレセプターへの結合を抑制する中和抗体、ならびにリガンドと結合し、それによりレセプターの活性化を抑制するがレセプターへのリガンドの結合は抑制しない抗体が含まれる。さらにレセプターを活性化する抗体が含まれる。これらの抗体は、リガンドに仲介されるレセプターの活性化により影響を受ける生物学的活性の全て、または一部のいずれかに対するアゴニストとして作用し得る。抗体は、本明細書中で開示される特異的な活性を含む生物学的活性に関するアゴニストまたはアンタゴニストとして特定され得る。上記抗体アゴニストは当該分野で公知の方法を用いて作製され得る。例えば、WO96/40281;米国特許第5,811,097号を参照のこと、それぞれ全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される;Dengら、Blood 92:1981−1988、1998;Chenら、Cancer Res.、58:3668−3678、1998;Harropら、J.Immunol.161:1786−1794、1998;Zhuら、Canced Res.、58:3209−3214、1998;Yoonら、J.Immunol.、160:3170−3179、1998;Pratら、J.Cell.Sci.、111:237−247、1998;Pitardら、J.Immunol.Methods、205:177−190、1997;Liautardら、Cytokinde、9:233−241、1997;Carlsonら、J.Biol.Chem.、272:11295−11301、1977;Tarymanら、Neuron、14:755−762、1995;Mullerら、Structure、6:1153−1167、1998;Bartunekら、Cytokinem、8:14−20、1996。上記のように、転移性細胞上の、活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、次に、当業者に周知の技術を用いて本発明のポリペプチドを「模倣する」抗イディオタイプ抗体を作製するために利用され得る(例えば、Greenspanら、FASEB J.7:437−444、1989およびNissinoff、J Immunol.147:2429−2438、1991を参照のこと)。例えば、結合してポリペプチドの多量体化および/または本発明のポリペプチドのリガンドへの結合を競合的に阻害する抗体が、ポリペプチドの多量体化および/または結合ドメインを「模倣し」、結果として中和ポリペプチドおよび/またはそのリガンドに結合する抗イディオタイプ抗体を作製するために使用され得る。このような中和抗イディオタイプ抗体またはこのような抗イディオタイプ抗体のFab断片は、ポリペプチドリガンドを中和するために治療的な投薬計画において使用され得る。例えば、このような抗イディオタイプ抗体は、本発明のポリペプチドと結合させるためにおよび/またはそのリガンド/レセプターと結合させるために、そしてそれにより生物学的活性をブロックするために使用され得る。
転移細胞上の活性化インテグリンレセプターの「インヒビター」「アクチベーター」および「モジュレーター」は、インテグリンレセプター結合またはシグナル伝達のためのインビトロアッセイおよびインビボアッセイを用いて同定される、阻害分子、活性化分子、または調節分子(例えばリガンド、アゴニスト、アンタゴニスト、およびそれらのホモログおよび模倣物)をそれぞれ称するために使用される。
用語「モジュレーター」は、インヒビターおよびアクチベーターを包含する。インヒビターは、例えば、活性化インテグリンレセプターに結合し、部分的または全体的に刺激をブロックし、減少させ、抑制し、活性化を遅延させ、不活化し、脱感作し、または活性を下方制御する物質であり、例えばアンタゴニストである。アクチベーターは、例えば、活性化インテグリンレセプターに結合し、刺激し、増加させ、開放し、活性化し、促進し、活性化を増強し、感作しまたは活性を上方制御する物質であり、例えばアゴニストである。モジュレーターは、例えば、活性化インテグリンレセプターと以下のものとの相互作用を変化させる物質を包含する:タンパク質、ペプチド、脂質、糖質、ポリサッカライド、または例えばリポタンパク質、糖タンパク質などの上記の組み合わせを含むアクチベーターまたはインヒビター、レセプターに結合するタンパク質。モジュレーターは、例えば、変化した活性ならびに天然および合成リガンド、アンタゴニスト、アゴニスト、化学的低分子などを伴う、天然の活性化インテグリンレセプターリガンドの遺伝子改変物を含む。インヒビターおよびアクチベーターのためのそのようなアッセイは、例えば、本明細書中で記載されるように、推定モジュレーター化合物を、活性化インテグリンレセプターを発現する細胞に適用し、次いでインテグリンレセプターシグナル伝達に対するその機能的効果を決定する工程を包含する。潜在的なアクチベーター、インヒビターまたはモジュレーターで処理された活性化インテグリンレセプターを含むサンプルまたはアッセイは、阻害の程度を調べるため、インヒビター、アクチベーターまたはモジュレーターを含まないコントロールサンプルと比較される。コントロールサンプル(インヒビターで処理されていない)の相対的なインテグリンレセプター活性値を100%とし得る。インテグリンレセプター活性値がコントロールに対して約80%である場合、必要に応じて50%または25〜0%である場合、インテグリンレセプターの活性化の阻害が達成される。コントロールに対するインテグリンレセプター活性値が110%、必要に応じて150%、必要に応じて200〜500%、または1000〜3000%以上の場合、インテグリンレセプターの活性化が達成する。
活性化インテグリンレセプターに結合する分子の能力は、例えば、アッセイプレート上にコーティングされた活性化インテグリンレセプターイムノアドヘシンに結合する推定リガンドの能力により決定され得る。結合の特異性は非活性化インテグリンレセプターへの結合を比較することにより決定され得る。
一実施形態において、活性化インテグリンレセプターへの抗体の結合は、リガンドまたはレセプターのいずれかを固定化することによりアッセイされ得る。例えば、アッセイは、Ni−活性化NTA樹脂ビーズ上のHisタグへと融合した活性化インテグリンレセプターの固定化を包含し得る。抗体は適切な緩衝液およびビーズ中に添加され得、所定の温度で一定時間インキュベートされ得る。非結合の物質を洗浄除去後、結合したタンパク質は、例えば、SDS、高pHを有する緩衝液などを用いて放出されて解析され得る。
(融合タンパク質)
活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、融合タンパク質を生成するために使用され得る。例えば、本発明の抗体は、第2のタンパク質に融合させた場合に、抗原性タグとして用いられ得る。活性化インテグリンレセプターに対して惹起された抗体は、そのポリペプチドに対する結合により第2のタンパク質を間接的に検出するために使用され得る。さらに、輸送シグナルに基づいた分泌されるタンパク質標的細胞位置により、一旦他のタンパク質に融合すると、インテグリンレセプターは、標的分子として使用され得る。
ポリペプチドに融合され得るドメインの例は、異種シグナル配列のみを含むのではなく、他の異種機能的領域も含む。融合は必ずしも直接的である必要はないが、リンカー配列を介して生じ得る。
さらに、融合タンパク質はまた、そのポリペプチドの特性を向上させるために操作され得る。例えば、付加的なアミノ酸、特に荷電したアミノ酸の領域は、宿主細胞からの精製の間、または次の操作および保存の間の安定性および保存性を向上するためにポリペプチドのN−末端に対し付加され得る。また、ペプチド部分は、精製を容易にするためにポリペプチドに添加され得る。このような領域はそのポリペプチドの最終調製の前に除去され得る。ポリペプチドの操作を容易にするためのペプチド部分の付加は当該分野で知られており、日常的な技術である。
さらに、断片および特異的なエピトープを含む抗体組成物または細胞表面レセプター、またはインテグリンレセプターは、イムノグロブリン(IgG)の定常ドメインの一部と組み合わせてキメラポリペプチドを生じ得る。これらの融合タンパク質は精製を容易にし、増加したインビボでの半減期を示す。1つの報告された例は、ヒトCD4ポリペプチドの最初の2ドメインおよび哺乳動物イムノグロブリンの重鎖または軽鎖の定常領域の種々のドメインからなるキメラタンパク質を記載する。欧州特許出願公開第394,827号;Trauneckerら、Nature、331:84−86、1988。(IgGによって)ジスルフィド架橋された2量体構造を有する融合タンパク質はまた、単量体で分泌されるタンパク質またはタンパク質断片単独の場合よりも、結合および他の分子の中和においてより効率的であり得る。Fountoulakisら、J.Biochem.270:3958−3964、1995。
同様に、EP−A−O 464 533号(カナダ出願の第2045869号に相当する)は、別のヒトタンパク質またはその一部と共にイムノグロブリン分子の定常領域の種々の部分を含む融合タンパク質を開示する。多くの場合において、融合タンパク質中のFc部分は治療および診断において有益であり、従って例えば、向上された薬物動態特性を生じ得る(欧州特許出願公開第0232 262号)。あるいは、融合タンパク質が発現され、検出され、精製された後でのFc部分の削除が所望され得る。例えば、Fc部分は、その融合タンパク質が免疫処置のための抗原として使用される場合に、治療および診断を妨げ得る。薬物探索において、例えばhIL−5などのヒトタンパク質は、hIL−5のアンタゴニストを同定するためのハイスループットなスクリーニングアッセイの目的のためにFc部分と融合されている。Bennettら、J.Molecular Recognition 8:52−58、1995;K.Johansonら、J Biol.Chem.、270:9459−9471,1995。
さらに、ポリペプチドは、融合ポリペプチドの精製を助容易にするペプチドなどのマーカー配列と融合され得る。好ましい実施形態において、マーカーのアミノ酸配列は、pQEベクター(QIAGEN、Inc.、9259 Eton Avenue、Chatsworth、Calif.、91311)中で提供されるタグなどのヘキサヒスチジンペプチドであり、それらのうちで多くのものが市販されている。Gentzら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824、1989中に記載されるように、例えばヘキサヒスチジンペプチドは、融合タンパク質の簡便な精製を提供する。精製に有用な別のペプチドタグである「HA」タグは、インフルエンザ血液凝集タンパク質に由来するエピトープに相当する。Wilsonら、Cell 37:767、1984.
従って、任意のこれらの上記融合物は、本発明のポリヌクレオチドまたはポリペプチドを使用して設計され得る。
(組換え抗体の発現)
例えば転移細胞上の活性化インテグリンレセプターなどの、細胞表面レセプターに対するキメラ抗体、ヒト化抗体およびヒト抗体は代表的に組換え発現により産生される。組換えポリヌクレオチド構築物は代表的には、天然に結合したまたは異種のプロモーター領域を含む抗体鎖のコーディング配列に作動可能に連結された発現調節配列を含む。好ましくは、発現調節配列は、真核生物宿主細胞の形質転換またはトランスフェクションが可能なベクターにおける真核生物のプロモーター系である。一旦このベクターが好適切な宿主の中に導入されると、その宿主はそのヌクレオチド配列を高レベルで発現し、交差反応する抗体を回収し精製するために適切な条件下に維持される。米国特許出願公開第20020199213号を参照のこと、これは全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。
これらの発現ベクターは代表的に、エピソームとしてまたは宿主染色体DNAに不可欠な部分のいずれかとして、宿主生物中で複製可能である。一般に、発現ベクターは、所望のDNA配列を用いて形質転換された細胞を検出可能にするための、例えばアンピシリン耐性、またはハイグロマイシン耐性の選択マーカーを含む。
E.coliは、本発明のDNA配列をクローニングするために特に有用な原核生物宿主の1つである。酵母などの微生物も発現のために有用である。サッカロミセス属は、発現調節配列、複製起源、終結配列および所望される他のものを有する適切なベクターを有する好ましい酵母宿主である。代表的なプロモーターは、3−ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖酵素を含む。誘導的酵母プロモーターとしては、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロームCならびにマルトースおよびガラクトースの利用を担う酵素由来のプロモーターが挙げられる。
哺乳動物細胞は、イムノグロブリンまたはその断片をコードするヌクレオチドセグメントを発現するための好ましい宿主である。Winnacker、From Genes To Clones、VCH Publishers、NY、1987を参照のこと。インタクトな異種タンパク質を分泌可能な多数の適切な宿主細胞株が当該分野で開発されており、それらとしては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、種々のCOS細胞株、HeLa細胞、L細胞および骨髄腫細胞株が挙げられる。好ましくは、その細胞は非ヒトのものである。これらの細胞に関する発現ベクターとしては、発現調節配列(例えば、複製起源、プロモーター、エンハンサー)および必要なプロセシング情報部位(例えば、リボソーム結合部位、RNAスプライシング部位、ポリアデニル化部位)が挙げられ得る。Queenら、Immunol.Rev.89:49、1986。好ましい発現調節配列は、外来遺伝子のサイトメガロウイルス、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルスなどに由来するプロモーターである。Coら、Immunol.148:1149、1992。
あるいは、抗体コーディング配列は、トランスジェニック動物のゲノム中に導入し、次いでそのトランスジェニック動物の乳の中に発現させるために導入遺伝子中に組み込まれ得る。例えば、米国特許第5,741,957号;米国特許第5,304,489号;および米国特許第5,849,992号を参照のこと、それぞれは全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。適切な導入遺伝子としては、カゼインまたはβラクトグロブリンなどの乳腺特異的な遺伝子に由来するプロモーターおよびエンハンサーと作動可能な形で連結された軽鎖および/または重鎖をコードする配列が挙げられる。
目的のDNA断片を含むベクターは、細胞宿主の型に依存して、周知の方法により宿主細胞へと輸送され得る。例えば、原核細胞に対しては、塩化カルシウムトランスフェクションが通常利用され、一方、他の細胞宿主に対してはリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、パーティクルガン(biolistics)法またはウィルスベースのトランスフェクションが用いられ得る。哺乳動物細胞を形質転換させるために用いられる他の方法としては、ポリブレンの使用、原形質融合、リポソーム、エレクトロポレーション法、およびマイクロインジェクション法(一般的に、Sambrookら、Molecular Cloningを参照のこと)が挙げられる。トランスジェニック動物を作製するために、導入遺伝子は、受精した卵母細胞へとマイクロインジェクションされ得、または胚幹細胞のゲノム中に導入され得、または除核した卵母細胞へとこのような細胞の核は移される。
一旦発現されると、抗体の集合は培養培地および宿主細胞から精製される。抗体は、HPLC精製、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む当該分野の標準的手順に従って精製され得る。通常、抗体鎖は、シグナル配列を伴って発現され、従って培養培地中に放出される。しかし、抗体鎖が天然には宿主細胞により分泌されない場合、その抗体鎖は穏やかな界面活性剤を用いた処理により放出され得る。抗体鎖は次いで、硫安沈殿、固定化標的へのアフィニティークロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動などを含む従来の方法により精製され得る(一般的には、Scopes、Protein Purification、Springer−Verlag、N.Y.、1982を参照のこと)。
上記方法は、選択された標的に対し特異的な親和性を有する抗体鎖をコードする核酸配列のライブラリーを生じる。この核酸のライブラリーは代表的に、少なくとも5、10、20、50、100、1000、10、10、10、10、10、または10の異なるメンバーを有する。通常、単独のメンバーがそのライブラリー中の全配列の25%または50%より多くを構成することはない。代表的には、ライブラリーメンバーの少なくとも25%、50%、75%、90%、95%、99%または99.9%が、標的分子に対し特異的な親和性を有する抗体鎖をコードする。2重鎖抗体ライブラリーの場合、重鎖および軽鎖をコードする1組の核酸セグメントそれぞれが、ライブラリーメンバーであるとみなされる。核酸ライブラリーは、遊離形態で存在し得、任意のベクターにおける構成要素として存在し得、またはベクターの構成要素として宿主細胞へとトランスフェクトされ得る。
核酸ライブラリーは、標的に対し特異的な親和性を有する抗体のポリクローナルライブラリーを作製するために発現され得る。このようなライブラリーの組成は、そのヌクレオチドライブラリーの組成から決定される。従って、このようなライブラリーは代表的に、少なくとも5、10、20、50、100、1000、10、10、10、10、10、または10の異なるアミノ酸組成を有するメンバーを有する。通常、単独のメンバーがそのライブラリー中の全ポリペプチドの25%または50%以上より多くを構成することはない。標的に対する特異的な親和性を有する抗体鎖ライブラリー中の抗体鎖のパーセンテージは、代表的に、抗体鎖をコードする相当する核酸のパーセンテージよりも低い。この違いは、適切な折り畳みを支持するための好適な1次アミノ酸配列を有しているにもかかわらず、必ずしも全てのポリペプチドが結合のために適切な構造へと折り畳まれるわけではないという事実に起因する。いくつかのライブラリーにおいては、少なくとも25、50、75、90、95、99または99.9%の抗体鎖が標的分子への特異的な親和性を有する。再び、複数鎖抗体のライブラリーにおいては、各抗体(例えば、Fabまたはインタクトな抗体)はライブラリーメンバーであるとみなされる。異なる抗体鎖は、標的に対する良好な結合特異性および親和性に関して互いに異なっている。いくつかのこのようなライブラリーは、同一抗原上の異なるエピトープに結合するメンバーを含む。いくつかのこのようなライブラリーは、互いに競合することなく同一の抗原に結合する少なくとも2つのメンバーを含む。
上述の方法から得られるヒト抗体のポリクローナルライブラリーは、本ライブラリーにおいて高親和性の結合物が高比率を占めることにより、また本ライブラリーが代表的に、天然の集団中に存在する抗体と同じ多様性を示さないことにより、ヒト抗体の天然の集団から区別される。本ライブラリー中で減少される多様性は、全てのヒトイムノグロブリン遺伝子を含まない供給源物質を提供する非ヒトトランスジェニック動物に起因する。例えば、いくつかのポリクローナル抗体ライブラリーは、λ軽鎖を有する抗体を有さない。本発明のいくつかのポリクローナル抗体ライブラリーは、10、20、30または40未満のV遺伝子によりコードされる抗体重鎖を有する。本発明のいくつかのポリクローナル抗体ライブラリーは、10、20、30または40未満のV遺伝子によりコードされる抗体軽鎖を有する。
(修飾抗体)
例えば、転移細胞上の活性化インテグリンレセプターなどの細胞表面レセプターに対する修飾抗体もまた本発明に含まれる。
「修飾抗体」は、化学的に最適化されたか、または分子操作により別の形態へと変化させたヒト単鎖Fv(scFv)抗体断片の抗体および誘導体をいい、二重特異性抗体(diabody)、三重特異性抗体(triabodies)または二重特異性抗体(bispecific antibody)、ペグ化(pegylated)誘導体、または親和性、安定性、もしくは結合価を向上させるための分子進化により得られた改変体が挙げられるが、これらに限定されない。修飾抗体はまた、例えば、その抗体の一部を欠失、付加、または置換することにより修飾されるモノクローナル抗体、キメラ抗体、およびヒト化抗体などの形態を含む。例えば、定常領域を欠失させ、それを例えば血清半減期等の半減期、安定性または抗体の親和性等を増加させることが意図された定常領域に置き換えることにより、抗体を修飾することができる。
本発明の抗体結合体は、所定の生物学的応答を改変し、または生物学的応答を作り出すために(例えば、エフェクター細胞を補充するために)使用され得る。薬物部分は古典的な化学治療薬に限定されて構築されるべきではない。例えば、その薬物部分は所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス属体外毒素またはジフテリア毒素などの酵素的に活性な毒素、またはその活性な断片;腫瘍壊死因子またはインターフェロン−αなどのタンパク質;または、例えば、リンフォカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の増殖因子などの生物学的応答修飾因子が挙げられ得る。他の誘導体としては、TRIALなどのアポトーシス誘導部分を有する抗体融合タンパク質、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導性リガンド、ならびに、非浸潤性画像化あるいは腫瘍負荷および微小転移および大型転移を伴う部位への搭載分子の標的化した送達のためのルシフェラーゼまたは蛍光プローブおよびナノ粒子などのレポーター分子を含み得る。
本発明の特定の好ましい実施形態において、本発明の抗体および抗体組成物は、例えば、1以上の治療的部分または細胞傷害性部分と結合されまたは複合体化され得る。本明細書中で用いられる場合、「細胞傷害性部分」は単純に、細胞に近接するかまたは細胞に吸収される場合、細胞の生育を阻害するかまたは細胞死を促進する部分を意味する。この点において適切な細胞傷害性部分としては、放射性薬剤または放射性同位体(放射核種)、分化誘導剤、阻害剤および低分子の化学毒物などの化学毒物、毒素タンパク質およびこれらの誘導体ならびにヌクレオチド配列(またはそれらのアンチセンス配列)が挙げられる。従って、その細胞傷害性部分は、非限定的な例として、化学療法薬剤、光活性化毒素または放射性の薬剤であり得る。
一般的に、治療薬剤は、薬物動態的な安定性および患者に対する全体的な毒性の低減に対する必要性を適切に考慮して、例えば任意の適切な技術によって本発明の抗体および抗体組成物へと結合され得る。治療的な薬剤は、直接的にまたは間接的に(例えばリンカー基を介して)のいずれかで適切な抗体部分へと結合され得る。薬剤と抗体との間の直接的な反応は、それぞれが他方と反応し得る官能基を有する場合に可能である。例えば、アミノ基、スルフヒドリルなどの求核基は、無水物または酸ハロゲン化物などのカルボニルを含む基と反応可能であり、または良好な脱離基(例えばハロゲン化物)を含むアルキル基と反応可能である。あるいは、適切な化学的リンカー基が用いられ得る。リンカー基は、結合能力への干渉を避けるために、抗体を薬剤から距離を置くためのスペーサーとして機能し得る。リンカー基はまた、抗体の部分上の置換における化学的反応性を増加させるために役割を果たし得、従ってカップリング効率を増加させ得る。化学的反応性の増加はまた、そうでなければ不可能である部分、またはその部分の官能基の使用を促進し得る。
適切な架橋化学反応は、マレイミドリンカーおよびハロゲン化アルキルリンカー(抗体部分のスルヒドリル基と反応する)およびスクシンイミドリンカー(抗体部分の1級アミンと反応する)を含む。いくつかの1級アミンおよびスルフヒドリル基はイムノグロブリン上に存在し、付加的な基が組換えイムノグロブリン分子へと設計され得る。多様な二官能性または多官能性の試薬の、ホモ機能的およびヘテロ機能的な両方(例えば、Pierce Chemical Co.、Rockford,I11のカタログ中に記載されるもの)が、リンカー基として利用され得ることは当業者によって明白である。カップリングは、例えば、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基または酸化糖質残基(例えば、米国特許第4,671,958号を参照のこと)を通じて達成され得る。
別のカップリング方法として、細胞傷害性物質は、例えば、米国特許第5,057,313号および米国特許第5,156,840号中に記載されるグリコシル化部位における酸化された糖質基を介して本発明の抗体および抗体組成物に対し結合され得る。さらに別の代替的な、抗体および抗体組成物の細胞傷害性部分または画像化部分へのカップリング方法は、ストレプトアビジン/ビオチン、またはアビジン/ビオチンのような非共有結合結合対の使用による。これらの実施形態において、その対の1つのメンバーは抗体部分に共有結合的に結合し、結合対のその他のメンバーは共有結合的に細胞障害性部分または画像化部分に結合する。
本発明の免疫複合体の抗体部分から遊離している時に細胞傷害性部分がより強力である場合、細胞内への内在化の間または内在化の際に開裂可能な、または細胞外環境中に徐々に長期に渡り開裂し得るリンカー基の使用が望ましくあり得る。多数の異なる開裂可能なリンカー基が記載されている。これらのリンカー基からの細胞傷害性部分薬剤の細胞内遊離の機構としては、ジスルフィド結合の還元による切断(例えば、米国特許第4,489,710号)、光不安定性結合の照射による切断(例えば、米国特許第4,625,014号)、誘導体化されたアミノ酸側鎖の加水分解による切断(例えば、米国特許第4,638,045号)、血清補完に仲介される加水分解による切断(例えば、米国特許第4,671,958号)、および酸触媒加水分解による切断(例えば、米国特許第4,569,789号)が挙げられ得る。
1以上の治療的な、細胞障害性および/または画像化部分を本発明の抗体または抗体組成物へ結合させることが望ましくあり得る。本発明の抗体を多重に誘導体化する(poly−derivatizing)ことにより、いくつかの細胞障害性の方法が同時に実行され得るか、抗体がいくつかの視覚化技術に対し造影剤として有用となり得るか、または治療的な抗体が視覚化技術により追跡のために標識され得る。一実施形態において、細胞傷害性部分の複数の分子は、1つの抗体分子に対し結合される。別の実施形態において、1以上の型の部分が1つの抗体に結合され得る。例えば、ポリヌクレオチドまたはアンチセンス配列などの治療的な部分は、化学的治療または放射線治療の有効性を高め、ならびに所望の治療的な効果を得るために必要な投薬量を低減させるために、化学毒性部分または放射毒性部分と共に抗体へと結合され得る。特定の実施形態に関わらず、1以上の部分との免疫複合体は、種々の方法で調製され得る。例えば、1以上の部分が抗体分子に直接的に結合され得、または結合のための複数の部位を提供するリンカー(例えば、デンドリマー)が使用され得る。あるいは、1以上の細胞傷害性部分を保持することが可能なキャリアが使用され得る。
上記に説明されたように、キャリアは、直接的に、またはリンカー基を介するかのいずれかの共有結合によるもの、および非共有結合的な会合によるものを含む種々の方法で薬剤を保有し得る。適切な共有結合キャリアとしては、アルブミン(例えば、米国特許第4,507,234号)などのタンパク質、ペプチド、およびアミノデキストラン(例えば、米国特許第4,699,784号)などの多糖類が挙げられ、その各々は複数の部分の結合のための部位を有する。キャリアはまた、非共有結合などの非共有結合的な会合、またはリポソーム小胞などへのカプセル化(例えば、米国特許第4,429,008号および米国特許4,873,088号)により、薬剤を保有し得る。カプセル化キャリアは、化学毒性の治療的な実施形態において特に有用である。なぜならそれらは、化学毒性成分が長期に渡り標的細胞の近傍で濃縮されている間に、治療的な組成物が徐々に放出されるようにすることができるからである。
細胞毒性部分としての使用にとって好ましい放射性核種は、薬理的投与に適した放射性核種である。このような放射性核種としては123I、125I、131I、90Y、211At、67Cu、186Re、188Re、212Pb、および212Biが挙げられる。ヨウ素およびアスタチン同位体は、本発明の治療用組成物において使用するためのより好ましい放射性核種であり、それらの使用に関して多数の文献が蓄積されている。数ミリメートルの有効範囲を有する他のβ放射を放出する放射性核種と同様に、131Iが特に好ましい。123I、125I、131I、または211Atは組成物中で使用するために、および、ロドゲン、N−スクシンイミジル3−[211At]アスタトベンゾエート、N−スクシンイミジル3−[131I]ヨードベンゾエート(SIB)、および、N−スクシンイミジル5−[131I]ヨード−3−ピリジンカルボキシレート(SIPC)を含む任意のいくつかの公知の結合体試薬を利用する方法において使用するために、抗体部分へと結合体化され得る。任意のヨウ素同位体が列挙されるヨウ素試薬において利用され得る。他の放射性核種が、核医学の分野における当業者に公知の適切なキレート化剤により本発明の抗体または抗体組成物へと結合され得る。
好ましい化学毒性薬剤としては、メトトレキサートなどの低分子薬物、およびピリミジンおよびプリンアナログが挙げられる。好ましい化学毒性の分化誘導因子としては、ホルボールエステルおよび酪酸が挙げられる。化学毒性成分は本発明の抗体または抗体組成物と化学的リンカーを介して直接的に結合され得るか、または、同様に本発明の抗体または抗体組成物と組み合わせてキャリア中にカプセル化され得る。
細胞傷害性部分として使用するための好ましい毒素タンパク質としては、リシン、アブリン、ジフテリア毒素、コレラ毒素、ゲロニン、シュードモナス属体外毒素、シゲラ毒素、ヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルスタンパク質、および医薬生化学分野で公知の他の毒素タンパク質が挙げられる。特に血管内に注入される場合、これらの毒素薬剤は患者における望ましくない免疫応答を誘発し得るので、本発明の抗体および抗体組成物に結合するためのキャリア中ではそれらがカプセル化されることが好ましい。
抗毒素の細胞傷害性部分は、細胞傷害性薬、または細菌もしくは植物起源の酵素的に活性な毒素、あるいはそのような毒素の酵素的に活性な断片(「A鎖」)であり得る。用いられる酵素的に活性な毒素およびその断片は、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、体外毒素A鎖(シュードモナスアエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、アメリカヤマゴボウ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP−S)、ニガウリ(momordica charantia)インヒビター、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalisインヒビター、ゲロニン、マイトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシンおよびエノマイシンである。別の実施形態において、抗体は低分子抗癌薬物へ結合される。モノクローナル抗体およびこのような細胞毒性部分の結合体は、多様な二官能性タンパク質カップリング薬剤を用いて作製される。このような試薬の例はSPDP、IT、ジメチルアジポイミデート塩酸などのイミドエステルの二官能性誘導体、スベリン酸ジスクシンイミジルなどの活性なエステル、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド、ビス(p−アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなどのビスアジド化合物、ビス(p−ジアゾニウムベンゾイル)−エチレンジアミンなどのビスジアゾニウム誘導体、トリレン2,6−ジイソシアネートなどのジイソシアネート、および1、5−ジフルオロ−2,4−ジニトロベンゼンなどの両性活性なフッ素化合物である。毒素の溶解部分は抗体のFab断片に結合され得る。
有利なことに、例えば活性化αβ3インテグリンレセプターなどの標的レセプターの外部ドメインに特異的に結合する本発明の抗体および抗体組成物は、リシンA鎖へと結合され得る。最も有利には、リシンA鎖は、脱グリコシル化され組換え手段を通じて産生される。リシン抗毒素を作製する有利な方法は、Vitettaら、Science 238、1098、1987中に記載され、これは、その全体が参考として援用される。
本明細書中で用いられる細胞に適用される場合、用語「接触する」は、抗体、抗体組成物、細胞傷害剤または部分、遺伝子、タンパク質および/またはアンチセンス配列が標的細胞へ送達されるか、または標的細胞の近傍に直接置かれるプロセスを記述するために使用される。この送達はインビトロまたはインビボであり得、組換えベクターシステムの使用を包含し得る。
別の局面において、本発明は、細胞毒、薬物(例えば免疫抑制剤)または放射性毒素などの治療的な部分に対し結合させた本発明の抗体または抗体組成物あるいはその断片を特徴とする。このような複合体は、本明細書中で「免疫複合体」といわれる。1以上の細胞毒素を含む免疫複合体は、「抗毒素」といわれる。細胞毒素または細胞傷害性物質は、細胞に有害な(例えば死滅させる)任意の薬剤を含む。例としてはタキソール、サイトハラシンB、グラミシディンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ズオカルマイシン(duocarmycin)、サポリン、ジヒドロキシアントラシンジドン(dihydroxy anthracin didne)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−ジヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロパノロールおよびピューロマイシンならびにこれらのアナログまたはホモログが挙げられる。
本発明の免疫複合体を形成するための適切な治療剤は、代謝拮抗物質(例えば、メトレキサレート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化薬(例えば、メクロレタミン、チオテパ、クロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロソファミド(cyclothosphamide)、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびcis−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(以前のアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC))、ならびに抗有糸***薬剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、その治療的な薬剤は、細胞傷害性物質または放射性毒性剤である。別の実施形態において、治療的な薬剤は、免疫抑制剤である。さらに別の実施形態において、治療的な薬剤は、GM−CSFである。好ましい実施形態において、治療的薬剤は、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、硫酸ブレオマイシン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、ヒドロキシウレアまたはリシンAである。
本発明の抗体および抗体組成物はまた、例えば、癌を処置するための細胞障害性放射性医薬品を作製するために、放射性ヨウ素などの放射性毒素に結合され得る。本発明の抗体複合体は、所定の生物学的応答を改変させるために使用され得、その薬物部分は古典的な化学治療剤に限定されて構築されるべきではない。例えば、その薬物部分は所望の生物学的活性を有するタンパク質またはポリペプチドであり得る。このようなタンパク質としては、例えば、アブリン、リシンA、シュードモナス属体外毒素またはジフテリア毒素などの酵素的に活性な毒素、またはこれらの活性な断片;腫瘍壊死因子またはインターフェロン−γなどのタンパク質;または、例えば、リンフォカイン、インターロイキン−1(「IL−1」)、インターロイキン−2(「IL−2」)、インターロイキン−6(「IL−6」)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(「GM−CSF」)、顆粒球コロニー刺激因子(「G−CSF」)、または他の増殖因子などの生物学的応答修飾因子が挙げられ得る。
このような治療的部分を抗体へと結合させるための技術は周知である。例えば、Arnonら、「Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy」、Reisfeldら編、Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy」、Alan R.Liss、Inc.、pp.243−56、1985);Hellstromら、「Antidodies For Drug Delivery」、Controlled Drug Delivery、第2版、Marcel Dekker、Inc.、Robinsonら編、pp.623−53、1987;Thorpe、「Aitibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy:A Review」、Monoclonal Antobodies ’84:Biological And Clinical Applications、Pincheraら編、pp.475−506、1985;「Analysis,Results,And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy、Baldwinら編、Academic Press、pp.303−16 1985、およびThorpeら、「The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody−Toxin Conjugates」、Immunol.Rev.、62:119−58、1982を参照のこと。
(ポリペプチドまたは抗体組成物の使用)
本明細書中で同定されているポリペプチドまたは抗体組成物のそれぞれ(例えば、細胞表面レセプターに対する抗体、転移細胞上の活性化インテグリンレセプターなどの細胞表面レセプター)は、多くの方法で用いられ得る。以下の記述は例示であるとみなされるべきであり、また公知の技術を利用する。
本発明のポリペプチドまたは抗体組成物は、抗体をベースにした技術を用いて生物学的サンプル中のタンパク質レベルをアッセイするために用いられ得る。例えば、組織中でのタンパク質発現は、古典的な免疫組織学的な方法を用いて研究され得る。Jalkanenら、J.Cell Biol.101:976−985、1985;Jalkanenら、J.Cell Biol.105:3087−3096、1987。タンパク質遺伝子発現を検出するために有用な、他の抗体をベースとした方法としては、酵素免疫測定法(ELISA)およびラジオイムノアッセイ(RIA)などのイムノアッセイが挙げられる。適切な抗体アッセイ標識は、当該分野で公知であり、グルコースオキシダーゼなどの酵素標識、およびヨウ素(125I、121I)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(H)、インジウム(112In)、およびテクネチウム(99mTc)、などの放射性同位体または他の放射性薬剤、ならびにフルオレセインおよびローダミン、およびビオチンなどの蛍光標識が挙げられる。
生物学的サンプル中に分泌されるタンパク質レベルをアッセイすることに加えて、タンパク質または抗体組成物はまた画像化によりインビボで検出され得る。タンパク質のインビボ画像化のための抗体標識またはマーカーとしては、X線写真、NMRまたはESRにより検出可能な抗体標識またはマーカーが挙げられる。X線写真のためには、適した標識としては、検出可能な放射腺を放つが被検体には明白には有害ではないバリウムまたはセシウムなどの放射性同位体が挙げられる。NMRおよびESRのための適切なマーカーとしては、関連したscFvクローンに対する栄養素を標識することにより抗体へと取り込まれ得る、重水素のような検出可能な特徴的なスピンを有するものが挙げられる。
放射性同位体(例えば、131I、112In、99mTc)などの適切に検出可能な画像化部分を用いて標識されたタンパク質特異的な抗体または抗体断片、放射線不透過物質、または核磁気共鳴により検出可能な物質が哺乳動物へと(例えば、非経口で、皮下、または腹腔内に)導入される。被検体の大きさおよび用いられる画像化システムが診断画像を作成するために必要とされる画像化部分の量を決定することが、当該分野で理解される。放射性同位体部分の場合、ヒト被検体に対して、注入される放射活性の量は、通常約5〜20ミリキュリーの範囲の99mTcである。標識される抗体または抗体断片は次いで、特異的なタンパク質を含有する細胞の位置において優先的に蓄積する。インビボ腫瘍画像化は、Burchielら、Tumor Imaging:The Radiochemical Detection of Cancer 13、1982に記載されている。
従って、本発明は疾患の診断方法を提供し、この方法は、(a)個体の細胞または体液中における本発明の抗体組成物の結合を測定することによりポリペプチドの発現をアッセイする工程;(b)遺伝子発現レベルを標準的な遺伝子発現レベルと比較する工程を包含し、それにより、標準的な発現レベルと比較した試験ポリペプチド遺伝子発現レベルの増加または減少が疾患の指標となる。
さらに、本発明のポリペプチドまたは抗体組成物は、疾患を処置するために使用され得る。例えば、患者は、欠如または減少されたポリペプチド(例えば、インスリン)のレベルを回復するため、欠如または減少した異なるポリペプチド(例えば、ヘモグロビンBに対するヘモグロビンS)のレベルを補充するため、ポリペプチド(例えば、癌遺伝子)の活性を阻害するため、ポリペプチドの活性を活性化するため(例えば、レセプターへの結合により)、遊離のリガンド(例えば、炎症の低減において用いられる可溶性TNFレセプター)と競合することにより膜に結合したレセプターの活性を低減させるため、または所望の応答(例えば、血管の成長)を引き起こすための試みにおいて、本発明のポリペプチドまたは抗体組成物を投与され得る。
同様に、本発明の抗体組成物はまた、疾患の処置に用いられ得る。例えば、本発明のポリペプチドを指向する抗体の投与は、結合してそのポリペプチドの過剰産生を低減し得る。同様に、抗体の投与は、膜レセプターへ結合したポリペプチドへの結合などによりそのポリペプチドを活性化し得る。
(薬学的組成物)
本発明の組成物および方法において有用な、転移性腫瘍細胞上の活性化インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体組成物、リガンド模倣物、これらの誘導体およびアナログは、それ自体をヒト患者へと、立体異性体、プロドラッグ、薬学的に受容可能な塩、水和物、溶媒和物、酸性塩水和物、N−オキシドまたはその同型の結晶の形態で、またはその化合物が適切なキャリアまたは賦形剤と共に、例えば癌または転移性癌の治療的に有効な量で混合されている薬学的組成物の形態で、投与され得る。
薬学的に受容可能なキャリアは、投与される特定の組成物ならびにその組成物を投与するために用いられる特定の方法により部分的に決定される。従って、その抗体組成物の投与のための広範な種々の適切な薬学的組成物の処方物が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、PA 18版、1990を参照のこと、この文献は、本明細書中に参考として援用される)。薬学的組成物は一般的に、滅菌され、実質的に等張に処方され、U.S.Food and Drug AdmionistrationのGood Manufacturing Practice(GMP)規則を完全に遵守する。
(診断的用途)
(診断用試薬としての用途のための本発明の抗体および抗体組成物の特性)
例えば、転移性乳癌細胞などの転移性腫瘍細胞を同定するための、診断的方法に用いるためのヒト抗体は、好ましくは上記の方法を用いて産生される。その方法は、実質的に限定されない数の、任意のエピトープ結合特異性および、任意の所望の抗原に対する非常に高い結合親和性を有する本発明の抗体および抗体組成物を生じる。一般的に、その標的に対する抗体の結合親和性がより高くなるほど、イムノアッセイにおいて標的抗原を除去することなく非特異的に結合した物質を除去するための、よりストリンジェントな洗浄条件が実行可能になる。従って、上記アッセイで用いられる本発明の抗体および抗体組成物は、通常少なくとも10、10、1010,1011または1012−1の結合親和性を有する。さらに、診断用試薬として使用される抗体は、、標準条件下で少なくとも12時間、好ましくは少なくとも5時間、およびより好ましくは少なくとも1時間で平衡に達するための十分な速度を有することが望ましい。
特許請求された方法で用いられる本発明の抗体および抗体組成物は、好ましくは高い免疫反応性、すなわち、それらの標的抗原へ特異的に結合し得るように正確に折り畳まれる抗体分子の高い割合を有する。このようなことは、前述のE.coli中のこの抗体をコードする配列の発現により達成され得る。このような発現は、通常少なくとも80%、90%、95%または99%の免疫活性を生じる。
本発明のいくつかの方法は、本発明の抗体および抗体組成物のポリクローナル調製物を診断用試薬として利用し、他の方法はモノクローナル単離物を利用する。ポリクローナル混合物の使用は、1つのモノクローナル抗体から作製される組成物に対して多数の利点を有する。標的上の複数の部位に対する結合により、単一の部位に結合するモノクローナルのものよりも、ポリクローナル抗体または他のポリペプチドはより強度のシグナル(診断のための)生じ得る。さらに、ポリクローナル調製物は原型的な標的配列の多数の改変体(例えば、対立遺伝子改変体、種改変体、株改変体、薬物誘導性エスケープ改変体)に結合し得るが、一方、モノクローナル抗体は、原型的な配列のみ、またはより狭い範囲のその改変体にしか結合し得ない。しかし、モノクローナル抗体は、密接に関連する抗原が存在するかまたは潜在的に存在する場合に、単一抗原を検出するためには有利である。
前述の方法に従って調製されるポリクローナルヒト抗体を利用する方法において、この調製物は代表的には意図される標的抗原に対する異なるエピトープ特異性を有する抗体の組み合わせを含む。モノクローナル抗体を利用するいくつかの方法において、異なるエピトープ結合特異性を有する二抗体を有することが望ましい。エピトープ結合特異性における差異は、競合アッセイにより決定され得る。
サンプルおよび標的:任意の種類のサンプルについての診断用試薬としてヒト抗体が使用され得るが、それらはヒトサンプルのための診断用試薬として最も有用である。サンプルは患者の任意の組織または体液から入手され得る。好ましいサンプルの供給源としては、全血、血漿、***、唾液、涙、尿、便、汗、口腔、皮膚および毛髪が挙げられる。サンプルはまた、体内器官または癌からの生検によって入手され得る。サンプルは診断または研究のために臨床患者から入手され得るか、またはコントロールまたは基礎研究としては疾患ではない被検体から入手され得る。
この方法は任意の型の標的抗原を検出するために用いられ得る。例示的な標的抗原としては、細菌、真菌および、例えば、HIV、肝炎(A型、B型およびC型)、インフルエンザ、ヘルペス、ジアルジア属(Giardia)、マラリア、リーシュマニア属、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosaなどのヒト疾患を引き起こすウィルス病原体が挙げられる。他の標的抗原は、その発現レベルまたは組成物がヒト疾患または他の表現型と相関しているヒトタンパク質である。そのような抗原の例としては、接着タンパク質、ホルモン、増殖因子、細胞性レセプター、自己抗原、自動抗体、およびアミロイド沈着が挙げられる。他の目的となる標的としては、癌胎児性抗原などの腫瘍細胞抗原が挙げられる。他の目的となる抗原はクラスIMHC抗原およびクラスIIMHC抗原である。
診断的アッセイのための形式:多様な標準的アッセイ形式の中で所定の標的を検出するために、ヒト抗体が用いられ得る。このような形式としては、免疫沈降法、ウエスタンブロット法、ELISA法、ラジオイムノアッセイ法、およびイムノメトリックアッセイが挙げられる。Harlow & Lane、前出;米国特許第3,791,932号;米国特許第3,839,153号;米国特許第3,850,752号;米国特許第3,879,262号;米国特許第4,034,074号;米国特許第3,791,932号;米国特許第3,817,837号;米国特許第3,839,153号;米国特許第3,850,752号;米国特許第3,850,578号;米国特許第3,853,987号;米国特許第3,867,517号;米国特許第3,879,262号;米国特許第3,901,654号;米国特許第3,935,074号;米国特許第3,984,533号;米国特許第3,996,345号;米国特許第4,034,074号;および米国特許第4,098,876号を参照のこと、それぞれ、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。
イムノメトリックアッセイまたはサンドイッチアッセイは好ましい形式である。米国特許第4,376,110号;米国特許第4,486,530号;米国特許第5,914,241号;および米国特許第5,965,375号を参照のこと、それぞれ、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。このようなアッセイは固相へと固定化された1つの抗体または抗体の集合を使用し、そして別の抗体または抗体の集合を溶液中で使用する。代表的には、溶液の抗体または抗体の集合を標識する。抗体の集合を使用する場合には、この集合は代表的には、標的抗原内の異なるエピトープに特異的に結合する抗体を含む。従って、同じ集合を固相および溶液の抗体の両方に用いることが可能である。モノクローナル抗体を使用する場合、異なる結合特異性を有する第1のモノクローナル抗体および第2のモノクローナル抗体が固相および溶液相に対し用いられる。固相および溶液の抗体を順に、または同時のいずれかにより標的抗原と接触させ得る。固相抗体が最初に接触された場合、このアッセイは前向き(forward)アッセイと称される。逆に、液体の抗体が最初に接触された場合、このアッセイは逆向き(reverse)アッセイと称される。標的が両方の抗体と同時に接触された場合、このアッセイは同時アッセイと称される。標的に抗体を接触させた後に、サンプルを一定期間インキュベートするが、通常はインキュベートの時間は約10分〜約24時間で変動し、通常は約1時間である。次いで、診断用試薬として用いられる抗体に対し特異的に結合しないサンプルの成分を除去するための洗浄工程が行なわれる。固相および溶液の抗体が別個の工程で結合した場合、洗浄は各工程または両方の結合工程後に行われ得る。洗浄後、代表的には、標識された溶液抗体の結合を通じて固相へと連結された標識を検出することによって結合を定量する。通常、所定の対の抗体または抗体の集合、および所定の反応条件について、既知濃度の標的抗原を含むサンプルから検量線が作成される。次いで試験されるサンプル中の抗原濃度を、この検量線に内挿して読み取る。分析物を、平衡において結合している標識された溶液の抗体の量から、あるいは平衡が達成される前の一連の時点における結合した標識溶液抗体の速度論的測定のいずれかによって、測定することができる。このような曲線の傾きは、サンプル中の標的濃度の指標である。
上記の方法における使用についての適切な支持体としては、例えば、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、および誘導体化したナイロン膜、およびまた、粒子、アガロース、デキストランをベースとしたゲル、ディップスティック、微粒子、ミクロスフィア、磁気粒子、試験管、マイクロタイタープレートウエル、SEPHADEXTM(Amersham Pharmacia Biotech、Piscataway N.J.)などが挙げられる。固定化は吸着または共有結合によって行なうことができる。必要に応じて、抗体は、アビジンなどの表面結合したリンカーに対する結合のために、ビオチンなどのリンカー分子に対し結合することができる。
(標識)
アッセイ中で用いられる特定の標識または検出可能な基は、アッセイにおいて使用される抗体の特異的な結合を顕著に抑制しない限りは本発明の重要な局面ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的特性または化学的特性を有する任意の物質であり得る。このような検出可能な標識はイムノアッセイの分野で十分に開発されており、通常、このような方法において有用な最も多い任意の標識が本発明に適用され得る。従って標識は、分光学的手段、光化学的手段、生物化学的手段、免疫化学的手段、電気的手段、光学的手段または化学的手段により検出可能な任意の組成物である。本発明における有用な標識としては、磁気ビーズ(例えば、DynabeadsTM)、蛍光色素(例えば、フルオレセイン イソチアシネート、テキサスレッド、ローダミンなど)、放射性標識(例えば、H、14C、35S、125I、121I、112In、99mTc)、超微粒気泡などの他の画像化剤(超音波画像化のため)、18F、11C、15O(陽電子放射断層撮影のため)、99mTc、111In(単一光子放出型断層撮影のため)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびELISAに通常用いられる他の酵素)、および金コロイドまたは着色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの熱量測定的標識が挙げられる。このような標識の使用を記載した特許としては、米国特許第3,817,837号;米国特許第3,850,752号;米国特許第3,939,350号;米国特許第3,996,345号;米国特許第4,277,437号;米国特許第4,275,149号;および米国特許第4,366,241号が挙げられ、それぞれ、全ての目的のためにその全体が本明細書中に参考として援用される。Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals、第6版、Molecular Probes,Inc.、Eugene OR。)も参照のこと。
標識は、当該分野で周知の方法に従って、アッセイにおける所望の構成要素へと直接的にまたは間接的に結合させることができる。必要な感度、化合物との結合の容易性、安定性の必要性、入手可能な装置および廃棄の規定等に依存した標識の選択を伴って、上記のように、幅広い種々の標識を使用することができる。
非放射性の標識はしばしば間接的な手段により結合される。通常、リガンド分子(例えば、ビオチン)は共有結合的に分子へと結合される。リガンドは次いで、固有に検出可能であるか、または検出可能な酵素、蛍光化合物または化学発光化合物等のシグナルシステムと共有結合的に結合される、いずれかの抗リガンド(例えば、ストレプトアビジン)分子と結合する。多数のリガンドおよび抗リガンドが使用され得る。リガンドが、天然の抗リガンド(例えば、ビオチン、チロキシン、およびコリチゾール)を有する場合、それは標識された天然に存在する抗リガンドと共に使用され得る。あるいは、任意のハプテン化合物または抗原性化合物が、抗体と組み合わせて使用され得る。
分子はまた、シグナル生成化合物に直接的に、例えば酵素またはフルオロフォアとの結合体化によって結合体化され得る。標識としての所定の酵素は主としてヒドロラーゼであり、特にホスファターゼ、エステラーゼおよびグリコシダーゼまたはオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼである。蛍光化合物としては、フルオレセインおよびその誘導体、ローダミンおよびその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、およびルシフェリン、および2,3−ジヒドロフタルアジンジオン(例えば、ルミノール)を含む化学発光化合物様のものが挙げられる。使用され得る種々の標識またはシグナル生成システムの概説は、米国特許第4,391,904号を参照のこと。これは、その全体が全ての目的のために、本明細書において参考として援用される。
標識の検出手段は当業者に周知である。従って、例えば、標識が放射性標識である場合、検出手段としては、シンチレーションカウンターが挙げられるか、またはオートラジオグラフィーにおいては写真フィルムである。標識が蛍光性標識である場合は、適切な波長の光によって蛍光色素を励起させ、生じる蛍光を検出することによって、その標識は検出され得る。その蛍光は、写真フィルムまたは電子的検出装置(例えば、電荷結合素子(CCD)または光電子増倍管など)により視覚的に検出され得る。同様に、酵素的標識は、その酵素に対する適切な基質を提供し、得られた反応産物を検出することによって、検出され得る。最終的に、単純な熱量標識は、色に関連した標識を観察することによって単純に検出され得る。従って、種々のディップスティックアッセイ(dipstick assay)において、種々の結合体化されたビーズがビーズの色を呈するのに対し、複合体された金はしばしばピンク色を呈する。
いくつかのアッセイ様式は、標識された成分の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイは、標的抗体の存在を検出するために使用され得る。この場合において、抗原でコーティングされた粒子は標的抗体を含むサンプルによって凝集させられる。この様式においては、この要素のいずれもが標識される必要を有さず、標的抗体の存在は、単純な視覚的観察によって検出される。
しばしば、活性化インテグリンレセプター、またはαvβ3インテグリンレセプタータンパク質、および活性化インテグリンレセプターに対する抗体は、検出する可能なシグナルを提供する物質が共有結合または非共有結合のいずれかで連結されることによって標識される。
(処置レジメン)
本発明は、薬学的に受容可能なキャリアと共に処方される、1種の抗体または抗体の組み合わせ(例えば、活性化インテグリンレセプターに対する抗体(モノクローナル、ポリクローナルまたは単鎖Fv;そのインタクトなフラグメントまたはその結合フラグメント)を含む薬学的組成物を提供する。いくつかの組成物は、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分の複数の組み合わせ(例えば、2またはそれ以上)を含む。いくつかの組成物において、抗体またはその組成物の抗原結合成分の各々は、別個の、予め選択された抗原のエピトープと結合する、モノクローナル抗体またはヒト配列抗体である。
予防的適用において、薬学的組成物または医薬は、疾患または状態(すなわち免疫疾患)が疑われるか、さもなければその危険性を有する患者に対し、その危険性を排除または低減させるか、重篤度を減少させるか、または疾患の発症(疾患の生化学的、組織学的および/または行動的な症状、その疾患の進行の間に提示される合併症および中間的な病理学的表現形が挙げられる)を遅延させるために十分な量で投与される。治療的な適用において、組成物または医薬は、このような疾患が疑われるか、またはすでにそのような疾患に苦しんでいる患者に対し、その疾患の症状(生化学的、組織学的および/または行動的な症状)(その疾患の進行における合併症および中間的な病理学的表現型を含む)を治療し、少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で投与される。治療的有効用量または予防的な処置を達成する適当な量は、治療的にまたは予防的有効用量と定義される。予防レジメンおよび治療レジメンの両者において、薬剤は通常、十分な免疫応答が達成するまでいくつかの投薬量で投与される。代表的には、上記免疫応答はモニタリングされ、その免疫応答が衰え始める場合には繰り返して投薬が与えられる。
(有効投薬量)
本明細書中で記載される免疫に関連する状態および疾患(例えば、転移癌)の処置のための、本発明の抗体組成物(例えば、活性化インテグリンレセプターに対する抗体)の有効量は、多くの異なる因子に依存して変動する。この因子としては、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、その患者がヒトであるか動物であるか、投与されるその他の医薬、そして治療が予防的であるか治療的であるかということが挙げられる。通常、患者はヒトであるが、トランスジェニック哺乳動物を含む非ヒト哺乳動物もまた、処理され得るされる。処置投薬量は、安全性および効率性を最適化するために滴定(titrate)される必要がある。
抗体の投与に関して、投薬量は、宿主の体重1kgあたり、約0.0001〜100mg、より通常的には0.01〜5mgの範囲である。例えば、投薬量は、1mg/kg体重または10mg/kg体重であるか、または1〜10mg/kgの範囲内である。例示的な処置レジメンは、2週間毎に一度、またはひと月に一度、あるいは3〜6か月毎に一度の投与を伴う。いくつかの方法において、投与される各抗体の投薬量が示される範囲内に収まる場合、異なる結合特異性を有する2以上のモノクローナル抗体が同時に投与される。抗体は通常複数の場面において投与される。1回の投薬間の間隔は、週ごとでも、月ごとでも、年ごとであってもよい。間隔はまた、患者内の抗体の血中レベルを測定することによって、示されるように、不規則であり得る。いくつかの方法において、1〜1000μg/ml(そして、いくつかの方法においては25〜300μg/ml)の血漿抗体濃度を達成するために、投薬量が調整される。あるいは、より低頻度の投与が必要とされる場合には、抗体は持続性放出処方物として投与され得る。投薬量および頻度は、患者中での抗体の半減期に依存して変化する。通常、ヒト抗体は最長の半減期を示し、次いでヒト化抗体、キメラ抗体、そして非ヒト抗体と続く。投与の投薬量および頻度は、処置が予防的であるか、または治療的であるかに依存して変動し得る。予防的適用においては、長期に渡り比較的少ない投薬量が比較的低頻度の間隔で投与される。残りの一生の間治療を受け続ける患者もいる。治療的な適用においては、疾患の進行が低減されまたは終結するまで、そして好ましくは、患者が部分的にまたは完全に疾患の症状の緩和を示すまで、比較的多くの投薬量が比較的短い間隔で必要とされる時がある。その後、患者は予防レジメンを受け得る。
免疫原をコードする核酸についての用量は、患者あたり約10ng〜1g、100ng〜100mg、1μg〜10mg、または30〜300μgのDNAである。感染性ウイルスベクターについての用量は、用量あたり10〜100、またはそれ以上のウィルス粒子で変動する。
(投与の経路)
免疫が関連する状態および疾患(例えば、転移癌)を処置するために、免疫応答を誘導するための抗体組成物(例えば、活性化インテグリンレセプターへの抗体)は、非経口手段、局所的手段な、静脈内手段、経口的手段、皮下手段、動脈内手段、頭蓋内手段、腹腔内手段、鼻腔内手段または筋肉内手段によって、脳病変を標的とする抗体調製物のための吸入抗原のような予防処置および/または治療処置のために、投与され得る。免疫原の最も典型的な投与経路は皮下であるが、他の経路も等しく有効であり得る。次に多い共通の経路は筋肉内注射である。この型の注射は、最も代表的には腕または脚の筋肉内に行われる。いくつかの方法においては、薬剤は、沈着物が蓄積している特定の組織へと直接的に注入される(例えば、頭蓋内注射)。筋肉内注射は、静脈内注射よりも抗体の投与のために好ましい。いくつかの方法において、特定の治療的抗体が直接的に頭蓋内に注入される。いくつかの方法において、抗体は持続性放出組成物またはMedipadTMデバイス等のデバイスとして投与される。
本発明の薬剤は、必要に応じて、種々の免疫関連疾患を含む種々の疾患の処置において、少なくとも部分的に有効な他の薬剤と組み合わせて投与され得る。脳への腫瘍転移の場合、本発明の薬剤はまた、本発明の薬剤の血液脳関門(BBB)通過を増加させる他の薬物と組み合わせて投与され得 る。
(処方)
免疫が関連する状態および疾患(例えば、転移癌)を処置するために、免疫応答を誘導するための抗体組成物(例えば、活性化インテグリンレセプターへの抗体)は、活性な治療剤を含む医薬として、すなわち種々の他の薬学的に受容可能な成分を含んで、しばしば投与される(Remington’s Pharmaceutical Science、第15版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、1980を参照のこと)。好ましい形態は、意図される投与様式および治療的適用に依存する。本組成物はまた、所望の処方に依存して、動物またはヒト投与のための薬学的組成物を処方するために通常用いられるビヒクルと定義される、薬学的に受容可能な無毒のキャリアまたは希釈剤を含み得る。希釈剤はその組み合わせの生物学的活性に影響を及ぼすことがないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、生理的リン酸緩衝液、リンガー溶液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。さらに、薬学的組成物または処方物は、他のキャリア、アジュバント、または無毒な、非治療的な、非免疫原的な安定剤等を含み得る。
薬学的組成物はまた、タンパク質、多糖類(例えば、キトサン)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸およびコポリマー(例えば、ラテックス官能性SepharoseTM、アガロース、セルロースなど)、高分子アミノ酸、アミノ酸コポリマー、および脂質凝集体(例えば、油滴またはリポソーム)の大型で、ゆっくりと代謝される巨大分子を含み得る。さらに、これらのキャリアは、免疫刺激薬剤(すなわち、アジュバント)として機能し得る。
非経口投与のために、本発明の組成物は、水、油、生理食塩水、グリセロールまたはエタノール等の滅菌された液体であり得る薬学的キャリアを含む生理学的に受容可能な希釈剤中に、その物質の溶液または懸濁液の注入可能な投薬量として投与され得る。さらに、補助物質(例えば、湿潤剤または乳化剤、界面活性剤、pH緩衝物質など)が組成物中に存在し得る。薬学的組成物の他の成分は、例えば落花生油、大豆油、および鉱物油等の、石油、動物、植物または合成的起源のものである。通常、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール等のグリコールは、特に、注射可能溶液のための好ましい液体キャリアである。抗体は、活性成分の持続的放出を可能にするような方法で処方され得る蓄積注射またはインプラント調製物の形態で投与され得る。例示的な組成物は、50mM L−ヒスチジン、150mM NaClからなりHClでpH6.0に調整した水系緩衝液中に処方された5mg/mLのモノクローナル抗体を含む。
代表的には、組成物は液体溶液または懸濁液のいずれかの注入物質として調製される;注射前の液体ビヒクル中の溶液、または液体ビヒクル中の懸濁液に適した固体形態もまた調製可能である。この調製物はまた、上記のようにアジュバント効果を増強するために、リポソームまたは巨大粒子(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド、またはコポリマー)中に乳化されてもよいし、カプセル化されてもよい。Langer、Science 249:1527、1990およびHanes、Advanced Drug Delivery Reviews 28:97−119、1997。本発明の薬剤は、蓄積注射、または活性成分の持続的または周期的な放出を可能にする様式で処方され得るインプラント調製物の形態で投与され得る。
他の投与様式に対して適切なさらなる処方物は、経口用処方物、鼻腔内処方物、および肺処方物、坐剤、および経皮的な適用を含む。
坐剤について、結合剤およびキャリアとしては、例えば、ポリアルキレングリコールまたはトリグリセリドを含む;このような坐剤は活性成分を0.5%〜10%、好ましくは1%〜2%の範囲で含む混合物から形成され得る。経口処方物は、医薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロースおよび炭酸マグネシウム等の賦形剤を含む。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸薬、カプセル、持続性放出処方物、または粉末の形状を取り、10%〜95%、好ましくは25%〜70%の活性成分を含有する。
局所的な適用は、経皮的送達または皮内送達をもたらし得る。局所的な投与は、コレラ毒素または無毒化した誘導体またはそのサブユニット、あるいはその他の類似の細菌毒素と共に薬剤を同時投与することにより容易にされ得る。Glennら、Nature 391:851、1998。同時投与は、成分を混合物として、または化学的架橋または融合タンパク質としての発現により得られる架橋分子として使用することにより達成され得る。
あるいは、経皮的送達は皮膚パッチを用いてか、またはトランスフェロソーム(transferosome)を用いて達成され得るする。Paulら、Eur.J.Immunol 25:3521−24、1995;Cevcら、Biochem.Biophys.Acta 1368:201−15、1998。
薬学的組成物は、通常、滅菌され、実質的に等張に処方され、食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)の品質管理基準(GMP)(Good Manufacturing Practice)を完全に遵守する。
(毒性)
好ましくは、本明細書中で記載される治療上有効な量の抗体組成物は、実質的な毒性を生じることなく治療的な恩恵を提供する。
本明細書中で記載されるタンパク質の毒性は、細胞培養物または実験動物における標準的な薬学的手順により、例えばLD50(集団の50%が致死となる用量)またはLD100(集団の100%が致死となる用量)を決定することによって、決定され得る。毒性効果と治療的効果との間の用量の比が、治療指数である。これらの細胞培養物アッセイおよび動物研究から得られるデータは、ヒトにおける使用に対し無毒な投薬量範囲を処方する際に使用され得る。本明細書中で記載されるタンパク質の投薬量は、好ましくはほとんど毒性を有さないか、または全く毒性を有さずに有効量を含む循環濃度の範囲内である。この投薬量は、使用される投薬量形態および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。正確な処方、投与経路、および投薬量は、患者の状態に照らして個々の医師により選択され得る(Finglら、1975:The Pharmacological Basis of Therapeutics中の第1章を参照のこと)。
(キット)
本発明の範囲内には、(例えば、モノクローナル抗体、ヒト配列抗体、ヒト抗体、多重特異的分子および二重特異的分子等の)本発明の組成物および使用説明書を含むキットも含まれる。このキットはさらに、少なくとも1つの付加的な試薬、または1以上の付加的な本発明のヒト抗体(例えば、第1のヒト抗体とは異なる抗原におけるエピトープと結合する、相補的な活性を有するヒト抗体)を含み得る。キットは、代表的には、キットの内容物に関する意図される用途を示すラベルを含む。用語「ラベル」は、任意の記載、またはキット上またはキットと共に供給される記録物質、あるいはさもなければキットに添付された記録物質を包含する。
明細書中に記載され、さらに以下の実施例に記載される以下のcDNAクローンは、American Type Culture Collection、10801 University Boulevard、Manassas、Va.20110−2209に、ブダペスト条約の下で2004年11月12日に寄託されている。scFv Bc−12にあたるこのcDNAクローンにはATCC受託番号PTA−6303が付与されている。scFv Bc−15にあたるこのcDNAクローンにはATCC受託番号PTA−6304が付与されている。
(例示的な実施形態)
(実施例1)
(細胞株)
ヒトM21黒色腫およびUCLA−P3肺腺癌細胞を、Dr.D.L.Morton、John Wayne Cancer Center、Santa Monica、CAより入手した。M21−L細胞を、Dr.D.A.Cheresh、The Scripps Research Instituteより入手した。M21−L4細胞およびM21−L12細胞は、Felding−Habermannら、Clin.Exp.Metastasis 19:427−436、2002に記載されているものとした。MDA−MB 435ヒト乳癌細胞を、Dr.J.E.Price、M.D.Anderson Cancer Center、Houston、TXより入手した。免疫欠損マウスの***脂肪パッドに親細胞を注入し、上記細胞株に由来する変異体をインビボで肺(肺)または骨(骨)転移から選択した。抗β3サポニン結合体を用いて親細胞を処理することにより、β3インテグリン陰性変異体(β3−)をインビトロで選択した。β3−細胞を、β3野生型(β3WT)または変異体β3D723R(β3D723R)cDNAのいずれかによりトランスフェクトした。Felding−Habermannら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 98:1853−1858、2001。ステージIVの乳癌患者の血液サンプルから得た初代転移細胞(BCM1、BCM2、BMS)を、抗上皮抗体BerEP4(Dynal)を用いた免疫磁気ビーズによる選別によって単離した。これらの細胞は、MDA−MB 435細胞変異体のレベルと比較可能なレベルのインテグリンαvβ3を発現する。Rolliら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 100:9482−9487、2003。細胞をEMEM、10%のFBS、ピルビン酸、L−グルタミン、ビタミンおよび非必須アミノ酸中で培養した。
(実施例2)
(scFv抗体ライブラリーおよびファージディスプレイ)
20名の癌患者(そのうちの5名が乳癌である)から得た末梢血リンパ球の総RNAから、単鎖Fv抗体ライブラリーを作製した。このライブラリーから、遺伝子IIIに対するscFvをディスプレイするファージを文献に詳述されている通りにレスキューした。Maoら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96:6953−6958、1999。
タンパク質:組換え組織壊死因子−α(TNF−α)(3量体、51kDa)は、厚意によりSiliang Hu(Shanghai Research Center of Biotechnology、Chinese Academy of Sciences、Shanghai、China)より提供された。BSA(66kDa)、ブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)(28.5kDa)、コレラ毒素Bサブユニット(CTB)(5量体、58kDa)、Ricinus communis凝集素(RCA120、120kDa;「リシン」RCA60、60 kDa)はSigma社より購入した。
ファージディスプレイベクターpCGMT9の構築:ベクターpCGMT9はpCGMTに由来するものとした。プライマーP9(5’−AAA TAG ACT AGT GGA GGC GGT GGC TCT ATG AGT GTT TTA GTG TAT TCT−3’)、およびP9rev(5’−GAT TTA GCT AGC TTA TTA TGA GGA AGT TTC CAT TAA ACG−3’)を用い、ヘルパーファージVCSM13の単鎖DNAを鋳型として、遺伝子IX(gIX)をPCRにより増幅した。そのPCR産物をSpeIおよびNheIにより消化し、同じ制限酵素を用いて切断したpCGMTベクターへと挿入した。このベクター中のgIXの方向を特徴付けるために、SpeI消化およびさらなるDNA配列決定を行った。
cDNA鋳型の調製:RNA精製キット(Stratagene)を用いることにより、ヒト抹消血リンパ球(PBL)の異なる10サンプルから総RNAを調製した。第1鎖cDNA合成キット(Amersham Pharmacia)とランダムヘキサマーとを用いて、総RNAから第1鎖のcDNAを合成した。
抗体可変領域遺伝子の増幅:cDNAおよび先に構築されたscFv−ファージライブラリープラスミドを鋳型として使用し、V遺伝子およびV遺伝子レパートリーの両方をPCR増幅した。cDNAおよびプラスミドの鋳型からV遺伝子およびV遺伝子を増幅するために、V−Base配列リストに収録された先に公表済みの最新の遺伝子セグメントに基づいてプライマーを設計した。全ての1次PCR反応を、異なる逆向きプライマーおよび組み合わせられた正方向プライマーを用いて行った。V遺伝子レパートリーの増幅のために、12の異なるヒトV(HV)逆向きプライマーの1つと、4つのヒト重鎖J領域(HJ)正方向プライマーの等モル混合物とを用いることにより、12の別々のPCR反応を設定した。κおよびλV遺伝子について、個々のHVκ/HVλ逆向きプライマーおよびHJκ/HJλ正方向プライマーの混合物により規定される13の別々の反応を用いた同様のアプローチを用いた。2μlのcDNA反応混合物、2μMのプライマー溶液、200μMのdNTP、5% DMSO、および10μlのPfuポリメラーゼ反応緩衝液(Stratagene)を含む100μl容量中で、PCRを実行した。94℃における5分間の変性後、5単位のPfuポリメラーゼを加え、次いで94℃で1分間、57℃で1分間、および72℃で1分間からなる30サイクル、そしてサイクリングの終了時に72℃で10分間のインキュベートを行った。PCR後、種々の反応からは、精製およびアセンブルのため準備する3つの最終的なV、Vκ、およびVλのプールが得られるように混合された10の異なるPBLサンプルおよびscFv−ファージライブラリープラスミドの各々からのV、Vκ、およびVλのサブプールを得た。
scFvライブラリーの構築:増幅したV遺伝子およびV遺伝子をアガロース上でゲル精製し、VフラグメントおよびVフラグメントを鋳型として用いた重複PCRによってscFv遺伝子を組み立てた。まず、約20ngのVおよびVの各々を、リンカーを用いてプライマーを用いないPCRにより組み立てた。そこにおいては、このリンカーの末端に作られた相補性を有する短い領域が種々の断片のハイブリダイゼーションを促進した。94℃、5分間の最初の変性ステップに次いで、プライマーの非存在下で94℃で1分間、60℃で1分間、および72℃で1.5分間の5サイクルを行った。外部プライマーHVH(SfiI)およびHJL(SfiI)を添加後に、94℃で30秒間、60℃で30秒間、および72℃で1.5分間の30サイクルを実行した。scFv遺伝子をSfiIで消化し、アガロースゲル精製し、同じ制限酵素を用いて切断したファージディスプレイベクターpCGMT9にライゲーションした。約4.5×10の独立した形質転換体の多様性を得るために、Escherichia coli XL1−Blueコンピテント細胞へのライゲーション産物のエレクトロポレーションを行った。エレクトロポレーション後、細胞を2%グルコース、50μg/mlカルベニシリン、および20μg/mlテトラサイクリンを含む40枚のLB寒天(150mm×10mm;Nunc)上にプレートし、30℃で一晩インキュベートした。このプレートから、10%グリセロールを含む300mlのsuperbroth(SB)培地中にクローンを掻き取り、次いで−70℃で保存した。
癌患者の血中リンパ球cDNAライブラリーから作製したファージディスプレイライブラリーは、約2×10個のクローンを含んだ。サブトラクトパンニング(subtractive panning)ストラテジーにおいて、ヒト乳癌細胞モデルの転移性変異体へと特異的に結合し、同じ細胞モデルの非転移性変異体には結合しないクローンを単離した。これらの単離クローンから、3つのアプローチのそれぞれにおいて、さらなる分析および特徴付けのために20クローンを任意に選び出した。これらの20クローンの各々に対して、乳癌細胞モデルの転移性変異体と非転移性変異体を比較して、選択的結合特異性を検証した。平均で、選抜した20クローンのうちの2つが転移細胞にのみ結合し、非転移細胞変異体と転移性細胞変異体との間を厳密に区別した。2つのクローンをさらに分析し、詳細に特徴付けた(scFv Bc−12およびBc−15)。転移性乳癌変異体に対する特異性を示す残りのscFvは、確立された転移性活性を有する細胞と特異的に反応する抗体がサブトラクトパンニングストラテジーによって得られることを示す。これらの抗体は、進行中の研究によりさらに特徴付けられる。
scFv−ファージのレスキュー:scFv−ファージをレスキューするために、2% グルコース、50μg/mlカルベニシリンおよび20μg/mlテトラサイクリンを含む1LのSB培地に、ライブラリーのグリセロールストックから約5×1010の細胞を一晩接種した。培養物を37℃で、OD600が約0.5〜0.7になるまで振盪した。次いで、約4×1013のプラークフォーミングユニット(plaque forming units)のヘルパーファージVCSM13および2mlの0.5M イソプロピル β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加した。室温で30分間のインキュベーションの後、この培養物を50μg/mlカルベニシリン、20μg/mlテトラサイクリンおよび0.5 mM IPTGを含む5リットルのSB培地に希釈し、30℃で2時間増殖させた。次いで、カナマイシンを最終濃度70μg/mlとなるように加え、この培養物を30℃で一晩増殖させた。ポリエチレングリコール(PEG)/NaCl沈殿によりファージを調製した。
scFv−ファージのパンニング:ライブラリーを、3ラウンドまたは4ラウンドのパンニングに供した。イムノチューブ(Maxisorb、Nunc)に吸着させたタンパク質を用いて、特異的なscFv−ファージを親和性により選択した。BSA、TNF−α、SEB、CTB、RCA60およびRCA120の選択のため、パンニングの第1ラウンドとして50μg/ml、第2ラウンドとして10μg/ml、第3および第4ラウンドとして5μg/mlのタンパク質PBS溶液(10mMリン酸/150mM NaCl、pH 7.4)1mlを用いて、個別のタンパク質で一晩、室温にてイムノチューブをコーティングした。そのイムノチューブを、Blotto(4% スキムミルクPBS溶液)で1時間室温でブロッキングし、次いで約1013cfuのscFv−ファージを、2% スキムミルク/2% BSA PBS溶液(BSAに対するパンニングの時にはBSAは除く)中でイムノチューブへと加えた。室温に保持した2時間のインキュベーション後、結合していないscFv−ファージおよび非特異的結合したscFv−ファージを、PBS/0.1% Tween−20を用いた10回の洗浄、PBSを用いた10回の洗浄によって溶出させた。特異的に結合したscFv−ファージを1mlの溶出緩衝液(0.1% BSAを含有し、固体グリシンでpH2.2に調整した100mM HCl)を用いて、10分間、室温にて溶出した。溶出物を60μlの2M Tris塩基で中和し、新たに調製したE.coli XL1−Blue細胞を感染させるために使用した。このscFv−ファージを次いで増幅し、概略されたようにレスキューし、次のラウンドのパンニングに進んだ。
scFvファージ結合のELISA:scFv−ファージおよび可溶性scFvの相対的親和性および特異性を6種類のタンパク質抗原に対して評価した。10μg/mlのBSA、TNF−α、SEB、CTB、RCA60、およびRCA120の溶液を、室温にて一晩マイクロタイタープレート上にコーティングした。残る任意の結合部位をBlottoでブロッキングした。一晩の細胞培養物から得たウェルあたり約25μlのscFv−ファージまたは可溶性scFvの上清を加え、1時間、37℃にてインキュベートした。scFv−ファージ ELISAのため、洗浄後に、Blotto中に1:1000で希釈した25μlの抗M13mAb西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合体(Amersham Pharmacia)を添加し、30分間、37℃に置いた。可溶性scFvを用いたELISAのためには、Blotto中の抗フラッグM2 mAb HRP結合体(Sigma)を添加し、30分間、37℃にてインキュベートした。検出は50μlのテトラメチルベンジン基質(Pierce)の添加を伴い、吸光度を450nmにて測定した。
scFvの精製および親和性測定:scFv遺伝子を発現ベクターpETFlagへとサブクローニングし、発現させて均質に精製した。BIAcore装置およびソフトウェア(Amersham Pharmacia)を使用して、測定された会合(kon)および解離(koff)速度定数から解離定数(K)を計算した。BIAcoreの実験のために、タンパク質抗原をCM5チップ上に固定化した。scFv結合の測定後、チップは75mMHClを用いて再生させた。
(実施例3)
(ファージ抗体のサブトラクトパンニング)
インテグリンαvβ3と反応するファージディスプレイ抗体を、生存している乳癌細胞上での5ラウンドのサブトラクトパンニングにより単離した。各ラウンドにおいて、そのライブラリー(約5×1012 cfu)をまず、EMEM、1%BSAを含まない血清中に懸濁した非活性化αvβ3を発現する3×10のMDA−MB435変異体細胞上で、室温にて45分間サブトラクトした。涸渇したライブラリーを次いで活性化αvβ3を発現する1×10のMDA−MB435変異体細胞上でパンニングした。室温にて30分後、この細胞を遠心分離し、EMEM中で10回洗浄した。結合されたscFvファージを、100mMのグリシン/HCl、1%BSA、150mMのNaCl、pH2.4を用いて溶出し、1MのTris/HCl、pH7.4を用いて中和し、大腸菌SL−1Blue中で増幅し、そしてさらなるサブトラクション、選択、精製またはフローサイトメトリーによる細胞結合解析のためにPEG/NaClを用いて沈殿した。
scFvの精製:scfv遺伝子断片を、pETFlag(pET−15b由来、Novagen)へとサブクローニングし、また大腸菌B834(DE3)へと形質転換した。発現を0.5mMのIPTGを用いて誘導し、抗Flag mAb M2アフィニティーアガロース(Sigma)上でFLAG−タグ化scFv断片を記載の通りに精製した。Mao、S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 96:6953−6958、1999;Gao、C.ら、J Immunol.Methods 274:185−197、2003。モノメリックなscFvはSephacryl−100 FPLC(Amersham Pharmacia)により精製した。
フローサイトメトリー:ヒト腫瘍細胞へのscFvの結合を、まずクローンされたscFvファージを用い、次いで精製scFvタンパク質を用いて、フローサイトメトリーにより解析した。1サンプルあたり、2×10個の腫瘍細胞をヤギ血清でブロックし、scFvファージ(2〜5×1010)(1時間、室温)、次いでマウス抗M13mAb(Serotec)(30分間、氷上)およびヤギ FITC−抗マウス(Pierce)(30分間、氷上)とともにか、あるいは精製scFv(1.25〜40μg/ml、定型的には10〜l5μg/ml)(45分間、氷上)、次いでマウス抗FLAG mAb M2(Sigma)(30分間、氷上)およびヤギFITC−抗マウスとのいずれかとともにインキュベートした。結合/洗浄バッファーは2価の陽イオン(1mMのCa2+、1mMのMg2+、0.2mMのMn2+)を含むあるいは含まないTBSであった。あるいは、腫瘍細胞を10mlの血漿(50nMのD−Phe−D−Pro−D−アルギニルクロロメチルケトン、PPACK、Felding−Habermannら、J.Biol.Chem.271:5892−5900、1996により抗凝固処理されたヒト血液から新たに調製された)中で洗浄し、血漿中に再懸濁し、引き続いて、洗浄することなく、精製scFv(45分間、氷上)、次いで抗FLAG M2(30分間、氷上)およびFITC−抗マウス(30分間、氷上)と共にインキュベートした。全てのサンプルをヨードプロピジウム(PI)で逆染色し、PI陽性の細胞を除外するためのライブゲートセットを用いてBecton−Dickinson FACScan上で解析した。
scFvの配列解析:選択されたクローンの核酸配列解析を373−A DNAシーケンサー(Applied Biosystems)上で実行した。全ての配列をKabat database(http://www.nci.nlm.nih.gov)上で検索し、それらを先に配列解析されたVおよびV鎖と比較し、またInternational Immnogenetics database(http://www.Genetik.uni−Koeln.de/dnaplot)においてscFvと可能性ある生殖細胞系列遺伝子配列との相関を提案し、V−部位の利用を調べるために検索した。アラインメントにはGCG Wisconsin Packageを用いた。
細胞接着および移動:定常条件下での腫瘍細胞接着を上述ように解析した(19)。接着バッファーはHanks平衡塩溶液(HBSS)pH7.4、0.5%のBSA、1mMのMgCl、0.2mMのMnClであった。阻害については、細胞を5分間室温にて3μMのscFvまたは200μMのGRGDSPKペプチドのいずれかと共にインキュベートし、次いで阻害剤存在下でプレーティングして、30分間、37℃において接着させた。フィブリノゲンに向かう走触性の腫瘍細胞の移動を、上述のようにトランスウェルチャンバー(transwell chamber)中で解析した(Rolli、M.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 100:9482−9487、2003)。アッセイの前に、腫瘍細胞を、血清非含有のEMEM中で16時間、37℃にて飢餓状態にし、洗浄し、次いでEMEMを含まない血清中で、2μMのscFvまたは200μMのGRGDSPKペプチドの存在または非存在下で16時間、37℃、5%CO条件下において移動を可能した。
血流中での腫瘍細胞の捕捉:血流および血小板との相互作用の間における乳癌細胞の捕捉を、記載される通りに測定した(Felding−Habermannら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 98:1853−1858、2001。Felding−Habermannら、J.Biol.Chen.271:5892−5900、1996)。手短にいえば、腫瘍細胞を、50nMのPPACKを用いて抗凝固処理されたヒト血液中に懸濁し、50s−1、2ダイン/cmの静脈壁剪断速度においてコラーゲンIマトリックス上に灌流した。接着事象および細胞相互作用を、蛍光ビデオ顕微鏡検査によって視覚化し、記録し、30の所定の位置における画像の蓄積によって定量化し、コンピュータ画像解析(MetaMorph、Universal Imaging)した。腫瘍細胞をヒドロエチジン(赤色蛍光)(20μg/ml、30分間、37℃)を用いて染色し、洗浄し、10μMのメパクリン(緑色蛍光)を含む血液と混合した。血液細胞、腫瘍細胞、および血小板は緑色蛍光を発するようになり、488/515nm(励起/発光)において視覚化した。腫瘍細胞を、543/590nmにおける固有の赤色蛍光によって同定した。阻害を試験するために、腫瘍細胞を3μMのscFvと共に5分間、37℃でインキュベートし、次いで血液と混合し、scFv終濃度が3μMとなるように添加して直ちに灌流した。
抗体の内在化:チャンバースライドウェル中で生育させた乳癌細胞を、血清非含有のEMEM中で20μg/mlのFITC標識scFvと共に3時間、4℃または37℃にてインキュベートし、10回洗浄し、95%エタノールで固定し、浸透し、ヨードプロピジウムを用いて染色してアンチフェイド(antifade)溶液中でマウントし、レーザースキャニング共焦点顕微鏡を用いて解析した。
インビボ転移試験:1×10のBMSヒト転移性乳癌細胞を、50μgの静脈ボーラス量のscFvと共に9週齢のメスC.B17/lcrTac−Prkdc scidマウス(Taconic Farms)(n=8から10)の外側尾部静脈へと注入した。50μlのscFvボーラス量の注入を、実験の2日目、3日目および4日目に繰り返した。コントロール動物には、ビヒクルのみ(PBS)を注入した。インビボで使用するために、Detoxy−Gelレジン(Pierce)上でscFv調製物からエンドトキシンを除去した。残留する痕跡は、0.001〜0.07EUのエンドトキシン/mgのscFv(LAL test,Bio Whittaker)であった。32日目にマウスを安楽死させ、解剖して、肺を摘出してBouin溶液中に固定し、解剖顕微鏡下で肺表面の転移性病巣を計数した。同じ肺をパラフィンに包埋し、10μmの切片を切り出し、ヘマトキシリン/エオシンを用いて染色した。1つの肺あたり7セットの、3枚の連続した切片を集め、140μmごとに離して置いた。その切片を無作為化しかつコード化して、転移性病巣の総数を計数した。
確立された転移性疾患を有するマウスを治療するために、構成的に活性化αvβ3D723Rを発現する5×10のDsRed2タグ化MDA−MB435細胞を静脈へと注入した。コントロール群の全てのマウスが1週間後に肺転移を発現してから、治療群のマウスに静脈内に40μgのscFv Bc−15を、またはコントロールとしてscFv Mut−15を、腫瘍細胞の接種後7、9、11、14、16および18日後に注入した。マウスは19日目に安楽死させ、肺転移を蛍光顕微鏡下で計数した。動物の取り扱いおよび使用はNIHおよびAAALACのガイドラインに従った。
(実施例4)
(癌患者由来scFv抗体は活性化依存的に腫瘍細胞インテグリンαvβ3を認識する)
活性化αvβ3と特異的に反応する治療用試薬を製造するために、単鎖抗体断片(scFv)のファージディスプレイライブラリーを開発した。このライブラリーは、癌患者血液リンパ球cDNAライブラリーに由来し、発現された免疫レパートリーがインテグリンαvβ3を認識する抗体を含むという仮説を調査し、その活性化形態と非活性化形態を識別することを本発明者らに可能にした(Maoら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 96:6953−6958、1999)。MDA−MB435ヒト乳癌細胞変異体に基づくサブトラクトパンニング手法を設計した。親細胞群の大半は非活性化αvβ3を発現するが、活性化レセプターを発現する細胞のサブセットを含むことが示された。免疫欠損マウス中の肺および骨転移から単離された変異体細胞が構成的に活性化αvβ3を発現することから、明らかに、これらの細胞が転移中に選択される。非活性化αvβ3を均一に発現する細胞群を確立するために、MDA−MB435親細胞を限界希釈法によりクローニングし、クローンをαvβ3の機能について試験した。レセプターがフィブリノゲン指向性の移動および血流中におけるαvβ3依存性の腫瘍細胞の捕捉を支持しない20個のクローンを同定し、このレセプターが非活性化インテグリンであることを確認した。プールされたクローン(親Combo)は、親の群と匹敵し得るレベルでαvβ3を発現した。構成的に活性形態であるαvβ3を発現する細胞株MDA−MB435Lung−Lungを確立した。この変異体は、***脂肪パッドに親MDA−MB435細胞が注入された免疫欠損マウスの肺転移から得られる(Felding−Habermannら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 98:1853−1858、2001;Rolliら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 100:9482−9487、2003)。血流から肺へのコロニー化能力を高めるために、肺変異体を続いて静脈内に注入し、切除した肺から得た腫瘍細胞をその後3週間培養した。親Combo細胞は、MDA−MB435細胞変異体により共有される抗原に対する抗体を除去する目的で、scFvファージライブラリーをサブトラクトするために用いられる。5ラウンドのサブトラクション、および、親Combo細胞におけるファージライブラリーおよびLung−Lung細胞におけるパンニングの後、scFvクローンを、ヒト腫瘍細胞上のインテグリンαvβ3に結合するための能力、およびレセプターの活性化および非活性化形態を区別するためのそれらの能力について、フローサイトメトリーによって解析した(図1)。各クローンは、αvβ3を発現するまたはそれを欠如しているかのいずれかであるが、その他のインテグリンサブユニットとの組み合わせの中で、各クローンをαvまたはβ3を発現するヒト腫瘍細胞の群において試験した。これらはM21黒色腫細胞(αvβ3、その他のβ3インテグリンを有さない)、M21−LIIb細胞(αIIbβ3、αvインテグリンを有さない)、およびUCLA−P3肺腺癌細胞(αvインテグリン、しかしαvβ3を有さない)であった。αvβ3ヘテロダイマーを発現する細胞とのみ反応する2つのscFvクローン、Bc−12およびBc−15が同定された。第3のscFvクローン、Bc−20は、結合したβサブユニットに関わらずαv陽性細胞と反応した(図1A)。Bc−12およびBc−15はM21−L細胞(αvインテグリンを有さない)と結合できなかったが、M21−L4細胞とは反応し、そこにおいαvβ3の発現はトランスフェクションによって回復し、αvβ3とそれらとの反応性を保証した(Felding−Habermann、B.ら、Clin.Exp.Metastasis 19:427−436、2002)。
Bc−12およびBc−15によるαvβ3の認識は、陽イオン依存性を示した。結合は生理学的なCa2+レベルの存在下で測定可能であり、インテグリンを活性化し得る金属イオンであるMn2+の存在下で顕著に促進される(図1A、B)。このことをさらに試験するために、Bc−12およびBc−15の結合に関する陽イオンの組み合わせ効果を試験した。Mg2+はBc−12およびBc−15の結合をCa2+同レベルで支持し、Ca2+はMn2+による促進効果を低減させた(図1B)。ScFvBc−20のαv陽性細胞への結合は2価の金属陽イオンを必要としなかった。このことは、scFv Bc−12およびBc−15が優先的に活性化インテグリンαvβ3を認識することを示し、また、結合の必要性が、フィブリノゲン、ビトロネクチンおよびフィブロネクチン等のこのレセプターにおける天然の血漿タンパク質リガンドを連想することを示す(Smith、Methods Cell Biol.69:247−259、2002;Hughesら、J.Biol.Chem.271:6571−6574、1996)。scFv Bc−12およびBc−15が αvβ3をその活性化形態において選択的に認識することを確認するために、MDA−MB435乳癌細胞モデルにおけるインビトロで作製されかつインビボで選択された変異体に対するこれらの抗体の結合を試験した。Bc−12およびBc−15はβ3陰性MDA−MB435細胞(β3)およびこれらの細胞の誘導体を発現するβ3野生型(β3WT)には結合し得なかったが、その後者は、Mn2+を用いて活性化したときには認識した。同様のMn2+依存性は、非活性化αvβ3を発現するMDA−MB435親Combo細胞については事実であった(図1C)。対照的に、Bc−12およびBc−15は、Mn2+による外在的な刺激を伴うことなく、構成的に活性化されている変異体αvβ3D723Rを発現するMDA−MB435変異体と結合することができた。Mn2+を加えると結合はさらに促進された。重大なことに、scFvs Bc−12およびBc−15は、骨および肺転移、ならびに乳癌患者血液サンプルから単離された転移細胞由来のインビボで選択されたMDA−MB435変異体を認識する(図1C)。これらの細胞は構成的に活性形態であるαvβ3を発現する(Felding−Habermannら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 98:1853−1858、2001;Rolliら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 100:9482−9487、2003)。従って、これらの結果は、Bc−12およびBc−15がαvβ3を認識し活性化された高親和性状態でのその症状(presentation)を求めることを示す。
(活性化αvβ3に対する患者由来のscFv抗体は天然のリガンド模倣物である)
患者由来のscFv抗体Bc−12およびBc−15は、αvβ3を発現する腫瘍細胞と結合するために2価の金属陽イオンを必要とし、このレセプターは活性化された機能的形態で存在しなければならないという知見は、Bc−12およびBc−15がαvβ3の天然のリガンドに類似するということを示す。scFv抗体と天然のリガンドとの間の類似性を分析するために、Bc−12、Bc−15およびBc−20のDNA配列を決定し、翻訳した(図2A)。scFv Bc−12cDNAおよびscFv Bc−15cDNAのDNA配列を図2Cに示す。タンパク質配列は、Bc−12およびBc−15における重鎖の第3の相補性決定領域(CDR−H3)がRGDリガンド認識モチーフを含むことを示した。天然のαvβ3リガンドに共通のこのモチーフは、Bc−20においては欠如している(図2)。scFv抗体Bc−12およびBc−15のCDR−H3におけるRGDモチーフの、活性化インテグリンαvβ3に対するそれらの特異性への寄与を調べるために、この配列を部位特異的変異誘発法によりRGEに変化させた。RGDモチーフ内のDからEへの変更で、αvβ3によるリガンド認識が減少するかまたは完全になくなることが知られている。変異したscFvのヒト乳癌細胞への結合は、Bc−12のRGE版であるMut−12では強力に低減化され、そしてBc−15のRGE版であるMut−15では無効になった(図2B)。このことはRGD結合が非常に決定的に抗体−抗原認識を決定することを示す。しかし、これらの抗体は、既知のRGD結合レセプターである、αvβ3に関連した血小板インテグリンαIIbβ3とも、他のαvインテグリン(すなわち、α5β1)とも反応しなかった(図1)。Ruoslahti,Annu.Rev.Cell Dev.Biol.12:697−715,1996。このことは、共同作用的結合領域が存在し得、抗体の3次構造およびRGD配列の両方からのαvβ3の活性化立体構造の観察される選択的認識配列への寄与を伴うことが示唆される。scFv Bc−12およびscFv Bc−15に対するcDNA配列を図2Cに示す。scFv Mut−12およびscFv Mut−15に対するcDNA配列を図2Dに示す。
(リガンド模倣物scFv抗体は、αvβ3が仲介する接着性腫瘍細胞機能を阻害する)
患者由来のscFv抗体Bc−12およびBc−15は明らかにインテグリンαvβ3の天然のリガンドを模倣するので、これらの抗体はαvβ3が仲介するリガンドの結合および接着性腫瘍細胞機能を妨害し得るという仮説が立てられた。定常的条件下で適用した場合、Bc−12およびBc−15は、これらの細胞中でαvβ3により独占的に仲介されるプロセスである、固定化されたフィブリノゲンに対するBMSヒト乳癌細胞の接着を効果的に阻害した。Rolliら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 100:9482−9487、2003。3μM scFvによる阻害の程度は、フィブロネクチン由来ペプチドである200μM GRGDSPKにより観察されるものと類似であった(図3A)。ビトロネクチンへのBMS細胞の接着もまたBc−12およびBc−15により阻害されたが、より低い程度までの阻害であった。このタンパク質への接着はこれらの細胞上の他のαvインテグリンと共にαvβ3により仲介される。この抗体は、主としてαvβ3を含まないBMS細胞インテグリンα2β1により仲介されるI型コラーゲンへの乳癌細胞接着に対しては効果を有さなかった。腫瘍細胞の播種のために重大な別の機能は、マトリックス指向性移動である。腫瘍細胞はしばしば、接着性血漿タンパク質が腫瘍領域へと漏れ出す原因となる血管透過因子を産生する。McDonaldら、Cancer Res.62:5381−5385、2002。すなわち、これらのタンパク質のうちで最も多量に存在するフィブリノゲンおよび重合フィブリンの勾配は、腫瘍を支持する血管へと向けて転移細胞を導き得る。乳癌細胞モデルにおいて、固定化フィブリノゲンまたはフィブリンに向かう移動は、インテグリンαvβ3により独占的に仲介され、そのレセプターの活性化状態を必要とする。Rolliら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 100:9482−9487、2003。従って、Bc−12およびBc−15がフィブリノゲン指向性移動に影響を与え得るかどうかについて調べた。2μMの濃度において、Bc−12およびBc−15は、BMSヒト乳癌細胞の移動をほとんど完全に阻害した。この効果は200μM GRGDSPKペプチドで見られた効果と同様であった(図3B)。RGEを含有するscFv Mut−15は、フィブリノゲン指向性移動に対して全く効果を示さず、Mut−12はわずかな効果のみを示した。
循環中で、転移性腫瘍細胞は、Bc−12およびBc−15のような強力な機能のブロッキング抗体と対決する癌患者の免疫監視に激しくさらされる。転移細胞に向かうこの環境における闘いは、標的器官のコロニー化のために必須なプロセスである脈管構造内の腫瘍細胞捕捉とは物理的に対立する、血流により生成される力を分け合うことにより強化される。乳癌細胞インテグリンαvβ3がその活性化形態において血流中の転移細胞の捕捉を支持し得ることが立証されてきている。従って、脈管構造中の血流条件を模倣するために、そしてリガンド模倣物scFv抗体が乳癌細胞の捕捉を干渉し得るかどうかを試験するために実験を計画した。BMS乳癌細胞を赤色蛍光染料により予め染色し、緑色蛍光染料と混合されたヒト血液へと混合した。この混合物は、50sec−1の静脈壁剪断速度において血栓形成性のI型コラーゲンマトリックス上に渡り灌流した。このマトリックス上で、血小板が容易に接着し、活性化する。Ruggeri,Nat.Med.8:1227−1234、2002。このことが活性化血小板インテグリンαIIbβ3により仲介される血栓形成の局在を引き起こす。活性化インテグリンαvβ3を発現する乳癌細胞は、血流の間に血小板と相互作用し、接着表面に形成される血栓に対し付着するためにこのレセプターを利用し得る。Felding−Habermannら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 98:1853−1858,2001。scFv抗体Bc−12およびBc−15は、このプロセスを十分に阻害し、一方、非RGDを含む抗αv抗体Bc−20は効果を示さなかった(図3C)。同様の結果を他の転移性乳癌細胞株についても得た。RGEを含むscFv変異体Mut−12およびMut−15は、血流の間に、乳癌細胞の捕捉に全く影響を与えなかった。これらの結果は、機能的に活性化された形態のインテグリンαvβ3を認識するリガンド模倣物scFv抗体が、乳癌細胞の血小板との相互作用をブロックし得、それにより血流中での癌細胞の捕捉を阻害することを示す。インテグリンαIIbβ3に仲介される接着性血小板機能は、この抗体によっては影響を受けなかった(図3C、左図)。
リガンド模倣物としては、scFv Bc−12およびBc−15は乳癌細胞接着機能のみならず細胞の生存にも影響を与え得る。αvβ3に対するリガンド結合の破壊がアポトーシスを刺激し得ることが立証されてきている。Stupackら、J.Cell Biol.155:459−470、2001。代替的経路を経由して、化合物を含む内在化されたRGDは、代替的な経路を経由した前アポトーシス酵素であるカスパーゼ3を活性化することにより、直接的に細胞死を誘導し得る。Buckleyら、Nature 397:534−539、1999。scFv Bc−12およびBc−15は、許容温度において十分に結合し、かつ付着性のBMS乳癌細胞により迅速に内在化された。患者の血液サンプルから単離した数種類のヒト乳癌細胞株の増殖は、scFv Bc−12およびBc−15を含むRGDの存在下で妨害され、一方、それらのRGE変異体版であるMut−12およびMut−15は効果を示さなかった(図3D)。さらに、循環中に生じるような、乳癌細胞の接着性マトリックスが除去された時においては、scFv Bc−12にさらされることがアポトーシス性の細胞死をもたらした(図3E)。従って、患者由来のリガンド模倣物抗体は、活性化インテグリンαvβ3の特異的な接着機能を破壊し得、このレセプターを有する腫瘍細胞の増殖挙動に影響し得る。
(活性化αvβ3に対するscFv抗体の抗転移活性は、インビボで血行性乳癌の転移を阻害する)
癌患者の免疫レパートリーが、活性化されていて、転移を支持する形態のインテグリンαvβ3を特異的に認識する抗体を含むということはすでに示されているので、研究される次の重要な局面は、循環する腫瘍細胞へのこれらの抗体の結合が血流からの転移に影響を与えるかどうかということであった。そのような微小環境において有効であるためには、この抗体は血液中または血漿中で腫瘍細胞インテグリンαvβ3と結合する必要がある。血液潅流に関する研究によって、scFv Bc−12およびscFv Bc−15が血流中の乳癌細胞の捕捉を阻害し得ることが示されており、このことは、これらの抗体がその条件下において腫瘍細胞を認識することを示している。このことを確認するために、BMS乳癌細胞を、新鮮なヒト血漿中でBc−12またはBc−15の濃度を増加させながら一緒にインキュベートした。40nM scFv(1μg/ml)において測定した最大結合量の半分を有する飽和可能な様式で抗体は細胞と結合した(図4)。他の転移性乳癌細胞株を用いて同様の結果を得た。このことは、RGDを含むscFv抗体Bc−12およびBc−15が多数のRGD含有血漿タンパク質の存在下で(その中で最も豊富なのは6〜12μMの生理学的血漿濃度のフィブリノゲンである)腫瘍細胞インテグリンαvβ3と結合することを示す。
リガンド模倣抗体Bc−12およびBc−15による活性化インテグリンαvβ3への標的化が、循環する転移性乳癌細胞による標的器官のコロニー化に影響するかどうかを直接調べるために、1×10個のBMSヒト乳癌細胞を、メスのC.B−17 SCIDマウスの静脈内に、滅菌された、エンドトキシンを含まない、50μgのBc−12またはBc−15調製物とともに注入した(n=1群あたりマウス8〜10匹)。マウスあたりの平均的血液容量2mlにおいて、このこのは1μMの初期scFv濃度を提供する。循環中のscFv抗体フラグメントのクリアランス時間は1時間未満である。Korttら、Biomol.Eng、18:95−108、2001。腫瘍細胞は循環中で数日間残存し得る。従って、scFv抗体注入(50μgボーラス用量、静注)を2日目、3日目および4日目に繰り返した。抗体処理したマウスおよびコントロールのマウスは実験中健康に見えた。32日後、マウスを安楽死させ、解剖し、肉眼的検査により分析した。明白な異常は観察されなかった。肺を切除し、固定して、次いで、肺表面の転移性病巣を計数した。コントロール処理された各マウスは肺に腫瘍病巣を有していた(範囲:肺あたり8〜68病巣)。全く対照的に、Bc−12処理された群ではわずか2匹の動物が、また、Bc−15処理された群ではわずか1匹の動物が、肺表面に目視し得る小塊を有していた(図5A)。より多くの細胞用量および異なる乳癌細胞型(3×10個のBCM1細胞/マウス)を用いた、よりチャレンジングな条件下の第2の実験において同様の結果を得た。
scFv処置が肺組織への転移コロニー化を減少したか、または実際に抑制したかどうかを分析するために、各マウスの肺をパラフィン中に包埋し、切片化して、ヘマトキシリン/エオシンを用いて染色し、次いで、肺組織内の転移性コロニーの痕跡について組織学的に調べた。肺あたり、140μm毎に切断した3つの連続する切片を6セット回収した。これらの切片をランダム化し、コードを付けて転移性病巣の合計数を計数した。全てのコントロール動物が肺組織に転移を有しており(範囲:肺あたり7〜48カウント)、それらは相当な大きさであった(図5B 上部イメージ)。対照的に、Bc−12処理されたマウスは10匹のうちわずか3匹、そしてBc−15処理されたマウスは9匹のうちわずか1匹しか、肺組織に顕微鏡で検出可能な転移を有していなかった(範囲:肺あたり0〜5カウント)(図5B)。従って、scFv Bc−12またはBc−15の注入は、循環する乳癌細胞による肺でのコロニー化を統計学的に有意なレベル(P<0.005)に干渉した。
合わせて考えると、このデータは少なくとも数名の癌患者の循環する免疫レパートリーがインテグリンαvβ3の活性化形態に対する抗体を含むことを示唆する。これらの天然に存在する抗体のインビトロ増幅によって、循環する転移細胞の重要な機能を破壊し、それによりインビボでの乳癌転移を阻害することについて、それらの特異性および可能性が実証した。臨床的に関連する次なる問いは、αvβ3の活性化形態を標的とすることが、確立された胸部腫瘍および進行中の自然発生的転移を干渉し得るかどうかである。転移細胞ならびに腫瘍を支える血管新生内皮細胞が、構成的に活性化インテグリンαvβ3を発現することによって正常な接着特性、移動特性および浸潤性特性の正常な制御を明らかに無視するので、このことは説得力を有すると思われる。Felding−Habermannら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A 98:1853−1858、2001;Kiossesら、Nat.Cell Biol.3:316−320、2001。
(実施例5)
(哺乳動物被検体における転移性癌の診断、予後および治療、)
これらの研究は、癌患者のコンビナトリアル抗体ライブラリーが疾患治療能力を有する抗体を含有することを示した。研究により、このような抗体がインビトロで単離され得、これらの抗体が実験動物モデルにおいて転移を阻害するために用いられ得ることが立証されている。この知見に基づいて、転移性癌の長期生存者である患者から得た抗体ライブラリーからは疾患治療能力を有する類似の抗体が高頻度で見いだされると期待され得る。このようなライブラリーが作製され、こうした抗体の存在について探索され得る。
本発明は、乳癌疾患が全身性に至ることを防止し得る診断的、予後的および治療的なアプローチに向けられたものである。本発明は、転移の治療のための薬物を設計および試験するための方法のさらなる理解を提供する。転移は最終的に乳癌による苦痛および死の多くに関与する。本発明は、それらの特異的な阻害のための治療薬を作り出すために転移性乳癌細胞を同定する標的分子および機能的マーカーを同定するというニーズに向けられたものである。
コンビナトリアル抗体ライブラリーは、抗体ファージディスプレイ技術およびサブトラクトパンニングおよびスクリーニング手法を用いて単離され得る。例えば、新生物腫瘍、充実性腫瘤、乳癌、血液悪性疾患、白血病、結腸直腸癌、子宮癌、子宮平滑筋腫、卵巣癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、前立腺癌、前立腺肥大、下垂体癌、腺筋症、腺癌、髄膜腫、黒色腫、骨の癌、多発性骨髄腫、CNS癌、神経膠腫、または星状芽細胞腫などの転移性腫瘍細胞のヒト腫瘍細胞モデルが作製されている。
乳癌は、非常に異質性であることが知られている。本発明は、接着レセプターであるインテグリンαvβ3の、その恒常的に活性の機能的形態での発現に基づいて、ヒト乳癌細胞のサブセットが同定され得ることを立証した。この活性化インテグリンは、脈管構造中で、血小板結合および腫瘍細胞捕捉を促進する。このような方法で、インテグリンαvβ3の活性化は、標的器官の播種およびコロニー形成がうまく行われるために大切である可能性のある、重要な特性を転移細胞に与える。ヒト乳癌細胞株における強転移性改変体に対する弱転移性改変体のサブトラクトパンニングによる抗体ファージディスプレイ技術を用いて、多数の癌患者の組み合わせられた免疫レパートリーを探索した。このアプローチにより、腫瘍細胞接着レセプターであるインテグリンαvβ3の活性化された機能的構造を特異的に認識する単鎖Fv(scFv)抗体が得られた。この抗体は本明細書中で記載される乳癌細胞モデルの転移性改変体、およびステージIVの乳癌患者血液サンプル由来の単離された転移細胞と選択的に反応する。これらの抗体は、免疫欠損マウスにおいて、ヒト乳癌細胞による肺のコロニー化を阻害する。
研究によって、転移性乳癌細胞の診断用マーカーとして、インテグリンαvβ3の活性化形態を報告する、ヒト単鎖Fv(scFv)抗体の能力が調べられる。scFv抗体およびそれらの誘導体は転移性乳癌細胞を特異的に検出し、転移性疾患の局在性を報告するために有用である。
研究によって、転移性乳癌の予後マーカーとして、インテグリンαvβ3の活性化形態を報告する、ヒト単鎖Fv(scFv)抗体の能力が調べられる。scFv抗体およびそれらの誘導体は転移傾向を有する乳癌細胞を特異的に検出するために有用である。
研究によって、恒常的活性化インテグリンαvβ3に対するヒトscFv抗体およびそれらの誘導体の、乳癌転移に対する効果が分析される。活性化形態のインテグリンαvβ3を発現する細胞を標的として阻害することは、乳癌転移の防止および確立された転移性疾患の妨害のために有用である。
本明細書に引用された全ての刊行物および特許出願は、あらゆる目的のため、あたかも各刊行物または特許出願が、具体的かつ個別に、あらゆる目的のために参考として援用されることが示されたかのように、本明細書中でその全体を参考として援用される。
上述の発明は、理解を明確にする目的の説明および例示によってある程度詳細に記述されているが、添付の特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなくある種の変更および改変がなされ得るということは、本発明の教示に照らして、当業者にとって容易に明らかであることが、理解されるであろう。
図1A、1B、1C:患者由来のscFv Bc−12およびBc−15は、陽イオンおよび活性化に依存する様式で、腫瘍細胞インテグリンαvβ3を認識する。1mM Ca2+、1mM Mg2+、または0.2mM Mn2+存在下および非存在下でのTBS中でのフローサイトメトリー分析が示される。抗フラッグM2 マウスmAbに続いてFITC−抗マウスF(ab’)とのインキュベーション後に検出される可溶性scFvの結合。(A)scFvのヒト黒色腫細胞(M21:αvβ3プラス他のαvインテグリン)(M21−LIIb:αIIbβ3を含む、αvインテグリンを含まない)または肺腺癌細胞(UCLA−P3:αvインテグリンを含む、β3インテグリンを含まない)に対する結合。(B)scFvのM21黒色腫細胞に対する結合。(C)scFvの非活性化形態(β3WT、親Co)または活性化形態(乳癌患者血液から単離されたβ3D723R、骨、肺、およびBMS転移性癌細胞)のいずれかの状態にあるαvβ3を欠損する(β3)または発現するMDA−MB435ヒト乳癌細胞の改変体に対する結合。これらの各細胞型について、Bc−12およびBc−15のための複数の独立した実験において同様の結果が得られた。 図2A、2B、2C、2D:scFv DNA配列分析の解釈。(A)Bc−12(配列番号2)およびBc−15(配列番号4)(活性化αvβ3に特異的)のコンセンサスアミノ酸配列(配列番号7)をBc−20(αvに特異的)(配列番号8)と比較した。 図2A、2B、2C、2D:scFv DNA配列分析の解釈。(B)scFvのBMSヒト乳癌細胞への結合のフローサイトメトリーによる結果は、CDR−H3 RGDがRGEに変異した場合(Mut−12およびMut−15)にBc−12およびBc−15との結合が失われることを示している。Mut−15のシグナルは陰性コントロールに相当する。 図2A、2B、2C、2D:scFv DNA配列分析の解釈。(C)scFv Bc−12(配列番号1)およびscFv Bc−15(配列番号3)に対するcDNA配列。scFv Bc−12をコードするcDNAは、ATCC受託番号PTA−6303、寄託日:2004年11月12日を有する。scFv Bc−15をコードするcDNAは、ATCC受託番号PTA−6304、寄託日:2004年11月12日を有する。 図2A、2B、2C、2D:scFv DNA配列分析の解釈。(D)scFv Mut−12(配列番号5)およびscFv Mut−15(配列番号6)に対するcDNA配列。scFv Mut−12は、RGEを含むscFv Bc−12の変異体バージョンである。scFv Mut−15は、RGEを含むscFv Bc−15の変異体バージョンである。 図3A、3B、3C、3D、3E:scFv Bc−12およびBc−15は、αvβ3が仲介する接着性乳癌細胞機能を阻害する。(A)3μMのBc−12、Bc−15またはそれらのRGE変異体であるMut−12、Mut−15が存在する場合と非存在の場合(200μM GRGDSPKペプチドの場合と比較)における、BMSヒト乳癌細胞と、フィブリノゲン(Fg)、ビトロネクチン(VN)またはタイプIコラーゲン(Col I)との接着。タンパク質コーティング濃度:10μg/ml(VN、Col I)または20μg/ml(Fg)。接着時間:37℃にて30分間。(B)走触性BMS細胞のフィブリノゲン基質への移動に対するscFvの効果(2μM Bc−12、Bc−15またはそれらのRGE変異体であるMut−12またはMut−15を含む場合と含まない場合(200μM GRGDSPKペプチドの場合と比較)において、トランスウェルチャンバー中で37℃にて16時間)。(C)血流中での乳癌細胞の捕捉に対するscFvの影響。(ヒドロエチジンで標識された転移性BMS細胞をヒト血液中(50nM PPACKを用いて抗凝固処理されている)に懸濁し、コラーゲンIマトリックス上で静脈壁剪断速度50s−1にて潅流させた。これらの条件のもと、乳癌細胞は、αvβ3が仲介する結合により、接着性であって血栓を形成する血小板を捕捉する。腫瘍細胞の接着は、血流中の30の所定の位置における画像の取得により定量化した。左:同一のx、y位置における血小板シグナル(血栓、緑色蛍光)および腫瘍細胞シグナル(赤色蛍光)の代表的イメージ。右:3μMの非機能性ブロッキング 抗αv scFv Bc−20または機能性ブロッキング 抗αvβ3 scFv Bc−12またはBc−15の存在下で捕捉された腫瘍細胞の数。(D)scFvBc−15はヒト乳癌細胞に内在化され、細胞増殖を減少させる。左:4℃(結合)対37℃(内在化を可能にする)にてFITC−Bc−15と4時間インキュベートしたBMS細胞の共焦点像。右:2μMのRGE含有scFv Mut−15またはRGD含有Bc−15の存在下での播種後4日目のBMS細胞培養の位相差画像。 図3A、3B、3C、3D、3E:scFv Bc−12およびBc−15は、αvβ3が仲介する接着性乳癌細胞機能を阻害する。(E)3.7μM scFvまたはアポトーシス誘導コントロールとしての14.36μM カンプトテシンの存在下または非存在下における極少接着性プレート中でのマトリックスを除去したBMS乳癌細胞の生存度に対するscFv Bc−12の効果。アポトーシスの測定は20時間後の細胞質のヒストンと結合するDNA断片に基づいた。 図4:活性化αvβ3に対する患者由来リガンド模倣物scFv Bc−12およびBc−15は、ヒト血漿中の乳癌細胞に内在化して結合し、乳癌の残存に影響する。患者血液サンプルから単離されたヒト転移乳癌細胞(BMS)を用いたフローサイトメトリー分析。全ての結合および洗浄工程は、50nM PPACKを用いて抗凝固した血液から調製した新鮮なヒト血漿中で行なった。 図5A、5B、5C:ScFv Bc−12およびScFv Bc−15は血行性乳癌転移を抑制する。(A)左:1×10個のBMSヒト乳癌細胞を静脈内注射して32日後のメスSCIDマウスの肺。マウスは、1日目、2日目、3日目および4日目に50μgのBc−12またはBc−15を含む100μlのPBSを用いて処理した(静脈内)。コントロールにはPBSのみ与えた。右:各動物の肺表面への転移の数。水平の線は群あたりの転移の平均数を示す。ScFv処理されたマウスは有意に少ない転移を有した(P<0.001、Kruskal Wallis試験による)。(B)左:ヘマトキシリン/エオシンで染色したマウス肺上部の組織学的切片。各肺について140μm毎に分離した3つの連続する切片6セットについて転移を計数した。右:各肺の切片において計数された転移の数。水平の線は動物群あたりの転移の平均数を示す。ScFv処理されたマウスは有意に少ない検出可能な転移を有した(P<0.005、Kruskal Wallis試験による)。 図5A、5B、5C:ScFv Bc−12およびScFv Bc−15は血行性乳癌転移を抑制する。(C)肺に確立された乳癌転移に対するBc−15処置の効果。メスSCIDマウスに、構成的に活性化したインテグリンαvβ3D723Rを発現する5×10個のDsRed2標識MDA−MB435乳癌細胞を静脈内注射した。マウスは、7日目、9日目、11日目および14日目、16日目、18日目にscFv Bc−15またはそのRGE変異体Mut−15の静脈内注射により処理した(40μg/用量)。19日目に蛍光顕微鏡により転移性病巣を計数した。左:Mut−15(上)またはBc−15処理されたマウス(下)の肺組織内の代表的な腫瘍病巣画像(バー:50μm)。右:各動物の肺組織内における転移病巣の数(水平の線:群あたりの転移の平均数)。Bc−15処理されたマウスはMut−15処理されたマウスよりも有意に少ない転移を有した(P<0.001、Mann−Whitney両側順位和検定試験による)。 図6:MDA−MB 435乳癌細胞モデルの親細胞および腫瘍細胞改変体におけるαvβ3インテグリンレセプターの発現。 図7:scFv Bc−12およびBc−15は、転移乳癌細胞において見られるβ3の機能獲得変異体を発現する腫瘍細胞と反応する。フィブリノゲン指向性の移動およびHMV−1ヒト黒色腫細胞改変体のフローサイトメトリー分析。 図8:scFv Bc−12およびBc−15は、血流中において血小板が仲介する乳癌細胞の捕捉を抑制する。

Claims (99)

  1. 類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する、抗体。
  2. 配列番号2を含む、請求項1に記載の抗体。
  3. 配列番号4を含む、請求項1に記載の抗体。
  4. 相補性決定領域(CDR)中にR−G−D配列を含む、請求項1に記載の抗体。
  5. 前記相補性決定領域がCDR−H3である、請求項4に記載の抗体。
  6. 前記転移細胞が、***、脳、肺、肝臓、または骨から選択される組織を標的とする、請求項1に記載の抗体。
  7. 請求項1に記載の抗体を含有する、薬学的組成物。
  8. 活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合し、非活性化αvβ3インテグリンレセプターには結合しない、抗体。
  9. 前記活性化αvβ3インテグリンレセプターが類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される、請求項8に記載の抗体。
  10. 類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合するリガンド模倣物を含む、抗体。
  11. 類似の非転移細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体を哺乳動物に投与する工程を包含する、哺乳動物の病状を処置するための方法。
  12. 前記病状が、腫瘍性疾患、充実性腫瘤、血液悪性疾患、白血病、結腸直腸癌、良性または悪性の乳癌、子宮癌、子宮平滑筋腫、卵巣癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、前立腺癌、前立腺肥大、下垂体癌、腺筋症、腺癌、髄膜腫、黒色腫、骨肉腫、多発性骨髄腫、CNS癌、神経膠腫、または星状芽細胞腫である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記腫瘍性疾患が前記哺乳動物における腫瘍細胞の転移である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記病状が前記哺乳動物における乳癌の転移である、請求項13に記載の方法。
  15. 配列番号2または配列番号4を含む抗体を哺乳動物に投与する工程を包含する、哺乳動物の病状を処置するための方法。
  16. 前記病状が、腫瘍性疾患、充実性腫瘤、血液悪性疾患、白血病、結腸直腸癌、乳癌、子宮癌、子宮平滑筋腫、卵巣癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、前立腺癌、前立腺肥大、下垂体癌、腺筋症、腺癌、髄膜腫、黒色腫、骨肉腫、多発性骨髄腫、CNS癌、神経膠腫、または星状芽細胞腫である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記腫瘍性疾患が前記哺乳動物における腫瘍細胞の転移である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記病状が前記哺乳動物における乳癌の転移である、請求項16に記載の方法。
  19. 標的組織への転移性ホーミング傾向を有する腫瘍細胞改変体を含む、細胞株。
  20. 前記腫瘍細胞改変体が、充実性腫瘤、血液悪性疾患、白血病、結腸直腸癌、乳癌、子宮癌、子宮平滑筋腫、卵巣癌、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、子宮内膜ポリープ、前立腺癌、前立腺肥大、下垂体癌、腺筋症、腺癌、髄膜腫、黒色腫、骨肉腫、多発性骨髄腫、CNS癌、神経膠腫、または星状芽細胞腫に由来する、請求項19に記載の細胞株。
  21. 前記標的組織が脳、肝臓、肺または骨から選択される、請求項19に記載の細胞株。
  22. 腫瘍細胞標的に対して親和性を有する抗体ファージ群の作製方法であって、以下:
    癌患者のコホートから得た血中リンパ球cDNAライブラリー由来のファージライブラリーを提供する工程;
    非転移性表現型を発現する細胞株にて該ファージライブラリーをサブトラクトする工程;
    該非転移性表現型を発現する細胞株とは結合しない第1の抗体ファージ群を選択する工程;
    転移性表現型を発現する細胞株にて該第1の抗体ファージ群をパンニングする工程;
    該転移性表現型を発現する細胞株に結合する第2の抗体ファージ群を選択する工程;
    該転移性表現型を発現する細胞株に結合し、かつ、前記腫瘍細胞標的に結合する抗体ファージクローンを精製する工程;
    を包含する、方法。
  23. 前記転移性表現型を発現する細胞株が活性化細胞表面レセプターを発現する細胞株である、請求項22に記載の方法。
  24. 前記活性化細胞表面レセプターが活性化インテグリンレセプターである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記活性化インテグリンレセプターがαvβ3インテグリンレセプターである、請求項24に記載の方法。
  26. 前記転移性表現型を発現する細胞株が、標的組織に対して転移性ホーミング傾向を有する腫瘍細胞改変体である、請求項22に記載の方法。
  27. 前記標的組織が、脳、肝臓、肺または骨から選択される、請求項26に記載の方法。
  28. 請求項22に記載の方法であって、さらに以下:
    前記抗体ファージクローンを(a)細胞表面上に活性化インテグリンレセプターを発現する腫瘍細胞への結合;および(b)細胞表面上に非活性化インテグリンレセプターを発現する腫瘍細胞への結合の低下について試験する工程
    を包含する、方法。
  29. 前記腫瘍細胞標的が転移細胞である、請求項22に記載の方法。
  30. 前記転移細胞が転移性の乳癌細胞である、請求項29に記載の方法。
  31. 請求項24に記載の方法であって、Ca++、Mg++またはMn++から選択される陽イオン存在下で増加する活性化インテグリンレセプターを発現する前記細胞株に対する前記抗体ファージ群の結合効率を測定する工程をさらに包含する、方法。
  32. 前記抗体ファージ群が単鎖(scFv)抗体ファージ群である、請求項22に記載の方法。
  33. 癌治療薬を用いた処置による哺乳動物における腫瘍細胞を検出する方法であって、以下:
    活性化インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体組成物に検出可能なマーカーを連結させる工程;
    該検出可能なマーカー−抗体組成物複合体を哺乳動物または哺乳動物組織へ接触させる工程;
    該検出マーカー−抗体組成物複合体と該哺乳動物組織中の該腫瘍細胞との結合を検出する工程、
    を包含する、方法。
  34. 前記腫瘍細胞が転移性腫瘍細胞である、請求項33に記載の方法。
  35. 転移細胞上の細胞表面レセプターに対する抗体の血漿中濃度が少なくとも4ヶ月間検出可能レベルを超えて維持されるように該抗細胞表面レセプター抗体を哺乳動物に投与する工程を包含する、哺乳動物における抗原への免疫応答を誘導または増強するための方法。
  36. 前記細胞表面レセプターが活性化インテグリンレセプターである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記活性化インテグリンレセプターがαvβ3インテグリンレセプターである、請求項36に記載の方法。
  38. 前記抗細胞表面レセプター抗体が、その血漿中濃度が少なくとも4ヶ月間検出可能レベルを超えて維持されるように複数回投与される、請求項35に記載の方法。
  39. 前記抗細胞表面レセプター抗体が、前記哺乳動物における前記抗インテグリンレセプター抗体の血漿中濃度を少なくとも4ヶ月間、少なくとも2μg/mlとするような量および間隔で投与される、請求項35に記載の方法。
  40. 前記抗細胞表面レセプター抗体が、前記哺乳動物における前記抗細胞表面レセプター抗体の血漿中濃度を少なくとも4ヶ月間、少なくとも5μg/mlとするような量および間隔で投与される、請求項35に記載の方法。
  41. 前記抗細胞表面レセプター抗体が、前記哺乳動物における前記抗細胞表面レセプター抗体の血漿中濃度を少なくとも4ヶ月間、少なくとも10μg/mlとするような量および間隔で投与される、請求項35に記載の方法。
  42. 前記哺乳動物がヒトである、請求項35に記載の方法。
  43. 活性化インテグリンレセプターに対する前記抗体がヒト抗活性化インテグリンレセプター抗体である、請求項36に記載の方法。
  44. 活性化インテグリンレセプターに対する前記抗体がヒト化抗活性化インテグリンレセプター抗体である、請求項36に記載の方法。
  45. 活性化インテグリンレセプターに対する前記抗体がヒト配列抗活性化インテグリンレセプター抗体である、請求項35に記載の方法。
  46. 哺乳動物の転移性癌疾患を処置するための方法であって、該哺乳動物が前記転移性癌疾患を処置されるように、細胞傷害性物質と結合した転移細胞上の細胞表面レセプターに対する抗体を該哺乳動物へ投与する工程を包含する、方法。
  47. 前記細胞表面レセプターが活性化インテグリンレセプターである、請求項46に記載の方法。
  48. 前記細胞傷害性物質が細胞傷害性薬物である、請求項46に記載の方法。
  49. 前記細胞傷害性物質が放射性同位体である、請求項46に記載の方法。
  50. 哺乳動物組織サンプルにおける転移性腫瘍細胞表面上の活性化細胞表面レセプターを検出する方法であって、以下:
    該哺乳動物組織を固相に固定化された第1のヒト抗体、および溶液中の第2のヒト抗体と接触させる工程であって、前記活性化細胞表面レセプターが該組織サンプル中に存在する場合に、前記第1の抗体および第2の抗体が前記活性化細胞表面レセプターの異なるエピトープに結合する、工程;
    該組織サンプル中の該活性化細胞表面レセプターの存在を示唆する結合である、該第1の抗体および該第2の抗体への該活性化細胞表面レセプターの結合を検出する工程であって、該第1のヒト抗体および第2のヒト抗体が、癌患者のコホートから得られた血中のリンパ球cDNAライブラリー由来のファージライブラリーにより提供される該第1のヒト抗体および該第2のヒト抗体をコードする核酸をサブクローニングすることにより産生される、工程;
    非転移性表現型を発現する細胞株について該ファージライブラリーをサブトラクトする工程;
    該非転移性表現型を発現する細胞株とは結合しない第1の抗体ファージ群を選択する工程;
    転移性表現型を発現する細胞株において前記第1の抗体ファージ群をパンニングする工程;
    該転移性表現型を発現する細胞株に結合する第2の抗体ファージ群を選択する工程;
    該転移性表現型を発現する細胞株に結合し、かつ、腫瘍細胞標的に結合する抗体ファージクローンを精製する工程;
    を包含する、方法。
  51. 前記活性化細胞表面レセプターが活性化インテグリンレセプターである、請求項50に記載の方法。
  52. 前記活性化インテグリンレセプターがαvβ3インテグリンレセプターである、請求項51に記載の方法。
  53. 前記第2の抗体が標識され、前記検出工程が前記活性化細胞表面レセプターへの前記第2の抗体の結合を検出する、請求項50に記載の方法。
  54. 前記組織サンプルは、前記固相に固定化された第1のヒト抗体群および溶液中の第2のヒト抗体群と接触され、該第1の群および該第2の群の構成要素が前記活性化細胞表面レセプターの異なるエピトープに結合する、請求項53に記載の方法。
  55. 前記第2のヒト抗体群が標識されている、請求項54に記載の方法。
  56. 前記第1のヒト抗体および第2のヒト抗体の各々が、前記活性化細胞表面レセプター上のそれらの各エピトープに対し少なくとも10−1の親和性を有する、請求項50に記載の方法。
  57. 前記第1のヒト抗体および第2のヒト抗体の各々が、前記活性化細胞表面レセプターに対し少なくとも1010−1の親和性を有する、請求項50に記載の方法。
  58. 前記第1のヒト抗体および第2のヒト抗体が、前記活性化細胞表面レセプターに対し少なくとも1011−1の親和性を有する、請求項50に記載の方法。
  59. 前記活性化細胞表面レセプターに対する前記第1のヒト抗体および第2のヒト抗体の結合が1時間以内に平衡に達する、請求項50に記載の方法。
  60. 前記第1のヒト抗体および第2のヒト抗体がE.coliにおける組換え構築物の発現により産生される、請求項50に記載の方法。
  61. 前記第1の抗体および第2の抗体の分子の少なくとも90%が前記活性化細胞表面レセプターに免疫反応性である、請求項60に記載の方法。
  62. 病状に関連した転移が起こる傾向を有する細胞を干渉する方法であって、転移の危険性を有することが疑われる患者を、抗体に接触させる工程を包含し、該抗体は、類似で非転移性の細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合し、該抗体がそれに結合した細胞傷害性部分を有する、方法。
  63. 前記抗体組成物が配列番号2を含む、請求項62に記載の方法。
  64. 前記抗体組成物が配列番号4を含む、請求項62に記載の方法。
  65. 前記細胞傷害性部分が化学的毒素である、請求項62に記載の方法。
  66. 前記細胞傷害性部分が生物学的毒素である、請求項62に記載の方法。
  67. 前記細胞傷害性部分が放射性物質である、請求項62に記載の方法。
  68. 前記結合が共有結合である、請求項62に記載の方法。
  69. 前記結合がリガンド相互作用である、請求項62に記載の方法。
  70. 前記結合が物理学的相互作用である、請求項62に記載の方法。
  71. 前記結合が管内への封じ込めを含む、請求項62に記載の方法。
  72. 前記管がリポソームまたは他の血液循環血管である、請求項71に記載の方法。
  73. 病状に関連した転移が起こる傾向を有する細胞を同定する方法であって、転移の危険性を有することが疑われる患者を、類似で非転移性の細胞と比較して転移状態にある細胞上に示差的に産生される活性化αvβ3インテグリンレセプターに特異的に結合する抗体と接触させる工程を包含し、該抗体が該抗体に結合した画像化部分を有する、方法。
  74. 前記画像化部分が、磁気共鳴スペクトロスコピー、×線スペクトロスコピー、または陽電子放射断層法(PET)によって画像化され得る、請求項73に記載の方法。
  75. 前記結合が共有結合である、請求項73に記載の方法。
  76. 前記関連が非共有結合である、請求項73に記載の方法。
  77. 哺乳動物の転移性癌疾患を処置するための方法であって、転移細胞上の細胞表面レセプターに対する抗体を該哺乳動物に投与する工程、および、該転移細胞のプログラム細胞死を誘導する工程を包含する方法であって、このようにして、該哺乳動物が該転移性癌疾患の処置を受ける、方法。
  78. 前記細胞表面レセプターが活性化インテグリンレセプターである、請求項77に記載の方法。
  79. 前記活性化インテグリンレセプターがαvβ3インテグリンレセプターである、請求項78に記載の方法。
  80. 配列番号1に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、単離Bc−12ポリヌクレオチド。
  81. 配列番号1に対して少なくとも90%の配列同一性を有するか、または、Bc−12と生物学的機能を共有するヌクレオチド配列を含む、単離ポリペプチド。
  82. 請求項80に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
  83. 前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、宿主細胞における該ポリヌクレオチドの発現を制御する調節配列と作動可能に連結されている、請求項80に記載のポリヌクレオチドを含む、発現ベクター。
  84. 請求項80に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞、または該細胞の子孫。
  85. 配列番号3に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、単離Bc−15ポリヌクレオチド。
  86. 配列番号3に対して少なくとも90%の配列同一性を有するか、または、Bc−15と生物学的機能を共有するヌクレオチド配列を含む、単離ポリペプチド。
  87. 請求項85に記載のポリヌクレオチドを含む、ベクター。
  88. 前記ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、宿主細胞における該ポリヌクレオチドの発現を制御する調節配列と作動可能に連結されている、請求項85に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  89. 請求項85に記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞、または該細胞の子孫。
  90. 哺乳動物中での試験化合物の抗転移活性を決定するための方法であって、以下:
    標的組織への転移性ホーミング傾向を有する腫瘍細胞改変体を該哺乳動物に投与する工程;
    該試験化合物を該哺乳動物へ投与する工程;
    コントロール哺乳動物中のコントロール化合物の抗転移活性と比較して、該哺乳動物中の該試験化合物の抗転移活性を測定する工程、
    を包含する、方法。
  91. 前記哺乳動物の前記標的組織における転移性病巣を測定する工程をさらに包含する請求項90に記載の方法であって、コントロール化合物に応答するコントロール動物の転移性病巣に対する前記試験化合物に応答する該哺乳動物の転移性病巣の縮小が該試験化合物の抗転移活性を示す、方法。
  92. 前記腫瘍細胞改変体および前記試験化合物が前記哺乳動物の末梢血循環へ投与される、請求項90に記載の方法。
  93. 前記腫瘍細胞改変体および前記試験化合物が前記哺乳動物の乳腺脂肪パッドへと同所的に投与される、請求項90に記載の方法。
  94. 前記哺乳動物が非ヒト哺乳動物である、請求項90に記載の方法。
  95. 前記哺乳動物が、げっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、または非ヒト霊長類である、請求項94に記載の方法。
  96. 前記哺乳動物がマウスである、請求項94に記載の方法。
  97. 前記哺乳動物が免疫欠損マウスである、請求項94に記載の方法。
  98. 前記腫瘍細胞改変体が、BCM−1、BCM−2またはBMSである、請求項90に記載の方法。
  99. 前記試験化合物が、抗体、単鎖Fv抗体、低分子、アンチセンスオリゴヌクレオチド、二本鎖RNA分子、短鎖干渉RNA(siRNA)または短鎖ヘアピンRNA(shRNA)である、請求項90に記載の方法。
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