JP2007333467A - 慣性センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】1つの慣性センサにおいて、1軸の角速度および検出方向の加速度と同時に励振方向の加速度を検出する。
【解決手段】励振方向加速度検出部8を互いに逆位相で励振方向に振動している物体、例えば、左右の質量部3に弾性体25を介して配置する。これにより、励振方向に加速度が印加された場合、普段同振幅かつ逆位相で振動している左右の質量部3は、同位相の変位量を有することになり、その同位相の変位量を静電容量の変化として、励振方向加速度検出部8により検出することで、励振方向の加速度を検出することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、慣性センサ技術に関し、特に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により製造されるMEMS慣性センサに適用して有効な技術に関するものである。
従来の慣性センサの一例を図13に示す。この慣性センサでは、質量部500が梁501を介して支持部502で基板に固定されている。左右の質量部500は、励振部503によりX軸方向に逆位相で振動し、Y軸回りの角速度またはZ方向(検出方向)の加速度が印加されたとき、Z軸方向に変位する。このZ軸方向の変位量を、印加された角速度または加速度として検出部504で検出する。
この種の慣性センサの励振部503は、その固定電極部と可動電極部とが櫛歯が噛み合う形で配置された容量素子から構成され、固定電極部と可動電極部との間に直流のバイアス電圧と共に適切な位相差をもつ交流の励振信号を印加することによって、固定電極部と可動電極部との間に静電引力を交互に発生し、左右の質量部500を互いに逆位相で振動させるものである。
また、検出部504は、前記質量部500を可動電極とし、その可動電極部と対向するように前記基板側に固定電極を配置し、質量部500のZ方向への変位量を静電容量の変化として検出することにより、角速度または加速度に応じた検出信号を出力するものである。
ここで、左右の質量部500は互いに逆位相で振動しているため、Y軸回りの角速度が印加されたときには、コリオリ力によるZ軸方向への変位量も逆位相になる。しかし、Z軸方向の加速度が印加された場合には、X軸方向の振動とは関係なく同位相でZ軸方向に変位する。従って、二つの質量部から検出された夫々の容量変化信号を足し算することで印加された加速度が測定可能となる。また、夫々の容量変化信号を引き算することで加速度成分を除去することができ、印加された角速度を測定することができる。
例えば特開2004−4119号公報(特許文献1)の明細書に基づき既に公知の角速度センサは、基板上に配置した一対の質量部を互いに逆位相で振動させることにより、2つの質量部から夫々検出されたヨーレートの差動を検出する際、精度良く加速度成分が除去できる構成としている。
また、例えば特許第3512004号(特許文献2)に基づき既に公知の力学量検出装置は、基板上に配置した一対の質量部を互いに逆位相で振動(音叉振動)させることにより、2つの質量部から夫々検出された信号の位相の違いを比較することで、印加された角速度と検出方向に働く加速度が分離できる構成としている。
また、例えば特表2004−518969号公報(特許文献3)に記載された角速度センサは、励振素子、コリオリ素子、検出素子の三つの素子で構成され、励振素子は励振方向には柔らかく、検出方向には硬い梁で支持され、励振方向には動き易く、検出方向には動き難い構造になっている。
特開2004−4119号公報 特許第3512004号 特表2004−518969号公報
ところで、本発明者が検討した、慣性センサでは、いずれも検出方向においては角速度と同時に検出方向の加速度も測定または区別することができるものの、同時に励振方向の加速度を測定できるものはない。
そのため、角速度と共に励振方向の加速度を測定する必要がある場合には、角速度センサとは別途、加速度センサを併用する必要がある。すると、角速度センサと加速度センサを基板上に形成する必要があるので、慣性センサの小型化を達成できない問題点がある。
また、励振方向に印加される加速度は梁の線形性を悪化させるなど、慣性センサの性能にも悪影響を及ぼす問題点がある。すなわち、励振方向の加速度を同時に検出することができないため、励振方向の加速度による質量部の偏りなどによる変位誤差を補正することができない。このため、安定した励振方向の振動を維持することが困難となり、角速度の検出精度が劣化する問題点がある。
そこで、本発明の目的は、角速度と、角速度を検出する検出方向の加速度は勿論、励振方向の加速度も同時に測定できる技術を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明による慣性センサは、(a)主面を有する基板と、(b)前記基板の主面上の第1方向に沿って配置された第1センサユニットおよび第2センサユニットを備え、前記第1センサユニットおよび前記第2センサユニットのそれぞれは、(b1)前記第1方向である励振方向に振動する励振素子と、(b2)前記励振素子を前記励振方向に振動させる励振部とを有し、前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子とは逆位相で振動し、(c)さらに、前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子に弾性体を介して接続され、前記励振方向の加速度を検出する励振方向加速度検出部を備えることを特徴とする。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、慣性センサにおいて、逆位相で振動している複数の質量部(励振素子)の間に弾性体を介して接続された励振方向加速度検出部を設け、複数の質量部における同位相の変位量から励振方向の加速度が検出できる。このため、角速度とその角速度を検出する検出方向の加速度とともに、角速度を測るための基本振動を引き起こす励振方向の加速度も同時に測定することができる。
また、励振方向の加速度を測定または識別することができるので、その加速度により生じる質量部の偏りなどによる変位誤差を補正することができ、外乱に強く、いつも安定した励振振動を維持させることができるため、角速度の検出精度を向上させることができる。
以下の実施の形態においては、複数の実施の形態に分けて説明するが、特に明示した場合を除き、それらは互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合や原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、数値および範囲についても同様である。また、本実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは同一の符号を付すようにし、その繰り返しの説明は可能な限り省略するようにしている。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態1の慣性センサは、加速度、角速度(ジャイロ)等のような物体の慣性により現れる物理量を測定するセンサである。本実施の形態1では、角速度と加速度(検出方向の加速度および励振方向の加速度)とを同時に測定可能な慣性センサを例に挙げて説明する。
まず、慣性センサの基本原理について説明する。ある第1方向(励振方向)に振動する重さmの質量部(励振素子)に励振方向(励振軸)と直交する軸の周りに角速度Ωが印加されたとき、下記の数式1に示すコリオリ力が、励振軸と角速度が印加された軸とに直交する検出方向(検出軸)に発生する。慣性センサは、このコリオリ力により質量部が検出方向に変位する原理を用いて角速度Ωを検出する。すなわち、角速度が大きくなるとコリオリ力が大きくなり、このコリオリ力の大きさに対応して検出方向に変位する量が異なる。したがって、検出方向の変位量を検出することによって角速度を測定することができる。コリオリ力による質量部の変位量を数式3に示す。また、検出方向の加速度が印加された場合の質量部の変位量を数式4に示す。質量部の変位量を、例えば静電容量変化が検出できる容量素子からなる検出部を用いて、印加された加速度と角速度の値として出力することができる。
Fc=2mΩv・・・数式1
但し、Fcはコリオリ力、mは質量部の質量、Ωは角速度、vは質量部の励振方向への速度である。ここで、速度vは、励振方向の変位量yの一階微分であり、数式2として定義されている。
v=y′=Awcos(wt)・・・数式2
但し、yは励振方向の変位量、Aは励振方向の振幅の最大値、wは励振方向の角振動数である。
x=Qs(Fc/ksense)・・・数式3
但し、xはコリオリ力による質量部の検出方向への変位量、Qsは検出方向への品質係数、ksenseは検出方向のバネ定数である。
x=A(ma/ksense)・・・数式4
但し、xは印加された加速度による質量部の検出方向への変位量、aは加速度、Aは空気などの減衰による影響を含む定数である。
まず、角速度Ωの検出方法を上述した数式1〜数式3により説明する。数式1よりコリオリ力Fcは、質量部の質量mと角速度Ωと励振方向の速度vによって規定されていることがわかる。したがって、角速度Ωは、コリオリ力Fc、質量部の質量mおよび励振方向の速度vがわかれば検出することができる。ここで、質量部の質量mは既知である。そして、励振方向の速度vは、数式2で示すように、励振方向の変位量yの一階微分であり、励振方向の振動は既知の基準振動であるので、励振方向の速度vもわかることになる。次に、コリオリ力Fcであるが、このコリオリ力Fcは、数式3の関係を満たしている。数式3のうち、検出方向への品質係数Qsおよび検出方向のバネ定数は定数であるので、検出方向の変位量xがわかればコリオリ力Fcを求めることができる。このことから、検出方向の変位量xを測定できれば、数式3よりコリオリ力Fcがわかり、コリオリ力Fcがわかれば数式1より角速度Ωがわかることになる。つまり、検出方向の変位量xを測定することによって、角速度Ωを求めることができる。検出方向の変位量xを測定するには、例えば、櫛歯状に配置された容量素子を用い、容量素子を形成する電極間距離を検出方向の変位量xの変化に対応させて変化するように構成することにより、検出方向の変位量xを容量素子の静電容量の変化として求めることができる。このようにして角速度Ωを測定することができる。
次に、検出方向の加速度を検出する方法について数式4を用いて説明する。数式4に示すように、印加された加速度aによる質量部の検出方向への変位量xは、検出方向の加速度aと比例関係にあることがわかる。したがって、検出方向への変位量xを測定すれば検出方向の加速度を検出することができる。検出方向への変位量xは上述したように容量素子の静電容量変化から求めることができる。
続いて、励振方向の加速度を検出する方法であるが、この方法は、検出方向の加速度を検出する方法と同様にして求めることができる。すなわち、励振方向の変位量と励振方向の加速度とは比例関係があるので、励振方向の変位量を測定することにより、励振方向の加速度を求めることができる。励振方向の変位量も上述したように容量素子の静電容量変化から求めることができる。
以上のことから、角速度、検出方向の加速度および励振方向の加速度をそれぞれ原理的に求めることができることがわかる。本実施の形態1では、上述した角速度、検出方向の加速度および励振方向の加速度を同時に求めることができる慣性センサについて説明する。つまり、本発明の特徴の1つは、慣性センサにおいて、角速度、検出方向の加速度および励振方向の加速度を同時に求めることができることにある。
図1は、本実施の形態1における慣性センサの構成を模式的に示す図である。図1を用いて、本実施の形態1における慣性センサを簡単に説明する。図1に示すように、基板2上には、支持部26が設けられている。そして、支持部26間には、Y軸方向(第1方向)に沿って2つの質量部(励振素子)3が設けられており、それぞれの質量部3の一方側は、弾性体25を介して支持部26に接続されている。左右の2つの質量部3のそれぞれを含むようにセンサユニットが形成されている。例えば、左側の質量部3を含むセンサユニットを第1センサユニットと呼び、右側の質量部3を含むセンサユニットを第2センサユニットと呼ぶ。この第1センサユニットおよび第2センサユニットのそれぞれには、質量部3を励振方向に振動させる励振部(図示せず)が設けられている。この励振部は、例えば容量素子による静電引力を利用して質量部3を励振方向に振動させる構造をしている。また、それぞれの質量部3の間には、弾性体25を介して励振方向加速度検出部8が設けられている。すなわち、第1センサユニットと第2センサユニットの間には、励振方向加速度検出部8が形成されている。励振方向加速度検出部8には、可動電極8bが形成されている。この可動電極8bは、固定部8cに設けられた固定電極8aと容量素子を形成している。すなわち、可動電極8bと固定電極8aが櫛歯状に配置されて容量素子を形成している。このように構成された本実施の形態1における慣性センサにおいて、質量部3は、励振方向(Y軸方向)に振動することができるようになっている。同様に、励振方向加速度検出部8も励振方向(Y軸方向)に振動できるようになっている。さらに、図1には図示しないが、質量部3の内部には、コリオリ素子が形成されており、このコリオリ素子は、励振方向(Y軸方向)および検出方向(X軸方向)に変位できるようになっている。そして、コリオリ素子の検出方向の変位量を検出する検出部も形成されている。この検出部も櫛歯状に配置された容量素子から形成されている。
本実施の形態1における慣性センサは上記のように構成されており、以下にその動作について説明する。まず、本発明の特徴の1つである励振方向の加速度を検出する動作について説明する。
まず、左右の質量部3は、互いに逆位相で励振方向(Y軸方向)に振動している。左右の質量部3が互いに逆位相で励振方向(Y軸方向)に振動しているので、左右の質量部3の間に弾性体25を介して接続されている励振方向加速度検出部8では、励振方向(Y軸方向)の加速度が印加されていない場合、左右の質量部3の変位量が打ち消される。このため、励振方向加速度検出部8は停止状態を保持する。なお、左右の質量部3の変位量にばらつきがある場合には、その差分だけ励振方向加速度検出部8は振動することになるが、常に一定量であるため、補正して停止させることが可能である。励振方向加速度検出部8は、停止状態を保持するため、可動電極8bと固定電極8aとの距離は変化せず、容量素子の静電容量の変化はない。したがって、励振方向の変位量はゼロとなり励振方向の加速度はゼロとして検出される。
続いて、励振方向(Y軸方向)に加速度が印加されると、左右の質量部3は同じ方向に変位する。つまり、左右の質量部3は同位相で変位する。この変位量は、質量部3に同位相で印加された加速度の大きさに比例した量となる。このときの変位量は互いに同位相であるので、励振方向加速度検出部8においても打ち消されず、励振方向加速度検出部8の可動電極8bが変位する。したがって、可動電極8bと固定電極8aとの間の距離が変化することになる。このため、可動電極8bと固定電極8aからなる容量素子の静電容量が変化する。この容量素子の静電容量の変化を測定することで、励振方向加速度検出部8の変位量を求めることができるので、最終的に励振方向に印加された加速度を求めることができる。
このように本実施の形態1の特徴の1つは、互いに逆位相で励振方向(Y軸方向)に振動している質量部3に弾性体25を介して励振方向加速度検出部8を設けたことにある。つまり、逆位相で振動している質量部3に励振方向加速度検出部8を接続することにより、励振方向(Y軸方向)に加速度が印加されていない場合には、励振方向加速度検出部8はせず、励振方向(Y軸方向)に加速度が印加されている場合には、励振方向加速度検出部8が変位することを利用している。これにより、逆位相で励振方向(Y軸方向)に振動している質量部3を有する慣性センサにおいて、励振方向(Y軸方向)の加速度を検出することができるのである。
次に、本実施の形態1における慣性センサで角速度を検出する動作について説明する。まず、左右のコリオリ素子は、互いに逆位相で励振方向に振動している。この状態で励振方向(Y軸方向)と検出方向(X軸方向)との垂直な方向に中心軸をもつ回転をさせたとする。すると、左右のコリオリ素子は、コリオリ力によって検出方向(X軸方向)に変位する。この検出方向(X軸方向)の変位量は角速度の大きさに依存している。この検出方向(X軸方向)の変位量を、例えば、櫛歯状の容量素子から形成される検出部で静電容量の変化として検出することにより、角速度を検出することができる。
続いて、本実施の形態1における慣性センサで検出方向(X軸方向)の加速度を検出する動作について説明する。検出方向(X軸方向)に加速度が印加されると、左右のコリオリ素子が検出方向(X軸方向)に変位する。この変位量を、例えば、櫛歯状の容量素子から形成される検出部で静電容量の変化として検出することにより、検出方向(X軸方向)の加速度を検出することができる。
ここで、励振方向(Y軸方向)と検出方向(X軸方向)との垂直な方向に中心軸をもつ回転運動と、検出方向(X軸方向)の加速度が同時に印加されたとする。すると、回転運動によるコリオリ力によってコリオリ素子は検出方向(X軸方向)に変位するとともに、検出方向の加速度によってもコリオリ素子は、検出方向(X軸方向)に変位する。したがって、検出方向(X軸方向)の変位量を測定しただけでは、回転運動による変位量と検出方向(X軸方向)に印加された加速度による変位量とを分離することができない。つまり、角速度と検出方向(X軸方向)の加速度を求めることができない。そこで、左右の質量部3に接続されているコリオリ素子を励振方向(Y軸方向)に逆位相で振動させているのである。左右のコリオリ素子を励振方向(Y軸方向)に逆位相で振動させた場合、コリオリ力による検出方向(X軸方向)の変位量は左右のコリオリ素子によって逆になる。これに対し、検出方向(X軸方向)に印加された加速度によるコリオリ素子の検出方向(X軸方向)の変位量は同位相になる。この相違を利用して、左右のコリオリ素子の検出方向(X軸方向)の変位量の差分をとると、同位相の変位量は打ち消されコリオリ力による逆位相の変位量だけを抽出することができる。したがって、左右のコリオリ素子の検出方向(X軸方向)の変位量の差分を取ることにより、回転運動における角速度を検出することができる。一方、左右のコリオリ素子の検出方向(X軸方向)の変位量を加算することにより、逆位相の変位量は打ち消され、同位相の変位量だけを抽出することができる。このため、左右のコリオリ素子の検出方向(X軸方向)の変位量を加算することにより、検出方向(X軸方向)の加速度を検出することができる。
以上のようにして、本実施の形態1における慣性センサによれば、一つの慣性センサで角速度、検出方向(X軸方向)の加速度および励振方向(Y軸方向)の加速度を同時に検出することができることがわかる。つまり、逆位相で振動している複数の質量部(励振素子)の間に弾性体を介して接続された励振方向加速度検出部を設け、複数の質量部における同位相の変位量から励振方向の加速度が検出できる。このため、角速度とその角速度を検出する検出方向の加速度とともに、角速度を測るための基本振動を引き起こす励振方向の加速度も同時に測定することができる。したがって、角速度と検出方向(X軸方向)の加速度を測定する慣性センサと励振方向(Y軸方向)の加速度を測定する慣性センサを別々に設ける必要がないので、慣性センサの小型化を図ることができる。
また、励振方向(Y軸方向)の加速度を測定または識別することができるので、その加速度により生じる質量部の偏りなどによる変位誤差を補正することができ、外乱に強く、いつも安定した励振振動を維持させることができるため、角速度の検出精度を向上させることができる。
次に、本実施の形態1における慣性センサの具体的な構成の一例について図面を参照しながら説明する。図2は本実施の形態1における慣性センサの一例を示す平面図、図3は図2のx1−x1線における断面図を示している。なお、図2では図面を見易くするため封止キャップを取り外して示している。また、図2のY軸方向は第1方向を示し、X軸方向は第1方向(Y軸方向)に直交する第2方向を示している。
図3に示すように、慣性センサ1Aを構成する基板2は、厚さ方向に沿って互いに反対側に位置する第1主面(表面)および第2主面(裏面)を有している。基板2の第1主面および第2主面の平面形状は、例えば矩形状に形成されており、その面積は、例えば12mmである。この基板2としては、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板が使用されている。すなわち、基板2は、支持基板2a上に絶縁層2bを介して活性層2cを有する構成とされている。支持基板2aは、例えばシリコン(Si)により形成され、絶縁層2bは、例えば酸化シリコン(SiO)により形成されている。そして、活性層2cは、例えば導電性シリコンにより形成されている。支持基板2aと絶縁層2bとを合わせた膜厚は、例えば数十〜数百μm、活性層2cの厚さは、例えば数〜数十μmである。ただし、基板2はSOI基板に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば表面MEMS技術を用いた導電性ポリシリコン、または、例えばニッケル(Ni)などのめっき金属を活性層2cとして使用してもよい。基板2としては、通常のシリコン単結晶からなる半導体基板を用いることもできる。
この基板2の第1主面の外周には、外周壁Wが形成されている。この外周壁Wは、絶縁層2bとその上に形成されている活性層2cとの積層体で形成されている。そして、この基板2の第1主面の外周壁Wで囲まれた領域には、2つのセンサユニットSUA1とSUA2が形成されている(図2参照)。この2つのセンサユニットSUA1、SUA2は、基板2の第1方向(Y軸方向)に延びる第1軸上に、左右対称に並んで配置されている。本実施の形態1では、この2つのセンサユニットSUA1、SUA2を互いに逆位相で振動させるようになっている。つまり、2つのセンサユニットSUA1、SUA2は、第1方向(Y軸方向)に逆位相で振動している。
それぞれのセンサユニットSUA1、SUA2は、図2に示すように、励振素子(質量部)5と、励振手段(励振部)6と、励振方向振幅モニタ手段7と、励振方向加速度検出部8と、励振方向加速度サーボ手段9と、励振方向共振周波数チューニング手段10を有している。さらに、コリオリ素子11と、検出素子12と、検出手段(検出部)13(13−1〜13−4)と、角速度サーボ手段14と、検出方向加速度サーボ手段15と、検出方向共振周波数チューニング手段16と梁(弾性体)17a〜17gとを有している。
励振素子5は、活性層2cを平面略枠状にパターニングすることにより形成されている。この励振素子5は、その下層の絶縁層2bが除去されて支持基板2aから離れた状態、すなわち、浮いた状態で基板2の第1主面上に配置されている。そして、この励振素子5は、基板2の第1主面に沿って励振方向(第1方向、Y軸方向)のみに変位するように配置されている。この励振素子5は、後述するコリオリ素子11を励振方向(第1方向、Y軸方向)に振動させるために必要なものであるため、励振素子5自体が変形しない程度の剛性でよく、コリオリ力による励振素子5の検出方向(第2方向、X軸方向)への変位量を極力小さくするため、質量が小さくなるよう設計されている。このような励振素子5は、その外周の4隅近傍に一体的に接続された梁17aと、励振素子5をそれぞれの振動エネルギーが互いに漏れこみ、音叉として作用させる目的で設計し、配置した梁17b、17cを介してそれぞれ支持部18aと18bに接続されている。
梁17a、17b、17cは、活性層2cを励振素子5のパターンよりも細くパターニングすることにより形成されており、その下層の絶縁層2bが除去されて励振素子5と同様に浮いた状態で基板2の第1主面上に配置されている。この梁17aと17bは、その平面形状が検出方向(第2方向、X軸方向)には相対的に長く、励振方向(第1方向、Y軸方向)には相対的に短い形状となっており、板バネとしての機能を有している。
ただし、この梁17aと梁17bは、励振方向(第1方向、Y軸方向)には柔らかく、検出方向(第2方向、X軸方向)には励振方向(第1方向、Y軸方向)の剛性に比べて硬い構成とされており、励振素子5が、励振方向(第1方向、Y軸方向)のみに振動するように配置されている。梁17bの一端は励振素子5に接続され、もう一端は梁17cに接続されている。
梁17cは、励振方向(第1方向、Y軸方向)に長い形状で形成され、梁17bが接続されている。この梁17cは、励振素子5が互いに逆位相で振動するとき、梁17bに引っ張られ、検出方向(第2方向、X軸方向)に変位する。すなわち、梁17cは、励振素子5の振動エネルギーが互いに漏れこむ道としての役割をし、その結果、励振素子5は安定して逆位相を保ちながら振動することができる。つまり、安定した音叉振動をすることになる。
支持部18aは、励振素子5の外周の8箇所に設置されている。この支持部18aは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンで形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここで、支持部18aは、懸架物である梁17aおよび励振素子5に電気信号を与える電極としての機能を有している。
支持部18bは、センサユニットSUA1とSUA2の間に配置されている。この支持部18bは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンで形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。このように、センサユニットSUA1の励振素子5とセンサユニットSUA2の励振素子5は、互いに梁17b、17cによって接続されており、この梁17b、17cは基板2に固定されている支持部18bに接続されている。ここで、支持部18bは、本実施の形態1では基板2に固定されているが、原理上基板2から浮いていても本発明の効果を得ることができる。また、励振素子5の振動エネルギーが互いに漏れこむ道としての役割をしている梁17cは、図4に示しているように単純折り返し梁に構成しても本発明の効果を得ることができる。図4に示すように、梁17bおよび梁17cを支持部に固定しなくても本実施の形態1と同様の効果をえることができる。つまり、センサユニットSUA1とセンサユニットSUA2の励振素子5間を接続する梁17bおよび梁17cは、支持部18bを介して基板2に固定されていてもよいし、基板2に固定されていなくてもよい。
次に、各センサユニットSUA1、SUA2の励振手段6は、各センサユニットSUA1、SUA2の励振素子5を励振方向(第1方向、Y軸方向)に沿って互いに逆位相で振動させるための手段であり、励振素子5の励振方向(第1方向、Y軸方向)の両端辺側の4つの角部近傍に配置されている。この励振手段6は、静電式の櫛歯形駆動装置により形成されている。すなわち、励振手段6は、複数の可動電極6aと、複数の固定電極6bとが、噛み合うように検出方向(第2方向、X軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。
励振手段6の固定電極6bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。固定電極6bは、その活性層2cが支持部18cの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18cに接続されて基板2に固定されている。支持部18cは、励振素子5の励振方向(第1方向、Y軸方向)の外周に設置されている。この支持部18cは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18cは、固定電極6bに電気信号を与える電極としての機能を有している。
一方、励振手段6の可動電極6aは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極6aの下層の絶縁層2bは除去されており、基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。また、この可動電極6aは、その活性層2cが励振素子5と一体的に形成され接続されており、励振素子5に接続されて励振素子5と共に変位するようになっている。このような構成の励振手段6は、固定電極6bと可動電極6aとの間に交流の励振信号を直流のバイアス電圧とともに印加することによって、固定電極6bと可動電極6aの間に静電引力を交互に発生し、各センサユニットSUA1、SUA2の励振素子5を励振方向(第1方向、Y軸方向)に互いに逆位相で振動させるようになっている。
図5は、このような励振手段6を駆動させる駆動回路を示している。なお、図5では、励振手段6をコンデンサで示し、支持部18a、18cを配線で示し、本図における等価回路として同一の符号を付す。また、符号Vbiasは、励振手段6に印加する直流のバイアス電圧であり、符号Vdriveは、励振手段6に印加する交流の励振信号である。この交流の励振信号を適切に印加することにより、センサユニットSUA1、SUA2の励振素子5を逆位相で振動させることが可能となっている。
ここで、励振素子5は励振方向(第1方向、Y軸方向)にしか振動しないため、原理的に励振手段6の固定電極6bと可動電極6aとの間隔を励振方向(第1方向、Y軸方向)と検出方向(第2方向、X軸方向)の振動結合がある場合に比べ狭くとることができる。したがって、本実施の形態1における慣性センサ1Aによれば、励振エネルギーの利用効率を高めることができる。
励振方向振幅モニタ手段7は、励振素子5の振動状態(例えば励振方向(第1方向、Y軸方向)の振幅)をモニタするための手段であり、励振素子5の励振方向(第1方向、Y軸方向)と直交する方向(第2方向、X軸方向)の両端辺の中央近傍に配置されている。この励振方向振幅モニタ手段7は、複数の固定電極7aと、複数の可動電極7bとが、噛み合うように励振方向と直交する方向(第2方向、X軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。
励振方向振幅モニタ手段7は、励振素子5の励振方向(第1方向、Y軸方向)における振動振幅を監視する機能を有している。そして、励振方向振幅モニタ手段7の測定結果に基づき励振方向(第1方向、Y軸方向)の振動振幅を一定に保つ役割を有している。すなわち、励振方向振幅モニタ手段7で計測された振幅に基づき、上述した励振手段6による励振素子5の振動を調整したり、後述する励振方向共振周波数チューニング手段10に測定結果をフィードバックすることにより共振のずれを補正することが行なわれる。
励振方向振幅モニタ手段7の固定電極7aは、上記活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この固定電極7aは、支持部18dの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18dに接続されて基板2に固定されている。この支持部18dは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18dは、固定電極7aに電気信号を与える電極としての機能を有している。
一方、励振方向振幅モニタ手段7の可動電極7bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極7bは、その下層の絶縁層2bが除去されて基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。この可動電極7bは、その活性層2cが励振素子5の活性層2cと一体的に形成され接続されており、励振素子5に接続されて固定されている。このような構成の励振方向振幅モニタ手段7は、励振素子5の振動状態を固定電極7aと可動電極7bとの対向面間の静電容量の変化によって検出することによりモニタし、そのモニタ信号を出力するようになっている。
図6は、このような励振方向振幅モニタ手段7で得られたモニタ信号を検出する検出回路を示している。なお、図6では、励振方向振幅モニタ手段7をコンデンサで示し、支持部18a、18dを配線で示し、本図における等価回路として同一の符号を付す。また、符号OPはオペアンプ、符号AmDは振幅検出回路、符号Cは参照容量、符号VbiasはオペアンプOPに印加するバイアス電圧、符号Voutは出力電圧である。
ここで、励振素子5が励振方向(第1方向、Y軸方向)に変位することにより、励振方向振幅モニタ手段7の静電容量がΔCだけ変動したとする。励振方向振幅モニタ手段7にかかる電圧はオペアンプOPにより常にVbiasであるため、静電容量の変化によって電荷ΔQ=ΔC・Vbiasが励振方向振幅モニタ手段7に流れ込む必要がある。この電荷は参照容量Cから流れ出す電荷と等しくなるため、参照容量Cの電圧は(ΔC/C)Vbiasだけ変動する。よって、出力電圧VoutはVout=(1+ΔC/C)Vbiasとなる。この出力結果を、励振素子5を振動させる励振手段6や励振方向共振周波数チューニング手段10にフィードバックすることにより、安定した励振方向の振動を得ることができる。
また、各センサユニットSUA1、SUA2の励振方向振幅モニタ手段7からの信号を演算処理することで、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を検出することもできる。たとえば、各センサユニットSUA1、SUA2の励振方向の+方向に配置されている励振方向振幅モニタ手段7の静電容量変化値の和と−方向に配置されている励振方向振幅モニタ手段7の静電容量変化値の和との差分をとることで、励振素子5の逆相振動による静電容量の変化はキャンセルされ、励振方向に印加された同相振動(加速度)に比例した出力を得ることができる。
しかし、この方法では、励振方向(第1方向、Y軸方向)に並行に固定電極7aと可動電極7bが設置されている櫛歯型電極では、加速度の検出に十分な静電容量の変化を得るために電極の規模を大きくする必要がある。また、励振方向(第1方向、Y軸方向)に垂直に固定電極7aと可動電極7bが設置されている並行平板型電極では、固定電極7aと可動電極7bの間隔を励振素子5の逆相振動の振幅以上にする必要があり、加速度の検出に十分な静電容量の変化を得るためには上記した櫛歯型電極よりは小さいが、規模の大きい電極が必要となる。また、並行平板型の電極は可動電極7bと固定電極7a間の粘性流体(空気)の粘性が励振素子5の逆相の振動を邪魔し、必要とする振幅を得るには、櫛歯型の電極に比べ、高い駆動電圧が必要となる。
次に、励振方向加速度検出部8は、励振方向に印加された加速度を検出するためのものであり、励振素子5と弾性体17dを介して接続され、励振素子5の間に配置されている。この励振方向加速度検出部8は、複数の固定電極8aと、複数の可動電極8bとが、噛み合うように励振方向(第1方向、Y軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。
励振方向加速度検出部8の固定電極8aは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この固定電極8aは、支持部18eの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18eに接続されて基板2に固定されている。この支持部18eは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18eは、固定電極8aに電気信号を与える電極としての機能を有している。
一方、励振方向加速度検出部8の可動電極8bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極8bは、その下層の絶縁層2bは除去されて基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。この可動電極8bは、その活性層2cが励振素子5の活性層2cと励振方向(第1方向、Y軸方向)に柔らかい梁17dを介して接続されている。このような構成の励振方向加速度検出部8は、励振素子5が同じ振幅で逆位相に振動しているときには変位せず、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度の印加により、励振素子5が同位相で振動する時には、その動きに追従し変位する。この振動状態を固定電極8aと可動電極8bとの対向面間の静電容量の変化によって検出し、その検出信号を励振方向の加速度として出力するようになっている。可動電極8bは、可動電極8b自体が変形しない程度の剛性でよく、可動電極8bそのものの慣性力による加速度応答の位相遅延を極力小さくするため、質量が小さくなるよう設計されている。
本実施の形態1における慣性センサ1Aの特徴の1つは、励振方向加速度検出部8を互いに逆位相で励振方向(第1方向、Y軸方向)に振動する励振素子5に梁17dを介して接続したことにある。このように励振方向加速度検出部8を設けることにより、励振素子5を互いに逆位相で振動させながら、励振方向の加速度を検出することができるのである。つまり、励振方向(第1方向、Y軸方向)に加速度が印加されていない場合、励振方向加速度検出部8には、左右の励振素子5から互いに逆位相の振動が加えられるので、互いの振動が打ち消され、励振方向加速度検出部8を構成する容量素子の間隔が変化することはない。このため、励振方向加速度検出部8では、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度は検出されない。一方、励振方向(第1方向、Y軸方向)に加速度が印加されると、左右の励振素子5は同位相で変化する。したがって、左右の励振素子5が同位相で変位するため、左右の励振素子5に接続されている励振方向加速度検出部8も変位する。このため、励振方向加速度検出部8を構成する容量素子の間隔が変わり、容量素子の静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出することにより、励振方向の加速度を検出することができる。このように本実施の形態1によれば、励振方向の加速度によって左右の励振素子5が同位相で変化する点および互いに逆位相で振動している励振素子に接続しても励振方向の加速度が印加されていない場合には、励振方向に同位相の変位量がないことに着目して、励振方向加速度検出部8を設けている点に特徴があることがわかる。
続いて、本実施の形態1における慣性センサに設けた励振方向加速度検出部8のさらなる利点について説明する。励振方向(第1方向、Y軸方向)の変位量と励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度との間には、数式5に示す関係がある。
y=ma/kdrive・・・数式5
但し、yは励振方向(第1方向、Y軸方向)の変位量、aは励振方向(第1方向、Y軸方向)に印加された加速度、kdriveは励振方向(第1方向、Y軸方向)のバネ定数、mは励振素子5と、励振素子5の中に配置されているコリオリ素子11と、励振方向加速度検出部8の可動電極8bの質量の合計である。
さらに、kdriveは数式6で示す関係を満たしている。
kdrive=(Ebh/L)・・・数式6
但し、Eは梁の縦弾性係数、bは梁の厚さ(活性層2cの厚さ)、hは梁の幅、Lは梁の長さを示している。
上述した数式5および数式6から、励振方向(第1方向、Y軸方向)に印加された加速度aを精度良く測定するためには、質量mを大きくし、バネ定数kdriveを小さくする必要がある。
例えば、図7に示しているように、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を測定する目的で、小型の励振方向加速度検出部8を励振素子5に接続せず、支持部18fに梁17dを介して接続し、基板2に固定したとする。この場合、数式5に示すmの値は励振方向加速度検出部8の可動電極8bのみの質量となる。この可動電極8bのみの質量だけでは小さいので、必要とする感度を得るためにはバネ定数kdriveを小さくするしかない。しかし、数式6から、バネ定数kdriveを小さくするためには、梁17dの幅を狭くするか、梁17dの長さを長くする必要がある。ところが梁17dの幅は加工の制約上、狭くするには限界がある。また、梁17dの幅を狭くすると外部からの衝撃により、壊れやすくなる。また、梁17dの長さを長くするのは小型化の面で好ましくない。このように単に励振方向加速度検出部8を設けただけでは、感度と強度を両立させることが難しい。
そこで、本実施の形態1では、図2に示すように、励振方向加速度検出部8を梁17dで励振素子5に接続させている。この場合、励振方向加速度検出部8では、数式5のmとして、可動電極8bの他に励振素子5と、コリオリ素子11の質量が含まれているので、質量を大きくすることができる。すなわち、質量を大きくすることができるので、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度の検出感度を向上させることができる。さらに、質量を大きくすることにより充分な検出感度を得ることができるため、バネ定数kdriveを小さくする必要がない。したがって、梁の強度を保持することができる。さらに、梁17dの加工上の制約が少なく、小型化にも有利である。このように本実施の形態1における慣性センサによれば、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を感度よく検出することができるとともに、梁の強度を保持することができる。さらに、励振方向加速度検出部8を形成した慣性センサ1Aの小型化を実現できる。
なお、励振方向加速度検出部8は、逆位相で振動する励振素子5に接続することに制限されることはなく、例えば、梁17bなどの励振方向(第1方向、Y軸方向)に逆位相で振動している構造体に接続されていれば、逆位相で振動する励振素子5に接続する場合と同様の効果を得ることができる。
また、励振方向(第1方向、Y軸方向)に逆位相で振動している部分でなくても、図8に示しているように、励振素子5の逆位相振動の節になる部分、例えば梁17cと17cの間に直接又は梁17dを介して接続されても本発明の効果は得られる。すなわち、図8に示すように、逆位相で振動する励振素子5間の接続を梁17b、17cによって行なうと、梁17bおよび梁17cには常に振動しない節が存在する。この節は、励振方向(第1方向、Y軸方向)に加速度が印加されていない場合には変位しない。一方、励振方向(第1方向、Y軸方向)に加速度が印加されると節の位置も変化する。したがって、節の位置に励振方向加速度検出部8を設けることにより、励振方向加速度検出部8を互いに逆位相で振動する励振素子5に接続した場合と同様に励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を検出すことができる。
また、節になる部分に配置することによって、励振方向加速度検出部8の固定電極8aと可動電極8bの間隔を励振素子5の逆位相振幅より狭くすることができるため、励振方向振幅モニタ手段7を用いて励振方向の加速度を検出する方法より、より小さい規模の電極で高感度の測定が可能となる。
さらに、節になる部分に配置することによって、励振方向加速度検出部8の固定電極8aと可動電極8bを励振方向(第1方向、Y軸方向)と垂直に設けた並行平板型にしても、固定電極8aと可動電極8bの間の粘性流体の粘性が励振素子5の逆位相振動を邪魔することはない。そのため、励振方向加速度検出部8を設置することで、励振エネルギーを損することなく、逆相振幅に影響することもない。
さらに、励振方向加速度検出部8は、1個である必要もなく、図9で示しているように複数個あっても良い。この場合は、それぞれの励振方向加速度検出部8−1と8−2の静電容量の変化を比較し、差動をとることで、加速度を検出することが可能になる。すなわち、図9に示すように、左右の励振素子5の間に複数の励振方向加速度検出部8−1、8−2を設けてもよい。この場合、左側の励振方向加速度検出部8−1は可動電極8−1bおよび固定部8−1cに固定された固定電極8−1aを有している。同様に、右側の励振方向加速度検出部8−2も可動電極8−2bおよび固定部8−2cに固定された固定電極8−2aを有している。
次に、励振方向加速度サーボ手段9は、励振素子5に印加された加速度による振幅を常にゼロになるように、励振方向加速度検出部8で検知された加速度による検出変位量(同位相の変位)に応じてリバランス力を発生し、アクティブに制御する手段であり、励振手段6と対向して配置されている。この励振方向加速度サーボ手段9は、複数の固定電極9aと、複数の可動電極9bとが、噛み合うように検出方向(第2方向、X軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。また、リバランス力は励振方向加速度サーボ手段9の複数の固定電極9aと、複数の可動電極9bの間にバイアス電圧を印加することで発生させる。したがって、このバイアス電圧そのものを出力することで印加された加速度を測定することも可能である。
励振方向加速度検出部8は、固定電極8aと可動電極8bより構成される容量素子を含んでおり、励振方向(第1方向、Y軸方向)に加速度が生じたとき、固定電極8aと可動電極8bとの距離が変化するようになっている。そして、固定電極8aと可動電極8b間の距離に応じて容量素子の静電容量が変化することを利用して励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を検出する構造となっている。つまり、励振方向(第1方向、Y軸方向)に加速度が発生すると、励振方向加速度検出部8の可動電極8bが変位することにより、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を検出する。励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度が大きくなると可動電極8bの変位量も大きくなる。可動電極8bは梁に接続されており、梁の変位量に応じて可動電極8bが変位するが、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度が大きくなると、可動電極8bに接続されている梁の変位量も大きくなる。励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度が小さいうちは、梁の変位量の線形性が保たれるが、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度が大きくなると、梁の変位量の線形性が保持されにくくなり、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度の検出感度が変化してしまう。また、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を検出できるダイナミックレンジを広く取ろうとすると、大きな加速度が印加されても可動電極8bが固定電極8aに接触しないように可動電極8bと固定電極8aとの間の距離を大きくする必要がある。可動電極8bと固定電極8aとの距離が狭いほど加速度の検出感度が向上するので、可動電極8bと固定電極8aの距離を広げると加速度の検出感度が低下してしまう。
そこで、本実施の形態1では励振方向加速度サーボ手段9を設けている。この励振方向加速度サーボ手段9は、励振方向加速度検出部8の検出結果に基づいて、励振方向加速度検出部8の可動電極8bの変位量をゼロにするようにリバランス力を発生するようになっている。すなわち、励振方向加速度サーボ手段9は、励振方向加速度検出部8の可動電極8bの変位量をリバランス力によって強制的になくすようにしている。つまり、励振方向加速度サーボ手段9により、可動電極8bの変位量を間接的にリバランス力の大きさとして励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度を検出するものである。可動電極8bの変位量に応じて可動電極8bの変位量を相殺するリバランス力は変化するので、リバランス力を測定することにより、励振方向(第1方向、Y軸方向)にどれくらいの加速度が印加されているかを検出することができる。
この励振方向加速度サーボ手段9を設けることにより、以下の効果が得られる。すなわち、励振方向(第1方向、Y軸方向)の加速度が印加された場合であっても、リバランス力によって可動電極8bの変位量が発生しないので、可動電極8bに接続している梁に負担がかからない。このため、梁の線形性が良好であり安定して加速度を検出することができる。また、可動電極8bの変位量が発生しないので、固定電極8aと可動電極8bとの間の距離を狭くすることができる。つまり、固定電極8aと可動電極8bとの間の距離を狭くしても、大きな加速度が印加された場合に接触することを防止できる。したがって、固定電極8aと可動電極8bの間の距離を狭くすることが可能となり、加速度の検出感度を向上させることができる。一方で加速度の検出範囲(ダイナミックレンジ)を確保することもできる。なお、本実施の形態1では、励振方向加速度サーボ手段9を設けたが、設けなくてもよい。つまり、励振方向加速度検出部8の可動電極8bの変位量により直接的に加速度を検出してもよい。
励振方向加速度サーボ手段9の固定電極9aは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。固定電極9aはその活性層2cが支持部18gの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18gに接続されて基板2に固定されている。支持部18gは、キャップ(MCP)封止後の配線取り出しを考慮し、励振素子5の外側であって、外周壁Wの内側に配置されている。この支持部18gは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18gは、固定電極9aに電気信号を与える電極と、センサユニット内部での配線としての機能を有している。
一方、励振方向加速度サーボ手段9の可動電極9bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極9bは、その下層の絶縁層2bが除去されて、基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。可動電極9bは、その活性層2cが励振素子5の活性層2cと一体的に形成され接続されており、励振素子5に接続されている。
次に、励振方向共振周波数チューニング手段10は、周囲温度変化や真空度の変化、または、加工ばらつきにより発生する励振素子5の共振周波数のばらつきをアクティブに制御するためのものであり、励振素子5の検出方向(第2方向、X軸方向)端面の外側に配置されている。この励振方向共振周波数チューニング手段10は、複数の固定電極10aと、複数の可動電極10bとが、噛み合うように励振方向(第1方向、Y軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。
励振素子5は励振手段6により励振方向(第1方向、Y軸方向)に振動するように構成されているが、この振動を安定して維持するために励振素子5を共振点で振動させる必要がある。しかし、慣性センサ1Aの周囲の温度が変化すると、励振素子5の振動が共振点からずれる。励振素子5の振動が共振点からずれると、振動の振幅が急激に小さくなるため、振動を安定して維持することが困難となる。そこで、本実施の形態1における慣性センサ1Aでは、励振方向共振周波数チューニング手段10を設けている。この励振方向共振周波数チューニング手段10によれば、励振素子5の振動が共振点からずれると、そのずれを補正して励振素子5の振動が共振点で行なうように調整することができる。したがって、励振素子5の励振方向(第1方向、Y軸方向)の振動を安定して維持することができる。
励振方向共振周波数チューニング手段10の固定電極10aは、上記活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この固定電極10aは、その活性層2cが支持部18hの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18hに接続されて基板2に固定されている。支持部18hは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18hは固定電極10aに電気信号を与える電極としての機能を有している。
一方、励振方向共振周波数チューニング手段10の可動電極10bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極10bの下層の絶縁層2bは除去されており、可動電極10bは、基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。可動電極10bは、その活性層2cが励振素子5の活性層2cと一体的に形成され接続されており、励振素子5に接続されて固定されている。
続いて、励振素子5の内側には、コリオリ素子11が配置されている。このコリオリ素子11は、活性層2cを平面略枠状にパターニングすることにより形成されている。このコリオリ素子11もその下層の絶縁層2bが除去され浮いた状態で基板2の第1主面上に配置されている。このコリオリ素子11は、励振方向(第1方向、Y軸方向)にも検出方向(第2方向、X軸方向)にも変位できるように設計されている。そして、コリオリ素子11も基板2の第1主面に沿って振動する。このようなコリオリ素子11は、梁17eを介して励振素子5に接続されている。これにより、コリオリ素子11は、励振素子5と同振幅かつ同位相で励振方向(第1方向、Y軸方向)に振動するようになっている。そして、コリオリ素子11は、Z軸回りの角速度が印加されたときはコリオリ力により検出方向(第2方向、X軸方向)へ変位する。すなわち、コリオリ素子11の質量が数式1のmとなる。したがって、高感度化を実現するためにコリオリ素子11は大質量になるように設計されている。
左右の励振素子5の内部にそれぞれコリオリ素子11が配置され、それぞれのコリオリ素子11は左右の励振素子5と同様に互いに逆位相で励振方向(第1方向、Y軸方向)に振動している。このため、Z軸周りの角速度が印加されたときコリオリ力によって左右のコリオリ素子11は検出方向(第2方向、X軸方向)に変位する。左右のコリオリ素子11は励振方向(第1方向、Y軸方向)に逆位相で振動しているため、コリオリ力による検出方向(第2方向、X軸方向)の変位量は逆位相となる。
梁17eは、活性層2cをコリオリ素子11のパターンよりも細くパターニングすることにより形成されており(すなわち、梁17eは励振素子5およびコリオリ素子11の活性層2cと一体的に形成されており)、その下層の絶縁層2bが除去されて励振素子5やコリオリ素子11と同様に浮いた状態で基板2の第1主面上に配置されている。この梁17eは、励振方向(第1方向、Y軸方向)に直線状に延びる相対的に長い部分と、これに直交する検出方向(第2方向、X軸方向)に直線状に延びる相対的に短い部分とを有している。この相対的に長い部分の両端は、励振素子5の内周に接続されている。また、相対的に短い部分の一端は、相対的に長い部分の長手方向中央に接続され、他端はコリオリ素子11の検出方向(第2方向、X軸方向)の端辺の中央に接続されている。この梁17eも板バネとしての機能を有している。ただし、この梁17eは、励振方向(第1方向、Y軸方向)には硬く、検出方向(第2方向、X軸方向)には励振方向(第1方向、Y軸方向)の剛性に比べて柔らかい構成とされている。このため、励振素子5の励振方向(第1方向、Y軸方向)の振動はそのままコリオリ素子11に伝わるが、コリオリ素子11の検出方向(第2方向、X軸方向)の振動は吸収され、励振素子5に伝わらないようになっている。
このようなコリオリ素子11の内側には、検出素子12が配置されている。この検出素子12は、活性層2cを平面略枠状にパターニングすることにより形成されている。この検出素子12もその下層の絶縁層2bが除去され浮いた状態で基板2の第1主面上に配置されている。この検出素子12は、梁17fを介してコリオリ素子11に接続され、梁17gを介して支持部18iに接続され基板2に固定されている。これにより、検出素子12は、コリオリ素子11の検出方向(第2方向、X軸方向)の振動と同振幅かつ同位相で振動するようになっている。また、検出素子12も基板2の第1主面に沿って振動する。
梁17fは、活性層2cをコリオリ素子11や検出素子12のパターンよりも細くパターニングすることにより形成されており(すなわち、梁17fは励振素子5およびコリオリ素子11の活性層2cと一体的に形成されており)、その下層の絶縁層2bが除去されて励振素子5等と同様に浮いた状態で基板2の第1主面上に配置されている。
この梁17fは、検出方向(第2方向、X軸方向)に直線状に延びる相対的に長い部分と、これに直交する励振方向(第1方向、Y軸方向)に直線状に延びる相対的に短い部分とを有している。この梁17fの相対的に長い部分の両端は、コリオリ素子11の内周に接続されている。また、梁17fの相対的に短い部分の一端は、相対的に長い部分の長手方向中央に接続され、他端は、検出素子12の励振方向(第1方向、Y軸方向)の端辺に接続されている。この梁17fも板バネとしての機能を有している。ただし、この梁17fは、励振方向(第1方向、Y軸方向)には柔らかく、検出方向(第2方向、X軸方向)には励振方向(第1方向、Y軸方向)の剛性に比べて硬い構成とされている。このため、コリオリ素子11の検出方向(第2方向、X軸方向)の振動はそのまま検出素子12に伝わるが、励振方向(第1方向、Y軸方向)の振動は吸収されるようになっている。つまり、検出素子12は検出方向(第2方向、X軸方向)にだけ変位するようになっている。
また、梁17gは、励振方向(第1方向、Y軸方向)に直線状に延びる相対的に長い部分と、これに直交する検出方向(第2方向、X軸方向)に直線状に延びる相対的に短い部分とを有している。この梁17gの相対的に短い部分の両端は、検出素子12の外周に接続されている。また、梁17gの相対的に長い部分の一端は、相対的に短い部分の長手方向の一端に接続され、他端は、検出素子12の検出方向(第2方向、X軸方向)の中央近傍で支持部18iに接続され基板2に固定されている。この梁17gも板バネとしての機能を有している。ただし、この梁17gは、検出方向(第2方向、X軸方向)には柔らかく、励振方向(第1方向、Y軸方向)には励振方向(第2方向、X軸方向)の剛性に比べて硬い構成とされている。このため、コリオリ素子11の検出方向(第2方向、X軸方向)の振動はそのまま検出素子12に伝わるが、励振方向(第1方向、Y軸方向)の振動は梁17gに吸収されるようになっている。したがって、検出素子12は、検出素子12自体が変形しない程度の剛性があれば良く、検出感度の向上や必要でない信号の発生を防ぐため、質量が小さくなるよう設計されている。
次に、検出手段13(13−1〜13−4)は、検出素子12の内側に配置されている。この検出手段13−1〜13−4は、櫛歯形検知装置により形成されている。すなわち、検出手段13−1〜13−4は、複数の固定電極13aと、複数の可動電極13bとが、噛み合うように検出方向(第2方向、X軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。この検出手段13−1〜13−4では、検出方向(第2方向、X軸方向)の加速度または角速度により検出素子12が検出方向(第2方向、X軸方向)に変位したときに検出電極間(固定電極13aと可動電極13bとの間)の静電容量の変化として変位量を検出する。すなわち、検出素子12の検出方向(第2方向、X軸方向)の変位量により固定電極13aと可動電極13bとが互いに近づいたり、遠ざかったりすることで変化する静電容量の変化を検出する。
検出手段13−1〜13−4の固定電極13aは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この固定電極13aは、その活性層2cが支持部18jの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18jに接続されて基板2に固定されている。支持部18jは、各センサユニットSUA1、SUA2の外周に配置されている。この支持部18jは、活性層2cおよび絶縁層2bをパターニングすることにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18jは、固定電極13aに電気信号を与える電極と配線としての機能を有している。
一方、検出手段13−1〜13−4の可動電極13bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極13bの下層の絶縁層2bは除去されており、可動電極13bは、基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。可動電極13bは、その活性層2cが検出素子12の活性層2cと一体的に形成され接続されており、検出素子12に接続されている。このような構成の検出手段13−1〜13−4は、検出素子12の振動状態を固定電極13aと可動電極13bとの対向面間の静電容量の変化によって検出し、その検出信号を検出方向(第2方向、X軸方向)の加速度または角速度の測定結果として出力するようになっている。
図10は、このような検出手段13−1〜13−4で得られた静電容量の変化から、検出方向(第2方向、X軸方向)の加速度と角速度の値を検出する方法を概略的に示している。符号OPはオペアンプである。すなわち、検出手段13−1と検出手段13−4の容量を足した値と検出手段13−2と検出手段13−3を足した値の差分をとることで、印加された角速度が検出できるようになっている。また、検出手段13−1と検出手段13−2を足した値と検出手段13−3と検出手段13−4を足した値の差分をとることで、検出方向(第2方向、X軸方向)に印加された加速度が検出できるようになっている。つまり、Z軸回りの角速度が印加された場合にコリオリ力が発生するが、このコリオリ力によってコリオリ素子11が検出方向(第2方向、X軸方向)に変位する。左右のコリオリ素子11は、励振方向(第1方向、Y軸方向)に逆位相で振動しているため、コリオリ力による検出方向(第2方向、X軸方向)の変位量は左右のコリオリ素子11で逆位相になる。このため、左右の検出素子12の検出方向(第2方向、X軸方向)の変位量も逆位相となる。したがって、検出手段13−1と検出手段13−4の容量を足した値と検出手段13−2と検出手段13−3を足した値の差分をとることで、印加された角速度が検出することができる。一方、検出方向(第2方向、X軸方向)の加速度が印加された場合、左右のコリオリ素子11は検出方向(第2方向、X軸方向)に同位相で変位する。このため、左右の検出素子12も検出方向(第2方向、X軸方向)に同位相で変化する。したがって、検出手段13−1と検出手段13−2を足した値と検出手段13−3と検出手段13−4を足した値の差分をとることで、検出方向(第2方向、X軸方向)に印加された加速度を検出することができる。
このように本実施の形態1による慣性センサ1Aによれば、一つの慣性センサで角速度、検出方向(X軸方向)の加速度および励振方向(Y軸方向)の加速度を同時に検出することができることがわかる。つまり、逆位相で振動している複数の励振素子5の間に弾性体を介して接続された励振方向加速度検出部8を設け、複数の励振素子5における同位相の変位量から励振方向の加速度が検出できる。このため、角速度とその角速度を検出する検出方向の加速度とともに、角速度を測るための基本振動を引き起こす励振方向の加速度も同時に測定することができる。したがって、角速度と検出方向(X軸方向)の加速度を測定する慣性センサと励振方向(Y軸方向)の加速度を測定する慣性センサを別々に設ける必要がないので、慣性センサの小型化を図ることができる。
また、励振方向(Y軸方向)の加速度を測定または識別することができるので、その加速度により生じる質量部の偏りなどによる変位誤差を補正することができ、外乱に強く、いつも安定した励振振動を維持させることができるため、角速度の検出精度を向上させることができる。
検出素子12は、検出方向(第2方向、X軸方向)にしか振動しないので、原理的には検出手段13−1〜13−4の固定電極13aと可動電極13bとの対向面の面積を、励振方向と検出方向との振動結合がある技術に比べ広くとることができる。このため、慣性センサ1Aの感度や安定度を向上させることができる。
次に、角速度サーボ手段14は、検出素子12に印加された角速度による振幅(逆位相の振幅)を常にゼロになるように、検出手段13から検知された検出変位量に応じてリバランス力を発生し、アクティブに制御する手段であり、検出素子12の内側に配置されている。すなわち、角速度サーボ手段14は、上述した励振方向加速度サーボ手段9と同等の機能を有している。この角速度サーボ手段14は、複数の固定電極14aと、複数の可動電極14bとが、噛み合うように検出方向(第2方向、X軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。
角速度サーボ手段14の固定電極14aは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この固定電極14aはその活性層2cが支持部18kの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18kに接続されて基板2に固定されている。支持部18kは、キャップ(MCP)封止後の配線取り出しを考慮し、励振素子5の外側であって、外周壁Wの内側に配置されている。この支持部18kは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18kは、固定電極14aに電気信号を与える電極と、センサユニットSUA1、SUA2内部での配線としての機能を有している。
検出方向加速度サーボ手段15は、検出素子12に印加された加速度による振幅を常にゼロになるように、検出手段13から検知された加速度による検出変位量(同位相の変位量)に応じてリバランス力を発生し、アクティブに制御する手段であり、検出素子12の内側に配置されている。すなわち、検出方向加速度サーボ手段15は、上述した励振方向加速度サーボ手段9と同等の機能を有している。この検出方向加速度サーボ手段15は、複数の固定電極15aと、複数の可動電極15bとが、噛み合うように検出方向(第2方向、X軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。また、リバランス力は検出方向加速度サーボ手段15の複数の固定電極15aと、複数の可動電極15bの間にバイアス電圧を印加することで発生させる。したがって、このバイアス電圧そのものを出力することで印加された加速度を測定するようになっている。
検出方向加速度サーボ手段15の固定電極15aは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この固定電極15aはその活性層2cが支持部18lの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18lに接続されて基板2に固定されている。支持部18lは、キャップ(MCP)封止後の配線取り出しを考慮し、励振素子5の外側であって、外周壁Wの内側に配置されている。この支持部18lは、活性層2cおよび絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここでは支持部18lは、固定電極15aに電気信号を与える電極と、センサユニットSUA1、SUA2内部での配線としての機能を有している。
一方、角速度サーボ手段14および検出方向加速度サーボ手段15の可動電極14b、15bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極14b、15bは、その下層の絶縁層2bが除去されて、基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。可動電極14b、15bは、その活性層2cが検出素子12の活性層2cと一体的に形成され接続されており、検出素子12に接続されている。
次に、検出方向共振周波数チューニング手段16は、検出素子12の共振周波数をアクティブに制御するためのものであり、検出素子12の内側に配置されている。この検出方向共振周波数チューニング手段16は、上述した励振方向共振周波数チューニング手段10と同等の機能を有している。検出方向共振周波数チューニング手段16は、複数の固定電極16aと、複数の可動電極16bとが、噛み合うように検出方向(第2方向、X軸方向)に沿って交互に配置されることで構成されている。
検出方向共振周波数チューニング手段16の固定電極16aは、上記活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この固定電極16aは、その活性層2cが支持部18mの活性層2cと一体的に形成されており、支持部18mに接続されて基板2に固定されている。支持部18mは、上記活性層2cおよび上記絶縁層2bの積層パターンにより形成されており、基板2の支持基板2aにしっかりと接合され固定されている。ここで支持部18mは、固定電極16aに電気信号を与える電極としての機能を有している。
一方、検出方向共振周波数チューニング手段16の可動電極16bは、活性層2cをパターニングすることにより形成されている。この可動電極16bの下層の絶縁層2bは除去されており、可動電極16bは、基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。可動電極16bは、その活性層2cが検出素子12の活性層2cと一体的に形成され接続されており、検出素子12に接続されて固定されている。
このような基板2の第1主面上には、封止キャップMCPが陽極接合されている。これにより、センサユニットSUA1、SUA2は、その可動部分が適切な圧力雰囲気中に設置されるように封止されている。封止キャップMCPは、例えばパイレクスガラスからなり、その上下面を貫通するように複数の電極19が設けられている(図3参照)。この電極19は慣性センサ1Aの外部から内部のセンサユニットSUA1、SUA2に所望の電気信号を供給する電極であり、上記支持部18a〜18mに電気的に接続されている。
ただし、封止構成は、陽極接合による封止構成に限定されるものではなく種々変更可能である。例えば封止キャップMCPを接着材により基板2に接合しても良い。また、ワイヤボンディング後、センサユニットSUA1、SUA2全体をパッケージに入れ封止してもよい。また、基板2上に励振手段6、検出手段13などの制御回路を混載した状態でパッケージングしてもよい。また、センサユニットSUA1、SUA2に所望の電気信号を供給するための電極を基板2の第2主面側(裏面側)からとるようにしてもよい。あるいは、センサユニットSUA1、SUA2上に化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)法やスパッタリング法等を用いて封止薄膜を形成することによりセンサユニットSUA1、SUA2を封止してもよい。
(実施の形態2)
本実施の形態2においては、慣性センサのコリオリ素子と検出素子とを一体化した例を説明する。図11は本実施の形態2の慣性センサ1Cの一例を示す平面図である。なお、図11では図面を見易くするため封止キャップを省略している。
本実施の形態2では、センサユニットSUA1、SUA2の励振素子5の内側において、励振素子5の内側に素子20が配置されている。素子20は、コリオリ素子11と検出素子12とを一体化したもので、コリオリ素子11および検出素子12の両方の機能を有している。この素子20は、梁17eを介して励振素子5に接続されて支持され、その活性層2cを平面略枠状にパターニングすることにより形成されている。そして、その下層の絶縁層2bが除去されて基板2の第1主面上に浮いた状態で配置されている。
検出手段13−1〜13−4は、検出方向(第2方向、X軸方向)の加速度または角速度により素子20が検出方向(第2方向、X軸方向)に変位したときに、その変位量を検出するものである。素子20の内周には、上記検出手段13の可動電極13bが素子20の活性層2cと一体的に形成され接続されている。
角速度サーボ手段14と検出方向加速度サーボ手段15は、素子20の検出方向(第2方向、X軸方向)の振幅を常にゼロになるように、アクティブに制御するものである。検出方向(第2方向、X軸方向)の両端側において素子の内周には、角速度サーボ手段14および検出方向加速度サーボ手段15の可動電極14b、15bが素子20の活性層2cと一体的に形成され接続されている。これ以外の構成は前記実施の形態1と同じである。
本実施の形態2では、前記実施の形態1で得られた効果の他に、以下の効果を得ることができる。すなわち、コリオリ素子と検出素子とを一体化したことにより、センサユニットSUA1、SUA2の形成を容易にすることができる。また、コリオリ素子と検出素子とを一体化したことにより、慣性センサ1Cを小型化することができる。なお、図11では、図4の構成をベースとして発明効果を説明しているが、図2あるいは図8の構成に関しても同じ効果が得られる。
(実施の形態3)
本実施の形態3においては、前記実施の形態1、2の慣性センサ1A、1Cの適用例について説明する。
図12は、慣性センサ1Aあるいは慣性センサ1Cを自動車の横滑り防止装置に適用した場合の一例を示している。符号30は車両、31はコントロールユニット(制御装置)、32は運転者が操作するステアリング、33はステアリング32の操作量を検出する蛇角センサ、34はタイヤ、35は各々のタイヤの回転速度を検出する回転センサ、36はブレーキである。コントロールユニット31には、慣性センサ1Aあるいは慣性センサ1Cが含まれている。
まず、車両30の運転者は、意図する方向に車両を向けるため、ステアリング32を操作する。すると、ステアリング32の操作量は蛇角センサ33で検出され、その検出信号はコントロールユニット(制御装置)31に入力される。また、車両30の速さは回転センサ35で検出され、その検出信号はコントロールユニット(制御装置)31に入力される。ここで、車両30が雪道などで横滑りを起こし、運転者の意図に反してスピンし始めると、コントロールユニット(制御装置)31は,ステアリング32の操作量と車両の速さとから計算される車両30の運動(角速度および加速度)と、本実施の形態の慣性センサ1Aあるいは慣性センサ1Cから検出される実際の車両30の運動(角速度および加速度)との違いを検出し、横滑りが起き難くなるようにブレーキ36を制御する。
本実施の形態によれば、上述したように慣性センサ1Aあるいは慣性センサ1Cの安定性、感度および信頼性を向上させることができる。このため、より高い制御を実現でき、車両30をより安全な状態に誘導することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
以上の説明では主として本発明者によってなされた発明をその背景となった利用分野である自動車の横滑り防止装置に適用した場合について説明したが、それに限定されるものではなく種々適用可能である。例えば、自動車のエアバックの衝突検知装置やカーナビゲーションのような自動車の他の装置に適用できる他、ロボットの姿勢や運動状態を測定するセンサや携帯電話の姿勢認識用センサ、ノート型のパーソナルコンピュータおよびデジタルカメラ等のような携帯型電子機器の姿勢制御、例えば手ぶれ補正、落下検知等に使用するセンサにも適用できる。
本発明は、MEMS慣性センサの製造業に幅広く適用できる。
本発明の基本概念を説明する説明図である。 本発明の実施の形態1における慣性センサの一例を示す平面図である。 図2のx1−x1線における断面図である。 実施の形態1の変形例における慣性センサの一例を示す平面図である。 慣性センサにおける励振回路を示す回路図である。 慣性センサの励振方向における振幅検出回路(モニタ回路)を示す回路図である。 本発明者らが検討した慣性センサの一例を示す平面図である。 実施の形態1の変形例における慣性センサの一例を示す平面図である。 励振方向加速度検出部を複数設けた慣性センサの基本構成を示す図である。 慣性センサにおける検出回路の一例を示す説明図である。 実施の形態2における慣性センサの一例を示す平面図である。 実施の形態3における慣性センサを自動車の横滑り防止装置に適用した例を示す説明図である。 本発明者らが検討した慣性センサの一例を示す説明図である。
符号の説明
1A、1C 慣性センサ
2 基板
2a 支持基板
2b 絶縁層
2c 活性層
3 質量部
5 励振素子
6 励振手段
6a 可動電極
6b 固定電極
7 励振方向振幅モニタ手段
7a 固定電極
7b 可動電極
8 励振方向加速度検出部
8a 固定電極
8b 可動電極
8c 固定部
8−1、8−2 励振方向加速度検出部
8−1a、8−2a 固定電極
8−1b、8−2b 可動電極
8−1c、8−2c 固定部
9 励振方向加速度サーボ手段
9a 固定電極
9b 可動電極
10 励振方向共振周波数チューニング手段
10a 固定電極
10b 可動電極
11 コリオリ素子
12 検出素子
13(13−1〜13−4) 検出手段
13a 固定電極
13b 可動電極
14 角速度サーボ手段
14a 固定電極
14b 可動電極
15 検出方向加速度サーボ手段
15a 固定電極
15b 可動電極
16 検出方向共振周波数チューニング手段
16a 固定電極
16b 可動電極
17a〜17g 梁
18a〜18m 支持部
19 電極
20 素子
25 弾性体
26 支持部
30 車両
31 コントロールユニット
32 ステアリング
33 蛇角センサ
34 タイヤ
35 回転センサ
36 ブレーキ
500 質量部
501 梁
502 支持部
503 励振部
504 検出部
W 外周壁
SUA1、SUA2 センサユニット
MCP 封止キャップ

Claims (21)

  1. (a)主面を有する基板と、
    (b)前記基板の主面上の第1方向に沿って配置された第1センサユニットおよび第2センサユニットを備え、
    前記第1センサユニットおよび前記第2センサユニットのそれぞれは、
    (b1)前記第1方向である励振方向に振動する励振素子と、
    (b2)前記励振素子を前記励振方向に振動させる励振部とを有し、
    前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子とは逆位相で振動し、
    (c)前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子とに弾性体を介して接続され、前記励振方向の加速度を検出する励振方向加速度検出部を備えることを特徴とする慣性センサ。
  2. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記励振方向加速度検出部は、前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子の前記励振方向における同位相の変位量を検出することにより、前記励振方向の加速度を検出することを特徴とする慣性センサ。
  3. 請求項2記載の慣性センサであって、
    前記励振方向加速度検出部は、櫛歯状に配置された容量素子から形成され、前記容量素子の容量変化に基づいて前記励振方向の加速度を検出することを特徴とする慣性センサ。
  4. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記励振部は、櫛歯状に配置された容量素子から形成され、前記容量素子に加わる静電引力に基づいて、前記励振素子を前記励振方向に振動させることを特徴とする慣性センサ。
  5. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記励振方向加速度検出部は、複数個形成されていることを特徴とする慣性センサ。
  6. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子とを接続する弾性体が前記基板に固定されていることを特徴とする慣性センサ。
  7. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子とを接続する弾性体が前記基板に固定されていないことを特徴とする慣性センサ。
  8. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記第1センサユニットおよび前記第2センサユニットのそれぞれは、
    前記励振素子に接続され、前記励振素子の振動と同位相で前記励振方向に振動し、かつ、コリオリ力によって前記励振方向と交差する検出方向に振動するコリオリ素子と、
    前記コリオリ素子の前記検出方向への振動に基づいて前記検出方向の変位量を検出する検出部とを有することを特徴とする慣性センサ。
  9. 請求項8記載の慣性センサであって、
    前記検出部は、櫛歯状に配置された容量素子から形成され、前記容量素子の容量変化に基づいて前記検出方向の変位量を検出することを特徴とする慣性センサ。
  10. 請求項8記載の慣性センサであって、
    前記第1センサユニットの検出部で検出された前記検出方向の変位量と、前記第2センサユニットの検出部で検出された前記検出方向の変位量に基づいて、角速度と前記検出方向の加速度とを検出することを特徴とする慣性センサ。
  11. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記第1センサユニットおよび前記第2センサユニットのそれぞれは、
    前記励振素子に接続され、前記励振素子の振動と同位相で前記励振方向に振動し、かつ、コリオリ力によって前記励振方向と交差する検出方向に振動するコリオリ素子と、
    前記コリオリ素子に接続され、前記コリオリ素子の前記検出方向の振動と同位相で前記検出方向に振動する検出素子と、
    前記検出素子の前記検出方向への振動に基づいて前記検出方向の変位量を検出する検出部とを有することを特徴とする慣性センサ。
  12. 請求項11記載の慣性センサであって、
    前記検出部は、櫛歯状に配置された容量素子から形成され、前記容量素子の容量変化に基づいて前記検出方向の変位量を検出することを特徴とする慣性センサ。
  13. 請求項11記載の慣性センサであって、
    前記第1センサユニットの検出部で検出された前記検出方向の変位量と、前記第2センサユニットの検出部で検出された前記検出方向の変位量に基づいて、角速度と前記検出方向の加速度とを検出することを特徴とする慣性センサ。
  14. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記基板は、SOI基板であることを特徴とする慣性センサ。
  15. 請求項1記載の慣性センサであって、
    前記第1センサユニットおよび前記第2センサユニットは、導電性シリコン、導電性ポリシリコンあるいは金属から形成されていることを特徴とする慣性センサ。
  16. (a)主面を有する基板と、
    (b)前記基板の主面上の第1方向に沿って配置された第1センサユニットおよび第2センサユニットを備え、
    前記第1センサユニットおよび前記第2センサユニットのそれぞれは、
    (b1)前記第1方向である励振方向に振動する励振素子と、
    (b2)前記励振素子を前記励振方向に振動させる励振部と、
    (b3)前記励振方向に振動する構造体とを有し、
    前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子とは逆位相で振動し、かつ、前記第1センサユニットの構造体と前記第2センサユニットの構造体とは、逆位相で振動し、
    (c)前記第1センサユニットの構造体と前記第2センサユニットの構造体とに弾性体を介して接続され、前記励振方向の加速度を検出する励振方向加速度検出部を備えることを特徴とする慣性センサ。
  17. 請求項16記載の慣性センサであって、
    前記励振方向加速度検出部は、前記第1センサユニットの構造体と前記第2センサユニットの構造体の前記励振方向における同位相の変位量を検出することにより、前記励振方向の加速度を検出することを特徴とする慣性センサ。
  18. 請求項17記載の慣性センサであって、
    前記励振方向加速度検出部は、櫛歯状に配置された容量素子から形成され、前記容量素子の容量変化に基づいて前記励振方向の加速度を検出することを特徴とする慣性センサ。
  19. (a)主面を有する基板と、
    (b)前記基板の主面上の第1方向に沿って配置された第1センサユニットおよび第2センサユニットを備え、
    前記第1センサユニットおよび前記第2センサユニットのそれぞれは、
    (b1)前記第1方向である励振方向に振動する励振素子と、
    (b2)前記励振素子を前記励振方向に振動させる励振部とを有し、
    前記第1センサユニットの励振素子と前記第2センサユニットの励振素子とは、弾性体を介して接続され、かつ、逆位相で振動し、
    (c)前記弾性体の節に接続され、前記励振方向の加速度を検出する励振方向加速度検出部を備えることを特徴とする慣性センサ。
  20. 請求項19記載の慣性センサであって、
    前記励振方向加速度検出部は、前記弾性体の節の位置が前記励振方向に変位することを検出することにより、前記励振方向の加速度を検出することを特徴とする慣性センサ。
  21. 請求項20記載の慣性センサであって、
    前記励振方向加速度検出部は、櫛歯状に配置された容量素子から形成され、前記容量素子の容量変化に基づいて前記励振方向の加速度を検出することを特徴とする慣性センサ。
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